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情勢更に不可解:露とトルコが対IS共同航空作戦!? [安全保障全般]

Syria Turkey.jpg18日付BBC等の報道によれば、トルコ国境近郊(約20km)のシリア都市「Al Bab」のISIL拠点に、史上初めてロシア軍とトルコ軍の攻撃機18機が共同作戦で空爆を行い、合計36目標に攻撃を加えた模様です

この付近は、昨年12月にトルコ地上軍が大きな損害を受け、米国の支援を受けてトルコ軍が反撃を試みていた場所であり、米国とロシアとトルコが対ISILとの一つの目標に向かって行動したと考えられれば良いのですが、誰もそう考えてはおらず、「情勢の複雑さが増した」状態です

最近トルコは、NATO加盟国でありながらロシアへの接近を強め、逆に米国には冷たい姿勢が増しており、米国との同盟の象徴で極めて重要なトルコ南部のインジュリック空軍基地の米空軍への嫌がらせ的な行為が増えている状況です

Syria Turkey2.jpg更に1月9日の週には、ロシアを牽制するため3000名の米陸軍部隊が、戦車や装甲車と共にポーランド駐留を開始したところであり、ウクライナ事案以降のNATOとロシア関係は冷え込んだままです。

一方で、16日にはカザフスタンのアスタナで、ロシアとトルコとイランが、シリア和平議論を行ったタイミングだけに、この共同作戦が注目を集めています

18日の攻撃対象や成果、このように大規模な空爆作戦になった理由、なぜロシアが、なぜトルコと・・・などなど、疑問の種は尽きませんが、取りあえず事象や関係者の発言をご紹介しておきます

18日にGoldfein米空軍参謀総長は
Goldfein1-4.jpg●(AEIでの講演で本件に触れ、)この両国の動きは事態を複雑にするものだが、具体的に懸念事項が生じているとは承知していな
●これまでもロシアの行動には「言行不一致」が見られ、ロシアはISILへの攻撃を行っていると主張しているが、実際にはアサド大統領のシリア政権支援を行っている

●この作戦が「共通の敵に向けたもの」であれば問題は生じないが、共通の目標から逸脱する行動はより複雑な問題を生み出す
米軍の航空作戦統制センターとロシア軍側との連絡電話ラインはこれまで良く機能しており、ロシア語を話せる米軍大佐が、ロシア軍機の空域使用に伴う危険回避や緊張緩和に貢献している
●同大将は「これまでの所、ロシア軍機の活動は米側有志連合の作戦に影響を与えていないが、世界中でシリア上空ほど複雑な場所はなく、ロシアが行動方針を変化させれば複雑さが増すことになる」と言及した

18日付BBC報道によれば
Su-24 Russia.jpg当該地域は過去5ヶ月に渡り、トルコ軍とISとクルド勢力が交戦を続けており、同じ週に米軍機もトルコ軍と協力しつつ空爆を加えていたエリアである。
●約1年前に当地域周辺で空中戦を行ったトルコとロシアが、そしてNATO加盟国トルコと非加盟国のロシアが、共同航空作戦を行うのは極めて異例である

●この作戦発表はロシア国防省が行い、トルコ軍関係者が「トルコと連携して行った」と認めたと報じられているが、どの程度共同作戦だったのか、相互に連携して調整した目標を攻撃したのか疑問の声もある
トルコ側の主な目的にはクルド勢力の北上牽制があるが、米側は対ISにクルドを支援しており、情勢を更に複雑にしている

F-16 turkey.jpg●ロシア報道官の中将は、空爆に参加したのはロシア軍(4機のSU-24、4機のSu-25、1機のSu-34)とトルコ空軍(各4機のF-16とF-4)だとリストを明らかにし、細部には言及せず36目標を攻撃したと発表した
●トルコ軍はこの共同作戦前、昨年12月にロシア軍機による最初の対IS空爆が当該地域に行われ、トルコに対する支援作戦だとの認識を明らかにしていた、

昨年12月にトルコ軍は同地域で、12名の死者と33名の負傷兵を1日で出す国境付近で最大の被害を受けており、クルド勢力への警戒を強めており、当地域の不安定さは今後も継続するだろう
トルコ軍は、本作戦によりクルド勢力の進出を抑え、IS駆逐に貢献できたと評価し、ロシア軍報道官は対IS共同作戦は極めて効果的だった」と述べている
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Syria russia.jpgロシアとトルコが共同空爆で、米国が対ISのため支援するクルド勢力を叩いた可能性も考えられますが、両軍それぞれが好き勝手な目標を攻撃しながら、米国への当てつけに「共同作戦」をアピールしたのかもしれません。あくまでも「ISIL攻撃の共同空爆作戦」だと言い張りながら・・・

20日にトランプ大統領が就任し、マティス国防長官も承認されました。
しかし依然として米国政府は政権移行中であり、この間隙を利用しようと考える勢力には格好のチャンスです。この共同作戦モドキの背景や狙いは不明確ですが、米国やNATOの対応が後手に回っているのは確かでしょう・・・

リビアのISIL拠点にB-2爆撃機を派遣した作戦はお見事でしたが、継続的になすべき事をなさなければ、あっという間につけ込まれると言うことです。中国や北朝鮮にも注意しないと・・・

米国とトルコ関係の関連
「トルコがF-35追加購入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-01-1
「駐トルコに家族帯同禁止や特別手当」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-17
「SAM選定で露に最接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-12

「将軍の4割以上を排除」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11
「トルコで反米活動激化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-31

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米と比が細々とHA/DR訓練を開始 [安全保障全般]

Eagle Vision3.jpg12日付米太平洋空軍web記事によれば、16日から25日の間、米軍(陸軍&空軍)とフィリピン軍がフィリピンのクラーク空軍基地でHA/DR(人道支援/災害復旧)の訓練を行っているようです。

ただし短い記事は「フィリピン政府の招待」を受けたものと表現しているものの、「訓練」との用語を使用しておらず、専門家の交流(Exchanges)との表現になっており、米軍の商用衛星画像分析装備を持ち込んで使用し、その様子をフィリピン軍にも見せて参考にしてもらう程度の内容のようです。

昨年6月にドゥテルテ大統領が就任後、比大統領が米国への反発を強めて中国に接近し、米軍との軍事演習は全て中止してHA/DR訓練だけにすると打ち出して米側が困惑しています。

Duterte5.jpgまたトランプ氏の当選を受け、ドゥテルテ大統領の対米姿勢に変化の兆しが見え、昨年11月の米大統領選挙後にハリス太平洋軍司令官がフィリピンを訪問して軍事関係の改善を図ろうとしましたが、これも不発で、昨年12月にはフィリピン国防相が、航行の自由作戦で南シナ海を航海又は飛行する米軍艦艇や航空機のフィリピン施設使用を、認めない可能性が高いと発言していました。

12日からの安倍首相のフィリピン訪問は、比大統領の故郷であるダバオ市を訪問し、日本との関係が深い同市民から熱烈歓迎を受ける「感慨ひとしお」の訪問となりましたが、漏れ聞こえてくるところによれば比大統領は、「米兵はフィリピンにいらない。自国で自国を守りたい」旨の発言をしたとかで、米比関係に光明は見えないようです

12日付米太平洋空軍web記事によれば
Eagle Vision.jpg●1月16日から25日の間、米陸軍と米空軍はフィリピン政府の招待を受け、フィリピン軍と比のクラーク空軍基地でHA/DR 関連のSMEEs(Subject Matter Expert Exchanges)を実施する
●今回の交流では、米空軍がフィリピンに持ち込む移動用衛星画像分析システム「Eagle Vision」の活用が中心となる

●「Eagle Vision」はリアルタイムで商用衛星画像を入手して分析に使用でき、米太平洋コマンド地域における人道支援能力を大きく飛躍させる装備である
●同装備によるHA/DR 関連能力の向上に加え、この交流は、2国間の相互運用性を強化し、長年に亘る2国間の同盟関係を引き続き強化するものとなる
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「Eagle Vision」は主に州軍が運用しているようで、種々の写真から推測すると、パラボラアンテナの大きさは折りたたんでC-17輸送機に搭載できそうな規模です。

Eagle Vision2.jpg操作や分析車両を含めて5つのパーツから構成されているようで、台風や竜巻の被害現場に24~48時間程度で展開し、現場密着で衛星画像情報を提供可能なようです

米太平洋空軍web記事は、米軍から派遣された人員数や「交流」の細部にも記事は触れておらず、記事の末尾を「この交流は、2国間の相互運用性を強化し、長年に亘る2国間の同盟関係を引き続き強化するものとなる」と結んでいるものの、シャビーで哀愁漂うものとなっています

そう言えば、昨年4月にカーター国防長官が大々的に打ち出し、当時はF-22戦闘機のフィリピン展開が間近と報じられた「航空戦力ローテーション派遣」も、昨年9月に2機のC-130が派遣されたのを最後に「ぷっつり」途絶えています

Abe Davao.jpg安倍首相は訪比時の会談で、「米国との関係は重要」との認識で一致したと発表されていますが、なかなか実態が伴ってきません

ドゥテルテ大統領は市長時代地元に、戦前戦中戦後に活躍した日本人の慰霊碑を自費で建立し、大規模な慰霊祭まで行ってきた親日家ですが、米国には根強い不信感があるようです。

日本とドゥテルテ大統領
「なぜ10月25日に比大統領来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-06

米比関係の記事
「航行の自由作戦に比基地は使用させない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11
「ハリス大将:選挙後初の訪比へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「米比演習の中止に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-08

「C-130が2機だけ展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-27
「比大統領南シナ海共同を拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15-1
「比空軍と米空軍が3日間会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03

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B-2ステルス爆撃機がリビアで対IS爆撃 [カーター国防長官]

史上5回目のB-2作戦任務はリビアのISキャンプ攻撃
オバマ&カーター退任直前に意味深なステルス大型爆撃機使用

Libya Sirte5.jpg19日、前日に退任式典を終えていたカーター国防長官が「サプライズ」記者会見を開き、18日に2機のB-2ステルス爆撃機がリビアにあるISIL訓練基地を約100発の精密誘導爆弾で攻撃し、テロリスト約100名を抹殺したと発表しました
オバマ大統領にも「数日前に了承を得た」との説明もアリ、同大統領が最後に承認した軍事作戦となった模様です。

タイミングといい、滅多に使用しない大型ステルス爆撃機の投入といい、中国やロシアへの警告メッセージの意味合いや、米軍の即応態勢への疑問を示しているトランプ氏へのメッセージだとメディアは指摘しているようですが、カーター長官は当然否定しています

B-2Whiteman.jpg攻撃は2機のB-2と、その後の無人機MQ-9のフォローアップ攻撃で構成されていたようですが、他のアセットオプションもあった中でB-2を使用した理由については、米アフリカ軍司令官の要望で最適なアセットだった等と、それなりに説明しています

B-2が1990年代に運用態勢を確立後、これまで4つの作戦にだけしか投入されておらず、最近では2011年のリビア攻撃が最後の実作戦だったこともあり、様々な憶測を今後呼びそうな貴重なB-2爆撃ですのでご紹介します

20日付Military.com記事によれば
Libya Sirte.jpg●カーター長官は、他のアセットの選択肢もあったが、米アフリカコマンド司令官がB-2を最適なアセットとして要望してきたため国防長官として承認し、オバマ大統領にも「2~3日前に」承認をもらったと説明した
●大統領の承認を得た理由を、爆撃を行ったリビアの都市Sirte周辺は、長らくISILに支配され、先月米軍や国連の支援を受けたリビア政府軍GNAが奪還したばかりで、空爆を制限していた地域だからだとカーター長官は説明した

●また同長官はB-2を投入した理由についての憶測を否定し、B-2爆撃機は多量の爆弾を搭載して長時間連続して在空出来ることから、作戦指揮官により作戦の柔軟性を与えることが出来ると判断したからと説明した
●ただ付け加えて長官は、B-2爆撃機を使用するときは、常に何らかのメッセージがそこにあると述べ、ISILに対し、世界中のどこに居ようとも米国の手からは逃れられないとのメッセージだと語った

●当該B-2爆撃機は4万ポンドの兵器搭載能力があるが、今回の作戦では500ポンドのJDAM等精密誘導爆弾を2機で合計100発投下した。そしてB-2の後に、1機の無人機MQ-9が「Hellfireミサイル」で更に攻撃を加えた、と米空軍報道官は説明した
B-2restart.jpg●なお2機のB-2爆撃機は、米本土ミズーリ州のWhiteman空軍基地から飛び立ち、往復34時間の連続飛行を15回の空中給油で行ったとのこと。

●カーター長官は攻撃目標となった2つのISIL訓練キャンプについて、先月リビア政府軍が米軍や国連の支援を受け奪還したSirteの町から非難したテロリスト達が、欧州へのテロ攻撃の準備をしていた拠点だと説明し、「ISILを発見したら、何処であろうとこれを撃破する一連の作戦の一部だ」と位置付けた
●なお米空軍報道官は、B-2が計100発もの爆弾を使用したが、精密誘導爆弾を使用したことから「絨毯爆撃:carpet bombing」ではないと強調した

過去4回のB-2爆撃機投入作戦は以下の通り
*March 1999, Operation Allied Force against Serbia;
*September 2001, in the first strikes of Operation Enduring Freedom in Afghanistan;
*March 2003, at the start of Operation Iraqi Freedom; and
*March 2011, Operation Odyssey Dawn in Libya to topple the regime of Gadhafi.
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Libya Sirte3.jpgリビアの「Sirte」という地中海沿岸の都市は、ISILが占拠して以来、テロリストを欧州に送り込む拠点となっていた場所で、その奪還は有志連合の悲願でした
その悲願の奪還が昨年12月に成功し、逃げ延びた残党退治作戦がB-2爆撃機に託された訳です

長時間敵の上空に在空し、敵を発見次第、その都度精密誘導兵器で攻撃する手法は、B-52も行っていますが、今回はなぜステルス機が必要だったのでしょうか?
75機以上保有するB-52部隊が多忙で、20機しか保有しないB-2爆撃機部隊に任務が回ってきたのでしょうか?

邪推ですが、以下の様に想像します
Libya Sirte2.jpg中東域に現在米空母が存在しないため、中東に展開する米空軍はシリアやイラクでの対ISILに手一杯。またロシアが最新鋭多用途戦闘機Su-35をシリアに持ち込み、地域の緊張が高まる中、リビアでの作戦に投入する余裕が中東展開部隊にはなかった
ISILテロリストと関連装備品が集中していた攻撃目標を、一度の機会で徹底的に殲滅したかった。敵が分散避難する恐れがあり、複数回に亘る攻撃は避けたかった
●2011年3月にもB-2を投入したように、旧リビア軍の保有していた対空ミサイルで所在不明となっているモノがアリ、念のためステルス機を投入した

B-2爆撃機関連
「B-2の稼働率」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-05
「2058年まで運用予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-05
「B-2の20周年記念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28

「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1

「映像5つの視点B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「鮮明な飛行映像」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27-1

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マティス新国防長官と「第3の相殺戦略」 [マティス長官]

Third offset.jpg19日付Defense-News記事が「C4ISRNET」を引用し、マティス新国防長官の「第3の相殺戦略」に関する議会証言を紹介しつつ、新政権における同戦略の行く末を推測しています。

これと言った決定的な根拠や言質に基づく記事ではありませんが、トランプ新大統領とは異なり穏当なマティス新国防長官のご発言で「箸休め」して頂き、併せて「第3の相殺戦略」を取り巻く現状を理解する一助なればと考え、幾人かの専門家の見方をご紹介します

マティス氏の「第3の相殺戦略」への考え方
(上院軍事委員会からの質問への回答)
Mattis12.jpg●全般として、第3の相殺戦略検討の中で見いだされている分野は、投資に値するものと考えている。国防省の同戦略への取り組みは、米軍戦闘力を必要な場所と時間で発揮するに事に焦点を当てた取り組みだと理解している
●国防長官に承認して頂けたなら、現在行われている研究開発投資の分野をレビューし、国家に長期的な技術優位性をもたらすものかどうかを確認する

●国防長官に就任したなら、私の職務遂行における優先事項を、より詳細に上院軍事委員会にお知らせしたいと考えている
●私は、技術革新と技術の飛躍的発展のために、リスクに対しては寛容であるべきだと基本的に考えている

専門家等の見方
Shanahan.jpg国防情報部長のJack Shanahan中将は、「まだ新政権についてはよく分からないが、(政治任用の)主要幹部の推進力が第3の相殺戦略遂行に重要なことは国防省組織にも言えることだ」と慎重に語った
●一方で同中将は「強制削減法の下での苦肉の策である暫定予算(continuing resolution)の有効期間が4月に終わり、その後に新着任者は新たな暫定予算編制を迫られ、第3の相殺戦略用に前任者が配分していた予算の継続可否の選択を迫られることになる」と語り、その時点で強い意志や考え方を共有していないと「第3の相殺戦略」が消えゆく可能性を示唆した

CNASのBen FitzGerald研究員も、カーター長官やWork副長官が大きな「political capital」を使用して議会等に「第3の相殺戦略」推進を働きかけていたことを取り上げ、「人工知能」や「自立化:autonomy」等は大丈夫だろうが、その他の分野には不安もあると示唆した
●そして新政権下での「第3の相殺戦略」の運命について、「明確に中断はしないが、積極的な支援を行わず、管理されたネグレクト状態になる」可能性が最も高いと予想した

Eaglen AEI3.jpgAEIのMackenzie Eaglen研究員は、政権の引き継ぎ間、Work副長官がしばらく職務を継続するする事になったが、同副長官が仮に2ヶ月間職務を継続したら、2017年9月末まで(2017会計年度内)の相殺戦略関連事業を支えるだろうと見ている
●更にEaglen女史は、Work氏が今後半年間職務を継続する事になれば、2017年10月以降の2018会計年度予算に大きな影響を与えることになろうと予想した
●また同女史は、新政権が当面の対ISILを重視し、(対中国や対ロシアを想定した)国家間の本格紛争を後回しにすると、「第3の相殺戦略」の推進力は失われるだろうと述べた

一方で米海軍研究所(ONR)のThomas Killion研究部長は、「第3の相殺戦略の関連技術には、自立化、センサー能力、意志決定支援のための新アルゴリズム製造の新手法等々が含まれているが、これら技術には既に投資が開始されており、継続投資される」「ONRが既に発表した研究戦略にも、相殺戦略関連の多くの分野が含まれており、海軍は投資を進める」と説明し、新政権でも急激の変化は想定しがたいことを示唆している

FitzGerald.jpg前述のFitzGerald研究員も、カーター長官が肝いりで始めた、先端技術取り込み事務所DIUx、国防省の戦略能力造成室SOC、また「Defense Digital Service」などの組織は、政治任用でない職員で運用されており、事業運用が多少変化するにしても、継続して業務するだろうと見ており、単に1980年代導入の老朽装備品更新を行うような政策との決別を期待している
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トランプ大統領の就任式関連の行事で、各軍種の士官候補生が大統領を観閲官にしてパレードを行う事が恒例になっているらしいのですが、これまでは大統領の前を通過する際、一貫して「頭右」となるように観閲台が設けられていたのに、今回は警備の都合上か観閲台の位置が変更され、「頭左」をしなければならなくなったようです。

某軍事メディアがこの件を取り上げ、「早くもこれまでの慣習や発想からの転換を迫られている」と皮肉めいた表現で紹介していました。

間違いなく、日本はより本質的な国防議論を迫られるでしょうし、そんな時の一助に「東京の郊外より・・・」がなればと考えています

「第3の相殺戦略」関連の記事
「この戦略は万能薬ではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11-1
「CSISが相殺戦略特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「相殺戦略を如何に次期政権に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12

「小野田治の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「第3のOffset Strategy発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-06-1

同じ記者による「第3の相殺戦略」現状解説
http://www.c4isrnet.com/articles/third-offset-strategy-challenges

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F-35システム試験はまだ6割残置 [亡国のF-35]

DOT&E FY2016.jpg10日、米国防省のMichael Gilmore試験評価局長が、F-35の各種試験進捗状況に関する内容を含むレポートを議会に提出し、その中でソフトウェアシステム試験が4割程度しか終了しておらず、また現在も試験項目が増加中であり、実戦的な作戦運用試験の開始が少なくとも現予定から16ヶ月遅れるだろうとの見方を示しました

F-35事業を担当するF-35計画室は現時点で同レポートに何もコメントしていませんが、これまでF-35計画室が試験評価局の指摘に反論しつつ、結局は試験評価室の見積もりや評価が正しかったことが大半です

今回の初期作戦運用試験(IOT&E:initial operational test and evaluation)の開始時期についても、F-35計画室は数ヶ月遅れる可能性があるがまだ不確定と言い続けていましたが、試験評価室は継続して1年以上の遅れを指摘しており、評価室の正しさが今回も証明されるのは時間の問題でしょう

中でも問題は、F-35計画室が試験の遅れを批判されることを避けるため、リスクを承知で試験項目を削減して試験期間を短縮しようとしているとの指摘です。
Gilmore.jpgこのリスクは既に現実のものとなっており、先日はリスクを承知で不具合部品を使用したまま試験や訓練を継続した結果、海兵隊F-35が飛行中に火災を起こすことになったことが明らかになったところです

トランプ氏は11日の最初の記者会見でも、F-35の代替としてFA-18改良型を競わせることで価格低下を進める旨の冒頭発言を行っており、F-35計画室は開発の順調さをアピールしたい思いでいっぱいですが、「ソフトの塊」であるF-35のシステム試験は今後が山であり、先が見通せる状況にはありません

米空軍協会web記事によれば
●Gilmore局長は同レポートで、2017年8月までに開始する予定となっている初期作戦運用試験(IOT&E)は、早くとも16ヶ月開始が遅れ、2018年12月から2019年当初の開始となるだろうと報告している
●同局長は、未だ対策が採られていないか、対策が不十分で遅れにつながっている16分野を指摘しており、その大部分が当面の完成版ソフトである「3F」ソフト開発に関係している

F-35 clear.jpg●同レポートは、「3F」ソフトがやっと最近になって試験に投入できる程度の完成度に至ったと表現し、今後の最大の課題は他の(関連サブソフトとの)全てのシステムとの融合試験であると指摘している
●またレポートは、初期に製造された機体は信頼性が低く、試験のペースに対応できていないと指摘し、また引き続き自動兵站情報システムALIS開発が遅れている点や、他のデータを流用して開発試験を省略する姿勢を後に続く試験のリスクにつながるものと批判している

●具体的には、F-35の3つのタイプに共通する試験である「mission systems試験」は、「3F」ソフトの開発遅延に伴い、9702試験項目の内、まだ5800項目を残している状態で、進捗率は41%である
●しかし試験項目は試験が進むにつれ増加しており、9702個は当初計画より25%増加した現時点での数字である
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Mattis.jpg国防長官就任の承認を得るため、12日に上院軍事委員会で証言したMattis氏は、「トランプ氏がF-35計画を支えていないわけではない。価格を下げたいのだ」(Trump "has in no way shown a lack of support for the program. He just wants the best bang for the buck)と発言しており、FA-18改良版に乗り換える選択肢は無いのでしょうが、引き続き「亡国のF-35」であることに変わりありません

そんな中途半端な状態でも、F-35開発試験と製造の同時進行は「淡々と」行われており、11日には製造200機目の機体が訓練基地であるLuke空軍基地に到着したとの報道がありました。
なんと200機目は、航空自衛隊用の2番機らしいです・・・手戻り満載の機体です・・・ご愁傷様です。

海兵隊F-35の火災原因は
試験と訓練を急ぐあまり安全を犠牲にした結果・・
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-22-1
空軍機火災はエンジンではないと強調http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-09

最初のトランプ記者会見とF-35http://www.defensenews.com/articles/trump-again-hints-at-f-35-f-18-competition

試験評価局レポート現物
http://www.dote.osd.mil/pub/reports/FY2016/

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Work国防副長官は当面居残り [米国防省高官]

居残る自身と国防省職員への言葉(映画ベンハーより)
「Row well and live:しっかり漕いで生き延びよ」

work ben har2.jpg13日、Work国防副長官の送別式がペンタゴン内のホールで行われましたが、その場で副長官自身から「私の後任者が議会で承認されるまで、引き継ぎのためにしばらく副長官として居残る」と明らかにし、念押しで再度「後任の副長官が議会で承認されるまでだ」と強調したようです

しかし依然として、複雑な世界情勢と大変な国防省マネイジメント業務を踏まえ、Mattis国防長官を支える副長官にWork氏が留任するのではとの噂が絶えないことも事実のようです

work farewell.jpgいずれにしてもこれにより、当面の間、国防長官、副長官そして統合参謀本部議長の3トップが、史上初めて全て「海兵隊出身者」で占められることになります。
米軍の士官の1/5以下しか存在しない米海兵隊の士官が、3トップを「暫定的」にでも占める理由と、空軍出身者が長期に亘り統合参謀本部議長にもなっていない理由は、また別の機会に吟味する必要がありましょう

式典にはカーター国防長官とSelva統合参謀副議長が参加し、それぞれの立場でWork副長官の大なる功績を讃え、そして国防省として文民職員への最高勲章である「Defense Distinguished Public Award」が授与されています

本日は、和やかそうな雰囲気が伝わってくる式典の様子を、各種報道から「つまみ食い」でご紹介します

最初にSelva統合参謀副議長は
Selva-CSIS.jpg●海兵隊の一兵卒から士官となった父の後を継ぎ、27年間海兵隊の士官として、砲兵士官から「Camp Fujiの基地司令官」、更に海軍長官補佐官まで務めた経歴を持ち、その後7年間国防省(海軍省を含む)で公務を務めた
●最初に当時中佐だったWork氏にあったのは、Johns Hopkins大学セミナー討議の時間だった。テーブルを挟んで向かい側に座るWork氏を、「こいつは特別だ」と感じた

国防副長官として、また海軍次官として、政府外に対しては助言者や相談役として、政府内に対しては分析家や考察者として、その才能を遺憾なく発揮した。Work氏の特別な才能として、問題が生じた時に、問題を分解して担当関係者がそれぞれの所掌として理解できるようにして検討させるところが素晴らしかった
●またホワイトハウスや国防省特別会議室での数多くの会議で、新たな難しい問題が明らかになると、いつも最初に「Work副長官はどこにいる」と皆が彼の意見を聞きたがった

次にカーター国防長官は
FOF.jpg私も「Where’s Bob?」との声が上がるのを経験した者である。国防長官として表現すれば、Work副長官以上のパートナーを探すことは不可能だと思う
●Work氏は副長官の議会承認を受ける際の証言で、「人間として可能な限り、全ての仕事日を我が国が直面する安全保障問題に費やすことを誓う」と語ったが、その言葉以上の働きだった

副長官経験者の私から見ても、副長官の仕事は最も挑戦的であるが、同時に最も目立たない見えにくい役割である。
●しかしWork氏は、国防の重要性を真に理解しているワシントンDC在住の数少ない人材として、現在だけでなく将来にも亘り、全ての政府機関と協力しながら、戦略的な環境が変化しても、政権が変化しても、国民のために全ての軍事紛争の全てのドメインに於いて、陸海空だけでなく宇宙やサイバー空間においても、我が国防が優れていることを国民に証明し続けることが必要不可欠だと理解している人物である

●またWork氏を語るとき、その映画狂としての側面に触れざるをえない。彼自身も認めるであろうが、彼に近づく全ての者は、彼しか覚えていないようなトムクルーズの台詞の引用を聞くことになったし、彼をスターウォーズ博士と呼んでも皆さん不思議だとは思わないだろう

Work副長官は謝辞を述べ
work farewell2.jpgこの式典会場の全ての皆さんに感謝を述べたい。皆さん全員が、私の記憶に残っており、私の仕事を助けてくれた。
私が心から愛して止まない国防の仕事で、このように表彰して頂ける事に恐縮している。この部屋の皆さんだけでなく、ここのおられない多くの皆さんのご協力ご支援に感謝する

国防省に勤務する皆さんほど、愛国心に満ち、任務優先で、私心なく、丁寧で勇敢な人の集まりはない
如何にばかげた事が起ころうと、如何に苛立つ状況に至ろうとも、皆さんには国防省という巨大で優れた組織がそこにアリ、皆さんに仕事を与え、励まし、そして時にはケツを叩いて皆さんを駆り立てる人がそこにいるのである

●仕事上、国内外を訪れる機会が無数にあったが、その際の私の様子を例えるなら、映画「ジュラシックパーク」の中で、ティラノザウルスに餌として供される「やぎ」の様であった(笑い)
●私を支えてくれた5名の次官と監察官と評価局長は、貧しい農民を盗賊から守るため、薄給で命をかけた映画「荒野の七人」の用心棒のようであった(笑い)

各軍種の参謀総長の皆さんは、映画「Guardians of the Galaxy」に出てくるスーパーヒーローのようであったし、11個の地域コマンドや機能コマンド司令官は、映画「Ocean’s Eleven」のDanny Oceanや出演者を思い起こさせた(笑い)
●そして新政権の元で今後も国防省で勤務する皆さんには、映画「ベンハー」の中で、艦隊司令官が船を漕ぐ奴隷達に向けて語った言葉をアドバイス送りたい。それは「Row well and live:しっかり漕いで生き延びよ」である(爆笑)
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work-ben har.jpg映画「ベンハー」からの引用は、慈悲深い艦隊司令官が、悲運の奴隷の中でも優れていた主人公(ベンハー)に精一杯の激励の言葉をかけた場面の台詞で、決して上から目線の冷たい言葉ではありません

その艦隊司令官は、後の海戦で活躍した主人公(ベンハー)を側近として取り立てた、活躍の場を与えて名誉回復させた人物です。

式典に参加した「新政権の元での荒波にこぎ出す奴隷」の皆さんには、Work副長官のしばし留任発表は、「慈悲深い艦隊司令官」の登場のように聞こえたかも知れません・・・

そのまま留任してくれれば良いのに・・・とまんぐーすは思います。

なお、1959年に制作されアカデミー賞にて11部門を獲得。いまだ名作と名高い映画『ベン・ ハー』が57年ぶりに最新技術を使用してリメイクされ、今年日本でも公開される予定です
予告編は→http://www.cinemacafe.net/article/2016/05/19/40556.html

Work副長官の活躍関連
「次の副長官を考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10
「中露を抑止するには」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-05
「次期政権と相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

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2月に最新型E-2早期警戒機が岩国へ展開 [Joint・統合参謀本部]

E-2D 7.jpg5日、在日米海軍が、空母艦載早期警戒機E-2の最新型「E-2D」を、2月に米海兵隊岩国基地に展開すると発表した模様です。
機数や期間は明確ではないようですが、最新の米軍装備をアジア太平洋地域に派遣するとの「アジア太平洋リバランス政策」のキャッチフレーズに沿った動きです。

この「E-2D」は、ステルス機の探知・追尾にも有効とされるUHF帯周波数の特性を、高度なデジタル処理で活用する事に成功した「A/N-APY9レーダー」を搭載するだけでなく、米海軍が対中国を意識して進める「NIFC-CA」構想におけるネットワーク連携のバブや「digital quarterbacks:デジタル指令塔」とも呼ばれる、極めて重要な装備です

E-2D-2.jpg日本は12機のE-2Cを保有していますが、追加でこの「E-2D」を「4機」を導入する決定をしており、また中谷前防衛大臣が「NIFC-CA構想をしっかり検討して参りたい」的な発言をしており、ガッツリ米海軍の航空作戦構想に引き寄せられた雰囲気が漂っています。

今回派遣されてくる米海軍「E-2D」が、どのような活動をするのか現時点では不明ですが、「おっとり感」漂う装備品ながら重要度は際立っていますので、今後の動向に注目したいと思います

5日付Defense-Tech記事によれば
岩国基地に派遣されるE-2Dは、E-2Dを米海軍で最初に装備したNorfolk所属の「VAW-125飛行隊」から展開する
●現在Norfolkには、E-2Cを装備する「VAW-115飛行隊」が配属されているが、将来的に「VAW-125飛行隊」の体制が整えば、「115飛行隊」は加州のPoint Mugu航空基地に移動する
●在日米軍の米軍は「リバランス政策」を受け、例えば最新のP-8対潜哨戒機も受け入れている

E-2Dの「NIFC-CA」における役割
「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
Navy-Air-War2.jpg●米海軍が取り組むNIFC-CA構想は、海軍艦艇の捜索レーダーが探知できない遠方目標情報を、F-35等のステルス機のセンサー情報やE-2D早期警戒機の情報を活用してデータリンクで入手し、艦艇や他の攻撃アセットで対処しようとするもの
●ここでのポイントは、NIFC-CAに加わる各種アセット(イージス艦、空母、E-2D、EA-18G、FA-18、F-35、MQ-4、P-8、空母艦載無人機、潜水艦? 更に空軍アセットも)をリンクで結び、単なる目標情報の「kill chain」ではなく、「kill web」として迅速に共有し、対処範囲を大きく拡大して遠方から中国のA2AD網に対抗する点。

●なおNIFC-CAでは、海軍F-35は主に最前線センサーの役割を担い、兵器発射はEA-18G電子戦攻撃等に守られたFA-18が主担当になっており、「kill web」情報のハブ役をE-2Dが果たすことに。
●そして空母を守りながら攻撃も担うイージス艦は、この「kill web」情報によりレーダー見通し外の目標に対し、SM-6(BMDと防空と対艦攻撃の両用)や巡航ミサイルを発射することに

●また最近ではハリス太平洋軍司令官などが、「マルチドメイン」との発想から、地上配備の多連装ロケットや地対艦ミサイルを南シナ海の沿岸に配備し、中国艦艇に睨みをきかせる構想の推進を米陸軍に訴えており、これら地上装備も「NIFC-CA構想」の一翼を担う形になる模様。

E-2Dの特徴
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
E-2D 4.jpg●Lockheed Martin社がE-2D用に開発したAPY-9レーダーは、UHF周波数帯(300MHz – 1 or 3GHz)を使用する世界初のアクティブ・フェイズド・アレイレーダー(AESA)。
中国やロシア製を含む戦闘機サイズのステルス機は、戦闘機搭載レーダーや地上配備の捜索レーダー周波数であるKa, Ku, X, CやSバンド周波数に対するステルス性を最適化している。

●これらの周波数より波長が長い(0.1~1m)UHFやVHF帯レーダーは、理論的に戦闘機サイズのステルス機を探知できる。
一方で、より波長の長いUHFやVHF帯レーダーは分解能が悪く、正確な位置把握や迎撃ミサイルを誘導する精度が得られなかった

●しかしE-2CのAPS-145レーダーが機械式走査1chのみであったのに対し、APY-9では機械式&電子式走査18chを備え、更に高度なデジタル情報処理技術を導入してUHF帯レーダーの弱点を克服したようである。
E-2D 5.jpgAPY-9レーダーは3つのモード、つまり全周を10秒間で捜索するモード、機械的回転で全周を捜索しつつ電子的に特定領域の探知を強化するモード、機械的回転を止めて特定方向だけにビームを指向しして捜索を強化するモードがある
●海軍航空部隊や製造企業関係者は、APY-9の開発は現APS-145レーダーからの「2世代進歩」を意味すると表現している
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当分は、F-35の海外初展開との観点で岩国基地は話題になるでしょうが、この「E-2D」にも要注目です。

どのような訓練を行うのか等、細部は公表されないでしょうが、アンテナを張っておきましょう!!!

E-2D関連の記事
「対中国の要:E-2D運用態勢に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-20
「E-2D大人買いで単価削減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-02-1
「E-2Dはステルス機探知可能!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

米海軍NIFC-CAと関連装備
「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05

「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23

「日本&韓国とBaseline 9契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-28
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11

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米空軍が兵器システムのサイバー対策室設置 [サイバーと宇宙]

CyberPolicy2.jpg4日付米空軍web記事が、昨年12月21日に米空軍ハンスコム基地に、兵器システムの調達、配備、訓練、作戦運用、維持の全般にわたるサイバー対処(抗たん性強化)を司る組織を立ち上げたと紹介しています。

初期運用体制が確立されたのはCROWS(Cyber Resiliency Office for Weapons Systems:兵器システムサイバー抗たん性室)で、今後、全ての米空軍関連組織から人材を集めて業務を本格化させるようです。

これまでも何回か取り上げましたが、サイバー対処のイメージとして情報システムやネットワークが思い浮かびますが、個々の兵器がそれぞれ集積回路やICチップを搭載してプログラムにより稼動している現状から、各兵器ごとの対策の必要性が急速に問題として浮上しています

特に、未だ多くが最前線で使用されている20世紀に設計製造された兵器群は、サイバー戦の脅威を想定せずに出来上がっており、被害防止や対策が極めて難しい状態にあると言われています。
今回のCROWS設立は対策の第一歩に過ぎないのでしょうし、事柄の性質上、規模や組織や業務内容の細部は不明ですが、とりあえずご紹介し、その重要性を確認したいと思います

4日付米空軍web記事によれば
cyber01.jpg●CROWSの役割は、サイバー戦を仕掛けてくる敵に対し、米空軍全ての兵器システムが有効性を維持することである
●同室の長であるDennis Miller氏は、「サイバー脅威はネットワークへの侵入やウイルス感染だけではなく、個々の兵器システムへの影響であり、我の任務達成にとって今そこにある危機といえる」と語っている

各兵器システムは個々に異なり、従来の情報システムに対するサイバー対策をそのままでは活用が難しく、有効で効果的なサイバー対策にするためには、それぞれに応じて対策を仕立てる必要がある
●同室長は、兵器システムの調達、配備、訓練、作戦運用、維持の全般にわたるサイバー対処を米空軍全体で連携して行い、また米空軍全体のサイバー対処枠組みである「CCP:Air Force Cyber Campaign Plan」の戦略的焦点を合わせる必要も語った

●米空軍省のDaniel Holtzmanサイバー技術課長は、個々の兵器の開発、調達、作戦計画と実行、維持訓練を含めた複雑な組み合わせの全ての段階で、サイバー脅威を意識した取り組みが必要だと語っている
●そして更に、外部要因である環境や敵の戦術が組み合わさって複雑さを増幅し、相互作用することによって、リスク削減の取り組みに恐ろしいレベルの総合的な対処を求めている

cyber1-82e9c.jpg●CROWSが取り組み始めている仕事には、各兵器計画の管理と進捗監視で、「リスク分析」「システム設計へのサイバー対処組込」「適応性と機敏性の推進」「人材の育成」「費用対効果の追及」「サイバー情報と対処部署の連携」などである
●CROWSの上級組織として、米空軍省のJeff Stanley調達担当次官補代理が責任者を務める「Cyber Resiliency Steering Group」が既に設けられており、戦略レベルの指針と米空軍全体の取り組み融合を図ることになっている
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Work副長官は米軍の今の規模を維持するのに、老朽装備品の更新や先送りしている維持整備費の確保等だけで年間約10兆円の予算増が必要だと現状を語りつつ、それを犠牲にしても最優先で確保したいのがサイバー強靭性向上のための年2兆円の予算だと語っていました

cyberwar2.jpg様々にサイバー攻撃への対処の必要性を取り上げて来ましたが、戦闘機命派には全く伝わっていないようで、パイロット以外の誰かがやるだろうと「全く眼中に無い」状態だと風邪の噂で聞き及びました

新年早々、ため息の出る話ですが、ことしもチマチマと外野から危機感を訴えたいと思います

「装備品のサイバー脆弱性に対処」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

サイバー関連の記事
「米軍サイバー機関の問題や対策を議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14
「自ら創造したサイバー空間に苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「サイバー脅威の変化と対処を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-21

「対ISサイバー作戦で大きな教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-23
「日本とイスラエルが覚書へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21
「成果Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1

「組織の枠を超えた情報共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-07
中国には君らも脆弱だと言っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-23

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海軍長官候補にアジア金融業経験者か!? [米国防省高官]

Bilden.jpg13日付米海軍協会web記事が、次の米海軍長官候補として、これまで有力と言われてきたRandy Forbes元下院議員を差し置いて、ほとんど無名の元陸軍情報士官で、15年以上香港で証券業を営んだ経験を持ち、海軍大学や海軍士官学校の評議委員を務め、海軍研究所の支援者である推定53歳のPhilip Bilden氏が有力だと報じています

先日は、陸軍長官に陸軍士官学校卒業ながら証券会社で大金持ちになったアイスホッケーオーナー(Vincent Viola氏)が推薦されるとご紹介しましたが、海軍長官にも米海軍に理解があり、かつビジネス感覚がある人物の名前が挙がるようになりました

現時点では下院の軍事小委員会委員長を務めていたRandy Forbes氏も有力なようですが、米海軍OBからの支持もあり、息子2人を海軍士官学校に入れたPhilip Bilden氏が急速に注目を集めているようです

13日付米海軍協会web記事によれば
Bilden2.jpg●Philip Bilden氏は現在Rhode Islandに住み、1986年にGeorgetown大学をROTC制度で卒業し、その後陸軍情報士官として4年間勤務した経験を持つ。
●その後、ハーバードでMBAを取得し、1991年にボストンの証券金融企業HarbourVest(private equity firm)に入社。1996年に香港でアジア支店立ち上げるため赴任し、3年前に帰国するまで現地責任者として活躍する

息子の一人は海軍士官学校を卒業しており、別の息子は士官学校に在学中である。
●NATO最高司令官で退役したStavridis元海軍大将は13日、Bilden氏は海軍の専門家であるだけでなくアジア地域の有識者で、特に中国事情に詳しいと語り、また秀でた企業家で効率性追求に優れ、同時に知る限りで最も誠実で聡明な人物だとBilden氏を推薦している

●更にStavridis元海軍大将は、Bilden氏はあまり知られていないが米軍との関係が深く、「海軍士官学校の評議委員として運営に深く関与しており、海軍大学にも評議委員として関与している。海軍研究所の強力な支援者でもある」と紹介した
●同退役大将はBilden氏を、クリントン政権時に活躍した弁護士で企業家出身だったRichard Danzig海軍長官のように活躍するだろうと語り、「ワシントンDCの人間でなく、これまでの政治に関与していない点で、トランプ政権に相応しい改革精神に富んだ海軍長官になるだろう」と同士を推薦している
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Bilden3.jpg陸軍長官候補のVincent Viola氏のときと同じ感想ですが、米国にはいろんな人材がいるんだなぁ・・・米軍を支援する裾野が広いんだなぁ・・・としみじみ思います。

近日中に「Randy Forbes氏」か「Philip Bilden氏」かは明白になるでしょうが、Philip Bilden氏のような人物も有力候補者であったことをご紹介したく取り上げました

陸軍長官候補は士官学校卒のお金持ち金融企業家
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-20
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ちなみに・・・
中国海軍トップも交代へ!?
http://www.defensenews.com/articles/source-chinese-navy-has-new-commander
13日付Defense-Newsによれば、中国海軍トップが交代するとか・・・
Navy-top.jpg●香港の中国語紙「daily Ming Pao」によれば、2006年から10年以上中国海軍司令官を務めた「Wu Shengli大将(71歳)」が退役し、南海艦隊司令官の「Shen Jinlong中将」が海軍トップに就任する方向だと報じた
●Jinlong中将は2014年RIMPACで中国艦隊指揮官の経験があり西側では旧知の人物。南シナ海を担当している経験を重視か

●これまでは、中国海軍副司令官の「Wang Hai大将」が司令官に繰り上がると考えられていたので、香港紙はこのニュースをサプライズだと報じている
●ちなみに、71歳のWu Shengli大将は、秋に正式に退役するまで、中央軍事委員会のメンバーであり続ける模様

●このほかに同紙は、北方艦隊司令官の「Yuan Yubai大将」が南方軍管区司令官に就任すると報じている
●また、海軍の武装コマンド副司令官の「Wei Gang」は東方艦隊司令官へ、東方艦隊司令官の「Su Zhiqian」が海軍副司令官に就任すると報じている
●更に、南方軍管区の副参謀長である「Zhang Wendan」は、北方艦隊司令官に配置される

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イスラエル目線で2017年の中東を [安全保障全般]

Netaniaf.jpg元旦付Defense-Newsが、恐らく1日に行われたイスラエル国防省(又は国防情報部)関係者による記者団に対する「2017年予想見積もり」ブリーフィングの様子を紹介しています。

「A senior defense official」が語ったと言うことで表現が微妙ですが、全般にイスラエルが戦争に巻き込まれる可能性は低いと「cautiously optimistic」に見積もりながら、今日の中東では、双方が相互に「戦争したくない」と考えている時に地域の力学で緊張がエスカレートしがちだと警戒しています

イスラエルの脅威分析ではお馴染みの、北のレバノンのヒズボラ、ガザ地区のハマス、西岸のパレスチナ自治政府PA、そしてシリアやイランが順次分析に現れますが、ロシアにも言及しているところが興味深いです

最近中東専門家の間では、対ISILやソマリアやリビア等で中東が混乱し、イスラエルから世界の目が離れている間隙に、西岸地区での入植地拡大をイスラエルが急速に図っているとして厳しい非難の声が挙がっていますが、当然一切触れていません

馴染みのない方にはご興味のない話でしょうが、中東を無視は出来ませんので、勉強のため取り上げます

元旦付Defense-News記事によれば
Nasrallah.jpg●イスラエルの不安定を招く可能性の一番高いのは西岸地区のPAとガザ地区のハマスであり、これには引き続き警戒の手を緩めるわけには行かない
イスラエルと接する一番強力な戦力を持つのはヒズボラであるが、緊張のエスカレーションに陥らない限りは、直接対峙の可能性は低い

●戦乱で疲弊したシリアに関しては、ロシア等がそのプレゼンスを後退させた時に、イランやヒズボラがどのような動きに出るかに関し、不安は尽きない。シリアのアサド大統領に対しては有利な位置にあるが、イランとヒズボラの伸張を懸念しており、現在の混乱の着地点として恐れる方向
ヒズボラの構成員は約8000人と見積もっているが、2011年以降、既に1700名が戦死し、数千名の負傷者が出ている。それでもヒズボラはイスラエルとの戦いに備えて武装努力を継続しており、イスラエルの攻撃に備えている

Khamenei.jpgヒズボラ指導者のNasrallahは毎週のようにイスラエル征服を訴えるような人物であり、イスラエルは悠長に構えていられない
●イランに支援されたヒズボラからは目を離せない。特にヒズボラが航空機攻撃用の対空火器は、将来ロシアに対して使用される可能性もあり、機会があればプーチン大統領に助言したい。中東の安定と中東でのロシア国益を確保したいならば、ヒズボラから目を離すなと

●イランに関しては、P5と独がロシアと合意した核包括合意が、イランからの核脅威を当面の間は取り除いたが、イランのシリアやレバノンやガザや西岸のテロ組織に対する行動は、イスラエルに対する耐えることのない脅威の源泉である
●(トランプ大統領や米国の共和党政権誕生により、核包括合意が破棄されたり再交渉となる可能性に関する質問に対し、)イランがテロの源泉であり、弾道ミサイルを活発に開発しており、国際社会は「あめとむち」で対処しなければならないが、この合意は安定を改善する機会であり、この機会を逃すべきではない

Rouhani.jpgイランは5月に大統領選を迎え、イランは不安定の年を迎える。ロウハニ大統領は内政問題を訴えるだろうが、ハメネイ最高指導者や革命防衛軍は「革命の輸出」を主張するだろう。
昨年6月の議会選挙では現大統領側が有利に戦ったが、依然として最高指導者側はシステム全体のコントロールを握っている。一方で最高指導者側も国民への圧力作用の限界を知っている
/////////////////////////////////////////////////////

イスラエルが得意の「プロパガンダ」と見るのも結構ですが、イスラエルがイランとの核合意を一定評価している点が興味深いです。あれだけ核合意に反対していたのに・・・。トランプ氏に中東をかき回されてはたまらない・・・との思いが先行しているのでしょうか・・・。

いずれにしても、相変わらず激動であろう2017年を見る視点の一つとしてご活用下さい

イスラエル関連の記事
「国際消火飛行隊を提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-29
「イスラエル後に湾岸へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17
「日本とイスラエルが覚書へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21

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