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B-21 Raider次期爆撃機の状況 [米空軍]

B-21.jpg2015年末に機種選定結果が発表され、その後敗者からの不服申し立ても2016年2月末に却下され、Northrop Grumman社が担当することで決着した米空軍の次期爆撃機「B-21 Raider」に関し、13日の週に久々の動きがあったようですのでご紹介します

2020年代半ばに運用開始予定、強固な防空網を突破可能な性能、1機約600億円($550million)、80-100機製造、無人機もあり得る(正式にはoptionaly manned)、既存成熟技術を活用して開発リスクを避ける等々の方針で進められるLRS-B計画のB-21ですが、機種選定後は秘密のベールに包まれています

依然として基礎的な「PDR:preliminary design review」段階のようですが、F-35やKC-46Aと並ぶ3大重要事業ですので、忘れない程度にフォローしておきます

「80-100機製造」からの上振れ変更
LRS-B NG.jpg● Wilson米空軍副参謀総長が下院軍事委員会に提出した証言文書によれば、機種選定段階では「80-100機製造」と言われていたが、米空軍としては「最低100機」を要求することが現在のスタンスであると明確にしている
米空軍報道官も同文書の要求機数を米空軍のスタンスだと追認し、同爆撃機の要求元である米空軍「Global Strike Command」の要求に基づき、2016年春ころに空軍として要求機数の正式な変更を決定したと語った

●昨年7月、同コマンド司令官のRobin Rand大将が講演で、「最低限100機で1機たりとも欠けることは許容できない。軍事的観点からの譲れない要求数だ」、「地域戦闘コマンド司令官からの要求や現在の任務状況から見ても、現在保有する爆撃機数より少ない機数で、任務を遂行することなど不可能だ」と語っていた
●米空軍報道官も「100機との要求数は、天井ではなく、最低限の機数である」と表現している

2回目のPDRを3日間で実施
Bunch4.jpg●16日、国防省の調達部門で米空軍制服組のトップであるArnold Bunch Jr中将は講演で、B-21計画における2回目の「PDR:preliminary design review」を3日間かけて実施し、国防省と米空軍関係者、すべての関連企業が現状と今後の予定を確認し、細部設計に入るシグナルが発せられたと表現した
●同中将はまた、「計画が再び勢いを得た」、「全てが準備完了であることを確認した」、「基礎的レベルでの全ての参入企業の融合検証が完了した」とも表現した

●Bunch中将は「米空軍はすべての関係企業の進捗具合を詳細にモニターし、期限に間に合うか注視している」と述べ、次の節目は「CDR:critical design review」だと語ったが、その時期については言及しなかった
●同中将はB-2爆撃機計画を振り返り、「もっと透明性を確保すべきであった」と述べ、議会や国民に対し、いきなり完成機の驚くような価格を披露するようなことは避けるべきだ語った。

●そして、全ての手段を活用し、どのように情報を明らかにするかを情報機関や企業や国防省等みんなで慎重に見極めて行くことが重要だと表現した。
●一方でB-21に関しては、「これまで我々は相当オープンに情報を公開してきた。したがって今後は当面の間、詳細を公表する予定はない」と付け加えた
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次期爆撃機LRS-B計画では、ず・・・・・っと「Optionaly Manned」と要求性能が語られ、文字通り読めば「有人機もオプションとして検討する」との意味なのですが、約1年前に機種選定が終結したころからは、「当面、無人機は考えない」と米空軍高官が発言するまでに「無人機オプション」は後退しています

機種選定に入る前には、統合参謀本部で装備品要求を取りまとめる副議長(海兵隊大将)が、「誰一人として、私に爆撃機が有人である必要性を教えてくれない」、「核任務に有人型が必要だと言うなら、ICBMに有人型があるのか?」と記者会見で憤慨していました。

「次期爆撃機に有人型は不要」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-16-1 

3-Bomber.jpgそれでもほふく前進するように、「Optionaly Manned」から「当面、無人機は考えない」まで持ち込むのですから、世界の空軍操縦者に共通する「職域防衛根性」は大したもんです

爆撃機の操縦者ですらこの有様ですから、戦闘機パイロットはもっとすごいですよ。日本でも、軍事環境の変化も無視して、飛行隊数と戦闘機機数だけを死守することを目的にしている戦闘機パイロットが権力を握っていますから・・・

LRS-B関連の記事
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27
「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07

「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28
「意図的リーク?LRS-B概要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-07
「次期爆撃機に有人型は不要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-16-1

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なぜイスラエルArrowがシリアSAMを迎撃したのか [ふと考えること]

なぜ、弾道ミサイル対処用のイスラエル軍Arrowシステムが、シリア軍の地対空ミサイル(SA-5)を迎撃することになったのか?
弾道ミサイル防衛の難しさを考える事例に!

Arrow 2 Israel2.jpg19日付記事「情勢緊迫:シリア軍がイスラエル軍機をミサイル迎撃」でご紹介したように、17日早朝、イスラエル軍機がシリア領内に攻撃を加えた後にイスラエルに帰投する際、シリア軍が地対空ミサイルで要撃する事案が発生しました

両国から様々な主張が為されており、真偽のほどは不明ですが、イスラエル軍機はヒズボラに物資を輸送する車列を攻撃し、シリア軍は地対空ミサイルSA-5で迎撃、シリアは1機撃墜主張もイスラエルは被害無しと発表しています。

更にイスラエル軍機の要撃に失敗したSA-5を、イスラエルはBMDシステムArrowで要撃し、1発を仕留めたとイスラエル軍は発表しています。またこれに併せ、イスラエル国内ではエルサレム周辺で空襲警報サイレンが鳴らされ、ヨルダン北部のイスラエル国境付近で落下したArrowの部品が回収されています

SA-5  SAM2.jpgおまけとして、本事案の発表に伴い、イスラエルはこれまで「肯定も否定もしていなかった」シリア領内への空爆作戦実施に初めて言及することとなりました。最近数ヶ月の間にも、数回の攻撃が為されていたようですが、この「公表」面でも波及的影響がありそうです

なおSA-5は、1960年代後半から初期型が配備されており、A型からD型まであるが、シリア配備がどの型であるかは不明。最大射程は200~400kmと言われており、この射程距離の長さから現在も多く使用されている模様

以下では、湾岸戦争後初めてではないかと思われるBMDシステムの実戦使用に関し、冒頭の疑問へのイスラエル側の見解を紹介し、あらためて弾道ミサイル防衛の難しさを考えます。

20日付Defense-News記事によれば
Israel Lebanon.jpg20日、イスラエル空軍高官がArrowミサイルによるシリア軍SA-5迎撃について記者団に語った。そして同高官は、17日のArrow発射が、イスラエルと米国共同開発の同システムにとって、初実戦発射だったと認めた
●別のイスラエル軍幹部は、イスラエル空軍F-15が攻撃終了後に帰還する際、シリア軍は南西の方向に向けてSA-5を発射し、それがイスラエル領内に落下する恐れがあったと説明している

●最初の軍高官は、シリア軍がイスラエル軍機に発射したSA-5が、「弾道飛翔コース、高度、飛翔距離から判断して、Arrow2システムが対象脅威と想定して設計されたスカッドミサイルの様な飛翔だった」と語った
●そして「実際にはスカッドではなかったが、弾道ミサイルの様な飛翔をしたならば、それが最終的に何であろうと、我々には関係がない。数百キログラムの弾頭を搭載したミサイルのような飛翔を探知したなら、国民や都市への脅威として見逃せない」と説明した

元イスラエル首相で国防相でもあったバラック氏は、イスラエルによるシリア領内への攻撃の「あいまい政策」を維持するためにも、Arrowを発射すべきではなかったと(メディアで)非難しているが、同空軍高官は、迫り来る弾道ミサイルらしき脅威に対し、イスラエル防空部隊が対処をためらうことはなく、17日はその典型的なケースだと反論している
SA-5  SAM.jpg通常SA-5は目標に命中しなければ、推進ロケット燃焼終了の数秒後、自爆する設計になっているが、何らかの理由で自爆せず、スカッドのような飛翔をしたのではないかと、元イスラエルBMD局長のUzi Rubin氏は見ており、または古いタイプのSA-5で、自爆機構を搭載していなかった可能性もあると語っている
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その他、Arrowシステムにはスカッド等弾道ミサイルのデータが蓄積されており、そのシステムが脅威を判断したのであれば、要撃ミサイルを発射するのが自然だ等の説明がイスラエル軍からなされています。

おそらくイスラエル軍内部には、表に出ない事象や経緯、反省事項がいくつもあるのでしょうが、我々が学ぶとすれば、弾道ミサイル対処とはこれほど困難で混乱に満ちた作戦だということでしょう。

Arrow 2 Israel.jpgいま北朝鮮の核やミサイル対処を巡り、いろんな議論があるようですが、テレビ局の方によると、この話題になると視聴率が急降下するようです。

金正男の暗殺事件やその手口の話題は「数字」につながっても、核やミサイルは茶の間で受けないようです。こういうのをオストリッチ症候群(ダチョウが穴に顔を突っ込んで現実から目を背けることへの例え)と言うのでしょうか・・・

「情勢緊迫:シリア軍がイスラエル軍機をミサイル迎撃」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-18

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米空軍が検討:F-15C引退でF-16が穴埋め案 [米空軍]

米国の脅しか? さぁ日本の戦闘機命派はどうする?

Rice ANG2.jpgWest.jpg22日、米下院軍事委員会の即応態勢小委員会で、米空軍幹部が予算不足克服のための資源有効活用策として、制空戦闘機F-15CとDを退役させ、改修したF-16に任務を代替させる案を検討していると明らかにしました。

あくまでも検討段階で決定事項ではなく、その計画が実行されたとしても、F-15C等の退役が始まるのは早くて2020年度以降との検討案らしいですが、A-10退役案を議会に潰された米空軍は、経費捻出のため様々な検討を行っているようです

驚いた議員が、F-16で代替できるのか? 機数や能力不十分じゃないか?と質問しているのは当然として、パイロット不足が深刻な中で操縦者のやりくり等々に一杯疑問があるのですが、米空軍幹部は「Overall, we will be OK」との直感的回答をしています

日本でも米国でも、戦闘機必要数の算定基準など、極めて恣意的で後付け理論なんだなぁ・・・としみじみ感じた記事でもアリ、米空軍F-15Cの兄弟分F-15Jを航空自衛隊が使用している関係もあり、とりあえず報道をご紹介します

22日付AirforceTimes電子版によれば
Rice ANG.jpg●22日の同小委員会で、Joe Wilson委員長の質問に答え、州空軍のScott Rice中将は、計236機の制空戦闘機F-15CとDを経費削減のため退役させ、F-16にその任務を負わせる検討を行っていると回答した
●同委員会の委員であるMartha McSally議員が、本検討について米空軍の作戦副部長であるScott West少将に確認したところ、同少将は何も公式に決定されていないと説明しつつも検討自体は認め、更にF-15Eストライクイーグルは検討対象外だと述べた

(まんぐーす注:2016年度当初現在で、F-15C型とD型(C型の複座型)の保有機数は、正規軍97機と州軍171機の計268機であり、Rice中将の述べた236機は正規軍と州兵双方のF-15の大半を指しているモノと推測。ちなみにF-16戦闘機は、正規軍570機と州軍335機と予備役56機の計961機である)

●またRice中将は、F-15の穴埋めをするF-16にはレーダー改修を行う事になると説明したが、本計画全体の実施可否については2017年中に結論は出ないとも述べ、F-15の退役は早くても2020年からになると語った

●Wilson委員長は、F-15の空対空ミサイル搭載量が8発に対し、F-16が6発である事、また機関砲は共にM-61A1だが、弾薬数が940発と500発など、F-15と16は能力が異なる航空機であり、制空能力が落ちるのではないかと問いただした。
●これに対しRice中将は対応可能だと答え、「如何なる戦力構成の変更にもリスクは伴うが、穴埋めをするF-16には能力付加を行うことから、即応態勢や能力に変化はあるものの、全般的に見ればwe will be OKだ」と述べた

West2.jpg●McSally議員は納得せず、F-16は有能な「10種競技の選手」だが、レーダーの能力向上を行っても空対空能力はF-15には及ばないし、戦闘機パイロット不足が問題視される中、F-15からF-16への機首転換訓練による空白時間等を慎重に考慮して判断する必要があると強い懸念を表明した
West作戦副部長はこの懸念を否定せず、装備の改修等は迅速に行う必要があると発言している

●なお米空軍のAnn Stefanek報道官は小委員会でのやりとりに関し、あくまでも検討中の事だと強調し、米空軍はA-10退役を検討して提案したが、実現しなかった例として挙げた
●そして、米空軍は常に将来態勢を検討しており、具体的に予算要求されるまでは、あらゆる選択肢を検討していると説明し、検討中だからと言って実際に実現するかは別問題だと強調した
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F-15は機体寿命上で、まだまだ使用可能な状態にあります(少なくともちょっと補修するだけで、20年ぐらい機体はOKでしょう)。そんなF-15を米空軍が維持しないとなれば、航空自衛隊や他国のF-15戦闘機の維持に甚大な影響が出ます。多額の部品調達費用や技術支援量を搾取される可能性が高まるからです。そしてF-35を追加で買わされる可能性が高まります

F-15 upgrades.jpgまた日本にも提案されていると報道されている「F-15 2040計画」なる延命改修提案も吹っ飛ぶ関係国揺さぶり効果大の発表でもあります

米空軍がF-15破棄とF-16による代替案を持ち出したのは、機種数を削減して維持運用経費を削減したい思いもあるのでしょうが、同盟国へのF-35追加売り込み作戦の一端ではないかと勘ぐりたくもなります

さぁ・・航空自衛隊の戦闘機命派の皆さん、どうしますか???

F-15の関連記事
「現実的で低価格なF-15能力向上案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15
「米メディア:心神よりF-15改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-16
「F-15全機の電子戦機材換装へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-05

「米空軍がF-15と16の延命検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25
「F-15の寿命を2倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-27
「F-16の延命措置300機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-31-1

米空軍の将来制空アセット検討
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

「悲劇:F-3開発の動きと戦闘機命派への提言」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18

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米陸軍トップ:今後10年で巨大都市戦に備える [Joint・統合参謀本部]

Milley4.jpg21日、将来戦に関するイベントで講演したMark Milley米陸軍参謀総長は、世界の人口動態から人口1千万人以上の「巨大都市:megacity」が急増する予想がある事から、米陸軍も今後10年で根本的な変革をしなければならないと語り、現在の特殊部隊やより小規模な部隊編制を参考に考慮する必要があることや、指揮官の質の向上等に言及しています

この様な問題認識があるとは全く知りませんでしたが、同参謀総長は「fundamental shift」とか「huge implications」とかの表現を使いながら、メガ都市化が陸軍に与える影響の大きさを訴えて「optimize the Army for urban warfare」と語っており、大きな動きとなりそうな気配です

更に、戦車の大きさや重量、ヘリコプターの回転翼の大きさ、部隊規模、武器使用要領、ネットワークの活用などなど、様々な分野で考え方を見直す必要があるとも語っており、相当大規模に検討を進めている雰囲気が伺えます

最近、例えば太平洋軍司令官ハリス海軍大将から、マルチドメインやクロスドメインの考え方に基づき、南シナ海で陸軍砲兵部隊の長射程ミサイルや大砲に期待する旨の発言が出たりしていますが、周りから言われる前に、米陸軍自身が新たなコンセプトを打ち出していく必要性に迫られているのかも知れません。とりあえず陸軍参謀総長のお話をフォローしておきます

21日付Military.com記事によれば
Milley5.jpg●21日、「Future of War Conference 2017」で講演したMilley米陸軍参謀総長は、今後10年間で米陸軍は、現在は準備が不十分な巨大都市における戦いに備え、今の特殊部隊のような将来編制を求められ、戦いの様相も根本的に変化するだろうと語った
世界の人口は着実に都市集中に向かっており、現在は10個程度の人口1千万以上の都市が、今世紀半ばには50以上に増加すると見積もられる

●同参謀総長は、戦争がより政治的になるとすれば、その戦いは人が住む地域で行われるだろうし、それは都市であろうと考えると語り、この傾向は米陸軍に極めて大きな意味を持つと述べた
●また、現在の陸軍が森林や砂漠地域での戦いを想定し、ジャングルや山や都市化地域に不向きに編制されているとの現状認識を示した

Tokyo at Night.jpg米陸軍のリーダー達との議論を踏まえ、米陸軍は都市戦闘に最適化する方向に進むべきで、都市戦に備えると言う事は、都市の道路や建物や床や部屋に適応した戦闘単位に部隊を再設計することを意味するとMilley大将は語った。
●そして「戦車の大きさや重量、ヘリコプターの回転翼の大きさにも影響を及ぼすだろう」、「恐らく現在とは異なる組織編制が必要で、それはより小規模に区分けされたグループ編成」にしてネットワーク化し、海空軍火力との統合戦力発揮を図るべきだとMilley大将は語った

具体的な部隊規模については、たぶん中隊と大隊の間のどこかの規模になるとし、現在の特殊部隊が将来陸軍を考える参考になろうと表現しより小規模な部隊編制を示唆したが、大隊や旅団が無くなるわけではないとも述べた
スマートフォーン等の小型デバイスの使用拡大で、監視から逃れることは困難になっており、生き残りのためにはより小規模な部隊もより広範に分散する必要があり、機動性を高めないで2時間も同地点に止まっていては生き残れないとも同大将は述べている

訓練法やリーダーのあり方も、より複雑で厳しい巨大都市戦においては再考を迫られ、特に一般市民の犠牲者を防ぐことが大きな課題となろうと参謀総長は述べ、「目的に応じた火力の使用法(discriminating fire)をより高度なレベルで修得する必要がある。でないと大量殺戮者になってしまうからだ」と表現した
Milley.jpgリーダーについては、現在の組織編制で配置されているレベルより、より成熟し分別を備えた(more mature, more seasoned)リーダーが部隊の下層レベルでも求められるとし、「通常の米陸軍中隊は大尉が指揮官だが、特殊部隊は少佐である意味を考える必要がある」と述べた

●そして、以上の様な厳しい関係で作戦可能な人材確保が課題だと述べつつ、「大げさに表現するつもりは無く、誰かが不適だと言うつもりも無いが、米陸軍全体がシフトしているのだ。特殊部隊を参考にする面もアリ、現状と異なる部分がある。世界的なパワーとして、米国は多様な能力を兼ね備える必要があるのだ」と述べた
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米陸軍が巨大都市を戦場と想定するならば、当然、統合レベルでも議論があるはずだと思いますが、聞いたことがありません

米空軍は対ISIS等でも友軍相撃や民間人被害を局限することを重視しており、海軍航空部隊も同様だと思いますが、海兵隊も巨大都市戦を検討しているのでしょうか? 
US Army5.jpgそれとも、永遠の課題である陸軍と海兵隊の任務区分のため、陸軍が巨大都市戦を持ち出したのでしょうか?

それと、どの辺りの巨大都市を想定するのかも興味あるところです。人口がそんなに急増するのは、発展途上国の都市のイメージが先行するのですが、アフリカやアジアの大都市に米陸軍兵力を派兵することを想定しているのでしょうか? 

Offshore Balancing的な考え方がベースにあると思っていたのですが、変化があるのでしょうか・・・いろいろと聞いてみたい「巨大都市戦」傾斜でした

「Offshore Balancingの解説」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27

米陸軍とクロスドメイン
「再びハリス司令官が陸軍に南シナ海で活躍期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「ハリス長官がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06

「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14

「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12

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米軍戦略コマンドも21世紀の戦略を探求へ [Joint・統合参謀本部]

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Hyten.jpg8日、下院軍事委員会で証言したHyten米戦略コマンド司令官らは、従来の核抑止を基礎とした戦略抑止概念の根本的な拡大変革が必要だと語り、同コマンドも大学や研究機関と連携した検討協力体制「academic alliance」を立ち上げ取り組んでいると明らかにしました

先日は米空軍参謀総長の2月の発言、「21世紀の抑止についてより幅の広い議論を期待したい。宇宙やサイバードに戦域が拡大し、世界共通の公共財が目標になり得る時代における、抑止のあり方や核抑止の関わり方にまで議論の幅を広げる必要があろう」をご紹介しましたが、これが米軍を挙げての取組であることが伺えます

Hyten司令官がSelva統合参謀本部副議長らとともに証言した本題は、核抑止の基礎である核兵器システム全体の更新や近代化が待ったなしの課題だとの訴えです。

Nuclear Triad.JPGつまり、米軍核戦力の3本柱の老朽化が激しく、爆弾そのもの、運搬プラットフォーム(ICBM、戦略原潜、戦略爆撃機、戦術爆撃機)、監視センサーシステム、指揮統制システム全てを同時に刷新しなければならない、史上初の大変な事業に直面しているとの訴えです

トランプ大統領の核増強発言を受けての説明証言で、米軍幹部の主張はごもっともですが、本日は断片的ながら、「21世紀の戦略抑止」検討開始を告げた発言を重視してご紹介します

10日付米空軍協会web記事によれば
●8日、Hyten米戦略コマンド司令官は下院軍事委員会で証言し、米国は戦略抑止の概念を根本的ンシフトさせる必要があると語った。
●そして「21世紀の戦略抑止は、20世紀生まれの核抑止の概念より遥かに大きいものであるはずだ」と表現した

Hyten2.jpg●更にHyten大将は、「米国は新たな現実を追いかけている状況で、今日の世界の脅威環境に対応する抑止概念を議論している段階だ」と語った
●同司令官はまた、「この課題に対応するため、冷戦時代にそうであったような、アカデミックなしっかりした議論を再び行う必要がある」と呼びかけた。

戦略コマンド自身の取り組みとして同司令官は、「最近、戦略コマンドが音頭を取り、25個の大学やシンクタンクから構成されるAcademic Allianceを立ち上げ、21世紀の戦略抑止に関する国家的な議論の資としたい」と証言した
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2月に空軍参謀総長が述べた「宇宙やサイバードに戦域が拡大し、世界共通の公共財が目標になり得る時代」とは、電気水道、金融、交通などの社会インフラに、甚大な被害を及ぼす攻撃を、身分を隠して実行することが可能になった時代に、核兵器だけで抑止が成立するのか・・・との疑問です。

Wilson3.jpg8日の下院軍事委員会には、米空軍のStephen Wilson副参謀総長も出席し、拡大抑止概念で空軍の守備範囲に当たるであろう分野について、「指揮統制、宇宙、空中給油が含まれるだろう」と述べ、「従来の3本柱(ICBM、SLBM、戦略爆撃機)よりも、はるかに広い概念となる」と語っています

相手が自国民を犠牲にすることをいとわない国ですから、新たな抑止の概念規定は難しい課題です。米国防省や米軍関係者の間には、ぼんやりとした方向性があるのかもしれませんが、技術的にも抑止の効果面でも、「Robust」なものは難しい気がします

21世紀の抑止概念を目指す
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「トランプ政権とNPR(核態勢見直し)」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09
「相殺戦略特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1

「RAND:中国の核兵器戦略に変化の兆し」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-19

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RAND:中国の核兵器戦略に変化の兆し [中国要人・軍事]

RAND Nuclear.jpg17日、RAND研究所が「China's Evolving Nuclear Deterrent:Major Drivers and Issues for the United States」(中国核抑止の変化:変化の主要因と米国の課題)とのレポートを発表し、中国の核兵器戦略に劇的な変化があるわけではないが、様々な環境の変化を受けて変化の兆しがあり、注意と対応が必要だと論じています

エアシーバトルや第3の相殺戦略の影響、トランプ政権のミサイル防衛強化姿勢、中国軍内の力関係の変化、周辺諸国の核兵器動向などが環境の変化要因としてとらえられ、それに対応する変化を見せる中国核戦力の状況が示唆されています

(いつものことながら、)きちんと中身を読んでいないので、レポートが指摘する中国核戦力の具体的な近代化の様子をご紹介できませんが、情勢に基づく変化の方向をそれなりに「なるほど・・・」と思わせる視点もありますので御紹介します

RANDの同レポート関連web記事によれば
Rocket Force2.jpg●中国は、1964年に初の核実験を行って以来、比較的少数の核戦力を「no-first-use政策」の下で保有し、その方針に大きな変化はないが、国内外の諸要因を受け、核戦力の近代化や構築への取り組みを加速しており、その歩調を加速させるだろう
中国は米国への対応を主に考え、その動向を注視して核戦略を検討しており、特に米国のミサイル防衛強化に懸念を持っている。また通常兵器による世界即時攻撃構想(conventional prompt global strike)の開発動向にも懸念を持っている

●また中国は地域周辺国の核兵器開発に伴う、複雑化する核戦力分布や核動態にも懸念を持っている。
特に、中国の専門家の中には、インドが中国との「核の平衡:nuclear parity」を追及するような姿勢を示すことは、中国として受け入れられないと主張している

中国の核政策における主導権にも変化がみられる。これまで政治指導者が強く関与していたが、核研究、開発、製造等に関する意思決定への関与が最近少なくなり、中国軍内で発言力を増してきたロケット軍幹部(旧第2砲兵幹部)の地位が増している
Rocket Force3.jpg●懸念点として今後注意が必要な点として、ロケット軍内で通常兵器と核兵器部隊の垣根(firewall)がなくなってきており、通常兵器部隊の手順や技術が核兵器部隊に応用されている点がある。

●「no-first-use政策」の見直しなどの大幅な政策見直しがある可能性は低いが、政策の定義を環境に合わせて修正する可能性はあり、全体として核抑止や核兵器重視の姿勢は強まる可能性が高い
●これにより、将来、核戦力の「no-first-use政策」の考え方が変化し、敵の通常兵器による攻撃を「first-use」とみなし、核兵器部隊が対処部隊になるかもしれない

米国や中国への提言
米中は戦略抑止に関する対話を閉ざさず、互いを知ることで、抑制的な姿勢が双方に最大の肯定的な影響があることをよく理解すべき
中国の核戦力強化の主要因は、米国のミサイル防衛強化である。米国はミサイル防衛の対象を、ならず者国家からの攻撃対処程度に制限すべきである

Rocket Force4.jpg中国は、通常兵器と核兵器部隊の垣根を明確にし、紛争発生時に相互の部隊の行動が混乱しないようにすべきである
中国は核ミサイルのMIRV(多弾頭搭載型ミサイル)を削減すべき。核兵器削減交渉の経験からすると、MIRVは先制攻撃に脆弱であることから、これを多数保有することは先制攻撃の可能性を高め、紛争の不安定化を招く可能性が高くなる

中国の核戦力が向上するに従い、特に日本や韓国はより具体的な核抑止強化を求めるだろう米軍核兵器のアジアへの再展開要求の可能性もある。米国指導者は核抑止の信頼性を高めるステップを打ち出し、再展開などのオプションを考察すべき
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トランプ政権の核兵器増強方針には懸念の声が米国内でも大きいのですが、「ミサイル防衛の強化はほどほどに」とか、「中国との対話を重ね、相互に抑制的な姿勢を」とか主張されると、旧ソ連と中国を同様にとらえてよいものか???・・との思いにもかられます

Rocket Force5.jpgしかし、「インドへの懸念」や「ロケット軍の発言力アップ」や「conventional prompt global strikeへの中国の懸念」などの視点は、なるほど・・・だと思います。

本当に難しい時代になりましたし、日本も国民レベルの常識的判断能力を高めないと、国としての判断を誤りかねない時代だなぁ・・・と思います。そして、日本の野党の現状を見るにつけ、その情けない状況にため息が出ます

関連の中国関係記事
「核搭載?次期爆撃機の開発へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-07
「2016年:中国安全保障レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-09
「習近平がPLAの組織改革発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-27
「RAND:米中軍を10分野で比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18

米国も21世紀の抑止を検討
「米空軍トップが21世紀の抑止に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
トランプ政権とNPR(核態勢見直し)→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09

米国防省の年次レポートに学ぶ
「2016中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

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欧州への米空軍派遣や訓練を増加へ [米空軍]

太平洋空軍より欧州空軍の方が活発な印象ですねぇ・・・

Wolters2.jpg3日、米空軍協会の「Air Warfare Symposium」で欧州米空軍司令官Tod Wolters大将は、予算が大幅に増額されたことを受け、欧州へのローテーション派遣戦力を増強すると述べました。
また同時に、2017年の欧州での演習を前年比3割増にするとも明らかにしました。

これは、2017年度予算の「European Reassurance Initiative funding」に「大幅な増額:significant boost」が認められたからで、この施策がトランプ政権による判断なのかは不明ですが、従来の路線の拡大です

先日、太平洋空軍司令官の同イベントでの発言をご紹介しましたが、アジア太平洋エリアではこの様な景気の良い話は出なかったように記憶しております・・・。

8日付米空軍協会web記事によれば
ERI4.jpg●3日、Tod Wolters欧州米空軍司令官は、対ロシアのための欧州地域の戦力強化策である「European Reassurance Initiative」予算が大幅に増加されたことを受け、米空軍の欧州へのローテーション派遣を増加すると語った

●派遣、つまりTSP(theater security packages)の増加数について同司令官は、「陸軍のbrigade combat teamの導入数と同じ数だ」と説明した
●なお米陸軍は2016年11月、欧州における「大西洋の決意作戦:Operation Atlantic Resolve」を支援するため、2個旅団から約5700名を欧州に派遣すると発表している

●同司令官はまた、「複数の国から地上部隊が、バルト3国各国とポーランドにローテーション形式で派遣されることを素晴らしいと思う」、「これらの派遣により、我々米軍が多様なドメインで多様な能力発揮を確認し、地域同盟国等との相互運用性を確認できる。これまでよりその機会が増えることになる」と歓迎している

同日付の別の記事は
Wolters3.jpg●またWolters司令官は、欧州米空軍はロシアの活発化に伴い、地域での演習を着実に増加させてきており、2015年から16年には3割の増加、そして16年から17年にも3割増加させる計画である。
●そして演習の重点ポイントの一つとして指揮統制に言及し、「欧州アルプスより南部を担当するスペインのTorrejonにあるNATO連合航空作戦センターと、北部を担当するドイツのUedemの同作戦センターと、米軍が運営するドイツRamstein空軍基地の航空宇宙センターが、作戦ピクチャーを共有し、堅強であることだ」と語った
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この発言だけから、太平洋空軍より欧州空軍が重視されているとは言えません
アジア太平洋地域では、爆撃機のローテーション派遣CBPが継続して行われており、F-22も頑張って豪州や日本や韓国に顔を見せています。

TSP.jpgしかし如何せん、戦闘機の展開先がアジア太平洋地域では極めて限定されており、フィリピンやタイは極めて受け入れに消極的で、ベトナムもまだその状態ではありません。インドネシアもマレーシアからも、そんな雰囲気は感じられません。ブルネイには、調査団が赴いてそれっきりでは・・・

米空軍は根拠となる基地の新規開拓や、設備不十分な飛行場を活用する検討を行っていますが、明るい話はありません

日本には地方空港も併せるとそれなりの数の飛行場がありますし、米シンクタンクの研究でも活用を訴え声はありますが、複雑で多様な装備を抱える飛行場ですから、恐らく脆弱性を克服できないのでしょう・・・山ほどシミュレーションを行っている米国の研究者からも、そんな声は盛り上がってきません

元気が出ませんねぇ・・・。花粉症が原因でしょうか???

米空軍戦力のTSP等ローテーション派遣
「空軍F-35が今年太平洋軍エリアに展開予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-22
「豪州に12機のF-22展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14
「欧州にもTSP派遣か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-14
「F-22嘉手納派遣はTSP」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-17
「アジア版Checkered Flag」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-04

米空軍は中国の攻撃に備え
「空自も真剣になれ!米空軍F-22の迅速展開検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14

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情勢緊迫:シリア軍がイスラエル軍機をミサイル迎撃 [安全保障全般]

シリア攻撃のイスラエル軍機を、シリアが地対空ミサイルで迎撃
シリア軍は1機撃墜主張も、イスラエル軍は否定
イスラエルBMDで落下するシリア軍ミサイルを迎撃?
迎撃ミサイル破片がヨルダンに落下か?

Israel Lebanon3.jpg17日早朝、シリア領の目標を攻撃したイスラエル空軍機が、イスラエルに戻る途中、シリア軍の地対空ミサイルに迎撃された模様です。ただ冒頭見出しのように、両国とリビアやレバノンから様々な情報が乱れ飛んでいる状態です。まぁ・・・めったにない事案で今後が懸念される事象ですので取り上げておきます

両国は対立関係にありますが、直接軍事的に衝突することは極めてまれで、2011年春からのシリア内戦やISIS台頭をめぐる混乱の中でも、イスラエルは極力関与を避けてきた経緯があります。

イスラエルはシリア内戦に関与する意図はない(シリアの弱体化を祈りつつ)様ですが、シリア経由でレバノンのヒズボラに武器等が供給される場合や、どさくさの中でシリア軍がイスラエル正面に兵器を配備したりするとピンポイント攻撃を行ってきたようです

地図で関連国の地理的位置をご確認いただきながら、入り乱れる各国の発表や報道をご覧ください。声の大きいものが事実を「仕立てる」のが中東ですから・・・

イスラエル軍やイスラエル報道によれば
●イスラエル軍は、シリア内の複数の目標を攻撃した空軍機がイスラエル領内に帰還したとき、複数の対空ミサイルがシリアからイスラエル軍機に発射されたと発表した
●また、(イスラエル領内に落下する恐れのあった)シリア軍発射ミサイル1発を、イスラエル軍防空システムで迎撃したとも明らかにした。しかし、他のシリア軍発射ミサイルがイスラエルに落下したのか等、細部への言及を避けつつ、イスラエル市民とイスラエル軍機の安全に問題はなかったと明らかにした

Israel Lebanon.jpg●またイスラエル軍は、ヨルダン渓谷のユダヤ人入植地に対し、空襲警報用のサイレンを鳴らした
●一方、シリア軍が主張した1機撃墜等については否定した

●イスラエルのTV「Channel 10」は、イスラエル軍機はイランに支援されているレバノンン所在のヒズボラへの物資輸送車列を攻撃する任務を与えられていたと報じている
●また同TVは、イスラエルが米国と共同開発したBMDシステム「Arrow」を実任務で初展開し、シリア軍が発射したミサイルを迎撃したと報じている。またハーレツ紙は、エルサレムの北方でも行われたと報じている

●ただイスラエル軍は、この迎撃に関し何もコメントしていないし、弾道ミサイル対処用の「Arrow」が地対空ミサイルの流れ弾を迎撃に用いられたのかどうかは不明である。

シリア政府や軍の発表によれば
イスラエル軍機4機がレバノン経由でシリア領空を侵犯し、シリア中央部のシリア軍拠点を攻撃したと発表した。
israel jordan.jpg●そしてシリア軍防空部隊がイスラエル軍機に対処し、1機を迎撃してイスラエル支配地域に墜落させ、別に1機にも被害を与えたと発表した
シリア外務省は国連に対し、国際法違反である乱暴なイスラエルの侵略を非難するよう求めるレターを発出した

ヒズボラの反応
ヒズボラは直接のコメントを出していない
●ヒズボラ寄りの報道で知られる「pan-Arab Al-Mayadeen TV」は、イスラエル軍機の攻撃でヒズボラの指導者「Badee Hamiyeh」が16日にゴラン高原で死亡したとのアラブメディアの報道を否定した

ヨルダンの報道
israel jordan 2.jpgヨルダン北部にミサイルの部品が落下した。ヨルダン軍によれば、シリア軍ミサイルを迎撃したイスラエル軍ミサイルの残骸の模様
●ミサイル部品が落下した地域の市長は、部品落下による被害は大したことはないとメディアに語っている。自宅近傍で爆発音を聞いた地域住民は、自宅周辺の地面に小さな穴が開き、約3mの破片があること見つけて当局に連絡した
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地中海沿岸の中東諸国に、これ以上複雑な要因が加わらないことを祈るばかりです
シリアにはロシア製の高性能地対空ミサイルが持ち込まれており、これが使用されたとなれば、輪をかけて情勢が複雑化します。

israel russia.jpgイスラエルはここ数か月で、数回シリア内へ攻撃を加えているようですが、攻撃したことを公表したことはありませんでした

ネタニアフ首相のロシア訪問が終わったばかりで、プーチン大統領にシリアへの武器供与についても議論があった模様で、ロシアへの警告の意味があったのでは・・・とBBCなどは報じています。今後の報道や各国の動きに注目いたしましょう

イスラエル関連の記事
「イスラエル目線で2017年を予測」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-02
「イスラエル後に湾岸へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17
「日本とイスラエルが覚書へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21

シリア関連の記事
「ロシアの怪しげな関与」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24
「ロシアとトルコの共同空爆作戦!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-22

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国防副長官候補にボーイング上級副社長 [米国防省高官]

Trump Mattis.jpg16日、トランプ大統領が国防省の政治任用ポストである「国防副長官」「政策担当筆頭次官補」「本土及びグローバル安全保障担当次官補」などの候補者を発表し、副長官ポストにはトランプ大統領との親密な関係が話題のボーイング社副社長の名前が挙がりました

先日、「政権発足後、2ヶ月経過でも長官以外ポストが埋まらない」とご紹介しましたが、遅ればせながら、マティス長官とホワイトハウスの衝突が伝えられつつも、国防省報道官が公式には「マティス長官から大統領に推薦があった優れた能力を持つ人物」と表現する人材の指名が始まりました

細部の人物像などは不明ですが、「国防副長官」と「政策担当筆頭次官補」の候補について、とりあえず経歴等を各種報道等から寄せ集めてご紹介しておきます

Patrick Shanahan国防副長官候補
Shahahan.jpg現在はボーイング社のサプライチェーン担当の上級副社長であるが、直前まで民間旅客機部門の副社長として、ボーイング社の主要旅客機B-737, 747, 767, 777 and 787プログラムを統括していた
●また、同社でミサイル防衛システム担当副社長や回転翼部門の副社長の経験も積んでおり、CH-47、AH-64Dアパッチ、V-22 Osprey計画を扱った経験を持つ

●更に、国防副長官としての重要職務となるであろう技術革新分野に関連し、航空機搭載レーザー計画(airborne laser program)に携わっていたこともある
●ボーイング社の報道官は「流動的で困難な国防環境において、強いリーダーシップを必要としている国防省にとって、Shanahan氏が引き続き力強い指導力を発揮するモノと信じて疑わない」とのコメントを出している

ボーイング社とトランプ大統領は、出だしこそ次期大統領専用機「Air Force One」計画の価格を巡り緊張関係に至ったが、(米海軍F-35の代替として改良型FA-18の可能性に大統領が言及するなど、)最近ではボーイングが大統領のお気に入り企業になっているようにも見え、そんな雰囲気を象徴するモノだとの指摘もある
●また、Shanahan氏がミサイル防衛分野に見識があることから、トランプ氏のミサイル防衛重視政策に適しているとも指摘もある

マティス長官とホワイトハウスの政治任用ポスト指名を巡る対立は、今や「公然の秘密」となりつつあるが、その元凶がトランプ政権側で国防省人事を担当しているMira Ricardel女史だと言われている。同女史は将来商務省で重要ポストに就くと言われているが・・・
一方、国防省のJeff Davis報道官はこれら候補者発表に際し、「マティス長官から推薦があった高い資質を持った人材ばかりでアリ、大統領に候補者として推薦をお願いしたモノだ」と表現している

David Joel Trachtenberg政策担当筆頭次官補
Trachtenberg.jpgマティス長官はこのポストに、キャリア外交官で元エジプト大使のAnne Patterson女史を希望していたようだが、複数の共和党上院議員が(同女史のモルシ前エジプト政権との近すぎた関係等を問題視し、)反対したことから、断念せざるを得なかったようだ
●Trachtenberg氏は、国家安全保障に関するコンサルタント会社のトップで、下院軍事委員会のスタッフ経験もある

●なんと言っても、2001年から03年の間、2代目ブッシュ政権で国際安全保障政策担当の筆頭次官補代理を務めた経験を持ち、国家安全保障分野の調査会社で戦略分析部長や副社長を務めた経験もっている
2015年、Defense-Newsに論考を寄せ、その中で、ロシアの横暴で反米国的で挑発的な国際社会での振る舞いを警告だと位置付け、米国の核政策の再考を促す主張を展開した。

国防省が核態勢見直し(NPR:Nuclear Posture Review)に着手するタイミングにある事を踏まえ、核政策の専門家の中にはTrachtenberg氏しのこれまでの発言を懸念する者も居る
●専門家の一人であるStephen Young氏は、「NPRを起案する立場につく人物が、戦略的安定性を信じない人物である事を大いに懸念する」「ロシアとの間に課題を抱える現状を思うとき、ミサイル防衛を強く持ち出す事は、問題を大きくするだけではないのか」と憂慮するコメントをしている
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マスコミ的には、候補者の選定で多いに揉めてくれた方が話題になって面白いのでしょうが、世界情勢を考えれば、みんな仲良くやって頂きたいものです

しかし・・・「第3の相殺戦略」を初めとする、カーター&Work組が精力を傾けた種々の施策は、どうなっていくのでしょうか・・・心配です・・・

政権交代と国防政策
「まだ政治任用マティス長官だけ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-13
「リバランスは前政権の用語よ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「相殺戦略を如何に次期政権に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

Work副長官の活躍関連
「次の副長官を考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「Work副長官を讃える言葉」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-17
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

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米陸軍が無人偵察攻撃機MQ-1Cを韓国配備へ [Joint・統合参謀本部]

米空軍ではなく、米陸軍のMQ-1シリーズです

MQ-1C Gray Eagle5.jpg13日、在韓米軍は、米陸軍が保有する無人偵察攻撃機MQ-1C(Gray Eagle)をソウル南の「Kunsan Air Base」に配備すると発表しました。同機の展開時期は不明ですが、運用開始は来年早々になる計画のようです。

発表を受け、米国務省報道官が「THAAD配備に加え、これら無人機は、日米韓への安全保障上のリアルな脅威に対応する防御的な手段となる」との声明を発表し、中国外務省高官(Hua Chunying)が北朝鮮情勢への影響を懸念し「火に油を注ぐようなモノ」と非難するなど、波紋が広がりつつあります。

一方で報道によれば、旧式の武装ヘリ「OH-58D Kiowa Warrior」の後継として、米陸軍が以前から計画的に進めていたとも紹介されており、とりあえず整理しておこうと考えご紹介します。

なお米陸軍MQ-1C(Gray Eagle)は、2018年に引退することが発表された米空軍MQ-1(Predator)の兄弟分で、操縦を車両搭載可能なコンテナ型装置やアパッチ攻撃ヘリからも可能にしていることが大きな特徴で、衛星通信による操縦も可能ながら、前線密着の偵察や攻撃任務を想定した無人機です

14日付Defense-Tech記事によれば
MQ-1C Gray Eagle2.jpg●米空軍や韓国軍の協力を得て、米陸軍は、第2師団第2航空旅団に中隊規模のMQ-1C(Gray Eagle)部隊を配属し、「Kunsan航空基地」を根拠に運用する計画だとStars and Stripes紙は報じている
●米陸軍は合計152機のMQ-1Cを購入希望だが、予算的制約から現時点で34機の確保のみ目途が立っている。韓国への配備機数の発表はなかったが、1個中隊だとすると12機である

MQ-1C(Gray Eagle)は米空軍MQ-1(Predator)とほぼ同様に、約25時間の連続飛行と29000フィートまでの上昇が可能で、約500kgの搭載能力があり、各種センサーやレーザー照準装置、通信中継装置、4発のHellfireミサイル等が搭載できる
●同無人機は2010年からイラクとアフガンで使用されており、報道によれば、対ISIS作戦で喪失した同機の穴埋めのため、議会は約30億円の予算振り替えを認めている

14日付TheDrive.com記事によれば
OH-58D Kiowa.jpg米政府や国務省は、MQ-1Cの韓国配備を北朝鮮対応のように表現しているが、実は米陸軍が長期計画で進めている回転翼機と無人機活用計画が、朝鮮半島でも計画に基づき実施されることになったというのが正確な表現である
MQ-1Cは「OH-58D」武装ヘリの後継機で、最後まで「OH-58D」を使用していたのが韓国派遣の第82戦闘航空旅団だったのである。同飛行旅団はアパッチ攻撃ヘリ部隊との連携戦闘を想定し、訓練を積んできた部隊である

MQ-1C(Gray Eagle)は衛星通信で遠隔操縦可能で、また移動式コンテナ型操縦装置からも操縦できるが、アパッチヘリからも「クリック操作」で操縦可能であり、アパッチがMQ-1Cを前方偵察機や攻撃機として活用し、アパッチ母機の攻撃や偵察能力を増強する運用が可能となる
MQ-1C Gray Eagle.jpg●また、25時間連続飛行可能なMQ-1Cを常続的な偵察機として衛星通信の遠隔操作運用し、いざ作戦を行う際は、最前線指揮所のコンテナ型操縦装置やアパッチヘリに操縦を切り替えて使用する事も構想されている

●アパッチヘリとの連携以外にも、非武装地帯の常続偵察、電子妨害機、即応性のある攻撃機としても柔軟な活用が可能でアリ、「OH-58D」武装ヘリよりも維持整備経費や人員も少なくて済むことから、朝鮮半島への展開は極めて有効だと考えられる
北朝鮮への対処と言った政治的なメッセージとか、中国の反発とか、メディアの見出しだけでなく、軍事的な本質事項に目を向けたいモノだ
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米陸軍の考える、アパッチヘリからのMQ-1C操縦がどの程度有効で効果があるのかピンと来ませんが、アフガンで実績があるのかも知れません。

MQ-1C Gray Eagle4.jpg後半の記事には、無人機の前線での使用を巡り、米陸軍と空軍間で主導権争いがあるとの記述がアリますが、MQ-1やMQ-9と言った同レベルの無人偵察攻撃機を使用すれば「さもありなん」と思います

米国政府や国務省的には、アジア太平洋地域への関与をアピールする材料かも知れませんが、軍事的には上記のような基礎知識を押さえておくべきと考え、ご紹介しました

朝鮮半島のご参考記事
「CNAS:北朝鮮でなく中国の問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-28
「在韓米軍司令官はあのBrooks大将」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-19
「ルトワックの日韓関係分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-17
「韓国の混乱と戦後の哀史」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-25

「米空軍は2018年にMQ-1を退役へ」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-02

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