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なぜ空自にステルス機??? [安全保障全般]

軍事.jpg月刊誌「軍事研究」11月号の筆頭記事で、「なぜ空自F-Xにステルス機が必要なのか」と題して、元空将(技術開発官)であった林富士夫氏がインタビュー形式で語っています
この場でゲーツ米国防長官の考え方に触れた方にとっては、極めて古典的な考え方に映るかもしれませんが、ご紹介しましょう。

F-X選定を巡る状況認識
今回の選定には時間的余裕が無く、候補機種にも制約が多いことから、当初から困難が予期された。取得までの余裕がないことから、国内開発案は元から除外。現在の状況はこれらが顕在化しただけ。
なぜ空自F-Xにステルス性が必要か
空における戦いは「質を量でカバーできない」。ゆえに空自はこれまで各時点で最高性能の戦闘機を購入してきた。ステルス性はF-Xに求められる、対戦闘機戦闘力と戦術任務(対地・対艦攻撃)力を発揮する上で必要。対戦闘機戦闘力→過去は搭載ミサイル射程とレーダー探知距離が大きな要素だったが、今はステルス性のウェートが高い。ステルス性はレーダー性能アップで補うことが困難。併せてステルス機では接近戦となる可能性が高いため格闘戦能力が依然重要。戦術任務では、敵の防空網を回避するのにステルスはアドバンテージ。
自機の生存性をステルス性以外で確保できないか
防弾力、システムの強靱さ、電子戦、警報機能等で受け身の防御力は高まるが、相手を撃破できない。ネットワーク装備による状況認識向上は戦力向上に繋がるが、最終的な「1対1」の戦闘能力とは最終的には別物である。
国産ステルス機のめどはあるか。
自力で開発するとすれば、運用開始するまでに今から最低10年は必要。設計から試作までに6年。試作機による試験に3年。開発終了後、部隊での運用試験に最低1年。トータルで(順調に進んで)10年。
F-22が困難な状況で他のオプションは
f351.jpgF-35の導入が自然だが、開発途上で入手可能性や時期が不確定。空白が生じた場合の対処用に「つなぎ」や「ギャップ・フィラー」のレンタル機など存在しない。F-2しかオプションはない。F-2の能力向上(格闘戦、ネットワーク、打ちっ放し能力等)で対処が可能かもしれない。
航空機産業の観点からのF-X選定
50機程度の生産数やF-35の情報開示程度が低い(共同開発国でない日本はなおさら)ことを考慮すると、これまでのようなライセンス生産は難しい。最終組み立てラインと修理設備程度は必要も、それ以上は経費的に釣り合うか? F-XX、つまりF-15の後継を考える際は、国産もオプションに。しかし世界的主流の国際共同開発に参画できる対製図繰りも急務。それまでは、無人機、練習機、哨戒機、輸送機などで技術力を蓄えるべし。

現有機より能力上なのはわかります。きっと役立つでしょう・・・。問題は限られた資源配分の選択肢としてどのように位置づけるか・・です。どのような脅威認識と防衛構想の下に、その資源配分を位置付けるかについて林氏に伺いたいものです。Holylandにもアイディアがありませんが、米国防長官の以下の考え方との違いも際だっているように感じます。

ゲーツ国防長官は脅威について、フォーリンアフェアーズ誌等で・・091016-D-7203C-019.jpg「西側の軍隊は、溺愛している「湾岸戦争の息子」ではなく、望まない「チェチェンの嫡子」に直面している。」
「全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である。」
「中国のような国を考える際、・・・彼らのサイバー戦、対衛星・対空・対艦兵器、弾道ミサイルへの投資は、米軍の主要なプロジェクション能力と同盟国の支援能力を脅かす。特に前線海外基地と空母機動部隊に対して顕著である。またそれらへの投資は、足の短い戦闘機の有効性を殺ぎ、どのような形であれ遠方攻撃能力の重要性を増す。」
「中国の投資に対応して、米国は、見通し線外からの攻撃力やBMD配備に重点を置き、また短距離システムから次世代爆撃機のような長距離システムへのシフトを求められるだろう

更にゲーツ長官は、変化が必要な状況にもかかわらず・・091119-D-7203C-002A.jpg伝統型の軍事力整備へのサポートばかりが「国防省予算、官僚機構、軍需産業そして議会にも深く根付いている」一方で、ハイブリッドな戦いへの備えに対するサポートが制度的に根付いていないことを問題視しています。 
何となく・・どうしても・・林氏が「根付いている」グループの方に見えてしまいます。

(付録)
「嘉手納から有事早々撤退?」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

「米空軍の戦闘機削減が本格化」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-28-1
「Air-Sea Battle Conceptの状況」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
QDRにおける対中国の新作戦構想に関する部分(Holyland推定
   → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「Joint Air-Sea Battle Conceptは平成の黒船」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-09

「ゲーツ長官が国防省と議会にも宣戦布告」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09
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コメント 1

333

事業仕分けでたぶんこう言われるだろう

「レーダーに映らないなら全木製ではダメなのか?」

                                    レンホー
by 333 (2010-02-18 22:09) 

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