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ゲーツ改革のまとめと整理(保存版) [ゲーツ前国防長官]

gatesSENATE.jpg16日、ゲーツ国防長官は上院の委員会で証言し、2010年度の追加予算と2011年度のOCO(Overseas Contingency Operations)支援追加予算を要求する一方で、国防省自身の業務改善により、今後5年間で約9兆円削減を目標とした国防省を上げての業務改善、事業見直し及び組織見直しを実施中であると説明しました。
ゲーツ長官は「我々が(業務改善等により)より良く業務実施する事無なくして、米国民の代表である議員さんに、予算の増額をお願いすることは出来ない」と議会で語りました。

ということとで・・・・記事数が400を越えた記念もあり・・・
Holylandは、公表されたスピーチや文書、米国防省HP記事からゲーツ長官による数々の改革(及び取り組み)を紹介してきましたが、一度私なりに整理してみたいと思います。

●まずは情勢認識
ここは主にFA誌論文「A Balanced Strategy」2009 Jan.&Feb.より

・アフガンで米国が破れることは、米国の信頼を致命的に傷つけ、過去ソ連を破った経験を持つ敵を増長させることになり、なんとしても阻止する必要あり。

gatesSOMARIA.jpg・ベトナム後、米国は予期しない戦いばかりを戦ってきた。パナマ、ハイチ、湾岸、ソマリア、バルカン、アフガンもだ。我々は多様な事態に備えなければならない。軍人が溺愛する「湾岸戦争の息子」に備えていてはいけない。ハイからロー、今と将来にバランスよく備えなければならない。
破綻国家やならず者国家が核等の兵器を米国に向けて使用することが、長期的なもっとも大きな懸念である。

・冷戦時のソ連との戦略兵器交渉は、必ずしも実を結ばなかったが、双方の誤解や疑念を晴らすのに有効であった。ゆえに、いかなる政治的ごたごたがあろうとも、中国との軍事レベル対話は継続して置かねばならない。
「中国は先制攻撃するのか」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-24-2

gatesclimull.jpg冷戦時の態勢を引きずる国防省、米国及び国家間機構は非効率で融通性が無い。厳しい経済情勢の中で、この仕組みでは予算が持たないし、現状の激しく変化する複雑多岐にわたる諸問題に対応できない。
・米国だけで解決できる問題など無いに等しい。米国は各地域にコミットを続けるが、各パートナーは自らの防衛努力を期待される。米国はそのサポートをする態勢を整えるべき

●4軍と戦い方の改革
 陸軍へは ・・・志願兵のみでいかに「陰鬱で長引く戦い」を継続するか? 自殺、PTDS、PBDSや復員兵士の社会復帰をどう支援するのか? 家族のケアは?

DDG-1000.jpg海軍へは ・・・他国は多くて空母1隻しか保有しておらず、大部分が同盟友好国。空母11隻体制が今後30年間本当に必要か? 対艦兵器の発達にどう対応するのか?
海兵隊へは・・・海兵隊は第2の陸軍か? 特殊部隊との違いは? 大規模な上陸作戦が今後もあるのか? 強襲揚陸艦が10隻も必要か? 将来のビジョンは?

空軍へは ・・・戦闘機が本当に足りないのか? どんな爆撃機の後継が必要なのか? 将来脅威を考えればISR、無人機、長距離攻撃能力が重要なのではないのか?(戦闘機パイロットが組織の中心なのか?)

中国対処は・・・ハイエンドで非対称な拒否戦略を使用する中国に対応するには、初動の大量BM攻撃や対衛星・対ISR攻撃を耐え、相手のISR等を盲目化する新たな装備体系が必要。
戦闘機のような、ローエンドには高価すぎ、ハイエンドには航続距離が不足の装備は不向き。長距離・突破力・ステルス・スタンドオフ・無人・対ISR等々の兵器やISR被害状況下を支える装備、更に少数の基盤基地の抗たん性強化が不可欠。

「陸軍の明日を指揮幕僚大学で」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-08
「海軍海兵隊とも全面対決へ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-04-1
「(追加)海軍海兵隊とも全面対決へ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-07
「ゲーツ長官が空軍へ最後通牒」
   → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-17
「海兵隊は生き残れるか?」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-16-1

「士官候補生に語るシリーズ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
「CSBA中国対処構想」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18

GatesRobert-.jpg●国防省の組織・業務改革
 冷戦時代の遺物のような、又は「ビザンチン帝国時代のような」官僚組織を見直し、フラットで事態に迅速に対応できる組織。高位高官の数を見直し。
 「国防省は戦争の計画を立てることが出来るが、それを遂行していく(Wage War)事が出来ない」、「3年半前に着任した時、イラクやアフガンの前線兵士の立場になって、彼らのために日々必死になっている者をペンタゴン内で見つけられなかった
今後5年間で約9兆円削減を目標とした国防省を上げての業務改善、事業見直し及び組織見直しを実施中

「ゲーツ長官が国防省と議会にも宣戦布告」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09
「(補足)アイゼンハワー・ライブラリ演説」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11
「海軍士官候補生には少しソフトに」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-09

gates2011bgt2.jpg●武器輸出及び研究開発管理要領の見直し
 これも冷戦時代の遺物である現状に合わない仕組みの見直し。問題は、必要な技術や武器を同盟国に提供出来ずに共同研究開発も不十分。一方で、技術の流失への対処・取り締まりも不十分。電気屋で買える品物が輸出禁止。複数の省庁が別々の禁止事項リスト。長期に渡る審査。
 対策は、監督官庁の一本化、禁止又はOKリストの一元化、管理システムの開発

「米が武器輸出・共同開発の方針転換へ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-22  
「武器輸出管理システム改善とQDR」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-09  
「QDRの「(軍需)産業基盤の強化」」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-08

●他国を統治・安保体制を支援再生する米国の体制再構築
米国外交の「軍事化」が進捗しつつあることを強く危惧。国防省は、これまでの戦い方だけではなく相手国の軍の人材や組織を整えるような人材や手法を重視する必要性有り。
また相手国の統治機構や治安機関を総合的に構築するには、国務省等の他省庁との協力が不可欠。一体となって取り組み、国務省が外交との整合を図りリードする手法導入が必要。
「ゲーツ長官のFA誌論文」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-15-1
「正しい軍事力使用の3原則」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-07

●NATOの組織リストラ・機構改革
14ものNATO下部組織の3つへの集約統合。NATO本部の高位高官見直し。NATO本部の文民勤務者数の削減。政治の道具ではなく、真に情勢が求める機構へ。
「NATO改革とアフガン作戦延期」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-12

gatesSHANG.jpg●対アジア姿勢の変化
「米国は、地域でのプレゼンスや直接行動へのコミットメントを維持する一方で、これまでにも増して、パートナーが自ら自己防衛を果たせるような能力構築に力点を置いていく」と、その変化(a very real shift)の方向に言及しました。また2010のシャングリラでは、中国が軍事交流を中断させたことを厳しく批判。南シナ海情勢を懸念。
「シャングリラ・ダイアログに向けて」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-29
「(その3)シャングリラ・ダイアログ演説」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「米次官補代理が日本に防衛費増額要求」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-19

もう少し過去記事に溯ると、良いモノもでてきそうな気がしますが・・・ままこの辺りで取りあえず頭を整理いたしましょう。
他の視点が思い浮かんだら、また整理いたします。思えば遠くへ来たもんだ・・・
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