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軍と社会の遊離を憂う [ゲーツ前国防長官]

gatesDuke.jpgおよそ1週間、ゲーツ長官によるデューク大学(Duke)での講演の一部をご紹介しましたが、Podcastで講演の音源が公開され講演の中心命題である「徴兵制によらない軍制度の課題」についてのゲーツ長官の問題意識が聞き取れるようになりましたので、概要をご紹介します。


以前のDuke大学講演記事  トランスクリプトはこちら
「空軍は単に飛んでいたいのか」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
「特殊部隊にもっと女性が」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02-1

新しい兵士の募集は順調である
●4軍の新兵の募集は引き続き好調で、任期後の継続勤務希望者も十分に存在している。入隊者の平均学力は目標レベルである高校卒業以上を十分に満たしており、それ以上のレベルを持って入隊してくるものも多い。
●また、自主志願制を取ることにより、兵員のレベルも向上している。例えば徴兵制時には4年以下の勤務経験しか持たない者が4割を占めていたが、現在では15%程度に過ぎない。

しかし軍を支える社会基盤は以前と異なる・・・
●第2次大戦直前に世界で17番目の規模であった米軍は、徴兵制により冷戦時には世界最大規模となっていた。そしてこの規模拡大により、当時は多くの有望な若者が軍務の経験をした。
●例えば、1957年にはプリンストン大出身者が4万人軍務に付いており、ハーバード大にも700人規模のROTC制度が設けられていた。そして彼らは軍務を追えた後社会の中心的役割を果たし、議会や民間企業や地域社会から軍を支えた。
●このため、冷戦終了時で全米の学生の約4割が両親や身近な親戚に軍務経験者を有していたが、現在ではその比率は18%に低下、近い将来1割以下になるのは確実である。

志願者の地域的偏りが・・・
gatesDuke3.jpg●一般的に言えば、米国の北西部、西海岸や大都市近郊は志願者が減少している。これら地域で大きな基地の閉鎖再編が進んでいることも一因であるが、同時に軍務のような国家の仕事が他人事にと考えられる風潮が背景にある。
ROTC制度を受け入れている大学の数からもこの傾向が見て取れる。人口が5百万人以下のアラバマ州で10個の大学が同制度を設けているのに対し、人口1200万人以上のロス周辺では4大学、シカゴ近郊の人口9百万エリアで僅か3大学である。

アイビーリーグと呼ばれる入学に高い学力を要求される大学は、このDuke大学を除き、ベトナム戦争時にROTC制度の廃止を決め、同性愛者への「問わない、言わない」方針を理由として現在もROTC制度を拒んでいる。
注意::(ROTC学生とは、一般大学卒業後に軍幹部へ任官することを条件に、学生生活間に奨学金を支給される制度を利用している学生のことで、学生は大学在学中も一定期間基礎訓練への参加も義務付けられています。)

しかし10年に及ぶ戦いは負担を強いている
●湾岸戦争以降の米軍が関与した紛争では、兵士は1年以内に展開先から戻ることが出来た。しかしイラクやアフガンでの戦いは繰り返される現場勤務が兵士とその家族に大きな負担を強いている。
●このため帰還した兵士の性格が変化したり社会になじめないケース、家族とうまくいかないケースが増加している。
gatesDuke2.jpg●これらの影響で離婚率は2倍になり、自殺者の数も増えている
●それでも現兵士は前線を死守している。ある部隊の例では、日本での勤務ローテーションが決まっていた海兵隊部隊へ移動直前にアフガン展開が命ぜられたが、結果として近く除隊を希望していた百人あまりがその希望を延期し、アフガンに赴いたなどの話を私は前線で多数見聞きした
本校の卒業生にも、負傷後も兵士のために働く者が多く存在することに敬意を抱く者である。

1800人の聴衆に対する最後の言葉・・
●John Adamsはその手紙の中で息子にこう語りかけた・・「優れた若者が公務に付かなければ他はその任務を避け、賢い若者が公務を避ければ他はそれに目を向けない」
●Duke大学の優れた君たちが公務に就かなければ、誰もその重要性に目を向けないのだ。
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このあたりのゲーツ長官の懸念は一貫しています。

また、シカゴが固有名詞で登場する事とオバマ大統領への感情を関係図付けるのは深読み過ぎるのでしょうが、チョット結びつけてしまう方も多いのでは・・・。
Donilon.jpg大統領補佐官のジョーンズ元海兵隊大将が退任し、ゲーツ長官が「DISASTER」と表現したと言われるドニロン副補佐官(写真:Tom Donilon)の昇格など、オバマ安全保障チームの変質(ゲーツ長官とマレン議長の来年の交代も含め)が気になります。
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聞かせます!!ゲーツ長官の若者へのスピーチシリーズ

士官候補生への講演
「海軍士官候補生には・・・」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-09
「士官候補生に語るシリーズ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
「空軍士官候補生に厳しく語る」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-06

学生の卒業式や少年への講演
「CIAでの失敗を高校で」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-25
「大学で「公への奉仕を」」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-22
「ボーイスカウトの精神を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-29
「ROTC学生へ 4軍が抵抗」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-29

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