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米空軍の電子戦文化を担う [米空軍]

EA-18GatAF.jpg9月号のAF-Magazineが、ワシントン州の海軍基地の海軍航空機で、空軍の電子戦(EW:Electronic warfare)任務を遂行する部隊(第390電子戦闘飛行隊:)の様子を伝えています。
以前ご紹介したように、米空軍はステルス機の出現した1990年代に電子戦専用のジェット機保有を止めました。

しかしその後、軍事技術の拡散から高度な電子妨害技術を保有する国が増え、前線指揮官からステルス機にも電子戦機(EW機)の支援が必要だとの声が上がりました。

結果、1995年に国防長官室を仲立ちにより海軍と空軍が協定を結び、海軍の4人乗りEA-6Bに空軍士官が乗り込んで空軍作戦を参加することになりました。
しかしその後、EA-6B から2人乗りのEA-18Gへの機種更新を海軍が決定し、空軍士官が搭乗する予席がなくなるのを契機に、海軍機の空軍利用はなくなることが一度は決定しました。

「空軍用に海軍電子戦機が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-09
「緊縮耐乏の電子戦部隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-29-1

EA-6BatCV.jpgところが再び、前線指揮官から声が上がり、EA-6Bの退役延期(2014年まで)とEA-18Gの24機追加導入と空軍士官の継続搭乗が決定されました

ステルス機の出現とイラク・アフガンでの電子戦を意識しなくてよい10年以上に及ぶ戦いは、米空軍内の電子戦意識を希薄にし、海軍基地で総合的な電子戦を学び遂行してきた第390電子戦闘飛行隊の重要性を、これまで以上にしています。

以下は記事の概要です。

脅威環境の変化
リビア作戦では、目標が明確に確認できていても、民間人を盾にして軍事施設を守る勢力がおり、単にレーダーホーミングミサイルを発射して解決できない状況があった。こんな時は電子妨害が有効である
●A2AD戦略をとる国は、拡散する軍事技術を活用して統合防空システム(IADS)を充実させており、これに対処するためEWの必要性はますます高まっている

米空軍全体の取り組みは・・・
EA18Growler.jpg空軍参謀本部で電子戦計画責任者の大佐は「技術が猛烈な勢いで進歩しており、厳しい財政状況の中で電子戦環境を完全支配するのは容易なことではない。・・・しかし我々は前進に成功している」と語った
空軍戦闘コマンドの大佐は単一の装備で電子戦環境を制覇は無理で、システムをシステムにして対応しなければならない。・・・エスコート型、自己防御型、スタンドオフ型のすべてに投資して能力向上しなければならない」、
●また「F-22やF-35のように全てを備えた機体と、それ以外の戦闘機の能力差を埋めることは複雑なパズルである」と語った

空軍はA-10、F-16、C-130等の搭載電子戦機器からALQ-130ポッドまでの改修や更新を迫られており、戦闘コマンドは約200億円を用意して事業を進めている
●またMALDとMALD-Jの開発・装備化により、空軍電子戦能力の補強を行う

「MALDが作戦可能体制に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-29-1

●米空軍はかつて、B-52をスタンドオフ電子戦機に改修しようと2度取り組んだが、予算や要求精査が出来ず2度とも断念した
●今もスタンドオフ型は不要ではないが、ニーズは変化しており、当面は再度要求することはない

ec-130h.jpg空軍士官の海軍EA-6BやEA-18Gへの搭乗はサクセスストーリーであり、今後も永続的に継続したい(することになっている)
●別の試みとして、海兵隊EA-6Bと空軍EC-130搭乗員が、相互に入れ替わって搭乗して互いの戦術を学び、統合電子戦の強化を図る協定も結ばれている。なお、EC-130は指揮統制や通信妨害を行う。

「心理戦用EC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-15

第390飛行隊幹部が語る・・・
●特殊な環境で活動する電子戦専門部隊で、空軍のEWO(電子戦幹部)を養成する珍しい部隊であることから、隊員は他部隊での講演をよく依頼される
●話の冒頭には、空軍操縦者でありながら夜間空母着艦に取り組む難しさと、要求される乱暴な着陸を説明することが多い。

EF-111.jpg●しかし話が本題に入ると、本格的な電子戦の話に一般の空軍運用者が追随できないことに衝撃を受ける。彼らには電子戦と言えば自己防御であり、装備と言えば電子戦用のポッドが思い浮かぶだけなのだ。
我々は総合的に戦場全体の電子戦環境を議論しようとするが、その認識が米空軍内で希薄化していることを懸念する。過去10年の戦いや電子戦を意識しなくてもよかった相手が今後も続けば問題ないが・・・。

●自己機を守るだけの発想から、敵のSAMが発射機から飛び出さない環境を作為したり、敵の指揮統制や通信を妨げたりといった総合的な電子戦環境を考える人材を育てたい。
ステルス機の発達の中でも、我々へのニーズはむしろ増大している。我々が行う教育や訓練課程を修了した者達はいまや引っ張りだこである。
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ステルス機だけで大丈夫だろうと思っていた米空軍が、ステルス機を保有しないがために電子戦機を発展させてきた米海軍に救われる・・・。
空軍にとっては恥ずかしい話ですが、結果的に統合体制が出来、効率的な装備の運用が可能になったわけです。

太平洋戦争時の日本軍内の状況は、「敵と戦う前に、まず海軍は陸軍と、陸軍は海軍との戦いを」と伝えられていますが、普通の状態では協力関係が進まないのが軍人です。

「電波情報収集RC-135」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09
「空軍用に海軍電子戦機が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-09
「MALDが作戦可能体制に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-29-1
「心理戦用EC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-15

「米空軍ISR組織の革新」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-21
「緊縮耐乏の電子戦部隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-29-1

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