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飛行禁止空域設定は可能か?:シリアはリビアではない [Joint・統合参謀本部]

AFM13-3.jpg3月号のAF-MagazineがThe Syria Question」との記事を掲載し、混迷を深め一般市民への被害が拡大しているシリア情勢を巡り、日増しに高まる米軍やNATOへの飛行禁止空域設定要求の実行可能性について検討しています。

シリア政府側が攻撃機やヘリを用いて攻撃することを防止し、民衆への被害拡大を防ごうとの狙いですが、イランやロシアから兵器流入も伝えられており、リビアのような単純な作戦は可能ではなさそうです

デンプシー統合参謀本部議長は昨年3月
dempsey3.jpg●仮に命じられれば、我々はシリアで何でも実行に移すことが出来る。(ただし、)シリアの防空網はリビアの約5倍は洗練されており、西側国境沿いを中心とした人口密集地域を含む、国土の1/5をカバーする濃密な防空網を構築している
●その能力はセルビアと比較すると約10倍と見積もられる。なお、セルビアで我が空軍は移動式の地対空ミサイルに悩まされ、ステルス戦闘爆撃機F-117を撃墜されている

1983年に我が軍はシリア防空網と対峙している。米軍の偵察機に対するミサイル攻撃に反撃するため、約20個目標を攻撃するための空襲を計画し、2機が撃墜された。操縦者1名は死亡し、一名は捕虜となり3週間後にやっと釈放された。
●シリアの上空(一部又は全土)に「no-fly zone」を設定するための準備攻撃は、電子戦能力を保有した米空軍のみが先導することが出来、数週間を要するだろう

シリア空軍と防空能力
Su-25.jpgシリア軍は約450機の戦闘用航空機を保有し、その内100機はロシア製のMig-29で他はMig-21やその能力向上型である。戦闘爆撃機タイプではSu-24やMig-23を保有しており、今次の内戦でも地上攻撃を行う様子が確認されている
Mig-29は約70機が運用可能で、他に航空高速要撃機Mig-25は30機が西側のAWACSや空中給油機の攻撃も可能状態にある模様。Mig-21やMig-23も各100機程度保有し、対地攻撃に使用されている

●地対空ミサイルも豊富である。SA-2やSA-6と言った旧式のしかし稼動する位置固定の対空ミサイルのほか、低空目標に対処可能なSA-22を30~50セット保有している模様最も問題なのは、西側のパトリオットと同レベルの能力と見積もられる射程50マイル以上のS-300を保有している点である
●なおシリアのSA-22は、2012年6月領空侵犯したといわれるトルコ空軍のRF-4偵察機を撃墜して能力を証明している
ロシアは国際社会からの批判にもかかわらず、これら装備への部品供給や技術支援停止を拒んでいる。(ロシアは海外唯一の軍事港湾をシリアのラタキアに保有している)

シリア軍に懐疑的な見方も・・・
IsraelF-15.jpg2007年9月、シリアが極秘裏に北朝鮮の協力を得て建設を進めていたとされる原子炉施設を、イスラエル空軍のF-15IとF-16が爆撃に成功して完全に破壊した。シリアが地対空ミサイル等で強固に防御していたと考えられる場所を、イスラエル軍機は探知されずに攻撃した
●専門家には、イスラエルがシリア防空網をサイバー攻撃で無効化していたと分析している者もいる

●シリア空軍の元少将で、最近反政府側に転じた者が昨年11月外国報道機関に対し「アサド政権は、信頼できる1/3の操縦者のみを攻撃に使用し、残り2/3には任務を与えられない状態にある。航空機等の部品は少なくなりつつあるが、数百期の航空機は使用可能である」と語っている

限定的な米軍作戦基盤が問題
●米やNATOが航空作戦を行う場合、足の短い航空機はトルコのIncirlik基地を拠点にし、他の主力はキプロスのAkrotiri英空軍基地を利用することになる。
●政治的に微妙なヨルダンやサウジの基地使用は期待できないし、増してやイスラエルやイラクの基地使用はなおさら難しい。従って空中給油機やAWASCはより遠方の拠点を探さなければならなくなる

Carl Vinson.jpg●空母も利用可能だろうが、空母1隻に搭載可能な攻撃機は30機あまりで限界がある。
●当然欧州諸国軍にも期待がかかるが、先のリビア作戦で早々と弾薬を使い果たし、米軍から提供してもらって作戦を継続できたのが実態であり、予算削減で現在でも弾薬の補給は進んでいない惨状である。

●リビアでは、政府側と反政府側の所在地が比較的容易に地理的に区別されていたが、シリアは異なる。戦線は複雑に変化しており、人口密集度も高いため、市街地での難しい戦いが主になっている
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今日の記事は、単にシリア政府軍側を追い込む、又はシリア一般国民の犠牲者を抑えるため、政府軍の航空活動を抑制する手段としての「no-fly zone」設定の可能性について吟味したものです。
米空母1隻で反政府側拠点上空を防衛するだけでも十分効果がとか、数週間のシリア防空組織への準備攻撃が最低前提条件とか、様々な見方が混在しています

Asad.jpgもっと大きな戦略的視点で見れば、アサド政権が倒れても大丈夫か? 訳の分からない諸集団の緩やかな組織である反政府側がシリア領土を統治することが可能なのか? アルカイダ等の問題組織の伸張を促進することになるのでは? 等々の疑問は尽きない

米国はまだまだ中東から「足抜け」出来ない雰囲気です。

シリア問題関連記事
「シリア内戦:サイバー戦激化!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-25
「巨大貫通弾完成:対シリア・イラン?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-18
「対シリア:トルコに防空ミサイル展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-16
「上院でシリアを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-09-1
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