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オフショア・コントロールを学ぶ [Air-Sea Battle Concept]

T.X.Hammes.jpg防衛研究所と米国防大学の研究所 (INSS)は、戦略的に重要と思われる様々な問題をテレビ会議で議論する関係にあるようで、2月1日には「オフショア・コントロール」の提唱者T.X.ハメス(T.X.Hammes:元海兵隊大佐)上級研究員と議論が行われた模様です(NIDS NEWS:2013年3月号より)。

同会議でハメネス氏は、「Offshore Control:予期せぬ衝突に備えた軍事戦略」というテーマで、オバマ政権がアジア太平洋地域のリバランスを提唱するなか、軍事戦略として検討されるOffshore Control戦略の意義と戦略的利点として、以下5点を指摘したそうです。

抑止及び安心供与の度合を高める一方、急速なエスカレーションの可能性を低下させる、
②決定におけるタイムラインを伸ばす
③平時におけるコストを低下させる、
④米国の強みを生かすことができる、
貿易の再構築を可能とする・・・・・等が指摘されました。

ちなみに、ハメネス氏の「オフショア・コントロール」論文は2012年春号のInfinity Journalに掲載され、同年6月INSSの「STRATEGIC FORUM」にも掲載されています。
Offshore Control: A Proposed Strategy
http://www.ndu.edu/inss/docuploaded/SF%20278%20Hammes.pdf

防衛研究所が勉強を始めたと言うことは、米国防関係者の中で「オフショア・コントロール」がそれなりの地位を得た可能性を示唆していますので、ご紹介したいと思います。
なお、本日の「オフショア・コントロール」に関する説明は、26歳の安全保障研究者によるブログ「Till the end of history」の記述を借用しています。

ただし何時ものように適当なつまみ食いですので、ご興味のある方は以下でご確認を
その1→http://alfred-geopolitik.blogspot.jp/2012/04/blog-post_13.html
その2→http://alfred-geopolitik.blogspot.jp/2012/04/blog-post_15.html
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オフショア・コントロール(「OC」とする)とは

「OC」の概要イメージ・
T.X.Hammes3.jpgエアシーバトルASBについてハメス氏は、エスカレーションを招きやすい(北京の意思決定者の不確実性を高め核報復のリスクが高まる)、そして新たに高価な装備を調達する必要があり財政負担が重く持続可能でないと懐疑的
●OCでは、領土を守る意志のある国と組みながら中国の海上貿易を阻止する。また、決定的な軍事上の勝利よりも、手詰まりと停戦をもたらす。
●このため、中国本土のインフラへのダメージを極限しつつ経済的に消耗させる戦いを追求する。戦争終結は物理的破壊よりも経済面での摩耗(消耗?)を通じ達成することを狙う。

具体的な「OC」での行動
●具体的に「OC」では3つのD(deny、defend、dominate)を実施する
---deny第一列島線の内側で、中国の侵入できない排他的海上区域を、優勢な潜水艦、機雷と限られた数の航空戦力で設定する。侵入する中国艦艇を沈めることで達成する。

---defend:積極的に米国を支援する同盟国を守るためすべての軍事アセットを用いる海空軍は中国本土から離れたところに動かし、中国と遠方から戦わせる一方で、米国と同盟国が統合海空防御の一員としてその領域上で戦えるようにする。

---dominate:インドネシアの列島線に沿ったチョークポイントで遠距離海上封鎖を敷き、海空陸そして民間から借りたプラットフォームも利用し、海上交通阻止を行う

●以上により、戦争の穏健な帰結を迎える。核兵器がある以上、中国共産党の崩壊や降伏を目論み追い込むのは危険すぎる。ゆえに戦争終結のゴールは停戦し戦前の境界線・領土に戻ること。

「OC」の準備と訓練
最優先は同盟国の防衛強化。次に遠距離海上封鎖。それから排他的海上区域の設定。最後に第一列島線の外を支配して対中封鎖を締め付けるとともに同盟国への貿易の流れを確かにする。
●特に重要なのが平時の準備。この戦略は透明性が高いので、同盟国に説明し公開して全てを訓練演習できる。

穏健な戦争終結に向けて
T.X.Hammes2.jpg●OCでは、中国共産党に、かつてのインド、ソビエト、ヴェトナムとの紛争終結と同様の戦争終結模索を認める。つまり、中国が「敵に教訓を教えてやった」と宣言することを認める
中国本土の施設等への攻撃を禁じることで、エスカレーションの可能性を減らし、中国が前述の宣言をしやすいようにお膳立てし、戦争を終える。
●「OC」では決定的勝利を求めない。これは核大国相手の決定的勝利という概念が時代遅れだとの認識に基づいている。

「OC」はASBより優れている
●「OC」はASBより以下の点で優れている。まず、ASBは新技術を用いるため機密要素が大きく、敵国にも同盟国にも信頼度や透明性が低い。OCはその点オープンであり実行可能性も高く確証値が高い。従って抑止効果も高い
●またOCは、オーストラリアを除いた同盟国に駐留基地を必要とせず、同盟国への依存を減らせる点で利点が大きい。オーストラリアからマラッカ、スンダ、ロンボクの海峡を封鎖するのを支援する基地のみが必要だからです

同盟国等は、自国の海空領域で中国の攻撃から米軍が自身を防衛ことを容認しさえすればよい(defendの達成)。
●防御は地上基地からの防空と短距離の機雷と対機雷の能力を含む海防に大きく依拠するから、米国は平時、潜在的同盟国の同能力を向上させるため訓練を行う。

T.X.Hammes5.jpg●「OC」では、同盟国等に必要な戦力強化と連携向上を求めるが、米国が中国を攻撃する際の基地使用や、紛争の際の米側に加わることは求めないだろう
●繰り返しになるが、OCはASBと反対に、外交官や軍人に戦略と作戦のアプローチを対外的に説明することを許容するので、不確実性を引き下げることが出来る
●「OC」では中国の早期警戒・指揮管制システムが脅かされることなく、北京が余裕をもって判断できるようにする。逆にASBの求める攻撃は、中国に不十分な情報に基づいて性急な決定を迫るものです
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ご参考
奥山真司氏のオフショア・コントロール論早分かり解説では・・

1,エアシー・バトルは「戦略」じゃない、単なる「戦術」だ
2,だから俺(=ハメス)が新しい「戦略」を考えてやる!

3,「戦略」には「戦争をいかに終わらせるか」という理論も必要でしょ?
4,中国は核を持ってるから、いざ紛争になったとしても核戦争にしちゃいかんだろ
5,だからエスカレーションの誘発は禁止!中国の領空内には入りません

6,この戦略の狙いは、中国の海上貿易を阻止しながら同盟国の領土を守ること。
7,決戦は起こすな、経済消耗戦に持ち込んで「行き詰まり状態」にしよう!
8,最後には中国に「花」を持たせて勝利宣言させろ
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「オフショア・コントロール」論を概観してまず思うのは、日本はどうなるんだろうか?・・・との疑問です。
米軍は「一緒に戦ってくれなくても、基地を使用させてくれなくても構いません。日本は自分で守ってくれ。米軍は遠方から、又は第一列島線の一部戦力や機雷を中心に作戦するから・・」と言っているように聞こえます

obamachina.jpg防衛研究所の発表が、その辺りに触れていない点が気になります。はっきり言われたのかもしれません。米国はお金がないから、日本は自分で頑張ってくれ・・・と。

オバマ大統領チーム(ヘーゲル、ケリーを含む)の姿勢、強制削減による国防費の減額等々からすれば、「オフショア・コントロール」論が勢いを得てくる可能性はこれまでよりも高いと考えられます
全部ではないにしろ、その一部を借用しようとの気持ちになるかもしれませんね。

なにせ、防衛研究所のペーパーには
→「オバマ政権がアジア太平洋地域のリバランスを提唱するなか、軍事戦略として検討されるOffshore Control戦略の意義」と記述されていますから・・・

ハメス氏を引用した議論は岡崎氏も
対中戦略は経済を柱に、ASBは従に
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-09

ちなみに・・・より内向きなのが
「Offshore Balancingとは・・」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27

Facebook「東京の郊外より・・・」もよろしく
http://www.facebook.com/holylandsonettokyo
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