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カーネギー財団:中国VS日米レポート [安全保障全般]

Carnegie Endowment.jpg3日、カーネギー国際平和財団から中国の軍事力増強が日米に与える影響を多角的に分析した「最初で唯一の」と自称するレポートが発表されました。400ページ以上という膨大なレポートで、図表も満載です。

執筆陣はM.Swaineを筆頭に、M.モチズキ、P.ジアラのほか、中国や台湾の軍事・経済等の専門家も含まれており、タイトルの「China’s Military and the U.S.-Japan Alliance in 2030: A Strategic Net Assessment」が示すように、2030年までを見据えた意欲作となっています。

これだけのレポートをサマリーだけ読んでご紹介するのは非常に難しく、重要な指摘を見逃しているようで気が引けるのですが、自分の勉強のためと割り切ってご紹介します

レポートの問題意識
●西太平洋地域における中国軍事力の台頭は、日本や日米同盟と地域全体に大きな影響を与えるが、これに対応する日米両国や同盟の能力や意図を絡めた、包括的な状況分析や将来予想はこれまで存在しなかった
●しかしこのような分析こそ、日米両国が長期的に抑止力を維持し、地域の安定を確保するために必要不可欠だと考え行った

分析結果と主要な将来予測
今後15~20年間には、中国が米国を当地域から排除することを目的とした、大規模軍事紛争は発生しそうもない。最も起こりそうなのは、中国が増強する軍事力を背景に、軍事攻撃ギリギリの行為で、日本との諸問題を解決しようとしたり影響を及ぼそうとすることである
●人民解放軍が、日本や係争中の領土周辺の領空や領海でプレゼンスを拡大することにより、政軍関係不安定化のリスクが高まる

Chadwick.jpg●背景には、日本周辺での軍事バランスが、絶対的又は相対的に(中国寄りに)変化することがある
●最もあり得そうなのは、日本周辺で日米同盟側がわずかな差で海空領域における優位性を維持するか、その差が不明確になることである
しかし、仮に中国経済が悪化し、中国が内政の安定に資源を投入することになれば、中国からの脅威は大きく減少する

●(一般的には)今後15~20年の間に劇的な戦略的変化があるとは考えにくい。劇的な変化とは、例えば、正常化した日米同盟と中国による冷戦構造確立、米国の大規模撤退による中国支配のアジア出現、更に日本の核武装を伴う中日の激しい対立関係の出現等である

日米の取り得る軍事施策(3つのパターン)
●「特効薬」や「画期的な解決策」があるわけではないし、単一の施策で関係国全てに安定した政・軍バランスを最小コストでもたらすことは出来ない
●考えられる全ての対策案は、痛みのあるトレードオフを伴い、場合によっては日米両軍の役割や任務に急激で過激な新思考を求めることになる。

---Robust Forward Presence
●「Air-Sea Battle」のような明確で強力な軍事力前方展開を基本とする抑止施策、又は「Offshore Control」のような海上通商路阻止のような施策に重点を置くアプローチ
---Conditional Offense/Defense
●上記の中国本土への先制攻撃や内陸攻撃、又は封じ込め型交通路阻止ではなく、「stresses both deterrence and reassurance in a more equal manner」する
---Defensive Balancing
●西太平洋地域において中国とより協力的でバランスのとれた関係構築を目指し、「目立たない」&「後方地域に置いた」戦力配置を重視する。相互の領域拒否を強調する。

ただ、これら対応は以下の理由から非常に複雑
Carnegie.jpg日本やアジア太平洋地域の他国が、実質的な安全保障上の協力強化や安保能力強化を行う力には限界がある
米軍側に当地域での作戦ドクトリンを変える意欲がない
中国側には、米側同盟が中国の能力発揮を妨げようとしているとの疑念がある
●安全保障上の政治的・軍事的議論の不透明性や(一時的な)失敗に関し、関係国の忍耐力が無い

まとめに代えて
現状が維持可能である可能性は低い。上記の「複雑性」にかかわらず、日米両国は対応案を真剣に検討議論すべきである
●昨今の中国、日本、米国を取り巻く経済や軍事情勢は、現在の政策や戦略では、長期的な日米の利益を安定的な安保環境の中で確保することに失敗すると示唆している
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書いている方も「?」状態ですので、読まれた方も「?」が脳内を飛び回っていることと存じます。
特に「3つのパターン」について、こんな短い説明じゃ分からない! との声が聞こえてきそうです・・・。ご指摘の通りです。

carnegie2.jpg興味深いのは大規模軍事紛争は発生しそうもない」、「劇的な戦略的変化があるとは考えにくい」、一方で「全ての対策案は、痛みのあるトレードオフを伴い」、「現状が維持可能である可能性は低い」としている点です

国家間の相互依存が強まり、圧倒的な強さを持つ国がないことが、このような分析結果につながるのでしょうか?
でも何となくその通りのような気もします。劇的な変化はなく、じわじわと・・・。
「正常化した日米同盟」も「起こりそうもない」出来事の中に入っています。日本は変われないんでしょうか???

「オフショアコントロールを学ぶ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13
「新国防戦略とoffshore balancing」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27

「対中国の日米同盟を提言」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-10
「米軍リバランスと日米協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-17

ASBの概要を理解する
「エアシーバトルのシナリオ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30
「CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18

ASBの必要性を訴える
「概要海空軍トップのASB論文」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
「ASB担当将軍が訴える」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-23
「小論エアシーバトルの実行」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

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