サイバー「反撃」の交戦規定が制定間近!? [サイバーと宇宙]

ここで話題になっているサイバー交戦規定(SROE:standing rules of engagement)の中身は、米軍部隊がサイバー攻撃を受けた場合の「反撃」に至る基準を示した部分で、「when, how and with what tools」で反撃するかを規定する部分です
なお、承認されるであろうサイバー関連のSROEは、依然として防御対応が中心のようで、またサイバー先制攻撃については依然大統領の承認が必要になっているとのこと。当然ながら細部非公開ですが、これまでの政府や国防省内での激論の模様を中心に記事は紹介しています。
民主主義国の弱みとなり、中国のような国の強みとなりやすい「サイバー兵器」の特徴を側面からとらえた記事ですので取り上げます。タイトルに「!?」が付いているのは、これまでも最終段階で頓挫することが有ったからです
統合参謀本部議長の承認間近!?

●大統領府の複数の国防及び情報筋によると、一度2010年に承認されようとしたが、反撃の程度や手段や権限委任に関し議論があり、現在まで制定が遅れたとのこと
●承認されれば、他の軍行動に関するSROEに組み込まれ、検討が開始された2010年頃の案よりも遙かに「aggressive」で、かつ現場への権限委任が可能な内容となっている。このように語る関係者は、細部は外部に出ないよう厳しく規制されていると語った
ある意味2004年から議論の種が・・・

●そこで2004年当時のブッシュ政権は、サイバーに関する全ての決定はNSCを絡めて行うとする大統領令を発出した。それ以来、意志決定の流れは明確になったが、省庁間や情報機関間の議論はNSCが裁き、各機関独断のサイバー能力使用は制限された。
●しかし同時にこの大統領令は、省庁間や軍事的なサイバー戦能力の融合や進展を遅らせることにもなった。2006年以降急激にサイバー作戦を増加させている中国のように、「ためらい」の無い国家がより柔軟にサイバーの特性を国益に活用するようになっても。
●米国内では結局、多様な意見の相違をまとめることができず、2010年に至るまで、米軍のサイバー利用に関するSROE議論が本格的に開始されることはなかった
検討開始2010年以降の状況

●その後、危機感を覚えた少数の専門家が根本的な見直しを行い、承認手続きに入った。しかしこの時はサイバーコマンド副司令官が承認しなかった。当時の関係者は「assertive response:各部隊独自の判断による行動」が十分認められない内容だったから、と供述している
●その後再修正がなされたが、結局承認は得られなかった。現在までその状態が続いている。関係者の中には、サーバーコマンド司令官のアレクサンダー大将が「more assertive」にこだわっていることが原因だと言う者もいるが、日進月歩の技術に対処する必要から策定が難航しているという者もいる
●被害が多方面に及び、関連する省庁が増えて調整が困難を極めているとの指摘や、大統領府を巻き込んだ政治的力学が絡んでいると分析する者もいる

●いずれにしても、仮にROEが承認されれば、交戦規定の範囲であれば、現場部隊はNSCの承認を待たずに即座に行動でき、敵の行動に素早く対応できる。これは我の被害を局限できることを意味する。
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どの国も、民主主義国家である限り通過しなければならない道のような気がします。
日本は今どのあたりにいるのでしょうか? 2004年の大統領令に相当する規定の検討を始めた段階でしょうか?
サイバー反撃を含む交戦規定:SROEの承認が公式に報道されるかどうか不明ですが、承認されることを祈りましょう。世界の先頭(中国や北朝鮮等の好き勝手国家を除く)走ってもらっているわけですから・・・。
サイバーに関する最新記事15本は
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1
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