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記事「ステルス機VS電子戦攻撃機」 [亡国のF-35]

米海軍トップ「ステルス機は間違いなく今後10年間は有効だろう。しかしそれ以降考えると、私は電磁波を制圧する航空機とコンビを組む必要があろうと思う」

EA-18G Grow.jpg21日付米海軍協会web記事が「ステルス機VS電子戦攻撃機」とのタイトルの記事を掲載しました。この記事は、戦場で味方のステルス機と敵の電子戦攻撃機との対決を描く記事ではなく、ステルス機(F-35)重視の米空軍と、EA-18Gにも力を入れる米海軍との「作戦思想の相違」を浮き彫りにして描いた記事です

そしてその背景には、F-35で荒稼ぎを目論むロッキード・マーチン社と、一人勝ちは許さないとEA-18Gを売り込むボーイング社の対決があります。そして更に、F-35調達機数維持を米軍内と諸外国に押し込む米空軍と、F-35調達から少しでも逃亡したい米海軍とのせめぎ合いも、強力なファクターとなっています

「ステルス機と電子戦攻撃機」は協力してこそ効果を最大発揮する、との認識で記者は記述していますし、実際そうでしょうが、「パイを争う」予算獲得の現場ではそう単純ではない様なので、大まかに海軍と空軍を対比する形で「作戦思想の相違」を強調してご紹介します。海軍と空軍内にも多様な意見があるようですので、その当たりはご理解のほどを


米海軍とボーイング社の思想
EA-18G capability.jpg戦闘機クラスのステルス機は、敵レーダーの周波数がC、X、Kuバンド帯であればステルスが有効だが、それよりも周波数の低いSやLバンド帯の一部(例:航空交通管制レーダー)であれば、追尾は難しいかもしれないが探知は出来る可能性がある
●レーダーの波長の8倍以下の長さの機体部品が、電波で共鳴効果(resonant effect)を起こし、レーダー探知を可能とする原理である

中国やロシアは、更に周波数の低いUHFやVHF周波数帯を使用したレーダー開発を進めている。同レーダーだけでは分解能が低くてミサイル等の兵器誘導は無理だが、判明したおおよその位置にSAMのレーダーや航空機のIRSTセンサー等の他センサーを振り向け、組織的に対処することを狙っている

●米海軍とボーイング社は、電子戦機EA-18Gが広範な周波数帯に対する妨害能力を持ち、敵の各種センサーに妨害可能で有ることから将来のA2AD環境に不可欠なアセットであり、ステルス機と組み合わせることが不可欠だと主張している
EA-18growler.jpg●また高いESM能力を持つEA-18Gは、敵の地上及び空中兵器の位置を特定し種類を判別でき、自ら電磁波を発射して自機の位置を暴露したくないステスル機に敵情報を送信し、攻撃にも貢献できるとボーイング等は主張している。EA-18G自身も空中戦には参加しないが、対レーダーミサイル攻撃は可能

自ら攻撃パッケージにに加わる電子戦機を保有しない米空軍は、EA-18Gに期待する面もあるが、空母運用の制約で在空機を確保出来ないとの問題点を指摘している。これに対し海軍側は、対レーダーミサイル等の兵器搭載を無くし、電子妨害とESMに特化すれば再発進準備はより円滑になり、在空機数を確保出来ると主張している
●またEA-18Gがステルス性を持たないことに関し海軍は、味方の援護や電子的な自己防御力、そしてスタンドオフ妨害能力を総合して機能を発揮すると主張している


米空軍とロッキード・マーチン社の主張
f35c.jpgF-35は他機の支援無しに、強固に防御された空域で生存性を確保し作戦遂行が可能である。これはF-35に要求された事項であり、各種試験でも要求を満たすことが証明されている。
●また低周波数レーダーでは、仮に探知は出来ても、目標を追尾して兵器を誘導できない。見えても、何も出来なければ同じである

●EA-18Gは優秀だし、攻撃パッケージの重要な構成員として機数を増やすことには賛成である。しかし厳しいA2AD環境に適当かどうか判らない。一方、F-35は電子戦分野での能力向上を計画している

●空軍関係者は、EA-18Gの問題点は統合運用の面で相互運用性が不十分である。特にSEAD任務の際にチームを組む仲間との通信能力が不十分である。ボーイング関係者は、EA-18GはLink-16でFA-18,F-35, E-2D, F-15, F-16や大部分の爆撃機と連接可能だと言っている
リンクの問題は多くのアセット間で問題になっており、エアシーバトル推進室の頭痛の種である。例えばF-22同士はIntra-Flight Data-Link (IFDL)でしか連接できず、F-35同士も独自の装備であるMultifunction Advanced Data-Link (MADL)しか使用できない

●空軍関係者曰く「ボーイングの主張のように、ステルスにも欠陥・限界はある。しかし、もし4世代機に電子戦ポッドを搭載しただけで強固な将来の防空網に対応できるならば、空軍は100%大量にポッドを購入していたであろう。彼らの言うほど、成果は期待できないと思う」


国防副長官が指示「全作戦分野に電子戦を組み込め」
(指示の現物→http://www.dtic.mil/whs/directives/corres/pdf/322204_2014.pdf
Fox-acting.jpg3月26日付で、Fox臨時国防副長官が文書で指示(directive)を発出し、広範な軍事作戦の作戦計画や準備計画に電子戦(Electronic warfare)を融合させるよう命じました

●文書では「特に通常戦、不正規戦、情報作戦、宇宙作戦、サイバー戦、航法戦で電子戦の取り込み・融合を実施せよ」と命じている
●また同指示では「戦術、技術や手順を、統合演習や訓練に最大限取り入れる」事を命じている
●同指示は、統合参謀本部議長、各地域コマンダー、情報機関指揮官、国防省CIO初め、上級指揮官クラス宛てになっている
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だらだらと書きました。整合性のないところや繰り返しになった部分もありますが、米海軍と米空軍の間で十分に対A2AD作戦構想が議論・共有されてないことは感じて頂けたと思います

innovation.jpg大佐レベルが仲人役として頑張っている、国防省内の「エアシーバトル検討室」の苦悩もちらりと出てきましたが、厳しい軍種間の予算獲得争いと、海空軍それぞれの内部にもある職種毎の予算争いも絡み、米軍の対中国作戦構想は迷走を続けているように思えます

作戦レベルの「電子戦」について、国防副長官が指示を出すことに違和感を覚えます。制服組だけでなく、情報機関も協力するようにとの意味でしょうが・・・。
重要性が急上昇し、4軍や各種機関の間で揉めている場合ではないからでしょうが、純作戦面で円滑な連携が国防省内で図られていない事を示しているのかもしれません。

こんな時だからこそ、脅威の最前線にある日本が主体的に真剣に考え、米軍に対中国A2AD案を売り込む位の勢いが必要です。そして同盟の「操舵室」に入り、船の舵に手をかけていたいものです
急な舵操作は駄目ですが・・・

米海軍の航空作戦構想
「米海軍の航空作戦構想NIFC-CA」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「なぜ8機EA-18Gが必要か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-13

米軍の混迷を象徴するUCLASS
「RFPドラフト発出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-19
「なぜUCLASSが給油任務を?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-02-1
「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSで空中戦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-24
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