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CSBA理事長Krepinevich氏の来日講演 [Air-Sea Battle Concept]

・ゲーツ長官時代の国防諮問会議でキッシンジャーは言った。「今の中国は史上最高の戦略家の一人だ。弱点を突くのが巧みだ」と
・Work国防副長官らのゲリラチームが(あるべき軍事戦略追求のため、関連装備の)実現・調達等を画策している

CSBA-Krep3.jpg5月20日、笹川平和財団の招聘で来日したCSBA理事長Andrew F. Krepinevich氏の講演が同財団内で行われ、最近講演の模様が映像で公開されましたので、つまみ食いでご紹介します

Krepinevich氏の印象は「分別ある老舗大企業の経営者」で、講演では自己の主張を声高に訴えるのではなく、聴講者自らが考えることを促すような姿勢で「限られた資源で、何をするか、何をしないか」の選択がまず重要だと語っています

具体的には約45分間のプレゼンで戦略とは何か、戦略の重要性、情勢認識(新たな挑戦、大国間の軋轢、西太平洋・中東・対露欧州情勢)、軍事戦略での要考慮事項(核兵器拡散、新ドメインでの競争、コスト強要や増加、欧州同盟国の逃避、第3のOffset Strategy等々)に触れ、

最後に残り数分で西太平洋地域に関する軍事戦略議論にチョット言及し、最後の最後にスライド2枚(画面上では細部確認不能)でエアシーバトル発展型のような第1列島線で西側A2AD網構築とその後方に予備戦力配備のアイディアにさらっと言及でおしまいでした。

CSBA-Krep.jpg司会の山口昇元陸将が講演後に、「大変包括的で、示唆に富んだ」とコメントしていますが、大きく「戦略とは何か」から入ったため、個別具体的課題には余り入らず、新ガイドラインを契機に招聘した財団の思惑にはヒットしなかったでしょう

また、まんぐーすが期待していた「台湾にCSBAが提言した劣勢戦略を日本も導入すべきか?」との質問をする聴衆もおらず、質問はパキスタンから中東政策、核兵器から強制削減などなど多岐に渡り、日本の軍事戦略に絡める質問がなく残念でした

でも幾つか紹介すべき点もありますので、つまみ食いします
ただし、英語の聞き取りなので、誤解・誤訳には注意を!

講演と質疑応答(約71分:英語)


18分20秒付近から:中国の軍事戦略
●ゲーツ長官時代の国防諮問会議でキッシンジャーは言った。「今の中国は史上最高の戦略家の一人だ」と。中国が、ネットワーク依存と作戦拠点の少なさという米軍の弱点を突く巧みさを表現したのだ
CSBA-Krep2.jpg●中国は米軍がネットワークに依存し、そのネットワークの脆弱性を突くため、対衛星兵器、サイバー攻撃、電子戦等々に投資し、効率的に米軍の地域へのアクセスを阻止しようとしている
●更に、西太平洋地域の米軍が「多くの卵を、少ないバスケットで抱えている」状態、つまり嘉手納とグアムと空母に戦力アセットが集中してることに目を付け、各種の弾道・巡航ミサイルに投資して米軍の無効化を狙っている

34分50秒付近:効率化と欧州の劣化
●国防予算確保のため、国防省や米軍予算の無駄削減が叫ばれているが、私が成人した頃からづっと続いており、決して成就することはない。質問があれば山ほど背景原因をお話しすることが出来る

欧州は過去10年ほど軍縮レースを継続しており、今や「安保ただ乗り」とまで言われている。冷戦期とは異なり、欧州諸国は急速に人口の高齢化が進んでおり、社会旗福祉予算に目が向けられて国防費の増に迎えない状態に陥っている
●(冗談かと思ったが、真剣な顔で日本はこの点、良い意味で例外の国だと考えている。GDP1%を越えるのは時間が必要かもしれないが、必要な施策を採るものと考えている

42分付近:少し持論エアシーバトル発展型?
CSBA-Krep5.jpg●(時間切れのため説明が短く早口で、発言の意図と異なる可能性もありますが・・スライドを説明しつつ、)第1列島線上に並んだ青いバブルで対中国のA2AD網を構築し、中国が領土拡張要求や海洋支配意図を具現化させないように抑止する事が必要
●このために第一列島線上の国々が取り組むことが必要(で、日本はその中心的役割を期待される)
●(第2列島線まで図を少し拡大して、)地上戦力や予備戦力を広く分散して配置し、全体として態勢を構築する。決してこちらから仕掛けることを意図するものではなく、抑止するためにだ。

●(下に掲載のインタビュー映像では、日本への助言として、)まずオプションを増やすこと。そしてまず自国の防衛を固めること。そして次に第1列島線の防衛に取り組むこと

1時間8分20秒付近:エアシーバトルの行く末
CSBA-Krep4.jpg●(道下さんの質問か?質問に答えて、)今やエアシーバトルASB検討は統合参謀本部のJ-7に移され、よく分からない別の名前を付けられている。
ASBにペンタゴンは悲鳴を上げた。ある軍種の予算を配分を増やし、ある軍種から削減することになるからだ。結果ASBは拉致監禁(hold)され、今後は困難な道をたどるだろう

ただ、(拉致されたASB検討とは別に)かつてCSBAで同僚だったWork国防副長官らのゲリラチームのような一群が、(あるべき軍事戦略追求のため、関連装備である)LRS-B(空軍の次期爆撃機)、潜水艦や水中無人艇、空母艦載無人攻撃機UCLASS、エネルギー兵器等の実現・調達等を画策している
●また現在の上院・下院軍事委員会の委員長らは素晴らしい。冷戦後では最高のメンバーがそろっているので、期待している。
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個人的には39分50秒からの「第3のoffset strategy」関する経緯言及や、その直前のドイツ軍による「Blitzkrieg:電撃戦」への賞賛なども好きです。

経営者たるCSBA理事長の側面を感じさせる、日本への「よいしょ」も含めた「大人の講演」で、日本を顧客として「ほどほど」に重視している印象を受けました

CSBA-Krep6.jpg明らかに最後の最も重要な部分を「急いで飛ばした」感があったので、司会の山口閣下には少し柔軟に、質疑応答部分を削って講演を続行してもらう配慮が欲しかったです
聴衆の大部分の関心は、日本への提言をもっと聞くことではなかったのでしょうか?

以下のインタビュー映像には、山口閣下ら財団関係者とKrepinevich氏との会食らしき記念写真も含まれており、もしかしたら食事の場で聞きたいことは既に聴取済みだったのでしょうか?
詰まらぬ詮索はこれぐらいにして、CSBA理事長の浅草や広島研修を含む来日が実り多きものであったことを祈念致します

「CSBA理事長に聞きたかったこと」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16-2

財団によるインタビュー映像(約6分)


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