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RAND新レポート:10分野で米軍VS中国軍比較 [中国要人・軍事]

RANDが米中軍事衝突の結果を軍事分野別に予想!

Rand china-US.jpg14日RAND研究所が、軍事作戦10分野で米軍VS中国軍の視点から双方の能力比較を試み、その結果から米軍の今後取るべき方向性を示唆するレポートを発表しました。

取り上げられた10分野は、航空作戦が4分野、海洋作戦が2分野、宇宙・サイバー・核が4分野で、政策や政治面には触れず、前線の軍事面から比較分析を試みています

約430ページもの膨大なレポート「U.S.-China Military Scorecard: Forces, Geography, and the Evolving Balance of Power, 1997-2017」は、14名の専門家により執筆され、台湾事態と南沙諸島事態の2つを想定し、1996年から2017年の間の両国の戦力相対比較の推移をフォロー推測して分析しています。

本日は、同レポートの概要を報じた17日付Defense-News記事で概要をご紹介します

第1分野:中国による航空基地攻撃能力
RAND.jpg●1996年と97年の台湾海峡危機以来、中国は台湾航空基地を多様なミサイルの飽和攻撃で撃破するための準備を進めてきたと想定されているが、今やその範囲は沖縄の嘉手納基地を含む範囲にまで拡大している
●その間、弾道ミサイル数は1400発にまで増加し、CEPは数百mから5mにまで縮小した。精密誘導ミサイルにより、ほんの数発で嘉手納基地は数週間機能を失い、米航空戦力はグアム、ハワイ、アラスカ等の遠方からの作戦を余儀なくされる

第2分野:台湾と南沙諸島周辺での航空作戦
●中国軍が戦闘機の半数を第4世代機に置き換え、米軍との質的差が縮小しつつある。2017年には、質的差の縮小と、米軍は航空作戦基地の不足により、7日間の作戦で勝利を収めることが出来なくなる
7日間より長時間を費やせば不可能では無いが、その間に米軍の地上や海軍戦力は中国航空攻撃に対し、極めて脆弱な状態に置かれる


第3分野:米軍による中国防空網突破
USCC3.jpg●中国防空システムの高度化により、中国大陸周辺での航空活動は難しくなってきている。96年当時、中国のSAMはSA-2(射程35km)程度のロシア製旧式システムのコピーだったが、2010年段階ではSA-10以上の射程200kmに達するSAMの発射機を200両以上保有するに至っている
●また、4世代機やAWACSや防空指揮システム等による総合防空システムに改善されている。しかし依然として、中国本土から遠い南沙諸島周辺では、米軍ステルス機等による突破力が中国防空網に勝っている

第4部門:米軍による中国航空基地攻撃能力
●中国防空網突破は困難になりつつあるが、米側の精密誘導兵器の進歩により、米側には豊富な選択肢と打撃力が与えられている。JASSM等がその例である。
●台湾を空中給油無しで攻撃可能な中国航空基地40カ所への攻撃能力を比較すると、1996年時に米軍は平均して滑走路を8時間閉鎖できたが、2010年時点では閉鎖期間を2~3日間に伸ばせる見積もりになっている
●ただし、精密誘導兵器の数には限度が有り、戦いが長期化した場合は他の多様な要因の影響を受ける


第5部門:中国軍の対艦作戦能力
China National Day parade.jpg●ジョークを紹介:これまで、軍事的不足事態が発生した場合、米大統領がまず「米空母はどこにいる?」と質問することになっていたが、今では中国の国家主席が「米空母はどこにいる?」と質問することになるだろう

●中国軍は対艦弾道ミサイルASBMを保有すると対外的に発信している。依然、中国ASBMのための「kill chain」は米軍の前に脆弱だろうが、衛星搭載イメージセンサーなど中国側の敵艦艇発見・追尾能力は更に発展するだろう。
●また米海軍艦艇は、高度な巡航ミサイルや魚雷を備えた、優れた中国の潜水艦と対峙することを考慮する必要がある

第6部門:米軍の対艦攻撃能力と中国着上陸能力
中国による台湾への上陸作戦を阻止する米軍の能力は優れており、約4割の中国着上陸艦艇は撃破され組織的活動は困難になると見積もっている。
●しかし中国は対潜水艦作戦用のヘリや艦艇を改善しており、着上陸能力の向上を図っている。1996年以降で着上陸艦艇を倍増し、4台のLCACを搭載可能な輸送艦艇(Type 071-class)を4隻保有している


第7部門:中国宇宙システムと米国の対宇宙能力
戦勝70周年3.jpg米側は2002年に対宇宙能力に投資を始め、2004年には衛星通信妨害システムを開発し、更に報道によれば、中国衛星の光学センサーを妨害する高出力レーザーを開発し、BMDミサイルに対衛星攻撃任務も付与したとも言われている。
●米側の取り組みは一方的なものではなく、中国による2007年の気象衛星を攻撃目標にした衛星撃墜試験等を受けた動きである

第8分野:米国宇宙システムと中国の対宇宙能力
●上記2007年の低軌道衛星迎撃以来、中国は3回対衛星ミサイル試験を行っている。また中国はレーザー測距離装置で米軍衛星を妨害する可能性や、攻撃のために位置把握を行っている可能性がある
●低高度衛星への妨害や画像装置妨害は激しいものと予想している。またロシア製の妨害や高出力発信器は、米国の通信やISR妨害に使用される可能性があり要注意装備である


第9分野:米中のサイバー攻撃&対処能力
CyberspacePolicyRe.jpg●最近の政府人事局サーバーが中国のサイバー攻撃を受けた事例など、米国は激しい攻撃を受けているが、本レポートは有事にサイバー領域で皆が考えているほど被害を受けないだろうと示唆している
米サイバーコマンドはNSAと緊密に連携し、NSAの高等なサイバー道具を活用することが出来る。ただ米側が有利だとしても、双方が予期しないサプライズに襲われ、民間インターネットにより多く依存している兵站組織は脆弱だろう

第10分野:両国の核抑止の安定性
両国の「第2撃能力」を比較して分析している。中国は1996年以降、DF-31/31AやMARV化したDF-5を導入し核戦力を近代化している。またJL-2をJin級潜水艦に搭載し始めている
●しかし中国には、米国の「第2撃能力」を破砕する能力は無い。米国の核弾頭数は中国の13倍ある


まとめと米国への提言
Western Pacific2.jpg●政軍レベルから考えると、中国指導者が、中国と隣国との紛争に米国は介入しないだろうと考えるようになることが懸念される。こうなると米国の抑止力は低下し、中国の軍事力使用の敷居が下がる。
●従って、中国指導者から米国が弱体化しつつあるとの認識を払拭し、米軍と対峙することの厳しいリスクを再認識させることが必要

●米軍の投資は、基地の重複や残存性強化に、スタンドオフ兵器、ステルス性のある残存性の高い戦闘機や爆撃機、潜水艦や対潜水艦能力、強固な宇宙及び対宇宙能力により配分すべき。一方で、旧式の戦闘機や空母への投資は減少させるべき
●そして米軍は、アジア全体の戦略的縦深性を活用する積極拒否戦略を考案し、米軍が中国の初動攻撃を吸収して反撃できるような態勢構築を考えるべき中国近傍の拠点防衛は、単純に割に合わない(unaffordable)

●政治レベルでは、フィリピン、ベトナム、インドネシア、マレーシアの軍施設への有事アクセスを重視し、関係強化に取り組むべき
Taiwan-China2.jpg●しかしそれら取り組みを持ってしても、米国は中国から深刻なる挑戦を受ける。中国は重点を絞り込んで戦力を最適化するだろうし、米国は地理的に極めて複雑な局面に直面する

●中国は紛争想定エリアに近接しており、作戦準備が容易で、戦闘能力に重点投資が可能で、兵站支援等を重視する必要はない
●逆に米国は、遠方からの兵站能力を考慮し、脆弱な宇宙アセットに依存した通信システムに頼っている
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RAND研究所の同レポート関連webページ
http://www.rand.org/paf/projects/us-china-scorecard.html

Full Report???
http://www.rand.org/pubs/research_reports/RR392.html

最後の「まとめと米国への提言」部分が全てを表現していますが、米国防省や米空軍等と近いと言われるRANDのレポートだと改めて読み返してみると、いくつも「やっぱり」とか「ほぉ・・」との記載があります。

「中国によるミサイルの飽和攻撃・・・今やその範囲は沖縄の嘉手納基地を含む範囲にまで拡大」
「精密誘導ミサイルにより、ほんの数発で嘉手納基地は数週間機能を失い、米航空戦力はグアム、ハワイ、アラスカ等の遠方からの作戦を余儀なく

ASB-LCAC.jpg「1996年時に米軍は平均して滑走路を8時間閉鎖できたが、2010年時点では閉鎖期間を2~3日間に伸ばせる見積」
約4割の中国着上陸艦艇は撃破され組織的活動は困難になると見積」
「有事にサイバー領域で皆が考えているほど被害を受けないだろうと示唆」

悲観的な面だけでなく、今は取りあえず優位に立っている・・との分析はプロの指摘です。正否は別として。
サイバーに関する記述は、日本に関して言えば当てはまらないでしょう。何にもしてないも同然の状態ですから・・・

でも、「中国近傍の拠点防衛は、単純に割に合わない(Defense of static positions near China may simply become unaffordable.)」は厳しい冷徹な表現ですねぇ・・・

RAND研究所の過去のレポート
「前:RAND中国軍弱点レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-15
「後:RAND中国軍弱点レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-15-1

「RANDが中国軍戦略を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-29
「RANDレポート:中国との紛争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-20-1

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