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米空軍がF-15とF-16の延命策を検討中 [米空軍]

Bunch3.jpg24日、米空軍省の調達担当副次官であるArnold Bunch中将は、米空軍協会朝食会で講演後に、F-35の遅れや調達速度低下に備え、F-15とF-16の延命及び能力向上施策を吟味検討中だと記者団に語りました。

しかし同時に、必要だが予算枠の関係で、少なくとも2018年度予算まで待たなければならないとも語りました。なお本件については、同様の問題認識を、先週カーライル戦闘コマンド司令官も記者団に語っていたようです

米空軍と日本のF-15との間には、色々形態の違いもあるのでしょうが、日本の国防環境を考えれば、F-15戦闘機の後継に「一点豪華主義」の膨大な投資をするより、米空軍と協力してなるべく安価に能力向上&延命改修をした方が適切だと思います
Jinpo2.jpg
この点は台湾に学ぶべきで、ご参考まで、慶応大学の神保謙先生の「台湾に学べ論」も併せてご紹介します。

なお神保謙氏は、採決直前の参議院で最後に「安保法制賛成の」参考人証言を行った「お墨付き」のしっかりした安全保障研究者です


25日付米空軍協会web記事によれば
●24日Bunch中将は、「現在の技術動向を精査し、脅威の変化と速度を見極め、併せてF-35の導入ペースも睨みながら、延命及び能力向上施策を吟味検討中」だと語ったが、同時に少なくとも2018年度予算以降まで待つ必要があるとも述べた

Bunch2.jpg●また同中将は具体的に、「現時点で、具体的な18個の改修等提案を議論精査しているが、まだそれほど細部の議論に入ってはいない」とも説明した。

●先週、米空軍戦闘コマンド司令官のカーライル大将も記者団に、F-22の機数が余りにも少なく、F-35の調達速度も遅いことから、F-15C及びF-15Eのレーダーやセンサーの更新、構造的疲労が進む胴体や翼の交換等を考えざるを得ない、と語っている
●ただし前述のBunch中将は、「だからと言って、延命及び能力向上施策が可能とは限らない。多分予算が確保出来ないだろう。より分析をする必要がある」と付け加えた
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神保謙氏が語る台湾の現状と対応策(概要)
(9月1日付「政策シンクネット」より)
Jinpo.jpgいま台湾が置かれている防衛状況は、5年後10年後に日本が置かれるかもしれない環境に似ている。台湾はすでに大陸側とパワーバランスを保てなくなり、経常的に劣勢に置かれている状態。理由は2つある
●理由は第一に、2000年代中頃から中国が台湾に対して圧倒的な航空優勢を確保するに至ったためで、更に、中国は1500基以上の短距離弾道ミサイルを台湾に向けており、台湾の防御能力の限界を超えた「飽和攻撃」が可能になっているから。つまり、台湾の防衛戦略にとって(軍事的な)「優勢」や「均衡」を前提とする時代は終わった

第二の理由は中国軍事侵攻を抑止する米国の軍事コミットメントの後退。2代目ブッシュ大統領は「どのような状態であろうと(Whatever It Takes)台湾を防衛する」と宣言したが、米中関係が経済的な相互依存を深化させ、新しい大国間の関係を模索する中で、台湾の戦略的地位が低下しているから
Taiwan-China2.jpg●振り返ると、2004年の総統選挙に向け、新憲法制定も念頭に、陳水扁総統(当時)はミサイル防衛の強化に関する住民投票を実施した経緯があるが、米国の対応はきわめて冷淡で、ブッシュ大統領は温家宝首相と会談し「一方的に台湾海峡の現状を変えようとするいかなる試みにも反対する」と述べ、米国は台湾が発火点の紛争に巻き込まれたくないと明示した

●この頃から米国政府では、中国を「責任あるステークホルダー」と呼ぶなど中国の役割に期待する論調が高まり、台湾海峡の安全確保のため、台湾も勝手に行動しないことが必要と認識されるようになった
●米国は条件付きの台湾庇護者であるばかりか、台湾を「厄介者」としてとらえる論調が米国で増え、台湾を切り捨てて米中関係の安定を図る立場の主張も表れ、台湾にとって衝撃の変化となった。

台湾政権交代の可能性大
TaiwanMa.jpg●上記のような米国内に存在する台湾に対する見方に私(神保)は賛成しないし、日本にとって台湾の戦略的重要性は極めて大きい。ただし大きな視点から、台湾の戦略的重要性が低下しかねない環境である事は、十分認識すべき
●現在の馬英九政権は、経済交流や規制緩和を通じて台中関係の改善を試み、結果、台湾経済の回復も進み、独立派の多い台湾の中南部の人々までも大陸に進出。かつて独立を主張していた勢力も、大陸進出によって経済的恩恵を享受するようになり、活動自体が弱体化。

ただ馬英九の求心力が低下し、昨年12月の地方選も5つの直轄市で全敗し、2014年3月「ひまわり学生運動」のような中国との関係強化反対派も広く存在
●しかし香港の「雨傘」デモがもたらした負の影響も大きく、一国両制自体の問題を指摘する声も強まりつつある。このままだと、2016年は民主進歩党が政権を奪うとみられ、馬英九政権下の北京との信頼関係維持は難しくなる。台湾情勢はけっして安泰ではない

メンツを捨て、実を取る台湾軍
TADTE5.jpg第一の方向性は、対称戦略を止めること。中国との対称的な軍事的均衡追求を放棄し、非対称的なA2AD戦略を採用すること
●最近、台湾海軍は小型コルベット艦を大量に購入。駆逐艦の半分サイズで、機動性が有り戦闘能力が高い艦艇。大きな駆逐艦を少数でなく、小型戦闘艦の大量購入は、プライドを捨て独立を守るということ
軍事バランスが崩れた状況を前提とし、兵力構成に変革しようと。これは重大な決断で、大きなパラダイムシフト

第二の方向性は強靭性と生存性。台湾の空港では、軍用アセット防護のためにコンクリートの厚さ、地下の深さ、戦闘機の格納場所など防御体制を整備。空港や港湾をミサイル等で攻撃された際には、攻撃に対する耐久力と回復能力、代替施設を使用する能力などがきわめて重要
●この点で、台湾の有事に対する備えは、日本よりもはるかに真剣。これは自衛隊基地と比較すると一目瞭然。この点も、5年後から10年後の自衛隊の態勢整備で教訓となる。
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Jinpo3.jpg台湾国内政治の動きは、今後まだまだ流動的でしょう。
また台湾軍が「強靭性と生存性」の面で自衛隊を遙かに凌駕している点はそうでしょうが、「メンツを捨て、実を取る動き」や「大きなパラダイムシフト」は、その兆しが見え始めた段階かも知れません。

しかし神保氏が、慎重に柔らかく、しかし決然と主張する「いま台湾が置かれている防衛状況は、5年後10年後に日本が置かれる環境」との指摘は、必然で当然で自明の理です。

米国のシンクタンクが、オフショア・バランシングに傾き第一列島線の外から「生暖かく日本等の同盟国を見守る」姿勢を打ち出し始めたのも、「2004年の台湾総統選」に向かう頃の台湾情勢に似ています

だから言うのです。脆弱なシステム群に支えられた「一点豪華主義」の「戦闘機」だけに投資から「パラダイムシフト」し、F-15「延命及び能力向上」の道を米空軍と共同して考えたら・・・と。

台湾情勢を踏まえた論考
「神保氏:台湾の劣勢戦略に学べ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25
「CSBA提言:台湾新軍事戦略に学べ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
「ヨシハラ教授:日本は分際を知れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-18

オフショア・バランシングに傾く
「陸自OBがCSBA論文に便乗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「Offshore Balancing論解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27

いい加減にしろ戦闘機命派
「悲劇:F-3開発の動き」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

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