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意味不明:岡崎研究所が台湾戦闘機を擁護 [安全保障全般]

Taiwan-China.jpg5月23日付Wedge岡崎研究所評論集は、「戦闘機は不要? 再考迫られる台湾安全保障政策」とのタイトルを掲げ、RAND研究所がまとめた「台湾への防空政策オプション:Air Defense Option for Taiwan」とのレポート(米国防省が依頼)に疑問を投げかける論説を発表しました

RANDのレポートは中国の圧倒的な弾道・巡航ミサイルの配備状況から、従来のように防空を戦闘機中心の投資や体制で追求するのではなく、残存性の高い地対空ミサイルへの資源配分を高めた方が、全体として高い抑止効果と戦闘能力が得られるのではないかと提言するものです

具体的に同レポートは、戦闘機を現在の330機体制からF-16のみ50機程度の体制に削減(米国が現在許可している能力向上を終了するF-16)し、パトリオット防空ミサイル4個部隊を13個部隊に増強。更により短射程のSAM(IFPC-2)を40個部隊を新たに配備する案です

詳しくは過去記事
「RAND:台湾は戦闘機中心を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-07

なお台湾の面積と人口は、近畿2府四県(大阪、京都、滋賀、兵庫、和歌山、奈良)に三重と徳島を加えた規模で、中国大陸との距離は200~300km程度です。

ちなみに中国軍は、台湾正面に1200発以上の短距離弾道ミサイル(高い命中精度)を配備し、巡航ミサイルも1000発以上と言われています。また数十カ所の戦闘機配備可能基地を維持しています

RANDレポートに対しWedge記事は
RAND Taiwan.jpg●研究報告書は130ページにも上るもので、台湾の防空についての諸問題を詳細に検討したうえでの結論であって、思い付きを言ったものではありません
中台間の軍事バランスが中国有利になっていること、空軍についても量・質の面で中国が台湾を圧倒していることは明らかです。台湾が台湾のみで中国に対して台湾空域の防衛をすることを考えれば、こういう結論しかありえないでしょう。

しかし、中国が台湾を大規模攻撃する際に、米国が何もしないという事態は考えられません米空軍が台湾防衛に乗り出す場合には、状況は大きく異なってくるでしょう。
●そういう状況を念頭に置いていないという点で、この報告書は現実に起こりうる事態を十分に踏まえていないのではないかと思われます。

●また、台湾の戦闘機についても、質の良いものを米が供与すれば、台湾側の質的劣勢はある程度是正されるのではないでしょうか
米国の介入の有無は、本件について考える上で最重要のファクターです。あたかもそれがない場合を想定しての議論は、誤解にもつながり得ます

Wedge記事は戦闘機命派の裏工作か
Taiwan3.jpg●中国は、1995年頃の台湾総統選挙を巡り、米空母2隻を前に沈黙せざるを得なかった苦い経験を、「臥薪嘗胆」を胸に20年間我慢して軍事力の改善蓄積に取り組んできました
●その軍事力強化の方向性は、台湾問題対処が最優先で、米国が介入する前に「短期の高列度紛争で目的達成」であり、その後の米国による巻き返しの阻止(A2AD)することです。

●今の台湾作戦における中国軍の実力をどのように評価し、Wedgeの論説は書かれたのでしょうか? 米空母が台湾近海で悠々と示威行動が出来ると考えているのでしょうか?
嘉手納基地から飛び立った米空軍のステルス戦闘機が、グアム島から飛び立ったステルス爆撃機が大いに活動するとの前提で、中国の弾道ミサイルが沈黙し、台湾空軍330機の戦闘機の存在を意味あるものにしてくれるというのでしょうか?

米国の政治的介入も考えられるから、台湾の戦闘機体制はそのままで良いというのでしょうか? 近畿程度の面積に300機以上の戦闘機が蝟集する状況を肯定し、地上でゴミとなる恐れを感じないのでしょうか?
戦闘機を「ゼロ」にしろなどと誰も行っていません。戦闘機への投資を削減し、SAMへの投資を増やした方が、抑止力として効果的で、米軍の来援や巻き返しを待つ時間稼ぎが出来るのでは・・・とのギリギリの知恵をRANDは出しているのです

戦闘機命派は最近、「だからどのような装備体系が望ましいか」を言わず、「戦闘機だけに実質投資を守る」ため、何となく現状のまま、グレーゾーン対処を延々とやることを中心に考えれば良いと訴えます。空自OBの三菱重工顧問が典型例です
RAND Taiwan4.jpg●長期間続くであろうグレーゾーン対処に望みつつ、相手が着々と蓄える新戦力や新たな作戦方針に備えることも同時に必要なはずです。南蛮渡来の「鉄砲」を敵が備える中、いつまでも「剣術」だけでは無責任です

●雑誌WedgeはJR東海の新幹線車内誌で、JR東海の名誉会長・葛西敬之氏は「F-35大好き人間」と言われています。まさか・・・とは思いますが、葛西氏に「こびる」ため、岡崎研究所が「筆先サービス」したのでしょうか?
●そして、葛西氏の後ろには、無邪気な戦闘機大好き派が群がっているのでしょうか???

批判殺到!戦闘機命派の言説
「中国は全面戦争を招く日本攻撃をしない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06

関連の記事
「RAND:台湾は戦闘機中心を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-07
「慶応神保氏:台湾の劣勢戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25
「CSBA:台湾は弱者の戦法を」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27

「ヨシハラ教授:日本版A2ADを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-18
「森本元防衛大臣の防衛構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-05
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12

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おっちゃん

Wedgeの記事はもう何年も前から、まんぐーすさんが紹介していたことをきっかけに日々チェックしており、なかでも関心がある記事はいつも岡崎研究所のものでした。
しかし、だんだんと、「お!」と、感じることが少なくなったなぁと思っていたところに、まんぐーすさんが紹介していたランドのレポートについて、さも、「アメリカがいれば大丈夫。戦闘機は無駄じゃない」と言わんばかりの書きぶりで、素人ながらも違和感を感じていました。

以前、尖閣をめぐる日中7日間の攻防についての記事があり、様々な意見がネットや新聞に掲載されたことを思い出しました。
ある一つの報告書をめぐっても、様々な見解があり、その見解が書かれた背景にもいろんな事情があるかもしれないのですね。

by おっちゃん (2016-05-28 08:15) 

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