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対中国でF-35やF-22をいかに有効活用するか [亡国のF-35]

5th-Gen.jpg6月30日、米空軍F-35準備室長Harrigian少将(中将として間もなく中央軍へご栄転)ら5世代機の運用経験者が、「Fifth Generation Air Combat: Maintaining the Joint Force Advantage」との約10ページのレポートを発表しました。

F-22部隊の建設や指揮官を務めた2名の筆者は、5世代機がステルス機だとの認識は共有されているが、事前搭載される敵味方の情報(MDF)と、そのセンサー、電子戦、ネットワーク能力等を融合させる事で、米軍主要指揮官が十分理解していない「想定以上の能力」発揮が可能な点があまり知られていないと訴え、対ISILを初めとして、F-22派遣先から極めて高い評価を得ていると強調しています

一方で、これを対中国等で考える場合、強力な弾道・巡航ミサイル攻撃や、SAMに代表される強固なIAMD網が想定される状況下、第5世代機と言えども有効活用するには幾つかの対策が必要だと指摘しています
そして最後に、10年後の2026年に中国のような国(一言もChinaとの言及はない)と対峙した際の想定シナリオを提示し、第5世代機使用上の着意事項を読者に説明しています

このレポートを紹介する軍事メディアの中には、「5世代機プロパガンダ」だと表現するものもあり、また事柄の性格上から細部具体的な記述には限界がありますが、第5世代機の西太平洋における作戦運用イメージに触れたものとして、また現役幹部がまとめたレポートとして、貴重ですので取り上げます

知られていない5世代機の特長
F-35 3-type.jpg●ステルス性、速度、機動性に加え、例えばF-22の提供する状況掌握表示能力を、各級指揮官達のほとんどは想定以上だと使用してみて初めて気付く。複数のセンサー情報を融合し、事前搭載した敵味方の情報データベースと照合して即時に提供する能力はまた、随行する第4世代機の能力を格段に飛躍させる
●米空軍戦闘コマンド司令官も、F-22の攻撃、援護、敵情収集と情報管理、それら情報の共有能力などは、我々の期待を遙かに上回っていると表現している

●また電子戦自己防御や電子妨害による敵センサー攪乱能力も優れており、この点でも第4世代機とは一線を画している
機体の状態を常時モニターして「診断」を行い、正確に故障等をレポートしてシステム全体の信頼性や稼働率向上に繋げることも可能である
●強靱な通信、航法、識別能力により、敵の妨害によって能力発揮を妨げられる可能性が低い

5世代機活用に必要な改善事項とは
Harrigian F-35.jpg●敵の強固な防空網を突破するタイミングや、敵の重要目標を攻撃できるタイミングは長くは続かないので、米本土化や遠方から作戦戦域に展開する時間の短縮に努力する必要がある
●併せて第5世代機保有部隊は、同機体の維持整備や兵站全体を良く理解し、前方展開する際に持ち込む必要がある装備や人員や部品を局限するように精力的な検討が必要である

●前線で第5世代機が使用可能な飛行場を増やす必要がある。そして(正規の展開基地以外の)臨時飛行場それぞれの状況を良く把握し、作戦、兵站、指揮統制上の制約や影響を熟知しておく必要がある
●敵の攻撃に備え、第5世代機を維持整備するシステムを強靱化し2重化する等の施策が必要である。この強靱化は、物理的なドメインだけでなく、サイバー攻撃にも備えたものである必要がある


2026年の紛争想定シナリオ(興味ある部分のみ)
Marosko.jpg●情勢が緊迫する中、敵はF-35の自動兵站支援システムALISなどのシステムにサイバー攻撃を仕掛けるが、事前準備により撃退
米本土から展開する数個の第5世代飛行隊は、敵攻撃による同時被害を避け、敵攻撃を複雑にして敵の負担を増すため、1つの飛行場に1個飛行隊までしか配備せず、民間飛行場の活用も含めて分散展開させる

F-35を保有する同盟国と各種データや手順を事前段階から共通化し、推移の早い紛争展開に備える。例えば米軍基地から離陸した米軍F-35が、母基地がミサイル攻撃で被害を受けたり、故障や被害で緊急に豪軍の基地に着陸することになっても、整備修理手順の共通化により、当該機体は翌日には作戦投入可能になる
●また2026年までには、飛行場の航法援助施設が被害を受けても、第5世代機は如何なる天候でも、機体が備えた装備により安全に事前登録した飛行場に着陸可能になっている

●敵攻撃により民間の輸送網が被害を受けても、準備されている緊急対処計画に基づき、部品、燃料、弾薬などを分散した各地の飛行場に配分輸送する
MI_Logo.jpg●連合で統合の航空作戦センターが被害を受けた場合でも、事前に定められた権限委任計画に基づき緊急対処を行い、複数準備された代替手段活用による指揮統制復旧までの作戦を遂行する

●敵が前線展開基地を弾道ミサイル等で攻撃し、装備や人員に大きな被害が出ても、同盟国は準備した増強要員を投入して米軍の来援まで支援する
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F-35の特長と必要な準備を説明するシナリオで、豪軍だけが実名で登場しますが、「前線展開基地に装備や人員に大きな被害が出ても、同盟国は準備した増強要員を投入して米軍の来援まで対応する」とか、日本を意識した表現が見られます(誇大妄想でしょうか???)

またこのレポート発表会見終了後、記者団に米空軍F-35準備室長Harrigian少将が、「(F-35運用に極めて重要なデータ)MDFを共有できないF-35購入国がある」と語った件を、先日の記事でご紹介したわけです。

このシナリオを見て、日本がその「共有できない国」ではないかと、またふと思いました。このシナリオで実名が出てこない重要な同盟国が日本だと直接言及できないので、日本に「共有できない問題」があると、あえて記者にリークしたのではないかと・・・

F-35 fix.jpg本レポートの中身は第5世代機を理解するのに役立ちますし、「5世代機活用に必要な改善事項」や「シナリオ」は新たな視点を提供してくれています。
しかし読めば読むほど対中国の戦いで、F-35など5世代機を活用することは難しいと感じます。更に言えば、戦闘機自体の活用がとてつもなく難しいのでは・・・特に日本では・・・と改めて感じます

レポート現物(1MB:ミッチェル研究所)
http://media.wix.com/ugd/a2dd91_bd906e69631146079c4d082d0eda1d68.pdf

「MDFを共有不可なF-35購入国がある」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-01

第5世代機の能力と役割
「5世代機はセンサーとして」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-28
「5世代と4世代機の融合検証」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-18-1

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