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将来制空アセット「Penetrating Counter Air」検討 [米空軍]

現実的にPCAのIOCを2028年あたりと想定
空中戦用ではなく、Sensor Nodeのイメージ
伝統的な戦闘機とは異なるものになろう
最も重要な要素は「航続距離」と「搭載能力」
「Fieldable prototypes」を合い言葉に煮詰める

Grynkewich2.jpg28日付Defense-Newsが、米空軍の将来制空を検討し5月に終了した「Air Superiority 2030検討」を踏まえ、具体的な要求性能を2017年に打ち出す前段階検討として、F-35に続く制空アセットの検討が進んでいると紹介しています

これまでも「family of systemsで考える」、「第6世代戦闘機との表現は適当でない」や「航続距離と搭載能力に焦点」との考え方で煮詰まりつつあると紹介してきましたが、「2030検討」をまとめたGrynkewich准将は更に、「2028年にIOCを目途」とか、「PCA:Penetrating Counter Airとの呼称を好む」とか、「伝統的な戦闘機ではないだろう」とか語っています

少なくとも、航空自衛隊の前トップ「齋藤なにがし」が退任直前の記者会見で、次期戦闘機に求められる要素として「例えばスラストベクターとか・・」と口に出し、世界中の軍事専門家から嘲笑を浴びた世界観とは全く異なる次元で世の中が動いていることを、改めて戦闘機命派の皆様に感じて頂きましょう

28日付Defense-News記事によれば
AS-2030.jpg2017年に実施する次期制空アセットの要求性能や調達戦略を絞り込むAOA(analysis of alternatives)に先立ち、米空軍は既に前段階の検討を進めている。
●「2030検討」のリーダーであったGrynkewich准将は、従来の戦闘機検討と2つの点で今時の検討が大きく異なると説明した

一つは調達までの速度感である。同准将は「現実的な時程として、PCAのIOCを2028年辺りと見据えている」「2020年代後半には何らかを手にする必要がある」と語った
二つ目は、「2030検討」でも第6世代戦闘機の様なイメージの航空機単独での制空は考えられないと示し、「networked family of systems」で任務を果たすイメージを提示したが、コンビを組むのは突破型とスタンドオフ型の航空機だけでは無く、宇宙やサイバーや電子戦アセットである点である

●このイメージは、過去の空中戦アセットのイメージでは無く、「sensor node」のようなイメージである。そこで我々は現在、限られた機体スペースに、攻撃能力、残存能力、航続距離、搭載能力などの要素をどのようにトレードオフして組み込むかを吟味している
迅速に形にする事も重要である。過去の戦闘機検討の形で究極の第6世代戦闘機を検討していたなら、どう努力しても2040年までに形にすることは不可能だ。緊急調達方式や同時並行開発方式を活用し、10年早く実現したいと同准将は語った

●エンジンやセンサーや兵器技術が鍵となるが、各要素が成熟してきたなら早期にシミュレーションやモデリングで期待効果が出るか確認し、最も難しい各要素技術の融合については、プロトタイプ作成でリスクを局限する。運用面で現実的かつ任務に必要な程度を見極めてプロトタイプで確認する。実現可能レベルを精査する「Fieldable prototypes」を合い言葉にしたいとも准将は表現した。
●また、可能レベルを見極め、トレードオフを更に議論し、成熟度を出来るだけ高め、プロトタイプを飛行させて確認する。要求性能をむやみに上げず、時程の中で到達不能なレベルを求めなければ、良い仕上がりが期待できる


「第6世代」も「NGAD」もダメ、「PCA」で
Grynkewich.jpg●「第6世代戦闘機」との言葉は辞書から消し去り、「NGAD:Next Generation Air Dominance」との表現も控え、「PCA:Penetrating Counter Air」との表現を使いたい。
●超超音速機か、レーザー兵器は搭載するか、どんな形状かとの議論は有用ではない。どのような特性や要素(attributes)が2030年代の制空の獲得維持に必要な鍵かを議論したい
●米空軍は、特定の技術が未成熟だからと言って計画を一旦停止したくないとの考え方だ。つまり、出来上がりは伝統的な戦闘機とは異なるものになろう

●検討に関わる戦闘機操縦者には、「F-○○の名称は残るが、必ずしも戦闘機とは成らない」「9G旋回可能とか、垂直尾翼が2つとか、ガンや格闘戦ミサイルがどうとかが従来の視点だが、今回は別の特性に目を向ける」と言っている
●要求性能は未確定で今後もAOA決定過程で議論は続くが、最も重要なPCA航空機の2つの要素は「航続距離:range」と「搭載能力:payload」である。その後に、機動性や加速性能や最高速度の議論が続き、これらのトレードオフを突き詰める必要がある
古典的な空中戦関連の要素が、トレードオフ議論で優位にあるとは考えにくい(a little skeptical)

●CSBAのMark Gunzinger研究員は、米空軍は良いスタートを切ったと評価し、「将来の作戦地域と想定される西太平洋地域を考えれば、作戦機には航続性能が要求され、加えてより大きな搭載能力が求められる」と見ている
●一方でまだまだ検討して煮詰めるべき点は多々あり、経費面と調達の迅速性の兼ね合いもトレードオフを良く検討する必要があると述べている。2030年までには実用化し、かつ購入可能なレベルの単価に抑える条件を踏まえる必要があると指摘した

ご参考:Gunzinger研究員レポート
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

6-GN3.jpg●Grynkewich 准将は、5月公開の「2030検討」を受け、将来の実現可能性を追求する実験的な努力がいくつも開始されていると説明した。春から開始された、センサー情報を迅速に処理共有してリアルタイムな作戦に結びつける「Data to Decision」検討もその一つで、「iPhoneでアプリを動作させる様に」戦闘情報クラウドを活用する事を狙っている
第一段階としてシミュレーションやモデリングで効果を確かめ、第二段階の試験では「Agile and Intelligent targets」対処に焦点を当て、数ヶ月後には評価試験を開始したい。この段階で技術の未成熟部分が確認できれば、将来の検討課題としてリストに記録していくのだとも同准将は語った
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2028年との時期設定には、米軍の対中・対露での焦りがあるのでしょうか? とりあえず迅速さを追求してみよう・・・と言うことなのでしょうか?

上記記事を理解するために知っておくべき米軍の認識
●中国は対米軍で、不利な空中戦による航空優勢獲得など狙っていない
弾道・巡航ミサイルやサイバー・宇宙・電子戦による初度先制攻撃で、西側の数少ない脆弱な作戦支援インフラや在地航空アセットの無効化を狙った装備体系強化に力点を置いている

●日本の南西諸島や九州の航空基地は緒戦で使用不能になるだろうから、より遠方からの航空作戦実施を強いられる
●反撃する際も、中国大陸沿岸部の強固で残存性の高いA2AD網内での作戦はステルス機でもリスクが高く、センサーとして活用する突破可能型のアセットは必要だが、無人機やスタンドオフ攻撃兵器の活用を重視する必要がある

「悲劇:F-3開発の動き」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「対中国で5世代機を活用する前提事項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-04
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16


遠征軍である米空軍であれば、上記のように考え方もあり得ますが、日本のように中国のA2AD網の範囲内に入る国は、初動で航空機を含む地上インフラが大損害を受ける日本は、当面の対領空侵犯措置だけを考えた抑止効果の低い戦闘機投資の優先度を見直すべきと言い続けてきました

そして元空将の廣中雅之CNAS研究員も、同様な考えだとお察ししました。もしかしたら、同じく元空将の小野田治氏もそうかな・・・と思う今日この頃です。

上記記事と以下の関連過去記事をじっくりご覧いただき、織田邦男氏の没落と共に、戦闘機命派の残党の皆様はさっさとご退場頂きたいです

将来の制空アセットに関する検討
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

制空アセットの関連検討
「新トップ:迅速に情報共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-21
「世代間リンクと小型ミサイル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-18-1
「制空のため新型エンジン開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-02-1

「米空軍:小型無人機20年計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-18
「米海軍の無人機の群れで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

「ロッキードは消極的」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17
「kill chain全体で考えよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-27

「対中国でF-35やF-22をいかに有効活用するか」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-04
米空軍F-35準備室長やF-22飛行隊長経験者が主張→5世代機の真の能力と対中国で能力を生かすために必要な事前施策

空自の元将軍にも反戦闘機派?
「広中雅之は対領空侵犯措置に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機投資に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05

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