So-net無料ブログ作成
検索選択

米軍司令官:ロシア巡航ミサイルへの防御なし [Joint・統合参謀本部]

Hyten5.jpg4日、米戦略コマンドのJohn Hyten司令官(空軍大将)が上院軍事委員会で証言し、INF全廃条約に違反してロシアが開発した巡航ミサイル(恐らくSSC-8:9M729)が欧州方面に配備され欧州全域が射程範囲内に入る可能性があるが、米国や欧州同盟国は防御手段を有していない(no defense)と語りました

この時期の議会証言は次年度予算案の背景説明ですから、厳しい脅威の実態を訴えるのが常套手段ですが、何度かご紹介してきたロシアのINF全廃条約破りの動きを、2月14日付NYT紙が実戦配備開始と報じたことから、米国政府としての対応が注目されているところです。

なおINF全廃条約とは、レーガン・ゴルバチョフ間で1987年12月8日に署名された同条約は、米露が射程500kmから5500kmの地上発射ミサイルの廃棄と保有禁止を約束するものです。もちろん、中国や北朝鮮やイランを拘束する条約ではありません

SSC-X-8.jpg特にロシア側は、プーチンが「ほぼ全ての隣国が中距離ミサイルを開発している」と危機感を訴え、ロシアによる条約破棄は「控えめに言っても議論対象だ」と発言しているように、同条約に不満を持っています。しかしロシアは「SSC-8:9M729」が同条約違反だとは認めず、ずるずると実質米国だけが条約に縛られている状態を上手く作為しています

関連報道とINF条約を巡る経緯
「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

JICSPOC.jpgもう一つ同司令官は米軍が大宣伝売り出し中の関連政府機関や諸外国人の協力も得て運用している「JICSPOC:統合共同多機関宇宙作戦センター」の名称を、判りやすく「NSDC:国家宇宙防衛センター」に改称すると発表しています。

なお「JICSPOC」はコロラド州のSchriever空軍基地に所在し、米戦略コマンドがリードし、国家偵察室(NRO)、空軍宇宙コマンド、米空軍研究所ARRL、情報コミュニティー、宇宙関連情報提供企業が協力して運用する形態で、2015年10月に正式運用を開始した宇宙作戦センターです。

INF条約違反のロシア巡航ミサイルに関し
●上院軍事委員会でJohn Hyten司令官は、最近ロシアが配備したINF全廃条約違反の地上発射型巡航ミサイルに関し、「我々には防御手段が無い。特に欧州同盟国を防衛する手立てが無い」と証言した
●なお同巡航ミサイルは2個部隊編制されており、1個がカスピ海北方のボルゴグラード市近郊部隊に配備されているが、もう一つの部隊の所在は不明である(公開されていない)

SSC-X-8 2.jpg●同司令官は更に、「同巡航ミサイルの展開場所にもよるが、欧州大陸の大部分はミサイルの射程内で脅威にさらされる。国家としてどのように対応するかを考えなければならない」と付け加えた
米国は、同巡航ミサイルが試験発射を行った2014年から、オバマ政権がINF条約違反だと指摘しているが、ロシアは条約違反を否定し、逆に米国の装備を違反だと批判している

●また同司令官は、核兵器の近代化を進めていることに懸念を示し、更に中国とロシアによる米国軍事衛星への脅威が高まっていると訴えた
●ただし同司令官は、ロシアが2018年2月までに弾頭数を1550発にまで削減する新START条約には協力的であると証言している

「JICSPOC」を「NSDC」へ改称
JICSpOC2.jpg●「JICSPOC:Joint Interagency Combined Space Operations Center」から、「NSDC:National Space Defense Center」への改称についてHyten司令官は、「誰もが何のための組織か理解できるようにするため」とジョーク混じりに同委員会で説明した
●一方で同司令官はNSDCの重要性とその活躍振りをアピールし、同作戦センターの名称がどうであろうが、「(各政府機関や関連省庁や企業の間にある)全ての壁を取り除き、優れた設備のある場所に各組織を代表する優れた人材を集結させる事で、迅速に対処する方法を案出しており、驚くべき成果を出している」と証言した

●4日、戦略コマンドの世界作戦副部長のJohn Shaw准将は別の場で、NSDCは引き続き「宇宙に拡大する戦いに備える」とその役割を説明した。
●そしてNSDCのの任務遂行には「cross-agency」体制での業務体制が不可欠で、また「interagency」での業務で成果を生んでいると語った
/////////////////////////////////////////////////

ちなみに、米軍がシリアへの巡航ミサイル攻撃を行う以前に行われた議会証言です。

Hyten7.jpg北朝鮮の弾道ミサイルと核兵器が大きな話題ですが、世界には巡航ミサイルという「低空を侵入する」対処の難しい飛び道具がアリ、ロシアが「SSC-8:9M729」で欧州の軍事風景を一変させれば、追随する輩が次々現れるという事です

巡航ミサイル対処のため低空を常続的に監視する事、そして迎撃すること、弾道ミサイル防衛や航空機対処と並行して実施する事は極めて大きな負担で、受け身で全てをこなすことは困難です。
サイバー戦と同じで、防御では戦えません

繰り返しになりますが、NSDCに日本人も早く仲間入りできるよう、人材育成が望まれます

INF条約関連の記事
「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「露がINF全廃条約に違反」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「INF条約25周年に条約破棄を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

「米とカナダが巡航ミサイル対処に協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-01

宇宙作戦センター関連
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24
「副長官がJICSPOCを高評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「宇宙と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

「米サイバー戦予算の9割は攻撃用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

メッセージを送る