So-net無料ブログ作成
検索選択

画期的:ハリス司令官がINF条約見直しを要請 [安全保障全般]

皮肉!「宗教戒律を守るようにINF全廃条約を遵守し・・・」

Harris SASC.jpg4月26日から27日にかけ、ハリス太平洋軍司令官が下院及び上院の軍事委員会に出席し、北朝鮮情勢を絡めつつ様々な視点から証言していますが、他のメディアが取り上げていない「時代に合わないINF全廃条約を見直してくれ」発言がありましたのでご紹介します

この両日の議会証言では、「北朝鮮情勢は史上最悪」「空母カールビンソン艦載機は2時間以内に朝鮮半島に到達可能な距離に」「同空母の行動に関し混乱を招いたのは私の責任」との発言が広くメディアで取り上げられ、ごく一部に「ハワイにもICBM防御ミサイル配備を要検討」発言が紹介されましたが、INF条約関連発言のカバーは米空軍協会web記事だけだと思います

最近この条約が話題になっているのは、この米露2国間条約をロシアが破り、仮称「SSC-8:9M729」との長射程巡航ミサイルを、全欧州を射程に収めるロシア西部に配備したと米国政府や軍高官が訴え始めたからで、4月4日には米戦略コマンド司令官が「米国は防御手段を持たない」と危機感を表現しています

「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

今回のハリス司令官による「INF全廃条約を見直し要請」発言は、北朝鮮関連の流れで出たものでしょうが、背景にはロシアの条約破りのほか、中距離弾道ミサイルを戦力の中核にすえる中国やイラン等への大きな危機感があると思います

まずINF全廃条約を再確認
INF-USRU.jpgレーガン・ゴルバチョフ間で1987年12月8日に署名された同条約は、米露が射程500kmから5500kmの地上発射ミサイルの廃棄と保有禁止を約束するもの。もちろん、中国や北朝鮮やイランを拘束する条約ではない
●特にロシア側は、プーチンが「ほぼ全ての隣国が中距離ミサイルを開発している」と危機感を訴え、ロシアによる条約破棄は「控えめに言っても議論対象だ」と発言しているように、同条約に不満を持っている。しかしロシアは「SSC-8:9M729」が同条約違反だとは認めず、ずるずると実質米国だけが条約に縛られている状態を上手く作為

オバマ政権は、ロシアが同巡航ミサイルが試験発射を行った2014年からINF条約違反だと指摘しているが、ロシアは条約違反を否定し、逆に米国の装備を違反だと批判している
●4月4日、米戦略コマンドのHyten司令官は、最近ロシアが配備したINF全廃条約違反の地上発射型巡航ミサイルに関し、「我々には防御手段が無い。特に欧州同盟国を防衛する手立てが無い」と証言した。なお同巡航ミサイルは2個部隊編制されており、1個がカスピ海北方のボルゴグラード市近郊部隊に配備されているが、もう一つの部隊の所在は不明である(公開されていない)


ハリス太平洋軍司令官の議会証言概要
26日、下院軍事委員会でハリス司令官は、INF全廃条約を時代遅れな条約だと語り、「条約に署名していない国(中国やイランや北朝鮮等)によって詐欺に会い、無一文にさせられたようなものだ」とまで表現した。
●そして同大将は「米国は同条約の再交渉を真剣に考えるべきだと考える」と危機感を訴えた

Harris HASC.jpg翌日の27日、今度は上院軍事委員会で同司令官は、「INF全廃条約は米国とソ連のみが力を持つ2極世界であった1987年に締結されたものだが、我々は今、多くの国が射程500~5500kmの兵器を保有又は開発する世界にいるのだ」と訴えている
●更に、中国とイランは差し迫った懸念対象であり、「中国が保有する弾道・巡航ミサイルの9割が(米国が条約に縛られ保有できない)このカテゴリーに属しており、イランはこの種のミサイルの発射試験を1月にも行うなど、盛んに増強している」と強調した

●そしてハリス司令官は、「米国は宗教戒律を守るようにINF全廃条約を遵守し、このカテゴリーのミサイルを一切保有していない」と皮肉たっぷりに表現し、合わせてロシアが2月に条約破りの巡航ミサイルを配備した点にも言及した
●また「中露の超超音速兵器を懸念している。なぜなら、米国は同条約の制約で同種兵器の開発が制約を受けるからだ」とも訴えた
/////////////////////////////////////////////////////

SSC-X-820.jpg前オバマ政権が「言うだけ番長」の対中国姿勢であった中、自らの職責の限界ぎりぎりラインで中国への厳格な姿勢を冷静な態度で貫き、アジア太平洋の米国同盟国の光明であったハリス司令官ですが、夏には交代又は退役が噂されています

中国はハリス司令官交代のタイミングを狙って「反転攻勢」を仕掛けてくるのでは・・という軍事専門家もいるほどの司令官ですので、2012年末からINF条約問題を訴えてきたまんぐーすとしては、これほど嬉しいことはありません。

当然課題もあり、同条約が破棄されれば、ロシアが極東に堂々と中距離弾道・巡航ミサイルを配備し、戦術核兵器が搭載されることも想定する必要がありましょう。
しかし・・・中国のことを考えれば、そんな事をいっている場合じゃないと思うのですが・

INF条約関連の記事
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「露がINF全廃条約に違反」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27
「INF条約25周年に条約破棄を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

「米とカナダが巡航ミサイル対処に協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-01
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

超超音速技術やPGC関連の記事
「艦艇配備の超超音速兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-04
「超超音速ミサイルの脅威が大きな話題に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-19
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

メッセージを送る