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EU離脱で英ポンド下落し英国防計画ピンチ [安全保障全般]

May UK.jpg4月25日に英議会の予算監査委員会PACがレポートを発表し、英国防省が2015年に作成した国防計画SDSRは、英国のEU離脱Brexitや新装備開発&導入を巡るコスト不透明性などから、実行可能性が危ぶまれる状態にあると警鐘を鳴らしています

また、英国防省が約束したはずの自助努力による予算削減への取り組みが未達成で、これも2015年の国防計画SDSRの将来を危うくしていると主張しています

英国も多くのNATO諸国や欧州諸国と同様に、冷戦終結後の平和の配当を享受する為、国防費を大幅に削減した経緯があり、最近のロシア軍やイスラム過激派の活発化を受け、米国から国防費をGDP比2%に戻せと厳しく迫られているところです

そんな環境下、米国の一番の同盟国として、国防強化の方向性を明確にした2015年国防計画SDSRを打ち出したのですが、早くも暗雲が立ち込めています。
欧州諸国では、ドイツもフランスも国防テコ入れを迫られているのですが、経済もそんなに順調ではない中、厳しい状況にあるのが現状です。そんな典型的な例として、また英国F-35の購入がピンチだとのお知らせのため、26日付Defense-News記事の概要をご紹介します

26日付Defense-News記事によれば
p8.jpg●4月25日に英議会の予算監査委員会PAC(Public Accounts Committee)が発表した報告書は、英国防省が2015年国防計画SDSR(2015 strategic defense and security review)などで打ち出している装備品調達計画が、予算面から実行可能性が危機に直面していると明らかにした
●そしてPACが2012年に誕生以来、国防計画は裁断の危機に直面していると表現し、「予算面での実行可能性を保つには、国防省が未だに約束を果たしていない、希望的観測に基づく自らの効率性向上による予算捻出に努力してもらうほか無い」と表現している

●例えば英国防省の計画によると、F-35とP-8購入予算がピークとなる2020/21予算年度には、両機種購入だけで「£150 million:2.5兆円」必要だが、2016年度国防予算全体が「£178 billion」であることを考えれば「unaffordable」である
●またPACは、英国防省が5年前から大規模プロジェクト管理を見直していることは認めつつも、2015年国防計画SDSRが打ち出した「£24 billion国防予算増額」を飲み込むことは容易でないと指摘し、国防省が「新たな脅威対処」に準備した「£10.7 billion」も既に底を突いている

May UK3.jpg●今後5年間で英国防省が計画している新装備導入には、P-8対潜哨戒機、アパッチ攻撃ヘリ、MQ-1無人偵察攻撃機、F-35戦闘機、新型フリゲート艦(2隻)、Dreadnought級戦略原潜(4隻)、戦術通信衛星、補給艦、装甲車、新型ミサイル等々がある

●昨今の情勢を受け、保守党政権は国防費増額圧力を受けるだろうが、国防省内の効率化によりその経費を捻出することになっている実態だ。しかし2015年に国防省と財務省が約束した「£7.3 billion」の経費節減でさえ、2015年国防計画SDSR発表後1年経過した今でも「£2.5 billion」しか達成されていない状態だ
更に懸念されているのが「Brexit」による英ポンドの下落だ。2016年予算案が編成された当時の「$1.55 to the pound」から既に30セントも下落しているが、特にF-35とP-8購入に必要な英ポンド下落に伴う追加経費をどのように今後まかなうかについて、何の話し合いも行われていない
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女王陛下の名を冠した英海軍新型空母の艦載機F-35B予算が確保されていない惨状を以前ご紹介しましたが、毅然とした頼もしそうなメイ首相ではあるものの、実態は寂しい限りです

May UK2.jpg国防省の自助努力で効率化して経費捻出とか言っても、6~7年前には国防費大幅削減で「士気崩壊」状態にあった英国軍ですから、「今更何を・・・」と白けたムードだと思います

フランスの大統領が誰になろうとも、ドイツのメルケル首相が如何にがんばろうと、欧州は全体として極めて厳しい歴史の流れの中にあるような気がします。日本だって偉そうに言えた状態ではないのですが・・・。

英国軍を考える記事
「米軍F-35Bを英空母に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
「英軍新空母を南シナ海に!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06
「新空母の艦載機が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03

「予算減で英軍の士気崩壊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-18
「英軍が戦闘機半減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「大なた:英軍の大軍縮」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19-1

ドイツ軍の増強関連
「ドイツ軍が対露で増強へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12
「ドイツとオランダが連合部隊へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-05
「今後5年間国防費6%増へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-21-1
「ドイツ軍の人材確保策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-09-1
「2011年時には大軍縮計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-30

NATOがトランプ大統領を懸念
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-15-1

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通りすがりのもの

いくつか気になった点があったので指摘します。

£150 million:2.5兆円 とありますが
150×100万=1億五千万なので、1億五千万ポンド。日本円で219億円ではないでしょうか。

また2016年度国防予算全体が£178 billion、つまり、1780億ポンド、日本円で約26兆円だと書かれています。しかしイギリスの単年度国防予算としてこの額は膨大すぎます。
元記事には
>The PAC’s findings on the MoD’s 10-year equipment plan, costed at £178 billion in 2016
とあり、the MoD’s 10-year equipment plan、つまり国防省10カ年装備計画全体の予算が£178 billionということなのではないでしょうか。

最も私の英語力も大したものではないので、勘違いだったらすいません。
by 通りすがりのもの (2017-05-09 15:31) 

まんぐーす

恐らくご指摘の通りだと思います。確認&訂正する気力がなく申し訳ありません。
by まんぐーす (2017-05-09 19:45) 

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