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米空軍が18年ぶりに飛行手当増額へ [米空軍]

士官で2割、下士官は5割増へ

Wilson6.jpg8月25日、退職者が急増して戦闘機操縦者ポストの2割に当たる700ポスト以上が空席ともいわれる米空軍パイロット不足に対処するため、Heather Wilson空軍長官が「ニンジン」ぶら下げ策と新人事制度を開始すると発表しました

「ニンジン」ぶら下げ策とは、ずばり米空軍操縦者が他の地上勤務員がとの差別化のために支給される飛行手当の増額で、新人事制度とは既に退職した元空軍操縦者を飛行職ではなく地上職として再雇用しようとするものです

米空軍は6月にも、パイロットとしての義務勤務期間を終えた者が勤務を延長した場合のボーナスを増額し、特に人手不足が激しい(退職者が多い)戦闘機操縦者には手厚く増額すると発表していましたが、今回は操縦者の基本手当部分を1999年以来18年ぶりに増額し、人材の流出防止を図ろうとするものです

米空軍操縦者、特に戦闘機パイロットの流出が増加している背景には、民間航空会社でパイロット雇用が増大し、楽で金銭面でも優位な民間への流出が止まらないこと、また10数年連続で続くテロとの戦いや対ロシア政策等のため海外派遣期間が長く繰り返されるようになっていることへの不満、更に予算不足から飛行訓練時間が削減される状況への不満等があるといわれています

米空軍は、参謀総長が直接民間航空会社幹部と話し合いの場を設けて「引き抜き自粛」を要請したり、無人機操縦者(RQ-4のみ)に下士官操縦者の導入に踏み切ったり、新人操縦者の卵をいきなりF-35に乗せて養成期間を短縮したり等々・・・いろいろ取り組んでいますが、根本的な解決には程遠いようです

8月28日付米空軍協会web記事によれば
Wilson4.jpg●25日Wilson空軍長官は、パイロットの引き留めと養成(retaining and growing pilots)、更にパイロットの欠員対策(addressing the personnel shortfall)のため、Mike Koscheski准将を長とする「搭乗員危機対策チーム:Aircrew Crisis Task Force」を編成すると発表した
●また空軍長官は、10月1日以降、米空軍の搭乗員が毎月受け取る飛行手当を1999年以来初めて増額すると明らかにし、士官の場合の最高額を2割弱アップの1000ドル(以前は840ドル)、下士官の場合は5割アップの600ドル(以前は400ドル)と発表した

注(笑)→従来「flight pay」と呼称も、今後は「aircrew incentive pay」と呼ぶそうです

Wilson_Goldfein.jpg●また現在の空席ポスト穴埋め策として、現役パイロットをなるべく司令部等のデスクワーク職から解放して前線部隊に配置できるように、退職した元空軍操縦者を再雇用して操縦者が務めるべき緊要なスタッフ職(non-flying, critical-rated staff positions)につけることを計画中だとも長官は語った
●(初の空軍士官学校卒業の空軍長官で、しかも女性の)Wilson空軍長官は、「米空軍の中には操縦者経験が求められるポストが多くある一方で、同時に現場部隊の飛行任務に就いているパイロットは現場でそのまま活躍させたい」と同対策の背景を語った

●また同長官は具体的に、「この制度で25名の元操縦者を再雇用してその見識を生かしたいと考えている。雇用契約の期間は基本的に12か月間である」と説明した
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国民の税金で要請されたパイロットが、処遇の良さを求めてどんどん退職して民航機の操縦者に流れるので、引き留め策として手当を増額する・・・との構図ですが、意外と一般国民の間で問題にならないものの、操縦者以外の空軍勤務者への影響を強く懸念します

空軍をリードするのは操縦者だと鼻息も荒く、実際主要ポストは操縦者が占め、部隊の士気やモラルについても見本を示すべき立場だと思うのですが・・・。米空軍の組織としての健全性がますます問われることになるのでしょうし、世界の空軍も同じ問題を抱えるのでしょう

Black History.jpgでもパイロットへの手当は極めてデリケートなもので、かつてパイロット以外の航空自衛隊トップが、致し方なく、飛行手当を削減して他の分野に割り振った結果、その空自トップの出身職域の後輩たちが、長期間主要ポストや人材選抜試験から意図的に除外された「黒歴史」があるようです。そしてその黒歴史は、若い操縦者が知らないところで「生田目バッシング」として脈々と語り継がれていると聞いたことがります

そして無人機に極めて消極的で、「ただ飛んでいたい(そして飛行手当をもらっていたい)」との思いしか感じられない空軍指導者たちへの「嘲笑」とともに、組織の一体感を着実にむしばんでいるのです。

米軍No2が空軍操縦者にケンカを売る!
「誰一人として私に、次期爆撃機が有人機である必要性を教えてくれない」、「核任務に有人型が必要だと言うなら、ICBMに有人型があるのか?」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-16-1

ロバート・ゲーツ語録21
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
国防省で制服幹部をたしなめている陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02

操縦者不足の関連
「米空軍の戦闘機パイロット2割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-22
「世界の航空業界は今後20年人手不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-29
「機種別操縦者数で無人機がトップに!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-09

「米空軍よ、使い捨て無人機を考えろ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「最初からF-35に搭乗する飛行教育」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-06
「RQ-4操縦者の7割が下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13-1

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