So-net無料ブログ作成

ロシアのベラルーシ大演習を振り返る [安全保障全般]

Zapad 20173.jpg22日付Defense-Newsは、今年の9月中旬に実施されたロシアとベラルーシの共同演習「Zapad 2017」を振り返り危機感を募らせる隣国エストニアの軍情報部長の見方を中心に西側の分析を紹介しています。

隔年で行われてきた同演習ですが、特に今年の演習は、米国トランプ政権が混乱している隙に乗じ、「ロシア軍が演習後もベラルーシに駐留し、ベラルーシのウクライナ化を進めるのでは・・」と専門家の間で危機感が高まった演習でした。

結局、特に異常はなく、演習後も特異な状態にはないようですが、北朝鮮騒ぎの中で世界の動きが見えにくくなっていますので、視野を広める意味で、危機感を募らせるバルト3国エストニア軍人の評価と、演習直前に騒いだ専門家を戒める研究者の意見をご紹介します

22日付Defense-News記事によれば
Belarus2.jpgエストニア軍情報部トップのKaupo Rosin大佐はDefense-Newsとのインタビューにおいて、ショッキングな新事実や明らかになるようなことはなかったと振り返りつつも、これまで同国が懸念していた事項や相手の能力について、多くの事項を再確認することになったと述べ、3つの視点から教訓を語った
まず第1に、ロシア軍が西側軍事力に対抗することを明確に意識し、大規模な電子戦環境下での演習を行い、それも陸軍と空軍の両方が相当のレベルで実行していた点である

●そして「演習内でロシア軍自身に対して行った妨害電子戦の規模に驚かされた。これまでに見たことがないレベルだった。本当にすごかった」と表現した
●演習終了後の現時点では、ロシア軍は地図上もベラルーシの意識の上からも撤退しているが、今回の演習により、ロシア軍はNATO軍の侵攻を阻止するに緊要なノウハウを蓄積し、西側電子戦への対処に習熟したと評価している

Zapad 20172.jpg●この演習状況からすると、NATO軍は単なる妨害ではなく、ロシア側の通信を阻害する新たな方策を探る必要に迫られることになる。「恐らくそれにはサイバー戦が必要だろう」「同時に当然ながら、いかに我々自身の通信を確保するかも考える必要がある。電子戦への備えが求められている」と述べている
●更に、「我が国エストニアは小さな国であり、普段から地図を使用して作戦訓練を行っているから影響は少ないが、他国からの援軍は困難に直面するだろう。NATO軍の組織や指揮系統を考えると、上層部ほど難しい対応を迫られるだろう」と

第2の教訓は、NATOの迅速な対処がカギだという点である。仮にロシア軍がベラルーシ経由でバルト3国に侵攻した場合、NATO同盟国軍が迅速に対応可能かということである
●「かねてから指摘されている課題だが、ロシア軍は戦力面、時間面、空間面で優位な立場にある」、「NATO軍が如何に迅速に国境付近に展開可能にするかの法的整理(figure out legal ways for NATO forces to move more quickly)が、今後数年の焦点の一つとなる」と表現した

Belarus.jpg第3は、今回の演習が行われたベラルーシの役割と地理的重要性である。軍事的にも政治的にも心理的にも、ロシアがベラルーシを傘下に置くことは、ロシアにとって極めて重要である
●「軍事力を用いずにロシアがそれを達成できれば良いが、必要となればロシアは軍事力を間違いなく用いるだろう」、「しかし2017年11月時点での見積もりでは、そしてそのような事態でも、NATOがベラルーシに軍事行動を起こす可能性はない」とエストニア軍情報部長は述べた

CNAS研究員で国防省経験も長い専門家は
●Jim Townsend研究員は「同演習を通じ、ロシアやベラルーシの能力について知見を得ることができた。しかしそれは大部分、これまで我々が課題と考えていた点を再確認する程度においてである」と振り返った
Zapad 20174.jpg●また「我々が騒いだために、彼らは労せずしてプロパガンダ戦で勝利した。彼らにそんなことをさせるべきではなかったのに」と振り返った

●そして「次の機会にはもっとクールに対応すべきで、互いに落ち着こうと言い合うべきだ」、「同演習は長く続いてきたが、最近までほとんど注目を集めなかった。大げさな反応は良くない。落ち着いてぞ状況を観察すべきだ」と語った
///////////////////////////////////////////////////////////

Townsend研究員が反省し、関係者に自戒を求めているほど「Zapad 2017」への警戒感や危機感が西側関係者の間で強かったということでしょう。それは同時に、トランプ政権の欧州政策が「地に足がついていない」ということの裏返しなのでしょう。

エストニア軍情報部長の冷徹な見積もり、「ベラルーシにロシアが軍事侵攻しても、NATO軍は動かない」は、当地の雰囲気を伝える言葉としてTake Noteしておきましょう・・・。

同演習関連の記事
「米軍幹部のコメント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-04
「露がベラルーシで大演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-31

nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
メッセージを送る