So-net無料ブログ作成

東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観する [安全保障全般]

要素技術では西側がリードも、露軍に追いつくには長年必要

Bendett2.jpg4日付C4isrnetがロシアの電子戦能力や現状についてCenter for Naval AnalysesのSamuel Bendett分析官にインタビューした記事を掲載し、東欧や中東シリアにおいてロシア軍が電子線分野で何を行っているかについて紹介しています。

米軍は911事件以来の17年間、対テロ作戦を中心に戦力をつぎ込んできた結果、本格紛争に備えた訓練や装備体系の更新が後手に回っています。
全くと言ってよいほど電子戦を考える必要のなかったイスラム過激派相手の17年間の戦いを経て、その影響をもろに受けているのが電子戦(EW)で、現場ではEW担当幹部を「Extra Work士官」と揶揄する表現まで使われるに至っているようです

電子戦と言えば仕掛け爆弾IED起爆電波阻止用の妨害電波ぐらいの経験しかない17年間で、現場兵士の電子戦への意識は消え去り今や、ネットワークへの依存やGPS無しでは成り立たない軍事組織が問題視され始めています

そんな米軍に冷水を浴びせたのが、2014年からのロシア軍のウクライナ浸潤です。
Bendett.jpg電子戦装備のハイテク化は遅れていても、ロシア軍は着実に冷戦期のノウハウを受け継ぎ、通信妨害や電波妨害下の戦いのノウハウを受け継ぎ、西側のネットやGPS依存を巧みに突き、広報作戦まで絡めたハイブリッドな戦いを披露し、米軍をびっくり仰天させることになりました。

オマケで、露軍と対峙するウクライナ軍を、上から目線で助言に行ったはずの米軍兵士は、ソ連方式の電子戦基礎(妨害を受けた場合の対処法)をしっかり身に着けていたウクライナ軍兵士に、逆に教えられることになる有様でした

「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

そんな危機感あふれる米軍ですが、中東でのロシア軍状況も含めた現状を、専門家はどのように見ているのか・・・ご紹介します

4日付C4isrnet記事で Samuel Bendett分析官は
●Q:ロシア軍電子戦の米軍やNATOへの脅威は?
Pantsir-S1.jpg●A:米軍や西側は、要素技術ではロシアより優れたものを保持しているが、冷戦終了後に電子戦分野で努力を怠った。一方でロシア軍は継続的に研究開発を続けていた。数年前に米軍はロシアと対峙することになり、米軍自身の陳腐化した姿とロシアの着実な努力の差を思い知らされることになった。要素技術があるので米軍はロシアに追いつくことは可能だが、それには時間が必要

●Q:過去5年間で脅威の何が変化したのか?
●A:過去5年間、ロシアは積み上げてきた研究開発の成果を実践の場でテストして評価した。しかも相手と数百キロメートルの近接した距離で。しかもロシアの培ってきた技術や運用は、米軍の攻撃被害を想定し、GPSなどに依存しない方向であった

●Q:ウクライナやシリアでロシア軍の新装備を確認したか?
Leer-3 EW.jpg●A:ウクライナでは、数機のOrlan無人機に携帯電話妨害装置(Leer-3 EW)を搭載した事例が確認されている。シリアでは200もの軍事技術(KrasuhaやMoskvaとの EWシステムなど)を、ロシアが試験したと言われている。
●A:またシリアでは、「階層上の防衛網:layered defense」をロシア軍が構成したが、EWシステムと早期警戒レーダーと防空システム(Pantsir-S等)を融合して運用し、1月には無人機の群れ撃退に活用s多実績を上げた。このシステムは現在も運用中である

●Q:西側が注目すべき電子戦装備はあるか?
●A:ロシアの電子戦装備よりも、米軍やNATO軍の装備、航空機、ミサイル、艦艇からの様々の電波信号を、ロシアがしっかり収集したことを肝に銘ずるべきだこれら情報を収集したロシア軍は更に恐ろしい相手となる。ロシア側の公言している、我々の電子戦装備はAIを搭載して自動学習するが、西側から収集した情報もその対象だと。
●A:西側が軍事的に優位と考えられる精密誘導兵器などの分野でも、その対抗措置をEW分野でロシアは検討するだろう
//////////////////////////////////////////////////////

失われた17年間の穴埋には時間が必要ということでしょう・・・。電子戦装備の開発調達に時間が必要なことはもちろん、軍の中核を担う幹部クラスや、前線をリードする中堅軍曹あたりに電子戦のノウハウが体にしみ込んでいないのは決定的な欠落です。短時間で穴埋めできない欠損でしょう。

そして、ウクライナや東欧で、シリアでも、ロシアが着実に西側壁体系の電子情報を収集し、有事に備えているとは恐ろしい話です・・・

いつの間にか大差の電子戦分野
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
メッセージを送る