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米国エネルギー兵器開発の課題 [Joint・統合参謀本部]

Directed-Energy.jpg4月7日に有力シンクタンクCNASから、Jason Ellis客員上席研究員が「Directed-Energy Weapons: Promise and Prospects」(意訳:米国エネルギー兵器開発の課題)とのレポートを発表しています。

サマリー部分から技術に関する細部内容は不明ですが、期待が膨らむエネルギー兵器(DE:Directed-Energy Weapons)の課題と対策について提言しています

全体の戦略や各部署のコーディネイトが必要との「よくある提言」も含まれていますが、この分野の雰囲気を感じるべく「サマリーつまみ食い」でご紹介します

同レポートでエネルギー兵器DEに含まれるのは
High-energy lasers (HEL)
High-power microwaves(HPM)
Related radiofrequency technologies

「米国エネルギー兵器開発の課題」の概要
DEW.jpg国防省はDEに関する「Game Plan」を策定し、開発と配備戦略を高い優先度で定めるべき。DEへの期待が高まり、いくつかの分野で実用レベルに技術の成熟があるが、国防における役割が不明確である。

DE開発全体を統括するDE計画室を設置すべき。いまのDE開発は「縦割り行政」であり、現存のHEL計画室を発展させることで限られた資源の有効活用に繋げるべき
●2014年度のDE予算は、2007年当時の37%しかない500億円程度である。国防省が有効にDEを活用したいのなら、HEL予算を2~3倍、HPM予算を5~10倍にすべきである

成熟しつつある技術は早く投資して活用せよ。実験で良い成果を収めている「high-power radio-frequency weapon」開発への予算が不十分だ。また、10年以内の前線配備が見込まれる鍵となる「solid-state and combined-beam fiber HEL」には、少数でも迅速に前線配備する事も考えるべき
Laser 3.jpg一方で長期的に重要な技術も忘れるな。今は無人機や小型ボート対処が念頭だが、高速の弾道・巡航ミサイルのような目標対処を可能にするHELやHPMへの投資にも配慮すべき

潜在的敵対者の本分野での動向をフォローせよ。技術の拡散により、世界の何処で技術ブレイクスルーがあるか判らない。世界を注視し、必要な対策を怠るな
サイバーや電子戦との連携でDEの効果増強を図れ。それぞれはドクトリン上ではリンクしているが、現場レベルでは「縦割り」で作戦連携が良くない。まず机上ウォーゲームから開始して検討を深めよ

当初の効果は限定的でも、軍事文化や組織への影響は重大。これを将来に結びつけ、ドクトリン、組織、訓練、兵站、政策等の方面の根本的見直しに繋げるべき
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いろんな所で、いろんな人がDEについて夢や希望を語っていますが、やはり予算厳しき中、各軍種や職域間の資源ぶんどり合戦は激しいようで、「Stovepipe:縦割り行政」が横行しているようです。

Laser 4.jpgDEが、軍事文化、組織、ドクトリン、訓練、兵站、政策に影響を与えるのは、まず弾薬補給のような兵站を考える必要があまりないこと、出力を調整することで打撃効果を制御出来ること、照準は必要だが兵器誘導が不要なこと、ミサイルのような飛翔時間が無く効果が速効なこと等々が考えられます

レーザーは雲や雨に影響を受けるのでしょうが、「High-power microwaves(HPM)」や「Related radiofrequency technologies」はどうなんでしょうか?
レポート本文にはそれなりに説明がありそうですので、機会があったら勉強したいと思います

レーザー関連の記事
「まずC-17搭載レーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-23
「特殊作戦C-130にレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31
「特殊部隊とレーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-16

「米空軍の30年戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-31
「ペルシャ湾で艦艇試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13
「航空機自己防御レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-02-1

「米海軍レーザー兵器搭載へ前進」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-12
「CSBAビーム兵器へ投資を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-20
「レーザー兵器の開発動向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-01

企業が警告:第5と第4世代機間のリンクが必要だろ! [米空軍]

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fourth-to-fifth.jpgパリ航空ショーに集った米軍需産業関係者から、第5世代機と第4世代機をつなぐリンクが不可欠だと考えて自社努力を行っており、それなりの成果が出ているが、肝心の空軍からは何の反応もないと警告を発しています

特に米軍と航空自衛隊のF-15を心配する発言も有り、余計なお世話だと思いつつ、空軍にありがちな「勇猛果敢・支離滅裂」さが生んだ「ひずみ」ではないかとの懸念も有り、とりあえずご紹介します

19日付米空軍協会web記事によれば
F-22hardturn.jpg●パリ航空ショーでLockheed Martin社のF-35担当副社長であるLorraine Martin女史は、同社が米空軍の4世代機とF-35を連接するため「fourth-to-fifth generation」技術に取り組み、両世代間の情報共有に取り組んでいるのに、現時点で空軍側からは何の要求もないと嘆いた
●Martin副社長は、同社が昨年独自に行った「ミズーリ・プロジェクト」の技術デモ試験では、F-22を用いて「ステルス性のある通信」又は「被発見率の低い」データ送信を行うことが出来た、とも語った。

Martin-F35.jpg●また同副社長は、今では(手を加えれば)Link-16がF-35でも使用出来ると語り、他社もこの問題に取り組んでいるとも述べた。更に、「データ量の多い通信を実現したい。なぜなら、必要なければ自身を(脅威から)離しておきたいだろう」とも語った
●必要技術は市場に有り、米空軍戦闘コマンドが「fourth-to-fifth generation」技術の必要性を確信しているにもかかわらず、具体的な予算化の計画が見えてこない
誰かが必要だと言わねばならないが、現時点では誰も言わない」とMartin女史は述べた

ボーイング社の幹部も今週パリで、F-15をF-22やF-35と共に作戦運用するなら、米空軍と航空自衛隊のF-15は近々に改修や近代化を行う必要があると訴えている
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米空軍の運用思想に詳しいLockheed MartinとBoeingが指摘するのですから、「欠落事項」なのでしょう。
F-15J.jpgただ米空軍は、来年8月~12月の間にF-35Aの初期運用能力態勢IOC確立(僅か12機)に必死ですから、そんなもの後回し、なのでしょう。

Boeing社幹部におかれましては、自衛隊までご心配頂き恐縮です。でも、日本の地理的位置を考えれば、脆弱な戦闘機システムの運用には余り投資したくないので、貴社が扱っておられる「強靱性や残存性のある」装備品を売り込んで下さい

CSBA理事長Krepinevich氏の来日講演 [Air-Sea Battle Concept]

・ゲーツ長官時代の国防諮問会議でキッシンジャーは言った。「今の中国は史上最高の戦略家の一人だ。弱点を突くのが巧みだ」と
・Work国防副長官らのゲリラチームが(あるべき軍事戦略追求のため、関連装備の)実現・調達等を画策している

CSBA-Krep3.jpg5月20日、笹川平和財団の招聘で来日したCSBA理事長Andrew F. Krepinevich氏の講演が同財団内で行われ、最近講演の模様が映像で公開されましたので、つまみ食いでご紹介します

Krepinevich氏の印象は「分別ある老舗大企業の経営者」で、講演では自己の主張を声高に訴えるのではなく、聴講者自らが考えることを促すような姿勢で「限られた資源で、何をするか、何をしないか」の選択がまず重要だと語っています

具体的には約45分間のプレゼンで戦略とは何か、戦略の重要性、情勢認識(新たな挑戦、大国間の軋轢、西太平洋・中東・対露欧州情勢)、軍事戦略での要考慮事項(核兵器拡散、新ドメインでの競争、コスト強要や増加、欧州同盟国の逃避、第3のOffset Strategy等々)に触れ、

最後に残り数分で西太平洋地域に関する軍事戦略議論にチョット言及し、最後の最後にスライド2枚(画面上では細部確認不能)でエアシーバトル発展型のような第1列島線で西側A2AD網構築とその後方に予備戦力配備のアイディアにさらっと言及でおしまいでした。

CSBA-Krep.jpg司会の山口昇元陸将が講演後に、「大変包括的で、示唆に富んだ」とコメントしていますが、大きく「戦略とは何か」から入ったため、個別具体的課題には余り入らず、新ガイドラインを契機に招聘した財団の思惑にはヒットしなかったでしょう

また、まんぐーすが期待していた「台湾にCSBAが提言した劣勢戦略を日本も導入すべきか?」との質問をする聴衆もおらず、質問はパキスタンから中東政策、核兵器から強制削減などなど多岐に渡り、日本の軍事戦略に絡める質問がなく残念でした

でも幾つか紹介すべき点もありますので、つまみ食いします
ただし、英語の聞き取りなので、誤解・誤訳には注意を!

講演と質疑応答(約71分:英語)


18分20秒付近から:中国の軍事戦略
●ゲーツ長官時代の国防諮問会議でキッシンジャーは言った。「今の中国は史上最高の戦略家の一人だ」と。中国が、ネットワーク依存と作戦拠点の少なさという米軍の弱点を突く巧みさを表現したのだ
CSBA-Krep2.jpg●中国は米軍がネットワークに依存し、そのネットワークの脆弱性を突くため、対衛星兵器、サイバー攻撃、電子戦等々に投資し、効率的に米軍の地域へのアクセスを阻止しようとしている
●更に、西太平洋地域の米軍が「多くの卵を、少ないバスケットで抱えている」状態、つまり嘉手納とグアムと空母に戦力アセットが集中してることに目を付け、各種の弾道・巡航ミサイルに投資して米軍の無効化を狙っている

34分50秒付近:効率化と欧州の劣化
●国防予算確保のため、国防省や米軍予算の無駄削減が叫ばれているが、私が成人した頃からづっと続いており、決して成就することはない。質問があれば山ほど背景原因をお話しすることが出来る

欧州は過去10年ほど軍縮レースを継続しており、今や「安保ただ乗り」とまで言われている。冷戦期とは異なり、欧州諸国は急速に人口の高齢化が進んでおり、社会旗福祉予算に目が向けられて国防費の増に迎えない状態に陥っている
●(冗談かと思ったが、真剣な顔で日本はこの点、良い意味で例外の国だと考えている。GDP1%を越えるのは時間が必要かもしれないが、必要な施策を採るものと考えている

42分付近:少し持論エアシーバトル発展型?
CSBA-Krep5.jpg●(時間切れのため説明が短く早口で、発言の意図と異なる可能性もありますが・・スライドを説明しつつ、)第1列島線上に並んだ青いバブルで対中国のA2AD網を構築し、中国が領土拡張要求や海洋支配意図を具現化させないように抑止する事が必要
●このために第一列島線上の国々が取り組むことが必要(で、日本はその中心的役割を期待される)
●(第2列島線まで図を少し拡大して、)地上戦力や予備戦力を広く分散して配置し、全体として態勢を構築する。決してこちらから仕掛けることを意図するものではなく、抑止するためにだ。

●(下に掲載のインタビュー映像では、日本への助言として、)まずオプションを増やすこと。そしてまず自国の防衛を固めること。そして次に第1列島線の防衛に取り組むこと

1時間8分20秒付近:エアシーバトルの行く末
CSBA-Krep4.jpg●(道下さんの質問か?質問に答えて、)今やエアシーバトルASB検討は統合参謀本部のJ-7に移され、よく分からない別の名前を付けられている。
ASBにペンタゴンは悲鳴を上げた。ある軍種の予算を配分を増やし、ある軍種から削減することになるからだ。結果ASBは拉致監禁(hold)され、今後は困難な道をたどるだろう

ただ、(拉致されたASB検討とは別に)かつてCSBAで同僚だったWork国防副長官らのゲリラチームのような一群が、(あるべき軍事戦略追求のため、関連装備である)LRS-B(空軍の次期爆撃機)、潜水艦や水中無人艇、空母艦載無人攻撃機UCLASS、エネルギー兵器等の実現・調達等を画策している
●また現在の上院・下院軍事委員会の委員長らは素晴らしい。冷戦後では最高のメンバーがそろっているので、期待している。
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個人的には39分50秒からの「第3のoffset strategy」関する経緯言及や、その直前のドイツ軍による「Blitzkrieg:電撃戦」への賞賛なども好きです。

経営者たるCSBA理事長の側面を感じさせる、日本への「よいしょ」も含めた「大人の講演」で、日本を顧客として「ほどほど」に重視している印象を受けました

CSBA-Krep6.jpg明らかに最後の最も重要な部分を「急いで飛ばした」感があったので、司会の山口閣下には少し柔軟に、質疑応答部分を削って講演を続行してもらう配慮が欲しかったです
聴衆の大部分の関心は、日本への提言をもっと聞くことではなかったのでしょうか?

以下のインタビュー映像には、山口閣下ら財団関係者とKrepinevich氏との会食らしき記念写真も含まれており、もしかしたら食事の場で聞きたいことは既に聴取済みだったのでしょうか?
詰まらぬ詮索はこれぐらいにして、CSBA理事長の浅草や広島研修を含む来日が実り多きものであったことを祈念致します

「CSBA理事長に聞きたかったこと」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16-2

財団によるインタビュー映像(約6分)


米国防長官:対ロシアはVJTF(高即応統合部隊)で [カーター国防長官]

NATO3.jpg25日、ブラッセルでのNATO国防相会議に長官として初参加したカーター国防長官が記者会見し、米軍の欧州へのコミットメントの裏付けとして、VJTF(高即応統合部隊)を運用すると語りました

一方で、記者団からの「現在欧州に展開する6万5千名の兵力を増強するのか?」との質問には、「現時点で増強の考えはなく、ローテーション派遣を基本とする」と答えています

VJTFに関しては「新しい能力を提供」と表現し、部隊の種類を多数上げており、今は存在しない部隊を派遣するのでしょうが、総兵力数6万5千名に変化をもたらすほどの兵員を伴う部隊を常時在欧させる計画ではないのでしょう。

または、65000名との数自体が、かなり底上げした表現の数字なのかもしれません

会見のトランスクリプトによれば
NATO1.jpg●ロシアによる攻撃的で脅威となる行為に対し、米国の戦略的アプローチは強力でバランスのとれたものであり、NATOへの関与は重要な部分である
新たな対処行動の一つは、VJTF(high Readiness Joint Task Force:高即応統合部隊)である。22日にVJTF関連部隊を訪れた際、私は新たな戦力増強(provide many unique enabling capabilities)を行うと発表し、今朝も昨日も同盟国にその旨を告げた

●増強する10カテゴリー
域内及び戦略空輸力
航空ISR能力
戦闘維持支援(combat sustainment support)
空中給油能力
1個航空宇宙展開航空団(an air and space expeditionary wing)
海軍支援装備(naval support assets)
精密誘導火力(precision joint-fires)
戦闘ヘリ(Combat helicopters)
1個移動式指揮所(a deployable command post)
海空軍の特殊作戦部隊(special operations air and maritime能力)

●他には、演習や訓練を支援する米軍の派遣や展開があり、これは米軍の機動性や対応力を向上させる役割も果たす
●また、中欧や東欧地域に、戦車、歩兵戦闘車両、火砲等の1個旅団規模の関連装備を事前集積する。2個大隊分は既に現地にあるが、全体の1/3もまもなく到着する

サイバー戦やハイブリッド戦といわれる新たな脅威への備えにも取り組んでいる。NATOサイバー防衛センターへの関与による戦略からインフラ等々の計画的強化、また弾薬の共通化に習ったサイバー対処基準のすりあわせ等々に取り組む
ハイブリッド戦(対称戦と非対称戦の同時対処か?)に関しては、NATOが戦術、技術、手順等々を共有することが必要。NATO事務総長(Stoltenberg:新着任)にもこの点を優先するようお願いした
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NATO2.jpgこの様に抽象的な表現だったため、直後の質疑では「ルーマニアに関しては、どんな関与をしてくれるのか?」、「現在欧州に展開する6万5千名の兵力を増強するのか?」等の具体的中身を問う質問が連発しましたが、カーター長官は「増員の計画なし」「ローテーション派遣」としか具体的には触れませんでした

また特に米国メディアからは、中東問題にも多くの質問が出され、対IS、アフガン対応等々、カーター長官の大変さ、つまり米国の大変さがよく分かります
「10カテゴリー」の増強・・当然嘘はないでしょうが、その厚みについては余り多くを期待するのは酷でしょう

なおこの他に、「Wales Summit」でNATO諸国が共有したはずの「各国予算における国防投資の確保」について、改めて強く「釘を刺す」ことも忘れては居ませんが、これも期待薄かも知れません。

関連の記事
「フィンランドが不明水中物体に警告機雷」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-29
「米軍がロシア最新軍事技術分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02
「NATOと連接せず:トルコ防空」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-20

「露軍機とデンマーク民間機が接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-22
「スウェーデン領海内に露潜水艦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-23

慶応の神保氏も主張:台湾の劣勢戦略に学べ [ちょっとお得な話]

・台湾は既に航空優勢を失い、ミサイル防衛も難しい
・今は「負けても、中国に完勝はさせない」劣勢を前提とした兵器体系
・台湾は、日本の5~10年後の防衛政策の参考になる

Taiwan-China2.jpg25日付読売新聞朝刊の第4面に囲み記事「語る:安全保障法制」が掲載され、慶応大学准教授の神保謙准教授が「海空 将来は中国優位」とのタイトルで、安保法制の課題を推進派(まだまだ不十分)の立場で語っています

神保氏は、「グレーゾーン事態」に対する海上保安庁の権限強化が不十分、「PKO協力法改正案」が時代のニーズに追いついていない点などを訴えていますが、まんぐーすが「びびっと」来たのが冒頭紹介の部分です

記事では中国の軍備拡大を描写する中で「さらっと」触れられていますが、台湾の国立政治大学(台北市)でも教鞭を執る神保氏の正しい情勢認識が光っています

台湾に学べの認識は、本年正月3ヶ日に3回シリーズで「CSBAの台湾軍事戦略提言に学べ」として取り上げたテーマですが、まだまだ発信が不十分と反省していたところ、神保氏に「さらっと」しかし「がっつり」訴えて頂き、「我が意を得たりの膝たたき」気分です

25日付読売新聞「語る:安全保障法制」で神保氏
Zinpo3.jpg●日本が集団的自衛権を行使する際の「存立危機事態」は、日本周辺で起こる可能性が高い。朝鮮半島有事で北朝鮮が米艦艇を攻撃した際、自衛隊は米軍を防護することになるはずだ。安倍首相は(中東での機雷除去等ではなく)日本周辺でのケースを重点に説明すべき

中国軍事費は急速に伸び続けており、海洋進出を止めるのは難しい。日本はいつまでも「航空・海上優勢」を維持することは出来ない
台湾は既に航空優勢を失い、ミサイル防衛も難しい。今は「負けても、中国に完勝はさせない」劣勢を前提とした兵器体系に変わっている。台湾の安保政策は、日本の5~10年後の防衛政策の参考になる

まんぐーす注:台湾が既に「劣勢を前提とした兵器体系に変わっている」とは少し言いすぎか。まだまだ最新戦闘機や大型艦艇や大型潜水艦をほしがっており、兵器体系を変えるべきだとの意見が出てきた程度ではないか)

「グレーゾーン事態」法整備に関し
Zinpo2.jpg警察権と自衛権との間に空白が残っている。海上保安官は武器は使用出来るが、正当防衛と緊急避難のために限定されている。
漁民に扮して高度に武装した集団が尖閣に不法上陸したら、とても対応出来ない。かといって自衛隊がすぐに対応したら、軍事衝突の可能性が生じる
海上保安の出来る役割を増やし、装備や権限を拡大した方が、実際の効果は大きい。更なる立法措置が必要

「PKO協力法改正案」について
Zinpo.jpgPKOはこの20年で大きく様変わりした。今、南スーダンなどアフリカで各国のPKOが直面しているのは、テロを目的とした越境型の武装組織による破壊工作や難民襲撃への対処だ。アルジェリア人質事件などその典型だ
受け入れ同意の安定的な維持は困難な時代だ。PKO協力法改正案は、現代のPKOのニーズに合っているかというと、甘い
●正しいと判断すれば、能力に応じてできる限りの国際秩序の構築に貢献することを、日本の安全保障の哲学とすべき
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恐らく、1時間程度のインタビューを、紙面にあわせて「切り刻んだ」のでしょう。
神保氏は「台湾に学ぶ」件をもっと語っていたのかも知れません。読売の記者はその重要性を十分理解していないのでしょう

innovation2.jpgでも本当に嬉しいです。台湾を知る人に「台湾に学べ」と言ってもらえて。
国際政治や日本の外交・防衛政策を専攻し、世界を飛び回る41歳の若手研究者に大いに期待します!!!

CSBA提言の台湾新軍事戦略に学べ
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27

2015年正月3ヶ日の連載
「その1:総論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
「その2:各論:海軍と空軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1
「その3:各論:陸軍と新分野に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-2

タグ:神保謙

精密誘導兵器PGMをどう扱い対処するか [Joint・統合参謀本部]

CSBA-PGM.jpg23日、シンクタンクCSBAが精密誘導兵器PGMの将来と対処を考えるレポート「Sustaining America’s Precision Strike Advantage」の発表プレイベントを記者団に対して行い、中国など潜在的敵対国のPGMと対処防空網が発達し米軍に迫りつつある中、どのように対応すべきかについて提言しました

本番のレポート発表イベントは、24日にマケイン上院議員やフォーブス下院議員をゲストに迎えて大々的にやるようですが、事前会見の概要を米空軍協会web記事でご紹介します

なおCSBAの関連webページは
http://csbaonline.org/publications/2015/06/sustaining-americas-precision-strike-advantage/

24日付米空軍協会web記事によれば
Gunzinger.jpg●レポート執筆者のMark GunzingerとBryan Clark両研究員は、PGMを搭載する母機に大きな注目が集まっているが、搭載兵器であるPGMへの関心が不十分だと語りかけた
●一方で潜在的敵対国である中国、ロシア、イラン、北朝鮮等は、米軍に追いつくため自身のPGMに大きな投資を行うと同時に、PGM対処にも力を入れている。対処機能には、電子戦、対衛星、サイバー兵器、地対空兵器、高性能デコイ、そして目標の防御強化(hardened/buried)等が含まれる

●その結果、現時点ではほぼ100%のPGMが目標到達可能と見積もられているが、将来は50%にまで低下し、所用の効果を得るためのPGM数が倍増する
●同時に、敵による防御エリアの拡大により、我のPGMはより大型・高価格になり、発射母機のソーティ数もより増加する事が予想される

PGMの誘導精度の向上により必要弾数の減少が期待されるが、それではカバー出来ず将来は「精度プラス量」が求められるだろう
●射程距離あたりのコスト等でPGMを分析すると、「sweet spot」である射程100-400マイルのPGMがJASSMしかなく、これを安価に補うため、JDAMやJSOWやSDBのロケットモータ等を増強し、スタンドオフ性と母機の生存性を高める手段が有効ではないか

米軍も大量のデコイ等で敵に負担を強いるべき
Clark-CSBA.jpg●(中国等レベルの国との)将来の戦いが「大量のPGMの同時打ち合い:salvo exchange」であれば、その第1派は大量のデコイ(模擬ミサイル等)となるのではないか
●初動で大量デコイを投入し、ミサイルや航空機と誤解させて相手の防空網に射耗を強いることを考えるのだ。そして敵の反撃能力が弱まり、また防空弾薬再搭載に時間をとられている間に、第2派として高価なスタンドオフ兵器を投入して防空網を突破し、効率的に敵システムを破壊する

中国、ロシア、イラン、北朝鮮等は、防御にも多額の投資を行い、より費用対効果の高い防御システム開発に取り組んでいる
●しかし残念ながら、米国はこの分野での歩みが遅い。もし防御も強化出来れば、相手にコストを課すことが出来るのにも関わらず、現時点では逆に米国がより攻撃コストを強いられている。この状態を逆転しなければ

仮に2003年イラク戦争時のイラクの様な国が最新の防空網を備えたら、米軍は過去15年間に購入した以上のPGMを要するだろう。安価なデコイの大量投入が、この問題への唯一の対応策ではないか

新たな環境対応に新たな兵器を
LRASM-B1.jpg強固に防御された空域で敵を攻撃するには、新たな兵器が必要だ。より高い効果と1発あたりの効果向上が求められる
●新たな兵器には、超超音速ミサイル等のミサイル、多方向や意図しない方向から敵を攻撃可能な小型兵器を射出するデコイ、より大きな破壊力を持つ爆薬で弾頭を小型化して射程距離を伸ばしたミサイル等が含まれるだろう

局所的にEMP効果を発揮する試験に成功したCHAMP(high-powered microwave missile)は、抗たん化された指揮所上空を飛行することで、内部の電子回路を焼き尽くす事が可能だ。これも国防省が真剣に取り組めば2年で実戦配備が可能だろう
●この様なアイディアが実験室にあるだけではダメだ。実用化のためのプログラムにしなければ。実用化出来たはずの装備を実現出来ず、現有の装備だけで戦いたいのか?
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CSBAの主要な研究者の皆さんに、是非、日本の防衛体制について聞いてみたいです
先月のCSBA理事長来日講演の際、この種の質問が投げかけられたのか承知していませんが、本レポートや昨年末の台湾軍事態勢に関するレポートを見る限り、CSBAにとって現在の日本の防衛力整備は「奇妙きてれつ」に違いありません

「CSBA理事長に質問したいこと」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16-2

と思ったら、CSBAサイトに理事長講演の模様がアップ
http://csbaonline.org/2015/06/23/the-future-of-u-s-defense-strategy-and-the-japan-u-s-alliance/

JASSM3.jpg最後の部分の「米軍は過去15年間に購入した以上のPGMを要するだろう」は、実戦を経験した米軍しか知り得ない「肌感覚」であり、大いに日本人も肌にすり込んで軍事感性を磨きたいものです

防御能力の向上は無視出来ません。米国防省の「中国の軍事力」報告書は、「中国はステルス機を探知出来ると主張している」と記述していますから・・・

「2015年米国防省:中国の軍事力レポート」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17

最近のCSBAレポート
「次世代の制空を考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「米の潜水艦優位が危機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-13
「即応体制評価を再検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-10
「ASB議論の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15

サイバー最前線:イスラエル軍が新コマンド設置へ [サイバーと宇宙]

Eisenkot.jpg21日付Defense-News記事によれば、イスラエル軍が2年後を目途に「Cyber Command」を設立し、これまで軍内部に分散されていたサイバー関連の情報収集・防御・攻撃に関する部署を1本化する決定を行った模様です
この決定は、15日にイスラエル軍参謀総長Gadi Eisenkot中将が行った模様ですが、この種の脅威の最前線にあるイスラエル軍の決定は、専門家からも好意的に評価されています

イスラエルでは、2013年9月にネタニアフ首相が国家のサイバー対処機関の立ち上げを発表(活動開始時期は未定)しており、国家としての態勢作りを試行錯誤で行っているようです
各国が手探りで進めるサイバー対処態勢確立の動きですが、その一つのケースとして、最前線国家イスラエルの様子をご紹介します

21日付Defense-News記事によれば
Eisenkot2.jpg●イスラエル軍は、サイバー関連の投資、訓練、攻撃及び防御計画を一本化する目的を持って、統合の「Cyber Command」を2年以内に設立することにした。
●新「Cyber Command」は2017年までに、これまでイスラエル軍統合司令部のC4I部が担ってきた「防御」任務と、「Unit 8200や他の部署」が行ってきた「データ収集」や「攻撃」作戦の両方を統合して担うことになる

●15日に同コマンド設置を決定をしたEisenkot参謀総長は、今後2年間、同コマンド設立準備のため、司令部C4I部や軍情報部の専門家からなるチームを編成することも指示した
●同参謀総長は発表に際し、「イスラエル国防軍は、日進月歩のサイバー戦線でも他を凌駕していなければならない」、「新コマンドは軍内の人材や資源や技術を活用し、サイバー戦線でイスラエル国防軍がよりよく活動出来るようするためのものだ」と説明した

Shefer2.jpg●イスラエル軍は、軍内の多様な部署に多額のサイバー投資を分散して行ってきたが、新コマンドに任務を集約することで、今後の5ヶ年計画での投資優先や焦点を明確にコントロール出来ると考えられている
●軍計画部長のNimrod Shefer少将は「今後もサイバーには多額の投資が必要だ。変化進歩の著しい分野では何も保障されて居らず、サイバーパワーとなる努力が継続的に必要だ」と述べている

サイバー専門家の評価
●元イスラエル軍大佐でテルアビブ大学のサイバー研究室長であるSiboni氏は、「防御と攻撃部門の統合は極めて重要」、「イスラエル軍が新コマンド創設でシナジー効果追求を目指したことを高く評価」、「予算や人材資源活用面でも一貫性が期待出来る」と評価している
●また「今の課題だけを注視するのではなく、5年後を見据え、増大・変化しつつある脅威に対応するのにより適している」と語った

Siboni.jpg●またSiboni氏は、2013年9月にイスラエル首相が構想を示した国家サイバー対処機関「OCDA:Operative Cyber Defense Authority」と軍サイバーコマンドの連携に期待を寄せた
●OCDAについて同首相は、「国家の重要インフラや安全保障機関を防御するだけでなく、イスラエル国民をサイバー脅威から守ること」とその任務だと述べている
●この様な国家としての任務達成のため、「軍の組織が一本化されれば、国家の組織との連携はより容易となり、国家としてよりよい態勢ができる」とSiboni氏は評価している
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サイバー攻撃が国家にとって大きな脅威だと判っていても、既存の国家組織がどのような枠組みで対処するのかは難しい問題です。特に組織的対応が容易な軍事組織が、他省庁の管轄するエネルギー・通信・金融等々の社会インフラ防御に関与が困難な点が国家として難しい点です。

CyberspacePolicyRe.jpg更に加えて、市民生活に深く関与しているサイバー分野には、プライバシーや情報管理の観点で公的機関が簡単に踏み込めない難しさにも西側諸国は直面しています。米国も一番脅威を実感していながら、国家としての対応に苦慮しているようです

イスラエルはその脅威環境と切迫度から、「国家の存続と国民の生命財産の保護」のためには手段を選ばない姿勢を貫いており、国際社会から非難を浴びること「しばしば」ですが、ある意味で脅威に対して「一歩先」の対処に取り組んでいる国です
その国をしても、この程度とも言えますし、それだけサイバードメインは近代国家にとってややこしい分野だとも言えましょう

苦悩するイスラエル軍
「空軍:変化と苦悩の最前線」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-22
「イスラエルがF-35で苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-01
「隣国シリアでサイバー戦激化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-25

米国の取り組み
「重要インフラ部門に指針の枠組み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-14
「第2弾:国防省サイバー戦略へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-07

防衛省のサイバー取り組み
「サイバー駅伝で能力アップを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-18
「民間企業も共に:CDC立ち上げ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-16

中国への露製Su-35輸出契約は成立するか? [ふと考えること]

Su-35S-2.jpg19日付Defense-Techは、中国軍へSU-35マルチロール戦闘機を売り込むロシアUnited Aircraft Corp社幹部の発言を紹介しつつ輸出交渉の状況を伝えています

パリ航空ショーで同社が最も力を入れて売り出しているのがSu-35だそうで、西側の第4世代機を凌駕し、F-35出さえも上回る部分があるとのふれ込みで、「F-22Aの潜在的ライバル」と宣伝しているようです

19日付Defense-Techによれば
●パリ航空ショーで売り出し中のSu-35は、開発中のステルス戦闘機T-50 PAK-FAが採用している新たなエンジンやアビオニクス等々を搭載している。
●同航空ショーで配布されている情報によれば、最近の飛行試験で「第4++」世代機である同機は、設計性能を達成するだけでなく、米国製の4世代機F-16やF-15やFA-18も上回り、F-35をも上回るとなっている

Su-35S Cockpit.jpgSu-35を製造するUnited Aircraft社のYuri Slyusar社長は、パリ航空ショーの会場で中国への輸出交渉の状況について質問され、契約交渉は一端中断していることを認めた
●そして同社長は「問題点は、政府レベルの軍事協力に関する部分にあり、我々企業レベルの話ではない」と述べつつ、「我が社は、24機のSu-35売却契約が今年中に締結できるものと信じている」と述べるに止まった

●中国は最近、ロシア製Su-27を基に開発(勝手にコピーされたとロシアが反発)されたJ-11B戦闘機の発展版J-11Dの初飛行試験を行っている。
●しかし依然として中国空軍がSu-35に興味を示しているのは、日本が導入するF-35やインドが導入するSu-30MKOやT-50に対処するためだと報じられている
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「問題点は、政府レベルの軍事協力に関する部分にあり・・」ですが、輸出したSu-27を中国が無許可でコピーし、J-11B戦闘機を開発した前科者だからでしょう
しかし中国は、ステルス戦闘機や戦闘爆撃機と言われる「J-20」や「J-31」を開発中なはずですが、Su-35も欲しいんでしょうか? またSu-27を購入した時のように、分解して技術を盗もうとしているのでしょうか???

類似の記事
中国「J-18」はロシア「Su-34」のコピー
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150621-00000026-scn-sci&pos=2

SU-35S.jpg「Defense-Tech」の読者コメントでは、「企業発表の宣伝性能との記事の描写がステキ!」との投稿が人気を集めており、ロシア企業の宣伝性能が余り信頼されていない実態が伺えます。
でも、Su-35は極東ロシア空軍にも配備開始されており、航続距離がSu-27の1.5倍もあることから日本も警戒が必要でしょう

「米中と中露関係を考える」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-15

フロノイ:当面は強制削減回避の見込みなし [米空軍]

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Flournoy3.jpg16日、パリ航空ショーを訪れた前国防次官で現国防長官ポスト最有力候補だった(家庭問題を理由に辞退)Michele Flournoy女史は、同ショーに集まった軍需産業経営者グループらを対象とした講演の後、インタビューに答え「強制削減問題の解決に向けた動きは見られない」と語りました

現在もCNAS理事長として、またBoston Consulting Group上席顧問として国防問題に深く関わっているフロノイ女史の発言を通し、強制削減問題の現状を確認します
また米空軍にとって予算と人員上の大問題であるA-10全廃に関する議会の状況も、合わせてご紹介します

17日付DODBuzzによれば
sequestration.jpg●16日、強制削減(sequestration)に関する議会内の動きに関するMilitary.comのインタビューに対し、「解決に向けた動きは見られない」と答えた
●国防省の2016年度予算案は、強制削減レベルを約4兆円上回る約60兆円を要求している。

下院は強制削減に至った際には強制削減枠外の海外緊急事態経費枠(OCO:overseas contingencies)を国防費に充当する案を持っているが、フロノイ女史は「2023年まで継続する問題に対する長期的対応にはなっていない」と指摘した。
●また「OCOが無いよりはましだが、誤魔化すべきではない。OCOは即応体制等にのみ適応可能で、装備の近代化等には使用出来ない」と訴えた

Flournoy4.jpg●同女史は更に「中国やロシアの動き、更に中東でのISを巡る情勢を見れば将来に備えた投資が不可欠なはずだ。必要な措置がなされていない」、「しかし軍事委員会委員をはじめとして議会には、訓練や即応体制や装備調達のリスクについて認識が広まっている」とも語った
●そして「2,3年後までには、何らかの予算に関する合意が形成され、必要な国防支出が可能になることを願っている」と語った

しかし大統領はOCO活用案に拒否権の姿勢
(米空軍協会web記事より)
obama.jpg●カーター国防長官は、オバマ大統領がOCOを国防予算穴埋めに使用する議会案に拒否権を発動する意向である事に、再度支持を表明した
●長官は、必要な資源配分がなければ世界最高の軍を維持出来ないことは判っているが、「1年限りの小手先の対応策であるOCO活用ではなく、長期的な問題解決や対処が必要なのだ」と訴えた

●大統領の姿勢に対し上下院からは厳しい批判が出ている。下院軍事委員会の委員長は「米国が直面している危機を考えれば、拒否権など信じられない」と述べ、フォーブス下院議員も「考えられない」と批判している

一方で、空軍が削減したいA-10予算を増額する動きが
●A-10攻撃機は現在、イラクやシリアで対IS作戦に従事し、またウクライナ周辺での「戦力誇示」にも飛行を続けているが、米空軍は、約300機のA-10攻撃機を2019年までに全廃して年間4500億円を削減し、整備員をF-35部隊に投入する計画を持っている。
A-10 turn.jpg一方で米議会の両院は、A-10を維持するための予算を計上し、翼を交換して延命させる予算まで組もうとしており、その主張は真っ向から対立している

●例えば、16日上院軍事委員会は、約400億円のA-10維持費を国防省予算案に積みます案を了承している
下院はその上を行っており、上院の2倍近い約750億円を案に積み増し、機体の維持だけでなく、翼の交換(約280億円)まで予算要求する案を12日に可決している

今後、上下両院の予算案の調整が行われるが、下院の軍事委員長は「我々はかつて無い多様な脅威に直面しており、敏捷性を維持しなければならない」と述べ、A-10の重要性を含め予算案への決意を語っている
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まとめて考えると、強制削減が2013年に続き発生する可能性は高いが、約4兆円の不足分をOCOで一部補完する案は議会側に存在する
しかし大統領や国防長官は、「その場しのぎの対処案は受け入れられない」とOCO活用案に拒否権発動の模様です

sequestration2.jpg更にA-10予算のように、議会が国防省案に反して増額しそうな部分も有り(つまり、国防省が必要と考える他の部分の削減を強いられる)、また基地の整理統合や福利厚生予算削減など実現しない「捕らぬ狸の皮算用」部分も国防省案には含まれており、総合するとガッツリ「1割カット」ぐらいの影響が出る雰囲気です

そうなると国防省が予言していたような、陸軍で52万を42万に削減、海軍は空母削減、空軍は500機2.5万人削減等々の方向に向かうのかも知れません。
どうするんでしょうか???

英国等が川崎P-1対戦哨戒機に興味津々 [ちょっとお得な話]

兄弟ブログ「輪になって踊らず」の新記事
「戦争はだめ」だけで生き残れるのか?
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2015-06-20
→「戦争をしないという決心をして戦争にならないのであれば、そう決心すればいい。しかし戦争と平和の問題はそんなに簡単な問題ではない
→「子供たちに戦争体験を語り継ぐなどの努力はよいが、戦争の悲惨さを知ることと戦争がどうして起こるのかを知ることは別のことであり、後者の問題の方がずっと重要」
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p-1.jpg17日付DODBuzzがパリ航空ショーのレポートとして、川崎重工がP-3対戦哨戒機の後継として製造している国産P-1哨戒機に英国が関心を示していると報じています。
この分野では、同じくP-3の後継としてボーイングが製造するP-8がありますが、英国以外の国も同航空ショーの川崎重工ブースに多数訪れ、その性能や輸出可能性について問い合わせているとのことです

武器輸出3原則に替わり、新たに定められた「防衛装備移転3原則」を背景に、川崎重工も「輸出担当室長」がパリに出向いてアピールしているようです

P-8と戦うのはそんなに簡単ではないでしょうが、世界の市場を視野に置くことで、日本の軍需産業にも良い効果をもたらすことが期待されます

17日付DODBuzzによれば
P-1 2.jpg●英国は対潜哨戒任務を担っていたニムロッドが引退した以降、他国や空軍に潜水艦監視を頼らざるを得なくなっている。ニムロッドの後継としてBAEが開発を進めていた機体も、経費超過で中止している
●日本の安倍首相が武器輸出に関する自主規制を見直し、日本の軍需企業が海外顧客を見つけることを容認したことを受け、英国は川崎重工製のP-1哨戒機に興味があるとのシグナルを送ってきた

●2008年に生産が開始されたP-1は量産型の初飛行に2012年に成功し、中国やロシアの潜水艦が増強され活動を活発化を受け世界の海軍士官が海洋監視航空機を求める中、P-8の対抗馬になりつつある。
●英国が哨戒機を購入する場合、1300億円規模になるとの見積もりもある

川崎重工のコバヤシタクミP-1&C-2輸出担当室長は、パリ航空シューで非常に多くの高い関心を集めていると語っている。
昨年のロンドン航空ショーでは単に輸出可能なのかとの質問が多かったが今年は複数の国の代表団が川重のブースを訪れ、航空機に関する詳細を質問してくるとコバヤシ室長は語った

P-8.jpg●ただし、英国が興味を示した事を受け、本当に川崎重工製のP-1がボーイング製のP-8に対抗出来るのかとの議論も呼んでいる。なお米海軍は最近、追加で16機のP-8を発注すると発表している
●またコバヤシ氏は、輸出するには当該国と日本との強い関係が必要だと慎重な姿勢も見せ、「(輸出に向けた)議論を続けるかどうかは、当該国と日本との関係にかかっている」と述べた

P-1哨戒機とP-8どちらが優秀?
(Yahoo知恵袋のベストアンサーより)
●P-1は単独での対潜・対水上哨戒に重点であるが、P-8は艦船・無人機とのデータリンクによって哨戒し、単独運用に重きを置かない模様。また対地支援機としても活用(P-8はSLAM-ERやJDAMといった対地攻撃兵器の搭載能力がある)
対潜機器に関しては日米で共同開発されたものを積んでいるので能力的には差はない

P-8 2.jpgP-1が対艦ミサイルを8発搭載も、P-8はP-3と同じく4発搭載
●P-1が150億円ぐらいで、P-8はなんと300億円ほど

●P-1はフライバイ「光」、全周警戒、ウエポンベイも最適位置、P-8はこの点でP-1に劣る
●P-1は当初から対潜哨戒機を想定して低空長時間飛行を念頭に置いているが、P-8は旅客機B-737を母体としているため、ムリな開発で困難を極めた曰く付き装備

上記から総合的に判断すると、P-1も負けてはいない・・気がしますが。特に単独で運用する東南アジア諸国にとっては・・・
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P-8は、米国軍需産業が総力を結集して製造した機体ですからそれでも素晴らしいのでしょう。
P-3C.jpgしかし川崎にも意地があります。P-3導入時、「米国からの圧力」で田中角栄総理が国産方針を撤回し、川崎が無念の涙をのんだ経緯もあります。

P-8は既に、米海軍以外にインドに輸出したほかオーストラリアへの供給が決まって居るようですが、南シナ海の領有権争いに直面するフィリピンやベトナムは中国の覇権主義に対抗するため、防衛装備品の輸出緩和を決めた日本のP-1に「高い関心を示す」(防衛省幹部)と言われています。

話題になるだけでも時代の変化を感じます・・・
でも当該DODBuzzの記事にはコメントが「ゼロ」(18日朝現在)です。日本から投稿してみては・・・

防衛白書の「防衛装備移転3原則」解説
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2014/html/n4133000.html

中国政府が指示:民船も有事は軍用に [中国要人・軍事]

China Daily2.jpg18日付中国国営メディア中国日報は、中国政府が有事に民間船舶を軍事用に使用することを定めた法律を制定したと報じています。
民間船舶に何らかの「仕様」を求めているのか等々、細部がよく分かりませんが、民間船主は有事に政府の求めに応じ、定められた種類の船舶を提供しなければならないことが規定されている模様です

そんな法律がなくても、「何でも好き放題」なイメージの中国共産党政権ですが、形を整え、台湾でも尖閣でも西沙・南沙諸島でも民間船舶が押し寄せてくるのかも知れません
しかし・・・徴用された民間船が「軍用」である事を明確にして欲しいものです

18日付Defense-News記事によれば
China amphibious.jpg●18日付中国日報は、法律がコンテナ船を含む5つのカテゴリーの船舶を対象としており、紛争発生の際に軍用で用いるため「to be modified」することを求めていると報じている
●また同紙は「この法律により、民間船舶の相当な潜在能力が軍事力に転換出来る」とも表現している

●同報道は、中国は昨年末時点で17万2千隻の民間船舶を保有しており、この法整備により中国海軍の能力を大きく躍進させることが出来ると記している
●なお、本法律に基づく計画に必要な経費は政府が負担するとされている

●人民日報は軍事研究家Cao Weidong氏の、「海での戦いでは、一般に多数の船泊の動員が行われる」「船主や造船業者が民間船舶を軍用に提供して戦時の海軍に貢献するのは一般的なことである」とのコメントを引用し、
●更に「新しい基準は、民間造船業界の力を軍事力に転換することを助けるだろう」との言葉も紹介している
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China Daily.jpgこの法律(new guidelines又はregulations)の意味するところがよく分かりませんが、専門家の解説を待ちましょう

いろんな意味で準備が着々と進んでいると言うことでしょう。集団的自衛権ごときで立法府が混乱しているどこかの国の人は、目をしっかり見開いて考えて欲しいものです

ご参考の過去記事
「正直な太平洋海軍情報部長を更迭」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-12

「分析の結果、中国軍は東シナ海地域で自衛隊を短期の激しい戦いで撃破し、尖閣諸島あるいは琉球列島南部を占領する新たな任務を与えられた」と発言

5月発表:恒例「中国の軍事力」レポート [中国要人・軍事]

2015 China report.jpg1ヶ月以上前に発表されていた米国防省による中国軍事力に関するレポートを、遅まきながらご紹介します
本年は5月8日に公開されており、正式名称は「Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China for 2015」です。

毎年は米国防省webサイトに概要解説記事が出たりするのですが、今年は「議会に提出を求められている報告書が出ました。関係する他省庁ともコーディネイトして出しました」との短いコメントだけが添えられており、極めてロープロファイルな発表でした

90ページ越える報告書では、年率10%を切ったものの9.5%を維持する軍事費の伸びと装備の近代化南シナ海での埋め立てや東シナ海での活動についての警戒、また国際貢献を通じて海外展開能力を高め、人道支援や災害対処に頻繁に顔を出す様子を描写しています。

でもやっぱり「肝」は、サマリー冒頭の恒例表現
●中国は、地域で発生する高列度紛争に短期間で勝利(short-duration, high-intensity regional conflicts)する能力の向上に、長期的視野に立った包括的な取り組みを引き続き行っている。
台湾海峡での潜在的な紛争発生に備えた準備が焦点であり最優先の軍事投資先であるが、中国はその準備重点を台湾以外の東シナ海や南シナ海での緊急事態にも向けつつある

またサマリーが強調する優先投資先は
DF-21D 4.jpg●2014年、中国は地域での緊急事態に備えた能力強化のため、引き続き巡航ミサイル、短中距離弾道ミサイル、高性能航空機、統合防空、情報作戦、着上陸・空挺作戦等の改善に取り組んだ
●中国軍は、中距離弾道ミサイル、長距離対地・対艦巡航ミサイルの開発試験を行って作戦可能範囲の拡大に努め、有事の際に米国を含む敵対戦力を押し返すことを試みている
●中国はまた、対宇宙、サイバー攻撃作戦、電子戦能力にも焦点を置き、敵対者の近代的な情報戦を拒否する備えを行っている

具体的内容で興味深い部分:つまみ食い
(引用元は「海国防衛ジャーナル」です)
China-Navy2.jpg●エネルギー供給地と輸送オプションの多様化を追求。しかし現状は、2014年、石油の約60%を輸入に依存。2035年までに80%へ達する見込
●南シナ海とマラッカ海峡への依存を緩和させることを目指すも、2014年、中国の石油輸入のうち85%が南シナ海とマラッカ海峡を経由

●短距離弾道ミサイル(SRBM)の数が、昨年1000発から1200発に増加し、初めて射程800~1,000kmのDF-16の存在に言及
在日米軍基地は準中距離弾道ミサイル(MRBM)と対地巡航ミサイルの射程内にあり、グアムもまた空対地巡航ミサイルの射程内にある。グアムを攻撃するための射程4,000km級の新型中距離弾道ミサイル(IRBM)を開発中との情報もある。
新しい空中発射型、地上発射型対地巡航ミサイルの配備を進めている。空中発射型は、YJ-63、KD-88、そしてCJ-20 (CJ-10の空中発射バージョン)がある

China National Day parade.jpg●中国沿岸から555km(300海里)内において、信頼性の高いIAMDシステム保有。ステルス機探知能力有りと主張
●ロシア製SA-20 PMU2は、射程1,000km級弾道ミサイルに対処可能な模様。
●国産HQ-9長距離地対空ミサイルは、射程500km級弾道ミサイルに対して限定的な対処能力
●2014年、ロシア製S-400システム(400km)の購入契約

アジアで最大数の艦船を保有する。主要任務は「近海」の防衛だが、第一列島線を超えた「遠海」での任務へとシフト途上
●海軍は水上艦戦に重点、対艦巡航ミサイルと超水平線ターゲッティング(OTH-T)システムの近代化を継続中
●旧型水上艦はYJ-8A(120km)搭載だが、052C型はYJ-62(220km)、052D型と055型はYJ-18(540km)を搭載。なおYJ-18はSS-N-27より劇的に能力が高

China-Sub.jpg潜水艦の近代化も主要課題のひとつで、攻撃原潜×5、弾道ミサイル原潜×4、通常潜×53を持つ。2020年までに、69~78隻の潜水艦を配備
●2015年のうちにSSBNによる初の核抑止パトロールが実施されるだろう(昨年も同じ表現:2014年P開始と)

●空軍はステルス技術の無人機への導入努力。長距離UAVは、中国の長距離偵察・攻撃任務能力を向上させる
●2014~2023年で、中国は4万機以上の陸上、海上配備無人機システムを製造するという見積もりもある。
●2013年、中国はUAVを軍事演習に参加させ始め、東シナ海ではBZK-005がISR任務を実施している。
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ちなみに日本の防衛白書のサマリー部分では
●「中国は周辺地域への他国の軍事力の接近・展開を阻止し、当該地域での軍事活動を阻害する非対称的な軍事能力(A2/AD能力)の強化取り組んでいるとみられる」
・・・との表現になっています。

DF-21D.jpg米国防省の情勢認識のポイントである、「短期の高列度紛争(short-duration,high-intensity regional conflicts)」に当たる表現は全く見当たりません

また、米国防省が弾道・巡航ミサイル、サイバー・宇宙、電子戦等をサマリーで強調している中、防衛白書は本文でも核戦力、弾道ミサイル、陸上・海上・航空戦力・・と分野別に羅列表記になっており、「非対称的な軍事能力」との「ぼんやり表現」はみられるものの、「脅威の焦点」をぼかした書きぶりは今年も踏襲されています

日本政府も防衛省も、色々「大人の事情」があるのでしょうが、まず脅威の認識を正しくして国民と共有し、国として国防の基礎を固める決意が必要でしょう
何時もの愚痴になりました・・・

2015年報告書の現物(約4MB)
http://www.defense.gov/pubs/2015_China_Military_Power_Report.pdf

過去の米国防省「中国軍事力」レポート
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

グアムに爆撃機受け入れ部隊常駐へ [米空軍]

andersenGM.jpg米空軍グローバル攻撃軍AFGSCのStephen Wilson司令官が、グアム島への展開が急増している爆撃機部隊の受け入れを円滑にし、爆撃機部隊の負担を軽減するため、30名程度の爆撃機部隊受け入れ専門部隊をグアム島に常駐させる計画を明らかにしました

現在細部を太平洋空軍と詰めているようですが、9月に先行要員が到着し、来年春には運用体制を確立したい計画のようです。
グアムの態勢強化に関する小さな動きの一つですが、グアムの現状を象徴する出来事ですのでご紹介します

15日付米空軍協会web記事によれば
AFM1012.jpg●AFGSCのWilson司令官(中将)は米空軍協会機関誌の取材に対し、Minot空軍基地とバークスデール空軍基地から30~34名から編成される爆撃機受け入れ部隊を常駐させる計画だと語った
●常駐部隊はCBP(continuous bomber presence)でグアム島に展開する爆撃機部隊を支援する任務を持ち、指揮官は中佐で、8名程度の士官が含まれる予定だと同司令官は語った

●常駐派遣部隊の約半数は作戦運用担当者で、作戦計画、通信、飛行安全、評価観察標準化、捕虜対処(Survival, Evasion, Resistance, and Escape)の専門担当を含んでいる
●常駐部隊指揮官の予定者であるPritchett中佐(AFGSCの航空作戦センターで副作戦部長)は、他の半数は機体整備担当者で、地上整備機材や機上エンジニア等の整備関係要員が多数含まれていると語った

太平洋空軍も人員配置を再検討中
Andersen AFB3.jpg●AFGSCによるグアム常駐部隊編成は、昨年11月に実施された業務改善評価チームの提言が契機となっている。グアムへの爆撃機の展開が増え、米本土からそのたびに人員を派遣していたのでは部隊への負担が大きかったからだ
●同チームの一員だった少佐は、爆撃機部隊による人員配置検討の他に、米太平洋空軍も新たな人員配を検討中だと語り、「余りにも多くの演習や航空機を太平洋軍も支援せねばならず、新たな施策が求められている」と語った

Andersen AFB4.jpg●グアム島の現状について、「かつてグアム島のアンダーセン基地は、長期間の眠りについた空虚で巨大な飛行場だった。ほとんど何も起こらなかったのがグアム島だったが、今やそうではない」と語った
●更に同少佐は「今や毎月演習が行われている。大きなものでは約2200名が参加する毎年のCope North演習、隔年で実施される3200名が参加のValiant Shield演習がある。このほかにアンダーセン基地はCBP、空中給油機、グローバルホーク無人偵察機、輸送機、海軍機、同盟国航空機を支えている」と説明した
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グアム島のアンダーセン空軍基地や海軍基地では、施設の強化工事が盛んに行われているようです。
一方で、中国軍の弾道・巡航ミサイルの発達増強で、グアムの位置付けは米軍的には微妙であり、そのために豪州やグアム周辺の島々(サイパンやテニアン)、更には東南アジアの諸国軍インフラへのアクセス拡大を図っている米軍です

A2AD脅威下の作戦拠点グアム基地で今
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1

関連の記事
「グアムの抗たん性強化へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1

「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05

F-35まとめ買い500機?:日本も想定内!? [亡国のF-35]

paris air show.jpgパリエアショーが15日月曜日から開催されていますが、現地のプレイベントでLockheed Martin社のF-35担当責任者が、2018年から2020年の間の複数年契約でF-35をまとめ買いしてもらう企てについて、「460機から500機になる可能性」と語りました。

460と500の差は、購入未決定であるカナダとデンマーク次第との言いぶりで、最近「法改正を行った」日本は既に織り込み済みだとの口ぶりで語っています
日本は既に棺桶に両足を突っ込んだのか・・・感のあるニュースですが、しかたなくご紹介します

15日付Defense-News記事について
Martin-F35.jpg15日、LM社F-35計画責任者であるLorraine Martin女史は、パリ航空ショー開催に先立った説明会見で、F-35購入契約をしている国は全て「まとめ買い:block buy」に興味を示しており、その機数は500機になる可能性があると語った
●同女史は「彼ら皆が興味があると語っている」、「複数年契約のまとめ買いを従来から行っている国もあるが、日本のように経験はないが、それを可能にする法制度を整えた国もある」と説明した

●この複数年まとめ買いについては、先月ケンドール国防次官も支持を表明しており、まとめ買いによる価格低下を期待する発言をしていた
●具体的には、2018年度-2020年度に発注が行われる「LRIPs 12,13 and 14」生産単位部分についてのまとめ買いを、LM社と米国政府が関係国に要請している

Martin女史は、米国議会も大きな経費削減に繋がるまとめ買いを望んでいるだろうと語り、「既に価格低下を予期しており、10%ぐらいを期待されている」とも語った
●更に「生産者側にとっては、400機以上で500機の受注となれば、そのインパクトは非常に大きい」、「460機程度と見積もっているが、カナダとデンマークが加わると500機前後になるだろう」とも着け加えた

paris air show2.jpg●(F-35購入に関する国内議論が紛糾している2国に関し、)「より安価にF-35を入手出来るとなれば、他の問題や摩擦を緩和してくれるかも知れない」と同女史は述べた
●同女史はまた、まとめ買いの受付期限については明確な言及を避けたが、今後1年程度になろうと示唆した

●また説明会見では、2018年までの生産では製造機体の半数はパートナー用で、2019年以降は価格を85億円程度に低下させ、第4世代機と同程度の価格にしたいとも述べた
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日本のように可能にする法制度を整えた国」(like Japan, that have just passed legislation that enables them to do this)と日本はなっているようです。

恐らくその法制度はひっそりと成立したのでしょうが、F-35を強く念頭に置いたものだったのでしょう。
(読者の方からのご指摘→まとめ買いについてはF-35を主眼として想定した物ではありません
複数年度一括調達は割と昔から防衛産業保護とコスト削減のため提言され続け
(メーカーとしては製造スケジュールを確定でき、作業しやすい)
この度27年度予算でP-1を4年分20機一括調達しています。
F-35も適用対象にはなるでしょうが、あくまで適用される装備の一つでしかありません

F-35transonic.jpg筋金入りで肝いりのバックアップを得た「亡国のF-35」・・・27年度予算では、6機を約1050億円で購入しています。

つまり1機175億円で、その他に関連部品や整備用機材予算が組まれており、総合すると1機200億円を越えています
2019年度の米国が約85億円で調達するとき、日本はいくらで買っているのでしょうか??? 

米高官「F-35まとめ買いで安くしない?」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-31

中国と米国はそれぞれに方針転換か? [安全保障全般]

Obama-China.jpg岡崎研究所がWedgeサイトで「世界潮流を読む」との国際情勢分析の連載を行っていますが、最近、米国と中国双方の「変化の兆しを示唆」するような分析記事が掲載されています

南シナ海での猛烈な埋め立て工事の現実や、東シナ海で続く活発な領有権主張活動の最中、なかなか庶民には感じにくい部分ですが、その筋の皆さんには感じるところがあるのかも知れません

そう言えば、先週訪米していた中国軍人トップ(中央軍事委員会副主席)の米国内での行動に関し、中国側がメディア報道を拒否して話題になることを避けており、このあたりにも変化の兆しがあるのかも知れません。
とりあえず「世界潮流を読む」から2本の記事をご紹介

8日付記事は中国の変化を示唆?
5月7日付の英FT紙は、ロシアでの戦勝記念日への習近平国家主席の参加に因み、現在の中ロ関係を簡潔にスケッチしている。中露間には根深い猜疑心、中央アジアにおける勢力争い等もあるので、両国の接近に過度に神経質になる必要はないが、他方両国をいたずらに煽って接近を助長することのないよう、気を付けなければならないと主張するものである

一帯一路2.jpg中露は当面、戦後70年の機会をとらえ、歴史問題で日本に圧力をかけてくると思われる。日本の北方領土要求や尖閣支配は「戦後の現実を変更しようとする企て」だと主張するだろう。
●これは、得意のプロパガンダなので、日本は、正面から応ずる愚は避け、日本は日米同盟を強化し、軍事的圧力は適正にはねつけると同時に、「こういうことでは協力が難しくなる」とのメッセージを、中露両国に別個に発することが有効同時に発すれば、中露を敵に回した印象を与え、両者の提携をあおる

現在、中露の外交のベクトルは違う中国は米日ASEANとは当面矛を収め、「一帯一路」と称して西進に重点を置く構え一方ロシアは、日本の支援は特に極東において不可欠であり、日本の協力を引き出すための裏工作も続けている。
中国の西進は、中国の関心が太平洋方面から転ずることを意味するので、日本にとっては好材料。


12日付米国の政策変化を示唆する記事
Pillsbury.jpg中国分析の大ベテランであるハドソン研究所中国戦略センターのピルズベリー所長が、2月発刊の著書「The Hundred-Year Marathon」において、「自分の対中認識は間違っていた。中国に騙されていた」と本書で告白。ワシントンの中国政策に関わる政府関係者や専門家に大きな衝撃を
●著者のピルズベリーは、米国の対中関与政策を支持する「対中協調派」の中心的人物だった。彼はCIA、国防総省、米上院特別委員会等に勤務し、ほとんどの対中国インテリジェンスや米国内の対中国政策をめぐる秘密文書にアクセスし、中国の対米認識分析や米国の対中政策選択肢提示を続けてきた人物。

●従って、本書の内容・主張は、ピルズベリーが直接入手した関係者からの証言や、これまでアクセスした文書に基づいており、その信憑性は高いと思量。本書の影響らしきものとして、例えば3月に、外交問題評議会(CFR)が「中国に対する大戦略の変更」という小冊子を発表している。
米国の対中政策は南シナ海での中国の人工島建設などにより、強硬化しているように見えるが、今後どう推移していくか注目。

著書「100年のマラソン」の概要
2012年以降、中国人は、「中国主導の世界秩序」をおおっぴらに議論し、「中華民族の再興」とともに同秩序が訪れると信じている。最近中国人は、私及び米国政府を最初(1969年)から騙していたと実際に語った。これは、米国政府史上最大のインテリジェンスの失敗である。
Pillsbury-Marath.jpg●すなわち、米国は、中国を支援し続けていけば、中国が民主的で平和な国家になり、地域や世界を支配しようなどと考えないだろうと想定していたが、完全な誤りであった。我々は、中国内の強硬派の力を過小評価していた。強硬派は、中国建国100年の2049年までに経済、軍事、政治のすべての面で世界のリーダーになるとの計画(100年のマラソン)を有していた

中国は、最初から米国を「帝国主義者である敵」と認識し、米国を対ソ連カードとして用い、米国の科学技術を吸収、窃取するつもりだったが、米国の中国専門家はこれに気づかなかった
●中国の指導者は、150年以上にわたり米国が中国を支配しようとしてきたと考えており、彼らは中国が米国を逆に支配するためにあらゆることを行うつもりである。彼らにとって世界はゼロ・サムである。

中国は、「暗殺者の棍棒」と言われる非対称戦力をもって米国の通常戦力を破る作戦を考えている。実際に、この非対称戦力は有効であり、米国防省の戦争シミュレーションで米軍が初めて敗れたのはこの中国の非対称戦力に対してだった
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China National Day parade3.jpg「一帯一路」とは、昨年11月に習近平が打ち出した構想で、西方との協力関係強化を打ち出したものであり、その後首相である李克強が盛んに発言しているものです。

「一帯」がシルクロードの鉄道版建設を中心とする陸上での西方との関係強化、「一路」は海上交易を念頭に東南アジアからインドを経てアフリカ東海岸までを結ぶ構想となっています

東シナ海や南シナ海での中国の活動が収束するとは思えませんし、西側が安心するとそこにつけ込むのが中国の常套手段ですが、米国の中国への姿勢に変化が出れば、いったんは様子見で「西方へ」の可能性はありましょう。注目したいところです

この記事ににドンピシャの報道!
→16日、中国外務省の報道局長が南沙埋め立て終結方針→「計画に基づき、近く行程が完了する」と…方針転換か(読売新聞)→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150616-00050071-yom-int 

同様の記事(朝日新聞)
→埋め立てを拡大させない姿勢を示す狙いとみられるが、埋め立て地での建設工事は続けるとしている
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150616-00000033-asahi-int

機体疲労深刻:米軍FA-18 [Joint・統合参謀本部]

FA-18 Inherent Resolve.jpg中東での酷使とF-35開発の遅れの中、機体設計寿命を越えて使用されている米海軍と海兵隊のFA-18に関し、米海軍航空戦部長であるMichael Manazir少将は、定期修理等で明らかになってきた機体の腐食、摩耗、疲労状況について、「驚かされている:caught us by surprise」と表現し、修理不能な機体も発見されていることを明らかにしました

この想定外について同少将は、従来の金属ではなく新しい複合材を使用しているため、機体の劣化を正確に予想できていない実態にも言及しています
国防予算削減への警告ともとれますが、FA-18が酷使されていることは兼ねてからの懸念でもあり、お馴染みManazir少将の語りでご紹介します

5日付DODBuzzによれば
Manazir2.jpg●米海軍&海兵隊航空会議で講演したManazir少将は、「機体腐食の衝撃は、想定以上の驚きだった」と認め、「機体を分解し、機体ダメージを確認した結果、部品の交換では対処できない状態にあることを悟り、任務から外すことになった機体もある」と語った
●米軍はFA-18A/Dを620機現在も運用しており、海軍はFA-18E/Fを主力としているものの、海兵隊は正面戦力として運用し、シリアやイラクで対IS作戦に投入している

●海軍等は約10年前、設計寿命が6000時間である機体を1万時間にまで延長使用する手法を見積もり、複合材(composite)を多用しているFA-18の機体は、従来のF-14やA-6のような金属製機体と比較し、それほど措置は必要ないだろうと判断していた
●また「6000時間を超えて運用するとは予期していなかったため、金属機体には実施していた腐食管理プロセスを踏んでいなかった。金属の腐食や疲労は理解していたが、複合材を知らなかったのだ」とManazir少将は認めた

FA-18.jpg●更に機体へのダメージは各機毎バラバラで、特定の改修プログラムが組めず機体全体を個々に当たるしかない状態に直面しているとも同少将は表現した
●同少将は何機程度が修理工場で運用不能状態にあるかに言及しなかったが、2~3個飛行隊分不足との予想や2020年までには100機程度が不足する状態になるとの予想もあると語った

●なお現時点では、海兵隊のF-35Bは本年後半に初期運用体制IOCには入り、海軍のF-35Cは2019年が見込まれている
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<Manazir.jpgstrong>海兵隊が、ソフト開発の遅れ等で極めて限定的な能力発揮しかできないF-35Bを受け入れ、取りあえずでも運用を開始するのは初期型FA-18が限界状態にあるからでしょう
それにしても、対ISはいろいろな方面に、じわじわと大きな影響を与えつつあります

複合材(composite)を使用した機体の「腐食、摩耗、疲労」について、きちんとした「normal corrosion control processes」が行われていないとの表現も気になります
民間機でも複合材は広く使用されていますし、日本のF-2にも多く使用されていたと思います。F-18のデータが公開されることはにでしょうが、安全面での教訓は可能な範囲で共有されることを願います

関連の過去記事
「海軍と空軍が共同で戦闘機検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-30
「なぜ追加でF-18が必要?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-15
「35歳FA-18の将来方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15

「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「母機よりも搭載装備を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-11
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