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突然:米空軍調達次官の退任会見 [米空軍]

LaPlante-AFA2.jpg18日、米空軍省の調達担当次官William LaPlante氏が予期せぬ辞任を発表し、24日に記者会見を行いました。
同氏は今年夏から辞任して「MITRE社」へ移ることを希望していたようですが、次期爆撃機LRS-B選定の結果発表が終了するまでは「辞められない」の一念で、この日まで職務を続けてきたと語っています

会見の中では、米空軍が優先事業として求めている事業の「現状」について、「恨み節」も含めてLaPlante氏の見方を披露していますので、ご参考までご紹介します

最も大きい懸念事項は、先日ご紹介したロシア製ロケットエンジンRD-180がらみで、ULAの機種選定脱落が尾を引く軍事衛星打ち上げ問題でした

24日付Defense-News記事によれば
RD-180.jpg●24日、LaPlante氏はペンタゴンないで行われた円卓会見で、米空軍議場が直面する厳しい状況に欲求不満をにじませた

同氏が最も明確に懸念を表明したのは宇宙へのアクセスを支える衛星打ち上げ事業に関してであり、米国が議会や国防省等が要求するように急速に国産ロケットに転換出来るのかに疑問を呈した
●「複数企業による競争を求められ、2種類の打ち上げロケットの確保を求められ、更にロシア製エンジンからの脱却も求められている。どのようにわずか4年で3つの要求を満たすのか私には分からない」と率直に述べた

次期爆撃機LRS-Bに関しては、「機種選定結果を発表するまでは、やり遂げなければならないと考えていた」と述べ、敗者のボーイングとロッキードから不服申し立てが出ている件については、「私は自信を持っている。ただ、いつ不服申し立てに決着が付き、計画が計画時程に戻るか気になっている」と語った

●(F-35やLRS-Bと並んで空軍の優先事業である)次期空中給油機KC-46Aに関しては、スタートでは問題もあり初飛行が度々延期されたが、9月25日の初飛行以降は急速にテストが進んでいる語り、空中給油能力自体の確認が次のステップだと語った
F-35 fix.jpg●同氏は「ボーイング社は良い仕事をしており、予期していたよりも順調に飛行試験を実施している。我々が望むような状態にある」と表現した

F-35計画について同氏は、空軍型F-35Aは来年夏に初期運用態勢を確立するだろうが、次のチャレンジは増産体制の確立にあると語った
●同氏は「今年は年間150機の生産機数だったが、4年後には年間1000機を生産しなければならず、これはチャレンジだ」と表現した

●老朽化が進むJSTARSの後継に関しては、声が曇った。米空軍は後継機の計画を煮詰めているが、国防省は同計画を葬ろうとしていると懸念を示した
JSTARS5.jpg●「米空軍以外のペンタゴン内で、他の計画と比較してどちらを選択するかの議論されている。ある勢力はJSTARSとグローバルホークへの投資を比較して議論しているし、現代の戦いの中でJSTARSが有効か疑問を呈する勢力もある」と表現し、

●更に「A2AD環境下にJSTARSがフィットするかと疑問を呈する者も居る。果たして、A2AD環境に適した装備など他にあるのか?」、「しかし厳しい予算状況下では、この様な議論は継続するだろう」とも語った
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LaPLante2.jpgLaPlante氏はもともと理論物理学者でJohns Hopkins大学の学部長を勤めた経験もあり、2013年に筆頭次官補で国防省に入る直前まで「MITRE社」でBMD分析部長を務めていた人物で、2014年から次官を勤めていました。「MITRE社」へは復帰となります。

お疲れさまでした! 軍事衛星打ち上げロケット問題が大きな問題で、F-35の急増産が大きなチャレンジだとあらためて教えていただきました。
肝に銘じておきましょう

LaPlante会見の関連記事
「軍事衛星打ち上げ問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「F-35の急激増産が課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-10-1
「KC-46A第一段階飛行試験終了」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-18
「米空軍内のJSTARS後継検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-11

日本選定のKC-46Aが第一段階飛行試験終了 [米空軍]

KC-46A2.jpg12日、日本も導入を決定した空中給油機KC-46Aが第一段階の飛行試験20回を終了し、まず航空機としての飛行に問題がないことを確認しました

同機は、2014年に予定されていた初飛行が種々のトラブルで延期に次ぐ延期でしたが、本年9月25日にやっと初飛行に成功し、その後順調に「空力特性:aerodynamic」確認が進んだようです

トラブルはF-35だけで十分ですので、F-35より重要な空中給油機には順調な試験の進捗を今後も期待します

17日付Defense-News記事によれば
●ボーイング社の報道官がDefense-Newsに語ったところによれば、12日にKC-46Aは20回目の「free air stability」飛行試験を終了し、機体の空力特性に問題が無いことを証明した
●同飛行試験は、今後行われる第2弾の「fuel dock」飛行試験と併せ、空中給油機試験の主要な2部門となっている

KC-46A1.jpg●次の「fuel dock」飛行試験は、給油システムの確認を行う試験である
●その「fuel dock」試験後は、他のKC-46Aを含む6機種への空中給油試験を行う予定で、これらの試験を経て本格生産の国防省承認が得られる「Milestone C」が達成出来る

●ボーイング社は、「Milestone C」達成を2016年1月から4月に予定しており、これにより2017年8月までに18機KC-46A納入の契約遂行の目途が立つ
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知る限りでは、機内配線のトラブルで延期、機体構造の問題で延期、最近では給油システムに誤った化学薬品を投入してしまい延期・・・との経緯をたどったKC-46Aです。

米空軍の3大優先事業の一つ(他はF-35とLRS-B)で、「固定経費契約」のシンボリックな優等生計画でしたが、上記問題の発生と対処で、ボーイング社は「自腹」で追加経費をまかなっています

この様な開発段階で生じた「自腹」部分を、現時点で米空軍以外の唯一の購入先である航空自衛隊に、ふっかけるようなことがな事がないよう、価格には十分注意したいものです。そう言えばFMSだったですねぇ・・・

KC-46A関連記事
「予定経費を大幅超過」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21
「韓国はA330に決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-01
「KC-X決定!泥沼回避」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25

習近平が自ら中国軍改革を指示 [中国要人・軍事]

習近平.jpg26日付で中国国営新華社通信は、中国軍の指導機関・共産党中央軍事委員会トップの習近平主席(国家主席)が24日に軍の会議で演説し、中国軍が検討を進めてきた軍改革案の概要を正式に公表したと報じている模様です。

南シナ海問題などで高まる米国などとの緊張を背景に軍改革を加速させ、2020年までに、改革に一定のメドをつける狙いがある模様で、国内の地域防衛区分である7大軍区を、陸海空軍などの統合運用を行う「戦区」に改編することを柱とした内容を指示したようです。

習近平が指示した内容を、27日付読売新聞朝刊7面の記事を再構成してご紹介します

中国軍改革のポイントは・・・
共産党中央軍事委員会2.jpg●「数量&規模型から、質&効率型への転換を推進する」、「戦える軍隊」と主席は強調。人員削減を進める事で軍を精鋭化し、米軍に対抗するための新装備導入や開発を加速する可能性も
●9月3日の「70周年」演説で発表した30万人削減を2017年までに完了させ、その後、段階的に改革を進めるものと見られていたが、主席が直接改革実行を指示したことで、特に南及び東シナ海沿岸部で改編が前倒しの可能性も

●新たな情勢に対応するため「中央軍事委員会が全面的に軍を管理する」と指示し、また同委員会内に汚職摘発機関や司法統括機関の設置も指示、軍の指導機関だった共産党中央軍事委員会に更に権限を集中させ、権限強化を進める
●習近平国家主席は、政権の任期満了である2022年以降も、同軍事委員会トップの主席に留任するとの観測が高まりつつ有り、長期にわたる軍掌握力強化への布石との見方もある

共産党中央軍事委員会3.jpg従来の7大軍管区を戦区に再編し、各戦区を陸海空軍に第2砲兵(戦略ミサイル部隊)を加えた4軍編制の統合運用組織である「合同作戦指揮機構」に改編する。報道では「改革に向けたスケジュールに基づき、2020年までに合同作戦指揮体制改革に進展をもたらす」と表現されている
●中国軍関係者等の情報を総合すると、「5大戦区」にする案が有力視されている模様

情報技術化戦争に勝利出来る体制を構築

関連の中国メディア報道として読売は
●中国軍は23日、超超音速ミサイルの6回目の試験を実施(米国防省が開発を行っていた「CPGS:通常兵器による世界規模即時攻撃」を目指すミサイルの中国版と考えられる。米国は予算不足で進捗は不活発)
24日、J-20ステルス戦闘機の最新版が初飛行
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中国政権と軍の関係や、習近平派閥と軍の関係など、中国国内の権力闘争の具合についてはコメントする知識がありませんので、とりあえずメモ代わりに読売報道をまとめてみました。

今後、専門家の方が種々分析されると思うので、その予習にご活用下さい。

最近の中国軍関連記事
「ジブチに基地建設へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-26

「南シナ海戦闘機は塩害と戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-10
「海上民兵:maritime militia」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-04
「西沙諸島に中国戦闘機展開?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1
「米海軍筋が航行の自由作戦を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-01

「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30
「10分野で米軍と中国軍を比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18
「中国陸軍の取り組みと課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-11

「空母監視衛星打ち上げへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-10
「イメージ映像:中国軍島嶼占領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「仰天:DF-26も空母キラー?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04

中国がアフリカ大陸に初の基地設置へ [中国要人・軍事]

Rodriguez.jpg24日頃、米アフリカ軍司令官のDavid Rodriguez陸軍大将は記者団に対し中国がアフリカ大陸初の基地をアフリカ東岸紅海沿岸の「Djibouti」に設けることで同国と合意したと語りました。

同司令官は細部には言及しませんでしたが、同国と中国軍施設を10年間維持する合意が結ばれているとのことで、今後の動向が注目されます

米国としては、中国が国際社会の一員として活動している数少ない肯定的活動「アデン湾での海賊対処」関連でもあるため、慎重に刺激しないように動向を見守っているのでしょう

25日付米海軍協会web記事によれば
Djibouti2.jpgRodriguez司令官は「彼らはジブチに基地を建設する。アフリカ大陸で最初の中国軍基地となる」と語り、本年に入り数ヶ月にわたり中国がアフリカに拠点を求めて活動していたことを認めた
●また同司令官は、中国とジブチが施設設置に関する10年間の合意を結んでいることも明らかにし、同基地は兵站支援基地となり「彼らの行動範囲を拡大するだろう」と語った

●本件に関連し、ジブチのGuelleh大統領は本年初めに、「フランスは古くから所在し、米国は対テロ活動のため我が国に拠点を置いている」、「日本は海賊対処のために所在を希望している所だが、今度は中国が国益を守るための展開を希望してきた。歓迎する」と述べていたところ
中国とジブチは、2014年4月に「defense and security pact」に署名しており、これが基地設置の基礎となっている

●ジブチは中国の海賊対処活動の重要拠点となっており、中国海軍が海賊対処活動を開始した2008年12月以降、50回以上ジブチのObock港を利用している
●中国軍の拠点が出来る可能性があるのは、米軍の拠点があるCamp Lemonnierの北東約30nmの「Obock港」地域か、より米軍拠点に近い「Doraleh」港であろう

24日付「The Hill」によれば
Djibouti3.jpg●Atlantic CouncilのPhamアフリカ部長は、従来のように中国艦艇が寄港する度に費用を支払うより基地を設置した方が安上がりだし、中国がシーレーン防衛に大きな役割を果たせば国際的な地位向上にも貢献すると語っている
●基地設置により飛行場を確保出来た場合、アラビア半島から中央アフリカに至る情報収集を飛躍的に改善出来ることとなる

上院外交委員会の有力メンバーであるChris Coons議員は、「中国のアフリカ進出には注目する必要がある。アフリカ諸国の中間層はこれまでになく急成長しており、これを狙う中国企業や中国政府と米国の利害は必ずしも一致しない」と注意喚起している

ハリス太平洋軍司令官はHalifaxでの講演で、「鄧小平が掲げ望んでいた「皆が受け入れられる解決の模索」から離れ、忍耐強い国から先を急ぐ国への変わってしまった」と表現していた
Rodriguez司令官は、現時点で、中国のアフリカでの行動は挑発的ではなく国連活動やアフリカ諸国軍の訓練に従事しているも表現している

8月の産経記事等によれば
Djiboutiは人口83万人の小国で、住民のほとんどがイスラム教徒の貧しい国。同国のCamp Lemonnierには、海軍を中心とした米軍人約4000名が展開し、海賊対処や地域の要請に応えるための艦艇や航空機等の展開への支援、またアフリカ諸国との関係促進のために所在している
自衛隊もソマリア沖のアデン湾に出没する海賊から商船を守る目的で2009年からP-3C哨戒機と護衛艦を派遣。2011年には海賊対処の拠点となる基地を設け、海上自衛隊や陸上自衛隊の隊員約180人が活動を続けている

Djibouti Guelleh.jpgジブチは親米路線をとっていたことで知られていたが、今年に入り、ゲレ大統領が5月、ジブチに基地を設置するための協議を中国と行っており、中国の進出を歓迎すると、コメントした
●ジブチと中国の関係は良好で、中国はジブチの空港、港湾、鉄道などのインフラ整備にこれまで90億ドルを供与

●中国が基地の建設を計画しているのがジブチ北部のオボック(Obock)。基地が完成すれば、中国はフリゲート艦や補給艦などの海軍艦艇を恒常的に配置することが可能になる。
●海軍艦艇の寄港だけでなく、中国は基地を航空機の発着に利用しようとするのは確実とみられ、「大型機の発着が可能な滑走路ができれば、中国本土から直接、兵員などを搭載した輸送機が飛来することも可能になる」と防衛省幹部は注目している
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Djibouti.jpgこれだけで何か語れるわけではありませんが、中国とアフリカの関係を見る上での「サンプル」又は「指標」として今後の動向が注目されましょう。

こんな単純化した言い方は好みではありませんが、ジブチの歴史を振り返るに、醜い植民地主義の歴史を学ぶ「縮図」の様な気がします
中国の動きは心配ですが、一方で欧米諸国をアジアの中国が脅かすのを、何らかの爽快感を持って見つめてしまうジブチの歴史です

wikipedia「ジブチ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%81

米軍サイバー司令官が中国を脅す? [サイバーと宇宙]

中国側に「君たちも脆弱だ」といっている

Rogers cyber3.jpg21日、カナダ大西洋岸最大の都市で開催された「Halifax Security Forum」で米軍サイバーコマンド司令官(兼ねてNSA長官)Michael Rogers海軍大将が、これ以上中国が悪質なハッキング行為を行った場合、サイバー空間で反撃する可能性を示唆しました

9月の習近平訪米に伴う米中首脳会談で、「お互いサイバー泥棒はしない」ことで合意したと発表されていますが、同時に合意が守られない場合の対応についてもオバマ大統領が示唆していたところです

なお同合意については、米中双方で解釈が異なることを専門家が指摘しており、米情報機関トップも履行の可能性を悲観的に見ていました

21日付Defense-News記事によれば
Rogers cyber2.jpg●Rogers司令官は中国も歓迎されないサイバー侵入の餌食になる可能性を示唆し、「中国側のカウンターパートには、中国も他の工業化社会と同様にサイバー攻撃に脆弱であることを、肝に銘じておくべきだと言い聞かせている。中国が世界的なサイバー攻撃問題の枠外にいるとの考えは間違っている」と語った

●NSA(National Security Agency)長官も兼務する同大将は、中国は国の機関に米民間企業のハッキングを行わせ、盗んだ知的財産を中国企業に分け与えている。当然米国はこのようなことはしていないと語った。
●同大将は、NSAとして対外的に何が実施可能かを掌握しているが、ボーイングやロッキードに情報を与えるため、その能力を利用することは無いとも語った

●そしてRogers司令官は「危機を助長しあおる様な行為を誰も望んでいない。誰の利益にもならないからだ」と付け加えた

マケイン議員は書簡で中国への制裁を要求
McCain5.jpg18日、マケイン上院議員(上院軍事委員長)はオバマ大統領に書簡を送り、サイバー攻撃で知的財産を強盗している中国に対し、制裁等を伴う強い姿勢で臨むよう訴えました。なお、同様のレターを国土安全保障長官やDNI長官、更に司法長官にも送付されたようです
●書簡は、オバマ政権に対しハッカー行為により強い対処を求める内容で、中国に対して制裁措置を執らない政権を、サイバー抑止戦略遂行を逡巡していると厳しく非難しています

●書簡の中でマケイン議員は、「米政権はこれまで、米国に対するサイバー攻撃を抑止する確固たる戦略の策定遂行を拒んできた」、「繰り返されている米国へのサイバー攻撃は、抑止に必要な手段の使用を拒むことによる安全保障上の対価や虚弱な戦略をあぶり出している」と指摘しています
●また同議員は、4月にオバマ大統領が署名した大統領令で、米国の安全保障を脅かす国家や企業だけでなく、個人も制裁の対象に含めていることに触れ、「サイバー強盗国家等に対処して結果で思い知らさなければ、安価で有利な強奪を止めないだろう」と訴えています
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米国専門家は米中首脳の「お互いサイバー泥棒はしない」合意を、「中国主席は単に、中国は商業面の知的財産窃盗に強く反対し戦っていくとだけ語り、米国より曖昧で狭義な表現しかしていない。更にこの表現は、中国によるサイバー攻撃が指摘されるたびに中国が示してきたスタンスと同じである」と評価しています。

「米中サイバー合意に期待せず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-30

CyberPolicy2.jpgいつまで米国が忍耐を維持するのか・・・どのような「reprisals in the cyber realm」が想定されているのか・・・。
誤解や誤判断に基づく「意図しない反応」を呼び起こしかねない、未知の「ドメイン」がサーバーです。また、全く表に表れず、ひそかに一般の目に触れない世界で繰り広げられるのがこの「ドメイン」なのでしょう

知られざるサイバー戦の世界
「閉鎖ネットワークにサイバー攻撃を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18
「航空戦力でサイバー戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-17
「イージス艦サイバー企業が中国に身売り」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-06

「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

混迷の米国軍事衛星打ち上げ:企業VS政府 [安全保障全般]

H2A打ち上げ成功の中、米国では・・・

RD-180 2.jpg23日付Defense-News記事が、米国の軍事衛星(GPS、軍事通信、偵察衛星等々)打ち上げを担ってきたULA(ロッキードとボーイング合弁企業)と、米国防省&議会が正面対決の様相を呈していると報じています。

ULAの主力ロケット「Atlas V」がロシア製エンジンRD-180を使用していますが、政府と議会が2019年以降は輸出拒否される恐れのあるロシア製エンジンを使用するなと決定し、代替ロケットの開発を推進しています
しかし代替ロケットの開発に時間的余裕が不足していると訴えるULAや米空軍は、2019年以降の露製エンジン使用に関し緩和を要求していますが、国防省や議会はこれを拒否しています

そんな中、軍事的に重要な「GPS III衛星打ち上げ入札」に、ULAがRD-180エンジンの不足を理由に「応札出来ない」と18日発表し、6月に国際宇宙ステーションへの資材打ち上げに失敗した新規参入「SpaceX社」の「Falcon 9 rocket」のみが候補に残る状態で、「10年ぶりの競争入札復活」に期待を掛けていたマケイン上院軍事委員長が看過出来ないと怒りを表明している次第です

打ち上げロケットを巡る一般的事項
Falcon 9.jpg●今年軍事衛星打ち上げの承認を受けたSpaceX社の「Falcon 9」ロケットは、打ち上げ可能重量がそれほど大きくなく、軍事衛星の6割程度の打ち上げしかカバーできない
●同社は「Falcon 9」の推力強化型「Heavy」を開発しており、完成すれば100%軍事衛星打ち上げをまかなえるし、そのような能力が必要な打ち上げまでには間に合うと述べている
●ちなみに「Falcon 9」で打ち上げが不可能なのは、Advanced Extremely High Frequency (AEHF) system、 WideBand Global SATCOM、Mobile User Objective System (MUOS)、更に非公開の5種類の任務用衛星である

米空軍は、国産ロケット開発のリスクに考慮し、18個のRD-180エンジンを確保し、2022年までの移行期間に備えることが議論のスタートになるべきと主張している
●ULA関係の議員(米空軍もこのライン)は、現在議会や国防省が決定した計画では、国産ロケットが完成するまでに、最大6年間のロケット不足が発生する可能性があると懸念

マケイン議員らの主張(国防省もこのライン)
McCain5.jpg●国産ロケットへの移行猶予を与えるため、移行期間中に、ULAには従来計画より4個余分に多い9個のRD-180を使用して良いと承認している
●ULA社は、これらのRD-180を使用して、「GPS III衛星打ち上げ」に入札することが出来るはずだ

●軍事衛星の打ち上げに限定してRD-180の使用を2019年以降制限するのであって、民間や一般公用の衛星打ち上げ用にRD-180を購入することを制限はしていない
●ULA社(米空軍も含め)は、この応札辞退によって、RD-180使用禁止決定の緩和を求めるつもりではないか

ULA側の主張(同社ロケット工場地元議員の主張含む)
Atlas V2.jpg●GPS III衛星打ち上げに参画したいが、使用が許されたRD-180は既に他の用途が決まっており、応札できるロケットがない
●民生用にはRD-180をロシアから新規調達して良いと言うが、新規調達には1年半から3年が必要だ

●ULA社は他に「Delta IV」ロケットも製造しているが、Delta IVは大きく重く非常に高価で、「トヨタ車でまかなえる任務をロールス・ロイスで行うようなものだ」
●ULAは、米国Blue Origin製の「BE-4エンジン」を使用した「Vulcanロケット」の開発を開始しているが、BE-4エンジンの完成には数年を要するとしている
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ウクライナや中東で好き放題のロシアに、米国軍事衛星の打ち上げを担うロケットの心臓部であるエンジンを頼っていていいのか?・・・との疑問は至極当然ですが、国産ロケットをエンジンも併せて開発するのにどれくらいの期間が必要か、それまでに露製RD-180がいくつ必要か、については色んな意見があるようです

RD-180.jpgまた、「SpaceX社」だけによる応札だと競争原理が働かず、国防省が狙う競争による価格性能の向上に反します。
この騒動はロシア側も興味深く見ているでしょうから、国防省もULAの辞退には現時点で「コメント無し」の姿勢です

日本のH2Aロケットによる商用衛星打ち上げ成功で盛り上がっているところですが、世界がお世話になっている米国の軍事衛星打ち上げは「波高し」状態です

米軍事衛星打ち上げ関連
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「国産開発が間に合わない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-29-1
「露製エンジンを何基購入?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-2

「米国安堵;露製エンジン届く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-22
「露副首相が禁輸示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-22

CSBA報告書:疲弊する米海軍艦艇部隊へ対策 [Joint・統合参謀本部]

Clark CSBA report.jpg18日、CSBAのBryan Clark研究員がレポート「Deploying Beyond Their Means(副題省略)」を発表し、世界中での紛争対処に多忙を極める米海軍艦艇部隊が、装備面でも人的側面でも破綻寸前にあると警鐘を鳴らし、その対策オプションを提示して検討を求めています

特に西太平洋でのプレゼンス確保と艦艇やりくり問題解決のため、「日本に2隻目の空母を派遣」する案を提示している点で注目され、「Defense-News」はその部分のみを抜き出して紹介していますが、提案全体の問題認識も参考になるのでご紹介します

ただし、海軍艦艇の修理→訓練→海外展開→母国や母港で即応体制維持→休養・修理等々のサイクルの議論や、艦艇の維持経費に関する部分専門的な知見がなく良く理解できていません。また「日本に2隻、米西海岸に5隻、大西洋に4隻配備」提案についても、良く理解できていません。いつもながら適当に雰囲気をご紹介しますので、あしからず・・・

Clark研究員の「National Interest」誌投稿で概要を
Clark CSBA report2.jpg●対IS作戦やウクライナ問題を巡るロシア対処、更に太平洋地域での中国対処などなど、米海軍と海兵隊は、保有戦力に比して支えきれない任務量に直面しており、このままでは作戦遂行が困難になると懸念されるストレス下に置かれている
●作戦期間の長期化と連続で艦艇の修理期間が延びたり、兵士の士気低下や退職率上昇も調査で確認されており、何らかの対策が必要である

●具体的には1998年と2015年を比較した数字で、艦艇数は333隻から271隻に減少(2割削減)しているが、海外派遣艦艇数は約100隻を維持している。これはここの艦艇への負担が2割増であることを意味している
海外派遣期間の増加も顕著で、98年当時で6ヶ月以上の海外派遣が4%であったのに比し、2015年では100%になっている。海兵隊も2017年までに18.2万人体制にまで縮小する中、派遣期間と母基地滞在比率が1:2にまで上昇し、実際にはこれ以上の負担を担う部隊も多くなっている

解決には4つの方向があるが・・・
Clark report.jpg●4つの解決の方向性として、「艦艇数の増加」、「艦艇等の作戦投入頻度の増加:コストをかけて」、「前方展開艦艇の増加」、「需要に応じたパッケージ艦艇の派遣」を検討
●「艦艇数の増加」は、現在の予算状況や艦艇建造インフラの能力を考えれば非現実的

●「艦艇等の作戦投入頻度の増加:コストをかけて」は、日本やバーレーンやロタ島に前方展開派遣している艦艇に適応されている方式の導入だが、艦艇の維持経費が3割増となる。
●また、艦艇や艦載航空機の寿命を縮めることになるほか、兵士何らかの追加保障や手当てが必要となろう

特に検討すべきオプションとしては
●「前方展開艦艇の増加」させる方式は検討に値する。具体的には、日本に2隻目の空母を派遣させることで、前線への移動時間を削減でき、1隻目空母の修理期間も2隻目の空母に乗り換えて技量練度を維持することができる
Clark-CSBA.jpg●またこの場合、常に2隻が運用可能状態にあるわけではないから、まるごと空母2隻分の人員や艦載機を全て派遣する必要はない(Defense-News記事の解説)
●一案として、空母を日本に2隻、米西海岸に5隻、大西洋で4隻配備する体制にすれば、中東での艦艇需要にも、欧州での艦艇需要にも、現在よりはより良く対処できるのではないか

●「需要に応じたパッケージ艦艇の派遣」は、現状では現場指揮官が要求できる「艦艇派遣のメニュー」が少なく、必要以上に大規模な空母戦闘群(CSG)を投入する結果となっているとの問題認識から生まれた提案である
●より細分化された「艦艇派遣のメニュー」を準備することで、事態や作戦に応じた適正規模を選択でき、効率的に限定数の戦力を活用できるのではないかとの提案である

●米海軍と国防省は、上記のオプションを検討し、将来に向けて維持可能な戦力運用を目指すべきである。さもないと米海軍艦艇は崩壊を開始し、前線部隊を削減せざるを得ない事態に追い込まれる。そうなる前に正直な議論を行い、対処策を考えるべきだ
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日本に2隻目空母を展開させると(展開させても)、1年間で空母が0隻となる期間はなくなり、2隻体制を4ヶ月間確保できるとの見積もりだそうです。ただし、日本では作戦頻度を高めるため、維持経費が3割増ですが
また、西海岸からの移動時間を考慮すると、2隻体制で日本周辺でのプレゼンス期間が2割増になると分析されています

Ford-Class-Carrier.jpg更に2隻目空母を展開させても、まるまる2隻分の艦載機は必要なく、例えば1隻分のFA-18は通常4個飛行隊ですが、3個飛行隊編成で2隻分を確保すれば、空母2隻間で戦力を融通してやっていけるかも・・・と提案しているようです。FA-18も酷使で寿命が縮みつつありますから・・・

本提案に興味を示す議員や専門家のコメントを掲載するメディアはありますが、実行される可能性は高くはないでしょうねぇ・・・
予算も掛かるし、受け入れ側の都合もあるし、空母は中国正面で脆弱だし・・・今後の世間の反応には注目ですが・・・

CSBAの当該レポートwebページ
http://csbaonline.org/publications/2015/11/deploying-beyond-their-means-americas-navy-and-marine-corps-at-a-tipping-point/

「National Interest」誌へのClark研究員投稿
http://nationalinterest.org/feature/deploying-beyond-their-means-the-us-navy-marine-corps-14378

Defense-News解説(日本に2隻目解説が詳しい)http://www.defensenews.com/story/defense/naval/2015/11/18/carriers-japan-us-navy-bryan-clark-csba-fdnf/76011904/

米海軍協会web記事のレポート解説
レポート図表を抽出し、より細かに解説
http://news.usni.org/2015/11/19/report-navy-and-marine-corps-strained-to-breaking-point-second-forward-carrier-in-the-pacific-could-help

CSBAのClark研究員レポート等
「PGM対処とその活用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-24
「米の潜水艦優位が危機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-13
「米海軍情報レポートに意見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-27

最近のCSBAレポート
「次世代の制空を考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「即応体制評価を再検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-10
「ASB議論の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15


トルコ防空システム選定は中止へ [安全保障全般]

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Erdogan3.jpg11月15日付Defense-News記事によれば、トルコが中国製を選択するのかどうかで米国やNATO諸国と大もめになっていた、トルコの長距離防空&ミサイル防衛システム選定に関し、選定自体を中止する方向で決着が図られる模様です

2013年9月、トルコが中国CPMIECが提案した防空ミサイルシステム「T-LORAMIDS」を約4000億円で導入すると発表し、トルコ軍需産業への関連技術移転の提案等を総合的に判断した結果だと明らかにしました。

この発表に対し、トルコ南部の防空を実質担っているNATOや米国が猛反発し、中国製システムとNATO等が配備している防空システムは連接不可能だと再検討を求めていたところです。

トルコ側の態度は煮え切らず、選定を継続するとして決定の先延ばしを繰り返し、先の総選挙までは結論が出ないだろうと言われていたところでした

11月15日付Defense-News記事によれば
T-LORAMIDS1.jpg●トルコが中国製を選択するのかどうかで、米国やNATO諸国と大もめになっていた、トルコの長距離防空&ミサイル防衛システム選定に関し、選定自体を中止する方向で決着が図られる模様
●トルコ国防省の調達関係高官によれば、「次回のトルコ首相を長とする委員会でキャンセルが正式決定される」とのこと

●他のトルコ政府高官によれば、11月初旬の大統領を交えた会議で、エルドアン大統領が選定自体の中止の意向を示した模様
●同国防相関係者によれば、完全に防空システム能力向上をあきらめるわけではなく、海外のノウハウを導入して「能力不足を埋める措置:bridge-gap solution」は検討するとのこと

何らかの措置はトルコ軍需産業を通じて行う可能性が高く、トルコ最大の軍需産業「Aselsan」や「Roketsan」の名前が挙がっている
数週間前から、トルコ国防調達関連幹部が防空システム選定に関し、「種々の選定基準を見直しており、時間を掛けずに決定したい」と、キャンセルを臭わせる発言をしていた
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関係は明らかではありませんが、首都アンカラで大規模爆弾テロ(IS犯行説から自作自演説まで様々な見方がありますが・・・)が発生し、中東の流動化・液状化がますます進む中、強権エルドアン大統領も、米国やNATOとの関係を重視せざるを得なくなったのかも知れません。

F-15E-Afgan.jpgそう言えば、トルコ南部のシリア国境近くの空軍基地には、既に展開済みの米空軍A-10攻撃機12機とF-15C制空戦闘機6機に加え、12日にはF-15E戦闘爆撃機6機が追加で展開を完了し、対IS作戦へのトルコ支援は拡大しています

パリで発生したISISによる連続テロも、ある意味、中露を含めた国家主体の連携を強化する方向に働くのかもそれません。中露に対して油断は禁物ですが。

それにしても、あまりにひどいISのテロです。テロの効果よりも、ISに「パリでのテロ」が戦略の失敗だったと思わせるよう、各国は今こそ連携を強化すべきでしょう

日本にとっても、まず来年5月の伊勢志摩サミット警備が大きな仕事となりそうです

トルコの防空システム選定
「トルコ大統領訪中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-30-2
「対IS空爆作戦にトルコ協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-24
「NATOと連接しない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-20

「4度目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-04
「トルコが中国企業と交渉開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-27

貴重映像:ロシア大型爆撃機によるシリア攻撃 [ちょっとお得な話]

ロシア大型爆撃機と搭載兵器を大宣伝!!!

11月17日、ロシアが大型爆撃機を使用して行ったシリア攻撃の映像(プロパガンダ「show of force」映像)です。
Tu-160 2.jpg既に断片的には日本のメディアで取り上げられていますが、本日は「3分11秒」のフルバージョンでご紹介します。

ロシア発表によれば、同日、25機の爆撃機(Tu-160 Blackjackが5機、Tu-95MS Bearが6機、Tu-22M3 Backfireが14機)が参戦した模様です。
使用された兵器は、巡航ミサイル(KH-555)、自由落下爆弾(Su-27に援護されつつBackfiresから投下)、そして新型ステルス巡航ミサイル(KH-101)です。

各爆撃機の操縦席や操作パネル(骨董品レベル!)の映像や、爆弾倉内部から撮影の投下映像地上での兵器搭載作業など、なかなかお目にかかれない映像です!
特に、これら爆撃機に昼夜を分かたぬ対応をされている航空自衛隊の皆様にご覧いただきたい映像です

Backfires, Bears and Blackjacks bombing the hell out of terrorists!Early in the morning on Nov. 17, the Russian Air Force launched 25 heavy bombers against ISIS ground targets in Syria.The aircraft, 5 x Tu-160 Blackjack, 6 x Tu-95MS Bear and 14 x Tu-22M3 Backfire bombers flew round trip missions from airbases in Russia to drop a variety of weapons: both air-launched cruise missiles, like the KH-555 whose remains were recovered in Syria, and free fall bombs, like those dropped by the Backfires, in the somehow old-fashioned carpet bombing (while being escorted by some Su-27s).Actually, the show of force of the Russian Air Force was also an opportunity to test some new “hardware” as the new KH-101 low-observable cruise missile.

Posted by Tejas-India's MRCA on 2015年11月20日



この際、別の4分13秒の映像もご紹介
専門家の意見が分かれているのは、Tu-160 Blackjackの爆弾倉内のロータリー格納装置に搭載されているのが「新型ステルス巡航ミサイル(KH-101)」なのか、本当に使用されたのか、存在を西側に示唆しただけなのか・・・です。

また、巡航ミサイルKH-55らしき空中飛翔映像が、撮影者の喚声と共に紹介されています。


プーチンと言う人物は、面の皮が厚いです! 人の弱みに付け込むことに、なんのためらいもありません
なお、既存の巡航ミサイルKH-55の破片がシリア領内で見つかり、同兵器の使用は確認されたとの事。

映像上だけで「Show of Force」したのではないことが確認されています
他にも、艦艇から巡航ミサイルが発射される映像も出回っています。

シリアで泥沼に落ちるかロシア軍
「シリアでのロシア軍を速報分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-19
「プーチン:地上戦はしない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-12
「ロシア軍が鉄の壁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-07

「2日連続トルコ領空侵犯」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-06
「露軍が領空侵犯に言い訳」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-06
「露空軍空爆開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-30-1
「対ISに暗雲:露軍展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-21


ロシアが中国へSu-35を24機輸出契約 [安全保障全般]

20日付読売新聞朝刊6面の記事によれば、19日にロシア国営企業が中国へのSu-35輸出契約を結んだと発表した模様

いろいろ紆余曲折が報じられていましたが、結構あっさり決まった感があります

20日付読売新聞朝刊6面の記事によれば
Su-35 2.jpg●19日、ロシアの武器輸出を統括する国営企業「ロステク」は、最新鋭の戦闘機Su-35を輸出する契約を中国と結んだと明らかにした
●ロシア紙の「コメルサント」は、輸出するのは24機で契約金額は約2460億円と報じた

●Su-35は航続距離が3400kmで、中国は周辺国との領有権争いで緊張が続く南シナ海等での空軍力を強化するため配備するとの見方がある
●同戦闘機はロシア空軍のみが配備(極東にも)しており、輸出としては今回の中国が初めてとなる

ロシアは原油価格の下落とウクライナ情勢を巡る欧米による制裁で経済状況が悪化しており、武器輸出契約を通じて、中国との結びつきを強める(意向かも知れない)

本件について6月の段階では
6月19日付Defense-Techによれば
Su-35.jpg●Su-35を製造するUnited Aircraft社のYuri Slyusar社長は、パリ航空ショーの会場で中国への輸出交渉の状況について質問され、契約交渉は一端中断していることを認めた
●そして同社長は「問題点は、政府レベルの軍事協力に関する部分にあり、我々企業レベルの話ではない」と述べつつ、「我が社は、24機のSu-35売却契約が今年中に締結できるものと信じている」と述べるに止まった

●中国は最近、ロシア製Su-27を基に開発(勝手にコピーされたとロシアが反発)されたJ-11B戦闘機の発展版J-11Dの初飛行試験を行っている。
●しかし依然として中国空軍がSu-35に興味を示しているのは、日本が導入するF-35やインドが導入するSu-30MKOやT-50に対処するためだと報じられている
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Su-35はマルチロールな戦闘機で、制空用にも、戦闘爆撃用にも、攻撃用にも、対地支援にも使用可能なスホーイシリーズの最高峰です
極東ロシア空軍にも配備開始されており、航続距離が中国の最新戦闘機Su-27(J-11B)の1.5倍もあると言われていることから、日本も警戒が必要でしょう

Su-35 3.jpgSu-27を中国に勝手にコピーされたロシアは、中国への武器輸出に慎重になったはずですが、厳しい経済情勢からやむなく許可したのでしょうか・・・
更に言い過ぎでしょうが、パリ航空ショーでは米国製の4世代機F-16やF-15やFA-18も上回り、F-35をも上回ると宣伝していたようです

「中国への露製Su-35輸出契約は成立するか?」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-20

10月末に、西沙諸島の「Woody Island:永興島」に展開したと言われている中国海軍戦闘機が、Su-27を勝手にコピーのJ-11Bですが、それより行動半径が1.5倍である点が「みそ」です。
もちろん、東シナ海に出現する可能性もありますが・・・・

今後明らかになるであろう、納入時期や配備先に注目したいものです

南シナ海と中国戦闘機関連
「西沙諸島に中国戦闘機展開?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1
「南シナ海は塩害対処が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-10

米国防長官が人材確保・育成策第1弾を発表 [カーター国防長官]

Force of the Future2.jpg18日、カーター国防長官はGeorge Washington大学で講演し2月に就任直後から取り組みを宣言していた人材確保・育成策「Force of the Future」計画の第一弾を発表しました。
数ヶ月以内に更なる計画を発表すると講演の中で述べており、同長官の意気込みが感じられます

カーター長官の念頭には、世界情勢や科学技術の素早い動きに対応して行くには、必要な分野に必要な人材を適時に柔軟に確保し、また養成した貴重な人材の流出阻止が極めて重要であるとの危機感があり、出来ることから積極的に実行に移すべきとの「スピード重視感覚」があります

長官は就任直後から、シリコンバレーの有力IT企業や軍需産業や有識者と複数回議論を重ねており、これに国防次官(技術開発&兵站担当)や副長官当時の経験を併せ、かなりの思いを込めて施策を推進していることが伺える講演で、「ミリオタ」の方より、人事施策に頭を悩ませる管理職一般の方にお勧めの内容です

施策の必要性や問題認識部分は上記で紹介した事項で十分ですので省略し、具体的な施策に言及している部分の概要をご紹介します

本日は講演概要を紹介する米国防省web記事でご紹介しますが、全文にご興味のある方は以下のトランスクリプトを
http://www.defense.gov/News/Speeches/Speech-View/Article/630415/remarks-on-building-the-first-link-to-the-force-of-the-future-george-washington

または国防省発表の「Fact Sheet」5ページで
http://www.defense.gov/Portals/1/features/2015/0315_force-of-the-future/documents/FotF_Fact_Sheet_-_FINAL_11.18.pdf

インターン制度拡充で良い人材を
Force of the Future5.jpg将来の優秀な文民職員を引きつけるのに欠かせない施策である。インターン制度をより拡充して充実させ、より効率的に運用し、優れた将来性のあるインターンを国防省職員に招き入れたい
●インターン制度で受け入れる職種や部署については、webサイトの「www.defense.gov/LinkedIn」でまもなく公表する

米国の優秀な技術者や外部組織を活用
●「Defense Digital Service制度」を構築しつつ有り、これにより国防省以外の技術者を、特定の期間又は特定のプロジェクトのために特化して招き入れ、国防省が抱える複雑なIT関連問題の解決に、より革新的で機動的な対処を図る
●例えば、企業家精神を持つ特定分野の高練度者を、特定の困難なプロジェクト担当の国防省高官と共に2年間程度業務させ、国防省に活用することも考えられる

Force of the Future4.jpg●逆に、国防省職員に時間を与えて(国防省以外の組織に派遣し、)新たなスキルを身につけさせ、外部有識者との関係を構築し、アイディアを国防省に持ち帰らせることを可能にしたい
●具体的には、優秀な国防省職員を1年間企業に派遣する「Secretary of Defense Corporate Fellowship program制度」の対象者を倍増し、下士官も対象者に含める。対象企業には、Accenture, Google, SpaceX, Intel, Amazon, EMC等々が含まれる

●より多くの国防省員が、従来の既定路線エスカレーターから一端降り、キャリアを傷つけること無く、再び新たな力を備えて復帰する制度を支援したい。最後には国防省のためになるはずだ

軍人用の長期有給休暇(sabbatical)や年金改革
Force of the Future3.jpg軍人が2~3年の有給休暇を活用し、学位取得や家族編制や技能取得に当てる「Career Intermission Program制度」を、継続するよう議会に要請する
●本制度を数年前に活用した海軍パイロット夫妻の例を紹介したい。共にF-18操縦者だった夫妻は、本制度を利用し、夫がMBAを、妻がハーバードで広報活動の学位を取得、更に子供も設けた。夫は今、海軍長官の首席副官で、妻は海軍広報部で勤務することになっている

現状では20年以上軍で勤務しないと退職後の特典が享受出来ないが、8割以上が20年未満で退職しており、何の恩恵も受けないで過ごしている
●この制度を我々は変更する。数年先にスタートする制度では「簡易な401Kのようなプラン(個人年金)」を提供し、いつ転職しても何らかを得る機会を提供する

「Big data」活用で適材適所を推進
●「Big data」活用で、国防省での勤務や生活をより魅力的なものにしたい。例えば「LinkedIn-styleの職務希望申請」を拡大し、各個人の希望業務やポストと組織ニーズのマッチングをより円滑に進めたい
●また、組織構成員の資格や能力やタレントに関する膨大なデータを、「Big data」分析活用で処理し、有する人材を最大限に活用したい

Force of the Future.jpg●(国際関係学専攻の学生聴衆に対し、)国防省が皆さんの考えるキャリア上で、貢献の対象になること知って欲しいし、皆さんに値する敬意と威厳を持って受け入れる用意がある事を知って欲しい。
●今日お話ししたのは、「Force of the Future」の一部で有り、今後数ヶ月で更なる施策を発表する予定だ。士官の昇任管理や文民職員の管理改善等々についてだ
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国防省発表の「Fact Sheet」は5ページにまとめられ、細かな施策が21項目コンパクトに解説されています。
国防省内の全職員と全兵士に魅力化施策を訴え、国防省外の企業や学会や研究者に協力を呼びかける事を狙った「作り」と見ました。力が入っていますし、必死さが伺えます

どれだけ効果を生むか、本当に米軍や国防省機関で受け入れられるのか? 企業や学会や研究者の協力が得られるのか・・・? 
細部の制度設計が気になりますが、例えばサイバー分野の報酬面で、民間企業には到底及ばない国防省の人材確保に効果が見られるでしょうか・

いずれにしても、2月の就任直後に宣言した「Force of the Future」計画を、9ヶ月余りで具体化実行する勢いに改めて感嘆です。

「Force of the Future」特設ページ
http://www.defense.gov/News/Special-Reports/0315_Force-of-the-Future

カーター長官の「中露対処策」講演
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-13

Work副長官の「Third Offset Strategy」解説
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15

シリコンバレーとの連携
「FlexTech Alliance創設」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-31
「技術取込機関DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

LRS-B計画は議会対策が難しい [米空軍]

Deptula AFA2.jpgEaglen AEI2.jpg






10日、米空軍協会のMitchell研究所が主催したパネル討議で、シンクタンクAEIのMackenzie Eaglen女史やDavid Deptula研究所長が予算獲得や議会説得の面で次期爆撃機LRS-Bは困難に直面するだろうと危機感を訴えています

共和党系の国防投資積極推進派のAEI研究者と、元空軍中将で航空作戦研究の第一人者であるDeptula氏の発言ですから、現状(オバマ政権)への危機感や不満が強く反映されていますが、それを差し引いても「LRS-B計画推進は容易ではない」との現状を感じます

特に、未だ議会内ではイラクやアフガン作戦のイメージが強く残り、「米空軍は無敵」との雰囲気があることを指摘しており、興味深いところです

12日付米空軍協会web記事によれば
Eaglen AEI.jpg●AEIのEaglen女史(美人さんです!)は、米空軍による米議会に対するLRS-B予算獲得努力は不十分で、米空軍が主張しているA2AD脅威の拡散を受けたLRS-Bの必要性を、「米議会は感じていないし信じてもいない」と訴えた
●議員たちは、米国が過去20年間対峙した原始的で防空システムを保有しない敵のイメージしか持っておらず、米航空戦力が無敵だと信じている、とEaglen研究員は指摘した

●また一方で、米空軍がLRS-Bの必要機数を80~100機としていることについて、見積もり根拠が「やわやわ」でしっかりした分析に基づいておらず、実際は170機以上必要にもかかわらず、議会は少ない方(80機以下)に傾くと指摘した
●更に、1機当たりのコスト上限を設定しているが、「戦う前から片手を自ら使わないと宣言しているようなものstrong>」で、LRS-Bの能力向上の必要性が生じたり、価格が高騰した際に、米空軍の信頼感を失うだけだと批判的に語った

●そして、米空軍予算はLRS-B計画を支えられる規模になっておらず、F-35予算と戦いを永久に続けることになろうと述べた
●また、計画の細部が非公表になっていることで、議員の選挙区に関連する企業が「下請け」に含まれているかが不明で、支援する議員確保も難しくなっていると実情を明かした

Deptula研究所所長も同計画を懸念
Deptula AFA.jpg米議会はLRS-Bを高価な爆撃機としか見ておらず、いい加減な比較で、B-52に搭載する長距離ミサイルや開発中の超超音速ミサイルの方が低コストだと評価しかねないと懸念した
小規模で短期の紛争なら、コスト面でスタンドオフ兵器に軍配が上がる可能性はあるが、規模の大きい戦域レベルの戦いでは、長距離兵器では任務を達成できない

●湾岸戦争のような大規模の戦いでは、目標数が4万から5万も存在し、LRS-Bが目標上空近くに侵入し、安価な爆弾等を投下する方法が最も効率的である。
●また、LRS-Bは単に「爆撃機」ではなく、敵領域深くに潜入して情報収集を行って、その情報提供の起点となる「長距離センサー&シューター」だと理解してもらう必要がある

●この様なLRS-Bの真の価値は、米空軍が時間をかけて説明や議論をし、議会内の理解を獲得すべきものである。そうしないと、WW2時のP-47サンダーボルト単発攻撃機のイメージで理解されてしまう
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Northrop LRS-B.jpgこの場では、「近年でも最も優秀で仕事ができるメンバーが集まっている」(CSBA理事長談)と言われる米議会の軍事委員会の話題を取り上げますが、それ以外の議会の方は、「私利私欲」に走っているということなのでしょう

議員の選挙区にLRS-Bの下請け企業が含まれているかが一つのポイント・・・との非常にわかりやすく、ガッカリする現実が説明されています

ところで・・・MRJ初飛行は素晴らしいニュースで、今後の順調な飛行試験と商売繁盛を祈念申し上げますが、「三菱重工」の国防関連業務の人材まではぎ取って、旅客機分野に投入するのはやめて下さいね!
特に、それでなくても日の当たらない「救難機」とかも、よろしくお願いします!

LRS-B関連の記事
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28
「意図的リーク?LRS-B概要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-07

「選定結果で業界大再編か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-20
「全爆撃機をLRS-Bに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-29

オバマ大統領「シリアにsafe zone設置は考えてない」 [安全保障全般]

Obama G20.jpg16日、オバマ大統領はトルコのG20サミットにおける記者会見で、トルコ国境付近を初めとしたシリア領内に「飛行禁止空域:no-fly zone」や「安全地帯:safe zone」を設置する事は米国として考えていないと、従来の考えを再度強調しました

また、大規模な地上戦力を対ISのためシリア等に派遣することに関しても否定し、「従来の戦略を変更することはない」と語っています

パリでの大規模テロでISISの存在が再び大きな注目を集めていますが、米国として仏等との協力は進めるが、基本方針は変えないとの姿勢を再確認しています

「シリアno-fly zoneは考えてない」
Obama G202.jpg●16日オバマ大統領は、複数の米議員やトルコ政府から上がっているシリア領内に「飛行禁止空域:no-fly zone」や「安全地帯:safe zone」を設置すべきとの案について、その様な考えがあることは耳に入っているが、
●「その案に関心はないし、検討対象にもなっていない」とトルコのアンタルヤで語った

●「安全地帯」の設置や維持については、膨大な計画や議論が必要だが、その様な措置は「負の効果を生む:counterproductive」と判断していると米大統領は語った
●「安全地帯に誰を入域許可し、誰が出るのを許すのか? どのように誰が働いてそれを維持するのか? 同地域がテロリストを呼び寄せることになるのでは? どれくらいの人員が同地域設置に必要か? どの時点で終了するのか?」等々の多くの疑問について、答えがなくてはならない話であると表現した

トルコのエルドアン大統領は先週、「飛行禁止空域の設置」を強く要請し、同盟国の間で検討が進んでいると語っていたが、(対IS空爆を行っている)多国籍軍の報道官は「安全地帯や飛行禁止空域について議論するタイミングではない」とコメントしている

対ISIS戦略に変更はない
16日オバマ大統領は、同じくG20サミットにおける記者会見で、対ISISのためにイラクやシリアに地上部隊を派遣する考えはないし、従来の戦略を変更するつもりもないと語った

Obama G203.jpg●同大統領はその理由を「大規模な地上部隊を派遣すれば、一時的に成果を得るだろう。しかしそれは暴力的過激派を生む背景的な問題のダイナミズムを、除去解決することにはならない」と述べ、
●「米国がシリアに数千への兵を派遣したとして、イエメンやリビアでテロ攻撃が発生したらどうするんだ? それら地域にも同様に兵を送るのか?」と語った

●米国や多国籍軍は、ガバナンスを行う地域国家や国民を支援し、過激思想を持つグループを駆逐する人々を手助けする。たとえその手法が迅速な解決に繋がらなくても、大きな話題にならなくても、我々は、最も機能する可能性の高いこの戦略を引き続き追求する。
●我々は正しい戦略を保持しており、その戦略に沿ってやり遂げると大統領は語った
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共和党政権時代のネオコンに、イラクやアフガンのどろ沼に引き込まれた米国民の意識を代表する意見として、オバマ大統領の主張は十分理解出来ますし、ごもっともです。

Obama G204.jpg一方で、このまま中東が「中東版30年戦争」に突入するのを、オフショアから見つめていて良いのか?
世界が耐えられるのか? どの程度まで? 原油や天然ガスの供給への影響は? IS関連や便乗テロが欧州や米本土や世界に拡散しても? 

少なくとも、日本メディアで無責任発言をしている「自称コメンテイター」の様な態度ではいけないと本能的に感じたいものです

シリア内に「安全地帯」を求める有識者
「ゲーツのシリア対処案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-18
「ペトレイアスのシリア対処案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23

Work副長官が第3のOffset Strategyを解説 [米国防省高官]

Work-Reagan.jpg8日Work国防副長官は、7日のカーター国防長官の基調講演を引き継ぐ形でReagan foundationイベントの締めくくりに登壇し、カーター長官が「如何に中露対処するか」を語った中で言及していた、技術優位を確保する「Third Offset Strategy」に関する具体的取り組みについて説明しました

「Third Offset Strategy」については、9月10日に英国RUSIでその方向性を語っていましたが、10日の講演では少しより具体的に表現しています。
トランスクリプトがない(映像はあります)ので詳細がよく分かりませんが、小さな事からコツコツと、具体的なイメージに迫りたいと思います

本Work副長官講演を強く推薦したカーター長官基調講演
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-13

前提として9月にRUSIでは、これまでのLRRDPP検討等により、「敵による精密誘導兵器の大量同時発射への対策に、画期的な低コスト対処」や、「短射程精密誘導兵器やサイバーや電子戦が入り乱れるHybridで複雑で高度な戦場対処」が課題との問題認識が背景にある事を明らかにし、後半の「高度な戦場対処」には第2の「AirLand Battle」や「Follow-on Forces Attack」コンセプトが必要だと語っていたところです

9月10日のWork副長官英国RUSI講演概要
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12


まず「Offset Strategy」について副長官は
Work-Reagan2.jpgJohn Mearsheimerが核兵器時代の大国の定義で示したように、核攻撃に生き残れることによる核抑止力と無敵の通常兵器保有が「great power」には必要である
●「Offset Strategy」は一つに目的に焦点を絞っており、それは通常兵器による抑止力を絶対的に強力にし、米国が戦争に巻き込まれる可能性を極限まで低下させることである。他の大国に対する通常兵器による抑止を指すものである

第一の「Offset Strategy」は50年代に始まり、戦術核を大量に欧州に導入し、西欧への通常全力による攻撃を抑止した戦略である
第二の「Offset Strategy」は70年代に始動し、ソ連が戦略核で米国と肩を並べた時代に、精密誘導兵器やステルス機を導入したことでその目的を達した

●ただし技術の重要性だけを述べているのではない。それを支える人材が基礎であることも忘れてはならない
●そしてITの世界で若い世代がその創造性を発揮しているように、戦域レベルの戦いを知らない若手士官が作戦コンセプトや軍の組織構造に飛躍的な革新をもたらすかもしれない

●西側が過去25年間確保してきた技術優位の差、特に精密誘導兵器分野、は無くなりつつある。我々はhybrid warfareに直面し、その対処に新たな作戦コンセプトを必要としている。しかし現状を越える新たな手段を手にしていない
第3の「offset strategy」は、human-machineによるコラボや戦闘チーム形成に基づくものになるだろう無人システムの高度化、特に自立学習能力の飛躍的向上により、人間の能力と組み合わせるとダイナミックな活用が期待できる

●「Offset Strategy」では、艦艇対艦艇や、戦闘機対戦闘機や、戦車対戦車を追求するのではない。(新技術でOffsetを確保して完全な優位を確保する)
●我々が「Third Offset Strategy」を実現することで、敵は敵の軍や究極的には社会の変革を迫られることになり、戦いに至る可能性はより低下するだろう

●ただ、現時点では細部には言及できない。今後18ヶ月程度でより具体的にしたいし、2017年度予算案には関連予算を相当積み上げることになる。2016年度予算にも含まれているが
●今日は「big idea」についてお話ししたい。2つの検討から明らかになった、求められる5つのブロックである

2つの検討から、5つのブロックが明確に
Work-Reagan3.jpg一つの検討は「LRRDPP:Long-Range Research and Development Planning Program」で他の大国が大量の精密誘導兵器を使用し、ホームアドバンテージを持って挑んでくる場合の対処に焦点を当てて行った
●もう一つは、(国防省)科学諮問委員会による「Autonomy:自律性」に関する報告書である。誰も証明は出来ないが、我々は今、人工知能や自律性の「inflection point」に立っていると考えられる

Work副長官の語る「5つのブロック」とは
●Learning machines
BMDや宇宙戦や電子戦やサイバー戦では、電子の速度で戦いが進展するが、人工知能や自律性を備えた「Learning machines」が状況の光速で掌握し、必要な対処で人間をサポートする

●Machine-assisted human operations
「wearable」な電子装備や「Assisted human operations」は、前線兵士がどんな任務に置いても恩恵を受けるだろう。10年後に、間隙から最初に突入する兵士がロボットでなかったら、我々の恥だ

●human-machine collaboration
---1997年にIBMコンピュータがチェス名人を破ったが、2005年には2名のアマチュアと3台のPCコンビが、スパコンやチェス名人を破って大会で優勝している。PCの情報処理の正確性と迅速性が、人間の戦略性と創造性と組み合わせたhuman-machineコラボが最強の力を生み出す。継続的に戦略の変更を続ける将来の敵も想定しなければならない
---F-35が一つの例になる。F-35は単なる戦闘機ではなく、空飛ぶセンサーPCで、膨大なデータを照合し分析し、HMD上で操縦者に提供する。F-16の方が旋回性能が優れていても、メカが人間をサポートするF-35が勝者となる

Work-Reagan4.jpg●human-machine combat teaming
(映像から聞き取り→無人機や無人装備の活用であり、有人装備と無人装置のコラボであったり、多様なものが考えられる)
●autonomous weapons
(説明はなかったが、発射後、自ら判断して目標まで最適の経路を選択し、目標を探し当てて攻撃できる巡航ミサイルなどのイメージか)

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米国防省webサイト記事でWork副長官の講演をご紹介しましたが、全発言が紹介されていないので、特に「5つのブロック」に関しては十分な説明が出来ていません

「Reagan foundation」のwebサイトには「映像」で発言が紹介されているようですので、ご興味のある方はご確認下さい。

映像の8時間37分頃から
http://www.reaganfoundation.org/reagan-national-defense.aspx


ひとつポイントとして強調確認しておきたいのは、上記の考え方に示されている脅威対処の方向性は、艦艇対艦艇や、戦闘機対戦闘機との視点では敵と差が付けられないとの問題認識から、正面対決から「Offset」し、優れた人的資源や頭脳融合により、従来とは異なる側面から技術的優位を確保して「圧倒的優位」を確保し、通常戦力抑止を確立しようとしている点です

今後10~15年後を見据えた取り組みのような中身ですが、今後も注目して参りましょう・・・。

関連の記事
「RUSIで副長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「カーター長官の基調講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-13

技術優位確保の取り組み
「第3のOffset Strategy発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-06-1
「新技術導入に企業と同盟」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-31
「技術確保に新組織DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09

2016年の4テーマ:米空軍科学技術諮問委員会 [米空軍]

Dahm.jpgSAB.jpg10月9日、米空軍の科学技術諮問委員会(SAB:Scientific Advisory Board)が、来年2016年の検討テーマを明らかにしました。

SABは、多様な分野から集められた約50名の研究者や科学者で構成され、前の米空軍首席科学者を勤めていたWerner Dahm氏が委員長を務めています。SABは毎年、米空軍が依頼したテーマ分野について、淡々と事実と現状に基づき、何がその分野で今後起こりうるかを時系列で予想し、投資の判断材料を提供する役割を担っています

今年2015年のテーマは3つで、「既存無人機の強固に防御された空域での生き残り策」、「量子コンピュータの活用可能性」、「非ネットワークシステムのサイバー対策」でした。

検討結果については「原則非公開」で、一般に明らかになることは少ないのですが、テーマの選定から「米空軍の関心事項」や「技術動向」を伺い知ることが出来るのでご紹介します

10月13日付米空軍協会web記事によれば
SAB2.jpg●10月9日、SABが公表した2016年のテーマは4つである。迅速な検討を要する課題として「航空機搭載型のレーザー兵器」を挙げ、長期的な課題として「A2AD域での作戦」、「意思決定を支援するデータ分析」、「電子戦における不透明で変化する脅威対応」を取り上げた
●(各委員が各担当分野で検討し、)委員会として最初に各委員が知見を持ち寄るのが来年1月で、最終報告を6月に予定する。ただし結果を急ぐ「航空機搭載型のレーザー兵器」については、4月までにレポートをまとめる

●「意思決定を支援するデータ分析」に関しては、産業界で種々の教訓が得られている、多様な情報源からの複数階層に及ぶデータの分析に関して吟味する
●「電子戦における不透明で変化する脅威対応」では、今後の複雑で常続的に変化する電子戦環境に航空アセットが上空で対処するために、搭載機材が上空でセンサー等から入手した情報を元に電子戦対応を柔軟に行う事を検討する

●「A2AD域での作戦」については、強固に防御された空域では現有AWACS等のアセットが当該空域に接近出来ず、指揮統制や作戦運用を可能にする戦闘空域の状況把握が困難になる事を想定し、OTHレーダーや多様なセンサーからの「端切れ情報」を融合する技術を吟味する

「航空機搭載型のレーザー兵器」について
SAB3.jpg●本件については、米空軍特殊作戦コマンドに対し、同コマンド保有のAC-130Jにレーザー兵器を搭載するかどうかの判断に資するような、実行可能性に関する評価を全体のレポートに先んじて実施する
●Dahm委員長は、機材から発生する熱の処理や、航空機に発生する「jitter:ノイズから生じるデータや信号の乱れ」への対処等々の問題に触れつつも、まず技術的にどの程度が可能かを部隊に示さなければ、彼らも作戦コンセプトを整理出来ないだろうと述べた

●本年9月、同コマンドのBradley Heithold司令官は、AC-130Jに2020年までにレーザー兵器搭載を搭載する計画について語った際、「ケネディー大統領が1970年までに人類を月に送る」と宣言したと同様の挑戦だと語っている
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innovation3.jpg「A2AD領域での作戦」や「電子戦」に関する事など、切羽詰まった課題も含まれており、米空軍の問題認識が伺えます。可能な範囲で同盟国も巻き込み、知恵を絞って対処したいものですし、日本としても協力を惜しまない姿勢が求められましょう

しかし以前も愚痴りましたが、未だに日本の大学の教員等には、「軍事に関する事には一切協力しない」と、国防に非協力的な態度を取る者が多数存在します
大自然の生き物全てに共通する使命を忘れるような輩には、研究費など支給をしないぐらいの強い姿勢が必要でしょう

米空軍SABに関する記事
「現存無人機のA2AD域での生残り」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-06
「米空軍科学諮問委員会の3テーマ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-01

米空軍Scientific Advisory Boardのサイト
http://www.sab.af.mil/

中国軍機の南シナ海展開は「塩害」との戦い!? [中国要人・軍事]

Woody Island3.jpg10月30日に中国軍webサイトが南シナ海で活動する海軍戦闘機J-11BHの写真を公開し、西側プレス(日本を除く)では「西沙諸島のWoody Island:永興島」に展開した戦闘機の活動写真だとの見方が共有されつつあります。

米国防省は本件に関し「だんまり」ですが、状況を確認しているのでしょうか? あまり聞きたくないニュースでしょうが・・・。

「西沙諸島に中国戦闘機展開?」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1

当然、南シナ海正面で最南端の中国軍航空基地だった海南島より、中国の航空戦力拠点が約360㎞南下したインパクトは大きいのですが、その辺りをPaul Giarra氏等が整理していますのでご紹介します

また一方で、亜熱帯の海に近接した飛行場での戦闘機の運用は、「天候や塩害等の影響もあり単純ではない」との指摘もありますので、「プロの視点」としてご紹介します

8日付Defense-News記事によれば
Woody Island5.jpg●「Woody Island:永興島」に新しい戦闘機の拠点ができたとすれば、EP-3電子偵察機やP-8対潜哨戒機などの米軍機の活動に障害となるだろう。2001年にEP-3と中国戦闘機が接触した事件や、2014年に中国気がP-8に嫌がらせ飛行を行ったことが示している
●CSISのBonnie Glaser南シナ海研究部長は、中国は、米国や他の周辺国、および自国民に対し自国の領域を守る意図を示そうとしている、とみている

●さらに南の「スプラトリー諸島」には、更に3か所(Subi Reef, Mischief Reef and Fiery Cross)で飛行場や港湾施設の建設が進んでおり、格納庫や燃料タンクを含む施設からすれば、少なくとも定期的に航空戦力がローテーションで派遣することが可能になる

●またPaul Giarra氏は、中国戦闘機やミサイル部隊の南シナ海展開が、台湾や米国を含むすべての関係国に負の役割を果たすとして、いくつかの視点で整理している
Giarra.jpg●まず「中国の海上行動を防御できる」、また「軍事的に中国の主張を固め、法的な他国の訴え遂行を困難にする」、「軍事作戦で中国を諸島の拠点から排除することが困難になる」、「中国本土を含めた軍事拠点のネットワーク形成拡大に貢献する」と指摘している

●更にGiarra氏は、「軍事的に軍用機の作戦可能半径を劇的に拡大し、給油や要員交替で連続的な任務遂行が可能になる」ことや、「中国によるA2AD網の拡大や海洋進出エリア拡大をサポートする」点を指摘している

一方で南海での作戦航空機運用は容易でない
Magong AFB.jpg●台湾の研究機関トップのAlexander Huang氏は、台湾空軍がMagong空軍基地(台湾西方50㎞の台湾海峡にある澎湖諸島:Penghu Islands)に戦闘機を展開させている経験からすれば、天候や塩害対処は最新の航空機には厳しい環境であり、実質的な軍事的影響を結論付けるのは時期尚早だと語っている

●CSISのGlaser南シナ海部長も同様の見方を持っており、「私の理解では、スプラトリー諸島には戦闘機は短期間しか展開できない。塩害で長期の滞在は機体に問題を起こす」と語っている
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「西沙諸島のWoody Island」や南の「スプラトリー諸島」は、台湾のMagong空軍基地よりはるか南にありますから、さぞや「塩害」が激しいことでしょう。
J-11 Woody.jpgまた、周りに緊急避難する「代替飛行場」も確保できない中、サメも豊富な海上で飛行するのは「しびれる」任務かも知れません。

でも、「戦略核ミサイル搭載潜水艦の聖域」を南シナ海に打ち立てたい中国軍のことですから、なんでも命じてやってしまうのでしょう・・・たぶん。時間が多少かかっても。

激動:中国軍と「航行の自由作戦」
「海上民兵:maritime militia」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-04
「西沙諸島に中国戦闘機展開?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1

「米海軍筋が航行の自由作戦を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-01
「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30

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