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ありがちな誤解:中国軍分析の注意点 [中国要人・軍事]

CRS China.jpg24日、米議会調査局CRSが「The Chinese Military: Overview and Issues for Congress」とのレポートを発表し、米国で活動する中国ウォッチャーが陥りやすい誤解や誤った見方について注意喚起しています。
「両軍の活動範囲の違い」「任務の違い」「ミラーイメージ」「信頼できない指導者の言葉」、「不透明性から来る誤解」「宇宙やサイバー空間での先制攻撃」など、中国や中国軍を分析したり議論する際に見失いがちな視点を紹介しています。

執筆者はIan E. Rinehartとのアジアの安全保障を担当する比較的若手(写真の見た目)の研究者で、2012年にCRS所属する以前は、「East-West Center」や「Washington CORE」で同分野を研究していたようです。
Rinehart CRS.jpgRinehart氏が指摘している「注意点」は、自分では理解しているつもりでも、つい忘れがちで誤解しがちなポイントだと思いましたので、29日付Defense-News記事を活用してご参考まで紹介致します

CRSは「Congressional Research Service」の略です。各項目のタイトルは、まんぐーすの独断で付けました。ご注意を!

両軍の地理的活動範囲の差に注意
米軍は欧州や中東までを含む広大な任務領域を抱えている。
●従って米軍は、中国との紛争の際にも限定的な戦力しか投入できないが、中国にはその様な制約はない

似たような装備や兵器でも任務の違いに注意
●中国軍を見る際は、当該部隊がどのような任務を与えられているかを確認し、その上でその能力を評価すべきである。
米軍と中国軍の能力を比較するような際は、両軍の任務が全く異なるので、この点に注意すべきである。(同じような装備や兵器を保有しているからと言って、同じ土俵で単純な比較は出来ない

中国指導者の発言は必ずしも信頼できず
習近平.jpg中国指導者達が通常行う軍に対する発言や国防白書での記述は、多くの場合、一般化された(特別の深い意味を持たない)発表で、海外や国内対策用にプロパガンダ的側面を持っており、中国指導者の軍に対する意図を読み取るにはあまり正確でない可能性が高い

一方で全ての発言や発表を「ポーズ:posturing」と採るべきではない。中国指導者が「核心的利益」や彼らの体制保持のため中国軍を活用する意図に関して発信する場合は、真実(本心)である事が多い。台湾や南シナ海に関する発言がそうである
●見せかけと真意の発言の見極めが課題である。どのような軍事力を保有していると見せかけようとしているのか、それら能力と発言がどのように関係しているのか、いないのか、をよく観察分析することが本課題への答えにつながる

透明性が不十分だから見誤るな
中国全体に関する不透明性が、中国指導層の意図と軍事能力の見積もりや分析を複雑にしている。
●この点について米国防省は(中国軍事力に関する議会報告書で)「中国における増大する軍事力と戦略的意思決定の不透明性が、中国の意図に関する地域の懸念を増している。この懸念は中国軍の近代化進展に伴い、更に大きくなろう」と表現している

「ミラーイメージ」で中国を見るな
もの考え方や価値観が、米国と中国では異なっている。これらを同じだとの前提で相手の行動を分析したり、将来を予測することで、相手に関する見積りの信憑性が低下する

宇宙やサイバー領域での先制攻撃に注意
Rinehart CRS2.jpg中国の軍事戦略家は、紛争に置いて先手や主導権を握ることをとても重視している。中国軍がこの考え方を現代戦のサイバーや宇宙ドメインでも重視していると考える専門家もおり、ネットワークへの攻撃を予期している
●また中国軍は、多様な宇宙兵器や対衛星兵器を準備しており、極超音速無人機の開発も進めている。中国にとって先制第一撃はあり得べき選択肢で有り、これにより戦いを有利な立場で進める事を狙っている
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このCRSレポートは、「米国に拠点を置く中国ウォッチャー:US-based China-watchers」が陥りがちな過ちを指摘し、議会関係者に注意喚起することを目的としたものです。
日本人は中国人への警戒心がより強いので、米国研究者より「免疫」が強いかも知れませんが、軍事情報は「米国発」が圧倒的く、また米国研究者の発言や分析に影響を受けやすいので、十分注意する必要がありましょう

USCC3.jpgそんなレポートの指摘に「宇宙やサイバー領域での先制攻撃に注意」とあるのは、米国の中国研究者の中に「同ドメインでの先制攻撃」の可能性に対する認識が低いと言うことでしょうか?
ちょっと意外な気がしますが、「似たような装備や兵器でも任務の違いに注意」「ミラーイメージ」との視点のチェックが必要なのでしょう

なぜか「台北発」の報道ですが、いずれにしても、参考になるチェックリストですのでご紹介しました。

レポート現物(46ページ)
https://www.fas.org/sgp/crs/row/R44196.pdf

先制攻撃を予期する米国防省「中国の軍事力」レポート
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08

「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

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米国防省機関見積:KC-46空中給油機は更に遅延 [米空軍]

KC-46A2.jpg22日付「Bloomberg」web記事は、米国防省の国防契約管理庁DCMAが、米空軍の次期空中給油機KC-46Aの初期納入期限は、契約の2017年7月より遅れ、2018年3月頃に連れ込むだろうと見積もっていると報じています

KC-46Aは民航機(B-767)をベースに開発するリスクの少ない開発事業として、ボーイング社と米空軍間で「固定経費契約」が結ばれていますが、既に開発段階で1800億円もの経費超過(開発と最初の18機納入を約6000億円が元計画)が発生しており、ボーイング社が自己負担する事態となっています

ボーイング社は担当幹部を入れ替え、「大丈夫」との姿勢ですが、既に予備時間は使い果たしており、これまでの他機種の実績から期限内の納入は困難とDCMAは見ており、更なるペナルティーがボーイングに課せられる可能性が出てきました

米空軍は全体計画として、合計179機を約3.6兆円で導入する予定で、全体への影響は大きくないと見ることは出来ましょうが、現時点で米空軍と航空自衛隊しか導入する計画がないため、米空軍での「損失」を空自の価格に転嫁されるのでは・・・と心配でフォローしています

22日付「Bloomberg」web記事によれば
KC-46A1.jpg●DCMA(Defense Contract Management Agency)は電子メールで、「ボーイング社が契約期限までに18機のKC-46Aを納入可能とは考えにくく、7ヶ月遅れの2018年3月、またはそれより更に遅れる可能性もある」と伝えてきた
●一方でボーイング社報道官は、「我が社は飛行試験や航空機生産のペースを上げつつあり、米空軍との契約を厳守すべく着実なステップを踏んでいると信じている」とメールを返してきた

●しかしDCMAは、「過去の実績や現在存在するリスク」から遅れを見積もっていると述べ、現時点での遅れと過密になりつつある生産計画を、最新の米空軍とボーイング社の計画見直し結果や、今後の飛行試験等に伴う不確定要素を勘案して再評価し、遅れを予想しているとしている
●飛行試験の遅れ等から、既に米空軍は8ヶ月も最初の19機に関する契約を延期してる状態で、米空軍による2017年4月の作戦運用試験開始も危ぶまれている

今後ボーイング社内の飛行試験で不具合が見つかった場合、対処や設計変更等に時間が必要で、米空軍とボーイングは「影響を局限する対処を継続検討する」と言っているものの、DCMAは相当のリスクがあると見積もっている
米空軍報道官は「米空軍はDCMAを含む全ての情報を総合し、ボーイングとDCMAと協力してて開発の進行具合をレビューしている。ボーイングは必要な努力を行っており、現時点では契約時期に変更はない。ただし余裕が無くなっていることは認識している」とメールで回答してきた

納期遅れの場合のペナルティー
KC-46A.jpg●ボーイング社が2017年8月の契約期限を守れなかった場合、契約上のペナルティーを受けるほか、期限を守れた場合に用意されていた多くのインセンティブを得るチャンスを逃すとともに、今後の国防省との契約条件に影響する企業評価レベルの引き下げに繋がる

●ボーイング社は、遅れが顕著になってきた昨年、B-787旅客機の開発トラブルによる遅れ対処に手案を発揮したScott Fancher氏を開発統括副社長に昇任させてKC-46A事業に投入した
●そして民航機B-767の生産ラインも活用する対策に取り組んでいる
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引き続き米空軍とボーイングの動向を「なま暖かく」見守るとともに、航空自衛隊のKC-46A購入価格に注視していきたいと思います

韓国や豪州は、エアバス社製のA330ベースの空中給油機に決定しています。

KC-46A関連の記事
「初の給油試験に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26-1
「初飛行試験に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-18
「予定経費を大幅超過」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21

「韓国はA330に決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-01
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祝復活:EMP効果兵器CHAMPに米空軍が予算を [米空軍]

2012年10月以後「塩漬け」だったCHAMPに動き

CHAMP2.jpg23日、Raytheon社は、ボーイングや米空軍研究所と「かつて」開発していた局所的にEMP効果を発生させる兵器を、引き続き開発する約6億円の契約を米空軍と結んだと発表しました。
CHAMPは「Counter-Electronics High Power Microwave Advanced Missile」の略で、空中発射の巡航ミサイルに、強力な電磁波を指向性をもって発生させる装置を搭載する兵器で、2012年10月の試験でその能力を示した以降、具体的な動きが途絶えていました

その間、優先順位の関係で予算計画から漏れたとか、議論の話題になったとか、忘れた頃に耳にする程度になっていましたが、正式に「復活の兆し」です。
契約の細部は不明で、6億円程度の予算ですから、本格導入が決定されたわけではありませんが、恐らく多分想像するに「Third Offset Strategy」関連で、追加試験や検証を行うのかも知れません

23日付 Raytheon社発表によれば
CHAMP4.jpg米空軍はRaytheon社と、空中発射巡航ミサイル形態のCHAMPの契約を結んだ。空中発射巡航ミサイルを製造するボーイングと「Sandia National Laboratories」とも協力して契約を遂行する
CHAMPは「non-kinetic」な手法で敵の電子システムを無効化する兵器であり、同契約では、CHAMPと2発のCHAMP搭載空中発射巡航ミサイルを準備し、米空軍研究所(AFRL)に納入することになっている

●この知らせは、2012年10月に米空軍研究所がCHAMPの試験に成功して以来の大きなCHAMP関連ニュースである
●同社先進ミサイル部門の副社長Thomas Bussing博士は、「非破壊的・非運動エネルギーシステムであるCHAMPは、敵施設やその周辺にほとんど派生的破壊を及ぼすことなく、敵関連システムを無効化するオプションを米国に提供してくれる新システムだ」とCHAMPを説明した
●また「2セットのCHAMPと空中発射巡航ミサイルは、低リスクで未来の能力を今にもたらしてくれるものだ」と同副社長は訴えた

成功した2012年10月試験の様子
CHAMP.jpgユタ試験場でボーイングや米空軍研究所等が協力して行った同年10月16日のCHAMP試験は、建物に被害を与えることなく成功裏に終了した
●試験用の複数の電子システムや装置を配置した複数階の建物に向け、CHAMPから照射された高出力電磁波は、1時間の間に7つの目標を回復不可能なまでに無効化した

軍事用に強固に設計された電子回路等に対しCHAMPが有効かについて疑問視する声もあるが、実用化の見通しは明るく、同試験から得られた各種データの分析が続けられている
●ボーイング社の担当責任者は「近い将来、最初の兵士や航空機が目標地域に到達する前に、敵の電子システムやデータを使用不可能にする事が出来るだろう」と表現している

2015年4月の状況(議員がCHAMP予算を要求)
●共和党のNugent議員は、米空軍は18ヶ月あればCHAMPを、核兵器を取り外して倉庫に保管してある巡航ミサイルに搭載可能なはずだと主張し、予算案の修正を要求している(不採用になった)
米空軍はCHAMPを再利用(reusable)したいと考えており、回収可能なアセットに搭載してCHAMPを使用したいとの考えを示している
●Nugent議員は「米空軍は回収可能な手段を確保した後にCHAMPを使用すると言っているが、回収可能な手段の研究や開発に全く手を付けていない」と問題視している
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F-35 luke AFB.jpg2セットのCHAMP搭載・空中発射巡航ミサイルをどのように使用するのか不明ですが、前線部隊ではなく空軍研究所に納入するのですから、何らかの試験や確認を行うのでしょう

改修して再利用したい」とは、兵器技術の流出を恐れての事なのでしょうか? 外国に売却する計画は・・・ないでしょうねぇ・・・。しかし、こんな兵器を中国にコピーされたら・・と考えると恐ろしくなります

でも「戦闘機命派」はきっと、そんな兵器を使ったら全面戦争になるから絶対使用されないので、今まで通り戦闘機への投資を最優先と言うか、CHAMPなんかの存在から目をそむけ、戦闘機数の維持だけに全力を尽くすのでしょうね・・・

CHAMP関連の過去記事
「Nugent議員がCHAMP実用化要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-05
「夢のようなCHAMP!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-08

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欧州や中東にもTHAAD配備要求が [Joint・統合参謀本部]

Mann2.jpg22日、米陸軍の宇宙&ミサイル防衛コマンド司令官David Mann中将が記者会見し、韓国へのTHAADシステム配備が継続して議論されているが、同時に欧州軍や中央軍担当エリアからのTHAAD配備要望も有り、これら要望への対応と不測事態対処への備えの両立を検討中だと語りました

先日は、2017年度予算要求案について語る米ミサイル防衛庁MDA長官の会見をご紹介しましたので、あまり中身はありませんが現場部隊を預かる司令官の発言もご紹介しておきます

前提として現在のTHAAD部隊の状況は
THAAD2.jpg2016年末までに5個部隊が編制完了
●米陸軍は合計9個部隊の編制を要求しているが、現時点では2018年までに7個部隊編制する予算までのみ確保されている

●現在、数年前からグアム島に1個部隊が配備されており、同部隊は今後も展開を継続すると見られている
2017年度予算に24発のミサイル購入予算を約430億円要求し、2017年度末時点で計205発、2021年までに400発以上を調達する計画

●THAADの1セットは2200億円程度と言われており、発射機(8発)6台、センサーや指揮統制装置等が含まれる
●韓国に終末迎撃のTHAADが配備された場合、そのレーダーによりハワイやグアムに向かう弾道ミサイルの探知追尾にも有効だろうと考えられる

22日付Defense-News記事によれば
●Mann司令官は記者団に対し、「米欧州軍や米中央軍からTHAAD配備の要望が来ており、どのように地域戦闘コマンドからの要望に対応すべきがを検討している。しかし同時に、不足事態に対処するための柔軟性も保持しておくべきだと考えている」と語った
●同司令官はまた、比較的軽易に機動展開・配備が可能なパトリオットPAC-3とは異なり、THAADを展開配備するには、水平な展開場所の確保や運用者の電波放射からの安全確保などの準備により時間がかかると説明した

Mann.jpg●米陸軍は米国防省に対し、複数のTHAAD展開配備オプションを提示する計画であるが、「地球規模での事態対応に備え、柔軟性も残しておくべきと考えている」とMann中将は語った
日本がTHAAD配備に関心を示していると報道されていることについて同司令官は、他国の意向や動向について推測するようなことはしないと言及を避けた

●北朝鮮の最近のミサイル発射等を受け、米国と韓国間では朝鮮半島へのTHAAD議論が活発になっており、具体的実行可能性について吟味しているが、結論には達していないと同司令官は現状を説明した
●Mann中将はまた「大変重要なことだが、配備を検討されているレーダーやシステムは中国を監視するものではない(is not looking at China)。北朝鮮への対処を目的としたシステムである」と強調した
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韓国配備の問題も、急に韓国政府や世論の雰囲気がTHAAD配備容認に傾いてきたようですが、「米国は信用できないから、韓国独自で核武装だ」との朝鮮日報(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6355)の論説など、より急進的な動きにも注意が必要でしょう

THAAD1.jpg米陸軍が要望しているTHAAD部隊数9個が、どのような構想に基づいて「9個」になっているか承知していませんが、韓国や沖縄やイスラエルや欧州主要国等々、配備しておきたい箇所は数え上げたら切りがないような気もします。

なぜ9個なんでしょうか? どなたかご存じありませんか?

弾道ミサイルやBMDに関しては、「海国防衛ジャーナル」が非常にわかりやすく、詳しいので推薦します
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/

MDA関連の記事
「MDAが2017年度予算案解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-12
「SM-6がミサイル防衛に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05
「米ミサイル防衛が悲哀を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-22

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ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイル配備へ [安全保障全般]

Bastion.jpg25日、ロシアのショイグ国防相は国防省内の会議で、クリール諸島(北方領土を含む千島列島)に今年、最新鋭の地対艦ミサイル「Bal:バル」と「Bastion:バスチオン」や、無人機「Eleron-3」を配備すると明らかにしました。

ここ数年、ロシアは北方領土や千島列島に兵士の宿舎を整備する等、日本の領土交渉要求に「冷や水」を浴びせるような動きをしてますが、北極までのエリアを意識したような発言もあり、中国による北極航路進出を牽制する意味もあるような気も「個人的には」しています

ゴールデンウィークに予定の安倍首相ロシア訪問に影響は???

25日付Defense-News記事によれば
●25日、ロシアのSergei Shoigu国防相は省内会議で、「クリル諸島における軍事基地や部隊配備による再軍備計画が進行中であり、短距離地対艦ミサイルBalと長距離対艦ミサイルBastion、更には小型偵察用無人機Eleron-3を今年配備する予定である」と発言した
Bal.jpg●同国防相はまた、数年前から進めている兵舎の建設も含め、千島列島の軍事インフラへの投資を「ロシア軍は北極圏からクリル諸島エリアに焦点を当てている」と表現している

4月からは、ロシア海軍太平洋艦隊が3ヶ月を掛けて、クリル諸島が海軍基地に使用可能かを確認することになっている
●また今年から来年に掛け、択捉島と国後島に、350個以上の軍事施設を設置する予定になっている
●現在当地域には、約19000人が住んでいる

ご参考まで:関連する装備の概要
短距離地対艦ミサイルBal
1980年代から部隊配備が始まったロシア版ハプーン。射程70nm程度
長距離対艦ミサイルBastion
2010年から配備開始の最新対艦巡航ミサイル 射程約170nmで2015年にはクリミア半島配備も確認されている

小型偵察用無人機Eleron-3
全長全幅1m程度の軽易な無人機。連続飛行時間1時間で速度120kmほど
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Eleron-3.jpgEleron-3 2.jpg今年のゴールデンウィークに、安倍首相が米国に反対されながらもロシア訪問を決意したと報じられる中、このタイミングでロシアがやってくれました

ロシアは西側の経済制裁や原油価格下落で経済失速状態にあり、日本の経済援助や極東開発協力が欲しいはずですから、対日外交を考えれば、こんな報道が流れることに何のプラスも無いはずです
訪露した安倍首相に北方領土交渉開始でも臭わせ、経済援助を引き出す作戦が常套手段かと思うのですが、何を考えているのでしょうか?

そこでまんぐーすが思うのが、遠洋進出を活発化しつつある「中国海軍への牽制」説です。ここ数年、日本列島を1周するような中国海軍艦艇の動きや、ベーリング海にまで進出する中国軍艦艇の様子が報じられているからです

専門家の皆様の分析を待ちましょう

欧州正面や北極圏での戦力強化も発言
http://www.military.com/daily-news/2016/03/25/russian-military-plans-buildup-west-pacific.html

中露関係を考える記事
「日本海で中露海軍演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-18-1
「中国が政策変更で西方へ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-15
「中露海軍が地中海演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-01

「露は日露共同演習を目指す」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-09-1
「中露関係は頭打ちで複雑化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-03

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辛辣:米国防省試験評価部長のF-35現状分析 [亡国のF-35]

POGO2.jpg7日、米国政府の各種施策を検証する団体POGO(Project on Government Oversight)が、1月に米国防省試験評価部長(Director of Operational Test and Evaluation (DOT&E))が発表した事業評価レポートのF-35部分の概要を紹介しています。

POGOは特にF-35を厳しくフォローする団体で、その執念は「東京の郊外より」の100倍はありそうです

また米国防省試験評価部は、1983年に米議会により設置され、米国防省内にありながら外部監視機関と同様の役割を果たす事が求められており、これまでもF-35に関し厳しい指摘をしていますし、「東京の郊外より」でもGilmore試験評価部長の発言を何度かご紹介しています

Gilmore.jpg前置きはさておき、海兵隊F-35Bが昨年IOCを達成以来、何となく楽観的な雰囲気が漂うF-35事業ですが、1月の試験評価部レポートはそんな雰囲気に「冷や水」を浴びせる厳しいもので、「見せかけのIOC」を批判し、早くても2022年頃までまともに戦えないと糾弾しています

本レポートに対し米国防省F-35計画室は、「記述された内容は事実として正確だが、我々の問題への取り組みをよく理解していない」と懸命の反論を試みていますが、「記述された事実」はかなり衝撃的ですのでご紹介します

7日付POGOのweb記事によれば
●当初計画では、F-35は2010年に完成機が実現し、2012年に部隊配備が開始される予定だった。度重なる遅延で現在に至っているが、今も各種試験で「先送り」や誤魔化しが続発している
●例えば、最も重要な兵器発射・投下試験の場合、海兵隊F-35BのIOCに向けたソフト「2B」試験では、15項目の試験の内11項目で開発関係者の介入が必要となり、基準を緩めて試験を終えたものもある。

15項目の内の3項目は後のソフトに開発が先送りされ、結果として、海兵隊F-35は限定された狭いシナリオの範囲内で、限定的な能力の相手にのみ勝利を収めることが出来る
F-35two.jpg●このように、F-35の大多数の兵器の実戦的な環境における試験は、完成版ソフト「3F」が準備できると予想される2021年以降にしか実施できず、50個の試験イベントが必要とされている

●国防省F-35計画室は、ソフト「3F」の試験を2017年5月に終了するとしているが、その為にはより複雑で高度な試験を現在の3倍のペースで実施する必要があり、多くの試験を省略するか「先送り」するしかないだろう
●現状でも、試験100個に5カ所の問題が発生しているが、対処数以上に問題が見つかっており、試験が複雑化する今後は雪だるま式に問題が膨らむ可能性がある

●高度な要求性能を掲げるF-35は、当初から実環境だけでは試験が行えず、F-22のAir Combat Simulation (ACS)の様なシミュレーション機材「Verification Simulator (VSim)」を準備して試験を進める計画だったが、2001年以降、担当がたらい回しで全く進展していない。つまり本格的試験の場の設定さえも目途が立っていない

機体の「異常振動:buffeting」が機動性を低下させ、HMDの使用が困難になる等の問題を生み、第4世代機F-16との空中戦で大敗を喫する結果となってる。
翼から「空気の流れが剥がれる」ことを防止して高機動時の振動を防ぐため、スポイラー付加が対策とされているが、更なる重量増加と限定的な効果に疑問が残っている

F-35-Netherland.jpg安全上の問題点が依然91個指摘され、そのうち27個が重大な事故や乗員の生命に関わる「Category I」の問題である。数少ない良いニュースとして、燃料タンクの問題から、雷エリアから25マイル以内での飛行が禁止されていたF-35Bの制約が解除された
●しかし依然として、F-35全タイプが、雷発生地域での地上滑走や離陸が禁止されている。燃料系のソフトの機能不全が原因で、雷により火災や爆発が発生する可能性があるからである

自動兵站情報システムALISの現状は大変厳しい。ALISが「異常」と指摘する機体の問題の8割は誤りである。その度に整備員は人力で再度問題を位置から確認し無ければならず、楽になるはずの整備作業が大変な負担となっている

サイバー攻撃への備えが不可欠な今の時代に、国防省F-35計画室はF-35関連ソフトの脆弱性や問題点を特定するための「サイバー試験」を拒否している。
●国防省のテストチームが部分的なサーバー試験を行っただけで重大な欠陥が見つかったと言われている中、F-35計画室はALIS等の重要部分に対する試験を「ソフトを傷つける恐れがある」と拒否している。

通常の米軍の航空機の稼働率は8割程度だが、2015年のF-35稼働率は51%であった。過去2年間が37%であったことを考えると改善しているが、当初計画の6割を下回っている(ただし多くの完成機が改修のため非可動になっており、この機体の統計処理がどう扱われているか不明)
●また、整備記録が集積されているLockheed Martinデータベースへのアクセスが制限されており、十分に検証できていない

整備性の問題を示す好例として、IOCを宣言した海兵隊F-35B部隊が行った昨年12月の訓練「Operation Steel Knight」が挙げられる。
●F-35の能力を示すため、IOC後の3ヶ月を賭けて入念に準備された演習にもかかわらず、計画された61回の飛行の内、28回しか飛行できなかった。演習参加の8機が毎日1回飛行する予定が、2.3日に1回しか飛行できなかったのだ

●今年8月から最悪12月に予定されている米空軍F-35AのIOCだが、本レポートがIOCを宣言した海兵隊F-35を「敵の脅威を避け、味方の他の航空機の援護を要請する必要がある」と酷評したような状態となるだろう
F-35 Sun-Set.jpg●米空軍がIOCに使用するソフト「3I」は、海兵隊の「2B」と実質同じソフトながら、処理回路が最新CPUに置き換わるだけと言われていたが、実際試験を開始するとレーダー等に問題が続発しており、当初の514試験項目が、追加で364試験を行う必要に迫られている。当初計画の甘さとソフトの問題が深刻なことを示している。

燃料満載時の機動が「3G」以下に制限されたり、速度マック1.2以上では内部弾薬庫のミサイル等を発射できない等々の問題も残されたままである
●このようにF-35は、ほとんど期待された戦闘能力が発揮できない状態にあり、以上のような問題対処のため多くのパイロットが十分な飛行時間を確保できなくなるだろう。それでも、予算獲得のための「見せかけのIOC」宣言が、早ければ今年8月に、遅くても12月に行われるだろう

開発と製造の同時並行は、完成したはずの機体に後で2度3度と改修を施す必要を生むが、機体構造部材の強度や金属疲労の問題は、経費的にも現実的にも改修不可能な可能性があり、将来「開発と製造の同時進行が生んだ孤児」になりかねない
●F-35計画室は、購入経費節約を目的として、2018年から海外購入国を巻き込んで465機のまとめ買い契約を進めようとしているが、計画の安定性や経費削減効果、国家安全保障への貢献度等を勘案しても、まとめ買い条件をクリアーするとは考えにくい
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上記は、「米国防省試験評価部長レポート」をPOGOのwebサイトが紹介した記事の概要です。従って、米国防省が「内容は事実として正確」と評価したレポートとF-35に批判的なPOGOのコメントが混ざっています

Bogdan8.jpgまんぐーすも可能な限り「POGOのコメント」部分は排除し、「事実として正確」な部分を抽出したつもりですが、レポートの記載と区別できない部分もあって玉石混淆なご紹介になっている可能性もあります

本レポートが発表される直前、米国防省試験評価部長の流失したメモをご紹介した覚えがありますが、その内容より遙かに深刻なF-35の実態が浮かび上がっています
防衛白書も航空自衛隊幹部も最近ほとんど触れない(触れたくない)F-35ですが、誰か取り上げた方が良いですよ・・・「センテンス・スプリング」・・・には堅い話題過ぎるし・・・

米国防省Gilmore試験評価部長のメモ
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-23

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米比の基地交渉少し進展も課題山積 [安全保障全般]

Aquino.jpg22日付米海軍協会web記事は、先週末行われた米軍のフィリピン軍基地へのアクセスを拡大する交渉で初めて具体的なアクセス拡大基地が決定されたと報じると共に、具体的な使用要領が未確定である事や、スービック海軍基地が含まれていないこと、更には今年予定の大統領選挙に大きく影響を受けるなどの、不安定要素「山盛り状態」をレポートしています

2014年4月、現在のBenigno Aquino大統領がオバマ大統領と、南シナ海情勢を受けて米軍のフィリピン軍基地へのアクセス拡大交渉に合意(国防協力強化合意(EDCA)してから早2年、この間、「交渉開始合意」が「違憲」だと比の最高裁判所まで争って、やっと最近「違憲」の訴えが退けられたところです

またその間、米海兵隊兵士による地元女性の殺人事件や「お約束の米軍反対運動」なども有り、沖縄と同じような状態になっていました。
今回ワシントンDCで行われた6回目の交渉が大きな突破口となるのか不明ですが、共同演習「2016 Exercise Balikatan」の直前に発表された、対中国の前向きな動きの一つとしてご紹介します

22日付米海軍協会web記事によれば
Philippines4.jpg19日からの週末に行われた米比の交渉で、国防協力強化合意(EDCA:Enhanced Defense Cooperation Agreement)の最初の成果が実を結び、5つのフィリピン軍基地が米軍へのアクセス拡大や物資事前集積を受け入れることが発表された
●5つの内の4つは空軍基地で、一つが陸軍基地である
---Basa AB in Luzon
比空軍の戦術攻撃部隊の基地で有り、米空軍戦闘コマンドのアセットを受け入れる十分な余裕がある
---Antonio Bautista AB in Palawan
中国との係争地南沙諸島に300nm以内

---Mactan-Benito Ebuen AB in Cebu
比の地理的中心に有り、比空軍の輸送機基地で、民間飛行場と共存し港も近い
---Lumbia AB in rebel-stricken Mindanao
反政府ゲリラ「アブサヤ」が活発な地域に近い。対テロ航空作戦を継続し、米空軍の支援チームも活動する基地

---Fort Magsaysay首都マニラの北に位置する
米比の地上部隊共同訓練等で馴染みの深い基地

5つの基地に残された課題や要注意事項
Philippines2.jpg●米軍が使用可能にするためには、経費をかけて改修や施設整備等を行う必要がある
●自然災害等に対する人道支援や災害対処への活動拠点としての期待も高い

冷戦時代に米軍が占領して使用していたクラーク空軍基地やスービック海軍基地とは全く異なり、あくまでもフィリピン軍基地の中にローテーション派遣や間借りして装備を事前集積したりする形態となる
●これらフィリピン軍基地に展開する米軍の指揮系統や作戦運用形態は未定。展開米軍部隊と比軍部隊の関係、米軍展開場所での独自活動の可否や要領、派遣米軍部隊が中国から攻撃を受けた場合の比の対応等々に関する考え方の整理が今後の課題

なぜ海軍施設が、なぜスービック港がリストにない?
●理由の一つは、1981年にスービック基地から米海軍が撤退して以降、米海軍が使用していたエリアは商工業スペースに転換が開始されており、2015年半ばにも、フィリピン国防省が旧米海軍エリアを15年契約で「輸出ゾーン」としてリースする契約を結んでいる事がある
Philippines.jpg●上記15年契約に基づき、スービック港では改修工事等が進められており、米第7艦隊などを受け入れたり、施設の拡充が出来ない状態にある

●またAquino大統領はこの夏に退任することになっており、現政権は本件に関する判断を次期政権にゆだねる事を選択している
●5月に行われる選挙は、中国寄りや港湾近代化に消極的な候補者が有力候補に含まれるなど予断を許さない状況であり、米国務省や国防省関係者はどの動向を注視している
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ベトナムやフィリピンは、南シナ海周辺諸国の間でも中国に強硬姿勢を見せている国ですが、そのフィリピンでも米国の「アジア太平洋リバランス」を支援する体制はこの様な状態です。
英語が通じるフィリピンは米国にとって重要な作戦拠点になるはずですが、今後の見通しは不透明と言わざるを得ません

5月9日予定のフィリピン大統領選挙の状況を把握していませんが、翁長知事みたいな人物がフィリピンに現れる可能性も否定できないようです
欧州の対ロシア戦線とは異なり、米国だけでなく、周辺アジア諸国も含め、軸足の定まらない(言い換えれば、中国の三戦に押し込まれている状態)状態だと言うことでしょうか

米比関係の関連記事
「フィリピンへの軍事援助再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-24
「米海兵隊員に殺人容疑」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-16
「駐比対テロ米軍部隊撤退へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-29-1

「比が米軍受け入れ合意へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-10
「米空軍のアジア戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-04
「比への米軍展開拡大協議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-16
「比大頭領が空軍再建宣言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-02

フィリピン大統領選挙の情勢分析(3月10日付)
http://www.huffingtonpost.jp/naoji-shibata/philippines-presidential-election_b_9424132.html

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米企業:30 KW級以上のレーザー兵器が準備万端 [安全保障全般]

Athena2.jpg15日、Lockheed Martin社が毎年恒例の「Media Day」を開催し、同社が取り組んでいる様々な装備や技術開発についてアピールするとともに、今後の企業成長の鍵は海外市場の拡大だと豪腕女性CEOが語る「ギラギラ感」もタップリのイベントだった模様です。

極超音速機の試作機を約1100億円以下で実現可能」とか、買収したシコルスキー社のヘリに搭載可能な多様な兵器を準備したとか、第6世代戦闘機の見通し等々も語られたようです

そんな中で、本日は話題のレーザー兵器に関する「30 KW級レーザー兵器なら、いつでも部隊に提供できる」との自信たっぷり発言をご紹介します。

極超音速技術関連のCEO発言
http://www.defensenews.com/story/defense/air-space/2016/03/16/lockheeds-marilyn-hewson-touts-breakthroughs-hypersonic-weapons/81836070/
海外売り上げが「鍵」発言
http://www.defensenews.com/story/defense/policy-budget/industry/2016/03/15/hewson-international-sales-key-lockheed-martin/81828812/
買収したシコルスキー社ヘリに多様な兵器を
http://www.defensenews.com/story/defense/policy-budget/industry/2016/03/16/sikorsky-designing-black-hawk-weapon-kits/81861758/

15日付Defense-News記事によれば
Laser HEL.jpgLockheed Martin社のレーザー兵器開発に関係する3名の幹部達は、高価な弾薬やミサイルに代わる安価なエネルギー兵器の前線への提供が可能な時がついに来たと語った
●エネルギー兵器部長のPaul Shattuck氏は、「今我々には必要な技術がある。全てが手元にある」、「適当なサイズと重さで、熱管理を可能にしてパワーが発揮できる形で、艦艇や車両や航空機などの戦術プラットフォーム搭載することが出来る」、「どのように何時実現したいかを教えてくれればよい」と語った

●またDaniel Miller飛翔体システム上級研究員は、「その装置が存在するか、実現可能かの問いではなく、どのように迅速にプラットフォームに搭載できるかを問う段階にある」と表現し、最近10年間で本分野が著しい進歩を遂げていると語った
●つまり同上級研究員は、レーザー兵器を機能させる技術的問題の段階ではなく、前線部隊の装備品にどのように搭載するかを議論する段階にあると述べたのだ

Laser 3.jpg●記者からの質問「軍関係者が30kwのレーザー兵器を提供して欲しいと明日要求したら可能なのか」に対し、レーザー&センサーシステム上級研究員であるRobert Afzal氏は、他の2名と共に製造可能だと答えた
●これは映画で見るような都市を溶かすようなレーザー光線ではなく、15~30 KW級のレーザーで、特に航空搭載の場合、これ以上の出力確保には課題がある

●それでもShattuck部長は、30kw級レーザーが厚さ5cmの鉄板を「in seconds」で貫通可能だと述べ、例えばISILが使用する車両に、ミサイル等より安価に対処可能だと公に議論されていると述べた
●また同社は30kw級を「Athena demonstrator」で実現しており、昨年、1マイルの距離から小型無人機を目標とした一連の試験を行い、極めて高い精度で目標の無効化に成功していると説明した

Laser 4.jpg●最近の大きな進歩には複数の背景があるが、特に民政技術を転用した「fiber-laser技術」の導入が大きい。説明した3名は、装置をコンピューターサーバーの様なものと説明し、サーバーを追加すれば出力を増加させることが出来ると表現している
●同社は、米陸軍「RELY program」に基づき、今年末までに60kw級レーザー兵器を納入する準備を進めており、Afzal上席研究員が「組み立てを開始しており、アセットへの搭載調整を始めている」と説明しているように、出力アップは細部の調整で新たな開発とはならない

●なお米海軍は、先進レーザー兵器を浮揚前進搭載基地「Ponce」に搭載し、ペルシャ湾に展開している
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Laser Navy-LaWS.jpg昨年10月に「Athena demonstrator」をご紹介した際、、「光ファイバーレーザーはエネルギー兵器(DEW)に革命を起こした」、「軍用機、ヘリ、艦艇、トラックに搭載可能な軽量レーザー兵器を提供可能なことを示した」、「装置を繋げて120kwまで出力可能」、「小さな空間に格納可能で耐久性があり、冷却も容易で半導体レーザーより5割使用電力が少ない」等々の特徴をご紹介しました

「米陸軍は2016年前線に投入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-16

引き続き基礎知識が不足しているレーザー兵器ですが、ますます勉強の必要性を感じる今日この頃です・・・

レーザー&エネルギー兵器関連
「2012年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米陸軍は2016年前線に投入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-16

「ACC戦略2015では?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-12
「米空軍幹部が議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-29
「米国DEW兵器開発の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-23

「まずC-17搭載レーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-23
「特殊作戦C-130にレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31
「特殊部隊とレーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-16

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日本の銀行がカタールの戦闘機購入に融資? [安全保障全般]

Qatar.jpg19日付Defense-Newsは、匿名の複数のフランス関係者からの情報として、カタールがフランス企業から購入する戦闘機ラファール24機の頭金約1200億円の全部又は一部を、日本の銀行が融資したとパリ発で報じています

細部は不明ながら、原油価格の急落でカタールの年度財政収支が赤字で、地域情勢が不安定で、米国や欧州の銀行が融資できない状況で、日本とカタールは天然ガス輸出入や都市インフラ整備で緊密な関係に有り、更に日銀の金融緩和策で金余り状態にあること等が背景にあると記事は紹介しています

記事内容の真偽や、日本の銀行が海外の兵器購入に融資したことがあるのか等々は承知していませんが、日本の銀行が世界のマーケットで上手に資金運用してくれれば有り難いので、珍しい動きとしてご紹介します

19日付Defense-News記事によれば
Rafale.jpg昨年5月、カタールは仏企業Dassault Aviation社製のラファール戦闘機(Rafale)24機の購入する約8000億円の契約を結んだ。そして昨年12月16日に、一般的には契約金額の15%と言われている頭金を支払ったと言われている
●この支払いについて、フランスの有力者と金融専門家(a French executive and a financial specialist)は匿名で、日本の銀行が頭金支払いの資金を提供したと語った

●専門家はカタールの一般的な融資受け環境について、「カタールは、30兆円と言われる国家基金や、長期に亘るエネルギー資源輸出契約を担保に、比較的有利な融資を受けることが出来る」と見ている
●その様な環境下で実現した日本からの融資は、湾岸諸国が(欧米諸国との)経済関係を変化させ、日本ととの強い経済協力関係にシフトすることを示唆するものである

●原油価格の急落により、カタールの2016年の財政収支は約1.5兆円(GDPの6%)の赤字になると米国CIAは見積もっており、原油価格の低迷が長期に亘るとの見通しもある
●これまで日本の銀行は兵器取引に関する融資に慎重な姿勢だったが、日本銀行による量的緩和策により豊富な資金の投資先を模索しており、カタール経済の落ち込みも短期的なものと見なしている模様で、日本の銀行による融資熱が冷めることないだろう

●当地の金融専門家は、日本とカタールの関係は特殊で、天然ガスと建築事業(交通及び建物インフラ)に集中していると述べ、最近では2022年のサッカーW杯に向けた地下鉄建設を三菱重工を中心とする企業団が受注していると解説している
●また今年1月には、カタールへの別の約7000億円規模の融資計画が成立し、参加した6つの銀行の中には、日本の主要銀行である「三菱東京UFJ」「みずほ」「住友三井」が含まれている


欧米の銀行はどのような対応を
Qatar2.jpg米国の銀行は仏企業の戦闘機に関連する融資を行うことで、競り合ったボーイングなど米軍需産業との関係を悪化させたくないことから、本融資には消極的だと金融関係者は見ている
●また同専門家は、欧州の銀行は厳しい監視下に置かれており、貸出先や融資リスクについて銀行の社会的責任を果たすべく、厳しい審査が課せられるようになっているとも説明している
●更に、イランやISIL問題で湾岸諸国のリスクが高まっていることから、欧米の銀行は融資に慎重な姿勢を取っており、フランスの銀行も融資は難しいと判断したようだ

地域の情勢緊迫を受け、カタールの兵器購入意欲は旺盛で、米国にストライクイーグルF-15Eを72機売却するよう要望しているほか、4機のC-17購入計画も明らかにしている。この他にもA330空中給油機2機やNH90ヘリ22機の購入計画も発表している
●またフランスが売り込みを行っているものには、フリゲート艦、歩兵装甲車、空対空ミサイル、巡航ミサイル、精密誘導爆弾等がある。
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金融業界に関する予備知識がなく、カタールの経済事情や欧米金融機関の湾岸諸国との関係にも基礎知識が欠けていますが、日本の銀行がカタールの武器購入に融資したとの「報道」があったことは事実です。

Qatar3.jpg日本はカタールの輸出相手先のトップで25.3%を締めており、天然ガスの輸入がメインです。次に韓国の18.8%、インドの12.7%が続いています
カタールでの2022年サッカーW杯開催も、暑さからその実施に疑問が投げかけられていますが、天然ガスの安定的確保のため、リスクを承知の融資決断なのでしょうか???

ぜひ、日経新聞やテレビ東京では取り上げて欲しいですし、新装開店の「クローズアップ現代」でも如何でしょうか? その際は、「武器関連」には拘らず、欧米が手を出しにくい投資分野として、純粋に投資リスクや将来性を評価して欲しいものです

中東関連の記事
「湾岸諸国は鈍重FMS手続きに不満」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-01

「世界初6弾種使用のBMD演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07-1
「イスラエルで史上最大の多国間空軍演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-03
「イスラエルは中東でF-35独占可能?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-13

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再び:「夢」追求メッセージだけでなく・・・ [ふと考えること]

この季節にはこのメッセージを再び!

「常にドアを明け、チャンスや機会をつかめ」
「予想していなかった道にも備え、臨んでみるべき」

innovation.jpg学校の卒業式もほぼ終了し、4月から新たな生活を開始する若い方も多いでしょう
私自身の過去を振り、希望を抱きつつも不安な思いに駆られている方も多いのでは・・・と思います。

そんな今日この頃、世間には「夢を持て」、「夢をあきらめるな」、「夢を追い続けよ」などなど、「夢」を持つことや「夢」を追い求めることを訴えるメッセージが溢れています。

さすがにひねくれたまんぐーすでも、「夢」追求メッセージを完全否定したりはしませんし、鼻で笑ったりもしませんが、若者達に「夢」追求だけを訴えるだけでは不親切だと思うんです。
innovation2.jpg社会経験も十分でなく、「夢」が何なのかもよくわからない若者達に、耳障りの良い「夢」追求メッセージだけでは「片手落ち」だと思います

冒頭に掲げた2つのメッセージは、「夢」追求に加え、必ず若者に伝えるべきと私が考えるメッセージです。そしてその2つは、米国防長官と米軍人トップ(当時)が、それぞれの母校の高校生に送ったメッセージでもあります


米軍人トップが高校生に(当時:2015年3月16日)
●(ニューヨークの母校でデンプシー統合参謀本部議長は)人生とは、常に扉を開いておき、機会やチャンスを活かすことです。将来をわくわくしながら迎える事で、決して投げやりになってはいけません
●私が君たちと同じ高校生の時に、仮に誰かが「君はいつか米軍トップになるよ」と言ったくれたとしても、私はその可能性を強く否定したでしょう

dempsy2.jpg●正直に言うと、私は陸軍士官学校に入ることを熱望していたわけではありません。しかしその道に進みました
●私は将軍になりたいと強く思っていたわけではありません。しかしそうなりました
●そして、私は決して4つ星の統合参謀本部議長になりたいと思っていたわけではありません。しかし今そうなっています

歴史や時代の流れが、人を見つけ使命を与えるのだと思います(history will find a person)
●もし君たちが、自身の人生設計を自分のものとして、何者にも影響を受けずに実行していけると考えていたなら、それは冗談にもならない間違いです

歴史や時代の流れが人を見つけ使命を与えるのだから、君たちや君たちの家族や国家の代わりにそれを与えるのだから、君たちは備えていなければなりません
●「Keep the doors open. Don’t do anything stupid to close them」--常に扉を開けておきなさい。それを閉ざすような馬鹿なことをしないように


ゲーツ国防長官(当時)が高校生に(2010年5月23日)
●(カンサス州の母校の卒業式で)私は高校卒業後、自分は優秀だと考え、医者になるために進学しました。しかし、いきなり一学期の微積分で「D」の成績を取り、私は父に「Dは贈り物だと思う」と言い訳し、自分に適性がないことが明らかになったと解釈しました。
私は大学院生の時、偶然CIAのリクルーターと出会いました。当時歴史の教師を目指していた私にとって、全く考えもしなかった組織です。

gatesDuke.jpg●最初、CIAは私をスパイに仕立てようとしました。初期の訓練でCIAの女性職員をグループで尾行しましたが、「怪しい男達が女性を追い回している」と一般市民から警察に通報され、仲間の2人が警察に捕まってしまいました。偶然私が逮捕を免れたのは、早々に女性を見失ってほとんど尾行できなかったからです。
●CIAは私が現場担当に向いていないと判断したのか、入手情報を検討解釈する分析官になりました。そしてこれが私に、米国史上の驚くべき出来事を目撃する機会を与えることになったのです。

皆さんも何度か誤った方向に踏み出すこともあるでしょうし、得意分野を見つけるまでに困惑するような事もあるでしょう。しかし、継続して努力することです
●大学に進学するにしても、他の道に進むにしても、最初につまずいていらいらしたり落胆するのではなく、努力を続け、学び方を学び、誘惑を遠ざけ、努力や挑戦を続けることです。そして、どのような道に向かおうとも、あなた方が必ずしも想像しなかったような道を歩むことにも備えておくべきです
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夢追求メッセージを「4割」、変化や未知のチャンスへの心構え、そしてその日に備える過程での努力継続を「6割」、ぐらいの比率が若者には適当なのかも・・・と個人的には思います

桜6.jpgスポーツのメダリストやプロ選手なら「夢」追求でしょうが、世の中の大部分の人たちは、年齢や経験を積む中で、いろんな経験をする中で、自分の「道」を見定めていくのだと思います。

それぞれの「道」が、夢の実現であることもあれば、ふとしたきっかけで出会った「道」であることもあるでしょう。最後まで自分の「道」に納得いかない人も居るでしょうが、出会った「道」、与えられた「道」で花を咲かせる努力は、何時の時代にも尊く大切なものだとアドバイスしてはどうかと思います

history will find a person」、「努力を続け、学び方を学び、誘惑を遠ざけ・・・」・・最近の日本で余り聞かない表現です。「いかなる形にせよ、社会に奉仕する事の大切さを忘れてはいけない」ともゲーツ氏は若者によく語っていました

若者に語るシリーズ
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2

「州立大学の卒業式で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「軍と社会の遊離を憂う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
「大学で「公への奉仕を」」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-22
「ボーイスカウトの精神を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-29

安全保障感覚の「体幹」を鍛えるために!
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

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南米と中米でもロシアが反米活動 [Joint・統合参謀本部]

ロシア軍がシリアから撤退し始めても油断禁物か?
16日現在:露軍のシリア大規模撤退は未確認

その前に中南米のお話を・・・
Tidd.jpg10日、米軍南米コマンドのKurt Tidd司令官(海軍大将)がペンタゴンで記者会見し、中米や南米でロシアが活動を戻しつつあり、米国と地域との分断を図っていると訴えました

具体的な中身は不明ですが、地球の反対側でも、ロシアはお盛んなようです!

12日付米空軍協会web記事によれば
●10日、ペンタゴンで記者会見した南米コマンドのKurt Tidd司令官(海軍大将)は、中米と南米でロシアが存在感を示しつつあり、米国が同地域から撤退しつつあると「言いふらしている:narrative」と危機感を訴えた
●同司令官は「かつてソ連が緊密な関係を持っていた国々に再び接近し、価格を武器に兵器市場を開拓している」、「また米国は当地域に関心を持たず、信頼に足るパートナーではないと言いふらしている」と訴えた

Tidd2.jpg●更にTidd司令官は、同地域への影響力競争と米国の影響力減殺のため、ロシア海軍艦艇が中米諸国やカリブ海諸国を訪問し、大型ロシア機が当地域への飛来を増やしていると現状を説明した
●これらロシアの動きに対応するため、Tidd大将や米国の指導層が当地域への関与を続け、「米国の家であり、当地域の安全保障に強い関心を持ち、今後も信頼できるパートナーであり続ける」とのメッセージを伝え続けなければならないと訴えた


16日現在:露軍のシリア大規模撤退は未確認
16日、対ISIL多国籍軍の報道官(Steve Warren米陸軍大佐)は記者会見で、プーチン大統領が15日から在シリアのロシア軍を撤退させると発表した件に関し、「small handful」なロシア軍機と地上支援要員が帰国したに過ぎないと語った
Warren.jpg14日プーチン大統領は、所要の目的を達成したとして、シリアに展開していたロシア軍機や兵士の撤退を発表していたが、撤退の期限については明確にしなかった

●同報道官は、10機以下の航空機がシリアを離れるのを確認したが、航空攻撃は行っていなかったものの、他の航空機は過去24時間も飛行訓練を行っていたと語った。
●シリア展開中のロシア軍部隊に多少の動きはあり、荷造りしているようにも見えるが、「大規模な撤収の動きは確認できない」と同報道官は述べた。
●また、シリアの反政府部隊への露軍の攻撃も減少傾向にあるが、アサド政権への支援は継続されていると警戒感を示した
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在シリアのロシア軍に関する報道が無くなりましたが、引き続き注意は必要でしょう
中南米の細部事情を承知していませんが、いかにも分かり易い構図です。

しかし、要人の訪問や「口先介入」だけでは、コミットメントの維持を地域諸国に納得させるのは難しいでしょう
今の米国の状況を見ていると、ロシアならずとも悪巧みを考えるでしょうねぇ・・

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地域コマンド司令官に初の女性大将推挙 [Joint・統合参謀本部]

ロビンソン米空軍参謀総長は実現せず

Robinson2.jpg18日朝、カーター国防長官は、オバマ大統領が太平洋空軍司令官(兼ねて太平洋軍航空戦力司令官JFACC)であるLori J. Robinson大将を次の北米コマンド司令官に推薦すると発表しました。
ロビンソン大将は、女性で初めて大将として戦闘部隊の司令官に就任した人物ですが、議会で承認されれば、これまた初めて地域担当の戦闘コマンド司令官に就任することになります

昨年の9月頃には、ロビンソン大将がダントツの次期空軍参謀総長候補だとの報道が出回り、複数の関係者が識見・人物両面から適任者だとの声を挙げ、パイロットでない女性米空軍トップ誕生という「驚天動地」ながら「画期的で素晴らしい」人事への期待が高まっていたのですが・・・
また、James空軍長官が強く押し、カーター国防長官の前例に囚われない人事方針からしても、同大将の空軍トップ就任は、米空軍の内外で硬いものと考えられていたのですが・・

残念ながら今年1月には、2012年6月に少将、2013年5月に中将、2014年10月に大将という「極超音速なみのスピード昇任」が経験不足では・・・との疑念を生み、米空軍参謀総長レースからは脱落との報道が出回りました
そして今回、その噂通りの「ご栄転」人事が提案されたわけです

18日付米国防省web記事によれば
Robinson6.jpg●カーター国防長官は、「Politico」のジャーナリスト達によるインタビューの途中で、北米コマンド司令官と在韓米軍司令官候補者の発表を行い、オバマ大統領が両名を了承し、米上院に承認を求めることになると述べた
●北米コマンド司令官には、太平洋空軍司令官として地球の半分を担当地域とし、約46000名の兵士の指揮官であるロビンソン大将を推薦する

●ロビンソン大将は早期警戒管制機E-3やJSTARS:E-8でで900時間以上の任務に就き、現在はその多様で深い経験を元に、アジア太平洋地域という極めて困難な地域で空軍戦力を預かっている
●カーター長官は初めて地域戦闘コマンド司令官に女性を推薦することに関し、「米国防省や米軍には、極めてたくましい女性士官が多数存在し、任務に取り組んでいるのだ。彼女はそんな人材の一人だ」と語った

次の在韓米軍司令官にはあのBrooks大将
Brooks-pacam2.jpg現在の在韓米軍司令官スカパロッティー大将が欧州コマンド司令官(兼ねてNATO最高司令官)に推薦されたことを受け、カーター国防長官は次の在韓米軍司令官に、太平洋陸軍司令官Vincent K. Brooks陸軍大将を推薦した

なおBrooks大将は2003年のイラク戦争の際、中央軍の記者会見担当として、米陸軍最年少の准将ながら連日長時間の会見を「顔色一つ変えず」乗り切り、その能力の高さを内外に示した人物です
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1月の「噂記事」によれば、今年秋にも交代予定の米空軍参謀長候補には黒人の輸送機操縦者(KC-10やC-17)であるDarren McDew米輸送コマンド司令官、航空機の操縦経験が全く無い「非伝統的な」候補といわれるJohn Hyten空軍宇宙コマンド司令官、そして高齢がネックの「伝統的な」候補者で戦闘機パイロットの米空軍戦闘コマンド司令官Herbert Carlisle大将となります。

「噂の候補者3人」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09

Carlisle-PACAF.jpgCarlisle大将は、ロビンソン大将の前任の太平洋空軍司令官として日本が大変お世話になった人物で、極めて異例ながら叙勲(旭日大受賞)を授与したぐらいの優れた人ですが、ホワイトハウスや国防長官が好まない「視野の狭い」戦闘機操縦者で、既に59才という年齢も引っかかる人が多いようです

ロビンソン大将の後任者候補の発表を待ちましょう!

ロビンソン大将関連の記事
「噂:北米コマンド司令官か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09
「次の空軍トップ候補は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-14
「驚嘆:女性大将が対中国の指揮を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-03

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駐米防衛駐在官が尖閣や東シナ海を語る [ふと考えること]

Sennkaku.jpg17日付Defense-Newsが「日本は東シナ海監視を拡大」とのタイトルで記事を掲載し、駐ワシントン防衛駐在官へのインタビューを行っていますのでご紹介します

新たな事実が明らかになったわけではなく、記者の理解が間違っている部分(誤った説明をした可能性も)も有るように思いますが、米国駐在とは言え防衛駐在官の発言が直接配信されることは極めてまれで、しかも現役制服組にとっては「地雷が一杯」の尖閣や東シナ海に関する発言と言うことで、「声援」の意味を込めご紹介したいと思います

インタビューに答えているのは「山本まさし大佐」で、「Col.」との表記になっており、陸上自衛隊をアピールしているので陸自の方かも知れません

3月28日に与那国で活動を開始する陸自部隊や、2013年に承認された南西諸島方面での「multi-step Japanese response」についても語っています

17日付Defense-News記事によれば
Yamamoto.jpg●17日、在ワシントン日本大使館に勤務する駐在武官(military attaché)の山本まさし大佐は、日本は尖閣諸島周辺の東シナ海で監視ネットワークを拡大し、新たなレーダー監視基地を3月28日に接続すると語った
●同大佐は「この付近は力の空白エリアだ」、「北朝鮮の活動や、中国による頻繁な領海侵犯を受け、日本がより良く対応するため、情報収集能力を強化する必要があると考えている」と語った

●山本大佐は、尖閣周辺の領海12マイルを中国艦艇は侵犯していないが、たびたび200マイルのEEZ内で活動していると述べ、「中国の沿岸警備隊である海警が継続的に尖閣諸島周辺海域に侵入している」、「中国側は活動限度の敷居を見極めているのだと思う」とも語った
●また、今のところ中国海軍や「海警」が尖閣諸島への上陸を試みる兆候はないが、漁民を装う海上民兵に言及しつつ「漁民が上陸したことはある」と説明した

南西諸島.jpg●尖閣諸島の南にある与那国島に新たな監視基地が設置され、配備されるレーダーや光学センサーにより約200マイル日本の監視網を拡大し、これまでの九州・沖縄・宮古島のラインを延伸することになる
●山本武官は、与那国等の施設が恒久的なもので、兵士のための宿舎等も設置されていると語った

●また日本は、本島と沖縄の中間にある奄美諸島への兵力展開を進めており、「将来は約600名規模の部隊が配置されるだろう」と同武官は語った。しかし尖閣諸島に部隊を配備する計画はないとも付け加えた
尖閣諸島への部隊配備に関し「もし日本がそうすれば、緊張を高めることになる」と山本大佐は述べ、「エスカレーションは望んでいない。しかし与那国島には約1800名の住民がおり、また尖閣を監視するネットワークを拡大してくれる」と説明した

●山本大佐は緊張状態が高まった場合の対処について、2013年に承認された「multi-step Japanese response」を説明し、「Phase Zero」が上記の監視ネットワークでの警戒だと述べた
Yamamoto2.jpg緊張が高まった際の「Phase One」対処として、陸上自衛隊の歩兵中隊、迫撃砲中隊、新型戦闘車両中隊で構成される緊急展開部隊の編制をあげ、
島が敵に占領された「Phase Two」では、領土奪還のため船舶で着上陸部隊を派遣する計画だと山本大佐は述べた
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記事は「Yamamoto noted that Chinese ships have not crossed the 12 nautical mile territorial limit around the Senkakus」と書いていますが、山本大佐は恐らく、中国海軍艦艇は領海侵犯していないと言ったのだと思います

yonaguni2.jpgまた、「2013年に承認されたmulti-step Japanese response」とは、平成25年に閣議決定の新防衛大綱で示され、平成30年度末までに新編される予定の「水陸機動団」や「即応機動連隊」を活用した対処を表現したものと思われます

更に「この付近は力の空白エリアだ:This is kind of a power vacuum area」は、同じく新大綱の表現「自衛隊配備の空白地帯となっている島嶼部」を表したものと考えられます

ほとほとさように、海外に対する日本からの正確な国防関連情報発信は難しく、不足している状況です。最前線の皆様には頑張って頂きたいですし、「東京の郊外より・・・」で海外軍事情報の流れを感じて頂き、巧みな「情報発信」にご活用頂きたいと思います

関連の記事
「海上民兵について」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-04
「中国海軍が尖閣に接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-30
「尖閣問題シンポジウム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-31-1
「外務省顧問が尖閣問題を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-31

RANDの研究「尖閣に米国は手を出さない方が賢明」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45849

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ロッキード幹部が第6世代含む戦闘機を語る [米空軍]

6-GN.jpg15日、Lockheed Martin社の先進技術部長であるRob Weiss氏が同社イベントで記者団に対し、同社による様々な脅威分析や作戦運用分析の結果を踏まえ、今後の戦闘機に対する投資が如何にあるべきかについて語っています。

同社が製造するF-22やF-35が当面しばらくは中心で、「第6世代機」については「今後30~40年間は投入されないだろう」と述べて2045年頃の導入を示唆し、何となく「我田引水」「手前味噌」的なご意見開陳ですが、1月にNorthrop Grumman社が行った同様の会見と対比する意味でも興味深いのでご紹介します

「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17

16日付米空軍協会web記事によれば
ロッキード社の先進技術部長(head of advanced projects division)であるRob Weiss氏は記者団に対し、第6世代戦闘機は2045年頃に運用開始するのが適当だろうとの考えを示した
●Weiss氏は、同社が長年に亘り次世代の制空に関し様々な脅威分析や作戦運用分析を行ってきたと述べ、その結論として、米国が制空を維持するための最善の方法は「第5世代機の機数を増やすことだ」と語った

6-GN3.jpg●そして同部長は「現在計画されているF-35調達機数を全機調達することが、米軍航空優勢上で最優先事項だ」と広範な想定で実施した各種分析の結果を表現した
第2の優先事項として、F-22やF-35の能力向上改修を時機を失せず継続し、敵対国の第5世代機に対する優位性を確保し続けることが重要だと主張した

第3番目の優先事項として同氏は、第6世代戦闘機に関する「game-changing」な技術への投資を上げ、それが他の技術による制空でなく新しい航空機だとすれば、第5世代機とは大きく異なるものである必要があると語った
●「我が社にはそのためのかなり有望な技術がある」と同氏は述べたが、それ以上細部に言及することは許されていないとして語らなかった

●それでもWeiss氏は、第6世代機は先進的な推進装置とセンサーを搭載するだろうが、極超音速(音速の5倍以上)を目指すようなものではないし、今後30~40年間は前線に投入されないだろうし開発計画の開始も今後10年程度はないだろうと語った
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ちなみに、Northrop Grumman社幹部が1月に「第6世代機の論点」を語った際は、F-22やFA-18の後継機を大前提とし、2030年代に6世代戦闘機導入をあるべき姿として必要な能力や論点を主張しています
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17

NG-6th2.jpg●デジタル「白血球」でサイバー対処
全てのサイバー攻撃を防止する事は不可能に近いので、次世代戦闘機は、サイバー攻撃「被害」を防止する「デジタル版白血球」のような機能を備えるべき
●速度と航続距離のトレードオフ
歴史的に戦闘機開発は速度や機動性を重視してきたが、将来戦闘機は速度を犠牲にして航続性能を求めるのでは。将来は戦闘機運用の根拠基地確保がより困難になることから、優れた航続性能が極めて重要

●大量の熱処理が大きな課題
レーザー兵器などエネルギー兵器を搭載する第6世代戦闘機にとって、熱処理が大きな課題の一つ。特に高出力レーザー兵器を搭載する際に、この問題が大きなものとなる
●有人機か無人機か
有人機と無人機の混合編隊、無人機の遠隔操作などなど、様々な考え方がある。人間が判断すべき事は何かを見極めつつ、人工知能等を活用してリアルタイムでロボットが判断できるようソフト開発を進行中
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米空軍幹部は今月、第6世代機構想を含む将来制空に関する1年間の検討「Air Dominance 2030」の区切り議論を行う模様です。

6-GN2.jpg昨年後半には、米海軍とも意見交換を開始して共通の機体を追求する姿勢(議会等に対するポーズか?)を見せていましたが、最近になって海空軍両サイドから、双方の要求性能が大きく異なることから共有化は難しいとの予想通りの発言がメディアで紹介され始めています

今しばらくは、第6世代機がどうなるかよりも、本議論と通じて浮かび上がる関連技術動向や脅威認識、企業や関係者の思惑を「生暖かく」眺める気分でいた方が良いかも知れません

現実的には、ロッキードWeiss氏の主張に近い、F-35を計画数より削減しつつ購入し、F-22とともに最新技術を効率よく取り込む継続的なアップグレード(レーザー兵器を含む)で技術的優位を確保・・・が唯一の道のような気がしますが

次期(第6世代)戦闘機を考える記事
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「kill chain全体で考えよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-27
「Air Dominance 2030検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-09

「海空共同で次期戦闘機検討へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-30
「将来制空機は大型機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

「女性将軍が次世代制空を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-23
「海長官:F-35は最後の有人戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-17
「空軍参謀総長当面有人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-23

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「kill chain」から「kill web」へ [Joint・統合参謀本部]

ASNE 2016.jpg14日付米海軍協会web記事が、1日に行われた米海軍技術関連イベントでのミサイル防衛に関する米ミサイル防衛庁(MDA)や米海軍関係者の発言を紹介しています。

日本に新たな提案をしていることを示唆する表現や、表題の「kill chain」から「kill web」への発言もありましたので、ぼんやりした感はありますがご紹介しておきます

まだまだ攻撃側ミサイルより防御ミサイルのコストが高いことを問題視したり、レーザー兵器開発に頑張っているとか、同盟国にBMD装備を買えとか、センサーとしてのF-35を試験中だとか、様々な人が色々語っていますので細切れにご紹介します

まず米ミサイル防衛庁(MDA)関係者は
Knudson.jpg●1日に行われた「American Society of Naval Engineers’ annual ASNE Day」イベントで、MDAのOle Knudson副長官(陸軍少将)は、敵のミサイルは量的に増加するだけでなく、回避機動や対抗措置能力を強化して米側等ミサイル防衛システムの対応を困難にしており、真の目標を見極める「識別能力」が重要だと語った
●また、依然として攻撃側ミサイルより防御ミサイルのコストが高いことを問題視し、1発のミサイルで「複数目標要撃が可能な兵器:multi-object kill vehicle」の必要性を訴えた

●更にKnudson副長官は、引き続きミサイル防衛コストが高価で攻撃側に有利な状況から、また米国独自で欧州と中東とアジアに十分なBMDシステムを配備できないことから、米同盟国等はBMDシステムを購入するだけでなく、米国システムと連接して運用すべきだと訴えた
●しかし同副長官も連接運用による情報共有に関しては、技術的な課題だけでなく、政治的な課題が存在する事も認めた。

●同副長官は、最近、同盟国等に対し「cross-domain solutions」に関する「RFI:requests for information:対応可否に関する質問書」を発出し、力強い返答(great responses back)が帰ってきていると表現した
ASNE 2016 2.jpg●具体的な計画や対象国には言及しなかったが、同イベントの別のプレゼンで、Jon Hill海軍少将は「公式な合意はなく質疑の段階だが」、日本がAegis Ashoreに興味を示していると発言している。

●Knudson副長官はまた、「レーザー等エネルギー兵器に勢力を投入し、敵が対抗装置をとる以前のブースト段階での目標識別・要撃能力向上を目指している」、「multi-object kill vehicleと併せて検討している」と述べた
●更に「cross-domain solutionsに関しては、未だ実行段階にはないが、サイバーの視点からも本件を扱うRFIを最近発出したところだ」と語った

米海軍関係者の同イベントでの発言
●米海軍関係者は、米海軍がより多くのセンサーをミサイル防衛に取り込むことに焦点を当てていると語っている。前出の米海軍Hill少将は「センサーの不足を感じており、E-2Dが常時在空が難しい中、他に何が活用できるかを考えている」と語っている
●更に「現在F-35で試験を行っており、NIFC-CAループの中で活用できるか確認している」、「(防空用の)SM-6を対艦用に活用し、射程を延伸する等の取り組みも行っている」と語った

Navy-Air-War2.jpg●イージスシステム担当のTom Druggan海軍大佐は、NIFC-CA構想に多様なセンサーを組み入れることは技術上の挑戦だが、米海軍は真剣に取り組む必要があると語っている
●更に同大佐は「第3者の目標照準情報でのミサイル迎撃が可能になりつつ有り、米海軍では検証済みの素晴らしい技術である」、「次の挑戦はkill chainからkill webへの発展である」と表現した

●そして同大佐は「全ての既存センサーを吟味し、目標情報をSM-6提供する術を見極めている」、「MQ-4、空母艦載無人機、F-35、MH-60R、P-8等々からの全てを兵器管制用データとして活用できないか考えている」と説明した

●また「敵は我々のリンクの1点を攻撃するのではなく、プラットフォームからセンサーまで広範な正面攻撃を行うと想定される。kill chainからkill webへと発展させることで、米海軍ミサイル防衛の多面性や強靱性や強化したい」と語った
●またNIFC-CAに関しては、交戦可能な範囲を8倍に拡大することが可能で、更なるセンサーやアセットの追加でそれ以上の可能性も秘めていると表現した
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日本に強い調子で、そして韓国には更に強い調子で問いかけられていそうな「cross-domain solutions」については知識がありませんが、「同盟国に買わせて米国システムに連接させろ」との判りやすい大原則の下でBMD強化は進められているようです

DF-26.jpg中谷防衛大臣が既に(昨年11月末頃に)NIFC-CA参加する事を検討、との国会答弁をしていたと思いますし、E-2D新規購入との関連も臭わせていたと思います。

美しい構想が描かれているNIFC-CAには期待したいのですが、多数のアセットが中国A2ADエリア周辺で活動できるのか???との疑問に対する答えを米海軍関係者から聞いた記憶がありません

遠方から攻撃するのかも知れませんが、射程4000kmの対艦弾道ミサイルDF-26(DF-21Dの2000kmを凌ぐ)の存在を明らかにした中国に対し、米海軍艦艇群はどこまで接近可能なのでしょうか???

MDAやSM-6関連の記事
「MDAの2017年度予算案解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-12
「SM-6で対艦攻撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-04-1
「SM-6で弾道ミサイル迎撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05

米海軍NIFC-CAと関連装備
「日本はNIFC-CAに?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26

「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23
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極超音速兵器の開発で中国が優位か? [米国防省高官]

久々に「hypersonics技術」のお話しです

Hypersonic4.jpg9日、Work国防副長官が米空軍協会のMitchell研究所で講演し、極超音速技術(hypersonics technology)について中国に先を越されており、中国の同技術関連研究施設の充実ぶりを紹介しつつ危機感を訴えています

極超音速技術は、音速の5倍以上の速度で大気圏内を飛翔する技術で、スクラムジェット技術や姿勢制御技術等が重要な要素となるものです。

米軍では、米空軍の「X-51 Waverider」等が研究開発され、4回ほど試験(2回成功2回失敗)が行われましたが、その後の予算制約から進捗が滞り、その間に中国が極超音速飛翔体の試験に成功した等のニュースが報じられている状況です

Hypersonic3.jpg米軍では、極超音速技術を実用化したCPGS(通常兵器による世界即時攻撃:1時間以内に世界の何処でも攻撃可能な体制確立)構想を目指す動きもありましたが、「金の切れ目が縁の切れ目」状態に置かれて居るのが現状かと思います

実現出来れば、その速度で多くの防空網を突破可能で、かつその運動エネルギーを利用した新タイプの兵器として「Game Changing」な可能性を秘めています

11日付米空軍協会web記事によれば
●11日、Work国防副長官は講演で、極超音速技術(hypersonics technology)は「Third offset strategy」の一部をなすもので、敵対者に対する技術優位確保を目指しているが、相手も多くの資源を投入していると危機感を訴えた
●Work副長官は他国の極超音速技術開発レベルについて「中国は本分野で米国より進んでいるが、ロシアは米国より遅れている。米国は中露の中間にいる」と表現した

Hypersonic.jpg●また「中国は数百の極超音速風洞を保有している」、「中国がどのようにして過剰とも思える装置を維持しているのか分からないが、中国は非常に大規模に同技術を追求しているのだ」と副長官は語った
●そしてWork副長官は、米国としても敵の拒否領域や防空網を突破できるスピードを持つ極超音速兵器が欲しいし、強固な防御に対処するためある程度の自立能力が必要だと考えていると述べた

元米空軍首席科学技術監で現在IDA科学技術研究所の所長であるMark Lewis氏は、極超音速技術の専門家として、中国の風洞装置に関する副長官の言及をその通りだと語った
●そして「中国は小型の風洞を基礎研究に使用し、大型風洞を具体的装備の設計開発に活用している」、「中国最大の極超音速風洞は、米国が保有する同風洞の2倍の規模である」とLewis氏は現状を語った

●一方でLewis氏は、米国の研究レベルについて副長官ほど悲観的ではなく、米国のレベルは他国より数年は上回っているとの見積もりを披露し、この僅かな優位を更なる投資で維持拡大すべきだと訴えた

Mark Lewis氏は米軍の取り組みを非難
Hypersonic2.jpg●同氏は、米空軍研究機関が「X-51 Waverider」試験開発で蓄積した知見を有効活用していないと語り、将来鍵となる戦略的技術蓄積を無駄にする恐れがあると米空軍協会総会で訴えた
●そして同氏は、米空軍研究所AFRLが「X-51ブースター」とスクラムジェットを二つの別の試験装置に分けて試験し、「X-51」としての教訓を無駄にしていると表現した

●中には、二つの試験を同時に進める事は予算枠から出来ないと言い出すものも表れ、悪い方向に向かっているようで危惧しているとLewis氏は主張した
●「X-51はミサイルではないが、それにつながる開発装備であり、継続開発することに計り知れない価値がある」「わずか25億円程度の追加試験で、芸術的とも言える技術優位を確保できたのに」と嘆いた
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ミッチェル研究所の関連レポート(約2MB)
極超音速兵器の優位性を訴える1月発表のレポート
http://media.wix.com/ugd/a2dd91_b7016a5428ff42c8a21898ab9d0ec349.pdf

今年に入り、「極超音速兵器」に関する米国関係者の発言を良く耳にするようになりました。背後に、Work副長官が推進する「Third offset strategy」があるのかも知れませんし、Work副長官が焚きつけているのかも知れません

WU-14.jpg中国はなぜ多数の風洞を保有しているのでしょうか??? この分野に「Game Changing」な可能性を感じているのでしょうか??? それとも風洞製造企業のトップに、党幹部の子息が就任し、賄賂代わりにみんなで買ったのでしょうか??? 

なお、中国の「WU-14」と呼ばれるスクラムジェット推進の「極超音速飛翔体」(hypersonic glide vehicle (HGV))は、2014年1月に初試験を行い、2015年10月に試験を成功したと報じられており、この時間差をもって「米国から2年遅れ」と見られているのかも知れません
そんなに簡単だとも思わないのですが・・・

3月15日ロッキードCEOが極超音速兵器開発に自信たっぷり発言
http://www.defensenews.com/story/defense/air-space/2016/03/16/lockheeds-marilyn-hewson-touts-breakthroughs-hypersonic-weapons/81836070/

X-51 Waverider試験開発の様子
「X-51最後の試験は成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07
「X-51 3回目の試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-16-2
「X-51A:2回目試験は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-16
「X-51A:1回目の実験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23

CPGS(通常兵器による世界即時攻撃)関連の記事
「PGSに少し明るい話題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18
「パネッタ長官はPGSに期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-16
「対中国もう一つの柱PGSは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-03
「PGSのHTV-2試験失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-27
「核抑止の代替?PGSのCSM」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-25

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