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ボーイング報告書:今後20年の操縦者不足は深刻 [ふと考えること]

Boeing-Co.jpg8月26日、ボーイング社が今後20年間の航空業界における操縦者や整備員や客室乗務員の需要見積もりを発表し、アジア太平洋地域を筆頭に経済発展等を背景にニーズが急増&高止まりすることから、何も対策を打たなければ大きな人手不足に見舞われると予想しています

対策と言っても国外の人材を奪い合うのでは無く、各国が国内での養成システムを確立し、養成に新たな技術や装備を導入して訓練を効率化し、人事施策を充実させて人材の流出を防止し・・・と言った「言わば綺麗事」が並べられており、具体策はありません

もちろん、要員養成や訓練システムも売り込むボーイングによる「お手盛り」見積もりとの指摘もありましょうが、現実として米空軍では、戦闘機操縦者ポストの2割が「空席」となる深刻なパイロット不足に悩まされ、人材の流出に歯止めがかからない状況です

日本も世界市場の中の一部ですから、同様の問題に直面しつつあると思われるので、色々考えつつ、断片的ながらボーイング報告書をご紹介します

下表は操縦者に関する見積もり
同様の表が整備員と客室乗務員にもあり
Pilot-Needs.jpg










「Boeing Pilot and Technician Outlook」によれば
2016年から2035年の間に、世界中で61.7万人の新たな操縦者需要が見込まれ、整備員は67.9万人、客室乗務員で81.7万人の新規需要増が予想される
●経済的発展を受け需要が急増するのはアジア太平洋地域で、操縦者で24.8万人、整備員で26.8万人、客室乗務員で29.8万人の新規需要が生じる予想である

●仮に航空業界が、育成や採用、更に人材確保に新たな道を見つけなければ、数十万人規模で空席のコックピット、整備員不足の工場、サービスが不十分な機内接遇を強いられることになるだろう


米空軍の戦闘機操縦者不足
USAF pilot.jpg●5月20日、米空軍の搭乗員人事管理課長のFarley Abdeen大佐は、戦闘機操縦者の退職率が増加し、危機的な状況にあると語った
●現在3500ポスト有る戦闘機操縦職のうち、511が空席で、この数は9月末には約700に増加する。これは全体の2割に相当する数である

●米空軍は、戦闘機操縦者養成数を増やしたり、「non-flying jobs」に従事している戦闘機操縦者を削減したりすることにより減少の流れをくい止めようとしているが、即効性のある解決策は見あたらない
●一方で、民間航空会社は昨年約3500名の操縦者を採用したが、その採用数は今後約10年間は高水準で維持するものと見積もられている

●3月に議会で証言した米空軍参謀総長は、これまで10年間の義務勤務期間を終えても継続勤務する空軍パイロットが約65%いたが、昨年度は全機種の操縦者合計で55%に低下し、戦闘機パイロットは47%だった。
そしてこの数字は、今年度末時点では全機種統計で49%に低下すると予測されている
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Welsh AFA2.jpg現実に米空軍で起こっていることからすれば、急速な少子化が進む日本でも、それ以上の状況が生じているのかも知れません。
いや、日本は「戦闘機だけ命」ですから、何が何でも意味不明の戦闘機機数維持と戦闘機パイロット数維持策が執られているのかも知れません

その結果として、脅威が変化しているにも関わらず、重要な戦闘機以外の分野が疎かにされ、士気の低下や組織の一体感の希薄化を招き、U-125の人的ミスによる山激突事故や犯罪の増加につながっていると考えないのでしょうか???

航空自衛隊は、311東北大震災でF-2戦闘機18機も水没させて地上で無駄にしましたが、これは「神のお告げ」であったと思います。戦闘機への投資を見直せとのメッセージです。
Iwasaki.jpgF-2水没関連で隊員に犠牲が無かったことは奇跡的であり、このこともまんぐーすが「神のお告げ」と考える所以です。現場の隊員は一生懸命なはずですから

「戦略の誤りは、戦術で補えない」・・・航空自衛隊内や周辺に生息する戦闘機命派は、この言葉を肝に銘じ、今時の操縦者等の不足環境を見つめ、「神のお告げ」に耳を傾けるべき時です

ボーイングのレポート
「2016 Boeing Pilot and Technician Outlook」
http://www.boeing.com/commercial/market/long-term-market/pilot-and-technician-outlook/

米空軍の戦闘機パイロット2割不足
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-22

「Baseline 9」契約成立:日本がNIFC-CAに邁進? [Joint・統合参謀本部]

Aegis FMS.jpg8月25日付Defense-Newsは、米国のFMS計画機関が12日に日本と韓国のイージス艦に最新の防空&ミサイル防衛システムである「Baseline 9」への能力向上を行う発表を行ったと報じました。

米側の発表では、海上自衛隊の新型イージス艦あたご級2隻と韓国海軍イージス艦(KDX-III Sejong-class)3隻に「Baseline 9」搭載を行うようです
改修はニュージャージー州の「Moorestown」とフロリダ州の「Clearwater」で、2022年5月までに、米海軍システムコマンドの元で行われるようです

イージス艦は、真上から降ってくるように襲いかかる弾道ミサイルと、海面上の低空から迫り来る巡航ミサイルの両方に対処する必要に迫られていますが、従来のシステムでは同時対処が困難との大きな問題を抱えていました。この問題を解決するのが「Baseline 9」への改修です

本日は、このFMS成立を契機に関連事項を復習します

「Baseline 9」とは
Baseline 9.jpg●「BASELINE 9」は、イージス艦システムに新たなCPUチップ等を付加し、航空機、巡航ミサイル、弾道ミサイルに(柔軟に)対処できる能力を与えるものである
●旧システムでは、脅威の距離や種類に応じてレーダーを選択して対処を考える必要があった。しかし今や、対処モードの切り替えにより、BMDやIAMDや通常防空を個別に選択できるようになった

●イージス艦システムをNIFC-CA構想で空母艦載機のレーダーやISR情報と連接することにより、イージス艦レーダーの探知範囲外の目標に対処可能になる
●また、従来の射程約100nmのSM-2ミサイルに代わり、自立シーカーを備えて「打ちっ放し可能」なSM-6ミサイル(ネット情報では射程230nm)と組み合わせ、対処可能範囲を拡大する

この「NIFC-CA構想」とは
Navy-Air-War2.jpgNIFC-CA構想は、新しいネットワークで各種航空機や艦艇と敵情報をリアルタイムで共有し、強固なA2AD網を構築する中国に対処しようとする構想で、FA-18、EA-18G、E-2D、UCLASSやF-35、更には米空母やイージス艦(Baseline 9とSM-6を含む)を連接する構想や試験が進行中

●2014年5月に当時の米海軍トップが、米海軍と空軍はアジア太平洋リバランス政策遂行のため、NIFC-CA構想推進のため協力していると言及し、「今から将来に向け、各軍種の情勢認識情報と攻撃能力を一体化し、目標情報をより遠方で察知することで、米海軍と空軍は経空脅威に対処していく」と語った

●また「海軍はNIFC-CA構想の要素を、米空軍との演習であるNorthern Edge(アラスカ)やValiant Shield(グアム)などで取り入れている」、更に「エアシーバトルの考えに沿って、全てのアセット等を戦術データリンクで結び、関連リンクが共有される事に取り組んでいる」とも表現した
Greenert china.jpg●更に今後の課題について「潜水艦、他の艦艇、航空機が共通の恩恵を受けられるようにすること」と明らかにした

●更にNIFC-CAの意義も強調し「NIFC-CAでは相手の装備や拒否システムの分析も行い、米空軍がどの分野で貢献できるかも吟味する」と語り、「鍵となるのは、各アセットが戦術ネットワークに加わることである。例えば空軍のF-35Aと海軍のF-35CやFA-18E/F、空軍のJSTARSである。そのことにより、海空軍が情報を共有できる」と訴えた

日本の関与について米軍事メディアは
●新ガイドラインの策定、E-2Dの購入や「Baseline 9」への更新は、自衛隊に実戦的で政治的な能力を提供し、米空母群の新作戦構想の一部として戦うことで、打撃力や攻撃範囲を拡大することになる

●米国は、2015年6月に4機のE-2D早期警戒機を約2000億円で日本にFMS売却することを通知し、また2011年には、日本はF-35の購入を決定している
●また2015年5月末には米国防省が、あたご級イージス艦2隻に、航空機と弾道ミサイルの両方に同時対処出来る能力を付加する「Baseline 9」への改修を、約80億円で実施すると発表していた

E-2D-1.jpg●米海軍では、E-2DとF-35と「Baseline 9」搭載のイージス艦は、NIFC-CA構想の鍵となるアセットである。NIFC-CAが可能な空母打撃群は、例えばE-2DやF-35の目標情報をイージス艦やFA-18に提供し、各アセットが保有するセンサーの捜索範囲を超える敵情報を把握する
●米海軍は既に関連イージス艦やE-2Dを配備し始めているが、日本の装備調達計画からすれば、米海軍のコンセプトに加わることは容易であろう。新ガイドラインの策定により、日本は装備使用の自由度が大きく拡大する

新ガイドラインは「日米両政府は、日本に対する武力攻撃への対処において、各々米軍又は自衛隊及びその施設を防護するための適切な行動をとる」と記している
●ただし、NIFC-CAの攻撃面の中核装備であるSM-6艦対空ミサイルを日本が購入するかは不明確である

そして中谷防衛大臣(当時)は
2015年6月29日、衆議院安全保障法制特別委員会でNIFC-CAに言及し、「NIFC-CAなど米軍の新コンセプトの検討も踏まえ、ミサイル防衛体制を検討していく」と述べ、NIFC-CA導入を視野に入れていることを明らかにした
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Inada-DF.jpg中谷前大臣は、THAADについても「・・の状況も確認しつつ、ミサイル防衛体制を検討していく」と述べており、稲田新大臣はてんこ盛りで色々検討されていることと存じます。
参議院選挙も終わったし、中国や北朝鮮がたっぷり脅威をアピールしていることもあり、新防衛大臣から何か御発言があるかもしれませんね・・・

それにしても、海上自衛隊がイージス艦を導入したのが1993年で、韓国が2008年なのに、「Baseline 9」へのアップグレードが同時期なんて・・・何かイライラします。
個人的な感情は抜きにして、それだけ米国は、日米韓の3カ国によるIAMD(防空&弾道ミサイル防衛)に力を入れているんでしょう・・・

米海軍NIFC-CAと関連装備
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11
「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26

「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23

日米韓3海軍共同BMD演習で試験を!
中高度を飛行する無人機MQ-9に弾道ミサイル追尾センサーを搭載する試験が実施中で、6月末のハワイでの日米韓海軍BMD演習で実験に成功した模様。どのような運用法が想定されているのか細部不明ながら・・・
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-24

統参副議長:草原の野火のように道を開け [Joint・統合参謀本部]

改革推進派Selva大将が語る!

Selva-CSIS.jpg25日、統合参謀本部副議長のPaul Selva空軍大将がCSISで講演し、米軍戦略における革新の重要性について訴え、自身も米軍内で「失敗を恐れるな」「リスクをとれ」と指示していると語りました。

Work国防副長官が、政権交代後もカーター国防長官の下で進む種々の改革(第3の相殺戦略やForce of Future等)を頓挫させないため、また次期政権に引き継ぐための仕組みとして、主要な軍人ポストに改革に理解があり推進力を持つ人材を配置してきたと語り、その具体例としてSelva大将を改革推進力として紹介していました。

またそのWork副長官自身も、「エアシーバトル:ASB」を提唱したCSBAの前理事長クレピネビック氏から、「ASBは4軍の予算争いの中で、陸海兵隊からの反発もあり国防省の隅に押しやられてしまったが、Work副長官を中心とした少数のゲリラチームが頑張ってくれている」と来日講演で表された筋金入りの改革派です

「相殺戦力等を如何に引き継ぐか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「CSBA理事長の来日講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-27
「軍事組織は自己改革不能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-02

断片的な内容しか把握していませんが、米軍改革を推進する中心的な人物(なので、当然、戦闘機パイロットではない)ですので、講演を映像でご覧になりたい方は以下を
https://www.csis.org/events/innovation-defense-department-general-paul-selva

26日付米空軍協会web記事によれば
Selva.jpg●25日、Selva副議長はCSISで講演し、米国防省は「リスクを取り」「失敗をいとわない」組織で無ければならないと語りました
米国の軍事戦略における革新の重要性について語った同大将は、21世紀に我々が立ち向かわなければならない課題は冷戦時代とは「級数的に異なりつつある」と表現し、ロシアや北朝鮮や非国家主体(注:中国に言及しないところが政治的配慮)は「非対称なアプローチ」を選択していると、リスク重視の背景を説明した

●また副議長は、軍事組織は「改革できないよう、遺伝子レベルで構成されている」との間違った考え方を拒絶すると語り、GPSなど革新的な技術が米国防省から生まれたことを強調した
●そして、米軍の主要指揮官には、配下の組織にくまなく目を配り、「潜在的な変革の種:nuggets of potential change」を見つけ出せ、さもなくば「事態は悪化するぞ」と指導していると語った

●国防省では、改革やリスクを取ることを「山火事」のように考え、「野火」が辺りを焼き尽くして道を切り開くことをイメージするが、この様なアプローチが「国防省内においてシステムとして根付きつつある」と自信を見せた
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昨年夏から統合参謀本部副議長に就任しているSelva空軍大将ですが、カーター国防長官やWork副長官が「改革指向」で指名したことから、当然戦闘機操縦者ではありません
(ちなみに、現空軍参謀総長は戦闘機操縦者ですが、対ISIL作戦と中東経験を重視しての指名だと言われています。しかし直前までは非戦闘機操縦者が最有力の1~2番手でした)

Paul Selva空軍大将について・・・
Selva2.jpg輸送機パイロットで、C-5, C-17A, C-141B, KC-10, KC-135Aの操縦経験有り。
●2014年5月から米輸送コマンド司令官として勤務。それ以前は米空軍輸送コマンド司令官で、更にその前は太平洋空軍副司令官。Dunford議長とは、米軍のアフガン撤収輸送に関し、共に汗を流した関係有り

戦闘機乗りではないが昇任は早く、国防省のNet Assessment室や米空軍QDR担当等も経験。ペンタゴンと軍需産業界での評価は高い
クリントン国務長官時代に軍事補佐官として国務省で勤務しており、クリントン候補が大統領になれば、統参議長に引っ張られる可能性があるとの噂がある

米空軍webのSelva大将経歴表
http://www.af.mil/AboutUs/Biographies/Display/tabid/225/Article/105043/general-paul-j-selva.aspx

どれも重要な関連記事
「相殺戦力等を如何に引き継ぐか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「CSBA理事長の来日講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-27
「軍事組織は自己改革不能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-02

日本の元軍人にも改革派?
「広中雅之は対領空侵犯措置に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機投資に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05

F-35ソフト「3F」での武器発射試験が急ピッチ [亡国のF-35]

本題の前に、溜息の出る話題・・・

24日、日本用F-35がテキサスで初飛行
F-35 Japan1.jpg●24日、テキサス州フォートワースのLockheed Martin工場で製造された日本用F-35A型機の1番機「AX-1」が、同工場から約90分の初飛行(maiden flight)を行いました

日本は42機のF-35を購入するが、最初の4機は米国内工場で製造されており今年末までには米国内で日本に引き渡されて要員養成にまず使用される予定です
日本のパイロットは、今年11月からアリゾナ州のLuke空軍基地で訓練を開始し、残りの機体は愛知県小牧市の三菱重工業内に設置されたFACOで製造される

この戦闘機のために、脅威の変化への対応が遅れること、特に戦闘機だけに人材と金が投入されることを心から残念に思い、今後の自衛隊を支える若者にお悔やみ申し上げます・・・
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F-35 Gun test.jpg23日付米空軍協会web記事は、7月から8月にかけ、F-35の一応完成版ソフト「3F」を使用した各種武器の発射や機体分離試験を精力的に行い、予定を大きく上回る25種類の試験を行ったと誇らしげに紹介しています

各関係機関の積極的協力や天候に恵まれた「お陰」もあり、試験が順調に進んだと担当の将軍が語っています。
いずれにしても、ソフト「3F」を使用する米海軍版F-35のIOC(2018年末)までには2年間しか余裕時間がなく、既に予備時間は使い切った状態にあり、今後も綱渡り状態が続くのですが、小さなニュースながら偶には良い知らせもご紹介致します

23日付米空軍協会web記事によれば
Mahr F-35.jpg7月から始まった集中的なソフト「3F」を使用したF-35の兵器発射試験が、22日に一区切りを付けた。
●試験担当部署によれば、この間、25種類の試験(12種類の兵器精密発射試験と13種類の機体からの兵器分離試験)を行った

これまで、1ヶ月間で実施した兵器試験は3種類が最高だったが、15種類の試験実施を目標に計画を立て、「多様な兵器を様々なシナリオ下で、同時に複数の異なる兵器を使用」を狙って試験を開始した、と国防省F-35計画副室長Randy Mahr少将は説明した
これだけの兵器試験は本来1年間をかけ実施する計画だったが、余裕時間がなくなったことから、夏には終了させるとの決意の基、精力的に試験を実施したとも同少将は語った

無論これだけの集中試験を可能にするには、試験場を管理するエドワード空軍基地によるF-35試験への特別な配慮が欠かせなかった
●また他関係機関の理解や、更に航空機を運用する天候にも恵まれたことも、このような集中実施(Surge)を可能にした大きな要因である

F-35 GBU-12.jpg●試験には連続運用(seven-days-a-week ops)試験も含まれ、試験の成功によりソフト「3F」のリスク低減に大きく貢献したものと考えられる
25種類の試験の中で、5種類の試験では複数の兵器を使用し、全部で30発の兵器を試験で使用した。これら兵器には、「JDAM」「AIM-9X」「AIM-120 AMRAAM」「250-pound Small Diameter Bombs」や「a combination laser/GPS-guided weapon」が含まれていた

●F-35計画室長のBogdan中将は声明で、試験はF-35の全てのシステム、つまり、航法システム、センサー、データリンク等等が全て円滑に一連の動作をする必要があるもので、今後2年以内にフル能力を備えたF-35を提供するための大きな前進であった、と語っている
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米空軍協会は、軍需産業と米空軍の応援団体のようなものですから、これらの方々にとって良いニュースは迅速に報じ、良くないニュースはゆっくり小さく紹介するのが常です。

他の軍事メディアは、23日現在、本件を扱っていません。全体のスケジュールの中で、25種類の試験がどれほどのウェートを占めるのか、ほんの入り口かも知れませんので「大本営発表」には食いつかなかったのかも知れません

まぁ・・・生暖かく見守っていきましょう・・・

F-35の主要な問題や課題
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17

最近のF-35関連記事
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「欧州やアジアに売り込み派遣?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-03-1
「空軍型は8月2日にIOC」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-28

MQ-9搭載の弾道ミサイル追尾センサー試験 [Joint・統合参謀本部]

日米韓の共同BMD演習Pacific Dragon時にも試験
具体的使用法など今後の展開に注目

MQ-9 BMD1.jpg22日付Defense-Tech記事は、2012年度から開発がスタートしている無人機MQ-9搭載の弾道ミサイル追尾レーザーセンサーの開発状況を報じています。

中高度を連続10~15時間飛行可能なMQ-9を、どのような段階でのBMDセンサーとして利用するのか等、作戦運用構想に興味津々ですが、恐らく発射段階での早期探知が目的であろうと想像致します

でも中高度飛行ですから、そんなに遠方は見通せないですし、中国正面などではどの辺りで空中哨戒させる構想なのでしょうか? ステルス性が無い機体ですから、A2AD網の外側でしょうか? それで効果は?

北朝鮮に近い日本海上空で哨戒させ、北朝鮮の弾道ミサイル発射を初度探知させるつもりか?

いろいろ質問したいことがありますが、まずは開発状況についての記事をご紹介します。完成時期の目途が無いので、技術開発が目的のデモ試験でしょうか?

22日付Defense-Tech記事によれば
●22日、米国のミサイル防衛庁MDAは無人偵察攻撃機MQ-9を製造するGeneral Atomics社と、弾道ミサイル精密追尾用のレーザーセンサーの同無人機に搭載する約12億円の契約締結を発表した
●契約発表声明の中で同社は、「MQ-9の試験機にレーザー追尾システムを装着し、アクティブ追尾センサーとして能力アップされたmulti-spectral照準装置システムのデモを求められている」と契約について説明している

MQ-9 BMD2.jpgレイセオン社が開発する「MTS-C:Multi-spectral targeting systems-C」と呼ばれる光電赤外線センサーは、米国防省の2012年度予算で研究が認められ、2016年の年初には、実際にMQ-9の先端部に装着された形での飛行がニューメキシコ州で行われた

●また先週General Atomics社は、6月26~28日の間にハワイ沖で実施された日米韓の海軍共同BMD演習「Pacific Dragon」に同装備が参加し、弾道ミサイル追尾に成功したと発表している
●上記センサー搭載のMQ-9は米海軍と組んで同演習に参加した。なお同演習は隔年で開催され、多国間でのミサイル追尾情報の共有連携要領を確認して評価するものである。(韓国艦艇のミサイル追尾情報は、韓国側の強い要望で日本には直接提供されず、米側へ提供されたのみだった模様

General Atomics社のCEOはプレス発表で、「この試験から、効果的な航空機搭載ミサイル防衛用センサー開発に必要な貴重なデータが得られた」と述べている
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弾道ミサイル防衛に関する話題ですので、その判りやすい解説で他を圧倒している「海国防衛ジャーナル」に取り上げて頂きたい話題です

勝手なお願いですが・・・・宜しくお願い致します!!!

「海国防衛ジャーナル」
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/

同サイトの「Pacific Dragon演習」解説
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50770916.html

米空軍航空偵察アセットの話題あれこれ [米空軍]

AFM16-8.jpg米空軍協会機関誌の8月号が「航空偵察部隊は決して休まない:Reconnaissance Never Sleeps」との記事を掲載し、欧州、中東、アジアで急増する航空偵察需要に対応する米空軍の航空部隊の様子を紹介しています

航空偵察と言っても、センサーは光学カメラから電波情報収集等まで様々であり、電波だけでも弾道ミサイルのテレメトリー信号から敵防空センサー網の電子偵察等々様々で、これに加えて北朝鮮核実験の痕跡を探る「チリ収集」や、ロシアとのオープンスカイ検証飛行など、本当に多様な任務を少数の多様な機体でこなしており、苦労の程が忍ばれます

本日は様々な話題をカバーする記事から、興味ある部分を得意の「つまみ食い」紹介したいと思います。

中東での電子偵察機RC-135V/W活動
RC-135s-w.jpg●米空軍はイラクやアフガンでの紛争初期には、8機保有するRC-135V/W(Rivet Joint)のうちの6機を中東に配置していた。しかし現在は、3機のみが派遣されている
●ただし中東での活動は24年を越え、2014年6月から2015年5月までの1年間だけで、218回の任務飛行を行い、2281時間の情報収集飛行を行っている
●これらアセットを運用する第55作戦群司令官のMohan S. Krishna大佐は、「限られたアセットを広く浅く分散させて使用している。世界中で盲点となる場所をなくし、世界の事象を把握しようとしているのだ」と語った

核調査WC-135Wと弾道ミサイル確認RC-135S
WC-135W(Constant Phoenix)は北朝鮮が核実験を行った際に派遣され、大気中のガスやちりなど核実験の証拠を収集するちりなど。米空軍は2機保有している
RC-135S(Cobra Ball)は弾道ミサイル試験のデータを収集する機能を持っており、「WC-135W」とともに、頻繁にアジア太平洋地域に派遣されている。米空軍は3機保有している
●両アセットとも少数の機体しか保有しないため、搭乗員の過剰労働を防ぎ、計画的な機体整備を行うことで機能の維持に全力を挙げている

米露間の「オープンスカイ条約」
RC-135.jpg米国とロシアが「Open Skies Treaty」に基づき、両国の核兵器保有状況を上空から確認するため定期的に双方の偵察機が相手国上空を飛行する事を繰り返している
米国は年間約10回の飛行をロシア上空で行い、ロシアも2タイプの航空機で米側と同様のペースで飛行している。この他にも、地上での査察を年間18回行って双方の透明性確保に勤めている

ロシアは今年2月、偵察カメラを湿式フィルムからデジタルカメラに切り替える承認を米側に求め、撮影後のデータを米側と共有すると提案してきた
米側はまだ湿式フィルムを多数保有していることから、今後1年半から2年を掛けてデジタルに移行することになろう

母機となる各種C-135の維持改修措置
●空中給油機のKC-135は老朽化でKC-46Aへの更新が急がれているが、偵察部隊が使用する各種C-135型機は、米空軍の「Big Safari program office」により管理されており、計画的に能力向上や維持が整備が行われている
偵察用の各種C-135型機は全機が新しいエンジンに換装され、また4~5年間隔で実施される分解点検で発見された材質疲労は、計画整備に合わせて対策が取られることになっている
●このような維持施策により、偵察用の各種C-135型機は2040年までは使用可能な目途が立っている。Krishna司令官も「激しい機動や飛行は行わない部隊だから、よく設計された保有機体はその能力や機能を維持するだろう」と語っている

2019年引退のU-2偵察機後継
U-2 22.jpg●2019年に引退するU-2偵察機の後継は、RQ-4(Global Hawks)のアップグレードで対応することになっており、今年2月にNorthrop Grumman社がU-2並の能力にするための増強センサーを下部に装着した機体のデモ飛行を行っている。今後更に、U-2から取り外した光学カメラや多用途センサーをRQ-4に移設搭載する計画である

●一方で、RQ-4だけではU-2の穴埋めは不可能だと考えるLockheed Martin社は「TR-X」計画を進めており、U-2のGE F118エンジンや各種センサーを再活用するステルス無人機を考えている
●「TR-X」は、戦略偵察に最も適したU-2同じ7万フィートの高々度を飛行し、空中給油により連続40時間の任務飛行が可能となる。12時間程度を限度としていた有人機のU-2を大幅に上回る
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TR-X.jpgその他、対テロ戦に力点を置いていた最近の訓練を反省し、A2AD環境を想定した訓練を増加させていると記事は紹介しています

また、英国が3機のRC-135購入を進め、既に2機目を受領し、要員養成については米空軍機に乗り込んで行っており、両国のRC-135は一体となって運用されることが期待されるとも紹介しています。

この分野は日本が大きく送れ、技術的にも他国の追随が難しい分野です、せめて米国の戦力概要だけでも理解しておきましょうと言うことでご紹介しました

関連の記事
「電子戦を荒野から取り戻す」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1
「電波情報収集RC-135」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09

大人気U-2偵察機の記事
「最新機よりU-2がいい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23
「在韓米軍トップ:U-2が良い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-26
「OMS装備で通信中継機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-25

来年1月、10機のF-35Bが岩国に展開 [亡国のF-35]

F-35B-test.jpg24日米国防省高官は、2017年1月に10機の米海兵隊F-35B型(垂直離着陸が可能)が岩国基地に展開すると認めました
22日に外務・防衛の政府関係者が山口県と岩国市に伝えたと報じてられていましたが、これを追認した形です

元々、2017年に米海兵隊のF-35が岩国に展開予定である事は明らかにされていましたが、具体的な時期や規模が公表されたのは初めて

なお、来年1月に飛来する10機は、搭乗員や整備員等が現地の環境に慣れるための予備的展開で、本格的な部隊展開(Further deployments)は2017年後半になる模様です

日本政府は、岩国基地所属のFA-18の3部隊のうち1部隊(12機)をF-35B(10機)に、同年8月にAV-8ハリアー部隊(8機)をF-35B(6機)に更新すると自治体に説明して理解を求めた模様。

海軍版F-35Cの着陸精度が素晴らしい [Joint・統合参謀本部]

「魔法のじゅうたん」で着艦失敗をゼロに

F-35C Landing.jpg18日付DODBuzzは、米海軍用F-35の試験を担当する米海軍航空司令官Mike Shoemaker中将のCSIS講演を紹介し、同機が標準装備する予定の着艦誘導装置「Delta Flight Path」または「MAGIC CARPET」が素晴らしい性能を見せていると語ったと報じています

空母艦載機の着艦ミスが減少すれば、緊急用に空中で待機している空中給油機を削減することが出来、結果として作戦機の搭載を増加できる可能性があると同司令官は語った模様で、その信頼性の高さが伺えます

18日付DODBuzz記事によれば
18日にCSISで講演したShoemaker司令官は、フロリダ州ペンサコラの海軍航空基地で実施したF-35C型機の着陸訓練の状況に言及し、「着陸は上手く行っている。ちょっと良すぎるぐらいだ」と表現した
●そして同司令官は「着陸の度に、正確に同じ位置ばかりに接地するので、滑走路の特定部分がすり減ってしまうのだ」、「直ぐその事態に気付いて滑走路の補修や位置の調整を行う事になった。それくらい正確なんだ」と表現した

F-35C Landing3.jpgF-35C型機に導入される着艦誘導装置「Delta Flight Path」は、着陸進入コースをコントロールし、操縦者が進入コースを微修正する際に注視しなければならない数値を減らし、着艦ワイヤー位置に正確に誘導する装置である
●同様の装置がFA-18やEA-18G用にも開発されており、「MAGIC CARPET」と呼ばれている。(Maritime Augmented Guidance with Integrated Controls for Carrier Approach and Recovery Precision Enabling Technologiesの略)

●Shoemaker中将によれば、100回の着陸で、80回は理想的とされる「No3ワイヤー」にヒットし、ワイヤーヒットに失敗して再離陸するケースは「ゼロ」だった模様
●同中将はこの結果を踏まえ、「艦載機の運用を変えることが出来るかも知れない。今は、着艦に失敗した機体への燃料補給用に空中給油機を上空で待機させているが、この機数を変えることが出来るかも知れない」と述べた

●更に「現在は空母に、6機から8機の空中給油機仕様の航空機を搭載しているが、この機数を削減できれば、攻撃機の搭載機数を柔軟に増やすことが可能だ。例えば、電子戦機EA-18Gや早期警戒機E-2Dの増加が考えられる」と語った
●現在、海軍用F-35Cは3度目で最後の空母艦載試験を空母George Washingtonで行っているが、これは8月23日には終了予定である。そして「MAGIC CARPET」は2019年に導入予定であると海軍関係者は語った
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F-35C Landing2.jpgどのような技術か細部は不明ですが、この装置で着艦が少しでも容易になれば、空母艦載機の着艦訓練を削減でき、厚木の騒音問題も緩和されるのでは・・・と期待してしまいます。

またこの技術が普通の空軍機に応用されれば、これまた着陸訓練の削減につながり、騒音面で影響度が大きい「Touch and Go」訓練も削減できたら・・・と思います

そして・・莫大な経費のかかる操縦者養成費用や練度維持費用を削減し、新たな脅威への対処に必要な分野に配分できれば・・・と強く思います!!!

F-35の主要な問題や課題
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17

最近のF-35関連記事
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「欧州やアジアに売り込み派遣?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-03-1
「空軍型は8月2日にIOC」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-28

超超音速ミサイルの脅威が大きな話題に [Joint・統合参謀本部]

Hypersonic8.jpg17日付Defense-Newsは、16~18日の間にアラバマ州で開催された「宇宙&ミサイル防衛シンポジウム」の様子を紹介し、米軍や米国防省だけでなく専門家や研究者から、超超音速飛翔兵器(hypersonic glider weapons)への対応の難しさや課題について発言が相次いだ模様です

超超音速飛翔兵器とは、弾道ミサイルと異なり「大気圏内」を音速の5倍以上で飛翔する兵器で、スクラムジェット等を推進装置として使用する兵器ですが、発見、識別、追尾、対処方針決定、迎撃のいずれの段階をとっても、現状の防空やミサイル防衛体制では対処が困難だとされています

更に本分野の有効性から、ロシアや中国も開発と実験を進めており、米国としては兵器そのものの開発と防御態勢を同時に考えなければならなくなっていると危機感を訴えル発言が相次いでいます

Work国防副長官が推進する「第3の相殺戦略」でも、この超超音速飛翔兵器を重視しており、細部は不明ながら様々な研究検討が進められている模様です

17日付Defense-News記事によれば
hypersonic5.jpg●「Space and Missile Defense Symposium」のメインテーマの一つに挙げられた超超音速飛翔兵器の課題について、米陸軍省調達次官から米戦略軍司令官まで、各方面から発言が最初の2日間を埋め尽くし、皆が危機感をあらわにした

●Haney米戦略軍司令官は、「超超音速飛翔兵器の研究開発は非常に挑戦的な課題であるが、この兵器を発見、識別、追尾、迎撃する事は兵器開発以上にますます困難になっている」と表現した
●大気圏内を飛翔する本兵器は(弾道ミサイルに比して)レーダーによる探知範囲が限られ、高速である事から対処の余裕時間がない。更に飛翔体は高機動が可能で、目標に精密誘導出来る点も大きな脅威となっている

●多くの防空センサー網は超超音速兵器と異なる飛翔パターンを想定して構築されており、音速の5倍以上の速度で、しかも目標直前でも柔軟に機動する目標をほとんど想定していない
hypersonic6.jpg●Haney司令官は、「同兵器を良く分析して異なる対処を考える必要がある。センサーを最大限に活用し、どのように飛翔しているかを見極め、どう対処すべきかを短時間に処置する必要がある」と語った

ロシアは最も本分野で進んだ技術を保有する国の一つだが、西側のミサイル防衛網を突破する目的で開発を進めており、「今年4月にICBMであるSS-19の先端に装着して打ち上げ、超超音速飛翔に成功したと報道された」と専門研究者は発言した
中国も力を入れており最近2年間で6回も実験を行っている。専門家によれば、中国の試験で超音速飛翔体が高度な機動性を見せた模様

ミサイル防衛長官や米陸軍次官は
James Syring米ミサイル防衛長官(海軍中将)は、「本兵器は迎撃兵器に関する課題を提示するだけでなく、今後兵器の発展に伴い世界をカバーするセンサーの課題を提起する。そして迎撃兵器よりも、センサー面でより課題は大きくなるだろう」と語った
●そして同長官は、「究極的な解決は宇宙に求めるべきだろう。継続的な追尾、識別のためには宇宙の活用が求められる」と指摘した

McFarland.jpgKatrina McFarland米陸軍調達担当次官は、「次元の異なるような課題に直面している。目標発見から攻撃までの時間短縮が最大の課題で、対処の指揮統制をどのように行い、この様な高速目標対処に既存システムをどう連接して対処するかが大きな悩みである」と語った
●また同次官は、米陸軍がセンサーと迎撃体の双方の視点で技術検討を進めており、より余裕を持ってバランスのとれた対処が可能となるよう努力している。

しかし本件は個人的にも最大の課題の一つで、かつ米国防省にとっても、今後数年間で最も大きな課題の一つとなろうとも同次官は表現した
●そして、米国が本分野の技術で優位ではないと言うつもりはないが、米国の優位を維持することが死活的に重要だと強調し、国防省を上げて対処法を深く広く精力的に検討しており、近い将来にはどの対処法を選択すべきがを明らかに出来るだろうとも同次官は語った

●同次官は対処法の検討状況については細部を語らなかったが、軍需産業界や研究者、作戦運用担当者とともに、どのように対処し、どんな技術が必要か、又は洗練させるべきかを検討していると表現した
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Hypersonic22.jpg数年前、予算の強制削減を見据えた研究開発費縮小検討の中で、当時の実験成果が良くなかった超超音速飛翔兵器(hypersonic glider weapons)は、継続的な予算確保が十分出来ませんでした。空軍も取り組んでいましたが、その後の動静が聞こえてきません

そんな中、露中が力を入れて成果を出し始めて危機感が高まり、「第3の相殺戦略」で重視項目に取り上げられて今日を迎えているようです

関係者の「予算獲得キャンペーン宣言」とも解釈可能でしょうが、上記で述べられた問題や課題は全くその通りで、兵器として使用できれば世界即時攻撃構想(PGS)を実現出来ますが、逆に相手が手に入れれば、弾道・巡航ミサイルの脅威を遙かに上回る「Game-Changing」な兵器となる可能性もあり、今後ともフォローが必要と考えています

Hypersonic技術関連の記事
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11
「米空軍30年構想に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-31
「あのLM社も積極投資」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1

豪空軍C-130輸送機に世界初のデータリンク [ふと考えること]

C-130J RAAF2.jpg16日付Defense-Newsは、8月19日までの約3週間に亘り北部豪州で実施された豪空軍主催の多国間空軍演習「Pitch Black」で、新たにLink 16装置を搭載した豪空軍C-130J-30型輸送機の試験が行われたと報じています

恐らく米空軍のC-130はとっくの昔からデータリンクを搭載しているのかも知れませんが、今回豪空軍が全12機のC-130に導入したデータリンク「JRE:Joint Range Extension」戦術データリンクシステムの特徴は、操縦席だけでなく、貨物室の搭乗員用にも表示装置が設けられていることです。
正確には、5つの表示装置が、機長と副操縦士、ロードマスターに2つ、予備操縦者席に配備されているそうです

C-130J RAAF.jpg貨物室のロードマスターが表示装置をどのように活用し、どのような効果があるのか説明できませんが、より複雑化する脅威環境で物資の空中投下や特殊部隊輸送を行う貨物室勤務員にとって、作戦環境をリアルタイムで把握できる装備の導入は大きな力となるのでしょう

また、とかく戦闘機や攻撃機にばかり注目が集まる世界の空軍に於いて米空軍に先立ち、貨物室へのデータリンク表示装置導入を実現した豪空軍の柔軟性と積極性に拍手を送りたいと思います。
それに引き替え、戦闘機のことしか考えない我が空軍は・・


16日付Defense-News記事によれば
●豪空軍最大の航空戦力演習「Pitch Black」に於いて、新たにC-130に装備された「JRE TDL system」の作戦運用試験と評価が始まった。最初に同データリンク装備を使用しての試験が開始されたのは、演習開始から2週間が経過した8日の週の後半からである
●演習で豪空軍C-130は、北部豪州の内陸演習場で低高度飛行の戦術任務を行い、豪軍と米軍特殊部隊の作戦を支援した。

C-130J RAAF3.jpg●豪州空軍の同装備データリンク装備導入チームの一員で、演習に参加したC-130部隊の操縦者であるShaun Wilkinson大尉は、「豪州軍独自の本装備により、我々は見通し線外の視野も手に入れた。また、この様に貨物室のロードマスター用の装備を備えたC-130は、世界に豪空軍にしかない」と語った
●また同大尉は「これまで我々は、無線と通じて音声で複雑な戦場環境の情報を入手し、頭の中で具体的イメージを組み立てていたが、本装備の導入で状況が一目で分かる」と喜びを語った

12機の豪空軍C-130への同データリンク装備搭載は、定期的な整備作業期間を利用し、同国でC-130整備を担当している「Airbus Group Australia Pacific」によって行われた
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2016年のPitch Black演習概要
●7月29日から8月19日まで。航空機115機と人員約2500名が参加
●参加国空軍は、豪州と米国の他、カナダ、インドネシア、フランス、ドイツ、オランダ、NZ、シンガポール、タイ
豪空軍Darwin基地を豪州、フランス、インドネシア、シンガポール、タイ空軍が利用し、Tindal基地を豪州とカナダと米国が利用する

日本の空軍では、この様な装備が日の目を見ることはないでしょう
南西諸島から日本列島の基地が有事被害を受けることは明白で、被害普及や戦力再配分に輸送力が重要であることは明々白々なのに、戦闘機以外の戦力については、外圧による装備購入検討の他は、ほとんどまともな議論がなされていません

Pitch Black.jpg「操縦者が先頭に」との信じがたい差別的で独善的、かつ脅威の変化をわきまえない時代錯誤の甚だしいスローガンが組織内でまかり通り、操縦者が取り組みやすい戦闘機の引っ越しとF-35導入にだけ実質全力を注ぎ、東シナ海での対領空侵犯措置が大変だ大変だと叫んで戦闘機予算獲得にしか意識が無く、何ら法的改正提案も出来ないまま、他職域関係者の士気や団結心は地に落ち、「勝手にやってろパイロット」「もう知----らない」の声が市ヶ谷方面に満ちていると風の便りに聞きました。

豪州との防衛交流や日米豪の関係強化に努力するなら、豪軍や豪空軍内の健全な組織風土をまず学んでは如何でしょうか???

豪州軍関連の記事
「改良したEA-18G電子戦機が豪軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-01
「アジアを狙い米豪軍需産業が連携へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-04
「史上初の日米豪3空軍訓練2012」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-14

軍事痴呆症JAAGAにも非戦闘機命派OBか!? [ちょっとお得な話]

空自の対領空侵犯措置について
「軍事的効果に根本的な疑問」 「態勢の抜本的見直しを」

Scrumble.jpg航空自衛隊のOB会である「(折れた)つばさ会」の付属組織を名乗る「(軍事痴呆症)JAAGA」(日米エアフォース友好協会)が、年2回の発行物である「JAAGAだより」の「創立20周年記念特集号」をネット上で公開しています。

「JAAGA」は、航空自衛隊と米空軍の相互理解及び友好親善の増進に資するため航空自衛隊のOB等で組織する私的な団体ですが、「20周年記念誌」の7ページに掲載されている通り、40以上の軍需産業等が「法人賛助会員」として名を連ねる団体でもあり、自衛隊や軍需産業に積極的に提言したり意見したり出来ない空気が支配する「毒にも薬にもならない老人会」であることは想像に難くありません

20周年記念誌は60ページ(18mbも)もある冊子で、講演会を催したり、現役自衛官に激励品を渡したり、日米関係強化に活躍した米軍人を表彰したり、日米関係者のパーティーを行ったりの写真で貢献度を現役自衛官にアピールする内容になっていますが、退職金や年金タップリ世代のJAAGA会員が後輩の現役自衛官を作業員として「あごで使う」実態から、現役には毛嫌いされているのが実態です

更に想像すれば、日本の新聞斜め読み程度の国際情勢や軍事知識と、「昔取った杵柄」記憶だけで訪米するJAAGA会員を接遇させられる米軍退役将軍達や在米日本大使館のメンバーは、心の底から「軍事痴呆症の老人会」を嘲笑しているか、邪魔臭がっているでしょう。哀れですねぇ・・・

そんな老人会の自画自賛の記念誌ですが、先日ご紹介した小野田治氏に続き、2人目の非戦闘機命派将軍OB登場か・・・と期待を抱かせる元空将の「特別寄稿」を見つけましたので、「暗闇に線香一本」ぐらいの期待度を持って一部をご紹介したいと思います

JAAGA顧問・廣中雅之氏は記念誌で
「米国防政策・戦略と空自の役割」と題したエッセイの結論で
Hironaka3.jpg冷戦時代、空自は厳正な対領空侵犯措置を通じて、米国の封じ込め政策の下で日米同盟の一翼を担い、対ソ連を想定した抑止力を大いに発揮しました
しかしながら、近年の核搭載可能な長距離空対地ミサイルを備えたロシアや中国の戦闘爆撃機の配備は、空自の対領空侵犯措置の軍事的効果に根本的な疑問を投げかけています

●当面、日米同盟の下で有効な抑止力を発揮し、万一、緊急事態が発生した場合には適切な拒否力を発揮する空自の任務と役割は、基本的に変わりません
●そのため、空の主権を守る国防組織としては、第一義的に軍事的な効果を追求する必要があります。

●空自は、より高度な戦闘能力の向上を期すため、これまで任務の中核であった対領空侵犯措置にかかる態勢の抜本的見直しを行い、新安全保障法制の制定に伴う海外活動やサイバー、宇宙空間での活動などの新たな任務への資源配分について、真剣に検討する必要があります
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Hironaka2.jpg廣中雅之氏は防衛大学校出身(23期)でパイロット職ではなく、地対空ミサイル部隊出身者の60歳で、退官後の現在はワシントン在住でCNASと笹川財団の研究員だそうです。
また現役の間に、ジョンズ・ ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士課程を修了し、CSISやスタンフォード大学国際安全保障研究所の客員研究員も経験している人物です

記念投稿の大半は、オバマ大統領とNSCによる安保施策や、米国防省が着手している「第3の相殺戦略」についての随想的コメントが占めており、ご紹介した空自の対領空侵犯措置に関する「軍事的効果に根本的な疑問」「態勢の抜本的見直しを」との最終部分の表現の真意や背景は明確には説明されていません

しかし同氏が主にCNAS上級研究員として活動していることを考えれば、日本の軍事地政学的位置を考えれば、戦闘機は極めて有事に脆弱なアセットであり、現行の平時からグレーゾーンでの対領空侵犯措置用の戦闘機への過大投資では、「緊急事態発生時に、適切な拒否力を発揮する空自の任務と役割」は果たせない、とのご意見かと推察致します

平時の対領空侵犯措置は「ほどほどの」戦闘機に対応させ、対処の法的側面強化で対処効果の増強を図り、ハードへの投資は抑えるとか、有事の期待値が低下する戦闘機部隊の訓練目標やレベルを見直すとか、米国では州空軍が領空対処を担って事を参考にするとか・・・勝手な想像ですが、そんなこともお考えなのでは・・と邪推いたします

Scrumble2.jpgまた、このまま戦闘機命派の言いなりに「戦闘機にだけ投資」を続けていれば、米国が日本に協力を求めているサイバーや宇宙分野での国際協力や、能力構築支援面等での人材育成を含む投資が疎かになることを危惧しているのでは・・・と思います

「(軍事痴呆症)JAAGA」の中核をなす空自OBの皆様は、恐らく廣中氏のメッセージを理解できない・気付かないと思います。だって、地方議員の外遊のような物見遊山米国ハワイ訪問とか、米軍人と米軍ゴルフ場でプレーする事にしか関心がなく、軍事情勢に関しては「痴呆症」を患っていますから・・・

戦闘機命派と非戦闘機命派の空自OB激突!
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05

CNASからの提言
「日本もA2AD戦略を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-18
「在日米軍基地の脆弱性を指摘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-18-2
「横田を軍民両用飛行場に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-01

インド検査院がロシア製空母艦載機を酷評 [安全保障全般]

Mig-29 Russia.jpg10日付Defense-Newsが、インドの会計検査院が公表したレポートを紹介し、インドがロシアから購入した45機の空母艦載機Mig-29Kの稼働率が極端に悪く、エンジン問題やロシア企業の不誠実な支援態勢を指摘しています

同機種を選定した責任があるインド海軍は同レポートにはコメントせず、引き続きインド海軍の主要戦力であり続けると主張し、機種選定当時の海軍司令官は、他に選択肢はなかったと苦しい言い訳状態ですが、やっぱりロシア製兵器やその背後にあるロシア軍需産業は信頼できない・・・と言うことなのでしょうか・・・

色々数字も発表されていますので、比較の対象がありませんが、ご参考まで取り上げます

10日付Defense-News記事によれば
IndiaCV.jpgインド会計検査院(Comptroller and Auditor General)が、ロシア艦艇Admiral Gorshkovを改修したインド海軍空母Vikramadityaに搭載しているMig-29K艦載機に関するレポートを発表し、エンジンや機体、更にはfly-by-wireシステムの不具合で運用に支障を来していると明らかにした
●Mig-29Kは、現在インドが国産を目指している空母Vikrantへの搭載も予定されている

●1999年に同機購入を決定した当時の海軍司令官Arun Prakash氏は、「空母Vikramadityaで運用が可能な、短距離離陸が可能で、アレスティングフック着陸を使用する選択肢はMiG-29KとSukhoi-33しかなかった」と振り返った
●しかし同時にPrakash氏は、ロシアの航空機製造や維持に関する無責任体質を厳しく批判し、「過去25年間に渡り、ロシア軍需産業の劣悪な品質管理やサポート態勢が大きな問題となっている」と指摘した

●会計検査院レポートによれば、2010年以降のデータで、購入したエンジンの62%にあたる40台のエンジンがトラブルや設計上の不具合で使用できなくなっている
●また同レポートは、「今後25年間使用又は6000飛行時間を寿命としている同機だが、種々の不具合で寿命は短くなる」と指摘している

India-CV3.jpg●更にレポートは「RD-33 MK」について、性能は高いと言われているが、その信頼性には疑問符が付くと評価している
●このエンジンの設計不具合についてPrakash氏はロシアが負担して修理すべきと訴え、「ロシア軍需産業を支配する黒幕らは非常に横柄で、インドに他の選択肢がないことから、インド政治家がロシアに反抗しないと自信を持っている」と語った

●別の退役インド海軍提督はレポートを「検査院は技術的なことを知らずにレポートをまとめている」と批判しており、インド国防省は「同機は引き続きインド海軍の主力戦闘機だ」とコメントしている
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ロシア側が「インドの政治家はロシアに反抗しない」と信じている・・・との表現になっていますが、この辺りの力関係は良く分かりません。

Mig-29k.jpg中国の空母「遼寧」はSu-33をベースにした機体を使用していると思いますが、そっちの方も色々抱えている模様ですが・・・

まぁ・・・これを契機にロシア製兵器の問題点が世界に広まり、受注が減り、ロシア軍需産業が衰退し、ロシア軍装備の維持が困難になることを祈ります・・・。でも実際は、裏金とか政治的駆け引きとか、色々ドロドロがあるんでしょうねぇ・・・

関連の記事
2年前「インド空母の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09-2
着艦するMig-29機内からの映像→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-14

中国空母艦載機J-15の離発着映像→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-29
中国艦載機J-15の評価→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-26-1

F-35射出座席問題の一部に解決策確定か [亡国のF-35]

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F-35 ejection seat.jpg8日付Defense-Tech記事は、昨年10月に発覚したF-35射出座席の問題、つまり体重約62kg以下の操縦者が低速で緊急脱出した場合、余分な回転で操縦者の首に危険な力が加わる件に関し、ヘルメットの軽量化以外の対策である、座席に軽量操縦者の射出タイミングを遅らせるスイッチ付加と、座席に頭部を支えるプレートを付加する対策の目途が9月中旬に付くと報じています

1個が4000万円以上する操縦者ヘルメット(HMD)の軽量化対策は来年上旬までかかる模様ですが、共同開発の国別分担の関係から、どうしても英国Martin-Baker製の射出座席をこのまま使用したい米国防省や企業と、他の戦闘機で使用している米国製(United Technologies社製)にすげ替えたい米空軍の間での「押し合いへし合い」は、現座席の「ちょっと改修」の方向に向かいそうな雰囲気です

8日付Defense-Tech記事によれば
F-35 Ejection.jpg●本件に詳しい筋が「Military.com」に語ったところによれば、軽量操縦者用の射出時期遅延切り替えスイッチ付加と頭部保護プレート付加の試験が、9月の第2週には全て完了する模様である
●同座席を製造するMartin-Baker社の報道官も、「2つの対策は試験でとての良い成果を示している」と説明している

2つの改修を検証する試験は9月9日頃に終了する見込みで、Martin-Baker社の幹部は、来週早々にも国防省F-35計画室や米空軍に試験の状況を説明し、既に部隊配備されているF-35座席の改修計画についても議論する模様
●全てが順調に進めば、2つの対策を組み込んだ座席の生産ラインでの製造が、2017年までに開始されることになる

米空軍戦闘機族は依然別の座席に興味も
●2日、米空軍戦闘コマンド司令官のカーライル大将は記者団に対し、米空軍は依然として射出座席代替品の検討を行っているが、Martin-Baker社からの初期段階での対策進捗状況レポートを頼もしく感じていると語った
●そして「全ての試験データを見たわけではないが、とても良いようだ。全ての条件を満たすような結果らしい。彼らは大いに進歩したらしく、詳細なデータを待っている」と表現している

「日本飛行機」が同座席の「北太平洋」整備担当に
Nippi.jpg●7月14日付の日刊工業新聞web記事は、日本飛行機(横浜市金沢区、小島俊文社長)が、F-35射出座席を生産するMartin-Baker社と、日本および北太平洋地域で運用されるF-35の整備に関する覚書(MOU)を結んだと報じた
同社は過去にも、F-4戦闘機やFA-18の射出座席整備を担当した実績があり、この点が評価された模様。北太平洋地域のどの国で運用される機体を整備するかなど、具体的な体制を今後詰める

●7月初旬に英国で開催された「ファンボロー国際航空ショー」で小島俊文社長は「最新鋭機の整備を担うことで、将来にわたって整備技術を獲得できる」と参画の意義を説いた
●なお同社は川崎重工業の完全子会社で、航空機整備を主力事業としてきた。同社は米軍機の修理で長年の実績があるが、F-35も手がけることで、整備技術の蓄積につなげる。
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Martin-Baker.jpg日本企業の仕事が増えることはとっても嬉しいことです。「日本飛行機」の商売繁盛を祈りますが、Martin-Baker社製は大丈夫なんでしょうか?
米海軍は、F-14もFA-18もMartin-Baker社製の射出座席を使っているようで、「日本飛行機」もこのつながりなのかも知れません。頑張って頂きましょう

それにしても「日本および北太平洋地域で運用されるF-35の整備に関する覚書」において、今後詰めないといけないのは、「北太平洋地域」に含まれる韓国軍のF-35整備の話でしょう
韓国は日本で整備されることを意地でも拒絶するでしょうからねぇ・・・

F-35射出座席の問題
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25
「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1

「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02

イランが激怒:露軍機がイランから出撃情報リーク [安全保障全般]

ロシア軍機のイラン基地使用は終了
イラン国防相「発表はロシアの裏切り行為」

ロシアによる公表は裏切り
Dehghan.jpg●ロイターによると、イラン国防相は22日、ロシアがロシア軍機のイラン空軍基地使用を公表したことについて、「信頼を裏切るものだ:betrayal of trust」と述べ、ロシア機はもういないと語った
ロシア軍機はイラン基地使用を止め、16日と17日の2日間だけの作戦使用に終わった

イラン政府高官は本件について、両国間には合意文書は存在せず、イラン空軍基地は給油のみに使用されたと補足説明した

国際情勢はなはだ不可解なり! 
専門家の解説を待ちましょう!
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Tu-22 iran.jpg16日ロシア国防省は、ロシア軍のTu-22M爆撃機とSu-34戦闘爆撃機がイラン西部のハマダン(Hamedan)から発進し、シリア北部でISILの弾薬庫や訓練施設5カ所を攻撃したと発表、更に17日にもISILの「司令部」や「訓練施設2カ所」を攻撃したと追加発表しました

なお、本件に関しイラン議会の議員が、ハマダン近傍の「Shahid Nojeh空軍基地」をロシア軍機が給油のため使用したとAP通信に語った模様です

これに対し同日、対IS多国籍部隊報道官Christopher Garver米陸軍大佐は、ロシア軍から通常の調整ルートを通じ、米軍航空作戦センターへ上記ルートによる作戦飛行計画が通報されたと定例会見で明らかにし、多国籍軍の作戦への影響は無かったとしつつも、ISILが存在しない地域も露軍機が攻撃したと語り、アサド政権維持のため反体制派を攻撃した可能性を示唆しました

また米国務省のMark Toner副報道官は、「予期せぬ行動では無い」と表現する一方で、「すでに複雑で緊迫した状況を一層難しくするだけだ」と語り、16日にケリー国務長官が露のラブロフ外相と電話会談を行い「憂慮の念」を伝えたと明らかにしました。

18日付米空軍協会web記事は
Iran-hamedan.jpg●更に同報道官は、米国務省は今回のロシア軍の活動が、国連決議2231が定めたイランへの作戦機の提供、売却、移送禁止の既定に抵触していないか調査中だと語った
●これに対しロシア国防省報道官は、同国連決議はイラン国内で作戦機を使用した場合のみを対象としているので関係ないと主張している
●なおAP通信は、ロシア軍部隊が本格的にイラン軍基地を使用したのは、旧ソ連軍がWW2時に使用して以来だと報じている

また18日付読売新聞朝刊6面記事は
●これまでロシア軍は対シリア攻撃に際し、ロシア南部のモズドクとシリア内ラタキア近郊の基地を使用してきたが、イラン軍基地から出撃することで、ロシア南部から出撃するよりも約1000km飛行距離を削減でき、この分だけ爆弾を多く搭載できるとロシア紙が報じている

Su-34 iran.jpg●ロシアは昨年10月、イラン領空を通過する巡航ミサイル攻撃でシリア作戦を行ったが、この際イランはミサイルの領空通過を認めた。またロシアはイランに、高性能の地対空ミサイルS-300の提供を始めている
●なお8日、アゼルバイジャンを訪問中のプーチン大統領は、当地でロシア首脳と会談しており、今回のイラン軍基地利用について了解を取り付けた可能性がある
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4日にオバマ大統領がNSCを招集して対ISIL議論を行い、その後の記者会見についてロシアについて言及→「シリア内での暴力を抑制するには、ロシアの指導者と協議しながら進める以外に選択肢はない」と発言していますが、その発言をあざ笑うかのようなロシアの動きですhttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-08

対トルコ関係といい、プーチン大統領は抜け目ないですねぇ・・・。軍事的な面での効果はそれほどでも無いでしょうが、地域に与える政治的メッセージは極めて大きいと思いますイラン軍基地に展開するTu-22Mの写真までタイミング良く公開されていますので、準備周到な作戦です

「憂慮の念を伝えた」とは、どこかの国の中国への接し方と同じですが、何かチクリとでも出来ないかと思います。

最近のロシアの動き
「クーデター後のトルコと急接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11
「9月南シナ海で中露合同演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-30
「露が北方領土に対艦M配備へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-26

主張:戦闘機搭載の戦術核は欧州に不要 [米空軍]

B-61 LEP.jpg14日、米国の中堅シンクタンクStimson Centerが、必要経費や軍事的必要性を吟味し、米軍保有の戦術核兵器の戦闘機に搭載しての使用や、欧州配備に疑問を投げかける短いレポートを発表しました。

これまで軍事環境の変化を学ぶ視点の一つとして、戦術核運搬可能に改良された戦闘爆撃機としては一部の「F-15EとF-16とTornado」があり、欧州には「F-16とTornado」が保有されている事。そして約200発の「B61戦術核爆弾」が「Belgium, Italy, Germany, Netherlands, and Turkey」に分散保管されている状況を紹介してきました。

そして今、米軍が欧州で米軍戦術核の保管を継続するのか、またF-35に戦術核兵器搭載型を設けるかについての議論があり、現時点で米国防省は近代化&延命改修を終えた「新型B61戦術核爆弾」を2020年までに提供する予定で、F-35戦術核運搬型の準備は2020年代半ばまで終える「腹づもり」だとご紹介してきました

B-61 LEP2.jpgなおB-61改修は、従来複数タイプ(B61-3, -4, -7, and -10)あった戦術核爆弾を、新たな460発の「B61-12」に統一するものです

更に、ロシアの軍事的脅威が「復活」する中、この戦術核に対する態度が分かれていた欧州諸国が、継続保有に傾きつつあることも米空軍幹部の発言から先日ご紹介したところです

「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

そんな中、Stimsonレポートは・・・
(レポート内で、3ケースの削減可能経費の比較分析を行っている。3ケースは、戦闘爆撃機用のB21調達中止ケース、戦闘爆撃機用のB21調達中止に加えて欧州保管戦術核の廃止ケース、戦術核全廃ケースの3つ)

B-61 LEP3.jpg●結論としてStimson Centerの研究者2名(BARRY BLECHMAとLAICIE HEELEY)は、既に研究&開発経費をほとんど投入済みの「B61-12」は限定数導入し、B-21次期爆撃機など突破力のある爆撃機で使用し、今後は戦闘爆撃機への戦術核搭載を止めて同航空戦力を他に活用、更に欧州に戦術核を置かないことを提言している。
●また欧州諸国が心理的な不安を訴えル事の対策として、B-21を定期的に欧州に展開させることを提案しおり、これにより2017-2021年度の期間で約4000億円を節約し、トータルでは約6600億円の経費削減が可能と見積もっている。そして3つの視点から上記結論を説明している

まず戦術的核兵器は既に軍事的には有効性を失っている。使用の可能性は極めて低いと考えられ、良く持ち出される政治的な意味合いについては「chimera」(キメラ:ライオンの頭・ヤギの体・蛇の尾を持ち, 火を吐く空想の怪獣。妄想、根拠のない幻想、非現実的な考え)に過ぎない

また、中国やロシアが防空網を強化している事を理由に、B-21次期爆撃機でさえも突破できない可能性が将来あるとして、航空機発射の長距離核搭載ミサイルJRSOを米空軍は要求しているが、であるならば戦術戦闘機が搭載する戦術核爆弾B61が有効とは考えられない
更に、欧州5カ所に戦術核兵器が保管されているが、トルコのクーデター事例に見られるように、テロリストた敵対的勢力に戦術核が奪われる可能性を高めることになる
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レポート現物(5ページのPDF)
http://www.stimson.org/sites/default/files/file-attachments/B61-Life-Extension-Program.pdf

戦術核爆弾の要否についての細かい議論は出来ませんが、こんな話題やレポートを通じ、日本でも核兵器に関する基礎的な知識が広がり、普通に議論できるようになればと思います。
そう言えば、日本と核兵器に関する実に興味深い話題が2つ飛び出しました・・・。

●その1
16日付読売web記事http://www.yomiuri.co.jp/world/20160816-OYT1T50055.html?from=ytop_main6
USJAPAN.jpgバイデン米副大統領は15日、ペンシルベニア州の集会で、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏が日本の核保有を認める発言をしたことを巡り、「日本は我々が書いた憲法で核保有国になれないことを彼は理解していない。学校で習わなかったのか」と批判した。バイデン氏の発言は、日本国憲法がGHQ主導で作成されたことを踏まえたものとみられるが、米政府高官が公の場で「我々が書いた」と表現するのは極めて異例

●その2
16日付毎日web記事http://news.yahoo.co.jp/pickup/6211260
米ワシントン・ポスト紙は15日、オバマ政権が導入の是非を検討している核兵器の先制不使用政策について、安倍晋三首相がハリス米太平洋軍司令官に「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」として、反対の意向を伝えたと報じた。同紙は日本のほか、韓国や英仏など欧州の同盟国も強い懸念を示していると伝えている

Tatsumi1.JPGなおStimson CenterはワシントンDC所在の中堅シンクタンクですが、東アジア安全保障研究プログラム(http://www.stimson.org/programs/east-asia)の一環として、辰巳由紀上級研究員のリードの基、1佐級自衛官を継続して客員研究員として受け入れている「志」あるシンクタンクです。

辰巳さん自身も米国に腰を据え、日米安全保障分野において現地ならではの情報を踏まえた分析を行うと共に、日本の状況や立場を米国向けに積極的に発信されている極めて貴重な人材です。また、訪米する政財界VIPの通訳としても活躍されています

日本のメディアは安全保障の視点でも、女性の活躍紹介の視点でも、もっとこの様な人材の存在を取り上げれば良いのに・・・と思います

戦術核兵器と関連F-35記事など
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

オバマ大統領が「核兵器先制不使用」の宣言準備?
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-07

尖閣や列島線防衛に新型の地対艦ミサイル開発へ [中国要人・軍事]

Senkaku-SSM.jpg14日付読売新聞朝刊が1面の準トップ扱いで、「尖閣防衛 ミサイル開発 2023年度目標 宮古島など配備」との見出しで記事を掲載し、政府が防衛省の2017年度予算概算要求に開発費を盛り込む方針を固めたと報じました

現有の地対艦ミサイルの射程距離では宮古島等から尖閣諸島をカバーが不可能ですが、射程を300km程度の新型ミサイル導入でこれを可能にし脆弱性が指摘される艦艇や航空機に代わる、または補完する戦力として、尖閣等の離島防衛力を向上しようとの狙いです

末尾でまとめて過去記事を列挙しますが、敵攻撃に対する残存性が高い地上部隊の火力に、「第一列島線」防衛を期待する声が日に日に高まっており、当初は研究者の主張だったものが、今や米軍の前線司令官クラスにもその様な考え方が広まっています

野党や諸外国の反応を伺う「様子伺い事前リーク」の様な気がする記事ですが、陸上自衛隊の定員を削減してでも、戦闘機部隊への投資を削ってでも、本事業は推進して頂きたいと思います

14日付読売新聞朝刊が1面記事によれば
政府は、沖縄県・尖閣諸島などの離島防衛を強化するため、新型の地対艦ミサイルを開発する方針を固めた。射程300kmを想定している。
宮古島など先島諸島の主要な島に配備する方針で、尖閣諸島の領海までを射程に入れる。2017年度予算の防衛省の概算要求に開発費を盛り込み、2023年度頃の配備を目指す。中国は尖閣周辺での挑発行動を繰り返しており、長距離攻撃能力の強化で抑止力を高める狙いがある。

12siki-SSM.jpg●開発するのは、輸送や移動が容易な車両搭載型ミサイル。GPS等を利用した誘導装置を搭載し、離島周辺に展開する他国軍艦などを近隣の島から攻撃する能力を持たせる。2013年に閣議決定した防衛計画の大綱(防衛大綱)では、離島防衛強化が打ち出されており、開発はこの一環。
尖閣諸島は、陸自部隊が配備されル予定の石垣島と宮古島から約170km、2016年度に部隊配備が始まった与那国島から約150kmある。しかし現在陸自が保有する「12式地対艦誘導弾」の射程は百数十kmしかなく、これらの島に配備しても尖閣を射程内に収めることが出来ない

仮に射程300kmの新型ミサイルが配備されれば、尖閣諸島周辺に接近する他国軍艦を阻止する能力を備え、抑止力は飛躍的に向上する。
●離島が占拠された場合にも、従来は艦艇からの短射程砲により射撃や航空機による爆撃といった危険性が高い手段が作戦の柱だったが、新しい地対艦ミサイルであれば、近隣の島から支援が可能になる
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ただこの新型ミサイルも、敵の位置情報がリアルタイムで入手出来ないと機能しないので、ISR能力の向上と敵情のリアルタイム共有システムの構築が不可欠になります。
記事はこの点に何も触れていませんが、中国のA2AD網下でも機能するISR網の構築と維持は、極めて重要で困難な課題です。

maritime militia.jpgISRやネットワーク整備もまた、陸上自衛隊の定員を削減してでも、戦闘機部隊への投資を削ってでも、重視推進して頂きたい分野です

「マスゴミ」の皆様には、専守防衛だからどうだとか、近隣諸国の反応がどうだとかとの視点でなく、軍事や安全保障の本質的な視点から本件を扱って欲しいものです。
ついでに党首選挙を行う民進党にも、反対のための反対でない姿勢で本件に対応して欲しいものです。関係ないか・・・

西側版A2ADミサイル等を求める意見
「ハリス司令官が陸軍砲兵に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「陸軍トップがミサイル重視検討発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-17

「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「中澤大佐の論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10
「森本元防衛大臣の防衛構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-05

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