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最優先IS対処の新戦略を30日以内に [マティス長官]

Trump Jan28.jpg28日付でトランプ大統領がマティス国防長官に対し、国務省や財務省や情報機関等々の支援を得て、30日以内にISIS撲滅の新戦略をまとめてレポートするように命じる大統領令に署名しました。

既に20日発表のトランプ政権基本政策で、ISIS撲滅を「最優先課題」と位置付け(30日付読売新聞朝刊7面)ており、その具体的方向性を早急に固めようとするモノです

また同日、国家安全保障会議の再編を発表し、トランプ大統領の選挙戦を中心となって支えた現在の主席戦略補佐官で、人種差別や性差別、更に反ユダヤ主義だと批判される極右メディア主催者であるSteve Bannon氏を、常任メンバーに加えると明らかにしました

一方で、統合参謀本部議長や情報機関トップのDNIの参加を「関係諸問題を議論する際に招集する」と規定し、これまでとは異なる距離感を醸し出しています。当然ですが、国防長官と国務長官はNSCメンバーのママです。

20日発表の基本政策で対ISについては
(30日付読売新聞朝刊7面)
●積極的で共同、連携した軍事作戦の追求
資金源を経つ
情報共有の拡大
思想の拡散や戦闘員獲得をさせないサイバー戦の強化

30日以内に提出のISIS撲滅の新戦略には・・
(Military.comと上記読売記事)
Mattis44.jpg軍事作戦、外交、有志連合、IS資金源の削減・根絶、更に同戦略遂行資金の捻出方法に関する現状からの方針変換の提言が求められている
●国防長官に対して提出を命じ、国務長官と財務長官と国土安全保障ち長官とDNIと統合参謀本部議長、更に国家安全保障首席補佐官や対テロ・国土安全保障補佐官の支援を得て作成する事が期待されている

●より具体的には、新戦略の提言には、ISIS打倒のための「包括的な戦略」を盛り込むことや、掃討作戦を展開する米国主導の有志連合については「新たなパートナーを特定する」と明記されている。ロシアの協力を取り付けることが念頭にあるとみられる。
●その他少し気になるのは、オバマ政権が「イスラム国」に言及する際にISIL(Islamic State of Iraq and the Levant)を好んだのに対し、トランプ政権はISIS(Islamic State of Iraq and Syria)を使用している点である
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まとまりのない報道紹介になりましたが、対ISISが「最優先事項」だと言うことです。そしてロシアとの何らかの連携を強く示唆していると言うことです

Bannon.jpgNSCに加わった「Steve Bannon氏」には世界中から懸念と非難と唖然の声が上がっていますが、週末あたりから日本の「ワイドショー」に出現した「今日のトランプ」コーナーでも、「文春砲」も霞むほどの扱いを受けるのかも知れません。

NSCへのBannon氏加入と統合参謀本部議長の「必要時のみ参加」を三浦瑠麗女史は、事前の三(四)軍間や、複数の情報機関間での意見統一を阻む狙いの可能性」と指摘し、更に「軍には優しいが、国防長官はハシゴを外される可能性がある」とも予想しています

まぁ・・・相変わらず選挙に負けた民主党的な視点や、デモ隊視点でのトランプ批判が多いようですし、「政権内部の主導権争い」的な視点も増えてきた様に思いますが、いつまで「対岸の火事」気分で眺めていられるのでしょうか?

trump abe.jpg3日のマティス長官の来日や、10日の安倍トランプ首脳会談@米国に向け、建設的な国内議論や報道を期待したいモノです。そう言えば、「防衛計画大綱の見直し」議論を前倒しで開始するとの話が出ているようですが・・・

追伸・・・その他、30日付読売新聞朝刊7面記事は、マティス国防長官はフロノイ元政策担当国防次官を副長官に登用したかったが、フリン安全保障担当大統領補佐官(この方も元陸軍中将:国防情報局DIA長官)の「横やり」でWork副長官の「留任」が決まった・・とも報じています(ワシントン発:横堀裕也記者)

トランプ政権が立ち向かう国防省の課題
「サイバー戦を巡る課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

「現在の対テロ7原則を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-07
「比が米軍機の利用拒否!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11
「北朝鮮でなく中国の問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-28

「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「国防省改革はどうなる?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-01
「中露を抑止するには」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-05

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マティス長官がF-35CとFA-18改良型の比較指示 [マティス長官]

trump5.jpg27日、トランプ大統領が初めてペンタゴンを訪問し、自身が「軍隊の偉大な再建」と呼ぶ大統領令に署名し、「新たな航空機、艦艇、装備や兵器を前線の兵士に提供する計画を作成に繋がるものだ」と述べました

大統領令の原文を見ていませんが、即応態勢の確認、核兵器やミサイル防衛分野の状況確認を含むもののようです

そんな動きのあったペンタゴンですが、マティス長官がWork副長官に対し、F-35Cと改良型FA-18の比較を行うこと、及びF-35計画全体を見て価格低下につなげるよう指示した「メモ」の存在を、同日付米海軍協会web記事が報じています

27日付米海軍協会web記事によれば
Mattis11.jpg●副長官宛のメモは、「以下について行うレビューを監督せよ。レビューはF-35CとFA-18スーパーホーネットの能力比較、及び改良型FA-18が達成可能な能力向上と費用対効果、戦闘機としての代替性についてである」を指示している
●更にメモは「F-35計画全体を見渡し、計画への要求値を下げることなく、コストを大幅削減する手段を探求」するよう命じており、予算編成に活用出来るよう報告を求めている

●国防省報道官は、「予算案作成プロセスにおいて必要な情報を求め、国防長官の要望&推薦事項を確認するステップである」と説明している
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FA-18を製造するボーイングは、2013年にステルス性を高めた改良版FA-18を提案(下に構想図)していましたが、原型が原型だけにステルス追求には限界があるようです

AD-FA-18.jpgまた米海軍はF-35計画からのトンヅラを何回か検討した経緯はあるものの、結局NIFC-CA構想の最前線センサーやFA-18を引き連れるリーダー役を期待しており、FA-18改良型を歓迎するかはビミョーでしょう

マティス長官がトランプ大統領をどう思っているのか、なぜトランプ政権下の国防長官を引き受けたのか是非聞いてみたいのですが、この件も稲田大臣とマティス長官の会談に期待したいと思います

トランプとF-35
「トランプ:F-35の代替にF-18改良型を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1
「F-35値下げアピールは単なる政治ショー!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-25

マティス長官関連
「Mad DogじゃなくてJimと呼んでくれ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-27
「全職員と兵士へのメッセージ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-23
「新長官と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-19
「市民と軍の分断を埋める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02
「トランプ氏がMattis氏と面談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21

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時代遅れの兵器が大活躍の事例 [ちょっとお得な話]

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A-10 turn.jpg昨年12月5日付Military.comが、時代遅れだと言われていた兵器が大活躍した例を紹介しているので、新年会での話題提供としてご参考まで取り上げます。

5つの例を取り上げているのですが、その一つ「A-10攻撃機」については、最近の中東での大活躍と米空軍が退役させたいのに議会が退役を許さないゴタゴタ状態をこれまでご紹介してきたので、省略させて頂きます

4つの兵器とは「銃剣」「迫撃砲」「OV-10 Bronco」と「夜の魔女:複葉機」です。
紹介されている例は様々で、有効性が本当なのと感じる部分もありますが、紹介させて頂きます

アフガンやイラクでの銃剣
5-bayonet.jpg銃剣は、17世紀から18世紀の欧州革命戦争や南北戦争で役割を終えたのでは・・・と考えられていたが、イラクやアフガンでの戦いで存在感を示している
●最も著名な事例は2004年の英国陸軍による戦いである。20名の英国兵が塹壕に逃げ込んだ過激派を追い込み、車両搭載の兵器で攻撃したが効果がなく、弾薬が底を突いてきた

●その時、英軍指揮官は車両から降りて銃剣を小銃の先端に取り付けて戦うように命じ、英軍部隊は3名の負傷者を出しただけで、28名の敵を刺殺した

迫撃砲の効果を再認識
5-Mortars.jpg●数百年の使用実績が記録されている迫撃砲だったが、WW1当時には既に過去の兵器と考えられるようになっていた
●しかし、日露戦争で迫撃砲や手榴弾が有効活用されるのを確認したドイツ軍が、フランス軍防御陣地突破に有効だと効果を見直し、再び兵器の調達改良を開始した
連合軍側もドイツ軍の動きに追随し、やがて英国製の携帯性と威力に優れた「Stokes trench mortar」等の近代兵器へと発展する切っ掛けとなった

OV-10 Broncoが中東で復活
5-Bronco.jpg●1965年に初飛行し、ベトナム戦争でデビューし、湾岸戦争まで活躍したOV-10 Broncoは、空中偵察や地上火砲の誘導等でCOIN戦に活躍したが、1995年に引退した
●しかしボーイング社がその歴史的活躍に再び注目し、2機を対ISIS戦に中央軍に派遣したところ、素晴らしい活躍をしている
●2015年の記録では、132回の飛行任務に挑み、99%の任務達成率を誇っている

ソ連の「夜の魔女」飛行隊の複葉機
5-Witches.jpgWW2時にソ連軍に編制され、「夜の魔女:Night Witches」との名で呼ばれた夜間爆撃部隊が存在した。この飛行部隊は当時時代遅れの複葉機を使用し、その静粛性を利用して夜間爆撃をドイツ軍に行った
ドイツ軍の防空網は当時としては近代的で優れていたが、パワーも不足し2発しか爆弾を搭載できないベニヤ板と布製のソ連の複葉機「Polikarpov U-2」を夜間発見できず、ドイツ地上部隊は大きな被害を受けた
●複葉機の夜間爆撃部隊は、WW2間に約3万回の爆撃任務を行い、計23000トンの爆弾を投下した
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北朝鮮が保有する双発機が、木製で究極のステルス機であり、特殊攻撃部隊の潜入用だと恐れられていますが、温故知新の典型例かも知れません

銃剣で28名刺殺とは、かなりインパクトのある戦いですが、観閲式等で目にする自衛隊の銃剣は、刃物として使用可能なようには見えないのですが、有事は磨いたりするんでしょうか???
珍しく戦史のお勉強でした

歴史に学べ:今の自衛隊を描写したような分析!
記事:書籍「失敗の本質」から今こそ学べ! より抜粋
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31
同書が指摘した「失敗の本質」とは
失敗の本質.jpg●旧日本軍は、官僚的組織原理と属人ネットワークで行動し、学習棄却(知識を捨てての学び直し)による自己革新と軍事的合理性の追求が出来なかった
戦略志向は短期決戦型で、戦略オプションは狭くかつ統合性が欠如し、戦略策定の方法論は科学的合理主義というよりも独特の主観的微修正の繰り返しで、雰囲気で決定した作戦には柔軟性はなく、敵の出方等による修正無しだった

●本来合理的であるはずの官僚主義に、人的ネットワークを基盤とする集団主義が混在。システムよりも属人的統合が支配的人情を基本とした独自の官僚主義を昇華
●資源としての技術体系は一点豪華主義で全体のバランス欠如
●学習が、既存の枠組み内でのみ強化され、かつ固定的


終戦記念日に振り返る記事3本まとめ
●終戦の詔勅たる「玉音放送」を嚙み締める。「原文」、「口語訳」、「英文訳」の対比
天皇陛下が未だに「先の大戦」と呼ばれる公式見解無き戦争の呼称議論
歴史認識に関する3つの首相談話を比較分析

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「Mad Dog」じゃなくて「Jim」と呼んでくれ [マティス長官]

インフルエンザと交戦中なので今日はこれだけ・・・

26日、米国防省報道官Jeff Davis海軍大佐の定例記者会見に、マティス国防長官が「off the record」前提のサプライズ参加し、報道官の会見が終わった後に「on the record」にすると宣言した後、「Mad Dog」じゃなくて「Jim」と呼んでくれと語りました

26日付DODBuzz記事によれば
Mattis3.jpg●マティス国防長官は「on the record」にすると述べた後、「Jimで行くから:I go by Jim」と語り、トランプ大統領がマティス国防長官に言及する際に用いている「Mad Dog:狂犬」や「moniker:修道士」との表現から抜け出したいと述べた
●同長官は「狂犬との名を付けてくれたのは皆さん(記者団)だろうが、私の部下からも、どこからその名前は来たのですか?なぜ?と聞かれる有様なんだ」と語った

●更に「今日はそれほどニュースもないだろうから、報道陣の皆さんにはJimを宣伝して欲しい」と述べた
●「Jimで行くから。生まれたときからそう呼ばれてきたんだ。西部出身だからね! Jimがイイだろ。どうだい? この部分はon the recordだから」と付け加えた
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US Forces Japan2.jpgDODBuzzだけが「Jim」を報じており、「Mad Dog」が報道から消える可能性は低いと思いますし、トランプ大統領は「Mad Dog」を使い続けるのでしょう。

でも、マティス長官の初外国訪問となる3日の日本訪問の際には、公式会談を終えた昼食会か夕食会ぐらいで、稲田大臣に置かれましては、「Jimと呼んでイイかしら?」ぐらい仰っても宜しいのでは・・・

韓国との差を付ける「一手」として如何でしょうか?

マティス長官関連
「全職員と兵士へのメッセージ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-23
「新長官と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-19
「市民と軍の分断を埋める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02
「トランプ氏がMattis氏と面談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21

タグ:JIM MAD DOG
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米空軍が300機の軽攻撃機導入案を支持 [米空軍]

Macain paper.jpg15日、マケイン上院議員が2018年~22年までの国防予算提言書(33ページ)を発表しオバマ政権が建てた5ヶ年計画予算の総額を約47兆円($430 billion)上回る大幅な国防費増強計画が必要だと訴えています

ただしマケイン上院軍事委員長は、この5ヶ年計画はあくまで、オバマ政権8年間の国防費削減で傷つき流血状態にある米軍の「緊急止血」のために大部分が捧げられる計画と予算増額でアリ、必要な能力向上にはその後の継続的な予算増が不可欠だと訴えています

マケイン議員の提案書(4.2MB)
http://www.mccain.senate.gov/public/_cache/files/25bff0ec-481e-466a-843f-68ba5619e6d8/restoring-american-power-7.pdf

取り上げるのはマケイン提案の米空軍に関する部分で、戦闘機には「high/low mix」が必要で、対テロのような任務用に5世代機や4世代機を使用するのは高コストだから、軽攻撃機を300機導入せよとの主張です

Scorpion2.jpgそして本日ご紹介するのは、米空軍参謀総長がマケイン議員提案を「great ideaだ」と評価し、既存の軽攻撃機の能力デモンストレーションを関係企業にお願いする検討をしていると語った件です。

マケイン議員の提案には、F-35調達機数削減も含まれており、空軍参謀総長が何処までを「great idea」と表現したのか不確かですが、次世代制空機との関連でF-35削減に言及していて興味深く、とりあえず関連報道をご紹介しておきます

マケイン提案の戦闘機関連部分
McCain-NDAA.jpg現在米空軍は、戦闘投入可能な戦闘機を1100機体制でしか維持していないが、2012年の戦略国防ガイダンスは1200機体制を求めている。しかし国際情勢や脅威の変化を考慮すれば、米空軍には1500機体制(約60個飛行隊)が必要である
●同時にこの体制に於いては、ハイエンドの戦いとなる対「peer competitors」用には最先端航空機が必要だが、ローエンドの対テロ任務には低コストのシステムを準備すべきである

F-35は能力の高い航空機であるが行動半径が狭く、F-22も優秀ながら再生産は非現実的である。従って米空軍は2020年以降の制空を見据え、新たな戦闘及び電子攻撃能力を獲得すべきであるが、これは従来の戦闘機とは異なり、無人機の可能性もある
将来の制空には、より大型の機体で航続距離が長く、多くのセンサーや弾薬が搭載可能なタイプが好ましいだろう。この観点からも、B-21爆撃機は現計画より多くを調達する必要があると考える

maccain bad.jpgF-35は上記のような行動半径や搭載量の限界もあり、現計画の様に2040年までかけて1763機を調達するのは非現実的であり、削減の方向で調達機数を見直すべきである
一方で当面の戦闘機不足を補うため今後5年間は可能な限り多くのF-35を調達する必要があり、生産能力が段階的に向上することを踏まえ、現計画の228機より73機増やすべきだ。調達数削減の結論はその後に判断すれば良い

●「high/low mix」の「low」に関しては、A-10攻撃機を引き続き維持すると共に、調達及び維持経費も安価な軽攻撃機を300機導入(2022年までには200機)して対応すべきである
●これにより任務を軽減された5世代機や4世代機は、ハイエンドの戦いに備える。なお4世代機は今後も活躍できるように、無人機との編隊編制を可能にする等の投資を行っていく

Goldfein米空軍参謀総長の反応
Goldfein1-4.jpg●18日、シンクタンクAEI(マケイン議員も良く登場する共和党系の研究機関)で講演した同大将は、軽攻撃機を300機導入すべきとのマケイン提案を「great ideaだ」と評価し、「15年継続している中東での戦いは、有志連合での戦いとして継続するだろう。だから我々はこの戦いを継続する方法を検討して変化し続ける事が必要だ」と語った
●同参謀長は更に、「OA-X(軽攻撃機)コンセプト)は、より低コストで将来にわたり維持可能なモデルであり、同盟国や有志連合国にも協力を持ちかけることが可能なアイディアである」と表現した

●マケイン議員の提案以前に、2016年中旬から米空軍内でも軽攻撃機の導入是非が議論されており、飛行時間当たりの維持費を抑え、他の作戦機をハイエンド紛争の備えに回すことが出来る策として注目されている
●Goldfein大将は具体的な進め方として、まず既存の市場にある該当機首のデモ飛行を企業に依頼し、OA-X検討のスタートにしたいと考えている模様で、18日の講演でも、最終決定はしていないが春には実現出来るかも知れないと述べ、「多くの企業の参加を期待している」と語っている
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maccain-badget.jpg軽攻撃機の候補として、空軍参謀総長は練習機のようなジェット機「Scorpion」のデモ試験への参加を促したようですが、アフガン空軍に提供した「A-29 Super Tucano」、A-29のライバルだった「AT-6 Wolverine」、また次期練習機候補の一つである「Alenia Aermacchi M-346」等があるようです。

米空軍は退職者続出でパイロット不足に苦しんでいますが、軽攻撃機導入はこの問題解消にも貢献するとマケイン議員はレポートで指摘しています。つまり、操縦が5世代機ほど難しくない、操縦者養成が簡単と考えている様に読み取れます
無人機操縦者を操縦者の「階層ヒエラルキー」で下層に(無言で)位置付け、処遇などに配慮しなかった結果、大量の退職者を出した「二の舞」になりそうな気がします

ところでマケイン議員の提案・・・最終的にはF-35総調達機数を削減するが、今後5年間はその結論は出さず、どんどん製造して当面の戦闘機不足を穴埋めする・・・ですが、何とも都合の良い八方美人なご提案です

maccain bad2.jpg大統領選挙期間中、同じ共和党内に居ながら、トランプ氏とマケイン氏は「大げんか」状態だったわけですが、この案は米軍需産業の雇用を守り創出する案であり、トランプ氏への「すり寄り感」も感じます強制削減を規定した予算管理法(BCA)の即時破棄を訴える姿勢も、トランプ政権と同じ方向です

一方で中国の脅威を踏まえ、F-22やF-35の限界を指摘し、新たな制空の概念やアセットの必要性を指摘している点は流石に「上院軍事委員長」です。
もう一つ本提案書では、提言の順序が、海軍、海兵隊、空軍、陸軍、特殊部隊、核戦力、BMD、宇宙、サイバー・・・となっており、この辺りに思い入れ度合いが反映されているようです。

今後この様に、反トランプ戦線に加わっていた方々は、様々なしがらみの中で自らの道を模索されるのでしょう・・・。主要なシンクタンク関係者も軒並み「反トランプ」でしたから、その動向も生暖かく見守りたいと思います

軽攻撃機関連の記事
「米空軍が検討を開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07
「有力候補:A-29映像解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-02
「泥沼化:アフガン軽攻撃機の選定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-23

関連の記事
「ケンドールが航空機投資を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-25
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

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F-35値下げアピールは単なる政治ショー!? [亡国のF-35]

marilly-LM.jpg24日付Defense-News記事は、同日Lockheed Martin社のCEOがF-35価格を次期契約(第10生産ロット)で「$100 million以下:約110億円」にし2019年には「$85million」にまで下げると発言したことに関し、過去の計画に沿った数字をアピールして発表しているだけで、トランプ大統領から言われて価格を下げたわけではないと報じています

もっともLockheed Martin側も、決してトランプ氏に言われて価格を下げたとは説明しておらず、13日にトランプ氏と同CEOが会談した後も、同CEOは「良い会談だった」「単価を大幅削減する」「コスト削減計画を説明した」等と発言したまでであり、あえて計画通りとは語らず、上手にトランプ大統領の顔を立てつつ企業の価格削減努力アピールに活用したわけです。

軍事情報サイトなどご覧にならない一般の方は、トランプ大統領の「恫喝ツイート」により、どこかの自動車会社が工場建設計画を変更したように、Lockheed Martinも強制的に値下げを余儀なくされたと理解されたかも知れませんが、結果的には「一つの政治ショー」だったわけです

24日付Defense-News記事によれば
Hewson F-35.jpg●24日、ロッキードのCEOであるMarillyn Hewson女史は定期業績発表会見で、F-35の「第10ロット」契約では、空軍用のF-35A型価格は「$100 million以下:約110億円」になり、2019年には「$85 million」にまで下げると語った
しかしこの数字は、過去の価格推移見積もりの数字に沿ったそのままで、トランプ氏が大統領就任前から激しくF-35計画を「制御不能」と非難し、同社関係者や国防省関係者と協議していたこととは必ずしも関係ない

同CEOは会見で同社のF-35コスト管理見積もりの正当性を説明し、トランプ新大統領との協力関係が構築できたと表現し、「大統領の関心は価格低減にアリ、我が社は関連企業と共に、その方向に向かっている。多くのアイディアがあるので将来もコスト低下に取り組む」「利益やマージンを削減するのではない」と語った
F-35 luke AFB2.jpg●また同CEOは、「第10生産ロットでの単価は、第1生産ロットより約6割下がる方向で、これは過去の戦闘機製造の価格低減率の良い数値と同等である」とアピールした

●なお、第10生産ロットでは90機を製造する事になるが、第9生産ロットの57機から大きく増産することになり、昨年末の時点で国防省F-35計画室長は、6%の単価低減を明らかにしていた
●更なる「第11生産ロット」契約交渉は今年行われ、製造機数が今後も計画通り増えれば、200機を製造予定の2019年「第13生産ロット」契約では、単価が「$85million」になると同社は見積もっている
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まぁ冷静に考えれば、戦闘機の単価が簡単に低減するはずはなく生産ペースアップによる「規模の経済」効果と、生産体制の成熟による「経験蓄積効果」による単価低減であり当然の結果な訳です。

問題にすべきはまだまだ残っている試験の結果次第で、今後更に改修経費が上積みされる可能性が高いことでアリ、この点をメディアが突っ込まないのは「トランプ疲れ」のなせる技でしょうか?

marilly-LM2.jpgそれにしてもLockheed Martin社は狡猾です。トランプ側も輪をかけて狡猾なのかも知れません。
F-35生産は部品も含めると、企業の政治対策戦略により全米47州に分散して行われており、その雇用や地域経済への影響をロッキードはトランプ氏に訴えたでしょうし、この「政治ショー」のシナリオまで描いて見せたかも知れません。献金がらみの「ディール」も・・・。

大騒ぎしておいて、テーブルの下で落としどころを探って手を握り、世間には美味しいところだけアピールする・・・。今後トランプ氏の様々な公約実現を見る際、こんな視点を持って構える必要がありそうですし、一喜一憂もほどほどにし、「デイトレーダー」に稼がせない着意が必要かも知れません

注意!→本記事で議論されているF-35価格は、あくまで米空軍用機体の価格であり、共同開発国でもない日本用の価格とは異なります

トランプとF-35
「代替にFA-18改良型を検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1
「F-35予算削減ツイート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13
「システム試験はまだ6割残置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-13

F-35事故関連の記事
「試験や訓練優先で安全を犠牲」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-22-1
「空軍火災はエンジン無関係?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-09
「10月27日の海兵隊機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-09
「9月23日の空軍機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24

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空軍長官候補に女性の士官学校卒業生 [米空軍]

本題の前に・・・
トルコ近郊シリア内のIS陣地攻撃に関し、米露の主張対立

露国防相→米軍からIS情報を入手し陣地を攻撃。米露共同攻撃も
米軍幹部→そんなことあり得ない。たわごとだ!

23日付軍事メディアによれば
RussiaDM-Shoigu2.jpg23日ロシア国防相が、米軍とのホットラインで22日に入手したISIL情報に基づき、2機のロシア軍機と2機の米軍&有志連合国軍機が攻撃を加え、ISの弾薬庫や燃料貯蔵タンクや活動家を破壊したと発表した
●更に露国防相は、20日にロシアがトルコと共同で行った同地域ISIL拠点への攻撃に続く有志連合との共同作戦で、シリア東部では別に6機の露爆撃機がISIS拠点に攻撃を加えたとも発言した

●このロシア側発表に対し、有志連合報道官であるJohn Dorrian米空軍大佐は、「プロパガンダだ! ロシアの戯言だ」と一蹴し、米国防省のEric Pahon報道官も「米国防省はシリア内で、ロシアと協力した空爆を行っていない。ロシアとはシリア上空での安全確保のためだけに意思疎通している」と強調した
トランプ大統領が、兼ねてよりISIL対処でロシアとの協力を期待する発言を繰り返しているだけに、今回の露国防相の発表意図に注目が集まっている

18日のロシアとトルコの共同空爆作戦!?
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-22
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空軍士官学校卒の初の空軍長官誕生へ(しかも女性)

Wilson.jpg23日、トランプ大統領が次の空軍長官候補に、サウスダコタ鉱山技術大学学長のHeather Wilson女史(推定58歳)をノミネートしたと公表しました。

Wilson女史は、米空軍士官学校の卒業生(女性で3期目)で7年間の空軍勤務がアリ、その後NSCのスタッフ、サウスダコタ州の児童教育長、下院議員を11年間、それらの合間に今も続く国防関係コンサル企業を設立したほか、複数のエネルギーや国防関連企業の顧問も務めた経験を持つ、3人の子供の母親です

陸軍と海軍長官にも、軍務経験とビジネス経験を持つ人物を候補に指名しているトランプ大統領ですが、空軍長官でもその流れを受け継ぎ、初めての空軍士官学校卒業生(ちなみに旦那様は退役空軍大佐も弁護士)との話題付で持ち出しました

Heather Wilson女史のご経歴など
Wilson2.jpg空軍士官学校を1982年に卒業し、その後も成績優秀者が選抜される「Rhodes Scholar」としてオックスフォード大学で国際関係博士号を取得、1989年に退役するまで冷戦下の欧州で勤務
●退役後は、初代ブッシュ大統領の下でNSC欧州安全保障担当スタッフとして勤務し、ベルリンの壁崩壊等に対処する。

●1991年には「Keystone International, Inc.」との企業を設立し、今も国防産業と仕事を継続している
●下院議員に当選するまでは、サウスダコタ州の児童若者家族部長を務め、幼児教育や健康指導、子供のメンタル指導、非行問題等を広く担当していた

1998~2009年の下院議員時代には、商務委員会やエネルギー委員会や軍事委員会に主要メンバーとして所属し、更に技術&戦術情報小委員長を務めた。
●2008年の上院選挙出馬を目指したが共和党候補になれず、下院議員としての任期を2009年に終え議員生活を終えた

Wilson3.jpg●その後も、下院の核安全保障評議会やサウスダコタ州科学技術評議会など、複数の中央と地方の行政機関のアドバイザーとして働いている
●また、複数のエネルギーや国防関連企業(Nevada Test Site, Battelle, Sandia, Los Alamos, and Oak Ridge National Laboratories等々)の顧問を務めた経験を持つ

2013年6月から現職の学長を務めており、計器飛行が可能な飛行ライセンス保有者で、ハイキングと釣りが趣味
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シリアでのロシアの動きは、後々明らかになるでしょうが、トランプ大統領の反応が気になります!

サウスダコタ州には、世界最大の民間石炭採掘会社があるほか、金など地下資源な豊富な州で、サウスダコタ鉱山技術大学は州の産業を支えるシンボル的な大学のようです

桜6.jpgまたまた同じ感想ですが、米国には優秀で安全保障にも明るい人材が沢山居ますねぇ・・・。裾野の広さに驚くばかりです

アイスホッケーの大金持ちオーナー(陸軍士官学校卒)や、香港の証券金融業で成功した元情報士官や、冷戦時の欧州問題で活躍し児童教育問題まで扱った士官学校卒業の元下院議員など・・恐れ入ります

陸軍長官と海軍長官の候補者は
「陸軍長官の候補者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-20
「海軍長官の候補者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-14

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マティス新長官が全職員と兵士にメッセージ [マティス長官]

トランプとの役割分担か?含蓄がありそうなメッセージ

Mattis.jpg20日、新しい国防長官に承認され、早速主要幹部との会議を行う等、多忙な一日を過ごしたマティス新国防長官が、米国防省の全職員と米軍兵士に当てたメッセージを送っています

ちなみに上院での投票では、98-1の圧倒的多数で承認を得ています。なお、反対票を投じたのはニューヨーク選出の民主党議員Kirsten Gillibrand女史1名で、棄権したアラバマ州選出のJeff Sessions共和党議員と共に、良くも悪くも「名を売った」形となっています

本日ご紹介する就任メッセージは、短くシンプルなモノですが、トランプ大統領の就任演説にはなかった「安定感」「大局観」「ホッコリ感」を感じられるモノとなっていますので、トランプ大統領関連でお疲れの皆様に「箸休め第2弾」としてご紹介致します

なお「箸休め第1弾」は、「第3の相殺戦略」に関するマティス長官(当時は候補)の議会証言と、同戦略の新政権での行く末を考察した専門家の意見をご紹介した以下の記事でした
「新長官と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-19

マティス新国防長官の全職員と兵士への言葉
Mattis3.jpg国防省に戻り、皆さんと一緒に国防長官として国家に仕える機会を得たことを嬉しく思っています
●情報コミュニティーの皆さんと共に、我々は我が国家の歩哨であり警護隊です

●私は、国防省の一員である米軍兵士と文民職員、そしてその家族の皆さんが、我が国家団結の基礎だと考えていますし、そうあって欲しいと思います
皆さんは、人類にとっての公共財である米国を体現する存在です。そしてここでの公共財とは、自由を守るために労を惜しまない米国、そして全ての人類の希望の灯台である米国を意味します。

●我々が為す全ての行動は、米軍が今現在も将来も、常に戦える態勢を維持するためのものです
如何なる国家も友人無しに安全を確保できない事を認識し、国防省は国務省と共に同盟関係の強化に努めます

●更に、国防に投入される税金が最高の価値を発揮するように全身全霊で職務に精励し、もって米国議会と米国民の信頼を勝ち得たいと考えています
●皆さんがそれぞれの持ち場で、全力を尽くしてくれると信じています。私は国防長官として全力を尽くすことを誓います

マティスより
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Mattis2.jpg米国メディアは「情報コミュニティーの皆さんと共に」の部分にロックオンし、トランプ大統領がロシアとの関係で情報機関と「ギクシャク」な点をフォローしているのだ・・・と突っ込みを入れているようですが、その部分だけでなく、短いメッセージ全体でトランプ就任演説をフォローしているように見えます

「公共財」「自由を守るために労を惜しまない米国」「全ての人類の希望の灯台」等の表現は、「America First」を繰り返したトランプ大統領と対極を為しています。

一方で、トランプ氏が繰り返して用いる「America」との言葉をマティス氏もメッセージ内で繰り返して使用し、それでいて同時に、トランプ氏が言及しない(又は軽視しているように見える)側面の政策の重要性を訴えている点に、なによりマティス長官の意図を感じます。
友人無しに安全を確保できない」、「国務省と共に同盟関係の強化」などの部分も、それを感じさせるところです。

更にもう一つ触れておきたいのは、「(皆さんが)我が国家団結の基礎だ」と述べている部分です。
Mattis13.jpgこれはトランプ大統領が、当選確定直後のスピーチで言及した「分断した国をまとめる大統領に」を意識したモノかも知れませんが、同時にマティス長官が昨年5月に軍事専門家としてまとめたレポートで指摘した、近年の「軍隊と一般市民の分離」を危惧する強い問題意識から出た表現だと思います

これをトランプ大統領とマティス国防長官の連係プレーと見るのか、閣内不一致と読むべきかは今後の見所とし、とりあえず、「安定感」「大局観」「ホッコリ感」を感じられるメッセージで「箸休め」して頂きたいと存じます

マティス国防長官の関連
「新長官と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-19
「市民と軍の分断を埋める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02
「トランプ氏がMattis氏と面談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21

「副長官は当面居残り」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-17
「次の副長官を考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15

ご参考まで:英文でメッセージ全文
It’s good to be back and I’m grateful to serve alongside you as Secretary of Defense.

Together with the Intelligence Community we are the sentinels and guardians of our nation. We need only look to you, the uniformed and civilian members of the Department and your families, to see the fundamental unity of our country. You represent an America committed to the common good; an America that is never complacent about defending its freedoms; and an America that remains a steady beacon of hope for all mankind.

Every action we take will be designed to ensure our military is ready to fight today and in the future. Recognizing that no nation is secure without friends, we will work with the State Department to strengthen our alliances.
Further, we are devoted to gaining full value from every taxpayer dollar spent on defense, thereby earning the trust of Congress and the American people.

I am confident you will do your part. I pledge to you I’ll do my best as your Secretary.

MATTIS SENDS
タグ:Mattis
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情勢更に不可解:露とトルコが対IS共同航空作戦!? [安全保障全般]

Syria Turkey.jpg18日付BBC等の報道によれば、トルコ国境近郊(約20km)のシリア都市「Al Bab」のISIL拠点に、史上初めてロシア軍とトルコ軍の攻撃機18機が共同作戦で空爆を行い、合計36目標に攻撃を加えた模様です

この付近は、昨年12月にトルコ地上軍が大きな損害を受け、米国の支援を受けてトルコ軍が反撃を試みていた場所であり、米国とロシアとトルコが対ISILとの一つの目標に向かって行動したと考えられれば良いのですが、誰もそう考えてはおらず、「情勢の複雑さが増した」状態です

最近トルコは、NATO加盟国でありながらロシアへの接近を強め、逆に米国には冷たい姿勢が増しており、米国との同盟の象徴で極めて重要なトルコ南部のインジュリック空軍基地の米空軍への嫌がらせ的な行為が増えている状況です

Syria Turkey2.jpg更に1月9日の週には、ロシアを牽制するため3000名の米陸軍部隊が、戦車や装甲車と共にポーランド駐留を開始したところであり、ウクライナ事案以降のNATOとロシア関係は冷え込んだままです。

一方で、16日にはカザフスタンのアスタナで、ロシアとトルコとイランが、シリア和平議論を行ったタイミングだけに、この共同作戦が注目を集めています

18日の攻撃対象や成果、このように大規模な空爆作戦になった理由、なぜロシアが、なぜトルコと・・・などなど、疑問の種は尽きませんが、取りあえず事象や関係者の発言をご紹介しておきます

18日にGoldfein米空軍参謀総長は
Goldfein1-4.jpg●(AEIでの講演で本件に触れ、)この両国の動きは事態を複雑にするものだが、具体的に懸念事項が生じているとは承知していな
●これまでもロシアの行動には「言行不一致」が見られ、ロシアはISILへの攻撃を行っていると主張しているが、実際にはアサド大統領のシリア政権支援を行っている

●この作戦が「共通の敵に向けたもの」であれば問題は生じないが、共通の目標から逸脱する行動はより複雑な問題を生み出す
米軍の航空作戦統制センターとロシア軍側との連絡電話ラインはこれまで良く機能しており、ロシア語を話せる米軍大佐が、ロシア軍機の空域使用に伴う危険回避や緊張緩和に貢献している
●同大将は「これまでの所、ロシア軍機の活動は米側有志連合の作戦に影響を与えていないが、世界中でシリア上空ほど複雑な場所はなく、ロシアが行動方針を変化させれば複雑さが増すことになる」と言及した

18日付BBC報道によれば
Su-24 Russia.jpg当該地域は過去5ヶ月に渡り、トルコ軍とISとクルド勢力が交戦を続けており、同じ週に米軍機もトルコ軍と協力しつつ空爆を加えていたエリアである。
●約1年前に当地域周辺で空中戦を行ったトルコとロシアが、そしてNATO加盟国トルコと非加盟国のロシアが、共同航空作戦を行うのは極めて異例である

●この作戦発表はロシア国防省が行い、トルコ軍関係者が「トルコと連携して行った」と認めたと報じられているが、どの程度共同作戦だったのか、相互に連携して調整した目標を攻撃したのか疑問の声もある
トルコ側の主な目的にはクルド勢力の北上牽制があるが、米側は対ISにクルドを支援しており、情勢を更に複雑にしている

F-16 turkey.jpg●ロシア報道官の中将は、空爆に参加したのはロシア軍(4機のSU-24、4機のSu-25、1機のSu-34)とトルコ空軍(各4機のF-16とF-4)だとリストを明らかにし、細部には言及せず36目標を攻撃したと発表した
●トルコ軍はこの共同作戦前、昨年12月にロシア軍機による最初の対IS空爆が当該地域に行われ、トルコに対する支援作戦だとの認識を明らかにしていた、

昨年12月にトルコ軍は同地域で、12名の死者と33名の負傷兵を1日で出す国境付近で最大の被害を受けており、クルド勢力への警戒を強めており、当地域の不安定さは今後も継続するだろう
トルコ軍は、本作戦によりクルド勢力の進出を抑え、IS駆逐に貢献できたと評価し、ロシア軍報道官は対IS共同作戦は極めて効果的だった」と述べている
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Syria russia.jpgロシアとトルコが共同空爆で、米国が対ISのため支援するクルド勢力を叩いた可能性も考えられますが、両軍それぞれが好き勝手な目標を攻撃しながら、米国への当てつけに「共同作戦」をアピールしたのかもしれません。あくまでも「ISIL攻撃の共同空爆作戦」だと言い張りながら・・・

20日にトランプ大統領が就任し、マティス国防長官も承認されました。
しかし依然として米国政府は政権移行中であり、この間隙を利用しようと考える勢力には格好のチャンスです。この共同作戦モドキの背景や狙いは不明確ですが、米国やNATOの対応が後手に回っているのは確かでしょう・・・

リビアのISIL拠点にB-2爆撃機を派遣した作戦はお見事でしたが、継続的になすべき事をなさなければ、あっという間につけ込まれると言うことです。中国や北朝鮮にも注意しないと・・・

米国とトルコ関係の関連
「トルコがF-35追加購入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-01-1
「駐トルコに家族帯同禁止や特別手当」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-17
「SAM選定で露に最接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-12

「将軍の4割以上を排除」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11
「トルコで反米活動激化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-31

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米と比が細々とHA/DR訓練を開始 [安全保障全般]

Eagle Vision3.jpg12日付米太平洋空軍web記事によれば、16日から25日の間、米軍(陸軍&空軍)とフィリピン軍がフィリピンのクラーク空軍基地でHA/DR(人道支援/災害復旧)の訓練を行っているようです。

ただし短い記事は「フィリピン政府の招待」を受けたものと表現しているものの、「訓練」との用語を使用しておらず、専門家の交流(Exchanges)との表現になっており、米軍の商用衛星画像分析装備を持ち込んで使用し、その様子をフィリピン軍にも見せて参考にしてもらう程度の内容のようです。

昨年6月にドゥテルテ大統領が就任後、比大統領が米国への反発を強めて中国に接近し、米軍との軍事演習は全て中止してHA/DR訓練だけにすると打ち出して米側が困惑しています。

Duterte5.jpgまたトランプ氏の当選を受け、ドゥテルテ大統領の対米姿勢に変化の兆しが見え、昨年11月の米大統領選挙後にハリス太平洋軍司令官がフィリピンを訪問して軍事関係の改善を図ろうとしましたが、これも不発で、昨年12月にはフィリピン国防相が、航行の自由作戦で南シナ海を航海又は飛行する米軍艦艇や航空機のフィリピン施設使用を、認めない可能性が高いと発言していました。

12日からの安倍首相のフィリピン訪問は、比大統領の故郷であるダバオ市を訪問し、日本との関係が深い同市民から熱烈歓迎を受ける「感慨ひとしお」の訪問となりましたが、漏れ聞こえてくるところによれば比大統領は、「米兵はフィリピンにいらない。自国で自国を守りたい」旨の発言をしたとかで、米比関係に光明は見えないようです

12日付米太平洋空軍web記事によれば
Eagle Vision.jpg●1月16日から25日の間、米陸軍と米空軍はフィリピン政府の招待を受け、フィリピン軍と比のクラーク空軍基地でHA/DR 関連のSMEEs(Subject Matter Expert Exchanges)を実施する
●今回の交流では、米空軍がフィリピンに持ち込む移動用衛星画像分析システム「Eagle Vision」の活用が中心となる

●「Eagle Vision」はリアルタイムで商用衛星画像を入手して分析に使用でき、米太平洋コマンド地域における人道支援能力を大きく飛躍させる装備である
●同装備によるHA/DR 関連能力の向上に加え、この交流は、2国間の相互運用性を強化し、長年に亘る2国間の同盟関係を引き続き強化するものとなる
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「Eagle Vision」は主に州軍が運用しているようで、種々の写真から推測すると、パラボラアンテナの大きさは折りたたんでC-17輸送機に搭載できそうな規模です。

Eagle Vision2.jpg操作や分析車両を含めて5つのパーツから構成されているようで、台風や竜巻の被害現場に24~48時間程度で展開し、現場密着で衛星画像情報を提供可能なようです

米太平洋空軍web記事は、米軍から派遣された人員数や「交流」の細部にも記事は触れておらず、記事の末尾を「この交流は、2国間の相互運用性を強化し、長年に亘る2国間の同盟関係を引き続き強化するものとなる」と結んでいるものの、シャビーで哀愁漂うものとなっています

そう言えば、昨年4月にカーター国防長官が大々的に打ち出し、当時はF-22戦闘機のフィリピン展開が間近と報じられた「航空戦力ローテーション派遣」も、昨年9月に2機のC-130が派遣されたのを最後に「ぷっつり」途絶えています

Abe Davao.jpg安倍首相は訪比時の会談で、「米国との関係は重要」との認識で一致したと発表されていますが、なかなか実態が伴ってきません

ドゥテルテ大統領は市長時代地元に、戦前戦中戦後に活躍した日本人の慰霊碑を自費で建立し、大規模な慰霊祭まで行ってきた親日家ですが、米国には根強い不信感があるようです。

日本とドゥテルテ大統領
「なぜ10月25日に比大統領来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-06

米比関係の記事
「航行の自由作戦に比基地は使用させない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11
「ハリス大将:選挙後初の訪比へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「米比演習の中止に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-08

「C-130が2機だけ展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-27
「比大統領南シナ海共同を拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15-1
「比空軍と米空軍が3日間会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03

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B-2ステルス爆撃機がリビアで対IS爆撃 [カーター国防長官]

史上5回目のB-2作戦任務はリビアのISキャンプ攻撃
オバマ&カーター退任直前に意味深なステルス大型爆撃機使用

Libya Sirte5.jpg19日、前日に退任式典を終えていたカーター国防長官が「サプライズ」記者会見を開き、18日に2機のB-2ステルス爆撃機がリビアにあるISIL訓練基地を約100発の精密誘導爆弾で攻撃し、テロリスト約100名を抹殺したと発表しました
オバマ大統領にも「数日前に了承を得た」との説明もアリ、同大統領が最後に承認した軍事作戦となった模様です。

タイミングといい、滅多に使用しない大型ステルス爆撃機の投入といい、中国やロシアへの警告メッセージの意味合いや、米軍の即応態勢への疑問を示しているトランプ氏へのメッセージだとメディアは指摘しているようですが、カーター長官は当然否定しています

B-2Whiteman.jpg攻撃は2機のB-2と、その後の無人機MQ-9のフォローアップ攻撃で構成されていたようですが、他のアセットのオプションもあった中でB-2を使用した理由については、米アフリカ軍司令官の要望で最適なアセットだった等と、それなりに説明しています

B-2が1990年代に運用態勢を確立後、これまで4つの作戦にだけしか投入されておらず、最近では2011年のリビア攻撃が最後の実作戦だったこともあり、様々な憶測を今後呼びそうな貴重なB-2爆撃ですのでご紹介します

20日付Military.com記事によれば
Libya Sirte.jpg●カーター長官は、他のアセットの選択肢もあったが、米アフリカコマンド司令官がB-2を最適なアセットとして要望してきたため国防長官として承認し、オバマ大統領にも「2~3日前に」承認をもらったと説明した
●大統領の承認を得た理由を、爆撃を行ったリビアの都市Sirte周辺は、長らくISILに支配され、先月米軍や国連の支援を受けたリビア政府軍GNAが奪還したばかりで、空爆を制限していた地域だからだとカーター長官は説明した

●また同長官はB-2を投入した理由についての憶測を否定し、B-2爆撃機は多量の爆弾を搭載して長時間連続して在空出来ることから、作戦指揮官により作戦の柔軟性を与えることが出来ると判断したからと説明した
●ただ付け加えて長官は、B-2爆撃機を使用するときは、常に何らかのメッセージがそこにあると述べ、ISILに対し、世界中のどこに居ようとも米国の手からは逃れられないとのメッセージだと語った

●当該B-2爆撃機は4万ポンドの兵器搭載能力があるが、今回の作戦では500ポンドのJDAM等精密誘導爆弾を2機で合計100発投下した。そしてB-2の後に、1機の無人機MQ-9が「Hellfireミサイル」で更に攻撃を加えた、と米空軍報道官は説明した
B-2restart.jpg●なお2機のB-2爆撃機は、米本土ミズーリ州のWhiteman空軍基地から飛び立ち、往復34時間の連続飛行を15回の空中給油で行ったとのこと。

●カーター長官は攻撃目標となった2つのISIL訓練キャンプについて、先月リビア政府軍が米軍や国連の支援を受け奪還したSirteの町から非難したテロリスト達が、欧州へのテロ攻撃の準備をしていた拠点だと説明し、「ISILを発見したら、何処であろうとこれを撃破する一連の作戦の一部だ」と位置付けた
●なお米空軍報道官は、B-2が計100発もの爆弾を使用したが、精密誘導爆弾を使用したことから「絨毯爆撃:carpet bombing」ではないと強調した

過去4回のB-2爆撃機投入作戦は以下の通り
*March 1999, Operation Allied Force against Serbia;
*September 2001, in the first strikes of Operation Enduring Freedom in Afghanistan;
*March 2003, at the start of Operation Iraqi Freedom; and
*March 2011, Operation Odyssey Dawn in Libya to topple the regime of Gadhafi.
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Libya Sirte3.jpgリビアの「Sirte」という地中海沿岸の都市は、ISILが占拠して以来、テロリストを欧州に送り込む拠点となっていた場所で、その奪還は有志連合の悲願でした
その悲願の奪還が昨年12月に成功し、逃げ延びた残党退治作戦がB-2爆撃機に託された訳です

長時間敵の上空に在空し、敵を発見次第、その都度精密誘導兵器で攻撃する手法は、B-52も行っていますが、今回はなぜステルス機が必要だったのでしょうか?
75機以上保有するB-52部隊が多忙で、20機しか保有しないB-2爆撃機部隊に任務が回ってきたのでしょうか?

邪推ですが、以下の様に想像します
Libya Sirte2.jpg中東域に現在米空母が存在しないため、中東に展開する米空軍はシリアやイラクでの対ISILに手一杯。またロシアが最新鋭多用途戦闘機Su-35をシリアに持ち込み、地域の緊張が高まる中、リビアでの作戦に投入する余裕が中東展開部隊にはなかった
ISILテロリストと関連装備品が集中していた攻撃目標を、一度の機会で徹底的に殲滅したかった。敵が分散避難する恐れがあり、複数回に亘る攻撃は避けたかった
●2011年3月にもB-2を投入したように、旧リビア軍の保有していた対空ミサイルで所在不明となっているモノがアリ、念のためステルス機を投入した

B-2爆撃機関連
「B-2の稼働率」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-05
「2058年まで運用予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-05
「B-2の20周年記念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28

「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1

「映像5つの視点B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「鮮明な飛行映像」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27-1

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マティス新国防長官と「第3の相殺戦略」 [マティス長官]

Third offset.jpg19日付Defense-News記事が「C4ISRNET」を引用し、マティス新国防長官の「第3の相殺戦略」に関する議会証言を紹介しつつ、新政権における同戦略の行く末を推測しています。

これと言った決定的な根拠や言質に基づく記事ではありませんが、トランプ新大統領とは異なり穏当なマティス新国防長官のご発言で「箸休め」して頂き、併せて「第3の相殺戦略」を取り巻く現状を理解する一助なればと考え、幾人かの専門家の見方をご紹介します

マティス氏の「第3の相殺戦略」への考え方
(上院軍事委員会からの質問への回答)
Mattis12.jpg●全般として、第3の相殺戦略検討の中で見いだされている分野は、投資に値するものと考えている。国防省の同戦略への取り組みは、米軍戦闘力を必要な場所と時間で発揮するに事に焦点を当てた取り組みだと理解している
●国防長官に承認して頂けたなら、現在行われている研究開発投資の分野をレビューし、国家に長期的な技術優位性をもたらすものかどうかを確認する

●国防長官に就任したなら、私の職務遂行における優先事項を、より詳細に上院軍事委員会にお知らせしたいと考えている
●私は、技術革新と技術の飛躍的発展のために、リスクに対しては寛容であるべきだと基本的に考えている

専門家等の見方
Shanahan.jpg国防情報部長のJack Shanahan中将は、「まだ新政権についてはよく分からないが、(政治任用の)主要幹部の推進力が第3の相殺戦略遂行に重要なことは国防省組織にも言えることだ」と慎重に語った
●一方で同中将は「強制削減法の下での苦肉の策である暫定予算(continuing resolution)の有効期間が4月に終わり、その後に新着任者は新たな暫定予算編制を迫られ、第3の相殺戦略用に前任者が配分していた予算の継続可否の選択を迫られることになる」と語り、その時点で強い意志や考え方を共有していないと「第3の相殺戦略」が消えゆく可能性を示唆した

CNASのBen FitzGerald研究員も、カーター長官やWork副長官が大きな「political capital」を使用して議会等に「第3の相殺戦略」推進を働きかけていたことを取り上げ、「人工知能」や「自立化:autonomy」等は大丈夫だろうが、その他の分野には不安もあると示唆した
●そして新政権下での「第3の相殺戦略」の運命について、「明確に中断はしないが、積極的な支援を行わず、管理されたネグレクト状態になる」可能性が最も高いと予想した

Eaglen AEI3.jpgAEIのMackenzie Eaglen研究員は、政権の引き継ぎ間、Work副長官がしばらく職務を継続するする事になったが、同副長官が仮に2ヶ月間職務を継続したら、2017年9月末まで(2017会計年度内)の相殺戦略関連事業を支えるだろうと見ている
●更にEaglen女史は、Work氏が今後半年間職務を継続する事になれば、2017年10月以降の2018会計年度予算に大きな影響を与えることになろうと予想した
●また同女史は、新政権が当面の対ISILを重視し、(対中国や対ロシアを想定した)国家間の本格紛争を後回しにすると、「第3の相殺戦略」の推進力は失われるだろうと述べた

一方で米海軍研究所(ONR)のThomas Killion研究部長は、「第3の相殺戦略の関連技術には、自立化、センサー能力、意志決定支援のための新アルゴリズム、製造の新手法等々が含まれているが、これら技術には既に投資が開始されており、継続投資される」「ONRが既に発表した研究戦略にも、相殺戦略関連の多くの分野が含まれており、海軍は投資を進める」と説明し、新政権でも急激の変化は想定しがたいことを示唆している

FitzGerald.jpg前述のFitzGerald研究員も、カーター長官が肝いりで始めた、先端技術取り込み事務所DIUx、国防省の戦略能力造成室SOC、また「Defense Digital Service」などの組織は、政治任用でない職員で運用されており、事業運用が多少変化するにしても、継続して業務するだろうと見ており、単に1980年代導入の老朽装備品更新を行うような政策との決別を期待している
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トランプ大統領の就任式関連の行事で、各軍種の士官候補生が大統領を観閲官にしてパレードを行う事が恒例になっているらしいのですが、これまでは大統領の前を通過する際、一貫して「頭右」となるように観閲台が設けられていたのに、今回は警備の都合上か観閲台の位置が変更され、「頭左」をしなければならなくなったようです。

某軍事メディアがこの件を取り上げ、「早くもこれまでの慣習や発想からの転換を迫られている」と皮肉めいた表現で紹介していました。

間違いなく、日本はより本質的な国防議論を迫られるでしょうし、そんな時の一助に「東京の郊外より・・・」がなればと考えています

「第3の相殺戦略」関連の記事
「この戦略は万能薬ではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11-1
「CSISが相殺戦略特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「相殺戦略を如何に次期政権に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12

「小野田治の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「第3のOffset Strategy発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-06-1

同じ記者による「第3の相殺戦略」現状解説
http://www.c4isrnet.com/articles/third-offset-strategy-challenges

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F-35システム試験はまだ6割残置 [亡国のF-35]

DOT&E FY2016.jpg10日、米国防省のMichael Gilmore試験評価局長が、F-35の各種試験進捗状況に関する内容を含むレポートを議会に提出し、その中でソフトウェアのシステム試験が4割程度しか終了しておらず、また現在も試験項目が増加中であり、実戦的な作戦運用試験の開始が少なくとも現予定から16ヶ月遅れるだろうとの見方を示しました

F-35事業を担当するF-35計画室は現時点で同レポートに何もコメントしていませんが、これまでF-35計画室が試験評価局の指摘に反論しつつ、結局は試験評価室の見積もりや評価が正しかったことが大半です

今回の初期作戦運用試験(IOT&E:initial operational test and evaluation)の開始時期についても、F-35計画室は数ヶ月遅れる可能性があるがまだ不確定と言い続けていましたが、試験評価室は継続して1年以上の遅れを指摘しており、評価室の正しさが今回も証明されるのは時間の問題でしょう

中でも問題は、F-35計画室が試験の遅れを批判されることを避けるため、リスクを承知で試験項目を削減して試験期間を短縮しようとしているとの指摘です。
Gilmore.jpgこのリスクは既に現実のものとなっており、先日はリスクを承知で不具合部品を使用したまま試験や訓練を継続した結果、海兵隊F-35が飛行中に火災を起こすことになったことが明らかになったところです

トランプ氏は11日の最初の記者会見でも、F-35の代替としてFA-18改良型を競わせることで価格低下を進める旨の冒頭発言を行っており、F-35計画室は開発の順調さをアピールしたい思いでいっぱいですが、「ソフトの塊」であるF-35のシステム試験は今後が山であり、先が見通せる状況にはありません

米空軍協会web記事によれば
●Gilmore局長は同レポートで、2017年8月までに開始する予定となっている初期作戦運用試験(IOT&E)は、早くとも16ヶ月開始が遅れ、2018年12月から2019年当初の開始となるだろうと報告している
●同局長は、未だ対策が採られていないか、対策が不十分で遅れにつながっている16分野を指摘しており、その大部分が当面の完成版ソフトである「3F」ソフト開発に関係している

F-35 clear.jpg●同レポートは、「3F」ソフトがやっと最近になって試験に投入できる程度の完成度に至ったと表現し、今後の最大の課題は他の(関連サブソフトとの)全てのシステムとの融合試験であると指摘している
●またレポートは、初期に製造された機体は信頼性が低く、試験のペースに対応できていないと指摘し、また引き続き自動兵站情報システムALIS開発が遅れている点や、他のデータを流用して開発試験を省略する姿勢を後に続く試験のリスクにつながるものと批判している

●具体的には、F-35の3つのタイプに共通する試験である「mission systems試験」は、「3F」ソフトの開発遅延に伴い、9702試験項目の内、まだ5800項目を残している状態で、進捗率は41%である
●しかし試験項目は試験が進むにつれ増加しており、9702個は当初計画より25%増加した現時点での数字である
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Mattis.jpg国防長官就任の承認を得るため、12日に上院軍事委員会で証言したMattis氏は、「トランプ氏がF-35計画を支えていないわけではない。価格を下げたいのだ」(Trump "has in no way shown a lack of support for the program. He just wants the best bang for the buck)と発言しており、FA-18改良版に乗り換える選択肢は無いのでしょうが、引き続き「亡国のF-35」であることに変わりありません

そんな中途半端な状態でも、F-35開発試験と製造の同時進行は「淡々と」行われており、11日には製造200機目の機体が訓練基地であるLuke空軍基地に到着したとの報道がありました。
なんと200機目は、航空自衛隊用の2番機らしいです・・・手戻り満載の機体です・・・ご愁傷様です。

海兵隊F-35の火災原因は
試験と訓練を急ぐあまり安全を犠牲にした結果・・
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-22-1
空軍機火災はエンジンではないと強調http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-09

最初のトランプ記者会見とF-35http://www.defensenews.com/articles/trump-again-hints-at-f-35-f-18-competition

試験評価局レポート現物
http://www.dote.osd.mil/pub/reports/FY2016/

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Work国防副長官は当面居残り [米国防省高官]

居残る自身と国防省職員への言葉(映画ベンハーより)
「Row well and live:しっかり漕いで生き延びよ」

work ben har2.jpg13日、Work国防副長官の送別式がペンタゴン内のホールで行われましたが、その場で副長官自身から「私の後任者が議会で承認されるまで、引き継ぎのためにしばらく副長官として居残る」と明らかにし、念押しで再度「後任の副長官が議会で承認されるまでだ」と強調したようです

しかし依然として、複雑な世界情勢と大変な国防省マネイジメント業務を踏まえ、Mattis国防長官を支える副長官にWork氏が留任するのではとの噂が絶えないことも事実のようです

work farewell.jpgいずれにしてもこれにより、当面の間、国防長官、副長官そして統合参謀本部議長の3トップが、史上初めて全て「海兵隊出身者」で占められることになります。
米軍の士官の1/5以下しか存在しない米海兵隊の士官が、3トップを「暫定的」にでも占める理由と、空軍出身者が長期に亘り統合参謀本部議長にもなっていない理由は、また別の機会に吟味する必要がありましょう

式典にはカーター国防長官とSelva統合参謀副議長が参加し、それぞれの立場でWork副長官の大なる功績を讃え、そして国防省として文民職員への最高勲章である「Defense Distinguished Public Award」が授与されています

本日は、和やかそうな雰囲気が伝わってくる式典の様子を、各種報道から「つまみ食い」でご紹介します

最初にSelva統合参謀副議長は
Selva-CSIS.jpg●海兵隊の一兵卒から士官となった父の後を継ぎ、27年間海兵隊の士官として、砲兵士官から「Camp Fujiの基地司令官」、更に海軍長官補佐官まで務めた経歴を持ち、その後7年間国防省(海軍省を含む)で公務を務めた
●最初に当時中佐だったWork氏にあったのは、Johns Hopkins大学のセミナー討議の時間だった。テーブルを挟んで向かい側に座るWork氏を、「こいつは特別だ」と感じた

国防副長官として、また海軍次官として、政府外に対しては助言者や相談役として、政府内に対しては分析家や考察者として、その才能を遺憾なく発揮した。Work氏の特別な才能として、問題が生じた時に、問題を分解して担当関係者がそれぞれの所掌として理解できるようにして検討させるところが素晴らしかった
●またホワイトハウスや国防省特別会議室での数多くの会議で、新たな難しい問題が明らかになると、いつも最初に「Work副長官はどこにいる」と皆が彼の意見を聞きたがった

次にカーター国防長官は
FOF.jpg私も「Where’s Bob?」との声が上がるのを経験した者である。国防長官として表現すれば、Work副長官以上のパートナーを探すことは不可能だと思う
●Work氏は副長官の議会承認を受ける際の証言で、「人間として可能な限り、全ての仕事日を我が国が直面する安全保障問題に費やすことを誓う」と語ったが、その言葉以上の働きだった

副長官経験者の私から見ても、副長官の仕事は最も挑戦的であるが、同時に最も目立たない見えにくい役割である。
●しかしWork氏は、国防の重要性を真に理解しているワシントンDC在住の数少ない人材として、現在だけでなく将来にも亘り、全ての政府機関と協力しながら、戦略的な環境が変化しても、政権が変化しても、国民のために全ての軍事紛争の全てのドメインに於いて、陸海空だけでなく宇宙やサイバー空間においても、我が国防が優れていることを国民に証明し続けることが必要不可欠だと理解している人物である

●またWork氏を語るとき、その映画狂としての側面に触れざるをえない。彼自身も認めるであろうが、彼に近づく全ての者は、彼しか覚えていないようなトムクルーズの台詞の引用を聞くことになったし、彼をスターウォーズ博士と呼んでも皆さん不思議だとは思わないだろう

Work副長官は謝辞を述べ
work farewell2.jpgこの式典会場の全ての皆さんに感謝を述べたい。皆さん全員が、私の記憶に残っており、私の仕事を助けてくれた。
私が心から愛して止まない国防の仕事で、このように表彰して頂ける事に恐縮している。この部屋の皆さんだけでなく、ここのおられない多くの皆さんのご協力ご支援に感謝する

国防省に勤務する皆さんほど、愛国心に満ち、任務優先で、私心なく、丁寧で勇敢な人の集まりはない
如何にばかげた事が起ころうと、如何に苛立つ状況に至ろうとも、皆さんには国防省という巨大で優れた組織がそこにアリ、皆さんに仕事を与え、励まし、そして時にはケツを叩いて皆さんを駆り立てる人がそこにいるのである

●仕事上、国内外を訪れる機会が無数にあったが、その際の私の様子を例えるなら、映画「ジュラシックパーク」の中で、ティラノザウルスに餌として供される「やぎ」の様であった(笑い)
●私を支えてくれた5名の次官と監察官と評価局長は、貧しい農民を盗賊から守るため、薄給で命をかけた映画「荒野の七人」の用心棒のようであった(笑い)

各軍種の参謀総長の皆さんは、映画「Guardians of the Galaxy」に出てくるスーパーヒーローのようであったし、11個の地域コマンドや機能コマンド司令官は、映画「Ocean’s Eleven」のDanny Oceanや出演者を思い起こさせた(笑い)
●そして新政権の元で今後も国防省で勤務する皆さんには、映画「ベンハー」の中で、艦隊司令官が船を漕ぐ奴隷達に向けて語った言葉をアドバイスに送りたい。それは「Row well and live:しっかり漕いで生き延びよ」である(爆笑)
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work-ben har.jpg映画「ベンハー」からの引用は、慈悲深い艦隊司令官が、悲運の奴隷の中でも優れていた主人公(ベンハー)に精一杯の激励の言葉をかけた場面の台詞で、決して上から目線の冷たい言葉ではありません

その艦隊司令官は、後の海戦で活躍した主人公(ベンハー)を側近として取り立てた、活躍の場を与えて名誉回復させた人物です。

式典に参加した「新政権の元での荒波にこぎ出す奴隷」の皆さんには、Work副長官のしばし留任発表は、「慈悲深い艦隊司令官」の登場のように聞こえたかも知れません・・・

そのまま留任してくれれば良いのに・・・とまんぐーすは思います。

なお、1959年に制作されアカデミー賞にて11部門を獲得。いまだ名作と名高い映画『ベン・ ハー』が57年ぶりに最新技術を使用してリメイクされ、今年日本でも公開される予定です
予告編は→http://www.cinemacafe.net/article/2016/05/19/40556.html

Work副長官の活躍関連
「次の副長官を考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10
「中露を抑止するには」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-05
「次期政権と相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

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2月に最新型E-2早期警戒機が岩国へ展開 [Joint・統合参謀本部]

E-2D 7.jpg5日、在日米海軍が、空母艦載早期警戒機E-2の最新型「E-2D」を、2月に米海兵隊岩国基地に展開すると発表した模様です。
機数や期間は明確ではないようですが、最新の米軍装備をアジア太平洋地域に派遣するとの「アジア太平洋リバランス政策」のキャッチフレーズに沿った動きです。

この「E-2D」は、ステルス機の探知・追尾にも有効とされるUHF帯周波数の特性を、高度なデジタル処理で活用する事に成功した「A/N-APY9レーダー」を搭載するだけでなく、米海軍が対中国を意識して進める「NIFC-CA」構想におけるネットワーク連携のバブや「digital quarterbacks:デジタル指令塔」とも呼ばれる、極めて重要な装備です

E-2D-2.jpg日本は12機のE-2Cを保有していますが、追加でこの「E-2D」を「4機」を導入する決定をしており、また中谷前防衛大臣が「NIFC-CA構想をしっかり検討して参りたい」的な発言をしており、ガッツリ米海軍の航空作戦構想に引き寄せられた雰囲気が漂っています。

今回派遣されてくる米海軍「E-2D」が、どのような活動をするのか現時点では不明ですが、「おっとり感」漂う装備品ながら重要度は際立っていますので、今後の動向に注目したいと思います

5日付Defense-Tech記事によれば
岩国基地に派遣されるE-2Dは、E-2Dを米海軍で最初に装備したNorfolk所属の「VAW-125飛行隊」から展開する
●現在Norfolkには、E-2Cを装備する「VAW-115飛行隊」が配属されているが、将来的に「VAW-125飛行隊」の体制が整えば、「115飛行隊」は加州のPoint Mugu航空基地に移動する
●在日米軍の米軍は「リバランス政策」を受け、例えば最新のP-8対潜哨戒機も受け入れている

E-2Dの「NIFC-CA」における役割
「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
Navy-Air-War2.jpg●米海軍が取り組むNIFC-CA構想は、海軍艦艇の捜索レーダーが探知できない遠方目標情報を、F-35等のステルス機のセンサー情報やE-2D早期警戒機の情報を活用してデータリンクで入手し、艦艇や他の攻撃アセットで対処しようとするもの
●ここでのポイントは、NIFC-CAに加わる各種アセット(イージス艦、空母、E-2D、EA-18G、FA-18、F-35、MQ-4、P-8、空母艦載無人機、潜水艦? 更に空軍アセットも)をリンクで結び、単なる目標情報の「kill chain」ではなく、「kill web」として迅速に共有し、対処範囲を大きく拡大して遠方から中国のA2AD網に対抗する点。

●なおNIFC-CAでは、海軍F-35は主に最前線センサーの役割を担い、兵器発射はEA-18G電子戦攻撃等に守られたFA-18が主担当になっており、「kill web」情報のハブ役をE-2Dが果たすことに。
●そして空母を守りながら攻撃も担うイージス艦は、この「kill web」情報によりレーダー見通し外の目標に対し、SM-6(BMDと防空と対艦攻撃の両用)や巡航ミサイルを発射することに

●また最近ではハリス太平洋軍司令官などが、「マルチドメイン」との発想から、地上配備の多連装ロケットや地対艦ミサイルを南シナ海の沿岸に配備し、中国艦艇に睨みをきかせる構想の推進を米陸軍に訴えており、これら地上装備も「NIFC-CA構想」の一翼を担う形になる模様。

E-2Dの特徴
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
E-2D 4.jpg●Lockheed Martin社がE-2D用に開発したAPY-9レーダーは、UHF周波数帯(300MHz – 1 or 3GHz)を使用する世界初のアクティブ・フェイズド・アレイレーダー(AESA)。
中国やロシア製を含む戦闘機サイズのステルス機は、戦闘機搭載レーダーや地上配備の捜索レーダー周波数であるKa, Ku, X, CやSバンド周波数に対するステルス性を最適化している。

●これらの周波数より波長が長い(0.1~1m)UHFやVHF帯レーダーは、理論的に戦闘機サイズのステルス機を探知できる。
一方で、より波長の長いUHFやVHF帯レーダーは分解能が悪く、正確な位置把握や迎撃ミサイルを誘導する精度が得られなかった

●しかしE-2CのAPS-145レーダーが機械式走査1chのみであったのに対し、APY-9では機械式&電子式走査18chを備え、更に高度なデジタル情報処理技術を導入してUHF帯レーダーの弱点を克服したようである。
E-2D 5.jpgAPY-9レーダーは3つのモード、つまり全周を10秒間で捜索するモード、機械的回転で全周を捜索しつつ電子的に特定領域の探知を強化するモード、機械的回転を止めて特定方向だけにビームを指向しして捜索を強化するモードがある
●海軍航空部隊や製造企業関係者は、APY-9の開発は現APS-145レーダーからの「2世代進歩」を意味すると表現している
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当分は、F-35の海外初展開との観点で岩国基地は話題になるでしょうが、この「E-2D」にも要注目です。

どのような訓練を行うのか等、細部は公表されないでしょうが、アンテナを張っておきましょう!!!

E-2D関連の記事
「対中国の要:E-2D運用態勢に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-20
「E-2D大人買いで単価削減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-02-1
「E-2Dはステルス機探知可能!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

米海軍NIFC-CAと関連装備
「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05

「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23

「日本&韓国とBaseline 9契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-28
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11

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米空軍が兵器システムのサイバー対策室設置 [サイバーと宇宙]

CyberPolicy2.jpg4日付米空軍web記事が、昨年12月21日に米空軍ハンスコム基地に、兵器システムの調達、配備、訓練、作戦運用、維持の全般にわたるサイバー対処(抗たん性強化)を司る組織を立ち上げたと紹介しています。

初期運用体制が確立されたのはCROWS(Cyber Resiliency Office for Weapons Systems:兵器システムサイバー抗たん性室)で、今後、全ての米空軍関連組織から人材を集めて業務を本格化させるようです。

これまでも何回か取り上げましたが、サイバー対処のイメージとして情報システムやネットワークが思い浮かびますが、個々の兵器がそれぞれ集積回路やICチップを搭載してプログラムにより稼動している現状から、各兵器ごとの対策の必要性が急速に問題として浮上しています

特に、未だ多くが最前線で使用されている20世紀に設計製造された兵器群は、サイバー戦の脅威を想定せずに出来上がっており、被害防止や対策が極めて難しい状態にあると言われています。
今回のCROWS設立は対策の第一歩に過ぎないのでしょうし、事柄の性質上、規模や組織や業務内容の細部は不明ですが、とりあえずご紹介し、その重要性を確認したいと思います

4日付米空軍web記事によれば
cyber01.jpg●CROWSの役割は、サイバー戦を仕掛けてくる敵に対し、米空軍全ての兵器システムが有効性を維持することである
●同室の長であるDennis Miller氏は、「サイバー脅威はネットワークへの侵入やウイルス感染だけではなく、個々の兵器システムへの影響であり、我の任務達成にとって今そこにある危機といえる」と語っている

各兵器システムは個々に異なり、従来の情報システムに対するサイバー対策をそのままでは活用が難しく、有効で効果的なサイバー対策にするためには、それぞれに応じて対策を仕立てる必要がある
●同室長は、兵器システムの調達、配備、訓練、作戦運用、維持の全般にわたるサイバー対処を米空軍全体で連携して行い、また米空軍全体のサイバー対処枠組みである「CCP:Air Force Cyber Campaign Plan」の戦略的焦点を合わせる必要も語った

●米空軍省のDaniel Holtzmanサイバー技術課長は、個々の兵器の開発、調達、作戦計画と実行、維持訓練を含めた複雑な組み合わせの全ての段階で、サイバー脅威を意識した取り組みが必要だと語っている
●そして更に、外部要因である環境や敵の戦術が組み合わさって複雑さを増幅し、相互作用することによって、リスク削減の取り組みに恐ろしいレベルの総合的な対処を求めている

cyber1-82e9c.jpg●CROWSが取り組み始めている仕事には、各兵器計画の管理と進捗監視で、「リスク分析」「システム設計へのサイバー対処組込」「適応性と機敏性の推進」「人材の育成」「費用対効果の追及」「サイバー情報と対処部署の連携」などである
●CROWSの上級組織として、米空軍省のJeff Stanley調達担当次官補代理が責任者を務める「Cyber Resiliency Steering Group」が既に設けられており、戦略レベルの指針と米空軍全体の取り組み融合を図ることになっている
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Work副長官は米軍の今の規模を維持するのに、老朽装備品の更新や先送りしている維持整備費の確保等だけで年間約10兆円の予算増が必要だと現状を語りつつ、それを犠牲にしても最優先で確保したいのがサイバー強靭性向上のための年2兆円の予算だと語っていました

cyberwar2.jpg様々にサイバー攻撃への対処の必要性を取り上げて来ましたが、戦闘機命派には全く伝わっていないようで、パイロット以外の誰かがやるだろうと「全く眼中に無い」状態だと風邪の噂で聞き及びました

新年早々、ため息の出る話ですが、ことしもチマチマと外野から危機感を訴えたいと思います

「装備品のサイバー脆弱性に対処」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

サイバー関連の記事
「米軍サイバー機関の問題や対策を議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14
「自ら創造したサイバー空間に苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「サイバー脅威の変化と対処を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-21

「対ISサイバー作戦で大きな教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-23
「日本とイスラエルが覚書へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21
「成果Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1

「組織の枠を超えた情報共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-07
「中国には君らも脆弱だと言っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-23

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