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米カナダ貿易戦争:カナダがF-18を人質に [安全保障全般]

18日は米カナダ貿易戦争の開戦日か!?

Bombardier-C2.jpg18日、ボーイング社が米商務省に対し、カナダの航空機メーカーによる旅客機の米国売り込みが不当ダンピングだと訴えたことに対し、カナダ外相がボーイング製FA-18購入計画(18機)の見直しを示唆して激しく抗議しました

同日は、米国政府が議会に対し、正式に北米貿易協定NAFTAの再交渉開始を通知した日でもあり、トランプ政権誕生以来、諸外国の間で懸念が広まっている貿易摩擦が、カナダと米国の間で本格化した開戦記念日として記憶されるかもしれません

日本も当然例外ではなく、既に自動車や鉄鋼分野でジャブの応酬が始まっていますが、決して「対岸の火事」ではなく、「他山の石」のすべき点があるのでは・・との思いも秘めつつ、とりあえず現状をご紹介します

19日付Defense-News記事によれば
Bombardier-C.jpgカナダの航空機メーカーBombardier社は、新型中型旅客機「C Series」の米国輸出に取り組んでいたが、カナダ政府は同社の株式を取得することで約1100億円を投資しており、最近も追加で約270億円の融資を行っている。
●そんなカナダ政府の支援もあり、同社は2016年にデルタ航空から「C Series」75機の受注を獲得した。

●このようなBombardier社の売り込みに反発したボーイング社は、18日米商務省と米貿易評議会のヒアリングの場で、カナダ政府からBombardier社への補助金人について調査し、援助を受け国際市場で有利な立場を得ている「C Series」に対し、課徴関税を課すよう訴えた
ボーイングは、種々の支援を合わせると約3300億円の支援金がカナダ政府からBombardier社に提供され、「C Series」が「他社から顧客を奪い取る価格:predatory pricing」設定になっていると主張し、米商務省はダンピング及び課徴関税調査の開始を決定した

Freeland2.jpg●このようなボーイング社の訴えを受け、カナダのChrystia Freeland 外相は18日、カナダ政府が米国やボーイング社とFA-18戦闘機18機を当面購入し、さらに追加で購入する計画について協議を開始するとした昨年の発表見直しに言及し、「カナダはボーイング関連の軍事調達の見直しを行っている」と警告した
●同外相は、ボーイングの主張は明らかにBombardier旅客機の米国市場進出を狙い撃ちしたものと語り、米商務省のダンピング認定に向けた調査決定を強く非難した

●なお18日は、米国政府が議会に対し、正式に北米貿易協定NAFTAの再交渉開始を通知した日でもあり、米カナダ間の高まる貿易摩擦を象徴する日となった
●また、Bombardier社のライバルとなる「Embraer社」を持つブラジルも、WTOに対し、カナダ政府からBombardier社への補助金問題を問題提起している
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カナダ政府からBombardier社への補助金がかなり「グレー」が感じですが、このケースの細部事情はともかく、本件ではカナダ側がしっかり国として対処している姿勢を学びたいと思います。

F-18.jpg翻って日本が「他山の石」として「強引に」学ぶとすれば、トランプ政権にねつ造される新たな「日米貿易摩擦」の落としどころとして、国防装備品を米国から無理やり買う(買わされる)ことを、なんとしても回避すべきということです。

中国や北朝鮮の軍事的脅威は明らかですが、それを理由に、誤ったシビリアンコントロールにより、自衛隊の前線部隊が望まない高価な装備品を押し付けられ、反動で必要な装備や施策を断念させられては本末転倒です。

オスプレイしかり、グローバルホークしかり・・・F-35の追加も臭うし、BMD装備も必要ですが、THAADやイージスアショアもねぇ・・・。必要と言われれば必要ですが・・・ため息が出ますねぇ・

F-35押し売り懸念:米空軍F-15強制退役か
「ACC司令官:F-15退役やむなし!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

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トランプ大統領:空母を値切って砕氷艦増強!? [Joint・統合参謀本部]

Trump Coast-G2.jpg17日、トランプ大統領が沿岸警備隊士官学校の卒業式に出席し、これまで削減方針を示していた沿岸警備隊予算の関連で、現在稼働する砕氷船が1隻しか存在しない現状に鑑み、40年ぶりに砕氷艦を新規建造し、その後も隻数を増やすと語りました

またこれに併せ、再びF-35を「値切った」話を自慢たっぷりに語り、更にフォード級空母についても価格を下げて前倒しで建造させるような話までしており、空母「値切り」が初耳の軍事メディアに驚きが広がっています

そもそも、米軍と沿岸警備隊は現場では密接に連携するものの、国防省と国土安全保障省とで所属が異なる事から、F-35や空母を「値切る」話を沿岸警備隊士官卒業式で語る「品性」に疑問の声が上がっているほか、そもそも沿岸警備隊が海軍に属していると誤解しているのではとの「疑い」まで飛び出し、SNS上を賑わしています

一般メディアでは、この卒業式発言の中で、「私は特にメディアに不当に扱われている。歴史上、私以上に不公平にされている政治家はいない」「たぶん、私が(大統領選で)勝ったからだ」「敵は自身を強くする」や、「アドバイスをしよう。物事は常に公平ではない。だが、闘い続けよ。絶対に諦めてはいけない」の部分が注目されていますが、ここでは、空母と40年ぶり砕氷艦建造に関する部分を中心にご紹介します

17日付DODBuzz記事はこの演説を紹介しつつ
Trump Coast-G3.jpg●大統領は17日の卒業式で、「F-35戦闘機を皆さんのためにどれだけ値切ったかを話さないし、話題にもしない。またフォード級新型空母で、どれだけ皆さんのために値切るかについても、同様に言うつもりはない」と切り出した
●そして「私が大統領になる前、これらの装備は予算オーバーと開発遅延の問題を少しばかり抱えていたことは知っているよね。そんな状態を引き継いだんだ。でも私が大統領になって解決したんだ。それだけでなく、かなりのお金を節約できるんだ」と語った

●更に、「良く覚えておいてくれ。今後新しい空母を作るときは、従来の計画金額以下で予定より早く完成させる。これにより、より多く(の空母)を建造できるんだ」と語り、4月に海軍に1番艦が引き渡され、試験を開始したばかりのフォード級空母に言及した

トランプ大統領は自分がロッキードと交渉してF-35の価格を値切ったように吹聴し、1月に90機購入費を約700億円値切ったとツイートしているが、軍事メディアや専門家からすれば、その値下げ幅は昨年12月段階で既に明らかにされており、生産規模の拡大によって自然ともたらされたモノに過ぎない。
Trump Coast-G.jpg●(政治的なショーの演出を上手に利用した)ロッキードCEOのMarillyn Hewson女史は3月、大統領は手続きが加速する役割を果たし、タイミングと成果に「絶対的な」違いを生み出したと語ったが、極めて抽象的である

フォード級空母についてはまだよく分からない。8日のTime誌とのインタビューで大統領は、フォード級に搭載される新型の電磁カタパルト(EMALS)にパワーやコスト面でダメ出し(I said no)し、従来の蒸気式カタパルトを指示したと語っている(しかし、国防省や米海軍はこの件に関し何も言及していない

●大統領が唯一、沿岸警備隊だけに関係する装備計画で言及したのは、砕氷艦建造に関してである。北極海の重要性が増す中、現在稼働する砕氷船が1隻しか存在しない沿岸警備隊が、強く増強を求めていた装備である。ちなみに沿岸警備隊は3隻の新造を望んでいる
●大統領は本件に関し、「沿岸警備隊だけが、厚さ6mもの海氷を砕いて進む能力を持っている。君たちだけだ」、「私の政権下で、40年ぶりに新たな大型砕氷艦を建造する。そしてその後も更に建造するつもりだ
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Trump Coast-G4.jpg3月上旬時点では、メキシコとの「国境の壁」構築費3000億円を捻出するため、自然災害対策を取り仕切るFEMA予算を11%削減、海難救助や洋上密輸や密入国対策を担当の沿岸警備隊予算も14%削減、更に交通機関の安全管理を行うTSAも11%削減する計画だとの報道が流れ、「?」の5乗ぐらい驚いたのですが、振り回される米海軍や沿岸警備隊は本当にご愁傷様です

フォード級空母と電磁カタパルトの運命については、国防省や米海軍関係者からの反応を待ちましょう・・・

それにしても、トランプ大統領の発言をフォローして意味があるのかどうか・・・だんだん力が入らなくなってきました・・・。

EMALSとフォード級空母
「米海軍真っ青?トランプ「EMALSはだめ」」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍の基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09

あわれ米国の砕氷艦
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02

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通信妨害EC-130Hの後継EC-Xは民航機ベースで [米空軍]

EC-130H2.jpg4日付Defense-Newsが、米空軍が15機保有する通信妨害を主任務とする電子戦機EC-130Hを取り上げ、50歳以上の老朽C-130輸送機をベースにした同機の様子や、後継機検討状況を紹介しています。

4日、特殊作戦コマンドのThomas司令官が上院軍事委員会で、「特定の部隊は、海外派遣と母基地の滞在期間の比率が1対1と最悪の状態になっており、このままでは耐えられない」と、6か月派遣と6ヵ月母基地を繰り返す「一部」の部隊の多忙さを訴えていますが、EC-130Hも「一部」に当てはまると考えられ、対ISIS作戦にあわただしく活躍している様子が伺えます。

ec-130h.jpg一般にEC-130Hは、敵の指揮通信を妨害かく乱したり、偽情報を流す手法で「電子戦」を担いますが、監視追尾レーダーへの妨害機能付加も検討されているようです。

同機の搭乗員13名のうち、4名が操縦や航法を担当し、1名が機体整備員、他の8名で電子戦を担当し、基準では5名が語学専門員の資格を有した搭乗員で構成されます。敵の指揮通信を傍受しながら、作戦を行う様子が想像できます

同機の開発は1983年に開始され、当時輸送機として大量生産されたC-130輸送機の中で、古い機体を改良してを15機のEC-130Hが生まれています

4日付Defense-News記事によれば
EC-130H3.jpg●EC-130Hが導入以降、米軍が関与した緊急事態にはほとんど投入され、コソボ、ハイチ、パナマ、リビア、イラク、セルビア、アフガニスタンで活躍してきた
米中央軍担当エリアには2004年から継続して派遣されており、今はほとんど毎日イラク軍を支援する形で、ISISの通信妨害に当たっている

●現在この任務に派遣されている第43派遣電子戦飛行隊は、1964年と1973年に飛行を開始した年齢50歳のC-130輸送機を改造して使用しており、中東の厳しい自然の中で維持していくのは厳しい仕事だ
●また、最新の電子戦機材を老朽輸送機に組み込んで維持運用するのも骨の折れる仕事

EC-Xを2020年には導入開始したい
●最近米空軍は、この15機のEC-130Hを、2029年までに10機の後継機EC-Xに交代させる決断をした。その計画によれば、2020年末までにEC-Xの1番機が完成することになっている
EC-130H4.jpg米空軍は種々の検討を経て、現存の商用機に電子戦機材を搭載してEC-Xを製造することを決定している。EC-130Hの電子戦機材は「L3 Communications社」が開発製造したものだが、同社の電子戦機材が適応するよう、同社に機体の選定が任せられる

米空軍は2020年から約10年かけてEC-X部隊を編成する計画だが、機体と関連部品や整備機材で約2200億円の経費を見積もっている。
●老朽化した現在のEC-130Hを30年維持する維持経費と新型機導入経費を比較すれば、はるかにEC-X導入が効率的だと米空軍は主張している
●しかし、2011年の予算管理法が規定した予算強制削減の恐れがある中、暫定予算が今後も続けば、少なくとも2017年度時点では、EC-X導入を12か月はあと送りせざるを得ない状況にある
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米空軍では、F-105GやF-4Gがエスコート電子戦機として運用されましたが、EF-111を最後に、米空軍はステルス機の出現により後継のエスコート型電子戦機を設けず、現在はこの「スタンドオフ電子戦機」であるEC-130H 「Compass Call」がメインの電子戦アセットです

EA-18G Clark3.jpg米空軍は2016年度予算要求で、空軍全体の近代化予算を捻出するため、15機保有しているEC-130のうち、7機を退役させる案を提出したが、議会はこの案を却下しました。EC-130は911同時多発テロ以降、中東地域の13カ所に継続的に展開を行っており、作戦投入率が極めて高い部隊となっているからです

米空軍は米海軍のEA-18Gの支援も受けてきましたが、現在ではステルス機の絶対性も失われつつあり、次期制空機PCAを母機としたエスコート型電子戦機導入の方向に向かいつつあります

「米軍の電子戦を荒野から連れ戻す」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1

PCA型電子戦機PEA関連
「PCAよりPEAを先に導入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

その他の関連記事
「ステルス機VS電子戦攻撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

「EA-18Gで空軍の電子戦を担う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-08
「空軍用に海軍電子戦機が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-09
「緊縮耐乏の電子戦部隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-29-1

「MALDが作戦可能体制に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-29-1
「電波情報収集RC-135」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09
「心理戦用EC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-15

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まだ改修未完なのにF-35体重制限解除宣言 [亡国のF-35]

米空軍発表「recently removed the restriction」
でも改修方針が正式承認されただけ
座席改修はこれから、改修ヘルメットも初期生産段階

Pleus.jpg15日、米空軍F-35準備室長Scott Pleus准将(間もなくACCへご栄転予定)が、体重61.7kg以下(136 pounds)の操縦者F-35への搭乗を禁じる制限を解除すると発表しました。要求性能である体重約47~111kg(103~245 pounds)の操縦者全てが搭乗可能となる方策が正式に承認されたようです。

2月中旬に同准将が、様々な電磁波が飛び交う環境下で座席が不時射出しないかを確認する最後の「電磁環境試験」を3月に行い、4月には「搭乗禁止令」解除の方向にあると予告していましたが、その解除令が5月中旬になったのでしょう。

ただし賢明な皆さんに置かれましては、「報道の見出し」に騙されない注意が必要です。
同体重以下の操縦者への制約が、どれくらいF-35操縦者養成に影響があるのか不明で、それほど影響が無いような気もします(少なくとも女性操縦者1名が該当)が、あくまで3つの対策方針が正式承認されたと言うことでアリ、座席やヘルメットの改修が完了したわけではありません

F-35 ejection 3.jpg2015年に発覚したF-35射出座席の問題は、低速飛行状態で射出脱出した際、軽量操縦者が首を負傷する恐れがあるというモノで、対策として「3つ」、つまり座席に体重に応じた切り替えスイッチを付加して射出後のパラシュート開傘タイミングを調整する事、射出時に頭を支えるパネルを座席頭部に付加すること、更に操縦時に着用するヘルメットHMDの重量を約250g削減する3施策で対処することになっています。

Pleus准将も、それなりに対策が継続中である事を言葉で表現していますが、あくまで以下でご説明するように、少なくとも来年1月までは座席改修は完了しませんし、ヘルメットも部隊に行き渡るまでにどれくらい必要なのか極めて不明確です

典型的なF-35諸問題への対応であり、輸出に影響を与えないようになるべく問題は穏便にコソコソ対応し、小さな成果を大きく発表するスタイルが徹底されている事例としてご紹介します

15日付Defense-Tech記事によれば
F-35 ejection seat.jpg●Pleus準備室長は、「制限解除には2つの要件がアリ、座席改修と重量削減済みのヘルメットHMD装着である」、「この2つの対策で、低速時も高速時も軽量操縦者のリスクを軽減できる」と語った
●米空軍は現在107機のF-35を保有しており、1ヶ月間に14機の座席回収が可能なことから、来年1月までに座席改修が完了すると同准将は説明した。また座席とヘルメットの改修経費は、共に製造企業が負担することも改めて明らかにした

HMDヘルメットについては、外付けのバイザーを取り除くことで軽量化を図り、内蔵の透明バイザ-とダークバイザーの切り替えで操縦者は対応することになり、またHMD内部のストラップを一部無くして軽量化を図ると同准将は解説した
●また、新しく軽量化されたヘルメットは、現在本格生産前の段階でアリ、今年秋からフル生産に入る予定でと説明した

F-35HMD3.jpg●改修した座席とHMDヘルメットによるF-35操縦者養成課程は、今年末には開始し、同コースの飛行は2018年初めに開始することになる予定だと、同准将は説明した
●同准将はまた、米海軍や海兵隊用のF-35も同じ射出座席を使用しているが、各軍種は運用方式が異なるためそれぞれが異なった基準でF-35を審査しており、この問題は米空軍だけの話であると解説した

●なお、問題となっている英国Martin-Baker製の射出座席「US16E」に不満を持つ米空軍関係者は多く、昨年夏には空軍省の調達担当次官補佐のArnold Bunch空軍中将が国防省に対し、代替座席として米国United Technologies製の「ACES 5」を導入した場合のコストやスケジュールを検討するよう求める書簡を出している
●10日、Bunch空軍中将は同書簡を無効にすると明らかにした。
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F-35 ejection 2.jpgScott Pleus准将は、近く米空軍戦闘コマンドACC隷下の要職にご栄転のようなので、この発表で米空軍F-35準備室長としてのお仕事に区切りを付けられるのでしょう。
そしてこの話題も、世間を賑わすことはもう無いのかも知れません・・・。

それにしても、国防省F-35計画室長のBogdan中将も退役間近で、米空軍F-35準備室長もご栄転です。
こうやってF-35は、淡々と「亡国」の道を進んでいくのでしょうねぇ・・・

F-35射出座席の問題
「17年3月に確認試験終了か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15-1
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25

「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1
「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02

F-35の主要課題
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
F-3開発の悲劇と日本への提言
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18

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米海軍トップが文書「将来の海軍」を発表 [Joint・統合参謀本部]

Future Navy.jpg17日、米海軍トップのJohn Richardson大将(CNO)が「The Future Navy」との9ページの文書を発表し、2020年代半ばに向けた米海軍の「ビジョン」を明らかにしました。
情勢認識や今後の海軍アセット作戦運用を前半で説明し、米海軍の国際情勢認識や運用の基本的考え方にも触れており、頭の整理に役立ちます。

中心となる内容は艦艇体制や増強の話で、海軍航空戦力の話は正面に出てきません。355隻体制への増強(現有装備の延命も含む)、艦艇建造能力の維持強化、艦艇設計コンセプトの変革などに言及しており、本ペーパーのビジョンを皆で共有することで前に進もうとの主旨です

ビジョンと言う事は「ビジョン」で、艦艇数を現在目標311隻から355隻にするとの数値目標以外は、何となく具体性に欠けるモノで、それほど新しい画期的な方向性が打ち出されたわけではありませんが、今後様々な形でこの文書の表現や考え方が具体化されるのでしょうから、事前の会見と併せ文書の概要を学びたいと思います

17日付Defense-News記事によれば
(記事内に「The Future Navy」全文も掲載:図表除く)
Richardson.jpg●17日、シンガポールで開催されたIMDEX2017で講演したRichardson大将は、「The Future Navy」との文書を発表し、2020年代半ばに向け、米海軍はより多くの艦艇を急速に整備する必要があると訴えた
●また同大将は、海軍の戦いは根本的変革の時代を迎えており、その変化は「帆船から蒸気船への変化」、「木造船から鉄製への変化」、または「原子力推進線の登場」にも匹敵する海軍の変化に当たると表現した

●更に、中国やロシア海軍が急速に改善されている現状を踏まえ、単に右肩上がりで迅速な米海軍増強を行うのではなく、級数的な成長が必要とされていると語った
●そして艦艇数に関し、現在は310隻体制を目指しているが、その目標値を355隻体制にまで引き上げる必要があるとし、建造数の増加だけで無く、現有艦艇の延命など、考え得ること全てに取り組んで艦艇体制を増強すべきと述べた

Aegis3.jpg●艦艇体制増強の基礎となる軍需産業体制についても繰り返し触れ、短期的施策としてパートナーとしての造船業界を重視すると同大将は語り、更に「造船業界はより多くが可能でアリ、そのレベルに到達するよう米海軍も全力で取り組む」と宣言した

●また具体的な言及を避けたが、米海軍戦力の破壊力増強のため、艦艇や航空戦力を結ぶリンクの強化増強の必要性も強調し、「個々のプラットフォームだけではなく、より広範なアセットの組み合わせを可能とする、新たな次元のネットワーク力」を重視すると訴えた

●更に艦艇の設計について、より「モジュラー化:modularity」を追求し、艦艇が年齢を重ねても、より安価に近代化改修が可能なモノにしたいと語り、現状の設計から運用まで10年必要とする現状を戒めた
●そして「艦艇建造に長期間を要する現実に挑戦し、建造する艦艇には最新の技術導入を可能にし、完成後もより迅速に容易に最新技術を取り込める設計を目指したい。そのためモジュラー化や多用途な装備導入を考えたい」、「皆さんには長く使える船の建造と、成長し近代化する船の製造に協力して欲しい」と語った

Richardson11.jpg●(とりあえず短期的に何を行うのかとの質問に対し、明確には答えず、)(本文書の重要性を訴え、)まずなし得るビジョンを打ち出す事だ。我々に出来るビジョンがこれだ、と答え、
喫緊の取り組みは、艦艇購入予算を強く継続して要求していく事だと述べ、更に、一つ明確なことは、米国の艦艇建造ラインは稼働しており、仮に必要な資源が投入できればより多くの建造が可能だと言う事だと述べた
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図表を含め「The Future Navy」を見たい方は
https://news.usni.org/2017/05/17/document-chief-of-naval-operations-white-paper-the-future-navy

CV  Carl Vinson.jpg「The Future Navy」の冒頭には、最近実施した米海軍等の研究・分析結果から導かれた3大結論
第1に、国家はより強力な350隻レベルの無人及び有人システムを含む海軍を必要としている
第2に、数だけでは不十分で、海軍は新たな技術と作戦コンセプトを導入しなければならない
第3に、そしてそれを直ちに開始し、迅速に変革しなければならない・・・と記されています

上記のように概要にすると味気ないですが、最初の「情勢認識:Faster and More Complex. And Faster」部分では、海洋交通の重要性やその将来、中露NK等の軍事力強化、海軍から見た中東の不安定要素などが記載され、特に沿岸部の巨大都市が31から40に増加するとの、米陸軍と似たような将来変化を前提として重視していることが伺え、面白いです

次の「Response: Naval Forces」部分では海軍の伝統的役割から新たな任務を分析し、次項「Shape of the Future Navy」での必要な戦力構成や規模、更には新たな兵器技術やその必要性の議論につなげ、最後の「Getting and Staying There」部分で、以上の新たな体制を極めて迅速に達成するために必要な産業政策から調達改革、先ほど触れた設計思想の変革に至る実務的な改革ビジョンを語る構成です

Richardson22.jpg変わり者と言われる米海軍トップのRichardson大将ですが、細かく分割された組織に一本の横串を通し、ゴールや目標を共有して効率的効果的に前進しようとする姿勢は指揮官のあるべき姿でしょう。
少なくとも海軍関係の皆様は、しっかり読むべきでしょう
頭の整理に一度は・・

併せて見て頂きたい過去記事
「更に後退:空母艦載無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27
「米陸軍:巨大都市戦に備え」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-22
「米海軍:用語A2AD使用禁止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-04
「再び陸軍に南シナ海で期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16

Richardson海軍大将の関連
「初海外は日本」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-25
「海軍内では信頼薄い!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-14
「ノミネート会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16-1

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第5世代機欧州展開一番の教訓:ステルス維持 [米空軍]

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結構、展開してみないと判らないんだ・・
stealth coating.jpg13日付Military.com記事が、米空軍F-35準備室長やF-22飛行隊員を取材し、F-22を中心に第5世代機の海外展開に伴う1番の課題であるステルス性(コーティング)維持について紹介しています。

と言っても、事柄の性質上、細部が明らかになっているわけではありませんが、結構大変そうな雰囲気が伝わってきますので、極めてふっわっとした話ですがご紹介しておきます

13日付Military.com記事によれば
4月15日からの英国を拠点としたF-35の欧州展開と、2015年から海外展開を行っているF-22の経験とを併せ、米空軍はステルス戦闘機の海外派遣に関する維持整備の諸問題への理解を深めた
●これらの経験を元に米空軍幹部は、第5世代機の海外派遣における基地準備の多くは、機体のステルス性を維持するための準備だと認識するに至っている

stealth coating2.jpg米空軍F-35準備室長のScott Pleus准将は、「ステルスコーティング技術に於いて、F-22はF-35より古い技術を使用しているので、その維持により手間がかかる」、「F-35には、空軍用、空母艦載用、垂直離着陸用と、多様な環境を想定したより耐久性の高いステルス技術が求められた」と語っている

●米空軍は、特に2年前のF-22の大西洋横断飛行や海外作戦で多くの教訓を得た。ロシアのクリミア半島併合を受け、2015年にF-22がERI(European Reassurance Initiative)の一環で欧州に初展開したとき、及び2016年に10数機のF-22を欧州での一連の演習のため約1ヶ月間派遣した際の教訓である
●3月にMilitary.com取材チームがティンダル基地のF-22飛行隊を訪問し、匿名ながら多くの操縦者に上記海外展開の話を聞いた。彼らがファーストネームしか明かさないのは、対ISIS作戦に従事している事から安全上の懸念があるからだ

欧州展開の教訓と対策
F-35 3-type.jpg●展開した飛行隊所属の中佐は、「2015年にドイツのSpangdahlem基地に展開した際、全てが不足している現実に直面した。そして6ヶ月後に提出した派遣報告書を元に、F-22やF-35をより良く受け入れるために、魔法のような大金が同基地に投入された」と振り返っている

●同中佐はまた、4月にF-35が初めて展開した英空軍Lakenheath基地でも、展開直前になってステルス維持整備のちょっとした問題が発覚し、受け入れ直前まで対策に追われていたと語った
●整備部隊指揮官のSamは、Lakenheath基地がF-35のステルス性を維持するため、必要な装備を備える必要があったと振り返り、「そこへ展開できない訳ではないし、ステルス性も無くならない。しかしより効率的に効果的に活動するには環境管理が必要なんだ」と語っている

●オバマ政権が開始したERIの枠組みで、今年は約22億円が、欧州の戦闘機受け入れ基地での第5世代機受け入れ施設整備のために準備されており、ドイツのSpangdahlem基地にステルス性修理施設を設ける資金も含まれている
F22gearup.jpg●上記整備部隊のSam隊長は、「米本土のティンダル基地やラングレー基地のような設備が理想だが、その方向に向けた取り組みを行っている」と説明してくれた

●F-22は対ISIS作戦のため中東に展開しているが、米国内ではアラスカとハワイでステルスコーティングの「Upgrades」が行われている。
●ロッキード社のF-22副責任者John Cottam氏は、「ステルス性に大きく影響するのが、つなぎ目やエッジなど機体パネルの接点であり、エンジン空気取り入れ口のコーティングも重要な仕事だ」と述べている

●(F-35よりF-22がステルス維持に手間がかかると述べていた)米空軍F-35準備室長のScott Pleus准将だが、一方で、F-22にだけ極端に手間がかかるわけでは無く、「逆にF-35の維持が簡単かと言われると、そうでは無い」と語った
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抽象的な表現が多い記事で恐縮でしたが、F-22が米国以外で本格運用を開始し始めたのは2015年からで、まだまだ手探りな部分があると言う事でしょう。F-35にも生かせる教訓が得られたような記事になっていますが、そうである事を願います

そう言えば、ステルス機を海外に売却し、同盟国等に運用させるのも初めてですねぇ・・・。いろんな米国流の縛りや規則がありそうですが、諸外国の運用習慣や整備員の気質に合うのかも気になります。
いろんな情報の管理も米国は気になるでしょうねぇ・・・。

kadena-mitinoeki.jpgkadena-mitinoeki2.jpgそう言えば、嘉手納基地にF-22が展開中に「道の駅 かでな」の屋上展望台から同機を観察したとき、機体から薄皮がはがれたように垂れ下がった膜の様なものが数カ所に確認でき、「何じゃこりゃ?」と思ったことがありました。あれが特殊コーティングの一部なんでしょうか???

F-35やF-22の海外展開関連
「展開先はやっぱり英国」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「F-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15

「真剣にF-22迅速展開を検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08
「米空軍の欧州派遣予算大幅増」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「豪州に12機のF-22展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14

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米ICBM基地で初めてのオーバーホール修理 [米空軍]

50年間放置してきた「付け」に今から対処中

Minuteman III 4.jpg15日付米空軍協会web記事が、1960年代から使用されている米空軍ICBM基地の施設に対し、使用開始から50年を経て初めてオーバーホール修理が開始され、今後8年間かけて全てのICBM発射施設が点検修理されると報じています

修理対象はICBMミサイル自体では無く、発射施設、弾頭保管施設などが対象で、サイロ内のICBMを取り除いてからしっかりと保守整備を行うようです。
また8年かけて一通り修理した後も、8年サイクルで全施設に継続してオーバーホール(PDM:programmed depot maintenance)を行う事にしたそうです

これまでどうしていたのかが気になりますが、どうやら故障箇所が判明すれば修理する方式だったようで、計画的な施設等の維持計画も無く、壊れるまで使う方式だったようです。
一朝有事の際に即応態勢が求められる装備なはずですが、組織全体の関心の低さから、また厳しい予算の中で全てを後回しにされ、放置プレーされていたわけです

ICBM PDM2.jpg8年前にこのブログを開始する直前に、「核爆弾と知らないうちに爆撃機に搭載して米本土を横断しちゃった事件」や「核兵器部品を誤って輸出しちゃった事件」等が連続発生し、米空軍長官と空軍参謀総長が同時更迭される事態となり、核兵器運用部隊への各種てこ入れが始まりました

米空軍の核兵器運用部隊(ICBMと爆撃機部隊)を一つにまとめて管理監督するため、「GSC:Global Strike Command」を編制したり、ICBMや核兵器運用幹部の人事管理やキャリアパスを見直したり、頻繁に国防省首脳が訪問したりしましたが、「長年誰も顧みず、見捨てられてきた部隊や兵士」で「関連施設は老朽化が激しく、勤務員が士気を保つのが困難なレベル」と空軍首脳が認めるほどの部隊の惨状は、一朝一夕に改善するのが困難なレベルに達していました

部隊監査時の士官による集団カンニング」や「定期的な技量確認試験時の問題漏洩」などの不祥事がその後も続き、ICBM部隊指揮官が空軍長官に対し面と向かって「ここ数年で多くの高官が部隊を訪れ、この部隊が重要だと言って帰ったが、予算面で何の変化も無い」と痛烈に非難するなど、核兵器運用部隊の荒廃振りは、無人機操縦者コミュニティーの惨状や性的襲撃事案の継続続発と並び、米空軍から統合参謀本部議長が生まれない理由の一つと言われています

ICBM PDM4.jpgそんな中でも米空軍は最近、ICBM発射基地の警備警戒用ヘリ「Huey」の後継機選定作業を開始し、提案要求書をまとめる最終段階にあり、70年代から使用しているICBM「Minuteman III」の後継検討にも最近着手しています

また5月に入って空軍参謀総長とGSC司令官は、今後10年間に亘り、全国防予算の5%を核抑止分野に投資すると明らかにし、核兵器運用部隊を忘れない姿勢を示しています

前置きが長くなりましたが、遅ればせながら50年の空白の後に開始されたICBM施設のオーバーホール修理PDMの様子をご紹介します

15日付米空軍協会web記事によれば
●米空軍Materiel CommandのPawlikowski司令官(女性大将)は、8日の週に3箇所のICBM発射基地を全て訪れ、10日には60年代に運用開始後初めてのオーバーホール修理PDMが終了間近の「Malmstrom空軍基地」を訪問して勤務員を激励した
●同基地の他のICBM発射施設や、ワイオミング州の「F.E. Warren空軍基地」やノースダコタ州の「Minot空軍基地」のICBM発射施設は、今後8年間かけてオーバーホール修理PDMを受ける

ICBM PDM3.jpg●同司令官は、従来は故障発生まで使用するスタイルだったが、米空軍の航空機に使用されているのと同様のオーバーホール修理PDMモデルを、ICBM発射施設にも適用すると説明した。
●一方で現状について、使用開始から40年手つかずの部品も存在し、交換用部品が製造中止で存在しない事態も発生しており、PDM要員が発射施設を訪れて修理するだけで無く、対処要領を検討する必要があると厳しい現状を同司令官は明らかにした

●PDMでは、部隊全体の即応態勢が維持できるように順番に修理対象ICBMサイロを割り当て、ICBMを発射サイロから取り出し、発射施設内部の各部品やケーブルを分解して取り外し、摩耗や腐食を確認しつつ交換する作業が行われる。
最初のPDM対象サイロでは多くの困難に直面しているが、以降のサイロPDMに向けたノウハウの蓄積や要準備事項のリスト化に役立っており、8年サイクルのPDM全体計画にもフィードバックする事項が明らかになっている
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ICBM James.jpg「今後10年間に亘り、全国防予算の5%を核抑止分野に投資する」とは、両空軍大将が連名で投稿した5月12日付「Politico」で明らかにした事項のようです。
http://www.politico.com/magazine/story/2017/05/12/why-the-us-is-right-to-invest-in-nuclear-weapons-215132

「5%」が多いのか少ないのか判別不能ですが、以下の関連過去記事で縷々ご紹介してきたように、核兵器の維持管理更新はとってもお金がかかる事業です。
勢いで核武装だ!!!叫ぶ前に、色々考え、お勉強した方が良いと思います。国際社会での負のコストも含め・・・

米軍「核の傘」で内部崩壊
「屋根崩壊:核兵器関連施設の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-23
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「国防長官が現場視察」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
「特別チームで核部隊調査へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-27

「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「米核運用部隊の暗部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-29

NPR(核態勢見直し:Nuclear Posture Review)
「トランプ政権NPRの課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09
「2010年NPR発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07
「NPR発表3回目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-02
「バイデンが大幅核削減を公言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-19

米新政権の国防予算を考える
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

戦術核兵器とF-35記事など
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ICBM後継に関する記事
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

オハイオ級SSBNの後継艦計画関連
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「SLBMは延命の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

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航行の自由作戦中断とサイバー大統領令に抗議 [安全保障全般]

Trump tel.jpgFBI長官解任で急速に旗色が悪くなりつつあるトランプ大統領ですが、国防関連の施策2つに関し、有力上院議員から相次いで抗議を受けていますのでご紹介します

一つは、昨年10月以来、南シナ海での中国の埋め立て基地建設に対処する「航行の自由作戦」を中断していることに関する抗議で、もう一つは、サイバー政策を検討する基礎となる種々の報告を政府機関に求める等の「サイバー関連の大統領令」への「何をいまさら。行動すべき時だ」抗議です

国防関連で重要なテーマである、対中国と対サイバー戦に関する問題を凝縮したような2つの抗議ですので、米国の現状を考える契機として取り上げます

昨年10月から中断の「航行の自由作戦」を再開せよ
10日、超党派の7名の上院議員がトランプ大統領に対し、2016年10月以来「航行の自由作戦」が中断している現状に懸念を表明する書簡を出した。
●同書簡の起案はBob Corker (R-Tenn.)とBen Cardin (D-Md.)上院議員で、この趣旨に同意する4名の民主党上院議員と3名の共和党上院議員が署名する形で発出されている

Harris CSIS4.jpg●同書簡はハリス太平洋軍司令官の議会証言を引用し、現状認識として、
---中国による南シナ海の軍事基地化は現実の問題となっている
---南シナ海は米国戦略上きわめて重要で、全世界の海洋交通の約3割が通過し、140兆円相当の米国向け海運物資が含まれている

●米国は南シナ海における主権問題に特定の立場をとらない姿勢であるが、中国による一連の攻勢的行動は、「航行の自由作戦」がアジア太平洋地域での航海と飛行の自由を守る米国の広範な戦略の重要要素であることを際立たせている
●トランプ大統領は、定期的に航行の自由作戦行うための必要な措置を行うべき

調査は十分。サイバー政策、戦略、資源投入が必要
McCain-NDAA.jpg11日にトランプ大統領はサイバーに関する大統領令に署名し、国防省を含む政府機関に種々の見積もりや現状把握のための報告を求め、国防省には7つの新レポートを求めた
●大きなものでは、大統領は国防省等に、政府機関が統合したネットワークに移行し、共通のメール、クラウド、セキュリティーサービスを利用する可能性に関する見解を求めている

●また国防省に対しては、国防インフラや軍需産業へのサイバー攻撃状況、サイバー抑止やサイバー施策の優先、米国のサイバー優位のための施策提言を求めている
●この大統領令にをマケイン上院議員は直ちに非難し、「米国が直面しているサイバー関連の課題や問題は、すでに種々の文書にまとめられている」「これ以上の分析やレビューや見積もりは不要だ」との声明を発した

●そして上院軍事委員長である同議員は、「米国に必要なのは、サイバーに関する政策、戦略、そしてそれらを実行する資源投資である」、「このような報告書など早期に仕上げ、国防省リーダーが我が国へのサイバー攻撃に対処し、防御し、抑止し、戦略を練る喫緊の業務に向かわせるべきだ」と訴えた
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Carl Vinson.jpgハリス司令官が「航行の自由作戦」を上申しても、ホワイトハウスが却下していると報道されたり、中国がハリス司令官の解任を要求していると報道が出たりしてますが、昨年10月から同作戦が中断している現状からすれば、そうなのかなぁ・・・と寂しい気分になります。

サイバー対処は単純でない難しい課題ですが、マケイン議員のご指摘はその通りでしょう。課題や問題の把握は十分。必要なのは行動だ・・・ということでしょう。

ところで・・・ここ最近は北朝鮮の話題一色ですが、中国はその隙にしっかりと南シナ海と尖閣諸島で「既成事実」を積み上げており、尖閣周辺での「施政権」は着実に侵されています

関連の記事
「期限を過ぎてもサイバー戦略発表なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25
「北朝鮮対処で中国に配慮し、航行の自由作戦却下との5日CNN報道あり」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29

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謎のX-37Bの謎が少し解けた!? [サイバーと宇宙]

X-37B 2017.jpg7日、約2年間の宇宙空間滞在試験を終え、「謎の宇宙飛行船X-37B Orbital Test Vehicle」が地球に無地帰還しました。戻ってきました。
2010年4月に最初の打ち上げ(アトラスVロケットの先端に搭載されて宇宙へ)が行われ、今回がこれが4回目の宇宙滞在試験で、合計約2300日も宇宙空間で何か試験をしていたことになります

この「謎のX-37B」は9m×4.5m×3mとそれ程大きくなく、低コストで再使用が可能な宇宙への運搬手段を目指し、1990年代半ばからNASAが研究を始めたものです。
しかし計画が遅れてスペースシャトルの貨物室に搭載する方向はキャンセルとなり、その後NASAがスペースシャトル後の人員輸送にも本モデルの使用を止めたため、2004年から国防省が主導する引き継ぐ軍事プロジェクトになりました

国防省では米空軍の緊急能力造成室(Air Force Rapid Capabilities Office) が担当していることから、その目的を、軍事衛星や通信衛星が機能喪失した際の緊急代替衛星や装置の宇宙投入用とか、宇宙空間で軌道を柔軟に変更して敵衛星を無効化する任務を担うのではとか、貨物室に新素材を載せて宇宙空間で試験しているのではとか等々、様々な憶測を呼んでいます。

X-37B 17.jpg例えば、2011年3月の2回目の打ち上げ後は、アマチュア天文家まで巻き込んで軌道監視が行われ、中国の実験宇宙ステーション「Tiangong-1」と似た軌道だった事から、密着監視しているのではと軍事メディアで騒ぎにもなりました。結局は、細かく見ればその任務は不可能との結論でしたが・・・

そんなこんなの「謎のX-37B」ですが、今回の帰還を紹介する米空軍協会web記事が、イオンエンジンの一種と考えられる「Hall Effect thruster」も試験の一つだと解説していますので、久々に「謎のX-37B」を取り上げます。
よく調べれば、既に「謎の」では無いかも知れませんが、まんぐーすにとっては謎なので・・・。帰還した機体を確認する完全防備の作業員3名の姿が物々しい、左上の写真が色々想像をかき立てます。

9日付米空軍協会web記事によれば
X-37B-2Taxiing.jpg2015年5月21日に打ち上げられた4回目のX-37B OTV(Orbital Test Vehicle)宇宙飛行は、5月7日に終了した。、宇宙滞在間は、高度190 and 225 milesに在空していた
1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、そして今回の4回目は718日間だった。ちなみに、フロリダ州の同宇宙センターへの着陸は初めて

●宇宙滞在期間の長さは、「Hall Effect thruster」と呼ばれる電磁式推進システムの試験とも関係している。同推進装置は、同量同重量の燃料でもより効率よく推進力を得られることが特徴で、将来の宇宙船をより軽量にし、打ち上げコスト削減を狙いとしている。
●一方で同推進装置は、立ち上がりがスローで(thruster is slow to start up)で、米空軍は宇宙空間で長期間をかけて試験することを望んでいる。

●実験を仕切っている米空軍の緊急能力造成室は、X-37Bの宇宙滞在試験を通じ、同装置のリスク低減と、再利用可能な宇宙船の作戦運用コンセプト開発に取り組んでいる
●次の5回目の打ち上げは、2017年末に予定されている
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X-37B 17-3.jpg他にも絶対「ナイショ」の実験や任務を行っているはずだと妄想しているのですが、宇宙で2年間も活動させておいて、遠隔操作でちゃんと大気圏に突入し、滑走路にプログラム通り着陸して戻ってくるのですから、その面での技術の蓄積だけでも大したものだと思います

5年間も放置しておいた話題ですが、また楽しませて頂こうと思います
日本のアマチュア天文家の皆様もいかがですか?

X-37B関連の記事
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「X-37Bは中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「X-37BがSシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12

「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「X-37B関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20

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数字で見るF-35計画の状況(2017年5月時点) [亡国のF-35]

だからどうした・・・言いたいところですが・・・

F-35 luke AFB2.jpg本日は5月5日に公開された映像「数字で見るF-35計画」をご紹介し、普段は冷たく接しているF-35と戦闘機命派の皆様に捧げたいと思います。

映像の中では、「数字」が1から2,3,4,7,8,60・・・・・1000・・・10000・・・最後は90000まで取り上げられ、それぞれの数字で表現されるF-35計画の現状が紹介されます

ちょっとよくわからない「数字」と説明も出て来ますが、ぼんやりとご覧ください!

映像「数字で見るF-35計画」約2分間


1→最初に製造されたF-35は垂直離着陸型の原型「BF-1」だった
2→現時点で、B型(2015年6月)とA型(2016年8月)が初期運用態勢IOC宣言
3→最終組み立て施設FACOが3か所に(Fort Warth,Cameri,Nagoya)

4→4か国の配備先にF-35到着?(米、イスラエル、岩国、英国?)
7→B型とC型の艦艇での海上試験回数7回
8→8か国(の操縦者)がF-35を飛ばしている
(米、英、豪、イスラエル、伊、蘭、ノルウェー、日本)

F-35 luke AFB.jpg11→11か国でF-35部品製造中
12→12か所の基地でF-35運用中
60→当初価格から60%価格低下

200→製造機数は既に200機
400→訓練終了操縦者400名
1000→2022年には製造機数が1000機に

4000→訓練終了整備員4000名
10000→空母艦載型C型の総飛行時間10000時間
25000→垂直離着陸B型の総飛行時間25000時間

55000→空軍用A型の総飛行時間55000時間
90000→全タイプの総飛行時間90000時間
////////////////////////////////////////////////////////////////

F-35 N.jpg計画の総コストが最後に加わってもいいのかな・・・と思いますし、「11か国でF-35部品製造中」では国別の額の違いも興味あるところです。それと、せめて米軍全体での調達予定数2800機ぐらいの数字も出して良いかな・・とは思いますが、自信がないのかも・・・

また、「当初価格から60%価格低下」とのアピールですが、「予定価格」から現時点で何%アップかも気になるところです。50%アップぐらいでは・・・

おまけでF-22戦闘機のイメージ映像も(約2分半)
最初の第5世代戦闘機で、ステルス性とそのセンサーや兵器システムから、「First Look,Shoot & Kill」が可能な戦闘機とのキャッチフレーズ
●最高速度マック2、最高高度5万フィート、行動半径2000NM
アフターバーナー無しで、音速飛行が可能
実戦デビューは比較的遅く、2014年9月23日の対ISIS攻撃


映像で5つの視点から学ぶ
「カモフラージュ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-16
「米海軍空母」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-25
「核兵器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-05
「米海軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-27
「米海軍潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-26
「火炎放射器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-2
「負傷者救出ヘリ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-07

「B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「AK-47ライフル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-28
「原子力潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-07-1

映像で見るシリーズ
「12㎏の兵器搭載地上ロボット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-09
「防空&ミサイル防衛の融合IAMD」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27-2
「威力強烈:AC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-06
「CASの歴史を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-19

「イメージ中国軍の島嶼侵攻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「泣ける:帰還兵士と犬との再会」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-05
「レーザー兵器試験@ペルシャ湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13

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米海軍真っ青?トランプ「デジタル(EMALS)はだめ」 [Joint・統合参謀本部]

お笑いインタビュー!?!?
35機のF-35が日本上空を探知されず飛行?
トランプ氏が、海軍の夢:電磁カタパルトEMALSを嫌う!?

Trump-Time.jpg8日、Time誌がトランプ大統領とホワイトハウスで夕食(4品のコースディナー)を共にしながら約100分間のインタビューを行い、その様子をそのまま文字に起こして11日付電子版に掲載しています

Time誌が記事冒頭で補足しているように、話題が行ったり来たり(Trump weaved between topics)し、しばしば「オフレコ」になったりのインタビューだったようですが、ペンス副大統領と2名の政権幹部も同席した取材なのに、F-35と最新カタパルト部分がぶっ飛んでますので、とりあえずをご紹介しておきます

安倍総理が登場したり、アインシュタインが登場したり、ご紹介でしない部分では中国やISISや外交やNATOなどなどについても語っています

F-35を値切ってやった!
trump5.jpg●日本から安倍が来たとき、最初に彼が歩み寄ってきて「有難う、有難う」と言うので、「何のお礼?」と聞いたら、あなたのお陰でF-35購入費を約100億円得したと言うんだよ。
日本も90機を買うF-35購入国(正確には42機)で、だいぶ助かったはずだ。日本に100億円も節約させてやったんだ。交渉時間は合わせて1時間ほどだったが、それで価格を下げさせたんだ

●米国は2500機も購入することになっているから、誰も書いてくれないけど、数千億円~数兆円を節約したんだ
●F-35計画は安定し、価格は下がり続けると言うが、俺がそうさせたんだ。F-18の価格を持ち出して、1機35億円まけろと交渉したんだ

●知ってるか? マティス国防長官が日本を訪問したとき、35機のF-35を日本上空で飛ばしたが、レーダーで捕捉されなかった。突然頭上を飛ばれて、どこから来たんだと驚いたんだ。ステルス機だからさ。クールだろ?

フォード級空母の電磁カタパルトは良くない
trump7.jpg空母にとってカタパルトは非常に重要だ。でもフォード級のカタパルトはデジタルカタパルトだと言うんだ。最新の技術を使用したやつで行くと言うんだ。
●蒸気式カタパルトはもう使わないのかと聞いたら、もう使わないと言うじゃないか。どんな仕組みか聞いたら、良くないんだこれが。パワーが無い。蒸気の力のすごさを知ってるだろう。だから飛行機を空中に放り投げられるんだ。

俺はデジタルは良くないと思うぞ。だけどデジタルで行くと言うんだ。なんだそれ? 複雑すぎてアインシュタイン先生でないと上手く行かないぞ! 
●それでもって、もっと空母が欲しいと言うから、どうするのか聞いたら、デジタルで行くと言うんだ。ダメだと言ってやったよ。蒸気式で行けと! デジタルは高価だし、良くないと言ってやった
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トランプ大統領の「ご発言」にはお付き合いしたくありませんが、副大統領も側近の皆様も、米海軍の皆さんも大変だと思います。ご愁傷様です安倍首相の名前が、他の外国首脳に先んじて、登場したことを喜びとしておきますか・・

他の部分はそれなりに「当たり障り無く・・・」なのに、F-35とEMALSだけ「ぶっ飛んだ」感があります。
Trump-NATO.jpg英語訳には自信がありませんが、大統領は「You know they had the F-35s, they had thirty-five of them fly over Japan when Mattis was there, and they were not detected by the radar.」と発言しています。ここで「they」が誰か不明確ですが、米軍かロッキード社を指しているように見えます・・・

大統領の言う「デジタル」は、1番艦が4月に進水して試験が始まったフォード級空母に初めて搭載される、従来の蒸気式カタパルトに代わる電磁式カタパルトEMALS(Electromagnetic Launch System)のことです。「デジタル」と言うより、電力による磁力で飛行機を押し出すシステムです

ご立腹の大統領に対し、今後海軍は以下の様な説明を試みるのでしょう
Ford-Class-Carrier.jpgEMALSは蒸気式より効率性や維持整備経費を大幅削減するカタパルト。50年間の空母運用期間全体で、約4000億円の維持整備運用費を削減可能と見積もり
●フォード級空母は必要な大電力をまかなうため、2つの新設計原子炉を装備し、これまでの空母の約2.5倍の発電量を確保している
(ただし・・・フォード級空母は約9万トンと史上最大で、他の最新装備等と併せ、価格もニミッツ級空母の倍近い1隻約1兆4千億円 搭載航空機を除く)

2010年12月のEMALS解説記事によれば
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

EMALSの概要は・・・
●従来型カタパルトが蒸気を利用するのに対し、電磁力を活用したリニアモーターで動力を得るカタパルト
●空母自体の供給容量を超える電力を数秒間で消費するため、4つの回転式のロータに運動エネルギーとしてエネルギーを蓄え、カタパルト駆動時に電気エネルギーに変換して使用する。

EMALSの特長は・・・
Ford Class CV.jpg蒸気式に比べ、装置の重量が軽くて、装置の容量も小さい。また信頼性が高く整備の手間も少ない
●エネルギー効率が良く、蒸気式と比較して少ないエネルギーで、約3割増の推力を得ることができる。

●電気的に操作するためカタパルト駆動時のスピードを制御しやすく、駆動開始時に滑らかな加速が可能で、発進航空機へ負担が少ない。また、大型の飛行機から比較的軽量の無人機等に応じた適切な打ち出し推力を選択できる。
●蒸気式と異なり、電力を使用して生成する真水を必要としない。また海軍が目指す、蒸気を使用しない全電化艦艇の方向にも合致。

●蒸気式より、システム全体として静粛性に優れている(航空機の騒音が激しいので、艦内の居住性が改善されるかは不明)
●地上に設置されたEMALSは、2010年12月18日にFA-18の離陸試験に成功
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かなり意訳してますので、気になる方は是非Time誌電子版をご確認下さい
http://time.com/4775040/donald-trump-time-interview-being-president/

それにしても、ホワイトハウスや政府や国防省は大丈夫でしょうか???

EMALSとフォード級空母
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

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戦闘機世代間データリンクに新たな一歩 [米空軍]

F-15 Talon HATE4.jpg8日付ボーイング社発表によれば、米空軍が目指すより高度にリアルタイムで作戦状況を共有する将来戦において、大きな課題となっている第4世代と第5世代機間のリンク連接を解決する装置の試験が、F-22とF-15C間で期待された成果を上げたようです

リンクの細部に不案内ですが、「networked family of systems」で任務を果たすイメージを持つ米空軍は、従来の「Link-16」レベルの速度と質のデータ共有では戦えないと危機感を持っており、F-22の「IFDL:Intra-Flight Data Link」とF-35の「MADL:Multifunction Advanced Data Link」を、第4世代機と結びつけたいと取り組んできたところです

ボーイング社はこの課題に、「Talon HATE airborne networking system」を開発して挑んでおり、今回2機のF-15Cに搭載してネリス空軍基地を拠点に試験を行ったようです。

同社によれば、今年後半には更に目標照準能力を高めるため、「先端センサー」を試験に取り込んで装置の能力を確認するとのこと。F-35との試験も今後必要なのでしょうが、頑張って頂きましょう。

8日付ボーイング社発表によれば
F-15 Talon HATE.jpg米空軍とボーイング社は、同社が開発した「Talon HATE airborne networking system」を使用する事で、複数航空機間と地上ステーションが、効率的に保全された通信が可能である事をデモンストレーションする事が出来た
●試験飛行に参加した「Talon HATE pods」搭載の2機のF-15Cは、「Link-16」と「Common Data Link」と「Wideband Global SATCOM」を通じ、情報共有を図ることができ、更にF-22の「IFDL:Intra-Flight Data Link」機能も有効に活用できることを確認した

●米空軍「Talon HATE」計画責任者であるBradley中佐は、「開発試験は終了した。本装置を前線に投入し、作戦行動に直結する情報をより迅速に高品質で提供するだけでなく、空軍が本装置を通じて重要な教訓を得ることを楽しみにしている」と述べた
●ボーイング社の担当副社長Paul Geery氏は、「F-15CとF-22の情報をリアルタイムに融合し、状況認識を保全された環境で共有することを実現出来ことを証明できた」と喜びを語った

昨年7月ACC司令官は世代間リンクを訴え
F-22Hawaii2.jpg米空軍は、F-22とF-35が相互に情報共有でき、更に他の作戦機とも情報通信できるハードウェアのプロトタイプ開発を急いで進めている
2~3年のうちには、何らかの新装備が前線に投入されているだろう。敵情に関する高い質の情報を迅速に意志決定サイクルで共有するこの装備は、敵を撃破する能力の基礎であり、敵に対処を強要するものである

●F-22は「IFDL:Intra-Flight Data Link」を、F-35は「MADL:Multifunction Advanced Data Link」を使用し、この分野にあまり取り組んでこなかった。しかし両機種ともLink-16を使用することから何とかしようとしている
プロトタイプ開発は、IFDLとMADLの間の「翻訳の箱:a box that translates」と、米軍機と同盟国機の間を結ぶ新型データリンクに焦点が置かれている。状況認識を共有するためだ

産業界とパートナー国との精力的な強力で、更に研究機関の努力もあり、期待できる成果が見えてきている。また「翻訳の箱」にも極めて重要な進展が現れている。皆が共通の情勢認識を持てる将来に向けて進んでいる
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この分野では、依然として米空軍と米海軍がどのように協力しようとしているのかよく分かりません
特に対中国正面では、海空軍の航空戦力連携が極めて重要と考えられますが、具体的な話が全くと言って良いほど聞こえてきません

F-15 Talon HATE2.jpg「networked family of systems」で任務を果たし、過去の空中戦アセットのイメージでは無く、「sensor node」のようなイメージで戦闘機や攻撃機を捉えるイメージは海空軍とも似ていると思うのですが、連携の話は聞いたことがありません。中東や欧州の対露正面で忙しいからでしょうか?

ところで・・・航空自衛隊は、なんか考えているのでしょうか? 恐らく、対領空侵犯措置で戦闘機機数や飛行隊数やパイロット数を死守することしか考えていませんから、リンクなど後回しなのでしょうけど・・

米空軍による高度なネットワークへの取り組み
「NCCT活用をレッドフラッグで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-25
「世代間リンクが鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-18-1
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

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新装備でFA-18も空母着艦精度大幅アップへ [Joint・統合参謀本部]

「魔法のじゅうたん」がFA-18とEA-18Gにも

FA-18EF.jpg8日付Defense-Techが、新しく空母艦載機FA-18とEA-18Gに導入された着艦誘導装置「PLM」が素晴らしく着陸精度を5割向上させていると現場の驚嘆と喜びの声を伝えています。

同種の着艦誘導装置を当初から組み込まれているF-35C型機の着艦精度は、昨年8月時点で米海軍航空部隊司令官が、「100回着艦して失敗が一度も無い。100回のうち80回が理想的着艦」と表現するほどで、空母艦載機の運用を大きく変える可能性まで示唆されていた素晴らしさでした

現時点で「PLM」搭載のFA-18とEA-18Gが搭載されているのは、現在任務展開中の「George H. W. Bush」と話題の「Carl Vinson」だけのようですが、米海軍は2019年には全てのFA-18とEA-18Gに搭載する計画のようです

まだ改善の余地もあるようですが、操縦者が諸手を挙げて歓迎し、空母艦載機パイロットの資格要件や空中給油機需要を大きく変える可能性のある新技術の最新状況をご紹介します

8日付Defense-Tech記事によれば
FA-18-Bush.jpg●このMAGIC CARPET技術(Maritime Augmented Guidance with Integrated Controls for Carrier Approach and Recovery Precision Enabling Technologies)は、F-35C型機では「Delta Flight Path」と呼ばれていたが、FA-18とEA-18Gでは「PLM:Precision Landing Modes」と呼ばれている
●PLMを搭載したFA-18とEA-18Gは、共に1月から海上任務に就いている中東派遣の空母「George H. W. Bush」と、朝鮮半島周辺に所在する空母「Carl Vinson」に搭載されている

●これら主力のニミッツ級空母は、通常滑走路の1/10の長さの着陸甲板しかなく、特に夜間の着艦は大変難しいが、エンジン出力の調整と精密な機体コントロールを同時に行うところに難しさがある
PLMはエンジン出力調整操作の必要性を削減し、この代わりにフラップで下降ペースを(自動)調整するする事で、操縦者の手動操縦の負担を軽減する

●空母Bushの空母航空団司令官James McCall大佐は、空母に着艦寸前でエンジン出力を下げて下降レートを早めると、機体の操作が難しくなり、やり直しがより困難になるジレンマにパイロットは苦労してきたと語り、
●同航空団の訓練幹部は、PLMの導入で着艦の正確性が「ロケット打ち上げ並みに急上昇している」と語り、理想の着艦が繰り返されることで、3本ある着艦ワイヤーの2番目ばかりが摩耗して交換頻度が上がっていると説明してくれた。

今後の課題と取材陣の印象
FA-18EF3.jpg●昨年8月に米海軍航空部隊司令官が、同種の装置が設計段階から搭載されているF-35Cの着艦精度を、「空母甲板の同じ箇所ばかりが着艦で摩耗する」ので修理に追われていると嬉しい悲鳴で紹介していたが、空母Bushでも着艦精度は5割も向上している
2019年に全ての米海軍FA-18とEA-18GにPLMが搭載される予定である事から、今回の経験をMcCall大佐は他の艦載機航空団司令官と共有し、ノウハウの蓄積に努力している。

●ただしMcCall大佐は、現PLMの唯一の欠点として、システムの完全2重化(full redundancy)が図られておらず、システムに故障が発生した際に操縦者が手動着陸を迫られる確率がまだ高いことを指摘し、そのため若い操縦者に完全な手動着陸技術を要求する必要がある点を上げた
●そして同大佐は、早急にPLMのシステム完全2重化を実現し、操縦者の資格要件を緩和したいと語った

●前出の訓練幹部は、同航空団の操縦者の中でPLMを好まないのはPLM使用経験が少ない1名だけで着艦技量を競ったノスタルジアに浸るモノはおらず、着艦の安全と容易性を確保し、作戦任務に集中できる環境を与えてくれる同装置を最高だと語った
一方で、取材陣が5月3日と4日に空母Bushで確認した中でも、PLMを使用しながら着艦に失敗してやり直す場面を見ており、PLMが安全な着艦を保障してくれるモノではないとも感じられた
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FA-18EF2.jpg昨年8月にF-35C型機の着陸精度をご紹介した際は、「本装置導入により空母艦載機の着艦ミスが減少すれば、緊急用に空中で待機している空中給油機を削減することが出来、結果として作戦機の搭載を増加できる可能性がある」と期待効果を説明しました

そして具体的には、航空部隊司令官の「現在は空母に、6機から8機の空中給油機仕様のFA-18等を搭載しているが、この機数を削減できれば、攻撃機の搭載機数を柔軟に増やすことが可能だ。例えば、電子戦機EA-18Gや早期警戒機E-2Dの増加も考えられる」と夢を語っています

この装置で夜間着艦訓練NLPの回数が減れば、厚木などの騒音問題も軽減が期待できますし、操縦者養成短縮できそうで操縦者不足に悩む米海軍には朗報ですし、何よりも安全面での改善向上は前線部隊にとって素晴らしいことです。

ただ最後の一文「PLMが安全な着艦を保障してくれるモノではない」には要注意です。人間の慢心や注意散漫があっては、安全は確保できませんから・・。

「F-35Cの着陸精度が素晴らしい」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22

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脅威の変化を「東アジア戦略概観 2017」で学ぶ [安全保障全般]

east-asia-2017.jpg遅ればせながらGW連休を利用し、3月末に発刊されていた防衛研究所の「東アジア戦略概観 2017」に目を通しました。シンプルに素晴らしいと思いました

「日本政府あるいは防衛省の見解を示すものではない」との大前提ですが、公的機関から出る出版物ですから、米国や日本政府を正面切って批判するような表現はなく、その点は物足りないかも知れませんが、これだけまとまった情勢解説書は他に見当たりません

特に「東アジア」を国際情勢と切り離して論じられないとの問題認識から、第1章に「欧州戦略環境の変動 東アジアへの影響」、第2章に「インド洋地域の安全保障 中国の進出への域内諸国の対応」を設け、より広い視点から論点を提示している姿勢に感心しました。同「概観」編集長である兵頭慎治・地域研究部長のリーダーシップを讃えたいと思います。

個人的には第2章第3節のパキスタンと中国関係(P52~)や同第4節のスリランカと中国関係(P60~)、更にオホーツク海から北方領土周辺のロシア軍事プレゼンスを分析した第6章ロシア第3節(P176~)が大変勉強になりましたが、本日は「脅威の変化」を学ぶ意味で最重要と考える第7章米国の第3節「(2)ロシアの軍事力に対する脆弱性の認識」(P209~)の概要をご紹介します

これまで断片的に、ロシア軍のウクライナでの電子戦やハイブリッド戦を「すごい」とご紹介し、米軍幹部の危機感を取り上げてきましたが、執筆担当の防衛研究所・菊池茂雄氏がしっかりと整理し、日本も決して無視できない、対中国に並ぶ米軍全体の大きな課題として問題提起しています。

McMaster.jpg特に、現在トランプ政権の安全保障担当大統領補佐官を務めるマクマスター陸軍中将(以下、M中将)が、前職の陸軍能力統合センター(ARCIC)長としてロシア軍脅威分析の中心人物だったこともあり、米国の対露認識を考える材料としても興味深い所です

まんぐーす的には、米国がアフガンや中東で対テロ作戦に忙殺されている10数年の間に、中国だけで無く、ロシアもしっかり対米軍戦略・戦術を練り、具体的装備を準備してきた事が明示されており、日本の従来の装備体系への疑問がますます高まりました。戦闘機なんかに投資している場合では無いですよ・・・

第7章米国の「露軍事力に対する脆弱性の認識」より
East-Euro22.jpgロシア軍に対し、懲罰的抑止ではなく拒否的抑止を追求する変化の中で、ウクライナ東部への軍事介入で示されたロシア軍の能力と比べ、米軍の能力は明らかに不足し脆弱であることが認識され、危機感を持って議論されている
●米陸軍は2016年4月、上院軍事委員会に「陸軍がアフガニスタンとイラクに関与している間、ロシアは米国側の戦力と脆弱性を研究し、野心的な軍近代化努力に乗り出し、おおむね成功させた」と評価する文書を提出している

具体的分野の第1は電子戦である。露軍はウクライナの指揮通信だけで無く、GPSや無人機誘導電波を妨害し、砲弾の電子信管を無効化するだけで無く、ウクライナ側の電波(無線、味方識別装置、Wi-Fi、携帯電話)を探知し、砲撃目標発見に使用したと分析された。
●そして米軍の電子戦能力の遅れへの懸念は国防省全体で共有されるに至り、「米国が、その情報を収集、配布、調整し、それに基づき行動する能力を弱めるために、敵対者が相当の時間、努力、そして資源を費やした」結果、「電子戦における優位は厳しく脅かされている」と結論付けられた

第2の問題はM中将が「地上からウクライナ上空で航空優勢を確立した」と指摘するロシアの「階層化された防空能力」問題である。
第3 に露軍火砲の能力向上である。これは露軍のミサイルや火砲が「米陸軍の火砲システム・弾薬より射程が長く、威力も上回っている」ことだけでなく、露軍がSNS情報や「ウ」側の通信電波、更には無人機偵察で目標と特定し、集中砲火を浴びせるなどその「高度な技術的洗練」にも米陸軍は脅威を感じている。

●また兵器面でも、ラスター弾やサーモバリック弾、散布型地雷などの面制圧兵器の集中使用は、米軍がクラスター弾の調達を中止した中で脅威でアリ、更に露軍のT-90などの新型戦闘車両や、対戦車ミサイル等から車両を防護する「米軍がまだ研究段階」のアクティブ防御システム(APS)の導入なども、米軍装備を「旧式化」させるモノと認識されている

大前提である航空優勢が成り立たない危機感
McMaster3.jpg●M中将等は、冷戦後、米陸軍が戦力組成から火砲を大幅に削減したのは、ソ連脅威の消滅と、常に航空優勢が確保され、航空支援を得られるという前提があったためであるが、「我々には偉大な空軍がいるが、ここ1、2 年の間、その前提そのものを疑わなければならなくなった」と指摘している
●また2016年5月のCSIS講演でM中将は、米軍部隊が大出力の電波を全方向に発信しており、「我々はある能力を持った一部の敵にはほとんど丸見えになっている」と指摘し、米軍の「脆弱性評価」を行っているが、「どのように能力を開発していくかについて、我々を異なる方向に導こうとしている」と述べ、ロシアの動きが米軍の戦力整備の方向性に影響を与えつつあることを示唆している

●この様な脆弱性認識の元、米国防省はFY2017 予算要求のロシア抑止関連投資として「地上配備防空・ミサイル防衛」を挙げ、また陸軍の戦力組成の見直しの検討報告書は、「重大な能力欠落」「受け入れ難いほど後れている」例として短距離防空(SHORAD)能力を挙げ、「冷戦後、陸軍は潜在的な敵対国空軍の脅威をほとんど感じていなかった」が、「最近のウクライナおよびシリアでの戦闘は、脅威環境が変化したことを示している」と述べている
●そしてM中将は、露によるNATOへの侵略を抑止するには、オフショアバランスや懲罰的抑止は有効でなく、「合理的なコストによって目標を達成することは不可能であると納得させる」という「拒否的抑止に沿った抑止へのアプローチ」を取ることが必要であると主張している。この様に、2014年3月の露によるウクライナ併合から2年、米国防省の対露脅威認識は深刻になっている
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McMaster2.jpgもちろん米陸軍は、海空軍に押されて予算的に厳しい中、巻き返しを図りたい、何とか巻き返しの材料が欲しい、と考えているのでしょうが、欧州米陸軍司令官をして「涙が出るほどすごい」と言わしめたロシア軍の脅威は、正当に評価されていると認識すべきでしょう

ロシアの「階層化された防空能力」で米空軍のステルス攻撃機が無効になるとは言いませんが、明らかにリスクは高まるでしょうし、東シナ海の中国正面はそれ以上かも知れません。

実際、最近になってステルス命だった米空軍幹部が、次世代制空機PCAより、次世代エスコート型電子戦機PEAを優先すべきと発言し始めていることからも、その脅威度が高まっていると認識すべきでしょう

弾道・巡航ミサイル、サイバー&宇宙戦に加え、最近になって電子戦が脅威のセットで米国防省関係者から語られるようになっている背景は、こんな所にあるのでしょう。
そして日本の装備体系において、「戦闘機命派」による「戦闘機投資聖域化」により、上記分野への対応が、外圧部分を除いては、ほとんど手つかずになっていることを改めて注意喚起したいと思います

ATACMS5.jpg追伸→→→第7章米国の第3節「リバランス追求」の「(3)アジア太平洋での軍事態勢」で、中国A2ADへの対処策として、米海兵隊が高機動ロケット砲システム(HIMARS)と陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)ミサイルを組み合わせ、LCACで機動輸送して対艦・対地攻撃を繰り返す構想と試験演習が紹介(P196下~)されており、この部分も興味深いです

いずれにしても、まんぐーすの思いつき&細切れ紹介よりも遙かに体系的に整理された資料として、特に対領空侵犯措置のスクランブル回数が史上最高になった事だけにしがみつき、広く全体を見て投資優先を考えない「戦闘機命派」の皆さんにご覧頂きたい素晴らしい資料です。

まぁ相変わらず、米国の「アジア太平洋リバランス」政策の「空虚さ」や「言うだけ番長」スタイルへの突っ込みは不足(皆無)ですが来年度はトランプ政権の対中国姿勢を中心に、しっかりと突っ込んで頂きましょう!!!

何せ、北朝鮮関連で中国の刺激しないよう、米軍が上申した「航行の自由作戦」に待ったをかけたらしい(CNNが5日報道)ですし、トランプ大統領得意の「ディール」で、今後の1年でどれだけ対中姿勢が「転進」するかが注目点ですから

それでも、なんと言っても、ネット上で全文(英語訳も)無料公開ですから・・・

ウクライナや電子戦の教訓
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02 

「副長官が国防省として検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-19
「米陸軍電子戦失われた15年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16
「米軍の電子戦の惨状と取り組み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1

PCA型電子戦機PEA関連
「PCAよりPEAを先に導入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

過去の東アジア戦略概観
「2016年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-25
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13-1
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-10
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-03

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民間依存高まる米軍輸送力に危機感 [Joint・統合参謀本部]

朝鮮半島有事を30日間は支えられるが・・・

McDew6.jpg2日、米輸送コマンドのDarren McDew 司令官が上院軍事委員会で証言し、米軍輸送力の民間依存がここ20年余りで急増したことで、制空や制海が完全でない厳しい環境下(contested environment)での輸送力確保が大きな問題となっていると語りました

McDew 司令官は最近の「war game:机上演習」でさらに危機感を強くしたようで、「驚くべき量の教訓を得た」と表現し、「今や我々の任務遂行上の課題のすべてである」と語りつつ、民間業者のサイバー防御問題や厳しい環境下での行動可能性に言及しています

C-17-2.jpg「長い間、我々が経験してこなかった厳しい環境下」での机上演習が、どのエリアを想定したものかに言及はありませんが、冒頭の言葉通り、西太平洋地域や朝鮮半島にも頭は向いているようです。
当然と言えば当然の課題ですが、これまであまり取り上げてこなかった有事兵站輸送の課題ですので、これを機会にご紹介します。

3日付米空軍協会web記事によれば
●上院軍事委員会のMike Rounds議員(共和党)は、第1次湾岸戦争を戦った1990年代と比較し、米軍の大型輸送機は50機も減少して民間依存度が高まっていると危機感を示した
●そして今紛争が発生したなら、人員空輸の9割は民間依存(Civil Reserve Air Fleet)となり、物資空輸は4割依存となる。湾岸戦争当時は、人員6割、物資25%の依存度だったのに・・・と同上院議員は分析した

McDew4.jpg●McDew 司令官は、米軍が依存度を高めている民間輸送に、有事の厳しい環境下で依存できないと述べ、サイバー脆弱性と対空脅威下での行動制約に言及した。そして、紛争初期はA2AD環境に備えた軍輸送力が支えられるが、民間輸送力への依存を高めている輸送コマンドは第2波からの輸送問題に直面すると同司令官は語った
●司令官は委員会で、「机上演習が如実に示した驚くべき脆弱性と教訓を、我々は吸収し始めている。戦術や手順や技術を見直しつつあるが、やるべきことは多く残されている」と危機感を示した

民間輸送企業のサイバー脆弱性について同司令官は、「輸送企業のCEOの中には、攻撃を現在も受けていることに気づいていない人がいる」、また「全てのCEOは十分なサイバー防御対策を取っていると認識している」との認識を示した
●しかし一方で、企業にサイバー防御強化を強制する力は国防省にはないと同司令官は述べた。

Cyber-new.jpg●この状況への対策として同司令官は、国防省の権限を強化するのではなく、国土安全保障省やFBIと協力しつつ、企業の意識を高めて対処基準を高めてもらうような取り組みを検討していると語った。
●この取り組みでは、「明確なサイバー安全保障基準」を最低限設け、脅威の変化に応じて見直していくことを検討しており、第3者機関が企業の対処レベルを評価することも考えられており、「少なくとも厳しい環境の淵(エッジ)で任務可能なレベルに強化できるよう協力している」と述べた

●輸送力の現状について同司令官は、民間企業による米軍支援の比率はここ20~30年増加の一途で、陸海空軍に並ぶ第4の勢力となっており、民間輸送企業なくして任務遂行は考えられないと語った
●そして朝鮮半島有事を例に、在韓米軍司令官が輸送コマンドの輸送力だけでの作戦遂行を必要とした場合、最初の30日間は可能だろうと述べ、その後はよく吟味する必要があると表現した。そして民間輸送力への移管を進めると、6か月まではそれなりの見積もりができるが、それ以降は挑戦だと語った
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朝鮮半島有事の場合、対中国ほど脅威環境が厳しくはないでしょうが、それでも米軍輸送力では「30日間」しか持たないとの証言です。

McDew5.jpg米軍輸送コマンドは、民間輸送企業への依存度を高める過程で、業務効率化のためIT化を進め、業務発注等をネット上で行うようになった結果として「サイバー脆弱性」を高め2012年時点で「最もサイバー攻撃を受ける主要コマンド」の栄誉を獲得しています

当時の記事によれば、すぐさま統合サイバー対処センター(JCC:Joint Cyber Center)を立ちあげ、民間企業と連携して脆弱性克服に取り組み始めている・・・となっていますが、脅威の変化が優っているというのか、危機感が不足しているのか・・・厳しい状況に変化ないようです。でも深刻です・・・

「最もサイバー攻撃を受けている米コマンド」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-22

最近?のサイバー関連記事
「トランプ政権:約束のサイバー戦略は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25
「イスラエルと協力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-01
「米軍サイバー機関の問題や対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14

「自ら創造したサイバー空間に苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「サイバー脅威の変化と対処を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-21
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

「対ISサイバー作戦で大きな教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-23
「日本とイスラエルが覚書へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21
「成果Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1

「組織の枠を超えた情報共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-07
「中国には君らも脆弱だと言っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-23

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ロシア軍需産業の輸出見通しは悲観的!? [安全保障全般]

Denisentsev.jpg4月17日、CSIS客員研究員で露シンクタンク研究員のSergey Denisentsevが講演し、ロシア軍需産業の海外輸出動向について説明し中国やインドの国内軍需産業の成長や、原油価格低迷による顧客購買力の低下、兵器輸出国の増加等により、ロシアの兵器海外輸出が横ばいもしくは低下傾向だが、国内需要は少なくとも今後2年間は堅調だと語りました

そもそも、武器輸出額は把握が困難で、非公開部分や賄賂の存在により正確な統計が難しいとの前提付ですが、同研究員の説明は諸情勢からすると一理ある説明となっていますので、国際情勢を理解する上での一助としてご参考まで紹介します

ロシア軍需産業の海外輸出全般
ロシアの武器輸出額は、ロシアの統計によれば2011年以降ほぼ横ばい傾向にあるが、これを米国やスウェーデンの統計で見ると下降している。Denisentsev研究員によれば、集計する機関毎に統計方法が異なったり、掌握範囲が異なったり、非公開部分があったりで、正確な数値把握が難しいのがこの分野である

Russia arms-EX.jpg●一方で全般には、1990年代からロシア軍需産業の主要な顧客であった中国やインドの国内軍需産業が成長し、自国生産を始めた事は伸び悩みに直結している。また、リビアのカダフィー政権崩壊やベネズエラ経済の混乱の影響も大きい
●また原油価格の低迷により、アルジェリアやイラクやシリアからの兵器購入力が低下していることもマイナス要因である。更に、韓国や中国の軍需産業や、規模はまだ小さいながら南アフリカ、トルコ、シンガポールの同産業が、アフリカや中東で販路を拡大していることも、ロシアの足を引っ張っている

●同研究員は、ロシアはより「ニッチ」な、軍事ロボットや潜水艦市場に活路を見いだすべきだと主張した。またこれまでの歴史とは異なるが、自国市場を優先してニーズに応じた製品開発に取り組むべきだと提言した
●更に、ロシア兵器は「安価だが破壊力があり」「操作が容易」との評価で市場を伸ばし、技術移転にも柔軟に対応したことでも顧客を満足させたが、先進航空機の輸出により熟練の技術者を相手側にも求めることとなり、方針に変化があった。

SU-35戦闘機の例では、エクアドルやペルーやコロンビアへの輸出の際は、財政支援や長期ローンを組んだ上で売却していた(が、今は財政事情からその様な支援は難しい)

中国とインド向けの輸出等について
Russia china.jpg●中印両国にとって、特にロシアが技術移転に柔軟であったことが、国内軍需産業育成を狙っていた両国のニーズと合致した。中国はロシア輸出の22%を、インドは31%を占めており、依然として両国に依存する比率は高い

中国は天安門事件以降に海外から経済制裁を受け、それを契機にロシアからの兵器輸入が増えた。ロシアにとっては、ソ連崩壊直後の経済混乱時期を、中国からの需要で生き延びた関係である
●一方インドは、90年代後半の核実験強行により制裁を受け、ロシア製武器の輸入に頼った経緯がある。しかし特に中国は、90年代とは全く異なり(ジェットエンジンを除いては)、駆逐艦も潜水艦も空母まで自国製造が可能となってきた。インドも中国と同様の道を歩んでいるように見える

Russia India.jpgロシア産業はそれでも、第5世代戦闘機、超音速の対艦ミサイル、ミサイル防衛システム&対衛星兵器を自国用に開発しており、中国にとっては魅力的な共同開発分野となり得る
●一方でインドは、先端航空機、レーダー、光学装置で米国やフランス製品のライセンス生産等に傾きつつある

ロシアのシリアでの軍事活動は、輸出にはあまり貢献しないだろう。ロシアは長距離巡航ミサイルの輸出を禁じられているし、高性能防空ミサイルも自国軍の防衛にのみ使用している。大型爆撃機の市場も見当たらない
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以下の過去記事では、ロシアの軍需産業関係者やアナリストが、かなり明るい未来をロシア軍需産業に描いていますが、感覚的には今日ご紹介したような、決して容易ではない厳しい市場競争が待ち構えているのではないでしょうか?

これ以上コメントしようにも、基礎知識が不足しており不可能です。詳しい方のコメント等を募集致します。

なお防衛研究所の「東アジア戦略概観2017」の第6章ロシアでは、ロシア軍需産業の見通しは「右肩上がり」の雰囲気で書かれています
http://www.nids.mod.go.jp/publication/east-asian/j2017.html

ロシア軍需産業とロシア製品
「露軍需産業トップが未来を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-21
「露の専門家が自国軍需産業を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-13

「中国がSu-35輸入開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10
「インド検査員が露製艦載機を酷評」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11-1
「露が戦略核魚雷開発?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-06

ロシアに関する記事
「露軍の電子戦に米軍驚嘆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02
「また、6機目の大事故」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-15
「航空事故多発の露軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13
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