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米空軍が9月に爆撃機ロードマップ発表へ [米空軍]

Goldfein1-3.jpg7月26日、Goldfein米空軍参謀総長が米空軍協会主催のイベントで講演し爆撃機本体だけでなく、爆撃機の任務遂行に関連するスタンドオフ兵器やISRアセットなどの関連装備や技術をもカバーした「Bomber Roadmap」を、9月に発表する予定だと明らかにしました

また同参謀総長は、新しい空軍長官であるHeather Wilson女史と共に作成した「米空軍の優先事項に関する白書」も発表予定だと明らかにし、5つの優先事項を発表しています

マティス国防長官やダンフォード統合参謀本部議長レベルだと、折り重なる数々の問題や課題に関する方針事項や原則を問いただす質問に、国家軍事戦略NMSや核態勢見直しNPRやBMD態勢見直しBMDRと言った上位政策文書がまとまってから説明すると「言い訳」が続いていますが、なぜか各軍種トップレベルは「海軍艦艇355隻態勢」や「戦闘機は毎年120機購入したい」といった要求を軽く口にしている今日この頃です。

どんなアピール文書が9月頃に出来上がるのか判りませんが、まぁ・・・生暖かく見守りましょう・・・

27日付米空軍協会web記事よりGoldfein大将発言
Goldfein1-1.jpg先週からGlobal Strike Command司令官であるRobin Rand大将が、議会関係者の元を回り、積極的にこの「爆撃機ロードマップ」について説明して理解を得、また意見を伺う機会を持っている
●また、発表になった際にサプライズ感をなくすためであるが、同時に同ロードマップが単に爆撃機だけの計画ではなく、世界中の対象目標攻撃を視野に入れた関連装備全体の構想を包含したロードマップを目指している

航空アセット単独での任務遂行が考えにくくなることから、ロードマップでの議論は、例えばグローバルホークRQ-4の役割を含めてB-1爆撃機の任務を描くことになる。
●またロードマップでは、旧型と新型装備のコンビネーションを示すことになり、例えばスタンドオフ兵器を搭載したB-52爆撃機とステルス性で突破力を持つRQ-170を組み合わせることで、何が可能か等を描くことになる

●そして全ての任務は、突破型かスタンドオフが、有人か無人アセットか、通常兵器かそれ以外か等々の観点から分析され、更に他軍種との協力や任務の切り分けを経ることになる
地上戦力の兵士とどのように協力できるか、JTACとは、水上艦艇とは、潜水艦とは、在空型アセットとは・・等々を後半に分析して最適化を図りたい


新たな優先事項白書について参謀総長は
Goldfein1-2.jpg●新たな米空軍の優先事項白書(new white paper on Air Force priorities)は、Wilson空軍長官と参謀総長の両名がサインするモノで、Wilson-Goldfein時代の幕開けを示すモノであり、米空軍を引っ張る5つの優先事項を描くことになる


5つの優先事項とは以下の5つである
「restore our readiness」
「pursue cost-effective modernization」
「innovate for the future」
「strengthen how we develop airmen and future leaders」
「strengthen alliances with partner air forces」

●「restore our readiness」
飛行隊レベル組織に焦点を当てた取り組みを就任以来ほぼ1年間続けてきたが、前線部隊で効果が出始めている。指揮官を支えるスタッフと上級軍曹レベルに焦点を当てた人的能力向上は、効果を発揮するだろう
●「pursue cost-effective modernization」
産業中心時代の調達モデルから、情報化社会モデルに転換になければならない。また当該システムの能力自体より、「family of systems」全体とどのように結びつけがより重要である

●「innovate for the future」
●「strengthen how we develop airmen and future leaders」
既に米空軍では、「航空作戦運用の芸術」が日々学べる統合職や航空作戦センターでの勤務が、昇任に有利に働く制度を取っているが、これらの勤務を昇任審査に於いてより重視する
更に、JTF(Joint Task Force)能力の育成に取り組んでおり、この資格付与をされた者を将来の危機や紛争対処に当たる指揮官に提供したい

●「strengthen alliances with partner air forces」
敵は持っていないが、我々にあるもの。それは同盟国等との関係であり、米国にとって最大の戦略アセットであり、また非対称分野のアドバンテージである

記者からの質問対応など
Goldfein5.jpg●(何機戦闘機が必要かとの質問に、)特定の戦力だけについて語ることは不適切だ

国家軍事戦略NMSは2年近くの検討を経て完成間近であるが、マティス国防長官は国防戦略見直しDSRのやり直しを指示している。
●国家軍事戦略NMSには、国防長官と統合参謀本部議長が描く全ての軍事的課題が付帯文書の形で含まれており、「four-plus-one枠組み」(中国、ロシア、北朝鮮、イラン+過激派組織)として描かれるだろう

米空軍はこれらの見直し文書に投資しており、将来の戦いで勝利するために何が必要かを案出するための格好でタイムリーな演習となっている
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Goldfein6.jpgこれまでも同参謀総長の口から、「優先事項」のお話を聞いたことがあるような・・・。いや、でも、新しい空軍長官とともにまとめることに意義があると思います。多分・・・

「Bomber Roadmap」については、米空軍の作戦構想を知る上で重要な文章になりそうなので、9月になって、過ごしやすくなって、頭の回転が良くなって、気力が回復していれば取り上げたいと思います

「国家軍事戦略NMS」については、下記の過去記事が詳しいです

米空軍参謀総長のご意見記事
「宇宙部長A-11設置について」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-18
「21世紀の抑止再考を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「5分間でトランプに訴えたこと」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-04

「国家軍事戦略NMS検討を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06
「任期間の重視事項3つ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13
「迅速にピクチャー共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-21
「新空軍参謀総長をご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-27

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核抑止の3本柱は本当に必要なのか? [安全保障全般]

Adam Smith2.jpg20日シンクタンクCAPが、米国防省が現在行っている「NPR:核態勢見直し」に関する討論会を行い基調講演を行った下院軍事委員会の中心メンバーである民主党のAdam Smith議員は、戦略無きママ予算だけが増大していく核兵器近代化の現状に警鐘を鳴らしました。

例えば、限られた予算や将来の抑止を考えれば、またサイバー空間や特殊作戦の重要性が増す中、核抑止の3本柱維持が今後も効率的なのか・・・などの論点を提示し、これまでと同様の方向性を持った戦略では、予算面でも、抑止効果面でも、国防任務を果たせないと危機感を訴えました

この講演を伝える報道によれば、この考え方は同議員だけにとどまらず、民主党の上院と下院両方の主張らしく、今後のNPRの論点とも思われますのでご紹介します

21日付米空軍協会web記事によれば
B-2takeoff.jpg●上院と下院の民主党議員は、トランプ政権により行われているNPRでの全核戦力の更新や近代化に対し、こぞって懸念を表明した
●20日、CAP(Center for American Progress)で講演したAdam Smith下院議員は、このまま行けば国防費は、2018年度予算案の70兆5000億円から、 軽々と年間100兆円を超えるだろうと警鐘を鳴らした

●そして同議員は、核兵器近代化の最大の課題を、戦略の欠如、と表現した。そしてこの分野では常に予算不足が叫ばれるが、一方で国防省は何を優先すべきかについて決定できないでいるとも語った
●具体的に同議員は「仮に65兆円規模の国防予算だけ認められても、米国は国家として国家安全保障ニーズを満たす行動をする必要がある」と語った

Ohio-Class3.jpg●国防における効率性を追及するとすれば、核戦力の近代化分野は、最も明確に予算を節約できる分野である。そのためには、より良い抑止戦略を持つ必要があり、そうでないとロシアとの軍拡競争に引き戻されるリスクがあると述べ、
●より焦点を絞った抑止戦力により、核兵器量を削減しつつ、信頼のおける抑止体制を確立できると同議員は語り、個人的には、3本柱がいまだ有効なのか検証が必要だと確信すると説明した

●そして「個人的な意見だが、核抑止の3本柱が今も有効なのか検証する必要があると考えている。本当にICBMは必要なのか?」と付け加えた
●更に同議員は、バランスの取れた抑止戦略の下では、伝統的な軍事分野への予算配分と合わせ、サイバー戦や特殊作戦能力への投資が含まれるだろうし、同盟国等の力を米国の安全保障に活用することも重要だと主張した

Minuteman III 4.jpg●同議員は、抑止戦略や今次のNPRにとって極めて重要なのは、予算規模にフィットしつつ安全保障目的を達成可能な「限定的な核抑止戦略の在り方」だと訴えた(あわせて、民主党としての考え方だと語った。多分)

●一方上院では、22名の共和党議員が連名の書簡を米国政府に出し、NPRでは一般公開可能なバージョンも作成し、また米国の伝統的姿勢である究極的な核兵器廃絶へのコミットメントを明示すべきだと求めた
●更に同書簡では、現在米国が批准している軍備管理の条約をNPRは順守しなければならないと強く求め、更に「新たな核兵器の要求を拒否せよ」「米国は軍備管理と不拡散分野で世界のリーダーであり続けるべきだ」との表現も含まれている

推定される国防省のNPR姿勢
●3月にPaul Selva統合参謀本部副議長、「核抑止の3本柱全てを近代化することが統合参謀本部の最優先課題だ」と語り、その理由を「米国の存亡にかかわる唯一の脅威が核兵器だから」と説明している
●また6月には John Hyten 米戦略軍司令官が議会で、「核抑止3本柱の近代化を、どの分野であれ遅らせてはならない。近代化を遅らせれば、他国との競争についていけないと懸念している」と証言している
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Adam Smith.jpg前オバマ政権に代表される米国民主党の典型的な考え方ですが、現在のトランプ政権のドタバタ具合からすれば、共和党政権内にも民主党の考え方に似たスタンスの議員は、相当数存在すると推定いたします

老朽化著しい核兵器や関連施設の更新や近代化には、ざっくり「130兆円」が必要と言われているようですから、一言いいたくなるのは当然でしょう・・・

重要だと思うのは、このブログでも繰り返しご紹介してきましたが、サイバーや宇宙など新たなドメインが、一般国民を巻き込んで影響力が大きく、匿名性があり、いつどこから攻撃を受けたか迅速な特定が困難な特性を持ち、核兵器による抑止が有効なのか?・・・という点です。

更に、このサイバーや宇宙や特殊作戦を絡めて、限られた予算内で、どのような国家としての抑止戦略を持ち、その中で核抑止を位置づけ、NPRで表現するかということです
日本では未だに議論をする環境が整わない分野ですので、米国の議論動向で今後もお勉強いたしましょう

21世紀の抑止概念を目指す
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「相殺戦略特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「期限を過ぎてもサイバー戦略発表なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25

NPR(核態勢見直し)関連
「マティス長官がNPRに言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-15-1
「トランプ政権NPRの課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09
「2010年NPR発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07
「NPR発表3回目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-02
「バイデンが大幅核削減を公言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-19

米新政権の国防予算を考える
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

ロシアのINF条約破り
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

戦術核兵器とF-35記事など
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ICBM後継に関する記事
「初のオーバーホールICBM基地」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-15
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

オハイオ級SSBNの後継艦計画関連
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「SLBMは延命の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

「RAND:中国の核兵器戦略に変化の兆し」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-19

三浦瑠璃女史の北朝鮮と核持ち込み
http://lullymiura.hatenadiary.jp/entry/2017/04/24/000359

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性同一性障害者を米軍は受け入れない宣言 [ふと考えること]

trump trans3.jpg26日、トランプ大統領がいきなりツイートで、「transgender(自らの性別と心の性が一致しないことから、反対の性で生きようとする人)が、米軍で勤務することを認めない」と宣言し、オバマ政権下で進んできた7月31日からの「transgender受け入れ方針」をちゃぶ台返ししました

まず「transgender」との言葉が意味するのが、「性同一性障害」の悩みを抱えている人なのか、または既に性転換してしまっている人なのかよく分かっておらず、加えて、今現在、「transgender」の人が米軍内でどのような扱いを受けいているか把握していないのですがオバマ政権と反対の道を行く典型的な事例として今後話題になるので、取り上げます

Trump Coast-G3.jpgそもそも背景にあるのは、オバマ政権時代の2016年6月30日に、当時のカーター国防長官が2017年7月31日までに「transgenderを受け入れる」と発表したことがアリます。
この流れは、米軍の同性愛者に対する基本姿勢「聞かない、言わない方針」を撤廃したオバマ大統領の意向を受けたものです。

これを受け、例えば米空軍は昨年10月、「transgender」兵士が性転換することの条件として、「guidance on deployments, fitness standards, and dress」等について基本方針メモを出していたようです。

しかしトランプ政権誕生後、また今年の7月31日の「受け入れ期限」が迫るにつれ、国防省や米軍内の雰囲気が変わり始め、6月30日にはマティス長官が、2017年12月1日まで「受け入れ」期限を延長し、影響を再精査し見極めると発表したところでした

27日付米空軍協会web記事によれば
trump trans2.jpg●26日トランプ大統領はツイートで、「米軍の将軍達や軍事専門家と協議した結果、米国はtransgenderを米軍で受け入れず、かつ米軍で働くことを認めない」とツイートした
●更に「我が軍は決定的で圧倒的な勝利に集中しなければならないのに、受け入れによる医療コストの増大や、受け入れによる国防省の混乱(disruption)が、とてつもなく大きな負担になる」と理由を説明した

●昨年RAND研究所が発表した関連レポートによれば、米軍の正規兵の中には推定で1,320~6,630名の「transgender」が存在し、その中の一部少数が「性転換手続き:gender-transition treatment」を求めている
●また同レポートは、「受け入れ」によるコスト増加は、年間約3億円から9億円と見積もっている

翌27日、ダンフォード統合参謀本部議長は
Dunford5.jpg●(大統領のツイートに関わらず、)大統領からマティス国防長官に指示がアリ、それを受けて国防長官が何らかの実施事項を示すまで、米軍として現在の方針を何も変更することはない
●我々は引き続き、所属する全ての構成員に尊厳を持って対応する。何よりも重要なことは、今行われている戦いに引き続き集中し、与えられた任務を遂行することである
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脳腫瘍の手術明けであるマケイン議員は、なぜ重要な発表事項をツイッターで行うのか、と不快感を示していますが、この程度で収まるはずもありません

「transgender」の人達は当然声を上げ始めており、今後、根本的な「transgender」に関する議論に発展しそうです。

ところで・・・日本ではどうなっているんでしょう・・・どうするんでしょうか???

米軍内の同性愛者に対する「尋ねない、語らない(Don't ask Don't tell)」基本方針を変更しようと議論が始まった当時に、ゲーツ国防長官が兵士達に発したメッセージ
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-01

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米軍が第一列島線東から発射可能なASMへ [米空軍]

小さなニュースだが、その意味するところは極めて大
第一列島線の東側から中国大陸に届く射程へJASSM改修へ

JASSM-ER5.jpg19日、Lockheed Martin社が、米空軍と空対地ミサイルJASSMの射程を延長するための翼改修の契約延長を約40億円で結んだと発表しました。ただし、どれだけ射程を延伸することを狙った改修かは明らかになっていません

JASSMは「Joint Air-to-Surface Standoff Missile」の略で、航空機から発射して地上目標を攻撃するステルス性を持つ空対地ミサイルで、現在2150発が米空軍に提供されています。

JASSM-ER7.jpg初期型のJASSMが射程200nm(360km)で、その後改良された射程延伸型JASSM-ER(Extended Range)は射程540nm(1000km)で、射程延伸型JASSM-ERはちょうど、第一列島線上空から中国沿岸部を攻撃できる射程を持つことになります

従って、射程延伸型JASSM-ERより更に射程を延伸すると言うことは、第一列島線の西側(つまり東シナ海)に入ってJASSMを発射することが既に難しいとの認識はあったが、中国のA2AD能力向上に伴い、第一列島線より更に東方の離れた位置からでないと、中国大陸に向けたASMは発射できないとの判断に米空軍が至ったとも解釈できます。

言い換えれば、日本列島の西側は、中国のA2AD圏内に入ったとも考えられます。
JASSM射程延伸の改修へ向けた動きは、たった40億円の小さな契約ですが、こんな風にも解釈できる大きなニュースだと思いご紹介します

まずJAASMの概要
JASSM-ER4.jpgJASSMは1995年から開発が始まり、実験の失敗等で紆余曲折はあったが2001年に初期量産を開始。敵防空網の射程外から発射され、強固な構造を持つバンカーや、ミサイル発射機などの攻撃を行う目的を持つ空中発射ミサイル。対艦ミサイル版のLRASMもある
●低コストの開発を念頭に、画像赤外線センサーは陸軍の対戦車ミサイル「ジャベリン」から、ターボジェット・エンジンは対艦ミサイル「ハープーン」からと、既存部品を多用している

●航空機から投下されると翼を展開、ターボジェットを始動する。途中、INSとGPSにより誘導され、レーダーに見つかりにくい低空を速度マック0.8で飛行する。
●目標に接近すると画像赤外線センサーにより目標を識別、急上昇してから70度の角度で急降下、突入破壊する。命中精度CEPは約3m

●中央部分の弾頭はタングステン製454kgの貫通モード、または爆風・破片モードを選択可能な多機能弾頭で、貫通力はBLU-109Bと同等とされる
地下施設や強固な施設には貫通モードで、ミサイル発射機やレーダー施設に対しては上空で爆発して爆風と破片を放出する

JASSM-ER9.jpg搭載可能な航空機は、B-2、B-1、B-52H爆撃機、F-15E、F-16戦闘爆撃機など多様
●「JASSM-ER」と「JASSM」の違いは、より大きな燃料タンクと効率の良いエンジンの搭載で射程距離が2.5倍の575マイル(約925km)に延伸したこと。またGPS妨害に対抗できる機能を付加したこと。更にデータリンクを追加装備したことである。

●「JASSM-ER」と「JASSM」は7割が共通部品で構成されており、製造コストの低減に貢献している。
●米空軍は2020年台の製造終了までに、2,400発のJASSM(1発約1億円)と、3,000発のJASSM-ER(1発約1.6億円)を購入予定

25日付Defense-News記事等によれば 
JASSM-ER8.jpgLockheed Martin社のJAASM計画責任者Jason Denney氏は、「A2AD脅威環境で操縦者の生存性を向上させる新たなデザインを開発している」、「我が社の顧客の皆さんは、証明済みのJAASM性能を信頼頂いているが、前線部隊に更なる能力向上型を提供できることを楽しみにしている」と語った
●ロシア製のS-300やS-400と言った高性能地対空ミサイルSAMが登場して世界に拡散する中、これら兵器を使用するA2ADにより、第4世代機の能力発揮できるエリアが制限されつつある

●配備が始まったばかりのF-35や、配備開始が2020年代半ば以降になる次期爆撃機B-21はステルス性も活用して強固な敵防空網を突破できるかも知れないが、しばらくは米軍航空戦力の多数派であるF-15EやF-16C、海軍のFA-18はそうはいかない
●低空を高速で飛行可能なB-1B爆撃機も、JASSMとJASSM-ERの両方が搭載可能だが、強固に防御された敵防空網の突破能力には限界がある

●なお、JASSM-ERの能力を確認した米海軍は、JASSMを対艦ミサイル用に改良することにDARPAと共に着手しており、LRASM(Long Range Anti-Ship Missile:AGM-158C)としてB-1には2018年から、FA-18には2019年から搭載開始される予定である
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最近の北朝鮮絡みで、米軍が韓国展開部隊にJAASMを配備すると発表して大きな話題となりました。

JASSM-ER3.jpgまた昨年11月末、米国がポーランドにJAASM(又はER型)70発を、関連装備を含め僅か200億円で提供すると発表して注目を集めています。何とお得な投資でしょう。何とか日本のF-15JやF-2に搭載可能にして、有効活用できないものでしょうか?

1機が100億円以上する戦闘機の数を減らしてでも、平時からグレーゾーン付近でしか活躍が期待できないであろう戦闘機の要求性能を落としてでも、この様な長射程兵器を導入する方向に、考え方を改めていくべきと考えます

米国も輸出に前向きになったようですし、費用対効果の面でも、日本の置かれた地理的な戦術環境からしても・・・

JASSM関連の記事
「ポーランドに70発輸出承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30
「B-52をJASSM搭載に改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「JASSM-ERを本格生産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1
「空中発射巡航ミサイルの後継」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-12-1
「JASSM-ER最終試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-10-1

LRASM関連の記事
「LRASM開発状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17-1
「米軍は対艦ミサイル開発に力点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
「ASB検討室の重視10項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-04
「LRASMの試験開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-23
「新対艦ミサイルLRASM」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

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空中水上水中が全て可能な無人機開発 [Joint・統合参謀本部]

鳥だ、魚だ、いやNaviatorだ!

naviator.jpg21日、米海軍研究室ONR主催の科学技術展示会で、同研究室と大学が共同開発している「空中水上水中の全てで活動可能」な無人機「Naviator」が披露され、展示会を訪れた人々の関心を集めました。

この「Naviator」の用途としては、機雷の捜索や対処、港湾内や艦艇の水中部分の観察検索や調査、更に発展すれば特殊部隊用の偵察、監視、作戦用への応用も考えられ、今後開発は基礎的なモノからより大型のモノへ発展していくようです

映像等でご紹介するのは幅40cm程度の大きさですが、次の段階では、幅2m程度で約15kgの装備を搭載可能な無人機の開発が構想されており、色々な応用が想定されているようです

21日付DODBuzz記事によれば
Naviator3.jpg●21日、米海軍研究室ONR主催の科学技術展示会(Naval Future Force Science and Technology EXPO)で、Rutgers大学のチームが、初の空中水上水中無人機(unmanned hybrid aerial-aquatic vehicle)である「Naviator」の展示を行った
●「Naviator」は水深約10mまで潜ることが可能で、水中及び水面の移動が可能で、また水面から空に舞うことも可能である。

●同無人機は、同大学がONRからの資金援助を受け開発しているもので、機雷対策や港湾の治安確保などなどに活用が考えられている
●同開発計画担当の(同大学内組織の)副社長であるMarc Contarino博士は、特殊部隊も「Naviator」に関心を寄せており、360度視野のある耐水カメラを搭載し、港湾や橋や艦船の臨検等々に使用する事も想定されている

映像:EXPOでの展示模様(約4分)


●同副社長は、「特殊部隊は何が必要かを事細かに語ってくれないが、スピードと発見されにくいことが重要なことは我々にも判っている」、「だからなるべく高速で移動できるよう設計を行っている」と語っている
●展示された「Naviator」は市販の無人機程度の大きさだが、同副社長は、米海軍が機雷対処任務を担える搭載重量約15kgの能力を持ち、風速50m程度の風や1.5mの波でも運用可能な、幅約2mの無人機作成の計画を練っている。

Naviator2.jpg●開発担当者達は、既に「Naviator」を実際の環境でも試験しており、橋や船舶から発進させて水中活動まで行っているが、「海軍がスポンサーなので、最大級の艦艇でも試してみた」と副社長は語っている
●今後は、2018年開始の第2段階開発契約で、より活動範囲や能力を拡張する試みがなされ、例えば推進30mまで潜水可能なモデルを目指すことになる。

●同副社長は、米海軍が望むなら、水中を主でも、空中を主でも使用可能であり、その境界を意識することなく使用できる無人機の開発に今後も努力すると意気込みを語った
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ありそうでなかったモノが実現しつつあると言う事でしょうか・・・。

この形状で水中でも活動できる当たりにノウハウがあるのでしょうか。水中での移動速度が気になるところですが、有人機で実現出来ないのものが、無人機でなら実現可能・・・そんな典型的な事例のような気がします

最近の無人機関連記事
「海兵隊が苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-17
「ACC司令官が対処権限を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-15
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「DroneDefenderをご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30
「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
「群れで艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

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米海軍のFA-18後継機は航続距離と速度優先!? [Joint・統合参謀本部]

米海軍は「行動半径」と「速度」重視へ!?

NGAD4.jpg21日付Defense-Newsが、昨年1月から米海軍が開始しているFA-18(EA-18Gを含む)の後継となる次世代制空機NGAD検討の状況について、担当海軍大佐の話を紹介しています。

早くても来年4月まで検討結果はまとまらないとの事ですが、既に検討開始から1年半が経過していることから、どのような能力を必要としているのかの方向性は見えつつあるようで、細部に言及はないものの、冒頭の様な話が示唆されています

米空軍もほぼ同時並行的に次期制空機PCAの検討を行っていますが、こちらからは「速度や機動性」より、「搭載量」と「航続距離」を従来より重く見るとの話も漏れ聞こえてきており、この辺りの対比が興味深い所です

ただ共通なのは、「機数」を確保したいことから、「価格」や「維持整備コスト」については両軍とも非常に敏感になっている点で、意地悪く言えば、戦闘機パイロット数を維持したい思いに溢れている点です。

21日付Defense-News記事によれば
NGAD2.jpg●米海軍研究所(ONR)の科学技術展示会で、米海軍NGAD(Next Generation Air Dominance)の要求性能を検討しているRichard Brophy大佐がパネル討議に参加し、まだ要検討事項が多数残っていると前置きを置きつつも、検討状況について語った
●なお、NGADとの表現は、米空軍戦闘コマンドACCも使用しているが、海軍と空軍が共同で検討を行っているわけではなく、時折、情報交換を行っている程度である

●検討はまず、NGADを導入しない可能性の検討から開始し、FA-18が2030年代から退役を開始することから、NGAD検討と導入が必要だとの方向が確認された。次に2040年代の脅威見積もりを踏まえ、FA-18の追加購入で対応可能か、またFA-18等の改修や近代化で能力向上させた機体の追加購入で対処可能かも検討する。
●そしてそれら検討の結果、問題があると分析が出れば、革新的な能力を持つNGAD機の開発をスタートすべきかの段階に進む。しかしいずれにしても、まとまった数の機体を必要とすることから、単価やコストを低く抑える必要がある。

Brophy大佐が注目の性能項目に言及
NG-6th2.jpg何を重視し、何を犠牲にするかについて、幅広い可能性を検討しており、この際、航空機自体だけで無く艦艇搭載装備や他の航空アセットを含めたトータルな「family of systems」が、任務を分担して総合的な戦略を発揮する姿をイメージしている
●そんな中ではあるが、Ray Mabus前海軍長官が要望していた、「無人機、またはオプションとして有人機もあり得る:unmanned or optionally manned」との考え方もあり、人工知能AIや無人化については当然検討の対象になっている

一つの重要要素となるのが、今の空母艦載機の弱点を克服するより長い行動半径であろう。ここで尺度とすべきは、単に航空機自体の行動半径「range」だけでなく、搭載兵器がどれだけ遠くまで到達できるかを示す「reach」との概念であろう
●これを考えるには推進装置の燃費も鍵となり、より長時間・より遠くへ給油無しで到達できれば、大きな改善となる

もう一つの重要要素は、F-14トムキャット時代を思い起こさせる「高速飛行の要求」である
海軍は伝統的に、空軍よりステルスを懐疑的に見て居るが、NGADではステルス性の取り込みを考えている。しかし、F-35計画と同じようにステルス性を重視するかと言えば疑問符が付く

NGAD3.jpg敵の脅威下での残存性は必要だが、ステルス性はその方程式におけるチャフやフレアーと同種の一つの変数に過ぎない。ステルスは何時も敵に対して有効とは限らないが、助けにはなると考えている
ステルス性は将来設計の一部分となろうし、どの国でもそのように考えるだろうし、おそらくNGADの一部となるだろう

●米海軍研究所の航空科学担当者Bill Nickerson氏は、ステルスの他にも、残存性を強化する方策として、超軽量装甲や対エネルギー兵器技術の研究にも投資していると語った
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ステルスに関し、米空軍への対抗心が見え見えのようで興味深いです。「ステルス性は・・・チャフやフレアーと同種の一つの変数に過ぎない」とは、ある面で正しい表現なのでしょう

「無人機、またはオプションとして有人機もあり得る:unmanned or optionally manned」との考え方は、次期爆撃機B-21の検討段階でも使用された表現ですが、B-21では完全に無視され、「当面は有人機で行く」との言い訳で実質無人機オプションを葬ったと同じ道を歩むのでしょう

NGAD.jpg「速度重視」はよく分かりません。航空機を狙う対空兵器の性能は飛躍的に向上すると見られ、多少速度や機動性が向上しても、それら防空兵器から簡単には逃れられない・・・がCSBAや米空軍の考え方だと・・・は認識しているからです

いずれにしても、海軍と空軍の検討に今後も注目致しましょう。そして、日本の戦闘機命派の後進性を指摘する材料として蓄積しておきましょう

米海軍NGADの検討
「米海軍もNGAD検討開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-24

米空軍次期制空機PCAの検討
「PCAの検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

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ソフト開発&更新体制を刷新せよ! [Joint・統合参謀本部]

いつもこの女性大将の発言には考えさせられます

Pawlikowski3.jpg14日、米空軍協会の朝食会で講演した米空軍マテリアルコマンド司令官Ellen Pawlikowski大将が、米空軍はハード開発に重きを置きがちで、今や装備品開発のカギとなているソフト開発や管理体制が旧体然としたままで大きな問題となっていると危機感を訴えました

米軍のみならず、世界中の軍事装備品の開発は「遅延と予算超過」が常態化しており、「亡国のF-35」もソフト開発の大幅遅延とトラブル続出であることはご案内の通りです。

先週13日にも、米空軍がNorthrop Grumman 社に20年以上業務委託してきた米空軍航空作戦センターAOCのソフト開発・維持管理を打ち切り、「開拓者プロジェクト:pathfinder」として国防省と米空軍独自に取り組むことを発表したところでした。

そしてこの背景には、当初約350億円規模で始まったサイバー対策強化やオープンアーキテクチャー化が主目的のソフト改修が、700億円を超える状態になってしまっていることがあります。

Pawlikowski司令官は講演で
pawlikowski11.jpg米空軍はいくつかの先駆者的なプロジェクトとして、兵站分野や事務業務分野で新たなソフト開発手法に取り組んでいる。
●そしてその一つが、先週発表された米空軍航空作戦センターの新プロジェクトで、旧来の国防省手法を捨て去り、民間分野のソフト開発手法を導入しようとする試みである

●抱える問題は深刻で、ソフトが装備品の中核的位置を占める時代に、またマルチドメイン指揮統制や意思決定が決定的な役割を果たす時代に、ソフト開発や管理体制が置き去りにされてるからである
●伝統的な国防省の装備品開発には、新たなソフト開発や更新を迅速に行う仕組みが欠落している。典型的な区切りである「preliminary design review」は、ソフト開発にとって何の意味もない

●また国防省の装備品開発では、ソフト開発者と装備使用者・運用者間に大きな壁があり、現場のニーズをソフト開発に迅速に反映させることを阻んでいる
ソフトの変更権限を「大将レベル」に置いていることも迅速さを欠く要因であり、変更改修権限を下位に移譲することも重要だ。少将や准将レベルに権限を委任してもよいし、より下位に任せてもよいだろう

組織文化や予算科目の整理にも言及
Pawlikowski4.jpg旧式のシステムを早く用途廃止にして、「恐竜をジェット機と結びつけるような」困難なソフト開発の必要性をなくすことも重要だ
●更に「リスクを全く許容しない組織文化」を変えていくことも必要だ。2014年まで私が指揮官を務めた「Space and Missile Systems Center」では、だれも初めて国家安全保障関連打ち上げに失敗した指揮官になりたくないと、慎重すぎる組織文化がみられたが、リスクを許容する必要性を訴え続けた

●最後に、どの予算科目をソフト開発に利用するかの混乱や葛藤も、円滑なソフト開発の障害であることを指摘しておく。つまりソフトの改修や近代化予算が、研究開発費か運用管理費なのか不明確なことが多く、誰が責任者なのかも不明確なことがある。国防省として「ソフト開発費」を設定することも一つの解決策
●組織的な課題への対処策として、米空軍は運用者とソフト開発者を緊密にする「ソフトウェアチーム」設置に取り組んでおり、「ソフトウェア隊」に拡充するアイディアも検討している

●先駆者的取り組みは、兵站や事務業務分野に今は限定しているが、将来的にはよりリスクが高い作戦飛行計画作成ソフトなどにも応用できれば良い
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Pawlikowski6.jpg女性大将の草分けであるPawlikowski司令官ですが、並々ならぬご苦労とご努力の末に現在の地位を得られただけあり、他の男性将軍とは一味異なる視点や広い視点で話をされることが多いように思います。

だから軍事メディアも以下の過去記事ように多様な分野で、Pawlikowski司令官の発言を頻繁に取り上げています。米空軍研究所(AFRL)を配下に持つ司令官とはいえ、その守備範囲の広さに驚かされます。

このような「お手本」のところに、日本の女性自衛官を派遣して薫陶を受けさせることも、よいアイディアではないでしょうか?

Pawlikowski司令官関連
「初のICBM施設大規模修理」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-15
「軽攻撃機のデモ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07
「ソフト更新とサイバー対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-21

「レーザーの現状を冷静に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24
「米空軍の戦略計画チームを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-25-1
「次世代制空機の検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-23

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ハワイ当局が北の核攻撃に備え住民教育開始 [ふと考えること]

15キロトンが高度300mで爆発を想定し・・・
「get inside, stay inside, and stay tuned」

Hawaii Emer1.jpg22日、ハワイの緊急事態対処庁が北朝鮮からの核ミサイル攻撃に備え、住民への対処要領の普及や警報サイレンの準備に取りかかったとハワイのテレビ局HNNが報じました。

北朝鮮が立て続けに弾道ミサイル発射試験を行っていることから、日本でも「Jアラート」とか、ネット画面のポップアップ関連広報が目に触れる機会が増えたような気がしますが、米国で初めてこの種の訓練に取り組むのがハワイ州になった模様です

「住民を驚かせる意図はない」とか、「観光産業から懸念の声」とか、なかなか苦労もありそうですが、時代の大きな変化を感じる出来事ですので、約2分半の関連ニュース映像とともにご紹介します

ハワイTV局HNNのweb記事によれば
Hawaii Emer.jpg●ハワイの緊急事態対処庁(Hawaii Emergency Management Agency)が、北朝鮮からの核ミサイルに備え、住民や旅行者に対し、そのとき如何に対応するかに関しての教育キャンペーンを開始しています。
緊急事態対処庁は、現時点で実際に攻撃を受ける可能性は「低い:Low」との見積もりを示しつつも、北朝鮮の相次ぐミサイルテストを受け、住民の不安感も増しているとして、被害対処計画や準備を開始した

●同庁のVern Miyagi行政官は、対処計画作成や訓練や教育キャンペーンによって、一般国民が過度に恐怖感を感じることがあってはならないいと強調し、ハリケーンや津波への備えと同様に、「当局が準備していることを知ってもらう事が必要だ」と説明している
●一方で、「我々には全ての災害に備える責務がアリ、国民に不必要なストレスを引き起こすことは望まないが、備えに取り組む」とも語った

Hawaii Emer2.jpg●計画上では、最悪のシナリオとして、ハワイの上空約300mで15キロトン(広島原爆と同規模)の核兵器が爆発したことを想定している。
●計算上では、北朝鮮からハワイまでのICBMの到達時間は約20分間で、ミサイルが到達するまでに、住民には8~12分間の対処猶予時間がある模様。

●対処要領の教育キャンペーンでは、ミサイル攻撃が察知された際は、「get inside, stay inside, and stay tuned」(建物の中に隠れろ、外に出るな、TVやラジオで情報収集せよ)と住民に促すことになっている
冷戦時には、核兵器攻撃を想定したこの様な計画や訓練が定期的にハワイでも行われていたが、脅威が薄れると共に計画や訓練の習慣は失われていった

ハワイTV(HNN)のニュース映像(約2分半)
Hawaii News Now - KGMB and KHNL

●対処庁の関係者は、「我々は北朝鮮の意図や能力を正確に把握しているわけでは無いが、北朝鮮が米国に到達するような弾道ミサイル開発に取り組んでいるのは明白である」、「従って、いざという時に住民が如何に行動すべきかについて教育普及を開始することを、待っていられない」と語っている

Hawaii Emer4.jpg●一方で、観光産業への影響が懸念されている。ハワイ観光局の渉外課長は「我々は、自然災害であれ、人為的な危機であれ、ハワイの民生への危機に準備する緊急事態対処庁の取り組みを支持する」と述べる一方で、
●「観光産業関係者の間では、もし諸準備に関する動きを観光客に誤解されたら、観光客や旅行者のハワイ離れを招くとの懸念の声も聞かれる。そうなれば、観光業に多くを依存している地元経済への影響を懸念する声も出てくるだろう」とやんわりとながら警戒感も示した
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縁起でもないですが、ホノルルや太平洋艦隊の基地がある真珠湾上空約300mで15キロトン(広島原爆と同規模)の核兵器が爆発したら・・・。

Hawaii Emer3.jpgハワイの緊急事態対処庁の被害想定をぜひ拝見したいものです。そのまま、横須賀や嘉手納や三沢や佐世保や横田や岩国にも当てはめることが出来ましょうし、霞ヶ関上空も考えられましょう

日本の自治体の皆さんも、地方議員の皆様も、国会議員の皆様も、こぞってハワイ研修旅行の口実が出来ましたよ! しっかり見て調べて、報告書を書いて下さいね

それにしても、冒頭でご紹介したハワイ緊急事態対処庁のシンボルマークが、あまりにも「核爆発」そのもののイメージなのでちょっと物議をかもしそうです。日本なら絶対・・・マスごみが

米空軍は中国の攻撃に備え
「被害に備えF-22緊急展開訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

「米軍被害復旧部隊を沖縄から追い出した日本」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1

空自OBが対領空侵犯措置の効果を疑問視
「対領侵中心の体制見直しを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1

いつまで戦闘機だけを優先するの???
F-3開発の悲劇と日本への提言http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
F-35の主要課題http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17

台湾の国防政策を提言
「RAND:台湾は戦闘機中心を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-07
「慶応神保氏:台湾の劣勢戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25
「CSBA:台湾は弱者の戦法を」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27

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米海兵隊が小型ドローン対処に悩む [Joint・統合参謀本部]

日本でも絶対考えなきゃ!

ISIS drone 3.jpg13日、ワシントンDCで開催された軍事メディア主催の軍事技術会議&展示会で、米海兵隊の施設防衛を担当する大佐が講演し、小型ドローンの脅威は急速に高まっているが、これに対処する装備や技術を見つけられていないと語りました

前職で海兵隊内の無人機運用部隊の指揮官だったChe Bolden大佐は、無人機の特性や急速な発達を身をもって経験した人物だけに、事態が切実であることが伺えます

一方で、米国内での無人機使用に関する規則強化については消極的なようで、むしろ規則で縛ることで、小型ドローンの有効性や新たな使用法の開拓が妨げれれることを懸念している点が興味深いです。

米空軍ACC司令官が訴えている、航空機の安全運航や基地施設の防衛に関する危機感は薄いようです。これは基地を基盤に高価なアセットを運用する空軍と、基地から外に展開して活動する海兵隊の違いでしょう

14日付Defense-Tech記事によれば
ISIS drone 5.jpg市販の小型ドローンの能力が急速に向上し、世界中で容易に入手できるようになる中、ISISなどの敵対勢力も、これを米軍部隊への偵察や攻撃に使用し始めているが、米海兵隊はこの新たな脅威に対処する防御兵器探しに依然苦労している
米海兵隊施設コマンドの長期戦略部長補佐のBolden大佐は、小型ドローン対処は非常に複雑な課題であると「Defense One」主催の「Tech Summit」で語った

●同大佐は「市販の小型ドローン技術の急速な拡散により、部隊が直面する脅威は日々悪化している」、「我々は対処コンセプトの開発に取り組んでいるが、対処兵器や技術を発見できていない」と現状を語った

ISIS drone 4.jpg●海兵隊は既に、ライフルのような形状をした小型無人機対処兵器「DroneDefender」の実地テストを行っているが、一つのドローンの操作電波を遮断して無効化したり、操作を乗っ取ったりするこの装備を、本格的に導入する決定には至っていない

●海兵隊は、他にも幾つかのドローン対処技術を慎重に見極めている。その一環で今年4月、ドローン対策企業である「Sensofusion」と契約し、電波を使用して小型ドローンから基地や拠点を守る「防御策柵:defensive perimeter」を張る構想の「AIRFENCE」技術開発を行っている

点を守ること、エリアを守ること、そして敵攻撃を緩和することはそれぞれ異なり、異なった対処や装備やコンセプトが必要だ。

ISIS drone 2.jpg●中でも、多様な施設が分散して存在する基地を小型ドローンから守ることは難しい常続的に施設周辺の空や地上を監視し続けることは容易ではないのだ。だからいろんな手法や技術を検討しているのだ

米国内での無人機運用や無人機からの防御に関して、国内規則強化には海兵隊は積極的ではない。たとえ規制強化で無人機からの脅威問題が緩和されたとしてもである
●同大佐は「無人機の悪い側面に着目して規制強化を進めれば進めるほど、小型ドローンのような新たな技術の良い側面に、自ら扉を閉ざすことにもなる」、「私の立場からすれば、無人や自律化システムを活用する機会や利点を追及しており、規制はそのような機会を奪うものであってはいけない」との考えを述べた
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最後の「国内規制強化」に関する部分は、同大佐の個人的な意見か、海兵隊としての意見か不明ですが、攻撃と防御は表裏一体ですので、小型ドローンを使用した新たな戦術や作戦を海兵隊として検討しているのかもしれません。

ISIS drone.jpgいずれにしても、小型ドローン、市販ドローンの脅威は無視できません
派手な攻撃でなくても、滑走路や航空機駐機エリアに、ボルトや釘をバラまくだけで、航空機の運用を一時的にでも妨害することができますし、ACC司令官が懸念していたように、戦闘機エンジンの空気取り込み口に突っ込ませるだけで、エンジンを故障させることが可能でしょう

自衛隊の中期計画に、そのような配慮はあるでしょうか? 期待薄でしょうねぇ・・・。航空基地の脆弱性を語れば、戦闘機への投資に疑問を生む可能性がありますから・・・

無人機対処装備の関連記事
「ACC司令官が対処権限を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-15
「イスラエル製を17億円で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-28
「DroneDefenderをご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30

「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
「群れで艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

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危険な民間ドローンへの対処権限をくれ! [米空軍]

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HOLMES4.JPG11日、米空軍協会のイベントで講演した米空軍戦闘コマンド司令官(ACC)Mike Holmes大将は、7月3日の週に連続して発生した民間小型無人機の空軍基地への侵入と空軍戦闘機との異常接近事案への強い懸念を示し、米軍に危険な民間無人機の撃墜や無効化権限を与えるべきだと訴えました

現時点では、細部は非公開ながら、米軍の核兵器関連施設に対する民間ドローン接近には、軍の施設管理者にある程度の対処権限が認められているようですが、その他の軍施設については「許可なく5nm以内に近づくべからず」との米連邦航空局FAA規則が存在するだけで、違反したドローンへの対処権限は不明確なようです

このような問題は、民間セスナなど小型有人機への対処規定を、そのまま小型ドローンにも適応していることから生じていますが、セスナ機などは比較的追跡や操縦者の特定が容易ですが、小型ドローンの場合は困難であり、小型ドローンによる基地攻撃の恐れも決して杞憂ではありません

Mike Holmes戦闘コマンド司令官の訴え
Holmes-AFA.jpg7月3日の週のある日、2件の事案が連続して発生した。一つは基地の警備員が基地ゲート上空を飛行する無人機を発見し、同機が航空機待機エリア上空をしばらくの間飛行した後、ほぼ同じルートを戻って基地外に飛び去った事案である。この様な無人機に対し、私は何ら対応することができない
●もう一つは、同じ日に、無人機がF-22に接近し、あわや衝突寸前にまで至った事案である。この事案においても、ACC司令官には、ほとんど対処権限が与えられていない

軍司令官に何ら権限が与えられていない背景には、民間ドローンが小型有人機と同様の扱いを受けていることがある
●しかし小型有人機が規則を犯して軍基地上空を飛行したなら、容易に追跡され、FAAから免許をはく奪される等の処罰を受けるが、小型ドローンの操作者を特定することは極めて難しい

small drones.jpg想像してほしい。誰かが小型兵器を搭載した数百機の無人機を操作し、F-22エンジンの空気取り入れ口に向け飛行させることをこのような攻撃に対処できる権限が必要なのだ
●本件に関し米空軍報道官は、軍隊は自己防衛の権限を有しており、この考え方は小型無人機にも適応されるべきで、一般国民が無人機を安全に活用する権限を害することなく、米空軍は対処オプションを拡充する法的解釈拡大を追及している、とコメントしている

核兵器施設には特別規定が
昨年9月、米空軍の核兵器を管理するGSC司令官Robin Rand大将が核兵器施設への無人機接近の問題を訴えたことを受け、同関連施設に関しては軍司令官に対処の法的措置がなされた模様
●具体的にどの程度の権限が許可されたのかは明らかになっていないが、今年4月にJohn Hyten米戦略コマンド司令官は議会で、ICBM発射施設や戦略原潜基地周辺などを飛行するドローンへの対処規定を定めたと証言している

●米空軍ACCは、核施設を対象とした規定の適用範囲拡大を米空軍司令部に要請する予定で、現在FAAなど関係機関と協議を行っていると司令同官は説明した
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他のメディアによれば、ACC司令官はいきなり撃墜したいと主張しているわけではなく、例えばドローン操作電波を妨害して強制着陸させたり、捕獲して調査したりと段階的な対処も考えているようです。

small drones3.jpg自衛隊は大丈夫なんでしょうか? 民間飛行場なんかも安心できないと思います。・・・でも、首相官邸の屋上に小型ドローンが着陸しても、緩やかな法律ができる程度ですから、人命にかかわるような事案が発生しない限り、次のステップは難しいのかもしれませんねぇ・・・

自分は関係ないや・・と考えているまんぐーすのような人間が、危ないのかもしれませんね

無人機対処装備の関連記事
「米空軍がイスラエル製を17億で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-28
「DroneDefenderをご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30
「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1

「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

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ロシアをINF条約枠組みに戻すために [Joint・統合参謀本部]

米国はINF条約枠組み内の対策でロシアを引き戻すべき!

Selva senate.jpg18日、上院軍事委員会に出席したPaul Selva統合参謀本部副議長はロシアが欧州正面に配備したINF条約違反の長距離巡航ミサイルを撤去する気配はなく、国防省としてトランプ大統領に提案する多様なオプションを検討していると証言しました。

ただし、前提となるべき「NPR:核態勢見直し」などの大きな方針文書が出揃ってから、大統領に対処オプションを提示する考えらしく、まだ数ヶ月かかるとも証言しています

また同空軍大将は検討中のオプションに関し、あくまでも「INF条約枠内の手段」を使用すべきで、米国が同条約を破ることは他の条約の存在意義や枠組みまで危うくすることから、INF条約無効化や破棄は避けるべきだとの姿勢も明らかにしています

ロシアの同条約破り巡航ミサイルの配備を受け、ハリス太平洋軍司令官は、中露や北朝鮮やイランを縛らず、米国だけが縛られている現状に危機感を訴え、条約破棄を提言していましたが、恐らく米国防省のスタンスは「穏やかな」Selva大将の発言に沿うモノなのでしょう・・・。

19日付米空軍協会web記事によれば
Selva brok.jpg●Selva副議長は、ロシアがINF条約の規定を守るような状態に復帰するような兆候を示す「インテリジェンス情報は全くない」と、上院軍事委員会でまず証言した
●そして、今後数ヶ月(several more months)作成に必要な「NPR:核態勢見直し」や「BMD態勢見直し:BMDR」の結果を踏まえ、トランプ大統領にフルレンジの多様なオプションを提案する予定だと語った

●想定されるオプションの例として同大将は、「米国が中距離弾道ミサイルや巡航ミサイルの開発を企てるが、試験は行わない」とのオプションを紹介した
このオプションは上院も下院も想定しており、2018年度国防授権法(National Defense Authorization Act)に地上発射中距離巡航ミサイルの開発着手を盛り込もうとしている

●一方でSelva大将はオプションの基本的考え方に関し、「同条約の規約を露に遵守させられないようであれば、他の全ての合意事項の拘束力も弱体化させかねない」との懸念を示し、「米国は同条約の規定範囲内の手段で、ロシアを同条約の枠内に引き戻し、核戦力の戦略的バランスを維持しなければならない」と表現した
●そしてロシアの条約違反行為は、戦術的なものより戦略的な意味合いが強いとの見方を示し、「ロシアの(条約違反の)地上発射ミサイルの展開位置からすると、欧州正面で何ら優位に立ったわけではない(they don’t gain any advantage in Europe)」と語った
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中国が南シナ海で好き放題なのを放置しているとの同様に、ロシアにも好き放題やられる西側諸国の悲哀を感じるSelva空軍大将発言です。NPRやBMDRの完成までオプション検討を先送りというのも、苦しい言い訳のような気がします

Selva yunif.jpgSelva大将は、カーター前国防長官がその情勢認識や改革意欲を買って副議長に選んだ「折り紙付き」の大将ですが、世界中で紛争が火の手を上げ、大統領がこの状態では、手を広げないで慎重に進めるしかないのでしょう・・

他の全ての合意事項の拘束力も弱体化させかねない」(inability to enforce the standards of the treat renders all other agreements less compelling)との言葉は、あらゆる状況を考慮したプロの視点かも知れませんが、言い訳のようにも聞こえます

露のINF条約破りを巡る動き
「米下院がINF条約破棄を提案へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-23
「ハリス大将:INF条約は宗教戒律か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「露がINF全廃条約に違反」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27
「INF条約25周年に条約破棄を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

「米とカナダが巡航ミサイル対処に協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-01
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

Selva統合参謀本部副議長のご紹介
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-02 

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原因不明:でも2年かけF-35酸素生成装置交換へ [亡国のF-35]

F-35  OBOGS.jpg18日付Defense-Newsが米国防省F-35計画室報道官から得た情報によれば、米空軍で6月までに5件発生した「低酸素症のような症状」に対処するため、未だ原因は特定されていないものの、F-35の酸素生成装置(OBOGS)を改修交換する方向にあるようです

この事案は、米空軍のF-35操縦者養成のメッカ「Luke空軍基地」で発生したモノで、6月9日から21日にかけ同基地はF-35の飛行を停止し、調査チームが約1週間に亘り関係者への聞き取りや機材をチェックしましたが、未だに原因を特定できません

6月21日に飛行を再開した際には操縦者への同事案発生時の対処再教育、同事案が発生した高度帯での飛行制限、予備搭載酸素量の増加などの対策を行うことを条件としていましたが、7月19日からは更に総合的な調査チームが入って広範な可能性をチェックするようです

18日付Defense-New記事によれば
F-35  OBOGS2.jpg酸素生成装置(OBOGS:onboard oxygen generation system)に対する改修は、酸素の濃縮抽出アルゴリズムをより洗練する等の処置だと同報道官は語った
●一方で同報道官は「既に搭載されているOBOGSが今回の事案に関係しているとの証拠は何もない」と述べ、それでも様々な飛行高度での酸素量を再調整することで、これ以上の事案発生を防止できるかも知れないと説明した

●F-35計画室報道官は、OBOGSを製造する「Honeywell」が同装置と3タイプ全てのF-35機体改修を担うが、「コスト見積もりは実施中で、現時点では約24ヶ月(機体改修に)必要だと見積もっているが、より早期に新OBOGSを搭載するよう促していく」と説明した

●現時点ではこの問題はF-35A型にのみ発生しているが、米海軍練習機のT-45やFA-18で同様の事象が発生したケースでも、何が原因か特定できていない
●特にこの問題で難しいのは、「低酸素症のような症状」が様々な原因で発生するからだ。血液中に過剰に酸素が含まれる場合や、酸素が汚れていた場合などでも発症することから、一つに要因を絞り込むことが容易ではない

F-35 3-type.jpg●しかし調査は続いており、F-35計画室、米空軍F-35準備室、米空軍と米海軍の医療関係者などがチームを組んで対応している。例えば、OBOGSの各パーツを再試験したり、生命維持装置全体を確認したり、耐久性を試験したり等々が行われている
●同時にF-35計画室は、身体や空気の異常を監視するセンサーを付加することも検討している。また、Luke基地特有の気候や環境の影響がないか等を確認するため、19日から8週間かけて同チームが現地で調査を開始する
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OBOGSの仕組みや構造に関する専門的な話は分かりませんが、もやもや感が漂いますねぇ・・・。同時期に海軍の練習機T-45でも同様の事象が発生していることも気になります。

F-35HMD3.jpgそろそろ、現場パイロットの「生の声」が飛び出しそうな予感も致しますが「F-22の教訓」を生かし、また海外売り込みへの影響を懸念し、国防省も空軍も懸命に取り組んでいる様ですので、静かに見守りたいと思います。

でも、原因不明なのに企業(Honeywell)が改修を受け入れるとは・・・これもまた不思議・・・。コストについては精査中なのに・・・。あまり考えると、また性格が歪んでしまうので・・この辺りで。

時系列記録:F-35低酸素症(疑い)事案
「F-22事案の教訓を生かせ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-11

F-22事案を振り返る
「最終的に飛行再開・原因特定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25
「不沈F-35と低酸素F-22」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-09
「F-22再度飛行停止と再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-24
「F-22操縦者に謎の症状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-31

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国防省技術評価幹部「レーザーにはまだ長い道が」 [米国防省高官]

「戦場でのレーザー兵器の使用はまだまだ先の話」
「Star Wars症候群という、過度の期待に困惑している」

CNN-laser.jpg日本の安全保障関係者の間で、18日にCNNがweb上掲載した米海軍のレーザー兵器試験の映像が話題となり、ツイッター上で「確かにスゴイ」、「ついにここまで来たか」、「北朝鮮の弾道ミサイルをブースト・フェーズで確実に仕留めるためにも、レーザー兵器の実戦配備を急ぐ必要が」とのコメントが添えられていますが、そんなに期待して大丈夫でしょうか?

偶然でしょうが、18日付米空軍協会web記事は、米国防省のコスト分析&諸計画評価局の首席次長の言葉を取り上げ、冒頭の「戦場でのレーザー兵器の使用はまだまだ先の話」だとバッサリ語る様子を紹介しています

なお同中将は前職が空軍特殊作戦軍司令官で、2016年には「2020年までにAC-130特殊作戦機にレーザー兵器を搭載したい」と超やる気満々の発言をし、試験用のAC-130を準備して差し出すなど、レーザー兵器に大きな期待を抱いていた人物です

Laser NG.jpgレーザー兵器は、電力さえあれば何発でも発射できる、一発の価格が安い、光速で目標に達するので多数の目標に同時対処が可能など、現在の中国やロシアや北朝鮮等々の脅威対処に最適な兵器として期待されています

一方で、「いつまでたっても完成まであと5年」と揶揄されるように、数十年に渡る研究開発を経た今でも、小型化、出力確保、安全性、作戦コンセプト等、まだまだ実戦配備や兵器化には時間がかかるよ言うのが「立場にある方の発言」です

ときどき予算編成の時期になると、打ち上げ花火のように期待を煽る映像や実験成果が公表されるのですが、冷静に見る必要があると思います

18日付米空軍協会web記事
Heithold.jpg●9月末に開催予定の今年3回目の「Integrated Air and Missile Defense Summit」に向け、国防省コスト分析&諸計画評価局の首席次長(principal deputy director of the Pentagon’s Cost Assessment and Program Evaluation)であるBradley Heithold中将は国防省が作成中のエネルギー兵器(レーザーを含む)活用の長期計画は完成が近づいているが戦場でのレーザー兵器の使用はまだまだ先の話であると語った
●また「レーザーの軍事的活用は大きな期待を背負っているが、Star Wars症候群という、過度の期待に困惑している」とも同中将は語った。

●Heithold空軍中将は、来年完成予定の国防省「Directed Energy Roadmap」は、脅威を分析し、エネルギー兵器の開発計画や作戦運用コンセプトを検討するものだが、同時に同文書は「現在のレーザー技術の現状を評価するとともに、前線の兵士や各軍種のニーズを満たすには、今後どのような進歩発展が必要かを分析するものでもある」と語り、各種の課題が存在することを示唆している
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技術担当国防次官は2016年9月
→レーザー兵器は万能薬ではない。戦力化を決断するレベルに至っていない
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12

米空軍研究開発担当大将2016年6月
→エネルギー兵器は第3の相殺戦略を決定づける兵器になり得るが、出力の大きいレーザー兵器を早期に手にすることは容易ではない
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

Laser 3.jpgかく言うまんぐーすも、レーザー兵器に多いに期待し、ファイバーレーザー等に注目したのですが、上記でご紹介した主要担当高官の発言により、急速に「きょうざめ」した次第です。

それでも重要な技術に間違いはありませんが、冷静に長い目で見る必要があることは、再度言わせていただきます

国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「レーザーの現状を冷静に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

Heithold空軍中将も昨年夏までは期待大
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06

CNNのニュース映像
https://twitter.com/CNN/status/887180857127129088 
http://edition.cnn.com/2017/07/17/politics/us-navy-drone-laser-weapon/index.html?sr=twCNN071817us-navy-drone-laser-weapon0119PMVODtop

こっそりと、3000記事を達成いたしました!
皆様のご愛顧に感謝申し上げます。
ご感想など頂けましたら幸いです!

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ACC司令官:規模が大き過ぎ小さくなっている [米空軍]

Holmes-AFA.jpg11日、米空軍戦闘コマンド(ACC)司令官のHolmes大将が米空軍協会のイベントで講演し、現在の米空軍は予算規模に比して航空戦力の規模が大きすぎ、かえって即応態勢を維持できない飛行隊を生んでおり、また新規装備品調達に長期間要して購入コストを引き上げる結果になっていると訴えました

そしてこの様な現状を打破するため、強制削減の恐れを除去して「(長期計画が可能となる)予測可能な予算」体制と、旧式の第4世代作戦機の早期退役を要望すると語りました

同司令官はまた、同コマンドの航空機の平均年齢が「29歳」(空軍全体では27歳)と急速に高齢化が進んでいることに危機感を訴え、上記の施策により少しでも機種更新や装備近代化を早期に進める必要性も訴えています

12日付米空軍協会web記事によれば同司令官は
F-15C.jpg●具体的には2つ要望事項がある。将来の見通し立つ予算環境を整え、長期的計画に基づく予算編成をさせて欲しい事が一つ。もう一つは与えられた予算規模に応じた適切な規模の空軍にする柔軟性を与えて欲しいということだ

●現状では、2~3年で完了しなければならない装備調達を、予算不足から10年かけて行う事で、時代遅れの装備を高いコストで導入することになっている。とても最善の道とは言えない
●また、空軍戦闘コマンドは成長しなければならないが、予算が不足して出来ていない。旧式の第4世代航空機を早期退役させ、維持整備に費やしている予算の有効活用を考えるべきだ。現在は、予算規模に比して規模が大きすぎ、即応態勢を維持できない飛行隊が存在している。

A-10 4.jpg●現在ACC隷下には55個の飛行隊があるが、僅か32個飛行隊のみが正規空軍で、残りは予備役の状態にある。あまりにも規模が小さく、前線地域コマンド司令官の要望に応えられない
与えられた予算で維持するには規模が大きすぎるのであり、旧式の装備を何時どうするかについて検討している

●近い将来を見据え、具体的にはA-10攻撃機、F-16 Block 30戦闘爆撃機、F-15C制空戦闘機を候補機首として早期退役を検討している
●聴衆の皆さんは既に察しておられるかも知れないが、私としてはF-15Cの早期退役が良い選択だと考える。同機の機体年齢や維持運用経費、また大規模改修しなければ10年程度しか今後使用できない事を考慮しての考えである

年間200機購入していた時期もあった
ACC所属航空機の平均年齢が「29歳」(空軍全体では27歳)である事を踏まえれば、新しい航空機の導入も必要だ。
1991年には米空軍全体で1年に500機も購入していたが、今は年間100機程度に落ちている。ACCで見れば、1991年に200機購入していたモノが、今は平均20機だ。

T-X trainer3.jpg●米空軍は軽攻撃機(light attack airplane)の導入を前向きに検討している。「24 PAA(Primary Aircraft Available)飛行隊」を考えている
●この夏に予定する候補機のデモ飛行や試験で性能が確認できれば、道半ばの対テロ戦など備え、パイロット養成にも有効だろうし、対地支援や緊急事態支援任務をF-35やF-16より低コストで遂行できる

F-35調達ペースも上げて
2018年度予算案で米空軍は46機のF-35を要求しているが、年間調達機数を60機にまで引き上げたい。財政的にも不可能ではない数字だ。理想の世界(best-case world)なら年間80-100機購入だ
●更にACC保有機体の高齢化が進んでいることを踏まえれば、戦闘機(F-35?)を年間150機、無人機を20-25機欲しい。米空軍には、戦闘機でなくF-35のような「weapon system」が重要である
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HOLMES4.JPGA-10退役を議会に潰され、次の手はF-15C退役しかないとの悲痛な叫びでしょう。繰り返し言いますが、日本のF-15Jの維持と直結する話だと思いますので、注意致しましょう

ところで、軽攻撃機の規模に関する「24 PAA飛行隊」との表現が、何機程度の導入を意味するのかよく分からないのですが、数百機のイメージかも知れません。どなたかご存じですか?

ところで、米空軍関係者は作戦機の話ばかりしますが、彼らから「クロスドメイン」とか「マルチドメイン」との言葉を聞いたことがありません

米空軍関係者が口にしないかぎり、航空自衛隊関係者が口にすることはないのでしょう? でも日本の軍事環境は、基本的に外に出て戦う外征軍たる米空軍とは異なるはずです。だから日本では、当然「クロスドメイン」とか「マルチドメイン」の視点で議論されるべきだと思いますが・・・

Holmes司令官の発言
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「ACCの新たな取り組み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15-1
「Holmes司令官の経歴など」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-12

米空軍F-15の関連記事
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23
「現実的で低価格なF-15能力向上案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15

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データ共有や融合を支えるBACNとは [米空軍]

BACN2.jpg6日付Defense-Techは、中東の「とある国」に所在する非公開の米空軍戦力展開基地を訪問して取材し、対ISIS作戦を支える最前線で、RQ-4グローバルホークの一種が情報ネットワークのハブ(BACN)として極めて重要な役割を果たしている様子を報じています

朝食に卵と共に供されるベーコンと同じ発音のBACNは、「Battlefield Airborne Communication Node」の略で、RQ-4のBlock 20に通信中継機材を搭載した形態の「E-Q4」が、この役割をイラクやシリア上空でほぼ常時継続的に行っている模様です

BACN.jpgアフガンでは同様の任務を、 ビジネスジェットのE-11A Bombardierに機材を搭載して使用している模様で、対ISIS作戦同様に、欠かせない役割を担っているようです。
作戦運用にかかわることで詳細な記述はありませんが、「低高度を飛行する通信衛星のようなもの」と表現されるBACN機の様子をご紹介します

6日付Defense-Tech記事によれば
RQ-4 Misawa.jpg●BACN機材は、各種データを敵脅威が厳しい空域で作戦する操縦者たちに放送方式で提供することにより、「見通し線外:beyond-line-of-sight」での活動時に状況把握を向上させる意味で、操縦者たちの命綱となっている
●同基地に展開する第380展開航空団の司令官Charles Corcoran准将は、「BACN機材を搭載したグローバルホークが24時間体制でシリア上空に在空しており、我々の作戦を支えている」と語った

●BACNはNorthrop Grumman製で、(遠距離や見通し線外の)データリンク間の通信のギャップを埋める役割を果たし、同准将はこれを「低高度通信中継衛星」とか「個人用携帯電話通信中継タワー」と解説してくれた
●同戦域にはRQ-4・Block 20 にBACNを搭載したE-Q4が2~3機配属されており、データリンクの中継のほか「UHFやVHF無線通信の通信距離の延伸」を担っていると同准将は説明した

BACN3.jpg●Block 20にBACN機材を搭載したRQ-4は引っ張りだこで、米空軍は5月にBACN搭載グローバルホークE-Q4Bを追加発注する契約を約40億円で結んだところで、2018年5月には完成する模様である

●なお、RQ-4のBlock 30は、光電センサー、赤外線センサー、SAR(レーダー)、SIGINTセンサーを搭載し、 Block 40はSARとAESAレーダーを搭載し、対処に余裕のない移動目標情報を収集する。
●またRQ-4は2014年に、連続無給油で34.3時間の連続飛行記録を更新している
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敵の攻撃兵器の射程が伸び、我の航空アセットにより長い航続性能と兵器搭載量が求められる将来、更に衛星の脆弱性が叫ばれる今、BACNのような「プロが求める装備」がクローズアップされるのでしょう。

RQ-4 1.jpg日本もグローバルホークを「たらいまわし」にしていないで、こんな使用法も検討してはいかがですか?
 
でもだめか・・・そんな将来の作戦構想より、戦闘機数と飛行隊数をいかに死守するか、そのために如何に戦闘機数と飛行隊数の増加を、次期中期防で打ち出すかで頭がいっぱいでしょうから・・・

追伸・・・東京新聞半田記者の論考http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-22)を紹介した際、「半田はBlock 30とBlock 40の機能役割が異なることを理解していない」とのご指摘がありましたので、上記で捕捉させていただきました

RQ-4グローバルホーク関連
「日本導入RQ-4の悲劇」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-22
「U-2偵察機は引退せず:RQ-4と共存へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-25
「RQ-4操縦者の7割が下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13-1

「RQ-4やMQ-9の将来方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-06

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映像と5つの視点でカモフラージュを学ぶ [ちょっとお得な話]

暑さでバテ気味なので映像企画

camof4.jpgお馴染み映像と5つに視点で学ぶ「5 things you don't know about」シリーズで、本日は「カモフラージュ」をテーマにご紹介します。カモフラージュとは日本語で「偽装」のことで、服装や装備をを敵から発見されにくくすることを指します。

このシリーズは軍事装備品を映像と共に、5つの豆知識から学ぼうとするもので、これまで8つほどご紹介してきました。過去の記事は末尾をご覧下さい

今日の視点は、迷彩色の代表であるカーキ色はいつ導入されたか? にせ樹木はいつ導入され使用されたか? 米軍がカーキー色を導入したのは? 軍需工場丸ごとカモフラージュの例は? 狙撃手が使用するギリー迷彩服はいつから?・・・の5つです

映像は約6分です


その1:迷彩色の代表カーキ色はいつ導入?
英陸軍は伝統的に赤いジャケットを制服にし、戦闘でも着用していたが、インド駐留英陸軍の指揮官である中将が、赤だと目立って敵に発見されやすく、被害が大きいことに悩まされた
●そこで同中将は1848年、インドの風景や土地に馴染むよう、土地の土や泥を使用して服を染め、土色(カーキ色:ペルシャ語が語源)の戦闘服をパキスタン正面で使用させたところ、大きな効果を上げた

その2:にせ樹木はいつ導入され使用?
camof3.jpgWW1の欧州戦線における塹壕戦は、兵士が隠れる場所もない平坦な土地で行われ、敵味方に大きな損害を出した。
敵に見つからずに相手の行動を監視する適当な場所の確保も難しく、そこで考え出されたのが、中を空洞にして偵察兵が隠れることができる「カモフラージュ木」である。
夜中に本物の木を伐採し、切り株の後に中が空洞で偵察要員が隠れることができる「カモフラージュ木」を接ぎ木する等の手法が用いられた

その3:米軍がカーキー色を導入したのは?
米本土軍が創設された際、初代大統領ンワシントンは陸軍の制服をブルーに定めたが、1898年からの米西戦争ではブルーの制服が目立って敵の狙撃に会う被害が増加した
●これを受け、英国陸軍で使用されていたカーキ色戦闘服を導入し、その効果が大変大きいことが確認され、ブルーの制服は儀式用として使用されるようになった

その4:軍需工場丸ごとカモフラージュ例は?
camof2.jpg真珠湾奇襲攻撃を受けて以来、米本土の軍需工場でも空襲に備えた防御やカモフラージュ策がとられるようになった。
巨大な航空機工場であったロッキード社Burbank工場でも、カリフォルニア郊外の風景に見せかけるため、大量の樹木が植えられ、偽装網を張り巡らし、屋根をグリーンに塗り、洗濯物を干して住宅にに見せかける等々の努力が行われた

その5:狙撃手が使用のギリー迷彩服はいつから?
camof1.jpg狙撃手が好んで使用する、毛糸のようなひもを多数組み合わせたような迷彩服(Ghillie Suits)は、スコットランドのハンターたちが使用していたものを軍用に活用したものと言われている
スコットランドはハンターたちを集めて狙撃手部隊を初めて編成し、彼らが軍隊でもそのまま使用したGhillie Suitsが、その後世界中で使用されるようになった
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軍隊も当初は、赤やブルーで兵士の存在を目立たせることで相手を威圧したのでしょうが、飛び道具の発達に伴い、人間は目立たないほうが良くなって・・・
今のサイバー攻撃なんかは、戦闘服の必要もなくなりましたが・・・。

そう言えば現役の皆さんから、災害派遣の指揮所や現場で、機能的に全く役に立たないパイロットスーツ(操縦服)を着てまで目立ちたいオーラを出しているパイロットへの批判を聴くことがあります。
哀れな習性ですねぇ…パイロットの・・・

映像で5つの視点から学ぶ
「米海軍空母」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-25
「核兵器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-05
「米海軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-27
「米海軍潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-26
「火炎放射器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-2
「負傷者救出ヘリ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-07

「B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「AK-47ライフル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-28
「原子力潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-07-1

映像で見るシリーズ
「12㎏の兵器搭載地上ロボット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-09
「防空&ミサイル防衛の融合IAMD」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27-2
「威力強烈:AC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-06
「CASの歴史を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-19

「イメージ中国軍の島嶼侵攻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「泣ける:帰還兵士と犬との再会」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-05
「レーザー兵器試験@ペルシャ湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13

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