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トランプが政治任用あきらめツイート!? [米国防省高官]

trump7.jpgまさかとは思いますが・・・
トランプ大統領ツイート
「政治任用ポストを全部埋めるつもりはない。多くは不要だ。政府の縮小だ」
We are not looking to fill all of those positions. Don't need many of them - reduce size of government.

8月29日朝、トランプ大統領が朝のテレビ番組のコメンテイターの言葉に反応し、冒頭のツイートを発信しました。

トランプ政権の政治任用ポストの候補者指名と、上院での承認手続きが遅れていることは何回かご紹介してきましたが、29日付Defense-News記事によれば、国防省関連では、合計583の政治任用ポストがあり、既に承認を受けたのが約2割の117ポスト、承認手続き中なのが106ポスト、そしてまだ候補者も決まっていないポストが6割以上の360ポストある状況です

また政府全体で見れば、合計約1200の政治任用ポストが、候補者未定または承認手続き中で埋まっていない状態だそうです

Ingraham.jpg番組はFoxNewsが朝6時から9時まで放送のニュース番組「Fox & Friends」で女性キャスターのLaura Ingraham女史がテキサス州の大雨&洪水映像を紹介しつつ、
●「6月以降で、 FEMA(米連邦緊急事態管理庁)の政治任用ポストで埋まったのは1ポストだけです」、「この(洪水)映像を見るに、スタッフが必要なのは明らかです
●「我々は北朝鮮の危機にも直面し、国中で信頼感への危機に直面しています

この番組を大統領が見ていたのか、数分後に冒頭(現物は以下に)のツイートが発信 されました
Trump twwet2.jpg






そしてIngraham女史は番組の中で(大統領のツイートに対し)「もし大統領が(空席ポストの)仕事を誰かに割り振って、本当に政府規模の縮小に成功したら、その言葉を信用してもいいわ」とコメントしています。
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トランプ政権は、政府の無駄や機能の重複をカットすることを掲げ、大統領就任後ただちに、見直しが完了するまで文民職員の採用を凍結しました。

trump5.jpgしかし上下院の議員たちは、緊要な重要ポストが空席で大統領の業務遂行を妨げていると、トランプのツイートでの主張は極端すぎると批判的です。

まぁ・・・犬も食わない感があるツイートですが、国防長官や国務長官が「肝を冷やして」いると思いますのでご紹介しておきます

トランプがらみの記事
「アフガン政策演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-22-1
「米軍事メディア視点の北朝鮮騒ぎ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-14
「露発注の旅客機を米国大統領専用機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-05

「性同一性障害者を米軍排除」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-28-2
「国家宇宙評議会を設置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-08
「インドと軍事協議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-28

「サウジにTHAAD提供?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01
「空母のEMALSはだめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「F-35値引きはフェイク?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-25

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米空軍が18年ぶりに飛行手当増額へ [米空軍]

士官で2割、下士官は5割増へ

Wilson6.jpg8月25日、退職者が急増して戦闘機操縦者ポストの2割に当たる700ポスト以上が空席ともいわれる米空軍パイロット不足に対処するため、Heather Wilson空軍長官が「ニンジン」ぶら下げ策と新人事制度を開始すると発表しました

「ニンジン」ぶら下げ策とは、ずばり米空軍操縦者が他の地上勤務員がとの差別化のために支給される飛行手当の増額で、新人事制度とは既に退職した元空軍操縦者を飛行職ではなく地上職として再雇用しようとするものです

米空軍は6月にも、パイロットとしての義務勤務期間を終えた者が勤務を延長した場合のボーナスを増額し、特に人手不足が激しい(退職者が多い)戦闘機操縦者には手厚く増額すると発表していましたが、今回は操縦者の基本手当部分を1999年以来18年ぶりに増額し、人材の流出防止を図ろうとするものです

米空軍操縦者、特に戦闘機パイロットの流出が増加している背景には、民間航空会社でパイロット雇用が増大し、楽で金銭面でも優位な民間への流出が止まらないこと、また10数年連続で続くテロとの戦いや対ロシア政策等のため海外派遣期間が長く繰り返されるようになっていることへの不満、更に予算不足から飛行訓練時間が削減される状況への不満等があるといわれています

米空軍は、参謀総長が直接民間航空会社幹部と話し合いの場を設けて「引き抜き自粛」を要請したり、無人機操縦者(RQ-4のみ)に下士官操縦者の導入に踏み切ったり、新人操縦者の卵をいきなりF-35に乗せて養成期間を短縮したり等々・・・いろいろ取り組んでいますが、根本的な解決には程遠いようです

8月28日付米空軍協会web記事によれば
Wilson4.jpg●25日Wilson空軍長官は、パイロットの引き留めと養成(retaining and growing pilots)、更にパイロットの欠員対策(addressing the personnel shortfall)のため、Mike Koscheski准将を長とする「搭乗員危機対策チーム:Aircrew Crisis Task Force」を編成すると発表した
●また空軍長官は、10月1日以降、米空軍の搭乗員が毎月受け取る飛行手当を1999年以来初めて増額すると明らかにし、士官の場合の最高額を2割弱アップの1000ドル(以前は840ドル)、下士官の場合は5割アップの600ドル(以前は400ドル)と発表した

注(笑)→従来「flight pay」と呼称も、今後は「aircrew incentive pay」と呼ぶそうです

Wilson_Goldfein.jpg●また現在の空席ポスト穴埋め策として、現役パイロットをなるべく司令部等のデスクワーク職から解放して前線部隊に配置できるように、退職した元空軍操縦者を再雇用して操縦者が務めるべき緊要なスタッフ職(non-flying, critical-rated staff positions)につけることを計画中だとも長官は語った
●(初の空軍士官学校卒業の空軍長官で、しかも女性の)Wilson空軍長官は、「米空軍の中には操縦者経験が求められるポストが多くある一方で、同時に現場部隊の飛行任務に就いているパイロットは現場でそのまま活躍させたい」と同対策の背景を語った

●また同長官は具体的に、「この制度で25名の元操縦者を再雇用してその見識を生かしたいと考えている。雇用契約の期間は基本的に12か月間である」と説明した
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国民の税金で要請されたパイロットが、処遇の良さを求めてどんどん退職して民航機の操縦者に流れるので、引き留め策として手当を増額する・・・との構図ですが、意外と一般国民の間で問題にならないものの、操縦者以外の空軍勤務者への影響を強く懸念します

空軍をリードするのは操縦者だと鼻息も荒く、実際主要ポストは操縦者が占め、部隊の士気やモラルについても見本を示すべき立場だと思うのですが・・・。米空軍の組織としての健全性がますます問われることになるのでしょうし、世界の空軍も同じ問題を抱えるのでしょう

Black History.jpgでもパイロットへの手当は極めてデリケートなもので、かつてパイロット以外の航空自衛隊トップが、致し方なく、飛行手当を削減して他の分野に割り振った結果、その空自トップの出身職域の後輩たちが、長期間主要ポストや人材選抜試験から意図的に除外された「黒歴史」があるようです。そしてその黒歴史は、若い操縦者が知らないところで「生田目バッシング」として脈々と語り継がれていると聞いたことがります

そして無人機に極めて消極的で、「ただ飛んでいたい(そして飛行手当をもらっていたい)」との思いしか感じられない空軍指導者たちへの「嘲笑」とともに、組織の一体感を着実にむしばんでいるのです。

米軍No2が空軍操縦者にケンカを売る!
「誰一人として私に、次期爆撃機が有人機である必要性を教えてくれない」、「核任務に有人型が必要だと言うなら、ICBMに有人型があるのか?」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-16-1

ロバート・ゲーツ語録21
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
国防省で制服幹部をたしなめている陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02

操縦者不足の関連
「米空軍の戦闘機パイロット2割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-22
「世界の航空業界は今後20年人手不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-29
「機種別操縦者数で無人機がトップに!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-09

「米空軍よ、使い捨て無人機を考えろ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「最初からF-35に搭乗する飛行教育」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-06
「RQ-4操縦者の7割が下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13-1

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自衛隊PAC-3が在日米軍基地に展開訓練 [ちょっとお得な話]

yokotaAFB.jpg北朝鮮の北海道横断ミサイル発射で大騒ぎですが
本日、自衛隊PAC-3が米軍の横田と岩国基地で展開訓練

8月24日在日米軍司令部は、8月29日と9月7日に航空自衛隊の弾道ミサイル防衛システムPAC-3を、横田、岩国、三沢基地に受け入れそれぞれの基地で自衛隊PAC-3の展開訓練を支援すると発表しました。

8月24日付発表によれば
●航空自衛隊PCA-3ミサイルの展開訓練は、8月29日に横田基地と岩国基地で、9月7日に三沢基地でそれぞれ1日だけ実施され、日米両部隊の相互連携を試験し確認する
PAC-3.jpg●この展開訓練で、航空自衛隊部隊に防空ミサイル部隊の迅速展開訓練の機会を提供し、ミサイル部隊の適切な配備場所を吟味して確認する

●在日米軍司令官(兼ねて第5空軍司令官)のマルチネス中将は、「自衛隊部隊の展開訓練を歓迎し、訓練が成功裏に行われるよう日本と協力することを楽しみにしている」と語っている
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日本の国内法との整理などは専門家の皆様にゆだねるとして、日米連携が円滑に行われることは好ましいことです

防衛省からは航空自衛隊のHP上で、米軍発表から1日遅れの8月25日にこっそり告知されています
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H29/290825_1.pdf 

告知によれば
PAC-3 2.jpg(1)今般の訓練は、航空自衛隊の部隊が、在日米軍施設・区域を展開地として、PAC-3の機動展開訓練を実施するものです。航空自衛隊が単独で行う訓練ですが、実施に当たっては米軍とも緊密に調整・連携しています。
(2)今後も引き続き、自衛隊施設以外に展開するものを含め、順次、全国的に同様の展開訓練を実施予定。

展開場所と展開部隊(群本部所在地)
横田飛行場には 第1高射群(入間)
岩国飛行場 には第2高射群(春日)
三沢飛行場 には第6高射群(三沢)

発表のタイミングは、日米でそろえたほうがかっこいいですね。。。


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米海軍初:無人機の照準情報で対艦ミサイル [Joint・統合参謀本部]

そうなんだ・・これも初めてなんだ!?

Harpoon.jpg8月22日、グアム島沖で訓練中の沿岸戦闘艦LCS「Coronado」が、無人ヘリからの目標情報により、米海軍史上初めてハプーン対艦ミサイルRGM-84D Block 1C)を見通し線外の水上目標に発射して命中させました。

またMH-60H有人ヘリも情報伝達リンクに加え、射撃後の攻撃成果確認も(BDA:Bombing damage assessment)行った模様です。MQ-8B無人ヘリは遠方監視用(C型は輸送用)で、MH-60Sは主に輸送を担う多用途ヘリ(R型が対潜哨戒用)で、共に沿岸戦闘艦に搭載されている装備ですが、これに必要なセンサー等を搭載し、今回の遠方目標ターゲティングを成功させたものです

敵がA2AD能力の発展で各種ミサイル等により遠方攻撃能力を増す中、米海軍はNIFC-CA構想の下、米海軍航空アセットの情報をリンクでつなぎ、より遠方から現有対艦及び防空ミサイルを発射しようと試みています。例えば、艦艇防空用のSM-6ミサイルを対艦ミサイルに応用し、E-2DやF-35によって得られた目標情報で攻撃しようとの取り組みです

MQ-8C.jpgMQ-8B無人ヘリやMH-60Sは敵の脅威に弱い装備だけに、実戦の場面で目標情報を入手する前方センサーとして活用する構想があるのか不透明ですが、搭載されたセンサーや他アセットのターゲティング情報で艦艇攻撃を行うのは「重要な一歩」ですので、「まだ初めてなんだ」とも思いましたがご紹介しておきます

また、「アジア太平洋リバランス」の目玉事業の一つとして数年前に打ち上げられた、シンガポールへの4隻の沿岸戦闘艦ローテーション派遣の現状についてご紹介します。

25日付Defense-News記事によれば
MQ-8.jpg●米海軍の発表によれば、沿岸戦闘艦「Coronado」に所属するMQ-8B Fire Scou無人ヘリやMH-60S Seahawkへりは、搭載した水上レーダーや光学センサー等々のセンサー情報をデータリンクを通じて母艦に提供し、対艦ミサイル発射後はその飛翔もモニターし、攻撃後はその戦果確認も行って母艦に伝えた
●MQ-8B無人ヘリには、「AN/ZPY-4(V)1 multi-mode radar」「FLIR Systems Brite Star II day-and-night electro-optical turret with a laser-target designator」が初めて装備され、艦艇に搭載された。

●「Coronado」は昨年10月からの約1年間に及ぶシンガポール派遣の最終段階にあり、同LCSが所属する第73任務機動部隊を指揮するDon Gabrielson少将は、「約5万もの島々が点在するフィリピンからインドまでの海域を担当する上で、同艦の作戦行動と維持整備が成功裏に行われたことを高く評価する」と語っている
●具体的には今回の派遣期間内に、同LCSの定期整備をベトナムのカムラン湾で実施する実績を収め、またフィリピンとの海賊対処共同訓練も行ったと同少将は成果を語った
●また現在のグアム周辺での訓練を終了後、同LCSは9月にスリランカとインドネシアに向かい、それぞれの国の軍と訓練を行う予定だと同少将は説明した

HH-60G.jpg●シンガポールのChangi海軍基地に4隻をローテーション派遣をシンガポールが受け入れることに合意しているが、2018年末までには、初めて2隻の米海軍LCSが同時にシンガポールにローテーション派遣派遣されることになると、同少将は明らかにした
●現時点でLCSは、5隻が任務についており、3隻が進水後に各種装備を搭載作業中で、2隻が建造中である

●沿岸戦闘艦は任務に合わせて多様なモジュールを選択して艦艇に搭載する「modularity」が特長だが、同少将は「このmodularityを実現することが将来には重要で、装備と人員の両面で、多様な任務と装備に習熟することで当地域の多様な任務需要に対応するようにする」と語っている
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LCSindep.jpg「アジア太平洋リバランス」の目玉事業の一つとして、新型艦艇LCSをシンガポールに4隻ローテーション派遣すると米国防長官(パネッタ長官)が打ち上げたのが2012年春でした。

同艦1~2隻の派遣については、前任のゲーツ長官時点(2011年)でシンガポールが同意していますが、6年前の政治的アピールさえまだ実現していないのが「アジア太平洋リバランス」の実態です。

Gabrielson少将が述べているように、2018年末に初めて2隻の派遣が実施されたとして、7年遅れの実現で、2012年に大々的に打ち上げた4隻体制の確立など期待しないほうが良いでしょう
実際のところ、2013年春にヘーゲル長官がLCSのシンガポール派遣に言及して以降、4隻ローテーション派遣に国防省は言及していません

今年の春、マティス長官はアジア安全保障会議で「私は地域の皆さんの話しを聞きに来た。ここで得た情報を元に、政策を煮詰めて生きたい」との主旨の発言をし、具体的なアセットの名前に一切言及しませんでした。これが米国防省のアジア政策で、コミットするとの言葉だけが泳いでいる実態です

無人機によるターゲティング情報リンクについては、今後MQ-8B無人ヘリやMH-60Sが実戦でもその役割を担う構想があるのかに注目したいと思います

関連の過去記事
「映像:MQ-8の着艦試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-25
「リバランスは終了。それで?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「国防長官がLCS削減要請」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-18
「LCS2隻の派遣は同意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-10

NIFC-CA関連の記事
「道遠し?:NIFC-CAの進展」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-26
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「最新型E-2早期警戒機が岩国へ展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-16

「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「日本&韓国とBaseline 9契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-28
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11

「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05
「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23


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米空軍が次期ICBMと核巡航ミサイルの企業絞り込み [安全保障全般]

Nuclear weapon.jpg8月21日の週、米空軍は相次いで二つの大きなプロジェクト、つまり次期ICBMと次期核搭載巡航ミサイルの発注候補企業を発表しました

いずれのケースも、提案して敗れた企業は10日以内であれば訴えを起こす権利を与えられており、今後ごたごたの可能性を残していますが2つの事業に各2企業が選ばれ、合計4企業がチャンスを得たわけですが、4企業すべてが異なる企業で、結果的には事業の分散も図られた形になっています

結論は以下の通りです

次期ICBM(計画名GBSD)
GBSD2.jpg●8月21日、正確にはGBSD(Ground Based Strategic Deterrent)との計画に、ボーイングとNorthrop Grumman(現有ミニットマンⅢ担当)が選ばれ、ロッキードは選定から漏れた
●選ばれた2つの企業は、今後36か月間かけ、「technology maturation and risk reduction」活動を行う。ボーイングは約380億円、NG社は約360億円の契約を結ぶ
具体的な要求性能等については非公開となっており、ほとんど情報がない

●2企業から最終的な1社に絞り込まれるのは2020年度で、1970年代から使用中のミニットマンⅢの後継ICBMが初期運用態勢を確立するのは2020年代後半と予期されている
●F-35、次期爆撃機B-21や次期空中給油機KC-46Aに続く、最後の大物事業を言われる次期ICBMであるが、その経費規模は米空軍見積もりで6.8兆円だが、国防省のコスト評価部署は10兆円以上に膨らむと早くも警告を発している

次期核搭載空中発射巡航ミサイル(LRSO)
LRSO4.jpg●8月23日、正確にはLRSO(Long Range Standoff weapon)との計画に、Lockheed MartinとRaytheon が選ばれ、ボーイング(現有ALCM:AGM-86B担当企業)や参入を狙っていたNorthrop Grumman は選定から漏れた
●選ばれた2つの企業は、今後54か月間かけ、「technology maturation and risk reduction」活動を行う。Lockheed MartinとRaytheonはそれぞれ、約1000億円の契約を結ぶ。

●2企業から最終的な1社に絞り込まれるのは2022年度で、1980年代初めから使用中のALCM:AGM-86Bは約10年で耐用年数が来ると見積もられており、後継ミサイルが初期運用態勢を確立するのは2020年代後半と予期され、B-52, B-2 とB-21に搭載予定である
●次期ICBM以上に具体的な要求性能等について、情報が厳しく管理されており、ほとんど実態が明らかになっていないが、特に民主党議員からは、経費が膨大なる可能性と、通常兵器も搭載可能となることから核攻撃との誤解を与える等から、厳しい反対意見が出ている

●一方で共和党議員ら支持派は、現ALCMも核と非核弾頭両方が搭載可能で何ら変わりなく、敵の防空能力が強化される中、より遠方から発射できる突破力のある核巡航ミサイルが必要だとの声が出ている
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核態勢見直しNPRが行われている最中で、ICBMとLRSOに国防省がどの程度の能力や性能を求めるかも流動的だと考えられます。
現段階では米空軍の意向を反映した形で進んでいるのでしょうが、NPRをまとめる過程や結果で明らかになる国防省の考え方次第の部分の多分に残されていると思います。

mattis senate2.jpgマティス長官はLRSOに慎重な発言をした経緯があり、、またICBMが今後も本当に有効な投資なのかとの有力議員のアピールもあり、更に抑止の在り方全体をサイバーや宇宙戦を含めて考え直す時だとのもっともな提案もあり、どう転ぶかが注目される大きな案件です

軍需産業政策の観点からすれば、F-35計画という史上最大の装備品計画を担当のロッキードはICBMから外れ、その慰めにLRSOに可能性を残しつつ、レイセオンとしっかり競い合ってもらって力を発揮してもらおうとも読めなくもありません

ICBM後継に関する記事
「ICBM必要性に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22
「初のオーバーホールICBM基地」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-15
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

21世紀の抑止概念を目指す
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「相殺戦略特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「期限を過ぎてもサイバー戦略発表なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25

NPR(核態勢見直し)関連
「マティス長官がNPRに言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-15-1
「トランプ政権NPRの課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09
「2010年NPR発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07
「NPR発表3回目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-02
「バイデンが大幅核削減を公言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-19
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イスラエル御用達:小火器搭載の小型無人機 [ふと考えること]

在りそうで、実現できなかったレベルか!?

TIKAD.jpg18日付Defense-Techは、米国防省が「2016年のテロとの戦い賞:Winner of 2016 Terror Comabat」を授与し、イスラエル軍が正式に発注した小火器搭載可能なDuke Robotics社の小型無人機「TIKAD」を、コマーシャル映像と共に短い記事で紹介しています。

単純なものは中学生レベルでもできそうな気がしますが、本格的に西側の軍隊が使用しようとすれば、装置の安定性や信頼性な求められ、特に誤射の防止や照準の正確さなどを、小型無人機(quadcopter)でそのレベルを実現するのは容易ではなかったのかもしれません。

コマーシャル映像によれば搭載可能兵器は
SR-25 marksman rifle
M321A grenade launcher
M4 rifle

Duke Robotics作成の宣伝映像


小型無人機に目標識別用のカメラを搭載し、B5サイズのタブレット型操縦装置で簡単に操作可能で、実戦環境の中でも容易に使用可能とのアピールです

TIKAD2.jpg特に「売り」になっているのは、小火器発射時の衝撃を吸収する機構を搭載し、無人機そのものの飛行安定を大きく崩さず、短時間で再射撃が可能な構造になっている点の様です

でも・・・テロ組織や敵対国がすぐにコピーを作成し、敵戦力として対峙するような気がしてなりません・・・。

多種多様な無人機を巡る悩み!?
「イラン無人機が米艦載機を妨害」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-09
「米が無人機輸出規制緩和へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04
「中国がサウジで無人攻撃機の製造修理」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-29
「中国が高性能無人機輸出規制?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03

無人機対処の関連記事
「民間ドローン撃退方針指示」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-08
「海兵隊も対処に悩む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-17
「ACC司令官が対処権限を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-15

「イスラエル製を17億円で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-28
「DroneDefenderをご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30
「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1


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Northrop-Gも世代間&5世代機間リンクに名乗り [米空軍]

F-16 RefuelAFG2.jpg8月23日付Defense-Newsは、米空軍が長く問題として解決策を探っている異なるデータリンクを保有するF-22とF-35との間の情報共有問題に、Northrop Grumman社がグローバルホーク搭載型の通信中継装置で対処する提案を米空軍に行い、採用の可能性が高いと報じています。

また、この通信中継装置を用いて、もう一つの懸案である第4世代機と第5世代機との間の情報共有も可能だと売り込んでいるようです

これまで何回かご紹介してきたように、第4世代機は「Link 16」とのデータリンクを、F-22はより高度に迅速に秘匿状態でリンク可能な「IFDL:Intra-Flight Data Link」、F-35は高度で秘匿通信が可能だがF-22とは異なる「MADL:Multifunction Advanced Data Link」を使用しており、相互に情報共有ができないと言う問題を抱えています

F-15C-Arctic.jpg5月にはボーイング社が、第4世代機とF-22間のリンクを可能にする「Talon HATE airborne networking system」を開発し、試験で所望の成果を得たとご紹介しましたが、今回は別の大手企業が異なる第5世代機間のリンク通信に新たな提案を行い、第4世代機との情報共有にも活用可能だと売り込んでいます

共に、結局は下のレベルの「Link 16」を活用する情報共有策で、第5世代機が搭載する「IFDL」や「MADL」の良さを最大限生かすことは出来ず、通信の秘匿性も不十分なようですが、緊要なデータをリンクで共有することが可能なようです

8月23日付Defense-Newsによれば
●Northrop Grumman社が提案したのは「Freedom 550」との通信中継装置で、これを30時間以上連続して飛行可能なRQ-4グローバルホークに搭載して使用する方式である。
Freedom 550.jpg●既にRQ-4のBlock 20に別の通信中継機材を搭載した形態の「E-Q4」が、BACN(Battlefield Airborne Communication Node)として、イラクやシリアの上空でほぼ常時継続的に活動を行っている。
●例えば米空母艦載機のFA-18は、空母や艦艇との通信を維持する必要があるが、低空を飛行したり地形の関係で通信を直接維持することが難しいことがあり、その際この「E-Q4」が大いに活躍している。そして「E-Q4」には、まだ「Freedom 550」を搭載するスペースが残されている

●「Freedom 550」は、マルチ周波数でソフト管理式の無線中継装置で、F-22やF-35が搭載する「IFDL」や「MADL」のデータ共有を「J-series messages via Link 16」で実現する装置である
また同装置は、第4世代機(F-15やF-16)と第5世代機(F-22やF-35)のデータ共有を可能にする装置でもある。

F-22Hawaii3.jpg●Northrop Grumman社は既に、第4世代機と第5世代機のデータ共有試験をシミュレーションと実機を使用した複数の環境でデモ実証しているが、F-22とF-35の間の実機を使った検証や、グローバルホークに同中継装置を搭載した試験は行っていない
●しかし同社は今年年初、英国空軍と協力し、2週間にわたり「Babel Fish III」と呼ばれる検証デモ試験を行い、F-35Bとユーロファイター間を「Link-16」でデータ共有させた実績がある。ただしその際もF-35BのMADLデータは共有できていない

●米空軍は今後F-35が戦力の中心になる事を見据え、2010年代当初にF-22のIFDLをMADLに交換しようと試みたが、予算上の制約等々から結局実施されなかった。そしてF-35開発の遅れと調達の遅れを受け、第4世代機の延命が具体化する中、多数の第4世代機と5世代機のリンク問題もクローズアップされるようになった
●米空軍がNorthrop Grumman社の提案を採用するか、ボーイングの「Talon HATE」など他社の提案を採用するかはまだ決定されていない
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F-35 clear2.jpgNorthrop G社の担当幹部が、「It has the ability to pull the fifth-gen comms — the secured comms — and then it can bridge it over to an unsecured network, if you want, like Link 16 or SADL」、「It allows those secure comms to talk to each other」と、「Freedom 550」を説明していますが、「Link-16」を利用することで「secured comms」が保たれるのか良くわかりません

いずれにしても思います。第4世代も第5世代機も、この航空機さえあれば完璧だ・・・みたいな過剰宣伝&過剰広告でキャンペーンして開発と調達にこぎつけたものの、実際の脅威は異なる方向に進化していて、どの世代の戦闘機も機種も、みんなが協力して戦いえるようにしないと敵と戦えない時代に入っていると言うことです。

今や、「a family of system」として戦うは米空軍内の共通認識になっていますが、ほんの数年前までは違ったんですよねぇ・・・

世代間や機種間リンクの記事
「Red-FlagでF-22リンク問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-02
「世代間リンクに対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-10
「世代間リンクが鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-18-1


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米爆撃機2種欧州展開と欧州対策に警告 [Joint・統合参謀本部]

対露で欧州にもB-1とB-52爆撃機派遣

B-1B.jpg8月23日付米空軍協会web記事が、対ロシア抑止のための一環として米空軍の大型爆撃機B-52とB-1が英空軍基地に派遣され、東欧諸国(スロバキア、ポーランド、チェコ)等で航空ショーや演習に参加すると報じています

この大型爆撃機派遣は、米軍がロシア対処のため2015年から開始し、今年は昨年の4倍増の予算で推進しているERI(欧州確証取り組み:European Reassurance Initiative)の一部と見られますが、一方で米国防省の監理監察官は、このERIの遂行体制や有効性検証体制が不十分であると指摘する報告書を22日に公表しており、併せてご紹介します

また7月に米海軍FA-18がシリア上空でシリア軍SU-22を撃墜して以来、緊迫していると考えられている同地域での米国とロシアの関係に関し、多国籍部隊側の幹部が、対ISIS作戦がますます密集して混雑する中でも、両国間の作戦調整電話回線が有効に機能していると23日にブリーフィングしているので取り上げます

米空軍大型爆撃機の英国展開
B-52-UK.jpg8月23日に米空軍のB-1爆撃機2機とB-52爆撃機1機が、英国空軍のFairford基地の到着したと米欧州コマンドが発表した。
●これら爆撃機は、8月26~27日にスロバキアで開催される「Slovak International Air Fest」と、ポーランドでの「Radom International Air Show」に参加する予定である

●またその後、8月28日から9月9日までの間にチェコで実施される毎年恒例の演習「Ample Strike 2017」に参加し、昼夜連続の攻撃訓練に焦点を当てた訓練に望む予定である

F-15Cもバルト3国とアイスランドに
F-15C.jpg●また欧州米空軍は、空軍戦力を持たないバルト3国の領空保全のため、英国配備中のF-15Cをリトアニアに派遣すると発表したした。現在ポーランド軍F-16が担当している任務を引き継ぐもの
米空軍が同任務を担当するのは2014年以来で、9月から2017年末まで担当する予定

●また23日、米本土の州空軍所属の6機のF-15Cがアイスランドに展開し、領空監視任務を実施すると欧州米空軍が発表した

米国防省監察官がERIに注意喚起
East-Euro22.jpg22日に米国防省監理監察官が発表したレポートは、(昨年比で4倍になる)ERI予算に伴って急増する欧州コマンドの作戦や演習について、同コマンドの人員やインフラ等が十分に整う前に実施しなければならなくなる恐れがあり、リスクを伴うと注意喚起を発している
●また同レポートは、欧州コマンド自身もERI実施に伴う各種影響や効果を把握する「評価基準:metrics」や手段を保有しておらず、ERIの結果を把握し、以降の改善につなげる準備が出来ていないとも指摘している

●監察官はERIの一環である「大西洋の決意作戦:Operation Atlantic Resolve」に関する動きを中心に評価を行っているが、同時に(予算の強制削減の恐れから来る)将来の予算の不透明・不安定さも、ERIの有効性のリスクの一つとなっているとも指摘している

シリアでの米露調整ラインは有効に機能中
●23日、対ISIS作戦多国籍軍の副司令官であるRupert Jones英陸軍少将が記者団にブリーフィングし、シリア内の作戦は(ISISの勢力範囲が狭まり、対IS側が集中する傾向にあることから)「より混雑してきている」が、多国籍軍側とロシア側との作戦調整回線は「有効に機能している:serving us very well」と語った
ISIS-TOYOTA.jpg多国籍側が支援するシリア民主軍と、アサド大統領側の軍が、「Tabqa and Manbij」のような地域で近接して作戦すること増えつつあるが、「緊張緩和の要領は手順どおりに遂行されている」と同少将は語った

●また同少将は、「手順を確立しており、如何に緊張を緩和し、衝突を回避するか把握している」、「今後は更に戦域が狭くなって混雑すると予想される」とも表現した
●米軍が支援するシリア民主軍は、約2500名のIS戦闘員が固める都市「Raqqa」に向かって進撃しており、多国籍側作戦機が攻撃を行っているとも説明した
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最後の「シリアで米露調整ラインが有効に機能」は、昨今の北朝鮮を巡るロシアの動向を踏まえるとにわかに信じがたい部分ですが、英陸軍少将が嘘を言う必要もないので、ロシアにとってもISIS後のシリアやイラクを考えての態度なのでしょう

欧州正面でロシアにも目を配らないいけない米国は大変です。
ロシアも、米軍が疲労困ぱいで必死の遣り繰りの中でERIに取り組んでいることは十分承知しているでしょうから、効果の程は良くわかりません。それこそ「評価基準:metrics」が必要かもしれません。

F-15J.jpgそういえば日本でも、戦闘機命派がアピールする東シナ海での対領空侵犯措置(スクランブル対処)に関し、本当に現在の日本の法的基準や行動基準で、またこれだけハードに投資して有効なのか、何らかの「評価基準:metrics」が必要だと思います

まんぐーすは、ソフト面で強化することにより、ハード面への投資負担を減らす方向に舵を切るべきだと思います

ERIに関連する記事
「対露の欧州米軍予算4倍を説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2
「欧州への派遣や訓練を増加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「F-35初海外はやっぱり英国」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「F-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15

中東での米露関係
「米FA-18がシリアでSu-22撃墜」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-19
「モスルはISから解放されたけど」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-11

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ロッキード社:PAC-3の航空機や艦艇搭載も!? [安全保障全般]

Cahill.jpg17日付Defense-Newsが、Lockheed Martin社の防空&ミサイル防衛担当副社長の発言を紹介し、同社が製造する「PAC-3」「PAC-3 MSE」「THAAD」や「MHTK」の将来方向について、「他のドメインでの活用」や「機能向上&付加」などの視点から語る様子を取り上げています

米国防省や米軍から正式な研究開発依頼があったわけではないと慎重な姿勢を見せつつも、地上配備が前提で開発配備されてきた上記兵器システムを、異なるドメインである海軍アセットや空軍アセットに搭載したり、従来とは異なるセンサーと結びつけることを、脅威の変化から自然なことだと取り組んる様子が伺えます

ついでにこれを機会に、イラクでの米兵士の死亡の2番目に多い原因である敵の「rocket, artillery and mortar (RAM) 」対策として開発された、同社の「MHTK」について少しご紹介したいと思います。ちょっとだけですが

17日付Defense-News記事によれば
PAC-3 Saudi.jpg●17日、ロッキード社防空&ミサイル防衛担当副社長であるTim Cahill氏は、 Space and Missile Defense Symposiumで少数の記者団に対し、既存の防空&ミサイル防衛兵器を他のドメインで使用することや、新機能を付加することに投資していると語った
●そして「全長約6mから50㎝までの防空&ミサイル防衛兵器を開発製造してきたが、これらを伝統的なドメイン以外でどのように活用しようかと考え始めている」と記者団に語った

●例えば「PAC-3 MSEを以上配備以外で活用できないか、パトリオットシステム全体を艦艇に装備できないか、航空アセットにはどうか」との問いである。
●その検討は、ロッキー社内にある他部門のセンサーと結びつけられないか、例えば「Long Range Discrimination Radar」、「Space Fence」、「Q-53 counterfire radar」等とはどうかとの問いである。
そしていろいろな組み合わせやマッチングを検討した結果、従来システムの組み合わせで大丈夫との結論が得られた分野もあると同副社長は説明した

PAC-3 MSE.jpg●またCahill副社長は、幾つかの組み合わせや新能力は契約に近づいているとも語ったが、細部には言及を避けつつも、「皆さんも遠からず知ることになるだろう。防空&ミサイル防衛兵器を他軍種のシステムと連接するような試みをである」と語った

●更に他の取り組みとして、既存のシステムを他のアセットに搭載することに言及し、「例えば、陸軍が運用しているPAC-3 MSEを、他軍種アセットに搭載することも検討している」、「F-16ではないだろうが、F-16より大きな機体で大型ミサイルが搭載可能なもの」、「航空アセットも想定外ではないし、艦艇アセットも想定外ではない」と語った
●ただし同副社長は、航空アセットの場合、より小型のミサイルがよりフィットするだろうとも語り、「PAC-3とMHTKの中間ぐらいの大きさで、2~2.5mぐらいの全長の物」と言及し、「全タイプの航空アセットに搭載可能なhit-to-killタイプの詳細なコンセプトに、積極的に取り組んでいる」と語った

●また同副社長はTHAADの発展型にも言及し、射程を延伸し、センサー能力も向上させ、超超音速兵器(hypersonic weapon)にも対処できるような能力を付加したいと語り、「検討の最中なので細部を語れないが、射程を延伸し、対処高度を増すことを疑いなく求められるだろう」と表現した

MHTKについて
MHTK.jpgMHTK(Miniature Hit-to-Kill)は、イラクでの米兵士死亡の2番目に多い原因である敵の「rocket, artillery and mortar (RAM)」 や無人機兵器対策として開発された兵器システムである
全長73㎝、直径5㎝、重さ2.5㎏のMHTKは、弾頭を搭載せず、運動エネルギーで「Hit-to-Kill」を狙う兵器。1個の発射機に36発搭載され、トラック1台に2個発射機が搭載できる大きさである
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兵器技術の拡散に伴い、弾道・巡航ミサイルから「rocket, artillery and mortar (RAM) 」、更に無人機まで、潜在的敵国にはこれら安価で入手が容易な兵器があふれることになります。

THAAD2.jpg上記のロッキード社の取り組みも、効果があるかどうか、費用対効果はどうなの・・・との精査は必要ですが、西側諸国軍が取り組みべき喫緊の課題です。

少なくとも、近年の脅威の変化を象徴するこれらの兵器は、我が国が「なぜか必死に優先して投資する」戦闘機の運用基地対しに極めて有効です。

お馴染みの関連記事・何度でも!
「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「2016中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15 

「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02

「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

「ACC司令官も電子戦機を早期に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20


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米大統領のアフガン政策演説に思う [安全保障全般]

Trump afgn3.jpg21日夜9時から、トランプ大統領がFort Myer陸軍基地でアフガン政策に関する政策演説を約25分間行いました。

日本でも、米本土横断の皆既日食ニュースにかき消されて小さい扱いながら、それなりに各種の分析を添えて報道されていると思いますが、まんぐーす自身の整理と頭の体操を兼ねて、概要と思うところを綴って見たいと思います

まず、マティス国防長官の情勢認識と発言など
今年6月上院軍事委員会で→→「米国はアフガンでnot winningであり、敵はsurging(勢力を増している)である。情勢に変化がなければ、タリバンにとっては今年も良い年で終わる(set to have another good year)だろう」
初夏にNATOが声明発表→→NATO加盟国はアフガン軍の支援・育成のため、派遣兵力を増強する

mattis.jpg8月18日Camp Davidに政権の安保関係者が一堂に会し、数ヶ月間にわたって検討してきたアフガン政策の取りまとめのため長時間にわたる協議を行う
8月20日夜→→「大統領は広範な南アジア戦略に関する戦略的決断を固めつつあり、戦術的で作戦的な決断を行いつつある

21日の大統領の演説後→→「大統領が発表した戦略の実行に取り組む。追加増派されるメンバーは、アフガン陸軍やアフガン空軍が、同国東部でISIS関連組織の脅威と対峙し、タリバンの巻き返しを防ぎ、アフガニスタンの安全保障を自ら手で維持するとの希望を達成することを支援する

トランプ演説の映像(約25分)


トランプ大統領の演説概要
米国史上最長の戦いに関する戦略を発表具体的な兵力等増強数に言及せず、スケジュールについても今後数ヶ月(in the coming months)とのみ表現し、「撤収の時期には縛られず、地上の状態によって判断する」と語る。
Trump afgn2.jpg●ただし関与に関する制約を減らすと説明し、最終目標をアフガニスタンにおける「永続的な勝利:enduring victory」と表現

●更に「同盟国等と協力し、相手の意思をくじき、戦力募集を干し挙げ、国境を越えての流入を防ぎ、彼らを手際よく打ち負かす」と表現
●また、強力で能力を備えたアフガン軍の養成が米軍派遣の目的だと語る一方で、アフガン問題に白紙の小切手を繰り出すことはしないとも表現


まんぐーすの情勢認識と思うこと
Dunford.jpg●マティス長官やダンフォード議長やその直属部下は、トランプ政権誕生以降、新政権の国防政策に関わる質問に対し、各種の政策文書(国家防衛戦略NDS、国家軍事戦略NMS、核態勢見直しNPR、ミサイル防衛体制BMDR等々)の検討の中で熟考中だと時間稼ぎ発言を繰り返してきたところ


「マティス長官がNPRに言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-15-1
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20

Work2.jpg●一方で、予算管理法によって縛られ、強制削減や政府機能停止の危機と背中合わせの「綱渡り状態」は変わらず、加えて老朽装備品や関連インフラの更新や維持修理は待ったなしの状態で、トランプ大統領が年6兆円の国防予算増額を根拠なくぶち上げても、実際には現状維持だけで年10兆円の増額が必要だとWork前副長官は公式発言しているとところ(米軍予算は年間約60~70兆円規模)

「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

●本来このような厳しい環境になればなるほど、サイバーや宇宙など新しいドメインの新しい脅威も踏え、新たな抑止概念の整理やそれに伴う国防予算配分の優先順位議論をまず徹底的に行い、その後各論に入っていくべきであるが、米国の足元を見たロシアや北朝鮮や中国やイランやイスラム過激派が手を緩めない中、米国は危ういトランプ大統領を抱えつつ、とりあえずのその場しのぎ&時間稼ぎで何とか遣り繰り中
国防省の政治任用ポストの75%が未だ空席状態で、当分細部各論には入れそうもない状態が現実

本来あるべき根本的な議論
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止再考を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「国家軍事戦略NMS検討を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06

Goldfein.jpg一方で各軍種は、厳しい予算的遣り繰りの中でも、オバマ前大統領や民主党の締め付けから脱するトランプ政権の「軍事予算大幅増額」大風呂敷に期待し、また他軍種を差し置いても我田引水を勝ち取ろうと、「統合戦力の一翼を担い」とのスローガンとは裏腹に、自分のパイを増やそうとナリフリ構わぬ売り込み工作を推進中


米陸軍:巨大都市戦に備えよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-22
「文書:将来の海軍発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-18
空軍は9月に爆撃機計画発表へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-28-1
5分間でトランプに訴えたこと」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-04

●ホワイトハウス内の勢力争いだけでなく、各軍種間の予算争いも加熱する中、無い袖は触れない&米軍の前線部隊は疲弊している中、更に米国や米軍の「引き潮状態」を取り上げたいメディア対策も考える必要がある中、諸情勢を良く承知しているトリオ(マティス&ダンフォード&マクマスター)は、これまで公表してきたような文書や数字を、揚げ足を取られないように「非公開化」する方向に進んでいる
●例えば、2016年国家軍事戦略(NMS)が従来とは異なり非公開文書となった流れがそれで、この「見えない化」は今回のアフガン政策でも加速している。しかし一方で、ちっちゃな部隊展開を大々的に映像等でアピールする手法も頻発している(例:軍事面で実態として意味が無いB-1爆撃機とF-2戦闘機のツーショット公表など

「国家軍事戦略NMS検討を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06 
「3回目の航行の自由作戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-17

Trump afgn4.jpg●そんな中でのアフガン政策は、本来は議論の最後に出てくるはずの極めて各論の話だが、現場の状況が危機迫っており、何らかの「緊急止血策」が必要なまでに追い込まれており、この時期に打ち出さざるを得なかったと推測
●一方で、足元の予算や米軍の状況を考えると大判振る舞いも難しく、作戦完了の期限を切れるほど効果的な策も打てないから、規模やスケジュールを伏せたまま「地上の状態によって判断する」と発表せざるを得ないのだろう
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USS John S. McCain.jpgマラッカ海峡でタンカーと衝突した米海軍ミサイル駆逐艦マッケインの事故を見るに、米軍もゴムが伸びきった状態なのか・・・と心配になりますが、全くフォローしていないアフガン情勢も極めて厳しい状況なのでしょう

米軍の増強は4000名程度とか報道されていますが、厳しいと言わざるを得ません。そんな中、日本のメディアの「低俗さ」や「浮世離れ」を見ていると、本当に暗くなります

残暑の復活だけで気分がめいっているのに・・・

オバマ演説のトランスクリプト
https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/08/21/remarks-president-trump-strategy-afghanistan-and-south-asia


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カーター前副長官の遺産DIUxとSCOに新権限 [マティス長官]

Mattis DIUx.jpg9日、マティス国防長官が就任後初めて西海岸のDIUx事務所を訪問し、カーター前長官の肝いりで立ち上がった最新技術取り込み事務所の試みを「熱狂的に支持する」「カーター長官の先見性は素晴らしい」と語り、国防省内のSCOと共に今後も有効に活用する姿勢を明らかにしました

この長官のDIUx初訪問を契機に、Work前副長官が退任直前の7月14日に許可したDIUxとSCOの特別権限についてご紹介し、両組織が民間分野の最新技術を柔軟に迅速に効率的に国防省に取り込めるよう、人事面や予算運用面で配慮された様子をご紹介します

前回DIUxとSCOをご紹介してから時間が空きましたので改めて簡単に説明すると、DIUx(Defense Innovation Unit Experimental)は、民間ハイテク技術の宝庫であるシリコンバレー、ボストン、テキサス州オースチンに設置された事務所で、ハイテクベンチャー企業や伝統的軍需作業でない中小企業の最新技術を掘り起こして国防省との窓口となる組織です

Mattis DIUx2.jpgまたSCO(Strategic Capabilities Office)は国防長官直属の位置づけ組織で、DIUxなどが見つけてきた技術の装備化や前線部隊から迅速な装備化要求が高い事業を、官僚機構の鈍重な手続きをすっ飛ばして実現する組織であり、これもカーター前長官が設けたものです

ただ一方で、このような急進的な改革には反発もあるもので、有力国防族である議員が、「既存組織との違いがあるのか?」「本当に軍事力向上につながるのか?」と疑問を呈していますので、そんな声も紹介しておきます

10日付Defense-News記事によれば
DIUx.jpg●9日、シリコンバレーのDIUx事務所を訪問したマティス長官は記者団に対し、「私はこのDIUxを熱狂的に支持し育てていく。カーター前長官が先見性を発揮し、この地に国防省の碇を下ろしておいてくれたことをとても嬉しく思う」と語った
Work前副長官がDIUxとSCOの人事や予算面での改善措置を承認した7月14日のメモは、「2つの組織のニーズは、最新の技術に精通して企業と連携して新たな関係を構築でき、国防省が必要とする技術を導入して前線に投入できる経験豊富な人材を採用することでのみ満たすことが出来る」と措置の必要性を強調している

●新たな措置は、まず第1に2組織が民間企業との競争の中で優秀な人材を雇用するため、18ヶ月までの期間であれば柔軟かつ迅速に必要な人材を雇用できる権限を延長した
第2に長期雇用ポストについても2組織がより迅速かつ柔軟に人材を雇用できるような新たな権限を、来年度の予算関連法案に盛り込んだ。実際にDIUxと協力関係にある企業関係者は、これまでは少なくとも数ヶ月雇用に必要だったが、これで1日あれば有能な人材を採用できると評価している

第3に従来は1案件で約30万円を上限で官僚手続きを経ないで契約が出来たが、この上限を事業運用と維持整備用に5億円まで引き上げる措置である。そしてこの措置に伴う事務手続きを迅速化するため、DIUxに契約担当官を配置することも措置された
●この措置を同企業関係者は、「契約が飛躍的に迅速化するだろうし、試験の現場で必要部品を補充するのに6ヶ月も待つ必要がなくなるだろう。この措置には興奮している」と語っている

第4に、鈍重な官僚手続きを経ないで、5000万円を上限として、関連事業の広告宣伝や会議開催予算を使用することが出来ることになる。これにより、より広範に技術保有企業にアプローチでき、新たな技術シーズを発見できる
●国防省外部へ措置だけでなく、内部の人材を集める措置も加え、軍人がDIUxに勤務した場合、この勤務を「統合職勤務」として経歴上扱うことにした。統合職経験が階級昇任の要件となっている米軍において、人材を集める策である

●これらの措置は、2018年度予算関連法案で裏づけされる必要があるが、議会からも2つの組織に対する支持があるので問題ないだろうと見られている

議会が必ずしも支持一色ではないとの記事も
Thornberry4.jpgDIUxが開設されて以来、これまでに45のプロジェクトと合計約110億円の契約を結んでいる。この額が小規模なのは、他に約2200億円が民間部門からDIUx関連プロジェクトに投資されているからである
●同組織はAI、情報技術、無人システム、宇宙、生命化学の5つの分野を重点にしているが、以下の3つのプロジェクトが高額なトップ3プロジェクトで、全体予算の1/3を割り当てられている

Tanium社が約140億円でIT及びサイバー作戦管理の効率化、Composite Engineering社が約13億円で高速無人機の開発、オンラインゲーム企業のImprobable社が7億円でシミュレーション開発がこのトップ3である
既に実用化されているプロジェクトには、Pivotal Labs社が担当した約3億円のソフト開発で、米空軍ジェット機への給油効率化に応用されている

●しかし2つの組織は、共和党指導者たちから、その効果や必要性について疑問の目で見られている。下院軍事委員会の委員長であるMac Thornberry議員は、「これら組織がやっていることは、他の既存組織がやっていることと違うのか?」とその存在意義を認めていない
●DIUxの組織運営予算は、2016年度は初年度立ち上げで約20億円だったが、2017年度は約10億円に削減されている。そして2018年度は国防省が30億円を要求したが、議会はこれを半分の15億円にする案を検討している
/////////////////////////////////////////////////////

work AFA.jpgまだまだ紆余曲折や栄枯盛衰がありそうですが、「政争の具」にならないことを心から祈ります。

特に、巨大軍需産業による事業独占の弊害がますます叫ばれる中、多くのスタートアップ企業が国防分野でその力を発揮できるような環境育成に期待しています。

Thornberry議員の指摘も、もっともな部分があるのでしょうが、ここは新興勢力にやらせてみる気持ちの余裕が大切だと思いますよ・・

DIUx関連の記事
「ボストンにもDIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-27-1
「2つ目の場所とリーダー公表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14
「技術取込機関DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

SCO関連の記事
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26
「SCOの頑張り」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10
「カーター長官のアピール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03


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改善提案で個人携行品重量を3割カットへ [Joint・統合参謀本部]

Marine Innov2.jpg4日付Defense-Techが、米海兵隊が業務改善提案や新技術のアイディアを募る「Marine Corps Innovation Challenge」を実施し、2016年のコンテストで数百の提案から18個の優良提案が選ばれた中から、海兵隊兵士の個人携行荷物重量を削減する「スマート」な提案を紹介しています

同記事が紹介する「スマートデバイス」を用いた方策が、本当に個人携行品を減らすのか疑問な気がするのですが、それれはさておき、米海兵隊が行っている個人のアイディア募集と優良提案の扱いが興味深いところですので、アイディア募集映像(担当の中将が自ら出演)とあわせご紹介します

4日付Defense-Tech記事によれば
Marine Innov.jpg●2016年の米海兵隊改善提案(2016 Marine Corps Innovation Challenge)において、Alexander Long上級軍曹が考案した前線部隊の補給サイクルを改善して個人携行荷物を削減する「スマートディバイス」を活用する提案が18個の優秀提案の一つに選ばれた
●同軍曹の提案はPCARD(Personal Combat Assistant and Reporting Device)と命名された前線部隊用システムで、スマート時計のような個人装着型端末と、分隊長クラスが保持する「タブレット」端末、そしてシステム全体を管理する小隊長レベル用のノート型PC等から構成されており、リアルタイムで前線部隊のニーズを把握し報告できる

分隊長は個人装備型の端末で各兵士のニーズを把握し、小隊長は全体の物資保有状況を掌握して、何を優先してどれだけどのように補給物資を要求するか決定できる
●このように部隊全体のニーズを的確に把握することで、現在基本として少なくとも3日分の補給物資を個人で携行することになっているが、この分量を減らすことが可能になると、提案者のLong軍曹は考えている

●同軍曹の見積もりに寄れば、現在は一人約30~45kgの補給物資を背負って行動するが、このPCARDが構想どおりに機能すれば、その重量を33%削減可能である。
●これまでも海兵隊は紺人携行荷物の量や重量削減に取り組んできたが、最新技術で更に大きな改善が見込まれると同軍曹は自信を持っており、海兵隊が別に検討している小型無人機による補給物資の最前線への配分構想とも連携できると考えている

提案実現への支援体制など
Marine Innov3.jpg●もちろんサイバー対策は第一優先の要確認事項だと同軍曹も認識しており、この改善提案コンテストを主催している海兵隊司令部の部署や軍曹が勤務する海兵隊システムコマンドとも連携し検証を進めている
●既にこの提案は、南ミシシッピ大学や軍需企業との共同研究体制でプロトタイプ作成に動いており、海兵隊部隊での実地試験も始まっており、より大規模で本格的な部隊試験も10月に計画されている

●なお、Long上級軍曹にはこの提案の功績により、2017年7月から有名なスタンフォード大学の起業家啓発プログラムを履修するチャンスが与えられた
8月15日から正式にスタートする2017年の同提案募集は、「兵站:logistics」に焦点を当てたものとなっており、優秀な提案は国防省研究機関や関連する大学などと協力体制を構築し、Long軍曹の提案のように実用化に向けた組織的支援を得ることが出来る。

提案を募集する担当中将出演のYouTube映像
https://youtu.be/vECZ1lUsny4
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ところで、前線兵士にタブレットや携行型個人端末を普及させるのは時代の流れとして理解でき、上手く活用できれば情報共有や指示命令の徹底に有効だとは思うものの、本当の前線で充電はどうするのでしょうか?

Marine Innov4.jpgイラクやアフガンでの様に、毎日拠点となる設備充実の基地から出動して夜戻るならまだしも、敵の支配地域や勢力下地域に侵入するとなればどうするんでしょう? 小型ソーラーパネルでも持ち運ぶのでしょうか? かなり気になっています

しかし、映像の中将殿を含め、本当に海兵隊の皆さんはたくましいですね・

米海兵隊関連の記事
「小型無人機対処に悩む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-17
「艦載援護&攻撃&電子戦機を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-24
「電子戦態勢の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-06

Neller海兵隊司令官の熱い信念
「被害状況に備え訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-16
「基本的な防御手段を復習せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「生活習慣を改善せよ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08


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米空軍兵士の死因一番は自殺45% [米空軍]

Suicide.jpg14日付米空軍協会web記事が、米空軍人事管理センターから得た最新情報として、過去1年間の米空軍兵士(予備役と州軍を含み、文民職員を除く)の死因の中で、自殺が45%と最も比率が高いと紹介しています。

過去の統計との比較や、一般米国社会との比較が無く、だからどうなんだと突っ込みたくもなりますが、生の米軍や米空軍に迫るデータですので、とりあえずご紹介します

米空軍は予備役等を合わせて約30万人(文民職員を除く)で構成される組織ですから、日本の自衛隊の方は、それぞれの組織の規模と比較し、自殺者数などを比較してはいかがでしょうか?
日本は残念ながら一般に、自殺の多い国と理解していますが・・・

14日付米空軍協会web記事によれば
Suicide2.jpg●米空軍協会が米空軍人事センター(AFPC: Air Force Personnel Center)から入手したレポートは、2016年8月1日から2017年同日までの米空軍の死者数151名の内訳をまとめている
●なおこの統計は、任務遂行中または任務への行き返りの間に発生(while performing military duty or traveling to/from military duty)したもので、細部規定は不明だが基地外で発生(occurred off base)した死亡も一部含んでいる

最も多い死因は明らかな自殺と判定できる「自ら引き起こした死」の69事例で、更にその中で41事例が「銃による死」、19事例が「首吊り」で、65事例が正規兵の自殺だった
●自殺に続いて多いのは、「事故」による45事例で、航空機や車両運行中の事故が大半である

3番目に多いのが病死で30事例。がんと心臓&血管障害がそれぞれ10事例と最も多い病名である
●殺人が3件で、2件が銃殺によるものである
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海兵隊司令官が今年2月の講演で、
Neller4.jpghttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08
2016年に亡くなった海兵隊員は152名に上るが、戦闘行動での死者は僅かに1名で、自殺が35名、そしてその他の「不注意や乱暴な行為」に起因する事件や「交通事故」の犠牲者が多いことを残念だ」と発言しています。

米海兵隊と似たような規模の米空軍としては、69件の自殺は少なくないと考えられます。

性犯罪に関して言えば、国防省の調査で空軍士官学校は3軍の士官学校の中で性犯罪認知件数が継続してトップで、昨年6月までの1年間で32件、陸軍が26件、海軍が28件となっています。
士官学校の学生数は、陸軍2に対し、海軍と空軍が1の割合ですから、空軍の性犯罪率が高いことが明白です。

「空軍士官学校の性犯罪対処室が捜査対象に」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04 

airman.jpgこれに航空自衛隊の統計や、他の空軍の統計が加わればより精度が高まるのですが、現時点では無理やり「こじつけ」と言われても仕方がないかもしれません

しかし言わせていただきます! 戦闘機パイロットが支配する世界の空軍は組織的な限界を迎えており、脅威の変化に対応した人材の育成や登用を考えないと、組織が腐っていく・・・との仮説を提示しておきます

政治や文民の世界に、しっかりした軍事知識と認識を持つ有識者が多い米国では、世界情勢や脅威の変化を前にし、空軍のリーダーが戦闘機操縦者ではだめだとの認識が広がっています

桜6.jpg今の米空軍参謀総長は戦闘機パイロットですが、その選定過程では宇宙や特殊作戦の士官が最有力と言われていました。時代の流れだと思います

ただ人材育成に時間がかかることも事実で、戦闘機操縦者だけに過剰な教育訓練投資が行われてきた航空自衛隊の中で、人材の選択肢が十分でないことも確かでしょう。
しかし変える努力を今始めないと・・・組織が時代についていけませんよ・・・

まず有事にあまり期待できない戦闘機への投資を抑え、抑止力と戦闘力を真に向上させる方向を探るべきです

関連の記事
「海兵隊司令官:生活を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08
「空軍士官学校の性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04 

「性犯罪は依然高水準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1
「暴力削減にNGO導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-05
「国防長官が対策会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19


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小ネタ3題:火星12号能力+バノン北朝鮮+空自宇宙部隊 [安全保障全般]

19日午前3時の速報→米ホワイトハウスは18日、バノン首席戦略官・上級顧問が同日付で離職すると発表した。(時事通信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170819-00000007-jij-n_ame

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グアム包囲射撃.jpg表題の通り、18日付報道から「小ネタ」を3つご紹介します

最初は北朝鮮が8日発表した「弾道ミサイル火星12号によるグアム島4発包囲射撃」に関する軍事専門家の見方次にホワイトハウス内で消えそうで消えずに勢力を盛り返しているバノン氏の北朝鮮問題発言最後に全く方向の異なる航空自衛隊内に宇宙デブリなどを監視する「宇宙部隊」創設との報道の3つです

関東地方は雨の週末になりそうですので、のんびりと夏休暇最後の週末をお過ごしください。それにしても、この日照不足は心配だ。体にカビが生えそうです。既に心には生えているとの声も聞こえてきますが・・・

北朝鮮の火星12号にグアム包囲射撃は可能?
NK kasei12.jpg18日付読売新聞朝刊12面の「解説スペシャル」によれば、8日の北による「包囲射撃」発表は、17日から始まった米韓合同軍事演習「Ulchi Freedom Guardian」にヒステリックになった北朝鮮のいつものパターンで、冷静に見たほうが良い
●また同記事は、火星12号による「包囲射撃」の可能性について海自OB伊藤俊幸氏の意見を紹介し、開発途上にある火星12号の技術的課題を挙げている

●伊藤氏は火星12号について、「5月に1回しか撃っていない未完成品で、(ほぼ垂直打ち上げであった5月のロフテッド射撃の実績しかなく、)通常の(弾道ミサイル発射)角度で撃った場合の、大気圏突入時のデータを持っていない。包囲射撃なんて(高度な精密な誘導射撃が)できるはずがない」とコメントしている
弾頭の大気圏再突入は、数千度の高温から弾頭を保護する技術のほか、入射角を6度程度に正確に誘導する技術とデータが必要だからだ

●今後の北朝鮮の動きについて、伊藤氏と米ジョンズホプキンス大の研究チーム「38ノース」はともに、米韓合同演習間にSLBMを発射する可能性があると指摘している

バノン氏:北朝鮮問題に軍事的解決はない
Bannon2.jpg16日付で「The American Prospect」のwebサイトに掲載されたSteve Bannon氏へのインタビュー記事によれば、最近の北朝鮮に対するトランプ大統領の「fire and fury」発言等に関わらず、北朝鮮に関する軍事的解決はないとバノン氏は語っている
●同氏はインタビューで、「北朝鮮に関して軍事的解決はないから、忘れるべきだ(There's no military solution, forget it)」、「開戦30分以内にソウルの市民1000万人が死ぬことがないような解決法を誰かが示してくれない限り、軍事的な解決はない。皆が何のことを語って騒いでいるのか理解できない」と言い切っている

●またバノン氏は、中国との貿易不均衡に関し厳しい姿勢で臨むべきだと強調し、中国が北朝鮮に核ミサイル問題で影響力を行使するかどうかを待つべきではないと主張している
●そして「中国との貿易・経済戦争が全てである。我々は執拗に集中して対応すべきであり、さもなければ、5年後、遅くとも10年後には、もう取り返しのつかない事態(hitting an inflection point)に立ち至る」と訴えている

●更に「アメリカは中国と経済戦争の最中で、北朝鮮問題は余興にすぎない」と述べた。
●なおホワイトハウスは、このインタビュー記事に関する質問にコメントを避けている

空自に宇宙デブリ監視の「宇宙部隊」創設へ
宇宙部隊.jpg18日付読売新聞朝刊4面の記事によれば、防衛省は人工衛星の運用を妨げる宇宙ゴミや対衛星兵器などを常時監視する「宇宙部隊」を航空自衛隊内に創設する方針を固めた
新たに監視レーダーを設置し、2023年度から監視活動を開始する。人材育成のための関連予算を、2018年度概算要求に盛り込む。

●「宇宙部隊」はJAXAとも情報共有し、主にアジア地域に関係する宇宙空間を監視し、米軍と連携することで全世界的な包囲網を整備する
2018年度中に監視レーダーの設置場所等を決める予定だ
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Aegis Ashore2.jpgイージスアショア(地上配備型イージスシステム)もそうですし、空自の宇宙部隊もそうですが、その予算と人員をどこから持ってくるのでしょうか?
マスごみの皆さんに置かれましては、是非そのあたりを突っ込んでいただきたいと思います。

末尾に、宇宙データと宇宙での戦いを考える過去記事を並べました。是非この機会にご覧いただき、頭づくりにご活用ください

バノン氏が敵対勢力を、ホワイトハウスだけでなく、国防省や国務省から排除しようとしていると語ったと同記事は併せて紹介しています。マクマスター、マティス、ダンフォード、ティラーソンなども対象なのでしょうか。しかし内部権力闘争の話を漏らすのは「レッドライン」じゃ・・・

しかし、北朝鮮に関するバノン氏の見方は正論でしょう。マティス国防長官もダンフォース議長が一番そう考えているでしょうし、トランプ大統領も分かっているのでしょうが・・・

グアム島関連の記事
「米軍事メディアが見た北朝鮮騒ぎ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-14
「グアム島の過去と今を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-11
「グアムの核兵器対処要領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-15

宇宙データの共有が鍵
「商用データも取り込み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20-1
「米軍の新型宇宙監視望遠鏡」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19
「米軍が豪に宇宙監視レーダー移設」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15

「空自レーダーで宇宙監視?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-17
「Space Fence試験レーダー完成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-29
「米空軍のSpace Fenceを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-28

宇宙での戦いを訓練
「Red-Flag指揮官が宇宙幹部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19
「民間企業も交え大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-05
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11

「国際宇宙演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

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米中軍人トップが中将レベルの戦略対話に合意 [中国要人・軍事]

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大山鳴動してねずみ一匹・・・な感じです

Dunford-China.jpg15日、中国を訪問したダンフォード統合参謀本部議長が人民解放軍司令部を訪れ長年協議を続けてきた両国将官クラス軍人による戦略対話枠組みに中国軍側と合意し、人民解放軍参謀総長の房峰輝大将(Fang Fenghui)と合意文書に署名しました

正式には「Joint strategic dialogue mechanism」に署名したと表現されていますが、結論的には、両国軍の中将クラスが定期的に、ペンタゴンと北京の人民解放軍司令部で戦略対話を行うようで、最近南シナ海や東シナ海で発生している、米軍偵察機と中国軍機の異常接近や、「航行の自由作戦」に伴う不要な摩擦防止や事態発生時のエスカレーション防止を意図しているようです

今回の合意文書署名に至るまでに、少なくとも3~4年、いやオバマ政権誕生以来継続的に取り組んできたともいえますので、8年以上とも言える時間を掛けた協議が行われて来たことを考えると、おめでとう御座いますとお喜び申し上げるのが適当なのかもしれません。

Dunford-China2.jpgしかしです。良く見ると、最初の具体的な「対話」は今年の11月まで待って開催予定で、米側はJ-5長のRichard D. Clark陸軍中将が出る予定だそうですが、その対話会議の目的がその段階になっても「対話の枠組みを構築する」(to set up the framework)事となっており、ほとんど具体的な中身が詰まっていないないことや、中国側の消極姿勢が十分伺える状態です。

加えて、中国共産党の軍事委員会のメンバーでもない中将レベルが中身のある建設的な議論をするとも考えられず、ホットラインのように緊急時に機能するのか極めて怪しいと疑わざるを得ませんが、ないよりは増し、相手にシグナルぐらいは送れるし、相手の対応から背景を探る程度の期待は出来るのかもしれません。

・・・と言うことで、いきなりテンションが下がっていますが、米海軍協会web記事より、米中軍の戦略対話枠組み署名の模様をご紹介します

16日付米海軍協会web記事によれば
USS John S. McCain.jpg●15日の合意署名に対する統合参謀本部と米国防省の声明文は、当地域や世界が核武装した北朝鮮の危険に直面している今、両国軍のコミュニケーションは極めて重要である、と強調している
●更に声明は、本合意は危機の緩和を意図したもの(intended for crisis mitigation)で、双方の誤算のリスクを低下させてくれる、と記している

8月10日にミサイル駆逐艦John S. McCain (DDG-56)が、2017年に入って3回目の「航行の自由作戦」を実施し、中国が埋め立てを行っている問題の「Mischief Reef」の12マイル以内を航行したように、両国間の緊張は高まっている
●またここ数年、米海軍偵察機と中国空軍機間の事案が何度も発生しており、特に中国側が「防空識別区」を一方的に設定し、米側がこれを無視している状態が続いていることも緊張を高めている

Dunford-China3.jpgもっとも悪質な事例としては、2014年に中国軍のJ-11B戦闘機が米海軍P-8海洋偵察機に対し異常接近し、中国戦闘機が搭載武器を誇示するようにP-8を巻き込むような「バレルロール」機動を行った事案がある
中国側は、米軍偵察機が中国沿岸に接近して偵察行動をとることが事態を引き起こしたと主張したが、米軍機は公海上空を国際法に乗っ取り飛行していただけである

このような事象にもかかわらず、この戦略対話枠組みに関する話し合いは継続されてきたのである
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ダンフォード議長と署名式に臨んだ人民解放軍参謀総長の房峰輝大将は、2012年11月から同ポストについているベテランです。

US China.jpg下記の過去記事でご紹介していますが、房峰輝大将が参謀総長に就任した頃は、まだ米側に中国との対話の期待が大いにあり、2013年春のデンプシー統合参謀本部議長の訪中や、2014年春の房峰輝大将の訪米は、極めて盛大に歓迎ムードが漂っています

時は流れて・・・米国も大変でしょうが・・中国には困ったものです。


往時の米中軍トップ:房峰輝とデンプシーの交流
「房峰輝の訪米2014」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-14
「デンプシー訪中2013」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-23

ゲーツ国防長官(当時)の対中国対話に関する言葉

gates.jpg冷戦時のソ連との戦略兵器交渉は、必ずしも実を結ばなかったが、双方の誤解や疑念を晴らすのに有効であった。ゆえに、いかなる政治的ごたごたがあろうとも、中国との軍事レベル対話は継続して置かねばならない
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17

中国に関して米国の立場を(インド首相に)説明した。対話の継続が重要であると。私は旧ソ連と長年にわたって戦略兵器交渉を行った。同交渉が兵器の削減に繋がったかどうか自信はないが、交渉を通じての率直な意見のぶつけ合い、核兵器自体やその近代化に関する議論は、冷戦期間中にわたり2大大国間に誤解が生じることの防止に大きな役割を果たしたと考えている」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-21

「米中の軍事対話が人質に取られている状態である。皆さんに明らかにして置きたい。中国が対話を中断したことによって、米国が台湾への政策を変えることはない
「米国防省は、継続的で信頼に足る、全てのレベルにおける軍事交流により誤解、誤判断、意志疎通のミスを減らす事を希望する。これは地域の安全保障にとって必要不可欠である」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05

ロバート・ゲーツ語録100選
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

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米陸軍が安価な小型衛星で前線兵士支援へ [サイバーと宇宙]

Kestrel Eye3.jpg米国東部時間の14日正午過ぎに打ち上げられたSpace-X社のDragonロケットに国際宇宙ステーションに届けられる約3トンの補給物資と共に、米陸軍初の偵察衛星「Kestrel Eye 2M」が搭載されていました。

この小型衛星は小型冷蔵庫ほどの大きさで、分解能が1.5m程度と「並み」の性能しかなく、低高度軌道でわずか1年間しか活動できない控えめなものですが、直接前線兵士が活用できる点で、また従来の「多機能・高価・代替がない」から、「単純・安価・数で勝負」へ発想を転換するチャレンジングな偵察衛星です

同打ち上げの目的である国際宇宙ステーション日本モジュールへの「Airlock」任務(ドッキングして物資補給か?)が終わってから、10月頃に宇宙に放出されて実験を開始する「奥ゆかしさ」にも魅力を感じ、SNS上での情報も交えご紹介します

14日付Defense-News記事等によれば
Kestrel Eye.jpg米陸軍の宇宙ミサイル防衛コマンド(SMDC)と戦略コマンド技術センターが取り組んできた偵察衛星「Kestrel Eye」計画は、第1段階の開発が2008年ころから始まったが、その際は衛星打ち上げには至らなかった
●しかし2012年に始まった第2弾計画は、今回の偵察衛星「Kestrel Eye 2M」 打ち上げにつながった

●同開発責任者のChip Hardy氏によれば、この小型低コスト光学偵察衛星の試作機は、緊要な地上作戦を遂行する前線兵士に直接低高度衛星から画像情報を提供することを狙いとしたものである
●同計画の最終目的は、前線兵士が直接衛星に情報要求を送信し、衛星が同一周回においてその要求に対応するシステムだが、今回の試作機はアラバマ州ハンツビルのSMDC拠点とハワイの太平洋軍拠点にデータを送信する

Kestrel Eye2.jpg●Hardy氏は、「ハイビジョンTVのような画像は得られないが、戦術的に有用な解像度な情報が得られる」、「高精度画質が狙いではなく、任務遂行直前の前線部隊がリアルタイムで求める情報が手元に得られる仕組み」と狙いを説明している
●試験衛星は低高度に1年間滞在し、太平洋軍の行う様々な任務を試験的に支援するが、将来的にはより高高度で長期間在空することを狙っている

米陸軍作成の「Kestrel Eye」宣伝チラシによれば
衛星1機の価格を2億円以下
●「Kestrel Eye」は従来の衛星と比較して小型で圧倒的に低価格なので、大量に投入可能であり、絶え間ないプレゼンスが維持可能
一回の打ち上げ失敗の影響が、システム全体の損失につながらない

ツイッター上での専門家の皆さんのコメント
「tetsu」さん
今夜打上げられるドラゴン補給船に相乗りする「Kestrel Eye 2M」 
米陸軍が偵察衛星を初めて保有することになる。分解能1.5m、今回の実証機が成功すれば30機の打上げを予定し前線部隊へ衛星写真を迅速に提供する計画

「Kazuto Suzuki」 さん
陸軍が衛星を保有するというのも大事な点だが、それ以上に、米軍が小型衛星に軸足を移し始めたこと、SpaceXを使ったことが大きな変化だろう。陸軍がやり始めたのは、過去のしがらみがないのでやりやすかったという側面もある
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Kestrel Eye4.jpg識者の皆さんのコメントにあるように安価な打ち上げが可能なSpaceXを使ったこと、米軍が小型衛星に軸足を移し始めたこと、米陸軍が偵察衛星を初めて保有する米陸軍だから出来たとの見方、などは重要な指摘です

また、米空軍に支配されている宇宙アセットや宇宙アセット情報が、陸軍や海兵隊の最前線に迅速に届かないとの不満も背景にあるのでしょう。このあたりにも、米空軍から宇宙軍独立案が議会から提出される背景があるのでしょう

また「クロスドメイン」な戦いが叫ばれる背景には、地上部隊の最前線に衛星情報を!・・・との声もあるのでしょう。試験機の成功を祈ります。

関連の宇宙記事
「下院が宇宙軍独立案を承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14-1
「宇宙コマンド太平洋域での課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「副長官がJICSPOCを高評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28

「衛星小型化は相殺戦略でも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「米空軍の宇宙姿勢を改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-19-1
「F-15から小型衛星発射試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-09


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