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岩田元陸幕長が米軍の第一列島戦離れを指摘 [安全保障全般]

Stimson5.jpg9月15日、ワシントンDCのシンクタンクStimson Cenrterで、辰巳由紀・同センター日本部長の主催による毎年恒例の日米安保を考えるイベント「Voices from Japan」が開催され、「Visions for Japan’s Future Defense Posture」をテーマに、防衛大学校の同期生である3名の自衛隊元将軍がパネル討議を行いました

議論を行ったのは、防大23期生の岩田元陸幕長、武居元海幕長、そして広中元空将(教育集団司令官)で、前者2名が昨年まで陸自と海自のトップを務め、広中氏も今年までCNASの客員研究員を務めていたこともあり、現役が語れない生の声に近いものが聞けると期待を集めました

Stimson3.jpgこのイベント「Voices from Japan」にはこれまで、西元事務次官、小野寺元防衛相(2015年当時)、野田元総理などが交代で招聘されてきましたが、今回は同期生の元自衛官3名が、事前に綿密な打ち合わせをして臨んだと思われ、発言の重複や論理の混乱もなく、理路整然と3名が多様な角度から「Japan’s Future Defense Posture」の方向を語ることに挑んでいます

映像で約90分のイベントが公開されていますが、本日は岩田元陸幕長の発言から、米軍が西太平洋での有事の際、第一列島戦からグアム島まで後退する可能性が検討される中防衛大綱とガイドライン見直しを同時にリンクさせてやり直す必要があるとの主張部分の発言要旨をご紹介します

Stimson Cenrter公開映像の42分付近から


極東付近の軍事情勢は、予想していたよりも急速なペースで変化しており、北朝鮮の核やミサイル開発にしても、中国の第一列島戦を超えての艦隊や航空機の活動にしても、日米同盟に迅速な対応を求めている
米国の極東や西太平洋での軍事戦略は、シンクタンクCSBAや国防省のNet Assesment Officeが中心となって検討されており、これまでエアシーバトル(ASB)や第3の相殺戦略といった概念を打ち出してきていると認識している

●この米国内での検討では、(敵対国の弾道・巡航ミサイル等戦力の充実を受け、)米軍が現在展開している在日米軍基地をはじめとする第一列島戦の位置から東へ一時後退し、グアム島のラインまで引くことがオプションとなっている
Stimson2.jpg●この体制で敵の一撃や初動の攻勢を凌ぎ、後に経済封鎖や遠方からの長距離攻撃を中心とした軍事作戦で、巻き返しを狙う軍事戦略や作戦も検討されていると認識している

現在の日本の防衛体制や防衛戦略は、4年前に防衛計画の大綱を定め、その2年後に米国と協議してガイドラインの見直しを行っているが、(大綱の枠に縛られ、ガイドライン再検討時に米側と十分にすり合わせができていないことから、)十分な状態にあるとは考えていない
●現在の脅威環境に的確に対処するには、大綱の議論と日米の協議を同時に進め、「Mission」「Role」「Capability」の3側面で、日米がしっかり協力できる体制を再構築する必要がある

●そして、日本は守り、米国が攻撃といった従来の役割分担ではなく、例えば日本がイージス艦やPAC-3のミサイル防衛で貢献するだけでなく、敵基地攻撃能力についても考えていく必要がある
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エアシーバトルがCSBAオリジナルな考え方から変遷し、地上部隊も交えた概念に強制改宗された数年前あたりから、これを陸自生き残り策にしようとする陸自幹部やOBによる「CSBA詣」が続いており、陸自の我田引水の動きには注意が必要です。

Stimson.jpgしかし現実として米軍が有事に、第一列島戦から少なくとも一時的に後退するとの認識は重要ですし、昨年退官したばかりの陸自トップが、海空元将軍と事前協議のうえで発言していることに大注目ですし、正しい情勢認識として歓迎すべきことです

この発言に続き、空自代表で登場している広中氏(非パイロット)には、戦闘機への投資を削減すべきだと発言してほしかったのですが極めてぼんやりとした「資源配分を再検討すべき」との言葉に終わっていて残念でした

きっと昨年ご紹介した広中氏による「対領空侵犯措置の効果」に疑問を呈する論考が反響を呼びすぎ、発言を控えているのでしょう・・・。残念なことです・・・。

陸自のCSBA傾倒
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12

関連の多様な記事
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06 

「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02 

「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

「ACC司令官も電子戦機を早期に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

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米海軍が空母艦載給油機のRFP発出 [Joint・統合参謀本部]

D-704 GA.jpg10月の第一週、米海軍がこっそりと、初の空母艦載無人機となる無人空中給油機MQ-25 Stingrayの提案要求書(RFP)を発出していたことが11日に明らかになり、米海軍協会web記事が米海軍航空部隊報道官などの発言を紹介しています

提案要求書は「Lockheed Martin」、「Boeing」、「Northrop Grumman」、「General Atomics」の4企業に提示され2019年の運用開始に向け、機種選定作業が本格化します

そんな中、早くもGeneral Atomics社が提案機種の模型を公開し、話題を集めているようです

11日付米海軍協会web記事によれば
米海軍は具体的な要求事項をほとんど明らかにしていないが、MQ-25 Stingrayは空母から500nm離れた場所で、15000ポンドの給油が可能な性能が求められることになる
●現在FA-18の戦闘行動半径は約450nmであるが、MQ-25 の導入によりこの距離を追加で300~400nm延伸することが可能となる計算になり、700nmを超える行動半径を獲得することになる

D-704 GA2.jpg●機種選定に参戦する4企業のうち、General Atomics社は早くも、ターボファンエンジンにV型尾翼を持つ「D-704 buddy tank refueling system」の想像図を明らかにした
●同社も、機体の大きさや燃料搭載量などの細部は明らかにしていないが、MQ-1やMQ-9が搭載する光学ボールカメラを搭載し、着陸ギアが機体内に格納されるS-3バイキング方式を採用している

●また、米海軍が設定した要求性能に加え、同社は拡張性の余地を設計に含めている
●退役海軍少将で同社に勤務するTerry Kraft氏は、「兵器搭載やISR装備搭載の余地を確保している。海軍は既にレーダー搭載用のフック装備を求めている。最終的にはこの無人機はトラックになるんじゃないか」と最後は冗談まで飛び出した
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拡張性は重要ですが、要求性がグラグラで、中途半端な「困ったちゃん」ができ上るのではないかと危惧します。

MQ-25A.jpg現在FA-18飛行時間の3割程度を割いている給油任務を軽減することで、FA-18本来の作戦任務に充当できること。

また、MQ-25が任務用給油と帰還時給油の両方をこなすことができ、その両方をFA-18給油型よりも効率的に行って4~6機の面倒を見ることができるてる点も導入効果として強調されています

MQ-25のゴタゴタな道のり
「MQ-25でFA-18活動が倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-03
「MQ-25のステルス性は後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27 
「CBARSの名称はMQ-25Aに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「UCLASSはCBARSへ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02

「UCLASS選定延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1
「米海軍の組織防衛で混乱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01
「国防省がRFPに待った!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12

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新技術:水中を「飛ぶ」弾丸に注目 [Joint・統合参謀本部]

DSG round.jpg9日の週に開催されていた米陸軍協会総会に並行して行われた装備品展示会で、あるノルウェーの弾薬製造企業「DSG Technology」が注目を集めました。

その企業が特許を取得して製造する小火器や機関銃の弾丸(5.56mm, 7.62mm .50 caliberなど)は、特殊な加工により、従来の弾薬より水中でも水の抵抗に強く、より遠くまで威力を保ったまま進むことができるというのです

例えば「.50 caliber」弾丸は、水中で60mも正確にかつ威力を保って到達することができるようで、船舶に接近する敵のダイバーや無人水中艦の対策に有効だと米海軍関係者も既に試験を経て好感触を得ているようです

このほかに、水上艦艇から水中の不審物に対して発射しても、従来の弾丸は一定以上の角度(60度以上との分析も)がないと水面で弾かれてしまうところ、同社の弾丸は20度以下でも大丈夫との資料もあり、水上艦艇への「敵の群れ」対処に頭を悩ませていた海軍関係者に朗報となっているようです

12日付Defense-Tech記事によれば
DSG round2.jpg●DSG Technologyはノルウェ国籍の企業だが、バージニア州にオフィスを持ち、ワイオミング州に製造工場を持つ企業で、CEOのJon Andre Garberg氏は米陸軍協会の展示会場で、水中を「飛ぶ」弾丸について説明してくれた
●Garberg氏は同社が特許を持つ弾丸について、弾丸が水中を進む際に起きる「cavitation; 液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象」により生じる気泡の中を、弾丸が「飛ぶ」のだと説明し、従来の水中を「泳ぐ」イメージと異なると強調した

●そして同CEOは弾丸の特許について、「弾丸の先端(tip)が鍵だ。わが社が発明したんだ」と語り、弾丸(5.56mm, 7.62mm .50 caliberなど)に興味を持つ米軍関係者が既にやってきていると述べた。
●また、「.50 caliber」弾丸は水中で60mも正確にかつ威力を保って到達可能で、同社製造の他の弾丸は全て、空対空、空対水中、更に水中発射も可能だとアピールした

DSG round3.jpg●更に同CEOは同社特許の弾丸の特長について、他社の弾丸と異なり水面で跳ね返されて「水切り」を起こさない点を強調し、他の周辺艦艇を危険にさらすことがないことをアピールした

●そしてこの弾丸の必要性について、不正規な戦いで無人水中艇や特殊部隊のダイバーが大きな脅威として認識されているが、その発見は容易だが対処に課題があったと述べ、「(水中での威力を確保するため、大型の)カノン砲など使用する必要はなく、わが社の弾丸なら普通の機関銃(.50 caliber)で十分威力を確保できる」と述べた

●ただし一方で同CEOは、「価格については語りたくない」とし、「他の高性能弾丸と同程度だ」と述べるにとどまった
●なお12日には、米海軍水上戦闘センターのJeremy Hankins技術専門官も同社の展示スペースを訪れ、「既にいくつかの性能確認試験を行い、良好な結果を得ている」と認めている
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いろんな目の付け所があるんだなぁ・・・と感心しました。

DSG round4.jpg従来の弾丸がどの程度水中で有効なのか承知していませんが、船舶の推進力を邪魔する「cavitation」を活用し、「水中を飛ぶ弾丸」に結びつけるとは大したものです。

ちなみにwikipedia情報によれば、ロシアのスーパーキャビテーション魚雷「シクヴァル」は、この現象を応用したもので、人為的に大量の気泡を先端部から発生させ、そこにできた空洞を弾道とすることで、水中でありながら 200 kt ( 約370km/h ) 以上の速度を実現している様です。これが先駆者かもしれませんねぇ・・・

キャビテーションの解説
http://web.tuat.ac.jp/~kamelab/list2/cav.htm  
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%93%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

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まだ日本は参加できず:米軍宇宙サイバー演習 [サイバーと宇宙]

Schriever Wargame5.jpg 12日付米空軍web記事によれば、13日から米空軍宇宙コマンドが主催する第11回目の宇宙サイバー演習「Schriever Wargame 2017」が、ネバダ州のネリス空軍基地内で開始されるようです。

今回はアジア太平洋地域を演習対象エリアとし、200名以上の軍人と文民関係者が、米軍のみならず米国の多様な機関から参加し、同盟国4か国(豪州、カナダ、英国、NZL)からも関係者が参加することになっています。

演習の特性上、ほとんど細部は明らかにされていませんが、時節柄、中国や北朝鮮が絡むことは自明の「Schriever Wargame 2017」に、日本が参加していないことが残念です

宇宙アセットの充実度からすれば、米国にははるかに及ばないものの、豪州やNZLには負けるはずがない日本が、このような状況にあるのは、言語や日本の法制上の問題もあるのでしょうが、情報共有可能レベルの差もあるのかもしれませし、防衛省に専門家がいない(又は、JAXAなどは軍事的な話に関与をしり込み・・)からかもしれません

日本の細部事情は推測の域を出ませんが、重要な演習ですので、細部は不明ながら概要をご紹介しておきます

12日付米空軍web記事によれば
●この演習の狙いは
Schriever Wargame2.jpg---アジア太平洋地域での作戦活動を支える航空・宇宙・サイバー能力に発揮に関する、多様な指揮統制能力の検証
---(多様な機関の)宇宙戦コンセプトを融合しつつ、宇宙における強靭性、抑止、そして戦いに関する知見獲得
---マルチドメインな戦いにおける、宇宙やサイバー空間の役割・貢献について探求
---同盟国や政府機関や民間企業を含めた一体的な協力枠組みの、統合共同作戦体制への変化発展

●今年の演習のシナリオでは
2027年を想定した米太平洋軍の担当エリアで、とある大国が宇宙やサイバー空間を活用し、戦略的な目的達成を図ろうとしている。
フルスペクトラムな脅威に多様な作戦環境で、参加者である文民と軍人リーダーや作戦担当者やアセット操作員は直面する

●参加する27の各種部隊や機関には、以下が含まれる
Schriever Wargame4.jpgAir Force Space Command,
Army Space and Missile Defense Command,
Naval Fleet Cyber Command,
the National Reconnaissance Office,
Executive Agent for Space Staff,
Air Combat Command,
Office of the Secretary of Defense,
U.S. Pacific Command,
U.S. Strategic Command,
U.S. Special Operations Command,
U.S. Northern Command,
Schriever Wargame3.jpgDefense Information Systems Agency,
the Intelligence Community,
National Aeronautics and Space Administration(NASA),
Office of Homeland Security,
Department of Transportation,
Department of State and Department of Commerce.
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2015年と2016年は、それぞれ10年後を想定した欧州コマンドエリアを想定した「Schriever Wargame」が行われており、今年はアジア太平洋に対象地域が移りました。

Schriever Wargame.jpg順番というか、北朝鮮がらみというか、その背景は不明ですが、日本が参加できていないことに危機感を覚えます。戦闘機ばかりに投資して、宇宙やサイバー人材育成を怠っていた結果でしょうが、残念です

米軍サイドのアジア太平洋エリアでの問題点として、以下の過去記事で
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1

中東戦域での様々な作戦要求に対応するため、運用要領や戦術や人員配置を改革してきたが、その代償としてアジア太平洋地域への対応準備が十分できていない
アジア太平洋戦域での宇宙管制任務は、極めて難しいものになる。そして大きな課題の一つが技術的なもので、マルチバンド周波数の必要性関連で、太平洋域の厳しい軍事環境では周波数ホッピングが求められるが、単一バンド周波数対応の現在の受信機にはその能力がない

・・・等との指摘がありました
専門的な話で良く分からないのですが、再度ご紹介しておきます

同演習の過去記事
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「国際宇宙演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

最近の米空軍宇宙関連
「米空軍はA-11設置で対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-18
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「Red Flag演習指揮官に初の宇宙幹部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19
「戦略軍の宇宙演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-05

米空軍が宇宙活動アピール
「商用データも活用へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20-1
「JICSPOCからNSDCに改称」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24

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米国:再び米国人を月へ、そして火星へ [サイバーと宇宙]

混迷のトランプ政権に夢のある話題を提供できるか?
副大統領リードで国家宇宙評議会スタート
「再び米国人を月へ、そして火星やその先へ!」

National Space C.jpg5日、今年7月にトランプ大統領が再立ち上げした国家宇宙評議会(National Space Council)の第一回会議が、スミソニアン航空宇宙博物館内で開催され、リーダーを務めるペンス副大統領が「米国が再び宇宙をリードする」「再び米国人を月へ、そして火星やその先へ」とぶち上げ、明るい話題の無いトランプ政権に夢のある話題を提供しようとの姿勢を見せました

また第一回目の評議会に招かれた専門家から、「SSA(宇宙状況把握)を高めるための方策」提言や、「宇宙への戦力投射能力(つまり攻撃能力)保有の必要性」を訴える提言がなされています

この厳しい予算の世界、つまりメキシコとの壁建設の予算が1割しか確保されていなかったり、大規模減税を発表も財源があいまいな状況下で、どのようにこの評議会の議論が集約され実現するのか不透明ですが、初代評議会(1989-93年 初代ブッシュ大統領が設置も、NASA長官と他メンバーの対立で廃止)のようなことがないことを祈ります

ペンス副大統領はリーダーとして
国防長官、国務長官、国土安全保障省、商務長官、国家情報局長(DNI)、NASA長官、そして統合参謀本部議長等で構成される同評議会では、副大統領のリードの元、民間・商用・安全保障ニーズにまたがる宇宙関連緊急ニーズについて議論され、トランプ政権が宇宙にコミットしていることを内外に確信させることを狙っている

National Space C4.jpg●ペンス副大統領は危機感を訴え、「米国は21世紀を、宇宙に関する一貫した政策やビジョンを持たないまま迎えている」、「米国がリーダーシップを発揮しない状況の中、国境のない宇宙で、他国がかれらの主張や利害を押し通そうとしている」と語った
●更に副大統領は、「米国の敵対国が、どん欲に妨害やハッキング等の技術開発に取り組み、我の監視・航法・通信能力を無効化しようとしている」と訴えた

●そして副大統領は、トランプ政権が「米国人宇宙飛行士を再び月に送って基礎固めをし、その後火星やそれ以外の星にも送り込むために取り組む」と発言した
●またペンス氏は、米国人宇宙飛行士1名を国際宇宙ステーションに送り込むため、現在ロシアに約80億円も支払っている現状を嘆き、米国自身でそれができる体制を確立する必要があると語った
●今年2月、NASAはロシア側と、2017年と18年に少なくとも2~5名の宇宙飛行士を送り込む合意をしたが、その費用約400億円から換算すると一人約80億円の計算になる

専門家が評議会に提言
National Space C3.jpg●パネル討議に参加した専門家たちは、一様に米国のSSA(宇宙状況把握)能力を高める必要性を訴え、元DARPA研究員だった専門家Pamela Melroy女史は、「何時間も何日も軌道変更もしない、あまりにも素晴らしすぎる少数で多機能高性能な衛星に頼る現状」と「そんな衛星への脅威を脅威を無視できない」を指摘した
●前NASA長官のMichael Griffin氏も、「そんなに豪華でない、一方でタイムリーで包括的で継続的な状況把握が可能な仕組みが求められている」と訴えた

●Melroy女史は、「より多くのセンサーを保有し、より頻繁に情報をアップデートする必要がある」、「その際、個々のセンサーはそれほど高価で精密である必要は必ずしもない」と語り、頻繁に情報を更新することで精密さが不足しても状況把握には十分間に合うと説明した
●また、国防省はこのような体制を、官民協力体制で安価に構築することが可能だと述べ、急速に普及する商用宇宙センサーも活用することで、国防省のニーズに対応することが可能だと語った

●一方でGriffin氏は状況把握だけでは不十分だと述べ、同時に「宇宙への戦力投射能力(つまり攻撃能力)保有」に取り組む必要があると主張し、「相手が我々にそうする可能性がある中で、我も相手のアセットにリスクを示せなければならない」と語った
●ただ、攻撃能力を保有したからと言って、それを使用することとは別であり、米国の戦略上、抑止力を強化することが必要だと述べ、最も重要なのは「米国が強いと思わせることで、だれも手を出せなくすること」だと語った
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National Space C2.jpgSSAの重要性や宇宙への戦力投射能力については、これまでも専門家や米軍幹部などから訴えられてきたことですが、副大統領が「再び月へ、そして火星やその先へ」との発言まで絡めて宇宙の重要性を訴えるのは大きな動きです

まぁ・・・トランプ政権の打ち出した政策で、実現したことがあるのか?心もとないところではありますが、国家レベルで宇宙の重要性が認識され、世界に日本に発信される影響を考えて「良し」としておきましょう・・・

トランプ大統領が国家宇宙評議会を設置
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-08

宇宙軍創設をめぐるゴタゴタ
「宇宙軍独立法案が下院で承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14-1
「下院が宇宙軍独立案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-22-1
「米空軍はA-11設置で対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-18

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米陸軍が対北朝鮮に緊急準備開始 [Joint・統合参謀本部]

Wiltsie.jpg11日付Defense-Newsによれば、対北朝鮮に向けて在韓米軍で様々な課題が明らかになる中、9月に韓国を訪問した米陸軍の緊急能力造成室RCOの室長が、対北朝鮮に向け同室が緊急で取り組んでいる事項についてボンヤリ語りました

米陸軍の緊急能力造成室(RCO:Rapid Capabilities Office) は、米海軍や空軍の同様組織の成功を受け、2016年8月に発足したばかりですが、主に電子戦、位置特定航法、サイバー戦を力点に、部隊の要求を官僚機構をすっ飛ばして迅速に実現することを期待されている特別組織です

同記事は、電子戦やGPSが妨害を受けた際の位置特定航法技術の開発に取り組んでいる様子も紹介していますが、本日はとりあえず、対北朝鮮でどんな技術に取り組んでいるのか語った部分をご紹介します

11日付Defense-News記事によれば
Wiltsie2.jpg約5週間前に韓国を訪問したばかりのDoug Wiltsie緊急能力造成室RCO室長は、在韓米軍と米陸軍第8軍が、朝鮮半島情勢への対処に不足する部分を穴埋めするため、膨大な取り組みを行っていると5日語った
●そしてRCOは、既に中心課題として取り組んでいる電子戦や位置特定航法(PNT:Position, Navigation and Timing)のほかに南北境界線付近に北朝鮮が仕組んでいる地下施設対処に注力していると同室長は語った

●更に室長は、「地下施設対処には、我がRCOだけでなく、米陸軍中が膨大な力をつぎ込んで取り組んでいる」、「北朝鮮は地下トンネルに野戦砲やロケット弾を隠しており、それらで緒戦を戦おうとしており、当然地下に弾薬を保管し、化学兵器も隠されていると見られている」と説明した
Wiltsie3.jpg●そして、「膨大な地下施設の位置を特定し、どこに何があるのかを把握することで、作戦をどのように組み立てるべきかを考えることができる。このプロセスは本当に極めて重要な取り組みである(very, very important as part of that project)」と強調した

●地下施設特定に加え、電子戦も重要課題であるが、朝鮮半島での脅威対応は欧州大陸でのそれとは少し異なるとWiltsie室長は述べ、朝鮮半島では、まずより多くの航空アセットを投入し、後に地上アセットを送り込むことになろうがどのように送り込むかが(how that is going to go in)現下の検討課題だと語った
●また位置特定航法(PNT)に関し取り組んでいる成果を、朝鮮半島に投入しようとしているとも語った
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イージス艦とパトリオットミサイルだけが「カラ元気」で懸命に活動し、戦闘機が何の意味もない「B-1爆撃機とのランデブー飛行」で忙しいふりをしている日本には、特に関係のない陸上自衛隊の皆様には、少しは刺激のある報道だったかもしれません

Wiltsie4.jpg真剣に考えればそうですよねぇ・・・。38度線沿いの非武装地帯やその周辺の地下施設対処は最重要課題ですから・・・・

しかしこのWiltsie緊急能力造成室長の話からすると、まだまだ米軍は北朝鮮と正面切って対峙する状態には無いとも見えますしこんな話を軍事メディアに語っていて大丈夫か???と思います。
言葉で北を威嚇しているつもりなんでしょうか???

米陸軍の新たな電子戦への取り組み
https://www.defensenews.com/show-reporter/ausa/2017/10/11/heres-how-the-armys-electronic-warfare-program-differs-from-years-past/

RCOや同様の国防省組織
「米陸軍もRCO設立」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-01
「米高官が注目技術を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-09-1
「国防省戦略能力室SCOの主要課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10
「カーター長官のSCOアピール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03

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露製エンジンRD-180無しでロケット開発へ [米空軍]

EELV.jpg5日、米空軍が次世代の軍事衛星打ち上げロケットの2022年使用開始を目指し企業からの提案を募る提案要求書(RPF:request for proposal)を発出しました。

「次世代の」というと聞こえは良いですが、このEELV(進化型使い捨て打ち上げ装置:Evolved Expendable Launch Vehicle)計画の発端には、ウクライナを巡る米露関係の悪化があります

元々米軍の大型軍事衛星は、アトラスⅤロケットで打ち上げられていましたが(デルタⅣもあるが高価格)、このアトラスⅤはロシア製RD-180ロケットエンジンを使用していました。
米国の安全保障を支える一部の大型衛星打ち上げを、ロシアに依存していたという驚きの構図になっているわけです

RD-180 2.jpgそれが2014年、ロシアのウクライナの実質併合で米露関係が悪化したことを受け、ロシアの国防相がRD-180の米国輸出打ち切りを示唆して米国内が大騒ぎになります。

数年分の打ち上げ用RD-180の在庫はあるのですが、米国産の新ロケットエンジンとロケット開発は容易ではなく、「米国の威信をかけて短期間で完成させろ。できるはず」派と、「リスクは受け入れがたく、屈辱に耐え、ロシアにRD-180追加緊急購入を頼むべき」派の論争が続きました。

結局現時点では、「できるはず派」の議会が、「屈辱受け入れ派」の米空軍や一部企業の要求を退け、8基ほどのRD-180在庫でしのげるギリギリの2022年までに次世代ロケットEELVを開発することで進んでいるようです

6日付Defense-News記事によれば
●米空軍は今回のEELV企業選定で、最終的には2020年までに2つの打ち上げロケットを選定し、2022年には選ぼうとしている
●ただ5日に発出された提案要求書では、(初期の)ロケット開発経費を提供する上限3企業をまず選定することになっている

Atlas-muos.jpg●EELV開発の前段階で、米空軍は既に4つの企業「SpaceX」「Orbital ATK」「ULA」「Aerojet Rocketdyne」とパートナー合意文書を交わして基本構想の提案を求めており、「SpaceX」はFalcon Heavy rocketで、「Orbital ATK」はNext Generation Launch systemで、「ULA」はBlue Originエンジンを使用したでVulcanロケット、そして 「Aerojet Rocketdyne」はAR1エンジンで取り組んでいる
現時点では、「SpaceX」「Orbital ATK」「ULA」の3企業は提案要求書に応じ、それぞれの提案で機種選定に臨むと見られている
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何の技術的知識もありませんが、個人的には「SpaceX」社の「Falcon Heavy rocket」に期待したいと思います。

この「Falcon Heavy rocket」は、同社の基本ロケット「ファルコン1」ロケットを9本束ねた「ファルコン9」とも呼ばれるロケットで応札しようとしているようです。

米軍事衛星打ち上げ関連
「混迷の露製エンジンめぐる論争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「国産開発が間に合わない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-29-1

「露製エンジンを何基購入?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-2
「米国安堵;露製エンジン届く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-22
「露副首相が禁輸示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-22

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磯田道史氏が指摘する日本軍事組織の弱点 [ちょっとお得な話]

司馬遼太郎で学ぶ.jpg気鋭の歴史学者でメディアでも話題の磯田道史氏が、5月に発表した新書「司馬遼太郎で学ぶ日本史」は日本人の歴史観に大きな影響を与えていながら、歴史学者が議論を避けてきた司馬遼太郎を正面から取り上げ、「体系的に戦国時代から昭和までを学ぶ珍しい本です」と著者自身が表現する書籍です

磯田氏が平易に伝えようとした狙いは、「司馬氏さんは日本が誤りに落ちて行くときのパターンを何度も繰り返し示そうとした」、「国民性というものは百年二百年でそう簡単に変わらない」、「20世紀までの日本の歴史を描いた司馬氏を、21世紀の私たちが見つめ、鏡として未来に備えることが大切」とのあとがきが表現しています

そして書籍では、信長、秀吉、家康やその周辺の人々を描いた戦国時代、幕末の準備・実行・絶頂過程を描いた「竜馬がゆく」「飛ぶがごとく」「坂の上の雲」を踏まえ、著者が最も完成された好きな作品とする大村益次郎を描いた「花神」へと視点を展開し、その過程でそれぞれの時代を描いた様々な作家との対比も行われています

司馬遼太郎2.jpg磯田氏の着目点の一つが、司馬氏自身が「走る棺桶」と描いた時代遅れの兵器と精神論で命を失いかけた暗い青春時代であり、司馬氏が「鬼胎」「異胎」と呼んだ異常な昭和前期(日露戦争後1905年から終戦までの40年間)がなぜ日本に訪れたかを考察することです。ちなみに司馬氏はこの時代を小説で取り上げることはありませんでした

いわば、日本の軍事組織が受け継いでいる「誤りに落ちて行くときのパターン」を探ろうとする一面を持った書籍の性格も帯びています。
多くの歴史上の有名人物と司馬氏以外の作家の見方も紹介しつつ比較していく、読み手を飽きさせない新書ですが、本日は、日本の軍事組織への「警鐘」部分をピックアップして一部をご紹介します。

分析のアプローチが全く異なるのに、以前ご紹介した書籍「失敗の本質」の結論と非常に接点のある指摘に、驚くやら納得するやら・・・

『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』より抽出
司馬遼太郎.jpg●(自らも戦車将校として参戦した)ノモンハン事件で、ソ連軍らと対峙した最強なはずの関東軍は死傷率70%との大敗北を喫したが、ソ連のBT戦車との戦いにおいて、日本軍は性能と装甲において艇的な欠陥を持った戦車で戦いを余儀なくされていた
なぜ当時の陸軍では、「深く考えない」不条理がまかり通ったのか、明治の日本軍は最新で強力な兵器を追及する精神があったのに、いつから日本はその精神を失った国になってしまったのか。その問いこそが、司馬さんの創作活動の原点でした

私の教え子が自衛隊に入るときに言ったことを思い出します。「日本の軍隊は伝統的に、物事がいつまでも同じ形であり続けると思いやすい。軍事組織というものは、入社した時には自動車会社でも、勤務している数年数十年の間に航空会社いなっているような組織のはずなだから」と
WW1の時代の数年間でも既に、当初の歩兵戦から戦車戦に、気球で偵察していたものが複葉機の空中戦にまで変化しています。軍事組織に入った以上、変化に対応できる柔軟な頭であるべきなのに、歴史家の私から見ると、そういう人がほとんどいない

磯田道史.jpg合理主義の権化であった小村益次郎が作った日本陸軍が、誕生時には持っていた合理性はどこへ行ったのだ・・・この怒りで司馬さんは「花神」を描いたのでしょう、
●司馬さんは他者と軋轢を生みかねない、大村益次郎の「他の日本人と違っているところ」を「花神」で書くことによって、合理主義者が時代を変革する力を描き出すのです

●激動期には合理主義的な人物が現れて変革を導くが、静穏期に入ると日本人は途端に合理主義を捨て去る・・・この繰り返しであると司馬さんは言外に訴えています
●司馬さんが言いたかったのは、「死んでも戦います」というリアリズムを失った自殺ではなく、格調高い精神に支えられたリアリズムと合理主義を併せ持たなければならない・・・・まさにそこだと思います
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ちなみに、書籍「失敗の本質」が指摘した旧日本軍の失敗の本質は、本当に今の自衛隊を描写したような分析です。

記事:書籍「失敗の本質」から今こそ学べ! より
失敗の本質.jpg●旧日本軍は、官僚的組織原理と属人ネットワークで行動し、学習棄却(知識を捨てての学び直し)による自己革新と軍事的合理性の追求が出来なかった
●戦略志向は短期決戦型で、戦略オプションは狭くかつ統合性が欠如し、戦略策定の方法論は科学的合理主義というよりも独特の主観的微修正の繰り返しで、雰囲気で決定した作戦には柔軟性はなく、敵の出方等による修正無しだった

●本来合理的であるはずの官僚主義に、人的ネットワークを基盤とする集団主義が混在。システムよりも属人的統合が支配的。人情を基本とした独自の官僚主義を昇華
●資源としての技術体系は一点豪華主義で全体のバランス欠如
学習が、既存の枠組み内でのみ強化され、かつ固定的

秋の夜長に気軽に読める一冊として、磯田道史氏の『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』(NHK出版新書)をお勧めします。

書籍のご案内記事
「失敗の本質」から今こそ学べ!→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31
「宇宙戦を描くGhost Fleet」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-08
「イスラエル起業大国の秘密」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20

「証明完了ポアンカレ予想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-24
「長谷部誠:心を整える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-01
「究極のインテリジェンス教科書」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-22

「婚活したらすごかった」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-30
「51歳の左遷から始まった」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-22

 
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マティス長官が情報漏洩に警告文書 [マティス長官]

米国防省までこんなことに・・・
漏洩を見つけた者に通報義務があることも強調

Memo leaks.jpg5日付Defense-Newsが、マティス国防長官が3日付で前国防省職員(もちろん全軍人を含む)に対し発出した情報漏洩に対する警告文書を入手してその概要を伝えています。

本文書発出に至った特定の事案に文書は言及していませんが、トランプ政権誕生以降、ホワイトハウス周辺で大きな問題となっている情報漏洩問題が、ついに最後の砦と期待していた国防省にも波及したのか・・・と人々を驚かせ、そして落胆させています

そして更に、情報漏洩を見つけた者には当局に通報する義務があること文書は強調しており、このあたりにも読者の危機感を更に高める要因があるようです。

記事は、国防長官が秘密情報のみならず「取扱注意」や「部内限り」と言った「グレーゾーン」領域の情報にまで漏洩警告を発していることを問題視し、巷の「知る権利」や「報道の自由」を訴える活動家の視点で書かれており、あまり国益の視点で書かれていませんが、とっても気になる米国防省の内部事情ですので、概要をご紹介します

5日付Defense-News記事によれば
Mattis7.jpg●Military Timesが入手した、3日付のマティス国防長官署名入りの米国防省内部文書である「MEMO」は、「それが秘密情報であろうとなかろうと、任務に必要のない者やセキュリティー資格のない者に、国防省の情報を漏らすことは宣誓への違反である」と警告してる

●そして同MEMOは更に、「全ての国防省勤務者は肝に銘じなければンらない。それが意図的なものであろうともなかろうとも、いかなる理由があろうとも、非公開の情報を許可なく漏洩することは禁じられている」と厳しく指摘している
●更に「誤った行為には厳しく対処せねばならず、漏洩や漏洩が疑われる行為は直ちに通報されなければならない」とも注意喚起している

●同MEMOが言及している「Non-public, but unclassified:秘密情報ではないが非公開の情報」には、内部の業務用メモ、出張日程、行政指針などの、秘密には該当しないが公開を望まない情報が含まれる
●これら情報には「取扱注意:sensitive but unclassified」や「部内限り:for official use only」と言った表示がなされるが、政府職員はこれら情報の公開を禁じられている

Mattis8.jpg●同MEMOの背景について国防省報道官は、2017年5月に英国マンチェスターで発生した銃乱射事件の容疑者リストがリークされ、一時英国が米国との情報共有を停止した事案など一連の漏洩事件が背景にある示唆した
●しかし同報道官も、情報漏洩により前線の米軍兵士らが危険にさらされた事案の有無等については語らず、単一の漏洩事案が同MEMOに繋がったのではないと述べるにとどまった

情報開示を要求する団体はしかし、これら曖昧な定義の取り扱い区分は「グレーエリア」を生むことになり、職員を委縮させ、この情報をどう扱ってよいのかとの疑問を抱かせることになると主張している
●また同団体幹部は、オバマ政権からトランプ政権にかけ、この「Non-public, but unclassified」情報が増加する傾向にあり、より頻繁に定義があいまいなまま使用頻度が増えていると指摘している
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オバマ政権時代から「グレーエリア」情報が増加しているのは、SNSの発達普及であっという間に情報が拡散する時代に、何でもかんでも情報公開すればすべて解決・・・みたいな風潮がはびこる中で、国益を(私益もあるでしょうが・・)を守ろうとした結果の役人の知恵でもあります

Tillerson.jpgなので「・・オンブズマン」みたいな情報開示要求団体の動きには感心がありませんが米国防省内に、政権や上司のやり方に不満を募らせ、または身勝手な面白半分で情報をリークする輩が増えることには危機感を覚えます

ティラーソン国務長官の進退がにわかに話題となり、マティス国防長官が率いる国防省と米軍だけが最後の頼りなんですから・・・

マティス国防長官関連の記事
「インド訪問でアフガンを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-26
「核兵器禁止条約で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-02
「全職員と兵士へのメッセージ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-23
「マティス長官がNPRに言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-15-1

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SpaceX:失敗場面を集めた映像を明るく発信 [ふと考えること]

この明るさとたくましさを学びたい!
「宇宙飛行で世界中どこへでも30分」を打ち出した男の苦闘史

SpaceX.jpg9月14日、SpaceX社のCEOであるElon Musk氏が、ロケットブースター回収成功までの失敗場面を集めた約2分半の映像「How NOT to land an orbital rocket booster」を公開しました。

軽快な行進曲で知られる「マーチの父」スーザの行進曲「自由の鐘:The Liberty Bell」をBGMに、2013年の爆発シーンを皮切りに、陸上や海上への垂直着陸の失敗場面が、期待を裏切らない派手さで紹介されます

Elon Musk.jpgそして最後は、2015年に初めて陸上への着陸回収に成功した映像と、2016年に海上の無人プラットフォームに着陸成功した映像で閉められています。

つくづく・・・、この短期間に、これだけの失敗にめげず、画期的な1段目回収技術の獲得に成功した力量と執念に感心します。公的機関がやってたら、15年、いや絶対に途中で中止されていたと思います

映像「How NOT to land an orbital rocket booster」


現時点でSpaceX社は、16回の垂直着陸回収に成功しており、最近では9月7日に、これまで老舗ULAの「Atlas Vロケット」が担ってた極秘無人宇宙船「X-37B」の打ち上げを圧倒的価格優位で奪い取り、見事に成功させています(1段目回収にも成功)

X-37B 2017.jpgまた、回収した1段目の再利用も、既に数回成功させています

この映像が公開された同日、Elon Musk氏は、「(今は回収できていない)ロケット上部と貨物室部分を回収できれば、打ち上げコストは更に大幅に削減できる(drop by a factor of more than 100)」とツイートしており、その今後が期待されます

Space-X社の参入とULA
「偵察衛星打上げと1段目回収」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-02
「イスラエル通信衛星失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-06
「ロケットの着陸回収に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-25

「混迷の米衛星打ち上げ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「軍事衛星打上げにSpaceX参入承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27

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衝突事故のイージス艦マッケインを横須賀で修理 [Joint・統合参謀本部]

フィッツジェラルドは米本国で修理も、マッケインは優秀な横須賀の施設で修理へ

USS McCain.jpg4日、米太平洋艦隊司令部は、8月21日にシンガポール沖でタンカーと衝突事故を起こしたイージス艦USS John S. McCain (DDG-56)の修理を、日本の横須賀基地で行うと発表しました。
現在シンガポール港に係留されている同艦艇に対する修理見積の結果、コストや運用再開までの期間、更に搭乗員の訓練等を総合的に勘案し、横須賀での修理が最適と判断されたそうです。

一方で、6月17日に日本の沖合で商船と衝突事故を起こしたUSS Fitzgerald (DDG-62)は現在横須賀に係留中ですが、より衝突の被害が大きいため、12月にミシシッピ州の造船所に輸送されて修理を行う模様です。

もちろん、McCainとFitzgeraldの間には被害の大きさに差があるのでしょうが、アメリカ国外では唯一空母の母港として機能している横須賀基地の海軍修理施設を優秀さをあらためて示すことになりました。
ここで重要なのは、米海軍の修理施設といえども、修理最前線の作業を担っているのは米軍に雇用されている日本人だということです

4日付米海軍協会web記事によれば
Yokosuka.jpg●米太平洋艦隊は米海軍協会に対し、「既に米海軍の前方展開海軍の拠点である横須賀で修理を行うことは、艦艇の乗員とその家族に対しても、安定と継続性を提供できる」との理由も説明している
●また米太平洋艦隊は、「艦艇修理に加え、第7艦隊内で、乗員の任務復帰に向けた訓練や資格維持に集中できる」とも説明している

●イージス艦マケインへの被害は大きかったが、被害の大部分が乗員の居住区域と機械室であり、電気系統にほとんど被害がなかったこともこの決定に影響している
●米海軍協会が入手した情報によれば、米海軍は同艦の修理費を約250億円と見積もり、約1年間必要と考えている模様

Yokosuka3.jpg●米海軍は、同艦艇を10月末までに「heavy-lift transport」により横須賀に移送する準備を進めている
●イージス艦McCainとFitzgeraldは、ともに空母ロナルド・レーガン空母戦闘群を構成する艦艇で、ミサイル防衛能力を提供する艦艇である
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米海軍の横須賀基地内には大型艦船用ドックがあり、各艦艇の日々の点検及び修理業務は横須賀基地内で行われます。

横須賀基地が機能しなければ、艦船の点検及び修理などは往復におよそ半月から1か月を要するハワイ・オアフ島の真珠湾、またはアメリカ本土の基地内の修理施設で行う必要があるため、米海軍の西太平洋でのプレゼンスを示すには、横須賀基地の修理能力は欠かせません

更に・・・弾薬の補給(トマホークとかSM-3とか)の観点からしても、極めて重要と言わざるを得ません。

Yokosuka2.jpg1865年に江戸幕府により設立された横須賀製鉄所を基に、1871年に横須賀造船所として設立され、その後1903年以降は大日本帝国海軍により横須賀海軍工廠として利用されていますが、ドックの中には幕末に建設された日本最古でありながら、いまだ現役で使用されている施設もあるようです。


米海軍関連の話題
「無人機で対艦ミサイル照準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-27
「レールガンの現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-30  
「無人給油機で艦載機行動半径倍増へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-03

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ロシアの演習監視団排除と移動式ICBM演習 [安全保障全般]

Topol ICBM.png色々な話題が世界を駆け巡る今日この頃ですが、「東京の郊外より」は最近忘れられがちな、ロシア関連の話題を2つお届けします

一つは、東西陣営の接点にあるベラルーシで、ロシア軍が先月行った大規模演習に関する欧州米陸軍司令官のコメントで、もう一つはロシア西部全域を範囲とする移動式ICBM演習についてです。

米軍事メディアも、短い簡単な事象を伝えるだけの報道で紹介しているだけですが、コソ泥のような動きが得意なロシアのことですから、ご紹介しておきます

9月中旬の「Zapad 2017」演習に関し
Zapad 2017-2.jpg●2日、欧州米陸軍司令官であるBen Hodges中将がNATO司令部で会見し、ロシアが先月ベラルーシで行った「Zapad 2017」演習に関し、ロシアは演習を分割することで演習の規模を小規模に見せかけ、ロシア側が主張する12700名との参加人員をはるかに上回り、欧州OSCEが定めた軍事監視団の視察を受け入れるべき兵員数を超えた規模の演習を行っていたと訴えた。
●そして同中将は、「我々の推測では、4万人以上の兵士が演習に参加していたはずだ」と主張した

●更に同司令官は、「細かに分割されていたものの、すべての演習は政治的に関連づけられていた」と説明した
●本演習に関しロシア国防相は、ロシア軍とベラルーシ軍を合わせて12700名と、航空機70機、戦車250両、10隻の艦艇が参加すると発表していた

60台以上の移動式ICBM発射機が演習
Topol ICBM 2.jpg3日、インターファックスがロシア国防省の発表として、ロシア軍の移動式ICBM発射機60台以上が参加する演習が実施されていると報じています

●演習に参加しているのは、ロシア軍が保有するICBM(Topol, Topol-M and Yars)を搭載した60以上の移動式ミサイル発射機で、大型トラックにICBMを搭載し、敵の偵察衛星や航空偵察による把握を極めて困難にするものである

●ロシア国防省によれば、演習はモスクワ北西の「Tver region」からシベリア東部の「Irkutsk region」におよぶ、広大な地域を範囲として実施されている。
本演習は、ベラルーシでの「Zapad 2017」演習に続けて実施されており、NATO諸国をいら立たせている
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Zapad 2017.jpgこれだけで何かを結論付けることはできませんが、米国が揺れている間に、欧州NATO諸国に着実にプレッシャーを与えていることは間違いありません

トルコがロシア製の長射程高性能SAM導入を明らかにしたり、化学兵器の全面破棄完了を発表して米国を皮肉ったり・・・、特に東欧NATO諸国にとっては、眠りの浅い日々が続いているのでしょう

最近のロシア関連記事
「化学兵器の完全破棄宣言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-28
「トルコが露製SAM導入発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-14
「ベラルーシで大演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-31

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米空軍:予算不足で約100機のF-35能力向上せず? [亡国のF-35]

Winter2.jpg19日、米国防省F-35計画室のMat Winter室長(海軍中将)が、早い段階で米空軍へ納入された最初期ソフトウェア「2B」を搭載した約100機のF-35について、今後完成版ソフトでF-35の最大性能を発揮し、要求性能にある武器を全て搭載可能になる「3F」導入への改修を行うかどうかを検討していると語りました

ソフト「2B」から「3F」搭載に変更するには、スマホアプリのように画面をタップしてボンヤリ待つだけでなく、F-35の機体に少なくとも「150」の修正や改修を行う必要があり、その予算を他に使用したほうが有効ではないか・・・との検討です

たしかソフト「2B」では、アムラームと2000ポンドJDAMくらいしか搭載できず、本当に何とか操縦者の機種転換&養成訓練ができる程度で、旋回性能や最大Gの制限も受け、赤外線空対空ミサイルや小口径爆弾などなどの搭載も出来ないなど、高額な投資をして獲得した作戦機ながら、空対地能力を実戦で発揮するには厳しいレベルです

F-35 luke AFB.jpgそんな「ソフト2B」機をそのまま放置し、試験や訓練だけに用途を限定するとは、なんともさみしい話ですが、米空軍参謀総長が「そんな気にする話じゃないよ・・・」と懸命に火消しの言い訳をしていますので、それもご紹介します

なおF-35の搭載ソフトは、「2B」→「3I」→「3F」と進化していく計画ですが、「3I」が中途半端ながら遅れて納入され、昨年夏に米空軍が初期運用態勢確立を宣言しましたが、「3F」はいつものように遅れており、国防省の評価局は「少なくとも1年遅れ」と早い段階から繰り返し警鐘を鳴らしているのに、F-35計画室は「まだそう決まったわけではない」と歯切れの悪い発言を繰り返した挙句、春頃にやっと遅れを認めたところでした

22日付Defense-News記事によれば
●Winter室長は、米空軍が保有する108機の「2B」搭載機をソフト「3F」に改修するか、もしくは、その改修費用を新造機購入費に充てるか、ソフト「3I」搭載機の改修費に回すべきかどうかの、比較検討分析を行っていると語った

F-35 luke AFB2.jpg●この件に関し Goldfein米空軍参謀総長は19日、そんなに大げさなことではなく、他の機種にもあることだと釈明し、F-15でもF-16でもそうだったし、F-22も149機は最新の「Block 30/35」だが、36機は「Block 20」バージョンだと説明した
●また同参謀総長は、同じくF-35を購入する米海兵隊や米海軍、更に海外の購入国空軍トップとも、どのような方向が良いか連携をとっているとも語った

このような課題が生じることは、国防省の試験評価局が2015年のレポートで早くから指摘し、「厳しい予算環境の中でF-35調達機数を今後増加させる必要が生じるが、そんな中で、初期型ソフト搭載機体の高価な改修費をねん出することは恐らく不可能(unaffordable)である。その結果、作戦能力上で大きな制限を受ける機体を、長年にわたって置き去りにすることになる」と完全に予想していた
//////////////////////////////////////////////////////////////

108機だけじゃすまないでしょうね・・・。「少なくとも2019年末までに完成する約490機の機体で、完全なものは1機もない」と当時のF-35計画室長が明言したF-35ですから、少なくとも約500機が要改修機体となります
そしてその多くが、置き去りにされるのでしょう・・・・
「2019年末まで完全な機体無し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-10-1

F-35 Hill AFB.jpg下に国防省の評価局や会計検査院のF-35計画への評価関連記事(一部)を載せましたが、これら客観性を保つ目的の組織がこれまで指摘してきた事項は、ほぼすべてが正しく(まんぐーすが知る限りでは完全に正しく)、F-35計画室や米空軍幹部の発言は、結論先送りや問題を過小評価する点で一貫してきました

そして、まだ結果は出ていませんが、これら評価機関に加え、退官した元国防次官や議会の有力国防議員、更に主要な研究者たちが、明確に(時には間接的に)予言しているのは、米空軍だけで1700機以上、米軍全体で2400機以上ものF-35調達は不可能だということです

国防省試験評価局のF-35評価
「F-35計画室がやっと遅れ認める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-17
「システム試験は6割も残置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-13
「試験と訓練を急いで火災事故」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-22-1

会計検査院GAOもF-35酷評
「再度警告:開発と製造の同時並行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-10
「F-35最終試験は1年遅れでも不可能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-17
「ALISにはバックアップが無い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-01

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北朝鮮は米軍爆撃機を撃墜できるか [ちょっとお得な話]

Ri Yong Ho.jpg9月23日、米空軍B-1B爆撃機がF-15C戦闘機を護衛に従え、非武装地帯のラインを超えて北朝鮮沿岸を21世紀で最も北上する飛行を行い、プンゲリ核実験場(Punggye-ri)まであと90nm(160㎞)まで迫ったと米太平洋軍が発表しました

ちなみにこの距離は、北朝鮮が一方的に主張している沿岸から50㎞の軍事境界線よりも沖合の飛行だったことを示しています。

これに対し25日、北朝鮮の外相がNYで「たとえ米軍爆撃機が北朝鮮の領空外を飛行していても、北朝鮮は撃墜する権利を有していると記者団に語り、物議をかもしたところです

このやり取りを受け9月28日付Defense-Newsが、北朝鮮が現在保有する迎撃戦闘機と地対空ミサイルで、米軍長距離爆撃機を撃墜できるか吟味しています。
北朝鮮上空ではなく、北朝鮮の沖合を飛行するとのボンヤリした前提で話が進んでいますが、北朝鮮の通常戦力の実態を垣間見る機会ですので、ご紹介します

9月28日付Defense-News記事によれば
Mig-29 NK.jpg北朝鮮の防空ネットワークは、国連の禁輸制裁を受け、数は多いがいずれも時代遅れの代物で構成されている
ソ連時代のMig-23とMig-29をそれぞれ1個飛行隊で約30機保有しているが、1970年代後半から1980年代初期のもので、北朝鮮に提供されてから全く能力向上等を行っていないものと考えられている

●両タイプとも通常は、首都ピョンヤンの周辺に配備されているが、韓国と緊張が高まった際などは、南北の境界線付近に展開することもあった
●CNNは米国防省高官の話として、今週、少数のMig戦闘機が追加の燃料タンクを装着し、空対空ミサイルを搭載して北朝鮮の東海岸沿いの基地に展開したと報じており、米軍爆撃機の要撃が目的と考えられている

Mig-29 NK2.jpg●しかし、米軍爆撃機が戦闘機に援護され、AWASCなど空中レーダーに支援されていたとすれば、ソ連式の地上誘導に頼る北朝鮮戦闘機は沿岸を離れた洋上で不利な立場に置かれるだろう
●戦闘機による対処が難しいなら、地対空ミサイルによる邀撃に北朝鮮は頼ることになるだろう。この場合、北朝鮮が保有する最も長射程の地対空ミサイルはS-200(SA-5 Gammon)がその任に就くだろう

●このS-200は、1960年代の兵器で、高い高度をあまり激しい動きをせずに飛行する航空機を対象として開発されたSAMであり、射程距離はそのバージョンによって150~250マイルと言われている
S-200.jpg北朝鮮には1987年か88年に提供されたと見られており、24~40個発射機が存在する模様だが、通常はピョンヤンの南と東の部隊に配備されている

●S-200は、1980年代にリビアによって、また今年シリアで発射されたが、いずれも目標に命中していない
●またS-200は、電子戦下では有効性を失うであろうし、大きなミサイルは動きの激しい航空機を追随することが困難だろうと見られている

●さらに最近北朝鮮は、KN-06という国産で射程100nmの地対空ミサイルを披露しており、金正恩が量産を指示したとも報じられているが、中国産HQ-9やロシア製S-300と外観が類似している以外、細部は不明である
●いずれにしても北朝鮮の防空能力には疑問符がついている
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S-200 2.jpg昨今の弾道ミサイル乱れ撃ちのため、その方面に資金を集中しているでしょうから、通常兵器は押して知るべしの状態でしょうねぇ・・・

ゲリラ戦を展開する特殊部隊なんかは、優遇されていそうですけど・・・。無人機とかも・・・。

米軍もあらゆるセンサーを総動員して、北朝鮮の現状把握に全力を挙げているでしょうし、日本や韓国も協力しているでしょうから、移動式の弾道ミサイル発射期は別として、かなりの状況は把握できていると思います。たぶん

米軍事メディアが見た北朝鮮騒ぎ
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-14

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中国国防省がJ-20運用開始を公式宣言 [中国要人・軍事]

Wu Qian.jpg9月28日、中国国防省の報道官が記者会見で、公式にJ-20戦闘機が運用を開始した(commissioned J-20 into service)と発表しました。

しかし一方で、飛行試験は順調に予定通り進んでいるとも表現しており、以前にも米国防省高官の見方をご紹介したように、中国国防省での「運用開始」とは、最前線での任務に投入可能との意味ではなく、正式な作戦運用試験が可能になったとの意味で、今後は他の航空機との連携試験や運用コンセプトの検証試験が可能になる・・・程度の意味と認識したほうがよさそうです

それでも、今年3月9日に中国国営TVが「J-20が運用を開始した」と報道したのとは異なり、公式に中国国防省が中国的な「運用開始」を宣言したということなので、ご紹介しておきます。

9月28日付Defense-News記事によれば
J-20bank.jpg既に低レート生産体制に入っているといわれている中国空軍J-20は、少なくとも6機の試作機が、2016年からDingxin空軍基地(各種装備品の開発試験基地)の第176航空連隊で試験を行っている
中国空軍内では第4世代機に分類されているが、西側では第5世代機に含まれると解釈されるステルス性を持つ中長距離戦闘機である。ただし、ステルス性に関しては機体を正面から見た場合に限られる

台湾の専門家が最近外観の形状からJ-20のステルス性をレーダー反射面積から評価し、ステルス性は正面からののみとの一般的見方に同意する結果を得たようだが、機体の表面処理や塗装については評価できていない
●また中国空軍のJ-20操縦者の発言から、J-20があるレベルの「sensor fusion」能力を備えていることが確認されているが、細部は不明である

●ステルス性に配慮し、J-20は胴体内兵器庫に弾薬を格納し、中央のメイン兵器庫には空対空ミサイルPL-12(中国版アムラーム)なら6発、機体両側面の小型兵器庫に各1発の短射程空対空ミサイルを搭載可能とされている

今年3月の記事でJ-20をご紹介
J-20groundgrew.jpg現時点で、中国は9機から12機のJ-20を保有しているか考えられている。2016年11月に広東省珠海(Zhuhai)の航空ショーで初めて2機が飛行する様子を披露
エンジンを2基備え、米国製F-22そっくりだと言われる中国CAC(成都飛機工業公司)製のJ-20は、8つのプロトタイプで様々な形態の飛行試験を2011年から開始しているが、兵器搭載試験は今も継続している

中国国営メディアもかつて言及しているように、J-20は必ずしも空中戦闘能力を追求した設計にはなっておらず、F-22やF-35と直接的な同類ではない
●全方位のステルス性能を追求せず、前方からのステルス性を追求していることから、高価値目標(AWACS、 空中給油機、 作戦機の大規模編隊、水上目標)に一撃を加え、帰投するような運用構想も考えられる
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正面からのレーダー反射面積を減らし、ひたひたと高価値目標(AWACS、 空中給油機、 作戦機の大規模編隊、水上目標)に接近し、一撃を加えて帰投する独特の運用構想に注目いたしましょう。

Dingxin.jpg米軍や周辺同盟国の西太平洋地域での作戦基盤基地が少ないこともあり、上記「高価値目標」の価値が一段と高くなる戦域ですので、中国空軍の考え方は大いに理にかなっています

Dingxin空軍基地は中国内陸北方部の位置し、なかなか公開情報が出てこない場所ですが、「戦闘機命派」が喜びそうな話題でしょうから、生暖かくフォローいたします

J-20関連の記事
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02

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