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DARPAが脳神経との直接通信を研究開始 [米国防省高官]

neurotechnology(神経技術)とか言うそうですが・・・

neurotechnology3.jpg19日付C4ISRnetがDARPA(国防高等研究庁)の生態技術室を取材し、人間と装備品が手や音声などを介せず、脳神経の信号を直接装備品に伝えることで、意思疎通の迅速化を可能にし、戦いの推移が加速する将来の戦場で活用しようとする研究を紹介しています

N3:Next-Generation Nonsurgical Neurotechnology program」との名称のプロジェクトは、今後4年間をかけ、脳に電極などを差し込むことなく(noninvasive neural interface)、脳と装備品の直接意思疎通の可能性をデモすることを目的とし、脳と意思疎通可能(capable of reading from and writing to multiple points in the brain at once)な、安全でポータブルなインターフェースシステムを追及するものだそうです

脳に電極を差し込み意思疎通する技術(invasive techniques)は既に相当の精度で存在するようですが、戦場で無人機やサイバー戦や防空システム等を操作するには高度な「noninvasive」技術が求められており、映画スターウォーズのR2-D2との意思疎通が理想として研究が始まっているようです

19日付C4ISRnet記事によれば
neurotechnology2.jpg●DARPA生態技術室の研究責任者Al Emondi博士は、「学際的な研究者チームたちに、信号の解像度を維持しつつ、反応速度を犠牲にせずに、特定の脳の一部分と正確な情報のやり取りが可能になる手法を問いかけている」と語った
●DARPA発表によれば、最も困難なのは、皮膚や頭蓋骨や脳細胞を通過する際の信号の減衰を克服することで、その次の課題は脳神経信号を外部との意思疎通用にコード化するアルゴリズム開発であり、更に安全性の確認も重要なステップとなる

現実の技術よりフィクションの世界のイメージがはるかに先行している本分野であるが、「最高の研究者を投入すれば、現状を打破して実用的な高性能のインタフェースを生み出せるだろう」と同博士は語っている
●4年間のプロジェクトの最後には、無人システムやサイバー防御システム等の国防装備との間で「human-machineインターフェース」をデモンストレーションしたいと考えている。

一方でこの技術が実現すれば、幅広い倫理的、法的、そして社会的なインパクトを生み出す可能性があり、DARPAは外部の法律や倫理の専門家と、本技術の将来とその影響を検討している
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neurotechnology.jpgいくつか挙げられている課題がどれも根本的なものだけに、4年間で簡単に成果が出るとは信じがたいのですが、中国やロシアもやってそうですから米国には頑張っていただきたいと思います。

既に、超超音速兵器や新型核兵器、宇宙兵器やサイバー兵器では、中露の脅威が無視できないレベルにあり、「学際的な科学者チーム」に期待したいものです

ロシアの新型核兵器開発
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「米NPRも露核魚雷に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13-1
「露が戦略核魚雷開発?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-06

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レーザー兵器搭載は米海軍が先行 [Joint・統合参謀本部]

売り込みコンサルタントの宣伝ですが・・
「あと3年から5年で・・・」との決まり文句も飛び出し

Obering.jpg22日付Military.comがレーザー兵器イベントを取材記事を掲載し主催者の軍事コンサルタント企業関係者にレーザー兵器の開発動向をインタビューしています。

米海軍が米軍の中では最もレーザー兵器配備に近く、次が米陸軍で、空軍は苦労しているがF-15搭載用の無人機対処レーザーポッドを試験する予定だと語り、また最近の急速な技術的進歩で物理学面や工学面で大きな課題は残されておらず、問題は資金のみだとアピールしています

Booz Allen Hamiltonとのコンサル会社の副社長でエネルギー兵器部門を統括するTrey Obering元空軍中将の仕事は、米国防省や米軍幹部から慎重な発言が相次ぐレーザー兵器への予算獲得でしょうから、レーザー兵器の将来性を訴えるのは当然で、楽観的な様子には注意が必要ですが、そのあたりを差し引いて、現状把握に耳を傾けたいと思います

22日付Military.com記事によれば
Lase-UK.jpgCSBAとコンサル会社Booz Allen Hamiltonが共同開催した「Directed Energy Summit」で取材に応じたObering副社長は、これまでの実績からすれば、今後2~3年でレーザー兵器を実用化するのは米海軍であろうと語った
●既に試験艦Ponceに同兵器のプロトタイプを実際に搭載している唯一の軍種である海軍に言及し、同副社長は、実際に兵士の手によって運用しなければ、必要なノウハウや開発スケジュールの政さができないと表現した

●陸軍や空軍は苦労しているが、海軍に続くのは陸軍だろうと語り、装甲車両「Stryker」へのレーザー兵器搭載計画が進行中だと説明する一方、空軍は苦労してると語った
●陸海空軍それぞれの運用環境の違いにより開発の難しさが異なると述べつつ、航空機搭載ポッドや無人機へのレーザー兵器搭載を狙っている米空軍にとっては、兵器の重量や大きさ制限と出力確保が大きな課題だと説明した

●それでも同副社長は自身が戦闘機パイロットであったこともあり、今年の夏に米空軍がF-15にポッド式レーザー兵器の搭載試験を開始すると聞いて喜んでいた
●米空軍省の技術担当次官補代理によれば、「SHiELD」プロジェクトとして、無人機対処兵器としてF-15に50kwレーザーを搭載する計画が進んでいる模様である

Laser NG.jpg●Obering副社長はまた、3軍の長官が集まって、レーザーを含む新兵器技術協力について協議していることに触れ、3軍の運用環境や狙いが異なることから、使用するレーザの周波数帯やレーザーの種類も異なり、協議は単純ではないとコメントしつつ、
●出力を上げることや冷却が重要なこと、如何に装置の規模を小型化するか等、共通の課題を3軍は抱えており、そんな面での協力や意見交換は有用だろうと語っている

●一方で同副社長は最近のレーザー技術の急速な進歩に触れ、物理学面や工学面で大きな課題は残されておらず、問題は資金のみだ、「技術はリッチだが、資金面で貧しいのが現状だ」と最近のビームの質向上や出力向上を表現し、資金確保の重要性を訴えた
●例として「Star Wars社」の「cool laser weapons」に言及し、高高度を飛行する無人機に搭載することで弾道ミサイルの発射段階での追尾に力を発揮し、迎撃への応用にも期待できると語った。そして中国やロシア対応には、宇宙にレーザーセンサーを配置して対処する有効性も指摘した
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Obering2.jpg「あと3年から5年で・・・」との表現が何回か登場するインタビューですが、レーザー兵器開発の歴史が「いつまでたってもあと3年」と揶揄されている現実を逆手にとっての表現なのか、「まじ」なのか気になるところです

小型無人機を撃退したり、ミサイルのシーカー部分を目くらましする程度の能力が精一杯だと認識しているのですが、何か変化があったのでしょうか??? 
はっきり書いていないところを見ると、「いつまでたってもあと3年」状態なのかもしれません

レーザー兵器関連の記事
「無人機に弾道ミサイル追尾レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17-1
「私は楽観主義だ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06

国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

夢見ていた頃
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1

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米空母戦闘群が温故知新演習に取り組み [Joint・統合参謀本部]

過去20年間で1発しか発射訓練していないミサイルを14発発射した訓練だった

FA-18 CV.jpg23日付米海軍協会web記事が、空母セオドアルーズベルト戦闘群(TR-CSG)への同乗取材を基に、主要幹部へのインタビューから最近の米空母戦闘群が「ハイエンド紛争」に備えて新たな訓練に取り組んでいる様子を伝えています

具体的には、昨年10月にサンディエゴを出航した同戦闘群が、ハワイに向かう途中でハイエンド紛争演習「Fleet Problem」を行い、その後日本海で3隻の空母による同時活動を経験したお話です。

米空母戦闘群は、中東の第5艦隊担当エリアへの派遣で20年近く実戦に従事してきましたが、その任務は地上の過激派掃討を支援する任務であり、複雑に入り乱れる敵味方への空爆に神経をすり減らす戦いながら、空母やイージス艦への直接脅威のレベルは高いとは言えない環境でした

一方、西太平洋の第7艦隊担当エリアでは、中国のA2ADは言うまでもなく、ロシアの潜水艦や長距離爆撃機が飛び交う環境であり、空母攻撃群の航空戦力を投射させるためには、敵の脅威から自らを防御しつつ活動する必要があり、過去20年間対テロどっぷりで育った米海軍もその変化に戸惑っているわけです

もちろん作戦運用にかかわる部分ですから細部は語ってくれませんが、雰囲気を感じてください

この記事に添付されている映像4分半
各指揮官へのインタビューと映像


23日付米海軍協会web記事によれば
●同空母群に所属するミサイル駆逐艦の艦長によれば、これまで任務地域に派遣される前に行っていた能力確認演習では、実弾を発射することがなかったが、10月の派遣前演習では14発ものミサイル発射を行った。ちなみに同艦長(大佐)が海軍人生の中で、これまで1発しか発射したことしかなかった

ASEANPlus.jpg●現在の太平洋海軍司令官であるScott Swift大将は、1920年代に米海軍が行っていた戦術革新のためのハイエンド紛争演習「Fleet Problem」を復活させ、昨年10月に同空母戦闘群が参加した
●例えば、最近の海軍演習で対潜水艦演習ASWだけを独立で行う形だったが、昨年の「Fleet Problem」ではASWを行いつつ、遠方に航空戦力による戦力投射を行う形式が導入された。また電波法者制限を含む電子戦も重視した形で行われた

●同演習の航空戦力投射でも、14機の攻撃機が「Wall体形:横一線の陣形」で前進し、敵を排除して我の活動範囲の安全を確保する作戦を訓練した。しかも航空機の最大行動半径一杯まで遠方に活動範囲を広げ、最近の中国やロシア兵器の射程拡大を意識した想定で実施された
何よりも演習部隊側に活動の自由度を与えることで、演習者に今何をすべきかを考えさせる演習となり、ASWを優先すべきか、攻撃の有効性を高めるためリスクを取りべきか、また航空機の収容をASWとどう組み合わせるか等、より実践に近い形で空母群を鍛えることができた

●同空母軍司令官のSteve Koehler少将は、「Fleet Problem」のような演習は冷戦時代には一般的であったが、20年近くになる対テロ戦で我々の記憶から遠ざかっていたものだと表現し、若者たちに経験させなければならないものだと強調した
●そして、このようなハイエンド紛争への備えや訓練を「rediscovering, reemphasizing」しなければならないと強調した

3-CV.jpg●同空母群はハワイ海域から中東へ展開する前に、北朝鮮情勢で緊迫する日本海に入り、空母ロナルドレーガンや空母ニミッツとともに3隻そろい踏みで行動した。
中国海軍艦艇が近傍で活動してことや地域情勢の緊迫から、さほど込み入った訓練は出来なかったが、同列の3隻が同海域で行動しても全体の指揮統制活動は極めて円滑に遂行され、それぞれが担当や統制分野を持ちまわって全く問題なく活動することができた
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NIFC-CA構想の演習への組み込み関連で、SM-6の射程延伸射撃等の様子も知りたいところですが、そう簡単には公開できないのでしょう

次のハイエンド紛争が発生したら、空母中心の海軍時代は終わるのでは・・・と勝手に想像したりしていますが、記録の一つとして時代の変化をお伝えしました

最新フォード級の話題
「艦載機燃料タンクの振動問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-29
「空母フォード:3年遅れで米海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-03
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20

米海軍空母関連
「べ戦争後初:米空母ベトナム訪問へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-24
「空母艦載給油機のRFP発出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-13
「映像で学ぶ:米海軍空母」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-25

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部品枯渇対策に米空軍が製造権取得を目指す [米空軍]

部品枯渇防止に知的財産権まで購入しておくべき

Wilson6.jpg14日、Wilson米空軍長官が下院国防予算配分小委員会で証言し、長期間使用している装備品の部品製造会社が廃業したり部品製造を中止しているケースが増加しており、航空機等の維持が困難になりつつあると訴え、部品製造の権利まで確保すべきであると語りました

この問題は、主要な作戦機の平均年齢が30歳(米空軍戦闘機は平均30歳)を超える米空軍のみならず、西側諸国軍全体の悩みではないかと思いますが、日本においても零細な防衛産業企業が撤退して部品が確保できない状態になる事例は「ゴロゴロ」転がっていそうな印象です

例えば米空軍の将来爆撃機計画でも
(2018年2月20日アップ記事より)
B-52 wing-W.jpg米空軍が間もなく発表予定の爆撃機体系の将来計画案を軍事メディアが入手し紹介→従来方針を変更し、B-1とB-2を先に引退させ、B-52のエンジンを換装して2050年代まで使用とか。B-21経費確保とB-1と2の維持費と運用経費の高さ、またB-52の汎用性が背景に
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

・・・のように、部品枯渇や部品調達経費の急上昇により、大ベテランB-52を存続させ、若いB-1やB-2爆撃機を先に引退させる決断をせざるを得ない事態が生じています。

空軍長官の議会証言を受けて、部品製造の権利(Intellectual Property for Parts)の確保に実際に動き出す気配があるのかよくわからない断片的な記事ですが、重要な話題ですのでとりあえずご紹介します。

15日付米空軍協会web記事より
F-16 torture tests.jpg●老朽化が進む航空機の維持に必要な部品を確保するため、米空軍は議会に対し、米空軍による部品製造の権利(Intellectual Property for Parts)の取得保有を支援してくれるよう要請している
●14日に空軍長官は下院の国防予算小委員会で、もともと部品を製造していた企業が、部品製造権を保有したまま、消滅してしまったり部品製造を中止してしまったケースが多数発生しており、部品の調達上大きな問題となっていると訴えた

●例えば議会の要請で(早期引退を計画していた米空軍の意向に反して)継続使用しているA-10攻撃機に関して言えば、製造企業の「Fairchild Republic」はもはや存在せず、A-10の維持が大きな問題となっている。
●なぜなら単純に、米空軍が必要なA-10の部品を調達する先がなく、また当該部品を独自に再製造しようとしても法的に困難だからであると空軍長官は訴えた

Wilson5.jpg●しかし実際にこの部品製造権を確保しようとすると、装備品購入時の契約交渉が大変難しいものになってきている(increasingly contentious issue)現実を空軍長官は訴え、議会に対し米空軍とともに、事態への対応に迅速な行動を要請した
●なお米陸軍の兵站補給コマンド司令官は昨年11月、米陸軍は将来兵器システムの部品製造権購入を始めており、維持部品を陸軍自らが製造調達できる体制整備に進んでいると語っている
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米陸軍の兵站補給コマンド司令官が語っている、「is buying intellectual property of its future weapons systems」の実態が気になるところです。

日本の軍需産業にゾロゾロ天下っている自衛隊将官OBの皆様には、物見遊山の米国詣でやワシントンDCでぶらぶらだけでなく、後輩の現役の役に立つような調査をしていただきたいものです。

高齢ではないが部品不足のF-35
「空軍の8割は稼働率40%」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17

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BMDRはMDRに変更し春発表予定 [米国防省高官]

脅威は弾道ミサイルだけじゃない。巡航ミサイルと超超音速ミサイルが大きな脅威に!

Rood.jpg22日、上院軍事委員会で証言した国防省No3のJohn Rood政策担当次官は今後2か月程度の間に、核態勢見直しNPR等を受け、ミサイル防衛態勢見直しMDRを発表すると述べました。

ミサイル防衛態勢見直しMDRは、年明けから段階的に発表されてきた、国家安全保障戦略NSSや国家防衛戦略NDSを受け、先ほど低出力核兵器開発や潜水艦発射巡航核ミサイル開発を打ち出した核態勢見直しNPRを踏まえて作成されるものです。

元々はNPRと共に昨年のうちに発表される予定でしたが、予算的裏付けを詰める必要があり、2019年度予算案の詰めを待ってNPR発表が延期されてきたことから、MDRも作成公表が遅れているものです

なんと言っても特徴は、もともと「弾道」ミサイル防衛見直しBMDRのはずだったものが、「弾道」との言葉が取れて単なるミサイル防衛見直しMDRと名称が変更になったことです。

23日付米空軍協会web記事によれば
GBI.jpg●22日、John Rood政策担当国防次官は上院軍事委員会で、ミサイル防衛体制の細部を見直す「ミサイル防衛見直しMDR」を、ここ数か月以内の春に発表すると証言した
●そして当初はBMDRと呼称されていた同見直し報告書では、弾道ミサイルだけでなく、超超音速ミサイルや巡航ミサイルの脅威も含めて対応を検討すると説明した

●同国防次官はMDR作成状況について、「現在作成作業中であるが、今日の脅威環境を形成する多くの課題を見据え、それら脅威に先行して対処する必要性を指摘するものだ」と説明した
●そして、当初「BMDR: Ballistic Missile Defense Review」としていたものから「Ballistic」を取り除いた件について、超超音速ミサイルや巡航ミサイルの脅威が増大していることをあげ、関連付けて対応する必要があると説明した

●更に同次官は対応が必要な重要課題の一つとして、対処すべきミサイルがまだ脆弱な「打ち上げ段階:boost phase」で如何に無効化するかであると語った
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Hypersonic4.jpg最近1か月間あまりで、急速に中国やロシアの超超音速兵器(hypersonicsミサイル)や巡航ミサイル(ロシアが欧州正面に配備したといわれるINF全廃条約破りのミサイル等を含む)が注目されるようになってきました

サイバー戦や宇宙戦だけでなく、従来の通常兵器の延長兵器でも、抑止概念の再構築を迫られる事態となっています。
でも・・・こんな時に、ネオコンの権化といえるボルトンが安全保障担当大統領補佐官になるなんて・・・、いよいよ不安な時代になりました

関連の記事
「超超音速ミサイルに防御無し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-21-1
「2倍のICBM防衛ミサイルが必要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-18-1 
「宇宙配備のミサイル防衛センサーが必要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31 
「露の巡航ミサイルへの防御無し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

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超超音速兵器の防御は不可能、抑止のみ [Joint・統合参謀本部]

Hyten SASC.jpg20日、米軍戦略コマンドのJohn Hyten司令官(空軍大将)が上院軍事委員会で証言し、中国やロシアが精力的に開発し、試験的でも実戦配備しているとも「豪語」している超超音速ミサイルについて、米国に防御能力なしと明言し、抑止に頼るしかないと語りました。

同司令官は飾らない冷徹な分析を語る軍人で、マティス国防長官の様に嘘のつけない人だからです。同時に、空軍参謀総長の最有力候補だった優秀で人望の厚い軍人でもあります。

例えば昨年4月には、同じく上院軍事委員会で、INF全廃条約に違反してロシアが開発した巡航ミサイル(恐らくSSC-8:9M729)が欧州方面に配備され欧州全域が射程範囲内に入る可能性があるが、米国や欧州同盟国は防御手段を有していない(no defense)と正直に語っていたところです

Hyten大将の味にある発言記事
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
「露の巡航ミサイルへの防御無し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「艦艇配備のCPGSを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-04
「21世紀の抑止戦略が必要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11

21日付米空軍協会web記事によれば
Hypersonic4.jpg●Hyten司令官は、ロシアと中国が急速に開発に取り組んでいる超超音速兵器(hypersonic weapons)の脅威について、米国のミサイル防衛能力では対処できないと証言した
●同大将は「これら開発中の兵器を拒否する防御能力を保有していない。我々の防御は抑止しかない」と表現した

●この発言は、先ほど発表された核態勢見直し(NPR)が抑止能力強化を重視し、次期爆撃機B-21、長射程巡航ミサイル、低出力潜水艦搭載核巡航ミサイルの開発などを盛り込んだこともあり、注目を集めている
●同司令官は、NPRの全ての措置が、中国やロシアやイランやNKからの脅威に対応するものだと表現した
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Hyten7.jpg日本が空気のように享受してきた「核の傘」は、確実にその安定度が揺らいでいますし、そもそもの抑止の概念や定義を根本的に考え直す時期が来ています。

今日の記事で紹介した新兵器の登場や新型核兵器の登場も一つの理由ですが、サイバーや宇宙戦を従来の抑止でとらえられるのか等、新しい抑止概念の整理確立が急務となっています

もう・・・森友問題なんかどうでもいいから・・・

21世紀の抑止概念を目指す
「リーク版NPR概要報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13
「3本柱はほんとに必要か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03

超超音速兵器の動向
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「超超音速兵器の脅威が大きな話題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-19
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11

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米海兵隊が大型無人機開発へ [Joint・統合参謀本部]

艦艇搭載の無人攻撃輸送ティルローター機を

MUX2.jpg 9日、米海兵隊が構想している大型の無人攻撃輸送ティルローター機(MUX)に関する基礎技術情報提供の依頼書を関連企業に発出し、MUX構想が話題になっています

2025年までに地上からの運用を開始し、2028年には強襲揚陸艦など艦艇からの運用も開始を構想しているという、フル装備で行動半径700マイル、オスプレイ等をエスコートでき、ネットワーク戦の中継ハブにもなり、対地支援や目標照準や攻撃任務や電子戦にも活躍を期待される「盛りすぎ感」もある代物です

本日は、発出された35ページの情報提供依頼書から明らかになった構想の概要をご紹介します

13日付Military.com記事によれば
MUX3.jpgMUX(Marine Air Ground Task Force Unmanned Aircraft System-Expeditionary)主任務には早期警戒、ISR、電子戦、通信中継が含まれ、これに続く任務の位置づけで、地上支援攻撃、エスコート飛行、物資輸送が情報提供依頼書に含まれている
●2年前の段階で海兵隊はMUXについて、F-35Bが搭載できるすべての兵器が搭載可能で、高度3万フィートを飛行可能で、指揮統制と電子戦能力を備えるものと表現していたが、空中給油を受けることが可能で、垂直離着陸可能で、不整地にも着陸可能な能力を求めていることが明らかになっている

●関連で米海兵隊は、MUXに機体の内部と外部を合わせ計9500ポンドの搭載能力を求めており、その中に含まれるのは
AGM-114 Hellfire air-to-surface missiles;
AIM-9X air-to-air missiles;
・advanced precision kill weapon system (APKWS) laser-guided rocket;
・AIM-120 AMRAAM;
AGM-88E Advanced Anti-Radiation Guided Missile (AARGM);
small-diameter bombs;
・射出型UAV for 早期警戒と電子戦

MUX.jpg●米海兵隊は、地上離発着で2025年に初期運用態勢、2028年に艦艇への垂直離着陸で初期運用態勢確立を目指し、完全運用態勢確立を2034年に計画している
●MUX計画に関心を示している企業で明らかになっているのは、「Bell」のV-247 Vigilant tiltrotor aircraft、「Piasecki Aircraft」のARES、「Boeing」のtail-sitting designで、今後の動向が注目されている

あまりにも「盛りだくさん」な要求性能に、実現可能性を懸念する声もあるが、海兵隊幹部は自信を示している
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平昌冬季オリンピックの開会式で、大量の小型ドローンを使用して空中に「五輪の輪」や「マスコット」を描く演出が注目されましたが、このような大型の艦載機方面でも夢は膨らんでいるのでしょう・・

それにしても、ここまで重装備するのであれば、F-35Bの代わりに無人機を導入を考えてもいいのでは・・・と考えてしまいます

無人兵器&装備の群れ関連
「都市戦でも無人機の群れを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09
「群れ巡航ミサイル開発へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-02
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26 
「3軍の士官学校が群れ対決」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-26

「国防省幹部:空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1
「無人艇の群れで港湾防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

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4月にも米国が無人機輸出拡大を発表か!? [安全保障全般]

MQ-9 4.jpg16日付Defense-Newsが米国務省高官の話として、オバマ政権が2015年に定めた無人機輸出指針を改め来月にも米国の新たな無人機輸出指針を明らかにする方向だと報じています。

昨年8月Defense-Newsが最初にスクープしたトランプ政権による本政策見直し開始は、アメリカ・ファーストである大統領の姿勢を受け、米国製無人機のコピー製品で世界市場に猛烈な売込みを行っている中国や、無人機利用の先駆者であるイスラエルなどに世界市場で劣勢にある中で、米軍需産業からの強い見直し要求があるからだといわれています。

特に米国製をコピーしたかのような中国製無人機が、米国の戦略的パートナーであるUAEやヨルダンやエジプト軍に2016年から導入開始されるようになってからは、一段と米国政府の姿勢に対する疑問の声が高まっていたようです

ただし米国無人機輸出の足かせは、単に輸出許可手続きの鈍重さや米国独自の自主規制だけでなく、国際的な兵器技術管理枠組みであるMTCR(ミサイル技術管理レジーム:Missile Technology Control Regime)の制約を受けている点にあります。

MTCR2.jpgMTCRは主要な西側35カ国が加わる本枠組みで、「搭載能力500kg以上かつ射程300km以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システムの輸出」を事実上禁止しており、軍事技術の拡散防止の使命を担って、2017年4月に創設30周年を祝ったばかりの枠組みです

米国内には、仮にMTCRの変更に動こうとすれば30カ国以上から賛同を得る必要があるが、単に米国政策の修正であれば容易だとの主張もあるようですが、いずれにしても、特に攻撃用無人機の輸出を極めて厳しく規制しているMTCRの「輸出規制想定:presumption of denial」を、どのように解釈変更するかが課題と言われています。

またMTCR制約の無視や解釈変更は、当然同時に、MTCRの目的である非拡散より、米国は政治的&軍事的利益を優先するとの解釈変更を世界に発信し、国際社会の中での米国の立場変更を宣言することにもつながる重い判断を伴うものです

ご紹介する記事は見直しの方向性を明示しているわけではなく、漏れ聞こえてくる情報を紹介するものですが、最近激動のトランプ政権の行方を占う動きの一つですのでご紹介しておきます

16日付Defense-News記事によれば
MQ-9 5.jpg●16日、国務省のMichael Miller軍政問題担当次官補代理が、来月にも新たな無人機輸出政策指針を明らかにすることになろうと語った。
●同次官補は細部は承知していないとしつつも、現在の方針見直しが進められており、近く公開バージョンの新たなガイダンスが公表されるだろうと語った

●本件については昨年8月に検討開始を報じたが、その際はトランプ大統領の米国製品輸出拡大方針を受け、昨年9月にも新指針が出るとの情報もあった。
●その後、昨年12月には、トランプ政権がMTCR枠組みの変更も検討しているとの情報を入手して報じたところであった

●その際の情報では、MTCRの「category-1」に含まれ輸出が厳しく規制されている「搭載能力500kg以上かつ射程300km以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システム」の中でも、「速度が時速650㎞以下」の無人機システムを、規制が緩い「category-2」に落とす改正を追及しているとの話があった
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MTCR.jpgロシアや中国やNKやイランが好き放題やる中、創設30周年のMTCRの存在意義に疑問を持ち、INF全廃条約と共に、なくしてしまえ・・・などと考えているまんぐーすですが、トランプ政権が混乱の中でドタバタとその決断をするとなると不安です

記事が報じる方向に米国が進むとすれば、米国が「不拡散」追及から、インターオペラビリティー確保等の名の下に、米国製製品の売り込み&軍需産業の利益優先を宣言するとも解釈でき、西側諸国の足並みまで乱しそうで不安です。

外務省によるMTCR解説
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mtcr/mtcr.html

「米国政府が無人機輸出規制の見直し開始」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04

中国と無人機
「中国がサウジで無人攻撃機の製造修理」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-29
「中国が高性能無人機輸出規制?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03
「輸出用ステルス機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27

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トランプの宇宙軍独立論に米空軍真っ青 [サイバーと宇宙]

昨年から下院を中心に盛り上がる「空軍から宇宙部門を独立させ宇宙軍創設」論を、トランプ大統領が突然取り上げ米空軍真っ青!

trump-Space.jpg13日、サンディエゴの米海兵隊基地を訪れたトランプ大統領が陸海空海兵隊と同列の宇宙軍(space force)創設を検討していると兵士たちを前に演説し、「素晴らしいアイディアだ!」と大いに乗り気な様子をトランプ節で語りました

この米空軍からの宇宙部門独立案は、昨年の今頃から下院を中心に具体化が進み、下院は宇宙軍独立法案を昨年可決しましたが、上院を通過することができなかったものです。

宇宙軍創設の背景には、米空軍が戦闘機や爆撃機にばかり資源を投入し、今や陸海空と並ぶ重要ドメインである宇宙への投資を疎かにしているとの、米空軍への根深い不信感があります。

Wilson_Goldfein.jpgこれに対し米空軍は、空と宇宙は一体で一元的な運用が望ましい、軍事脅威が高まる中で分離することで混乱が生じる、管理部門など無駄が生じると反論し、同時に急きょ宇宙担当部長や大将ポストを設けたりと、「宇宙命」を示そうと見え見えの施策を連発してきたところです

これまでは下院の一部の議員の「思い入れ」で動いていた感もある「宇宙軍独立案」ですが、ここにきてトランプ大明神が推進派に加わるという米空軍にとっての「悪夢」が現実のものとなったわけです。

空軍長官や空軍参謀総長は、直接大統領に説明したいとコメントしてるようですが、さぁ・・・どうなることやら・・・。とりあえずトランプ発言をご紹介します

14日付Defense-News記事によれば
Space Fence1.jpg●13日トランプ大統領は、自身が定めた国家安全保障戦略を引用しつつ、「宇宙は今や陸海空ドメインと並ぶ戦いの場である」、「宇宙軍の創設を検討している」と演説した
●そして「我々は宇宙で膨大な仕事を行っており、恐らく新たな軍を創設する事を考える必要がある」、「Space Forceと呼んでもいいだろう」、「その時はそれほど真剣に考えていなかったが、素晴らしい考えだと思うようになったし、そうしなければならないのではないか。大きなbreaking storyになるだろう」と語った

●この宇宙軍独立論は下院議員2名の先導で昨年話題になったが、国防省に宇宙軍独立の成否についての報告書を2018年末までにまとめるよう要求して一旦決着している。ただし2名の議員は戦いの継続を誓っていたところ
マティス国防長官や米空軍は、宇宙軍独立による不要な官僚機構の創設や現場の混乱を理由に反対しているが推進派は中国やロシアに宇宙分野で猛追を許しているのは米空軍の資源配分に問題があるからだと強く主張している

Trump-NATO.jpg●14日、下院予算配分会委員会で空軍参謀総長はトランプ演説に対し、「大統領が宇宙の重要性を認識し、宇宙作戦の能力強化に関心を示している事は素晴らしいことだ。ただ発言を真摯にとらえている。本件について話をすることを楽しみにしている」と語った
●同じ場で空軍長官は大統領の発言に対する反論は展開せず、「大統領と副大統領が宇宙に関心を持っていることをありがたく感じている」と述べるにとどめたが、議会の後で「2019年度予算案には18%増の宇宙関連予算を積んで能力強化に努めている」、「統合の指揮統制能力強化の重要性を認識し、必要な対応を行っている」と語っている
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今後の展開に注目です。でも、混乱は避けたいものです・・・

米空軍内で戦闘機操縦者の後塵を拝している、宇宙部門を担当する幹部の本音を聞いてみたいものです。このトランプ発言を契機に、軍事メディアだけでなく、一般メディアも本件に参戦し、埋もれた意見や声が表面化することを期待します。、

宇宙軍を巡るつばぜり合い
「下院が独立法案承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14-1
「下院が宇宙軍独立案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-22-1
「米空軍はA-11設置で対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-18
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24

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米空軍F-35の77%を占める2B機体の稼働率4割 [亡国のF-35]

Harris-J.jpg7日、米空軍司令部戦略計画部長Jerry Harris中将が下院軍事委員会で証言し米空軍が保有する130機のF-35の中で、約77%を占めるソフト2B搭載機体の稼働率が40%程度であると認め、一つの最前線である嘉手納基地に展開中のF-35でも7割だと述べました

先日は国防省F-35計画室長の発言を紹介し、全世界に存在する280機のF-35の稼働率が約5割だとご紹介しましたが、米空軍の状況も悲惨な状況にあることが明らかになりました

Harris中将は、導入が始まった最新ソフト3F搭載機を「待ち望んでいた機体だ」と将来見通しが明るいような表現もしていますが、自動兵站情報システムALISの最新ソフトにも大きな進展が見られないと語り、国防省F-35計画室長より深刻な状況を吐露しています

また、軍内の機体修理施設や部品調達の課題も深刻で、時間当たりの運用経費が他の戦闘機の3倍以上に上っている様子も語っています。

7日付米空軍協会web記事によればHarris部長
F-35 luke AFB.jpg米空軍が保有する130機のF-35の中で、約77%を占める100機のソフト2B搭載機体の稼働率は40%前半に留まっている
●ただし、より最新型のソフト3Iと最新型ソフト3Fを搭載した機体の稼働率は6割から7割である。そして既に運用態勢確立を宣言したユタ州の部隊から、嘉手納基地に展開しているF-35の稼働率は7割以上を維持している

●ソフト3F搭載機の改善具合は素晴らしく、信頼性とセンサー能力を発揮する能力面で「驚くべき進歩改善」を感じさせてくれている。搭乗員と整備員が待ち望んでいた機体といえる

一方で、自動兵站情報システムALISは依然として多くの問題を抱えており、フライト状況の監視や故障部位の部品自動発注で多くも問題を引き起こしている
●米空軍もこの問題を認識し、ソフトの更新を試みているが、結果は「期待したよりも、仕事に時間がかかり、人手を要する」事となっているのが現状である

Harris-J2.jpg米空軍は「ALIS問題に真剣に取り組んでおり(in-depth study of ALIS and its shortfalls)」、年末までに問題を解決したいと考えている
●また米空軍内の修理補給施設の整備も遅れており、低稼働率を招く部品調達や部品品質の問題につながっている。そして部品を製造企業に送り返して対応を依頼することから経費が高騰している
飛行時間当たりの経費が5万ドルにも至っている現状は看過できない
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運用開始間もない最新鋭機が潮風の影響を受けやすい沖縄に展開し、7割の稼働率であれば頑張っている方だと思いますが、Harris中将の証言からすると、まともに飛行できそうな機体のほとんどが嘉手納派遣に関与していると考えられます

F-35 luke AFB2.jpg対中国や知北朝鮮へのにらみを利かせるための派遣でしょうが、12機程度の派遣を支えるが限界だということでしょう

こんな機体を導入し、今後も機数を増やそうとしている日本の皆さんの苦労を思う時、その労力は他に生かすべきではないかとしみじみと思う今日この頃です

世界中のF-35稼働率は5割
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3

今も変わらぬ問題の本質
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17

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ロシアの毒牙にセルビアが危ない [Joint・統合参謀本部]

穴場のバルカン半島が再び危ない!

Scaparrotti10.jpg8日、欧州米軍司令官で欧州連合軍司令官のCurtis Scaparrotti陸軍大将が上院軍事委員会で証言し、対露欧州正面全体でロシアが全ドメイン活用の攻勢に出ていることから、欧州戦力の近代化に継続的な努力が不可欠だと訴えました

特にロシアが非対称能力を増大させ、紛争レベルに至らないギリギリのレベルで、軍事と非軍事のフルスペクトラムで地域の不安定化キャンペーンに出ていると訴えています。
そして特にバルカン半島のセルビアへの懸念を具合的に取り上げ、我々が外交的に取り組まなければ、世界の目が離れているうちに問題が表面化すると強い懸念を表明しました

また同証言を紹介する報道は、DC訪問中のチェコ軍大将の発言を紹介しつつ、ロシアや中国が展開するサイバーを含む情報戦に適応していかないと、見えない侵略に屈してしまうと「cyber framework」の必要性等の訴えを紹介しています

8日付米空軍協会web記事によれば
Scaparrotti9.jpgScaparrotti司令官は、2025年までにロシアが欧州正面の全てのドメインで西側軍に挑戦してくると予想し、米軍が欧州戦力の近代化に継続的に取り組むべきだと訴えた
●そして現在もロシアが非対称能力を増大させ、紛争レベルに至らないギリギリのレベルで、軍事と非軍事のフルスペクトラムで地域の不安定化キャンペーンに出ていると説明した

●そして前年度から2000億円以上増額した「European Deterrence Initiative」2019年度予算7000億円に言及し、必要不可欠な基礎的経費(foundational funding)だと表現し、本経費とその増額がなければ任務を遂行できないと訴えた
EDI予算の多くが、米陸軍の装備事前集積や、米空軍の欧州飛行場施設整備(対象はGermany, Norway, Slovakia、英国)に投入されており、欧州米軍の態勢整備を支えていると説明した

●7日にワシントンDCを訪問したチェコのPetr Pavel大将は、ロシアが情報戦を仕掛けており、NATOはこの状況から学んで適応しなければならず、そのために同盟として中露を含むアクターと協議して「cyber framework」を立ち上げる必要があると訴えた
●同大将は特にバルト海周辺地域の緊張を上げ、ロシアの活動を「侵略」と表現し、ロシアによる領空心配はないが緊張は増大しており、軍事プレゼンスを上げ、長距離飛行を行い、より多くの情報収集活動を行う必要があると語った

Scaparrotti7.jpg一方でScaparrotti司令官は議会で、米国がバルカン半島に再び目を向けるべきだと警鐘を鳴らし、特にセルビアでロシアのプレゼンスが増大していると訴え
●そして、我々が外交的に取り組まなければ、世界の目が離れているうちに問題が勝利表面化すると強い懸念を表明した
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ここ数年ランド研究所が、ロシアがバルト3国など東欧で攻勢に出ればNATO軍や欧州米軍は対処できないとの研究レポートを発表しており、その件について議員がScaparrotti司令官に質問しています。

russia cyber.jpg同司令官はこれに対し、全くの誤りではないがその分析は東欧に絞ればのことであり、地上部隊に限定すればの見方だと述べ、欧州全体で、更に海空サイバー宇宙等のドメインに拡大して考えれば、緒戦でロシアが有利かもしれないが、長期的に見ればNATO側が有利であり敵も理解しているだろうと表現しています

前職が在韓米軍司令官だった聡明なScaparrotti大将の見方ですので尊重します。でも2014年のウクライナ侵攻で「ハイブリッド戦」を見事に遂行したロシアです。その教訓をもとに更に磨きをかけた非対称戦コンセプトを練り上げていると懸念も致します

Scaparrotti大将の発言
「ロシアの情報戦に総力対処すべき」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-24
「露の脅威を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-23-1

「在韓米軍の懸念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-16
「RQ-4よりU-2が良い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-26

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DIA長官が議会で中国NKを語る [中国要人・軍事]

Ashley4.jpg8日、米国防省の情報機関であるDIA長官のRobert Ashley中将が上院軍事委員会で証言し、中国及びNKの脅威について語っています

中国に関しては、先日、防衛研究所の「中国安全保障レポート2018」で、ICBMの多弾頭化により攻撃力や残存性等が急激に向上し、米露の核軍縮を困難にするとの見方をご紹介したところです。

Ashley長官はこれに加え、「2種類の新型空中発射弾道ミサイル:two new air-launched ballistic missiles」の存在にも言及し、その一つは核搭載可能だと語っており、極めて断片的ですがご紹介します

北朝鮮について同長官は
Ashley2.jpg米国にとって最も情報収集困難な対象である(hardest intelligence collection target)
2016年と2017年に40発以上の各種弾道ミサイル試験を行い、2016年には特に長射程ミサイルで失敗を重ねたが、2017年には進歩を見せた

●2017年7月の2発の火星14号や、11月の火星15号は米本土に到達可能な能力を見せ、更に日本を射程内に収める固体燃料を使用した中距離弾道ミサイルの試験を2回行った
●また2017年9月に行われた6回目の核実験では、過去最高の強さの地震を引き起こし、北朝鮮が水爆だと主張している。更に北朝鮮は2タイプの弾頭デザインを公開し、弾道ミサイルに搭載可能だと主張している

中国について長官は
中国本土から遠方の高列度地域紛争に短期間で勝利できる統合作戦能力と、近代的な指揮統制能力の獲得を含む、根本的な軍団レベル以下の改革をPLAは追及している
●またPLAは、統合指揮システムの強化と、サイバー、電子戦、宇宙戦を束ねる新たな「Strategic Support Force」の構築に取り組んでいる

Ashley3.jpg●引き続き中国は台湾紛争などへの第3者の干渉を「dissuade, deter or defeat」するための能力構築に取り組んでおり、多様なドメインで長射程の攻撃能力を西太平洋地域で発揮することを狙っている。そのエリアは第一列島線内で激しく、その外に拡大している
「2種類の新型空中発射弾道ミサイル:two new air-launched ballistic missiles」開発が進んでおり、一つは核弾頭搭載可能である。

●(細部に同長官は言及しなかったが、中国は超音速スタンドオフ対地攻撃弾道ミサイルを輸出可能な形で開発しており、また、空対空用の大型長射程ミサイルをAWACSや空中給油機など高価値目標を対象に開発しているといわれている
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中国に関しては、核兵器の3本柱を完成しつつある等々と証言していますが、防研レポートと重なりますので省略いたします

それにしても、ロシアもそうですが、米国が議会の機能不全で予算の強制削減問題に縛られ続ける中、中国もNKもぬかりないです

これでトランプが北の刈り上げ君と会談し、安易な妥協などしないことを祈るばかりです

関連の記事
「中国安全保障レポート2018」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-2
「露が新型核兵器を開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1

タグ:DIA Robert Ashley
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KC-46空中給油機開発が更に遅れ [米空軍]

この空軍発表前の段階で既に最低14か月遅れ
2017年8月までに18機納入するのが当初計画
しかし今は、初号機完成が最速2018年10月

KC-46-2.jpg6日、米空軍がKC-46A空中給油機の開発状況について声明を発表し、現状で既に最低14か月の遅れとなっている同機開発について更なる遅れを認め、初号機の納入が2018年後半になると明らかにしました。

まぁ・・この結果は、昨年3月に米会計検査院GAOが指摘した問題と開発遅延予想を、1年後の今頃になって追認したような形になり、F-35開発で地に落ちている国防省や空軍の装備品開発への評価の「傷口」に塩を刷り込む結果となっています

KC-46AはB-767旅客機をベースに開発された空中給油機で、それなりに成熟された技術を活用することから開発リスクは低いと想定され、初めての「経費固定契約」(国側は開発経費超過分を負担しない契約)ケースとして注目を集めたプロジェクトで、F-35とB-21と並ぶ国防省3大プロジェクトと呼ばれ、179機を約5兆円で調達するプログラムです

KC-46 Boom4.jpgしかし実際の開発過程では機内配線のトラブルや給油配管の処理に誤った化学薬品を使用するなどのトラブルが相次ぎ、2017年9月には給油相手の機体に給油用の棒でひっかき傷を負わせる問題が発覚して試験が大幅に遅れています。

当初契約では最初の18機を納入する期限が2017年9月でしたが、その後2018年10月に延期され、今では早くても初号機1機の納入が2018年10月になっています。

その経費も当初計画は4400億円だったものの、現在では米空軍推定で1600億円超かの7000億円、ボーイング推定でも6500億円に膨らむ予想で、予算超過部分は全てボーイング負担が負担する契約となっています

8日付DODBuzz記事によれば
KC-46 Boom.jpg●7日、米空軍報道官は声明で、「米空軍とボーイング社は、引き続きボーイングの計画に基づき同空中給油機計画を遂行する」、「しかしながら、初号機の納入は2018年後半になるだろう」とし
●その理由として「把握しているリスク、航空局の飛行承認取得に必要な時間、予定より遅れている飛行試験の状況等々」を踏まえた結果だと説明しつつ、「空軍はボーイングと協力し、遅れの影響を最小限にするため努力していく」とした。ただ更なるコスト追加は無いともコメントしている

2017年3月に米会計検査院GAOが、同機開発計画の遅れを調査に基づき指摘予想し、「2017年2月から9月の間に、月間平均1700もの試験評価ポイントを確認する必要がある計画になっているが、それ以前の約1年間の倍以上のペース設定になっており、とても達成可能とは考えられない」と分析していたところ
●当時米空軍とボーイングは、初号機の納入時期を14か月遅れの2018年2月と公言していたが、GAOは昨年3月のレポートで早くても2018年10月になると指摘していた

KC-46 Boom3.jpg米空軍は当初納入の18機に加え、2019年度予算案では追加で15機の購入予算を計上しているが、早くて2018年10月の納入であれば、米空軍の前線部隊に加わることができるのは2019年まで待つ必要がある。
今後のKC-46A部隊建設計画等、具体的な計画や、60年以上使用されているKC-135空中給油機の更新時期がさらに遅れる模様であり、老朽化で維持費が高騰している旧式機体の運用は、米空軍の苦しい維持整備予算をさらに圧迫することになる
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お決まりのコメントで恐縮ですが・・・

このKC-46Aは日本も4機購入することを決定しており、ボーイングが被った超過開発経費負担が、まわりまわって日本の維持経費や部品費に上乗せされるのでは・・・・と東京の郊外より懸念している今日この頃です

米空軍の空中給油機ゴタゴタ
「ブームで相手にひっかき傷」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-02-1
「空中給油機の後継プランを見直しへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「KC-46ブーム強度解決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-15

「納期守れないと認める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01
「Boom強度に問題発覚」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-03
「予定経費を大幅超過」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21

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国防費増で関税緩和してやる・・かも [安全保障全般]

安全保障を理由とした鉄鋼アルミへの関税・・・その心は?

Trump-tariff.jpg9日、Steve Mnuchin米財務長官が経済専門メディアのTVインタビューで、トランプ大統領が対露等で危機感高まる中でも国防費増に消極的な欧州NATO諸国に批判的なことを背景に、鉄鋼とアルミへの関税を取引材料に欧州諸国に国防費増を迫る可能性を示唆しました

鉄鋼とアルミへの関税について表明したトランプ大統領が、国家安全保障をその理由として上げたことに疑問の声が世界中から聞かれますが、カナダやメキシコや豪州が関税緩和免除の対象になるとの話が聞こえる中、欧州NATO諸国が上記理由で対象となれば、それなりにつじつまが合います

Trump tel.jpg米通商代表のRobert Lighthizer氏が10日11日の週末にブラッセルを訪問し、欧州諸国や日本の代表団と協議したそうですが、国防費を増やせと言われそうな点では日本も同列ですので、とっても気になるところです

ちなみに米国は欧州諸国にGDP2%の国防費を要求してきており、GDP1%レベルの日本の立場は強くありません

安全保障上の脅威であるロシアは本関税の影響をほとんど受けず、鉄鋼やアルミの輸入量が2%程度しかない中国への圧力にもなりそうもない鉄鋼アルミ関税の真の狙いは何なのか???・・・そんなことを考える記事をご紹介します

10日付Defense-News記事によれば
trump tariff3.jpg9日Mnuchin米財務長官はCNBCのインタビューに対し、トランプ大統領がNATO諸国に国防費を増加させたいとの思いを持っており、GDP2%目標を守らせ、「NATOメンバーとしての役割を果たさせ、NATOとしての機能が発揮できるようにしたいと考えている」と語った。(国防長官ではなく、財務長官がNATO諸国の国防費に言及すること自体が極めて異例です)
●ト大統領はこれまで本関税の理由とした国家安全保障との関係を語らなかったが、財務長官は諸外国と協議を行っており、「今後2週間で他の関係諸国とも協議する」と発言した

●8日にはトランプ政権高官が、Robert Lighthizer米通商代表が本関税の免除を求める他国の要望を聞くことになるが、商務長官が判断する特殊な鉄鋼やアルミ製品を除き、最終的な判断は大統領が行うと記者団に語っている
●これらに対し欧州諸国は、米国製の鉄鋼、農産物、ピーナツバター、クランベリー、オレンジジュース等に報復関税を課すと対抗措置をちらつかせている

●トランプ大統領は本関税措置に署名する前の9日、豪州とアルゼンチン首脳と電話会談し、関税免除について話し合った
trump tariff2.jpg●2代目ブッシュ政権で経済政策や通商政策を担った複数の関係者は、本関税が生みだいている混乱を危機感を持って訴え、「米産業界は透明性の確保を求めている」、「米国内の鉄鋼やアルミ産業関連雇用を守ることとつながるのか」等々の声を上げている

●本関税に関する大統領令はカナダとメキシコが除外される理由を説明できておらず、安全保障上の理由なら対象になるべきロシアや中国に対する立場も明確になっていない
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10日11日の週末にブラッセルで行われた、米財務長官と欧州及び日本代表団との協議の模様が気になります・・・

森友問題で財務省は大騒ぎですが・・・チマチマとした問題で大騒ぎの「ごみ野党」の皆様には、日本の国家安全保障に大きな影響を与えそう本件について、国会での議論を行てほしいものです

森本敏元防衛相の発言
「森本元防衛相:日本の世論は健全か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-18-1
「退任後大いに語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-22-1
「国民の国防理解が不十分」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25

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嘉手納米空軍の整備員は熟練者が少ない [米空軍]

だからと言って、何か問題があるとは書いてませんが

maintenanceF15.jpg2日付Defense-Newsが沖縄に駐留する嘉手納基地の米空軍F-15戦闘機部隊を訪問した取材記を掲載し、現場整備員チームのリーダーである軍曹の証言として、航空機整備員不足が問題なっている米空軍の中でも、嘉手納米空軍の整備員は米本土に比べて経験の浅い若手整備員が多いと紹介しています

まんぐーすの記憶では、米空軍の整備員不足の原因は、A-10攻撃機(約260機)を全廃して熟練整備員をF-35整備員転用しようとしていた計画が、中東でのA-10の活躍を知る議会の猛反対でとん挫したことにあります

米空軍は操縦者養成部隊の機体整備を民間企業に委託したり、整備員の養成数を増やして不足分を穴埋めしようと懸命に努力しており、同記事によれば整備員4000ポスト当たり200人の不足レベルにまで状況は改善したようです(昨年11月時点では3400名不足でしたが)

しかし、整備員の人数だけそろえても経験不足の整備員が多く、またある程度の技能を獲得すると民間航空会社に流出する問題もパイロットと同様に頭の痛い課題となっているようで、そんなしわ寄せが前線部隊にどんな影響を与えているのかを垣間見る興味深い記事ですので、断片的ながらご紹介します

2日付Defense-News記事によれば
maintenanceF153.jpg●2月14日に嘉手納基地の第18戦闘航空団を訪問取材した我々は、54機のF-15戦闘機や15機のKC-135空中給油機を支える整備員チームの現場チーフであるJohnny Brown軍曹から話を聞くことができた
●米空軍は整備員不足を解消すべく整備員養成数を増やすため、アリゾナ州の砂漠地帯に野外保存されている機体まで活用しているところである

●F-15戦闘機をわずか1時間足らずで再発進させるため、忙しく機体の周りを動き回る整備員たち見守りながら同軍曹は、米空軍全体の問題である整備員不足と熟練整備員の流出問題に加え、嘉手納基地の地理的位置が特殊な状況を与えていると語った
●同軍曹によれば、米本土の基地であれば整備員は平均して4~5年はF-15の機体整備を継続して行い技量を高めるが、嘉手納基地に来る整備員の多くは経験の浅いうえに、任期2年で転属していくという

maintenanceF152.jpg●そして同軍曹は、「必要な人数はそろっている。しかし我々は経験の浅い整備員を訓練しながら、任務に必要とされる機体を必要な時期に必要な数準備しなければならず、その両立が厳しい課題となっている」と語った
●また「我々は常に新人を受け入れ、送り出さなければならない」、「新人は悪くない学びの姿勢を備えているが、(米本土とは)異なった環境の中で、新人を効率的に彼らそれぞれに合った教育をする必要がある」とも表現している
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対ロシアで緊張感高まるバルト3国や東欧諸国正面と並び、対中国で緊張感高まる東シナ海ににらみを利かせる嘉手納の戦闘機部隊ですが、その内部事情は「水面下で必死に足をばたつかせて浮かんでいる」状態なのかもしれません・・・

米空軍部隊の海外実戦派遣の頻度や期間が高止まりし、家族持ちの整備員を極東の離れ小島に赴任させるのは厳しく、結果として経験は浅いながら、身軽な独身の兵士を送り込んでいるのかもしれませんねぇ・・・。興味深い現場レポートでした

米空軍整備員不足の苦悩
「整備員3400名が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-11-1
「米空軍機の稼働率が異常低下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-02
「整備員不足対処案も苦悩続く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-03

「F-35整備員確保の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-14
「A-10全廃は延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22

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現在のF-35稼働率は約5割 [亡国のF-35]

世界中に存在する280機のうち半分が飛行不可能

F-35 3-type.jpg2月28日、米国防省F-35計画室長Mat Winter海軍中将が記者団と懇談し、米軍及び世界各国が受領している約280機のF-35のうち、飛行可能状態なのは51%の機体に過ぎないと語り、特に初期に製造された機体にハードとソフト両面で不具合が多発していると語りました

また、航空機整備体制の革新として、鳴り物入りで導入された自動兵站情報システムALISがうまく動かず、自動診断で故障警報を乱発し、不要な部品の発注を繰り返している混乱ぶりも明らかにしています

開発と製造を同時並行で進めるという、海外輸出振興と国内反対派対策のため無理やり行った無茶な施策の結果が、この惨状を招いたのは明白です。
いずれの問題についても、解消する方向で手を打ちつつあると同中将は語っていますが、外部の有識者や専門家が以前から予測していた問題が次々と現実となる「負の優等生F-35」ぶりは健在です

2日付Mmilitary.com記事によれば
F-35 luke AFB.jpg●Mat Winter室長は記者団に、初期のロット2からロット4で製造したF-35の稼働率が最も悪く40~50%で、もっとも最近のロットで現在も製造が続いているロット9と10の稼働率は70~75%だと述べた
●稼働率が低くなっている問題の背景には、機体の不具合を自動診断して部品の調達等を自動処理する自動兵站情報システムALISのトラブルがあり、問題のない部品を故障と診断する「false positives」がかなり発生し、部品の誤発注が続いている

●同室長は良いニュースとして、ALISの最新バージョンソフト3.0は「false positives」問題をほぼ除去可能で、初期型F-35のトラブルについても関係者が信頼性を上げるべく取り組んでいると説明した
●また部品の調達を円滑にし、整備員の技量を向上させ、整備維持システムや工具を適切にし、サプライチェーンや部品供給基盤を整えていくとも説明した

●更に、初期型100機に対するハードとソフト両面の改修事業が開始され、ソフトでは「3F」の搭載も進められると説明し、「機体が整い、ALISがバージョンアップされ、修理部品が必要数揃い、整備員の能力が向上すれば、全体のコストを下げることができる」と語った
●F-35の維持運用経費の高騰問題についても言及した同中将は、現在の維持コストでは今後280機から2021年末の800機に増えた段階で支えることができないのが部隊の現状であると認め、「全ての手段や手法を駆使して維持可能なコストに引き下げたい」と説明した
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F-35 luke AFB2.jpg過去に他の機種で前例のない増産を計画しているため、部品の供給が追い付かなくなり、維持整備費や高騰して稼働率が下がり、ますます新規購入意欲が低下して単価が上昇するとの「負のスパイラル」を何度も警告してきましたが、その通りの「坂道転げ落ち」現象が現実のものとなっています。

Winter室長のような明るい将来像は5年前から延々と語られていますが、手戻り改修経費が大きな問題となり、維持経費が高止まりする現状に具体的な改善方向は見えていません

輸送艦「いずも」にF-35Bを搭載するとか検討するとかいう前に、もっとしっかり足元を確認し、地に足の着いた議論をすべきです

今も変わらぬ問題の本質
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17

F-35維持費問題を内外が指摘
「F-35維持費負担は不可能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-04-1
「GAOがF-35維持費に警告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-25
「再度警告:開発と製造の同時並行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-10 

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