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イスラエル防空に米軍部隊が常駐へ [安全保障全般]

史上初、イスラエル軍基地に米軍常設部
わずか数十名ながら防空ミサイルと共に防空の一翼を

Israel-US.jpg18日、米軍とイスラエル軍が、イスラエル南部のイスラエル空軍基地に、米陸軍の機種不明な防空システム部隊を数十名(A few dozens)編成し、恒久的に運用を開始する記念式典を開催しました

イスラエル側代表のイスラエル空軍防空コマンド司令官Zvika Haimovich准将は式典で、「米軍部隊のプレゼンスは、訓練や演習のためではない。イスラエル防衛能力強化のための、イスラエルと米軍の共同努力の一環である」とその位置づけを語っています

イスラエルには約10年前から、同じイスラエル南部のネゲブ砂漠地域に、米軍の俗にいう「Xバンドレーダー(AN/TPY-2)」部隊が展開していますが、全くイスラエル軍施設とは独立して存在しており、今回のようにイスラエル軍基地の中に星条旗を掲げて運用するのは初めてだそうです

18日付Defense-News記事によれば
THAAD2.jpg●Haimovich司令官は「同盟国アメリカの数十名の兵士が、この基地に恒久的に駐留する。彼らは米国軍のタスクフォースの一部」であり、ロケット弾やミサイル脅威を探知し防衛するイスラエルの能力を強化してくれると語った
●また同准将は、「彼らがこの地に存在するのは、訓練や演習のためではない。イスラエル防衛能力強化のための、イスラエルと米軍の共同努力の一環である」と明言した

●米側代表で式典に参加した欧州米陸軍の副司令官であるJohn Gronski少将は、(展開部隊が所在する)「Site 883 Life Support Areaは、米国とイスラエルの固い絆を更に強固にするものである」と述べ、
●更に「両国は長年にわたり作戦を計画し、ともに演習や訓練を行ってきたが、この基地の設置で、極めて重要な両国のやり取りが毎日行われることになる」と意義を語った

PAC-3.jpg●イスラエルのHaimovich司令官は、両軍が同一基地で共生するのも初めてだが、米軍の迎撃ミサイル(active interceptors)が恒久的に展開するのも初めてだと述べ、この準備のために両国は約2年にわたり協議を続けてきたと説明した
●一方で同司令官は、米軍が新たに展開してプレゼンスを見せるが、イスラエルに対する脅威に対し、イスラエル軍が独自に対処する能力が損なわれるわけではないと強調した

●この式典に先立ちイスラエル国防軍は、ロケット弾等の迎撃ミサイルシステム「Iron Dome」の機動展開部隊を新たに編成し、北部国境から南部国境までを柔軟にカバーする体制を整えたところである。
●なお、このイスラエル製「Iron Dome」システムを、米陸軍は短距離~中距離の防空システム候補として、他の候補システムとして米陸軍の評価を受けている
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Israel Dimona.jpgこの話を聞いて一番に思ったのは、イスラエルの核兵器施設があると噂されている南部砂漠のディモナです。このディモナの施設が防御対象だとすれば、展開部隊はPAC-3でしょうか? 過去記事のシリアSAM撃墜事案の影響でしょうか?

また、既に配備されている「Xバンドレーダー(AN/TPY-2)」との組み合わせで考えれば、イスラエル全体をカバー可能なTHAADミサイルでしょうか?

いずれにしても、機動展開用の「Iron Dome」部隊を新編成したりするあたりからも、ロケット弾から弾道ミサイルに至るまで、急激に拡散する新たな脅威に喫緊の対応を迫られているということでしょう。
これは「Iron Dome」を試験している、米軍にも言えることです。

イスラエル防空の話題
「なぜイスラエルArrowがシリアSAMを迎撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-21
「世界初:6種類の迎撃ミサイルでBMD演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07-1

「米がサウジにTHAAD提供?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01

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米加の航空機貿易戦争に英が参戦 [安全保障全般]

ボーイングの訴えが契機で米国とカナダに貿易紛争
英国がカナダの支援に参戦し、各国トップが動く事態に

Trudeau2.jpg14日付Defense-Newsは、米国企業ボーイングがカナダの航空機産業「Bombardier」を旅客機(C-Series)のダンピング販売疑惑で訴えた件で米商務省が25日にカナダ企業に懲罰的な関税を課すかどうかの判断を示す予定の中、「Bombardier」の工場が国内に所在する英国首相も争いに参戦し、3か国を巻き込む貿易摩擦に発展していると報じています

ボーイング社が「Bombardier」を訴えたのが4月で、これを受けカナダ政府は5月、ボーイング製FA-18購入交渉(約5700億円規模)を中断すると発表したところでした。本件について「America First」のトランプ政権の立ち位置は明確ではありませんが、9月12日に米国務省が交渉中断中の当該FA-18のカナダ輸出を許可すると発表したところでした

May-BREXIT.jpgそんな中、「Bombardier」の工場を北アイルランドに持つ英国が本件に参戦し、「Bombardier」に制裁を課して雇用が失われては大変だと、メイ英国首相が5日にトランプ大統領へ電話した際、本件を取り上げた模様です
また英国当局者は、「Bombardier旅客機」の部品の半分以上は米国製であり、「Bombardier」への制裁は米国産業を苦しめることにつながると主張しています。

カナダのトルドー首相と英国メイ首相は、本件を巡り18日に会談する予定となっており、カナダ外相も「英国と真に緊密に本件を協議している」、「英国もBombardierの件に大きなな関心を寄せており、我々が協力することは当然だ」と発言しているところです

14日付Defense-News記事によれば
在米カナダ大使は、英国はカナダの依頼でなく、自身の判断でこの問題に関与してきたと述べ、「ボーイングにこのような訴えが理不尽で、駆け引きによって損なわれるのはボーイングの利害だ」、また「英国はボーイング社航空機の大口顧客であり、私が同社の立場なら、この点に注意を払うだろう」と語っている
●またカナダ首相は、ボーイング社製FA-18の製造工場がセントルイスあるミズーリ州知事に5日直接電話し、ボーイングの動きへの失望を伝えたと言われている。

Bombardier-C2.jpg●カナダ国省高官は、将来の空中給油機(ボーイング製KC-46Aのこと)や、追加の戦闘機(FA-18やF-35)の購入選定にも悪い影響を与えるとの考えを表明している
●更にカナダは、交渉を中断したボーイングからのFA-18調達の代替として、豪州が使用してきた中古のFA-18を購入することも検討し始めたと伝えられている

●一方でボーイング社は、「Bombardier」への訴えを取り下げる動きは見せず、カナダ政府による過剰な支援金が同社のダンピングを生んでいると非難し、「同じ公平な土俵で競争できる環境の整備が重要だ」との主張を崩していない
●また「Bombardier」の件と他の案件をリンクするべきではないと訴えつつ、ボーイング海外ビジネス社長は「厳しい局面に直面している」、「しかし傍観するわけにはいかない。皆が従う明確なルールのもとで活動できることが極めて重要だ」と述べた

カナダも共同開発国であるF-35の売り込みを狙うロッキード社担当副社長は、FA-18の穴埋めのため、F-35を代替で提供する計画をカナダ政府に提案済みだと述べている
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少なくとも、カナダと英国の首相が直接動く事態となっており、西側同盟の中核国の間の話だけに気になるところです。

FA-18EF2.jpgトランプ大統領は就任前から、予算超過と価格高騰のロッキード製F-35をけん制するため、ボーイングが提案するFA-18改良機に肩入れしており、ボーイング副社長を国防風長官に迎えるなど、近い関係が知られているところです。

「Bombardier」社に対し、制裁として超過関税を課すかどうかを判断する25日の米商務省判断が一つの山ですが、トランプ政権の「America First」の将来方向を占ううえでも注目されます

米国とカナダの航空戦争
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「5月18日が開戦日!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23

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物議:断交されたカタール首長が米軍と大記念撮影 [安全保障全般]

縁を切ったアラブ諸国の感情を逆なで
カタール首長が海外訪問再開の狼煙

11日、アラブ諸国に断交されているカタールのトップである「首長:Emir」が、約1万人の米軍兵士が駐留し、米軍の中東作戦の指揮所があるカタールの「アルウデイド:al-Udeid」空軍基地を訪問し、米軍同基地に展開する米軍機と米軍兵士をバックに記念撮影を行い、同国メディアが大々的に報じました

Qatar Emir.jpgカタールは、イランとの親密な関係やイスラム過激派支援を批判され、中東の主要国で、かつ米国とも比較的親密なサウジ、エジプト、バーレーン、UAEから「国交断絶」を6月5日に宣言された国であり、米国も米軍の存在とアラブ主要国との板挟みで、微妙な立場に立たされています

カタールと縁を切ったバーレーンには、米海軍第5艦隊や米中央軍陸軍の拠点があり、米軍13500名が所在し、同じくUAEにも米海軍最大の立ち寄り港である「Jebel Ali port」や、米空軍の空中給油機やF-22や無人偵察機が大挙所在する「al-Dhafra Air Base」がある複雑さです

このような複雑に入り組んだ外交関係をやりくりする米国の姿勢は微妙で、トランプ大統領はカタールに批判的な立場を微妙に示すツイートを行う一方で、マティス国防長官はカタールを訪問して支援を申し出、1.4兆円相当のF-15売却にも合意しています

12日付「Military.com」記事によれば
Qatar map.jpgカタール国営メディアは記念写真を「Sheikh Tamim首長は米国人たちと、両国国防協力と対テロ協力の様子を再確認した」との記事と共に大々的に紹介し、アラブ諸国からのボイコットの中で、米軍が同主張を支持しているかのようなイメージを発信している
●一方で米中央軍報道官は、「単なる駐留国首長による部隊訪問である。同基地の様子や情勢について話をし、記念撮影を行い、そして帰路に就いただけである」、「特別な意味はない」と説明している

●そして同報道官は、ホスト国が愛国心を鼓舞するようなメッセージを掲げたり発信したりすることは、よくあることだとコメントした
●また同時に同報道官は、「我々は周辺関係国間の言い争いを常に注目している」、「(しかし、)それが米軍のホスト国として問題になることはない」とも述べた Qatar3.jpg●この米軍部隊訪問は、カタールが断行されて以来初となる首長による外国訪問(トルコとドイツ)に先立って行われたが、Tamim首長の父親は、その父親が外国訪問間の1995年にクーデターを起こして首長の座を奪った経緯があり、様々な憶測を呼んでいる
●米軍報道官は、「我々は常にあらゆる緊急事態に備えた計画を練って備えている。戦いを続けるために必要なことを行うだろう」、「しかし現時点で、我々が何かを終了したり、中断したりするような重大な可能性が見えているわけではない」とも語っている
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カタールは過激派への支援を否定し、イランとの関係は同一の海底天然ガス田から天然ガスを採掘しているからだと反論していますが、米国内にはかねてより、ムスリム同胞団を支援するような国に頼っていいのか・・・との議論があったようです

しかし・・・、カタールを断交した国々にも同様の疑惑はあり、アルジャジーラTVを運営したり、サッカーW杯を誘致したりと、スタンドプレーが目立つカタールをいじめてやろう・・・ぐらいの理由じゃないかとも言われています

Qatar4.jpgでも、この集合写真はいくら何でも「刺激強すぎ・・・」感がありありで、米国の意図も不明で、外国訪問もあるらしいので、興味本位で取り上げました。
日本は天然ガスをカタールに頼っているので、ゴタゴタは困ります。何かあっては日本がひっくり返ります

外務省の「カタール」概要説明
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/quatar/index.html

カタールが登場の記事
「米軍の弾薬を頼るな!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21-1
「イスラエルと合意後に湾岸諸国へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17
「日本の銀行がカタールの戦闘機購入に融資?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-22

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激震:トルコがついにロシア製防空システム契約 [安全保障全般]

トルコ大統領とプーチンが直接判断
NATO運用の根幹にかかわる決別宣言か!

Erdogan3.jpg12日、トルコのエルドワン大統領が、2013年から紆余曲折を経てきたトルコ防空システムの機種選定に関しロシア製の高性能長距離地対空ミサイル「S-400」を購入する契約を結んだと明らかにしました。

同大統領がカザフスタン訪問の帰路に記者団に語ったもので、「プーチン大統領と私で決定した」、「契約書への署名は終わった」、「国防のニーズに基づき、自由に兵器を選ぶ権利がある」などと語り、米国やNATOからの干渉には左右されないとの強い意志を示しています

この選定は2013年に中国製に一端決定したものの、実質トルコの防空を担っている米国やNATOシステムと連接できない等の問題から米国等が猛反発し、2015年11月にはトルコ政府が中国製の選択決定破棄を発表して国産開発の方向を示唆しました。

S-400-launch.jpgその後も、米国、中国、ロシア、ドイツ、フランス、イタリアと関連企業による巻き返しとゴタゴタがつづき、ロシアによるウクライナ侵攻や対ISIS作戦の激化により、関係国間の外交関係が目まぐるしく変化する中で、国家間関係の現状を示す「リトマス試験紙」的な案件として注目されてきました。

しかし昨年10月、トルコ大統領とプーチン大統領の会談で、2013年当時は高価格を理由に排除したロシア製を、再び選定候補に入れて再交渉することをトルコ側が要請し、今日に至っていました。

12日付「Military.com」記事によれば
●12日、エルドワン大統領は「S-400購入契約の署名は終わった。手付金も支払われたと思う」、「私とプーチン大統領がこの件は決定した」とカザフスタンからの帰路に記者団に語った
●また同大統領は「NATO諸国の中では、トルコは米国についで2番目に軍の規模が大きく、国防ニーズに応じて装備品調達を行う自由を保持している」と述べたが、価格等細部については言及しなかった

S-400.jpgロシアの大統領軍事補佐官であるVladimir Kozhinも同日、「契約が結ばれ、契約履行に向けた準備が進められている」と認めている
●NATO高官は「S-400のようなNATOシステムと連接できないシステムを使用するNATO加盟国は存在しない」、「NATOはトルコのS-400購入について何も知らされていない」と不満表明した

S-400は米国製パトリオットと同等もしくはそれ以上の性能を持つといわれる長射程地対空ミサイルで、限定的ながらBMD能力もあるといわれている。
●このためロシア軍のほか、東シナ海沿岸に配備し政経中枢地域を防御したい中国やインドからの受注があり、早期にトルコに供給されるとは考えにくい

●トルコの軍事専門家Aykan Erdemir氏は、「本契約は、トルコが大西洋をまたぐ同盟や価値観の共有から、進路を変えようとしていることを示している」、「当該装備の導入以上に、西側への苛立ちを示す意味合いが強いだろう」とコメントしている
S-400-2.jpg●トルコ議会の野党副代表は、契約には反対しないが、同装備がトルコ国内で製造され、技術移転が進むことが必要だと述べている

●2015年にトルコがロシア軍機を、シリアとトルコ国境付近で撃墜した直後は両国関係が中断したが、2016年に和解したことが今回の契約につながっている
●しかしロシアのクリミア併合にトルコは強く反対しており、両国関係に緊張感がないわけではない
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2013年からのトルコ防空システム選定の経緯
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23 

専門家の中には、これは「S-400」という装備導入の直接的影響より、トルコからNATO諸国への政治的メッセージの意味合いが強いとの見方が出ていますが、軍事的にも無視できない話です。

trump5.jpg防空システムの要である長射程地対空ミサイルが、トルコ防空警戒網の大部分を支えるNATOシステムと連接できない(又は情報漏洩を恐れて連接できない)となれば、NATOがロシア製兵器の下支えをする屈辱となり、指揮統制なんかも成り立たないと思います

米国が北朝鮮問題に当惑し、2つのハリケーン被害で更に内向きになる中、世界ではアンチ米国の国々が着実にやりたいことを進めています。あれ・・・中国はどうだったっけ???

トルコ防空システム選定のゴタゴタ
「ロシア製S-400購入の動き」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23 
「SAM選定で露に最接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-12
「中国製決定を破棄」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-16
「トルコ大統領訪中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-30-2

「NATOと連接しない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-20
「4度目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-04
「トルコが中国企業と交渉開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-27

米国とトルコ関係の関連
「対ISで露とトルコが共同作戦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-22
「トルコがF-35追加購入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-01-1

「駐トルコに家族帯同禁止や特別手当」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-17
「将軍の4割以上を排除」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11

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ハマス新指導者会見:イランからの軍事支援復活 [安全保障全般]

中東に新たな不安定化の動き
日本の皆さんの関心は薄いと思いますが・・・

Hamas new.jpg8月28日、今年2月に選出されたハマスの新リーダー「Yehiyeh Sinwar」が初めて記者団を前に会見し、5年前2012年にシリア支援を巡る対立が原因で断絶状態になったイランとの関係が復活し、ハマスがイスラエルと対峙するための軍事及び資金援助が再開されたと語りました。

なおハマスは、イスラエルだけでなく国連やEUからテロ組織に指定されている組織で、これまでに誘拐、自爆テロ、狙撃等により数百人のイスラエル人を殺害しているガザ地区を拠点とする過激派組織です。

一方イランは公然とイスラエルの破砕を国是と掲げる国家で、イスラエルのガザ地区で反イスラエル闘争を先導するハマスを支援し続けていましたが、シリア内戦で弱体化したアサド政権の支援を求めるイランに対し、ハマスがこれを拒絶した事で断絶に至りました

一方ガザ地区では、パレスチナ自治政府からハマスが実権を奪った10年前から、対ISIL作戦の話題に隠れる形で、パレスチナ自治政府が同政府職員の給与を削減したり、自治政府の要請との形でイスラエルがガザへの電力供給を一日8時間程度に抑えたりして締め付けが強化され、失業率5割や貧困が拡大しています

Gaza strip2.jpg具体的にどの程度のイラン援助が復活したか55歳のハマス新リーダーは言及しませんでしたが、「断絶」前は毎月50億円以上の支援があっと言われており、またSinwar新指導者の発言の雰囲気から、相当程度復活したと想像されます

またハマス新指導者は、ガザ地区と国境を接するエジプトが、従来はイスラエルと対ハマスで協力していたが、イスラム過激派流入阻止の点からハマスと国境管理面で協力姿勢を示しているとも言及し、当地域での国家間関係に微妙な変化の兆しを示唆しています

日本で本件にご興味のある方は少ないと思いますが、ISIL弱体化の後に訪れるであろう中東域での新たな勢力争いを考えるうえで、また再び動き出すであろう反イスラエル活動を考えるうえで、更にイランの影響力を考えるうえでも重要な出来事ですのでご紹介します

8月28日付Defense-News記事によれば
Gaza Strip4.jpg28日のハマス新リーダーの初の記者会見は、国連事務総長Antonio Guterres氏がイスラエルやパレスチナを訪問するタイミングに合わせるかのように行われた。なお事務総長は28日にイスラエルに入り、29日に西岸地区を、30日にガザ地区を訪問する予定である。ただしハマス側との接触の予定はない
Sinwarハマス指導者は、イスラエル兵の誘拐や殺害の罪で約20年イスラエルの刑務所にとらわれていた人物で、ハマスが2006年から拘束していたイスラエル兵と交換で、2011年にイスラエル側から解放された約1000名のハマス活動家等の一人である

●Sinwar氏は会見で、「イランからの支援は、イスラエルへのより大きな戦いに備えるために、つまりパレスチナの開放を勝ち取るために、ハマスの軍事力を再構築し蓄積するためのものである」と強調し、
●「数千人の同士が、日々ロケット弾を製造し、密輸トンネルを掘り、潜水ダイバー戦士を鍛えている」、「イランとの関係はこのためにあるのだ」と語った。
しかし一方で新指導者は同時に、イスラエルとの4度目の戦いを開始する意図はないとも語り、むしろ困窮するガザ地区の人々の救済をまず行うとも語った

Gaza Strip.jpg●そしてSinwar氏は、隣国のエジプトがシナイ半島根拠のイスラム過激派対策としてハマスの支援を求めていることを受け、エジプトとの関係を改善して国境封鎖の緩和を実現しつつあると語った
●「エジプトとの関係は劇的に改善した」とSinwar氏は語り、エジプトが最近、ガザのエネルギー問題対策として燃料を提供してくれたとも明らかにしつつ、「ハマスは、イスラエルを除く全てのドアをたたいて問題解決に取り組む決意だ」と訴えた

●イスラエルとの捕虜解放交渉については、「仲介者を介して開始する準備があるが、条件が完全に整い、解放された者達の無罪が保証された後にだ」と語った

●ハマス新指導者の会見に対し、イスラエル軍のパレスチナ担当司令官Yoav Mordechai少将は、ハマスがイスラエル兵2名の遺体を返還しないことや、イスラエル民間人2名を誘拐していることを厳しく非難し、更にハマス自身がガザの住民や民間援助団体を悪用して活動していると強調し、
●「テロ組織であるハマスは、ガザ地区の住民の困窮に関わらず、イスラエルからの援助を優先的に入手して住民を犠牲にすることに全く躊躇がない」と語った
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イランの新たな動き、ハマスの再始動、エジプトの動向などを、ハマスの新リーダーの発言を通じてご紹介しました

なおハマスは、過激な反イスラエル活動だけでなく、イスラエルの制裁により困窮するガザ地区住民向けの支援活動を活発に行っており、新たな戦力となる若者を引き付ける大きな力となっており、組織の巧妙さが際立っています

Hamas.jpg当時のシャロン首相が2000年に神殿の丘を訪問するまでは、西岸地区への入植を加速するまでは、イスラエルとパレスチナはそれなりに共存方向が見えていたんですよ。

しかしパレスチナ人の人口急増に危機感を感じたのか、狂信的なユダヤ人や入植者が悪いのか、もちろんテロに走る過激派の存在も「がん」なのですが、全く光明が見えませんねぇ・・・

イラン関連の記事
「イラン無人機が米艦載機を妨害」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-09
「IS後の空白にコンテナ式交番」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-11
「米国がサウジにTHAAD提供へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01
「米イスラエル関係の転機?:軍事援助を巡る攻防」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-26
「中東でF-35はイスラエル独占?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-13

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トランプが日韓に武器輸出促進ツイート [安全保障全般]

「日韓への極めて高性能な武器輸出の大幅増加を許可する」
I am allowing Japan & South Korea to buy a substantially increased amount of highly sophisticated military equipment from the United States.

Trump tel.jpg5日、トランプ大統領が冒頭のツイートを行い、最近の北朝鮮情勢もあり、様々な憶測を呼んでいます

特に4日、韓国大統領がトランプ大統領と電話会談し、トランプ大統領が「韓国による多額の米国製兵器と軍事装備の購入に理解を示した(conceptual approval)と述べ、更に韓国へ輸出する武器の制約をなくす検討を行うとホワイトハウスが発表した直後のツイートでもあり、関心を集めています

また日本は、8月17日に訪米した小野寺防衛大臣が、イージスアショアの導入を希望すると米側に伝えたと報じられており、これとの関連も考えられています。

5日付Defense-News記事によれば
THAAD2.jpg●しかし状況は単純ではない米国は韓国にTHAAD部隊6個の展開を要求しているが、現時点で韓国側は国民の懸念を理由に2個部隊の展開しか受け入れていない
北朝鮮によるミサイル発射等を受け、韓国大統領は韓国メディアに「一時的な6個部隊の派遣」を検討と述べている。しかし北朝鮮の核実験を受け、米国は韓国に全部隊の展開を強硬に要求する可能性もある

F-35 Korea3.jpgまた複雑な官僚的手続きが必要なFMSが、迅速に進むとは考えられない。トランプ大統領は武器輸出を許可することはできず、相手国からの購入要求を国務省が受け、各種法律や規則に抵触しないか精査され、その後議会でも承認される必要がある。
●相手国からの購入要望表明から、実際に相手国が使用可能になるには、少なくとも数年必要
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トランプ大統領は、米国製品の輸出促進アピールと、同盟国の国防強化に尽力している姿勢をダブルでアピールしたかったのでしょうが、日韓国民の立場からすれば、効果と効率性についてしっかり煮詰めてほしいところです。

Aegis Ashore2.jpg韓国のTHAADは米軍装備の持ち込みですから直接ツイートとは関係ありませんが、

今週の週刊新潮が防衛省と三菱重工のでたらめな税金浪費を訴えていますが、真偽のほどはともかく、どさくさ紛れは勘弁してほしいものです

トランプがらみの記事
「政治任用ポスト削減?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-30
「アフガン政策演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-22-1
「米軍事メディア視点の北朝鮮騒ぎ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-14
「露発注の旅客機を米国大統領専用機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-05

「性同一性障害者を米軍排除」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-28-2
「国家宇宙評議会を設置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-08
「インドと軍事協議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-28

「サウジにTHAAD提供?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01
「空母のEMALSはだめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「F-35値引きはフェイク?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-25

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NATO緊張:ロシアが東欧で大演習へ [安全保障全般]

9月中旬に露軍10万人がベラルーシで!?

Belarus2.jpg8月29日、ロシアのAlexander Fomin国防副大臣が、9月中旬に東欧のベラルーシで1万人規模の演習を行うと明らかにし、「特定の国を対象としたものではない」と説明しています。

一方でNATOおよびバルト3国等は、実際に展開するロシア軍は10万人規模になると指摘し、演習終了後もロシア軍が兵力を同国に残置して「第2のウクライナ化」を進めるのではないかと懸念を強めており、地域の緊張が高まっています

折しも、米空軍のB-1およびB-52爆撃機が欧州に展開し、同F-15Cもバルト3国領空保全任務に乗り出すタイミングでもあり、ロシアとベラルーシの関係もそんなに単純ではないと指摘する専門家の見方と合わせご紹介します

8月30日付Defense-News記事によれば
Belarus3.jpg●29日Fomin国防副大臣はロシア駐在の武官団に対し、隣国ベラルーシで9月14~20日にかけ、露軍5500人、ベラルーシ軍7200人、航空機70機、戦車250両、大砲200門、艦艇10隻等が参加する演習「Zapad 2017 」を実施すると明らかにした
●そして同副大臣は、演習が外国勢力に支援された過激派組織への軍事対処を想定したもので、「演習の大部分はベラルーシ国内で行われるが、特定の地域の特定の相手を想定した演習ではなく、世界のどの地域にも適用できる状況を設定している」と説明した

●ロシアの脅威を訴える西側諸国の懸念に対し同副大臣は、「いろんな噂が流布され、同演習がリトアニアやポーランドやウクライナ侵攻と占領の足掛かりとなると主張する者までいる」と武官団をたしなめつつ、外国からの演習視察団を受け入れると語った
●しかし周辺国はこの言葉を信頼せず、バルト3国のエストニア国防相はロシアが10万人の軍を派遣するだろうと訴え、ポーランド副国防相もロシアの公式発表規模は信頼できないと述べている

NATOのStoltenberg事務総長も不信感を示し、演習視察に2名を派遣するが、ベラルーシが準備する視察では十分なモニターができないと考え、別の監視方法を検討していると述べている
ポーランド副国防相は、特に演習後もロシアが参加兵力をベラルーシ国内に残置することを懸念し、「もしそうなれば、地域に大きな負のインパクトを与える」とけん制している

ロシアとベラルーシの関係は?
Lukashenko.jpg一方で、ベラルーシとロシアの関係は単純ではない。専制的な政治を行っているベラルーシのAlexander Lukashenko大統領は、ロシアからの安価な石油と財政援助に依存しているが、ロシアによる同国の産業支配の動きを批判している
●また同国はロシア軍の早期警戒レーダーと海軍通信施設を受け入れているが、ロシアによる力によるベラルーシ支配を恐れるが故に、ロシア空軍基地の受け入れは拒んでいると言われている

●またベラルーシ大統領はロシアとの軍事関係を重視し、NATOの動向を非難する一方で、ロシアが実質支配する新ウクライナの承認は避けており、同様の位置づけにある元グルジアの南オセチア等の承認もしていない
モスクワ在住の軍事専門家は、ロシアはベラルーシに露軍を常駐させたいと望んでいるが、ベラルーシが東西激突の場になることを恐れるベラルーシ大統領はこれを強く拒むだろうと見ている

在ベラルーシの別の専門家もベラルーシ指導者はモスクワへの忠誠を示すことと、西側との関係維持とのバランスを追及すると分析している
●ベラルーシ軍の参謀総長は、9月末までには演習参加のロシア軍は全て国外に出て帰国すると説明している
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Belarus.jpg北朝鮮の話で持ちきりですが、こんな時こそ、「火事場泥棒」よろしく、ロシアや中国が悪だくみを企てそうですので、注意喚起のためご紹介しておきます。

しかし、地図で見れば見るほど、ベラルーシは戦略的な要衝ですねぇ・・・。バル3国とポーランドとウクライナに囲まれ・・・。

ベラルーシ美人で有名だそうですから、これを機会にお勉強してはいかがでしょうか?

ベラルーシのウィキベペイア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B7

「ベラルーシ 美女」検索結果
https://search.yahoo.co.jp/image/search;_ylt=A2RinFCSVKdZWioA9ESU3uV7?p=%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B7+%E7%BE%8E%E5%A5%B3&aq=0&oq=%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B7&ei=UTF-8

ロシア関連の記事
「米空軍爆撃機と戦闘機展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-24-1
「露をINF条約に戻すために」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「米軍機と露軍機が接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-2

「モスルはISから解放されたが・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-11
「米軍機がシリア軍機を撃墜」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-19
「北極海ブームは幻想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13

「対ロシア情報戦に国として」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-24
「欧州への米空軍派遣増加を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「2016年のBALTOPS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-14
「北欧でも演習強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29
「黒海NATO演習と露軍反応」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-03


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米空軍が次期ICBMと核巡航ミサイルの企業絞り込み [安全保障全般]

Nuclear weapon.jpg8月21日の週、米空軍は相次いで二つの大きなプロジェクト、つまり次期ICBMと次期核搭載巡航ミサイルの発注候補企業を発表しました

いずれのケースも、提案して敗れた企業は10日以内であれば訴えを起こす権利を与えられており、今後ごたごたの可能性を残していますが2つの事業に各2企業が選ばれ、合計4企業がチャンスを得たわけですが、4企業すべてが異なる企業で、結果的には事業の分散も図られた形になっています

結論は以下の通りです

次期ICBM(計画名GBSD)
GBSD2.jpg●8月21日、正確にはGBSD(Ground Based Strategic Deterrent)との計画に、ボーイングとNorthrop Grumman(現有ミニットマンⅢ担当)が選ばれ、ロッキードは選定から漏れた
●選ばれた2つの企業は、今後36か月間かけ、「technology maturation and risk reduction」活動を行う。ボーイングは約380億円、NG社は約360億円の契約を結ぶ
具体的な要求性能等については非公開となっており、ほとんど情報がない

●2企業から最終的な1社に絞り込まれるのは2020年度で、1970年代から使用中のミニットマンⅢの後継ICBMが初期運用態勢を確立するのは2020年代後半と予期されている
●F-35、次期爆撃機B-21や次期空中給油機KC-46Aに続く、最後の大物事業を言われる次期ICBMであるが、その経費規模は米空軍見積もりで6.8兆円だが、国防省のコスト評価部署は10兆円以上に膨らむと早くも警告を発している

次期核搭載空中発射巡航ミサイル(LRSO)
LRSO4.jpg●8月23日、正確にはLRSO(Long Range Standoff weapon)との計画に、Lockheed MartinとRaytheon が選ばれ、ボーイング(現有ALCM:AGM-86B担当企業)や参入を狙っていたNorthrop Grumman は選定から漏れた
●選ばれた2つの企業は、今後54か月間かけ、「technology maturation and risk reduction」活動を行う。Lockheed MartinとRaytheonはそれぞれ、約1000億円の契約を結ぶ。

●2企業から最終的な1社に絞り込まれるのは2022年度で、1980年代初めから使用中のALCM:AGM-86Bは約10年で耐用年数が来ると見積もられており、後継ミサイルが初期運用態勢を確立するのは2020年代後半と予期され、B-52, B-2 とB-21に搭載予定である
●次期ICBM以上に具体的な要求性能等について、情報が厳しく管理されており、ほとんど実態が明らかになっていないが、特に民主党議員からは、経費が膨大なる可能性と、通常兵器も搭載可能となることから核攻撃との誤解を与える等から、厳しい反対意見が出ている

●一方で共和党議員ら支持派は、現ALCMも核と非核弾頭両方が搭載可能で何ら変わりなく、敵の防空能力が強化される中、より遠方から発射できる突破力のある核巡航ミサイルが必要だとの声が出ている
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核態勢見直しNPRが行われている最中で、ICBMとLRSOに国防省がどの程度の能力や性能を求めるかも流動的だと考えられます。
現段階では米空軍の意向を反映した形で進んでいるのでしょうが、NPRをまとめる過程や結果で明らかになる国防省の考え方次第の部分の多分に残されていると思います。

mattis senate2.jpgマティス長官はLRSOに慎重な発言をした経緯があり、、またICBMが今後も本当に有効な投資なのかとの有力議員のアピールもあり、更に抑止の在り方全体をサイバーや宇宙戦を含めて考え直す時だとのもっともな提案もあり、どう転ぶかが注目される大きな案件です

軍需産業政策の観点からすれば、F-35計画という史上最大の装備品計画を担当のロッキードはICBMから外れ、その慰めにLRSOに可能性を残しつつ、レイセオンとしっかり競い合ってもらって力を発揮してもらおうとも読めなくもありません

ICBM後継に関する記事
「ICBM必要性に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22
「初のオーバーホールICBM基地」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-15
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

21世紀の抑止概念を目指す
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「相殺戦略特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「期限を過ぎてもサイバー戦略発表なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25

NPR(核態勢見直し)関連
「マティス長官がNPRに言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-15-1
「トランプ政権NPRの課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09
「2010年NPR発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07
「NPR発表3回目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-02
「バイデンが大幅核削減を公言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-19
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ロッキード社:PAC-3の航空機や艦艇搭載も!? [安全保障全般]

Cahill.jpg17日付Defense-Newsが、Lockheed Martin社の防空&ミサイル防衛担当副社長の発言を紹介し、同社が製造する「PAC-3」「PAC-3 MSE」「THAAD」や「MHTK」の将来方向について、「他のドメインでの活用」や「機能向上&付加」などの視点から語る様子を取り上げています

米国防省や米軍から正式な研究開発依頼があったわけではないと慎重な姿勢を見せつつも、地上配備が前提で開発配備されてきた上記兵器システムを、異なるドメインである海軍アセットや空軍アセットに搭載したり、従来とは異なるセンサーと結びつけることを、脅威の変化から自然なことだと取り組んる様子が伺えます

ついでにこれを機会に、イラクでの米兵士の死亡の2番目に多い原因である敵の「rocket, artillery and mortar (RAM) 」対策として開発された、同社の「MHTK」について少しご紹介したいと思います。ちょっとだけですが

17日付Defense-News記事によれば
PAC-3 Saudi.jpg●17日、ロッキード社防空&ミサイル防衛担当副社長であるTim Cahill氏は、 Space and Missile Defense Symposiumで少数の記者団に対し、既存の防空&ミサイル防衛兵器を他のドメインで使用することや、新機能を付加することに投資していると語った
●そして「全長約6mから50㎝までの防空&ミサイル防衛兵器を開発製造してきたが、これらを伝統的なドメイン以外でどのように活用しようかと考え始めている」と記者団に語った

●例えば「PAC-3 MSEを以上配備以外で活用できないか、パトリオットシステム全体を艦艇に装備できないか、航空アセットにはどうか」との問いである。
●その検討は、ロッキー社内にある他部門のセンサーと結びつけられないか、例えば「Long Range Discrimination Radar」、「Space Fence」、「Q-53 counterfire radar」等とはどうかとの問いである。
そしていろいろな組み合わせやマッチングを検討した結果、従来システムの組み合わせで大丈夫との結論が得られた分野もあると同副社長は説明した

PAC-3 MSE.jpg●またCahill副社長は、幾つかの組み合わせや新能力は契約に近づいているとも語ったが、細部には言及を避けつつも、「皆さんも遠からず知ることになるだろう。防空&ミサイル防衛兵器を他軍種のシステムと連接するような試みをである」と語った

●更に他の取り組みとして、既存のシステムを他のアセットに搭載することに言及し、「例えば、陸軍が運用しているPAC-3 MSEを、他軍種アセットに搭載することも検討している」、「F-16ではないだろうが、F-16より大きな機体で大型ミサイルが搭載可能なもの」、「航空アセットも想定外ではないし、艦艇アセットも想定外ではない」と語った
●ただし同副社長は、航空アセットの場合、より小型のミサイルがよりフィットするだろうとも語り、「PAC-3とMHTKの中間ぐらいの大きさで、2~2.5mぐらいの全長の物」と言及し、「全タイプの航空アセットに搭載可能なhit-to-killタイプの詳細なコンセプトに、積極的に取り組んでいる」と語った

●また同副社長はTHAADの発展型にも言及し、射程を延伸し、センサー能力も向上させ、超超音速兵器(hypersonic weapon)にも対処できるような能力を付加したいと語り、「検討の最中なので細部を語れないが、射程を延伸し、対処高度を増すことを疑いなく求められるだろう」と表現した

MHTKについて
MHTK.jpgMHTK(Miniature Hit-to-Kill)は、イラクでの米兵士死亡の2番目に多い原因である敵の「rocket, artillery and mortar (RAM)」 や無人機兵器対策として開発された兵器システムである
全長73㎝、直径5㎝、重さ2.5㎏のMHTKは、弾頭を搭載せず、運動エネルギーで「Hit-to-Kill」を狙う兵器。1個の発射機に36発搭載され、トラック1台に2個発射機が搭載できる大きさである
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兵器技術の拡散に伴い、弾道・巡航ミサイルから「rocket, artillery and mortar (RAM) 」、更に無人機まで、潜在的敵国にはこれら安価で入手が容易な兵器があふれることになります。

THAAD2.jpg上記のロッキード社の取り組みも、効果があるかどうか、費用対効果はどうなの・・・との精査は必要ですが、西側諸国軍が取り組みべき喫緊の課題です。

少なくとも、近年の脅威の変化を象徴するこれらの兵器は、我が国が「なぜか必死に優先して投資する」戦闘機の運用基地対しに極めて有効です。

お馴染みの関連記事・何度でも!
「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「2016中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15 

「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02

「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

「ACC司令官も電子戦機を早期に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20


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米大統領のアフガン政策演説に思う [安全保障全般]

Trump afgn3.jpg21日夜9時から、トランプ大統領がFort Myer陸軍基地でアフガン政策に関する政策演説を約25分間行いました。

日本でも、米本土横断の皆既日食ニュースにかき消されて小さい扱いながら、それなりに各種の分析を添えて報道されていると思いますが、まんぐーす自身の整理と頭の体操を兼ねて、概要と思うところを綴って見たいと思います

まず、マティス国防長官の情勢認識と発言など
今年6月上院軍事委員会で→→「米国はアフガンでnot winningであり、敵はsurging(勢力を増している)である。情勢に変化がなければ、タリバンにとっては今年も良い年で終わる(set to have another good year)だろう」
初夏にNATOが声明発表→→NATO加盟国はアフガン軍の支援・育成のため、派遣兵力を増強する

mattis.jpg8月18日Camp Davidに政権の安保関係者が一堂に会し、数ヶ月間にわたって検討してきたアフガン政策の取りまとめのため長時間にわたる協議を行う
8月20日夜→→「大統領は広範な南アジア戦略に関する戦略的決断を固めつつあり、戦術的で作戦的な決断を行いつつある

21日の大統領の演説後→→「大統領が発表した戦略の実行に取り組む。追加増派されるメンバーは、アフガン陸軍やアフガン空軍が、同国東部でISIS関連組織の脅威と対峙し、タリバンの巻き返しを防ぎ、アフガニスタンの安全保障を自ら手で維持するとの希望を達成することを支援する

トランプ演説の映像(約25分)


トランプ大統領の演説概要
米国史上最長の戦いに関する戦略を発表具体的な兵力等増強数に言及せず、スケジュールについても今後数ヶ月(in the coming months)とのみ表現し、「撤収の時期には縛られず、地上の状態によって判断する」と語る。
Trump afgn2.jpg●ただし関与に関する制約を減らすと説明し、最終目標をアフガニスタンにおける「永続的な勝利:enduring victory」と表現

●更に「同盟国等と協力し、相手の意思をくじき、戦力募集を干し挙げ、国境を越えての流入を防ぎ、彼らを手際よく打ち負かす」と表現
●また、強力で能力を備えたアフガン軍の養成が米軍派遣の目的だと語る一方で、アフガン問題に白紙の小切手を繰り出すことはしないとも表現


まんぐーすの情勢認識と思うこと
Dunford.jpg●マティス長官やダンフォード議長やその直属部下は、トランプ政権誕生以降、新政権の国防政策に関わる質問に対し、各種の政策文書(国家防衛戦略NDS、国家軍事戦略NMS、核態勢見直しNPR、ミサイル防衛体制BMDR等々)の検討の中で熟考中だと時間稼ぎ発言を繰り返してきたところ


「マティス長官がNPRに言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-15-1
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20

Work2.jpg●一方で、予算管理法によって縛られ、強制削減や政府機能停止の危機と背中合わせの「綱渡り状態」は変わらず、加えて老朽装備品や関連インフラの更新や維持修理は待ったなしの状態で、トランプ大統領が年6兆円の国防予算増額を根拠なくぶち上げても、実際には現状維持だけで年10兆円の増額が必要だとWork前副長官は公式発言しているとところ(米軍予算は年間約60~70兆円規模)

「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

●本来このような厳しい環境になればなるほど、サイバーや宇宙など新しいドメインの新しい脅威も踏え、新たな抑止概念の整理やそれに伴う国防予算配分の優先順位議論をまず徹底的に行い、その後各論に入っていくべきであるが、米国の足元を見たロシアや北朝鮮や中国やイランやイスラム過激派が手を緩めない中、米国は危ういトランプ大統領を抱えつつ、とりあえずのその場しのぎ&時間稼ぎで何とか遣り繰り中
国防省の政治任用ポストの75%が未だ空席状態で、当分細部各論には入れそうもない状態が現実

本来あるべき根本的な議論
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止再考を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「国家軍事戦略NMS検討を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06

Goldfein.jpg一方で各軍種は、厳しい予算的遣り繰りの中でも、オバマ前大統領や民主党の締め付けから脱するトランプ政権の「軍事予算大幅増額」大風呂敷に期待し、また他軍種を差し置いても我田引水を勝ち取ろうと、「統合戦力の一翼を担い」とのスローガンとは裏腹に、自分のパイを増やそうとナリフリ構わぬ売り込み工作を推進中


米陸軍:巨大都市戦に備えよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-22
「文書:将来の海軍発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-18
空軍は9月に爆撃機計画発表へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-28-1
5分間でトランプに訴えたこと」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-04

●ホワイトハウス内の勢力争いだけでなく、各軍種間の予算争いも加熱する中、無い袖は触れない&米軍の前線部隊は疲弊している中、更に米国や米軍の「引き潮状態」を取り上げたいメディア対策も考える必要がある中、諸情勢を良く承知しているトリオ(マティス&ダンフォード&マクマスター)は、これまで公表してきたような文書や数字を、揚げ足を取られないように「非公開化」する方向に進んでいる
●例えば、2016年国家軍事戦略(NMS)が従来とは異なり非公開文書となった流れがそれで、この「見えない化」は今回のアフガン政策でも加速している。しかし一方で、ちっちゃな部隊展開を大々的に映像等でアピールする手法も頻発している(例:軍事面で実態として意味が無いB-1爆撃機とF-2戦闘機のツーショット公表など

「国家軍事戦略NMS検討を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06 
「3回目の航行の自由作戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-17

Trump afgn4.jpg●そんな中でのアフガン政策は、本来は議論の最後に出てくるはずの極めて各論の話だが、現場の状況が危機迫っており、何らかの「緊急止血策」が必要なまでに追い込まれており、この時期に打ち出さざるを得なかったと推測
●一方で、足元の予算や米軍の状況を考えると大判振る舞いも難しく、作戦完了の期限を切れるほど効果的な策も打てないから、規模やスケジュールを伏せたまま「地上の状態によって判断する」と発表せざるを得ないのだろう
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USS John S. McCain.jpgマラッカ海峡でタンカーと衝突した米海軍ミサイル駆逐艦マッケインの事故を見るに、米軍もゴムが伸びきった状態なのか・・・と心配になりますが、全くフォローしていないアフガン情勢も極めて厳しい状況なのでしょう

米軍の増強は4000名程度とか報道されていますが、厳しいと言わざるを得ません。そんな中、日本のメディアの「低俗さ」や「浮世離れ」を見ていると、本当に暗くなります

残暑の復活だけで気分がめいっているのに・・・

オバマ演説のトランスクリプト
https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/08/21/remarks-president-trump-strategy-afghanistan-and-south-asia


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小ネタ3題:火星12号能力+バノン北朝鮮+空自宇宙部隊 [安全保障全般]

19日午前3時の速報→米ホワイトハウスは18日、バノン首席戦略官・上級顧問が同日付で離職すると発表した。(時事通信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170819-00000007-jij-n_ame

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グアム包囲射撃.jpg表題の通り、18日付報道から「小ネタ」を3つご紹介します

最初は北朝鮮が8日発表した「弾道ミサイル火星12号によるグアム島4発包囲射撃」に関する軍事専門家の見方次にホワイトハウス内で消えそうで消えずに勢力を盛り返しているバノン氏の北朝鮮問題発言最後に全く方向の異なる航空自衛隊内に宇宙デブリなどを監視する「宇宙部隊」創設との報道の3つです

関東地方は雨の週末になりそうですので、のんびりと夏休暇最後の週末をお過ごしください。それにしても、この日照不足は心配だ。体にカビが生えそうです。既に心には生えているとの声も聞こえてきますが・・・

北朝鮮の火星12号にグアム包囲射撃は可能?
NK kasei12.jpg18日付読売新聞朝刊12面の「解説スペシャル」によれば、8日の北による「包囲射撃」発表は、17日から始まった米韓合同軍事演習「Ulchi Freedom Guardian」にヒステリックになった北朝鮮のいつものパターンで、冷静に見たほうが良い
●また同記事は、火星12号による「包囲射撃」の可能性について海自OB伊藤俊幸氏の意見を紹介し、開発途上にある火星12号の技術的課題を挙げている

●伊藤氏は火星12号について、「5月に1回しか撃っていない未完成品で、(ほぼ垂直打ち上げであった5月のロフテッド射撃の実績しかなく、)通常の(弾道ミサイル発射)角度で撃った場合の、大気圏突入時のデータを持っていない。包囲射撃なんて(高度な精密な誘導射撃が)できるはずがない」とコメントしている
弾頭の大気圏再突入は、数千度の高温から弾頭を保護する技術のほか、入射角を6度程度に正確に誘導する技術とデータが必要だからだ

●今後の北朝鮮の動きについて、伊藤氏と米ジョンズホプキンス大の研究チーム「38ノース」はともに、米韓合同演習間にSLBMを発射する可能性があると指摘している

バノン氏:北朝鮮問題に軍事的解決はない
Bannon2.jpg16日付で「The American Prospect」のwebサイトに掲載されたSteve Bannon氏へのインタビュー記事によれば、最近の北朝鮮に対するトランプ大統領の「fire and fury」発言等に関わらず、北朝鮮に関する軍事的解決はないとバノン氏は語っている
●同氏はインタビューで、「北朝鮮に関して軍事的解決はないから、忘れるべきだ(There's no military solution, forget it)」、「開戦30分以内にソウルの市民1000万人が死ぬことがないような解決法を誰かが示してくれない限り、軍事的な解決はない。皆が何のことを語って騒いでいるのか理解できない」と言い切っている

●またバノン氏は、中国との貿易不均衡に関し厳しい姿勢で臨むべきだと強調し、中国が北朝鮮に核ミサイル問題で影響力を行使するかどうかを待つべきではないと主張している
●そして「中国との貿易・経済戦争が全てである。我々は執拗に集中して対応すべきであり、さもなければ、5年後、遅くとも10年後には、もう取り返しのつかない事態(hitting an inflection point)に立ち至る」と訴えている

●更に「アメリカは中国と経済戦争の最中で、北朝鮮問題は余興にすぎない」と述べた。
●なおホワイトハウスは、このインタビュー記事に関する質問にコメントを避けている

空自に宇宙デブリ監視の「宇宙部隊」創設へ
宇宙部隊.jpg18日付読売新聞朝刊4面の記事によれば、防衛省は人工衛星の運用を妨げる宇宙ゴミや対衛星兵器などを常時監視する「宇宙部隊」を航空自衛隊内に創設する方針を固めた
新たに監視レーダーを設置し、2023年度から監視活動を開始する。人材育成のための関連予算を、2018年度概算要求に盛り込む。

●「宇宙部隊」はJAXAとも情報共有し、主にアジア地域に関係する宇宙空間を監視し、米軍と連携することで全世界的な包囲網を整備する
2018年度中に監視レーダーの設置場所等を決める予定だ
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Aegis Ashore2.jpgイージスアショア(地上配備型イージスシステム)もそうですし、空自の宇宙部隊もそうですが、その予算と人員をどこから持ってくるのでしょうか?
マスごみの皆さんに置かれましては、是非そのあたりを突っ込んでいただきたいと思います。

末尾に、宇宙データと宇宙での戦いを考える過去記事を並べました。是非この機会にご覧いただき、頭づくりにご活用ください

バノン氏が敵対勢力を、ホワイトハウスだけでなく、国防省や国務省から排除しようとしていると語ったと同記事は併せて紹介しています。マクマスター、マティス、ダンフォード、ティラーソンなども対象なのでしょうか。しかし内部権力闘争の話を漏らすのは「レッドライン」じゃ・・・

しかし、北朝鮮に関するバノン氏の見方は正論でしょう。マティス国防長官もダンフォース議長が一番そう考えているでしょうし、トランプ大統領も分かっているのでしょうが・・・

グアム島関連の記事
「米軍事メディアが見た北朝鮮騒ぎ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-14
「グアム島の過去と今を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-11
「グアムの核兵器対処要領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-15

宇宙データの共有が鍵
「商用データも取り込み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20-1
「米軍の新型宇宙監視望遠鏡」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19
「米軍が豪に宇宙監視レーダー移設」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15

「空自レーダーで宇宙監視?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-17
「Space Fence試験レーダー完成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-29
「米空軍のSpace Fenceを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-28

宇宙での戦いを訓練
「Red-Flag指揮官が宇宙幹部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19
「民間企業も交え大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-05
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11

「国際宇宙演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

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グアム当局配布の核攻撃対処要領に学ぶ [安全保障全般]

Guam fact-sheet.jpg11日、グアム島の民間防衛当局(GHS:Guam Homeland Security )が、北朝鮮による核ミサイル攻撃に備え16万住民に周知したい「緊急事態に備えた対処要領:Fact Sheet In Case of Emergency」をまとめた2ページの配布物を公開しました

事前準備、その時の対処、屋外にいた場合、重要ポイント、学校と子供について、で構成される配布物は、非常にわかりやすくコンパクトに核兵器対処の基本をまとめ、決してひるむことなく「完全でなくても、できることをやるほうがはるかに良い」との姿勢を求めており、その内容に感心させられました

また「人間の5感で察知することができない放射性物質」の性質と対処法を、短節かつ実用的に表現しており、大いに参考になると考え、11日午後に行われた Eddie Calvoグアム知事の住民向けTV演説映像と合わせて概要をご紹介します

Calvoグアム知事の住民向けTV演説(約2分半)


「緊急事態に備えた対処要領:Fact Sheet」の概要

事前準備
家族それぞれで対処プランを話し合い緊急避難できる建物をリストアップしておく
放射性物質が室内に入り込まないように、ビニールシートやテープで玄関やドアを目張りする出来るような準備を

その時の対処
●公的な情報に注意し、警報が出たら素早く身を隠すコンプリートや建物の地下等に避難し、放射性物質から隔離せよ
家族と離れていても、まず近くの避難場所に入って自分の身を守れ
避難したら24時間はその場で待機すること予期せよ。そして情報に耳を傾けよ

屋外にいた場合
nuclear bomb.jpg爆発や旋光から目をそむけよ。失明する恐れがある。その場に伏せ、頭を守れ。身を少しでも隠すものがあれば利用せよ
●爆発地点から離れていても、風等により放射性物質がやってくるから素早く室内の避難場所に入れ。ポイントは距離の確保、密閉した場所確保、時間の経過を待て・・である。
放射性物資地を浴びたら素早く除去せよ。もっとも上の衣類を脱ぐだけで9割の物質から逃れられる。脱いだ衣類は袋に入れ、人間から離れた場所に置け

可能なら石鹸と多量の水でシャワーを浴びろ。その際、皮膚をひっかいて傷つけたりするな。シャンプーは良いがコンディショナーは物質を髪に定着させるので使うな
●シャワーが使用できなければ、濡れた布で体を拭け。衣服でおおわれていなかった部分を念入りに。鼻や目や耳にも注意し、濡れた布でふくこと。
●公共機関からの情報に注意せよ。指定された汚染地域に近づくな。放射性物質は人間の知覚で察知できない

覚えておくべきこと
Guam fact-sheet2.jpg放射性物質から、距離をとればとるほど、影響は少なくなる。平らな建物の屋根は同物質を集めるので、屋根近くのフロアーは避けよ。屋根に近い部屋も避けよ
●放射性物質の影響を避けるには、分厚いコンクリートや壁、書籍、地面が有効。ドアや窓をビニールシートで覆い、外部の物質を室内に入れないように措置せよ

時間経過とともに放射性物質の影響は急激に減衰する。2週間経過すれば当初の1%にまで減衰する。
どのような防御対策であっても、それがたとえ一時的なものであっても、何もしないよりははるかに効果がある少しでも距離を取り、シールドし、時間を稼げばより良い効果が得られる

子供と学校関連
教師や保育士は関連情報を集め、しっかり準備せよ。その時は落ち着いて行動せよ
学校や公共機関の建物は安全が継続的に確認されている。学校の建物は安全な場所である

●親は公的な情報に注目し、学校に電話を掛けるな。電話すれば学校の対処を遅らせる
慌てて子供を学校から引き取ろうとするな。指示があるまで待て。引き取り指示があった場合にも、学校に登録していない知り合いに頼むな。
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ご自身で、ご家族と共にご確認を!

よく出来た2ページの住民配布ペーパー(現物)
https://assets.documentcloud.org/documents/3923203/Missile-Threat.pdf 

Guam Calvo.jpg米国が騒ぐと、1周遅れで日本も騒ぐのが常ですので、今のうちから予習しておきましょう!
それにしても、北朝鮮がグアム島の名を挙げて騒ぎ始めてからわずか数日後、このような素早い対応ができる社会の仕組みに驚きます

素直に学びたいものです。

グアム島関連の記事
「米軍事メディアが見た北朝鮮騒ぎ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-14
「グアム島の過去と今を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-11
「7月末ハワイが住民教育開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22-1

グアム島の抗たん化対策
「被害復旧部隊を沖縄から避難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1

「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14

CBP関連の記事
「アジアへの空軍戦力派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1
「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13


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米軍事メディアが見た「北朝鮮騒ぎ」 [安全保障全般]

trump6.jpg北朝鮮が8月中旬に弾道ミサイル4発をグアム島周辺海域に打ち込むと発信しトランプ大統領が今まで見たこともないようなことが北朝鮮に起こるとぶち上げ、お盆休みを返上させられた海上自衛隊や航空自衛隊の隊員の皆さんがイージス艦やPAC-3で緊急配備を命ぜられる中11日付Defense-Newsが西太平洋を担当する米軍の実態とメディアが生み出す騒ぎとの「格差」を紹介しています

「外交上の誤った対応により始まった、第一次世界大戦開戦時の8月を思い出させる・・・」とは、記事に登場する匿名の米政府高官の発言ですが、何が起こるかわからない現代社会においても、足元の事実を押さえておく必要はあろうと考え、記事をご紹介します

少なくとも記事に登場する複数の匿名の米軍人や政府関係者は、ここ一週間ほどの北朝鮮とトランプ大統領の「口撃合戦」に危ういものを感じ、現場の実態を踏まえず加熱する報道に驚き・あきれている様です。

N-Korea2.jpg4月下旬に北朝鮮情勢が話題になった際、米空母カールビンソンが朝鮮半島周辺の急行して何かが起こると大騒ぎになりましたが、ふたを開けてみたら同空母は遥かに離れたインドネシア周辺で当初計画通りの訓練中で、信じられない情報スピンアウトが生じていた・・・との落ちが思い出されます

でも、USAの大統領があそこまで言うのだから・・・と「振り上げたこぶし」の落としどころに何かあるはずだと考えるのは自然なことで、サイバーなど非対称・不正規な手段が練られているのかもしれませんし、「平穏で変化なし」と記事内で語る関係者が「おとぼけ」をかましているのかもしれませんが何となく感じる違和感を、この記事を通じてご紹介したいと思います

11日付Defense-News記事によれば
Trump Coast-G2.jpg●ニュース専用TVや米大統領のツイッターをフォローしている人は、北朝鮮との戦争が迫っているとの印象を受けているかもしれないが、米軍関係者はその蚊帳の外にいる
●B-1爆撃機が北朝鮮のミサイル基地攻撃計画を完成させたとの9日のNBCニュースに接したワシントンDC周辺での盛り上がりとは対照的に、太平洋地域でそのような感覚を覚えることは決してない

●米太平洋艦隊の拠点である横須賀では、空母レーガンと同艦隊の指揮官用艦艇ブルーリッジが静かに並んで停泊しているし、乗員が休暇を取り消されて召集されているようなこともないイージス艦が急きょ周辺海域に出動したとの動きもない
●韓国でも、在韓米国人や在韓米軍家族に対し国外退去するような指示が出たわけでもない。ましてや、同地域の海兵隊員に、強襲揚陸艦に乗り込むよう命令だ出た気配もない。我々は3名の関係情報筋に確認したが、何も特別な動きはない

andersenGM.jpg●公式に米軍関係者が質問されれば、「我々は常に高いレベルの即応態勢を維持しており、北朝鮮を含む、いかなる脅威にも対処する準備がある」と答えるが、個人的に話をすると、皆が4月の空母カールビンソン騒ぎに陥らないように注意しているのがわかる
●そしてある関係者は、「最近の北朝鮮関連の展開はショックだが、様々な発言や報道と現実は一致していない」「第一次世界大戦の開戦過程を描いた書籍「Guns of August」が指摘したように、一連の外交的対処の誤りが戦争を招いたシナリオの再来を恐れている」と話してくれた

●北朝鮮との軍事紛争を担当する太平洋軍情報筋も、「太平洋軍内には誰も髪を逆立てている者はいない。静かでプロの対応だ」「ワシントンDCが騒ぎを引き起こしているだけだ」とそっけなく答えてくれた
●そもそも今回の騒ぎは、北朝鮮が核弾頭小型化に成功してICBMに搭載可能になったとの新たな分析を米情報機関がまとめた、との8日付ワシントンポスト報道が引き金になり、トランプ大統領の「fire and the fury」発言につながったものだ

その後のB-1爆撃機に関する報道など、憶測が憶測を呼んだ事例だ。北朝鮮の国営放送は9日、「北朝鮮に脅しをかけている戦略爆撃機の基地でもあるアンダーセン基地を含むグアム島の米軍を封じ込めるため、北朝鮮軍は態勢を整え、米国に警告を発する」と声明を発表している。

B-1爆撃機を「戦略爆撃機」と誤解する北朝鮮
B-1-UK2.jpg●グアムに所在するB-1には、北朝鮮が「戦略爆撃機」と表現するような核兵器搭載能力はない。この声明を受け米国関係者の間には、更なるB-1爆撃機の朝鮮半島での飛行が、北朝鮮を刺激するトリガーになるのではとの懸念が生じている
●そんなタイミングの11日金曜日、米国防省が2機のB-1がアンダーセン基地を飛び立つ映像を公開したが、この映像を受けB-1が韓国に向かったとの情報がSNS上で駆け巡り、米国が北朝鮮を威嚇下したとの憶測が広がった

●しかし実際にB-1が朝鮮半島で飛行したのは、トランプ大統領が「fire and fury」と発言する前日の7日が最後で、その後は特別な訓練等は行っていないのだ。米太平洋軍報道官が明確に7日以降の飛行は否定している
●情報筋は語ってくれた。「トランプ大統領の発言以外、何も情勢を変えるようなことは起こっていない」「核弾頭の小型化など長年北朝鮮が取り組んでいることであり、今更騒ぐことではない。今我々が目にしているのは、誇大報道がスピンアウトして朝鮮半島を戦争の危機にあるかのように煽っているだけだ。リーク情報のパワーとも言えるが」と。
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PAC-3 Saudi.jpgもう一度、このお盆休みに呼集され、休み返上で北朝鮮のミサイル対応に当たる自衛隊の皆さんに敬意を表します。

そして、書籍「Guns of August」が指摘した、一連の外交的対処の誤りが第一次世界大戦を招いたシナリオの再来がなきことを祈りつつ、ご先祖様に手を合わせたいと思います。

トランプがらみの記事
「露発注の旅客機を米国大統領専用機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-05
「性同一性障害者を米軍排除」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-28-2
「国家宇宙評議会を設置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-08
「インドと軍事協議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-28

「サウジにTHAAD提供?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01
「空母のEMALSはだめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「F-35値引きはフェイク?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-25


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グアム島の過去と今を学ぶ [安全保障全般]

Guam killer.jpg10日付「military.com」が、北朝鮮と米国トップ同士の「口撃合戦」の対象となっているグアム島について、その歴史にさかのぼって紹介しています。

50代以上の皆様にとって、グアム島はビーチリゾートの入門地であり、気軽な価格の夏休みツアーとか卒業旅行ツアーに仲間同士で参加された思い出を持つ方も多いのでは・・・と思います。

観光地としてのグアムは、今や日本以外のアジア人であふれ、特に中国人の急増に伴い、日本人にとっての魅力は急速に失われています
想像できますよね・・・ビーチでのんびりや、マリンスポーツを楽しみにしていったら、大声で騒ぐ中国人グループに圧倒され・・・

おまけに、中国人には「グアムで出産して米国籍を子供に」ツアーが大人気で、ナマコも真っ青な勢いで中国人妊婦がタモンのブランドショップを闊歩している現状で、中国軍や北朝鮮軍のミサイル攻撃を待たずして、「お前は既に死んでいる」状態かもしれません

グアム島の今と歴史を学ぶ
andersenGM.jpgソウルから2000マイル(3200㎞)、東京から1500マイル(2400㎞)、台北から1700マイル(2700㎞)との距離の位置にあり、米軍の作戦拠点が少ない極東地域にあって極めて重要な位置にある
グアム島の人口は約16万人であるが、その中に海軍と空軍を中心とする約7000名の米軍人が所在しており、今後は沖縄から海兵隊員が数千名移動してくる予定である

●約3㎞の滑走路を持つアンダーセン空軍基地には、2004年から始まったCBP(Continuous Bomber Presence)で大型爆撃機がローテーション派遣されており、中東への戦力派遣で手薄になった西太平洋での戦力プレゼンスを補完している
米海軍は島南部の施設に4隻の攻撃型潜水艦と2隻の潜水艦補給艦を配備し、米軍の数少ない優位点である潜水艦能力を支えている。

●また、2013年に米陸軍が弾道ミサイル迎撃用のTHAADミサイルをグアム島に配備し、終末段階での迎撃態勢を整備した

Guam AF2.jpg1898年、米西戦争に勝利した米国は、スペインからグアム島を獲得し、当時のマッキンリー大統領が米海軍に占領を命じた。米海軍は艦艇への石炭補給基地や通信中継基地としてグアム島を活用した
●しかし1941年12月10日、真珠湾攻撃後の勢いそのままに日本軍がグアム島を占領し、1944年7月21日に米国が奪還するまで日本による統治が続いた

ベトナム戦争間、米軍は155機のB-52爆撃機をグアム島に展開し、東南アジアへの爆撃作戦の拠点とするとともに、ベトナム戦に投入される兵士や物資の中継基地としても活用された
●また、同戦争後の混乱で大量発生したベトナム難民の多くが、グアム島を経由して米本土等へ移住した

過去記事よりグアム米軍基地の抗たん性強化
アンダーセン基地全体で、またグアム島全体で建設工事が目白押しだ。アンダーセン基地北部のランプ地区では、沖縄海兵隊数千人の移転に備え、準備が進んでいる
Cope North 15.jpg2014年度予算で基地の航空燃料供給システムの抗たん性強化が認められ、更に強度が強化され整備性も向上する整備用ハンガー2にも予算が認められた。また、米海軍が今後3年間で配備予定の3機のMQ-4(海洋監視型グローバルホーク)用ハンガーも建設中である。

2016年度予算で「塩害腐食整備施設」や、「強靱性強化装備品の倉庫」や「抗たん性強化指揮所」、基地の地下施設のための支援設備工事が計上されている
●同基地幹部はまた、島外からの展開受け入れセンターを航空機ターミナル近傍に建設し、兵站支援態勢の強化や迅速化を進めたいとしている

2016年12月テニアンをグアムの代替基地に指定
2016年12月7日、米空軍は、グアム島アンダーセン基地の代替地としてテニアン国際空港を正式に指定すると発表。今後、様々な米軍機の受け入れが可能なように関連施設や兵士用の施設整備を公式に開始する模様。
●公式には、米太平洋空軍機等の「目的地変更に備えた取り組み:Divert Activities, Exercise Initiative」と呼ばれ、「Record of Decision」との文書に米空軍が7日署名

●アンダーセン基地や西太平洋地域の拠点がアクセス不能や制約を受けた場合に備え、任務遂行のためのニーズに応えるための代替拠点の指定
●7日の決定により、今後テニアン国際空港には、輸送機、空中給油機等のアセットや関連要員の活動を支えるインフラや施設が整備され、西太平洋地域における代替拠点や演習拠点として利用可能になる
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今回の北朝鮮の威嚇に関する軍事技術面での分析は以下の記事が詳しいです!

「海国防衛ジャーナル」より
北朝鮮の「火星12」をグアム近海へ発射警告の分析
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50794358.html
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Guam china.jpg中国の正月や連休期間になると、中国から観光客が大量に押し寄せ、ホテルの確保が難しくなるそうで、日米共同訓練等の障害になることもあるようです。

小さいながら中華街のような地域も出来始め、米軍基地にも軍属や職員として中国系が入り込んでいるでしょうし、地上からの中国のISR体制は完成の域に達しているのでしょう

中国人の両親からグアム島で生まれ、成人して米軍に入った兵士もいるかもしれませんね・・・。中国の長期戦略おそるべし・・・

グアム島の抗たん化対策
「被害復旧部隊を沖縄から避難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1

「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

CBP関連の記事
「アジアへの空軍戦力派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1
「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04


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米国政府が無人機輸出規制の見直し開始 [安全保障全般]

MQ-9 4.jpg3日付Defense-Newsが、米政府関係者に確認した情報として、2015年にオバマ政権が定めた無人機輸出指針の見直しを開始したと報じています。

アメリカ製品売込みがアメリカ・ファーストであるトランプ大統領の大方針ですが、米国製無人機のコピー製品で世界市場に猛烈な売込みを行っている中国や、無人機利用の先駆者であるイスラエルなど、競争相手が猛烈な売込みを行う中、米軍需産業から見直し要求があるのかもしれません

一方で無人機輸出は、国際的な兵器技術管理枠組みであるMTCR(ミサイル技術管理レジーム:Missile Technology Control Regime)の制約を受けており、主要な西側35カ国が加わる本枠組みが表現する「輸出規制想定:presumption of denial」の解釈を変更することは、極めて慎重な判断を要することとなります

ちなみにMTCR枠組みでは、「搭載能力500kg以上かつ射程300km以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システムの輸出に最大限の慎重さを求める。かかる輸出は不許可となる可能性が極めて大きい」としています。加えて今年4月に創設30周年を祝ったばかりのタイミングでもある

3日付Defense-News記事によれば
CH-4 3.jpg米国政府高官はDefense-Newsに、2015年の無人機輸出政策の見直しを進めていると認めた。同政策の見直しについては、6月にインド首相が訪米した際に公にされるのではと噂があったが、米当局は否定していた
●そして同高官は、まだ政策見直しは初期段階にあり、何も決まっていないと強調しつつ、「鍵となるゴール、同盟国などに最高水準の米国製装備を提供しつつ、米国軍需産業の最先端技術を保護し、しかも非拡散と国際安全保障の推進において米国が指導力を発揮することの間に、適切なバランスを保つことだ」と語った

●米国の軍需産業にとっては政策変更は既に遅れている。同産業界は長年、中国やイスラエルに比べ、世界市場で米国が手足を縛られていると不満の声を上げてきた。
●そしてそんな声が一段と高まったのは、米国製をコピーしたかのような中国製無人機が、昨年、米国の戦略的パートナーであるUAEやヨルダンやエジプト軍に導入を開始されるようになってからである

CH-4 2.jpg●しかし政策見直しのスケジュールは不明確である。軍需産業筋の中には9月から10月に終了するのではとの観測もあったが、最近のトランプ政権の混迷振りから、そんなに早くは期待できないとの見方が広がっている
●それでも米軍需産業界は、輸出規制の緩和は多くの雇用と売り上げをもたらすと期待しており、更に「今は無人機技術の民生への応用など考えていないが、輸出が緩和されれば考え方が変わる」と関係者は語っている

MTCRとの関連をどう整理するか?
●ただし見直しは単純ではなく、特に攻撃用無人機の輸出を極めて厳しく規制しているMTCRの「輸出規制想定:presumption of denial」を、どのように解釈変更するかが課題となろう。
●仮にMTCRの変更に動こうとすれば、30カ国以上から賛同を得る必要があるが、単に米国政策の修正であれば容易である。

CH-4 4.jpg●ただしその場合、MTCRの目的である非拡散より、政治的&軍事的利益を優先するとの解釈変更を世界に発信することになる。
●一方で、他の参加国にも「輸出規制想定:presumption of denial」を乗り越えろと促し、MTCRへの参加国を増やす手法を提案する者もいる

●いずれにしても、米軍需産業側から見れば、なぜ元々ミサイルが対象のMTCRで無人機まで縛るのか理解できないし、オバマ政権が2015年に責任ある国への輸出拡大に踏み出した流れがあるものの、依然として個々のケースで全く明確でない長期にわたる官僚手続きに苦しめられている実態がある
●トランプ政権の政策実行力が問われる課題となろう
/////////////////////////////////////////////////////

INF全廃条約にしても、このMTCRにしても、軍事技術の拡散を背景に、指導者が独裁的力を持つ中国や北朝鮮やイランが好き放題な中で、岐路に立たされています

MQ-9 3.jpg笑えるほど米国製と似ている中国製の無人機を見ていると、それがUAEやヨルダンやエジプトに輸出される様子を見ていると、米軍需産業界の怒りのほどが想像できます。

日本の場合、安くて効果が確認されていても、戦闘機数と飛行対数とパイロット数を死守するために、無人機導入には消極姿勢を保ち続けるでしょうから関係ないのでしょうが、「安全保障感覚の体幹」を鍛えるには必要な報道ですのでご紹介しました

中国と無人機
「中国がサウジで無人攻撃機の製造修理」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-29
「中国が高性能無人機輸出規制?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03
「輸出用ステルス機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27

外務省によるMTCR解説
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mtcr/mtcr.html


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