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空自がついに発狂か?外圧か?現状維持策か? [安全保障全般]

空自が戦闘機部隊増強を持ち出しへ!?

F-35B-2.jpg21日付産経新聞は、防衛省が航空自衛隊が保有する戦闘機部隊を、平成25年「防衛計画の大綱」レベルから1個増強し、14個飛行隊とする検討に入ったと報じています。

そして増強する1個の飛行隊は、垂直離着陸型F-35であるF-35Bを新たに導入する部隊で、宮崎県の新田原基地への配備が有力視されていると紹介しています。
なお航空自衛隊が既に導入を決定し、間もなく三沢基地に初号機が到着するF-35は通常離着陸のA型で、B型は米海兵隊が導入を開始して岩国基地にも配備が始まっているタイプです

この戦闘機部隊増強計画は、平成25年「防衛計画の大綱」の年内見直しの焦点の一つだと記事は述べ、中国軍航空機の活動活発化やパイロットの訓練時間確保を戦闘機部隊増強の理由に防衛省は上げているとしています

どこまで記事が本当か不明ですが、ため息が出ます・・・。狭い日本に脆弱な戦闘機を増やしてどうするのでしょうか? 何を考えているのでしょうか航空自衛隊は・・・

まず21日付産経新聞記事の紹介から
JASDF FI.jpg●航空自衛隊は平成25年に策定した防衛計画の大綱で、戦闘機部隊を現行の12から13に増やすことを打ち出した。
●空自が導入を決めている空軍仕様のF35Aを42機調達し、F2戦闘機の飛行隊を1個だけの三沢基地(青森県)にF35Aの2個飛行隊を配備することで1個部隊を増強し、現在の12飛行隊から13個にする計画が既に決まている

●ただ、この計画のままでは、全国7カ所の戦闘機部隊拠点のうち、新田原基地だけがF15飛行隊を1個しかない態勢が続く。
●戦闘機部隊は対領空侵犯措置(緊急発進=スクランブル)の任務にあたりつつ、訓練時間を設けてパイロットの技能を向上させることが不可欠だが、拠点基地に置く飛行隊が1つだけだと訓練時間を捻出しにくい弊害がある。

新田原基地に2つ目の飛行隊を置く場合、空自が新たに導入を検討するF35Bの配備を視野に入れる。
F35Bは短距離の滑走で離陸し、垂直着陸も可能なため短い滑走路での運用に適している。新田原基地に配備すれば中国による南西方面の離島侵攻に迅速に対応でき、滑走路の短い離島の民間空港を拠点に運用できるほか、平時の警戒監視にも活用しやすい。

防衛省は海自最大のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」をF35Bの離着艦可能な「空母」に改修することも検討している。いずもが新田原基地から飛来するF35Bを搭載して東シナ海に展開し、離着艦訓練を行えば中国への抑止力と対処力の一層の強化につながる。

米空軍の西太平洋での動きを確認
●米国防省高官が昨年10月、一箇所に戦闘機を集中配備する現状から、第5世代戦闘機を分散して運用する新コンセプトACE(Agile Combat Employment)を西太平洋で進めていると記者団に語り、
O'SHAUGHNESSY2.jpg●「在日本の米軍最新戦闘機は、(有事に)地域の島々の10-15の未整備な緊急展開基地に分散させる」、「このコンセプトでは、分散した不便な展開場所でも最新戦闘機が作戦可能なように、迅速に兵たん支援も分散支援体制を整える必要がある」、「米空軍は最近のArctic Ace演習などで、燃料の緊急配分訓練をすでに開始している」と説明

●また昨年12月には太平洋空軍司令官も、戦力を分散して柔軟性と強靭性を確保するACEコンセプトに言及し、従来の巨大基地が敵攻撃に対して脆弱だと背景を語っていたところです
●またその背景を同司令官は、、「太平洋空軍の作戦環境は信じられないペースで困難さを増している」と語り、米側が想定していたよりも遥かに速いペースで周辺国の軍事力強化が進んでいると危機感をあらわに語っていたところです
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F-35 luke AFB.jpg米軍は、第一列島線上の航空基地など有事に敵攻撃により一瞬のうちに機能を喪失するから、膨大で複雑な地上インフラに依存する戦闘機の運用など不可能だと判断し、グアム周辺のサイパンやテニアン、豪州北部の基地などを含めた航空戦力分散を前提としています

そして分散した航空戦力への燃料支援や整備力支援の態勢をどうするかを検討し、演習を通じて確認を進めています。完全には不可能でも少しでも何かしなければの姿勢で・・・

日本が今更戦闘機を増加することは、税金の無駄遣いと申しあげておきましょう戦わずして、飛び上がる前に戦力として去勢されてしまうのが落ちでしょう。今まだ散々訴えてきたのですが、こんな方向に進むのでしょうか?

china DF-15B.jpg対領空侵犯措置(緊急発進=スクランブル)など、既に中国やロシアに足元を見られており、何の効果もないと申し上げても過言ではないでしょう空自パイロットが飛行手当を維持するための「お手盛り」とも言えましょうか・・・
4世代機レベルの低価格なお手頃戦闘機で形だけやればよいでしょう。5世代機を導入しても、有事に役に立たなないでしょうから・・・

トランプ政権による「米国製装備買え圧力」もあるのでしょう・・・でも米国装備を買うのなら、日本の脆弱な軍事環境を踏まえ、非対称能力強化や泥くさい戦術に役立つ投資に向かうべきです。戦闘機投資は愚の骨頂です

逆にもしかして、防衛省内でも心ある官僚が戦闘機の無駄を指摘し始めたため、空自の戦闘機命派が13飛行隊体制維持を「落としどころ」に見据え、とりあえず14個飛行隊を打ち出したとの深読み邪推も提示しておきます

米空軍の西太平洋対策
「担当空軍司令官がACEを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「岩田元陸幕長の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-09 

関連の多様な記事
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06 

くたばれ戦闘機命派
「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02 

「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

「ACC司令官も電子戦機を早期に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

グアム島の抗たん化対策
「被害復旧部隊を沖縄から避難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1

「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

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リーク版NPRが露の大陸間核魚雷開発に言及 [安全保障全般]

露の射程11000㎞の核魚雷開発を公式?に初言及

STATUS-6 5.jpg先日ご紹介した、12日付Huffington Postによる核態勢見直しNPR案リーク記事ですが、トランプ政権下での大きな核戦略変更の背景の一つとして、ロシアが長射程核弾頭搭載魚雷を開発しているとの情報も掲載しているようです

ロシアによる核魚雷開発は、2015年11月に、ロシアの国営放送がロシア国防省での会議映像を放映した際、偶然映り込んでいた一枚の資料を英国BBC放送が発見し、軍事関係者の間で大きな話題となり、「東京の郊外より」でも取り上げました。意図的なリークだったのではとの見方も多くありました

「露が戦略核魚雷開発?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-06

2015年12月の記事概要は
2015年11月ロシア国営放送で、誤って戦略核魚雷(Status-6 or Kanyon)の概要資料を放映してしまったと見せかけ、同魚雷の存在を世界に意図的にリークした
●リークされた「Status-6」資料の画像によると、戦略核魚雷は長さ約25mの原子炉推進魚雷で、射程距離は数千マイル、100メガトンの弾頭が搭載可能

Status-6.jpg●同核魚雷の「概要資料」の中身を英国BBCは、「沿岸地域に存在する敵の政経中枢を破壊し、放射性物質によって広大なエリアを確実に壊滅的打撃を与え、敵国の軍事や政経活動を長期間にわたって不可能にする」と翻訳して紹介している
●戦略核魚雷のリーク資料は、昨年明らかになったロシアのSevmash造船所で建造されていた謎の潜水艦「Project 09851 nuclear submarine Khabarovsk」の「謎」を解明するのではと考えられている

●海軍専門家のH I Sutton氏によれば、謎の潜水艦「Project 09851」はボレイ級戦略原潜に似ているが、全長が短く戦略ミサイル発射管が無い。Sutton氏は、この潜水艦は戦略核魚雷6発を搭載するのではないかと考えている

リーク版NPRはこの核魚雷について
(12日付Defense-News記事によれば)
●「ロシアは従来の核兵器3本柱の近代化に加え、新たな核兵器の開発と発射母体の開発に取り組んでいる」、「ロシアは少なくとも2種類のICBM、超超音速飛翔体、そして核弾頭搭載魚雷の開発に取り組んでいる」とリーク版NPRは記載している
●そして同NPRは、「Status-6」との名称でロシアが開発している「AUV:autonomous underwater vehicle」を紹介している。また国防省では「Kanyon」とのニックネームと、公式名称「Ocean Multipurpose System Status-6」で呼んでいる

Status-64.jpg●過去に1回、2016年11月27日、米国の情報機関は試験用潜水艦として2007年に出現した「Sarov級潜水艦」から、「Status-6」が発射される試験を確認した。同試験は国防省筋の話として同年12月に報道された
●「Status-6」はロシア最大の潜水艦製造企業「Rubin Design Bureau」によって製造され、ロシアTV報道によれば、射程6200nm(約11200㎞)、最大速度56ノット、最大深度3280フィート(約1000m)である
●また「Status-6」は、4発搭載可能な「オスカー級」潜水艦を含め、2種類の潜水艦から発射可能だと考えられている

●最終的なNPRが「Status-6」を記載するかは不明だが、米国として公式に「Status-6」の存在を認めたと考えられる
●リーク版NPRは、ロシアが新START条約に違反することなく、通常弾頭と核弾頭の両方を搭載可能な運搬アセットを増強していると分析しており、地上発射の巡航ミサイル、多様な原子力潜水艦、ICBMや空中発射巡航ミサイルがこれらに該当する

●そしてリーク版NPRは、ロシアが多様な核戦力を増強していることと、核攻撃を紛争鎮圧の手段としてモスクワがとらえていることを懸念しており、誤解やエスカレーションにつながることを懸念している
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Status-63.jpg恐ろしいものが完成しつつあるような気がします。
ちょっと気になるのは、水中だと、途中で攻撃を中止させたり、方向転換させたりする指示信号が魚雷に届けることが可能かどうか・・・

本当に射程10000㎞で使用する場合、発射から目標到達までに最低4~5日間必要な気がしますが、どのような運用が想定されているのでしょうか?
いろいろ気になります・・・

「露が戦略核魚雷開発?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-06

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ロシア軍基地@シリアを無人機の群れが襲撃 [安全保障全般]

これは実に興味深いミステリー・・・

DroneRussia.jpg11日付各種報道が、最近ロシア軍が拠点としているシリア国内の基地に対し、所属不明の無人機による攻撃が連続して発生しており、ロシア国営メディアが米国やトルコの関与を疑う報道を行っていると伝えています

1月5日の夜には、13機もの爆発物を搭載した無人機の群れが、ロシアが使用するシリア北西部の空軍基地を襲撃する事態まで発生しており、緊張が高まっているようです

米露の軍トップが直接電話会議をして緊張緩和を図り、米側は関与を否定していますが、無人機飛来の方向で米軍偵察機が活動していたとか、トルコ軍活動地域の方向から無人機が飛んできたとか、噂が乱れ飛んでおり、正確なところは不明です

上の写真は、シリア内ロシア空軍基地攻撃に使用された無人機を、11日にロシア国防省がモスクワで報道陣に公開したものですが、手作り感いっぱいの印象です
兵器技術の拡散を強く印象付ける「謎の事案」ですので、とりあえずご紹介しておきます

11日付Military.com記事によれば
Khmeimim.jpgロシア国防省は8日、露空軍が使用しているシリア北西部の「Khmeimim(またはHmeimim)空軍基地」に対し、最近連続して小型爆弾搭載の無人機による攻撃があり、少なくとも1回は「群れ」による攻撃だったと発表した
●また、ロシア海軍が使用しているシリアの「Tartus港」も無人機の対象となったと明らかにした

●同群れ攻撃について、「無人機の群れは50㎞以上離れた場所から発進し、GPS誘導装置により制御されていた。テロリストの仕業だ」とロシア国防省は発表した
●10日に同国防省は、無人機は空軍基地北の「Idlib県」から発進し、同地域は反アサド政権を掲げる武装勢力の活動地域だとも説明している

●一方でロシア国防省は、直接的に非難しなかったが、無人機による攻撃があった時刻に、米海軍哨戒機P-8が周辺を飛行していた「奇妙な偶然」も指摘している。更ににロシア側は、無人機飛来した方向で、トルコ軍が活動していたとも指摘し、「トルコ政府は敵対行動の中止を順守する必要がある」と述べている
●同国防省は、「群れ」による攻撃は1月5日夜にあり、計13機による群れの7機を撃墜し、3機を「電子的に」無効化したと発表し、残りは基地内に落下したが被害はなかったと述べた

米軍の反応は・・・
Khmeimim2.jpg●米統合参謀本部のMcKenzie海兵隊中将は、11日にダンフォード統合参謀本部議長とロシア軍参謀総長が電話会談を行ったと明らかにした。
●電話内容の細部には言及せず、ロシア国防省が本件に関し米国の関与を疑っているとの見解を明らかにした後の最初の電話会談で、「率直に丁寧に双方が意見交換した」と紹介するにとどまった
●しかし同中将は、「これだけは明確にしておくが、本件に米国は一切関与していない。ロシア国防省の懸念は全くの誤りだ」とはっきり語った
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ロシア軍基地を攻撃する「肝の据わった猛者」の出現に拍手喝采したい心境ではありますが、無人機の群れ攻撃技術が拡散していることには恐怖を感じます

年末には同空軍基地に迫撃砲が撃ち込まれ、ロシア兵士2名が死亡する事件もあったようです

ISISの勢力は急激に衰えているようですが、残党が破れかぶれで行った攻撃だと想像する事も出来ましょう。それにしてもロシアをターゲットのするとは・・・背景が知りたい・・・

無人機の群れ関連記事
「米空軍が群れ巡航ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-02
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26 
「3軍の士官学校が群れ対決」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-26
「国防省幹部:空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30

「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1
「無人艇の群れで港湾防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

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リーク版NPR核態勢見直しが示す新方針 [安全保障全般]

NPR.jpg12日、2月に公式発表が予定されている米国防省の「核態勢見直し:NPRNuclear Posture Review」報告書がリークされ、Huffington Postのwebサイトに掲載されました。

国防省は、リーク版が作成途上にあるNPRの一案であることを否定せず、「段階を踏んだ議論が行われており、多くの検討案が存在している」、「NPRはまだ完成しておらず、検討中の案についてあれこれ外部と議論する習慣はない」、「国防長官や大統領の了解を得て初めて完成するものだ」とコメントしています

トランプ大統領は大統領選挙期間から、米国の核戦力を少なすぎると主張して規模と能力両方の増強を主張していますが、マティス国防長官ら軍幹部はこのNPRで総合的に検討すると慎重な姿勢を示していたところでした

もちろんあくまでも「案」であり、2月の正式発表で変わる必要もあるのですが、「本当のリーク」か、「世間の反応を見るリーク」か不明ながら、注目すべき新方針が打ち出されていますので、識者のコメント共に簡単にご紹介します

12日付Defense-News記事によれば
NPR2.jpg●12日付のHuffington Postに掲載されたリーク版NPRが、核兵器の3本柱維持を打ち出していることに驚きはないが、いくつかの点でトランプ大統領のこれまでの主張を反映した形跡が確認できる
小規模核弾頭(lower-yield nuclear weapons)の潜水艦への搭載を打ち出していることや、潜水艦に核搭載巡航ミサイルを再び搭載すること、更には核兵器の使用に関する米国のスタンス変化を示唆していることが新たな方向性として注目されている

●小規模核弾頭の導入は、現有の米国核弾頭の破壊力があまりにも大きすぎ、使用の敷居が高いことから、抑止力の点で疑問があるとの主張に対応したものである
破壊の範囲を限定できる小型核弾頭は使用の柔軟性があり、世界の破滅に直結する可能性がある大型核弾頭保有より抑止に有効だとの主張が背景にある
しかしこの小型核弾頭導入には根強い反対意見もあり、核兵器使用の「敷居を下げる」との懸念がその中核にある。また小規模な核弾頭使用を相手がどう受け止めるか予測が難しく、全面核戦争への導火線になるリスクが高まるとの懸念もある

●前回2020年のNPRの考え方を変え、潜水艦発射巡航ミサイルSLCMに核弾頭を搭載するアイディアには様々な方法がある。
●現有のトマホークを核搭載に改修する方法、検討中のトマホーク後継ミサイルの開発方針を変更する方法、全く新しいミサイルを開発する方法である。新型開発が最も高価だが、いずれの方法でも核搭載ミサイルを完成させるには多額の投資が必要である

政治的視点とコスト面の課題
GBSD2.jpg●リーク版NPRを政治的視点から見ると、最も注目すべきは、従来の「核兵器は敵の核攻撃に対する最終手段」との考え方を変え、「核兵器によらない重大な戦略的攻撃」に対する使用を示唆している点である
●これに対しする識者の反応は厳しく、「significant non-nuclear strategic attack」の定義が極めてあいまいで、意味を成しておらず、極めて危険な状況を生み出すと批判している
サイバー攻撃を受けた場合にも核兵器の使用可能性があるのか? 核兵器でサイバー攻撃が抑止できると考えているのか? このように核抑止の姿を拡大させることは、根本的な誤りであると主張している

●トランプ大統領が核軍拡を叫び始めてから継続している疑問がコストと予算の話で、リーク版NPRでもその疑問は解決されていない
●最近議会が警告の意を込めて公表した見積もりでは、リーク版NPR以前の国防省計画でも、実行するには今後30年間で約130兆円が必要となる。これは完全に実行不可能な額である
特に通常兵器大量更新時期を迎え、その更新さえも危ぶまれている中、新たに核兵器の新規開発を多量に組み込むことは不可能である。その点ではリーク版NPRは「プロパガンダの道具」に過ぎないし、このままでは2月発表予定のNPRも同類となる
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LRSO4.jpg小型核弾頭の導入や核兵器使用対象の拡大、更には「先制使用を否定しない」との表現もあるようで、トランプ大統領らしいところですが、上記の専門家の危惧を待つまでもなく、心配ですねぇ・・・

欧州や極東の「デカップリング」の危惧も再び話題になりそうな気もしますし・・・・うぅ・・・・ん。気になります。

日本では話題にもならないのかもしれませんが・・・・

Huffington Postのweb記事
https://www.huffingtonpost.com/entry/trump-nuclear-posture-review-2018_us_5a4d4773e4b06d1621bce4c5

NPR関連の記事 「国家安全保障戦略の発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23-1
「議会見積:今後30年で140兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02-1
「次期ICBMと核巡航ミサイルの企業選定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-27-1

「マティス長官がNPRに言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-15-1
「トランプ政権NPRの課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09
「2010年NPR発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07

21世紀の抑止概念を目指す
「3本柱はほんとに必要か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03

「相殺戦略特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「期限を過ぎてもサイバー戦略発表なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25

戦術核兵器とF-35記事など
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ICBM後継に関する記事
「初のオーバーホールICBM基地」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-15
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

オハイオ級SSBNの後継艦計画関連
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「SLBMは延命の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

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NK弾道弾に対処する米国を露が誤解の恐怖 [安全保障全般]

Russia-Navy1.jpg2日付C4isrnetが、つい最近まで北朝鮮のICBMを正確に把握できていない様子だったロシアの弾道ミサイル早期警戒システムに疑念の目を向け、昨年12月に運用を開始したと宣伝している新レーダーでも、火星14号クラスは探知できず、米国の迎撃ミサイルをロシア向けの弾道ミサイルと誤解する恐れを指摘しています

もともとロシアは(他の世界の国もそうでしょうが・・)、北朝鮮の弾道ミサイル発射や探知を十分想定しておらず、小型の弾道ミサイル探知能力やレーダー覆域が十分でなかったのかもしれませんが、米国の対イランを想定したBMDシステムの欧州配備に強く反発したりしている様子等々から、露の早期警戒システムに疑念を向けるのももっともです

ロシアが北朝鮮の弾道ミサイルをICBM級だと認めたのは、昨年11月の火星15号になってからで、それ以前の火星14号等を中距離弾道ミサイルだと言い張っていたということです
推測が多分に入った記事ですが、ご参考まで

2日付C4isrnet記事によれば
NK-ICBM3.jpg昨年6月に北朝鮮が初めてICBM火星14号を打ち上げ、これを米国、日本、韓国そして北朝鮮が大陸間弾道弾ICBMだと確認したのに対し、一つの国だけがこれに不同意だった。その国がロシアである
当時ロシアは、火星14号は中距離弾道ミサイルに過ぎないと主張したが、この主張の背景を西側専門家は様々に推測した。

ロシアは観測の技術的ミスからそう判断したのか、政治的な意図からそう主張しているのか、単に探知追尾能力が劣っていいるから判断を誤ったのか・・・様々な憶測である
●そんな中、当時の「The Diplomat」は、「ロシアの早期警戒システムVoronezh systemsはUHF周波数帯を使用し、主に米国が発射するICBM探知追尾を目的としていることから、より小型の北朝鮮火星14号の第2段目を探知追尾する能力に劣っているのだ。またはレーダー覆域の末端に当たるため探知追尾精度が不十分なのだ」との分析を掲載した

●このようなロシア早期警戒システムの能力限界を指摘した専門家は以前から存在し、北朝鮮のICBM迎撃のために米国が発射するBMDミサイルを脅威と誤認する恐れを主張してきた
一方ロシアは、2016年12月に弾道ミサイル早期警戒システム強化のための施設工事を終了し、1年後の2017年12月に最後の3つのレーダーサイト運用開始を宣言している

NK kasei12.jpg●しかしそれでも、ロシアが北朝鮮のICBM発射を公式に認めたのは、昨年12月になってからで、それもラブロフ外相が昨年11月発射の火星15号に限って認めたに過ぎない
●これらの事象から専門家は、北朝鮮が火星14号クラスのICBMを発射した場合、ロシアはそれを探知できず、米国が迎撃のために発射するBMDミサイルを変に誤解する可能性を指摘している ●ロシアの新しい早期警戒システムの能力には、未だ多くの疑問が残されている
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弾道ミサイルとその迎撃システムについてはこれ以上語れないので、専門家の方のコメントをお聞きしたいところです

海国防衛ジャーナルのフォローを期待しつつ、今年も怪しげな動きを見せるであろうロシアを見ていきたいと思います

INF条約の経緯とこれまでを解説
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

ロシアのINF条約破り
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

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トルコが露製防空ミサイルは連接なし運用と言い訳? [安全保障全般]

河野外務大臣がトルコ大統領と会談翌日に購入契約公式発表

S-400.jpg29日、トルコ国防省の国防調達庁が声明を発表し、NATOから猛反発を食らっているロシア製の防空システムS-400の購入契約が完了し、前金も支払っていると明らかにし、一方でトルコ側が期待している技術供与部分については交渉中だと明らかにしました

本件については、9月にエルドワン大統領がロシア訪問の際に契約したと「ポロリ」と口を滑らせましたが、その後、公式な発表や中身の説明がなくNATO側が懸命に探りを入れつつ警告メッセージを発し続けていたところです

2013年に中国製システム購入を決定したとトルコが発表して以来のゴタゴタ状態で、その経緯については以下の記事でご確認いただくとして、トルコの防空を人員と装備を提供して支えてきたNATOの恩をあだで返す露骨なトルコの姿勢に、NATOの出方が注目されます

2013年からのトルコ防空システム選定の経緯
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23 

S-400-launch.jpgそれにしても、外務大臣の専用機を航空自衛隊に押し付けようとしている河野大臣は、この件をトルコ大統領や外相との会談で少しは持ち出したのでしょうか?

そりゃーエルトゥール号遭難救助やイラクからの日本人脱出を支えてくれた深い関係がある中とはいえ、この件は親しい友人だからこそ一言いうべきでしょう・・・。どうなの外務省???

29日付Defense-News記事によれば
トルコ国防調達庁の声明は、「1個セットのS-400購入契約は署名され、前金も納入されており、資金面での交渉はまとまっている。追加でもう1セット購入のオプションも残されている」、「この契約には共同開発へのコミットメントや技術ノウハウ面での協力が盛り込まれている」と記している
●また声明は、S-400がトルコ軍人によって運用され、敵味方識別装置IFFはトルコ国産のシステムを使用するとしている。更に、S-400の納入が2020年の第一四半期になると明らかにしている

Erdogan4.jpg●一方で、トルコは契約の価格や細部については非公開だと明らかにしていない。また、トルコ国産の防空ミサイルシステムの設計と開発に向けての努力は継続すると国防調達庁は述べている
27日にエルドアン大統領は、「初めてルーブル建てで資金を調達した。通常のドル建てではないから、借金の額はより少なくできる」と記者団に語り、債務総額の3%に過ぎないとも表現した

●また国防調達庁の幹部は、ロシアとの共同開発に関しては今後協議すると述べ、トルコ側が希望する技術供与のレベルについてはコメントを拒否した
●当該幹部はS-400の運用について、「トルコはS-400をスタンドアロン(他のシステムと連接しないで使用すること)で、トルコ独自の敵味方識別装置等により運用したいと考えている」とも語った

●NATO関係者はかねてより、「技術的にも政治的にも、トルコが計画している防空システムをNATOシステムと連接することはあり得ない。たとえS-400がNATO軍人によって運用されたにしてもだ」と怒りをあらわにしてきたところである
Putin-decree.jpg●なおエルドアン大統領は10月、ロシアが現在開発中の次世代防空ミサイルシステムS-500の導入にも興味を持っていると語っている

トルコ国産防空システム開発について、トルコは2016年から「European Eurosam group」と協議を始めており、かなり具体化している模様である
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スタンドアロンで運用すると言ってNATOに言い訳しつつ、ロシアからの技術導入を狙うつもりでしょうか?

河野外務大臣は何を目的にこの時期のトルコに赴いたのでしょうか? 報道からは見えませんが・・・

トルコ防空システム選定のゴタゴタ
「トルコ大統領が言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-14
「ロシア製S-400購入の動き」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23 
「SAM選定で露に最接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-12

「中国製決定を破棄」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-16
「トルコ大統領訪中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-30-2
「NATOと連接しない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-20

「4度目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-04
「トルコが中国企業と交渉開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-27

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米国の国家安全保障戦略を概観する [安全保障全般]

NSS.jpg19日、トランプ大統領がDCロナルド・レーガン・ビルで演説し、「国家安全保障戦略NSS」を発表しました。
政権交代時に恒例の国家戦略発表ですが、オバマ大統領は就任後16か月後に発表されましたから、1年以内の発表はトランプ大統領の強い思い入れがあってのことかもしれません。

国家安全保障戦略:National Security Strategy」は、アメリカの政権が定期的に作成し議会に提出する文書で、国の安全保障上の課題を指摘したうえで、政権としての指針を示しもので、外交・安全保障政策の基礎となるものです。

トランプ政権は今後「国家安全保障戦略」に基づき、来年1月に「国家防衛戦略NDS」を、来年2月に「核体制の見直しNPR」や「弾道ミサイル防衛の見直しBMDR」といった個別戦略文書を発表する予定です。

一番平易なNHKの19日付webニュースより
trump5.jpg●トランプ大統領は同戦略発表演説で、「アメリカ第1主義」で強いアメリカを追求するとしたうえで、これに挑む競合勢力として中国とロシアを名指しし、政治、経済、軍事の面でアメリカの優位を確保していく方針を示した。
●また軍事力を増強するとともに、経済面の問題も安全保障上の課題と位置づけ、貿易不均衡の是正などに取り組み、政治、経済、軍事の面でアメリカの優位を確保していく方針を明らかにした

外交・軍事戦略の指針として4つの柱を示し、第1の柱、「国民と国土の防衛」では、テロリストの流入や犯罪組織による麻薬の密輸などに対抗するため、国境管理や移民制度改革を進める方針を示した。トピック的には、北朝鮮の生物化学兵器開発の危険性も指摘した点が注目される

Trump cyber.jpg第2の柱、「アメリカの繁栄の促進」では、経済問題を安保上の課題に位置づけ、規制緩和や税制改革により国内経済を活性化し、貿易不均衡の是正と自由で公正な経済関係の構築に向け、各国と2国間の交渉を通じて貿易や投資の合意を形成していく等とした。
●そして、「中国などの競合勢力がアメリカの知的財産や技術などを盗んでいる」、「違反や不正行為、経済的侵略を米国はこれ以上見て見ぬふりはしない」と表現した

第3の柱、「力による平和の維持」では、中露を米の価値観と利益の対局にある「修正主義勢力」だと厳しく批判し、中国には都合のいいように秩序の再構築を図っているとしたうえで、軍事力の増強に強い警戒感を示し、露には米の影響力を弱めようとしていると指摘し、米の優位性を確保するため、軍事力の近代化や能力の強化、即応力の向上を図ると宣言した
●更に同盟国に対しては、共通の脅威への対応でより大きな責任を負うことを期待すると強調した

trump2.jpg第4の柱、「アメリカの影響力の拡大」では、米の繁栄を守るため国際的な影響力を強化し続ける必要性を指摘した。そして中露は開発途上国への支援を影響力の拡大に利用していると指摘し、米国も開発支援などが米企業にとっての機会拡大につなげる必要性を主張した

●各地位ごとに言及した部分でアジア太平洋地域に関しては、「インド太平洋地域」と位置づけ、中国による南シナ海軍事拠点化が地域の安定を損ねていると批判し、同盟国や友好国との関係を深め、航海の自由への関与を強め領有権問題の平和的な解決を目指すとともに、朝鮮半島の非核化に取り組むとした
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米国の国益をより露骨に打ち出して中露に強くあたるが、同盟国等にも負担をしっかり求めていく・・・と読みました

North Korea2.jpg来年2月の「核体制の見直しNPR」と「弾道ミサイル防衛の見直しBMDR」は、お金がない米国投資を占う重要な文書で、マティス国防長官やダンフォード統合参謀本部議長が、多くの課題の方向性をこの2つの文書で明らかにすると言いつづけた文書です

お二人を責めるつもりは毛頭ありませんが、相当に重要な文書です

参考になる過去記事
「CSISレポート南シナ海中国活動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17
「北朝鮮の生物兵器は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-16-1 
「オバマ政権のNSS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-08

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今頃NATOがロシアのINF条約破り非難 [安全保障全般]

2月にNYT紙が報じ、米軍幹部も非難しているロシアの行為を、今頃になってNATOが非難

SSC-X-8 2.jpg15日、NATOが声明を発表し、ロシアが射程500kmから5500kmの地上発射弾道ミサイルの廃棄と保有禁止を約束するINF全廃条約に違反していると非難しました。

このロシアの巡航ミサイルは、オバマ政権時代から開発段階にあると指摘され、「SSC-X-8:9M729」と呼ばれていた最大射程3400km程度の巡航ミサイルですが、今年に入って配備段階に入ったと米情報機関で確認され、兵器として完成したと米国政府関係筋がNYT紙に語ったのが今年のバレンタインデーに報道されていました

この事実を受け、4月末にハリス太平洋軍司令官は「米国が宗教戒律のように守っているINF全廃条約など破棄せよ」と厳しい言葉で非難し、最近では米国も、配備はまだ決断しないが、同種兵器を開発することを明らかにしています

Selva senate.jpg一方でSelva統合参謀副議長が7月に発言しているように、全てのオプションを検討するも、オプションの基本的考え方に関し、「同条約の規約を露に遵守させられないようであれば、他の全ての合意事項の拘束力も弱体化させかねない」との懸念から、「米国は同条約の規定範囲内の手段で、ロシアを同条約の枠内に引き戻し、核戦力の戦略的バランスを維持しなければならない」との考え方がベースにはあります

軍拡競争に挑む体力が無いということでしょうが、欧州諸国主体のNATOが非難せずに誰が非難するのか・・・と思いますが、今まで公式に非難しなかったのは「大人の事情」があるのでしょうか?

18日付米空軍協会web記事によれば
SSC-X-8.jpg●15日付のNATO声明は、ロシアの条約破りを非難する米国と歩調を合わせ、ロシアにINF全廃条約を順守するよう要求し、「米国は同条約の義務を厳正に遂行している」と表現している
●そして「NATO諸国は深刻な懸念材料となるロシアのミサイルシステムを確認した。NATOとしてロシアに対し、我々の懸念に透明性のある実質的な対応をとることを要求し、米国と検証に関する技術的な対話を米国と行うよう促す」としている

●更に声明は「この条約は欧州と大西洋を囲む同盟にとって重要であり、関連兵器をすべて破棄している」、「INF全廃条約の完全履行こそが必要不可欠で、我々はこの軍備管理の記念碑的条約保全に完全にコミットしていく」と結んでいる。
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PatriotMS.jpgこの面でも米国は露にやりたい放題されてますねぇ・・・

この重要なタイミングで、ポーランドと長年にわたり協議してきたPAC-3ミサイル防衛システム導入について、ポーランド側が想定していた2倍以上の値札を最後に米国は突き付けた様です

米国ファーストがこんなところでこのタイミングで、いろんなところで顔を出しています・・・大丈夫か???

INF条約の経緯とこれまでを解説
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

ロシアのINF条約破り
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

「露がINF全廃条約に違反」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「INF条約25周年に条約破棄を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

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北朝鮮は生物兵器を保有するのか? [安全保障全般]

在韓米軍兵士は天然痘と炭そ菌のワクチン接種がマスト

b weapon.jpg10日付ワシントンポスト紙が、煮詰まりつつある北朝鮮情勢に絡め、北朝鮮の生物兵器の現状を様々な角度から考える記事を掲載しましたので、実態はよくわからないながら、本件に関わる関係者の取り組み具合が興味深いのでご紹介します

現状を記事から端的に推測すると、北朝鮮は炭そ菌や天然痘やコレラやペスト菌等の生物兵器病原体を保有し、輸入規制をかいくぐって大量生産用の最新機器も保有し、生物兵器研究の情報や研究者へのアプローチを活発化しているが、兵器化する「GOサイン」はなぜか出ていないようだ・・・・の状態らしいです

生物兵器は、拡散状況が目に見えず、効果の確認に時間がかかり、敵味方を問わず影響を与える可能性が高く、後始末に必要な労力が膨大な可能性があるなど、派生的なリスクが高い兵器として、ロシアさえも腰を引いた状態だと認識していますが、北朝鮮はどうなのでしょう・・・

10日付ワシントンポスト紙によれば
b weapon3.jpg北朝鮮が2006年に最初の核実験を行う5か月前、米国情報機関が議会提出の分析で、北朝鮮は秘密裏に生物兵器に取り組んでおり、炭そ菌や天然痘病原体を保有し、専門家チームを編成しているが、特定の技術スキルに欠けていると報告している
●しかし10年が経過した今、課題はなくなり始めており、北朝鮮は着実に生物兵器製造装置の獲得に近づいていると米国やアジア専門家は見ている。

ただし北朝鮮指導者が、サンプル状態にある病原菌の兵器化や大量生産を命じた証拠は確認されていない。「北朝鮮が生物兵器の原型を保有していることや、製造技術を磨いていることは様々な点から知られているが、なぜ兵器化しないのかは謎である」と専門家は述べている
●一方で、北の指導者が生物兵器の大量生産と兵器化を命じたとしても、西側がそのことを迅速に知ることができるかは疑問である

2015年6月6日の衝撃映像
b weapon2.jpg2015年6月6日、金正恩が新たに建設された農薬研究所を視察する映像が国営放送で放映されたが、北朝鮮軍が所有して運営するその施設の内部に、高価な大量生産用の菌培養槽や、菌を散布しやすくする粉末製造用乾燥装置が映像上で確認された
●これらの最新装置は北朝鮮への輸出が禁止されている生物兵器製造につながる装置であり、専門家らは「この北朝鮮研究所が生物兵器製造施設であることを否定することは難しい」、「現時点で生物兵器製造に使われていなくても、近い将来に可能になるだろう」との見解を示していた

農薬を入手しようとすれば中国から安価に入手可能なのに、このような高価な装置を入手する必要性がないこと、同装置に外部につながる配管がないこと等が、生物兵器製造用であるとの見方の理由である
●一方で、生物兵器施設なら厳重な気密服を着る必要があるが、そのような様子は全く映像から確認できなかったことから、生物兵器との関連を否定する意見もある。生物兵器の大量製造装置を保有していることだけは確かであるが・・・。

共通する見方
b weapon4.jpg北朝鮮による生物兵器の保有と使用のリスクに備え、在韓米軍兵士は天然痘と炭そ菌のワクチン接種を行っており、同時にこれら大量破壊兵器への対処検討や備えに多くの時間を割いている
●しかし、北朝鮮の本当の生物兵器関連能力や、北朝鮮の意図を分析することは、米国情報機関にとって極めて難しい課題である。

米国と韓国の情報機関は一般的に、北朝鮮は炭そ菌、コレラ、ペスト、天然痘の実験を行っていると分析している。また米国の専門家は、1980年代と90年代に脱北した北朝鮮兵士の血液から天然痘の抗体が見つかっていることから、北朝鮮が天然痘ウイルスを保有していると見ている
●この分析は、北朝鮮から亡命者やロシア情報機関も共有しており、ロシア機関は「天然痘と炭そ菌を含む4種類について、高等な軍事生物研究を行っている」とのレポートを出している

技術的な取り組み
北朝鮮研究者が論文を発表することはあまりないが、2015年に中国研究者と共に、北極圏深くのノルウェー領の島の氷河から、未知の病原体を発見したとの論文を発表している
●このほかにも北朝鮮は、海外の関連の企業や研究機関や研究者との関係者との関係構築に取り組んでいることが知られており、ネット検索でも北朝鮮がバイオテクノロジー関連に強い関心を示していることが確認できる

b weapon5.jpg技術と能力はあるが、北の指導者がそれ以上をまだ命じていないとの見方であり、政治的決断があれば事項出来るとの見方が有力である
●元CIAの関連分析官であった人物は、北朝鮮の大量破壊兵器への姿勢を表現し、「核兵器についてはオープンに語って抑止力にしようとしているが、化学兵器と生物兵器は異なる。化学と生物兵器は表に出さない。真のオプションである。彼らは否定出来る可能性を維持しているのだ」と語っている
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勘弁してほしいよなぁ・・・生物兵器・・・。病原菌の存在を確認することが難しく、疑心暗鬼を呼ぶ兵器です

そこに生物兵器が保管されている場所が判明しても、爆弾を落として焼き尽くすとか、消滅させるとかが確実に可能な保証はなく、対応が極めて難しい兵器です

北朝鮮関連の記事
「地上部隊侵攻しかない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-07
「グアムの弾薬10%増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-21
「米陸軍が対北朝鮮に緊急準備開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-12

「米軍事メディアが北朝鮮騒ぎを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-14
「グアムで住民に核攻撃対処要領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-15

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温故知新シリーズ:JASSM-ER [安全保障全般]

温故知新シリーズ:JASSM-ER
防衛省が2018年度予算案に盛り組むことを決定した、射程1000㎞も可能な長射程ステルス巡航ミサイルについて、2017年7月の記事を再掲載いたします
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小さなニュースだが、その意味するところは極めて大
第一列島線の東側から中国大陸に届く射程へJASSM改修へ

JASSM-ER5.jpg19日、Lockheed Martin社が、米空軍と空対地ミサイルJASSMの射程を延長するための翼改修の契約延長を約40億円で結んだと発表しました。ただし、どれだけ射程を延伸することを狙った改修かは明らかになっていません

JASSMは「Joint Air-to-Surface Standoff Missile」の略で、航空機から発射して地上目標を攻撃するステルス性を持つ空対地ミサイルで、現在2150発が米空軍に提供されています。

JASSM-ER7.jpg初期型のJASSMが射程200nm(360km)で、その後改良された射程延伸型JASSM-ER(Extended Range)は射程540nm(1000km)で、射程延伸型JASSM-ERはちょうど、第一列島線上空から中国沿岸部を攻撃できる射程を持つことになります

従って、射程延伸型JASSM-ERより更に射程を延伸すると言うことは、第一列島線の西側(つまり東シナ海)に入ってJASSMを発射することが既に難しいとの認識はあったが、中国のA2AD能力向上に伴い、第一列島線より更に東方の離れた位置からでないと、中国大陸に向けたASMは発射できないとの判断に米空軍が至ったとも解釈できます。

言い換えれば、日本列島の西側は、中国のA2AD圏内に入ったとも考えられます。
JASSM射程延伸の改修へ向けた動きは、たった40億円の小さな契約ですが、こんな風にも解釈できる大きなニュースだと思いご紹介します

まずJAASMの概要
JASSM-ER4.jpgJASSMは1995年から開発が始まり、実験の失敗等で紆余曲折はあったが2001年に初期量産を開始。敵防空網の射程外から発射され、強固な構造を持つバンカーや、ミサイル発射機などの攻撃を行う目的を持つ空中発射ミサイル。対艦ミサイル版のLRASMもある
●低コストの開発を念頭に、画像赤外線センサーは陸軍の対戦車ミサイル「ジャベリン」から、ターボジェット・エンジンは対艦ミサイル「ハープーン」からと、既存部品を多用している

●航空機から投下されると翼を展開、ターボジェットを始動する。途中、INSとGPSにより誘導され、レーダーに見つかりにくい低空を速度マック0.8で飛行する。
●目標に接近すると画像赤外線センサーにより目標を識別、急上昇してから70度の角度で急降下、突入破壊する。命中精度CEPは約3m

●中央部分の弾頭はタングステン製454kgの貫通モード、または爆風・破片モードを選択可能な多機能弾頭で、貫通力はBLU-109Bと同等とされる
地下施設や強固な施設には貫通モードで、ミサイル発射機やレーダー施設に対しては上空で爆発して爆風と破片を放出する

JASSM-ER9.jpg搭載可能な航空機は、B-2、B-1、B-52H爆撃機、F-15E、F-16戦闘爆撃機など多様
●「JASSM-ER」と「JASSM」の違いは、より大きな燃料タンクと効率の良いエンジンの搭載で射程距離が2.5倍の575マイル(約925km)に延伸したこと。またGPS妨害に対抗できる機能を付加したこと。更にデータリンクを追加装備したことである。

●「JASSM-ER」と「JASSM」は7割が共通部品で構成されており、製造コストの低減に貢献している。
●米空軍は2020年台の製造終了までに、2,400発のJASSM(1発約1億円)と、3,000発のJASSM-ER(1発約1.6億円)を購入予定

25日付Defense-News記事等によれば 
JASSM-ER8.jpgLockheed Martin社のJAASM計画責任者Jason Denney氏は、「A2AD脅威環境で操縦者の生存性を向上させる新たなデザインを開発している」、「我が社の顧客の皆さんは、証明済みのJAASM性能を信頼頂いているが、前線部隊に更なる能力向上型を提供できることを楽しみにしている」と語った
●ロシア製のS-300やS-400と言った高性能地対空ミサイルSAMが登場して世界に拡散する中、これら兵器を使用するA2ADにより、第4世代機の能力発揮できるエリアが制限されつつある

●配備が始まったばかりのF-35や、配備開始が2020年代半ば以降になる次期爆撃機B-21はステルス性も活用して強固な敵防空網を突破できるかも知れないが、しばらくは米軍航空戦力の多数派であるF-15EやF-16C、海軍のFA-18はそうはいかない
●低空を高速で飛行可能なB-1B爆撃機も、JASSMとJASSM-ERの両方が搭載可能だが、強固に防御された敵防空網の突破能力には限界がある

●なお、JASSM-ERの能力を確認した米海軍は、JASSMを対艦ミサイル用に改良することにDARPAと共に着手しており、LRASM(Long Range Anti-Ship Missile:AGM-158C)としてB-1には2018年から、FA-18には2019年から搭載開始される予定である
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最近の北朝鮮絡みで、米軍が韓国展開部隊にJAASMを配備すると発表して大きな話題となりました。

JASSM-ER3.jpgまた昨年11月末、米国がポーランドにJAASM(又はER型)70発を、関連装備を含め僅か200億円で提供すると発表して注目を集めています。何とお得な投資でしょう。何とか日本のF-15JやF-2に搭載可能にして、有効活用できないものでしょうか?

1機が100億円以上する戦闘機の数を減らしてでも、平時からグレーゾーン付近でしか活躍が期待できないであろう戦闘機の要求性能を落としてでも、この様な長射程兵器を導入する方向に、考え方を改めていくべきと考えます

米国も輸出に前向きになったようですし、費用対効果の面でも、日本の置かれた地理的な戦術環境からしても・・・

JASSM関連の記事
「ポーランドに70発輸出承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30
「B-52をJASSM搭載に改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「JASSM-ERを本格生産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1
「空中発射巡航ミサイルの後継」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-12-1
「JASSM-ER最終試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-10-1

LRASM関連の記事
「LRASM開発状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17-1
「米軍は対艦ミサイル開発に力点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
「ASB検討室の重視10項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-04
「LRASMの試験開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-23
「新対艦ミサイルLRASM」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

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カナダが中古の豪州FA-18購入へ!? [安全保障全般]

F-18.jpg8日付Military.comは、老朽化が進むカナダ空軍CF-18を補完するためにカナダ政府が中古の豪州空軍FA-18を購入する方向にあるとの報道を受け、新造FA-18売込みを見込んでいたボーイングが「決定を尊重する」との声明を発表したと報じています。

カナダはもともと、老朽CF-18後継に60機のF-35を購入予定でしたが、トルドー首相新政権がF-35に強い不信感を持ち、購入決定を先延ばしして「中継ぎ」として新造FA-18購入を示唆していました。

その後、カナダの航空機製造業ボンバルディアがボーイングから、旅客機のダンピング販売で訴えられ、米国とカナダの関係は悪化し、カナダはF-35の代打だったボーイング製新造FA-18にも「怒りの決別状」を突きつけ、中古の豪州FA-18購入を検討中との噂が出ていたところでした

カナダが正式に中古の豪州FA-18購入を決定したのか不明ですが、米国抜きTPP合意を直前になって「ちゃぶ台返し」したトルドー首相ですから、米国相手に何かやりそうです・・

8日付Military.com記事によれば
Trudeau.jpg●8日にボーイングは、「ボーイング社はカナダ政府の決定を尊重し、カナダが北米の安全保障のためNORADと協力し、北米沿岸全域を担当するため引き続きツインエンジン戦闘機を継続使用することを賞賛したい」との声明を発表した
●更に声明は「わが社は新造機を提供する機会や、新造機製造によってカナダに雇用を新たに提供する機会を得られないが、引き続きカナダと建設的な関係構築を探っていく」と述べている

4日の週にロイター通信が、カナダが豪州から中古のFA-18を購入する方向に傾いていると報じており、そんなタイミングで出たボーイングの声明だった
CF-18.jpg●また米国政府は9月に、カナダへ新たに製造する18機のFA-18売却を許可する決定を行ったと発表していたところだった

●ボーイングは「航空宇宙分野へのわが社のコミットメントには変わりなく、ルールに基づく自由で公正な競争環境を構築する全ての努力を引き続き支援していく」と意味深なコメントで声明を締めくくっている
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カナダの航空機製造業ボンバルディアがボーイングから訴えられた件は、米商務省がボンバルディア機に米国への輸入課徴金をつける決定をしました。

Bom C.jpgしかしボンバルディアの関連部門が欧州エアバス社(?)に吸収合併されることになり、米国の工場で製造を担う形にしたことで、米国は輸入課徴金をかけられなくなった聞いています

ボーイングと米国は、ボンバルディアを訴えた時点でカナダや英国等から非難を浴びていましたが、カナダと欧州の連携にしてやられた形となり、大恥をかきました。このまま事態が収集するかは不明ですが・・・

中古の豪州FA-18購入で上手く行くか、最終的なF-35購入をどうするのか・・・カナダの動向に今後も注目したいと思います

そしてトランプ政権の露骨な米国製品売り込みに、他国が連携して対抗する前例となるのか、注目したいと思います

米国とカナダの航空戦争
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「5月18日が開戦日!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23

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ロシアとエジプトが相互軍用機乗り入れへ [安全保障全般]

RussiaDM-Shoigu2.jpg11月30日付Defense-Newsは、ロシア政府がエジプトへの武器売却や軍用機の相互乗り入れ等を含む合意文書を承認し、その案文をロシア政府のwebサイトに公開したと報じています。

11月29日には、ロシアのSergei Shoigu国防相がカイロを訪問し、両国の軍事技術協力会議に出席しており、この軍事協力を強化する合意文書の最終的な詰めを行ったものと解釈されています

ロシアとエジプトの関係は、1950~60年代にかけて反米姿勢を強めたナセル大統領の元で発展しましたが、後任のサダト大統領は旧ソ連の顧問団を追放して親米の立場をとり、「アラブの春」までは米国が影響力を保っていました

しかし「アラブの春」でムバラク大統領が追放されてからは、エジプト国内の混乱もあり米国との関係は疎遠になっています。

そうなるとロシアが近寄ってくるのですが、ロシア人のエジプト旅行客224名が搭乗したロシア旅客機が、2015年にエジプトのシナイ半島上空でISISに爆破された事件以降、ロシア政府は旅客機の乗り入れを中止し、エジプト観光産業の苦境がさらに悪化していました

11月30日付Defense-News記事によれば
RussianPair.jpg●11月30日に公開された両国政府が合意している文書案には、ロシアのメドベージェフ首相の署名があり、ロシア軍機がエジプト軍用基地を使用することが可能になることなど、ロシアの中東での影響力を更に強化する内容となっている
ロシアはシリア内戦でシリア軍飛行場や港を使用しているが、エジプトに拠点を確保することでその影響力を中東全域に拡大することにもつながる。エジプトとの合意は5年間有効で、両国が合意すれば延長される

エジプトのシシ大統領政権にとってロシアとの軍事行為は極めて重要で、戦闘機やヘリコプターや兵器を購入する合意も含まれているからである
シシ大統領が就任してから、彼はプーチン大統領と親しい関係を構築しており、ロシアとの経済関係が拡大し、ロシア製兵器購入にも興味を示してきたところである

●29日にカイロでの会議でロシアのShoigu国防相は、「安定して肯定的でダイナミックな軍事協力の地平が広がっている」と語ったと報じられている
Sissi2.jpg●同時に同国防相は、最近シナイ半島のモスクで発生した305名が犠牲になるテロ事件に言及し、お悔やみの言葉を述べている

シシ大統領はシナイ半島のイスラム過激派対策に苦労しており、29日にはシナイ半島北部の安定と安全を3か月以内に回復せよとエジプト軍に指示し、併せて軍参謀総長にすべての軍事的手段の使用を許可したところである
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シシ大統領は剛腕で強権政治手法でありながら、女性にも人気があり、スエズ運河の拡張工事を短期間で成功させたことで海外投資家からも期待が高い政治家です

Suez1.jpgその有能な政治家が、ロシアとの関係強化に動く背景には、人権とか民主主義とかの問題でフィルターをかけたがる米国の姿勢にも原因があるように思います

3か月でシナイ半島の過激派が掃討可能とは考えにくいですが、まずは治安との考え方には一理あります。ロシア製兵器を使ってでも・・

それにしてもロシアは抜け目ないですねぇ・・・。シリアに、トルコに、ベラルーシに、エジプトに・・ですから。

中東関連の気になる記事
シシ大統領がスエズ運河拡張http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-07
激震:トルコがついにロシア製防空システム契約http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-14
イランがハマスに支援再開http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-29-1
米国が無人機輸出見直しを検討http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04

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ロシアのベラルーシ大演習を振り返る [安全保障全般]

Zapad 20173.jpg22日付Defense-Newsは、今年の9月中旬に実施されたロシアとベラルーシの共同演習「Zapad 2017」を振り返り危機感を募らせる隣国エストニアの軍情報部長の見方を中心に西側の分析を紹介しています。

隔年で行われてきた同演習ですが、特に今年の演習は、米国トランプ政権が混乱している隙に乗じ、「ロシア軍が演習後もベラルーシに駐留し、ベラルーシのウクライナ化を進めるのでは・・」と専門家の間で危機感が高まった演習でした。

結局、特に異常はなく、演習後も特異な状態にはないようですが、北朝鮮騒ぎの中で世界の動きが見えにくくなっていますので、視野を広める意味で、危機感を募らせるバルト3国エストニア軍人の評価と、演習直前に騒いだ専門家を戒める研究者の意見をご紹介します

22日付Defense-News記事によれば
Belarus2.jpgエストニア軍情報部トップのKaupo Rosin大佐はDefense-Newsとのインタビューにおいて、ショッキングな新事実や明らかになるようなことはなかったと振り返りつつも、これまで同国が懸念していた事項や相手の能力について、多くの事項を再確認することになったと述べ、3つの視点から教訓を語った
まず第1に、ロシア軍が西側軍事力に対抗することを明確に意識し、大規模な電子戦環境下での演習を行い、それも陸軍と空軍の両方が相当のレベルで実行していた点である

●そして「演習内でロシア軍自身に対して行った妨害電子戦の規模に驚かされた。これまでに見たことがないレベルだった。本当にすごかった」と表現した
●演習終了後の現時点では、ロシア軍は地図上もベラルーシの意識の上からも撤退しているが、今回の演習により、ロシア軍はNATO軍の侵攻を阻止するに緊要なノウハウを蓄積し、西側電子戦への対処に習熟したと評価している

Zapad 20172.jpg●この演習状況からすると、NATO軍は単なる妨害ではなく、ロシア側の通信を阻害する新たな方策を探る必要に迫られることになる。「恐らくそれにはサイバー戦が必要だろう」「同時に当然ながら、いかに我々自身の通信を確保するかも考える必要がある。電子戦への備えが求められている」と述べている
●更に、「我が国エストニアは小さな国であり、普段から地図を使用して作戦訓練を行っているから影響は少ないが、他国からの援軍は困難に直面するだろう。NATO軍の組織や指揮系統を考えると、上層部ほど難しい対応を迫られるだろう」と

第2の教訓は、NATOの迅速な対処がカギだという点である。仮にロシア軍がベラルーシ経由でバルト3国に侵攻した場合、NATO同盟国軍が迅速に対応可能かということである
●「かねてから指摘されている課題だが、ロシア軍は戦力面、時間面、空間面で優位な立場にある」、「NATO軍が如何に迅速に国境付近に展開可能にするかの法的整理(figure out legal ways for NATO forces to move more quickly)が、今後数年の焦点の一つとなる」と表現した

Belarus.jpg第3は、今回の演習が行われたベラルーシの役割と地理的重要性である。軍事的にも政治的にも心理的にも、ロシアがベラルーシを傘下に置くことは、ロシアにとって極めて重要である
●「軍事力を用いずにロシアがそれを達成できれば良いが、必要となればロシアは軍事力を間違いなく用いるだろう」、「しかし2017年11月時点での見積もりでは、そしてそのような事態でも、NATOがベラルーシに軍事行動を起こす可能性はない」とエストニア軍情報部長は述べた

CNAS研究員で国防省経験も長い専門家は
●Jim Townsend研究員は「同演習を通じ、ロシアやベラルーシの能力について知見を得ることができた。しかしそれは大部分、これまで我々が課題と考えていた点を再確認する程度においてである」と振り返った
Zapad 20174.jpg●また「我々が騒いだために、彼らは労せずしてプロパガンダ戦で勝利した。彼らにそんなことをさせるべきではなかったのに」と振り返った

●そして「次の機会にはもっとクールに対応すべきで、互いに落ち着こうと言い合うべきだ」、「同演習は長く続いてきたが、最近までほとんど注目を集めなかった。大げさな反応は良くない。落ち着いてぞ状況を観察すべきだ」と語った
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Townsend研究員が反省し、関係者に自戒を求めているほど「Zapad 2017」への警戒感や危機感が西側関係者の間で強かったということでしょう。それは同時に、トランプ政権の欧州政策が「地に足がついていない」ということの裏返しなのでしょう。

エストニア軍情報部長の冷徹な見積もり、「ベラルーシにロシアが軍事侵攻しても、NATO軍は動かない」は、当地の雰囲気を伝える言葉としてTake Noteしておきましょう・・・。

同演習関連の記事
「米軍幹部のコメント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-04
「露がベラルーシで大演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-31

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米議会が倍増以上の米本土ICBM防衛ミサイルを要求 [安全保障全般]

GBI2.jpg17日付Defense-Newsは、米議会が米国防省とミサイル防衛庁MDAに対して、北朝鮮やイランからの大陸間弾道弾ICBMに対処するため、2021年末までに最大104発のICBM迎撃ミサイルGBI(Ground-based interceptors)を配備するよう、配備場所の検討等々を行いよう求めるレポートを作成したと報じています

このレポート「The conference report of the fiscal year 2018 defense policy bill」の位置づけをよく理解していませんが、記事は国防省が「何々しなければならない」と「must」で表現しており、大統領が拒否しない限り実行しなければならない性格のものの様です

ちなみに、現在GBIはアラスカのFort Greelyと加州の米空軍Vandenberg基地に配備されており、44発目が11月2日にアラスカに配備されたところです。したがって104発は、現在の数から60発増強する2倍以上の増強計画です

17日付Defense-News記事によれば
GBI-KV.jpg●この議会レポートが出る以前から、最近数か月間、国防省とMDAは現在の44発を計64発に増強する計画を練っており、9月には総計450億円の計画の第一弾となる150億円の2017年度予算を明らかにした。
ホワイトハウスも11月6日に、2018年度予算に追加で20発のGBIを調達し、アラスカの基地に追加の施設を建設する予算要求を行ったところである。

議会のレポートは国防省に対し、104発のGBIを配備する場所や必要施設を組み込んだ増強計画作成を求めており、2017年末までの提出が求められている弾道ミサイル防衛見直し(BMDR)にも反映することを求めている
●そしてレポートは、2021年末までに全ての施設整備を実行すべきだとし、その中でも20発のGBIを可及的速やかに行うよう求めている

国防省は弾道ミサイル防衛見直しBMDRを提出後、90日でGBI増強計画を示すことを求められている。そこには、現在存在する(西海岸の)GBI配備基地だけでなく、米本土中部から東海岸も含めて配備候補地を見出し、米本土全体を防御できる体制構築が求められている
米議会は2013年度予算法の中で、2016年末までにGBI計画を提出するよう求めているが、政権交代に伴う弾道ミサイル防衛見直し(BMDR)開始により、その期限が延期されている

●また同時に、米議会は現在のGBIシステム全体の有効性と信頼性を検証するよう求めており、約60億円の予算執行を信頼検証後でないと認めない方針を打ち出している
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GBI.jpgつい数年前までは、GBIについては全く盛り上がらず、一部の研究者や学者がその必要性を訴えていたようなイメージですが、急速に機運が盛り上がっているようです

この記事が引用している金額があまりにも小さいので気になっているのですが、今後色々と報道が出るでしょうからその時に確認いたしましょう・・・。

GBI関連の数少ない過去記事
「宇宙配備のミサイル防衛センサーが必要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

GMDに関しては、「海国防衛ジャーナル」2017年5月31日付記事が、包括的に解説しており大変勉強になります

初のICBM迎撃実験に成功:米本土ミサイル防衛(GMD)とは
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50788602.html 

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将官OBによる政治と軍事の関係を考える意欲作! [安全保障全般]

「政軍関係:Civil Military Relations」を考える意欲作!
タイトル「軍人が政治家になってはいけない本当の理由」は筆者の本音か、編集者の人寄せキャッチフレーズか?
「東京の郊外より」を読む参考文献としても是非!

hironaka.jpg10月20日に文春新書から、元空将である廣中雅之氏による「軍人が政治家になってはいけない本当の理由」との書籍が出版され、欧米ではメジャーな学問でありながら、日本ではほとんど見向きもされない「政軍関係:Civil Military Relations」に真正面から取り組む意欲作として注目を集めています。

廣中氏についてはこれまで、豊富な米国大学や研究機関経験を活かし、かつ非パイロットOBの立場から発せられる、対領空侵犯措置中心の防衛力整備に疑問を投げかける論考や発言を画期的なものとしてご紹介してきましたが、「政軍関係」という地道で本質的な分野に、体系的なアプローチを試みる姿勢に「Happy Surprise」です!

日本の現状を自衛隊の60年と共に振り返り、先駆者である米国と英国の苦闘の歴史に学び、日本への提言を試みる構成ですが、政軍関係に関する理論的研究体系や米国の軍事意思決定過程に関する解説のほか、米英の事例を豊富に取り上げて読者の関心の理解と考察を促す構成に、工夫と努力が感じられます

個人的に印象に残ったのは、聞いてはいたが改めて認識した東日本大震災時の民主党政権のひどさ、田母神元空爆長辞任劇への厳しい批判、日本の文民統制(防衛省内局)の異様さ、パウエル統合参謀本部議長の湾岸戦争時の姿勢への疑問提起、マレン元統合参謀本部議長への賛辞、そして退役軍将官が特定政治家を支持することへの批判です

hironaka4.jpg最後の退役将軍の政治家支援活動批判については、具体的名前は挙げていないものの、航空自衛官OBの宇都隆史参議院議員への、元空幕長らによる選挙応援活動を強く戒める事を意図したものとも解釈できます

読者によっては、本書が示す各種事例の評価・解釈に違和感を抱くことになるかもしれませんし、タイトルの「軍人が政治家になってはいけない本当の理由」自体に違和感を感じるかもしれませんが、本書の最も重要な狙いは、「政軍関係:Civil Military Relations」を学問分野として体系的に分かりやすく日本に紹介する事だと思います。

以下では廣中氏を簡単にご紹介したのち、書籍の概要というよりも、書籍の主題からは少し離れるかもしれませんが、印象に残ったところをつまみ食いで取り上げ、中核となる「政軍関係」の本質議論は、自身で読んで参考にしていただきたいと思います

廣中雅之氏とは
Hironaka3.jpg廣中雅之氏は防衛大学校出身(23期)でパイロット職ではなく、地対空ミサイル部隊出身者の61歳で、2014年に退官後、2015年から2017年6月までワシントン在住でCNASと笹川財団の研究員を務め、本書の執筆に向け研究を行ったようです。
また現役の間に、ジョンズ・ ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士課程を修了し、CSISやスタンフォード大学国際安全保障研究所の客員研究員も経験している人物です

日本の政軍関係の現状(序章から第2章)
●あるべき政軍関係の基礎には、軍事的専門戦を極めた軍人と政治指導者の信頼関係醸成が必須の要件だが、戦後の政治指導者、金丸信、栗山尚一外務次官、菅直人、北沢防衛相などが、幼少期に体験した旧軍人の態度を根に持ち、自衛隊や自衛隊員を根本的に信頼していなかったことが、健全な政軍関係形成の最大の障害だった
田母神俊雄3.jpg●福島第一原発冷却のため、陸自ヘリによる事故原発への放水任務決定に際して、北沢防衛大臣は「統合幕僚長に判断してもらった」と省内の会議で発言し、防衛大臣命令任務の本質を理解しない日本の政治家の無知無能ぶりを象徴的に示した

田母神元空幕長の事案は、懲戒処分手続きの調査に応じない非協力的な態度で、文民である防衛大臣の判断に異を問えるという、政軍関係の根本に反する行動に出たことで、自衛隊員の精神的健全性や組織文化まで疑われる極めて残念で負の事案であった
●背景には、田母神元空幕長の行政的職務に偏重した経歴と、精神性を高めるに欠かせない作戦部隊の指揮官職経験や教育が不十分だったことがある。今の自衛隊指揮官クラスは多様な経験を職務を積むように管理されており、そのようなことはない

米国における政軍関係の苦悩
powell.jpg●「湾岸戦争の英雄」と讃えられる当時のパウエル統合参謀本部議長(後の国務長官)の判断は後世の批判に耐えられるか? クウェートから撤退するイラク軍への攻撃は、軍事的な視点からすれば必要な作戦だったが、パウエル大将は国際的世論からの批判を恐れるという政治的レベルの判断から避け、早期の停戦を主張し、ブッシュ大統領から最終的に受け入れられた
●チェイニー国防長官から政治レベル判断に介入が過ぎると以前から叱責されていたパウエル大将が、政治的な動きをした事例である。しかしイラク軍の主力に打撃を与えなかったことは、後の中東の不安定化や現在の中東の混乱原因を生んだことにもつながており、彼の政治介入ともいえる当時の行動と彼への歴史的評価は、今後変わっていくかもしれない

1992年の大統領選挙で、86年まで統合参謀本部議長だったクロウ退役海軍大将が突然ビル・クリントン候補の応援に加わり、劣勢気味であった同候補の勝利に大きな役割を果たした。それまでの退役将軍の政治活動を避ける流れに逆行する動きだった
2008年と16年の大統領選挙でも、時の軍人トップは退役将官の選挙戦への関与自制を求めるコメントを発しているが、クロウ大将以降の流れは止められず、多くの将官経験者が候補者の応援に参画している。これは軍人の政治的中立という軍隊の伝統を損なうものだと現職の軍人トップは厳しく批判している
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Hironaka2.jpg書籍の本質的な中核的主張を解説しない、中途半端な紹介となりましたが、約200ページの読みやすい新書サイズの「政軍関係:Civil Military Relations」入門書ですので、ぜひご自身でご覧いただいて考えていただきたいと思います

一つだけ疑問点を上げるとすれば米軍の退役将軍が政治に関与するようになったのは、単に「目立ちたい」「社会的地位を確保したい」等の理由からだけではなく、「ポピュリズム化」が進む社会で、軍人の立場からきちんと発言しないと後輩軍人が苦労するとの強い思いからだと思う点です。

廣中氏が繰り返し訴えている、軍人が軍事的専門性を追求し、政治家との意思疎通の円滑化を図るだけでは、軍事のことなど政治家や一般市民はますます関心を持たなくなるとの危機感が、米退役将軍の中にはあると思うのですが・・・

最近の日本の政治状況と、安全保障環境を考えると、いざという時の「政軍関係:Civil Military Relations」の悲劇的な破綻が想像されるのですが、極めて自然な感覚で安全保障に関し正しい判断ができる若者層が増えているとの世論調査結果に期待し、本書を推薦したいと思います

廣中雅之氏に関する過去記事
「元陸幕長が米軍の列島線離れを指摘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-09
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1

その他の関連記事
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06 
「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

 

書籍のご紹介記事
「究極のインテリジェンス教科書」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-22
「司馬遼太郎で学ぶ日本軍事の弱点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-01
「失敗の本質」から今こそ学べ!→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31
「イスラエル起業大国の秘密」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20

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