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海兵隊司令官が生活習慣にも注意喚起 [Joint・統合参謀本部]

Neller5.jpg7日、米海兵隊司令官のRobert Neller大将が25項目に亘る「隊務運営指示」を発令し、各レベルの指揮官に対して「訓練の改善」「将来作戦戦略の策定」「インフラの維持整備」等々を指示したようですが、特により個人的な生活習慣(飲酒や余暇の過ごし方等)に踏み込んだ内容が含まれたことで注目を集めています

この「隊務運営指示」は「fragmentary order又はFRAGO」と呼ばれ、2015年末に就任したNeller海兵隊司令官にとっては2回目のFRAGOだそうです。
ですから、そんなに頻繁に発令される性格の命令ではなく、じっくり部隊全体を見渡して、節目節目で長期的な指針や要望事項を部下に示す役割を担う性格の命令です

なんと言っても日本とも関係が深い米海兵隊の隊務運営と、兵士の生身の姿を感じることが出来る今回のFRAGOですので、全文を確認したわけではありませんが米軍事メディアからつまみ食いで興味ある部分をご紹介します

7日付Military.com記事によれば
Neller3.jpg●7日にNeller海兵隊司令官が発令した司令官として2回目のFRAGOは25項目から構成されているが、より兵士の個人的生活習慣に言及している点で注目を集めている

●同司令官は2016年に亡くなった152名の海兵隊員に言及しつつ、戦闘行動での死者は僅かに1名で、自殺が35名、そしてその他の「不注意や乱暴な行為」に起因する事件や交通事故の犠牲者を悼んでいる
●Neller大将は「もっと上手くやれるのではないか。お互いに注意し合っていい仕事をしなければならない」と呼びかけている

●今月行ったインタビューでも、同司令官は防ぐことの出来る死亡事故が多発している現状を、部隊に対して注意喚起したいと訴えていた
●そして「海兵隊員の多くが所属する部署や大隊程度の範囲にしか視野が向いておらず、ストローの穴から世界を見るような狭い世界で暮らしているように危惧している」と表現し、「海兵隊員皆に、より大きな組織に属し、全員でその任務を遂行しているのだと言う事に思いを致して欲しい」とも語っていた

Neller2.jpg●具体的には、海兵隊員が関連する家庭内暴力、性的暴行、いじめ等、違法で暴力的な危険行為の多くが飲酒と関連していると、同司令官は指摘していた
●今時のFRAGOの中でも、同司令官は過度の飲酒や喫煙、更に食生活の乱れを「敵を利することになる」「自己虐待」だと断じ、「スマホなど電子デバイスを脇に置き、安楽椅子から離れ」、食事のバランスを考えて体重管理を行い、健康管理を再確認せよと記している

●司令官は、海兵隊がフィラデルフィアのバーで1775年に行われた議論から生まれた歴史や、酒を楽しみつつ部隊の団結をはかる海兵隊文化を承知しつつ、あえて過剰飲酒の問題をFRAGOで取り上げたのだ
●「我々の文化の一部だから、難しいことは判っている。しかし海兵隊員には、プロなんだろ、戦場に行くんだろうと言うべきだと考える。君の能力発揮を妨げるような事をするべきではないと言うべきだ」と司令官は語った
●ただし、具体的な飲酒量や制約を課す予定は無いとも同大将は述べ、自分自身に対し、その習慣が自らの成功を邪魔しているのではないか問いかけるよう促したいと語っている

余暇の過ごし方や勉学の勧めも
Marine-okinawa.jpg●同司令官は、司令官の推薦図書から少なくとも5冊以上は読むことや、より高い学位の取得を目指すよう部隊や兵士に呼びかけており、海兵隊の開発コマンドに、下士官に学士や同程度の学位や資格を取得させる計画を検討するよう命じている
●また同司令官は、現在はあまり人気が無い、一端軍務を離れてあらたな勉学や経験を積む「Career Intermission Program」を推奨している。更に、大きな海兵隊基地と地域の大学が協力し、下士官に学位取得や能力開発の機会を提供する取り組みにも着手している

●今回のFRAGOの最後の項目は、建設的な意味で「もっと楽しめ:Have more fun」と推奨している。兵舎で過ごすばかりでなく、サーフィンを始めるも良し、新しい語学を学ぶも良し、仲間や社会とのつながりを持ったり、地域の自然に親しんだりして余暇を過ごして欲しいと呼びかけている
●また、海兵隊の訓練の厳しさから逃げるのではなく、「仲間とぶつぶつ文句を言いながらも、笑い飛ばして取り組め。共に乗り越えた苦難は団結を強固にする。退役する時になって、一番思い出すのがこんな時の事なんだ」と兵士に示している
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沖縄の基地反対派の皆さんから見れば、海兵隊員はとんでもない奴らだ・・・になるのかも知れませんが、全く持って人間臭いというか、万国共通というのか、程度の差はあれ指揮官やリーダーの悩みはいずこも同じというのか、社会の縮図というのか・・・色々と考えさせられる海兵隊司令官の指示(俺の思いを感じてくれ文書)でした。

Neller4.jpg152名の犠牲者の中で、「result of combat action」が「Only one」だとは、驚きの統計です。

でもなんと言っても国防長官も副長官も、更に軍人トップの統合参謀本部議長までもが「海兵隊出身者」という、確率的にもあり得ない、偶然とは思えない現在の国防省の態勢です。
強面の代表格で、それらしい風貌のRobert Neller米海兵隊司令官に置かれましては、ますます士気高く頑張って頂きたいと思います!!!

Neller海兵隊司令官の関連
「基本的な防御手段を復習せよ」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10

「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23

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基地の整理統合BRACへの姿勢は4軍でまちまち [Joint・統合参謀本部]

BRAC3.jpg8日、上院軍事委員会の即応態勢小委員会で4軍の副参謀総長や副司令官が証言し、強制削減や暫定予算状態の早期解消を訴えたほか、Jim Inhofe小委員長からの基地整理統合BRACに対する質問に対し、4軍それぞれのスタンスを回答しています

基地整理統合BRAC(base realignments and closures)はその名の通り、余分な基地の廃止や整理統合を検討する事を指しますが、BRAC(ブラック)との呼称が示す通り、議員にとっては選挙区内の雇用や税収に直結するセンシィティブな言葉であり、国防省側がBRAC検討を要望しても、議会がかたくなに拒否しているのがここ数年の構図です

今回4軍のサブトップの証言をご紹介するのは、各軍種によってBRACへの姿勢が全く異なる様子がよく分かる対照的な証言が行われているからです。
結論から言うと、BRAC意欲が強い順番に陸軍>空軍>海軍>海兵隊で、海軍と海兵隊は極めて消極的です。そして小委員長自体は経費がかかりすぎるとの理由で「皮肉たっぷりに」反対派です

9日付Military.com記事によれば
BRAC2.jpg●8日、4軍の副参謀総長や副司令官は、これまで継続的に繰り返し訴えている(made well-worn cases)、装備品の維持整備や近代化の足かせになっている強制削減や暫定予算状態の早期解消を口を揃えて訴えた

●そんな4軍サブトップからの証言の後、Inhofe即応態勢小委員会は、自らは強く反対の姿勢だと明示しつつ、4名の軍人に基地整理統合BRACに対する見解を求めた
●同小委員長は具体的に、「私は過去6回のBRACを見てきたが、例外なく、どのBRACも当初の3年間に多くの経費を必要としてきた」、「皆さんが訴えたように、無駄な税金の支出に耐えられない予算が貴重な歴史上のタイミングにあり、維持整備費や近代化問題を解決すべき時に、BRACをどう考えるか?」と問いただした

●なお昨年Work国防副長官はBRACに関し、レターを発刊し、国防省には余分な基地や施設が22%もあり、BRACを早期に検討して実行に移したいと要望している。
●しかし2017年度予算や関連の予算では、議会によってBRACを許可しない旨が明示されており、2018年度予算等にBRACを組み込む場合は、春の予算案提出時に要求する必要がある

BRAC.jpg●BRACに対し米陸軍のDaniel Allyn副参謀総長は、国防省の姿勢を支持し、早急にBRAC検討を開始すべきだと主張し、「3年前から継続して強制削減や暫定予算状態の早期解消を訴え、かつ内部では、必要な経費捻出を迫られているが、BRACは経費節減の有力な分野である」と語った
●そして過去のBRACの実績を強調し、「2005年のBRACにより、毎年約1100億円の経費節減が実現しており、1988年のBRACに至っては毎年約2200億円の削減で貢献している」と説明し、「全世界で154の施設を維持している我々は、使用の有無に拘わらず、1施設当たり約30億円以上の維持経費を必要としている」と現状を語った

Steve Wilson空軍副参謀総長は、陸軍ほど積極的な姿勢を示さず、オプションを検討する用意がある(open to exploring its options)と表現し、更に「米空軍基地施設には25%の余剰があり、より懸命な予算使用の機会がある」「(余剰施設や基地維持のための)スタッフに給与を支払う必要があり、倹約の対象として検討すべき」と回答した

米海軍のNo2であるBill Moran副作戦部長は、BRACに否定的な姿勢を示し、「米海軍に施設の過不足問題は無く良い状態だ」「沿岸の湾施設等を決して手放してはならないと若い頃から教えられている」と回答し、小委員会メンバーの笑いを誘った
●しかし同副作戦部長は、米海軍内で独自に「小さなBRAC」を検討する可能性を検討していると述べ、経費節減のため、既存基地内の不要施設やインフラの解体を検討していると説明し、「この手法の方が、更なるBRACより米海軍には有用だ」と回答した

●一方で海兵隊のGlenn Walters副司令官は、陸海空軍と比較して少数の基地しか保有しておらず、東海岸西海岸のバランスも良いことから、良い状態にあり過不足は無いと回答した
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BRAC4.jpg議員側は基地の整理統合に伴う約3年程度の初期費用を問題にし、国防省側は長期的な経費節減効果を訴えています。

政策シンクタンク(より中立的な立場だと思料)や国防問題の主要な研究者は、圧倒的に「長期的な経費節減効果」を支持し、短期的な初期費用を問題視する議員側を「選挙区への利益誘導」で「議員の自己保身」だと厳しく非難しています

各軍種の主張の細部背景や現状まで把握していませんが、米軍の福利厚生施設(軍人用スーパー)や退役軍人を含む医療保険制度への支出を含め、経費節減策として必ず論点になる分野ですので、下記の関連記事とあわせてご参照下さい

BRAC関連の記事
「国防省が議会に要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16-1
「研究者38名が連名で要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-25
「研究者25名が連名で要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-06
「4大研究機関が強制削減対処案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-30

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米国首都の防空に航空局FAAレーダーと連携 [Joint・統合参謀本部]

NORAD2.jpg米空軍協会が米本土の防空を担当するNORAD関係者にインタビューを行い、首都防空に関する脅威感や対策について触れていますので、東京五輪時のテロ対策等の予習としてご紹介します。

また一連のインタビューで、ロシアからの防空をより強く意識する方向に変化が見られ、関連でOTHレーダーの必要性についてNORAD関係者が語っていますので、併せてご紹介しておきます

3日付米空軍協会web記事によれば
●北米大陸への非対称脅威を考慮し、NORAD(北米防空司令部)は、探知追尾が困難な低高度&低速度目標への対処を焦点の一つにしている。
●そして2015年4月15日、ペンシルベニア州から飛来した小型の有人ヘリ(gyrocopter)に、米議会敷地内への着陸を許した失態以来、NORADは改善を進めてきたと同幹部は語った

NORAD.jpg●NORADのSteve Armstrong戦略計画課長は、最近、首都圏(NCR:National Capital Region)を想定した「机上演習」を実施し、gyrocopter事案を再現するようなシナリオで再検証を行ったと語った
●そして同「演習」の結果、「十分な信頼性を持って、低速低高度航空機をほぼ常に探知追尾できた」と明らかにし、NCRエリアにおける「low-profile aircraft」探知に改善が図れたことを確認したと語った

●今回の結果を導いた改善には、空中状況をより良く把握するための連邦航空局FAAと米軍レーダーデータのコラボが含まれている(collaboration between the FAA and military radar data in terms of what feeds the air picture

対露に常続的なOTHレーダー装置を
JLENS22.jpg911事案以降のシフトから、NORADは本土防衛の焦点を変えつつアリ、ロシアの長距離爆撃機や最新巡航ミサイル脅威への備えの鍵として、常続的な見通し線外レーダー(OTH:over-the-horizon)を求めている
ISR航空機や先進戦闘機によるOTH任務遂行も不可能ではないが、費用対効果の面から常続的な実施は難しいとArmstrong戦略計画課長は語った

2015年にヘリウムを使用した係留型飛行船でOTH機能を狙ったJLENS計画を立ち上げたが、強風にあおられて係留ロープが切れ、漂流しながらケーブルで電線等を傷つけて地域に停電を引き起こし、F-16を出動させて撃墜する騒ぎになった
●NORADのScott Miller広報課長(海軍大佐)は、この事故を受けJLENS計画への再挑戦は期待薄で、これに変わりうる常続的なOHT能力確保の手段を思案中であると述べている
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米本土と日本の防空を単純には比較できませんが、首都の対テロを含む防空を考える場合、民間航空交通を司る当局と空軍の空域監視レーダーとの連携は待ったなしの課題でしょう。

OTH radar.jpgその点、具体的な方法は記事から読み取れませんが、「連邦航空局FAAと米軍レーダーデータのコラボ」は素晴らしい取り組みですし、先進国全てが学ぶべき手法でしょう。

日本の状況を良く承知しては居ませんが、日本の民間航空交通を司る国土交通省管轄の管制機関には「左巻き」の方が多く、自衛隊との協力には「地球の果てまで後ずさり」的な姿勢の方がいらっしゃるのでは・・・と危惧しております。誤解でしたらごめんなさい。

官邸の屋上に軟着陸したドローンのようなレベルの小型飛翔体への対処は困難でしょうが、有人機には何とか対処したいモノです。

JLENSの概要と試験
「2個目配置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-20
「1個目設置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-24

NORAD関連
「カナダがBMD姿勢見直し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-02

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米海軍FA-18の2/3が飛行不能の惨状 [Joint・統合参謀本部]

F-18.jpg6日付Defense-News記事は、トランプ大統領が米軍の航空機や艦艇の大増強をぶち上げている一方で、予算の強制削減法(予算管理法)や暫定予算(CR)態勢に何ら変化の兆しがなく、米海軍部隊は槍の穂先を担う海軍攻撃機の2/3が部品不足や整備未完で飛行不能状態にあると実情を指摘しています

また、艦艇修理費の削減により空母や潜水艦の定期修理期間が延伸したり、操縦者の飛行訓練時間が不足したする事態が常態化し、そんな悩ましいペンタゴンや司令部勤務を命じられた士官の転勤拒否率もうなぎ登り状態にあることも紹介されています

また、新政権下でマティス長官が2017年度予算の修正案を提出することになっている一方で、そのお金はほとんど全てが艦艇や航空機の増強ではなく、目の前の稼働率を確保するための修理費や部品費に投入されル実態も紹介しています

オバマ政権8年間の「強制削減態勢」がもたらした傷は如何にも深くトランプ大統領の威勢の良いかけ声がむなしくペンタゴンや米軍現場に響く惨状を、安保関係者はまず把握する必要がありましょう

6日付Defense-News記事によれば
Aegis3.jpg●通常の状態でも、米海軍の航空戦力の非稼働率は、定期整備等のため2割から3割程度はあるが、現在は52%が非稼働状態にある。
●そして戦力発揮の最先端にあるFA-18の非稼働率に至っては、何と62%に達している。62%の内訳は、27%は大規模定期修理に入っているためだが、残りの35%は単に部品が入手出来なたために飛行不能の状態に置かれて居るのだ

米海軍艦艇の修理費も不足している。米海軍は、長期間を要する艦艇建造を削減/中断すると取り返しが難しく、また造船所の人員や技術基盤の態勢維持のため、整備維持費を削減しても艦艇建造に予算を優先配分しており、整備維持費へのしわ寄せが大きくなっている
2017年度予算でも、本来であれば必要な14隻の艦艇定期修理を2018年度に先送りする決定を行っている。14隻には、潜水艦1隻、巡洋艦1隻、駆逐艦6隻、揚陸艦修理艦2隻、揚陸艦1隻、掃海艦3隻が「含まれている

●この様な修理先送りは、やり残し修理の蓄積を招き、また修理延期により艦艇等の痛みも進むことになり、結局実際の修理期間が延伸する悪循環に陥っている。
●例えば最近では、空母の定期修理が少なくとも3年、潜水艦に至っては4年以上必要な状態に至っており、潜水艦「Boise」は潜水不能なレベルにまで艦の状態が悪化している。海軍幹部は現状の暫定予算状態が続けば、今年更に潜水艦5隻が同様の状態になると危惧している

9年連続で暫定予算(CR:continuing resolutions)が続き、前年ベースの査定が続き、新規事業予算枠が確保できない中のやりくりにより、例えば兵士の移動旅費確保も難しくなっており、2017年に入ってからの移動が、前年より15000件減っている状態である
●(この様な困難な部隊運用の中、)ペンタゴンや司令部勤務への移動を拒否する操縦者が増加しており、司令部等への移動を拒否するものの比率が、2013年には17%であったが、2016年には29%にまで急増している

新政権の動きに期待できるか?
トランプ大統領は強制削減の言及である「予算管理法」の撤廃を主張していたが、何時、どのようにこれが実行されるのか明らかになっていない

mattis-about.jpg1月31日にマティス国防長官が、今後の予算関連の時程を「three-phase計画」をMemoで示し、まず2017年度予算の修正案を3月1日までに大統領府に提出、第2段階として5月1日までに2018年度予算案を大統領府に提出することを命じている
●更に第3段階として、新政権が議会への提出を義務づけられている「National Defense Strategy」を作成し、「FY2019-2023」の国防計画をまとめ、その中で「新たな米軍の戦力規模」を明らかにする事としている

今週は4軍の副参謀総長が下院と上院の軍事委員会に出席し、各軍種の現状を説明して当面の追加予算を要望することになるだろうが、長期的な話にはならず、残された2017年度5ヶ月間で穴埋めすべき予算確保を訴えるだろう。
米海軍で言えば、新造艦の予算ではなく、緊急に必要な艦艇の維持整備費でアリ、航空機の部品調達予算の話になろう。米海軍高官の言葉を借りれば「我々の最優先事項は即応態勢確保だ。航空機を飛行させ、艦艇や潜水艦を海に送り出し、水兵を訓練して使えるようにする予算が問題なんだ。新たな装備の話する余裕はない」なのである。
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Bush-CV2.jpg当分はトランプ大統領による「大統領令」騒動が続きそうですが、地に着いた視点で新政権の動向を見守るため、改めて米軍部隊の現状を米海軍を例にご紹介しました。

米国全体で大規模な財政出動を行うような「前振り」があり、その流れの米軍艦艇や航空機の増強計画ぶち上げだったと思うのですが、「足もと」がこの状態ですから「落としどころ」が見当たらないのかも知れません。

副参謀総長グループの発言にも注目ですが、「足りない足りない」と予算増額発言ばかりでは疲れるので、少しは政策や戦略を語って欲しいものです。
それから、ハリス太平洋軍司令官あたりにも、そろそろ対中国発言を期待したいモノです

米新政権の国防予算を考える
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10
「新長官と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-19
「次期政権と相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

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2月に最新型E-2早期警戒機が岩国へ展開 [Joint・統合参謀本部]

E-2D 7.jpg5日、在日米海軍が、空母艦載早期警戒機E-2の最新型「E-2D」を、2月に米海兵隊岩国基地に展開すると発表した模様です。
機数や期間は明確ではないようですが、最新の米軍装備をアジア太平洋地域に派遣するとの「アジア太平洋リバランス政策」のキャッチフレーズに沿った動きです。

この「E-2D」は、ステルス機の探知・追尾にも有効とされるUHF帯周波数の特性を、高度なデジタル処理で活用する事に成功した「A/N-APY9レーダー」を搭載するだけでなく、米海軍が対中国を意識して進める「NIFC-CA」構想におけるネットワーク連携のバブや「digital quarterbacks:デジタル指令塔」とも呼ばれる、極めて重要な装備です

E-2D-2.jpg日本は12機のE-2Cを保有していますが、追加でこの「E-2D」を「4機」を導入する決定をしており、また中谷前防衛大臣が「NIFC-CA構想をしっかり検討して参りたい」的な発言をしており、ガッツリ米海軍の航空作戦構想に引き寄せられた雰囲気が漂っています。

今回派遣されてくる米海軍「E-2D」が、どのような活動をするのか現時点では不明ですが、「おっとり感」漂う装備品ながら重要度は際立っていますので、今後の動向に注目したいと思います

5日付Defense-Tech記事によれば
岩国基地に派遣されるE-2Dは、E-2Dを米海軍で最初に装備したNorfolk所属の「VAW-125飛行隊」から展開する
●現在Norfolkには、E-2Cを装備する「VAW-115飛行隊」が配属されているが、将来的に「VAW-125飛行隊」の体制が整えば、「115飛行隊」は加州のPoint Mugu航空基地に移動する
●在日米軍の米軍は「リバランス政策」を受け、例えば最新のP-8対潜哨戒機も受け入れている

E-2Dの「NIFC-CA」における役割
「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
Navy-Air-War2.jpg●米海軍が取り組むNIFC-CA構想は、海軍艦艇の捜索レーダーが探知できない遠方目標情報を、F-35等のステルス機のセンサー情報やE-2D早期警戒機の情報を活用してデータリンクで入手し、艦艇や他の攻撃アセットで対処しようとするもの
●ここでのポイントは、NIFC-CAに加わる各種アセット(イージス艦、空母、E-2D、EA-18G、FA-18、F-35、MQ-4、P-8、空母艦載無人機、潜水艦? 更に空軍アセットも)をリンクで結び、単なる目標情報の「kill chain」ではなく、「kill web」として迅速に共有し、対処範囲を大きく拡大して遠方から中国のA2AD網に対抗する点。

●なおNIFC-CAでは、海軍F-35は主に最前線センサーの役割を担い、兵器発射はEA-18G電子戦攻撃等に守られたFA-18が主担当になっており、「kill web」情報のハブ役をE-2Dが果たすことに。
●そして空母を守りながら攻撃も担うイージス艦は、この「kill web」情報によりレーダー見通し外の目標に対し、SM-6(BMDと防空と対艦攻撃の両用)や巡航ミサイルを発射することに

●また最近ではハリス太平洋軍司令官などが、「マルチドメイン」との発想から、地上配備の多連装ロケットや地対艦ミサイルを南シナ海の沿岸に配備し、中国艦艇に睨みをきかせる構想の推進を米陸軍に訴えており、これら地上装備も「NIFC-CA構想」の一翼を担う形になる模様。

E-2Dの特徴
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
E-2D 4.jpg●Lockheed Martin社がE-2D用に開発したAPY-9レーダーは、UHF周波数帯(300MHz – 1 or 3GHz)を使用する世界初のアクティブ・フェイズド・アレイレーダー(AESA)。
中国やロシア製を含む戦闘機サイズのステルス機は、戦闘機搭載レーダーや地上配備の捜索レーダー周波数であるKa, Ku, X, CやSバンド周波数に対するステルス性を最適化している。

●これらの周波数より波長が長い(0.1~1m)UHFやVHF帯レーダーは、理論的に戦闘機サイズのステルス機を探知できる。
一方で、より波長の長いUHFやVHF帯レーダーは分解能が悪く、正確な位置把握や迎撃ミサイルを誘導する精度が得られなかった

●しかしE-2CのAPS-145レーダーが機械式走査1chのみであったのに対し、APY-9では機械式&電子式走査18chを備え、更に高度なデジタル情報処理技術を導入してUHF帯レーダーの弱点を克服したようである。
E-2D 5.jpgAPY-9レーダーは3つのモード、つまり全周を10秒間で捜索するモード、機械的回転で全周を捜索しつつ電子的に特定領域の探知を強化するモード、機械的回転を止めて特定方向だけにビームを指向しして捜索を強化するモードがある
●海軍航空部隊や製造企業関係者は、APY-9の開発は現APS-145レーダーからの「2世代進歩」を意味すると表現している
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当分は、F-35の海外初展開との観点で岩国基地は話題になるでしょうが、この「E-2D」にも要注目です。

どのような訓練を行うのか等、細部は公表されないでしょうが、アンテナを張っておきましょう!!!

E-2D関連の記事
「対中国の要:E-2D運用態勢に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-20
「E-2D大人買いで単価削減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-02-1
「E-2Dはステルス機探知可能!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

米海軍NIFC-CAと関連装備
「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05

「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23

「日本&韓国とBaseline 9契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-28
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11

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無人機103機の群れ試験に成功 [Joint・統合参謀本部]

Drone-malti.jpg9日、米国防省が昨年10月末に実施された「無人機103機の群れ試験」の成功を発表しカーター国防長官が「第3の相殺戦略」の一環であることを意識しつつ、「敵に一歩先んじる最先端の技術革新だ」と高く評価しています

今年中に1000機を製造し、次世代機の開発にも取り組む予定だと明らかにしています。

10日付毎日新聞記事によれば
●実験は昨年10月、カリフォルニア州で実施され、3機FA-18戦闘攻撃機が103機のドローンを投下、ドローンが編隊を組み飛行することに成功した。
Drone-malti2.jpg●人工知能などを活用した新型ハイテク兵器を開発するため2012年に発足した戦略能力研究室(SCO:Strategic Capability Office)と米空軍が、マサチューセッツ工科大学が2013年に開発したドローンをもとに共同開発した。

全長約16cm、翼幅約30cm、重量は290gで、最高速度は時速111kmに達する。航空機から投下するだけではなく、海上艦船や地上からの離陸も可能という。
オペレーターが指示した目的地に向け飛行するが、経路はドローン自身が最適の解答を見つけて判断する。またドローン同士が相互に連絡を取り合う能力もあり、編隊飛行ができる

約3分半の試験映像



昨年10月28日に国防長官が同試験に言及
Drone-malti3.jpg●国防省が「第3の相殺戦略:Third Offset Strategy」の一環として追求する無人機の群れ(drone swarming)技術は、今週大きな躍進を遂げた(large step forward just this week)。
●(国防長官は細部への言及を避けつつ、)国防省の戦略能力造成室SCO(Strategic Capabilities Office)が、今後数ヶ月の内に更なる発表を行うだろう

「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10
「海軍研究所の滑空無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-04

米海軍が艦艇の防御&攻撃に「群れ」研究
2012年の米海軍の研究論文は、市販の速度150km程度の小型でレーダーに映りにくい無人機10機程度が、イージス艦に全方向から侵攻する様子を700以上のパターンでシミュレーションしたもの。
●イージス艦は対空ミサイルやCIWSシステムのほか、5インチ機関砲を備えているが、研究では追加で6つの重機関銃が装備された場合も想定

Drone-malti4.jpg●発見が難しい小型無人機は、発見から艦艇到達まで約15秒間の対処時間しかなく、8機が侵攻した場合、平均2.8機が防空網を突破する。センサーや防空網を強化しても、1機には突破される結果となった
●侵攻無人機数を増やした場合、防御側が対処可能なのは最初の7機前後であることも明らかになった

●この結果を元に、米海軍は低コスト無人機群技術(LOCUST:Low-Cost UAV Swarming Technology)に取り組み、今は30機の無人機を個々に操作するのではなく、「鳥の群れ」として操ることを狙っている。
●研究責任者のLee Mastroianni博士は、1機180万円程度の無人機の群れを「LOCUST計画」で使用しており、1発1億5000万円する対艦ミサイルより安価だと考えている。同博士は30機の「無人機の群れ」で、今年(2016年)に夏試験を計画
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farewell.jpg政権交代の直前になって、カーター長官の米軍による送別式典が行われた同日に、この発表会見が行われています。
カーター長官が最後まで全力を尽くしてきた、技術革新を促進する政策の「果実」の一つです

何度かご紹介してきたように、「無人機の群れ」技術は中国やロシアに対する軍事技術優位を確保するための有力候補で、米軍全体で様々な応用研究が進められています。
先日ご紹介した「無人ボートの群れで港湾防御」もその一環です

無人機の有効活用
「無人艇の群れで港湾防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
「国防長官が技術飛躍有りと」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

「海軍研究所の滑空無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-04
「AI操作の無人機が有人戦闘機に勝利」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-19
「米空軍が小型無人機20年計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-18

「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
「国防省戦略能力室の主要課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10

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無人ボートの「群れ」で港湾防御試験 [Joint・統合参謀本部]

RHIB4.jpg12月14日付米海軍研究統括室(ONR)web記事が、11月に実施された複数の無人ボートを自律的に連携させて不審船等に対処する試験の様子を紹介し、2014年の基礎的試験から更に深化し、敵の画像識別、群れ内部での任務分担、無人ボート戦術の多様化などを検証したと報じています

既存の小型有人ボート(港湾内の警備や特殊部隊が敵艦艇に接近したり乗艦するための高速強化ゴムボート)を、市販部品を活用した無人化キットを搭載するだけで軽易に無人ボートとして活用できるため安価で、しかも「退屈で、汚く、危険な」任務から貴重な人的戦力を開放できるとONR幹部は語っています

また、従来は高価値艦艇の防御強化に無人艇の活用を考えていたようですが、今回は港湾防御を狙いとして取り組んだようで、ある意味、よりニーズと早期実現可能性のマッチングを見定めた応用試験と言えるかも知れません

14日付米海軍研究統括室web記事によれば
RHIB.jpg10月、米海軍研究統括室(ONR:Office of Naval Research)は、産業界や学会や関係政府機関と協力し複合材無人ボート(RHIB)の群れと他の小型舟艇を組み合わせ、人間が細部に直接関与しない監督方式での自立的パトロール任務実験を実施した
●ONRが開発している自立無人ボート技術は、CARACaS(Control Architecture for Robotic Agent Command and Sensing)と呼ばれ、どの港湾施設にも必要でアリながら「退屈で、汚く、危険な」任務を、民生部品を使用して有人ボートを使用するより経費効率的に行おうとするものである

2014年、ONRは最初のCARACaS技術デモ試験を行い、無人化キットを搭載した複数の複合材ボート(RHIB)をシンクロして行動させ、「群れ」として敵艦艇に対処したり、味方艦艇防御の行動を取らせたりした
●今年10月の試験では2014年の教訓も踏まえ、追加の付加機能として、敵艦艇の画像識別、「群れ」内部での個別任務分担を試し、更に無人ボート戦術の多様化にも取り組んだ

今年10月の試験映像(約6分半)


今回のデモ試験では、無人ボートの群れに広範なエリアのパトロール任務を付与し、エリアに進入した不審船に対し、「群れ」のどのボートが当初対処するかを判断させ、不審船が有害か否かを判別し、対処が必要な場合には支援ボートを呼び寄せつつ、エリア全般の監視を再分担で継続させる等の任務で検証した
●この一連の試験の間、細部を直接指示しない人間の監督官には、無人ボートの「群れ」から逐一状況が報告された

●米海軍の指導者達は、有人と無人システムを組み合わせることで生じるシナジー効果の重要性を近年強調しており、無人ボートが様々な危険な任務に従事し、貴重な人的戦力の安全を確保しつつ、より経費効率的に任務遂行が可能になると考えている
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RHIB2.jpg個々の戦闘力や強靱性で劣っている無人システムを、「群れ」として扱って個別&群れの両方でコントロールして相手の対処能力を「飽和」させる方式は、陸海空のドメイン全てで追求されています。

特に中国の各種誘導兵器が、精度や数量で飛躍的な進歩を続ける中、その対処の切り札の一つとして、また相手の対処を困難にして「防御コストを強要」する手段として注目を浴び、「第3の相殺戦略」の重要要素として研究が進められているようです

人工知能AIをセンサーや情報処理技術の進歩と組み合わせることで、驚くような「群れ」が登場するのも遠くないかも知れません・・・
何となく不気味で恐ろしいですね・・・無人システムの群れに襲われることを想像すると・・・

無人機の有効活用
「国防長官が技術飛躍有りと」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10
「海軍研究所の滑空無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-04

「AI操作の無人機が有人戦闘機に勝利」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-19
「米空軍が小型無人機20年計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-18
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
「国防省戦略能力室の主要課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10

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中東に米空母なし:トランプ就任時もなし [Joint・統合参謀本部]

トランプ就任時、中東に空母なし・・・

Bush-CV.jpg12月28日付defense-Newsが、26日に空母アイゼンハワーが中東戦域での任務を終え母港Norfolkに向かったが、交代予定の空母ブッシュは米本土の母港を訓練不足で出発できない状態にあり、少なくとも2ヶ月間の「空母の空白」期間が生じるだろうと報じています

従って、来年1月20日のトランプ新大統領就任式当日には、トランプ政権が当面の国防省の最重要任務と位置付け、米国防省も最も精力を傾けている対ISILを初めとする中東作戦に、大きな役割を担う空母が存在しない状態になります

米国防省的には、代替手段として米空軍戦力を「ちょい足し」して対応するとの公式見解らしいですが、交代空母ブッシュの定期修理期間が2倍以上の13ヶ月もかかって終了した今年夏から、米海軍は遅れへの対処や今後の見通しについて何も語らず、漏れ聞こえてくる話から海軍内部が大混乱状態にあるような印象さえ与えている状態です

本件については、10月12日の記事で「定期修理が間に合わない」とご紹介しましたが、空母アイゼンハワーの任務期間延長もされず、空母ブッシュの派遣時期も不明確なまま、「空母の空白」が現実のものとなってしまいました

28日付defense-News記事によれば
Bush-CV2.jpg●通常空母の交代は、ペルシャ湾かアラビア海の現場で、双方の空母が見えるような位置になってから実施されてきたが、空母ブッシュは母港Norfolkをまだ出港しておらず、1月20日にはとても間に合いそうもない
●海軍関係者は、空母ブッシュ戦闘群は12月21日に最後の大規模な派遣事前演習を終了したが、少なくともあと1ヶ月は出発までには必要だろうと語った

●空母ブッシュは昨年5月に6ヶ月間の定期修理のためドック入りしたが、間もなく修理期間が8ヶ月必要だと発表があった。この時点では通常必要な準備訓練10ヶ月間を9ヶ月に短縮して対応可能だろうと考えられていた
しかし同空母は今年7月13日までなんと13ヶ月間も定期修理に要し、12月の交代に間に合わすには、4ヶ月間の訓練期間しか確保できないこととなった

●定期修理遅延の理由については、米海軍内の関係する複数のコマンドが様々な説明を行っているが、原子炉、搭載システム、搭載兵器等々の各関連部署の説明は複雑に絡み合っており、海軍内の連携の混乱を伺わせている
背景には、修理期間に見つかった要措置箇所への対応計画のまずさ、熟練技術者の不足等々が言われているが、背景には予算削減による人員削減や経費削減があると言われている

Bush-CV4.jpg修理完成後の訓練期間短縮についても、「Fleet Forces Command」の準備の遅れが指摘されており、修理の遅れが明白なのに、訓練計画修正のための関係者会議が8月半ばまで開催もされなかったと複数の関係者が証言している状態である
修理の遅れは空母ブッシュに限った話ではなく、担当の「Naval Sea Systems Command」は問題を認識して対策に取り組んでのに、修理が終了した7月中旬時点で、今後の訓練予定が明確になっていなかったことに疑問の声が上がっている

●これまでもそうだが、本記事掲載の向けて米海軍に今後の予定等についてコメントを求めたが、一切回答はない
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10月12日の記事や原典の米軍事メディア記事は、少し詳しく定期修理ドックの苦しい運営状態を説明し、計約3.5万人の人員で運営され、2013年以降に新規に1.3万人を雇用したが任務増加で追いつかず、また熟練工は急には育たない等の問題を抱えています

また、複雑な修理工程を計画し、突発事態に対応して計画を修正する人材の不足も深刻な模様です。

trump5.jpgなお、なぜ空母アイゼンハワーの派遣期間が延長されなかったのか記事は触れていませんが機材の傷みやクリスマスを遠征先で過ごすことの士気への影響など、なかなか外部からは見えない事情もあるのでしょう。

いずれにしても、「強いアメリカを取り戻す」とは言ってみても、この米海軍空母の状態だけを見ても、その道のりが決して容易ではない事は明白です

米空母の定期修理が間に合わない
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09

現在規模の維持だけでも年10兆円予算増
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

空母関連の記事
「F-35Cの着艦装置が凄い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22
「露空母が26年目で初任務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-23
「イラン無人機が米空母撮影」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-01

「新空母フォード級を学ぶ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「映像:革新的新カタパルト」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

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国防長官を無視:米海軍が艦艇増強プラン発表 [Joint・統合参謀本部]

予算確保に、4軍の仁義なき戦いが始まるのか・・・

Mabus.jpg14日、米海軍が「FSA:Force Structure Assessment」との形で必要艦艇数の見積もりを発表し、2014年に発表のFSAで示した308隻を47隻上回る、355隻が必要だとの主張を展開しました。
このFSAは、通常2月の予算案議会提出後に、予算案の背景説明資料の位置づけで公表されるもので、数年ごとに出されており、前回は2014年でした。

今回は12月に前倒して「増強案」を打ち出したのですが、これは明確にトランプ氏の選挙中の主張「350隻に増強する」に便乗したものであり、同時に艦艇増強案を厳しく非難して抑制姿勢を明確にしているカーター国防長官への宣戦布告(又は無視宣言)です

カーター長官とメイバス海軍長官の対立はトランプ当選後表面化しており、現在国防省内で取りまとめ中の2018年度予算案議論に置いても、カーター長官が艦艇予算を抑えるよう事前指示を出していたのに堂々と2兆円増の挑戦的案を出し、メディアが「激突」の見出しで報じたところです

予算の現状については、先日Work副長官の解説を取り上げ、「現状規模維持だけで年10兆円の予算増が必要」「規模拡大に前にやるべき事が山積」との現状をご紹介したところですが、米海軍は次期政権を見据え、なりふり構わぬ予算獲得に出始めました

2014年FSAからの47隻増強内訳は、大型戦闘艦艇16隻、攻撃型原潜18隻、空母1隻、強襲揚陸艦4隻、補給艦等8隻です。
なお、この355隻体制はあくまで「必要最低限レベル」であって「希望の理想レベル」ではなく、世界に展開する部隊指揮官の要求に応える理想レベルは「653隻体制」だそうです

米海軍の現状について不案内なまんぐーすですので、現状の勉強も兼ね、47隻増強案を16日付米海軍協会web記事でご紹介します。

大型戦闘艦艇を16隻増強
Aegis3.jpg●中国の対艦ミサイルの高度化&高速化を受け、防空&ミサイル防衛を担う大型ミサイル巡洋艦(イージス艦)の増強が、ミサイル防衛と空母戦闘群の防衛のために不可欠で、現状88隻から16隻増強を要望
現状の見積もりは、1個空母戦闘群に5隻の大型戦闘艦を配備し、対潜水艦戦闘、艦艇防御、弾道ミサイル防衛に従事させる計画だが、中国軍の脅威を想定した最新の戦闘シュミレーションでは、1個空母群の防御に7~8隻が必要との見積もりが出ている

●一方で今回の見積もりでは、大型戦闘艦をどのように組み合わせて運用するのか不明確で、Aegis Combat Systemsを「baseline-9」に近代化改修する計画との関係も不明確である
●また、巡洋艦を近代化するのか、新規巡洋艦を導入するのか、2年に1隻ペースの2つの工廠の造船能力で、現在のアーレイバーク級イージス艦の建造ペースを上げるのか等々の具体的計画も不明である

攻撃型原潜を18隻増強
Virginia-class submarine2.jpg現在48隻体制の攻撃型潜水艦だが、中国やロシアの潜水艦活動の活発化と性能向上を受け、太平洋軍や欧州軍からの派遣要求の60%程度にしか答えられていない現状であり、事態改善のため3割強の増強を目指す18隻増強案となっている
攻撃原潜は、想定される紛争の初期段階で最も重要な海軍アセットと考えられ、製造を開始しているバージニア級の能力向上計画も練られている

理想的には80隻以上の攻撃原潜が必要との見積もりもあるが、2カ所のみの潜水艦造船所の状況や、新型戦略原潜コロンブス級の生産開始もあり、実現可能性がない。
●それでも18隻増強により、空母戦闘群の実戦的訓練支援や、中国やロシアのプレゼンスに対抗するため大きく貢献するだろう

なお戦略原潜は、現在のオハイオ級14隻体制を、今後新型のコロンブス級で12隻体制する方針に変化はない

空母は1隻増強
Ford-Class-Carrier.jpg現在米海軍の空母は一時的に10隻体制に落ちており、数年後に試験を終える新型フォード級空母の1番艦が投入されて11隻体制に復帰する。今回のFSAでは、更に1隻増強して12隻体制を目指している
現在の10隻体制では、空母の定期修理と前線派遣ニーズのバランスを取ることが難しく、派遣期間の延長や不十分な派遣準備訓練の負担とリスクを負う形に陥っている

●しかし完全にはニーズに応えられず、空母プレゼンスの「まだら状態」を招いている。例えば、この夏には地中海とフィリピン近郊に各2隻の空母を派遣できたが、現在は地中海に1隻だけで、太平洋地域は空白となっている
部隊への負担とリスクを取り除き、計画的で安定した空母派遣を実現するため、12隻体制が必要である。ただしこのためには、1カ所しかない空母建造造船所が、現在の5年で1隻建造体制から、4年に1隻建造体制に変化対応する必要がある

強襲揚陸艦等を4隻増強
USS-Makin-Island.jpg現在34隻体制を目標としている強襲揚陸艦(実際は31隻のみ保有)は、4隻増強して38隻体制を追求すると今回のFSAは要望
●現在海兵隊の特別編成空地タスクフォースは、アフリカと中東と南米に展開しており、揚陸艦がないとこれら部隊はオスプレイとKC-130に輸送を頼るしかない。また、展開先の国に部隊展開基地の新設や諸支援を要請する必要があり、各種の負担が増す

●また現状では、日本を拠点とする第3海兵師団は全く揚陸艦を保有しておらず、所要の訓練や同盟国への緊急事態支援の支障となっている
●このような現状を改善するため、航空機搭載艦と輸送艦と装備修理機能艦をうまく組み合わせて増強する必要がある

沿岸戦闘艦LCSは元計画の52隻を目指す
LCSIndep2.JPG●沿岸戦闘艦LCS(Littoral Combat Ship)は、元々52隻体制を目指していたが、2015年12月にカーター国防長官が40隻に削減して他の兵器に予算を回すよう指示している
●しかし今回のFSAは、カーター長官指示を無視し、元々の52隻体制を目指す必要があると主張している

●カーター長官の40隻指示以降、海軍は国防省や議会と隻数挽回を狙って対立しているが、その間にもLCSに大きなエンジントラブルが発生するなど、今後も様々に議論を呼ぶ艦首である
●また、LCSはドロドロの機種選定の結果、2艦首が同時採用される異例の建造が続いており、ロッキードの「Freedom級」とAustal USの「Independence級」の一方を建造中断する議論も沈静化していない
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No-Zingi.jpgその他、各種艦艇を47隻増加させる計画であることから、これらを支援する各種補給艦6隻と指揮統制艦2隻の追加を要求しています。

長々とご紹介しましたが、トランプ氏の当選を受け、現在の国防長官の指示を完全に無視した艦艇増強計画を打ち出した、米海軍の姿勢が注目ポイントです

まぁ・・・各軍種の予算獲得を巡る「仁義無き戦い」が始まったと言うことでしょう。政権交代とはこういう事なんでしょうか・・・。いつものように、なま暖かく見守るだけですが・・

「規模の維持だけで年10兆円増加必要」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

米海軍の装備もグダグダですが・・・
「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-22
「沿岸戦闘艦LCSがF-35化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-09
「空母建造費の削減検討に30億円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-07

「次期SSBN基礎技術要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27
「攻撃潜水艦SSNの将来」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-28
「あと25年SLBMを延命!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

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テニアンをグアム基地の代替地に公式指定 [Joint・統合参謀本部]

中国によるグアム攻撃に備えた第1歩

Guam AF.jpg7日、米空軍がグアム島アンダーセン基地の代替地として、テニアン国際空港を正式に指定すると発表しました。今後、様々な米軍機の受け入れが可能なように関連施設や兵士用の施設整備を公式に開始する模様です。

公式には、米太平洋空軍機等の「目的地変更に備えた取り組み:Divert Activities, Exercise Initiative」と呼ばれ、「Record of Decision」との文書に米空軍が7日署名したそうです

何度もご紹介してきたように、中国は米軍による西太平洋地域への戦力投射を阻止するA2AD能力を強化しており、米側の数少ない当地域での拠点であるグアム島を無力化するための装備開発や訓練に注力しています

oki-miya.jpg中距離弾道ミサイルDF-26や最新型H-6爆撃機に搭載した長距離巡航ミサイルCJ-10等がこれに該当し、沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に進出する中国爆撃機の訓練は、グアム攻撃を模擬したモノだとも考えられています

そんな中、グアム島周辺の北マリアナ連邦に属するテニアン、ロタ、サイパン等の飛行場は、グアム島アンダーセン基地の代替候補として今年2月に選定されていましたが、環境影響調査等のプロセスを経て、テニアン国際空港の「North Option」が公式に認定されたモノです

今後、サイパン等やロタ島やグアム島の国際空港が後に続くのか不明ですが、住民への説明等、種々の手続きが行われているのかも知れません

8日付米空軍web記事によれば
Guam AF2.jpg●この取り組みの目的は、当地域での訓練活動や人道支援/災害対処における、代替拠点基地を設置する事であるが、同時にグアムのアンダーセン基地や西太平洋地域の拠点がアクセス不能や制約を受けた場合に備えて、任務遂行のためのニーズに応えるためでもある
●7日の決定により、今後テニアン国際空港には、輸送機、空中給油機等のアセットや関連要員の活動を支えるインフラや施設が整備されることになり、西太平洋地域における代替拠点や演習拠点として利用可能になる

●太平洋空軍司令部の作戦計画部長Craig Wills准将は、「テニアンの代替基地としての役割は、アンダーセン基地へのアクセスが緊急事態や災害で限定又は不能になった場合を考えれば、極めて重要だと証明されるだろう」、「この決定は太平洋軍の統合作戦能力強化に重要なステップである」と同決定を語った
●北マリアナ連邦との交渉を担当した米空軍省の施設環境担当次官補代理Richard K.Hartley氏は、「米空軍は北マリアナ社会の皆さんと緊密に協議し、この選定プロセスを慎重に進めてきた。地元の方々の支援と協力に感謝したい」と述べている
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cope-north.jpg航空自衛隊C-130輸送機などは、米空軍や豪空軍との共同訓練「Cope-North Guam」の一環として、既にテニアンで人道支援/災害対処訓練を行っていますし、陸上自衛隊も着上陸訓練で北マリアナ連邦の島で日米共同訓練を行っており、「訓練場整備」の名目で日本の予算も計上されていたように記憶しています

グアム基地の代替施設建設は、もっと進んでいるのかと思っていましたが、地元との関係もあり時間がかかっているようです。でも喜ばしくあるべき姿への進展をお喜び申し上げます
また米軍は、沖縄等に所在する航空戦力の有事避難訓練も粛々と行っています。これまた極めて軍事的合理性に沿ったモノで当然と言えましょう

一方で、グアム島より遙かに中国大陸に近い日本は、中国のA2AD対処に何を行っているでしょうか?
有事における有効性が低く、しかも極めて高価な戦闘機だけに優先投資し、その根拠基盤基地の強化や代替地確保に何も手を付けていません

Scramble3.jpg制服組の中には、それは政治や文民の仕事で我々は手を出せないと言う航空自衛官(パイロット)が居ますが、心の底では、「基盤基地の脆弱性を主張して代替基地の要望をすると、有事における戦闘機の有用性問題に波及し、戦闘機への投資を削減される恐れがあり、機数やパイロット数を削減されかねないので、隠して黙って定年を迎えたい」と願っているのです。

そんな操縦者が牛耳る組織だから、サイバーや宇宙や電子戦、弾薬や維持整備予算のことは口先だけでしか語らず、スクランブル回数が増えて大変だとしか語れず、脅威の変化を浅薄にしか知らず、同盟国米国内の安全保障議論にも興味を示さず、落日の英国軍戦闘機に乗って喜んでいるような人間を育ててトップに据える組織になってしまうのです

「対中国に5世代機を活用する前提条件」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-04

Resiliency強化の関連記事
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

極東米軍の被害復旧訓練
「米韓軍共同で訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-04
「嘉手納で米軍統合訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-29

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次の国家軍事戦略には「4+1」対処計画が [Joint・統合参謀本部]

NMS.jpg4日、Goldfein米空軍参謀総長はレーガン財団主催の「Reagan National Defense Forum」で講演し、現在カーター国防長官が確認中の2016年版国家軍事戦略には、中国、ロシア、北朝鮮、イランと国際テロへの対処計画が含まれていると述べました

この国家軍事戦略「national military strategy」は、毎年、統合参謀本部議長が国防長官に報告するモノですが、2015年版までは一般公開扱いとなっていたモノが、2016年版からは非公開(classified)にするとダンフォード議長が明らかにしていた所でした。

併せて、ダンフォード議長が同戦略のポイントについて10月に語った内容も、含蓄が深すぎて具体的イメージが描きにくいのですが、とりあえずご紹介しておきます。
なおタイトルの「4+1」とは、最近カーター国防長官が使用している要対処対象を指す言葉で、上記の4ヶ国と国際テロを表現する用語です。

米空軍参謀総長によれば
Goldfein1-1.jpg米軍は北朝鮮による核兵器獲得の野望に対処するため、非公開の対処計画を煮詰めてきた。北朝鮮計画は、国家軍事戦略に付帯文書(annexes)として添付される5つの文書の一つでアリ、他にはイランの核開発、国際テロ、更に中国とロシアの脅威への対処計画付帯文書が準備されている
●そして、これら付帯文書となる対処計画は、今年の国家軍事戦略が非公開(classified)となったことによって添付されることになったものであるが、同戦略は新たな政権が誕生した際にも報告される

北朝鮮に関しては、各種情報が示すように独裁者の発言と実際の行動にギャップがあり、この様な国の脅威には最新で信頼できる核抑止が不可欠である
●そして、核抑止に必要なしっかり機能する健康な指揮統制インフラと核兵器の3本柱の維持が、この抑止の信頼性を維持するのに欠かせない

ダンフォード議長は同文書に関し
(10月5日:米陸軍協会総会での発言)
●間もなく完成する2016年版国家軍事戦略では、国際同盟の開発発展と遠方への戦力投射の2つが文書の鍵となる
また同戦略では、「戦争:war」の定義の見直しや、国防省による戦争への準備プロセスの見直しも試みている。特に、複数の地域で同時進行的に紛争が生起した際に、地域戦闘コマンド間で、計画段階と協力実行段階でのプロセス見直しが重視されている

Dunford AFA.jpg●「戦争:war」の定義の見直しは、ロシアが欧州で行っている巧妙に組み合わされた「西側の敷居ギリギリの活動」を踏まえて行っているものである。
ロシアの当該行動は、米国の軍事力を構成する重心とも言える2つの要素、つまり米国の戦力投射力と同盟の信頼性を、損なうことを追求して練られた行為である

ロシアの行動は「hybrid warfare」とも言われる今日の紛争の特徴をなしており、我々にとって「大きな重荷」になっている。そして軍事だけでなく、政治と経済を巻き込んで様相を刻々と変える紛争の形態は、「adversarial competition」として知られている

我々は伝統的な、平和か戦争か、との区別では戦いを捕らえているが、相手はその様には考えていないのだ。
我々の軍事作戦も、ますます複雑化する国際情勢に適合しておらず、例えば我々は戦略レベルでのコマンドを保有していないし、その様な任務のコマンドを立ち上げる基準も検討していないのだ
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下記の過去記事を調べると、前回2015年版の国家軍事戦略は、何と2011年版以来4年ぶりの作成だったとか・・・。その重みの程が伺えますが、今回は力が入っているようです・・・

NMS2.jpgダンフォード統合参謀本部議長とGoldfein米空軍参謀総長は、それぞれに異なる側面から2016年版国家軍事戦略について語っており、全体像はよく分かりませんが、従来の延長では情勢に追随出来ないとの危機感は共通しているように思います

非公開文書になると言うことで、これ以上想像してもどうしようもないのですが、米国防関係者の頭の中を理解する一助としてご紹介しました。「adversarial competition」との言葉は知りませんでした

しかし・・・最近は中国対処の話がほとんど聞こえてきません。米軍事メディアも対ISILが7割、対露が2割ぐらいでしょうか・・・。

Typhoon2.jpgそう言えば、1日に在米の英国大使が、日本や韓国で訓練したタイフーン戦闘機4機が、英国への帰路に南シナ海を飛行すると発言し、更に、2020年運用開始予定の新空母「クイーンエリザベス」も南シナ海に展開するだろうと発言しています

これには中国側も冷笑チックな反応で、「meddling role:余計なおせっかい」は止めときなさいと国営通信社が反応しているところです。英国外交筋の大使に、軍事的な行動について語られたくないですね・・・。

前回2015年版の国家軍事戦略発表
何と2011年以来4年ぶりの発表だった
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-02

英国軍のアジア太平洋へのお節介!?
「タイフーン戦闘機が日本で訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-18
「新空母の艦載機が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03


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超小型レーザー誘導ミサイルPikeが人気 [Joint・統合参謀本部]

重量770gの超小型精密誘導ミサイルが大人気

Pike m2.jpgPike m.jpg約1年前の米陸軍協会総会&展示会で一般初公開され、大きな話題となった超小型レーザー誘導ミサイル「Pike」が米軍だけでなく諸外国からも大きな関心を集めていると米軍事メディアが報じています。

Pike missileは、全長43.2cm(17インチ)、直径3.8cm(1.5インチ)、重さ771g(1.7 pound)、射程約2kmのミサイルで、地上部隊が既に保有しているRPG発射装置(M203やELGM)から発射可能な点が、多くの関心を集めている理由の一つです。

またレーザーによる精密誘導が可能なことから、従来の機関銃やRPGでは攻撃しにくい目標や、精度が高いゆえに敵からの反撃を恐れなくて良い点もPikeへの関心を集める理由となっています。

更に、目標への照準用レーザー照射を同ミサイル発射前から実施する必要がなく、ミサイル発射後から命中するまでの間で十分で、最大射程時でも15秒ほどで十分とされている点も近接戦闘向きと人気を集めているようです

10月17日付DODBuzz記事によれば
Pike m3.jpg●レイセオン社担当幹部によれば、特殊地上部隊や歩兵部隊用の同ミサイルに、多くの国が関心を抱いているようで、交渉が続けられている
●同幹部は状況について、「非常に購入しやすい価格である事から、タイミングと予算次第だろう」と期待を持って語っている

●「Pike」はRPG(肩撃ち式ロケット弾)より高価だが、対戦車ミサイルの「FGM-148 Javelin」よりは安価である。
精度面で「Javelin」も有効だが、「Pike」より高価で破壊力が大きく、周辺被害も大きくなる。「Pike」は命中時の破片効果で、壁を隔てた2名を殺傷する程度の破壊力を備えている
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Pike missile3.jpg対ISILの前線部隊から緊急調達の要求が来そうですが、最前線に米軍歩兵はおらず、直接近接戦闘に従事しない特殊部隊のみ存在するが建前なので簡単ではないのでしょう

「電子回路の小型化技術により、このミサイルが実現出来た」とレイセオンの担当幹部が昨年語っていましたが、無人機の技術と併せ、この種の小型化技術にも注目です。無人機等に搭載されたら・・・恐ろしや・・・

昨年のPike紹介記事と海軍の取組
「レイセオンが重量0.8kgの超小型ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-15
「米海軍も小型誘導ミサイル「Spike」研究中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-25
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前線海兵隊に無人ヘリで迅速物資補給へ!? [Joint・統合参謀本部]

TALOS-Huey.jpg11日付でAurora社が、ヘリコプターの自動誘導システムを活用した「自動航空輸送システム:TALOS」の解説映像を公開し、複数のヘリでの基礎技術の実証試験を終了したシステムを使用し、2017~18年に掛けてボーイング製U-6H無人ヘリで本格運用実験を発表しています

解説映像は米海兵隊が使用する様子を描いており、米海軍研究所が開発予算を支援している模様ですが、どの程度まで具体的装備化の協議が始まっているのか関連報道からは不明です。

しかし、「当然このような装備が将来実用化されるだろう」と素人でも考える技術ですが、着々と民間主導で開発が進んでいる様子に、改めて時代の変化や技術の変化を感じます

11日付Defense-Tech記事によれば
TALOS-huey2.jpg●バージニア州に拠点を置くAurora社は、将来の自動空輸システム(AACUS)計画を進めているが、その一環としてヘリコプターを地上部隊の要請に応じて空輸に活用するTALOS(tactical autonomous aerial logistics systems)の開発を進めている
●同社は11日発表声明で「AACUSの主目的は、緊急物資空輸を、無人又は場合によっては有人の垂直離着陸システムで実現すること」と明らかにしている

●更にTALOSに関し、「TALOSは航空機を指すものではなく、ロボット航空機でもない。要求に応じて既存の有人又は無人機に搭載できる装置である」と説明し、既にボーイング製U-6Hと3種類のBell 206有人ヘリに搭載して基礎技術を検証していると述べている
●今後同社は、2017~18年に掛けてボーイング製U-6H無人ヘリで本格運用実験を望んでおり、米海軍研究所が予算支援を行う事になっている

Aurora社が公開した解説映像


解説映像での説明概要
前線地上部隊が緊急を要する物資補給を、沖合で待機する強襲揚陸艦に要求する
●強襲揚陸艦の担当者は、無人物資へ入りを活用した物資空輸作戦の基礎プランを作成し、ヘリを発進させる

TALOS-Huey3.jpg●TALOS搭載無人ヘリは、自身搭載のセンサーで経路上の事前情報が無かった予期せぬ障害物を避けて避けて地上部隊の指定場所に飛行する
●地上部隊の指定した着陸場所に障害があった場合は、周辺環境をセンサー等から判断し、自動的に代替着陸場所を選んで物資を届ける
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解説映像は市街地で戦う部隊への物資補給を描いていますが、より開けた場所が多い場所であれば、より早く実現可能なような気がします。

米海軍艦艇への物資補給には、既に無人ヘリ(MQ-8)が活用されていると承知していますが、着実にかなりの速度で無人機利用は進んでいます

無理矢理ですが関連記事
「2016年クールな技術」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-03
「映像:MQ-8の着艦試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-25
「超小型無人ヘリが偵察用に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-07

「映像:衝撃無人ヘリ大編隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-04
「米海軍の無人機操縦者は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-14-1

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再びハリス司令官が陸軍に南シナ海で活躍期待 [Joint・統合参謀本部]

ATACMS5.jpg15日、ハリス太平洋軍司令官がワシントンDCで講演し、かねてより米陸軍幹部に要望してきた陸軍砲兵部隊による南シナ海における艦艇対処への取り組みを改めて訴えると共に、カーター国防長官が先日明らかにした陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)に期待を示しました

要するに、米軍や同盟国の海軍や空軍の作戦拠点が少なく、中国大陸の戦力に対抗するのが難しい中、機動展開可能で比較的残存性にも優れた陸軍地上部隊の火力によって、中国海軍や海上民兵による南シナ海支配に対抗しようとするモノで、各軍種が陸海空のドメインに縛られず、他のドメインでも役割を果たす「Crossドメイン」な役割を求めているわけです

米陸軍部隊の対艦ミサイルに領域拒否(AD)を求める考え方は、数年前からシンクタンク等から発信されていますが、中東での対テロ作戦にも従事している陸軍が追随出来ておらず、カーター長官らが直属組織SCOでATACMS等の開発を推進している状況です。

15日付Military.com記事によれば
Harris.jpg15日、ハリス司令官は軍事情報サイト「Defense One」主催のイベントで講演し、南シナ海で将来米陸軍が敵国の艦艇対処に従事することを望んでいると語った
●同司令官は、太平洋軍担当エリアが海洋を主体としたエリアである事から、米陸軍が伝統的に果たして来た地に足が付いた兵士による特定領域の占領や支配任務だけでなく、「大量の兵士や火力による制圧だけでなく」、他の分野でも期待したいと表現した

●そして同大将は、米陸軍指導者達に地上配備型の対艦ミサイルによる作戦能力を備えて欲しいと要望していると語り、「地対艦ミサイルによる艦艇攻撃任務に従事すべきだと考えている」と表現した
●またハリス司令官は、日本のように他国も、潜在的な中国による侵略に備え、洗練されたミサイル開発を行っていると訴え、「西太平洋においてそんな兵器システムの配備を考え、潜在敵国にリスクを与えたいと思うのは、南シナ海や東シナ海、そして日本海である」と述べた

●ハリス司令官は特に、11月になって国防省の戦略能力開発室SCO(Strategic Capabilities Office)が検討を明らかにした、海上や陸上の移動目標にも対処できるATACMS(Army Tactical Missile System)に期待を寄せている
3日、ATACMSに関しカーター国防長官は、「かつて陸軍地対艦ミサイルと呼ばれたものが、沿岸から射程300kmで海洋ドメインに戦力投射行える」と記者発表している

21日の週にフィリピン訪問
Harris CSIS4.jpg●ドゥテルテ大統領の発言によって緊張が高まっていた米国とフィリピンの関係であるが、21日の週にハリス司令官が同国を訪問し、今後の両国間の演習、協力合意EDCAの進め方、同国南部での対テロ活動について協議を行う予定である
●(米大統領選の後に、比大統領が米国との関係改善を示唆する発言を行っているが、)9日に比国防相が、米国との演習は継続するが回数を現年間12回から7回程度に削減し、戦闘訓練ではなく災害対処訓練に重点を置くと発言していたところである

●なお、O’Shaughnessy太平洋空軍司令官は、航空戦力のフィリピンへの交代派遣の3回目であった2機のC-130派遣については終了したと語っている。
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ATACMS4.jpg防衛省が尖閣防衛のために打ち出した新型地対艦ミサイルの射程も約300kmで、この種の装備は射程300kmに落ち着く理由があるのかも知れません。共同開発との話は聞きませんので・・・

米陸軍の公式な反応を耳にしたことがないのですが、「Crossドメイン」や「Maltiドメイン」を推奨する陸軍高官個人ベースの論文等は出ているので、何らかの意志決定待ちなのでしょうか?

ドゥテルテ大統領も、トランプ氏当選後は「手のひら返し」の「米国と手打ち宣言」してましたが、米軍との関係は何処まで正常化されるのでしょうか? ハリス司令官の訪比結果に注目致しましょう

米陸軍の対艦ミサイルに期待大
「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
「ハリス長官がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06

「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12

米比関係の記事
「米比演習の中止に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-08
「C-130が2機だけ展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-27
「比大統領南シナ海共同を拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15-1
「比空軍と米空軍が3日間会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03

「なぜ10月25日比大統領来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-06
「EA-18G電子戦攻撃機が展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-18
「国防長官が交代派遣発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16

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米軍への精密誘導兵器供給が間に合わない [Joint・統合参謀本部]

JDAM-Empty.jpg11月号の米空軍協会webサイトが「Empty-Racks:弾がない爆弾搭載ポイント」ととの記事を掲載し対ISIL等の戦いで精密誘導兵器の使用が増加しており、細部は明らかにされて以内ながら、弾薬の十分な蓄積が失われていると警鐘を発しています。

一般市民への被害を局限したい前線指揮官の意向から、JDAMやHellfireミサイルやSDBの需要が急増しているのですが、米軍だけでなく危機感を募らせる中東諸国、またロシアを恐れる欧州諸国からも需要が急増しているようです。

一方で、米国の予算状況は未だ強制削減の悪夢から抜け出せずに暫定予算を繰り返し、例年ベースの予算しか確保できず、また製造企業も各種関連企業が各パーツを分担して製造していること等もあり、簡単に大増産が可能な状況でもないようです

米軍幹部の公式見解は「在庫減少を気にしているが、必要な任務の遂行には影響はない」と「から元気感」が漂うもので、実態が数字で明らかになることはないでしょうが、雰囲気を感じて頂くため記事をご紹介します

記事「Empty-Racks」によれば
JDAM-New.jpg米空軍が弾薬の保有レベルが危機的に低下していることを明らかにして1年が経過したが、依然として空軍は苦労しており、対ISILコアリション国の弾薬購入要求も断っている状態にある
●空軍は細部を開かさないが、前線の米空軍指揮官は「不足は真実だ。空の弾薬庫があちこちにある」、「弾薬備蓄量は、中東での戦いが開始以来、全米軍トータルで最低レベルに落ちている」と語っている

●今年4月、空爆用の弾薬不足が深刻さを増したことも受け、カーター国防長官が対ISILに野戦砲やアパッチ攻撃ヘリを投入すると発表し、6月頃から導入が始まり、多少は空爆用の精密誘導兵器需要が減る事が期待されている
●強制削減問題の中、在天予算で凌ぐ状況にある米軍は、通常予算ではない「海外緊急作戦費:Overseas Contingency Operations」で弾薬購入をまかなおうとしているが、手続きに時間がかかる事が問題である

●米空軍省の担当中将は、米軍の前線指揮官が安心できるレベルに備蓄量が達するまで、FMSによるJDAM等の海外提供には「No」である。正確には「今は応じられない」だが、対ISILに協力する諸国の要望にも対応できない状態

対リビア作戦は弾薬予算無し
SDB3.jpg弾薬不足が深刻化したのは、2011年のリビア作戦からである。米議会はイラクやアフガンで使用する弾薬予算は承認したが、リビア作戦には認めなかった。またリビア作戦に参加したNATO諸国が早々に弾薬を消耗し、米軍が貸し出す羽目になったことも大きかった
●ちなみに、ロシアの脅威が叫ばれる中でも、NATO諸国の弾薬不足は今も回復されておらず、今年7月のNATOサミットでも、NATO軍司令官が5年遅れとなっている弾薬備蓄努力を各国に訴えた

●米中央軍の空軍は2015年に28700発を対ISILに使用したが、2016年はそれを上回るペースで使用が進んでおり、多い時には毎日100発以上のペースとなる
米海軍と米空軍は「協力して」JDAMを調達していると報道官は言うが、在庫をシェアしていない。また米空軍は海外に貸した弾薬分の返却に新型JDAMを要求したりもしている

企業努力も単純ではない
●JDAMとSDB(Small Diameter Bomb)を製造するボーイング社は、キットの製造を毎日120から150に増産し、2017年末までに36500キットを製造する計画を立てている
無人攻撃機MQ-9が搭載する精密誘導兵器であるHellfireミサイルは、要員養成訓練用の使用も増加しており、増産を迫られている

SDB4.jpg●8月に米空軍長官は、ボーイングやロッキード以外にも製造メーカー拡大をしたい旨の取り組みを表明したが、物事はそう単純ではなかった。大企業が製造ライセンスを提供することには向かなかった
●JDAMなどの精密誘導兵器が登場した当時は、これほど大量に使用されるとは想定されず、レーダーやエンジンのように複数の製造企業を競わせる体制が必要だと考えず、法律の対象範囲とならなかったのである

●精密誘導兵器全体の需要が高まり、企業の製造部門が追いつかないこともある。例えば無誘導のロケット弾「Hydra rocket」の先端に装着するだけで誘導兵器になる、「Advanced Precision Kill Weapon System」も製造もそうで、3倍増に対応している
●爆弾製造が複数組織の共同作業であることも単純増産を難しくしている。例えばボーイングは誘導キットだけを製造しており、弾頭自体は米陸軍が空軍に提供しているだけで、これら関係者を組み合わせていくことが単純でないのだ
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弾薬の保有量は、基本的な作戦遂行上の重要秘密事項です
ですから、これくらい密かに話題になると言うことは、かなり深刻な事態になっていると見て良いでしょう

金目の問題だと思いますが、「勇猛果敢、支離滅裂」な空軍の世界では、最新の機体にだけ注目が集まり、弾薬予算は残予算で充当しておけ・・・的な収まりであることが多いのでしょう
ある日突然、大きな問題としてクローズアップされないことを祈ります

弾薬関連の記事
「リビア作戦での欧州惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-10
「韓国は地中貫通弾530発購入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-27-1
「JDAMキットで射程・全天候性向上」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-07

「ロケット弾を誘導兵器に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-12
「超巨大貫通弾MOP完成か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-18

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