So-net無料ブログ作成
検索選択
Joint・統合参謀本部 ブログトップ
前の15件 | -

無人給油機で空母艦載機行動半径倍増へ [Joint・統合参謀本部]

MQ-25 6.jpg8月31日付米海軍協会web記事は、米海軍航空司令官Mike Shoemaker中将がこれまで誰も具体的に語らなかった無人艦載給油機MQ-25 Stingrayの運用効果に言及する様子を紹介しています。

具体的に、現在のFA-18の最大行動半径は約450nmだが、MQ-25導入によりこれを300~400nm延伸できる語り、懐かしのF-14Dトムキャットが引退した2006年まで確保していた650nmを超える活動半径を獲得できるとしています

また以前ご紹介した精密着艦誘導装置「MAGIC CARPET」 の導入で搭載燃料に余裕ができ、また搭載兵器の射程や能力向上も相まって、空母艦載機の総合的な戦闘能力が向上させるとの構想(夢)を語っています。

8月31日付米海軍協会web記事
Shoemaker.jpg●Shoemaker海軍中将は米海軍研究所の機関誌「Proceedings」に対し、2019年からの運用開始を目指して企業提案に向けた準備が進められているMQ-25 Stingrayの導入で、FA-18やEA-18Gの作戦行動半径が最大400nm延伸できると語った
●同中将はMQ-25が、空母から500nm離れた地点で、15000ポンドの燃料を艦載機に提供可能との数字を挙げて運用構想に言及した

●具体的には、現在450nm程度しかない艦載作戦機の行動半径が、300~400nm延伸して700nmを超える距離になると同司令官は表現し、2006年まで米海軍が使用していたF-14Dがドロップタンク2個を使用して可能だった半径650nm運用と比較して語った
●また海軍航空部隊の指揮官として同中将は、現在FA-18飛行時間の3割程度を割いている給油任務を軽減することで、FA-18への負担を減らして本来の作戦任務に充当できる点も、MQ-25導入効果として強調した

●艦載の空中給油機は、任務用給油と帰還時給油の2つのタイプの給油を行うが、MQ-25はその両方をFA-18給油型よりも効率的に行うことが可能で、4~6機の面倒を見ることができる
●またMQ-25と合わせ、精密誘導誘導装置「MAGIC CARPET」の導入によって、帰還時の安全確保予備燃料提供用の空中待機給油機のニーズが減少することも期待できる

MQ-25A Navy.jpgMQ-25の操縦者について同中将は無人ヘリMQ-8B/Cを有人ヘリ操縦者が「cross-train」で要請配置する方式と似た方式を考えており、「MQ-25を運用する小さな派遣部隊を編成して空母に派遣することになろう」、「操縦者はFA-18、E-2、EA-18G、F-35から要請されるだろう」と語っている
●しかしMQ-25の価格については言及がなかった。価格については、6月にMQ-25開発計画責任者Mark Darrah少将にインタビューした際も言及を避け、「最初に価格目標を企業に提示するのではなく、要求性能を提示して企業の提案価格を聞き、その後に要求とのトレードオフを検討するアプローチを考えている」と説明していた

●現在MQ-25計画は、最終的な提案要求書の詰めに入っており、Richardson海軍作戦部長が望む2019年の運用開始に向け、「Northrop Grumman」、「General Atomics」、「Boeing」、「Lockheed Martin」が提案を行う方向にある。
//////////////////////////////////////////////////////////////////

まぁ・・もちろん艦載機の行動半径が伸びることは好ましいことですが、今の中国軍の対艦兵器や搭載アセットの行動範囲を考えれば、効果の程は限定的ではないでしょうか?
第2列島線付近にまで空母が後退することも十分考えられますからねぇ・・・

MQ-25A-3.jpgMQ-25操縦者の確保については、説明がよく理解できません無人ヘリの「cross-train」に似たようなとか、「small detachment of officers who run the MQ-25」を設置するとか、もう少し説明が欲しいところです。

無人機の導入実績からすれば、運用環境が厳しい海軍は空軍よりはるかに慎重ですが、それだけに海軍の無人機導入は「人間の物語」としても面白そうです

驚きのMAGIC CARPET
「F-35Cの着陸精度が素晴らしい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22
「FA-18とEA-18Gにも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-09

MQ-25のゴタゴタな道のり
「MQ-25のステルス性は後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27 
「CBARSの名称はMQ-25Aに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「UCLASSはCBARSへ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02

「UCLASS選定延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1
「米海軍の組織防衛で混乱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01
「国防省がRFPに待った!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12
nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米陸軍:イスラエル製戦車防御システム導入へ [Joint・統合参謀本部]

米陸軍少将「開発に興味はない。部隊配備に関心があるんだ」

M1A1FIRING.jpg8月21日付Defense-Techは、米陸軍が朝鮮戦争当時から追い求めてきた戦闘車両積極防御システム(APS)装備を米国開発でなくイスラエル軍が既に導入しているイスラエル製を導入する方向で間もなく決定すると報じています

この戦闘車両積極防御システムAPS(Active Protection System)は、近年急速に発達している対戦車ミサイルなどから戦車などを防御するもので、装甲を厚くしたりする「受動的手段」ではなく、対戦車兵器に対し金属球を散弾銃のように発射して無効化を狙う「積極的手段」の装備です

米軍自身も1950年代から何度か開発に着手してきたようですが、戦車の有効性や投資の有効性、開発品の出来栄え、他の事業との優先順位等々の理由から装備化には至らなかったようです

Trophy APS.jpg今回米陸軍が迅速な導入に取り組んでいる理由を記事は説明していませんが、まんぐーすが考える理由は2つ

まず対ISIS戦の教訓や米陸軍が将来のポイントだとする巨大都市での戦闘を考えたとき、近年急速に発達している対戦車ミサイル等の脅威が無視できなくなっていること。
そして更に、米軍に鮮烈な印象を残ししているウクライナでの教訓から、ロシア軍が既にAPSを既に導入して有効性が明らかになったことも大きな背景だと考えます

冒頭に紹介した米陸軍少将の言葉は限られた予算で最大の効果を得るには、設計から始まる研究開発に時間や経費をかけていられないとの「やむを得ない」背景と選択と覚悟が生んだものでしょうが、情勢の変化に応じ、何とかしようとする米陸軍戦闘車両担当者の努力をご紹介します。

Rafael社の紹介映像(約2分半)


21日付Defense-Tech記事によれば
●米陸軍で地上戦闘システム計画を担当するDavid Bassett陸軍少将は、米陸軍が来年度予算でM1A1戦車への搭載を間もなく決定する方向にあるAPSは、イスラエル軍が既にメルカバ4戦車に装備している通称「Windbreaker」と呼ばれている「Trophy Active Protection System」だと説明してくれた
Trophy APS2.jpg●同APSはイスラエルのRafael社とElta社が開発し、2009年からメルカバ4戦車に搭載を開始している装備で、イスラエル軍がハマスとのガザ地区での戦闘で有効に機能していると評価し、同少将が「1個旅団分の価値がある能力付加だ」と期待する装備でもある

●同APSは戦車の全周をセンサーでカバーし、車両の両側に装着された回転式発射機がショットガンのように小型金属球を発射して戦車を防御するもので、戦車1台に4~5千万円で装備できる

Bradley M2A4.jpg●同少将と担当の大佐は、 新型装甲車両AMPV(Armored Multi-Purpose Vehicle)を除き、米陸軍は現有装備の近代化や改良を、コストがかかる設計開発から行うのではなく、イスラエル製APS導入のように既存装備の導入で行う方向だと語った
●同少将は「多くの施系や開発が必要でない既存装備の導入は、迅速に能力向上を進める一つの方策である」、「開発に興味はない。部隊配備に関心があるんだ」とも表現している

同少将の担当分野に米陸軍は年間約3300億円の予算を配分しているが、「膨大な分野に配分しなければならず、いかに効果的に限られた資源を配分し、成果に結びつけるかに苦心している」と同少将が語る現状がある
●同少将はまた「陸軍の主要戦闘装備を新規に開発する予算はなく、私は予算を効果的に使用し、すべての旅団装甲戦闘チームABCTを概ね同時に能力向上させたいと考えている」とも述べている

howitzer M109A7.jpgAPS以外には、「30mm cannon」と「CROWS II(Common Remote Operations Weapon Station II)」を使用し、「FGM-148 Javelin」を米陸軍装甲車両内から発射可能にすること等を考えており、M1A1戦車以外にも、「Bradley troop carrier, the M2A4」や「Paladin howitzer, the M109A7」の能力向上に取り組んでいる
///////////////////////////////////////////////////////////////////

まぁ、米陸軍としては戦車を中心に話題が進んでいることに疑問の向きもありましょうが、戦闘車両全体への取り組みと理解しておきましょう。

全般には海軍と空軍に押され気味な米陸軍の、装備近代化の最前線をご紹介しました。

本記事の背景を探る関連記事
「ロシア陸軍がすごかった:防研のレポート2017」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「米陸軍トップ:10年で巨大都市戦に備える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-22

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米海軍初:無人機の照準情報で対艦ミサイル [Joint・統合参謀本部]

そうなんだ・・これも初めてなんだ!?

Harpoon.jpg8月22日、グアム島沖で訓練中の沿岸戦闘艦LCS「Coronado」が、無人ヘリからの目標情報により、米海軍史上初めてハプーン対艦ミサイルRGM-84D Block 1C)を見通し線外の水上目標に発射して命中させました。

またMH-60H有人ヘリも情報伝達リンクに加え、射撃後の攻撃成果確認も(BDA:Bombing damage assessment)行った模様です。MQ-8B無人ヘリは遠方監視用(C型は輸送用)で、MH-60Sは主に輸送を担う多用途ヘリ(R型が対潜哨戒用)で、共に沿岸戦闘艦に搭載されている装備ですが、これに必要なセンサー等を搭載し、今回の遠方目標ターゲティングを成功させたものです

敵がA2AD能力の発展で各種ミサイル等により遠方攻撃能力を増す中、米海軍はNIFC-CA構想の下、米海軍航空アセットの情報をリンクでつなぎ、より遠方から現有対艦及び防空ミサイルを発射しようと試みています。例えば、艦艇防空用のSM-6ミサイルを対艦ミサイルに応用し、E-2DやF-35によって得られた目標情報で攻撃しようとの取り組みです

MQ-8C.jpgMQ-8B無人ヘリやMH-60Sは敵の脅威に弱い装備だけに、実戦の場面で目標情報を入手する前方センサーとして活用する構想があるのか不透明ですが、搭載されたセンサーや他アセットのターゲティング情報で艦艇攻撃を行うのは「重要な一歩」ですので、「まだ初めてなんだ」とも思いましたがご紹介しておきます

また、「アジア太平洋リバランス」の目玉事業の一つとして数年前に打ち上げられた、シンガポールへの4隻の沿岸戦闘艦ローテーション派遣の現状についてご紹介します。

25日付Defense-News記事によれば
MQ-8.jpg●米海軍の発表によれば、沿岸戦闘艦「Coronado」に所属するMQ-8B Fire Scou無人ヘリやMH-60S Seahawkへりは、搭載した水上レーダーや光学センサー等々のセンサー情報をデータリンクを通じて母艦に提供し、対艦ミサイル発射後はその飛翔もモニターし、攻撃後はその戦果確認も行って母艦に伝えた
●MQ-8B無人ヘリには、「AN/ZPY-4(V)1 multi-mode radar」「FLIR Systems Brite Star II day-and-night electro-optical turret with a laser-target designator」が初めて装備され、艦艇に搭載された。

●「Coronado」は昨年10月からの約1年間に及ぶシンガポール派遣の最終段階にあり、同LCSが所属する第73任務機動部隊を指揮するDon Gabrielson少将は、「約5万もの島々が点在するフィリピンからインドまでの海域を担当する上で、同艦の作戦行動と維持整備が成功裏に行われたことを高く評価する」と語っている
●具体的には今回の派遣期間内に、同LCSの定期整備をベトナムのカムラン湾で実施する実績を収め、またフィリピンとの海賊対処共同訓練も行ったと同少将は成果を語った
●また現在のグアム周辺での訓練を終了後、同LCSは9月にスリランカとインドネシアに向かい、それぞれの国の軍と訓練を行う予定だと同少将は説明した

HH-60G.jpg●シンガポールのChangi海軍基地に4隻をローテーション派遣をシンガポールが受け入れることに合意しているが、2018年末までには、初めて2隻の米海軍LCSが同時にシンガポールにローテーション派遣派遣されることになると、同少将は明らかにした
●現時点でLCSは、5隻が任務についており、3隻が進水後に各種装備を搭載作業中で、2隻が建造中である

●沿岸戦闘艦は任務に合わせて多様なモジュールを選択して艦艇に搭載する「modularity」が特長だが、同少将は「このmodularityを実現することが将来には重要で、装備と人員の両面で、多様な任務と装備に習熟することで当地域の多様な任務需要に対応するようにする」と語っている
//////////////////////////////////////////////

LCSindep.jpg「アジア太平洋リバランス」の目玉事業の一つとして、新型艦艇LCSをシンガポールに4隻ローテーション派遣すると米国防長官(パネッタ長官)が打ち上げたのが2012年春でした。

同艦1~2隻の派遣については、前任のゲーツ長官時点(2011年)でシンガポールが同意していますが、6年前の政治的アピールさえまだ実現していないのが「アジア太平洋リバランス」の実態です。

Gabrielson少将が述べているように、2018年末に初めて2隻の派遣が実施されたとして、7年遅れの実現で、2012年に大々的に打ち上げた4隻体制の確立など期待しないほうが良いでしょう
実際のところ、2013年春にヘーゲル長官がLCSのシンガポール派遣に言及して以降、4隻ローテーション派遣に国防省は言及していません

今年の春、マティス長官はアジア安全保障会議で「私は地域の皆さんの話しを聞きに来た。ここで得た情報を元に、政策を煮詰めて生きたい」との主旨の発言をし、具体的なアセットの名前に一切言及しませんでした。これが米国防省のアジア政策で、コミットするとの言葉だけが泳いでいる実態です

無人機によるターゲティング情報リンクについては、今後MQ-8B無人ヘリやMH-60Sが実戦でもその役割を担う構想があるのかに注目したいと思います

関連の過去記事
「映像:MQ-8の着艦試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-25
「リバランスは終了。それで?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「国防長官がLCS削減要請」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-18
「LCS2隻の派遣は同意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-10

NIFC-CA関連の記事
「道遠し?:NIFC-CAの進展」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-26
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「最新型E-2早期警戒機が岩国へ展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-16

「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「日本&韓国とBaseline 9契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-28
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11

「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05
「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23


nice!(2)  コメント(1) 
共通テーマ:ニュース

米爆撃機2種欧州展開と欧州対策に警告 [Joint・統合参謀本部]

対露で欧州にもB-1とB-52爆撃機派遣

B-1B.jpg8月23日付米空軍協会web記事が、対ロシア抑止のための一環として米空軍の大型爆撃機B-52とB-1が英空軍基地に派遣され、東欧諸国(スロバキア、ポーランド、チェコ)等で航空ショーや演習に参加すると報じています

この大型爆撃機派遣は、米軍がロシア対処のため2015年から開始し、今年は昨年の4倍増の予算で推進しているERI(欧州確証取り組み:European Reassurance Initiative)の一部と見られますが、一方で米国防省の監理監察官は、このERIの遂行体制や有効性検証体制が不十分であると指摘する報告書を22日に公表しており、併せてご紹介します

また7月に米海軍FA-18がシリア上空でシリア軍SU-22を撃墜して以来、緊迫していると考えられている同地域での米国とロシアの関係に関し、多国籍部隊側の幹部が、対ISIS作戦がますます密集して混雑する中でも、両国間の作戦調整電話回線が有効に機能していると23日にブリーフィングしているので取り上げます

米空軍大型爆撃機の英国展開
B-52-UK.jpg8月23日に米空軍のB-1爆撃機2機とB-52爆撃機1機が、英国空軍のFairford基地の到着したと米欧州コマンドが発表した。
●これら爆撃機は、8月26~27日にスロバキアで開催される「Slovak International Air Fest」と、ポーランドでの「Radom International Air Show」に参加する予定である

●またその後、8月28日から9月9日までの間にチェコで実施される毎年恒例の演習「Ample Strike 2017」に参加し、昼夜連続の攻撃訓練に焦点を当てた訓練に望む予定である

F-15Cもバルト3国とアイスランドに
F-15C.jpg●また欧州米空軍は、空軍戦力を持たないバルト3国の領空保全のため、英国配備中のF-15Cをリトアニアに派遣すると発表したした。現在ポーランド軍F-16が担当している任務を引き継ぐもの
米空軍が同任務を担当するのは2014年以来で、9月から2017年末まで担当する予定

●また23日、米本土の州空軍所属の6機のF-15Cがアイスランドに展開し、領空監視任務を実施すると欧州米空軍が発表した

米国防省監察官がERIに注意喚起
East-Euro22.jpg22日に米国防省監理監察官が発表したレポートは、(昨年比で4倍になる)ERI予算に伴って急増する欧州コマンドの作戦や演習について、同コマンドの人員やインフラ等が十分に整う前に実施しなければならなくなる恐れがあり、リスクを伴うと注意喚起を発している
●また同レポートは、欧州コマンド自身もERI実施に伴う各種影響や効果を把握する「評価基準:metrics」や手段を保有しておらず、ERIの結果を把握し、以降の改善につなげる準備が出来ていないとも指摘している

●監察官はERIの一環である「大西洋の決意作戦:Operation Atlantic Resolve」に関する動きを中心に評価を行っているが、同時に(予算の強制削減の恐れから来る)将来の予算の不透明・不安定さも、ERIの有効性のリスクの一つとなっているとも指摘している

シリアでの米露調整ラインは有効に機能中
●23日、対ISIS作戦多国籍軍の副司令官であるRupert Jones英陸軍少将が記者団にブリーフィングし、シリア内の作戦は(ISISの勢力範囲が狭まり、対IS側が集中する傾向にあることから)「より混雑してきている」が、多国籍軍側とロシア側との作戦調整回線は「有効に機能している:serving us very well」と語った
ISIS-TOYOTA.jpg多国籍側が支援するシリア民主軍と、アサド大統領側の軍が、「Tabqa and Manbij」のような地域で近接して作戦すること増えつつあるが、「緊張緩和の要領は手順どおりに遂行されている」と同少将は語った

●また同少将は、「手順を確立しており、如何に緊張を緩和し、衝突を回避するか把握している」、「今後は更に戦域が狭くなって混雑すると予想される」とも表現した
●米軍が支援するシリア民主軍は、約2500名のIS戦闘員が固める都市「Raqqa」に向かって進撃しており、多国籍側作戦機が攻撃を行っているとも説明した
///////////////////////////////////////////////////

最後の「シリアで米露調整ラインが有効に機能」は、昨今の北朝鮮を巡るロシアの動向を踏まえるとにわかに信じがたい部分ですが、英陸軍少将が嘘を言う必要もないので、ロシアにとってもISIS後のシリアやイラクを考えての態度なのでしょう

欧州正面でロシアにも目を配らないいけない米国は大変です。
ロシアも、米軍が疲労困ぱいで必死の遣り繰りの中でERIに取り組んでいることは十分承知しているでしょうから、効果の程は良くわかりません。それこそ「評価基準:metrics」が必要かもしれません。

F-15J.jpgそういえば日本でも、戦闘機命派がアピールする東シナ海での対領空侵犯措置(スクランブル対処)に関し、本当に現在の日本の法的基準や行動基準で、またこれだけハードに投資して有効なのか、何らかの「評価基準:metrics」が必要だと思います

まんぐーすは、ソフト面で強化することにより、ハード面への投資負担を減らす方向に舵を切るべきだと思います

ERIに関連する記事
「対露の欧州米軍予算4倍を説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2
「欧州への派遣や訓練を増加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「F-35初海外はやっぱり英国」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「F-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15

中東での米露関係
「米FA-18がシリアでSu-22撃墜」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-19
「モスルはISから解放されたけど」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-11

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

改善提案で個人携行品重量を3割カットへ [Joint・統合参謀本部]

Marine Innov2.jpg4日付Defense-Techが、米海兵隊が業務改善提案や新技術のアイディアを募る「Marine Corps Innovation Challenge」を実施し、2016年のコンテストで数百の提案から18個の優良提案が選ばれた中から、海兵隊兵士の個人携行荷物重量を削減する「スマート」な提案を紹介しています

同記事が紹介する「スマートデバイス」を用いた方策が、本当に個人携行品を減らすのか疑問な気がするのですが、それれはさておき、米海兵隊が行っている個人のアイディア募集と優良提案の扱いが興味深いところですので、アイディア募集映像(担当の中将が自ら出演)とあわせご紹介します

4日付Defense-Tech記事によれば
Marine Innov.jpg●2016年の米海兵隊改善提案(2016 Marine Corps Innovation Challenge)において、Alexander Long上級軍曹が考案した前線部隊の補給サイクルを改善して個人携行荷物を削減する「スマートディバイス」を活用する提案が18個の優秀提案の一つに選ばれた
●同軍曹の提案はPCARD(Personal Combat Assistant and Reporting Device)と命名された前線部隊用システムで、スマート時計のような個人装着型端末と、分隊長クラスが保持する「タブレット」端末、そしてシステム全体を管理する小隊長レベル用のノート型PC等から構成されており、リアルタイムで前線部隊のニーズを把握し報告できる

分隊長は個人装備型の端末で各兵士のニーズを把握し、小隊長は全体の物資保有状況を掌握して、何を優先してどれだけどのように補給物資を要求するか決定できる
●このように部隊全体のニーズを的確に把握することで、現在基本として少なくとも3日分の補給物資を個人で携行することになっているが、この分量を減らすことが可能になると、提案者のLong軍曹は考えている

●同軍曹の見積もりに寄れば、現在は一人約30~45kgの補給物資を背負って行動するが、このPCARDが構想どおりに機能すれば、その重量を33%削減可能である。
●これまでも海兵隊は紺人携行荷物の量や重量削減に取り組んできたが、最新技術で更に大きな改善が見込まれると同軍曹は自信を持っており、海兵隊が別に検討している小型無人機による補給物資の最前線への配分構想とも連携できると考えている

提案実現への支援体制など
Marine Innov3.jpg●もちろんサイバー対策は第一優先の要確認事項だと同軍曹も認識しており、この改善提案コンテストを主催している海兵隊司令部の部署や軍曹が勤務する海兵隊システムコマンドとも連携し検証を進めている
●既にこの提案は、南ミシシッピ大学や軍需企業との共同研究体制でプロトタイプ作成に動いており、海兵隊部隊での実地試験も始まっており、より大規模で本格的な部隊試験も10月に計画されている

●なお、Long上級軍曹にはこの提案の功績により、2017年7月から有名なスタンフォード大学の起業家啓発プログラムを履修するチャンスが与えられた
8月15日から正式にスタートする2017年の同提案募集は、「兵站:logistics」に焦点を当てたものとなっており、優秀な提案は国防省研究機関や関連する大学などと協力体制を構築し、Long軍曹の提案のように実用化に向けた組織的支援を得ることが出来る。

提案を募集する担当中将出演のYouTube映像
https://youtu.be/vECZ1lUsny4
////////////////////////////////////////////////////////////

ところで、前線兵士にタブレットや携行型個人端末を普及させるのは時代の流れとして理解でき、上手く活用できれば情報共有や指示命令の徹底に有効だとは思うものの、本当の前線で充電はどうするのでしょうか?

Marine Innov4.jpgイラクやアフガンでの様に、毎日拠点となる設備充実の基地から出動して夜戻るならまだしも、敵の支配地域や勢力下地域に侵入するとなればどうするんでしょう? 小型ソーラーパネルでも持ち運ぶのでしょうか? かなり気になっています

しかし、映像の中将殿を含め、本当に海兵隊の皆さんはたくましいですね・

米海兵隊関連の記事
「小型無人機対処に悩む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-17
「艦載援護&攻撃&電子戦機を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-24
「電子戦態勢の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-06

Neller海兵隊司令官の熱い信念
「被害状況に備え訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-16
「基本的な防御手段を復習せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「生活習慣を改善せよ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

イラン無人機が米軍FA-18の着艦妨害飛行 [Joint・統合参謀本部]

今年に入り13回目の両海軍の不安全接触とか
ペルシャ湾も波高し

QOM-1 UAV.jpg8日付各種報道によれば、ペルシャ湾の公海上で行動中の米海軍空母ニミッツから発進して着艦しようとしたFA-18にイランの無人機が約30mまで接近し、FA-18が衝突を回避しなければならなくなる事案が生起したと報じています。

約1週間前には、同海域でパトロール中だったUSS Thunderboltが、イラン革命防衛軍所属の艦艇が危険な接近行動をとったため、機関砲で警告射撃を行ったと言う事象が発生しており、米空母へのイラン無人機による嫌がらせ行為も初めてではないようですが、対ISIS作戦が終盤を迎えようとも、引き続き中東が一触即発の危険な状況にあることをご紹介するため取り上げておきます

8日付各種報道によれば
USS Nimitz2.jpg同事案を最初に報じたのはCNNだったが、米中央軍海軍の報道官もこれを認め、空母ニミッツに着艦するため空母の周囲を旋回するパターンに入っていたFA-18に、高度差約30m、水平距離約60mまでイランの無人機QOM-1が接近し、FA-18が安全確保のため回避行動を余儀なくされたと声明を発表した
●同報道官は「イラン無人機の行動は、空母艦載機の通常の行動パターンを承知の上で行われたものであり、国際海洋法規や慣習に背く行為である」とも述べた

●そして同報道官は、このようなイラン軍による不安全でプロ意識に反する行為は、今年に入って13回目だと説明した
●別の海軍関係者は、同無人機はQOM-1で、大きさは長さ約3m、幅5mのかなりの大きさだと質問に答えた

7月末には、パトロール中の米海軍艦艇USS Thunderboltが、イラン革命防衛軍所属の艦艇が危険な接近行動を見せたため、搭載の機関砲で警告射撃を行ったところである
QOM-1 UAV2.jpg●また5月には、同海域で行動していた空母ブッシュ艦長が、イランの無人機は繰り返し空母の行動を邪魔しにくると述べ、「世界中にこのようなドローンが拡散しており、イランも例外ではない」、「決して小さくない、偵察用無人機だ」と訴えていた

●なお、空母ニミッツは空母ブッシュとペルシャ湾での任務を交代するため同海域に到着したばかりであり、空母ブッシュは間もなくノーフォークへ帰還する
///////////////////////////////////////////////////

中東と言えばISISの話題しか取り上げていませんでしたが、対イランも予断を許さない状況にあるようです。

「QOM-1」が具体的にどんな機体なのか良くわかりませんが、それらしい写真をご紹介しています。報道記事はその大きさを「a drone of about about 14 feet by 26 feet」と表現しており、かなりの大きさで、FA-18が衝突すれば、かなりの被害を受けると思います。

先日は、米軍需産業が無人機輸出規制緩和を要望とお伝えしましたが、このような無人機技術の拡散がもたらす負の側面も無視できません。複雑な、住みにくい世の中になりました・・・

無人機対処の関連記事
「民間ドローン撃退方針指示」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-08
「海兵隊も対処に悩む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-17
「ACC司令官が対処権限を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-15

「イスラエル製を17億円で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-28
「DroneDefenderをご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30
「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

宇宙配備のミサイル防衛センサー整備が急務 [Joint・統合参謀本部]

Hyten7.jpg7月26日、米戦略コマンド司令官のJohn Hyten大将が記者団に対し、最も重要な投資先として、宇宙配備のミサイル防衛センサー(space-based sensors)を上げました。

折しも、北朝鮮がICBM実験を繰り返す中での発言であり、発言の前後関係がよくわからず、この宇宙配備センサーと北朝鮮問題が関連するのかも知識不足で分からないのですが司令官自身が若かりし頃から関与した「30年前から指摘されている課題」だそうなので、ご紹介しておきます

懐かしの「スターウォーズ構想」とも呼ばれた、1980年代の「SDI(Strategic Defense Initiative)」にさかのぼる課題が、今蘇る・・・との悪夢です

27日付米空軍協会web記事によれば
space-based 2.jpg●Hyten司令官は記者団に対し、「今最も重要な投資先はセンサー能力の増強である。なぜなら、世界中で何が起ころうとも、効率的にこれに対処して防御するには、どのよう様な脅威なのか見極める必要があるからだ」と語った
●そして「完全なセンサー覆域を確立できるような地上配備のセンサーを設置するためには、地球全体にセンサー立地場所を確保する必要があるが、それは不可能であり、そのため宇宙配備センサーで米国のミサイル追尾能力を拡大しなければならない」と説明した

●また、宇宙配備センサーの開発は、1980年代のSDI構想時代の30年前にさかのぼる課題であると同司令官は説明し、弾道ミサイルのミッドコース追尾システムの要求性能について、自身がSDI計画の主任技師として1989年に取り組んだ経験から語った
●そして当時すでに、ミッドコースをカバーするには宇宙配備センサーしかないと、米国防省は理解していたとHyten大将は振り返った

space-based 3.jpg●宇宙配備センサーの課題は、その当時から一貫して如何に導入可能な金額に抑えるかであったが、同司令官は、ミッドコースをカバーするセンサー自体は「途方もなく高額なわけではない」と訴えた
●そして問題は、宇宙配備のセンサー衛星に、多様な要求を詰め込みすぎて、極めて高価格のシステムにしてしまった事であると説明した

例えば、「より広範なミサイル警報要求」や「戦術情報収集能力の要求」などを同時に詰め込むことで、あまりにも高価なシステムにしてしまったのだと嘆いた
●そして、もし国防省が予算的に可能な範囲で効率的に事業を進めるため、多様な各種要求をコントロールしていたら・・・と考えると残念だとも同司令官は語った

インターセプター能力の向上が次に
space-based 4.jpg●更にHyten司令官は、宇宙配備センサーに続く課題として、「要撃兵器であるインターセプター能力の向上」を取り上げ、現在のミサイル要撃兵器は基礎的で単純な北朝鮮のような脅威にしか対応できないと警戒し、
●「脅威は日々進化し続けている」ので、米国は脅威の進歩に追随しなければならないと訴えた

要撃兵器の将来の配備場所や数量は政策的な判断であり、年末までかけて現在トランプ政権で行っている「ミサイル防衛見直し:BMDR」の結果を受けて検討されると説明した
●なお同司令官は4月4日の上院軍事委員会でも、今後行われるBMDRにおいて、ミサイル防衛庁からの勧告を受けつつ、より信頼できる要撃兵器が、宇宙配備の重層的なセンサー等を備えた将来能力向上が盛り込まれることをを望むと証言している
/////////////////////////////////////////////////////////////

弾道ミサイルの飛翔は3つの段階、つまり、打ち上げ段階(ブーストフェーズ)、中間飛翔段階(ミッドコースフェーズ)、そして最終段階(ターミナルフェーズ)に区分されますが、特に米国本土に大海を渡って脅威となるようなICBMでは、中間飛翔段階(ミッドコースフェーズ)での把握や脅威判定が重要なのでしょう

GBI.jpg要撃兵器( kill vehicleとかインターセプターとか呼ばれる)には、最終段階(ターミナルフェーズ)用にPAC-3とTHAAD、ミッドコース用に艦艇配備のSM-3がありますが、ICBMは最終段階で非常に高速飛翔しており、より高度な要撃兵器を必要としています

これに挑むのが、GMD(Ground-based Midcourse Defense:地上配備型ミッドコース防衛)構想の下、米国が本土配備を開始している迎撃ミサイル「GBI」です。
北朝鮮のICBM実験を受け、2014年6月以降3年ぶりに、思い出したかのように今年5月末に迎撃実験を行ったのがこれです。

なお、このGMDに関しては「海国防衛ジャーナル」の5月31日付記事が、包括的に解説しており大変勉強になります

初のICBM迎撃実験に成功:米本土ミサイル防衛(GMD)とは
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50788602.html 



nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

レールガン:依然として摩擦と消費電力が課題 [Joint・統合参謀本部]

Railgun-navy.jpg7月21日付Defense-Tech記事が艦艇搭載レールガンの開発状況を担当責任者に取材し、この夏から開始される試験の狙いや課題について紹介しています。

レールガンは、金属の飛翔体を強力な磁界を砲身内に形成して打ち出す兵器で、炸薬を爆発させて弾頭を飛ばす従来の大砲に比べ、安価に大量の飛翔体(弾頭)を艦艇に搭載でき、敵による各種ミサイルによる飽和攻撃を撃退したり、敵に対応の暇を与えない飽和攻撃を可能にするものと期待されてきました

railgun4.jpgしかしレーザー兵器と同様に2006年に初期型のプロトタイプで試験が始まったものの、各種課題を克服できず、未だ艦艇への搭載予定は明確になっていません

主要な課題には砲身が高速で射出される飛翔体との摩擦に耐えられず、耐久性が確保できないことや、更に必要とされる大電力の確保が容易でないことが挙げられており、実現化に向けた挑戦が続いています

7月21日付Defense-Tech記事によれば
●米海軍はDDG-1000 Zumwalt級駆逐艦にレールガンを搭載する予定であったが、いつ実現できるかは定かでない
●しかし米海軍研究室ONRはレールガンの早期実現に取り組んでおり、今年の夏から来年にかけ、飛翔体打ち出しパワーを「32 megajoules」にすることや、連続発射速度を1分間に10発発射可能にすることを目指している

railgun5.jpg●開発の責任者であるTom Beutner博士は、発射のパワーを「32 megajoules」にすることにより、発射された飛翔体の射程が「約110nm」にまで延びると説明している。
●また研究者たちは発射機の砲身(barrel)に新たな複合材を準備し、射出パワーアップと時間当たりの発射弾数増加に備えており、Beutner博士は「パワーと発射速度の目標達成は、来年には可能になるだろう」と語っている

●しかし依然として未解決の課題を抱えておりその一つが飛翔体と砲身の摩耗でレールガンの耐久性が不十分なことである。それでもBeutner博士は、「システムのパーツをより長寿命なものに変えて取り組んでいる」と語り、「最初のころは数十発でダメになっていたが、最近では400発は射出可能で、将来的には1000発に耐えられるまでにできると考えている」と自信を見せた
もう一つの課題は、大量のパワー(電力)確保である。レールガンが大量の電力を必要とするため、Zumwalt級駆逐艦にしか搭載できない

Railgun-1_svg.jpg●Beutner博士はパワー確保について、「この課題は、例えばレーザー兵器などにも当てはまる課題である」と述べ、「7月に着上陸用輸送艦Ponceにレーザー兵器を搭載して試験した際も、艦艇の電力でなく、特別な電源装置を持ち込んで発射を可能にしていた」と事例を紹介した
●米海軍研究室ONRでは、将来海軍艦艇の電力確保のために、どのような発電システムが必要か検討しているが、これはレールガンのためだけでなく、多様なエネルギ兵器や電磁兵器のためでもあると同博士は説明し、「発電と蓄電の課題は、我々の全ての研究開発事項の構成要素となっている」と語った
/////////////////////////////////////////////////////////

レーザー兵器と一緒で、「いつまでたっても、あと完成まで5年」と揶揄されるようになるのでしょうか・・・?

400発発射ごとに砲身を交換する必要があるレールガン、それが1000発になったとしても・・・どうなんでしょうかねぇ・・。艦艇はいったん出航すると半年程度の任務派遣は普通ですからねぇ・・。

railgun.jpgましてや対中国正面では作戦基盤基地が少ない上に、佐世保や横須賀など、戦いの初動で攻撃対象となり、艦艇の修理補給が不可能になる可能性も高いですから、頻繁に交換が必要な装備は、更に運用上の制約を受けるのではないでしょうか

更に、ワーク前副長官は昨年5月、「レールガンだが、当初我々は主要な開発領域だと考えたが、試験を進めるうちに「従来型の炸薬型高性能砲弾:powder gun with a hypervelocity round」でも同様の効果が得られる事が判ってきたそれも開発や試験などの経費が不要な形で」と講演で語り、レールガンの有効性や開発コスト負担の妥当性も今後問われることになるのでしょう

レールガン関連の記事
「期待の星レールガンの現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-27
「Work副長官の指摘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「Zumwalt級駆逐艦を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-22



nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

翼下燃料タンク機の空母フォード離陸は2019年以降 [Joint・統合参謀本部]

EMALSF18E.jpg7月27日付DODBuzzは、米海軍の新型フォード級空母に搭載する電磁式カタパルトEMALSの問題解決に目途が立ったが改良ソフトウェアを空母に搭載するのは2019年以降になるとの米海軍の発表を紹介しています。

この2014年春に発覚したEMALS(Electromagnetic Aircraft Launch System)の問題は、FA-18やEA-18Gが翼下に燃料タンクを装着した場合、EMALSで発進すると許容値を超える振動が翼下タンクに発生すると言うものです

関係する技術者達は、問題発覚時点から「これは解決可能だ」と確信していたようですが、それから3年以上経過した2017年夏になって対処策が確立できたというモノです。

EMALS2.jpgしかしその対策を5月31日に就航した空母フォードに組み込むには、2019年まで待つ必要があるとのお話しです。艦艇の修理や運用サイクルが体感できていないので何ともコメントできませんが、結構気の長いことです。

トランプ大統領が「EMALSはだめだ。蒸気のやつに戻せと指示した」とTime誌とのインタビューで語った話は何処へやら、淡々と米海軍はEMALSの成熟に取り組んでいます。大統領の発言は聞き流すとして、とりあえずご紹介しておきます

7月27日付DODBuzz記事によれば
●多くの作戦で、翼下に「480-gallon」燃料タンクを搭載して空母から離陸するFA-18やEA-18Gは、仮に同燃料タンクが使用できなければ作戦運用に大きな障害となる
●この問題への対処は、ハードの改修ではなくEMALSをコントロールするソフトの修正で行われ、アルゴリズムの修正は2015年には終了した

Ford-Class-Carrier.jpg●そして改良ソフトを2017年春に「Joint Base McGuire-Dix-Lakehurst」のEMALSに投入し、他のソフトとの適合性を確認して、その後71回のEMALSによる発進試験を経て、夏までに改修の有効性が確認できたと米海軍航空戦闘コマンドが発表した
●EMALS対策チームのGeorge Sulich氏は、「問題発覚時から解決可能だと確信していたし、ハードでなくソフトで解決するという美しい手法で実現出来た」と語り、FA-18とEA-18Gの両方が翼下に「480-gallon」燃料タンクを搭載可能になったと述べた

●ソフトの改修が2015年に終了していたのに、航空機での試験が1年遅れたのは、他に評価を急ぐシステム試験があったからだと関係者は説明している
●しかしフォード級空母の1番艦である空母フォードが新しいソフトを受け取るのは2019年になる。艦艇や乗員を1番艦にならすための最初の航海(shakedown)が終了後の、定期修理期間まで待つ必要があるからだ
///////////////////////////////////////////////////////

フォード級空母の1番艦が初期運用態勢IOCを獲得するのは2020年と予定されていますので、2019年に新ソフトを組み込んでも間に合うのでしょう
とりあえずは翼下タンク無しで離発着訓練を行い、新ソフト導入以降にタンク付訓練を行うのでしょうか? 

Trump-Time.jpgこれまでEMALSの問題についてご紹介したことがなかったのですが、トランプ大統領はこの話を聞いてTime誌の記者に、「俺はデジタルは良くないと思うぞ。だけどデジタルで行くと言うんだ。なんだそれ? 複雑すぎてアインシュタイン先生でないと上手く行かないぞ! それでもって、もっと空母が欲しいと言うから、どうするのか聞いたら、デジタルで行くと言うんだ。ダメだと言ってやったよ。蒸気式で行けと!デジタルは高価だし、良くないと言ってやった」と語ったのでしょうか?

トランプ発言は以下の過去記事でご確認下さい

EMALSとフォード級空母
「空母フォード:3年遅れで米海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-03
「米海軍真っ青?トランプ:EMALSだめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「空母を値切って砕氷艦を!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19

「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10



nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

空中水上水中が全て可能な無人機開発 [Joint・統合参謀本部]

鳥だ、魚だ、いやNaviatorだ!

naviator.jpg21日、米海軍研究室ONR主催の科学技術展示会で、同研究室と大学が共同開発している「空中水上水中の全てで活動可能」な無人機「Naviator」が披露され、展示会を訪れた人々の関心を集めました。

この「Naviator」の用途としては、機雷の捜索や対処、港湾内や艦艇の水中部分の観察検索や調査、更に発展すれば特殊部隊用の偵察、監視、作戦用への応用も考えられ、今後開発は基礎的なモノからより大型のモノへ発展していくようです

映像等でご紹介するのは幅40cm程度の大きさですが、次の段階では、幅2m程度で約15kgの装備を搭載可能な無人機の開発が構想されており、色々な応用が想定されているようです

21日付DODBuzz記事によれば
Naviator3.jpg●21日、米海軍研究室ONR主催の科学技術展示会(Naval Future Force Science and Technology EXPO)で、Rutgers大学のチームが、初の空中水上水中無人機(unmanned hybrid aerial-aquatic vehicle)である「Naviator」の展示を行った
●「Naviator」は水深約10mまで潜ることが可能で、水中及び水面の移動が可能で、また水面から空に舞うことも可能である。

●同無人機は、同大学がONRからの資金援助を受け開発しているもので、機雷対策や港湾の治安確保などなどに活用が考えられている
●同開発計画担当の(同大学内組織の)副社長であるMarc Contarino博士は、特殊部隊も「Naviator」に関心を寄せており、360度視野のある耐水カメラを搭載し、港湾や橋や艦船の臨検等々に使用する事も想定されている

映像:EXPOでの展示模様(約4分)


●同副社長は、「特殊部隊は何が必要かを事細かに語ってくれないが、スピードと発見されにくいことが重要なことは我々にも判っている」、「だからなるべく高速で移動できるよう設計を行っている」と語っている
●展示された「Naviator」は市販の無人機程度の大きさだが、同副社長は、米海軍が機雷対処任務を担える搭載重量約15kgの能力を持ち、風速50m程度の風や1.5mの波でも運用可能な、幅約2mの無人機作成の計画を練っている。

Naviator2.jpg●開発担当者達は、既に「Naviator」を実際の環境でも試験しており、橋や船舶から発進させて水中活動まで行っているが、「海軍がスポンサーなので、最大級の艦艇でも試してみた」と副社長は語っている
●今後は、2018年開始の第2段階開発契約で、より活動範囲や能力を拡張する試みがなされ、例えば推進30mまで潜水可能なモデルを目指すことになる。

●同副社長は、米海軍が望むなら、水中を主でも、空中を主でも使用可能であり、その境界を意識することなく使用できる無人機の開発に今後も努力すると意気込みを語った
///////////////////////////////////////////////////////

ありそうでなかったモノが実現しつつあると言う事でしょうか・・・。

この形状で水中でも活動できる当たりにノウハウがあるのでしょうか。水中での移動速度が気になるところですが、有人機で実現出来ないのものが、無人機でなら実現可能・・・そんな典型的な事例のような気がします

最近の無人機関連記事
「海兵隊が苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-17
「ACC司令官が対処権限を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-15
「イスラエル製を17億円で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-28

「DroneDefenderをご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30
「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
「群れで艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

米海軍のFA-18後継機は航続距離と速度優先!? [Joint・統合参謀本部]

米海軍は「行動半径」と「速度」重視へ!?

NGAD4.jpg21日付Defense-Newsが、昨年1月から米海軍が開始しているFA-18(EA-18Gを含む)の後継となる次世代制空機NGAD検討の状況について、担当海軍大佐の話を紹介しています。

早くても来年4月まで検討結果はまとまらないとの事ですが、既に検討開始から1年半が経過していることから、どのような能力を必要としているのかの方向性は見えつつあるようで、細部に言及はないものの、冒頭の様な話が示唆されています

米空軍もほぼ同時並行的に次期制空機PCAの検討を行っていますが、こちらからは「速度や機動性」より、「搭載量」と「航続距離」を従来より重く見るとの話も漏れ聞こえてきており、この辺りの対比が興味深い所です

ただ共通なのは、「機数」を確保したいことから、「価格」や「維持整備コスト」については両軍とも非常に敏感になっている点で、意地悪く言えば、戦闘機パイロット数を維持したい思いに溢れている点です。

21日付Defense-News記事によれば
NGAD2.jpg●米海軍研究所(ONR)の科学技術展示会で、米海軍NGAD(Next Generation Air Dominance)の要求性能を検討しているRichard Brophy大佐がパネル討議に参加し、まだ要検討事項が多数残っていると前置きを置きつつも、検討状況について語った
●なお、NGADとの表現は、米空軍戦闘コマンドACCも使用しているが、海軍と空軍が共同で検討を行っているわけではなく、時折、情報交換を行っている程度である

●検討はまず、NGADを導入しない可能性の検討から開始し、FA-18が2030年代から退役を開始することから、NGAD検討と導入が必要だとの方向が確認された。次に2040年代の脅威見積もりを踏まえ、FA-18の追加購入で対応可能か、またFA-18等の改修や近代化で能力向上させた機体の追加購入で対処可能かも検討する。
●そしてそれら検討の結果、問題があると分析が出れば、革新的な能力を持つNGAD機の開発をスタートすべきかの段階に進む。しかしいずれにしても、まとまった数の機体を必要とすることから、単価やコストを低く抑える必要がある。

Brophy大佐が注目の性能項目に言及
NG-6th2.jpg何を重視し、何を犠牲にするかについて、幅広い可能性を検討しており、この際、航空機自体だけで無く艦艇搭載装備や他の航空アセットを含めたトータルな「family of systems」が、任務を分担して総合的な戦略を発揮する姿をイメージしている
●そんな中ではあるが、Ray Mabus前海軍長官が要望していた、「無人機、またはオプションとして有人機もあり得る:unmanned or optionally manned」との考え方もあり、人工知能AIや無人化については当然検討の対象になっている

一つの重要要素となるのが、今の空母艦載機の弱点を克服するより長い行動半径であろう。ここで尺度とすべきは、単に航空機自体の行動半径「range」だけでなく、搭載兵器がどれだけ遠くまで到達できるかを示す「reach」との概念であろう
●これを考えるには推進装置の燃費も鍵となり、より長時間・より遠くへ給油無しで到達できれば、大きな改善となる

もう一つの重要要素は、F-14トムキャット時代を思い起こさせる「高速飛行の要求」である
海軍は伝統的に、空軍よりステルスを懐疑的に見て居るが、NGADではステルス性の取り込みを考えている。しかし、F-35計画と同じようにステルス性を重視するかと言えば疑問符が付く

NGAD3.jpg敵の脅威下での残存性は必要だが、ステルス性はその方程式におけるチャフやフレアーと同種の一つの変数に過ぎない。ステルスは何時も敵に対して有効とは限らないが、助けにはなると考えている
ステルス性は将来設計の一部分となろうし、どの国でもそのように考えるだろうし、おそらくNGADの一部となるだろう

●米海軍研究所の航空科学担当者Bill Nickerson氏は、ステルスの他にも、残存性を強化する方策として、超軽量装甲や対エネルギー兵器技術の研究にも投資していると語った
///////////////////////////////////////////////////

ステルスに関し、米空軍への対抗心が見え見えのようで興味深いです。「ステルス性は・・・チャフやフレアーと同種の一つの変数に過ぎない」とは、ある面で正しい表現なのでしょう

「無人機、またはオプションとして有人機もあり得る:unmanned or optionally manned」との考え方は、次期爆撃機B-21の検討段階でも使用された表現ですが、B-21では完全に無視され、「当面は有人機で行く」との言い訳で実質無人機オプションを葬ったと同じ道を歩むのでしょう

NGAD.jpg「速度重視」はよく分かりません。航空機を狙う対空兵器の性能は飛躍的に向上すると見られ、多少速度や機動性が向上しても、それら防空兵器から簡単には逃れられない・・・がCSBAや米空軍の考え方だと・・・は認識しているからです

いずれにしても、海軍と空軍の検討に今後も注目致しましょう。そして、日本の戦闘機命派の後進性を指摘する材料として蓄積しておきましょう

米海軍NGADの検討
「米海軍もNGAD検討開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-24

米空軍次期制空機PCAの検討
「PCAの検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

ソフト開発&更新体制を刷新せよ! [Joint・統合参謀本部]

いつもこの女性大将の発言には考えさせられます

Pawlikowski3.jpg14日、米空軍協会の朝食会で講演した米空軍マテリアルコマンド司令官Ellen Pawlikowski大将が、米空軍はハード開発に重きを置きがちで、今や装備品開発のカギとなているソフト開発や管理体制が旧体然としたままで大きな問題となっていると危機感を訴えました

米軍のみならず、世界中の軍事装備品の開発は「遅延と予算超過」が常態化しており、「亡国のF-35」もソフト開発の大幅遅延とトラブル続出であることはご案内の通りです。

先週13日にも、米空軍がNorthrop Grumman 社に20年以上業務委託してきた米空軍航空作戦センターAOCのソフト開発・維持管理を打ち切り、「開拓者プロジェクト:pathfinder」として国防省と米空軍独自に取り組むことを発表したところでした。

そしてこの背景には、当初約350億円規模で始まったサイバー対策強化やオープンアーキテクチャー化が主目的のソフト改修が、700億円を超える状態になってしまっていることがあります。

Pawlikowski司令官は講演で
pawlikowski11.jpg米空軍はいくつかの先駆者的なプロジェクトとして、兵站分野や事務業務分野で新たなソフト開発手法に取り組んでいる。
●そしてその一つが、先週発表された米空軍航空作戦センターの新プロジェクトで、旧来の国防省手法を捨て去り、民間分野のソフト開発手法を導入しようとする試みである

●抱える問題は深刻で、ソフトが装備品の中核的位置を占める時代に、またマルチドメイン指揮統制や意思決定が決定的な役割を果たす時代に、ソフト開発や管理体制が置き去りにされてるからである
●伝統的な国防省の装備品開発には、新たなソフト開発や更新を迅速に行う仕組みが欠落している。典型的な区切りである「preliminary design review」は、ソフト開発にとって何の意味もない

●また国防省の装備品開発では、ソフト開発者と装備使用者・運用者間に大きな壁があり、現場のニーズをソフト開発に迅速に反映させることを阻んでいる
ソフトの変更権限を「大将レベル」に置いていることも迅速さを欠く要因であり、変更改修権限を下位に移譲することも重要だ。少将や准将レベルに権限を委任してもよいし、より下位に任せてもよいだろう

組織文化や予算科目の整理にも言及
Pawlikowski4.jpg旧式のシステムを早く用途廃止にして、「恐竜をジェット機と結びつけるような」困難なソフト開発の必要性をなくすことも重要だ
●更に「リスクを全く許容しない組織文化」を変えていくことも必要だ。2014年まで私が指揮官を務めた「Space and Missile Systems Center」では、だれも初めて国家安全保障関連打ち上げに失敗した指揮官になりたくないと、慎重すぎる組織文化がみられたが、リスクを許容する必要性を訴え続けた

●最後に、どの予算科目をソフト開発に利用するかの混乱や葛藤も、円滑なソフト開発の障害であることを指摘しておく。つまりソフトの改修や近代化予算が、研究開発費か運用管理費なのか不明確なことが多く、誰が責任者なのかも不明確なことがある。国防省として「ソフト開発費」を設定することも一つの解決策
●組織的な課題への対処策として、米空軍は運用者とソフト開発者を緊密にする「ソフトウェアチーム」設置に取り組んでおり、「ソフトウェア隊」に拡充するアイディアも検討している

●先駆者的取り組みは、兵站や事務業務分野に今は限定しているが、将来的にはよりリスクが高い作戦飛行計画作成ソフトなどにも応用できれば良い
//////////////////////////////////////////////////////////

Pawlikowski6.jpg女性大将の草分けであるPawlikowski司令官ですが、並々ならぬご苦労とご努力の末に現在の地位を得られただけあり、他の男性将軍とは一味異なる視点や広い視点で話をされることが多いように思います。

だから軍事メディアも以下の過去記事ように多様な分野で、Pawlikowski司令官の発言を頻繁に取り上げています。米空軍研究所(AFRL)を配下に持つ司令官とはいえ、その守備範囲の広さに驚かされます。

このような「お手本」のところに、日本の女性自衛官を派遣して薫陶を受けさせることも、よいアイディアではないでしょうか?

Pawlikowski司令官関連
「初のICBM施設大規模修理」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-15
「軽攻撃機のデモ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07
「ソフト更新とサイバー対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-21

「レーザーの現状を冷静に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24
「米空軍の戦略計画チームを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-25-1
「次世代制空機の検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-23

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

米海兵隊が小型ドローン対処に悩む [Joint・統合参謀本部]

日本でも絶対考えなきゃ!

ISIS drone 3.jpg13日、ワシントンDCで開催された軍事メディア主催の軍事技術会議&展示会で、米海兵隊の施設防衛を担当する大佐が講演し、小型ドローンの脅威は急速に高まっているが、これに対処する装備や技術を見つけられていないと語りました

前職で海兵隊内の無人機運用部隊の指揮官だったChe Bolden大佐は、無人機の特性や急速な発達を身をもって経験した人物だけに、事態が切実であることが伺えます

一方で、米国内での無人機使用に関する規則強化については消極的なようで、むしろ規則で縛ることで、小型ドローンの有効性や新たな使用法の開拓が妨げれれることを懸念している点が興味深いです。

米空軍ACC司令官が訴えている、航空機の安全運航や基地施設の防衛に関する危機感は薄いようです。これは基地を基盤に高価なアセットを運用する空軍と、基地から外に展開して活動する海兵隊の違いでしょう

14日付Defense-Tech記事によれば
ISIS drone 5.jpg市販の小型ドローンの能力が急速に向上し、世界中で容易に入手できるようになる中、ISISなどの敵対勢力も、これを米軍部隊への偵察や攻撃に使用し始めているが、米海兵隊はこの新たな脅威に対処する防御兵器探しに依然苦労している
米海兵隊施設コマンドの長期戦略部長補佐のBolden大佐は、小型ドローン対処は非常に複雑な課題であると「Defense One」主催の「Tech Summit」で語った

●同大佐は「市販の小型ドローン技術の急速な拡散により、部隊が直面する脅威は日々悪化している」、「我々は対処コンセプトの開発に取り組んでいるが、対処兵器や技術を発見できていない」と現状を語った

ISIS drone 4.jpg●海兵隊は既に、ライフルのような形状をした小型無人機対処兵器「DroneDefender」の実地テストを行っているが、一つのドローンの操作電波を遮断して無効化したり、操作を乗っ取ったりするこの装備を、本格的に導入する決定には至っていない

●海兵隊は、他にも幾つかのドローン対処技術を慎重に見極めている。その一環で今年4月、ドローン対策企業である「Sensofusion」と契約し、電波を使用して小型ドローンから基地や拠点を守る「防御策柵:defensive perimeter」を張る構想の「AIRFENCE」技術開発を行っている

点を守ること、エリアを守ること、そして敵攻撃を緩和することはそれぞれ異なり、異なった対処や装備やコンセプトが必要だ。

ISIS drone 2.jpg●中でも、多様な施設が分散して存在する基地を小型ドローンから守ることは難しい常続的に施設周辺の空や地上を監視し続けることは容易ではないのだ。だからいろんな手法や技術を検討しているのだ

米国内での無人機運用や無人機からの防御に関して、国内規則強化には海兵隊は積極的ではない。たとえ規制強化で無人機からの脅威問題が緩和されたとしてもである
●同大佐は「無人機の悪い側面に着目して規制強化を進めれば進めるほど、小型ドローンのような新たな技術の良い側面に、自ら扉を閉ざすことにもなる」、「私の立場からすれば、無人や自律化システムを活用する機会や利点を追及しており、規制はそのような機会を奪うものであってはいけない」との考えを述べた
//////////////////////////////////////////////////////////////

最後の「国内規制強化」に関する部分は、同大佐の個人的な意見か、海兵隊としての意見か不明ですが、攻撃と防御は表裏一体ですので、小型ドローンを使用した新たな戦術や作戦を海兵隊として検討しているのかもしれません。

ISIS drone.jpgいずれにしても、小型ドローン、市販ドローンの脅威は無視できません
派手な攻撃でなくても、滑走路や航空機駐機エリアに、ボルトや釘をバラまくだけで、航空機の運用を一時的にでも妨害することができますし、ACC司令官が懸念していたように、戦闘機エンジンの空気取り込み口に突っ込ませるだけで、エンジンを故障させることが可能でしょう

自衛隊の中期計画に、そのような配慮はあるでしょうか? 期待薄でしょうねぇ・・・。航空基地の脆弱性を語れば、戦闘機への投資に疑問を生む可能性がありますから・・・

無人機対処装備の関連記事
「ACC司令官が対処権限を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-15
「イスラエル製を17億円で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-28
「DroneDefenderをご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30

「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
「群れで艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

ロシアをINF条約枠組みに戻すために [Joint・統合参謀本部]

米国はINF条約枠組み内の対策でロシアを引き戻すべき!

Selva senate.jpg18日、上院軍事委員会に出席したPaul Selva統合参謀本部副議長はロシアが欧州正面に配備したINF条約違反の長距離巡航ミサイルを撤去する気配はなく、国防省としてトランプ大統領に提案する多様なオプションを検討していると証言しました。

ただし、前提となるべき「NPR:核態勢見直し」などの大きな方針文書が出揃ってから、大統領に対処オプションを提示する考えらしく、まだ数ヶ月かかるとも証言しています

また同空軍大将は検討中のオプションに関し、あくまでも「INF条約枠内の手段」を使用すべきで、米国が同条約を破ることは他の条約の存在意義や枠組みまで危うくすることから、INF条約無効化や破棄は避けるべきだとの姿勢も明らかにしています

ロシアの同条約破り巡航ミサイルの配備を受け、ハリス太平洋軍司令官は、中露や北朝鮮やイランを縛らず、米国だけが縛られている現状に危機感を訴え、条約破棄を提言していましたが、恐らく米国防省のスタンスは「穏やかな」Selva大将の発言に沿うモノなのでしょう・・・。

19日付米空軍協会web記事によれば
Selva brok.jpg●Selva副議長は、ロシアがINF条約の規定を守るような状態に復帰するような兆候を示す「インテリジェンス情報は全くない」と、上院軍事委員会でまず証言した
●そして、今後数ヶ月(several more months)作成に必要な「NPR:核態勢見直し」や「BMD態勢見直し:BMDR」の結果を踏まえ、トランプ大統領にフルレンジの多様なオプションを提案する予定だと語った

●想定されるオプションの例として同大将は、「米国が中距離弾道ミサイルや巡航ミサイルの開発を企てるが、試験は行わない」とのオプションを紹介した
このオプションは上院も下院も想定しており、2018年度国防授権法(National Defense Authorization Act)に地上発射中距離巡航ミサイルの開発着手を盛り込もうとしている

●一方でSelva大将はオプションの基本的考え方に関し、「同条約の規約を露に遵守させられないようであれば、他の全ての合意事項の拘束力も弱体化させかねない」との懸念を示し、「米国は同条約の規定範囲内の手段で、ロシアを同条約の枠内に引き戻し、核戦力の戦略的バランスを維持しなければならない」と表現した
●そしてロシアの条約違反行為は、戦術的なものより戦略的な意味合いが強いとの見方を示し、「ロシアの(条約違反の)地上発射ミサイルの展開位置からすると、欧州正面で何ら優位に立ったわけではない(they don’t gain any advantage in Europe)」と語った
//////////////////////////////////////////////////////

中国が南シナ海で好き放題なのを放置しているとの同様に、ロシアにも好き放題やられる西側諸国の悲哀を感じるSelva空軍大将発言です。NPRやBMDRの完成までオプション検討を先送りというのも、苦しい言い訳のような気がします

Selva yunif.jpgSelva大将は、カーター前国防長官がその情勢認識や改革意欲を買って副議長に選んだ「折り紙付き」の大将ですが、世界中で紛争が火の手を上げ、大統領がこの状態では、手を広げないで慎重に進めるしかないのでしょう・・

他の全ての合意事項の拘束力も弱体化させかねない」(inability to enforce the standards of the treat renders all other agreements less compelling)との言葉は、あらゆる状況を考慮したプロの視点かも知れませんが、言い訳のようにも聞こえます

露のINF条約破りを巡る動き
「米下院がINF条約破棄を提案へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-23
「ハリス大将:INF条約は宗教戒律か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「露がINF全廃条約に違反」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27
「INF条約25周年に条約破棄を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

「米とカナダが巡航ミサイル対処に協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-01
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

Selva統合参謀本部副議長のご紹介
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-02 

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

ISIS後の空白にコンテナ式交番で対処 [Joint・統合参謀本部]

モスルはISISから解放されたけれど・・・

container Police 3.jpgcontainer Police.jpg7日付米空軍協会web記事によれば、対ISIS多国籍部隊の幹部が、ISISのプレゼンスがなくなったイラク内「真空地帯」の治安維持のためコンテナ式「Police station:交番」100個をイラク全土にこの夏配備し、将来は国境監視・警備にも同コンテナを活用する計画だと明らかにしました

対ISIS作戦(Operation Inherent Resolve)で多国籍部隊のパートナー育成部長であるカナダ軍のD.J. Anderson准将は、最初のコンテナ式交番が8日か9日にも到着する予定だと語っています。
日本が発明した「Police station:交番」システムが、中東の安定に貢献するチャンスですが、事態は全く予断を許しません

ISISが消滅しても、戦国時代さながらに多数の組織が「アラブの春」以降に生じた力の空白を狙ってうごめいており、「振り出し」に戻っただけのイラクやシリアですから、こんな地道な取り組みが必要な世界です。

Anderson准将によれば
container Police 2.jpg治安機関のインフラが破壊されたモスルのような地域で、イラク軍や治安部隊は活動拠点がない困難に直面しているが、米国率いる多国籍部隊は、コンテナ式の箱のような「Police station:交番」でこの事態に対応しようとしている
●多国籍部隊やイラク関係者は、空輸も地上輸送も可能で、必要装備品が収納されたコンテナ式交番を活用し、直ちに目に見える警察プレゼンスを確保したい考えだ

●「Police station:交番」と識別しやすい塗装等が施されたコンテナの中には、家具やパソコン、検問設置用具などが収納されており、2台のランクル車両とセットで、とりあえず警察プレゼンスを誇示できるように設計されている
この夏に100個の同コンテナ交番を設置する計画で、その後は同コンテナを応用し、「国境警備隊用のボックス拠点」としてイラク国境に配備する計画が検討されている
NHK-IS.jpgイラク警察は、イラク陸軍からの増強要員も活用し、イラク国内の警察体制の再構築に取り組んでいるが、多国籍部隊は地域に安定を提供するため、引き続き支援や助言を行っていく

同准将は「警察官の存在ほど通常状態を示すものはない」と同コンテナ式交番の意義を強調している
//////////////////////////////////////////////////

元々ISISは、「アラブの春」を発端として中東諸国の支配体制が揺らぎ、シリアのアサド政権に対する反政府運動の「一つの武装勢力」として活動を始め、その支配や影響地域をイラクだけでなく世界に広げた組織です。

シリア反政府運動の「他の複数の武装勢力」は、とりあえず対ISISで活動の方向を一つにしていましたが、ISISが滅びた後は、反アサド政権の立場は共通ながら、それそれの武装勢力の利益追求を求め何を始めるか全く読めません。

NHK-IS2.jpg既にISISが「国家」と称していた地域では、さまざまな武装勢力が入り乱れているほか、利害関係を有する隣国など(トルコやイランやロシア)などの正規軍も含めて複雑な構図となっています。

ISISを壊滅できたとしても、シリア・アサド政権側と反アサドを掲げる武装勢力などによる戦闘が続く見通しで、平和が訪れる見通しは全く立っていません。

ISISとの戦い様々
「比南部のIS戦を米軍支援」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-12
「B-2によるリビアIS爆撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-02
「IS無人機で初の死亡者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1

「米空軍は外国軍訓練を重視せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-29
「ISが化学兵器で米軍を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-23
「対ISサイバー戦は大きな教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-23

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース
前の15件 | - Joint・統合参謀本部 ブログトップ
メッセージを送る