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超小型レーザー誘導ミサイルPikeが人気 [Joint・統合参謀本部]

重量770gの超小型精密誘導ミサイルが大人気

Pike m2.jpgPike m.jpg約1年前の米陸軍協会総会&展示会で一般初公開され、大きな話題となった超小型レーザー誘導ミサイル「Pike」が米軍だけでなく諸外国からも大きな関心を集めていると米軍事メディアが報じています。

Pike missileは、全長43.2cm(17インチ)、直径3.8cm(1.5インチ)、重さ771g(1.7 pound)、射程約2kmのミサイルで、地上部隊が既に保有しているRPG発射装置(M203やELGM)から発射可能な点が、多くの関心を集めている理由の一つです。

またレーザーによる精密誘導が可能なことから、従来の機関銃やRPGでは攻撃しにくい目標や、精度が高いゆえに敵からの反撃を恐れなくて良い点もPikeへの関心を集める理由となっています。

更に、目標への照準用レーザー照射を同ミサイル発射前から実施する必要がなく、ミサイル発射後から命中するまでの間で十分で、最大射程時でも15秒ほどで十分とされている点も近接戦闘向きと人気を集めているようです

10月17日付DODBuzz記事によれば
Pike m3.jpg●レイセオン社担当幹部によれば、特殊地上部隊や歩兵部隊用の同ミサイルに、多くの国が関心を抱いているようで、交渉が続けられている
●同幹部は状況について、「非常に購入しやすい価格である事から、タイミングと予算次第だろう」と期待を持って語っている

●「Pike」はRPG(肩撃ち式ロケット弾)より高価だが、対戦車ミサイルの「FGM-148 Javelin」よりは安価である。
精度面で「Javelin」も有効だが、「Pike」より高価で破壊力が大きく、周辺被害も大きくなる。「Pike」は命中時の破片効果で、壁を隔てた2名を殺傷する程度の破壊力を備えている
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Pike missile3.jpg対ISILの前線部隊から緊急調達の要求が来そうですが、最前線に米軍歩兵はおらず、直接近接戦闘に従事しない特殊部隊のみ存在するが建前なので簡単ではないのでしょう

「電子回路の小型化技術により、このミサイルが実現出来た」とレイセオンの担当幹部が昨年語っていましたが、無人機の技術と併せ、この種の小型化技術にも注目です。無人機等に搭載されたら・・・恐ろしや・・・

昨年のPike紹介記事と海軍の取組
「レイセオンが重量0.8kgの超小型ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-15
「米海軍も小型誘導ミサイル「Spike」研究中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-25
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前線海兵隊に無人ヘリで迅速物資補給へ!? [Joint・統合参謀本部]

TALOS-Huey.jpg11日付でAurora社が、ヘリコプターの自動誘導システムを活用した「自動航空輸送システム:TALOS」の解説映像を公開し、複数のヘリでの基礎技術の実証試験を終了したシステムを使用し、2017~18年に掛けてボーイング製U-6H無人ヘリで本格運用実験を発表しています

解説映像は米海兵隊が使用する様子を描いており、米海軍研究所が開発予算を支援している模様ですが、どの程度まで具体的装備化の協議が始まっているのか関連報道からは不明です。

しかし、「当然このような装備が将来実用化されるだろう」と素人でも考える技術ですが、着々と民間主導で開発が進んでいる様子に、改めて時代の変化や技術の変化を感じます

11日付Defense-Tech記事によれば
TALOS-huey2.jpg●バージニア州に拠点を置くAurora社は、将来の自動空輸システム(AACUS)計画を進めているが、その一環としてヘリコプターを地上部隊の要請に応じて空輸に活用するTALOS(tactical autonomous aerial logistics systems)の開発を進めている
●同社は11日発表声明で「AACUSの主目的は、緊急物資空輸を、無人又は場合によっては有人の垂直離着陸システムで実現すること」と明らかにしている

●更にTALOSに関し、「TALOSは航空機を指すものではなく、ロボット航空機でもない。要求に応じて既存の有人又は無人機に搭載できる装置である」と説明し、既にボーイング製U-6Hと3種類のBell 206有人ヘリに搭載して基礎技術を検証していると述べている
●今後同社は、2017~18年に掛けてボーイング製U-6H無人ヘリで本格運用実験を望んでおり、米海軍研究所が予算支援を行う事になっている

Aurora社が公開した解説映像


解説映像での説明概要
前線地上部隊が緊急を要する物資補給を、沖合で待機する強襲揚陸艦に要求する
●強襲揚陸艦の担当者は、無人物資へ入りを活用した物資空輸作戦の基礎プランを作成し、ヘリを発進させる

TALOS-Huey3.jpg●TALOS搭載無人ヘリは、自身搭載のセンサーで経路上の事前情報が無かった予期せぬ障害物を避けて避けて地上部隊の指定場所に飛行する
●地上部隊の指定した着陸場所に障害があった場合は、周辺環境をセンサー等から判断し、自動的に代替着陸場所を選んで物資を届ける
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解説映像は市街地で戦う部隊への物資補給を描いていますが、より開けた場所が多い場所であれば、より早く実現可能なような気がします。

米海軍艦艇への物資補給には、既に無人ヘリ(MQ-8)が活用されていると承知していますが、着実にかなりの速度で無人機利用は進んでいます

無理矢理ですが関連記事
「2016年クールな技術」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-03
「映像:MQ-8の着艦試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-25
「超小型無人ヘリが偵察用に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-07

「映像:衝撃無人ヘリ大編隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-04
「米海軍の無人機操縦者は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-14-1

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再びハリス司令官が陸軍に南シナ海で活躍期待 [Joint・統合参謀本部]

ATACMS5.jpg15日、ハリス太平洋軍司令官がワシントンDCで講演し、かねてより米陸軍幹部に要望してきた陸軍砲兵部隊による南シナ海における艦艇対処への取り組みを改めて訴えると共に、カーター国防長官が先日明らかにした陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)に期待を示しました

要するに、米軍や同盟国の海軍や空軍の作戦拠点が少なく、中国大陸の戦力に対抗するのが難しい中、機動展開可能で比較的残存性にも優れた陸軍地上部隊の火力によって、中国海軍や海上民兵による南シナ海支配に対抗しようとするモノで、各軍種が陸海空のドメインに縛られず、他のドメインでも役割を果たす「Crossドメイン」な役割を求めているわけです

米陸軍部隊の対艦ミサイルに領域拒否(AD)を求める考え方は、数年前からシンクタンク等から発信されていますが、中東での対テロ作戦にも従事している陸軍が追随出来ておらず、カーター長官らが直属組織SCOでATACMS等の開発を推進している状況です。

15日付Military.com記事によれば
Harris.jpg15日、ハリス司令官は軍事情報サイト「Defense One」主催のイベントで講演し、南シナ海で将来米陸軍が敵国の艦艇対処に従事することを望んでいると語った
●同司令官は、太平洋軍担当エリアが海洋を主体としたエリアである事から、米陸軍が伝統的に果たして来た地に足が付いた兵士による特定領域の占領や支配任務だけでなく、「大量の兵士や火力による制圧だけでなく」、他の分野でも期待したいと表現した

●そして同大将は、米陸軍指導者達に地上配備型の対艦ミサイルによる作戦能力を備えて欲しいと要望していると語り、「地対艦ミサイルによる艦艇攻撃任務に従事すべきだと考えている」と表現した
●またハリス司令官は、日本のように他国も、潜在的な中国による侵略に備え、洗練されたミサイル開発を行っていると訴え、「西太平洋においてそんな兵器システムの配備を考え、潜在敵国にリスクを与えたいと思うのは、南シナ海や東シナ海、そして日本海である」と述べた

●ハリス司令官は特に、11月になって国防省の戦略能力開発室SCO(Strategic Capabilities Office)が検討を明らかにした、海上や陸上の移動目標にも対処できるATACMS(Army Tactical Missile System)に期待を寄せている
3日、ATACMSに関しカーター国防長官は、「かつて陸軍地対艦ミサイルと呼ばれたものが、沿岸から射程300kmで海洋ドメインに戦力投射行える」と記者発表している

21日の週にフィリピン訪問
Harris CSIS4.jpg●ドゥテルテ大統領の発言によって緊張が高まっていた米国とフィリピンの関係であるが、21日の週にハリス司令官が同国を訪問し、今後の両国間の演習、協力合意EDCAの進め方、同国南部での対テロ活動について協議を行う予定である
●(米大統領選の後に、比大統領が米国との関係改善を示唆する発言を行っているが、)9日に比国防相が、米国との演習は継続するが回数を現年間12回から7回程度に削減し、戦闘訓練ではなく災害対処訓練に重点を置くと発言していたところである

●なお、O’Shaughnessy太平洋空軍司令官は、航空戦力のフィリピンへの交代派遣の3回目であった2機のC-130派遣については終了したと語っている。
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ATACMS4.jpg防衛省が尖閣防衛のために打ち出した新型地対艦ミサイルの射程も約300kmで、この種の装備は射程300kmに落ち着く理由があるのかも知れません。共同開発との話は聞きませんので・・・

米陸軍の公式な反応を耳にしたことがないのですが、「Crossドメイン」や「Maltiドメイン」を推奨する陸軍高官個人ベースの論文等は出ているので、何らかの意志決定待ちなのでしょうか?

ドゥテルテ大統領も、トランプ氏当選後は「手のひら返し」の「米国と手打ち宣言」してましたが、米軍との関係は何処まで正常化されるのでしょうか? ハリス司令官の訪比結果に注目致しましょう

米陸軍の対艦ミサイルに期待大
「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
「ハリス長官がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06

「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12

米比関係の記事
「米比演習の中止に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-08
「C-130が2機だけ展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-27
「比大統領南シナ海共同を拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15-1
「比空軍と米空軍が3日間会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03

「なぜ10月25日比大統領来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-06
「EA-18G電子戦攻撃機が展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-18
「国防長官が交代派遣発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16

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米軍への精密誘導兵器供給が間に合わない [Joint・統合参謀本部]

JDAM-Empty.jpg11月号の米空軍協会webサイトが「Empty-Racks:弾がない爆弾搭載ポイント」ととの記事を掲載し対ISIL等の戦いで精密誘導兵器の使用が増加しており、細部は明らかにされて以内ながら、弾薬の十分な蓄積が失われていると警鐘を発しています。

一般市民への被害を局限したい前線指揮官の意向から、JDAMやHellfireミサイルやSDBの需要が急増しているのですが、米軍だけでなく危機感を募らせる中東諸国、またロシアを恐れる欧州諸国からも需要が急増しているようです。

一方で、米国の予算状況は未だ強制削減の悪夢から抜け出せずに暫定予算を繰り返し、例年ベースの予算しか確保できず、また製造企業も各種関連企業が各パーツを分担して製造していること等もあり、簡単に大増産が可能な状況でもないようです

米軍幹部の公式見解は「在庫減少を気にしているが、必要な任務の遂行には影響はない」と「から元気感」が漂うもので、実態が数字で明らかになることはないでしょうが、雰囲気を感じて頂くため記事をご紹介します

記事「Empty-Racks」によれば
JDAM-New.jpg米空軍が弾薬の保有レベルが危機的に低下していることを明らかにして1年が経過したが、依然として空軍は苦労しており、対ISILコアリション国の弾薬購入要求も断っている状態にある
●空軍は細部を開かさないが、前線の米空軍指揮官は「不足は真実だ。空の弾薬庫があちこちにある」、「弾薬備蓄量は、中東での戦いが開始以来、全米軍トータルで最低レベルに落ちている」と語っている

●今年4月、空爆用の弾薬不足が深刻さを増したことも受け、カーター国防長官が対ISILに野戦砲やアパッチ攻撃ヘリを投入すると発表し、6月頃から導入が始まり、多少は空爆用の精密誘導兵器需要が減る事が期待されている
●強制削減問題の中、在天予算で凌ぐ状況にある米軍は、通常予算ではない「海外緊急作戦費:Overseas Contingency Operations」で弾薬購入をまかなおうとしているが、手続きに時間がかかる事が問題である

●米空軍省の担当中将は、米軍の前線指揮官が安心できるレベルに備蓄量が達するまで、FMSによるJDAM等の海外提供には「No」である。正確には「今は応じられない」だが、対ISILに協力する諸国の要望にも対応できない状態

対リビア作戦は弾薬予算無し
SDB3.jpg弾薬不足が深刻化したのは、2011年のリビア作戦からである。米議会はイラクやアフガンで使用する弾薬予算は承認したが、リビア作戦には認めなかった。またリビア作戦に参加したNATO諸国が早々に弾薬を消耗し、米軍が貸し出す羽目になったことも大きかった
●ちなみに、ロシアの脅威が叫ばれる中でも、NATO諸国の弾薬不足は今も回復されておらず、今年7月のNATOサミットでも、NATO軍司令官が5年遅れとなっている弾薬備蓄努力を各国に訴えた

●米中央軍の空軍は2015年に28700発を対ISILに使用したが、2016年はそれを上回るペースで使用が進んでおり、多い時には毎日100発以上のペースとなる
米海軍と米空軍は「協力して」JDAMを調達していると報道官は言うが、在庫をシェアしていない。また米空軍は海外に貸した弾薬分の返却に新型JDAMを要求したりもしている

企業努力も単純ではない
●JDAMとSDB(Small Diameter Bomb)を製造するボーイング社は、キットの製造を毎日120から150に増産し、2017年末までに36500キットを製造する計画を立てている
無人攻撃機MQ-9が搭載する精密誘導兵器であるHellfireミサイルは、要員養成訓練用の使用も増加しており、増産を迫られている

SDB4.jpg●8月に米空軍長官は、ボーイングやロッキード以外にも製造メーカー拡大をしたい旨の取り組みを表明したが、物事はそう単純ではなかった。大企業が製造ライセンスを提供することには向かなかった
●JDAMなどの精密誘導兵器が登場した当時は、これほど大量に使用されるとは想定されず、レーダーやエンジンのように複数の製造企業を競わせる体制が必要だと考えず、法律の対象範囲とならなかったのである

●精密誘導兵器全体の需要が高まり、企業の製造部門が追いつかないこともある。例えば無誘導のロケット弾「Hydra rocket」の先端に装着するだけで誘導兵器になる、「Advanced Precision Kill Weapon System」も製造もそうで、3倍増に対応している
●爆弾製造が複数組織の共同作業であることも単純増産を難しくしている。例えばボーイングは誘導キットだけを製造しており、弾頭自体は米陸軍が空軍に提供しているだけで、これら関係者を組み合わせていくことが単純でないのだ
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弾薬の保有量は、基本的な作戦遂行上の重要秘密事項です
ですから、これくらい密かに話題になると言うことは、かなり深刻な事態になっていると見て良いでしょう

金目の問題だと思いますが、「勇猛果敢、支離滅裂」な空軍の世界では、最新の機体にだけ注目が集まり、弾薬予算は残予算で充当しておけ・・・的な収まりであることが多いのでしょう
ある日突然、大きな問題としてクローズアップされないことを祈ります

弾薬関連の記事
「リビア作戦での欧州惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-10
「韓国は地中貫通弾530発購入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-27-1
「JDAMキットで射程・全天候性向上」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-07

「ロケット弾を誘導兵器に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-12
「超巨大貫通弾MOP完成か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-18

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映像:F-35Bが揺れる艦艇に見事な着艦 [Joint・統合参謀本部]

F-35B 3rd-test.jpg11月1日DODBuzzは、米海兵隊がサンディエゴ沖の艦艇で行っている、F-35B最後の艦艇運用試験の映像を公開し、米軍事メディアが「今まで見たことがないレベル」の素晴らしい垂直着艦だと報じています

米海兵隊のF-35は、2015年7月31日に垂直離着陸型F-35の初期運用態勢確立を宣言しているのですが、「3回目で最後の艦艇運用試験」と言うことは、地上基地からだけ運用が可能な体制で、空母や艦艇からはまだ準備中だったようです

1日公開のF-35B着艦映像


11月1日DODBuzz記事によれば
米海兵隊のF-35Bは、2017年早々の日本への作戦展開に向け、「3回目で最後の艦艇運用試験」を強襲揚陸艦(USS America)で開始したばかりである
今回の最終段階試験で海兵隊は、波の荒いより困難な環境での運用に挑んでF-35Bの運用限界を検証しようとしており、うねりが2m程度の環境での艦艇着艦を試みている

F-35B-test.jpg●公開された映像では、F-35Bの垂直着艦がMV-22の広報から撮影されており、数秒でホバリング体勢を確立したF-35が、水しぶきを上げながら甲板に接近し、精密な着艦を見せている
●映像からは、艦艇の甲板が海のうねりで上下左右に揺れているのが確認できる

試験は今後約3週間継続され、最大搭載状態で最大性能を確認する予定で、2.5m程度のうねりまで試験で確認する予定だ。
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先日は、空母艦載型の米海軍F-35Cの着艦誘導装置が素晴らしく、着艦やり直しがほとんど無いことをご紹介しましたが、垂直離着陸型も着艦能力が素晴らしいとなれば、海上プラットフォームにおける運用上の効率性や経済性はかなり向上するのでしょう。

「うねり2.5m」の海の揺れがどの程度大変なことなのか語れず、この映像の着艦が過去と比較できないのですが、詳しい方にぜひご感想を伺いたいです

米海軍と海兵隊のF-35
「岩国の次は中東へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03-1
「海兵隊F-35は1月に岩国展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-25
「海軍版F-35Cの着艦精度がすごい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22
「海兵隊F-35がIOC宣言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-28

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無人海洋ISR機MQ-4C飛行隊が編制完結 [Joint・統合参謀本部]

機体はなく、2018年運用開始だけど・・

MQ-4C 1.jpg10月25日付米海軍協会web記事は、28日に米海軍の無人海洋ISR機MQ-4C(Triton)部隊がフロリダ州のJacksonville海軍航空基地に編制されると報じています。

残念ながらまだ機体は同基地に到着しておらず、約130名の兵士も同基地を離れて訓練を行っているようですが、2017年末に最初の機体を受領し、2018年に初期運用態勢を確立してアジア太平洋で活用する計画があるようです。

また、同基地に所在するP-8対潜哨戒機との連携運用がMQ-4Cの鍵であることから、このような立地になったようです

ちなみにMQ-4Cは、米空軍の高々度無人偵察機RQ-4グローバルホークを海面監視用に改良した機体で、空軍用と異なり低高度を長時間連続飛行することから、他機との衝突防止装備や着氷防止装備などを備え、かつ海上や潜水艦捜索のためのセンサーを搭載しているようです

10月25日付米海軍協会web記事によれば
MQ-4C 2.jpg28日、最初のMQ-4C飛行隊である「Unmanned Patrol Squadron (VUP) 19」が、フロリダ州のJacksonville海軍航空基地に編制される。
●同飛行隊は、P-8対潜哨戒機の飛行隊も所属する「Patrol and Reconnaissance Wing 11」の配下に編制され、P-8との連携運用が円滑に進むよう準備が進められる

●MQ-4Cの操縦者はPatuxent River海軍航空基地で、同機の試験飛行操縦者から訓練を交代で受けており、整備員達は加州のPoint Mugu海軍航空基地で訓練を行っている
来年1月には、MQ-4Cの訓練装置がJacksonville基地に提供され、要員の訓練に活用される予定

●同飛行隊のメンバーはMQ-4C自体の運用の他に、P-8対潜哨戒機の運用者達と共に、2つの海洋監視偵察機を如何に組み合わせて作戦するかの戦術、技術、手順(TTP)を練り上げる任務を付与されている
●担当幹部は「対潜水艦作戦で、どのように協力し、人と機材を組み合わせるか。長時間在空可能なMQ-4の多様なセンサーから提供される情報を、如何に入手して活用するか等々を検討する」と述べている

MQ-4C5.jpg●また同幹部は、OODAループの「observing, orienting, deciding and acting against a problem」の中で、連続長時間作戦可能なMQ-4は最初の2つ「observingとorienting」の状況認識で大きな貢献が可能で、P-8は後半の2つに集中できるのではと考えている
●MQ-4C飛行隊は、無人ヘリMQ-8が有人ヘリMH-60と共に運用された教訓を参考にすることが出来るが、この2種類のヘリは同一飛行隊で運用された点が異なっている

●またMQ-4Cは、その前進であるBAMS-D(Broad Area Maritime Surveillance Demonstrator)の試験運用の教訓も活用することが出来る。BAMS-Dは第5艦隊エリア(中東)で、海洋パトロールを数年間試験実施した実績がある
米海軍はMQ-4C導入に、段階的な「learn, grow, learn, grow」姿勢を取っており、初期の訓練や戦術開発を米本土周辺で行い、2018年頃の初期運用態勢が近づく頃にはグアム島周辺でも運用経験を積む方向である

●そして初期運用態勢宣言後は、ニーズの高い第7艦隊エリア(アジア太平洋地域)で使用したいと考えている。その際、機体はJacksonville基地から遠隔操作され、整備員は機体の展開先で作業を行うことになる。しかし、任務展開していない時に機体をどこに置くかは定まっていない
MQ-4Cの2番目の飛行隊(VUP-11)はワシントン州のWhidbey Island海軍航空基地に設置される予定である。機体は更なるセンサーを搭載予定で、2020年代にEP-3Eの後継機に育てる方向である
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MQ-4C4.jpgMQ-4の運用が安定したら、RQ-4の様に日本が買わされる可能性極めて大です。海上自衛隊の皆様、特にP-1部隊の皆様はご注意アレ!

2013年当時は、グアム島配備が2016年後半との予定が示されていましたが、既に2年遅れています。予算が厳しいことも大きな理由だと思いますし、技術的な問題もあるのでしょう。

また段階的な「learn, grow」の姿勢もあるのでしょうが、別の背景には、無人機導入で職を奪われる有人機操縦者への「たっぷり配慮」も必要だからでしょう。定年による自然損耗や機種転換のペースにあわせての無人機体制の確立でしょう

また、米空軍で無人機を急増した結果、無人機操縦者の経歴管理や処遇が疎かになり、離職者が大量に出て任務をまかなえず、RQ-4には下士官操縦者を採用せざるを得ない状況に追い込まれており、この辺りも米海軍を慎重にさせている要因の一つでしょう

海軍無人機関連の記事
「誰が海軍無人機を操縦するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-14-1
「映像:MQ-4初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-23
「グアム配備MQ-4トライトンは今」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-05

米空軍は無人機操縦者に苦しみ中
「RQ-4操縦者の7割が下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13-1
「RQ-4操縦を下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-19
「問題点と処遇改善の方向性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-11

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ズムウォルト級ミサイル駆逐艦を学ぶ [Joint・統合参謀本部]

Zumwalt.jpg今頃?・・・感はありますが、今年5月に米海軍に引き渡され間もなく運用開始予定の「最高峰の水上戦闘艦」と期待が「高かった」ズムウォルト級ミサイル駆逐艦(Zumwalt)を少しお勉強することにします

米軍の装備開発にありがちな、当初遠大な構想で開発が始まったものの、途中で開発に息詰まって経費が増大、最終的に中途半端に出来上がって高価なため調達数が一桁削減・・・の典型例がこの巨大駆逐艦です

本日は、まず当初計画されていた「概要や特徴」をご紹介し、映像の後、数々のつまずきに触れたいと思います

概要や特徴とご紹介
排水量15000トンで、大型イージス艦タイコンデロガ級9500トンより遙かに大型
●当初は30隻以上の建造が計画されながら、現在では僅か3隻で終わる悲しい水上艦艇
●コンセプトは、ステルス性で沿岸部に接近し、艦砲とミサイルを陸にたたき込む「対地駆逐艦

Zumwalt3.jpg●ステルス性を追求し、レーダー波を上に反射して逸らすためのもので「タンブルホーム船形」を採用。レーダー反射面積RCSは、従来イージス艦の1/50で小型漁船程度
エンジンでスクリューを直接回さず、電気を造ってからモーターでスクリューを回す。手間があるが、モーターでスクリューを回すため、水中に響く騒音も少ない

●既存の艦艇と桁違いの発電能力故に、大電力を装備する機器の搭載が可能で、将来的にはレールガンの搭載も想定されている
●先進的な艦制御システム「TSCE-1」で、艦内の各種システム全てをネットワーク上に連接した先進的な構成。艦内ネットに接続した自動消火システムなども装備され、人員削減に大きく貢献

WW2後、補助的な役割だった艦砲のイメージを、新型砲「155mm先進砲システム」を2門で一新。従来の127mm砲と比べ、威力射程共に大きく向上しており、強力な対地攻撃が可能。通常弾の他にロケットアシスト&GPS誘導のLRLAP誘導砲弾(射程154km)も使用可能。
●沿岸戦闘艦LCSや大型巡視艇カッターで主砲とされている57㎜速射砲を、「副砲」として2門装備している

新型ミサイル発射装置(Mk57 PVLS)を採用。既存のMk41VLSよりも大型なミサイルが使える上、ハード的には既存の各種ミサイルに対応し、二重構造の船体の装甲の施された内殻と外殻の間に設置されるため、被弾・誘爆しても被害は少ない



画期的な戦闘艦のはずだったが・・・
遠距離と近距離の2種類のレーダーが搭載予定だったが、遠距離レーダーの開発が不調で搭載取りやめ
●先進的な艦制御システム「TSCE-1」のシステムの開発の失敗。イージスシステムの膨大なプログラムの統合に失敗。

Zumwalt2.jpg●前述のレーダー開発の失敗もあって艦隊防空ミサイルSM-2と弾道弾迎撃ミサイルSM-3の搭載が中止。経費削減のため、対潜用のアスロックの搭載まで中止された。
●また57㎜砲も予算の都合で、対水上のみの30㎜機関砲にダウングレードされることがに決定。
●結果、ミサイルは対地攻撃用のトマホークと個艦防空用のESSMしか使えない

●先進技術の追求しすぎと、開発段階でのトラブルで価格は高騰。そのお値段は一隻あたり50億ドル。日本円にして約5000億円である。
●価格高騰などで調達隻数削減後、当初は2隻のみの建造とされたが、造船所の仕事確保のため、3隻目の建造も決定された。

●沿岸戦闘艦LCSは頼りないし、古いタイプのイージス艦の後継艦が未定だが、比較的新しいアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦のさらなる追加建造でつなぐ方向か?
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B-2Whiteman.jpg米国防省の「グダグダ」な兵器開発の歴史に「悪い意味」で燦然と輝くのが、B-2爆撃機、F-35戦闘機、沿岸戦闘艦LCS、シーウルフ級攻撃型原潜などですが、このZumwalt級ミサイル駆逐艦も堂々仲間入りです。

運用体制確立後、どこで使用するのでしょうか? 東シナ海や南シナ海に登場するのでしょうか? 
「太平の眠りを覚ます上喜撰(蒸気船)たった4杯(隻)で夜も眠れず」ぐらいの効果を発揮してくれることを期待したいのですが・・・

関連の記事
「新空母フォード級を学ぶ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「F-35の主要課題」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「沿岸戦闘艦LCSがF-35化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-09
「映像で学ぶB-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01

ロバート・ゲーツ語録70
(ロシアでの講演で、)軍事官僚制の2つの病巣、つまり兵器システムの継続的価格高騰と納期の遅延、を危惧する点でセルジュコフ露国防相と意見が一致した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28

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米軍戦術核の改修延命に約1兆円 [Joint・統合参謀本部]

B-61 LEP.jpg19日付Defense-Newsが、米空軍が保有する戦術核爆弾「B-61」の改修延命経費に関するエネルギー省隷下のNNSA(National Nuclear Security Agency)の見積もりや、改修計画概要を紹介しています。

見積もりによれば、NNSAが担当する爆弾本体関連が約8500億円で、国防省が担当する「tailkits」が約1500億円となり、合計約1兆円となる模様です

カーター長官は9月26日、戦術核兵器「B-61」だけでなく、戦略原潜やICBMを含めた米軍核戦力が、当初の寿命を10年以上超えて保有されており、「この更新を行わないなら、不安全で、信頼性が低く、効果が不十分になる」「更新するか維持するかではなく、更新するか保有ゼロになるかの選択だ」と述べ、予算確保の必要性を訴えています

戦略原潜やICBM、更には各関連各種施設や新型爆撃機B-21等まで含めると、必要経費は10兆円とも言われていますが、本日はとりあえず戦術核爆弾B-61の更新経費を見てみます

19日付Defense-News記事によれば
B-61 LEP3.jpg●核兵器の使用や運搬手段(艦艇、航空機、ミサイル)については米軍が担当するが、核弾頭の開発・維持・破棄はそのものはエネルギー省隷下のNNSAが担当する
●今年夏までにNNSAがまとめたB-61戦術核爆弾の延命経費は、爆弾関連直接経費が約7800億円で、関連技術や製造経費が700億円である。これとは別に、国防省が担当する爆弾の「tailkits」が約1500億円となり、合計約1兆円と見積もられる

●NNSAは米軍が保有する全ての核弾頭10種類を、5種類に整理統合する「3+2 Strategy」を基に本見積もりを行っている
外部の専門家は、この見積もりは20年以上前から繰り返し行われてきたものだが、2013年当時の見積もりと大きな変化は無く、実施上の新たな問題は発生していないのだろうとコメントしている

●「3+2 Strategy」とは、現有の弾道ミサイル弾頭5種類を3種類(IW-1, IW-2, and IW-3)に集約し、戦術核や巡航ミサイル用の5種類を2種類(W80-4 and the B61-12)に集約する構想である
B-61戦術核に関しては、現有の4種類(B61-3, -4, -7 and -10)を1種類(B61-12)に集約する計画である

次期の核巡航ミサイルLRSOが批判対象に
LRSO3.jpg●米空軍が開発を進めようとしている新しい核搭載長距離巡航ミサイル(LRSO:Long Range Stand-Off)は、戦術核兵器等との重複だとして、以前から議会等から批判されているが、大統領候補のクリントン氏が9月にLRSOへの懸念を表明し、向かい風が更に強くなっている
●先述の専門家は「LRSOの調達コストは2~2.6兆円と見積もられており、米軍核兵器の役割過剰重複の議論に拍車をかけている」と批判的にコメントしている
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Work副長官を始め米国防省首脳部が推進する「第3の相殺戦略」や、その背景にしっかり息づいている「エアシーバトル」の考え方も、確固たる核抑止態勢が維持されていることが大前提にあります。
以前Work副長官は、ミアシャイマーの定義を引用し、核戦力と通常兵器の両輪が重要だと語っていたところです

B-61 LEP2.jpgですから、実質「忘れられていた兵器」扱いになっていた核兵器とその運用部隊は、必要規模を精査しつつ、必ず堅実に維持される必要があります。
一方で、長年放置されてきた付けは大きく、その負担を厳しい予算状況の中で同負担するかが重い課題となっています。

韓国や日本が核武装だと言っても、その経費は莫大で、やはり米国にお願いするのが「右肩下がり」の日本の有力な選択肢です。
クリントンでもトランプでも、核抑止の維持には注目が必要です

戦術核兵器とF-35記事など
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ICBM後継に関する記事
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

オハイオ級SSBNの後継艦計画関連
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「SLBMは延命の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

関連記事
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「次期空母の建造費を削れ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-07

オバマ大統領が「核兵器先制不使用」の宣言準備?
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-07

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イスラム過激派による無人機攻撃で初の犠牲者 [Joint・統合参謀本部]

UAV-small2.jpg12日付海兵隊タイムズ紙は、10月初旬にISILが使用する爆弾搭載の市販無人機攻撃でクルド人兵士が死亡して仏軍救命救助兵士が負傷し、イスラム過激派による無人機攻撃での初めての犠牲者となったと報じています

また同紙は、最近数ヶ月の間に、ISILに限らず、多くのイスラム過激派が市販無人機を兵器としての使用を試みる証拠が明らかになっているとして、米軍をはじめとする多国籍軍に危機感が高まっていると報じています

小型無人機が簡単に入手できるようになり、このような事態は数年前から予測されていたとは言え、現場の部隊にとっては厄介な課題がまた一つ加わったことになります

12日付海兵隊タイムズ紙web記事によれば
10月2日イラクのエルビル近郊で、ISILが送り込んだ爆弾搭載の小型無人機で、2名のクルド人兵士が死亡し、2名の仏軍救命救助兵士が負傷した。

UAV-small.jpg当該兵士が撃墜した無人機の様子を確認していたところ、搭載されていた小型爆弾が爆発した模様で、対ISIL作戦の報道官であるJohn Dorrian米空軍大佐は、「トロイの木馬」攻撃だと表現した
●また同報道官は「我々はこれまでに、ISILが市販無人機を使用するとの報告を数回受けており、その中には爆弾を搭載したものも含まれている」と明らかにした

●NYT紙も、先月少なくとも2回、ISILが爆発物搭載の無人機使用を行ったと報道している。
●10月2日のクルド人兵士死亡事案では、原始的な発泡スチロール製の小型無人機にテープでプラスチック爆弾と電池が取り付けられていたと、米政府高官の話を引用してAP通信が報じている

●しかし市販無人機の使用はISILだけに止まらない。AP通信はアルカイダが撮影した映像に、シリアの兵舎で無人機を離発着させる映像が含まれていると報じている
●また別の映像には、シーア派のヒズボラがスンニ派をアレッポ近郊で攻撃するため、無人機から小型爆発物を投下する様子が記録されている。AP通信は、これら映像がイスラム過激派による無人機の攻撃使用の最初の証拠だと報じている

無人機対策への取り組み
DroneDefender.jpgDorrian報道官は、米国らの多国籍軍は敵無人機の活動に対処する方策を精力的に追求していると語り、細部に言及できない無人機撃退の「先進システム:advanced systems」のほか、無人機操縦用電波を妨害して無人機を無効化する装備「DroneDefender」を挙げた
●そして同報道官は「敵に友軍を脅かすような能力の保有を許さず、新たな脅威を放置しない」と語った

●軍事研究機関のRebecca Grant所長は、このような「敵無人機の脅威:red drone threat」対処は数年前から議論され、「多くの演習やwar gamesがなされているが、監視レーダーとレーザーの適切な活用が重要だろう」と語っている

米海軍研究所は2014年に艦艇搭載レーザ兵器の試験を成功し、米陸軍も戦闘装甲車両に無人機対処のレーザー兵器搭載を進めようとしている
●DARPAも8月に、今後4年以内に小型無人機からの防御新技術を開発するための支援を要請している
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flying IEDs.jpgこの事例は中東でのイスラム過激派との戦いですが、無人機の脅威は従来の兵器システムの脆弱性を突いてきます。

特に、飛行場インフラの無効化に極めて効果的でしょう。航空機そのものや滑走路だけでなく、多様で多数の脆弱なインフラが戦闘機の運用を支えており、これらへの攻撃に無人機は極めて有効です。

空中戦しか考えていない「戦闘機命派」は、相手の立場に立って脅威の変化を考えるべきでしょう・・・
悪役の考えることは世界共通ですから、すぐに拡散するのでしょう・・・・残念ながら・・・

無人機対処関連の記事
「DroneDefenderをご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30
無人機の群れ:Swarmで艦艇の攻撃や防御
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

2015年の「Best of What’s New」に選ばれた
「海軍研究所の滑空無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-04

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米空母の定期修理が間に合わない [Joint・統合参謀本部]

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Bush-CV.jpg7日付Defense-Newsは、米海軍艦艇の任務多忙で艦艇のローテーションが厳しい中、派遣期間が増えて定期修理補習作業が増える一方で、予算不足(又は不安定)により艦艇修理施設の人材や技量不足して特に空母の回しが困難に成ってきており、来年新大統領が就任する頃には中東に空母が存在するかどうかが微妙だと報じています

具体的には、現在中東に派遣されている空母アイゼンハワーは来年1月には帰路に就く予定で、空母ブッシュが定期修理と準備訓練を終えて任務を引き継ぐ予定であるが、空母ブッシュの定期修理が長引き、必要な訓練期間の半分しか確保できないまま派遣される恐れがあるという現状です

恐らく記事は「氷山の一角」を捕らえたもので、空母以外の艦艇や潜水艦の定期修理等にも影響が出ていると思われ、記事は原子力潜水艦の修理を民間企業に委託し、海軍修理所の人員を艦艇修理に振り向けたりする現状も紹介されています

一応、アイゼンハワーとブッシュ問題は、南シナ海やアジア太平洋地域には影響は無いだろうと記事は触れていますが、米政権や米国防省が対ISILや対露に力点を置く現状から、どんな影響が出るか判りません

7日付Defense-News記事によれば
Norfolk.jpg空母アイゼンハワーは、中東地域に展開する唯一の空母としてペルシャ湾で活動しているが、2017年1月には7ヶ月間の計画派遣期間を終え、米東海岸のNorfolk基地に帰還する予定である
しかし、後を引き継ぐはずの空母ブッシュは、当初の定期修理期間6ヶ月を大幅に延長する13ヶ月の修理期間を要し、今年7月に派遣準備訓練を開始したばかりである

●通常、空母ブッシュには10ヶ月間の派遣準備訓練が必要だが、修理期間延長が検討され始めた頃に最初8ヶ月間に短縮され、最終的に現在では、交代派遣のためには4ヶ月で準備訓練を終える必要がある
●現在空母ブッシュは約2週間の訓練航海中だが、修理を継続している部分もあり、本当に年末に中東に向け出発するのか米海軍艦艇コマンド司令部も最終決定していないし、多方面からの質問に回答しない姿勢を取っている

この背景には、予算削減や予算の不安定と、その影響を受けた過去の修理所の人員削減がある。もちろん、艦艇の任務増加で船体が酷使されていることも影響しているが。空母ブッシュだけでなく、10月5日に20ヶ月間の定期修理を終えた空母ニミッツも、予定より4ヶ月も修理期間が延びている
●活動中の空母アイゼンハワーも、前回の定期修理が半年延長され、他の空母を「つなぎ」に投入しなければ成らなかった

艦艇補修所の状況と米海軍の対応
Norfolk2.jpg米海軍には4カ所の艦艇補修所(Norfolk、Puget Sound、Pearl Harbor、Portsmouth)があり、前者2カ所が後者の2倍の人員を抱える主力施設で、計約3.5万人の人員で運営されている
●作業量の増大に伴い、定年退職や離職者を埋める必要とあわせ、2013年以降に1.4万人を新規採用しているが、作業需要に追いつかない修理作業には特別な技能が必要で、数を揃えても技量向上には時間が必要なのだ

現場での作業員だけでなく、修理作業行程を計画管理する有能な人材の不足も指摘されている。酷使された船体には、想定外の要修理箇所が見つかることが多く、その都度全体の作業プランの見直しが必要で、複数の艦艇補修所で作業を分担することもあり極めて高度なプランニングが求められる
●米海軍艦艇コマンドは緊急の任務要請等に対応するため、最適艦艇対処計画OFRP(Optimized Fleet Response Plan)を準備し、関係する他コマンドや関係部署と調整協議を行う事としているが、空母ブッシュの作業遅延対策が十分なのか疑問声が挙がっている

●匿名の関係者は、空母ブッシュの派遣を数ヶ月遅らせて派遣を2017年頭書とし、空母アイゼンハワーの任務期間を遠投する可能性に言及したが、厳しく緊張感の続く任務に就いている中東派遣空母の派遣期間延長には慎重な声もあり、結論は出ていない模様である
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Bush-CV2.jpg記事の中に「悪循環に陥っている:caught in a vicious cycle」との表現がありますが、不規則に「つぎはぎ」を繰り返すことで、部品の発注や人材の育成、計画部門の混乱や疲弊が広がる事になるのでしょう・・・

このような兵站の問題は表面に出ることが少なく、戦史の中でも、後年になって研究が進んでやっとそのインパクトの大きさが明らかになることが多いです。
国防省や米海軍首脳も、気づいた時には手遅れで、体制建て直しには体制建て直しには長期間を要する・・にならないよう、手を打ってほしいものです。

まぁ・・・飛行機ばっかり購入し、維持整備体制や部品の購入費を犠牲にしている日本軍首脳にも、「ゆでがえる」に成らないよう過去の教訓を学んで欲しいものです

空母関連の記事
「F-35Cの着艦装置が凄い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22
「露空母が26年目で初任務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-23
「イラン無人機が米空母撮影」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-01

「新空母フォード級を学ぶ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「映像:革新的新カタパルト」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

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ハリス司令官が「Cross-Domain」能力を訴え [Joint・統合参謀本部]

AUSA 2016.jpg4日、ハリス太平洋軍司令官が米陸軍協会総会に「Skype映像」で講演し、アジア太平洋地域の脅威環境を考えれば、特定の軍種が特定のドメイン(陸海空宇宙サイバー等)での戦いを主導するのではなく、全軍種が全ドメインに関われるような「cross-domain」能力を備え、かつ全軍種の「cross-domain」能力を融合して戦う必要があると訴えました

9月21日にはWork副長官が米空軍協会総会で講演し、米陸軍中将が提唱する「Multi-domain battle」論を紹介しつつ、「第3の相殺戦略」に取り組む米陸軍を讃え、返す刀で米空軍に奮起を促していましたが、ハリス司令官も「Cross」して「Multi」なドメインで全軍種が戦うイメージを共有しているようです

「副長官が米空軍の尻を叩く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28

そしてその考え方の背景には、Work副長官が3つの側面から指摘していたように、アジア太平洋地域では友軍戦力の大規模集積が不可能で、敵対国がかなりの能力の誘導兵器で少ない展開基盤を攻撃可能で、かつ米側のネットワーク依存を弱点としてサイバーや宇宙兵器に力点を置いている厳しい現実があります

5日付米空軍協会web記事によれば
Harris CSIS.jpg●ハリス司令官は「現在の世界情勢を踏まえれば、cross-domain能力の導入は喫緊の課題である。特にインド-アジア太平洋地域においては」と訴えた
●そして「脅威に先行して対処するには、組織的な惰性や慣行がcross-domain作戦への移行を妨げることがあってはならない」と述べた

●背景として司令官は、人口が増加して世界の中での経済的比重が成長を続ける当地域に、ハイエンド紛争用の軍事力が急増し、「multi-domain」な戦域になっているからだと述べた
●そして、ロシアや中国がネットワーク化された艦艇や潜水艦や航空機に搭載される長距離弾道ミサイルによるA2AD能力を備え、唯一21世紀に核兵器実験を行った北朝鮮が当地域に存在すると言うことだと説明した

●「Cross-domain能力」の例としてハリス大将は、米陸軍も敵艦艇を撃沈し、敵衛星を無効化し、敵のミサイルを打ち落とし、敵の指揮統制系統を妨害したり「Hack」したり出来なければならないと説明した
AUSA 2016-2.jpg●そして、敵が作戦したいと考えるドメインで彼らの行動を拒否することで、融合された(cross-domain能力を持つ)統合戦力は新興勢力を抑止できるのだと語った

●「我々は過去の計画立案者よりも、遙かにより多くのドメインで統合作戦を実施可能でなければならない。我々は統合の度合いを高める必要があり、特定の軍種が特定のドメインを支配することなく、どのドメインも内部に固定された軍種の縄張りを設けてはならないと考える」と訴えた
●更に、「全てのドメインで即応態勢を保って勝利を勝ち取るには、戦闘コマンド司令官は、どのドメインからでも、他のドメインに存在する目標に所望の影響を与えられるようでなければならない」と語った
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25年前の湾岸戦争時のように、50万人の兵力と空母3隻と数百機以上の航空機をアジア太平洋戦域に展開させることは不可能だから、展開可能な限られた戦力が複数のドメインで活躍してくれないと対処できないし、又は遠方から戦力投射するしかないと言うことでなのでしょう。

Harris4.jpgただ「Cross-domain能力」の獲得は良いとして、厳しい予算状況であるが故に軍種間の縄張り争いは熾烈でアリ、また米議会も同じような能力を複数軍種が保有することに厳しい目を向けることになるでしょう。

日本が一番に考えなければならない「Cross-domain能力」でしょうが、予算獲得過程で精緻に「装備の縄張り」は区分され、財務省の厳しい目もあり、話を持ち出すだけでマスコミにリークされて民共連合の餌食になりそうです。

とりあえずは、米国がこの「Cross」して「Multi」なドメイン能力をどのように具体化するのかを見守りたいと思います。

関連の記事
「副長官が米空軍の尻を叩く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「迅速にピクチャー共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-21

地上部隊にA2AD網を期待
「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
「ハリス大将も南シナ海で期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

「Multidomain battle」の解説記事
http://warontherocks.com/2016/09/multi-domain-battle-a-new-concept-for-land-forces/

Work副長官と「第3の相殺戦略」
「相殺戦略を如何に次期政権に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15

「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26

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米海軍トップ:曖昧用語「A2AD」は使用禁止 [Joint・統合参謀本部]

Richardson22.jpg3日、CSISで講演した米海軍トップのJohn Richardson海軍作戦部長(CNO)は、その示す意味が曖昧な「A2AD」との用語の使用を米海軍内で禁止すると語りました。

同大将は、CNOに就任直後に、100年以上も米海軍人の間で使用されてきた「sailorやpetty officer」との呼称を止めさせ、「operations specialists」とか「gas turbine system technicians - electrical」等の呼び名への変更を進めてきた「用語にこだわりのある人物」です。

以上の経緯もあり、今回の「A2AD」使用禁止を斜に構えて冷ややかに見る向きもあるようですが、その理由に耳を傾けるのもお勉強の一つと考え取り上げます

3日付Defense-News記事によれば
●「改めて皆さんにも問いかけたい」と語り始めたRichardson海軍作戦部長(CNO)は、ペンタゴンやワシントンDCで飛び交う様々な短縮用語が、本来の意味から離れて使用されたり、元の名前より広く知られるようになる事がしばしばあると指摘した
●そしてその様な短縮用語が、使用する人によって意味がまちまちで、同じテーブルで議論していても議論がかみ合わないケースが決して少なくないとも指摘した

Richardson11.jpg●そして同大将は、「A2ADとの言葉の使用を控えようと思う」と述べ、用語A2ADが様々な意味で理解され自由に使用されており、意思疎通に必要な正確な定義が不足して課題が生じていると表現した
例えば、「denial」との言葉は既に確立した状態を想起させるが、作戦上の実態はより複雑であろうと述べ、また戦史上でも決して目新しい事を指しているわけでないと語った

●また、「A2AD」が防御を意識させ過ぎると感じており、現実における防御と攻撃の混在両用とは異なったイメージを与えがちな点も不適切だとCNOは語った
●更に、「A2AD」は2000年代から好んで使用されているが、今日のより悩ましい課題、更に高度化している敵ミサイルや敵ISR等の最新の脅威を見逃す可能性を懸念もしていると表現した

しかしRichardson大将は、「A2AD」の換わりとなる言葉や表現を示さず、「申し訳ないが、代替の表現を具体的に持ち合わせていない」「しかしワンフレーズの短縮表現が混乱を生み、明確さを欠くことを指摘しておきたい。その様な用語を使用する代わりに、より具体的な戦略や能力について議論すべきだと思う」と語った
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CSISが掲載の講演動画
https://www.csis.org/events/maintaining-maritime-superiority-admiral-john-richardson

米海軍の内部に限った用語「A2AD」使用禁止だと思いますが、一理あるような気がしますし、「より具体的な戦略や能力について議論すべきだ」との指摘は、脅威の最前線にある日本の国防関係者に向けられた言葉と言っても過言ではないでしょう

innovation3.jpg「A2AD」と語っていれば知ったかぶりが出来た時代は過ぎ、組織を動かす少佐や中佐レベルが骨身に染みて「脅威の変化」を感じている必要があるのですが、依然として自衛隊トップレベルが「防衛白書」レベルの「セピア色の脅威認識」で部下に語っているようでは、組織の意識改革は進みません

Richardson大将に言われるまでもなく、「A2AD」使用禁止が必要だとは言いませんが、より具体的に脅威と対処を議論する必要性を強く感じます

Richardson海軍作戦部長(CNO)関連の記事
「呼称CBARSは好きでない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「同大将の初海外は日本」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-25
「海軍内では信頼薄い!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-14
「ノミネート会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16-1

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統参議長:米空軍は外国軍訓練をもっと重視せよ [Joint・統合参謀本部]

Dunford AFA.jpg9月21日、米空軍協会総会の最終日に登場した米軍人トップのダンフォード統合参謀本部議長は外国軍を訓練して能力向上させる任務の重要性について、米空軍内の意識が低く、軽んじられていると厳しく指摘しました。

米空軍の主要幹部がほぼ全て勢揃いの会場で、アフガンで訓練に従事する自身の「甥」まで証拠として引用し、「この任務の重要性を判っているのか? 君たちはこの任務の魅力化に何かやっているのか?」とストレートな詰問口調です

厳しいなぁ・・・は大変だなぁ・・と率直に思いますが、数年前から我が国自衛隊にも降って湧いたように「能力構築支援:Capacity Building support」なる任務が急増し、アフリカから中東、東南アジアからモンゴルまで、自衛官等が飛び回っている現状です

ダンフォード議長は厳しい口調で・・
A-29 Afghan.jpg●パイロット不足、連日行われている対ISIL攻撃、厳しい予算の中での取捨選択など、米空軍は全力で任務に取り組んでいる。そして国防省では、その負担軽減のため、数年に亘り負担を同盟国等に担ってもらえる様に取り組んできた
同盟国や友好国の空軍を訓練することに、特段の重要性があると考えよニーズがあると考え、その任務に従事する空軍兵士の動機付けも含め、空軍としてしっかりと取り組め

同盟国等を訓練することは中核任務である。決しておざなりな姿勢で臨む第2優先の任務ではない
●我々が世界中で全ての軍事任務を担うことは出来ない。従って米軍は戦略として、過激派が戦力を拡大しないよう、限定的な予算を用い、アフガニスタンやイラクやシリアのような国で有効な軍を育成すること当たっているのだ。

自分の甥や現場の教官達の声を引用し・・・
●最近、アフガン空軍操縦者の訓練を行っている米空軍部隊をアフガンで訪問し、米空軍と共に赴任して教官を務めている私の甥やその同僚達3~4名に話を聞いた。
MD-530 Afghan.jpg君にとっていい仕事かと聞くと、彼らは皆うつむき加減で、はっきりと答えたくない様子だった。また、皆がやりたがる競争率の高い仕事か、君のキャリアアップのために望ましい仕事かと尋ねたら、彼らは否定的に答えた

この会場の全員が、何が重要か、どのように兵士を動機付けするかを考えて欲しい。仮に若い大尉が、アフガン空軍の訓練を魅力的でなく、空軍内部でも価値の無いものと見なされていると感じたら、必要な人材を任務に付けられない
●そして適切な人材を訓練に派遣できなければ、アフガン空軍を望む方向に育てられないのだ

なお、8月にアフガン空軍は、27機のMD-530ヘリを全て受領した。また8機のA-29軽攻撃機を受領し、今後更に12機を2018年末までに受け取る予定である。
アフガン空軍操縦者の訓練は、米国ジョージア州の米空軍基地でも行われている
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この内容と全く同じ事を、2009年にゲーツ国防長官(当時)が論文「A Balanced Strategy」で訴えています。
つまり米空軍内では当時と何ら変化無く、引き続き能力構築支援にほとんど力が入っていません

ロバート・ゲーツ語録36
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
海外の軍に助言して訓練し、装備品を提供するような重要な任務が、米軍内の優秀と目される幹部にとって、キャリア管理上魅力無いものと見なされているのではないか
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27

Dunford1.jpg米陸軍や海兵隊でも、似たような状況ではないでしょうか? 逃げられ方が猛烈なので、地上部隊の方が士気低下度は低いかも知れません。
一方で、それなりの人材を送り込める可能性は地上軍の方が高いかも知れませんが・・

それにしても・・・判っていながらこの発言。ダンフォード議長の割り切りと、仕事に徹する姿勢がすごいです・・
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ISILの米軍への化学兵器砲弾使用を否定
●22日に米軍人トップのダンフォード議長が上院軍事委員会で、9月20日にISILが米軍部隊に対しマスタードガス砲弾を使用したと証言した件に関し、28日国防省報道官は、一連の検査の結果、マスタードガスは検知されなかったと述べた

ISIS-TOYOTA.jpg●また同報道官は、20日の事象以降も、ISILが化学兵器を米軍に対し使用したとは確認されていないと語った
●一方で報道官は、「ISILが多様な機会に、イラクとシリアの両方で、化学兵器を使用した事を把握しており、今後の戦いの推移に応じ、米軍がその脅威に直面する可能性がある」と表現した


ダンフォード議長関連の記事
「ISが化学兵器で米軍を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-23
「統合参謀本部のスリム化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-16
「初海外はイスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-20

「経歴や人柄紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-02
「上院軍事委員会での証言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-10

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F-35がNIFC-CA試験に初参加で成功 [Joint・統合参謀本部]

F-35B-2.jpg13日付米海軍web発表(正確にはSea Systemsコマンド発表)によれば12日にニューメキシコ州のミサイル射撃場で実施されたNIFC-CA試験に海兵隊F-35がF-35として初参加し、空飛ぶセンサーとしての役割を果たし、地上発射ミサイルによる目標迎撃に成功した模様です

米海軍が取り組むNIFC-CA構想は、海軍艦艇の捜索レーダーが探知できない遠方目標情報を、F-35等のステルス機のセンサー情報やE-2D早期警戒機の情報を活用してデータリンクで入手し、艦艇や他の攻撃アセットで対処しようとするものです

ここでのポイントは、NIFC-CAに加わる各種アセット(イージス艦、空母、E-2D、EA-18G、FA-18、F-35、MQ-4、P-8、空母艦載無人機、潜水艦? 更に空軍アセットも)をリンクで結び、単なる目標情報の「kill chain」ではなく、「kill web」として迅速に共有し、対処範囲を大きく拡大して遠方から中国のA2AD網に対抗する点です。

Desert Ship3.jpgなおNIFC-CAでは、海軍F-35は主に最前線センサーの役割を担い、兵器発射はEA-18G電子戦攻撃等に守られたFA-18が主担当になっており、「kill web」情報のハブ役をE-2Dが果たすことになっています。
そして空母を守りながら攻撃も担うイージス艦は、この「kill web」情報によりレーダー見通し外の目標に対し、SM-6(防空と対艦攻撃の両用)や巡航ミサイルを発射することになります

「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26

13日付米海軍web発表によれば
Desert Ship.jpg●12日、米海軍Sea SystemsコマンドがWhite Sandsミサイル演習場で行ったNIFC-CA試験で、海兵隊F-35をセンサーとして組み入れた初めての実弾発射試験には成功した
●試験には、何も手を加えていない海兵隊作戦試験評価飛行隊のF-35Bが参加し、イージス艦に見立てた地上レーダー&射撃施設「USS Desert Ship」からSM-6を発射して行われた

●「USS Desert Ship」レーダーの探知範囲外の目標を飛行中のF-35Bセンサーが捕らえ、同機のデータリンクMFAD(Multi-Function Advanced Data Link)で「USS Desert Ship」と目標情報を共有した
●共有されたデータは「Desert Ship」で最新ソフト「Baseline 9.C1」で処理され、SM-6による要撃成功に導いた

Desert Ship4.jpg●米海軍Sea Systemsコマンドの同計画責任者Anant Patel氏は、「この試験により、米海軍が外部技術も取り込んで兵器管制ループを完成させ、対空と対艦兵器合をセンサーとリンクと兵器を結ぶkill webに融合させる能力があることを証明できた」と語った
●試験に参加した海兵隊F-35部隊の派遣隊長は、「この試験は、F-35Bを他の海軍アセットと相互運用する行程の開始を告げるものだ」と述べ、「F-35Bは近い将来、米海軍の状況掌握能力と打撃力を飛躍的に向上させるだろう」と語った
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着実な1歩で結構なことですが、どうせやるなら早々に米空軍のF-35Aも加えた統合体制を早期に確立して欲しいです

最近、いろんな方面からF-35関連の「良いニュース」が聞こえてきますが、先日ご紹介したケンドール国防次官のように冷徹で広い視野をお持ちの方は、「F-35調達機数の削減」と「単価上昇」による通称「死のスパイラル」への警戒を忘れないでしょう。

次の国防長官による、最初の大きな決断になるでしょうから・・・

米海軍NIFC-CAと関連装備
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05

「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23

「日本&韓国とBaseline 9契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-28
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11

F-35調達機数の削減問題
「F-35が鍵:次期政権の国防費」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「統参謀議長が削減検討に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-11
「重鎮マケイン議員も削減要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-22

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米陸軍も緊急能力造成室RCO設置 [Joint・統合参謀本部]

Fanning-DAF.jpg8月30日、同性愛者と公言しているEric Fanning米陸軍長官が講演し現場の緊急ニーズを踏まえ、既存技術を活用したり組み合わせたりして迅速に現場に投入する緊急能力造成室(RCO:Rapid Capabilities Office)を、同日立ち上げたと発表しました

米陸軍の装備開発は、長期間かけて資金を大量投入したあげくに最終段階で中断や、20年検討して装備化されたら既に時代遅れ、といった「死屍累々」状態が続く評判の悪さがあり、遅ればせながら米空軍が成果を上げている同名組織設立(海軍も設置済み)で、汚名挽回を目指します

背景には、米陸軍が15年間イラクやアフガンに明け暮れた後、ウクライナで対峙したロシア軍が、無人機や電子戦やサイバー戦や宣伝戦を交えたハイブリッド戦で恐るべき能力を発揮していることや、中国を初めとする潜在敵国がA2ADと言われる拒否戦力を着実に充実していることがあります

とりあえずは、電子戦やサイバー戦や残存性(survivability)、更にGPS喪失時の代替PNT(position, navigation and timing)に重点指向し、Fanning米陸軍長官が自らRCOを監督する評議会のトップに付く姿勢です

8月31日付Defense-News記事によれば
Fanning-RCO2.jpg30日、BloombergのイベントでFanning米陸軍長官はRCOを同日創設したと語り、「米陸軍が最も要求度の高いものを優先に、1年~5年で前線に投入にする姿勢で取り組む」「前線が緊急に必要とするものを、より迅速に革新的な調達プロセスで提供する」と語った
●同長官は背景として、「敵対者は米軍の弱点をよく観察し、意欲的に近代化を進めてて米軍との技術的差を縮めている」、「米軍の敵対者に対する優位性は、かつてほど無く、望ましい差も無い」と危機感を訴えた

●例として長官は、「ロシア軍はウクライナで、無人機や防御サイバー戦や先進電子戦を用い、新たなレベルの洗練された戦いを行っている」、「米軍の容易な進出を拒否するA2AD環境下での作戦運用の必要性が高まっている」こと等を挙げた
●そしてRCOは当面、電子戦やサイバー戦や残存性、更にGPS喪失時の代替PNTに取り組み、半年以内に目に見える成果を出すが、「ドメインをまたぐ融合された解決法の優先順位を見定め、解決法をリーダー達に直接示してその反応を直にうけるプレッシャーの中で業務を進める」と長官は説明した

RCOの運営や当面の取り組み
RCO-AF.jpgRCOの組織は階層や結節を少なくし、機敏で現場ニーズに反応の良いものを目指し、長官自身がリーダーとなる評議会(board of directors)を併せて設置するとも長官は説明した。なお同評議会は、調達の円滑性、各種試験、現場配備、契約行為の全ての決定権を持つ
●また、米陸軍省のKatrina McFarland調達担当次官やMark Milley陸軍参謀総長も評議委員となり、国防省のケンドール調達担当次官もしかるべき役割で関与してもらうと説明した

軍需産業との接点はRCO内の「Emerging Technologies Office」が専属で担当し、各種イベントやフォーラム等を通じて陸軍のニーズを明らかにし、企業側の技術力との橋渡しを行うとRCO関係者は述べている

●同長官はまた、まず最初の電子戦分野では、GPSが妨害を受けた際の対処に取り組み、10月の米陸軍年次会議の席で、原子時計を活用した独立航法システムの活用について等について提示し議論すると説明し、
●またRCOは、防御的なサイバー手法にも取り組んでおり、評議会の議題に上る予定だと述べ、既存の技術や現有装備の他方面での活用など、時間や費用をかけないで飛躍につながる目を追求すると語った。

Fanning-RCO.jpg最初の評議会は9月中旬に開催する予定だが、予算確保の面では政府や議会との交渉が控えている。これに関しRCO関係者は、編制作業を終えている2017年度予算でも、経費捻出の道はあると表現している
2018年度以降の予算には、米陸軍として正式にRCO関連経費を計上したいと考えている。必要な人員の確保についても予算と同様に、既存の技術や装備を融合する事を主眼としており、それほどは必要としないと関係者は主張している
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まだ40代前半で、しかも史上初めて陸軍トップで「ゲイ」宣言のEric Fanning陸軍長官ですが、仕事への取り組みは前向きでスピーディーです

「半年で成果を出す」との発言に期待し、しばし待ちましょう。それにしても最近、電子戦やサイバー分野で、結構画期的な新兵器や装備が出そうな予感が漂っています
まぁ・・・完成しても、あまり公にならない兵器でしょうが・・・。

MC-12.jpg米国防省内で最初にRCO(Rapid Capabilities Office)を設置したのが米空軍で、当時のゲーツ国防長官の命により、前線のニーズが高かった映像データ中継機能を持った航空機を、既存の航空機に既存の装備を搭載する事で実現し、わずか1年で前線投入に成功したMC-12が最初の成果です

米空軍RCOの活動関連
「次期爆撃機の要求検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-07
「謎のRQ-180」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09
「謎の宇宙船X-37B」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12

米空軍RCOの原点事業MC-12について
「国防長官がMC-12工場激励」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-02
「成果第1号MC-12について」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-06-12

電子戦で画期的装備出現の予感
「人工知能で電子戦を戦う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-31
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