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トランプ政権初の航行の自由作戦 [Joint・統合参謀本部]

アジア安全保障会議に向けたアジアへのアピールか?
今後の同作戦の推移にご注目!

USS Dewey.jpg25日、昨年10月を最後に中断していた南シナ海における「航行の自由作戦」がトランプ政権下で初めて行われ中国側もトランプ政権を試すかのようなコメントを行っていますのでご紹介しておきます。

それにしても、米軍事メディアにおける今回の「航行の自由作戦」の扱いは低調で、北朝鮮の核や弾道ミサイル問題にばかり注目が集まる中、間隙を縫ってヌケヌケと南シナ海で好き放題やっている中国の術中に、まんまとはめられている印象です

日本のメディアは流石に関心があり、26日付読売新聞は、トランプ政権が北朝鮮問題を優先課題とし、中国の協力を取り付けるため、米太平洋軍が2月以降に複数回の同作戦実施を上申したにも関わらず、国防省が認めなかったと紹介しています

Mischief Reef.jpgまた同報道では、トランプ大統領が中国主席とフロリダで会談後、2回に亘って直接中国主席に北朝鮮への働きかけを促し、催促する電話をしたが、期待する中国の動きが見られず、ついに中国を牽制する「航行の自由作戦」に出たとの見方を紹介しています

まんぐーす的には、恐らくマティス長官が参加する、6月2日からのアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアログ)で、米国の立場を悪くしない配慮も少しはあったかも・・です
今後の展開を含めた視点が必要ですが、とりあえず半年以上振りの「航行の自由作戦」と中国側の反応をご紹介します

追記:24日朝、海南島の東方上空哨戒飛行中の米海軍機に、2機の中国軍機が異常接近したようです。いよいよ中国とトランプ政権の「探り合い」が「ジャブの応酬」になりかけています・・

25日付Military.com記事によれば
USS Dewey2.jpg25日、米海軍のミサイル巡洋艦「USS Dewey」が南シナ海で「航行の自由作戦」を行ったことを受け、中国国防省報道官は記者団に、米国当局に説明を求めるとコメントしている
●そして国防省報道官は、米艦艇が「中国が議論の余地が無い揺るぎなき主権を行使している」島々の近くを通過したと事象を表現しつつ、「中国は米国に誤りを正し、より前向きな軍事関係構築にエネルギーを振り向けるよう促す」と語った

●更に国防省報道官は付け加え、この様な行為は、海上における偶発的な事案のリスクを高め、「中国軍の軍事力強化を駆り立てるだけである」と述べた
●中国外務省の報道官は、「米国に過ちを正すように促し、当地域の平和と安全や、2国間の長期的な協力関係を害するこの様な行動を止めるよう求める」とコメントした

Mischief Reef2.jpg5月始めに超党派の議員団が、昨年10月から中断している「航行の自由作戦」の再開をトランプ大統領に求めていた
●米国防省の報道官は、アジア太平洋地域の米軍部隊は引き続き同作戦を継続し、「海空使用の権利と自由を全ての国に保障するため、過剰な海洋権益主張に対抗する」と語った


米海軍P-3Cに中国軍機が異常接近
26日に米国防省高官が米空軍協会に明らかにしたところによれば、24日朝0740頃、海南島の南東150マイルの公海上空を哨戒飛行中の米海軍P-3Cに対し、中国空軍のJ-10戦闘機2機が異常接近した
J-10.jpg●中国戦闘機は約20分間にわたり、米軍機を両側から挟んだり、進路前方を横切るなどして約200m以内にまで接近し、米側搭乗員は「不安全行為」だと認識した

●似たような事象では、2016年5月に同じく海南島周辺で米海軍EP-3E電子偵察機に対し、中国J-11戦闘機2機が異常接近した事例や、同地域で2014年にP-8A哨戒機に対しJ-11が異常接近した事例がある。
2001年のケースでは、E-P3に対し中国J-8が空中接触し、J-8操縦者が死亡、E-P3が海南島に緊急着陸する事態も発生している
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中国軍機による異常接近事例が発生頻度を増しており、「偶発的な事象」に発展することが懸念されます。

「航行の自由作戦」は、6月最初の週末に開催されるシャングリラ・ダイアログ(アジア安全保障会議)に向けた米国の一時的なアピールなのか、間隔を空けず、それなりに繰り返し実施されるのかに注目したいと思います

関連の記事
「同作戦中断への議員団抗議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-14
「比は航行の自由作戦の米軍機利用を認めない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11

過去のアジア安全保障会議の記事は・・
「2016年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-30
「2015年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-28
「2014年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27
「2013年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-31
「2012年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-25
「2011年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「2010年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05

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トランプ大統領:空母を値切って砕氷艦増強!? [Joint・統合参謀本部]

Trump Coast-G2.jpg17日、トランプ大統領が沿岸警備隊士官学校の卒業式に出席し、これまで削減方針を示していた沿岸警備隊予算の関連で、現在稼働する砕氷船が1隻しか存在しない現状に鑑み、40年ぶりに砕氷艦を新規建造し、その後も隻数を増やすと語りました

またこれに併せ、再びF-35を「値切った」話を自慢たっぷりに語り、更にフォード級空母についても価格を下げて前倒しで建造させるような話までしており、空母「値切り」が初耳の軍事メディアに驚きが広がっています

そもそも、米軍と沿岸警備隊は現場では密接に連携するものの、国防省と国土安全保障省とで所属が異なる事から、F-35や空母を「値切る」話を沿岸警備隊士官卒業式で語る「品性」に疑問の声が上がっているほか、そもそも沿岸警備隊が海軍に属していると誤解しているのではとの「疑い」まで飛び出し、SNS上を賑わしています

一般メディアでは、この卒業式発言の中で、「私は特にメディアに不当に扱われている。歴史上、私以上に不公平にされている政治家はいない」「たぶん、私が(大統領選で)勝ったからだ」「敵は自身を強くする」や、「アドバイスをしよう。物事は常に公平ではない。だが、闘い続けよ。絶対に諦めてはいけない」の部分が注目されていますが、ここでは、空母と40年ぶり砕氷艦建造に関する部分を中心にご紹介します

17日付DODBuzz記事はこの演説を紹介しつつ
Trump Coast-G3.jpg●大統領は17日の卒業式で、「F-35戦闘機を皆さんのためにどれだけ値切ったかを話さないし、話題にもしない。またフォード級新型空母で、どれだけ皆さんのために値切るかについても、同様に言うつもりはない」と切り出した
●そして「私が大統領になる前、これらの装備は予算オーバーと開発遅延の問題を少しばかり抱えていたことは知っているよね。そんな状態を引き継いだんだ。でも私が大統領になって解決したんだ。それだけでなく、かなりのお金を節約できるんだ」と語った

●更に、「良く覚えておいてくれ。今後新しい空母を作るときは、従来の計画金額以下で予定より早く完成させる。これにより、より多く(の空母)を建造できるんだ」と語り、4月に海軍に1番艦が引き渡され、試験を開始したばかりのフォード級空母に言及した

トランプ大統領は自分がロッキードと交渉してF-35の価格を値切ったように吹聴し、1月に90機購入費を約700億円値切ったとツイートしているが、軍事メディアや専門家からすれば、その値下げ幅は昨年12月段階で既に明らかにされており、生産規模の拡大によって自然ともたらされたモノに過ぎない。
Trump Coast-G.jpg●(政治的なショーの演出を上手に利用した)ロッキードCEOのMarillyn Hewson女史は3月、大統領は手続きが加速する役割を果たし、タイミングと成果に「絶対的な」違いを生み出したと語ったが、極めて抽象的である

フォード級空母についてはまだよく分からない。8日のTime誌とのインタビューで大統領は、フォード級に搭載される新型の電磁カタパルト(EMALS)にパワーやコスト面でダメ出し(I said no)し、従来の蒸気式カタパルトを指示したと語っている(しかし、国防省や米海軍はこの件に関し何も言及していない

●大統領が唯一、沿岸警備隊だけに関係する装備計画で言及したのは、砕氷艦建造に関してである。北極海の重要性が増す中、現在稼働する砕氷船が1隻しか存在しない沿岸警備隊が、強く増強を求めていた装備である。ちなみに沿岸警備隊は3隻の新造を望んでいる
●大統領は本件に関し、「沿岸警備隊だけが、厚さ6mもの海氷を砕いて進む能力を持っている。君たちだけだ」、「私の政権下で、40年ぶりに新たな大型砕氷艦を建造する。そしてその後も更に建造するつもりだ
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Trump Coast-G4.jpg3月上旬時点では、メキシコとの「国境の壁」構築費3000億円を捻出するため、自然災害対策を取り仕切るFEMA予算を11%削減、海難救助や洋上密輸や密入国対策を担当の沿岸警備隊予算も14%削減、更に交通機関の安全管理を行うTSAも11%削減する計画だとの報道が流れ、「?」の5乗ぐらい驚いたのですが、振り回される米海軍や沿岸警備隊は本当にご愁傷様です

フォード級空母と電磁カタパルトの運命については、国防省や米海軍関係者からの反応を待ちましょう・・・

それにしても、トランプ大統領の発言をフォローして意味があるのかどうか・・・だんだん力が入らなくなってきました・・・。

EMALSとフォード級空母
「米海軍真っ青?トランプ「EMALSはだめ」」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍の基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09

あわれ米国の砕氷艦
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02

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米海軍トップが文書「将来の海軍」を発表 [Joint・統合参謀本部]

Future Navy.jpg17日、米海軍トップのJohn Richardson大将(CNO)が「The Future Navy」との9ページの文書を発表し、2020年代半ばに向けた米海軍の「ビジョン」を明らかにしました。
情勢認識や今後の海軍アセット作戦運用を前半で説明し、米海軍の国際情勢認識や運用の基本的考え方にも触れており、頭の整理に役立ちます。

中心となる内容は艦艇体制や増強の話で、海軍航空戦力の話は正面に出てきません。355隻体制への増強(現有装備の延命も含む)、艦艇建造能力の維持強化、艦艇設計コンセプトの変革などに言及しており、本ペーパーのビジョンを皆で共有することで前に進もうとの主旨です

ビジョンと言う事は「ビジョン」で、艦艇数を現在目標311隻から355隻にするとの数値目標以外は、何となく具体性に欠けるモノで、それほど新しい画期的な方向性が打ち出されたわけではありませんが、今後様々な形でこの文書の表現や考え方が具体化されるのでしょうから、事前の会見と併せ文書の概要を学びたいと思います

17日付Defense-News記事によれば
(記事内に「The Future Navy」全文も掲載:図表除く)
Richardson.jpg●17日、シンガポールで開催されたIMDEX2017で講演したRichardson大将は、「The Future Navy」との文書を発表し、2020年代半ばに向け、米海軍はより多くの艦艇を急速に整備する必要があると訴えた
●また同大将は、海軍の戦いは根本的変革の時代を迎えており、その変化は「帆船から蒸気船への変化」、「木造船から鉄製への変化」、または「原子力推進線の登場」にも匹敵する海軍の変化に当たると表現した

●更に、中国やロシア海軍が急速に改善されている現状を踏まえ、単に右肩上がりで迅速な米海軍増強を行うのではなく、級数的な成長が必要とされていると語った
●そして艦艇数に関し、現在は310隻体制を目指しているが、その目標値を355隻体制にまで引き上げる必要があるとし、建造数の増加だけで無く、現有艦艇の延命など、考え得ること全てに取り組んで艦艇体制を増強すべきと述べた

Aegis3.jpg●艦艇体制増強の基礎となる軍需産業体制についても繰り返し触れ、短期的施策としてパートナーとしての造船業界を重視すると同大将は語り、更に「造船業界はより多くが可能でアリ、そのレベルに到達するよう米海軍も全力で取り組む」と宣言した

●また具体的な言及を避けたが、米海軍戦力の破壊力増強のため、艦艇や航空戦力を結ぶリンクの強化増強の必要性も強調し、「個々のプラットフォームだけではなく、より広範なアセットの組み合わせを可能とする、新たな次元のネットワーク力」を重視すると訴えた

●更に艦艇の設計について、より「モジュラー化:modularity」を追求し、艦艇が年齢を重ねても、より安価に近代化改修が可能なモノにしたいと語り、現状の設計から運用まで10年必要とする現状を戒めた
●そして「艦艇建造に長期間を要する現実に挑戦し、建造する艦艇には最新の技術導入を可能にし、完成後もより迅速に容易に最新技術を取り込める設計を目指したい。そのためモジュラー化や多用途な装備導入を考えたい」、「皆さんには長く使える船の建造と、成長し近代化する船の製造に協力して欲しい」と語った

Richardson11.jpg●(とりあえず短期的に何を行うのかとの質問に対し、明確には答えず、)(本文書の重要性を訴え、)まずなし得るビジョンを打ち出す事だ。我々に出来るビジョンがこれだ、と答え、
喫緊の取り組みは、艦艇購入予算を強く継続して要求していく事だと述べ、更に、一つ明確なことは、米国の艦艇建造ラインは稼働しており、仮に必要な資源が投入できればより多くの建造が可能だと言う事だと述べた
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図表を含め「The Future Navy」を見たい方は
https://news.usni.org/2017/05/17/document-chief-of-naval-operations-white-paper-the-future-navy

CV  Carl Vinson.jpg「The Future Navy」の冒頭には、最近実施した米海軍等の研究・分析結果から導かれた3大結論
第1に、国家はより強力な350隻レベルの無人及び有人システムを含む海軍を必要としている
第2に、数だけでは不十分で、海軍は新たな技術と作戦コンセプトを導入しなければならない
第3に、そしてそれを直ちに開始し、迅速に変革しなければならない・・・と記されています

上記のように概要にすると味気ないですが、最初の「情勢認識:Faster and More Complex. And Faster」部分では、海洋交通の重要性やその将来、中露NK等の軍事力強化、海軍から見た中東の不安定要素などが記載され、特に沿岸部の巨大都市が31から40に増加するとの、米陸軍と似たような将来変化を前提として重視していることが伺え、面白いです

次の「Response: Naval Forces」部分では海軍の伝統的役割から新たな任務を分析し、次項「Shape of the Future Navy」での必要な戦力構成や規模、更には新たな兵器技術やその必要性の議論につなげ、最後の「Getting and Staying There」部分で、以上の新たな体制を極めて迅速に達成するために必要な産業政策から調達改革、先ほど触れた設計思想の変革に至る実務的な改革ビジョンを語る構成です

Richardson22.jpg変わり者と言われる米海軍トップのRichardson大将ですが、細かく分割された組織に一本の横串を通し、ゴールや目標を共有して効率的効果的に前進しようとする姿勢は指揮官のあるべき姿でしょう。
少なくとも海軍関係の皆様は、しっかり読むべきでしょう
頭の整理に一度は・・

併せて見て頂きたい過去記事
「更に後退:空母艦載無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27
「米陸軍:巨大都市戦に備え」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-22
「米海軍:用語A2AD使用禁止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-04
「再び陸軍に南シナ海で期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16

Richardson海軍大将の関連
「初海外は日本」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-25
「海軍内では信頼薄い!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-14
「ノミネート会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16-1

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米海軍真っ青?トランプ「デジタル(EMALS)はだめ」 [Joint・統合参謀本部]

お笑いインタビュー!?!?
35機のF-35が日本上空を探知されず飛行?
トランプ氏が、海軍の夢:電磁カタパルトEMALSを嫌う!?

Trump-Time.jpg8日、Time誌がトランプ大統領とホワイトハウスで夕食(4品のコースディナー)を共にしながら約100分間のインタビューを行い、その様子をそのまま文字に起こして11日付電子版に掲載しています

Time誌が記事冒頭で補足しているように、話題が行ったり来たり(Trump weaved between topics)し、しばしば「オフレコ」になったりのインタビューだったようですが、ペンス副大統領と2名の政権幹部も同席した取材なのに、F-35と最新カタパルト部分がぶっ飛んでますので、とりあえずをご紹介しておきます

安倍総理が登場したり、アインシュタインが登場したり、ご紹介でしない部分では中国やISISや外交やNATOなどなどについても語っています

F-35を値切ってやった!
trump5.jpg●日本から安倍が来たとき、最初に彼が歩み寄ってきて「有難う、有難う」と言うので、「何のお礼?」と聞いたら、あなたのお陰でF-35購入費を約100億円得したと言うんだよ。
日本も90機を買うF-35購入国(正確には42機)で、だいぶ助かったはずだ。日本に100億円も節約させてやったんだ。交渉時間は合わせて1時間ほどだったが、それで価格を下げさせたんだ

●米国は2500機も購入することになっているから、誰も書いてくれないけど、数千億円~数兆円を節約したんだ
●F-35計画は安定し、価格は下がり続けると言うが、俺がそうさせたんだ。F-18の価格を持ち出して、1機35億円まけろと交渉したんだ

●知ってるか? マティス国防長官が日本を訪問したとき、35機のF-35を日本上空で飛ばしたが、レーダーで捕捉されなかった。突然頭上を飛ばれて、どこから来たんだと驚いたんだ。ステルス機だからさ。クールだろ?

フォード級空母の電磁カタパルトは良くない
trump7.jpg空母にとってカタパルトは非常に重要だ。でもフォード級のカタパルトはデジタルカタパルトだと言うんだ。最新の技術を使用したやつで行くと言うんだ。
●蒸気式カタパルトはもう使わないのかと聞いたら、もう使わないと言うじゃないか。どんな仕組みか聞いたら、良くないんだこれが。パワーが無い。蒸気の力のすごさを知ってるだろう。だから飛行機を空中に放り投げられるんだ。

俺はデジタルは良くないと思うぞ。だけどデジタルで行くと言うんだ。なんだそれ? 複雑すぎてアインシュタイン先生でないと上手く行かないぞ! 
●それでもって、もっと空母が欲しいと言うから、どうするのか聞いたら、デジタルで行くと言うんだ。ダメだと言ってやったよ。蒸気式で行けと! デジタルは高価だし、良くないと言ってやった
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トランプ大統領の「ご発言」にはお付き合いしたくありませんが、副大統領も側近の皆様も、米海軍の皆さんも大変だと思います。ご愁傷様です安倍首相の名前が、他の外国首脳に先んじて、登場したことを喜びとしておきますか・・

他の部分はそれなりに「当たり障り無く・・・」なのに、F-35とEMALSだけ「ぶっ飛んだ」感があります。
Trump-NATO.jpg英語訳には自信がありませんが、大統領は「You know they had the F-35s, they had thirty-five of them fly over Japan when Mattis was there, and they were not detected by the radar.」と発言しています。ここで「they」が誰か不明確ですが、米軍かロッキード社を指しているように見えます・・・

大統領の言う「デジタル」は、1番艦が4月に進水して試験が始まったフォード級空母に初めて搭載される、従来の蒸気式カタパルトに代わる電磁式カタパルトEMALS(Electromagnetic Launch System)のことです。「デジタル」と言うより、電力による磁力で飛行機を押し出すシステムです

ご立腹の大統領に対し、今後海軍は以下の様な説明を試みるのでしょう
Ford-Class-Carrier.jpgEMALSは蒸気式より効率性や維持整備経費を大幅削減するカタパルト。50年間の空母運用期間全体で、約4000億円の維持整備運用費を削減可能と見積もり
●フォード級空母は必要な大電力をまかなうため、2つの新設計原子炉を装備し、これまでの空母の約2.5倍の発電量を確保している
(ただし・・・フォード級空母は約9万トンと史上最大で、他の最新装備等と併せ、価格もニミッツ級空母の倍近い1隻約1兆4千億円 搭載航空機を除く)

2010年12月のEMALS解説記事によれば
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

EMALSの概要は・・・
●従来型カタパルトが蒸気を利用するのに対し、電磁力を活用したリニアモーターで動力を得るカタパルト
●空母自体の供給容量を超える電力を数秒間で消費するため、4つの回転式のロータに運動エネルギーとしてエネルギーを蓄え、カタパルト駆動時に電気エネルギーに変換して使用する。

EMALSの特長は・・・
Ford Class CV.jpg蒸気式に比べ、装置の重量が軽くて、装置の容量も小さい。また信頼性が高く整備の手間も少ない
●エネルギー効率が良く、蒸気式と比較して少ないエネルギーで、約3割増の推力を得ることができる。

●電気的に操作するためカタパルト駆動時のスピードを制御しやすく、駆動開始時に滑らかな加速が可能で、発進航空機へ負担が少ない。また、大型の飛行機から比較的軽量の無人機等に応じた適切な打ち出し推力を選択できる。
●蒸気式と異なり、電力を使用して生成する真水を必要としない。また海軍が目指す、蒸気を使用しない全電化艦艇の方向にも合致。

●蒸気式より、システム全体として静粛性に優れている(航空機の騒音が激しいので、艦内の居住性が改善されるかは不明)
●地上に設置されたEMALSは、2010年12月18日にFA-18の離陸試験に成功
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かなり意訳してますので、気になる方は是非Time誌電子版をご確認下さい
http://time.com/4775040/donald-trump-time-interview-being-president/

それにしても、ホワイトハウスや政府や国防省は大丈夫でしょうか???

EMALSとフォード級空母
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

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新装備でFA-18も空母着艦精度大幅アップへ [Joint・統合参謀本部]

「魔法のじゅうたん」がFA-18とEA-18Gにも

FA-18EF.jpg8日付Defense-Techが、新しく空母艦載機FA-18とEA-18Gに導入された着艦誘導装置「PLM」が素晴らしく着陸精度を5割向上させていると現場の驚嘆と喜びの声を伝えています。

同種の着艦誘導装置を当初から組み込まれているF-35C型機の着艦精度は、昨年8月時点で米海軍航空部隊司令官が、「100回着艦して失敗が一度も無い。100回のうち80回が理想的着艦」と表現するほどで、空母艦載機の運用を大きく変える可能性まで示唆されていた素晴らしさでした

現時点で「PLM」搭載のFA-18とEA-18Gが搭載されているのは、現在任務展開中の「George H. W. Bush」と話題の「Carl Vinson」だけのようですが、米海軍は2019年には全てのFA-18とEA-18Gに搭載する計画のようです

まだ改善の余地もあるようですが、操縦者が諸手を挙げて歓迎し、空母艦載機パイロットの資格要件や空中給油機需要を大きく変える可能性のある新技術の最新状況をご紹介します

8日付Defense-Tech記事によれば
FA-18-Bush.jpg●このMAGIC CARPET技術(Maritime Augmented Guidance with Integrated Controls for Carrier Approach and Recovery Precision Enabling Technologies)は、F-35C型機では「Delta Flight Path」と呼ばれていたが、FA-18とEA-18Gでは「PLM:Precision Landing Modes」と呼ばれている
●PLMを搭載したFA-18とEA-18Gは、共に1月から海上任務に就いている中東派遣の空母「George H. W. Bush」と、朝鮮半島周辺に所在する空母「Carl Vinson」に搭載されている

●これら主力のニミッツ級空母は、通常滑走路の1/10の長さの着陸甲板しかなく、特に夜間の着艦は大変難しいが、エンジン出力の調整と精密な機体コントロールを同時に行うところに難しさがある
PLMはエンジン出力調整操作の必要性を削減し、この代わりにフラップで下降ペースを(自動)調整するする事で、操縦者の手動操縦の負担を軽減する

●空母Bushの空母航空団司令官James McCall大佐は、空母に着艦寸前でエンジン出力を下げて下降レートを早めると、機体の操作が難しくなり、やり直しがより困難になるジレンマにパイロットは苦労してきたと語り、
●同航空団の訓練幹部は、PLMの導入で着艦の正確性が「ロケット打ち上げ並みに急上昇している」と語り、理想の着艦が繰り返されることで、3本ある着艦ワイヤーの2番目ばかりが摩耗して交換頻度が上がっていると説明してくれた。

今後の課題と取材陣の印象
FA-18EF3.jpg●昨年8月に米海軍航空部隊司令官が、同種の装置が設計段階から搭載されているF-35Cの着艦精度を、「空母甲板の同じ箇所ばかりが着艦で摩耗する」ので修理に追われていると嬉しい悲鳴で紹介していたが、空母Bushでも着艦精度は5割も向上している
2019年に全ての米海軍FA-18とEA-18GにPLMが搭載される予定である事から、今回の経験をMcCall大佐は他の艦載機航空団司令官と共有し、ノウハウの蓄積に努力している。

●ただしMcCall大佐は、現PLMの唯一の欠点として、システムの完全2重化(full redundancy)が図られておらず、システムに故障が発生した際に操縦者が手動着陸を迫られる確率がまだ高いことを指摘し、そのため若い操縦者に完全な手動着陸技術を要求する必要がある点を上げた
●そして同大佐は、早急にPLMのシステム完全2重化を実現し、操縦者の資格要件を緩和したいと語った

●前出の訓練幹部は、同航空団の操縦者の中でPLMを好まないのはPLM使用経験が少ない1名だけで着艦技量を競ったノスタルジアに浸るモノはおらず、着艦の安全と容易性を確保し、作戦任務に集中できる環境を与えてくれる同装置を最高だと語った
一方で、取材陣が5月3日と4日に空母Bushで確認した中でも、PLMを使用しながら着艦に失敗してやり直す場面を見ており、PLMが安全な着艦を保障してくれるモノではないとも感じられた
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FA-18EF2.jpg昨年8月にF-35C型機の着陸精度をご紹介した際は、「本装置導入により空母艦載機の着艦ミスが減少すれば、緊急用に空中で待機している空中給油機を削減することが出来、結果として作戦機の搭載を増加できる可能性がある」と期待効果を説明しました

そして具体的には、航空部隊司令官の「現在は空母に、6機から8機の空中給油機仕様のFA-18等を搭載しているが、この機数を削減できれば、攻撃機の搭載機数を柔軟に増やすことが可能だ。例えば、電子戦機EA-18Gや早期警戒機E-2Dの増加も考えられる」と夢を語っています

この装置で夜間着艦訓練NLPの回数が減れば、厚木などの騒音問題も軽減が期待できますし、操縦者養成短縮できそうで操縦者不足に悩む米海軍には朗報ですし、何よりも安全面での改善向上は前線部隊にとって素晴らしいことです。

ただ最後の一文「PLMが安全な着艦を保障してくれるモノではない」には要注意です。人間の慢心や注意散漫があっては、安全は確保できませんから・・。

「F-35Cの着陸精度が素晴らしい」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22

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民間依存高まる米軍輸送力に危機感 [Joint・統合参謀本部]

朝鮮半島有事を30日間は支えられるが・・・

McDew6.jpg2日、米輸送コマンドのDarren McDew 司令官が上院軍事委員会で証言し、米軍輸送力の民間依存がここ20年余りで急増したことで、制空や制海が完全でない厳しい環境下(contested environment)での輸送力確保が大きな問題となっていると語りました

McDew 司令官は最近の「war game:机上演習」でさらに危機感を強くしたようで、「驚くべき量の教訓を得た」と表現し、「今や我々の任務遂行上の課題のすべてである」と語りつつ、民間業者のサイバー防御問題や厳しい環境下での行動可能性に言及しています

C-17-2.jpg「長い間、我々が経験してこなかった厳しい環境下」での机上演習が、どのエリアを想定したものかに言及はありませんが、冒頭の言葉通り、西太平洋地域や朝鮮半島にも頭は向いているようです。
当然と言えば当然の課題ですが、これまであまり取り上げてこなかった有事兵站輸送の課題ですので、これを機会にご紹介します。

3日付米空軍協会web記事によれば
●上院軍事委員会のMike Rounds議員(共和党)は、第1次湾岸戦争を戦った1990年代と比較し、米軍の大型輸送機は50機も減少して民間依存度が高まっていると危機感を示した
●そして今紛争が発生したなら、人員空輸の9割は民間依存(Civil Reserve Air Fleet)となり、物資空輸は4割依存となる。湾岸戦争当時は、人員6割、物資25%の依存度だったのに・・・と同上院議員は分析した

McDew4.jpg●McDew 司令官は、米軍が依存度を高めている民間輸送に、有事の厳しい環境下で依存できないと述べ、サイバー脆弱性と対空脅威下での行動制約に言及した。そして、紛争初期はA2AD環境に備えた軍輸送力が支えられるが、民間輸送力への依存を高めている輸送コマンドは第2波からの輸送問題に直面すると同司令官は語った
●司令官は委員会で、「机上演習が如実に示した驚くべき脆弱性と教訓を、我々は吸収し始めている。戦術や手順や技術を見直しつつあるが、やるべきことは多く残されている」と危機感を示した

民間輸送企業のサイバー脆弱性について同司令官は、「輸送企業のCEOの中には、攻撃を現在も受けていることに気づいていない人がいる」、また「全てのCEOは十分なサイバー防御対策を取っていると認識している」との認識を示した
●しかし一方で、企業にサイバー防御強化を強制する力は国防省にはないと同司令官は述べた。

Cyber-new.jpg●この状況への対策として同司令官は、国防省の権限を強化するのではなく、国土安全保障省やFBIと協力しつつ、企業の意識を高めて対処基準を高めてもらうような取り組みを検討していると語った。
●この取り組みでは、「明確なサイバー安全保障基準」を最低限設け、脅威の変化に応じて見直していくことを検討しており、第3者機関が企業の対処レベルを評価することも考えられており、「少なくとも厳しい環境の淵(エッジ)で任務可能なレベルに強化できるよう協力している」と述べた

●輸送力の現状について同司令官は、民間企業による米軍支援の比率はここ20~30年増加の一途で、陸海空軍に並ぶ第4の勢力となっており、民間輸送企業なくして任務遂行は考えられないと語った
●そして朝鮮半島有事を例に、在韓米軍司令官が輸送コマンドの輸送力だけでの作戦遂行を必要とした場合、最初の30日間は可能だろうと述べ、その後はよく吟味する必要があると表現した。そして民間輸送力への移管を進めると、6か月まではそれなりの見積もりができるが、それ以降は挑戦だと語った
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朝鮮半島有事の場合、対中国ほど脅威環境が厳しくはないでしょうが、それでも米軍輸送力では「30日間」しか持たないとの証言です。

McDew5.jpg米軍輸送コマンドは、民間輸送企業への依存度を高める過程で、業務効率化のためIT化を進め、業務発注等をネット上で行うようになった結果として「サイバー脆弱性」を高め2012年時点で「最もサイバー攻撃を受ける主要コマンド」の栄誉を獲得しています

当時の記事によれば、すぐさま統合サイバー対処センター(JCC:Joint Cyber Center)を立ちあげ、民間企業と連携して脆弱性克服に取り組み始めている・・・となっていますが、脅威の変化が優っているというのか、危機感が不足しているのか・・・厳しい状況に変化ないようです。でも深刻です・・・

「最もサイバー攻撃を受けている米コマンド」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-22

最近?のサイバー関連記事
「トランプ政権:約束のサイバー戦略は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25
「イスラエルと協力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-01
「米軍サイバー機関の問題や対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14

「自ら創造したサイバー空間に苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「サイバー脅威の変化と対処を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-21
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

「対ISサイバー作戦で大きな教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-23
「日本とイスラエルが覚書へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21
「成果Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1

「組織の枠を超えた情報共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-07
「中国には君らも脆弱だと言っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-23

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米空軍F-35が(対露で)急遽エストニア展開!? [Joint・統合参謀本部]

28日、今度はブルガリアに2機と20名で展開。期間は不明
一応、以前から計画されていたものらしいです・・・
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追加報道
2機のF-35は、25日1330頃に到着し、1600頃には英国に向け離陸
隊長は、往復の間、空中給油を1回実施で、どこにも立ち寄っていない
エストニア軍参謀総長は「プレゼンスを示すことが目的だった」とコメント
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速報、25日、2機の米空軍F-35がエストニアに到着
25日付Defense-Newsによれば
領空保全任務は行わない、情勢とは無関係、期間不明、
約20名の地上要員を伴い、地域完熟訓練を行うと米空軍発表
以下は、24日時点の推測報道ですが、26日時点で誤りなし・・
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F-35 Gilmore.jpg24日エストニアの公共放送ERRが、22日から英国のLakenheath基地で初の海外展開訓練を行っている米空軍F-35が、25日からエストニアに移動して数週間訓練を行うと報じました。

米空軍報道官は、F-35の移動については完了してからでないと公にしないと微妙な表現でコメントを避けており、真偽のほどは不明です。
しかし、22日に英国に移動した直後の米空軍会見では、最初の1週間程度は英軍基地所属機と英国周辺で訓練する計画を表明していたことから、また実任務には従事しない姿勢を示していたことからすると、対ロシアで何かしら姿勢を示す必要があったものと考えられます

シリアへの巡航ミサイル攻撃以降、米露の関係は悪化していますが、先週、ロシア大型爆撃機が2年半ぶりに行った3回ものアラスカ接近飛行が、更なる緊張増の背景の一つとして考えられることから、併せてご紹介します

米空軍F-35が急遽エストニア展開?
(24日付Defense-Newsによれば)
Ämari air base.jpg●24日エストニアの公共放送ERRが、25日から米空軍F-35がロシア国境に近いエストニアの「Ämari空軍基地」に展開する予定だと報じた。展開期数には言及していない。
同基地はエストニアの北西部に位置し、ロシア国境まで車で3時間程度の距離にあり、これまでもバルト海で活動するロシア機に対処するためNATO加盟国の航空機が展開しており、2015年には米空軍F-22も展開した実績がある

●先週の会見で米空軍は、英国に展開下F-35はバルト3国の領空を守る「Baltic air policing任務」や他の実任務には従事しないと明言しているが、米空軍はF-35の初期運用態勢IOC確保を昨年夏に宣言以来、継続して必要があれば作戦投入可能と言い続けてきた
●ただ先の会見では、欧州大陸のNATO諸国基地には、飛行場や経路慣熟のために行き来するだけで、特別な演習は計画していないと発表があったところである

●一方で今回のF-35英国展開は「European Reassurance Initiative」予算を使用しており、米空軍F-35の能力成熟のための訓練とは言え、演習や訓練を通じてNATO諸国等との相互運用性を向上し、ロシアに抑止力を示す意味もある

2年半ぶり4回もロシア爆撃機等がアラスカ接近
Tu-95-1.jpg●24日、米国防省のJeff Davis報道官は、17日の週に約2年半ぶりにアラスカ接近飛行を4日間に亘り4回も行ったロシア軍機に関し、真意のほどは不明だが、機体整備上の問題で活動を「中断:hiatus」していたものが再開されたのではないかと語った
●4回の飛行は、Tu-95大型爆撃機によるモノが3回と偵察機が1回で、いずれも多数の米軍とカナダ軍機により対処を行ったが、対処は「安全にプロの対応」で行われ、特に問題は無かったと報道官は語った
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2年半ぶりのロシア爆撃機のアラスカ接近飛行について、「機体整備上の問題:maintenance issue」で「中断:hiatus」していたと米国防省報道官が語っていますが、日本周辺には統合幕僚監部が公表しているだけでも、平成27年度と28年度でTu-95が3回飛来(27年12月2機、28年1月2機、29年1月3機)しており、「?」な気持ちです

F-35-Netherland.jpg昨今の米露関係を受け、ロシアが米国に「ジャブ」を繰り出したと見るのが自然で、2年半アラスカ接近飛行が無かったのは、単にアサド政権支援で忙しかっただけかも知れません。

そして米空軍F-35のエストニア展開が本当であれば、ロシアの「ジャブ」に、米側も「ジャブ」を繰り出したと考えるべきでしょう

対領空侵犯措置の状況(統幕発表)
平成28年度統計http://www.mod.go.jp/js/Press/press2017/press_pdf/p20170413_01.pdf
平成27年度統計http://www.mod.go.jp/js/Press/press2016/press_pdf/p20160422_01.pdf

米空軍F-35初の海外訓練展開
「行き先は英国だった」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「突然のF-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15

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空母カールビンソン群司令官:任務を30日間延長と [Joint・統合参謀本部]

Kilby-CV.jpg19日、空母カールビンソンのFacebook上で同空母軍司令官のJim Kilby少将が、「朝鮮半島沖でのプレゼンス維持のため、海上任務展開を30日間延長する」と乗員に対し通知しました。
そして国防省高官は、同空母が来週、韓国周辺海域に到達すると語ったようです

8日にハリス太平洋軍司令官が同空母の豪州寄港を中止し、「北上」を命じたことを受け、金日成誕生日の15日までに朝鮮半島近海に進出するのではとの「デマ」が世界を駆け巡りましたが、結果的に豪海軍との訓練等を予定通り行い、15日にインドネシア周辺海域にいたことを示す写真を米海軍が公表するなど、「勝手に盛り上がっていたメディア」感が広がっています

一方で大騒ぎしたメディアも悪いが、ホワイトハウスと国防省との意思疎通も不十分で誤解を招いたのでは・・との内幕暴露報道等も出始め、やっぱりトランプ政権の危機管理は心配だの雰囲気を醸し出しています。
まぁ、とりあえず、確かな同空母群司令官の乗員向け発表を、19日付米海軍協会web記事からご紹介します

19日付米海軍協会web記事によれば
Carl Vinson2.jpg18日遅く、司令官のKilby少将は乗員向けメッセージとして同艦Facebook上に、「朝鮮半島沖でのプレゼンスのため、我々の海上行動任務期間を30日間延長する」と記載した。
●そして「任務は同盟国等にアジア太平洋地域に対する我々の強固な関与を再確認し示すことである。我々は海上抑止力の中核でアリ、国家指導者に対し、前方展開しているアセットによる全ドメインに渡る柔軟な抑止力を提供しつづける」と綴った

●同空母戦闘群は豪州西方海域での豪海軍との演習を終え、今週初めに南シナ海を通過する予定で、太平洋軍報道官は18日「期間を短縮した豪海軍との演習を終えることが出来た。同空母戦闘群は西太平洋を北上する」と述べている

Kilby-CV2.jpg●8日に豪州訪問を取りやめて「北上」するとハリス大将が発表し、11日にマティス国防長官が「特段の意味がある動きではない。通常の行動の一つだ」と説明したが、その際「豪海軍との訓練を中止した」と発言し、その後報道官が取り消したものの、誤解を生むことにつながった。
●またホワイトハウスの声明も同空母が朝鮮半島方向に直接向かうとの印象を与える不明確な内容で、12日にトランプ大統領自身が「艦隊(armada)を派遣した。強力なやつだ。空母よりも強力な潜水艦も含む」と発言したことでメディアは色めき立ったのだ
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任務延長に関する司令官から乗員へのメッセージの存在は、最初に「Navy Times」が報じたようですが、一般に公表する事を意図してFacebookに記載したようで、現在も同空母Facebookで誰もが見ることができます

同空母Facebook
https://www.facebook.com/USSVINSON/?hc_ref=PAGES_TIMELINE&fref=nf

owabi.jpgトランプ政権のリーク体質が問題視される中、乗員宛のメッセージを、誰かがメディアに流したのかも・・・と心配しましたが、無駄な心配でした。

数千人の「お友達」を持つ政治家「先生」の公式Facebookから、甘い考えで無断「コピペ」して「先生」から厳しくお叱りを受けた前科(今も支持者の方からご批判あり)を持つまんぐーすですから、偉そうなことは言えないのですが、SNS上の情報の扱いには注意したいモノです

関連の記事
「国防長官は空母の朝鮮半島?派遣をどう語ったか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-12
「岩国F-35訓練もアピール材料?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-18-1

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FA-18の「Block III Upgrades」がチョイ明らかに [Joint・統合参謀本部]

トランプ大統領が言及した改良型FA-18とはこれ???

FA-18 Inherent Resolve.jpg3日から5日に行われた米海軍協会「Sea-Air-Space会議」の場で、記者会見を行ったボーイング社FA-18&EA-18G責任者のDan Gillian氏がトランプ大統領がF-35Cの代替として大量購入を示唆していたFA-18の「Block III upgrades」改修型機についてボンヤリながら言及しました。

この「upgrades」版が、トランプ氏が国防省に対しF-35と比較せよと命じたモノなのか、別の改良計画もあるのか不明ですが、Gillian氏は「この能力向上計画案により、他の空母アセットには無い能力を提供できる」との表現でF-35との差異を強く示唆する表現で語っており、注目を集めています

この他にGillian氏は、FA-18の「増産能力」や「延命措置」についても語っており、トランプ大統領が示唆した大量購入を強く意識した会見となっています。
国防省が行っているであろう比較検討分析の結果が待たれるところですが、とりあえず「前振り」としてご紹介しておきます

Block III Upgradesについて
FA-18EF.jpgボーイング社は2013年に、よりステルス性を追求した改修計画を打ち出していたが、今回の「Block III Upgrades」構想は当時の案からシフトしている。
●そして今時提案の主眼は、FA-18E/Fの「tactical targeting技術」を向上させることに置かれ、米海軍のNIFC-CA構想における「smart node」として機能しうるように改修することなどが含まれる

●Gillian氏は「これまでFA-18E/Fは、情報を提供してもらうだけのシューターだったが、今後は全ての情報を融合し、作戦ネットワークへの貢献者である事がとても重要だ」と表現した
●ステルス性については諦めていないが、「ステルス性向上には少しだけ取り組む。シンプルで低コストの施策を考えている」とのみ同氏は言及し、細部を語らなかった

FA-18EF3.jpg●また2013年提案にも含まれた、燃料増装タンクを翼付け根上部に追加し、約3500ポンドの燃料追加で約120nm行動半径が増加する改修も含まれている
●更に、先進コックピットにするため大型ディスプレイを導入し、「smart node」に相応しいインターフェイスにすることや、「敵ステルス機の熱源を探知する空対空の長距離赤外線センサー」導入を構想している
●なお米海軍は、2015年にロッキード製のIRSTをFA-18E/F用に製造開始することを承認している

増産への備え
●2017年度補正予算には、FA-18を24機購入する関連予算が含まれており、ボーイング社は毎月2機製造可能な体制で臨んでいるが、米海軍や諸外国から追加注文があれば、増産可能な状態にある
●ちなみに2015年時点で、米海軍は545機のFA-18と114機のEA-18Gを保有しているが、将来的にはそれぞれ563機と153機になる予定である
●諸外国では、カナダがF-35開発の遅れの穴埋めとしてFA-18を18機購入すると発表し、クウェートも28機(追加で12機のオプション付き)を計画している

機体寿命の延長施策
FA-18EF2.jpg●ボーイング社は、現在の機体寿命6000飛行時間を9000時間に延長する延命改修案をまとめている
FA-18E/F型機は、F-35開発の遅れと対テロ戦争での想定以上の酷使により、機体寿命を想定以上の速度で消費しつつある。

●ボーイングの機体延命計画部長であるMark Sears氏は、ホーネットを2040年代まで活用するには、機体の補強などの整備事業が必要だと語り、米海軍が同延命改修を確認するため既に2機の機体をセントルイス工場に搬入していると明らかにした
●そしてボーイング社は米海軍が同延命施策を正式採用することに楽観的だと述べ、2018年早々には契約に至るだろうと語った
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EA-18G Clark3.jpg最初に述べたように、トランプ大統領がF-35との比較分析を求めた改良型FA-18なのか不明ですが、財政状況や米海軍の作戦構想等から判断すれば、ステルスはほどほどに、NIFC-CAに役立つ方向性で・・・との構想は理にかなっており、F-35と何処まで争えるのかはよく分かりませんが、ステルス機探知のIRSTが売りで一つの案にはなるのでしょう

NSCからバノン氏が追い出され、ますます軍人や軍人OBの存在感がましているトランプ政権ですが、中東での対テロ作戦が強化され、米軍の自由裁量が拡大する中、FA-18への負担は増すのでしょうから、価格が不明ですが、今後色々話題になる改修計画なのでしょう

トランプ大統領はFA-18とボーイング好き!?
「再びトランプがFA-18大量購入を示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-18
「F-35の代替にF-18改良型を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1
「国防副長官候補にB社幹部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17

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米軍司令官:ロシア巡航ミサイルへの防御なし [Joint・統合参謀本部]

Hyten5.jpg4日、米戦略コマンドのJohn Hyten司令官(空軍大将)が上院軍事委員会で証言し、INF全廃条約に違反してロシアが開発した巡航ミサイル(恐らくSSC-8:9M729)が欧州方面に配備され欧州全域が射程範囲内に入る可能性があるが、米国や欧州同盟国は防御手段を有していない(no defense)と語りました

この時期の議会証言は次年度予算案の背景説明ですから、厳しい脅威の実態を訴えるのが常套手段ですが、何度かご紹介してきたロシアのINF全廃条約破りの動きを、2月14日付NYT紙が実戦配備開始と報じたことから、米国政府としての対応が注目されているところです。

なおINF全廃条約とは、レーガン・ゴルバチョフ間で1987年12月8日に署名された同条約は、米露が射程500kmから5500kmの地上発射ミサイルの廃棄と保有禁止を約束するものです。もちろん、中国や北朝鮮やイランを拘束する条約ではありません

SSC-X-8.jpg特にロシア側は、プーチンが「ほぼ全ての隣国が中距離ミサイルを開発している」と危機感を訴え、ロシアによる条約破棄は「控えめに言っても議論対象だ」と発言しているように、同条約に不満を持っています。しかしロシアは「SSC-8:9M729」が同条約違反だとは認めず、ずるずると実質米国だけが条約に縛られている状態を上手く作為しています

関連報道とINF条約を巡る経緯
「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

JICSPOC.jpgもう一つ同司令官は米軍が大宣伝売り出し中の関連政府機関や諸外国人の協力も得て運用している「JICSPOC:統合共同多機関宇宙作戦センター」の名称を、判りやすく「NSDC:国家宇宙防衛センター」に改称すると発表しています。

なお「JICSPOC」はコロラド州のSchriever空軍基地に所在し、米戦略コマンドがリードし、国家偵察室(NRO)、空軍宇宙コマンド、米空軍研究所ARRL、情報コミュニティー、宇宙関連情報提供企業が協力して運用する形態で、2015年10月に正式運用を開始した宇宙作戦センターです。

INF条約違反のロシア巡航ミサイルに関し
●上院軍事委員会でJohn Hyten司令官は、最近ロシアが配備したINF全廃条約違反の地上発射型巡航ミサイルに関し、「我々には防御手段が無い。特に欧州同盟国を防衛する手立てが無い」と証言した
●なお同巡航ミサイルは2個部隊編制されており、1個がカスピ海北方のボルゴグラード市近郊部隊に配備されているが、もう一つの部隊の所在は不明である(公開されていない)

SSC-X-8 2.jpg●同司令官は更に、「同巡航ミサイルの展開場所にもよるが、欧州大陸の大部分はミサイルの射程内で脅威にさらされる。国家としてどのように対応するかを考えなければならない」と付け加えた
米国は、同巡航ミサイルが試験発射を行った2014年から、オバマ政権がINF条約違反だと指摘しているが、ロシアは条約違反を否定し、逆に米国の装備を違反だと批判している

●また同司令官は、核兵器の近代化を進めていることに懸念を示し、更に中国とロシアによる米国軍事衛星への脅威が高まっていると訴えた
●ただし同司令官は、ロシアが2018年2月までに弾頭数を1550発にまで削減する新START条約には協力的であると証言している

「JICSPOC」を「NSDC」へ改称
JICSpOC2.jpg●「JICSPOC:Joint Interagency Combined Space Operations Center」から、「NSDC:National Space Defense Center」への改称についてHyten司令官は、「誰もが何のための組織か理解できるようにするため」とジョーク混じりに同委員会で説明した
●一方で同司令官はNSDCの重要性とその活躍振りをアピールし、同作戦センターの名称がどうであろうが、「(各政府機関や関連省庁や企業の間にある)全ての壁を取り除き、優れた設備のある場所に各組織を代表する優れた人材を集結させる事で、迅速に対処する方法を案出しており、驚くべき成果を出している」と証言した

●4日、戦略コマンドの世界作戦副部長のJohn Shaw准将は別の場で、NSDCは引き続き「宇宙に拡大する戦いに備える」とその役割を説明した。
●そしてNSDCのの任務遂行には「cross-agency」体制での業務体制が不可欠で、また「interagency」での業務で成果を生んでいると語った
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ちなみに、米軍がシリアへの巡航ミサイル攻撃を行う以前に行われた議会証言です。

Hyten7.jpg北朝鮮の弾道ミサイルと核兵器が大きな話題ですが、世界には巡航ミサイルという「低空を侵入する」対処の難しい飛び道具がアリ、ロシアが「SSC-8:9M729」で欧州の軍事風景を一変させれば、追随する輩が次々現れるという事です

巡航ミサイル対処のため低空を常続的に監視する事、そして迎撃すること、弾道ミサイル防衛や航空機対処と並行して実施する事は極めて大きな負担で、受け身で全てをこなすことは困難です。
サイバー戦と同じで、防御では戦えません

繰り返しになりますが、NSDCに日本人も早く仲間入りできるよう、人材育成が望まれます

INF条約関連の記事
「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「露がINF全廃条約に違反」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「INF条約25周年に条約破棄を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

「米とカナダが巡航ミサイル対処に協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-01

宇宙作戦センター関連
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24
「副長官がJICSPOCを高評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「宇宙と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

「米サイバー戦予算の9割は攻撃用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31

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戦略軍司令官:艦艇配備の通常兵器PGSを [Joint・統合参謀本部]

Hyten.jpg3月31日、米戦略コマンドのJohn Hyten司令官(空軍大将)が軍事記者会議で講演し、CPGS(通常兵器による世界即時攻撃:conventional prompt global strike)が戦略抑止の「拡大ビジョン」の一角を担うべきで、特に艦艇に装備してこそ有効性を生かせるのでは無いかと語りました

PGSとは、大気圏内を超超音速で飛翔し、地球上のどの場所でも1時間程度で攻撃可能にする構想で、スクラムジェットや宇宙ロケットの活用などで実現する研究が行われていますが、中国やロシアもこれに追随して開発を精力的に進めています。

Hypersonic2.jpg米国はこれに通常兵器(鉄の槍とか小玉)を搭載し、核戦争へのエスカレーションを避けつつ、圧倒的な攻撃力で相手に反撃を諦めさせるほどの効果を狙っていますが、発射を探知した相手が核攻撃と区別できるか等の問題提起や、技術的困難性と予算不足がアリ、「第3の相殺戦略」の一部として検討されているようですが、開発状況は聞こえてきません

一方で、中国やロシアは核兵器搭載の可能性もちらつかせ、特に中国はここ数年連続して実験を行っており、米国レベルにあるのではと専門家が懸念する状況にあります

3日付米空軍協会web記事によれば
Hypersonic4.jpg●Hyten司令官は同会議で、戦略抑止の「拡大ビジョン」の一角を担う「integrated global capabilities」の追求に辺り、CPGSはこの一部となるべきだと語った
●そして、従来より拡大された抑止概念の元で、戦略コマンドは単なる一つの機能コマンドでは無く、「a global warfighting command」として見なされるべきだと主張した
●その際の任務として同大将は、「各地域戦闘コマンドの(CPGSを)戦力として提供する」ことが戦略コマンドの任務の一つだと表現した

●同司令官は、戦略コマンドが1月に実施した2機のB-2爆撃機によるリビア攻撃に触れ、米本土(モンタナ州)から出撃し、2箇所のISIS訓練基地の84箇所を個別に攻撃した同コマンドの能力を紹介しつつ、
●この様な作戦は、全ての場面でより迅速に行われるべきだとの認識を示し、より迅速な手段を手にするため、同司令官自身は引き続き、CPGS開発&導入を訴えていきたいと語った

hypersonic5.jpg●そしてCPGS構想が議論され始めた頃は、ICBMやSLBMの代わりに、CPGSの通常攻撃力を導入する案も提示されたことに触れつつ、海上配備型が最も生存性が高く、潜水艦装備より水上艦艇配備を望むと自説を語った
●更にCPGSが「multi-domain指揮統制モデル」に組み込まれて融合されたならば、「根本的な非対称優位性を確保できる」と述べた
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Hyten空軍大将の個人的こだわりか、米軍や国防省としての取り組みがあるのか等々が不明ですが少なくとも中国の技術はかなり上がっている(昨年までの最近2年間で6回も実験)ので、何とか研究を進めて頂きたいものです

また、戦略抑止の「拡大ビジョン」検討にも注目したいと思います

超超音速技術やPGC関連の記事
「超超音速ミサイルの脅威が大きな話題に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-19
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11
「米空軍30年構想に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-31
「あのLM社も積極投資」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1

「戦略軍が21世紀の抑止議論を要求」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11

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トランプ政権下で米軍の現場裁量拡大中 [Joint・統合参謀本部]

中東での米軍の権限拡大や、なし崩し増派を懸念する声

trump6.jpg2日付Military.comがAP通信記者の投稿を掲載し、トランプ大統領誕生後の約2ヶ月間で、トランプ大統領の対テロ重視や対テロ作戦強化の指示のもと、国防省や米軍前線指揮官の作戦裁量の範囲が日々拡大し、派遣兵力も公式な上限を超えて一時的との名目でどんどん増強されていると警戒感を強めています

オバマ政権時は、ホワイトハウスによる「マイクロマネイジメント」が国防長官や米軍幹部からしばしば非難を浴びてきましたが、逆に現場裁量の拡大は、民間人への被害の拡大や兵士の犠牲を増やすことにつながりかねず、既にその兆候が現れていると記事は指摘しています

軍事作戦への政治レベルの関与度合いは永遠の課題でしょうが、トランプ政権が未だクリントン支持派やマスコミ等々とゴタゴタしながら、政権の体制固めの段階にある中、なし崩し的に作戦が拡大するのは危険だとの声にも一理あるので、記事概要をご紹介しておきます

2日付Military.com記事によれば
ISIS Ope2.jpg●中東やアフリカでの対テロ作戦において、トランプ政権誕生後は日を追う毎に、国防省はあまり公になる事がないままに、作戦意志決定の裁量を拡大し、派遣兵力も増加しており、その対象国も拡大している
今週、トランプ大統領はソマリアで対アルカイダ航空攻撃に関し、より大きな権限を米軍に与えることを許可した。そしてこの動きは、現場米軍指揮官からの要請を受け、来週イエメンにも拡大し、イエメンで作戦で正面に立つUAE支援が強化されるだろう

●この様な変化は、国防省に日々の作戦運用は任せるとの新大統領の意図の表れであり、オバマ政権時とは大きく異なっている。しかし権限委任の拡大は、軍事的にも政治的にもリスクをはらんでおり、民間人や軍人の被害増加が懸念の一番大きいものだ
イラクで行われている市街戦やイエメンでの特殊作戦への関与強化は、米軍兵士の被害拡大のリスクと伴い、作戦判断を迅速化するための権限委任は、モスルの人口密集地帯に過激派が入り込む中、民間人犠牲者の拡大につながり危険を秘めている

ISIS Ope3.jpg●CSISのAlice Hunt Friend上級研究員は、「既に政治指導者は軍事作戦を制御できなくなっている」と危機感を訴え、「軍事作戦が外交政策と分離し始めている」と語って警告を発している
●一方で、米軍指揮官達は迅速な作戦判断の重要性を訴え、イスラム過激派掃討を重視し、オバマ政権の細部介入に批判的な大統領も強くその方向を支持している

米アフリカ軍のWaldhauser司令官はソマリアでの柔軟で迅速な意志決定プロセスの必要性を3月に議会で訴えたが、3月29日に大統領がそれを許可した
●その他の地域でも、例えばシリアでは米軍兵士の数は2倍に増えており、より前線で活動する米軍人が増えている。アフガニスタンでも同様の傾向にある。匿名の政府高官は、今週、イエメンで作戦するUAE支援を議論する非公開会議が開催されると述べている

オバマ政権時の派遣兵力上限は公式には変更されていない。シリアには503名で、イラクには5262名である。しかし米軍は「一時的な派遣:temporary」との位置づけで「上限」を無視しており、数百人単位で目立たないようにシリア政府軍支援の海兵隊員等が最近派遣された
●3月31日に国防省は、在イラク米軍は5262名だと公式に明らかにしたが、関連高官は実質的には更に数千名が派遣されていると認めている

ISIS Ope.jpg●トランプ政権は未だ立ち上がり初期段階にあり、複雑な軍事作戦を遂行しつつ、税制改革や健康保険法の扱い等々の困難な課題をやっかいな議会と折衝しているが、軍事作戦のみが政権の独自色を出せる分野との見方が専門家の間にはある
●国防省や米軍関係者は、イラク軍によるモスル奪還がもう少しで、ラッカにも米国支援の兵力が迫っており、今がISISへの圧力を強める時だと考えており、より多くの米軍アドバイザーを戦場近くに派遣したいと考えている
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オバマ政権時代に政治の現場介入に苦しめられてきた現場軍人にとっては、待ちに待った「権限拡大」でしょうから、その効果に期待したいモノです。でも・・・

Trump tel.jpgこの記事のスタンスや執筆記者の考え方が影響しているのかも知れませんが、危険な臭いがプンプンですねぇ・・・。政治に文句言っている段階と、予想していなかったトランプが大統領になり、いつの間にか口に出したことが認められるようになって・・・。口に出したことを引っ込められずに突っ走って・・・ああ恐ろしあ。誰かがしっかり見ていないと・・・。

マティス長官やダンフォード統合参謀本部議長の采配に期待致しましょう。

トランプ政権の国防指針は???
「対ロシアの情報戦に国家として」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-24
「戦略軍が21世紀の抑止議論を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「リバランスは終了:それで?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「政治任用で決定は長官一人のみ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-13

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空母艦載無人機のステルス性は更に後退 [Joint・統合参謀本部]

MQ-25A lockheed.jpg3月21日、ロッキード社の空母艦載無人機計画担当であるRob Weiss研究開発部長が記者団に対し、同無人機要求性能の詰めを米海軍が行っているが、これまでの海軍とのやりとりから、ISRや攻撃任務に対する優先順位は大きく後退し、空中給油任務に焦点を当てたものになりそうだと語っています

初の空母艦載無人機となる「MQ-25A Stingray」は、当初ステルス性を持って厳しい防空網を突破する攻撃&ISR機とのイメージで基礎研究が開始され、2006年のQDRではUCAS(Combat Aerial Vehicle)と表現され、B-2爆撃機を小型にしたような技術デモ機X-47Bが空母への離発着試験に成功した2013年7月10日は、「歴史の転換点」と報じられたほどでした

しかしその後、予算の制約か職を失う海軍パイロットの抵抗からか、ステルス攻撃機だったはずがISR任務機に変更する話が海軍内で進み、2014年春にはFA-18の代わりに空中給油任務を担わせようとの話が台頭してきます。

米海軍は、中東での酷使によりFA-18の機体疲労が急速に進み、空中給油任務が約3割を占めるFA-18の負担軽減が優先だと説明し、予算的にもISRと攻撃機能の同時追求には耐えられずリスクも高いと主張しました

MQ-25 lockheed2016.jpgしかし、この海軍案には中露に危機感を強める議会や国防省高官から強い反対意見が噴出し、2014年7月には海軍RFP(提案要求書)に待ったをかけ、国防長官室OSDを中心に練り直すことになりました。

予算の強制削減と暫定予算が続く中でOSDによる見直し検討は長期間にわたり、残念無念ながら、2016年春には偵察&攻撃機(UCLASS)に空中給油任務を加えたCBARS(Carrier-Based Aerial-Refueling System:空母ベースの空中給油システム)に方向転換になりました

その後、候補となる4つの企業と技術的可能性等について意見交換しながら、企業に示すRFP(提案要求書)を煮詰めてきた米海軍ですが、最後の最後になって、空中給油優先の方向にあるようです。

米海軍は、FA-18酷使や予算等を理由に、いくらでも攻撃&ISR機能後退を言い訳するのでしょうが、その根底にあるのは「操縦の職を奪われたくない」とのパイロット根性にある事は隠せません・・・

21日付米海軍協会web記事によれば
MQ-25A.jpg●3月21日、ロッキードのWeiss氏は、米海軍がCBARS要求性能の見直しを行っているが、その方向性から提案を予期されている4つの企業全てが、設計のやり直しを迫られるだろうと記者団に語った
●そして同氏は、最新の情報では、米海軍は更にISRや攻撃性能の要求を削減縮小していると説明し、「ここ半年で変化が見られ、最終的なRFPは完成していないが、後のISRや攻撃能力付加はあり得るが、空中給油機としての要求に大きく焦点が絞られている」と語った

●なお同社は、Northrop Grumman、General Atomics、Boeingと、初の空母艦載無人機の受注に向け機種選定で争うことになるが、記者団へのプレゼンの中で、(ステルス性を大きく犠牲にした)空中給油用タンクが翼からぶら下がった機体イメージ図(最初の図)を使用していた
●そして「仮に米海軍の要求が、厳しい防空網内でのISRや攻撃であったなら、給油タンクが翼にぶら下がるようなイメージ図にはならなかった」とブリーフィングしていた

今や米海軍は、主力FA-18の飛行時間の25~30%を空中給油任務に使用しており、代替の空中給油機を可及的速やかに投入したいとの思いが海軍内で強まっているのかも知れない
MQ-25A-3.jpg昨年Weiss氏は将来のISRや攻撃任務適応を見据え、米海軍はステルス形状の機体を追求していると示唆していたが、昨年夏に米海軍航空軍司令官のShoemaker中将は、長時間飛行が求められるISR任務と燃料搭載量確保が必要な給油任務の両立に、各企業が苦労していると示唆していた

●しかし21日のWeiss氏の発言が示す最新の米海軍要求方向からすれば、4つの参戦企業全てが「flying wing形状」から「wing-body-tail形状」での提案に向かうと考えられる。
●ちなみに、ロッキードとノースロップは「flying wing形状」を構想していた模様で、GAとボーイングは「wing-body-tail形状」に近いイメージを持っていたと米海軍協会は記憶している

●なお、本計画では、米海軍がUCLASSデモで開発した地上操縦装置やデータリンク装置を機体に提供する事になっており、この装置についてはほとんど変更ないようである
昨年時点では、昨年4企業に公開されたRFP原案を元に協議がもたれ、最終的なRFPは2017年夏に発出され、2018年に選定結果が明らかになる予定だと企業関係者は語っていた
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MQ-25A Navy.jpg米空軍の次期爆撃機B-21計画で、いつの間にか「無人機オプション」が葬られたのと同様に、米海軍の空母艦載無人機計画でも、いつの間にか「突破能力を持つ攻撃機構想」は「将来の発展性」を経て、闇に葬られるのでしょう・・・

空中給油任務を付与した時点で、「ISRや攻撃任務」との並列が困難なのは目に見えており、予算やFA-18酷使の実態はあるにせよ、無人機を活用する意気込みや姿勢が米海軍に欠けている点は、後世の戦史家が厳しく指摘することになるでしょう・・

MQ-25A関連の過去記事
「CBARSの名称はMQ-25Aに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「UCLASSはCBARSへ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02
「UCLASS選定延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1

「米海軍の組織防衛で混乱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01
「国防省がRFPに待った!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12
「関連企業とRFP最終調整へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-19

「会計検査院が危惧」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-10
「X-47B空中受油に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-05
「なぜUCLASSが給油任務を?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-02-1

「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSで空中戦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-24
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21

「米海軍のNIFC-CAとは?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「脅威の変化を考えよう」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08

米空軍の次期爆撃機B-21の現状
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20

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対ロシアの情報戦に国家として取り組むべき [Joint・統合参謀本部]

トランプ政権の対露姿勢が不透明な中、米軍司令官が対露強硬姿勢を要求!

Scaparrotti7.jpg23日、上院軍事員会で証言した欧州軍司令官兼ねてNATO軍司令官のCurtis Scaparrotti陸軍大将は、ロシアがメディアを総動員して巧妙に行っている情報戦に対抗するため、冷戦時代にそうであったように米政府全体で情報戦に取り組むべきだと訴えました

また、攻撃的な性格を強めるロシア目的と振る舞いを分析しつつ、ロシアを軍事的に抑止するため、欧州派遣の兵力増強によるプレゼンスの強化や「more aggressive confrontation」や制裁継続を求めました。
そして更に、トランプ政権が国防費増加の反面で打ち出した、国務省の海外援助予算削減は好ましくないとの意見も明確に述べています。

雰囲気的には、上院軍事委員会メンバーと「あうんの呼吸」で上記発言を誘導された(誘導に快く乗った)感が漂っており大統領に意見具申をいたします的な証言となっており、各地域担当コマンド司令官からも同様の意見が続きそうなので、ご紹介しておきます

国家的な対ロシア情報戦を!
Scaparrotti8.jpgロシアによる組織的で巧妙・周到に練られた情報攪乱・情報操作作戦(disinformation operations)に対処するため、米国とNATO同盟国は、「全政府機関を巻き込んだ包括的で国家的な情報戦(information campaign)」を行う必要がある
我々は冷戦時代にその様な作戦を行っていたし、現在国務省と欧州コマンドが協力して組織している「対露情報グループ:Russian Information Group」をスタート台に発展させて行くことも考えられる

●一方で、ロシアが情報戦を戦いの一部として位置付け、SNSやTVやサイバー手法を用いて巧妙に連携した情報戦を展開しているのに対し、米国とNATOには問題に対処する明確な政策が欠けている。米国とNATOに対処計画が無いではないが、より強化される必要がある
●なお、サイバー攻撃を受けた場合にもNATO憲章第5条は発動されるが、NATOによる対処を起動するサイバー攻撃の強度の基準は、政治的判断によるだろう

対ロシアに欧州米軍戦力を増強すべき
Scaparrotti9.jpgロシアの攻撃的な姿勢と行動の目的は、NATOを分断崩壊させ、ロシアを「global power」として世界に認めさせる事にアリシリアやアフガニスタンでの紛争の結果がどのような結果を導くかについてあまり関心を持っていない

●このロシアの野望を阻止するため、米国は全ての事象にきちんと対処すべきでアリ、そのことで米国は世界の何処でも対処の準備がある事を示すべきである
●欧州米軍には任務を遂行する能力があるが、理想的なレベルにはなく、例えば、ロシアを抑止し、同盟国等を安心させる潜水艦や空母は配備されていない。弾薬も不十分で、ロシアの進撃を押さえるには不足しており、米国は欧州でのプレゼンスを強化する必要がある。

国務省予算の削減に反対
●(マケイン委員長からの国務省予算の削減は問題かとの質問に対し、)欧州米軍は伝統的に政府他機関に大きく依存しており、国務省予算の削減は問題がある
●我々は同盟国と共に、ロシアに対しより強硬で能動的な姿勢で対峙(more aggressive confrontation)する必要があり、特に西側の選挙を「fake news」やサイバー攻撃で操作しようとするグレーなエリアにはこの姿勢が必要だ
●(ロシアへの制裁を継続すべきかとの議員からの問いに対し、)我々は制裁を維持しなければならないと考える

Scaparrotti4.jpg●ロシア抑止のための欧州への派遣戦力増強施策は、オバマ政権が打ち出した「アジア太平洋リバランス」の影響や、強制削減を生んだ2011年の予算管理法のために、短期間の内に変更を余儀なくされ、欧州での地上及び航空戦力は大きく削減された。

●例えば2010年から13年の間に、2個飛行隊と1個航空団司令部が閉鎖され、2個の旅団戦闘チームと1個の師団司令部、1個の軍団司令部が欧州から消えている。
●また、米軍と同盟国軍がポーランドやバルト3国で、陸軍部隊のローテーション派遣を始めたが、しっかり装備や人員が充足され、派遣の隙間がない状態でなければ、ロシアの更なる侵略を抑止する欧州コマンドの任務には不十分である
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次は、ハリス太平洋軍司令官の登場でしょうか?

強制削減法(2011年予算管理法)による暫定予算が続く中、5月1日以降に予算が不足し、各種施策の停止や部隊訓練への影響が避けられない危機が迫っており、この「目の前の危機」への訴えと共に、トランプ政権の姿勢が不明確なことから来る種々の問題点が浮き彫りになる可能性があります

なお、Scaparrotti司令官は、つい最近まで在韓米軍司令官でした。次から次へ、大変な仕事ばかり担当されてますねぇ・・・

トランプ政権の国防指針は???
「リバランスは終了:それで?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「政治任用で決定は長官一人のみ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-13

同証言を紹介したDefense-News記事
http://www.defensenews.com/articles/eucom-commander-america-needs-stronger-response-to-russian-disinformation

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米陸軍トップ:今後10年で巨大都市戦に備える [Joint・統合参謀本部]

Milley4.jpg21日、将来戦に関するイベントで講演したMark Milley米陸軍参謀総長は、世界の人口動態から人口1千万人以上の「巨大都市:megacity」が急増する予想がある事から、米陸軍も今後10年で根本的な変革をしなければならないと語り、現在の特殊部隊やより小規模な部隊編制を参考に考慮する必要があることや、指揮官の質の向上等に言及しています

この様な問題認識があるとは全く知りませんでしたが、同参謀総長は「fundamental shift」とか「huge implications」とかの表現を使いながら、メガ都市化が陸軍に与える影響の大きさを訴えて「optimize the Army for urban warfare」と語っており、大きな動きとなりそうな気配です

更に、戦車の大きさや重量、ヘリコプターの回転翼の大きさ、部隊規模、武器使用要領、ネットワークの活用などなど、様々な分野で考え方を見直す必要があるとも語っており、相当大規模に検討を進めている雰囲気が伺えます

最近、例えば太平洋軍司令官ハリス海軍大将から、マルチドメインやクロスドメインの考え方に基づき、南シナ海で陸軍砲兵部隊の長射程ミサイルや大砲に期待する旨の発言が出たりしていますが、周りから言われる前に、米陸軍自身が新たなコンセプトを打ち出していく必要性に迫られているのかも知れません。とりあえず陸軍参謀総長のお話をフォローしておきます

21日付Military.com記事によれば
Milley5.jpg●21日、「Future of War Conference 2017」で講演したMilley米陸軍参謀総長は、今後10年間で米陸軍は、現在は準備が不十分な巨大都市における戦いに備え、今の特殊部隊のような将来編制を求められ、戦いの様相も根本的に変化するだろうと語った
世界の人口は着実に都市集中に向かっており、現在は10個程度の人口1千万以上の都市が、今世紀半ばには50以上に増加すると見積もられる

●同参謀総長は、戦争がより政治的になるとすれば、その戦いは人が住む地域で行われるだろうし、それは都市であろうと考えると語り、この傾向は米陸軍に極めて大きな意味を持つと述べた
●また、現在の陸軍が森林や砂漠地域での戦いを想定し、ジャングルや山や都市化地域に不向きに編制されているとの現状認識を示した

Tokyo at Night.jpg米陸軍のリーダー達との議論を踏まえ、米陸軍は都市戦闘に最適化する方向に進むべきで、都市戦に備えると言う事は、都市の道路や建物や床や部屋に適応した戦闘単位に部隊を再設計することを意味するとMilley大将は語った。
●そして「戦車の大きさや重量、ヘリコプターの回転翼の大きさにも影響を及ぼすだろう」、「恐らく現在とは異なる組織編制が必要で、それはより小規模に区分けされたグループ編成」にしてネットワーク化し、海空軍火力との統合戦力発揮を図るべきだとMilley大将は語った

具体的な部隊規模については、たぶん中隊と大隊の間のどこかの規模になるとし、現在の特殊部隊が将来陸軍を考える参考になろうと表現しより小規模な部隊編制を示唆したが、大隊や旅団が無くなるわけではないとも述べた
スマートフォーン等の小型デバイスの使用拡大で、監視から逃れることは困難になっており、生き残りのためにはより小規模な部隊もより広範に分散する必要があり、機動性を高めないで2時間も同地点に止まっていては生き残れないとも同大将は述べている

訓練法やリーダーのあり方も、より複雑で厳しい巨大都市戦においては再考を迫られ、特に一般市民の犠牲者を防ぐことが大きな課題となろうと参謀総長は述べ、「目的に応じた火力の使用法(discriminating fire)をより高度なレベルで修得する必要がある。でないと大量殺戮者になってしまうからだ」と表現した
Milley.jpgリーダーについては、現在の組織編制で配置されているレベルより、より成熟し分別を備えた(more mature, more seasoned)リーダーが部隊の下層レベルでも求められるとし、「通常の米陸軍中隊は大尉が指揮官だが、特殊部隊は少佐である意味を考える必要がある」と述べた

●そして、以上の様な厳しい関係で作戦可能な人材確保が課題だと述べつつ、「大げさに表現するつもりは無く、誰かが不適だと言うつもりも無いが、米陸軍全体がシフトしているのだ。特殊部隊を参考にする面もアリ、現状と異なる部分がある。世界的なパワーとして、米国は多様な能力を兼ね備える必要があるのだ」と述べた
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米陸軍が巨大都市を戦場と想定するならば、当然、統合レベルでも議論があるはずだと思いますが、聞いたことがありません

米空軍は対ISIS等でも友軍相撃や民間人被害を局限することを重視しており、海軍航空部隊も同様だと思いますが、海兵隊も巨大都市戦を検討しているのでしょうか? 
US Army5.jpgそれとも、永遠の課題である陸軍と海兵隊の任務区分のため、陸軍が巨大都市戦を持ち出したのでしょうか?

それと、どの辺りの巨大都市を想定するのかも興味あるところです。人口がそんなに急増するのは、発展途上国の都市のイメージが先行するのですが、アフリカやアジアの大都市に米陸軍兵力を派兵することを想定しているのでしょうか? 

Offshore Balancing的な考え方がベースにあると思っていたのですが、変化があるのでしょうか・・・いろいろと聞いてみたい「巨大都市戦」傾斜でした

「Offshore Balancingの解説」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27

米陸軍とクロスドメイン
「再びハリス司令官が陸軍に南シナ海で活躍期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「ハリス長官がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06

「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14

「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12

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