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米空軍が新たな時代に向け3つの取り組み [米空軍]

Saltzman.jpg17日、米空軍参謀総長直属チームリーダーであるChance Saltzman准将が講演し、「マルチドメイン環境」に対応する将来米空軍を創造する取り組みの3本柱について語りました。

正確には「Multi-domain command and control initiative」チームが、27日に米空軍の大将レベルを対象に行う予定の、「マルチドメイン環境」に対応可能な米空軍を作るための3つの取り組みに関するブリーフィング概要を、米空軍協会ミッチェル研究所で記者団等にお披露目しました

マルチドメイン環境に適応するための3つの取り組みは、まず中堅士官のキャリア管理、次に最新の民生技術を迅速に活用する施策、そしてマルチドメイン作戦パッケージの研究の3つです。
以下では、Saltzman准将の講演概要をご紹介します

17日付米空軍協会web記事によれば
Saltzman3.jpg最初の取り組みは、マルチドメイン指揮統制のエキスパートを養成する仕組みづくりである。
●現在は指揮統制の中核である「operational career」に、作戦運用職域の中堅士官を連れてきて1~3年間勤務させるが、現場から離れて過ごすこの勤務を嫌うものが多く、将来の作戦上重要な勤務なのに長期的視野で考えられておらず、勤務者にも何も与えていないのが現実である

●ちょうどレンタカーを借りて、使いたいように使って、洗車もせず、レンタカー屋に返却するような状態になっている。
●これを改め、「mid-career cross-flow opportunity」を立ち上げ、勤務経験10~12年の中堅のサイバー、宇宙、情報等の作戦関連職の士官から選抜し、新たな職域「13 Oscar」に就け、戦術レベル指揮統制のエキスパートとして管理することを検討している

2つ目は迅速な民生最新技術の取り込みである。現在の米空軍は、世の中に既に出回っている素晴らしい最新の民生技術を、迅速な意思決定や状況掌握・把握に生かし切れておらず、古いやり方を鈍重に更新する「old new」状態にある。これを「New new」、つまり大胆にリスクを恐れず、新たな手法を取り入れる文化にシフトする必要がある
●このため米空軍は、来年夏までにネリス空軍基地に「shadow operations center」の中核を設け、迅速な開発や技術導入につながるプロトタイプや新ソフト導入や試験を目標に取り組んでいる

Saltzman4.jpg3つ目は、マルチドメイン作戦パッケージやその指揮統制の検討である。これまで米空軍は膨大な航空攻撃パッケージを構成し、作戦を実行してきたが、これにサイバーや宇宙が加わった時にどうするか? 誰が指揮を執るのか? どの作戦指揮センターが担当するのか等の課題が残されたままである
●私自身も現時点で回答を持ち合わせてない。ただ言えるのは、米空軍はこれらの課題に取り組み、検討し、試験して反省し、新たなコンセプトを作り上げなければならないという点である。

来年秋から、複数の「マルチドメイン指揮統制演習」を実施することが既に決定しているが、新たな将来コンセプトに焦点を当てる演習にしたいので、これまでのように各所の作戦センターから人を集め方式は考えていない ●代わりに、日頃の仕事から離れていてより広範な思考が可能と思われる、米空軍大学の指揮幕僚コース(少佐クラス)や航空戦コース(大佐クラス)に入校中の学生士官で机上演習を計画したいと考えている
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最新の商用・民生技術の迅速な取り込み活用は、米国防省レベルから各軍種まで、様々な取り組みをこれまでもご紹介してきましたが、新たな職域「13 Oscar」創設やサイバー宇宙士官の作戦センターでの活用は初耳です

Cyber Top3.jpgパイロットが不足しており、当面回復が望めない中では、新たなドメインに詳しい職域から使える人間を養成するしかないのでしょう。オタク的なサイバー人材を、コミュニケーション力が求められる作戦センターで如何に活用するか等、今後に注目です

新たなコンセプト開発に、フリーで自由な発想が可能な空軍大学の学生を活用するのは良いアイディアでしょう。演習全体を仕切る教官や空軍側にそれなりの人材がいればですが・・・

米空軍とマルチドメイン
「宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「空軍に新コンセプト期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「米空軍の重視事項3つ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13

地上部隊とクロスドメイン
「海兵隊輸送艦からロケット弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-28-1
「再度陸軍に南シナ海で活躍期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「ハリス長官がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1

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2021年までに自己防御用レーザーを戦闘機に [米空軍]

Laser HEL.jpg7日付米空軍協会web記事は、ロッキード、ボーイング、ノースロップグラマンの3社が分担して取り組む、戦闘機搭載用の自己防御レーザー兵器(SHiELD)に関し、米空軍研究所AFRLが最後のロッキード社分の契約を結んで3社すべてとの契約を終え、2021年の搭載試験に向け本格的に動き出すと報じています

どの程度の出力で、どの程度の射程があり、どの機種への搭載を考えているのか等、肝心な部分には言及できないと関係者は語っていますが、「いつまでたっても完成まであと5年」と揶揄され、国防省高官からも「実用化は簡単ではない」「Star Wars症候群」だと言われてているレーザー兵器ですので、生暖かく見守っていきたいと思います

この兵器は、地対空脅威や空対空脅威から、戦闘機などの戦術航空機が自己防御を行うことが目的の兵器ですので、大前提としてお間違いのないように。派手に敵機を撃墜したり、地上目標を破壊するものではありません

7日付米空軍協会web記事によれば
Laser NG.jpg●6日、米空軍研究所AFRLはロッキード社と、戦闘機搭載用の自己防御レーザー兵器(SHiELD:Self-protect High Energy Laser Demonstrator)のレーザー生成装置の設計開発を担当する約30億円の契約を結んだ
●ロッキードが担当するのは、電力をレーザーに変換する強固で小型で効率的な装置(LANCE:Laser Advancements for Next-generation Compact Environments)で、襲い掛かる敵ミサイルに照射して熱で機能不全や破壊を起こす装置である

ちなみに、ボーイングは2016年末に空軍と契約を結び、LANCEを搭載するPOD開発(LPRD)を担い、レーザー生成部分に電力を供給し冷却するものを2021年12月までに完成する計画で動いている
一方でノースロップグラマンは、ボーイングより1が月早く空軍と契約を終え、レーザービームを制御する頭脳とも言われるタレット(SHiELD Turret Research in Aero Effects)を担当し、2019年初めに試験を開始する計画となっている

Laser NG2.jpg●ロッキードの担当上級研究員Rob Afzal氏は、レーザー生成装置はとてもコンパクトで、信頼性が高く、頑丈でなければならないと説明した
●また同氏は、極めて微妙な問題だとして、どの程度の出力で、どの程度の射程があり、どの機種への搭載を考えているのか等、肝心な部分には言及できないと細部には触れなかった

●ロッキード社は空軍との契約が3社の中で最後になったが、他2社が準備している搭載インフラの中で、大きな自己防御力を発揮するシステムを完成させるよう取り組んでいく
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この記事の冒頭は「If all goes according to plan:すべてが計画通りにいけば・・」で始まっており、この開発計画の性質をよく表現しています

2021年とは東京オリンピックの翌年です。生暖かく見守りたいと思います

航空機搭載レーザー兵器への取り組み
「NG社とビーム制御契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-25-1
「LM社とレーザー制御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-20-1

国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24 

夢見ていた頃・夢見ている人
「米空軍特殊コマンドは前向き」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1

「米陸軍は2016年前線に投入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-16
「まずC-17搭載レーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-23
「特殊作戦C-130にレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31

「ACC戦略2015では?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-12
「米空軍幹部が議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-29
「CNAS:エネルギー兵器の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-23
「特殊部隊とレーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-16

Heithold中将が態度急変
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06

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米空軍は操縦者だけでなく整備員も不足 [米空軍]

maintainers2.jpg9日、米空軍司令部の作戦部長Mark C. Nowland中将が下院軍事委員会で証言し、約3400名不足している航空機整備員不足に対処するため、当面の間、戦闘行動に関わる飛行部隊優先でベテラン整備員を配置し、その他の部隊には民間の契約整備員を配置する等の措置で2020年まで乗り切ると説明しました

民間分野での航空需要の高まりというパイロット不足と共有の背景はあるものの整備員不足の大きな原因は、米空軍が計画していたA-10攻撃機の全廃と整備員流用が議会等の反対で出来なくなり、F-35急増等に対応できなくなっていることにあります

10日付DODBuzz記事によれば
maintainers.jpg●Nowland中将は「米空軍はそれが可能な部隊から、整備員を戦闘任務にあたる飛行部隊に移動させている」と語り、「例えばF-35の立ち上げに伴い、飛行教育部隊などは契約民間企業の整備員委で代替し、整備員を戦闘部隊に移籍させている」と説明した
●そして整備員不足が解消出来たら、「それら移籍させた米空軍兵士である整備員を元の部隊に戻したい」と証言した

●米空軍は昨年、2017年夏から民間の契約整備員を活用すると発表し、2020年までの期間限定での活用だと説明していた
●また今年2月に米空軍司令部の兵站部長John Cooper中将は、約4000名の整備員不足に対応するため、毎月40名の整備員養成を開始していると説明し、「これまでで不足数を3400名にまで減らすことができた。2020-2021年までには不足数をゼロにする計画だ」と語っていた

maintainers3.jpg●そしてCooper中将は、過去5年間、米空軍の継続した悩みは航空機整備未経験の若者を訓練し、可能な限り早く戦闘機や爆撃機部隊に配属することであったと9日に語り、同時に不足解消は近づいていると説明した
●例えば1機当たりF-35は、前線の航空機整備に12人と支援要員8名の計20名の整備員が必要で、この数はF-16戦闘爆撃機と同数だが、F-22やF-15は計23~24名の整備員が必要である
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F-35に必要な整備員数は、F-22やF-15と比較して2割弱少ないようですが、A-10から流用しようとしていたベテラン整備員の穴を数年で埋められるはずもなく、計画上はあと3年で「不足解消」でも、質の面では10年以上は必要でしょう

また、まだまだ初期型の「ソフト3i」で運用しているF-35ですが、とりあえず完成版のソフト「3F」になれば搭載兵器も増えて整備員所要は増加も考えられますし、F-35アピールには十分な注意が必要です

米空軍整備員不足の苦悩
「米空軍機の稼働率が異常低下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-02
「整備員不足対処案も苦悩続く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-03
「F-35整備員確保の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-14
「A-10全廃は延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22

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米空軍のパイロット不足が更に悪化 [米空軍]

17日、戦闘機パイロット不足は約1300名だと報道官が補足説明
http://www.airforcemag.com/Features/Pages/2017/November%202017/Pilot-Shortage-is-Even-Worse-Than-Announced.aspx
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wilson7.jpg9日、Wilson米空軍長官とGoldfein米空軍参謀総長が記者団に対し、「米空軍の現状」とのブリーフィングを行い、2016年度末段階で約1500名不足していた米空軍パイロットが、2017年度末(9月末)で約2000名不足に悪化していると訴えました。

米空軍としても、ボーナスを増額したり、皆が嫌うようなスタッフ職につかなくていいよとか、退役した操縦者に「帰って来いよ」募集をかけたりと対応策に努力しているところですが、米国のみならず世界全体で操縦者が不足して引き抜き合戦状態にあり、更に海外派遣が頻発する等で米空軍の任務環境が厳しい中、パイロットの流出を食い止めることが難しいようです

それでも空軍長官と参謀総長は、予算の強制削減を受けた暫定予算が継続する中では、部隊が十分な訓練を訓練を行えず、前線派遣可能な操縦者や部隊の準備ができないから、何とか予算状況を改善してくれと訴えたかったようです

9日付米空軍協会web記事によれば
Goldfein1-1.jpg●Goldfein大将を同席させて記者団に対しブリーフィングを行ったWilson米空軍長官は、米空軍全体で全てのカテゴリーの全ての機種の操縦者に関し、1926名が不足していると語った。これは米空軍全体の必要操縦者数20000名の約10%に当たる
●また昨年度末の約1500名不足状態からさらに悪化していると説明した。空軍長官は機種別の不足数に関する質問には回答を避けたが、戦闘機パイロットの不足が多くを占めていると言われている

●記者団からの、米空軍が対策として行っているボーナスの増額や付加職務軽減等の対策の効果はないのかとの質問に対し長官は、「米空軍の規模に比して、任務量が多すぎる」、「多忙さにより米空軍操縦者が燃え尽きてしまっている」と即座に回答し、既に17回もの海外派遣を経験している操縦者の例を挙げた
●参謀総長は、防御的ともいえる初期の対策(ボーナスや経歴管理での優遇)で操縦者の流出防止を行っているが、今後は攻撃的ともいえるより広範な攻めの対策で新たな人材を集めたいと語った

wilson-Gold.jpg●(恐らくボーナス等の追加支出に関する効果への疑問に先手を打って説明し、)ボーナス増加等の対策に経費を要しているが、1兆円もの経費を投入して育てた操縦者が既に流出(walked out the door)しているのだと同大将は訴えた
●そして攻めの対策として、毎年のパイロット養成数を従来の1200名から1400名に増加させたり、退職した操縦者を現役に復帰してもらう方策に取り組んでいくと語った 

●参謀総長は米空軍の問題を米国全体が直面しているパイロット不足問題の縮図だと説明した同大将は「国家全体の問題だ」「米国全体として、民航機操縦者も軍用操縦者も、十分な数の操縦者を養成できていない」と訴えた。

●一方で空軍長官は「パイロットは1年では養成できない」ので対処には時間を要すると語りつつも、(訓練予算不足で低下している)飛行部隊の即応体制を改善すれば、パイロット不足を幾分かは緩和できると説明し訴えた。
●そして改めて、終わりが見えない海外派遣等により、家族を含めた操縦者家族に消耗を強いている現実を訴え、「これ以上は耐えられない」と空軍を去る家族を生んでいる現実を語った
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USAF pilot.jpg操縦者不足が米国だけでなく世界全体の問題だとして、世界の空軍をリードする米空軍には、是非とも戦闘機に求めるものは何か、どれほどのニーズがあるのか、どれだけの機数が必要なのか、更に従来通りの訓練体系で良いのか・・・等々の根本に立ち返って見積もりを再構築してほしいものです

中国や北朝鮮ににらみを利かすために、F-35を展開させてどれほどの効果があるのか? 30年前と同等の効果があるのか? 戦闘機があるから使っているだけで、ほかにもっと脅威に変化や技術進歩に応じた他の方策があるのではないか・・・と真剣に考えてほしいものです。

脅威の最前線にあるはずの、日本の戦闘機命派には全く期待できませんから・・・

操縦者不足関連の記事
「世も末:幕僚勤務無し管理検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-20
「トップが操縦者不足と軽攻撃機を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-17
「18年ぶり飛行手当増額」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-28

「戦闘機パイロット2割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-22
「航空業界は今後20年人手不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-29
「機種別操縦者数で無人機がトップ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-09
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意味深なグアム島への弾薬10%追加備蓄 [米空軍]

36th Munitions.jpg10月18日付米空軍web記事が、グアム島のアンダーセン基地発の情報として8月後半からの約5週間をかけ、24時間体制で追加弾薬のアンダーセン基地への搬入を行い、結果として同基地保管の弾薬を10%増加させたと、「ひけらかすように」報じています

なぜ10%増量したのか、10%の意味するところは?、なぜ今?、などなど・・・・当然出てくる疑問には一切答えを示さず、90名以上の専従の兵士がハードワークで頑張ったと讃えるだけの記事であり、これ以上も突っ込みようがないのですが、なんか気になるのでご紹介しておきます

18日付米空軍web記事によれば
36th Munitions3.jpg●第36弾薬管理隊は8月21日から9月30日の間、150万ポンドの弾薬を休みない献身的な作業で、港からアンダーセン基地の保管庫に輸送して格納した
搬入された約100億円相当「81万6393発」の弾薬は、使用期限が切れた弾薬の交換用と、グアム島保管の弾薬を10%増加させるためのもので、弾薬を扱う者の日々の訓練と有事に備えた備蓄のためである

●通常、アンダーセン基地は毎年20フィートコンテナで約110個の弾薬を受け取り、更新用と備蓄用に受領するが、 90名以上の専従の兵士がグアム海軍基地に到着した弾薬を34両のトラックを使用し、24時間体制で輸送と格納任務を遂行した
●現場で作業指揮を執っていた上級軍曹は、「供給された弾薬は、日々の作戦に使用する弾薬とは別に、弾薬担当兵士の技量を向上する訓練に使用でき、実戦で求められる多様な弾薬作業の同時進行を体験することが可能になる」と効果を語った

36th Munitions4.jpg●弾薬管理隊長である少佐は、「将来の作戦行動を効率的に行えるよう、我が部隊はこの経験を通じて現場兵士が様々なアイディアを出し、作業の改善を行った」、「4週間以上に及ぶ連続作業だったが、兵士たちは集中して任務を遂行した」と振り返った
基地衛生隊が作業に当たった兵士の健康状態をモニターしながらの厳しい任務であったが、弾薬管理隊長は「増強された弾薬備蓄で、必要時の物理的破壊作戦能力は向上した」と意義を強調した
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特に付け加えることはなく、毎年の恒例行事なのか、「通常」より多く積み増しているのかも不明確な記事ですが、わざわざ米空軍webサイトが取り上げた小さな事象としてご紹介しておきます

36th Munitions2.jpgそれから付け足しですが、対ISISで精密誘導兵器を大量消費している米軍は、明確には言いませんが精密誘導兵器の在庫不足に直面しています。
急きょ予算措置をして調達を加速しようとしていますが、製造ラインの関係もあり、そう簡単には進みません。

対北朝鮮を関るにあたり、このあたりが「ボトルネック」の一つだと勝手に想像しています

グアム島関連の記事
「米軍事メディアが北朝鮮騒ぎを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-14
「グアムで住民に核攻撃対処要領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-15
「グアム島の過去と今を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-11

弾薬不足関連の記事
「米軍が精密誘導兵器増産中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-24
「空軍長官代理の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-05
「精密誘導爆弾の不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-03
「米国の弾薬を当てにするな!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21-1

グアム島の抗たん化対策
「被害復旧部隊を沖縄から避難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1

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米空軍がJDAMや精密誘導兵器増産へ [米空軍]

JDAM.jpg17日、米空軍省調達室の軍事副室長Arnold Bunch中将が米空軍協会朝食会で講演し、精密誘導兵器である小口径爆弾SDBに続き、JDAMの増産に向け関係企業と鋭意調整中であると明らかにしました。

2015年12月に精密誘導兵器を主とする弾薬備蓄の急激な減少が問題視されていることが明らかになりましたが、これまでにもご紹介してきたように、米軍は対ISISで大量消費していても、決して「適正在庫を下回った」とか「有事に対応できない」とは言いません

しかし、「もう外国には弾薬を融通しない」とか「予算の最優先事項だ」とかの発言が相次いでおり、個人的には、とても北朝鮮有事に対処できないレベルで、大きな一つの「ボトルネック」だと勝手に想像しています

JDAM2.jpg国防装備品の多くがそうであるように、特に精密誘導兵器は市販品を活用できる部分は恐らくなく、軍のためだけに製造していますから、契約製造数に対応できる最低限の人員と製造ラインがあるのみで、急に増産と言われてもなかなか対応は容易ではないでしょう

そんな中での Bunch中将の発言には、企業への配慮がにじんでいます

17日付DODBuzz記事によれば
●米空軍協会の昼食会で同中将は、対ISIS作戦で消耗した精密誘導兵器のGBU-39 SDB(Small Diameter Bomb)と同様に、JDAMの増産を追及していることを認めた
●具体的には、現在年間36500キットを製造購入しているところ、これを年間45000キットまで引き上げることを検討しているとのブルームバーグ報道を認めた

●同中将は「弾薬は国防省内で大きな焦点となっている課題で、特に世界中の戦いで引っ張りだこの精密誘導兵器が話題である」と述べ、「我々は必死に取り組んでおり、単に尾部キットだけでなく、電源関連などJDAMの全ての部品や視点から確認している」と説明した
●そして「もし皆さんの中に関連企業の方がおられたら、既にお願いしているが、生産能力に限界があるのか、質の維持に課題が生じるのか等、現場の生の声を聞かせてほしい」と切迫した様子で訴えた

SDB3.jpg●朝食会の後に同中将は、SDBについては現在、数年かけて年間5000発生産体制から8000発体制に生産体制増強中であり、8000という数字は当初SDBの生産を開始した時と比較すると3倍だと語っている
●今後実現したいJDAM増産に関しては、「急に増産をお願いし、そのあと元に戻すような、山谷がある乱暴な発注ではなく、例え需要が大きくても、安定した調達を追求したい」と語った

●また同中将は、全ての部品メーカーや関係企業が対応可能と確認ができるまで、例えば年間55000キットを到達するなどと言い出したりしないと強調し、同時に、他軍腫で精密誘導兵器の要求が高まった場合には、相談しながら柔軟に対応するとも語った
●そして現在でも、ヘルファイアミサイルに関し米陸軍と、またAPKWSレーザー誘導爆弾については米海軍と、相談しながらやっていると説明した

●講演の最後に繰り返しBunch中将は、「もし何か問題に直面したらすぐ教えてほしい。そうすることで、問題にともに取り組んでいきたい」と強調した
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同中将の発言にある「弾薬は国防省内で大きな焦点となっている課題」「我々は必死に取り組んでおり」や、「もし何か問題に直面したらすぐ教えてほしい」との表現が気になります。

JDAM-Empty.jpg「無理に年間55000発にはしない」との言葉の裏には、慌てふためいている印象は与えたくないが、皆さんに可能な努力をお願いしてそのレベルに行きたい・・・との思いが滲んでいるように思えてなりません

精密誘導兵器が対北朝鮮の有力「ボトルネック説」にこだわり過ぎではありますが、一つの指標として、眺めていきたいと思います
でもしかし、対ISが一段落しそうな中でこの発言。まだまだ対北朝鮮のドンパチを語るタイミングには無いような気もします

米空軍と弾薬関連
「空軍長官代理の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-05
「精密誘導爆弾の不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-03
「米国の弾薬を当てにするな!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21-1

気になる関連記事
「米陸軍が対北朝鮮に緊急準備開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-12

後日公開
「グアムに弾薬10%増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-21
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露製エンジンRD-180無しでロケット開発へ [米空軍]

EELV.jpg5日、米空軍が次世代の軍事衛星打ち上げロケットの2022年使用開始を目指し企業からの提案を募る提案要求書(RPF:request for proposal)を発出しました。

「次世代の」というと聞こえは良いですが、このEELV(進化型使い捨て打ち上げ装置:Evolved Expendable Launch Vehicle)計画の発端には、ウクライナを巡る米露関係の悪化があります

元々米軍の大型軍事衛星は、アトラスⅤロケットで打ち上げられていましたが(デルタⅣもあるが高価格)、このアトラスⅤはロシア製RD-180ロケットエンジンを使用していました。
米国の安全保障を支える一部の大型衛星打ち上げを、ロシアに依存していたという驚きの構図になっているわけです

RD-180 2.jpgそれが2014年、ロシアのウクライナの実質併合で米露関係が悪化したことを受け、ロシアの国防相がRD-180の米国輸出打ち切りを示唆して米国内が大騒ぎになります。

数年分の打ち上げ用RD-180の在庫はあるのですが、米国産の新ロケットエンジンとロケット開発は容易ではなく、「米国の威信をかけて短期間で完成させろ。できるはず」派と、「リスクは受け入れがたく、屈辱に耐え、ロシアにRD-180追加緊急購入を頼むべき」派の論争が続きました。

結局現時点では、「できるはず派」の議会が、「屈辱受け入れ派」の米空軍や一部企業の要求を退け、8基ほどのRD-180在庫でしのげるギリギリの2022年までに次世代ロケットEELVを開発することで進んでいるようです

6日付Defense-News記事によれば
●米空軍は今回のEELV企業選定で、最終的には2020年までに2つの打ち上げロケットを選定し、2022年には選ぼうとしている
●ただ5日に発出された提案要求書では、(初期の)ロケット開発経費を提供する上限3企業をまず選定することになっている

Atlas-muos.jpg●EELV開発の前段階で、米空軍は既に4つの企業「SpaceX」「Orbital ATK」「ULA」「Aerojet Rocketdyne」とパートナー合意文書を交わして基本構想の提案を求めており、「SpaceX」はFalcon Heavy rocketで、「Orbital ATK」はNext Generation Launch systemで、「ULA」はBlue Originエンジンを使用したでVulcanロケット、そして 「Aerojet Rocketdyne」はAR1エンジンで取り組んでいる
現時点では、「SpaceX」「Orbital ATK」「ULA」の3企業は提案要求書に応じ、それぞれの提案で機種選定に臨むと見られている
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何の技術的知識もありませんが、個人的には「SpaceX」社の「Falcon Heavy rocket」に期待したいと思います。

この「Falcon Heavy rocket」は、同社の基本ロケット「ファルコン1」ロケットを9本束ねた「ファルコン9」とも呼ばれるロケットで応札しようとしているようです。

米軍事衛星打ち上げ関連
「混迷の露製エンジンめぐる論争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「国産開発が間に合わない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-29-1

「露製エンジンを何基購入?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-2
「米国安堵;露製エンジン届く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-22
「露副首相が禁輸示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-22

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米空軍特殊作戦軍司令官:レーザーに今も熱狂的 [米空軍]

「科学者に聞けば、半分は熱心だが、半分は懐疑的だ。・・・・私は今でもとても熱狂的支持者だが・・」

Webb2.jpg20日、米空軍特殊作戦コマンドのMarshall Webb司令官(中将)が、米空軍協会航空宇宙サイバー会議で講演し、冒頭の言葉と共に、AC-130に将来搭載することを目的としたレーザー兵器のデモ試験を、来年から開始すると発言しました。

何度も何度も取り上げてきたようにレーザー兵器は「いつまでたっても完成まであと5年」と揶揄される代物ですが、弾道・巡航ミサイルによる飽和攻撃や、ロケット弾や無人機の群れ対処等を考えるとき、瞬時に目標に到達し、電力等のエネルギー源があれば弾薬の補給なく何回でも安価に連続発射が可能であること等から、脅威の変化に対応した夢の兵器でもあります

映画「スターウォーズ」が描くような攻撃兵器の主流になるには、まだまだ大電力やレーザー出力の確保、装置の小型化のほか、航空機搭載には振動への対処や照準の問題等々があり、加えて周囲への安全性確保や運用基準の在り方など、まだまだ課題が山積しています

それでも米軍の全軍種が関心を持ち、予算難に苦しみつつも取り組んでいることは確かであり、他軍種の状況も含め、熱狂的なWebb中将の発言等をご紹介します

20日付Defense-Tech記事によれば
LaserAC-130.jpg●Webb司令官は同会議の会場で記者団に対し、「仮に皆さんがレーザーに関わる科学者達に質問したとしたら、半分は熱心だろうが、半分は懐疑的な解答をするだろう」と語りつつ、米空軍はAC-130に搭載することを狙ったレーザー兵器の試験を、来年計画してると明らかにした
●そして「私は依然としてこのデモ試験の熱狂的な支持者だ」としつつ、「米空軍と特殊作戦コマンドは、現代の半導体やファイバーレーザー技術で空対地攻撃が可能なのか? ビームを制御可能なのか? 飛行中の空力的な振動などを克服できるのか?等を、検証するに値すると考えている」と思いを語った

●Webb司令官の前任者であったBradley Heithold前司令官が、2015年に特殊作戦機にレーザー兵器を搭載する「moon shot計画」を明らかにし、60kwまたは120kwレーザーで、地上の車両や航空機や通信アンテナ等を無効化するデモ試験構想を推進したのが同軍での始まりである。

他にも、国防省のレーザー兵器研究には米空軍と国防省研究機関がホワイトサンズ試験場で実施した、General Atomics製の150kw級レーザーの試験があり、ロケット弾や迫撃弾対処、また地対空使用や車両攻撃を想定し実験が行われている
Laser NG2.jpg●これは、DARPAの液体レーザーによるエリア防御システム研究に基づく、「DLWS:Demonstrator Laser Weapon System」計画によるものである

●他軍種では、米海軍は2014年に輸送艦「USS Ponce」に20kwレーザーを搭載しており、米陸軍は今年すでに、Striker戦闘車両から5kwレーザー発射を試験し、来年には50kwの対空レーザー兵器試験を計画している
●Webb司令官は、「2020年代にこの兵器を手にするためには、まだ多くの段階を通過する必要がある。また予算の優先順位からすれば、少しばかりの課題も控えている」と付け加えつつ、「特殊作戦機レーザー兵器のデモを来年計画し、その数年後に航空機に搭載して発射試験を行う方向だ」と語った
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Heithold2.jpgこの記事にも登場する「moon shot計画」をぶち上げたHeithold前司令官は、現在国防省のコスト分析&諸計画評価局の首席次長で、今年7月にはレーザー兵器を評し、「戦場でのレーザー兵器の使用はまだまだ先の話」「Star Wars症候群という、過度の期待に困惑している」と端的にコメントしています

更に国防省の開発担当国防次官は昨年9月に「レーザー兵器は万能薬ではない。戦力化を決断するレベルに至っていない」と、そして米空軍の開発部門を統括する司令官(大将)も「エネルギー兵器は第3の相殺戦略を決定づける兵器になり得るが、出力の大きいレーザー兵器を早期に手にすることは容易ではない」と昨年6月に発言しています。

このような伏線があることから、Webb司令官も「私は今でもとても熱狂的支持者・・」とか「検証に値する」と表現しているところです。
最近、北朝鮮の核やミサイルがらみで、2009年に計画が中止された「Boeing 747-400」搭載のレーザーによるブースと段階での迎撃復活・・・とか言う人がいますが、慎重に足元を固めたほうが良いと思います

Heithold中将が態度急変
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06

国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

夢見ていた頃
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1

「米陸軍は2016年前線に投入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-16
「まずC-17搭載レーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-23
「特殊作戦C-130にレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31

「ACC戦略2015では?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-12
「米空軍幹部が議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-29
「CNAS:エネルギー兵器の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-23
「特殊部隊とレーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-16

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世も末:操縦者に幕僚勤務無しキャリアを検討 [米空軍]

パイロット手当欲しさに現場にしがみつく操縦者の育成へ!?

Everhart.jpg19日、開会した米空軍協会航空宇宙サイバー会議(ASC17)で、米空軍輸送コマンド司令官のCarlton Everhart大将が講演し民間航空会社へのパイロットの流出が止まらず、深刻な操縦者不足に見舞われている対策として、「操縦だけしていればよいキャリアパス」を検討していると語りました

国費で養成された米空軍パイロットが給料や待遇が良く、また危険が少ない仕事を求めて民間航空業界に流出することを防ぐため、米空軍はパイロット手当を増額し、飛行時間確保に奔走するなどの対策を採ってきましたが、皆が嫌がるスタッフ仕事を回避できるオプションまで繰り出してきました

C-17-2.jpg司令部などの幕僚職は、前線部隊の運用を円滑にし、作戦計画を練り、将来に向けた施策や予算要求を練る重要な仕事で、ある程度前線で経験を積んだ操縦者が後輩操縦者のため、また国のためにやらねばならない仕事で、そこでの前線とは全く異なる経験で人間としての幅と視野を広げ、飛行部隊指揮官やよりハイレベルなポストにふさわしい人材となる必須の業務です

前線でずっと飛んでいたい・・・そんな気持ちを少なからず心に抱くのは人情でしょう。しかしそれは組織全体のニーズとは異なり、単なるわがままです
そんなキャリアパスを、公に認めてまで、根拠の薄い航空機数や飛行隊数を維持したいのでしょうか? 本末転倒のような気がしてなりません

19日付米空軍協会web記事によれば
Everhart4.jpg●Everhart司令官は最近、輸送コマンドの兵士たちに操縦者不足を解消するアイディアを募集し、700以上の提案が寄せられ、検討中だと語った
●そして背景にある操縦者不足を「国家的な危機だ」と表現し、戦闘機と輸送機の両方で不足しており、数千人の問題に対し複数の対策を行っていると語った

●その一環として、輸送コマンドは米空軍司令部に対し、幕僚ポストに就くことがない「飛行ポストだけのキャリアパス」を承認してもらえるように検討してもらっていると述べた
●「1900年当時から議論されてきた案だ」と表現しつつ、「俺は飛行任務だけに就きたい」との人材を引き留めたいとの意向を示した

●具体的に輸送コマンドが検討している経歴管理は、(飛行ポストだけに就きたいと申し出た操縦者には、)迷彩色の作戦機を操縦者させず、C-20、21、37などの白い機体の輸送機に搭乗させるか、操縦者養成の教官職のようなポスト配置を検討していると説明した
●同司令官は、あくまでの多数ある案の一つだと語ったが、「君が何気なくツイートする内容に気をつけなさい。それが君に跳ね返ってくるかもしれないから」と付け加えることも忘れなかった
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C-17 US-Au.jpg正式に決定されたことではないようですが、米空軍協会の航空宇宙会議は、米空軍の主要幹部や軍需産業の高級幹部、OBや軍事メディアや同盟国関係者が勢ぞろいする一大イベントですから、いい加減な案を公言するはずはありません

先日は空軍参謀総長のパイロット不足に対する最優先課題発言を紹介しましたが、パイロットが嫌った幕僚仕事を誰がやるのでしょうか? パイロット手当欲しさに必要な仕事を放棄する操縦者の代わりに、多忙な重責を担わされる非操縦者はどんな気持ちになるでしょうか?

パイロット不足狂騒曲の背後で、白けている非操縦者の姿を思い浮かべざるを得ません・・・

関連の記事
「トップが操縦者不足と軽攻撃機を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-17
「軽攻撃機の第一弾確認終了」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-07
「18年ぶり飛行手当増額」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-28
「米空軍が300機導入に賛成!?」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-21
「米空軍が検討を開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07

「戦闘機パイロット2割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-22
「航空業界は今後20年人手不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-29
「機種別操縦者数で無人機がトップ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-09

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米空軍も!:巨大都市戦に備える [米空軍]

戦いがより政治化し、都市への人口流入で増加する大都市での戦いの備えが、米軍の一つの焦点か!?

Goldfein10.jpg19日、米空軍協会航空宇宙サイバー会議の会場で、Wilson空軍長官とGoldfein空軍参謀総長が記者会見し、今後世界中で人口密集が加速するとの見積もりの下、米陸軍や海兵隊が巨大都市での戦いを想定した備えを検討するな中、米空軍も支援体制に投資しなければならないと語りました

「人口密集が加速」&「巨大都市戦への備え」については、今年3月にMilley米陸軍参謀総長が、「世界の人口動態から人口1千万人以上の巨大都市:megacityが急増する予想があり、米陸軍も今後10年で根本的な変革をしなければならない」、「現在の特殊部隊やより小規模な部隊編制を参考に考慮する必要がある」、「指揮官の質の向上も」等々と講演しつつ、「optimize the Army for urban warfare」と締めくくって世界を驚かせたところです

米空軍2トップからの発言はあまり具体的ではありませんが精密誘導兵器だけでなく、指揮統制やネットワークも重要な要素であることを臭わせ、「統合戦力」としての役割を果たす必要性を強調しており、米軍全体での動きであることが感じられます

22日付Defense-News記事によれば
Tokyo at Night.jpg●Goldfein空軍参謀総長は、米陸軍や海兵隊の指導者たちが、ますます人口密集が進む地域での都市戦を今後も継続することを求められている中、米空軍はこれら地上部隊を支援するために求められる能力を追加しなければならないと語った
●そして「統合チームとして戦いに臨むとき、そして彼らが都市戦に焦点を当てようとするとき、我々も都市戦を焦点にしなければならない。そしてその時、単に兵器だけでなく、はるかに広範な課題が浮かび上がってくる」と表現した

●更に同大将は「ますます大規模化・密集化が進む都市戦に対応し、米空軍が2030年代にどんな姿であるべきか? 仮に世界中で都市化が進むのであれば、そこでも我々は優位で先頭に立っていなければならない」と付け加えた
●また、米空軍として都市戦に備えた新たなプラットフォームを検討していると認めつつ、一方で、より「range, payload and persistence」を実現できる「multi-domain network」に焦点を当てていると強調した

wilson7.jpg●参謀総長が兵器のみへの注目を戒めた一方で、Wilson空軍長官は、世界が米国の不正確な攻撃に対しもはや寛容ではないと表現し、「都市戦検討は科学技術戦略にも影響を与え、エネルギー兵器や兵器の大きさにも示唆を与える」と語り、兵器の検討も重要だとの認識を語った
●そして現在すでに利用可能な、イラクやアフガンで使用されている小口径爆弾SDBを讃えつつ、仮にイラク軍が敵に苦戦していたら、イラク軍から13m離れた敵を攻撃できるだけでなく、更に進んで、特定方向の壁1面だけを破壊できるような攻撃も求められると語った
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Milley.jpg今年3月にMilley米陸軍参謀総長の講演をご紹介した際、「巨大都市戦や密集地域での戦い重視は、海兵隊との差別化を図るための、米陸軍生き残り戦術か?」と怪しむようなご紹介をしましたが、米軍全体の流れであることが判明しました

陸軍参謀総長は講演で、「現在の陸軍が森林や砂漠地域での戦いを想定し、ジャングルや山や都市化地域に不向きに編制されている」との現状認識を示し、「戦車の大きさや重量、ヘリコプターの回転翼の大きさ、部隊規模、武器使用要領、ネットワークの活用などなど、様々な分野で考え方を見直す必要がある」とも語っており、相当根本的に大規模に検討を進めている事を示唆していました

urban warfare.jpgそしてその大前提として、「戦争がより政治的になるとすれば、その戦いは人が住む地域で行われるだろうし、それは都市であろう」とのトレンド予想を披露しており、今後の展開が気になります

以下にご紹介する過去記事で、もう一度陸軍参謀総長の3月公演をご確認いただき、思考を巡らせて頂きたいと思います

「米陸軍トップ:今後10年で巨大都市戦に備える」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-22

陸軍とクロスドメイン
「再度陸軍に南シナ海で活躍期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「ハリス長官がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06

「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12

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52機も存在する伝説のF-117が本当に引退へ [米空軍]

やっと「武装解除」を開始、今年はまず1機
来年から4機ずつ「Demilitarize」を

F-117-42.jpg11日付Defense-Techが、伝説のステルス機である「F-117」が、現在も52機「飛行可能」な状態で保存されてきたが今年から「武装解除」を「飛行可能状態解除」を開始することになっていると報じています。

いわゆる「第2の相殺戦略」で、革新的技術優位の柱の一つであったステルス性を小型作戦機で体現した「F-117 Nighthawk」は、研究開発開始から1980年代に運用態勢に入った後も、約9年間秘密のベールの中にあり、1989年12月19日の対パナマ作戦「Operation Just Cause」で初実戦デビューします。

その後、1991年の湾岸戦争でトマホーク巡航ミサイルと共に緒戦での精密誘導攻撃をリードし、世界のお茶の間にイラクの首都バクダッドの政経中枢への、TVゲームのようなピンポイント攻撃映像を提供して大きな衝撃を与えました。

F-117-41.jpg2008年に第一線からの引退が決定されましたが、2014年と2016年にネバダ砂漠内で飛行情報や目撃情報が一般市民から報じられ、そのたび毎に様々な憶測を呼んできました

しかし実際は、2008年に引退を命じた議会決定の中に、「52機を現役引退させるが、緊急時に必要が生じたら、実戦復帰できるような状態(flyable storage)で保存せよ」との内容が含まれていたとのことで、定期的に(恐らく機体状態の確認と操縦技量の維持のため)こっそり飛行していたようです

11日付Defense-Tech記事によれば
●米空軍幹部が11日に「Military.com」に語ったところによれば、昨年12月23日に議会で可決された2017年国防授権法(NDAA)により、今後毎年4機のペースでF-117を完全に廃棄することが決定されている。2017年は1機をまず廃棄する
F-117 store.jpg●同幹部は匿名を条件に、「2017年NDAAで廃棄の指示が出るまで、我々は(52機)全てのF-117を飛行可能な状態で保管しなければならなかった」、「(ただし)一度に破棄するのではなく、飛行可能な機体も残しつつ段階的に、部品の取り卸しも行いつつ行う」と説明してくれた

廃棄後の機体がどうなるかについて同幹部は、「国防省文書番号41-60.21のDefense Materiel Disposition Manualに規定された要領で行う」と述べ、博物館に展示されたり、他の政府機関に売却されたり、アリゾナのDavis-Monthan空軍基地に置かれたり等々の例を挙げた
●また飛行可能状態で保管されていたF-117について同幹部は、「秘密事項ではない:Flyable storage aircraft are not considered classified」と語っている

●先週5日、ネバダ砂漠で「秘密の航空機」が墜落し、操縦していたEric Schultz中佐(44歳)が死亡した事故があってから、F-117との関与が噂されていた
●この事故について空軍参謀総長は、F-35の事故ではないかとの噂を強く否定し、「F-35ではないとはっきり言える」とコメントしている
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F-117-43.jpgいざという時に使いたかったんでしょうか? 
初期のステルス機はステルスコーティング等の維持整備が大変で、52機もの「Flyable storage」には相当の予算が必要だったと思うのですが、厳しい予算の中でもこれを続けてきたんですねぇ・・・

米議会では非公開の検討会や情報ブリーフィングが行われており、相応の議論を経てこの保管がなされていたのでしょう。
F-117操縦者も、口に出さずに訓練を続けていたということでしょうか・・・? 

F-117関連の記事
「F-117を約50機飛行可能で保管中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06
「なぜ今もF-117が飛行するのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-28
「ステルス機の意義と重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-03

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米空軍トップが操縦者不足と軽攻撃機を語る [米空軍]

意味深で、気になるインタビュー

Goldfein1-1.jpg15日付DODBuzzが、Goldfein米空軍参謀総長へのインタビュー記事を掲載し操縦者不足と軽攻撃機の導入について同大将の考え方を取り上げています。

トランプ大統領が8日、2018年度の年度当初3か月間を暫定予算(continuing resolution:10月から)で乗り切るとの法案に署名し、少なくとも12月8日までは最低限の予算レベルでのやりくりを米軍は再び強いられることになりました。

米空軍で言えば、中東での対IS作戦が佳境を迎える中、飛行時間の削減による飛行隊即応体制の低下や、演習の削減、次期練習機T-X計画など新たなプロジェクトの凍結等の苦しい制約が課せられます。

Pentagon.jpg予算管理法(BCA)による債務上限枠が撤廃されない限り、議会で党派を超えた議論と妥協が行われない限り、もう5年以上続くこのしばりは解けないのですが、その兆しは全くなく、米国防省や米軍幹部が口をそろえて「装備の維持整備の遅延」や「訓練飛行時間や訓練予算の削減」や「研究開発の停滞」等々を訴えても、むなしく響く今日この頃です

直接の因果案系を証明した報告等はありませんが、最近米海軍で連続するイージス艦と一般船舶との衝突、航空機の墜落や海兵隊水陸両用車での火災事故などなど、何やら組織の最前線に影響が出始めているとも懸念させる事故が頻発しています

そんな環境下に置かれた米空軍参謀総長が、「New Ways of Doing Business」との表現も使いつつ、移動中の航空機内で語った中身は、今後の米軍に共通する方向性を臭わせているような気もします

パイロットの現状と確保
USAF pilot.jpg●パイロット不足に関しては、操縦者が勤務期間を延長するよう(pilot retention)にあらゆる策を講じている
●空軍でパイロットになりたいと考える若者を募集することには何の困難もなく、採用予定数を上回る入隊希望者を確保しているが、最大の課題は勤務義務年限に達した操縦者を空軍に引き留めることだ

●米空軍は現在年間1200名の操縦者を要請しているが、2020年代半ばまでには、年間1400名にしたいと考えている
●「pilot retention」を高く維持するために、パイロットの操縦機会を確保し、飛行手当やボーナスを改善し、更に操縦者に「rich experience」を提供してより長く軍で勤務するように動機付ける。(注:この他にも、操縦者を希望任地に長く勤務させるなども

●「パイロットに操縦席での経験を積ませなければならない」、「そのためにはより多くの操縦席を確保しなければならない

軽攻撃機の導入に関して
AT-6.jpg●(なぜ既存の戦力を破棄してまで、新たに能力の劣る兵器を導入するのかとの質問に、)まず初めに、やるべき任務と戦力の適合を吟味し、何が最も需要の多い任務かを考えつつ、他の任務とのバランスを考えている
●将来、米軍は高度な兵器を持たないパートナー国をより訓練しなければならない。米国が同盟国等を持つことは非対称の有利点であり、同盟国等の空軍トップからいつも、F-16やF-35は買えないが、過激派が迫っており、多国籍連合に入れてほしいと言われている

●また米軍の前線指揮官はF-15を持っていたいと願うだろうが、空軍がネットワーク構築を必要とする事とは反している
軽攻撃機導入が、対テロネットワークにより多くのパートナー国を取り込む道となるのか?・・・との疑問を自身に問いかけている

●8月にかけ、4機種の軽攻撃機を試験したが、あくまでもデモ確認で、何かを決定したわけではない。今後約2か月で検討するが、中央軍空軍の指揮官を務めた経験からすれば、ハードの問題ではなく、ネットワークの問題なのだ。
●また同時に、安価でセンサーも搭載でき、推し進めてきた戦略を遂行する情報共有可能なアセットになりえるか・・・とも問いかけている

タリバンやアルカイダ、イラクやシリアのIS組織を、各国で対応可能なレベルに抑えることが目的であるが、米空軍が軽攻撃機を導入したとしても、(それら戦力を最終的にパートナー国等に売却するつもりかには言及しなかったが、)コアリションが極めて重要だ
中東で米国が指導力を発揮しないということではなく、戦いにより多くのパートナーを獲得する狙いがあるのだ

New Ways of Doing Business
Goldfein1-3.jpg●これらの取り組みにより、軍需産業に対し、今後の米空軍が望む、よどみのない「新たな仕事のやり方:New Ways of Doing Business」を示したいと思う。新たな装備を導入して、古いやり方に活用することは避けたいと思う
●そこで米空軍は今後数年でその優先事項をシフトする準備を進めている。どんな選択肢があり、操縦者が飛び続けるために何を望むかを考えながら。操縦流出に歯止めがかけられれば、空軍として発展するチャンスだろう
//////////////////////////////////////////////////////////

参謀総長の発言を細切れに紹介する分かりにくい記事ですが、様々な思惑が見え隠れするインタビューです。
「ネットワーク」との言葉が、軍事的な多国間の協力ネットワークを意味するのか、戦術データリンクを意味するのか微妙な部分があり、その点は注意が必要です

軽攻撃機を将来パートナー国に移管することも選択肢にありそうですし、中東のゴタゴタから退散したい米空軍の願いも見え隠れしています。
また軽攻撃機の選定において、戦術データリンクで情報共有する戦い方が重要判断基準であることも伺えるような気がします

F-35 Paris.jpgでも、それよりも何よりも、米空軍がパイロットの幸せを最優先にしていることがよくわかります。「飛行の機会を増やし」「操縦者が何を望むかを考え」「給料を上げ」・・・大丈夫でしょうかこの組織は?

それでもって、戦闘機が何機必要なのかの算定基準は、極めてあいまいで恣意的な計算式で求められているのです。多くの場合、現職の操縦者が全員職を失わないような、結果ありきの算定根拠だったりするわけです
横目で観察するには、興味深い対象物ですが・・・

関連の記事
「軽攻撃機の第一弾確認終了」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-07
「18年ぶり飛行手当増額」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-28
「米空軍が300機導入に賛成!?」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-21
「米空軍が検討を開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07

「戦闘機パイロット2割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-22
「航空業界は今後20年人手不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-29
「機種別操縦者数で無人機がトップ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-09

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F-22初飛行20周年と2060年まで運用提案 [米空軍]

F-22Hawaii2.jpg7日に初飛行から20年を迎えたF-22戦闘機について、Lockheed Martin社の担当副社長がインタビューに答え、同社の分析では適切に機体を維持改修すれば、機体寿命を2.5倍にして2060年代まで使用可能にすることが可能だと語っています

機体寿命の計算には様々な要素が関係し、単純な飛行時間だけでなく、その飛行時間の中で激しい機動飛行や訓練がどれだけで、逆に負荷の少ないエスコート任務や領空保全任務や諸外国への展開飛行がどの程度の比率かにもよる。

また、第5世代機の優れたシュミレーター訓練で実飛行時間を補完できるならば、更に機体寿命を延ばすことが可能である。むしろ、第5世代機の最大性能を発揮させる訓練はシミュレーションでしたできないとも言われている点にも留意する必要がある

一方で同社が前提とする「regular updates」について具体的な記述はなく、また必要な投資額も不明確であり、要員養成用のF-22を戦闘可能仕様に転換する予算確保も困難な米空軍にとって、ロッキード社の提案がどれだけ響いているかは疑問です

7日付米空軍協会web記事によれば
F-22hardturn.jpg●ロッキード社のF-22担当副社長Ken Merchant氏は、F-22が「regular updates」を受けると仮定すれば、設計寿命の6000飛行時間を2.5倍にして、14~15000時間にすることが可能であると述べ、1997年9月7日に初飛行したF-22が、2060年代まで飛び続けることが可能であると語った
●また米空軍戦闘コマンド司令官も希望している、Tyndall空軍基地所属の要員養成用F-22を戦闘行動仕様に改修し、F-22戦力を2割増にする案も提案しているが、米空軍内の長い長い予算優先希望リストの中で、勝ち抜かねばならない事業である

●同副社長は、既にF-22が僅かながら新兵器や新センサーを搭載する改修を受けていると認めたものの、更なる改修案としてF-35のステルス処置導入やコックピットの改修等々を提案していると語った
●一方で議会から試算を求められたF-22生産ラインの再立ち上げについては、あまりに額が膨大で、受け入れられる可能性は低い状態にある

●運用開始から20年を超えても、引き続き同機は世界最高の戦闘機であり、2040年代には新型機に能力で追い越される可能性はあるが、それでも本土防空戦力として最も能力の高いアセットの地位を占めるだろう
●またある意味では、F-22が西太平洋に展開して北朝鮮や中国を威圧することに成功した例もあり、米空母の持つ戦力誇示の役割を肩代わりするようになったと見る者もいる
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F22gearup.jpg戦闘機メーカーは、第4世代機に対しても、第5世代機(F-22)にも延命策を提案しており、「F-35調達数の先細り」を予期し、新たな生きる道を探っているようにも見えます。そうなんでしょう・・・

さぁ・・・、RQ-4グローバルホークの導入中止を臭わせ、イージスアショアの導入を打ち出した日本軍は、新たな戦闘機投資を中期防でどう判断するのでしょうか? 

出方によっては、非パイロット集団からの反乱、もしくは実質の職務放棄も予期される雰囲気ですので、しっかり検討していただきたいものです

F-22関連の記事
「議会がF-22再生産見積を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-20
「フィリピンにF-22を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16
「5世代と4世代機の融合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-08
「F-22もシム活用で飛行削減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-1

第4世代機を巡る議論
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23
「低価格なF-15能力向上案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15

タグ:20周年 F-22
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米空軍が軽攻撃機候補の第一弾確認 [米空軍]

えっ・・・! 軽攻撃機に空中給油任務を!?

AT-6 2.jpg5日付Defense-Newsが、米空軍が対テロ作戦への投入を念頭に、導入可否を含めて複数の軽攻撃機を対象に検討している件について、Wilson空軍長官へのインタビュー記事を掲載しています。

7月下旬から8月30日までに、4機種の第1弾デモフライトを企業に依頼してHolloman空軍基地で行ったようで、今後は年末までに「コストパフォーマンス」報告をまとめ、併せて「戦闘能力デモ飛行」を行うかも検討するとのことです

米空軍は、対テロ任務に最新の攻撃機を投入することは非効率だとの問題意識を持っており、A-10の退役問題が持ち上がる中で軽攻撃機導入の検討を開始しており、またアフガン空軍にハイテクプロペラ攻撃機A-29を提供し、訓練も担当している経験から、その能力に期待しているようです

Wilson2.jpgWilson空軍長官の発言からは、導入する方向は固まっているが、どの程度の任務を行わせるか、そのための装備をどこまで追求するかの「トレードオフ」議論が今後の中心になるようです。

そして最後に驚きの「空中給油任務」も検討の対象発言です・・・!

なお今回デモに参加した航空機は
A-29 Super Tucano(Sierra Nevada Corp、Embraer)
AT-802L Longsword(L3 Technologies、Air Tractor)
Scorpion jet(Textron)
AT-6 Wolverine turboprop(Textron)

5日付Defense-News記事によれば
Scorpion.jpg●空軍長官は、追加で「戦闘能力デモ飛行」を実施するかどうかを、同試験への参加機種も含め、早ければ秋ごろまでに、遅くとも来年1月までには決めたい、と述べた。
●また同長官は、「米空軍が軽攻撃機を前線に投入することは恐らく間違いないだろう。しかしどのような任務で使用するかは今後細部を検討する必要があり、その際の考慮事項として、指揮統制システム等をどの程度活用するか等々、煮詰める必要がある」とも表現した

●米空軍は効率性を追求する過程で、中東での地上部隊支援や低列度任務で高性能ジェット攻撃機を効果的に保管するため、安価な軽攻撃機の導入に関心を示している
●既に米国が提供し、米空軍が訓練を行ったアフガン空軍の「A-29 Super Tucano」が、過去18か月間、無事故で任務を遂行していることも背景にある

AT-802L.jpg更に空軍長官は、「8月にイラクやアフガンを訪問した際、現地で空中給油機の需要が極めて高く、現有給油機の負担を軽減するためにも、軽攻撃機が空中給油機として使用できるかどうかも一つの視点として検討する」と述べた
●ただ今回のデモ飛行参加機は空中給油を行ったことはなく、その機能も備えていない

●ただ企業関係者によれば、「AT-802U」と「Scorpion jet」は、改修することで外装燃料タンクを装着できる可能性があるようである
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空軍士官学校卒のWilson空軍長官が、思い付きで「軽攻撃機に空中給油任務を」と言うはずはなく、米空軍として真剣に考えているようです。驚きです

A-29 Afghan.jpgデモを行った軽攻撃機候補はいずれも小型で、可能な燃料追加搭載量が少ないでしょうし、行動半径もジェット機よりも劣るでしょうし、それでもこれらを空中給油機にと考える現場事情がしのばれます。

米海軍が初の空母艦載無人機を、空中給油任務にと持ち出した際は大いに落胆しましたし、今も残念ですが、前線感覚というか、作戦感覚の不足を少し反省しました
日本での空中給油機の重要性も訴えてきたつもりですが、もう少し腰を入れて考える必要がありそうです

空中給油機の話題
「米海軍の無人給油機への期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-03
「空軍次期給油機に重大問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-02-1

軽攻撃機の話題
「米空軍が300機導入に賛成!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-21
「米空軍が検討を開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07
「有力候補:A-29映像解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-02
「泥沼化:アフガン軽攻撃機の選定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-23

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重大不具合指定:KC-46ブームでひっかき傷 [米空軍]

米空軍が「Category One」不具合に指定
ステルス塗装への影響を懸念

KC-46-2.jpg1日付Bloomberg電子版は、既に開発が1年以上遅延している米空軍のKC-46A空中給油機が給油ブーム(給油用の管)を給油相手の航空機に接続する過程で、相手機体に「scrapes:ひっかき傷」を想定以上に生じさせている問題について、米空軍が最重要な不具合と認定してボーイング社と対策を検討していると報じています

KC-46AはB-767旅客機をベースに開発された空中給油機で、それなりに成熟された技術を活用することから、「経費固定契約」(国側は開発経費超過分を負担しない契約)の初ケースとして注目を集めたプロジェクトで、179機を約5兆円で調達する予定のF-35とB-21と並ぶ国防省3大プロジェクトと呼ばれています

しかし実際の開発過程では、機内配線のトラブルや給油配管の処理に誤った化学薬品を使用するなどのトラブルが相次ぎ、最初の18機を納入する期限2017年9月は2018年10月に遅延し、その経費も米空軍推定で1600億円超かの7000億円、ボーイング推定でも6500億円に膨らむ予想で、当初計画分の4400億円を超える部分はボーイング負担となっています

1日付Bloomberg電子版記事によれば
KC-46 Boom2.jpg●米空軍はこれまで、KC-46Aで5つの機種に合計1000回以上の空中給油試験を行っているが、これまでの試験結果分析を踏まえ、給油を受ける機体の受け口(receptacle)外周辺に「scrapes:ひっかき傷」が多数見つかったことから、米空軍は5月1日に「Category One」不具合レポートを発出した
●給油機のブームが相手の受け口周辺と接触することは他の空中給油機でも発生することであるが、その頻度が他機と比較して大きいことから、米空軍はこれを事象として明示して対処することにしたものである

●米空軍は、給油ブームと受けて機体との接触により、例えばF-22やF-35のステルス塗装が損なわれたり、給油ブーム内にステルス塗料や表面材が混入して当該給油機の運航停止につながる可能性を懸念している
●米空軍報道官は、「当該ひっかき傷が誤りや事故により引き起こされたとは見ていないが、接触により各種要求性能値に影響しないかを更なる分析で確認する必要がある」とコメントしている
KC-46 Boom3.jpg●また同報道官は「米空軍とボーイング社は必要な分析を行い、根本原因を追究する」、「分析結果を受け、問題解決策を導出する」と語った

●ボーイング社報道官は「米空軍と共に、懸念事項の解明に当たる」、「他の空中給油機との違いを究明する」、「給油ブームの操作性については、検査官から極めて良好の評価を得ており、操作システム設計については自信を持っている」とコメントしている
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なぜ5月1日提出の「Category One」不具合レポートが今報じられたのか不思議ですが、それ以前から問題が認識されていながら、9月に入った段階の今でも原因や解決策に言及がないことも気になります。

KC-46 Boom4.jpg以前の給油機は機体後部の窓に向い腹ばいになって直接相手機を見ながら給油ブームを操作する方式でしたが、KC-46は、操縦席後方でモニター画面上の相手機を見て操作する仕組みに変わっており何となく素人的には「気合が入らないんじゃないか?」と疑いたくなります

1000回以上の給油実績から導かれた統計データですから、「有意な差」があると誰もがそんなに心配していなかったKC-46A開発にしてもこの状態。つくづく航空機開発とは難しいものなんですねぇ・・・

ちなみに、航空自衛隊も購入することになっています

米空軍の空中給油機ゴタゴタ
「空中給油機の後継プランを見直しへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「KC-46ブーム強度解決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-15
「納期守れないと認める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01
「Boom強度に問題発覚」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-03

「予定経費を大幅超過」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21
「韓国はA330に決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-01
「KC-X決定!泥沼回避」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25

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