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米会計検査院が不明瞭な操縦者養成&訓練を非難 [米空軍]

GAO-report.jpg13日、米会計検査院(GAO)が米国防省の課題と対処状況を評価した84ページの報告書Actions Needed to Address Five Key Mission Challenges」を発表し、2006年以来、会計検査院が指摘してきた3000個の要改善事項への取り組みを評価しています。

GAOが指摘した「5つの主要課題」は、「即応態勢」「サイバー脅威対処」「高騰する兵器価格と医療費」「人的資源の管理」「業務効率性の改善」の5つで、これら課題に過去約10年間で約3000個の指摘をしたが、約1000個の指摘が放置されており、中でも優先度の高い78個の指摘放置を問題視しています。

指摘事項の放置について報告書は、「継続的な指揮官の関与が欠如」や「役に立たない(inefficient)戦略計画」など4つの原因を挙げ、特に「役に立たない戦略計画」では米空軍がその批判の対象になっているようです

本日はこのGAO報告書を米空軍応援団の立場で紹介している、14日付米空軍協会web記事を取り上げ、GAOによる米空軍関連の主要な2つの指摘と米空軍協会の弁明(米空軍の代理で反論)をご紹介したいと思います

パイロットに必要な飛行時間の件など、防衛省や航空自衛隊内部では誰も恐くて口に出来ない重要課題が、しっかりGAOが取り上げている点に注目したいと思います

14日付米空軍協会web記事によれば
F-15 upgrades.jpg●人材管理に関しGAOは米空軍に対し、戦闘任務に就く搭乗員に必要な年間飛行訓練量を見積もる前提について、包括的な見直しを2012年以来行っていないと指摘している。
●そして必要な飛行訓練量見積もりの前提は、必要な年間飛行時間(航空機の維持整備費や燃料費や減価償却費に直結する数値)、搭乗員の技量判定の基準、訓練における実飛行とシミュレータ訓練の割合などなどに直結することから、GAOは重大な関心を寄せている

●またGAOは報告書で、米空軍はA-10早期退役の影響を減ずるいくつもの対策を行っていると主張するが、A-10が果たしている任務に必要な要素を明らかにしないので、A-10が退役する事によって生じる能力不足を完全に把握できていないと厳しく指摘している
A-10 4.jpg●そして過去にGAOが何度も、A-10早期退役により生じる能力ギャップに関する正確な情報を、A-10退役決定までに提供せよと勧告しているが、(やっと)2018年度予算案で勧告に沿った動きが見え始めていると報告書は表現している

●またGAOは、米空軍は陸軍と共に、無人機操縦者の必要数把握に失敗しており、また無人機操縦者を文民で確保する検討を怠っていると指摘している

●全体としてGAO報告書に新たな指摘事項は無い。報告書は、国防省は重要な主要課題についての取り組みを行い、かなりの成果を収めているが、重要な課題がまだ残されており、国内外共に不確実性を増す時代に於いて、更なる取り組みが欠かせないとまとめている

米空軍協会による反論説明
RQ-4 pilot2.jpg●GAO報告書に対し、先日まで空軍長官代理を務めていたLisa Disbrow女史は、多くの指摘事項や問い掛けについては、現在まとめている国防戦略見直し(defense strategy review)で答えることになろうと述べている
無人機操縦者に関しては米空軍が2015年12月に大規模な態勢見直しを発表し、下士官をRQ-4操縦者に導入することや、無人機操縦者や整備員のキャリア管理や人事管理見直し、更に予備役や州軍兵士の支援を得ること等の施策に取り組んでいる

操縦者不足については米空軍指導部が複数回に亘り民間航空会社幹部と会談して対処策を検討しており、勤務時間を区切って空軍と民間会社の両方で勤務する可能性まで議論の対象としているところだ
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日本の会計検査院も、是非GAOが着目している「必要な飛行訓練量見積もりの前提(the assumptions underlying the annual training requirements for its combat aircrews)」を、精査対象にして頂きたいものです

会計検査院.jpgGAOの説明通り、この前提により必要な年間飛行時間が決まり、飛行時間のかけ算で膨大な経費が発生しますから、突っ込みどころです。
作戦運用の細部に関わる部分ですから、文民の皆さんには突っ込みにくいところですが、パイロット以外には不満が渦巻いていますから、側面からのアプローチが有効かも知れません。

少なくとも米国防省の年次レポート「中国の軍事力」は、中国軍が「短期間の高列度紛争で地域紛争を制する」ための準備(弾道・巡航ミサイル、サイバー・宇宙・電子戦に注力)を進めていると明言しており、空中戦など生起する可能性は大きく低下しているはずです。
どう考えているの? と質問するくらいの国民目線を日本の検査院にも共有して頂きたいものです

また、米軍にも世界の空軍にも無く、航空自衛隊だけが採用している「年間飛行」なる奇妙な制度も突っ込みどころでしょう。
有事になっても実戦で航空機を操縦する事がない(極めて可能性が低い)老齢操縦者に、年間数十時間の飛行訓練を義務づけている制度です。

GAO報告書の現物(1.7MB)
http://www.gao.gov/assets/690/685227.pdf 

会計検査院関連の記事
「再び:GAO対国防省F-35室」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-27
「ALISにはバックアップが無い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-01
「核戦力維持には10年36兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「空軍の無人機操縦者処遇を非難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-16

7日発表:米国防省「中国の軍事力」レポート
https://www.defense.gov/Portals/1/Documents/pubs/2017_China_Military_Power_Report.PDF

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Wilson新空軍長官の議会デビュー戦 [米空軍]

Wilson5.png6日、新しい空軍長官Heather Wilson女史とGoldfein空軍参謀総長が上院軍事委員会で2018年度予算案について説明及び質門対応を行いました。

前日の5日月曜日に米空軍協会朝食会で、軍需産業関係者やメディア等との実質仕事始めとなったWilson長官ですが、空軍士官学校卒で初めての空軍長官として、早速、厳しい米空軍の予算状況やその中での取り組みについてアピールしています

議会での発言ややりとりを中心に、参謀総長の説明と併せて概要をご紹介します

7日付米空軍協会web記事によれば
Wilson.jpg昨年比3%増を要求している2018年度米空軍予算案について、即応態勢を回復する良いスタートにしたいと説明しつつ、本当は更に多くの安定した予算計画が必要だと両名は証言し、空軍参謀総長は「予算の低下を食い止めたに過ぎず、我々が長期的な計画が可能な安定予算へのスタートに過ぎない」と表現した
●特に、F-35やKC-46A等を必要数確保して態勢を戻すには、8年連続でこの様な予算増加が必要だと主張した

●参謀総長は「米空軍は第4世代機を2040年代まで維持する事になるので、本予算案では、第5世代機を購入するだけで無く、第4世代機の近代化も行う必要性を盛り込んでいる」「戦闘機戦力全体を語るとき、どの世代の戦闘機にも継続的な能力向上を図り、相互に有効活用できるようしなければならない」と説明した

●細部の情報が公開されない状態で進んでいる次期爆撃機B-21計画に対し、約2200億円もが要求されている件に上院軍事委員会の批判が集まった
B-21 2.jpg●Wilson空軍長官は「なにを計画し、何を行っているかを議会に適切に報告している」と説明したが、マケイン委員長は「空軍長官、それは正しくない。真実では無い。米国民は2200億円の税金が何にどれだけ必要なのか知らされる必要がある」と空軍の態度を批判した

空軍長官は、議会に知らせるべき情報と、敵に知られるても良い情報にバランスが重要だと反論し説明した
●参謀総長はまた、爆撃機の将来態勢として、B-21爆撃機100機を含め、計165機の爆撃機が必要だと米空軍が判断していると説明した

空軍長官は、KC-46A空中給油機の更なる遅延可能性を示唆した。6日朝の国防省内の会議でKC-46の試験計画のリスクが議論され、その結果を受けて同長官は「公式な情報ではないが、2~3ヶ月の遅れが予期される」と説明した

HH-60G.jpg課題のあるヘリコプター2機種の予算案について同長官は、まずICBM基地の警戒用ヘリ「UH-1」後継機は、製造企業が現在の要求性能を満たすのが難しい状況があり、7月に発出する提案要求書では少し要求値を修正する予定だと説明した
●また予算を約110億円カットした救難救助ヘリ「HH-60G Pave Hawk」について参謀総長は、予算削減の影響を注意深く見守る必要があると説明したが、委員会からは「同ヘリを必要としている軍人にとって失礼は話だ」と批判した


政治任用ポストの人事について
Wilson3.jpg政治任用ポストがなかなか埋まらないことについて空軍長官は、業務が困難になっていると5月に語っていたが、ホワイトハウス内のノミネート手続きななかなか進まないと不満を漏らした
●議員が、人事が進まないのはホワイトハウスで業務が停滞しているからかとの質問に空軍長官は、6ポストの内、4ポストは好ましいとの評価で、2ポストには面談等実施中であると説明したが、ホワイトハウスから議会に正式ノミネートが行われない理由について、「私には判らない」とのみ答えた

5日の米空軍協会朝食会では
●新政権がまとめつつある、様々な戦略見直し(strategy reviews)の結果を待つ必要もあるが、かつてないほど装備が老朽化し、小規模になっている米空軍を立て直すため、最優先のF-35やKC-46AやB-21取得ペースを上げ、深刻な操縦者不足にも早急な対応が必要である

Wilson4.jpg中東地域で進行中の様々な作戦を支えるため、膨大な空中給油や空輸要求に答えて関連部隊は休みなく働いている。そしての遂行にはデリケートで詳細なプランニングが求められている
操縦者の離職を防止するため、米空軍は継続勤務に応じた者に、特別ボーナスや様々な特典を与える制度を検討している
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自分が編制に関わっていない予算案を説明するのは辛いでしょう・・・。しかしそれがお仕事ですから・・・

それにしても、第4世代機を2040年代までとは、なかなかしびれますねぇ・・・・

加えて、政治任用ポストの手続き状況について、ホワイトハウス内の状況が「わからない」発言は困った状態ですねぇ・・・・

空軍長官の関連記事
「Wilson長官のご経歴など」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24
「空軍長官代理が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-05

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B-2によるリビアISIS爆撃を振り返る [米空軍]

B-2 Libia.jpg7月号の米空軍協会機関誌が「The B-2 Body Blow」との記事を掲載し、今年1月19日に実施された2機のB-2爆撃機によるリビアISISキャンプ攻撃の模様を紹介しています。

オバマ大統領が執務最終日に承認して遂行された作戦は、カーター前国防長官にとっても最終日だった勤務日の作戦で、また2011年以来初のB-2実戦投入作戦でした。

B-2Whiteman.jpg米空軍応援雑誌であるこの雑誌の特性からして、成功物語を語る構成ですが、命令から離陸まで96時間の準備時間、13機のモノ空中給油支援、目標まで16時間のフライト、5機の地上準備で3機の離陸等々、B-2爆撃機の遠距離爆撃作戦の雰囲気が伝わる記事ですので取り上げたいと思います

なお、2011年のB-2爆撃はリビアのカダフィー体制をぶっ壊した「Operation Odyssey Dawn」作戦初日への出撃で、結果として力の空白となったリビアにISISが入り込み、その掃討を目的とした2016年8月1日から12月19日までの「Operation Odyssey Lightning」作戦から話は始まります

「Operation Odyssey Lightning」作戦
●2016年8月1日から12月19日までの同作戦は、海兵隊強襲揚陸艦USS Waspから発信するハリアー攻撃機と、海兵隊のAH-1コブラ攻撃ヘリ、そして米空軍MQ-9無人攻撃偵察機で遂行された ●合計495回の空爆を行い、その6割がMQ-9によるモノで、米本土のネバダ州クリーク基地やテネシー州から管制された

B-2takeoff.jpg無人機の操作クルーは、地上に派遣された特殊部隊員と直接連携を執りつつ民間人への被害防止に努め、MQ-9攻撃の7割は支援するリビア政府軍GNAの至近距離に行われ、中には30m程度の近接支援もあった
●無人機部隊指揮官によれば、付随的被害を防止するため、MQ-9操作員は建物の特定の窓を攻撃するように指示されることが頻繁にあったと語っている

●これらの攻撃により、リビア沿岸部の都市Sirteを拠点としていたISIS戦闘員が町から逃げ出し、南部の砂漠にテント村を形成して訓練キャンプを再開した。
●米国情報機関は継続してテント村を偵察していたが、分析の結果、欧州を含むリビア外でのテロ攻撃等を計画していることが判明した

B-2爆撃機の作戦に向けて
B-2restart.jpg●2017年1月中旬、モンタナ州Whiteman空軍基地に所属するB-2爆撃機部隊と輸送コマンドの空中給油部隊は緊急出撃態勢に置かれた。96時間の準備時間での出撃を命令されたのだ
●作戦後の2月、米空軍参謀総長は「与えられた任務に最適な兵器を選択した」と語り、砂漠のテント目標だったが、必要な航続距離、搭載量、奇襲性等を考慮し、B-2爆撃機が最適と判断したと語っている

B-2爆撃機部隊は5機を準備し、400発の爆弾を搭載した。搭乗員のリーダーには「Weapons School」を卒業した大尉が選ばれた
●空軍輸送コマンドは空中給油機KC-10やKC-135を米国内や欧州から準備する事に取りかかり、経路上の北米コマンド、欧州コマンド、そして中央軍との連携を開始した

1月18日、オバマ大統領が実質的な執務最終日に最終的な作戦承認を与えた後、Whiteman空軍基地を3機のB-2が離陸した
3機のB-2のうち、1機の予備機は最終段階を前に引き返し、複数の無人偵察機MQ-9が目標状況を最後まで確認している中を、B-2爆撃機が合計85発の兵器を投下した

B-2dual07.jpg訓練キャンプは完全に破壊され、100名以上のISIS戦闘員が殺害された。カーター国防長官は「我が同盟国の欧州に向けテロ活動を準備していたISIS戦闘員が目標となった」「ISISは、シリアやイラクだけで無く、世界のどこにいても隠れることは出来ない」と作戦成功を発表した
今年3月末時点で、米アフリカ軍の分析によれば、約100~200名のISIS戦闘員がまだリビアに存在している。米軍の航空機は引き続き監視を続け、情報分析を行っている
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96時間の準備で作戦を遂行できる爆撃機部隊と空中給油部隊は素晴らしいですが、最終的に2機を目標上空に到達させるため5機を地上で準備する稼働率問題や、「大成功」の空爆作戦の後でも、まだまだISISが200名も残存している現状は見過ごせません

本作戦以外のB-2投入は以下の過去4回ですが、もっと使えば良いのに・・・と思うのは素人だからでしょうか?
*March 1999, Operation Allied Force against Serbia;
*September 2001, in the first strikes of Operation Enduring Freedom in Afghanistan;
*March 2003, at the start of Operation Iraqi Freedom; and
*March 2011, Operation Odyssey Dawn in Libya to topple the regime of Gadhafi.

1月のB-2作戦記事
「B-2爆撃機がリビアで対IS爆撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-20

B-2爆撃機関連
「B-2の稼働率」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-05
「2058年まで運用予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-05
「B-2の20周年記念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28

「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1

「映像5つの視点B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「鮮明な飛行映像」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27-1

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空軍長官代理の退官インタビュー [米空軍]

Disbrow.jpg2日、米空軍協会機関誌が6月30日に32年間の勤務を終えて退官する米空軍次官Lisa Disbrow女史へのインタビューを行い、様々な側面から米空軍の現状と課題に迫っています。

Disbrow次官は、22年間の空軍士官勤務を大佐で終え、その後国防省や空軍省勤務を経て、今年1月からはHeather Wilson空軍長官が議会承認されるまで臨時空軍長官を務めていました

様々な視点から語っていますが、弾薬不足、F-35調達、宇宙ドメイン対処の視点から本日はご紹介します

弾薬の全力調達は数年続く
Disbrow2.jpg対ISIS作戦による精密誘導兵器や弾薬の大量消費により弾薬備蓄量が大幅に減少しており、米空軍は、2018年度予算案に弾薬調達予算の大幅な増加を盛り込んだ。しかしこれは弾薬大量調達の始まりに過ぎない。いつまで継続するかは「国防戦略見直し」等の結果を待つことになる
●現在米空軍は、精密誘導兵器の製造企業に最大限の弾薬製造と供給を依頼しているが、備蓄量を回復しするまで数年間続く大量発注の始まりに過ぎない

各種の精密誘導兵器等全般の消費量や備蓄量を見ながら、また企業の製造能力や部品や原料調達能力を把握しつつ、企業と共にどうすれば最善な生産ができるかを継続検討している
●今現在の戦いだけでなく、今後5年から10年先を見つめつつ、どのような将来紛争ニーズがあり、現在の消費がいつまで続くかも推定しながら製造優先順位や資源配分を考えている。いつまで最大製造態勢が継続するかは分からない

F-35調達ペースが上がらない
Disbrow3.jpg2018年度予算案でF-35が46機しか要求されていないことが話題となっているが、これは装備近代化と、現在の体制維持や人的戦力確保の間の予算バランスから総合的に判断したものだ
年間60機調達ペースにする必要性は十分理解しているが、現状での限界である。(注:予算枠のため漏れた重要項目リストに、米空軍は14機のF-35を含めている)

調達ペースを上げることは単純ではなく、入手にリードタイムが必要な部品や製造能力の限界もある。(実際、前国防省F-35室長Bogdan中将は、製造ペースアップの最大の障害は、部品製造企業の生産能力だと語っていた)
●言うまでもなく予算管理法による強制削減の恐れや歳出規制枠が、将来予算見通しを困難にしていることも大きな障害だ。米空軍の総調達機数1763機に変更がなく、同時に調達ができないことから、国防省全体でF-35製造については議論すべきだ

宇宙ドメインを空軍から切り離す議会議論に関し
Disbrow4.jpg宇宙アセットの要求や調達を迅速化するため、議会が宇宙ドメインを空軍から切り離すアイディアを持っていることは承知しており、その検討をすることに異議はないが、今は組織よりも能力ギャップを埋めることに集中すべきだ
敵対国の宇宙能力強化は、米国より早く進んでおり、能力ギャップを埋めることが喫緊の課題である。特に宇宙状況把握(space situational awareness)の能力強化が重要分野の一つである

●2017年度の予算法で議会から求められている宇宙政策ガバナンスに関する報告書に引き続き取り組んでおり、国防省や米空軍に対する議会からの宇宙政策の効率や効果に関する批判も承知しているが、米空軍も緊急調達室の拡充や他の調達プロセス改善に取り組んでいる
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他にも、航空宇宙作戦センターのサイバー対策強化事業で「Northrop Grumman」に依頼した長期事業がうまくいっておらず、事業を中断して緊急見直しを開始したことを等を説明しています。

GBU-28F-15E.jpg弾薬備蓄量減少の実態は決して表に出ない極秘事項でしょうが、米国が北朝鮮相手に強気に出れない背景に、精密誘導兵器などの弾薬不足も大きなボトルネックになっているのでは・・・と邪推する次第です。

F-35の部品製造がボトルネックなのは以前から明らかで、Bogdan中将も「航空機増産の歴史的限界は年5割増なのに、3倍増の計画になっている」とめちゃくちゃな計画を認めていました
いずれにしても、32年間、お疲れさまでした・・・

関連の記事
「精密誘導爆弾の不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-03
「米国の弾薬を当てにするな!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21-1
「F-35の主要課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17

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U-2偵察機は引退せず:RQ-4と共存へ [米空軍]

U-2 Dragon.jpg23日、米国政府の2018年度予算案が公開された事を受け、米空軍省の予算担当次官補代理James Martin少将が行った説明会見で、2015年に一度退役の方向が決定され、RQ-4グローバルホークを後継機とする事が決まっていた有人高高度偵察機U-2を、引き続き運用すると明らかにしました

U-2偵察機はキューバ危機当時から活躍している超ベテラン偵察機ですが、RQ-4導入後も、多様な高性能センサーを複数同時搭載でき、柔軟に搭乗員が任務を遂行できること等から、前線部隊からはU-2存続の要求が根強くありました

在韓米軍司令官や中東派遣指揮官からの要求が強く2014年当時のACC司令官も「政治が介入し、U-2はだめでGlobal Hawkを買えと言う。そして追加の予算もない」、「U-2を犠牲にする選択肢しか残されていなかった」と怒りをあらわにしていました

U-2 Dragon4.jpgその後2019年から引退開始の方向になったU-2偵察機の後継RQ-4に対し、能力向上とU-2から取り外した光学カメラや多用途センサーをRQ-4に移設搭載する計画が立てられ、Northrop Grumman社が能力向上センサーの開発に取り組んでいました

また、RQ-4の維持費がU-2よりも高額である事も問題となりましたが、一応、RQ-4の維持費も改善が見られ、長期的には老朽化したU-2より安価だとの解釈になっています。

しかし部隊には「U-2愛」が強くあり、また第3者のLockheed Martin社が、RQ-4だけではU-2の穴埋めは不可能だと「TR-X」計画を進め、U-2のエンジンや各種センサーを再活用するステルス無人偵察機を提案までする混戦模様にありました

23日付DODBuzz記事によれば
U-2 Dragon2.jpg●23日、2018年度米空軍予算案の説明会見でMartin少将は、2019年度からU-2を退役開始させる計画を取り下げると述べた。退役計画は2017年度予算にも含まれていたが、2018年度案には含まれなかった
●同少将は「U-2退役時期に言及することは無く、U-2を今後も維持する事にした」「U-2の能力も必要だし、代替機だけではカバーできない任務量がある」と説明した

予算の不透明性からU-2退役を検討したが、「2014年8月以来、世界は変わった」と述べ、対ISIS作戦が始まった時期に言及しつつ判断変更の理由を説明した。
●最終的な2017年度予算額の増額等を考慮し、「より多くの資源投資が可能になったことを受け、(RQ-4とU-2の)両方を活用する事にした」と語った。ちなみに2016年時点で米空軍は、U-2退役により約2500億円の経費節減効果を見積もっていた

RQ-4を製造するNorthrop Grumman社は、RQ-4のセンサー能力をU-2レベルに向上させるための技術開発や試験を進めてきており、例えば今年2月、新しい「MS-177 multi-spectral sensor」の試験を成功裏に行い、U-2が搭載している「SYERS-2」以上の能力を狙う取り組みをしていた
●その様な中であるが、米空軍は断固としてU-2偵察機を維持する事にした
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U-2 Dragon3.jpgU-2偵察機を維持する事で、Northrop Grumman社が準備していたRQ-4センサー能力向上がどのような扱いになるのか不明です。

今回のU-2とRQ-4共存の判断が、前線部隊には歓迎されるのでしょうが、両機種維持は経費負担を重くすることになります。
また、RQ-4の増産にもマイナスでしょうから、RQ-4の海外売り込み圧力が更に高まり、日本などが被害を被るのでは・・と懸念します。既にブロック30を買わされた日本は被害者かも知れませんが。

いずれにしても、U-2偵察機の機体寿命はまだ40年近く残っているらしいく、搭載センサーも改修を重ねて高度なレベルにあるようなので、しっかり頑張って頂きましょう!!!

大人気U-2偵察機の記事
「空軍偵察アセットの現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-21
「最新機よりU-2がいい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23
「在韓米軍トップ:U-2が良い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-26

「OMS装備で通信中継機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-25
「U-2はあと40年活躍?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-16
「映像高度7万フィートのU-2飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-07
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通信妨害EC-130Hの後継EC-Xは民航機ベースで [米空軍]

EC-130H2.jpg4日付Defense-Newsが、米空軍が15機保有する通信妨害を主任務とする電子戦機EC-130Hを取り上げ、50歳以上の老朽C-130輸送機をベースにした同機の様子や、後継機検討状況を紹介しています。

4日、特殊作戦コマンドのThomas司令官が上院軍事委員会で、「特定の部隊は、海外派遣と母基地の滞在期間の比率が1対1と最悪の状態になっており、このままでは耐えられない」と、6か月派遣と6ヵ月母基地を繰り返す「一部」の部隊の多忙さを訴えていますが、EC-130Hも「一部」に当てはまると考えられ、対ISIS作戦にあわただしく活躍している様子が伺えます。

ec-130h.jpg一般にEC-130Hは、敵の指揮通信を妨害かく乱したり、偽情報を流す手法で「電子戦」を担いますが、監視追尾レーダーへの妨害機能付加も検討されているようです。

同機の搭乗員13名のうち、4名が操縦や航法を担当し、1名が機体整備員、他の8名で電子戦を担当し、基準では5名が語学専門員の資格を有した搭乗員で構成されます。敵の指揮通信を傍受しながら、作戦を行う様子が想像できます

同機の開発は1983年に開始され、当時輸送機として大量生産されたC-130輸送機の中で、古い機体を改良してを15機のEC-130Hが生まれています

4日付Defense-News記事によれば
EC-130H3.jpg●EC-130Hが導入以降、米軍が関与した緊急事態にはほとんど投入され、コソボ、ハイチ、パナマ、リビア、イラク、セルビア、アフガニスタンで活躍してきた
米中央軍担当エリアには2004年から継続して派遣されており、今はほとんど毎日イラク軍を支援する形で、ISISの通信妨害に当たっている

●現在この任務に派遣されている第43派遣電子戦飛行隊は、1964年と1973年に飛行を開始した年齢50歳のC-130輸送機を改造して使用しており、中東の厳しい自然の中で維持していくのは厳しい仕事だ
●また、最新の電子戦機材を老朽輸送機に組み込んで維持運用するのも骨の折れる仕事

EC-Xを2020年には導入開始したい
●最近米空軍は、この15機のEC-130Hを、2029年までに10機の後継機EC-Xに交代させる決断をした。その計画によれば、2020年末までにEC-Xの1番機が完成することになっている
EC-130H4.jpg米空軍は種々の検討を経て、現存の商用機に電子戦機材を搭載してEC-Xを製造することを決定している。EC-130Hの電子戦機材は「L3 Communications社」が開発製造したものだが、同社の電子戦機材が適応するよう、同社に機体の選定が任せられる

米空軍は2020年から約10年かけてEC-X部隊を編成する計画だが、機体と関連部品や整備機材で約2200億円の経費を見積もっている。
●老朽化した現在のEC-130Hを30年維持する維持経費と新型機導入経費を比較すれば、はるかにEC-X導入が効率的だと米空軍は主張している
●しかし、2011年の予算管理法が規定した予算強制削減の恐れがある中、暫定予算が今後も続けば、少なくとも2017年度時点では、EC-X導入を12か月はあと送りせざるを得ない状況にある
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米空軍では、F-105GやF-4Gがエスコート電子戦機として運用されましたが、EF-111を最後に、米空軍はステルス機の出現により後継のエスコート型電子戦機を設けず、現在はこの「スタンドオフ電子戦機」であるEC-130H 「Compass Call」がメインの電子戦アセットです

EA-18G Clark3.jpg米空軍は2016年度予算要求で、空軍全体の近代化予算を捻出するため、15機保有しているEC-130のうち、7機を退役させる案を提出したが、議会はこの案を却下しました。EC-130は911同時多発テロ以降、中東地域の13カ所に継続的に展開を行っており、作戦投入率が極めて高い部隊となっているからです

米空軍は米海軍のEA-18Gの支援も受けてきましたが、現在ではステルス機の絶対性も失われつつあり、次期制空機PCAを母機としたエスコート型電子戦機導入の方向に向かいつつあります

「米軍の電子戦を荒野から連れ戻す」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1

PCA型電子戦機PEA関連
「PCAよりPEAを先に導入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

その他の関連記事
「ステルス機VS電子戦攻撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

「EA-18Gで空軍の電子戦を担う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-08
「空軍用に海軍電子戦機が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-09
「緊縮耐乏の電子戦部隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-29-1

「MALDが作戦可能体制に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-29-1
「電波情報収集RC-135」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09
「心理戦用EC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-15

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第5世代機欧州展開一番の教訓:ステルス維持 [米空軍]

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結構、展開してみないと判らないんだ・・
stealth coating.jpg13日付Military.com記事が、米空軍F-35準備室長やF-22飛行隊員を取材し、F-22を中心に第5世代機の海外展開に伴う1番の課題であるステルス性(コーティング)維持について紹介しています。

と言っても、事柄の性質上、細部が明らかになっているわけではありませんが、結構大変そうな雰囲気が伝わってきますので、極めてふっわっとした話ですがご紹介しておきます

13日付Military.com記事によれば
4月15日からの英国を拠点としたF-35の欧州展開と、2015年から海外展開を行っているF-22の経験とを併せ、米空軍はステルス戦闘機の海外派遣に関する維持整備の諸問題への理解を深めた
●これらの経験を元に米空軍幹部は、第5世代機の海外派遣における基地準備の多くは、機体のステルス性を維持するための準備だと認識するに至っている

stealth coating2.jpg米空軍F-35準備室長のScott Pleus准将は、「ステルスコーティング技術に於いて、F-22はF-35より古い技術を使用しているので、その維持により手間がかかる」、「F-35には、空軍用、空母艦載用、垂直離着陸用と、多様な環境を想定したより耐久性の高いステルス技術が求められた」と語っている

●米空軍は、特に2年前のF-22の大西洋横断飛行や海外作戦で多くの教訓を得た。ロシアのクリミア半島併合を受け、2015年にF-22がERI(European Reassurance Initiative)の一環で欧州に初展開したとき、及び2016年に10数機のF-22を欧州での一連の演習のため約1ヶ月間派遣した際の教訓である
●3月にMilitary.com取材チームがティンダル基地のF-22飛行隊を訪問し、匿名ながら多くの操縦者に上記海外展開の話を聞いた。彼らがファーストネームしか明かさないのは、対ISIS作戦に従事している事から安全上の懸念があるからだ

欧州展開の教訓と対策
F-35 3-type.jpg●展開した飛行隊所属の中佐は、「2015年にドイツのSpangdahlem基地に展開した際、全てが不足している現実に直面した。そして6ヶ月後に提出した派遣報告書を元に、F-22やF-35をより良く受け入れるために、魔法のような大金が同基地に投入された」と振り返っている

●同中佐はまた、4月にF-35が初めて展開した英空軍Lakenheath基地でも、展開直前になってステルス維持整備のちょっとした問題が発覚し、受け入れ直前まで対策に追われていたと語った
●整備部隊指揮官のSamは、Lakenheath基地がF-35のステルス性を維持するため、必要な装備を備える必要があったと振り返り、「そこへ展開できない訳ではないし、ステルス性も無くならない。しかしより効率的に効果的に活動するには環境管理が必要なんだ」と語っている

●オバマ政権が開始したERIの枠組みで、今年は約22億円が、欧州の戦闘機受け入れ基地での第5世代機受け入れ施設整備のために準備されており、ドイツのSpangdahlem基地にステルス性修理施設を設ける資金も含まれている
F22gearup.jpg●上記整備部隊のSam隊長は、「米本土のティンダル基地やラングレー基地のような設備が理想だが、その方向に向けた取り組みを行っている」と説明してくれた

●F-22は対ISIS作戦のため中東に展開しているが、米国内ではアラスカとハワイでステルスコーティングの「Upgrades」が行われている。
●ロッキード社のF-22副責任者John Cottam氏は、「ステルス性に大きく影響するのが、つなぎ目やエッジなど機体パネルの接点であり、エンジン空気取り入れ口のコーティングも重要な仕事だ」と述べている

●(F-35よりF-22がステルス維持に手間がかかると述べていた)米空軍F-35準備室長のScott Pleus准将だが、一方で、F-22にだけ極端に手間がかかるわけでは無く、「逆にF-35の維持が簡単かと言われると、そうでは無い」と語った
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抽象的な表現が多い記事で恐縮でしたが、F-22が米国以外で本格運用を開始し始めたのは2015年からで、まだまだ手探りな部分があると言う事でしょう。F-35にも生かせる教訓が得られたような記事になっていますが、そうである事を願います

そう言えば、ステルス機を海外に売却し、同盟国等に運用させるのも初めてですねぇ・・・。いろんな米国流の縛りや規則がありそうですが、諸外国の運用習慣や整備員の気質に合うのかも気になります。
いろんな情報の管理も米国は気になるでしょうねぇ・・・。

kadena-mitinoeki.jpgkadena-mitinoeki2.jpgそう言えば、嘉手納基地にF-22が展開中に「道の駅 かでな」の屋上展望台から同機を観察したとき、機体から薄皮がはがれたように垂れ下がった膜の様なものが数カ所に確認でき、「何じゃこりゃ?」と思ったことがありました。あれが特殊コーティングの一部なんでしょうか???

F-35やF-22の海外展開関連
「展開先はやっぱり英国」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「F-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15

「真剣にF-22迅速展開を検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08
「米空軍の欧州派遣予算大幅増」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「豪州に12機のF-22展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14

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米ICBM基地で初めてのオーバーホール修理 [米空軍]

50年間放置してきた「付け」に今から対処中

Minuteman III 4.jpg15日付米空軍協会web記事が、1960年代から使用されている米空軍ICBM基地の施設に対し、使用開始から50年を経て初めてオーバーホール修理が開始され、今後8年間かけて全てのICBM発射施設が点検修理されると報じています

修理対象はICBMミサイル自体では無く、発射施設、弾頭保管施設などが対象で、サイロ内のICBMを取り除いてからしっかりと保守整備を行うようです。
また8年かけて一通り修理した後も、8年サイクルで全施設に継続してオーバーホール(PDM:programmed depot maintenance)を行う事にしたそうです

これまでどうしていたのかが気になりますが、どうやら故障箇所が判明すれば修理する方式だったようで、計画的な施設等の維持計画も無く、壊れるまで使う方式だったようです。
一朝有事の際に即応態勢が求められる装備なはずですが、組織全体の関心の低さから、また厳しい予算の中で全てを後回しにされ、放置プレーされていたわけです

ICBM PDM2.jpg8年前にこのブログを開始する直前に、「核爆弾と知らないうちに爆撃機に搭載して米本土を横断しちゃった事件」や「核兵器部品を誤って輸出しちゃった事件」等が連続発生し、米空軍長官と空軍参謀総長が同時更迭される事態となり、核兵器運用部隊への各種てこ入れが始まりました

米空軍の核兵器運用部隊(ICBMと爆撃機部隊)を一つにまとめて管理監督するため、「GSC:Global Strike Command」を編制したり、ICBMや核兵器運用幹部の人事管理やキャリアパスを見直したり、頻繁に国防省首脳が訪問したりしましたが、「長年誰も顧みず、見捨てられてきた部隊や兵士」で「関連施設は老朽化が激しく、勤務員が士気を保つのが困難なレベル」と空軍首脳が認めるほどの部隊の惨状は、一朝一夕に改善するのが困難なレベルに達していました

部隊監査時の士官による集団カンニング」や「定期的な技量確認試験時の問題漏洩」などの不祥事がその後も続き、ICBM部隊指揮官が空軍長官に対し面と向かって「ここ数年で多くの高官が部隊を訪れ、この部隊が重要だと言って帰ったが、予算面で何の変化も無い」と痛烈に非難するなど、核兵器運用部隊の荒廃振りは、無人機操縦者コミュニティーの惨状や性的襲撃事案の継続続発と並び、米空軍から統合参謀本部議長が生まれない理由の一つと言われています

ICBM PDM4.jpgそんな中でも米空軍は最近、ICBM発射基地の警備警戒用ヘリ「Huey」の後継機選定作業を開始し、提案要求書をまとめる最終段階にあり、70年代から使用しているICBM「Minuteman III」の後継検討にも最近着手しています

また5月に入って空軍参謀総長とGSC司令官は、今後10年間に亘り、全国防予算の5%を核抑止分野に投資すると明らかにし、核兵器運用部隊を忘れない姿勢を示しています

前置きが長くなりましたが、遅ればせながら50年の空白の後に開始されたICBM施設のオーバーホール修理PDMの様子をご紹介します

15日付米空軍協会web記事によれば
●米空軍Materiel CommandのPawlikowski司令官(女性大将)は、8日の週に3箇所のICBM発射基地を全て訪れ、10日には60年代に運用開始後初めてのオーバーホール修理PDMが終了間近の「Malmstrom空軍基地」を訪問して勤務員を激励した
●同基地の他のICBM発射施設や、ワイオミング州の「F.E. Warren空軍基地」やノースダコタ州の「Minot空軍基地」のICBM発射施設は、今後8年間かけてオーバーホール修理PDMを受ける

ICBM PDM3.jpg●同司令官は、従来は故障発生まで使用するスタイルだったが、米空軍の航空機に使用されているのと同様のオーバーホール修理PDMモデルを、ICBM発射施設にも適用すると説明した。
●一方で現状について、使用開始から40年手つかずの部品も存在し、交換用部品が製造中止で存在しない事態も発生しており、PDM要員が発射施設を訪れて修理するだけで無く、対処要領を検討する必要があると厳しい現状を同司令官は明らかにした

●PDMでは、部隊全体の即応態勢が維持できるように順番に修理対象ICBMサイロを割り当て、ICBMを発射サイロから取り出し、発射施設内部の各部品やケーブルを分解して取り外し、摩耗や腐食を確認しつつ交換する作業が行われる。
最初のPDM対象サイロでは多くの困難に直面しているが、以降のサイロPDMに向けたノウハウの蓄積や要準備事項のリスト化に役立っており、8年サイクルのPDM全体計画にもフィードバックする事項が明らかになっている
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ICBM James.jpg「今後10年間に亘り、全国防予算の5%を核抑止分野に投資する」とは、両空軍大将が連名で投稿した5月12日付「Politico」で明らかにした事項のようです。
http://www.politico.com/magazine/story/2017/05/12/why-the-us-is-right-to-invest-in-nuclear-weapons-215132

「5%」が多いのか少ないのか判別不能ですが、以下の関連過去記事で縷々ご紹介してきたように、核兵器の維持管理更新はとってもお金がかかる事業です。
勢いで核武装だ!!!叫ぶ前に、色々考え、お勉強した方が良いと思います。国際社会での負のコストも含め・・・

米軍「核の傘」で内部崩壊
「屋根崩壊:核兵器関連施設の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-23
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「国防長官が現場視察」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
「特別チームで核部隊調査へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-27

「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「米核運用部隊の暗部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-29

NPR(核態勢見直し:Nuclear Posture Review)
「トランプ政権NPRの課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09
「2010年NPR発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07
「NPR発表3回目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-02
「バイデンが大幅核削減を公言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-19

米新政権の国防予算を考える
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

戦術核兵器とF-35記事など
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ICBM後継に関する記事
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

オハイオ級SSBNの後継艦計画関連
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「SLBMは延命の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

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戦闘機世代間データリンクに新たな一歩 [米空軍]

F-15 Talon HATE4.jpg8日付ボーイング社発表によれば、米空軍が目指すより高度にリアルタイムで作戦状況を共有する将来戦において、大きな課題となっている第4世代と第5世代機間のリンク連接を解決する装置の試験が、F-22とF-15C間で期待された成果を上げたようです

リンクの細部に不案内ですが、「networked family of systems」で任務を果たすイメージを持つ米空軍は、従来の「Link-16」レベルの速度と質のデータ共有では戦えないと危機感を持っており、F-22の「IFDL:Intra-Flight Data Link」とF-35の「MADL:Multifunction Advanced Data Link」を、第4世代機と結びつけたいと取り組んできたところです

ボーイング社はこの課題に、「Talon HATE airborne networking system」を開発して挑んでおり、今回2機のF-15Cに搭載してネリス空軍基地を拠点に試験を行ったようです。

同社によれば、今年後半には更に目標照準能力を高めるため、「先端センサー」を試験に取り込んで装置の能力を確認するとのこと。F-35との試験も今後必要なのでしょうが、頑張って頂きましょう。

8日付ボーイング社発表によれば
F-15 Talon HATE.jpg米空軍とボーイング社は、同社が開発した「Talon HATE airborne networking system」を使用する事で、複数航空機間と地上ステーションが、効率的に保全された通信が可能である事をデモンストレーションする事が出来た
●試験飛行に参加した「Talon HATE pods」搭載の2機のF-15Cは、「Link-16」と「Common Data Link」と「Wideband Global SATCOM」を通じ、情報共有を図ることができ、更にF-22の「IFDL:Intra-Flight Data Link」機能も有効に活用できることを確認した

●米空軍「Talon HATE」計画責任者であるBradley中佐は、「開発試験は終了した。本装置を前線に投入し、作戦行動に直結する情報をより迅速に高品質で提供するだけでなく、空軍が本装置を通じて重要な教訓を得ることを楽しみにしている」と述べた
●ボーイング社の担当副社長Paul Geery氏は、「F-15CとF-22の情報をリアルタイムに融合し、状況認識を保全された環境で共有することを実現出来ことを証明できた」と喜びを語った

昨年7月ACC司令官は世代間リンクを訴え
F-22Hawaii2.jpg米空軍は、F-22とF-35が相互に情報共有でき、更に他の作戦機とも情報通信できるハードウェアのプロトタイプ開発を急いで進めている
2~3年のうちには、何らかの新装備が前線に投入されているだろう。敵情に関する高い質の情報を迅速に意志決定サイクルで共有するこの装備は、敵を撃破する能力の基礎であり、敵に対処を強要するものである

●F-22は「IFDL:Intra-Flight Data Link」を、F-35は「MADL:Multifunction Advanced Data Link」を使用し、この分野にあまり取り組んでこなかった。しかし両機種ともLink-16を使用することから何とかしようとしている
プロトタイプ開発は、IFDLとMADLの間の「翻訳の箱:a box that translates」と、米軍機と同盟国機の間を結ぶ新型データリンクに焦点が置かれている。状況認識を共有するためだ

産業界とパートナー国との精力的な強力で、更に研究機関の努力もあり、期待できる成果が見えてきている。また「翻訳の箱」にも極めて重要な進展が現れている。皆が共通の情勢認識を持てる将来に向けて進んでいる
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この分野では、依然として米空軍と米海軍がどのように協力しようとしているのかよく分かりません
特に対中国正面では、海空軍の航空戦力連携が極めて重要と考えられますが、具体的な話が全くと言って良いほど聞こえてきません

F-15 Talon HATE2.jpg「networked family of systems」で任務を果たし、過去の空中戦アセットのイメージでは無く、「sensor node」のようなイメージで戦闘機や攻撃機を捉えるイメージは海空軍とも似ていると思うのですが、連携の話は聞いたことがありません。中東や欧州の対露正面で忙しいからでしょうか?

ところで・・・航空自衛隊は、なんか考えているのでしょうか? 恐らく、対領空侵犯措置で戦闘機機数や飛行隊数やパイロット数を死守することしか考えていませんから、リンクなど後回しなのでしょうけど・・

米空軍による高度なネットワークへの取り組み
「NCCT活用をレッドフラッグで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-25
「世代間リンクが鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-18-1
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

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ボーイングが米空軍のF-15C退役案に反撃 [米空軍]

F-15C3.jpg4月17日、F-15を製造維持するボーイング社の同機担当副社長が、Defense-Newsのインタビューを受け、米空軍幹部が盛んに言及するようになったF-15C/D退役案を厳しくけん制しました。

同副社長の主張は、F-15の高い能力、既に延命措置を一部機体に開始しており税金の無駄、延命&能力向上オプションには多様な価格の選択肢があり慎重な検討が必要などです。

また別の視点でDefense-Newsは、F-15退役策がライバルであるF-16とF-35製造のロッキード独り勝ちを招き、軍需産業政策上の問題になることも示唆し、政治レベルの寝技抗争に持ち込む可能性をにおわせています

21日付Defense-News記事によれば
Parker Boeing.jpg●ボーイングのF-15担当副社長であるSteve Parker氏は、米空軍が制空用F-15C等の退役検討について、すでに2030年代まで使用可能にする延命策を開始している中で困惑している様子を示した
●同副社長は、同機の縦型構造材(longerons)を1機1億円で交換するだけで、2030年代まで延命させることも可能だと説明し、「納税者視点でも費用対効果のオプションであり、米空軍が戦力不足を訴える中、周知のF-15能力を提供できる」と訴えた

米空軍軍側は、例えば調達担当のArnold Bunch中将が「老朽作戦機を考えるとき、予算をかけて改修しても、それほど延命できないのであれば改修に値しない」と述べ、新ACC司令官が1機30~40億円の延命策の採否を検討する必要があると語っている
しかしこの金額は最も包括的で高価な改修案で、ボーイング社には他の改修オプションもあると同副社長は語った

F-15C2.jpg●また副社長は、延命改修の一部である同機の縦型構造材(longerons)交換は既に米空軍により開始されており、飛行時間8800時間時点で確認実施され、2026年まで実施されることになっているとも明らかにした
●更に副社長は、F-15がF-16より優れていると主張し、「より早く、より多く搭載し、より遠くで活動でき、長時間空中待機が可能である」と語った。そして「なぜF-16に小さなAESAレーダーを搭載するのか? すでにF-15に搭載した改修費用はどうなるのだ?」と訴えた

●なおボーイング社は来年から、米空軍F-15の 新型電子戦システムであるEPAWSS(Eagle Passive/Active Warning and Survivability Syst)の飛行試験を開始することになっており、また2か月以内に最初の新型演算処理装置を搭載コンピュータに提供開始することになっている
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米空軍はこの副社長の指摘を十分承知しながらも、F-15退役を検討しているのだと思いますが、F-15退役策がF-16とF-35製造のロッキード独り勝ちを招き、軍需産業政策上の問題になる可能性は重い話で、軍事の世界を離れた紆余曲折もありえる課題となりそうです

F-15 JASDF2.jpg繰り返しになりますが、日本にとって米空軍F-15Cの退役は、兄弟機である航空自衛隊が約200機保有するF-15J戦闘機の「維持」に直結しかねない問題でアリ、「America First」で「Buy American」主張前面押し出しのトランプ政権を考えれば、他の日本の産業を守るため国防装備購入で妥協する可能性の高さを思えば、「F-35の追加押し売り」にも容易に発展する事態です

米空軍F-15の関連記事
「ACC司令官:F-15退役やむなし!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

「現実的で低価格なF-15能力向上案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15
「米メディア:心神よりF-15改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-16
「F-15全機の電子戦機材換装へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-05

「米空軍がF-15と16の延命検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25
「F-15の寿命を2倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-27
「F-16の延命措置300機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-31-1

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サンダバードF-16も延命改修&後継機種はF-35? [米空軍]

GW中のお気軽な話題として・・・

Thunde F-35.jpg25日付米軍事メディアが米空軍アクロバット飛行チーム「Thunderbirds」を取材し、話題のF-16延命&能力向上施策と同部隊の関係やF-16後継機種に関する同チームメンバーの意見を紹介しています。

思いっきり気楽な会話の一部を切り取ったような記事ですので、GW期間のだらだらムードでご覧頂ければ良いのですが、アクロバット用機体にも最新のデータリンクやレーダーが搭載される話や、後継機種に関する話題が興味深かったのでご紹介しておきます

もちろん現場操縦者の発言ですので、何ら信憑性はありませんし、高いレベルで色々な要因が関わってくることは言うまでもありません。ご注意下さい

サンダーバード機体も延命&能力向上改修
Thunderbirds  F-16.jpg●21日、フロリダのティンダル基地で「Thunderbirds」を取材し、同チームの機体(F-16C/D Block 52)も機体寿命延命&能力向上改修を受けることを確認した。
●隊長のJason Heard中佐は、コンピュータ能力向上やレーダー改修は他のF-16の最後になるが予定に含まれていると説明してくれた。4番機の少佐は、気象条件が悪い等の飛行制限下で、Link-16で他機の位置を確認して状況把握すると語った

●一方で、機体の疲労度確認では同チームの機体は良い指標として活用されており、機体寿命延命対策SLEPをF-16の中で最初に受けているとメンバー達は語った。
●なぜなら、演技のためにエンジン推力は他のF-16よりも大きく2.9万ポンド(通常2.1万)で、機体にはマイナス3Gからプラス9Gまでの負荷がかかり、音速を突破し5万フィートまで上昇することもしばしばで、加えて飛行回数が月に30回以上と通常機体の3倍近いので機体への負荷が大きいからである

F-16の後継機にはやっぱりF-35?
Thunderbirds.jpg●長年継続しているF-16もいつかは寿命を迎える。後継機種に関し、現場ではどう考えているのだろうか? F-16程度の機動性を求めることは間違いないだろうが
●米空軍史上最大のプロジェクトで多数機を購入するF-35なのだろうか? 少し小型の米韓共同開発のロッキードT-50の様な機体なのだろうか? 小型だが、アビオニクスをF-16と共有化しているT-50は能力的に問題は無いし、兵站面でも筋は通る

●同チームのメンバー達は、それでも観客は大きな機体を望むだろうと語った。そして隊長は、「間違いなくF-35は機敏な航空機で、素晴らしい能力を備えている。また「戦闘機の語り部」としての位置づけを我がチームに求めるならば、F-35は論理的な選択肢だ」と語った
Thunderbirds2.jpg●そして、「F-35の真に優れたネットワーク性や状況掌握力などは観客からは見えないけれど・・・」と話しつつ、最終的な決定は、他方面からのコスト分析も踏まえ数年後になるだろうと語った

●ある同チームのある操縦者は、ロッキード社が特別性の低いF-35製造に協力してくれるなら(be open to making a less specialized version)、大きな反対や混乱無しに米空軍はF-35を考えるだろうと語り、
●現在のメンバーはF-35や他の戦闘機の訓練を行っていないから(、比較的誰もが操縦に取り組みやすい機体である必要があるだろう)
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後継機に関する「be open to making a less specialized version」の意味するところが良く理解できていません。訳に自信がありません

F-35 Thunderbird.jpgまぁ・・・あの「ずんぐりむっくりのF-35」に少し格好良く塗装しても、あんまり格好良くないのでは・・と思います。

ロッキードチームとボーイングチームの一騎打ちの様相になっている次期練習機T-Xなんかどうなんでしょう??? 機動性は高いし、最新アビオだし、維持経費も安そうだし・・。

でもやっぱり「「戦闘機の語り部」:narrative of a combat aircraft」である必要性があるんですかねぇ・・・

F-16関連の記事
「米軍F-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「米空軍がF-15と16の延命検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25
「F-16の延命措置300機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-31-1

T-X関連記事
「候補チームが続々脱落」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-02

米空軍の将来制空アセット検討
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

「悲劇:F-3開発の動きと戦闘機命派への提言」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18

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ACC司令官:F-15C退役はやむなし!? [米空軍]

F-15C-Arctic.jpg13日、米空軍戦闘コマンド司令官のHolmes大将が米空軍協会機関誌のインタビューで、限られた予算の配分を考えると、次世代制空機(PCA)導入を進めるタイミングで、1機に30億円以上かけてF-15Cを10数年延命させる選択肢があり得るだろうか・・・と苦しい胸中を明かしています

米空軍F-15Cの退役は、兄弟機である航空自衛隊が約200機保有するF-15J戦闘機の「維持」に直結しかねない問題でアリ、「America First」で「Buy American」主張前面押し出しのトランプ政権を考えれば、他の日本の産業を守るため国防装備購入で妥協する可能性の高さを思えば、「F-35の追加押し売り」にも容易に発展する事態である事から大騒ぎしているところです

米空軍F-15Cは230機の大半が州空軍に所属して本土領空保全任務に従事していますが、F-15C退役後にこの役割を担う想定になっているF-16戦闘機300機に対する、延命措置実施を先日米空軍が決定した時点で、実質「F-15C引退」は既定路線なのかも知れません。ただし、引退は早くても2022年からで、その決定も2020年頃になるとの米空軍首脳の言い振りでしたが・・・

20日付米空軍協会web記事によれば
HOLMES4.JPG●最近米空軍首脳がほのめかしているF-15C制空戦闘機の退役については、A-10の「二の舞」で議会の反対で潰される可能性もある。しかし新ACC司令官は13日、遅かれ早かれ、その動きは避けられないとの見方を示した

●Holmes大将は、「最新のF-15Cでも31年前に購入したモノで、真に酷使されている」「機体中心部分への構造的な手入れなしでは、運用を継続するのは不可能と技術者達は言うだろう」「空中分解のリスクを冒して運用する事になる」等の表現でF-15Cの老朽化を語った
●米空軍は、ボーイング社と空軍兵站コマンドから延命のための構造補強費が1機30~40億円で、現状のまま寿命まで維持するには年間1億円程度が必要と伝えられており、Holmes司令官は「現状維持で使用が妥当なラインで、10年延命するのに30~40億円はそう思わない」と語っている

次期制空機PCA導入のために
F-15C2.jpg●そして同大将は、2020年代後半の予算状況が現在と変わる見通しが無く、現在の戦闘機飛行隊数55~60個を維持し、F-35が中心で次期制空機PCA(Penetrating Counterair Air)の導入開始を想定すれば、選択の必要があると語った
●また同司令官は、F-15Cの退役時期は2022年までに決定すれば良いとの考え方もあるが、PCA開発に進む決断をするのであれば、必要経費確保の見積もりを説明する必要があり、戦闘機体制の計画を立てておく必要があると説明した

●また米空軍がF-16能力向上と延命を決断したことについて、より新しく飛行可能時間が多く残っており、予算だけで無く、人的戦力確保の面でも実行可能性があると語った。
●更にF-16は本土防空に適し、新たにAESAレーダーや相互通信能力を付加することで、今後重要になる巡航ミサイル対処にも適応できると語った
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米空軍参謀総長は議会等との関係に配慮して「まだ何も決まっていない」と語る一方で、前線を預かる州空軍司令官や戦闘コマンド司令官は、「F-15C退役はが最も妥当、致し方ない」との思いを精一杯伝えています。

A-10全廃を先送りさせたような形で、米議会の有力議員が反対し、外野の軍事専門家が議会をバックアップする体制となれば別ですが、「F-15C/D」退役の方向は既定路線の様相です

F-15C.jpg米国で捨てられそうな部品や解雇されそうな重要技術者がいれば、日本は確保に走るのでしょうか??? 
必要な戦闘機の機数や飛行隊数の議論に「引火」する事を恐れ、ずるずると意志決定を先延ばしにし、結果として米国から足元を見られ、「言い値」で買わされるようなことがないようにお願いしたいモノです

米空軍F-15の関連記事
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23
「現実的で低価格なF-15能力向上案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15

「米メディア:心神よりF-15改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-16
「F-15全機の電子戦機材換装へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-05
「米空軍がF-15と16の延命検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25

「F-15の寿命を2倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-27
「F-16の延命措置300機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-31-1

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米空軍の新ACC司令官が新たな動きを語る [米空軍]

HOLMES4.JPG13日、約1か月前に就任したばかりの米空軍戦闘コマンド司令官James M. Holmes大将が、米空軍協会主催のイベントで、米空軍の時代に即した取り組みや軍需産業への要望事項を語っています。

まだ就任間もなく、「今週、このブリーフィングを聞いたばかりだが・・」等と状況把握段階にあることを自ら認めていますが、約36万人の米空軍の中で、10万人の規模と主要作戦機1300機を擁する戦闘コマンドの司令官です。
前任者のカーライル退役大将と同様に、今後様々な形でご紹介する人物ですので、「鳴き初め」として取り上げます

指揮所を鍛える「Blue Flag」復活と宇宙との連携
blue flag.jpg過去5年ほど予算と多忙さから実施できなかった、作戦レベルでの指揮中枢を鍛える「Blue Flag演習」を定期的に実施することにする。2年間で3回計画することとし、1年目に1回、2年目に2回実施する方式で繰り返していく計画だ。

●米空軍だけでなく、米軍として「multi-domain」指揮統制の新時代を目指す中、さらに我々は、統合の航空作戦計画と遂行を訓練するだけでなく、サイバーと宇宙脅威への対処を取り込み、米空軍宇宙コマンドと共に訓練を行う
●我がACCと宇宙コマンドは作戦実施上関連が深く、共に問題に対処するシナリオを準備することにした。更にその一環として、実際の演習場だけでなく、バーチャル演習場も活用する予定である

現場ニーズに迅速対処する仕組み
●従来の官僚的で鈍重な意思決定プロセスを改善するため、数か月前から空軍司令部レベルで、主要コマンドの要望事項をバーチャルな手法で承認する「Joint Requirements Oversight Council」の活用が始まっている。「face to face」の時間を削減する取り組みだ。
pentagon2.jpg●この取り組みは、誕生6か月目の新設「Capability Development Council」が仕切っており、意思決定を迅速にし、新技術を兵器システムに優先的に取り込む事を促進するもので米空軍副参謀総長がトップを務めており、一旦トップが意思決定したなら、皆がその実現に向け行動する仕組みだ

●もう一つは、分析官と作戦計画者と装備品要求担当が協力して働く「Air Force Warfighter Integration Center」で、事業の優先順位を煮詰めて努力方向を絞る役割を担う
●これにより、各組織が各予算で1年かけて要求を詰め、その後持ち寄って協議し、結局全体では1~2%の要望だけが取り上げられる時間とアイディアを浪費する仕組みと決別したい
●今週説明を受けたばかりで具体的なことはわからないが、米空軍司令部レベルで懸命の努力が行われているところである

企業へ:現場の声を聴いてほしい
Holmes 6th Gen3.jpg企業のリーダーの皆さんには、少しばかりお願いしたいことがある正式な提案要求になる前の段階でも、現場のニーズや諸問題を聴いてもらいたい
●一般に企業レーダーの皆さんは部下に、正式な要求の形になる以前のアイディア段階で、サービスを提供しようとするなと指示されると思う。しかし、もっと現場の声やアイディアレベルの話を聞いてほしいのだ

米空軍は多くの分野で能力や規模不足に苦しんでおり、対応にアイディアを必要としている。特に多様なドメインのセンサーを連接する分野に、新たなアイディアが必要なのだ。よりよくなる必要があるのだ。
●(同司令官の主要組織のリーダーはパネル討議で、)現有能力とニーズの差が記録されているwebサイトへのアクセスを、承認された企業関係者にも認めようと考えている
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Holmes-ACC3.jpgHolmes新司令官は空軍司令部の作戦計画部長から現職に就いた人物で、空軍全体の状況は広く浅く把握しているのでしょうが、前線を担う部隊指揮官に就任し、現場の実態をまじかに見るにつけ、その切実な現状に苦悩は深く・・・といった感じでしょうか・・・

企業リーダーに対する「現場の声を聴いてほしい」「新たなアイディアがほしい」との叫びにも似たお願いは、そんな苦悩から絞り出されたものではないかと思います。

対領空侵犯措置だけに頭を突っ込み、脅威の変化や本質を視界から遠ざけるダチョウ症候群の我が空軍首脳部は、この米空軍大将と会話できるのでしょうか??? 話がかみ合わないでしょうね・・・。

「Holmes新ACC司令官をご紹介」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-12

「空自OBが対領空侵犯措置の効果に疑問を」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1

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とりあえず「爆弾の母」MOABを学ぶ [米空軍]

MOAB-GBU-43.jpg13日、米空軍が保有する巨大空中爆発爆弾「MOAB:Massive Ordnance Air Blast」が、史上初めてアフガニスタンで対ISIS作戦に使用されたとの報道がありましたので、この「核爆弾以外で投下された最大の爆弾」とか「全爆弾の母:the mother of all bombs」とか呼ばれる爆弾についてお勉強したいと思います。

このMOABは正式名称「GBU-43B」で、「実戦で投下された最大」の爆弾だそうですが、米軍が保有する核兵器以外で「最大の爆弾」ではありません

ちなみに、13日に投下されたMOABは21600ポンドですが、実存する核兵器以外で「最大の爆弾」は30000ポンドの巨大貫通弾MOP(Massive Ordnance Penetrator:GBU-57A/B)で、強固に防御されたイランの地下核施設の攻撃を想定したモノだと言われています(2007年に初試験でボーイングが製造担当)

MOAB正式名称「GBU-43B」のあれこれ
MOAB-GBU-432.jpg●MOABは、それほど強固でない地表目標を広域に渡り破壊することを狙う爆弾で、地中に貫通する能力は無い。従って、広範な地雷原、渓谷、洞窟等に潜む敵や目標に用いられる
●MOABは、当時のサダムフセインを威圧するために2002年当初から開発が始まり、構想から2003年3月11日の最終試験までわずか1年あまりの迅速さで米空軍研究所AFRLで製造完成された。そして同年4月1日に部隊配備されたが、イラク戦争では使用されなかった



長さ10m以上であるため通常の爆撃機には搭載できず、C-130輸送機の後部から物量投下する要領で、パラシュートで搭載台車ごと機外に引き出し、投下後に搭載台車と分離して自然落下する。ただし、GPS誘導装置付の尾翼により、誘導爆弾として使用できる
爆薬2/3とアルミ1/3で炸薬部分が構成されている言われているが、価格や何発保有しているかなど、MOABの詳細は非公開である

MOAB-GBU-433.jpgアフガン派遣米軍のJohn W. Nicholson司令官(大将)はMOAB使用について、「アフガンISISは損害が増え守勢に立たされていることから、防御を簡易仕掛け爆弾IEDやトンネルや塹壕で固めている」「(この様な状況を踏まえ、)障害を取り除き、我が攻勢モメンタムを維持するため、最適な爆弾として選定した」と説明した

●軍事コンサルタント企業Teal GroupのSteve Zaloga上級分析官は、トマホークやJDAMとは異なり、MOABは強烈な炸薬で戦場上空に広範な爆発を発生させることで仕掛け爆弾や地雷を誘爆させ、「広範な地表面から短時間で仕掛け爆弾等の脅威を除去し、同エリアのISIS戦闘員を排除する事が出来る」と解説している
●一方で、深く強固に構築された洞窟や陣地を破壊する能力は無く、小型で弱い洞窟等にのみ有効だろうとも述べている
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MOAB-GBU-434.jpg2003年には完成していたMOABですから、今更アフガンで必要になったから投下したと説明されても白けますが、当然北朝鮮へのシグナルでもあるのでしょう。

実験映像や解説映像が公開されていますが、今ひとつMOABの威力がピンと来ません。週末の報道をフォロー致しましょう・・・

MOABに言及の記事
「シリア化学兵器に?巨大貫通弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-27
「イラン核施設の完全破壊は困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-02

MOPに関する過去記事
「超巨大貫通弾MOP完成か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-18
「シリア化学兵器に?巨大貫通弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-27
「対イラン?巨大貫通弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16-1

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米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み? [米空軍]

再び・・・日本の戦闘機命派よ、どうする?

F-16 AF.jpg12日、ロッキード社が300機の米空軍F-16戦闘機の延命&能力向上措置を米空軍が正式決定したと発表し、契約に入ると明らかにしました。このF-16への投資により、同戦闘機の寿命を1.5倍にし、アビオニクスを改修することで、2048年以降も運用可能にするとの事業です。

この発表を受け、3月22日に米空軍幹部が「検討中」と議会証言した、制空用F-15C/D型約230機を引退させて穴を改良F-16で埋める案が俄然注目を集め、同日、米空軍幹部から発言が相次いでいます。

「3月22日の議会証言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

なお、米空軍が保有する230機のF-15C(複座D型は約30機)の大部分は州空軍に所属して米本土防衛に当たっており、正規軍所属は嘉手納基地と英空軍Lakenheath基地への配備機だけです。

米空軍参謀総長は「作戦ニーズが高く2020年代まではない」「米空軍アセット全体を総合的に検討して」「F-15とF-16だけの話では無い」等々と慎重に検討中とのニュアンスを強調しましたが、一方で米空軍作戦部長が脅威の変化やF-15C/D型維持が困難になりつつある事を強調するなど、実務レベルでは制空用F-15C/D型に傾きつつあるような臭いを放っています

ロッキードのF-16延命改修発表
F-16 AF2.jpg●12日ロッキード社は、当初の機体寿命が8000飛行時間時間であったF-16に延命&能力向上措置を実施することで、12000時間まで寿命を延ばす措置に関し、米空軍が意志決定をした(authorized)と発表した
●この延命等措置SLEP(service life extension program)はF-16の「Block 40~52」300機を対象とし、2048年以降も運用が可能にする措置で、併せてアビオニクス改修と耐久性試験が含まれている

(まんぐーす注:米空軍はF-16を約950機保有しており、正規軍約570機、州空軍約330機、予備役50機の構成。Block 40~52は米空軍保有の主力部分であるが、300機との数の理由は不明

制空用F-15C/D型引退検討を巡る発言(12日)
Goldfein米空軍参謀総長(Heritage財団で)
F-15C.jpg米空軍は予算に応ずるため、常に全てのオプションを検討しているが、実に難しい作業である。だから皆さんは、時折いろんなオプションの話を耳にするのだ
F-15C/Dに関して何も決断していないし、他の航空機に関しても同様だ。F-15Cは少なくとも2020年まで維持することにも変化は無い

米空軍アセットは、欧州でも、中東でも、朝鮮半島でも高い需要がアリ、ますます高まっている。だから米空軍がどの規模を維持すべきが検討しているところだ
●米空軍が行っている検討は、特定機種と特定機種の比較や代替検討ではなく、国家に求められる任務を、アセット全てを結びつけて如何に達成するかの検討であり、戦闘機から爆撃機から宇宙アセットまでを含めたトータル戦力の長期的検討である

Mark Nowland空軍作戦部長(中将)
F-15C2.jpgF-16を適切に能力向上(AESAレーダー搭載等)すれば、本土防衛用F-15C/Dの任務を引き継ぐことは可能であろう。
●しかし、いずれにしても第4世代機であるF-15やF-16は、将来の厳しい脅威環境では単独で能力を発揮できず、第5世代機に依存しないと任務を果たせないだろう。
欧州シナリオでも撃墜されるだろう。しかし、第5世代機と一体となり電子戦を行い、タイミングやテンポを執り、長射程兵器をすれば、事態は改善される

●州空軍はF-15Cを有効活用しているが、私が2001年当時に操縦していた当時で既に7100時間あまり飛行していた古い機体で、手間のかかる整備作業が必要だった
●Lakenheath英空軍基地で同機を操縦していた頃、同機の頭部が飛行中に折れる事故が発生した。実態として、F-22の方が航空優勢任務をより良く遂行できるし、F-15に可能な延命措置にも限界がある。だから機体全体の扱いを検討しているのだ
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米空軍の検討案は、主に州空軍で本土防空に当たっているF-15C/Dを退役させ、F-22でも補完しつつ、改良型F-16に代替させようとの案です。そしてこの検討案には、F-16を現F-15C配備基地に移動させる経費や操縦者の確保等の課題もあると報道されています。
なおこの検討で、嘉手納基地所属の正規軍F-15Cがどうなるのかは不明です

また、F-15Cの運命が未定の現時点で、300機のF-16延命&能力向上改修が決断された背景は記事からは不明ですが、恐らく、F-35開発&調達の遅れをカバーするため、また米海軍FA-18と同様に、中東での対テロ作戦等で想定以上に機体の酷使が続き、対策を打たないと目の前の任務が遂行できなくなるからでしょう。

F-15 JASDF.jpgいずれにしても、F-15Cの兄弟分であるF-15Jを主力戦闘機とし、F-15Jの後継をどうしようか思案中の航空自衛隊にとって、極めて重大なニュースです。

3月24日付記事の繰り返しになりますが、米空軍による-15C引退検討の重要考慮事項として、米空軍F-15を引退させることで、米国が日本に追加でF-35を購入させる強力カードとなる事を指摘しておきたいと思います

米空軍F-15の関連記事
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23
「現実的で低価格なF-15能力向上案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15
「米メディア:心神よりF-15改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-16
「F-15全機の電子戦機材換装へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-05

「米空軍がF-15と16の延命検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25
「F-15の寿命を2倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-27
「F-16の延命措置300機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-31-1

米空軍の将来制空アセット検討
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

「悲劇:F-3開発の動きと戦闘機命派への提言」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18

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