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次期練習機T-X選定から候補が続々脱落 [米空軍]

T-X  Boeing3.jpg1月31日、米空軍の次期練習機を選ぶ機種選定レースに参加がすると名乗りを上げていた「Northrop Grumman/ BAE」チームが、「企業と株主にとっての最適の選択ではない」との判断から、機種選定に参加しないと明らかにしました

数日前には、「Raytheon, Leonardo and CAE」組も価格設定でチーム内の折り合いが付かなかったとして選定からの脱退を発表しており、当初4~5チームの争いが予期されていた2兆円超えの大型事業T-X選定は、対決相手が絞り込まれる方向に向かっています

次期練習機T-Xは、50年以上使用している420機のT-38後継として350機の調達を予定する、米空軍が取り組む調達改革の試金石とも言える調達事業です。
米空軍が掲げる「早い段階からの企業との情報共有」、「コストと性能のトレードオフを精査」等々の指針に沿い、通常より1年近く早い2015年3月に要求性能案が公開され、企業とじっくり検討した後に提案要求書(RFP)が決定、昨年12月30日に発出されたところです。

今後は2017年秋に企業と機首を決定する事になっており、提案要求書には、2022年から納入を開始、2024年度中には運用体制が確立可能であることが条件となっています

1日付DODBuzz記事によれば
T-X trainer.jpg●1月31日、「Northrop Grumman/ BAE」チームが声明を発表し、米空軍からのT-X提案要求書を慎重に吟味した結果、「企業と株主にとっての最適の選択ではないとの判断から、T-X機種選定に提案しない事を決定した」と明らかにした
同チームは、「ボーイングとSaab」チームと並び、完全な新機種提案で選定に臨むと予想されていたチームであった

同チームの候補となるはずだった機体は、昨年夏に「Mojave Desert」で初飛行試験を行ったと軍事メディアが報じ、その後SNSで流布された映像を同社が認めていた
●Northrop社は、当初BAE社製の「Hawk T2/128」をRolls-Royce社等と改良して参戦する検討もしていたが、最終的には新たな機体を設計する方向に取り組んでいた

数日前に撤退を発表した「Raytheon, Leonardo and CAE」チームは、「T-100練習機」改良型で参戦を狙っていたが、報道によれば、イタリア企業である「Leonardo」が大幅なコスト削減に対応できないことが撤退の理由だと言われている

残っているのは、1月に初飛行したばかりの新型機で臨む「ボーイングとSaab」チーム、「Lockheed Martinと韓国KAI」チームのT-50練習機改良型、そして詳細は不明だが「Sierra NevadaとトルコのTAI」チームである
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候補機種の具体的性能や特徴を詳細に把握しているわけではありませんが、極めて感情的かつ情緒的かつ恣意的かつ個人的な希望を「正直」に吐露させて頂きます。

T-X compe.jpgあんな韓国の企業KAIには絶対勝たせたくありませんし、Lockheed MartinはF-35だけで十分でしょう・・・。

一方で、初の固定経費契約となったKC-46A空中給油機に果敢に挑んでいるボーイング社は、自業自得かも知れませんが、度重なる開発トラブルに「自社持ちだし」で懸命に対処しており、どこかで「埋め合わせ」してあげたいと思います

またどこかで埋め合わせしておかないと、日本の「KC-46A」に「つけ回し」されても困りますから・・・

T-X関連の記事
「T-X提案要求書発出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-01
「ボーイングがT-X候補発表」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-16
「T-X要求性能の概要発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-23-1
「シミュレーターが重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-21

CAS能力対決:来年F-35対A-10 [米空軍]

Pleus.jpg発言日時場所が不明ですが、25日頃、米空軍F-35導入準備室長のScott Pleus准将が、2017年度予算関連法で求められているA-10攻撃機とF-35戦闘機のCAS(close air support:地上部隊支援攻撃)能力比較テストを、2018年早々に実施する方向で具体的検討を進めていると語りました

A-10攻撃機は冷戦期の対ソ連戦線で戦車阻止を狙いとして設計された航空機で、対空脅威の高い地域での使用は想定されていませんが、対ISILや対アルカイダ等、中東戦線で大活躍しており、A-10を早期退役させて運用経費や整備員等をF-35に振り向けたい米空軍の意向に反し、2022年までの運用継続が決定されています

A-10退役開始時期の判断については、F-35の運用態勢が確立した後に、A-10対F-35のCAS能力比較試験を行ってから判断する事となっており、2017年度を規定する国防権授法が「対決試験」の実施を空軍に命じています

Pleus准将は、CAS能力からすればA-10の能力が優れているだろうが、敵の対空脅威があるエリアでの活動能力はA-10にはなく、その差は決定的だと空軍側の主張を繰り返していますが、色々お騒がせのF-35ですので、議会の理解が得られるか不透明です

25日付DODBuzz記事によれば
A-10 4.jpg●Pleus准将は、法律により求められている一連の試験を「as early as next year」に実施することで計画を進めていると語った
試験内容や方法は、国防省の作戦運用試験&評価室が検討作成する事になっており、現在中身を検討してもらっていると説明した

A-10攻撃機は強力な対戦車を想定した7砲身からなる30mm機関砲を装備し、弾丸も約1200発搭載できる。一方でF-35は25mm機関砲で弾丸も約200発しか搭載できない。
F-16操縦者であるPleus准将も経験から、CAS用アセットとしてはA-10が優れているとの結果になると予想するが、あくまで敵の脅威がない環境での比較である

Pleus3.jpg●F-16能力の延長線上のあるF-35は、A-10が20nm以内に進入できないような脅威環境を想定して設計されており、F-35だけが同環境では飛行作戦を継続できることを念頭に置いてほしいと語った
●更に同准将は、この試験は単に両機種のCAS能力比較だけに止まってはならず、空軍指導層や議会による、今後の本分野への投資配分をどうするかの判断に資するものであるべきだとの考えを述べた
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A-10運用停止に強硬に反対している議員は対ISILを重視しすぎる傾向があり、Pleus准将ら米空軍幹部は湾岸戦争のような「空軍が主役だった頃よ再び」との思いが、又は熟練整備員をA-10からF-35へ早急に配置転換してF-35体勢を確立したいとの思いが強すぎるのでしょう。

Pleus2.jpgやっと最近になって中間を探る動きも見られ、対テロや不正規戦用に軽攻撃機を導入する検討が本格化し、春には米空軍が候補機首のデモ飛行を計画するようです。
A-10のような特殊な力強さを既存の軽攻撃機に求めるのは無理ですが、それなりの道が開けるかもしれません。

まぁ・・空軍戦闘機操縦者の「選民意識」が改まれば・・・の話ですが。

A-10攻撃機関連
「F-35整備員確保の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-14
「A-10全廃は延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22
「シリアへ派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-21
「米陸軍は全廃容認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-29

軽攻撃機のデモ確認を春に
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-21

米空軍が300機の軽攻撃機導入案を支持 [米空軍]

Macain paper.jpg15日、マケイン上院議員が2018年~22年までの国防予算提言書(33ページ)を発表しオバマ政権が建てた5ヶ年計画予算の総額を約47兆円($430 billion)上回る大幅な国防費増強計画が必要だと訴えています

ただしマケイン上院軍事委員長は、この5ヶ年計画はあくまで、オバマ政権8年間の国防費削減で傷つき流血状態にある米軍の「緊急止血」のために大部分が捧げられる計画と予算増額でアリ、必要な能力向上にはその後の継続的な予算増が不可欠だと訴えています

マケイン議員の提案書(4.2MB)
http://www.mccain.senate.gov/public/_cache/files/25bff0ec-481e-466a-843f-68ba5619e6d8/restoring-american-power-7.pdf

取り上げるのはマケイン提案の米空軍に関する部分で、戦闘機には「high/low mix」が必要で、対テロのような任務用に5世代機や4世代機を使用するのは高コストだから、軽攻撃機を300機導入せよとの主張です

Scorpion2.jpgそして本日ご紹介するのは、米空軍参謀総長がマケイン議員提案を「great ideaだ」と評価し、既存の軽攻撃機の能力デモンストレーションを関係企業にお願いする検討をしていると語った件です。

マケイン議員の提案には、F-35調達機数削減も含まれており、空軍参謀総長が何処までを「great idea」と表現したのか不確かですが、次世代制空機との関連でF-35削減に言及していて興味深く、とりあえず関連報道をご紹介しておきます

マケイン提案の戦闘機関連部分
McCain-NDAA.jpg現在米空軍は、戦闘投入可能な戦闘機を1100機体制でしか維持していないが、2012年の戦略国防ガイダンスは1200機体制を求めている。しかし国際情勢や脅威の変化を考慮すれば、米空軍には1500機体制(約60個飛行隊)が必要である
●同時にこの体制に於いては、ハイエンドの戦いとなる対「peer competitors」用には最先端航空機が必要だが、ローエンドの対テロ任務には低コストのシステムを準備すべきである

F-35は能力の高い航空機であるが行動半径が狭く、F-22も優秀ながら再生産は非現実的である。従って米空軍は2020年以降の制空を見据え、新たな戦闘及び電子攻撃能力を獲得すべきであるが、これは従来の戦闘機とは異なり、無人機の可能性もある
将来の制空には、より大型の機体で航続距離が長く、多くのセンサーや弾薬が搭載可能なタイプが好ましいだろう。この観点からも、B-21爆撃機は現計画より多くを調達する必要があると考える

maccain bad.jpgF-35は上記のような行動半径や搭載量の限界もあり、現計画の様に2040年までかけて1763機を調達するのは非現実的であり、削減の方向で調達機数を見直すべきである
一方で当面の戦闘機不足を補うため今後5年間は可能な限り多くのF-35を調達する必要があり、生産能力が段階的に向上することを踏まえ、現計画の228機より73機増やすべきだ。調達数削減の結論はその後に判断すれば良い

●「high/low mix」の「low」に関しては、A-10攻撃機を引き続き維持すると共に、調達及び維持経費も安価な軽攻撃機を300機導入(2022年までには200機)して対応すべきである
●これにより任務を軽減された5世代機や4世代機は、ハイエンドの戦いに備える。なお4世代機は今後も活躍できるように、無人機との編隊編制を可能にする等の投資を行っていく

Goldfein米空軍参謀総長の反応
Goldfein1-4.jpg●18日、シンクタンクAEI(マケイン議員も良く登場する共和党系の研究機関)で講演した同大将は、軽攻撃機を300機導入すべきとのマケイン提案を「great ideaだ」と評価し、「15年継続している中東での戦いは、有志連合での戦いとして継続するだろう。だから我々はこの戦いを継続する方法を検討して変化し続ける事が必要だ」と語った
●同参謀長は更に、「OA-X(軽攻撃機)コンセプト)は、より低コストで将来にわたり維持可能なモデルであり、同盟国や有志連合国にも協力を持ちかけることが可能なアイディアである」と表現した

●マケイン議員の提案以前に、2016年中旬から米空軍内でも軽攻撃機の導入是非が議論されており、飛行時間当たりの維持費を抑え、他の作戦機をハイエンド紛争の備えに回すことが出来る策として注目されている
●Goldfein大将は具体的な進め方として、まず既存の市場にある該当機首のデモ飛行を企業に依頼し、OA-X検討のスタートにしたいと考えている模様で、18日の講演でも、最終決定はしていないが春には実現出来るかも知れないと述べ、「多くの企業の参加を期待している」と語っている
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maccain-badget.jpg軽攻撃機の候補として、空軍参謀総長は練習機のようなジェット機「Scorpion」のデモ試験への参加を促したようですが、アフガン空軍に提供した「A-29 Super Tucano」、A-29のライバルだった「AT-6 Wolverine」、また次期練習機候補の一つである「Alenia Aermacchi M-346」等があるようです。

米空軍は退職者続出でパイロット不足に苦しんでいますが、軽攻撃機導入はこの問題解消にも貢献するとマケイン議員はレポートで指摘しています。つまり、操縦が5世代機ほど難しくない、操縦者養成が簡単と考えている様に読み取れます
無人機操縦者を操縦者の「階層ヒエラルキー」で下層に(無言で)位置付け、処遇などに配慮しなかった結果、大量の退職者を出した「二の舞」になりそうな気がします

ところでマケイン議員の提案・・・最終的にはF-35総調達機数を削減するが、今後5年間はその結論は出さず、どんどん製造して当面の戦闘機不足を穴埋めする・・・ですが、何とも都合の良い八方美人なご提案です

maccain bad2.jpg大統領選挙期間中、同じ共和党内に居ながら、トランプ氏とマケイン氏は「大げんか」状態だったわけですが、この案は米軍需産業の雇用を守り創出する案であり、トランプ氏への「すり寄り感」も感じます強制削減を規定した予算管理法(BCA)の即時破棄を訴える姿勢も、トランプ政権と同じ方向です

一方で中国の脅威を踏まえ、F-22やF-35の限界を指摘し、新たな制空の概念やアセットの必要性を指摘している点は流石に「上院軍事委員長」です。
もう一つ本提案書では、提言の順序が、海軍、海兵隊、空軍、陸軍、特殊部隊、核戦力、BMD、宇宙、サイバー・・・となっており、この辺りに思い入れ度合いが反映されているようです。

今後この様に、反トランプ戦線に加わっていた方々は、様々なしがらみの中で自らの道を模索されるのでしょう・・・。主要なシンクタンク関係者も軒並み「反トランプ」でしたから、その動向も生暖かく見守りたいと思います

軽攻撃機関連の記事
「米空軍が検討を開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07
「有力候補:A-29映像解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-02
「泥沼化:アフガン軽攻撃機の選定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-23

関連の記事
「ケンドールが航空機投資を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-25
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

空軍長官候補に女性の士官学校卒業生 [米空軍]

本題の前に・・・
トルコ近郊シリア内のIS陣地攻撃に関し、米露の主張対立

露国防相→米軍からIS情報を入手し陣地を攻撃。米露共同攻撃も
米軍幹部→そんなことあり得ない。たわごとだ!

23日付軍事メディアによれば
RussiaDM-Shoigu2.jpg23日ロシア国防相が、米軍とのホットラインで22日に入手したISIL情報に基づき、2機のロシア軍機と2機の米軍&有志連合国軍機が攻撃を加え、ISの弾薬庫や燃料貯蔵タンクや活動家を破壊したと発表した
●更に露国防相は、20日にロシアがトルコと共同で行った同地域ISIL拠点への攻撃に続く有志連合との共同作戦で、シリア東部では別に6機の露爆撃機がISIS拠点に攻撃を加えたとも発言した

●このロシア側発表に対し、有志連合報道官であるJohn Dorrian米空軍大佐は、「プロパガンダだ! ロシアの戯言だ」と一蹴し、米国防省のEric Pahon報道官も「米国防省はシリア内で、ロシアと協力した空爆を行っていない。ロシアとはシリア上空での安全確保のためだけに意思疎通している」と強調した
トランプ大統領が、兼ねてよりISIL対処でロシアとの協力を期待する発言を繰り返しているだけに、今回の露国防相の発表意図に注目が集まっている

18日のロシアとトルコの共同空爆作戦!?
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-22
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空軍士官学校卒の初の空軍長官誕生へ(しかも女性)

Wilson.jpg23日、トランプ大統領が次の空軍長官候補に、サウスダコタ鉱山技術大学学長のHeather Wilson女史(推定58歳)をノミネートしたと公表しました。

Wilson女史は、米空軍士官学校の卒業生(女性で3期目)で7年間の空軍勤務がアリ、その後NSCのスタッフ、サウスダコタ州の児童教育長、下院議員を11年間、それらの合間に今も続く国防関係コンサル企業を設立したほか、複数のエネルギーや国防関連企業の顧問も務めた経験を持つ、3人の子供の母親です

陸軍と海軍長官にも、軍務経験とビジネス経験を持つ人物を候補に指名しているトランプ大統領ですが、空軍長官でもその流れを受け継ぎ、初めての空軍士官学校卒業生(ちなみに旦那様は退役空軍大佐も弁護士)との話題付で持ち出しました

Heather Wilson女史のご経歴など
Wilson2.jpg空軍士官学校を1982年に卒業し、その後も成績優秀者が選抜される「Rhodes Scholar」としてオックスフォード大学で国際関係博士号を取得、1989年に退役するまで冷戦下の欧州で勤務
●退役後は、初代ブッシュ大統領の下でNSC欧州安全保障担当スタッフとして勤務し、ベルリンの壁崩壊等に対処する。

●1991年には「Keystone International, Inc.」との企業を設立し、今も国防産業と仕事を継続している
●下院議員に当選するまでは、サウスダコタ州の児童若者家族部長を務め、幼児教育や健康指導、子供のメンタル指導、非行問題等を広く担当していた

1998~2009年の下院議員時代には、商務委員会やエネルギー委員会や軍事委員会に主要メンバーとして所属し、更に技術&戦術情報小委員長を務めた。
●2008年の上院選挙出馬を目指したが共和党候補になれず、下院議員としての任期を2009年に終え議員生活を終えた

Wilson3.jpg●その後も、下院の核安全保障評議会やサウスダコタ州科学技術評議会など、複数の中央と地方の行政機関のアドバイザーとして働いている
●また、複数のエネルギーや国防関連企業(Nevada Test Site, Battelle, Sandia, Los Alamos, and Oak Ridge National Laboratories等々)の顧問を務めた経験を持つ

2013年6月から現職の学長を務めており、計器飛行が可能な飛行ライセンス保有者で、ハイキングと釣りが趣味
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シリアでのロシアの動きは、後々明らかになるでしょうが、トランプ大統領の反応が気になります!

サウスダコタ州には、世界最大の民間石炭採掘会社があるほか、金など地下資源な豊富な州で、サウスダコタ鉱山技術大学は州の産業を支えるシンボル的な大学のようです

桜6.jpgまたまた同じ感想ですが、米国には優秀で安全保障にも明るい人材が沢山居ますねぇ・・・。裾野の広さに驚くばかりです

アイスホッケーの大金持ちオーナー(陸軍士官学校卒)や、香港の証券金融業で成功した元情報士官や、冷戦時の欧州問題で活躍し児童教育問題まで扱った士官学校卒業の元下院議員など・・恐れ入ります

陸軍長官と海軍長官の候補者は
「陸軍長官の候補者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-20
「海軍長官の候補者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-14

米空軍が兵士確保に「刺青」規制緩和 [米空軍]

Grosso4.jpg2月1日付で米空軍が、空軍兵士の人材確保を理由に、腕や胸などの「刺青:いれずみ」規制を緩和すると明らかにし、従来の「外部から見える部分の25%以下」制限を撤廃することになりました。

カーター長官が様々な形で取り組んだ人材確保策「Force of the Future」の、米空軍としての政策の一つとも位置づけられますが、入隊希望者の約1/5を「刺青」が理由で「門前払い」している現状に危機感を感じ、「間口を広げる」決断に至ったようです

米国特有の問題かもしれませんが、軍隊と一般市民の乖離が進み、募集が厳しくなる西側世界全体の傾向を眺める事例の一つでもあり、Mattis次期国防長官も大きな懸念事項としている「募集難」「軍隊と一般社会の分断」を見る一つの側面ですので、これを期に米空軍の「刺青規則」をご紹介します

加えて、まんぐーす「一押し」のキュート系「女性将軍」Gina Grosso人的戦力部長のご活躍ぶりもご紹介したいと思います

10日付Military.com記事によれば
Grosso.jpg●6日、米空軍の人的戦力部長Gina Grosso中将はMilitary.comの独占インタビューで、「米空軍の職務と世界中に展開する任務特性を勘案した上で、更なる人事制度変革の一環として、刺青の露出を緩和することにする」と語った
●米空軍報道官は「これまで、制服で覆われない身体の25%以上を覆う刺青を禁じていたが、その規則を撤廃する」と説明し、服装及び身だしなみ規則を変更すると語った

●Grosso中将によれば、従来どおり、刺青は胸、背中、腕、足に許されるが、その大きさに対する制約は無くなる。ただし、引き続き、頭部、顔、首、唇、舌への刺青は許されない
●またこれまで通り、人種差別、宗教差別、性的表現、暴力的表現などの不適切な刺青も許可されない。また、過激思想やギャングや排他的組織のシンボルなど、米空軍が不適切と見なす刺青も許可されず、米空軍特別捜査局(AFOSI)やFBI等が「hate groups」との関連を認めた刺青も許されない

tattoos.jpg●「腕」は手首までで、「手」に許されるのは指1本に対する結婚指輪の刺青だけで、指1本だけに許可される。
現在の規則で許される範囲の刺青は、新規則でも当人に限り引き続き許される。これには、各部隊指揮官の裁量で許可してきた「25%以上の刺青」もこれに該当する

●引き続き各部隊指揮官は、式典参加兵士全員が統一した制服を着用することが望ましい軍式典において、不適切と考える刺青を隠すように要求したり、刺青を取り除くように要求できる
●ただし指揮官は、刺青を除去することを強要はできない。Grosso中将は本規定について「状況に応じて各指揮官が適切に対応してくれるものと確信している」と述べている

刺青緩和の背景は・・・
Grosso3.jpg米空軍は4年毎に服装や身だしなみ規則の見直しを行っているが、今回はカーター長官の方針である才能ある多様な人材を確保活用できる組織をめざす「Force of the Future」政策の方針も踏まえ、才能ある若者へのアクセスを拡大することに配慮した
●同時に、他の軍種と同レベルの刺青への許容度を取り入れることにも配慮した。本分野では海兵隊が最も厳しい規則を維持している

2016年春に空軍兵士の刺青実態調査チームを立ちあげて実態把握を開始し、また8月にJames空軍長官は他軍種の規則状況にも関心を持っているとし、「刺青の実態を把握せずに、優秀な入隊希望者を失うようなことをしたくない」と語っていた
●Grosso中将は兵士募集事務を担当する職員への聞き取りを数ヶ月かけて行い、「兵士に応募又は問い合わせしてくる若者の1/4が刺青をしており、1/5が現行規定を超える刺青を持っている」実体を把握したと説明した
●そして同中将は、明確な数字を把握しているわけではないが、これまでの調査や聞き取りから、明らかに我々は有能な人材を刺青で門前払いしていると語った
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米国社会での「刺青」の一般受容度を肌感覚で承知していませんが、何となく、基準を緩めてでも頭数を揃えたい・・・との「ゴールポストずらし」に思えてなりません

mattis.jpg議会ヒアリングがドタ延期になったMattis次期国防長官ですが、今回の「規制緩和」の背景にある「軍隊と一般社会の分断」が背景にある募集難の克服は、「偉大なアメリカを取り戻す」ための重要要素の一つとも考えられます

米国は日本や欧州諸国と異なり、少子化が問題になっているわけではなく、募集難は「軍と一般社会の分断遊離」そのものを反映したものとも考えられており、特に都市部で募集が厳しくなっている現状が関係者の危機感となっています

このあたりに関するトランプ&Mattisラインの考え方も聞いてみたいものです。それにしても、服装や身だしなみに関する空軍内の規則とは言え、話題になりそうな件だけに、政権交代直前での発表が何を意味するのか気になります

Mattis氏の優先事項の一つは、市民と軍の分断を埋めること
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02

Mattis次期国防長官の関連
「副長官はどんな人に?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「トランプ氏がMattis氏と面談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21

Force of the Future関連の過去記事
「更に追加策:昇任制度や中途採用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-10
「追加策:体外受精支援まで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-29
「全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「企業等との連携や魅力化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「施策への思いを長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

ロバート・ゲーツ語録86
→徴兵制で冷戦時に米軍は世界最大規模となった。この規模拡大により、当時は多くの有望な若者が軍務の経験をした。1957年にはプリンストン大出身者が4万人軍務に付いており、ハーバード大にも700人規模のROTC制度がhttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
ロバート・ゲーツ語録87 →このため、冷戦終了時で全米の学生の約4割が両親や身近な親戚に軍務経験者を有していたが、現在ではその比率は18%に低下、近い将来1割以下になるのは確実である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
ロバート・ゲーツ語録88
米国の北西部、西海岸や大都市近郊は志願者が減少している。これら地域で大きな基地の閉鎖再編が進んでいることも一因であるが、同時に軍務のような国家の仕事が他人事にと考えられる風潮が背景にあるhttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10

B-52が飛行中にエンジン1個落下 [米空軍]

「脱落」と言うより「内部破壊で分裂落下」か

B-52 engine4.jpg5日、James米空軍長官は記者団に、4日にノースダコタ州Minot空軍基地所属のB-52が、同基地北東30km付近を訓練飛行中に8基装備しているエンジンの1つが破損落下したと公式に明らかにし、詳細は調査中であるが、エンジン自体が取り付け部分から落下したのではなく、内部からの破壊で崩壊落下した模様だと説明したようです。

幸い、エンジン落下地点は人家の無い川沿いであり地上にけが人は無く、エンジンが落下した機体も無事母機地にたどり着いて搭乗員5名も無事な模様です。なお同機は爆弾等の兵器は搭載していなかったとの事です

1952年に初飛行した大ベテランB-52爆撃機ですが、改良や改修を重ねて現在でも78機が現役として飛行しており、2040年代までの運用が計画されています。
このためB-52保有部隊では、エンジンを6千から9千億円かけて性能や燃費の良い新型に交換したいとの要求をまとめていますが、予算厳しき折、2018年度国防省予算案には現時点でも含まれていません

関係者は口を揃え、今回の事故とエンジン換装を結び付けて語るのは時期尚早で短絡的だと「口を慎む」姿勢ですが、B-52のエンジン問題がクローズアップされたことは間違いありません

6日付Defense-News記事によれば
B-52 engine.jpg同機体は1961年に製造されたものであるが、エンジン自体は何回も定期的な分解修理や部品交換を経たものであり、製造当初のものではない。更に300飛行時間前に前回のオーバーホールを終了したばかりで以上は確認されていなかった
●B-52は8基の「Pratt & Whitney TF33-P-3/103 turbofan engine」を搭載しているが、2基づつひとまとめにして(cowling)翼下4箇所にぶら下げられている

●5日James空軍長官はDefense-Newsに対し、米空軍は原因調査を継続中だが、落下したエンジンは内部の何らかの原因で破損し、2基のエンジンを束ねている覆いに亀裂を生じて落下した模様だと明らかにした
●同日、B-52を配下に置くRobin Rand空軍大将は同様の見方を示し、「エンジンが単に落下したのではなく、エンジン内部に問題を生じ、パックリ割れたようになった可能性がある」と語り、「ただし調査が終了するまで原因等は不明だ」と述べた

B-52にはエンジン換装要望が
B-52 engine3.jpg●Rand司令官はエンジン換装推進派だが、このエンジン事故を新エンジン事業に利用すべきではないと明言し、原因が明確になるまでは予断を持ってからるべきでは無いと釘をさした
●一方で同大将は、「これまでの検討の結果、最新技術を生かしたエンジンへの換装は、作戦運用面でも効率性の面でも意味のある事業である。燃料消費や整備所要人員を削減してコストを下げる最新技術の活用だ」と語っている

●そして、エンジン換装の予算が確保できれば、その効果は極めて大きく、効果が大きいことを各種検討を経て確証確認している。
●ただし同司令官は、少なくとも6千から9千億円必要だとされる換装予算の確保が課題だとの認識を示し、エンジンをリースする方式や「public-private partnership」方式など、様々な案を検討して実現の道を探っていると語った
●しかし、各予算は互いに対立関係にあり、他を生かせば他を諦めることになると厳しい状況を説明した
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B-52Guam.jpg米国防省の2018年度予算案を決定する最終段階のタイミングで発生した事故で、色々憶測を呼びそうですが、落下したエンジンの回収が容易ではない場所らしく、真相究明に時間が掛かりそうです。
翼の「leading edge」にも被害が確認されているようで、かなり激しい「内部崩壊」だったようです。

機体以外に被害は無かったようですが、単なる爆撃だけでなく、長時間連続紹介しながらピンポイントの要請に応じて精密誘導兵器を投下や、音によってイスラム過激派威嚇や、弾薬庫航空機(arsenal plane)の役割も期待されているB-52です。

今後の「武運長久」を祈念いたします

B-52関連の記事
「弾薬庫航空機に向け改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「同構想とB-52」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12

「もっと能力向上を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-11-1
「海軍と会議後アジア展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-07
「まだまだ能力向上に投資」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-16-1

米空軍がT-X提案要求書を発出 [米空軍]

米空軍が(当面)最後の大物機種選定開始!

T-X compe.jpg年の瀬も押し迫った12月30日、米空軍が現在予定される中で最後で最大の機種選定案件である次期練習機T-Xの提案要求書(RFP:request for proposals)を企業に発出し、総額1兆8千億円以上とも言われる機種選定が本格始動しました

次期練習機T-Xは、50年以上使用している420機のT-38後継として350機の調達を予定し、20年間に亘って毎年1000億円以上の調達運用経費が絡む大型契約で、米国外の企業も交えた4チームが参戦すると言われています。

同機は米空軍が取り組む調達改革の試金石とも言える調達事業で、空軍長官が掲げる「早い段階からの企業との情報共有」、「コストと性能のトレードオフを精査」等々の指針に沿い、通常より1年近く早い2015年3月に要求性能案が公開されました。

その後、企業とじっくりやりとりして検討した後に今時の提案要求書が決定・発出され、2017年秋に企業と機首を決定し、2022年から納入を開始、2024年度中には運用体制が確立可能であることが条件となっています

12月31日付DODBuzz記事によれば
米空軍参謀総長Goldfein大将は、「より実戦的で素晴らしい訓練を提供し、第5世代機への操縦者の意向を円滑にして訓練時間を削減するため、我々はこのT-X選定を厳正に正しく行わなければならない」と声明を発表した
●更に、「導入が進む5世代機の能力を最大限活用する出来るかは、T-X導入による高等操縦者訓練計画の成否にかかっている」と表現した

T-X  Boeing3.jpg●また米空軍教育訓練コマンド司令官Roberson中将は、「第5世代機の導入が進めば進むほど、(現有の練習機で訓練したパイロットの技量と必要な技量との)訓練ギャップが拡大し続けている」と危機感を訴え、T-X導入の重要性を主張した
●提案要求書には、最初の5機導入から始まる製造計画や維持整備体制の立ち上げ支援計画、地上訓練システム、訓練計画処理システム、維持整備のための装備や部品への要求が含まれている

9月13日に「ボーイングとSaabチーム」が、候補となる新設計の機体を公開し、なかなかかっこ良い機体が軍事メディアの話題を集めている
他にも「T-X」へは3チームの参戦が予期されており、「Northrop Grumman/ BAE」は新デザイン機を提案予定である。「Lockheed Martin」は韓国空軍が使用している韓国製T-50の改良型T-50Aで参入する方向で、「Raytheon, Leonardo and CAE」もM-346を改良した機体T-100で競争に参入する見込み


今後様々な関係者の思惑を含み、4チームに絡む米国、韓国、スウェーデン、イタリア等の各国や企業が動くと思われますので2015年3月公表の要求性能やその背景をご紹介した当時の記事から振り返ります

米空軍次期練習機T-Xの要求性能と選定の流れ
(2015年3月18日公表)
●このT-X調達は、James米空軍長官が掲げた調達改革の最初のケースとなるもので、「早い段階からの企業との情報共有」、「コストと性能のトレードオフを精査」等々の狙いがどのように実現されるのかに注目が集まっている
T-X trainer.jpg●公開された100項目以上の要求性能に基づき、同年5月10日までに希望企業が参加を申し出る。その後、申し出た企業と細部のやりとりを経て、最終的には2017年秋に企業と機首を決定し、2022年からの納入開始

●米空軍教育訓練コマンドは「従来の装備調達に比し、10ヶ月も早く要求性能を公開した。これは企業とのより深くオープンな意見交換を行うためである」と述べ、2026年~45年の間の運用を想定し、その間年間360時間の飛行を前提として稼働率80%を求めている
米空軍は「off the shelf」航空機に拘らないことから、「Boeing/Saab」や「Northrop Grumman/ BAE」は新デザイン機を提案予定である

具体的な特徴的要求項目
100項目以上の要求性能の中で、特に強調されているのは「sustained G」と「simulatorの信頼性・有効性」と「sustainment」の項目である
●また、老朽化したT-38練習機では出来ない戦闘機及び爆撃機操縦者に必要な訓練が出来ることが求められている

●エンジンの燃費はT-38より1割以上の改善が要求され、空中給油装置も要求。外装PODは「weapon systems support pod」と「travel pod」のみ
●米空軍はまた、多様な空対空・空対地の兵器発射・投下を模擬出来る「switchology:スイッチアクション?模擬」が可能なことも求めている

その他の関連事項
T-X trainer2.jpg●米空軍作戦部長は議会で、「T-Xは将来Aggressor任務を果たすに十分なスペース、パワー、冷却機能等を有しているが、要求性能ではAggressor任務を求めてはいない」、「F-16が同任務を最も効率的に実施している中、T-Xの使用を考えるのは時期尚早だ」と説明した
●米空軍省の調達担当次官も、将来のある時点でAggressor任務をT-Xに期待する事はありあるだろうが、要求性能値はそのオプションを妨げないものとなっていると語った

●米空軍からの企業への質問には、「将来の能力拡張や変更に関し、どの程度オープンで柔軟か」や「レーダーやリンクや防御システム等の将来改修の阻害要因」が含まれている
●一方で米空軍教育訓練コマンドは「拡張性」要求には懸念も示し、「要員養成訓練が可能なことが重要であり、拡張性は必要だが、適切な費用対効果の範囲内でだ」と語った
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4チームの提案機種については、DODBuzzの他、Defense-News記事も紹介していますので、細部にご興味のある方は基記事を原文をご覧下さい
Defense-News記事http://www.defensenews.com/articles/new-t-x-request-for-proposals-tees-up-major-fight-among-defense-primes

T-X  Boeing2.jpg米空軍は、コストと性能のトレードオフを見極めるため、時間を掛け慎重に企業群と意見交換を行ってきました。
そしてこの手順を踏むことで、結果発表後に敗者による「不服申し立て」や「訴訟」が起こらないよう最善を尽くしています。しかし練習機は世界中に候補機が存在し、参加者全員が納得する選定は至難の業です

既に現時点でも、米軍事メディアは選定の「ドロ沼」化を予想しており、新政権、特に国防副長官や調達担当次官や空軍長官の舵取りに注目しています

T-X関連の記事
「ボーイングがT-X候補発表」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-16
「T-X要求性能の概要発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-23-1
「シミュレーターが重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-21

「次期練習機は2年凍結?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-19
「米空軍T-38練習機の後継争い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-30
「ボーイングがT-38後継を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-18
「T-38に亀裂やトラブル多発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20-1

悪夢のKC-46A選定どろ沼
「KC-X最終決定 泥沼終結か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25

次期練習機や長距離スタンドオフ兵器等が対象
「米空軍の調達コスト削減戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-19

米軍被害復旧部隊を沖縄から追い出した日本 [米空軍]

最重要部隊を排除した「日米地位協定」

Silver Flag3.jpg22日、多くの日本人がクリスマス&年末休みモードに入り、誰も航空自衛隊webサイトなど見なくなるタイミングに見計らったように、既に12月8日に終了した日米共同の滑走路等の被害復旧訓練「Silver Flag」の様子を、航空自衛隊webサイトが公表しました

グアム島アンダーセン基地で行われた同演習には、航空自衛隊から28名が参加し、滑走路や配管の緊急補修訓練、応急タンク設置訓練、CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練などが行われた模様で、写真付きで空自webサイトが紹介しています

もちろん訓練は重要で「ご苦労様」な事ですが、恐らく訓練に参加した空自部隊の隊員は、「対処に必要な装備や資材は旧式のママで、基地施設は強靭化どころか老朽化対策さえ進まないのに、米軍の訓練に付き合わされても前進しようがない」「戦闘機関連だけに予算を付け、他分野を放置して置きながら、対外宣伝用の写真撮影用に訓練に参加させられても白ける」との声が聞かれるのでしょう

12月22日の目立たない広報記事
http://www.mod.go.jp/asdf/news/release/2016/1222/
11月25日の事前ピンナップ
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H28/1125.pdf

Silver Flag.jpg前座が長くなって恐縮ですが、今回の空自「Silver Flag」参加には一つ疑念があります。

・・・というのは、事前ピンナップで「航空自衛隊として昨年のオブザーバー参加に引き続き、初めての参加」と今回の参加を発表しておきながら、実は今年2月に約1週間に亘り「Silver Flag」に既に参加しており、事実と食い違うのです

なお、今年2月の参加は全くピンナップも事後広報もなく、同時期にグアム島で行われていた「Cope-North Guam演習」のピンナップにも関連訓練は全く触れられていません

グアムにおける日米豪共同訓練及び日米豪人道支援・災害救援共同訓練(通称:Cope-North Guam演習)の事前ピンナップ
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H27/0122.html

しかし米空軍webサイトはしっかり報道
http://www.af.mil/News/ArticleDisplay/tabid/223/Article/674215/first-partner-nation-silver-flag-concludes-at-andersen-afb.aspx

Silver Flag2.jpg●2月19日までの約1週間、米空軍、豪空軍、シンガポール空軍、韓国空軍、航空自衛隊が参加して「Silver Flag」を実施
●演習では、展開先の拠点整備訓練、基地機能維持訓練、敵攻撃被害の復旧訓練が計画され、専門職域毎に指揮統制、電気系統、発電機運用、滑走路被害復旧、緊急事態対処部門に分かれて訓練した

●演習後半には、CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練、航空機降着装置、飛行場灯火装置、高圧電源発電機や供給システムの訓練も行われた
●米空軍の参加兵士は「CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練の経験が全くない外国兵士に教育しろと言われて驚き戸惑ったが、直ぐに理解してくれ、教えたように行動してくれたことに感激した」と感想を語った

なぜ、11月から12月の「Silver Flag」参加を「初めての参加」と偽って発表したのか・・・多国籍訓練だからか、韓国が含まれていたからか、CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練が含まれていたからか、Cope-North Guam演習に含めるはずが失敗したのか、単にピンナップ準備を怠ったのか・・・謎です。

単に航空自衛隊を牛耳る戦闘機パイロットの関心が低かったので、無視されていたのかも知れませんが・・・


本題はここからです!!!
(2012年3月1日付Stars&Stripes沖縄版より)
http://okinawa.stripes.com/base-info/kadena-silver-flag-site-officially-stands-down-moves-guam#sthash.MzDYeWur.dpbs
Silver Flag4.jpgこの航空自衛隊の動きを調べる過程で「Silver Flag演習」を勉強していて判明したのですが、なんと、この「Silver Flag演習」を担当する優秀な米空軍の被害復旧部隊が、「日米地位協定」を理由に沖縄を去ることを余儀なくされていたのです。

中国が弾道・巡航ミサイルで、第一列島線上の米軍や自衛隊の作戦基盤基地を緒戦でたたきつぶそうとしていることは繰り返しご説明してきましたが、そんな攻撃への抑止力の重要な一部を担う戦闘機部隊よりも重要そうなこの部隊が、グアムへの移動を強いられていたのです

具体的には嘉手納基地に所在していた「554th RED HORSE Squadron」「security forces squadron」「36th Contingency Response Group」が、2012年2月21日に部隊閉鎖の憂き目に遭い、関連施設の整備も含めてグアムで完全復活するまで約4年が必要となったのです

理由はなぜか???それは「日米地位協定」が、在日米軍基地や演習場内で日米以外の国が訓練することを認めないからです。

Silver Flag5.jpg米軍は中国の脅威の変化を踏まえ、西太平洋の同盟国軍に対し、基地被害復旧訓練を嘉手納の施設を使用して実施したかったのですが、「日米地位協定」がそれを許さず、日本側の「脅威の変化」への理解も得られず、4年もの訓練の空白を生みつつ撤退を余儀なくされたのです

脆弱な嘉手納基地からグアムへ撤退したかったのかも知れませんが、いずれにしても、お金を払ってでも日本に残ってもらいたい部隊でした・・・。
「覆水盆に返らず」「後の祭り」状態なのですが、返す返す残念です・・・

英国空軍の戦闘機が三沢基地周辺で訓練することは認めておきながら、そんな部隊より遙かに重要な米軍部隊の活動を縛り、日本の国益を害するなんて・・・(涙)

「意味不明な日英戦闘機訓練」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-18

何のための地位協定なのか・・・軍属の範囲云々・・・だけでなく、本質的な部分も見直して欲しいですね・・・悲しい

中国の攻撃に備えて
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

第5世代機の訓練は実環境とシム融合で [米空軍]

Carlisle UK.jpg11月16日、米空軍戦闘コマンドのカーライル司令官が国際戦闘機会議で第5世代機の操縦者は将来、バーチャルに合成された部分のない訓練を行う事はほとんど無くなるだろうと語り、やるべき事は多くあるが、その方向に向かう必要があると語りました

本ブログでも何回か取り上げたことがある視点ですが、脅威や戦場環境が複雑になり、実環境の訓練で実戦に近い状況を準備すること費用対効果上で難しなっていることが一つです。

更にもう一つは、第5世代機のセンサーや情報共有&融合能力が飛躍的に向上し、これらを最大限に活用する環境を準備することが実環境で容易に準備できず、世界各地に展開する部隊の練度維持訓練が難しいと考えられて居るからです

21日付米空軍協会web記事によれば
F-22Hawaii3.jpg●カーライル司令官はDefense IQ主催の同会議で、米空軍はライブとバーチャルの融合訓練(LVC:live virtual constructive training)を追求していると語り、実際に飛行している編隊が、シミュレーターで参加する地上の操縦者と訓練可能な環境の構築を目指していると説明した
●背景として同司令官は、「潜在敵国の地対空防空システムやその配備密度を考えると、それだけ厳しい環境での訓練が必要だが、コストの関係もあり、訓練場にその様な環境を準備することはほぼ不可能である」、「従って、我が操縦者が実際に直面する脅威環境を訓練で作為するには、ライブとバーチャルの融合が不可欠である」と説明した

●そして「ライブ環境での訓練は可能で、バーチャル環境の訓練も可能である。しかし、この2つを組み合わせて同じ土俵で訓練することが実現出来ていない。4機の実環境の編隊と、4機のシミュレータ訓練の編隊を組み合わせて8機による訓練が可能になるよう追求している」と語った
●また第5世代機のデータ処理能力を、最大限に発揮する訓練の必要性も指摘されている

Carlisle-FB.jpg●国防省F-35計画室に米空軍から連絡幹部に派遣されているRawls大佐は同会議で、「F-15で飛行していた際は、操縦者が各センサー等の情報を確認して情報融合を行っていたが、F-35ではOODAループで言うobserveとorient過程を機体が行ってくれる」と述べ、
●「F-35はその高度な計算アルゴリズムで、操縦者がdecideとactにより集中できるように設計されている。航空機の世界に初めて人工知能を持ち込んだとも表現できるのではないか」と同大佐は語り、この様な能力発揮を訓練する環境整備の重要性を指摘した
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米軍は、F-35開発当初から「LVC訓練」の重要性を訴えてきていますし、F-22の本格運用開始後、その必要性を痛感しているモノと思います

しかし日本のようなF-35導入国は購入するだけで精一杯で、今も今後も、これまでとは異なる機体や整備体系、更には米国企業との関係に翻弄されつつ、その高価な能力を発揮することに頭が回ら無いでしょう。

F-35Cformation.jpg購入を決定してから細部の性能等が徐々に明らかになってきたような状況でしょうから、機体性能を生かす関連サポート態勢は予算措置されておらず、とりあえず飛んでくれれば・・程度の受け入れ態勢しかないと想像します

まぁ・・・戦闘機機数と戦闘機飛行隊数だけを死守し、パイロット数とその勢力だけを維持したいとの思いだけが強い「戦闘機命派」にはそれでいいのかも知れませんが、他の必要な装備導入や人材の育成が犠牲にされておいることを考えると、国賊級の扱いが相応しいのが「亡国のF-35」です。

5世代機とバーチャル訓練
「シム訓練でF-22飛行時間削減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-1
「F-35SIM連接の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-05
「移動簡易F-35用シミュレーター」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02

「5世代機はバーチャル訓練で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-1
「Red Flag演習と予算不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-07

ロンドンで開催された「International Fighter conference」については、これで取り上げるのが3回目ですが、従来型の戦闘機が将来環境で直面する課題を正面から議論しており、非常に興味深いです。

同会議関連の記事
「AI操作の無人機が有人戦闘機に勝利」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-19
「F-35は対ISに必ず投入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-17

同盟国等へ:米軍の弾薬を今後頼りにするな [米空軍]

戦闘機ばかりを優先し、弾薬を後回しにするな!

Grant-AFA5.jpg18日、米空軍省の国際問題担当次官補を6年以上務めている大御所Heidi Grant女史が空軍協会で講演し、対ISIL作戦等で消費が急増して在庫が不足しつつある精密誘導兵器等の弾薬の同盟国等への売却について、従来のように必要時に米軍弾薬庫から融通するようなことは出来なくなると明言して関係国に警鐘を鳴らしています

精密誘導兵器在庫が不足しつつある事は先日の記事でもご紹介しましたが、Grant女史は同盟国等が戦闘機など目立つ装備の予算配分には力を入れる一方で、弾薬を後回しにする姿勢にまで踏み込んで批判的に言及し、計画的に戦いを想定した予算配分を行うべきと厳しい姿勢を示しています

戦闘機の機数と飛行隊の数維持だけを最優先にし、脅威の変化を無視し続けている我が空軍も、もしかしたら「弾薬後回し」になっているのでは・・・と邪推し、勝手に心配になったのでご紹介しておきます

それともう一つ、クウェートに40機のFA-18E/F、カタールに72機のF-15QAを売却する許可を米国務省が出し、両機種を製造するボーイングが大喜びで、製造ラインが2020年代まで稼働する方向が強まったとの「喜ばしい」ニュースもご紹介します

18日Grant女史が空軍協会で講演し
PGM-Grant.jpg●18日、米空軍協会主催の朝食会で講演したHeidi Grant米空軍省の国際問題担当次官補は、米国の同盟国や友好国が米軍の豊富だった精密誘導兵器等の在庫に依存し、いざという時に融通するような長きに亘った慣習は変更すべきであると語った
●Grant女史は「同盟国等には厳しく協議に臨んでおり、戦闘機の様な主要装備の近代化ばかりに目をやり、弾薬を後回しにして予算の残りで調達するような姿勢を改めるよう指摘している」と述べた

●更に「予算案を練る際は、将来予想される紛争シナリオを良く吟味し、適切な組み合わせの弾薬の購入をしっかり組み込むべきである」、「従来の同盟国等の弾薬への姿勢は、必要になったら米国の在庫を当て身すれば良い・・だった様に見える」と厳しく指摘した
●そして米軍が精密誘導壁に不足に直面していることに言及し、予算配分から弾薬入手まで2年間の猶予が必要なことに触れ、「米国はもはや大規模な弾薬在庫を持ち得ず、同盟国等の弾薬庫の役割は果たせない」と突き放した

Grant-AFA2.jpg米軍自身も強制削減を控えた暫定予算下で不足弾薬の大量調達が不可能であり、何とか軍需産業の協力を得てやりくりを行っているのであり、同盟国にも考えを改めてもらう必要があると同女史は示唆した
●更に踏み込んでGrant次官補は同盟国等に対し、「精密誘導壁が必要なければ使用するな。目標に応じた弾薬兵器を選択すべきだ。先を見越して先行的に購入予算を確保すべきだ」とまで言い切った

ボーイング驚喜:FA-18とF-15増産へ
●17日、米国務省がクウェートに40機のFA-18E/F、カタールに72機のF-15QAを売却する許可を出し、最終的に議会の承認が必要ですが、実質上問題なしと見られている。
●関連装備を含めると、40機のFA-18E/Fは約1兆1千億円、72機のF-15QAは約2兆2千億円規模の事業だと、国防協力庁は発表している

FA-18.jpg両機種は共にボーイングが製造しており、FA-18については海軍用に電子戦機に改造するEA-18Gの製造が終了する2018年、F-15はサウジやシンガポール用等に生産を終了する2019年には生産ラインを停止する予定だったところ、製造ラインが2020年代まで稼働する方向が強まり、ボーイングは大喜び
●なお、クウェートは現在旧式のFA-18を使用しており、カタールはフランスから購入したMirage 2000とAlpha Jetsを使用している

Grant女史は本件について
●本件は長期に亘り関係国と協議してきた案件でアリ、次期政権関係者と本件については何も話していない。2年前には実現していたはずの案件である
●米国は淡々と本件を進め、来年1月20日(トランプ大統領就任式)までに手続きは終了する
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Grant-AFA4.jpg米空軍省の国際問題担当次官補を6年以上連続して務めていること自体が、「余人を持って代え難い」存在感を示しているGrant女史ですが、「プラットフォーム優先」で「弾薬後回し」問題はごもっともな指摘であり、対ISILで射耗している中東やリビア作戦で射耗した欧州にとっては頭の痛いことでしょう。

我が国防軍はと言えば、創設当時の作と思われる「たまに打つ、弾がないのが、玉(弾)に瑕(きず)」との川柳が思い出されますが、今もそうなんでしょうか???
 
60周年を迎えたと数年前言ってましたが、還暦を迎えれた今となっては、少しは改善されていると信じたいモノです(嫌みタップリ・・)

FA-18やF-15の増産はボーイングにとって朗報ですが、生産ラインが「延命」されることは我が空軍のF-2やF-15戦闘機の後継を考える上で吉報でしょう。
我が空軍には4.5世代機程度で十分でしょうし、他に投資すべき分野があるはずですから・・・

精密誘導兵器が不足
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-03

いい加減にしろ戦闘機命派
「悲劇:F-35の主要問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「悲劇:F-3開発の問題整理と提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

戦闘機への投資を語る空自OB
織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05

米空軍の次期制空機検討は2017年が山!? [米空軍]

PCA 20304.jpg10日付Defense-Newsが、米空軍による次期制空機の検討が2017年に一つの山を迎えるだろう(could be a decisive year)との記事を掲載しています。
まぁ、中身を見ると、そんな簡単に早期に結論が出そうな問題ではありませんが種々の検討が開始されている様子を紹介していますので、一つの事象整理記事としてご紹介しておきます

「次期制空機の検討」とご紹介しましたが、米空軍は「PCA(Penetrating Counter Air)能力検討」と呼び、「第6世代戦闘機とは呼ばない」とか「単一アセットで制空を獲得するようなイメージを持ってはだめ」との注釈付で語られることが多く、「次期戦闘機検討」でも実質OKだと思うのですが、回りくどい表現になっています

PCA 20302.jpgもう一つ不明確なのは導入時期で、PCA検討の上位検討である「Air Superiority 2030検討」責任者の准将は、2028年の初期運用態勢IOCも実現可能な目標時期と語り、従来の重厚長大で鈍重な調達計画で2040年代までずれ込むことは受け入れがたいと8月に語っていました

しかし今日の記事は、「米空軍はmid-2030sまでに導入したいと計画している」と表現しており、まだ様々な見方や思惑が交錯している様子が伺えます

10日付Defense-News記事によれば
●PCAにどのような特性や性能を求めるかを検討する要求性能検討AOA(analysis of alternatives)は、来年1月から18ヶ月間の予定で米空軍戦闘コマンドACCの「‎air superiority core function and next-generation air dominance working groups」で開始される予定である。
●同作業チームを束ねるThomas Coglitore大佐は、将来の脅威に対応するための作戦機コンセプトをまとめる任務を帯びており、調達戦略や開発リスク低減を担当する米空軍マテリアルコマンドの作業チームと協力して検討を進めている

PCA 2030.jpg●これら米空軍内の作業チームとは別に、外部有識者を中心として構成される「米空軍科学諮問評議会:Scientific Advisory board」も、鍵となる技術、つまりセンサー、兵器、ステルス性、対抗装置等々の技術を吟味して提言する役割を担っており、2017年7月に米空軍長官に結果を伝え、同12月に報告書を提出することになっている
●いずれにしても、PCAの要求性能検討AOAは、米空軍の能力と将来脅威環境を見据え、将来制空機にどのような性能が求められるかを吟味するものであり、Coglitore大佐は9日、2018年6月に作業チームの提言をまとめると語っている

●同大佐によれば作業チームは5分野に分かれており、「新技術の評価」「選択肢別のコスト見積」「技術の効果評価」「作戦コンセプト」「脅威と想定シナリオ」の5つである
●最終提言がどのような形式になるかは未定だが、同大佐は、「suppression of enemy air defenses」を重視した「counter-air作戦」に秀でた航空優勢獲得アセットの要求性能を予期していると言及している

●また同大佐は、米空軍はmid-2030sまでにPCAを導入したいと計画していることから、迅速な開発と調達が至上命題だと認めている。このためACCチームはリスク管理が専門のマテリアルコマンドのチームと緊密に連携している。
●米空軍はこれまでに、最新のソフトやエンジンや兵器やセンサーに加え、特に自律化自動化とレーザー兵器がPCAにおいて期待される技術だと示唆している

PCA 20303.jpg米国防省関係者は、海軍と空軍の共同開発計画を望んでいないようだ。ケンドール次官が最近語ったように、F-35の様に海空海兵隊の共同開発にした場合、主契約企業が1社になってしまい、競争原理の観点から望ましくないと見ている
●一方で、海軍と空軍が双方の計画について意見交換を積極的に行い、共通化できる兵器や装備を追求することで価格低下に貢献する努力の重要性は強調されている
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上記記事では表現されていませんが、これまでのPCA議論では、「速度や機動性より、航続距離や搭載量を重視」とか、「空中戦用より、Sensor Nodeのイメージ」とか、「人間の判断を最大限サポートする能力」とか、「iPhoneを支えているようなネットワーク環境が必須」とか、いろいろ言われています

このPCA議論を通じ、将来の脅威環境や最新技術動向を学ぶことは大変重要ですがこれは米軍の作戦を前提とした議論であり、極めて脆弱な第一列島線上にある我が国の関係者は、日本の戦略戦術環境を忘れ、米国と同じ土俵で議論してばかりでは困ります・・・

PCA関連の記事
「ケンドールが航空機投資を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-25
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

くたばれ日本の戦闘機命派
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
「F-35の主要な問題点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

空自OBに戦闘機を巡る対立
織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05 

米空軍が1発180億円で超超音速兵器開発を契約 [米空軍]

ロッキード「技術的ブレークスルーがあった」

x-51a-waveri.jpg9日付Defense-Techは、これまで紆余曲折を続けてきた大気圏内を音速の5倍以上で飛翔する超超音速兵器に最近(技術的)「breakthrough」があり、米空軍とDARPAが組んで、レイセオンとロッキードのチームと具体的試作契約を結んだと報じています

この超超音速兵器(hypersonic weapons)は、ワシントンDCとアトランタ間を約7分で飛翔するほどのスピードで、相手に対処のいとまを与えず迅速に処置する必要のある目標への攻撃を想定された兵器で、例えば発射準備中の車両搭載型の弾道・巡航ミサイルや、最前線からの情報で明らかになった敵の指揮統制司令部や特設の作戦基盤基地の無効化に使用されるのでは・・・と考えられています

その有効性から、10年以上前から大気圏内を超超音速で飛翔する技術に米国は取り組んでいましたが、2013年の米空軍による「X-51 WaveRider」の4回目の試験(B-52から発射され、6万フィートを5.1マックで3分半飛翔。ボーイング担当)以降、予算や技術的難しさから開発が頓挫してきました

しかし中国やロシアがこの兵器に積極的に取り組む様子が明らかになる中、Work国防副長官らが「第3の相殺戦略」の重要パーツとして復活に動き、技術的な進展もアリ具体的な動きが出てきた模様です
計画の全体像や時程が不明ですが、とりあえずご紹介

9日付Defense-Tech記事によれば
Hypersonic4.jpg米空軍は、国防省の研究機関であるDARPAとチームを組み、超超音速滑空兵器コンセプト(HAWC:Hypersonic Air-breathing Weapon Concept)の一環として、関連技術開発に投資することにした。
●DARPAは最近、世界最大のミサイル製造企業であるレイセオン社と、世界最大の軍需産業であるロッキード社と契約を結び、1発約180億円で空中発射の超超音速兵器開発を支援することとなった

●DARPAの関連webサイトは、「本契約による技術デモにより、対処に時間的余裕のない、又は強固に防御された目標を、遠方から素早く攻撃する新しい手段獲得の道を開く事を追求する」と目的を説明している
●なおロッキード社は今年初めに、超超音速技術に「breakthrough」があり、米軍には超超音速偵察機に活用可能性を提案していると明らかにしていたところ
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この兵器は、「エアシーバトル」と共に注目された兵器です
hypersonic5.jpgエアシーバトル自体は、その名称から予算確保に危機を感じた陸軍及び海兵隊からの横やりで名称が抹殺されてJ-7に埋葬され、中国本土への攻撃は危険だと主張する元海兵隊員ハメスらの「オフショア・コントロール論」の台頭騒ぎを招きました。

しかしゲリラ戦術で「エアシーバトル」の本質追究を続けたWork国防副長官らの努力により、より大きな「第3の相殺戦略」として中国の軍事脅威に対処する兵器の追求が復活し、この超超音速兵器も日の目を再び見ることになりました

陸軍や海兵隊との予算争いは続くモノの、新たに「Crossドメイン」や「Maltiドメイン」とのコンセプトを打ち出すことで、残存性の高い軍種の特性を生かした統合作戦の方向性も煮詰まりつつアリ、トランプ政権にも何とか上手く引き継がれる事を願うばかりです

超超音速兵器の関連
「超超音速兵器の脅威が大きな話題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-19
「あのLM社も積極投資」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11

Cross-domain能力を追求
「ハリス長官がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「副長官が米空軍の尻を叩く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28

エアシーバトルの悲しい運命
「米国防省エアシーバトル検討室廃止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-22
「CSBA講演:ASBは潰された」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-27
「対比:ASB対オフショアコントロール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-24
「ASB批判に5つの反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-17

追伸・・・最近、元陸将の「用田」とか「渡辺」とかが大昔の2015年春にCSBAを訪問した際に受けたブリーフィングを大宣伝する論考を出したりしていますが、第一列島線防衛に地上部隊を活用するオフショアコントロール論的な思想に「お上りさんハイ状態」で大感激して大宣伝している様子が滑稽です。

エアシーバトルを練り上げた前CSBA理事長クレピネビックが4軍のパイ争いとCSBA運営に疲弊して去り、シンクタンクとして生き残るために商売しているCSBAに抱きついて包容するなんて・・・

名前が抹殺されようとエアシーバトルの本質をゲリラ戦術で追求し続け、核戦力抑止と通常戦力抑止が両輪であることを大前提として再確認しつつ、次期爆撃機B-21や超超音速兵器や「第3の相殺戦略」を追求するWork副長官らの志も十分理解しないで、総花的な国防費数倍増を訴え、陸自の組織防衛を企てる元将軍の姿が悲しいです・・・

約60年ぶり:米空軍で下士官のソロ飛行 [米空軍]

下士官操縦者:何の問題もないじゃないか!

SoloF2.jpg3日、操縦者不足に悩む米空軍が開始した下士官へのパイロット教育コースの初級課程で、2名の1等軍曹がセスナ型練習機で初の単独飛行を行い、約60年ぶりの米空軍における下士官ソロ飛行となりました。

この2名は将来有人機の操縦者を目指しているわけではなく、攻撃任務を持たないRQ-4グローバルホーク無人偵察機の操縦者として、10月12日に開始された下士官用養成コースの第1期生4名の中の2名で、士官操縦者の同僚20名と共に教育を受けています

米空軍は無人機操縦者の不足問題への解決策として、2015年12月にRQ-4に下士官操縦者を導入することを決定し、千名以上の希望者の中から12名を要員として選定して段階的に教育訓練を開始しています。

4日付米空軍web記事によれば
●2名の下士官訓練生1等軍曹の「Alex」と「Mike」(フルネームは非公開)は、コロラド州の訓練基地で初級練習機(DA-20 Katana)による初の単独飛行を行った。「IFT:Initial Flight Training課程」の一環である
●RQ-4操縦者を目指す下士官操縦訓練生は、IFT課程を修了した後、「無人機計器飛行資格コース」と「無人機基礎コース」をテキサス州の基地で履修し、加州のビール空軍基地でRQ-4操縦の「基礎資格取得訓練」を受ける予定で、全て併せて約1年間のコースである

SoloF.jpg1912年に2名の米陸軍パイロットが初めて誕生したが、その中の一人が1等兵だった。その後のWW1やWW2では、数千人の下士官操縦者が訓練を受け任務に就いており、最終的に空軍准将で退役したChuck Yeager氏(初の音速突破で有名)も下士官操縦者としてのスタートだった
1961年までは、士官候補生の操縦者コースがあり、下士官として操縦資格を得たものは士官に任官する制度が存在していた。

●約60年ぶりで下士官単独飛行を行った1等軍曹「Mike」は、「空軍兵士には多くの機会やチャンスが与えられており、何かやりたいことがあれば達成可能だ」と20分間の初単独飛行の喜びを語り、「Alex」は「興奮しているがこれが終わりではない。集中を切らさず、全課程を修了できるよう努力する」と決意を語っている
●なお、第1期生4名のうちの1名は、医学的な理由によりコースを離れることとなった
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「Katana」との機種名が妙に気になりますが、それはさておき・・・

9月に米空軍報道官は、「2020年までに、RQ-4の操縦資格を持つ198名のうち、半数を超える操縦者は下士官となり、(将来的には)実際に日々の任務飛行を行うRQ-4操縦者の約7割は下士官となるだろう」と発言しています

RQ-4 Misawa4.jpgまた、他の攻撃型無人機への下士官操縦者採用については、「操縦訓練を行う下士官の様子から、下士官操縦者を他の無人機に導入するかどうかの資を得ることになる」、「RQ-4以外に下士官操縦者を拡大するかを語るのは時期尚早」とコメントしていますが、サイバーや宇宙分野で下士官が士官と同様の仕事をしていることや、無人機の操縦者不足に他の妙薬がないことから、採用拡大は既定路線でしょう・・・

9月の記事に続き、再度言わせて頂きます!
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13-1
●日本もRQ-4を3機導入しますがどうするんでしょう? 米国の下士官と日本の下士官は能力に差があるから、日本では下士官に操縦させないというのでしょうか?

日本の法制下ではより迅速に高度な判断が求められるから、戦闘機を始めとして操縦は士官でないとダメだというのなら、イラクのサマワの最前線で、実弾を装填したチームを率いて現場を仕切った立派な中堅下士官が多数活躍した陸上自衛隊とは異なると言うのでしょうか。南スーダンでも・

単に日本の士官操縦者の中にある「縄張り防衛意識」や「選民意識」や「手当も含めた特権意識」が、変化を阻害する根底にある・・・と考えるのは私だけでしょうか???

米空軍は無人機操縦者に苦しみ中
「RQ-4操縦者の7割が下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13-1
「RQ-4操縦を下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-19
「問題点と処遇改善の方向性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-11

海軍無人機関連の記事
「誰が海軍無人機を操縦するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-14-1
「映像:MQ-4初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-23
「グアム配備MQ-4トライトンは今」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-05

米空軍が軽攻撃機の有用性確認を開始 [米空軍]

Paolu.jpg6日付Defense-Newsが、4月に米空軍が新技術や新戦略を検証するために立ち上げたミニ組織が、仕事始めに2つの課題に取り組もうとしていると報じ、その一つであるA-10攻撃機を補完する「軽攻撃機」の有効性を検証するため、複数の機種を調査確認していると紹介しています

オハイオ州Wright-Patterson空軍基地にある米空軍研究所(AFRL)内に設置された「Strategic Development Planning and Experimentation Office」は米空軍が限られた予算をどの分野に投資するかを判断するため、演習やシミュレーション等を通じて技術や戦略を確認しようとする15名程度で構成された組織です

4月の記事で本検討室を紹介すると
Pawlikowski6.jpg米空軍が過去1年かけて実施した「Air Superiority 2030」やWork副長官を中心に進められている「third offset strategy」に歩調を合わせ米空軍全体を統一した戦略計画を策定して空軍を導こうとするもの
●「技術分野」に特化したものではなく、作戦運用から兵站、ハードからソフト面まで含む検討を行って米空軍指導層に結果を報告するもの

10名程度の軍人と文民を核とし、更に米空軍内の作戦運用や兵站や計画部門のエキスパートを加え、ソフトとハードの両面から提言
●担当空軍大将は「戦略開発を活発化させる。third offset戦略とも緊密に連携させ、戦略長期計画と将来作戦運用概念も絡め敏捷性を重視」、「空軍の全ドクトリン専門家と前線の作戦運用者を結び付け(marry up)、今後30年のニーズを踏まえ、新技術をデモやウォーゲームや実験を活用して確認し投資につなげる」と説明

●この組織設置の背景を同大将は、「米空軍が長く対テロに集中しすぎ、また組織変更も相次いだことから、戦略的な思考過程を経ずに目先の装備品開発に没入しすぎた反省を踏まえている」と解説
●本検討チームを支える実験やモデリング検証の予算は既に確保されており、エネルギー兵器や超超音速兵器等の可能性を探る取り組みとなろうとも同大将は語った

最初の検討課題の一つは軽攻撃機
Blackhurst.jpg●同検討室長のJack Blackhurst氏は、「複数の軽攻撃機製造企業と協力し、一連のテスト飛行を行っている」と語り、検証実験は135日に渡るもので、軽攻撃機がA-10攻撃機を補完する有用で低コストの選択肢かどうかを判断する資を提供すると述べた
米空軍はA-10を早期退役させ、その整備員をF-35整備員に活用したい意向を持っていたが、議会等からの激しい抵抗で少なくとも2022年までは退役を延期することとなっている

●米空軍のJames Holmes戦略計画部長は、軽攻撃機がA-10の後継機ではなく、あくまでも補完機だと語り、老朽化で維持費が高騰するA-10継続運用費負担を軽減するため、多くのオプションを空軍リーダーに提示している
●その中には、アフガン空軍に提供した「A-29 Super Tucano」、A-29とアフガン提供機を激しく争った「AT-6 Wolverine」、また次期練習機候補の一つである「Alenia Aermacchi M-346」等があり、A-10でなくとも対処可能な過激派対処に活用する事を想定している

●15名で構成される検討室は、秘密事項である検証の様子の細部に言及しなかったが、米空軍リーダーが厳しい予算の中で投資の焦点をより細かく絞るために設置され、今後30年間の航空優勢獲得を確かなものにすべく活動する
A-10 turn.jpg●「軽攻撃機」を含め、2つの検証対象分野を同検討室は考えており、もう一つについても承認が得られれば検証実験棟を開始する予定である

1990年代以前は、装備品を具体的に製造する前に、もっと盛んに実験や試験を行い、技術やコンセプトの有効性を確認してから具体的製造に移行していた。
●この時代に立ち戻り、事前検証やシミュレーションやプロトタイプによる有効性確認プロセスを活性化し、製造ラインを稼働させる前に確認しなければならない。
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4月にこの検討室立ち上げが発表された際、空軍研究所を所轄するPawlikowski司令官は、「エネルギー兵器や超超音速兵器等の可能性を探る取り組み」を検証することを想定していたようですが、目の前の「航空機もの」が最初の検討対象になっていることに危惧を覚えます・・・

もう一つの検討対象が気になりますが、今後の報道や発表を待ちましょう。米空軍研究所(ARFL)という、セクショナリズムと既得権と、頭の固い研究者が多数いそうな組織の中で、どれだけ先見性を発揮できるかに注目です

A-29 軽攻撃機の映像


「映像解説A-29」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-02
「泥沼化:アフガン軽攻撃機の選定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-23

関連の記事
「ケンドールが航空機投資を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-25
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

Third Offset Strategy関連の記事
「CSISが特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「相殺戦略を如何に次期政権に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15

米空軍無人機部隊がネット切断の恐怖体感!? [米空軍]

SIPRnet.jpg9月9日、米空軍無人機運用の中核であるCreech空軍基地で非公開情報を扱う米空軍内部のネットシステム「SIPRnet」に原因不明の故障(a failure)が発生し、米空軍側は無人機による攻撃行動に影響はなかったと弁明するものの、最近相次ぐ中東での「誤爆」事案もあり、疑惑を生む結果となっています

最初にCreech空軍基地「SIPRnet」の故障を取り上げたWebニュースサイト「BuzzFeed News」は、このトラブルを作戦運用とは全く関係のない米政府の契約関連webサイトで察知し、10月12日に報じて米空軍に問いただしたところ、13日になって米空軍報道官が初めて故障発生の事実を認ており、この流れも疑惑に拍車をかけています

「SIPRnet」故障の原因は現在調査中で、単なる機材トラブルか、サイバー攻撃を受けたか等については不明ですが、同故障発生日に、米空軍は同基地に対し特別サイバーセキュリティ監査を10月に行うと発表し、システム使用者にログイン情報管理等を適切に行うよう注意喚起をしており、この措置との関連も疑惑を倍増させています

12日付BuzzFeed News記事によれば
●米空軍のMQ-1やMQ-9無人機攻撃を司るCreech空軍基地の「SIPRnet」に原因不明の故障を起こし、米政府の契約関連サイトによれば、未だ完全復旧には至っていない模様。SIPRnetは2重化され、非公開の目標情報や映像や電子情報を扱うネットワークであり、インターネット世界には接続されていない
●米空軍戦闘コマンド報道官のSingleton少佐は、「原因調査が現在行われている」とのみ述べている

SIPRnet2.jpg●ネバダ州のCreech空軍基地は「目標殺害の拠点」と呼ばれ、衛星通信で結ばれた無人攻撃機を、シリア、アフガン、パキスタン、ソマリア等々で飛行させ、アルカイダやISIL戦闘員への攻撃を操作し、併せて情報収集も行っている。
●9月9日の原因不明トラブル以降、シリア、アフガン、ソマリアで「誤爆」と考えられる事案が連続して報じられたが、同空軍報道官は「同ネットに問題が発生しても、MQ-1やMQ-9の作戦飛行に問題はない」と説明している

●「誤爆」が疑われている事象には、停戦合意期間中の9月17日にシリアで62名のシリア兵が空爆され死亡した事案、9月28日にアフガンで15名の民間人が空爆され死亡した事案、更に同日、ソマリアで22名のソマリア政府が非戦闘員だと主張する22名が殺害された件がある。

●BuzzFeed NewsがCreech空軍基地の「SIPRnet」事案を察知したのは、10月初旬の政府契約関連情報サイトに「9月9日にCreech基地のSIPRNetに障害が発生し、主要サービスが影響を受けた。同サービスは当座の対処で復旧したが能力の完全回復には至っていない。バックアップシステムもない状態」と掲載されたからだ
●関連は不明だが事案発生の9月9日に、米空軍は静かに、Creech空軍基地が10月にサイバー特別査察を受けると発表し、システム使用者にログイン情報管理等を適切に行うよう注意喚起をしている

●なお、Creech空軍基地でも使用されているより情報管理が厳しい「JWICS」に対する「SIPRnet」事案の影響については不明である

13日空軍報道官は作戦運用への影響を否定
●13日、米空軍戦闘コマンド報道官のSingleton少佐は、「今回のSIPRnetトラブルと、無人機による攻撃事案とは関係が無い」と述べ、9月9日のSIPRnetトラブルは現在も調査中であるが、同トラブルの影響については細部に言及しないとし、「現在同基地のネットワークは回復して稼働中」だと説明した
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SIPRnet3.jpg怪しい匂いがプンプンしますが、これ以上何ともコメントできません。
しかし、ネットワークに依存する米軍幹部は、この事象を聞いて「来るべきものが来た」と感じたのではないでしょうか?

またネットワーク依存の恐ろしさと、サイバー攻撃の恐怖を様々に感じているのでしょう。
そして世界中の軍事関係者が様々な形で本事案を分析し、様々に対応を考えるのでしょう。続報を待つことといたしましょう・・・もう情報は出てこないかも・・・。

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