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米軍基地に民間ドローンの撃退権を付与!? [米国防省高官]

small drones2.jpg7日、米国防省のJeff Davis報道官が、国防省として米軍基地に脅威となる個人や商用ドローンに対する新たな対処指針を決定したと明らかにし、7月中に非公開規定として既に各軍種に通知されていると語りました。

小型ドローンが一般社会でも気軽に購入できるようになって急速に普及し、ISISがイラクやシリアで兵器として使用して大きな脅威となっていることをご紹介してきましたが、今年に入り、核兵器を担当する軍幹部や米空軍幹部を中心に、米国内の米軍基地にもドローンへの対処権限を与えるべきだとの声が上がるようになってきました

今年3月には、ICBMサイロやSSBN等を預かる米戦略コマンドのHyten司令官が、ドローンの急速な普及に比し、対策が極めて遅いと政府に訴え、米空軍ACC司令官は7月、F-22基地への小型民間ドローンの侵入とF-22への異常接近事案を取り上げ、基地司令官には何の対処権限もない状態に危機感を訴えていたところです

とりあえず、新規定関連の報道をご紹介しておきます

7日付Defense-New等の報道によれば
ISIS drone.jpg●7日、Davis報道官は、新たなどローン対処政策は7月中に各軍種に通知されており、7月4日には米軍基地が所在する自治体や地域コミュニティーに対し、どのように新方針を知らせて協力を得るかに関する、これまた非公開のガイダンスが各軍種に配布されたと説明した
●また報道官は対処政策の概要について、「米軍基地内でドローン等が飛行した場合、自衛権の行使で対処する」「新たな指針は、これら脅威を止める行動、つまり、追尾、捕獲、機能不全、破壊等を可能にするものである」と説明した

●しかし米軍が、土地をリース借用しているような場合は単純ではない脅威でないドローンや空域の所有者が不明確なケースもありえるからだ
例えば、ノースダコタ州Minot空軍基地の周囲に広がる広大な150個ものICBMサイロの場合、サイロの土地は民間地主から借り受けているもので、サイロの間には農地や家畜の放牧場が広がっている。

●このようなケースでは、地主は農地や放牧場の管理のため、ドローンを利用することが増えているのだ。また昨年秋の段階では、Minot空軍基地の周囲のサイロ上空は、ドローンの飛行制限区域ではなかった

small drones.jpg●今回の新たな指針で、サイロ上空の空域の扱いに変化があったのかは定かでない。いずれにしても、新政策は133の軍事施設に適応される
●更に同報道官は、本指針は連邦航空局FAAや他の政府組織とも協議して定めたものだと述べたものの、個々の事象への対処については、その時々の状況によることになると慎重に語った

同日付Defense-Tech記事によれば
●関連する政府高官は「脅威の種類や程度に応じ、対処はおのずと異なる」と述べ、民間ドローンをどのような状況で「撃墜」できるかは大きなミステリー
●7月に発生したドローンのF-22への異常接近のような事例で、F-22がドローンを撃墜可能かと質問したところ、当該政府高官は「どのような戦いでも、武器使用は応分の範囲で行われることが原則であり、F-22による撃墜は過剰なキルだ」と語っている
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細部対処要領は非公開で、あくまで国防省が現下の国内法を根拠に「自己防衛:Self-Defense」の範囲で方針を示したものであり、現場が期待していたような単純明快で実行が容易なドローン対処指針ではないと思いますが、一つの進歩と見てよいでしょう

ISIS drone 4.jpg今後は、現場の反応や新規定では十分対処できない事例などを軍事メディアが追いかけると思いますので、そんな事例を通じて現代社会とドローンの折り合いを探っていくことになるのでしょう。

日本でも、早めに「縦割りのお役所仕事」の中で、色々な場面を想定して「頭の体操」をして置いて下さいね。オリンピックもあることだし・・・

無人機対処の関連記事
「海兵隊も対処に悩む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-17
「ACC司令官が対処権限を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-15

「イスラエル製を17億円で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-28
「DroneDefenderをご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30
「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1


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ロシア発注の旅客機を米国大統領専用機に? [米国防省高官]

Trump.jpg1日付Defense-Newsは、トランプ大統領が就任時から「贅沢で高価すぎる」と問題視していた次期大統領専用機にロシアの航空会社がボーイングに発注して製造されるも、納入前に注文がキャンセルされたモスボール保管中のジャンボ機が検討されていると報じています

ロシア人の手には一度も渡っていないから、盗聴器やスパイ機材が組み込まれている心配はないと関係者は懸命に説明しているようですが、寄りによってロシアの「お下がり」「新古機」ですか?・・・との声は当然上がっているようで、今後数多いトランプ絡みの話題の一つになりそうですのでご紹介して置きます

1日付Defense-News記事によれば
●事情通の情報筋はDefense-Newsに、ボーイング社と大統領専用機を扱う米空軍が、ロシアの民間航空会社「Transaero」が「かつて」発注した2機の747-8を売却する契約交渉の最終段階にあると語った。
●ロシアの「Transaero」社は2013年に同機をボーイングに注文したが2015年に倒産した。ボーイング社が製造途中だった機体を完成させ、現在は加州南部の飛行場で保管している。

Air Force Ones.jpg●同機体の経緯を知る関係者は、元の発注者であるロシア航空会社やロシア政府の手に同機体が手渡されたことは一度もなく、ロシア企業や政府が同機体に手を加える機会は全くなかったと強調している
●情報筋も上記関係者も、具体的な機体価格については厳しい交渉が進行中であることから一切コメントしなかった

●本件に関し、米空軍報道官は機体の出所には言及せず、「ボーイング社と2機の747-8を購入する交渉の最終段階にあり、間もなく契約するだろう」と質問に答えた
●またボーイング社報道官も、「Transaero」との関係や細部に言及することを避けつつも、「2機の747-8取引に向け精力的に交渉を行っており、ベストな価格と価値を提供することに集中している」と述べている

機体価格を巡るあれこれ
トランプ大統領はかつて、「俺が交渉したことで1000億円ぐらい節約した」と語っているが、ホワイトハウス関係者は「億単位:millions」の節約だと表現していた。
一般に、Boeing 747の値札は約420億円だが、個々のケースで様々な値引き交渉が行われている模様で、実際はかなり安いとも言われている。しかし米空軍が次期大統領専用機のトータル価格をこれまで公表したことがないため、価格や節約効果について議論することは難しい

B-747-8.jpg●航空コンサルタントのRichard Aboulafia氏は、米空軍が製造済みの機体を購入するのは理解できるが、大統領専用機において機体自体はほんの一部であり、例えば秘匿通信機材、ミサイルからの機体防御システム、核爆発からの防御など大きな追加投資が必要だ、と指摘している
●そして「値引き額については想像が難しいが、例えば機体価格が250億円で、15%値引きなどが考えられる。しかしB-747の製造ラインを数ヶ月停止させるコストも考える必要があるかもしれない」とコメントしている

●米空軍の調達を担当するArnold Bunch中将は5月段階で計画は予定通りで、年末までに2機の機体と設計費用を確保することになると語っていた
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決して怪しい話ではないようですが、トランプ大統領が主張している程度の経費節約や値引きが実現するかは微妙なようです。

まぁ・・・いずれにしても、ロシアがらみのネタとは、トランプ大統領のご機嫌を損ねないか気になります

トランプがらみの記事
「性同一性障害者を米軍排除」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-28-2
「国家宇宙評議会を設置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-08
「インドと軍事協議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-28

「サウジにTHAAD提供?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01
「空母のEMALSはだめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「F-35値引きはフェイク?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-25


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国防省技術評価幹部「レーザーにはまだ長い道が」 [米国防省高官]

「戦場でのレーザー兵器の使用はまだまだ先の話」
「Star Wars症候群という、過度の期待に困惑している」

CNN-laser.jpg日本の安全保障関係者の間で、18日にCNNがweb上掲載した米海軍のレーザー兵器試験の映像が話題となり、ツイッター上で「確かにスゴイ」、「ついにここまで来たか」、「北朝鮮の弾道ミサイルをブースト・フェーズで確実に仕留めるためにも、レーザー兵器の実戦配備を急ぐ必要が」とのコメントが添えられていますが、そんなに期待して大丈夫でしょうか?

偶然でしょうが、18日付米空軍協会web記事は、米国防省のコスト分析&諸計画評価局の首席次長の言葉を取り上げ、冒頭の「戦場でのレーザー兵器の使用はまだまだ先の話」だとバッサリ語る様子を紹介しています

なお同中将は前職が空軍特殊作戦軍司令官で、2016年には「2020年までにAC-130特殊作戦機にレーザー兵器を搭載したい」と超やる気満々の発言をし、試験用のAC-130を準備して差し出すなど、レーザー兵器に大きな期待を抱いていた人物です

Laser NG.jpgレーザー兵器は、電力さえあれば何発でも発射できる、一発の価格が安い、光速で目標に達するので多数の目標に同時対処が可能など、現在の中国やロシアや北朝鮮等々の脅威対処に最適な兵器として期待されています

一方で、「いつまでたっても完成まであと5年」と揶揄されるように、数十年に渡る研究開発を経た今でも、小型化、出力確保、安全性、作戦コンセプト等、まだまだ実戦配備や兵器化には時間がかかるよ言うのが「立場にある方の発言」です

ときどき予算編成の時期になると、打ち上げ花火のように期待を煽る映像や実験成果が公表されるのですが、冷静に見る必要があると思います

18日付米空軍協会web記事
Heithold.jpg●9月末に開催予定の今年3回目の「Integrated Air and Missile Defense Summit」に向け、国防省コスト分析&諸計画評価局の首席次長(principal deputy director of the Pentagon’s Cost Assessment and Program Evaluation)であるBradley Heithold中将は国防省が作成中のエネルギー兵器(レーザーを含む)活用の長期計画は完成が近づいているが戦場でのレーザー兵器の使用はまだまだ先の話であると語った
●また「レーザーの軍事的活用は大きな期待を背負っているが、Star Wars症候群という、過度の期待に困惑している」とも同中将は語った。

●Heithold空軍中将は、来年完成予定の国防省「Directed Energy Roadmap」は、脅威を分析し、エネルギー兵器の開発計画や作戦運用コンセプトを検討するものだが、同時に同文書は「現在のレーザー技術の現状を評価するとともに、前線の兵士や各軍種のニーズを満たすには、今後どのような進歩発展が必要かを分析するものでもある」と語り、各種の課題が存在することを示唆している
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技術担当国防次官は2016年9月
→レーザー兵器は万能薬ではない。戦力化を決断するレベルに至っていない
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12

米空軍研究開発担当大将2016年6月
→エネルギー兵器は第3の相殺戦略を決定づける兵器になり得るが、出力の大きいレーザー兵器を早期に手にすることは容易ではない
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

Laser 3.jpgかく言うまんぐーすも、レーザー兵器に多いに期待し、ファイバーレーザー等に注目したのですが、上記でご紹介した主要担当高官の発言により、急速に「きょうざめ」した次第です。

それでも重要な技術に間違いはありませんが、冷静に長い目で見る必要があることは、再度言わせていただきます

国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「レーザーの現状を冷静に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

Heithold空軍中将も昨年夏までは期待大
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06

CNNのニュース映像
https://twitter.com/CNN/status/887180857127129088 
http://edition.cnn.com/2017/07/17/politics/us-navy-drone-laser-weapon/index.html?sr=twCNN071817us-navy-drone-laser-weapon0119PMVODtop

こっそりと、3000記事を達成いたしました!
皆様のご愛顧に感謝申し上げます。
ご感想など頂けましたら幸いです!


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無人機の群れ第7世代機を今年夏に [米国防省高官]

Roper44.jpg7月号の米空軍協会機関誌が「Perdix Could be DOD’s Pathfinder:Perdixは米国防省の先駆者になる」との記事を掲載し、国防省SCO(緊急戦略能力開発室)が取り組む「小型無人機の群れ」試験・開発の状況を、SCO室長William Roper氏へのインタビューで紹介しています

2016年10月、1機の重量が300g以下の小型無人機「Perdix」を「103機」FA-18から投下し、群れとして運用する試験を行い、今年1月に初期成果の発表があったところですが、昨年10月の試験を行った第6世代無人機を改良した、第7世代機が今年夏には完了する事が明らかにされています

また2013年に研究が始まり、2015年に最初の試験を行った経緯など、なかなか興味深い「これまでの道のり」にも話が及んでいます。

市販部品を使用して創られた重量283g、全長16.5cm、翼長25.4cm、プロペラ長6.6cmの小型無人機「Perdix」と、「オープンアーキテクチャー」を存分に活用して国防省SCO(緊急戦略能力開発室)プロジェクトの「先駆者」にすべく奮闘するWilliam Roper室長の物語としても興味深い所です

7月号の米空軍協会機関誌によれば
Perdix2.jpg●Roper室長はインタビューに答え、第7世代目となる「Perdix」がこの夏にも完成すると述べ、約7ヶ月毎に新たな世代に進化している様子を、「政府のやるプロジェクトにしては上出来だろう」「スマホのように、継続してソフトとハードの両方を改良革新していくスタイルだ」と表現した
●また同室長は、幾つか最終的に固めていない仕様があり、全てをがちがちに固めないで使用者のニーズを反映できるように構えていると開発要領の違いを述べ、開発初期段階でパートナーに事業への関与のサインを求めず、何が出来るかが固まってきた段階でサインを求める形にしているとも説明した

●そしてラッキーナンバーである「7」代目の「Perdix」が米軍全体で受け入れられれば、開発手法と製造と部隊配備の面で、国防省SCO(緊急戦略能力開発室)の他のプロジェクトの「先駆者」となろうだろうと室長は語った
●昨年10月の試験であられたデータは膨大で分析評価が続いているが、「群れ」を自立的に制御するソフトは期待した役割を果たしたと評価している。群れから離れた無人機と他機が意思疎通し、再び群れに融合させる仕組みが確認できた等、人間が指示しなくともチームとして機能する喜ばしい結果が出ていると室長は述べた

Perdix.jpg●今は様々な教訓を踏まえ、何を「Perdix」に搭載するかも考え始めている。考えるのが楽しい仕事だ。監視任務は当然出てくる話だろうし、無人機MQ-1やMQ-9が出来ない場所の偵察監視を「Perdix」が担うことは可能だとRoper氏は語った
●しかし偵察監視だけじゃ無い。ただ新しい技術は奇襲的に用いるのが軍事的成功の鍵でもあるので、具体的な活用任務エリアについて同室長はこれ以上語らなかった

●国防省SCO室は、次々と今後現れるであろう新技術を「Perdix」にどんどん投入し、「オープンアーキテクチャー」を最大活用して改良し続けたいと考えている。
●そこで、従来のように一度に10万個購入して保管し、10年間少しづつ取り出して使うのではなく、改良を続けながら少量づつ購入する方向に向かいたいと同室長は例を出し、この方面でも語った「Perdix」を先駆者にしたいと語っていた

2016年10月試験映像


開発開始当初の様子
●2013年に開発が始まり、2015年に加州のエドワーズ空軍基地で試験した際は成功とは言えなかった。民生部品を多用した「Perdix」が、高速で低温の上空を飛行する航空機から投下することに耐えられるか確認するため、極地に同機を持ち込んでマイナス35度に耐えられるかを確認したりした。
●また民生部品は個々の部品重量が微妙に異なることから機体重量にバラツキが生じ、ソフトで柔軟対応が出来るように対応する必要があった。しかし基本的に乱暴な扱いにも耐久性がある事が明らかになり、興味を示した海兵隊で最初の試験を行った

Drone-mal.jpg反応しなくなった無人機には「kill signal」を出して使用しない。2016年10月の試験では、60秒間反応が無ければ破棄信号を出した。初期段階の試験では、寒さや通信途絶等から故障する無人機も多かったが、昨年10月の試験では9割以上の「Perdix」が運用可能だった。
●この背景には、民間企業の大量参入で小型無人機技術が急速に進歩していることがある。各種装置の小型化、信号処理装置の耐久性向上、バッテリーの能力向上等々、厳しい環境でも安定して動作する部品研究に、民間分野で多額の投資が行われているからである

●その耐久性が証明されるにつれ、海兵隊だけで無く、米海軍も空軍も特殊部隊も、皆が関心をこの技術に示していると同室長は語っている
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「無人機の群れ」プロジェクトは、今年1月の初期成果発表を受け当時のカーター国防長官が、「第3の相殺戦略」の一環であることを強調しつつ、「敵に一歩先んじる最先端の技術革新だ」と高く評価するコメントを出しているように、無人機活用の大きな力点・焦点ですので注目したいと思います

Roper4.jpgついでに言えば、次世代を担う若者に無人機の性能や特性を学ばせ、新たなアイディアを募るため、国防省DARPAがスポンサーとなり、米軍の陸海空軍士官学校の「無人機の群れ」対抗戦を今年4月に行ったぐらいの力の入れようです。

更に言えば、Roper室長はこの春、米空軍協会で講演し、「米軍の中で、米空軍が無人機の群れに一番消極的だ」と非難しており、職域やポスト防衛を図る操縦者の姿が浮き彫りになっています。そう、これは改革・変革へのリトマス試験紙の性格を持つプロジェクトでもあります。

無人機の群れ関連の記事
「3軍の士官学校が群れ対決」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-26
「国防省幹部:空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1

「無人艇の群れで港湾防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10
「米空軍が小型無人機20年計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-18

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国防省No2ポスト承認とNo3ポスト推薦 [米国防省高官]

Lord3.jpg6月28日、上院軍事委員会が次の国防副長官候補であるボーイング社副社長Patrick Shanahan氏を、トゲのある質疑やコメントの後に承認し、上院の本会議に送りました。
現在は、Work副長官がオバマ政権時代から引き続き「つなぎ役」として努めている国防省No2ポストですが、後任者がやっと実質承認されたと見て良いでしょう。

またホワイトハウスは、米国防省のNo3ポストとも呼ばれる「調達兵站技術開発担当」の国防次官候補に、軍需産業「Textron」の前社長CEOであるEllen Lord女史を推薦すると明らかにしました。

なお、政策担当国防次官と並び、No3ポストと言われることが多い「調達兵站技術開発担当」次官ですが、実は2018年2月までに「調達兵站:acquisition and sustainment」と「研究開発:research and engineering」に分割することが法律で求められており、分割後の両ポストの役割分担や組織編制を定めるよう国防省は求められているところです

ご意見番:マケイン上院議員の御主張と併せ、今後も一波乱二波乱ありそうな、異例に進捗が遅い国防省「政治任用ポスト」アサインの様子をご紹介します

トゲトゲしい副長官候補への質疑
Shanahan4.jpg●候補者であるPatrick Shanaha氏との厳しいやりとりは、同氏が軍事委員会に先立って書面で提出した、ウクライナへの致死性防御兵器の提供に関する姿勢に対して行われた
●Shanaha氏が「仮に国防副長官に承認されたなら、既に強固なウクライナ安全保障への支援のオプションの一つとして、状況を精査して判断する」と記して文書を提出した。そして判断には、副長官に就任して初めてアクセスが可能になる、種々の情報が必要だと説明した

●この回答にマケイン委員長は不満を示し、不十分であり承認を拒絶する可能性を示唆し、「良くないで出しだ。この様なことを繰り返すようだと、上院軍事委員会での承認採決に進めない」と語っていた
McCain-NDAA.jpg●これに対しShanaha氏は書面を修正し、「私はウクライナへの致死性防御兵器の提供を支持する。米国は、ロシアの攻撃的な行為に対抗し、ウクライナ国民を支援するため、より多くを行う必要がある」との表現にして再提出した

●Shanahan氏を迎えた28日の上院軍事委員会でも、時にヒートアップするやりとりが見られた。またマケイン議員は、軍需産業の重役経験者が国防省の主要幹部に就任することを好まないとも発言した
●同議員は具体的に、「率直に言うと、あなた(Shanahan氏)が国防省取引の9割を占める軍需産業トップ5社出身である事をあまり喜べない」、「米国を建国した先達も、その様なことを期待しているとは思わない」とまで表現していた


調達兵站担当次官の候補者
Lord.jpg●2018年2月までに「調達兵站」と「研究開発」に分割することになっている「調達兵站技術開発担当」だが、ホワイトハウスの推薦発表によれば、「Textron Systems」前CEOのEllen Lord女史は、「調達兵站:acquisition and sustainment」担当次官の任務に推挙されている

Textron社CEOとして、Lord女史は「無人システム、精密誘導兵器、海洋装置、装甲車両、シミュレーション訓練、電子戦、情報ソフト等々を、米軍や諸外国と取引する業務を統括していた」とホワイトハウスの声明は明らかにしている
●この様な業務歴から、Ellen Lord女史が承認されたとしても、特定の意志決定には関与できなくなる(have to recuse herself from certain decisions in her new role)
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マケイン上院議員はShanaha氏の名前が最初に挙がった際、否定的な反応はなく、直接面識はないが種々の情報から好印象だとの反応だったので、途中で色々あったのかも知れません。
または、面識がないので最初に「強めのジャブ」を繰り出したのかも知れません

Lord2.jpg「Textron Systems」は世界の軍需産業で第18位にランクされる企業で、「知る人ぞ知る」有力軍需産業だそうです。
しかし軍需産業CEOの経歴が原因で、国防省の「調達兵站」における「特定の意志決定には関与できなくなる」ことを許容するのでしょうか? ふところ深すぎ・・・と言うか、仕事が出来なくなるのでは・・とまで勝手に心配してしまいます。

それにしても、マケイン委員長の「米国を建国した先達も、その様なことを期待しているとは思わない:That’s not what our founding fathers had in mind.」発言は強烈です。
でもEllen Lord女史は、大変「押し」が強そうな印象の方ですので、頑張って頂きましょう!

次の国防副長官の話題
「副長官候補にボーイング重役」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17
「次期副長官は膨大な業務大丈夫?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-18
「過去の副長官の分類」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15

前調達担当次官の記事
「将来航空機投資の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-25
「レーザー兵器に冷や水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「国防予算問題の鍵はF-35」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08

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お久しぶり!Work副長官が議会証言 [米国防省高官]

1月18日の送別式典以来のご発言
式典の様子→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-17
お声が聞けてうれしいです!!!

work AFA.jpg3日、Work国防副長官が上院予算関連小委員会で証言し、担当している調達技術兵站担当次官(AT&L)の分割検討と、サイバーコマンドの格上げに関する検討状況を説明しています。

何回かご紹介したように、国防省ではマティス長官以外の政治任用ポストが全く埋まっておらず、副長官や陸海空軍長官も空席のまま5月を迎えています。
そして「後任者が決まるまで留任する」ことになっているWork副長官は、山のような課題を背負って頑張っているわけですが、前政権で最も力を入れていた「第3の相殺戦略」について話を聞けず残念です。

それにしても・・・、対ISISや北朝鮮も大事なんですが、本格紛争に備え、米軍の技術優位を将来にわたって確保しようと、米国防省が1月19日まで取り組んで来た「第3の相殺戦略」はどうなったんでしょうか? 個々の部品事業は、各担当部署でそのまま進んでいるような気もしますが・・・。まぁ、その話題はまた別の機会に・・・

本日は断片的ながらお話が聞けるので、4日付米空軍協会web記事から久しぶりにWork副長官の議会証言を取り上げることにします・・。

調達技術兵站担当次官(AT&L)の分割検討
Work-Atlantic3.jpg●国防省は、調達技術兵站担当次官(AT&L)ポストを、研究開発担当と調達維持担当に分割するよう議会から命じられており、2018年2月1日が期限となっている。本件に関し、マティス国防長官に案を説明して了承を受け、前進できることになった
●国防省として、議会に提示できる調達技術兵站担当次官(AT&L:undersecretary of defense for acquisition, technology, and logistics)を2つのポストに分割する案が出来上がり、「10日以内」に議会と議論が開始できる

●研究開発担当の仕事は、「国防省におけるchief technology officerのような仕事」で、「迅速な要求装備の実現:rapid prototyping」を主に期待されるポストである

サイバーコマンドの格上げ 他のメジャーコマンド並みへ
Work-Reagan.jpg●2017年度国防授権法により、国防省はサイバーコマンドを(戦略コマンドや輸送コマンドや太平洋コマンドのような)フル・コマンドに格上げするよう命ぜられおり、2018年9月までに格上げ態勢で任務遂行が開始できるよう準備を進めている
●格上げ改編で焦点となっているのは「defensive」と「offensive」部門を設けることで、両者を機構に組み込むことで、我々のネットワークを監視しつつ、必要時に命ぜられれば、国家がその力を活用できるように編成する

●米軍が直面しているサイバー脅威に対処するには、人間の能力だけでは不十分であり、人工知能や「learning machines」の力を借りて撃退する必要がある。
●なぜなら我々には、我がネットワークを全ての脅威から防御するだけの十分な人員がいないからだ
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読んでいくと、自らに与えられた10数個の特別任務に取り組みつつ、しっかり持論である「第3の相殺戦略」の主要要素である人工知能や「learning machines」をアピールしています。

work farewell2.jpg早くてもあと1か月くらいは後任者決定まで時間が必要でしょうから、ネーミングはとともかく、しっかり「第3の相殺戦略」の神髄を各種施策に編み込んでいただきたいものです

しかしAT&Lポストに至っては、実際の人が配置承認されるまで、どれだけ時間が必要なんでしょうか? それまでどうするんでしょう・・・

追 伸
5月8日に空軍長官候補に対する承認投票が上院で行われます
空軍士官学校の女性3期生の元下院議員のこの方が候補者
「空軍長官候補」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24

追 伸2
陸軍長官候補者の2人目も5日に自ら撤退
http://www.militarytimes.com/articles/army-sec-mark-green-drops-out

関連の記事
「副長官の膨大な課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-18
「Work氏退任式典の様子」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-17

「米軍サイバー機関の問題や対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14
「サイバー脅威の変化と対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-21

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陸海空の士官学校が「無人機の群れ」対決 [米国防省高官]

米国防省の本気度が伺える競技会!

cadet-UAV.jpg23日付DARPAのwebサイトは、米国防省最高位の研究開発機関であるDARPAが「場」や「ハード」や基礎となる「ソフト」を提供し、将来の米軍を担う陸海空軍の士官候補生がチーム対抗戦方式で、空中戦や航空攻撃をイメージした「無人機の群れ対決」を行うと発表しました

これまでもご紹介してきましたが、軍事技術面での優位性が対中や対露で失われつつある事に危機感を抱く米国防省は、安価で能力向上が著しい小型無人機を「群れ」として使用する事を重要な手間の一つとして研究しており、取り組みの裾野を広げつつ若者の知恵を活用しようとの取り組みです

DARPAのweb発表は、無人機の群れの難しさを、「高度に自動化・自立化した無人アセットを実現することで、一人の操作者が複数の無人アセットを直接操作することないレベルを実現しつつ、目的とする行動を遂行させながら、群れの規模を拡大すること」と表現しています

この難しい世界に多様な士官候補生を呼び込み、将来の米軍の戦力強化や技術優位に繋げようとの競技会「Service Academies Swarm Challenge」の概要をご紹介します

23日付DARPAのwebサイト記事によれば
Swarm Chall.jpg23日から3日間、陸海空の各士官学校チームは、DARPAが準備した加州の州陸軍キャンプ内に競技会空間(縦横500m、高さ80mの空間)を確保し、40機の小型無人機(それぞれ20機の固定翼と回転翼)を使用した無人機の群れ対戦競技会を行う
各士官学校毎に約10~20名で編制された1チームが参加する。チームは理系も文系も含む多様な専攻の士官候補生で構成され、昨年9月の「基礎知識全くゼロ段階」から8ヶ月間で準備を進めてきた

競技会は2チーム毎の対決(30分の戦いを2回)方式の総当たり戦で行われ、固定翼無人機による空中戦評価と回転翼無人機の敵目標地域への着陸数評価、更に兵站面評価として最大同時在空25機の制限内で「launching as many UAVs as quickly as possible and keeping them aloft as long as possible」面から評価される
Swarm Chall2.jpg●DARPAは各チームに、小型無人機と操作装置、併せて基本的な無人機の群れ戦術とソフト、更に準備期間にバーチャル環境で戦術を検証するインフラを提供し、かつ準備期間の8ヶ月間、DARPA技術者が各チームの「戦術」成熟のため助言体制を整えた。これにより士官候補生は、「攻撃」と「防御」の「戦術」に集中して新たなアイディアを生み出す環境が与えられた

●一方で準備期間を通じ参加した士官候補生は、与えられた小型無人機を通じて、特有の課題(バッテリーの容量や大きさ、操作インタフェース等、持ち運びや管理の注意点等々)について、DARPA関係者から直接学ぶ機会を得る。
●優勝チームにはトロフィーが贈呈される
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大規模にやってますね・・・。うらやましい限りです
「無人機の群れ」は、我が有人機編隊に先立って敵防空網を混乱させたり、敵の防空ミサイルを「無駄撃ち」させたりして、相手にコストを背負わせる戦略の柱の一つだと思います。

Drone-mal.jpg結果を承知していませんが、空軍士官学校チームにもっともプレッシャーがかかったのでは・・・と推察します。

でも考えてみれば、地上部隊の防御や攻撃にも、艦隊の防御や攻撃にも活用できるのが「無人機の群れ」ですから、どの軍種にも役立つ技術なんですねぇ・・・

無人機の群れ関連の記事
「国防省幹部:空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1
「無人艇の群れで港湾防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19

「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10
「米空軍が小型無人機20年計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-18
「国防省戦略能力室SCOの主要課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10
「カーター長官のSCOアピール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03

米空軍や陸軍のRCO
「米陸軍もRCO設立」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-01
「次期爆撃機の要求検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-07
「謎のRQ-180」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09
「謎の宇宙船X-37B」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「国防長官がMC-12工場激励」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-02

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次期国防副長官は膨大な仕事をこなせるか? [米国防省高官]

Shahahan.jpg13日付Defense-Newsが、約1ヶ月前に次の国防副長官候補として名前が挙がったボーイング社副社長のPatrick Shanahan氏について、経験豊富で馬力もアリ、国防省のやっかいな検討事項を一手に引き受けている現Work副長官の後任として、機能するかを懸念する記事を掲載しました。

正確には「懸念する」と言うよりも、こんなに大変な仕事が待っていますよ、民間企業重役から国防省幹部になった例は幾つかあるが、成功例もあればそうで無い例もありましたよ・・・との「さらっと」した記事ですが、現Work副長官に課せられた仕事一覧が紹介され、その質&量に改めて唖然としましたので、国防省の課題や問題を整理する意味でご紹介します

ちなみに候補のShanahan氏は、3月16日に候補者として発表がありましたが、未だ正式に大統領から議会に承認手続き要求が為されておらず、今後急いだとしても副長官就任には数週間を要します。
なお、Shanahan氏の経歴等については、以下の過去記事をご参考に

「副長官候補にボーイング重役」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17

13日付Defense-News記事によれば
Shanahan4.jpg●いつShanahan氏が上院の承認を受け、国防省No2ポストに就任するにしても、2014年4月から副長官を務め(その前は海軍省次官を09年~13年努め、08年にはオバマ政権誕生時の政権移行海軍チームリーダー)て経験豊富なWork副長官の重く複雑な仕事を引き継ぐことになる。
まんぐーす注Work氏は02年から09年まで、シンクタンクCSBAで上級分析官から副理事長までを務め、George Washington大学で軍の役割や国防分析分野の教鞭も執っており、国防省の業務やその機構について、外側と内側から観察経験してきた人物である)

国防省高官によれば、Work副長官は現在11個もの主要なレビューや計画の責任者に当たっており、その代表的なモノは、
・米軍の即応態勢
・CMO(chief management officer)設置の検討
・米軍の医療保険制度改革
・サイバーコマンドの格上げ検討
・国防省の効率性・効果度改善のための組織横断チーム設置検討
調達技術兵站担当次官(AT&L)業務の分割検討 などなど

●上記の他に、トランプ大統領から国防省が指示されている複数の特別レビューも、実質的にはWork副長官が担っている。そのレビューには、
弾道ミサイル防衛体制
・核態勢見直し(NPR:Nuclear Posture Review
対ISIS戦略の見直し
F-35と大統領専用機(Air Force One)価格&コスト低減

Shanahan2.jpg●上記のレビューや諸検討の中には、後任副長官の就任までに終了しているモノもあるが、このリストが示すように、国防副長官には国防省内の様々な課題や官僚機構への理解が不可欠でアリ、国防省とのビジネス経験は豊富なものの、内部での勤務経験が無いShanahan氏に懸念を有する者も居る
●ゲーツ国防長官時に国防長官室長を務めたRobert Rangel氏(現ロッキード副社長)は、「組織課題や政府の行動特性、政治との関係、更に極めて複雑な予算構造を早急に学ぶ必要がある」と指摘している

●そしてRangel氏は、「ビジネス界での豊富な経験はもちろんプラスだが、その経験を国防省という全く異なる環境にマッチさせる姿勢があるかどうかが問われることになる」「成功例も見てきたが、そうでない例も存在する」と表現した
●議会で承認手続きを担うマケイン上院軍事委員長も心配を隠さず、「だから我々は軍事委員会でヒアリングを行い、その姿勢を問いただすのだ」と述べ、併せて、現在副社長を務めているボーイング社との関係を断ち切ることを確認する必要があると語っている

ボーイング社は現在、米空軍の次期練習機T-Xや次期ICBMの機種選定に名乗りを上げており、仮に承認を得たなら90日以内に政府倫理室と上院の定めた基準を満たすように、企業との経済的関係や利害関係を整理しなければならない
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Shanahan3.jpgShanahan氏に具体的な懸念事項があるわけではなく、一般的な懸念事項を説明した記事です。
巨大な官僚機構である国防省ですから、5月1日からの強制削減の可能性がある中、今も淡々と業務が進められているように何とかなるのでしょう。これまた根拠の無い見方ですが・・・

それよりも何となく気になるのが、「国務省」の方です。予算の大幅削減や軍人経験者が力を持つNSCの状態から、その士気が「ウナギ下がり」と良く見聞きするようになりました。
国防長官当時のゲーツ氏は、「国務省」予算の増額のためなら、全力で旗を振って支援すると繰り返し述べ、国防省と国務省が両輪として機能することの重要性を訴えていました

また如何に多忙でも、週1回は国務長官と直接会って、話をする機会を設けたと言っていたくらい、その関係を重視していました。国務省予算は今後の予算案審議の注目点でもあります。

「副長官候補にボーイング重役」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17

ゲーツ長官退任の辞より(2011年6月30日)
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-01
gatesSTART2.jpg国務省に関する私の見方は大きく進化した。私が国家安全保障評議会のメンバーだったニクソン政権時代、彼らの働きはお世辞にも褒められてものではなかった。私が公務に就いている期間の大部分で、国務長官と国防長官が相互に話しかけることがほとんどなかったぐらいである。
ライスとクリントン国務長官とは、この強力な2人の女性と話し合うだけでなく、助け合う同僚や良き友人として過ごすことができた。私は国務省の予算を増やすように大演説をしたいぐらいである。同時に米国の外交官、援助機関の人々等、世界各地でリスクを冒しながら世界や米国のために尽力する人たちに感謝したい。

おまけ:ゲーツ長官語録100選より
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

ロバート・ゲーツ語録39
→私が国防長官に着任したとき、特段これと言って何かを変えようとは思っていなかった。しかし最初の2年間で、私を困らせる国防省の仕組みを強烈に学ぶことになった。例えば・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17

ロバート・ゲーツ語録41
→(記者会見で)皆さんにとってペンタゴンは仕事がやりやすい場所ではなかったかもしれない。タイムリーで役に立つ情報を官僚組織から得ることはいつも困難を伴ったと思う。時に私だってそうだったから
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17-2

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シリア巡航ミサイル攻撃の裏側 [米国防省高官]

Chemical3.jpg7日、シリア空軍基地への米軍による巡航ミサイル攻撃について、匿名の米国防省幹部2名が記者団に作戦遂行までの生々しい背景をブリーフィングし、化学兵器が使用された数時間後、化学兵器の痕跡を抹消するため、負傷者が搬送された病院まで攻撃した邪悪な相手の存在を明かしています

7日付Defense-News記事が、匿名幹部2名の会見を整理し、攻撃までを時系列で紹介しているので概要を取り上げます

4月4日
現地時間午前6時50分→
(巡航ミサイル攻撃を受けた)Shyrat基地を飛び立ったシリア軍のSu-22と思われる航空機1機が、Kahn Sheikoumの町の通りに1発の爆弾を投下。「同機の飛行ルートと、攻撃時刻に上空通過したことを把握している」と幹部が説明

同爆撃跡クレーターを分析した結果、化学兵器特有の痕跡が確認された。ロシアとシリアは、反アサド派が占領する地域にあった化学兵器工場での爆発で被害が発生したと主張するも、国防省幹部は爆撃の痕跡からロシア等の主張を否定

現地時間午前7時→
Chemical5.jpg地元病院に被害者が搬送され、化学兵器使用の最初の情報が情報機関から入る。その直後、「アサド政権かロシアが使用する」小型無人機が病院上空に現れ、約5時間にわたり状況を偵察する様子が確認されている。

その小型無人機が帰還した直後、同病院は1機の固定翼機に攻撃された。「病院を攻撃した航空機の所属等に関する確たる情報はないが、何者かが、化学兵器使用の痕跡を抹消するため、被害者が運び込まれた病院を5時間も偵察した後に攻撃した可能性が考えられる」と同幹部は説明した

4月5日
トランプ大統領はマティス国防長官に対し、この化学兵器攻撃に対する軍事オプションを検討するよう命じた。
●国防省は複数のオプションを取りまとめてNSCに持ち込み、大統領補佐官や複数のスタッフ、ダンフォード統合参謀本部議長などが加わった複数のミーティングで選択肢が議論された

4月6日
Chemical2.JPG●NSC等での議論を経た最終的な提案が大統領に提示され、米国東部時間の午後には最終案が決定された
東部時間午後4時30分:::大統領が国防省に対し作戦実施を命ずる

同午後7時40分:::米海軍ミサイル巡洋艦「Porter」と「Ross」が、シリア軍Shyrat空軍基地に対し60発のトマホーク巡航ミサイルを発射。うち1発が射出しなかったため、代替の別ミサイル1発を発射。なお、発射したミサイルが飛翔中、1発は正常に飛翔せず海没したため、59発での攻撃となった
同午後8時40分:::59発のトマホークがすべて目標に着弾。各ミサイルはすべて異なる目標をアサインされていた。

何を攻撃し、何を攻撃しなかったか
Chemical4.jpg攻撃対象となったのは、シリア軍施設とシリア軍機。燃料施設、格納庫、弾薬庫、ロシア製地対空ミサイルが攻撃され、シリア軍機約20機も破壊された。細かな攻撃成は不明 ●攻撃を避けた対象は、化学兵器庫、滑走路、ロシア軍兵士や装備。化学兵器庫は周辺への影響を避けるため、また滑走路は兵器がトマホークであったことや「反撃強度の適切度:proportionality」を考慮して目標にせず

ロシアへの態度
●同空軍基地には約100名のロシア軍兵士と装備が展開していたが、これらを攻撃にないよう配慮された。また攻撃に先立ちロシア側には、同基地のシリア軍施設にトマホーク攻撃が行われることが通知され、誤解が生じないよう措置された

Chemical.JPG●匿名の国防省高官2名はブリーフィングにおいて、ロシアと化学兵器攻撃を結びつけないよう慎重に配慮していた。しかし両名はその表現ぶりで、攻撃対象基地に化学兵器貯蔵施設が存在し、ロシアがその存在を承知していたであろうと示唆し、病院への爆撃に関してもロシア関与の可能性を否定しなかった
●「我々はロシアの化学兵器専門家がシリアに所在することを知っている。ロシアとシリア政権間の緊密な関係についてここでは言及しないが、シリアの化学兵器能力に関与するロシア人関連情報を慎重に分析している」、「化学兵器使用へのロシアの関与を示す証拠は現時点でないが、全ての情報を分析している。まだ分析中だ」と語った
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ロシアは米国を批判し、中東情勢への影響も極めて大きそうですが、トランプ政権の外交姿勢を知るうえで、バノンを排除した安全保障チームの考え方を知るうえで非常に興味深い今後の展開です。

米中首脳会談の分析で盛り上がるはずの週末でしたが、中東政策やロシア政策も含めて「てんこ盛り」となりました

長島昭久議員の「民進党離党」も横眼で眺めつつ、ゴルフのマスターズを忘れるわけにはいきませんし、桜も今週末が最後だろうし・・忙しい週末になりそうです

トランプ政権の国防指針は???
「新政権下で米軍の権限拡大中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-03
「対ロシアの情報戦に国家として」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-24
「戦略軍が21世紀の抑止議論を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「リバランスは終了:それで?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「政治任用で決定は長官一人のみ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-13

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国防副長官候補にボーイング上級副社長 [米国防省高官]

Trump Mattis.jpg16日、トランプ大統領が国防省の政治任用ポストである「国防副長官」「政策担当筆頭次官補」「本土及びグローバル安全保障担当次官補」などの候補者を発表し、副長官ポストにはトランプ大統領との親密な関係が話題のボーイング社副社長の名前が挙がりました

先日、「政権発足後、2ヶ月経過でも長官以外ポストが埋まらない」とご紹介しましたが、遅ればせながら、マティス長官とホワイトハウスの衝突が伝えられつつも、国防省報道官が公式には「マティス長官から大統領に推薦があった優れた能力を持つ人物」と表現する人材の指名が始まりました

細部の人物像などは不明ですが、「国防副長官」と「政策担当筆頭次官補」の候補について、とりあえず経歴等を各種報道等から寄せ集めてご紹介しておきます

Patrick Shanahan国防副長官候補
Shahahan.jpg現在はボーイング社のサプライチェーン担当の上級副社長であるが、直前まで民間旅客機部門の副社長として、ボーイング社の主要旅客機B-737, 747, 767, 777 and 787プログラムを統括していた
●また、同社でミサイル防衛システム担当副社長や回転翼部門の副社長の経験も積んでおり、CH-47、AH-64Dアパッチ、V-22 Osprey計画を扱った経験を持つ

●更に、国防副長官としての重要職務となるであろう技術革新分野に関連し、航空機搭載レーザー計画(airborne laser program)に携わっていたこともある
●ボーイング社の報道官は「流動的で困難な国防環境において、強いリーダーシップを必要としている国防省にとって、Shanahan氏が引き続き力強い指導力を発揮するモノと信じて疑わない」とのコメントを出している

ボーイング社とトランプ大統領は、出だしこそ次期大統領専用機「Air Force One」計画の価格を巡り緊張関係に至ったが、(米海軍F-35の代替として改良型FA-18の可能性に大統領が言及するなど、)最近ではボーイングが大統領のお気に入り企業になっているようにも見え、そんな雰囲気を象徴するモノだとの指摘もある
●また、Shanahan氏がミサイル防衛分野に見識があることから、トランプ氏のミサイル防衛重視政策に適しているとも指摘もある

マティス長官とホワイトハウスの政治任用ポスト指名を巡る対立は、今や「公然の秘密」となりつつあるが、その元凶がトランプ政権側で国防省人事を担当しているMira Ricardel女史だと言われている。同女史は将来商務省で重要ポストに就くと言われているが・・・
一方、国防省のJeff Davis報道官はこれら候補者発表に際し、「マティス長官から推薦があった高い資質を持った人材ばかりでアリ、大統領に候補者として推薦をお願いしたモノだ」と表現している

David Joel Trachtenberg政策担当筆頭次官補
Trachtenberg.jpgマティス長官はこのポストに、キャリア外交官で元エジプト大使のAnne Patterson女史を希望していたようだが、複数の共和党上院議員が(同女史のモルシ前エジプト政権との近すぎた関係等を問題視し、)反対したことから、断念せざるを得なかったようだ
●Trachtenberg氏は、国家安全保障に関するコンサルタント会社のトップで、下院軍事委員会のスタッフ経験もある

●なんと言っても、2001年から03年の間、2代目ブッシュ政権で国際安全保障政策担当の筆頭次官補代理を務めた経験を持ち、国家安全保障分野の調査会社で戦略分析部長や副社長を務めた経験もっている
2015年、Defense-Newsに論考を寄せ、その中で、ロシアの横暴で反米国的で挑発的な国際社会での振る舞いを警告だと位置付け、米国の核政策の再考を促す主張を展開した。

国防省が核態勢見直し(NPR:Nuclear Posture Review)に着手するタイミングにある事を踏まえ、核政策の専門家の中にはTrachtenberg氏しのこれまでの発言を懸念する者も居る
●専門家の一人であるStephen Young氏は、「NPRを起案する立場につく人物が、戦略的安定性を信じない人物である事を大いに懸念する」「ロシアとの間に課題を抱える現状を思うとき、ミサイル防衛を強く持ち出す事は、問題を大きくするだけではないのか」と憂慮するコメントをしている
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マスコミ的には、候補者の選定で多いに揉めてくれた方が話題になって面白いのでしょうが、世界情勢を考えれば、みんな仲良くやって頂きたいものです

しかし・・・「第3の相殺戦略」を初めとする、カーター&Work組が精力を傾けた種々の施策は、どうなっていくのでしょうか・・・心配です・・・

政権交代と国防政策
「まだ政治任用マティス長官だけ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-13
「リバランスは前政権の用語よ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「相殺戦略を如何に次期政権に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

Work副長官の活躍関連
「次の副長官を考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「Work副長官を讃える言葉」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-17
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

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未だ政治任用決定はマティス長官だけ:大丈夫か? [米国防省高官]

Poli-appo.jpg11日付Military-Times紙が、トランプ政権発足後2ヶ月が経過しようとしているが、米国防省内の政治任用ポストで上院の承認手続きまで終了したのは、マティス長官ただ一人(Work副長官は当面留任のため承認不要)だと報じています

この遅れは国防省に限ったことではないようですし、現時点で国防省の業務に大きな影響が出ているとの声はないようですが、遅れていることは確かで、懸念事項もあるようなのでご紹介します

陸軍長官と海軍長官が辞退し、順調だと思っていた空軍長官も、まだ正式に議会に推薦されていないとか・・・気になるところです

11日付Military-Times紙によれば
●トランプ政権発足後2ヶ月が経過しようとしているが、トランプ大統領就任の数時間後に職務に就いたマティス国防長官以降、誰一人として政治任用ポストに承認された者は居ない
Work-Atlantic3.jpg●公にはなっていないが、マティス国防長官とホワイトハウスの間で、人選を巡り対立があるとのとも言われており、後任者が決定するまで留任することを明らかにしたWork副長官以外の候補者がなかなか明らかにならない

新政権はこれまでに4名の政治任用者候補を発表したが、そのうちの2名が辞退している。辞退したのは陸軍長官候補だったVincent Viola氏(現ビジネスとの兼ね合い)と、海軍長官候補だったPhilip B. Bilden氏(同左)である
●元下院議員のHeather Wilson女史は空軍長官候補だと発表されたが、大統領は上院に正式な承認手続き依頼を提出していない。また7日にホワイトハウスは、国防省法務官にJohn J. Sullivan氏を候補とすると発表したばかりである

政党の変化を伴う政権交代例を振り返るとオバマ大統領は就任時にゲーツ国防長官の留任を決定し、多くの政治任用ポストを早期に埋めていった。(またゲーツ長官も多くの職員の留任を求めた
●2001年にブッシュ政権誕生時も、ラムズフェルド国防長官は7月まで政策担当次官を決めなかったが、多くの前政権の上級スタッフが数ヶ月居残ることに合意していた。ラムズフェルド時代の統計では、政治任用ポストの登用には、政権内部の調整に70日、上院の承認に50日かかっている

経験者や関係者の懸念や見方
gatesSTART2.jpg●2代目ブッシュ政権時に国防省の予算管理官を務めたDov Zakheim氏は、手続きが全く遅れていると指摘し、4月中旬までに政治任用ポストが埋まらないのは異常事態だと表現した(上院での手続期間を考えれば、現時点で推挙されていなければ、早くても4月中旬には間に合わない
●そしてZakheim氏は、「特に東南アジアや欧州の同盟国にとっては深刻な事態で、日々の業務で頻繁に連携が必要な地域担当次官補代理の任命が夏までかかるようだと、様々な混乱や問題発生が予期される」と懸念を示した

●新政権発足に伴い議会等に諸報告が求められおり、また対ISISやアフガニスタン作戦も難しい状況にあるが、現時点で国防省内に大きな混乱があるようには見えない
●ただ大統領は、対ISIS戦略やミサイル防衛計画、更に即応態勢改善策の計画作成等、複数の重要施策の再検討を命じており、主要な政治任用ポストの不在を長期間にするわけには行かない。また既に議会の軍事委員会でも、「核政策に関する質問をする相手がいない」等との不満の声が上がり始めている

●クリントン政権時の政策担当次官Walter Slocombe氏は、政治任用者の審議は政治的な駆け引きの場となりがちで、長く続けて良い事は無いと警告している。そして「政治任用者以外の国防省職員が、当面の業務を遂行し、大きな穴を空けることなく国防省を走らすことは可能で、危機対処も行うが、政策立案をリードすることは出来ない」と語っている

Rumsfeld.jpg●あまり表面化していないが、マティス長官と政権の間に、幾つかのポストを巡る対立があるようだ。例えば長官は政策担当次官に、エジプトやパキスタン大使を務めたキャリア外交官Anne W. Patterson女史を希望しているようだが、かなり揉めているようだ。前エジプト政権との親密さが問題となり、与党の共和党内にも反対意見が根強い
●この他にも重要ポスト、予算担当、情報担当、兵站調達担当、技術開発担当、人的資源担当などなど、昨年から空席になっている重要ポストが多くアリ、各方面がその動向を注視している

●国防省のJeff Davis報道官は、「長官と各スタッフが精力的に面談等で人選を進めており、ホワイトハウスとも連携しながら選定を行っている。重要ポストの候補選定は最終段階にある。間もなく公表出来るだろう」と述べている
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典型的な日本人のまんぐーすには、この政治任用の善し悪しが感覚的に分かりかねますが、歴史的に大きな問題が指摘されていないのですから、人心一新は悪くないのでしょう・・・

Mattis13.jpg今回は、大統領選挙中に「反トランプ」の旗を揚げた方が多かった事から、人捜しが容易ではないようですが、悲喜こもごものドラマをワシントンDC周辺で生む「政治任用」の今後に注目致しましょう。

それにしても、辞退された陸軍長官と海軍長官候補のお二人は、それぞれとても興味深い方だったので、とても残念です。

3軍の長官候補者(だった人も含め)
まだ「空軍長官候補」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24
辞退した「陸軍長官候補」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-20
辞退した「海軍長官候補」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-14

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Work国防副長官は当面居残り [米国防省高官]

居残る自身と国防省職員への言葉(映画ベンハーより)
「Row well and live:しっかり漕いで生き延びよ」

work ben har2.jpg13日、Work国防副長官の送別式がペンタゴン内のホールで行われましたが、その場で副長官自身から「私の後任者が議会で承認されるまで、引き継ぎのためにしばらく副長官として居残る」と明らかにし、念押しで再度「後任の副長官が議会で承認されるまでだ」と強調したようです

しかし依然として、複雑な世界情勢と大変な国防省マネイジメント業務を踏まえ、Mattis国防長官を支える副長官にWork氏が留任するのではとの噂が絶えないことも事実のようです

work farewell.jpgいずれにしてもこれにより、当面の間、国防長官、副長官そして統合参謀本部議長の3トップが、史上初めて全て「海兵隊出身者」で占められることになります。
米軍の士官の1/5以下しか存在しない米海兵隊の士官が、3トップを「暫定的」にでも占める理由と、空軍出身者が長期に亘り統合参謀本部議長にもなっていない理由は、また別の機会に吟味する必要がありましょう

式典にはカーター国防長官とSelva統合参謀副議長が参加し、それぞれの立場でWork副長官の大なる功績を讃え、そして国防省として文民職員への最高勲章である「Defense Distinguished Public Award」が授与されています

本日は、和やかそうな雰囲気が伝わってくる式典の様子を、各種報道から「つまみ食い」でご紹介します

最初にSelva統合参謀副議長は
Selva-CSIS.jpg●海兵隊の一兵卒から士官となった父の後を継ぎ、27年間海兵隊の士官として、砲兵士官から「Camp Fujiの基地司令官」、更に海軍長官補佐官まで務めた経歴を持ち、その後7年間国防省(海軍省を含む)で公務を務めた
●最初に当時中佐だったWork氏にあったのは、Johns Hopkins大学のセミナー討議の時間だった。テーブルを挟んで向かい側に座るWork氏を、「こいつは特別だ」と感じた

国防副長官として、また海軍次官として、政府外に対しては助言者や相談役として、政府内に対しては分析家や考察者として、その才能を遺憾なく発揮した。Work氏の特別な才能として、問題が生じた時に、問題を分解して担当関係者がそれぞれの所掌として理解できるようにして検討させるところが素晴らしかった
●またホワイトハウスや国防省特別会議室での数多くの会議で、新たな難しい問題が明らかになると、いつも最初に「Work副長官はどこにいる」と皆が彼の意見を聞きたがった

次にカーター国防長官は
FOF.jpg私も「Where’s Bob?」との声が上がるのを経験した者である。国防長官として表現すれば、Work副長官以上のパートナーを探すことは不可能だと思う
●Work氏は副長官の議会承認を受ける際の証言で、「人間として可能な限り、全ての仕事日を我が国が直面する安全保障問題に費やすことを誓う」と語ったが、その言葉以上の働きだった

副長官経験者の私から見ても、副長官の仕事は最も挑戦的であるが、同時に最も目立たない見えにくい役割である。
●しかしWork氏は、国防の重要性を真に理解しているワシントンDC在住の数少ない人材として、現在だけでなく将来にも亘り、全ての政府機関と協力しながら、戦略的な環境が変化しても、政権が変化しても、国民のために全ての軍事紛争の全てのドメインに於いて、陸海空だけでなく宇宙やサイバー空間においても、我が国防が優れていることを国民に証明し続けることが必要不可欠だと理解している人物である

●またWork氏を語るとき、その映画狂としての側面に触れざるをえない。彼自身も認めるであろうが、彼に近づく全ての者は、彼しか覚えていないようなトムクルーズの台詞の引用を聞くことになったし、彼をスターウォーズ博士と呼んでも皆さん不思議だとは思わないだろう

Work副長官は謝辞を述べ
work farewell2.jpgこの式典会場の全ての皆さんに感謝を述べたい。皆さん全員が、私の記憶に残っており、私の仕事を助けてくれた。
私が心から愛して止まない国防の仕事で、このように表彰して頂ける事に恐縮している。この部屋の皆さんだけでなく、ここのおられない多くの皆さんのご協力ご支援に感謝する

国防省に勤務する皆さんほど、愛国心に満ち、任務優先で、私心なく、丁寧で勇敢な人の集まりはない
如何にばかげた事が起ころうと、如何に苛立つ状況に至ろうとも、皆さんには国防省という巨大で優れた組織がそこにアリ、皆さんに仕事を与え、励まし、そして時にはケツを叩いて皆さんを駆り立てる人がそこにいるのである

●仕事上、国内外を訪れる機会が無数にあったが、その際の私の様子を例えるなら、映画「ジュラシックパーク」の中で、ティラノザウルスに餌として供される「やぎ」の様であった(笑い)
●私を支えてくれた5名の次官と監察官と評価局長は、貧しい農民を盗賊から守るため、薄給で命をかけた映画「荒野の七人」の用心棒のようであった(笑い)

各軍種の参謀総長の皆さんは、映画「Guardians of the Galaxy」に出てくるスーパーヒーローのようであったし、11個の地域コマンドや機能コマンド司令官は、映画「Ocean’s Eleven」のDanny Oceanや出演者を思い起こさせた(笑い)
●そして新政権の元で今後も国防省で勤務する皆さんには、映画「ベンハー」の中で、艦隊司令官が船を漕ぐ奴隷達に向けて語った言葉をアドバイスに送りたい。それは「Row well and live:しっかり漕いで生き延びよ」である(爆笑)
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work-ben har.jpg映画「ベンハー」からの引用は、慈悲深い艦隊司令官が、悲運の奴隷の中でも優れていた主人公(ベンハー)に精一杯の激励の言葉をかけた場面の台詞で、決して上から目線の冷たい言葉ではありません

その艦隊司令官は、後の海戦で活躍した主人公(ベンハー)を側近として取り立てた、活躍の場を与えて名誉回復させた人物です。

式典に参加した「新政権の元での荒波にこぎ出す奴隷」の皆さんには、Work副長官のしばし留任発表は、「慈悲深い艦隊司令官」の登場のように聞こえたかも知れません・・・

そのまま留任してくれれば良いのに・・・とまんぐーすは思います。

なお、1959年に制作されアカデミー賞にて11部門を獲得。いまだ名作と名高い映画『ベン・ ハー』が57年ぶりに最新技術を使用してリメイクされ、今年日本でも公開される予定です
予告編は→http://www.cinemacafe.net/article/2016/05/19/40556.html

Work副長官の活躍関連
「次の副長官を考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10
「中露を抑止するには」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-05
「次期政権と相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

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海軍長官候補にアジア金融業経験者か!? [米国防省高官]

Bilden.jpg13日付米海軍協会web記事が、次の米海軍長官候補として、これまで有力と言われてきたRandy Forbes元下院議員を差し置いて、ほとんど無名の元陸軍情報士官で、15年以上香港で証券業を営んだ経験を持ち、海軍大学や海軍士官学校の評議委員を務め、海軍研究所の支援者である推定53歳のPhilip Bilden氏が有力だと報じています

先日は、陸軍長官に陸軍士官学校卒業ながら証券会社で大金持ちになったアイスホッケーオーナー(Vincent Viola氏)が推薦されるとご紹介しましたが、海軍長官にも米海軍に理解があり、かつビジネス感覚がある人物の名前が挙がるようになりました

現時点では下院の軍事小委員会委員長を務めていたRandy Forbes氏も有力なようですが、米海軍OBからの支持もあり、息子2人を海軍士官学校に入れたPhilip Bilden氏が急速に注目を集めているようです

13日付米海軍協会web記事によれば
Bilden2.jpg●Philip Bilden氏は現在Rhode Islandに住み、1986年にGeorgetown大学をROTC制度で卒業し、その後陸軍情報士官として4年間勤務した経験を持つ。
●その後、ハーバードでMBAを取得し、1991年にボストンの証券金融企業HarbourVest(private equity firm)に入社。1996年に香港でアジア支店立ち上げるため赴任し、3年前に帰国するまで現地責任者として活躍する

息子の一人は海軍士官学校を卒業しており、別の息子は士官学校に在学中である。
●NATO最高司令官で退役したStavridis元海軍大将は13日、Bilden氏は海軍の専門家であるだけでなくアジア地域の有識者で、特に中国事情に詳しいと語り、また秀でた企業家で効率性追求に優れ、同時に知る限りで最も誠実で聡明な人物だとBilden氏を推薦している

●更にStavridis元海軍大将は、Bilden氏はあまり知られていないが米軍との関係が深く、「海軍士官学校の評議委員として運営に深く関与しており、海軍大学にも評議委員として関与している。海軍研究所の強力な支援者でもある」と紹介した
●同退役大将はBilden氏を、クリントン政権時に活躍した弁護士で企業家出身だったRichard Danzig海軍長官のように活躍するだろうと語り、「ワシントンDCの人間でなく、これまでの政治に関与していない点で、トランプ政権に相応しい改革精神に富んだ海軍長官になるだろう」と同士を推薦している
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Bilden3.jpg陸軍長官候補のVincent Viola氏のときと同じ感想ですが、米国にはいろんな人材がいるんだなぁ・・・米軍を支援する裾野が広いんだなぁ・・・としみじみ思います。

近日中に「Randy Forbes氏」か「Philip Bilden氏」かは明白になるでしょうが、Philip Bilden氏のような人物も有力候補者であったことをご紹介したく取り上げました

陸軍長官候補は士官学校卒のお金持ち金融企業家
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-20
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ちなみに・・・
中国海軍トップも交代へ!?
http://www.defensenews.com/articles/source-chinese-navy-has-new-commander
13日付Defense-Newsによれば、中国海軍トップが交代するとか・・・
Navy-top.jpg●香港の中国語紙「daily Ming Pao」によれば、2006年から10年以上中国海軍司令官を務めた「Wu Shengli大将(71歳)」が退役し、南海艦隊司令官の「Shen Jinlong中将」が海軍トップに就任する方向だと報じた
●Jinlong中将は2014年RIMPACで中国艦隊指揮官の経験があり西側では旧知の人物。南シナ海を担当している経験を重視か

●これまでは、中国海軍副司令官の「Wang Hai大将」が司令官に繰り上がると考えられていたので、香港紙はこのニュースをサプライズだと報じている
●ちなみに、71歳のWu Shengli大将は、秋に正式に退役するまで、中央軍事委員会のメンバーであり続ける模様

●このほかに同紙は、北方艦隊司令官の「Yuan Yubai大将」が南方軍管区司令官に就任すると報じている
●また、海軍の武装コマンド副司令官の「Wei Gang」は東方艦隊司令官へ、東方艦隊司令官の「Su Zhiqian」が海軍副司令官に就任すると報じている
●更に、南方軍管区の副参謀長である「Zhang Wendan」は、北方艦隊司令官に配置される

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米国防省が超長波通信に新手法で挑戦へ [米国防省高官]

DARPA4.jpg12月29日付Defense-Newsは、国防省の国防高等研究計画庁(DARPA)が12月に構想を公表し、今年1月6日に企業関係者への説明会開催を明らかにした、新たな手法での「超長波」及び「超超長波」通信装置への取り組みを紹介しています

物理学の原理からすれば、超長波(VLF:very low frequency)及び超超長波(ULF:ultra low frequency)は低周波数を利用することから、水や土や岩や金属や建物を突き抜けて進む事が可能で、潜水艦と水上艦艇や無人水中艇間の通信が可能になり、また地下施設や洞窟との通信や地雷の操作や生き埋め者の捜索にも活用できるはずです

しかしVLFやULFを発信には、例えば10ヘルツの送信の場合、波長の半分の約1500kmのアンテナが必要になり、またアンテナが巨大なため、電力にもメガワット単位のエネルギーが必要なため、戦場での兵士の使用や潜水艦や艦艇への搭載は実用的でないと言われてきました

この課題に対処するため、DARPAのTroy Olsson担当責任者が取り組もうとしているのが新しいアンテナAMEBA(Mechanically Based Antenna)です。
細部については現時点で不明な部分が多く、1月6日の企業説明会以降の話でしょうが、夢のありそうな話ですのでご紹介しておきます

12月29日付Defense-News記事によれば
VLF.jpg●AMEBAは、VLFやULFの特性を生かした上で、手持ち可能か人が運べる通信機を目指すものである
●Olsson担当責任者は、「アンテナから電波信号を発射するため、アンプや電子回路で電流を周期変化される代わりに、AMEBA計画では強力な電力や磁界を帯びた物質を機械的に動かす事を考えている」と説明したが、細部には言及していない

VLFやULF通信は大きな潜在能力を持っており、水中で活動する潜水艦や無人水中艇間の直接通信を可能にし、潜水艦などが浮上するリスクを避けることが出来る
●また、GPS信号は水中では活用できないが、ULF通信により三角測量方式で他の潜水艦の位置特定を可能にし、2020年運用開始を見込む無人潜水艦の運用に朗報である

陸軍や海兵隊などの地上部隊にとって、VLFやULF通信は見通し線外の長距離通信を可能にする技術となろう
AMEBA.jpg●現在地上部隊が使用する高周波無線機(PRC 117 SATCOMやPRC-150)は、送信者が受信者の位置を精密に把握して置く必要があり、またアンテナは電波伝搬状況に応じて昼夜で変更する必要がある
●またGPSと同様に衛星を使用するSATCOMは、有事に通信衛星が中国やロシアの前に脆弱であることを考慮すれば脆弱でアリ、VLFやULF通信実用化への期待は大きい

12月に公になったばかりのAMEBA計画は、まだ研究開発の初期段階でアリ、企業との開発協力契約もまだであるが、1月6日にバージニア州で開催される企業等関係者に対する「Proposers Day」をDARPAは計画している
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AMEBA2.jpgどの程度、「handheld or man-packable」な機材が実現可能なのか不明ですが、夢のある技術ですし、日本企業も絡めそうな気がします。

初夢で終わらないよう期待しつつ、続報を待つことと致しましょう

DARPA関連の記事
「相殺戦略は万能にあらず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11-1
「自身が創造したサイバー空間に苦しむ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「超超音速兵器に進化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「新型の宇宙監視望遠鏡」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19

「科学技術革新会議の中間報告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-11
「電子戦への人工知能応用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-31
「対潜水艦の無人艦艇」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-11

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トランプ氏の国防優先事項に対露なし!? [米国防省高官]

今後の激震を予期させるスクープ報道です・・・

Trump memo2.jpg20日付「Foreign Policy」電子版が、米国防省の政策担当次官代理が作成した部下に対するMemo文書を入手しトランプ氏の国防省政権移行チーム長から聞き取った、「トランプ氏の国防優先事項」が含まれていると紹介しています

そしてその「トランプ氏の国防優先事項:president-elect’s defense priorities」の中に、これまで国防省関係者が米国に対する一番の脅威だと言い続けていた「ロシア」が含まれていないと指摘しています。

これに対して政権移行チーム側は、「メディアがこのリストを取り上げ、トランプ政権の優先事項の全てを表現していると見なすのは誤解を招く誤りだ」と反論していますが、国防省側は「政権移行チーム側に聞いてくれ」との姿勢で、疑問を打ち消すには至っていません

なにせトランプ氏は、ロシアと親密な関係にあると言われているエクソンモービル社のTillerson社長を国務長官に付けようとしており、対ロシア外交の大転換が噂されている中での話でアリ、皆が疑心暗鬼になっている状況です

もちろんMattis次期国防長官が完全にロシアを無視できるはずもなく、中国や北朝鮮やイランとの言葉も4つの「国防優先事項」リストには含まれていないのですが、話題になりそうな話ですのでご紹介しておきます

Memoの現物拡大写真
https://foreignpolicymag.files.wordpress.com/2016/12/screen-shot-2016-12-19-at-1-44-09-pm.png

20日付「Foreign Policy」電子版によれば
(同Memo文書の中身の概要)
McKeon DOD.jpg●同Memo文書は12月1日の日付で、Brian McKeon政策担当次官代理が部下との情報共有のために作成した文書であり、トランプ側政権移行チーム長であるMira Ricardel女史が11月28日の国防省側との申し送り会議の中で示した、「トランプ氏の国防優先事項4つ」を周知するためのもの
●トランプ側チームは当時は16人で、今後約20名となり、概要ブリーフィングを受けつつ担当分野を細分化して20名で分担する方向で進める

既に数回のブリーフィングを終了しており、国防省の組織や政策、対ISILや北朝鮮や中国についても一応の説明は行ったが、追加の説明も準備中である
●Ricardel女史は、国防省の各組織や機関の主要課題や関連予算状況の説明を希望しており、更に予算等が許せば取り組みたいと考えている希望事項も聞かせて欲しいと要望している
●また引き継ぎ会議を小規模で行う事をトランプ側は希望しており、参加者については規模を限定して対応する

4つの「トランプ氏の国防優先事項」
●Developing a strategy to defeat/destroy ISIS
Build a strong defense(予算管理法の縛り除去、戦力の規模・即応性・威力の改善)

●Developing a comprehensive cyber strategy
●Find greater efficiencies(Work副長官による偉大な仕事を更に追求して積み上げる。国防省内から新しいアイディアを募る)

「Foreign Policy」電子版の指摘
Dunford1.jpg●例えばダンフォード統合参謀本部議長は、昨年7月の上院軍事委員会でロシアを上回る脅威はないとの認識を示し、「米国の生存に関わる脅威を呈している一番の国はロシアで、彼らの行動を見れば明らかである」と明言し、それに続く脅威として、脅威度の高い順番に中国、北朝鮮、ISISを上げて証言している
●またJames Clapper国家情報長官(DNI)も昨年2月、ISISはロシアほど米国の国益を脅かす存在ではないとの認識を示し、「ISISは米国に決定的なダメージを与えることは出来ないが、ロシアは可能だ」と語っている

●また国防省の調達担当高官は、米国防予算の重点は対ロシアにあると発言しているし、米軍と欧州NATO諸国との演習は増加し、欧州とロシアとの国境沿いにはNATO諸国の軍が増強配備されている
●更に有事に備え、戦車等の重装備の欧州ロシア正面への事前集積を開始してる

●この様な状況の中で、4つの優先事項にロシアは現れないし、国防省側が既に行ったとMemoが表現しているブルーフィン対象国に、ISISと北朝鮮と中国は含まれているが、ロシアが含まれていない
Clapper2.jpg●また、引き継ぎ会議関係者によれば、トランプ側は国防省の対ロシア政策担当者等とも会議を行っているが、あまり突っ込んだやりとりはなく、ほとんど場合「どんな状況ですか?」確認する程度である

●もちろん専門家でも「Mattis次期国防長官から直接話を聞かないとよく分からないし、優先事項を絞るにはもう少し時間が必要だろう」と考える者が多いだろうし、国防省内部からロシアの脅威軽視は大きな反発を受けるだろう
●しかしTillerson国務長官が誕生すれば、これまでの対ロシア姿勢がトーンダウンする可能性はある
////////////////////////////////////////////

Foreign PolicyはMEMOの中身をあまり紹介せず、多少誇張して報じているような気がしますし、MEMOの中身も明らかに物事の一面しか表現していないと思いますが、気にはなります。

時間がたてば明らかになる事でしょうが、写真で見る折り目の付いた生々しいMemoには、確かにISISや北朝鮮や中国との言葉はあっても「ロシア」との言葉が全くなく、「?感」ありありです

Work-Reagan.jpgだいたい、この様なMemoをリークするのは、トランプ側を牽制し、「ロシア脅威」を訴え、「Tillerson国務長官の誕生を阻止したい」からでしょうから、今後も一波乱も二波乱もありそうな予感です

ただ「Work副長官による偉大な仕事を更に追求して積み上げる」とのMEMOの言葉には期待が持てそうです。なかなか目の付け所が良いじゃないですか・・・

ロシアがNo1脅威との指摘
「ダンフォード議長が上院で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-10
「ロビンソン女性大将も」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-23-1

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