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シリア巡航ミサイル攻撃の裏側 [米国防省高官]

Chemical3.jpg7日、シリア空軍基地への米軍による巡航ミサイル攻撃について、匿名の米国防省幹部2名が記者団に作戦遂行までの生々しい背景をブリーフィングし、化学兵器が使用された数時間後、化学兵器の痕跡を抹消するため、負傷者が搬送された病院まで攻撃した邪悪な相手の存在を明かしています

7日付Defense-News記事が、匿名幹部2名の会見を整理し、攻撃までを時系列で紹介しているので概要を取り上げます

4月4日
現地時間午前6時50分→
(巡航ミサイル攻撃を受けた)Shyrat基地を飛び立ったシリア軍のSu-22と思われる航空機1機が、Kahn Sheikoumの町の通りに1発の爆弾を投下。「同機の飛行ルートと、攻撃時刻に上空通過したことを把握している」と幹部が説明

同爆撃跡クレーターを分析した結果、化学兵器特有の痕跡が確認された。ロシアとシリアは、反アサド派が占領する地域にあった化学兵器工場での爆発で被害が発生したと主張するも、国防省幹部は爆撃の痕跡からロシア等の主張を否定

現地時間午前7時→
Chemical5.jpg地元病院に被害者が搬送され、化学兵器使用の最初の情報が情報機関から入る。その直後、「アサド政権かロシアが使用する」小型無人機が病院上空に現れ、約5時間にわたり状況を偵察する様子が確認されている。

その小型無人機が帰還した直後、同病院は1機の固定翼機に攻撃された。「病院を攻撃した航空機の所属等に関する確たる情報はないが、何者かが、化学兵器使用の痕跡を抹消するため、被害者が運び込まれた病院を5時間も偵察した後に攻撃した可能性が考えられる」と同幹部は説明した

4月5日
トランプ大統領はマティス国防長官に対し、この化学兵器攻撃に対する軍事オプションを検討するよう命じた。
●国防省は複数のオプションを取りまとめてNSCに持ち込み、大統領補佐官や複数のスタッフ、ダンフォード統合参謀本部議長などが加わった複数のミーティングで選択肢が議論された

4月6日
Chemical2.JPG●NSC等での議論を経た最終的な提案が大統領に提示され、米国東部時間の午後には最終案が決定された
東部時間午後4時30分:::大統領が国防省に対し作戦実施を命ずる

同午後7時40分:::米海軍ミサイル巡洋艦「Porter」と「Ross」が、シリア軍Shyrat空軍基地に対し60発のトマホーク巡航ミサイルを発射。うち1発が射出しなかったため、代替の別ミサイル1発を発射。なお、発射したミサイルが飛翔中、1発は正常に飛翔せず海没したため、59発での攻撃となった
同午後8時40分:::59発のトマホークがすべて目標に着弾。各ミサイルはすべて異なる目標をアサインされていた。

何を攻撃し、何を攻撃しなかったか
Chemical4.jpg攻撃対象となったのは、シリア軍施設とシリア軍機。燃料施設、格納庫、弾薬庫、ロシア製地対空ミサイルが攻撃され、シリア軍機約20機も破壊された。細かな攻撃成は不明 ●攻撃を避けた対象は、化学兵器庫、滑走路、ロシア軍兵士や装備。化学兵器庫は周辺への影響を避けるため、また滑走路は兵器がトマホークであったことや「反撃強度の適切度:proportionality」を考慮して目標にせず

ロシアへの態度
●同空軍基地には約100名のロシア軍兵士と装備が展開していたが、これらを攻撃にないよう配慮された。また攻撃に先立ちロシア側には、同基地のシリア軍施設にトマホーク攻撃が行われることが通知され、誤解が生じないよう措置された

Chemical.JPG●匿名の国防省高官2名はブリーフィングにおいて、ロシアと化学兵器攻撃を結びつけないよう慎重に配慮していた。しかし両名はその表現ぶりで、攻撃対象基地に化学兵器貯蔵施設が存在し、ロシアがその存在を承知していたであろうと示唆し、病院への爆撃に関してもロシア関与の可能性を否定しなかった
●「我々はロシアの化学兵器専門家がシリアに所在することを知っている。ロシアとシリア政権間の緊密な関係についてここでは言及しないが、シリアの化学兵器能力に関与するロシア人関連情報を慎重に分析している」、「化学兵器使用へのロシアの関与を示す証拠は現時点でないが、全ての情報を分析している。まだ分析中だ」と語った
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ロシアは米国を批判し、中東情勢への影響も極めて大きそうですが、トランプ政権の外交姿勢を知るうえで、バノンを排除した安全保障チームの考え方を知るうえで非常に興味深い今後の展開です。

米中首脳会談の分析で盛り上がるはずの週末でしたが、中東政策やロシア政策も含めて「てんこ盛り」となりました

長島昭久議員の「民進党離党」も横眼で眺めつつ、ゴルフのマスターズを忘れるわけにはいきませんし、桜も今週末が最後だろうし・・忙しい週末になりそうです

トランプ政権の国防指針は???
「新政権下で米軍の権限拡大中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-03
「対ロシアの情報戦に国家として」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-24
「戦略軍が21世紀の抑止議論を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「リバランスは終了:それで?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「政治任用で決定は長官一人のみ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-13

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国防副長官候補にボーイング上級副社長 [米国防省高官]

Trump Mattis.jpg16日、トランプ大統領が国防省の政治任用ポストである「国防副長官」「政策担当筆頭次官補」「本土及びグローバル安全保障担当次官補」などの候補者を発表し、副長官ポストにはトランプ大統領との親密な関係が話題のボーイング社副社長の名前が挙がりました

先日、「政権発足後、2ヶ月経過でも長官以外ポストが埋まらない」とご紹介しましたが、遅ればせながら、マティス長官とホワイトハウスの衝突が伝えられつつも、国防省報道官が公式には「マティス長官から大統領に推薦があった優れた能力を持つ人物」と表現する人材の指名が始まりました

細部の人物像などは不明ですが、「国防副長官」と「政策担当筆頭次官補」の候補について、とりあえず経歴等を各種報道等から寄せ集めてご紹介しておきます

Patrick Shanahan国防副長官候補
Shahahan.jpg現在はボーイング社のサプライチェーン担当の上級副社長であるが、直前まで民間旅客機部門の副社長として、ボーイング社の主要旅客機B-737, 747, 767, 777 and 787プログラムを統括していた
●また、同社でミサイル防衛システム担当副社長や回転翼部門の副社長の経験も積んでおり、CH-47、AH-64Dアパッチ、V-22 Osprey計画を扱った経験を持つ

●更に、国防副長官としての重要職務となるであろう技術革新分野に関連し、航空機搭載レーザー計画(airborne laser program)に携わっていたこともある
●ボーイング社の報道官は「流動的で困難な国防環境において、強いリーダーシップを必要としている国防省にとって、Shanahan氏が引き続き力強い指導力を発揮するモノと信じて疑わない」とのコメントを出している

ボーイング社とトランプ大統領は、出だしこそ次期大統領専用機「Air Force One」計画の価格を巡り緊張関係に至ったが、(米海軍F-35の代替として改良型FA-18の可能性に大統領が言及するなど、)最近ではボーイングが大統領のお気に入り企業になっているようにも見え、そんな雰囲気を象徴するモノだとの指摘もある
●また、Shanahan氏がミサイル防衛分野に見識があることから、トランプ氏のミサイル防衛重視政策に適しているとも指摘もある

マティス長官とホワイトハウスの政治任用ポスト指名を巡る対立は、今や「公然の秘密」となりつつあるが、その元凶がトランプ政権側で国防省人事を担当しているMira Ricardel女史だと言われている。同女史は将来商務省で重要ポストに就くと言われているが・・・
一方、国防省のJeff Davis報道官はこれら候補者発表に際し、「マティス長官から推薦があった高い資質を持った人材ばかりでアリ、大統領に候補者として推薦をお願いしたモノだ」と表現している

David Joel Trachtenberg政策担当筆頭次官補
Trachtenberg.jpgマティス長官はこのポストに、キャリア外交官で元エジプト大使のAnne Patterson女史を希望していたようだが、複数の共和党上院議員が(同女史のモルシ前エジプト政権との近すぎた関係等を問題視し、)反対したことから、断念せざるを得なかったようだ
●Trachtenberg氏は、国家安全保障に関するコンサルタント会社のトップで、下院軍事委員会のスタッフ経験もある

●なんと言っても、2001年から03年の間、2代目ブッシュ政権で国際安全保障政策担当の筆頭次官補代理を務めた経験を持ち、国家安全保障分野の調査会社で戦略分析部長や副社長を務めた経験もっている
2015年、Defense-Newsに論考を寄せ、その中で、ロシアの横暴で反米国的で挑発的な国際社会での振る舞いを警告だと位置付け、米国の核政策の再考を促す主張を展開した。

国防省が核態勢見直し(NPR:Nuclear Posture Review)に着手するタイミングにある事を踏まえ、核政策の専門家の中にはTrachtenberg氏しのこれまでの発言を懸念する者も居る
●専門家の一人であるStephen Young氏は、「NPRを起案する立場につく人物が、戦略的安定性を信じない人物である事を大いに懸念する」「ロシアとの間に課題を抱える現状を思うとき、ミサイル防衛を強く持ち出す事は、問題を大きくするだけではないのか」と憂慮するコメントをしている
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マスコミ的には、候補者の選定で多いに揉めてくれた方が話題になって面白いのでしょうが、世界情勢を考えれば、みんな仲良くやって頂きたいものです

しかし・・・「第3の相殺戦略」を初めとする、カーター&Work組が精力を傾けた種々の施策は、どうなっていくのでしょうか・・・心配です・・・

政権交代と国防政策
「まだ政治任用マティス長官だけ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-13
「リバランスは前政権の用語よ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「相殺戦略を如何に次期政権に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

Work副長官の活躍関連
「次の副長官を考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「Work副長官を讃える言葉」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-17
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

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未だ政治任用決定はマティス長官だけ:大丈夫か? [米国防省高官]

Poli-appo.jpg11日付Military-Times紙が、トランプ政権発足後2ヶ月が経過しようとしているが、米国防省内の政治任用ポストで上院の承認手続きまで終了したのは、マティス長官ただ一人(Work副長官は当面留任のため承認不要)だと報じています

この遅れは国防省に限ったことではないようですし、現時点で国防省の業務に大きな影響が出ているとの声はないようですが、遅れていることは確かで、懸念事項もあるようなのでご紹介します

陸軍長官と海軍長官が辞退し、順調だと思っていた空軍長官も、まだ正式に議会に推薦されていないとか・・・気になるところです

11日付Military-Times紙によれば
●トランプ政権発足後2ヶ月が経過しようとしているが、トランプ大統領就任の数時間後に職務に就いたマティス国防長官以降、誰一人として政治任用ポストに承認された者は居ない
Work-Atlantic3.jpg●公にはなっていないが、マティス国防長官とホワイトハウスの間で、人選を巡り対立があるとのとも言われており、後任者が決定するまで留任することを明らかにしたWork副長官以外の候補者がなかなか明らかにならない

新政権はこれまでに4名の政治任用者候補を発表したが、そのうちの2名が辞退している。辞退したのは陸軍長官候補だったVincent Viola氏(現ビジネスとの兼ね合い)と、海軍長官候補だったPhilip B. Bilden氏(同左)である
●元下院議員のHeather Wilson女史は空軍長官候補だと発表されたが、大統領は上院に正式な承認手続き依頼を提出していない。また7日にホワイトハウスは、国防省法務官にJohn J. Sullivan氏を候補とすると発表したばかりである

政党の変化を伴う政権交代例を振り返るとオバマ大統領は就任時にゲーツ国防長官の留任を決定し、多くの政治任用ポストを早期に埋めていった。(またゲーツ長官も多くの職員の留任を求めた
●2001年にブッシュ政権誕生時も、ラムズフェルド国防長官は7月まで政策担当次官を決めなかったが、多くの前政権の上級スタッフが数ヶ月居残ることに合意していた。ラムズフェルド時代の統計では、政治任用ポストの登用には、政権内部の調整に70日、上院の承認に50日かかっている

経験者や関係者の懸念や見方
gatesSTART2.jpg●2代目ブッシュ政権時に国防省の予算管理官を務めたDov Zakheim氏は、手続きが全く遅れていると指摘し、4月中旬までに政治任用ポストが埋まらないのは異常事態だと表現した(上院での手続期間を考えれば、現時点で推挙されていなければ、早くても4月中旬には間に合わない
●そしてZakheim氏は、「特に東南アジアや欧州の同盟国にとっては深刻な事態で、日々の業務で頻繁に連携が必要な地域担当次官補代理の任命が夏までかかるようだと、様々な混乱や問題発生が予期される」と懸念を示した

●新政権発足に伴い議会等に諸報告が求められおり、また対ISISやアフガニスタン作戦も難しい状況にあるが、現時点で国防省内に大きな混乱があるようには見えない
●ただ大統領は、対ISIS戦略やミサイル防衛計画、更に即応態勢改善策の計画作成等、複数の重要施策の再検討を命じており、主要な政治任用ポストの不在を長期間にするわけには行かない。また既に議会の軍事委員会でも、「核政策に関する質問をする相手がいない」等との不満の声が上がり始めている

●クリントン政権時の政策担当次官Walter Slocombe氏は、政治任用者の審議は政治的な駆け引きの場となりがちで、長く続けて良い事は無いと警告している。そして「政治任用者以外の国防省職員が、当面の業務を遂行し、大きな穴を空けることなく国防省を走らすことは可能で、危機対処も行うが、政策立案をリードすることは出来ない」と語っている

Rumsfeld.jpg●あまり表面化していないが、マティス長官と政権の間に、幾つかのポストを巡る対立があるようだ。例えば長官は政策担当次官に、エジプトやパキスタン大使を務めたキャリア外交官Anne W. Patterson女史を希望しているようだが、かなり揉めているようだ。前エジプト政権との親密さが問題となり、与党の共和党内にも反対意見が根強い
●この他にも重要ポスト、予算担当、情報担当、兵站調達担当、技術開発担当、人的資源担当などなど、昨年から空席になっている重要ポストが多くアリ、各方面がその動向を注視している

●国防省のJeff Davis報道官は、「長官と各スタッフが精力的に面談等で人選を進めており、ホワイトハウスとも連携しながら選定を行っている。重要ポストの候補選定は最終段階にある。間もなく公表出来るだろう」と述べている
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典型的な日本人のまんぐーすには、この政治任用の善し悪しが感覚的に分かりかねますが、歴史的に大きな問題が指摘されていないのですから、人心一新は悪くないのでしょう・・・

Mattis13.jpg今回は、大統領選挙中に「反トランプ」の旗を揚げた方が多かった事から、人捜しが容易ではないようですが、悲喜こもごものドラマをワシントンDC周辺で生む「政治任用」の今後に注目致しましょう。

それにしても、辞退された陸軍長官と海軍長官候補のお二人は、それぞれとても興味深い方だったので、とても残念です。

3軍の長官候補者(だった人も含め)
まだ「空軍長官候補」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24
辞退した「陸軍長官候補」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-20
辞退した「海軍長官候補」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-14

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Work国防副長官は当面居残り [米国防省高官]

居残る自身と国防省職員への言葉(映画ベンハーより)
「Row well and live:しっかり漕いで生き延びよ」

work ben har2.jpg13日、Work国防副長官の送別式がペンタゴン内のホールで行われましたが、その場で副長官自身から「私の後任者が議会で承認されるまで、引き継ぎのためにしばらく副長官として居残る」と明らかにし、念押しで再度「後任の副長官が議会で承認されるまでだ」と強調したようです

しかし依然として、複雑な世界情勢と大変な国防省マネイジメント業務を踏まえ、Mattis国防長官を支える副長官にWork氏が留任するのではとの噂が絶えないことも事実のようです

work farewell.jpgいずれにしてもこれにより、当面の間、国防長官、副長官そして統合参謀本部議長の3トップが、史上初めて全て「海兵隊出身者」で占められることになります。
米軍の士官の1/5以下しか存在しない米海兵隊の士官が、3トップを「暫定的」にでも占める理由と、空軍出身者が長期に亘り統合参謀本部議長にもなっていない理由は、また別の機会に吟味する必要がありましょう

式典にはカーター国防長官とSelva統合参謀副議長が参加し、それぞれの立場でWork副長官の大なる功績を讃え、そして国防省として文民職員への最高勲章である「Defense Distinguished Public Award」が授与されています

本日は、和やかそうな雰囲気が伝わってくる式典の様子を、各種報道から「つまみ食い」でご紹介します

最初にSelva統合参謀副議長は
Selva-CSIS.jpg●海兵隊の一兵卒から士官となった父の後を継ぎ、27年間海兵隊の士官として、砲兵士官から「Camp Fujiの基地司令官」、更に海軍長官補佐官まで務めた経歴を持ち、その後7年間国防省(海軍省を含む)で公務を務めた
●最初に当時中佐だったWork氏にあったのは、Johns Hopkins大学のセミナー討議の時間だった。テーブルを挟んで向かい側に座るWork氏を、「こいつは特別だ」と感じた

国防副長官として、また海軍次官として、政府外に対しては助言者や相談役として、政府内に対しては分析家や考察者として、その才能を遺憾なく発揮した。Work氏の特別な才能として、問題が生じた時に、問題を分解して担当関係者がそれぞれの所掌として理解できるようにして検討させるところが素晴らしかった
●またホワイトハウスや国防省特別会議室での数多くの会議で、新たな難しい問題が明らかになると、いつも最初に「Work副長官はどこにいる」と皆が彼の意見を聞きたがった

次にカーター国防長官は
FOF.jpg私も「Where’s Bob?」との声が上がるのを経験した者である。国防長官として表現すれば、Work副長官以上のパートナーを探すことは不可能だと思う
●Work氏は副長官の議会承認を受ける際の証言で、「人間として可能な限り、全ての仕事日を我が国が直面する安全保障問題に費やすことを誓う」と語ったが、その言葉以上の働きだった

副長官経験者の私から見ても、副長官の仕事は最も挑戦的であるが、同時に最も目立たない見えにくい役割である。
●しかしWork氏は、国防の重要性を真に理解しているワシントンDC在住の数少ない人材として、現在だけでなく将来にも亘り、全ての政府機関と協力しながら、戦略的な環境が変化しても、政権が変化しても、国民のために全ての軍事紛争の全てのドメインに於いて、陸海空だけでなく宇宙やサイバー空間においても、我が国防が優れていることを国民に証明し続けることが必要不可欠だと理解している人物である

●またWork氏を語るとき、その映画狂としての側面に触れざるをえない。彼自身も認めるであろうが、彼に近づく全ての者は、彼しか覚えていないようなトムクルーズの台詞の引用を聞くことになったし、彼をスターウォーズ博士と呼んでも皆さん不思議だとは思わないだろう

Work副長官は謝辞を述べ
work farewell2.jpgこの式典会場の全ての皆さんに感謝を述べたい。皆さん全員が、私の記憶に残っており、私の仕事を助けてくれた。
私が心から愛して止まない国防の仕事で、このように表彰して頂ける事に恐縮している。この部屋の皆さんだけでなく、ここのおられない多くの皆さんのご協力ご支援に感謝する

国防省に勤務する皆さんほど、愛国心に満ち、任務優先で、私心なく、丁寧で勇敢な人の集まりはない
如何にばかげた事が起ころうと、如何に苛立つ状況に至ろうとも、皆さんには国防省という巨大で優れた組織がそこにアリ、皆さんに仕事を与え、励まし、そして時にはケツを叩いて皆さんを駆り立てる人がそこにいるのである

●仕事上、国内外を訪れる機会が無数にあったが、その際の私の様子を例えるなら、映画「ジュラシックパーク」の中で、ティラノザウルスに餌として供される「やぎ」の様であった(笑い)
●私を支えてくれた5名の次官と監察官と評価局長は、貧しい農民を盗賊から守るため、薄給で命をかけた映画「荒野の七人」の用心棒のようであった(笑い)

各軍種の参謀総長の皆さんは、映画「Guardians of the Galaxy」に出てくるスーパーヒーローのようであったし、11個の地域コマンドや機能コマンド司令官は、映画「Ocean’s Eleven」のDanny Oceanや出演者を思い起こさせた(笑い)
●そして新政権の元で今後も国防省で勤務する皆さんには、映画「ベンハー」の中で、艦隊司令官が船を漕ぐ奴隷達に向けて語った言葉をアドバイスに送りたい。それは「Row well and live:しっかり漕いで生き延びよ」である(爆笑)
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work-ben har.jpg映画「ベンハー」からの引用は、慈悲深い艦隊司令官が、悲運の奴隷の中でも優れていた主人公(ベンハー)に精一杯の激励の言葉をかけた場面の台詞で、決して上から目線の冷たい言葉ではありません

その艦隊司令官は、後の海戦で活躍した主人公(ベンハー)を側近として取り立てた、活躍の場を与えて名誉回復させた人物です。

式典に参加した「新政権の元での荒波にこぎ出す奴隷」の皆さんには、Work副長官のしばし留任発表は、「慈悲深い艦隊司令官」の登場のように聞こえたかも知れません・・・

そのまま留任してくれれば良いのに・・・とまんぐーすは思います。

なお、1959年に制作されアカデミー賞にて11部門を獲得。いまだ名作と名高い映画『ベン・ ハー』が57年ぶりに最新技術を使用してリメイクされ、今年日本でも公開される予定です
予告編は→http://www.cinemacafe.net/article/2016/05/19/40556.html

Work副長官の活躍関連
「次の副長官を考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10
「中露を抑止するには」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-05
「次期政権と相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04

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海軍長官候補にアジア金融業経験者か!? [米国防省高官]

Bilden.jpg13日付米海軍協会web記事が、次の米海軍長官候補として、これまで有力と言われてきたRandy Forbes元下院議員を差し置いて、ほとんど無名の元陸軍情報士官で、15年以上香港で証券業を営んだ経験を持ち、海軍大学や海軍士官学校の評議委員を務め、海軍研究所の支援者である推定53歳のPhilip Bilden氏が有力だと報じています

先日は、陸軍長官に陸軍士官学校卒業ながら証券会社で大金持ちになったアイスホッケーオーナー(Vincent Viola氏)が推薦されるとご紹介しましたが、海軍長官にも米海軍に理解があり、かつビジネス感覚がある人物の名前が挙がるようになりました

現時点では下院の軍事小委員会委員長を務めていたRandy Forbes氏も有力なようですが、米海軍OBからの支持もあり、息子2人を海軍士官学校に入れたPhilip Bilden氏が急速に注目を集めているようです

13日付米海軍協会web記事によれば
Bilden2.jpg●Philip Bilden氏は現在Rhode Islandに住み、1986年にGeorgetown大学をROTC制度で卒業し、その後陸軍情報士官として4年間勤務した経験を持つ。
●その後、ハーバードでMBAを取得し、1991年にボストンの証券金融企業HarbourVest(private equity firm)に入社。1996年に香港でアジア支店立ち上げるため赴任し、3年前に帰国するまで現地責任者として活躍する

息子の一人は海軍士官学校を卒業しており、別の息子は士官学校に在学中である。
●NATO最高司令官で退役したStavridis元海軍大将は13日、Bilden氏は海軍の専門家であるだけでなくアジア地域の有識者で、特に中国事情に詳しいと語り、また秀でた企業家で効率性追求に優れ、同時に知る限りで最も誠実で聡明な人物だとBilden氏を推薦している

●更にStavridis元海軍大将は、Bilden氏はあまり知られていないが米軍との関係が深く、「海軍士官学校の評議委員として運営に深く関与しており、海軍大学にも評議委員として関与している。海軍研究所の強力な支援者でもある」と紹介した
●同退役大将はBilden氏を、クリントン政権時に活躍した弁護士で企業家出身だったRichard Danzig海軍長官のように活躍するだろうと語り、「ワシントンDCの人間でなく、これまでの政治に関与していない点で、トランプ政権に相応しい改革精神に富んだ海軍長官になるだろう」と同士を推薦している
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Bilden3.jpg陸軍長官候補のVincent Viola氏のときと同じ感想ですが、米国にはいろんな人材がいるんだなぁ・・・米軍を支援する裾野が広いんだなぁ・・・としみじみ思います。

近日中に「Randy Forbes氏」か「Philip Bilden氏」かは明白になるでしょうが、Philip Bilden氏のような人物も有力候補者であったことをご紹介したく取り上げました

陸軍長官候補は士官学校卒のお金持ち金融企業家
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-20
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ちなみに・・・
中国海軍トップも交代へ!?
http://www.defensenews.com/articles/source-chinese-navy-has-new-commander
13日付Defense-Newsによれば、中国海軍トップが交代するとか・・・
Navy-top.jpg●香港の中国語紙「daily Ming Pao」によれば、2006年から10年以上中国海軍司令官を務めた「Wu Shengli大将(71歳)」が退役し、南海艦隊司令官の「Shen Jinlong中将」が海軍トップに就任する方向だと報じた
●Jinlong中将は2014年RIMPACで中国艦隊指揮官の経験があり西側では旧知の人物。南シナ海を担当している経験を重視か

●これまでは、中国海軍副司令官の「Wang Hai大将」が司令官に繰り上がると考えられていたので、香港紙はこのニュースをサプライズだと報じている
●ちなみに、71歳のWu Shengli大将は、秋に正式に退役するまで、中央軍事委員会のメンバーであり続ける模様

●このほかに同紙は、北方艦隊司令官の「Yuan Yubai大将」が南方軍管区司令官に就任すると報じている
●また、海軍の武装コマンド副司令官の「Wei Gang」は東方艦隊司令官へ、東方艦隊司令官の「Su Zhiqian」が海軍副司令官に就任すると報じている
●更に、南方軍管区の副参謀長である「Zhang Wendan」は、北方艦隊司令官に配置される

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米国防省が超長波通信に新手法で挑戦へ [米国防省高官]

DARPA4.jpg12月29日付Defense-Newsは、国防省の国防高等研究計画庁(DARPA)が12月に構想を公表し、今年1月6日に企業関係者への説明会開催を明らかにした、新たな手法での「超長波」及び「超超長波」通信装置への取り組みを紹介しています

物理学の原理からすれば、超長波(VLF:very low frequency)及び超超長波(ULF:ultra low frequency)は低周波数を利用することから、水や土や岩や金属や建物を突き抜けて進む事が可能で、潜水艦と水上艦艇や無人水中艇間の通信が可能になり、また地下施設や洞窟との通信や地雷の操作や生き埋め者の捜索にも活用できるはずです

しかしVLFやULFを発信には、例えば10ヘルツの送信の場合、波長の半分の約1500kmのアンテナが必要になり、またアンテナが巨大なため、電力にもメガワット単位のエネルギーが必要なため、戦場での兵士の使用や潜水艦や艦艇への搭載は実用的でないと言われてきました

この課題に対処するため、DARPAのTroy Olsson担当責任者が取り組もうとしているのが新しいアンテナAMEBA(Mechanically Based Antenna)です。
細部については現時点で不明な部分が多く、1月6日の企業説明会以降の話でしょうが、夢のありそうな話ですのでご紹介しておきます

12月29日付Defense-News記事によれば
VLF.jpg●AMEBAは、VLFやULFの特性を生かした上で、手持ち可能か人が運べる通信機を目指すものである
●Olsson担当責任者は、「アンテナから電波信号を発射するため、アンプや電子回路で電流を周期変化される代わりに、AMEBA計画では強力な電力や磁界を帯びた物質を機械的に動かす事を考えている」と説明したが、細部には言及していない

VLFやULF通信は大きな潜在能力を持っており、水中で活動する潜水艦や無人水中艇間の直接通信を可能にし、潜水艦などが浮上するリスクを避けることが出来る
●また、GPS信号は水中では活用できないが、ULF通信により三角測量方式で他の潜水艦の位置特定を可能にし、2020年運用開始を見込む無人潜水艦の運用に朗報である

陸軍や海兵隊などの地上部隊にとって、VLFやULF通信は見通し線外の長距離通信を可能にする技術となろう
AMEBA.jpg●現在地上部隊が使用する高周波無線機(PRC 117 SATCOMやPRC-150)は、送信者が受信者の位置を精密に把握して置く必要があり、またアンテナは電波伝搬状況に応じて昼夜で変更する必要がある
●またGPSと同様に衛星を使用するSATCOMは、有事に通信衛星が中国やロシアの前に脆弱であることを考慮すれば脆弱でアリ、VLFやULF通信実用化への期待は大きい

12月に公になったばかりのAMEBA計画は、まだ研究開発の初期段階でアリ、企業との開発協力契約もまだであるが、1月6日にバージニア州で開催される企業等関係者に対する「Proposers Day」をDARPAは計画している
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AMEBA2.jpgどの程度、「handheld or man-packable」な機材が実現可能なのか不明ですが、夢のある技術ですし、日本企業も絡めそうな気がします。

初夢で終わらないよう期待しつつ、続報を待つことと致しましょう

DARPA関連の記事
「相殺戦略は万能にあらず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11-1
「自身が創造したサイバー空間に苦しむ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「超超音速兵器に進化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「新型の宇宙監視望遠鏡」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19

「科学技術革新会議の中間報告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-11
「電子戦への人工知能応用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-31
「対潜水艦の無人艦艇」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-11

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トランプ氏の国防優先事項に対露なし!? [米国防省高官]

今後の激震を予期させるスクープ報道です・・・

Trump memo2.jpg20日付「Foreign Policy」電子版が、米国防省の政策担当次官代理が作成した部下に対するMemo文書を入手しトランプ氏の国防省政権移行チーム長から聞き取った、「トランプ氏の国防優先事項」が含まれていると紹介しています

そしてその「トランプ氏の国防優先事項:president-elect’s defense priorities」の中に、これまで国防省関係者が米国に対する一番の脅威だと言い続けていた「ロシア」が含まれていないと指摘しています。

これに対して政権移行チーム側は、「メディアがこのリストを取り上げ、トランプ政権の優先事項の全てを表現していると見なすのは誤解を招く誤りだ」と反論していますが、国防省側は「政権移行チーム側に聞いてくれ」との姿勢で、疑問を打ち消すには至っていません

なにせトランプ氏は、ロシアと親密な関係にあると言われているエクソンモービル社のTillerson社長を国務長官に付けようとしており、対ロシア外交の大転換が噂されている中での話でアリ、皆が疑心暗鬼になっている状況です

もちろんMattis次期国防長官が完全にロシアを無視できるはずもなく、中国や北朝鮮やイランとの言葉も4つの「国防優先事項」リストには含まれていないのですが、話題になりそうな話ですのでご紹介しておきます

Memoの現物拡大写真
https://foreignpolicymag.files.wordpress.com/2016/12/screen-shot-2016-12-19-at-1-44-09-pm.png

20日付「Foreign Policy」電子版によれば
(同Memo文書の中身の概要)
McKeon DOD.jpg●同Memo文書は12月1日の日付で、Brian McKeon政策担当次官代理が部下との情報共有のために作成した文書であり、トランプ側政権移行チーム長であるMira Ricardel女史が11月28日の国防省側との申し送り会議の中で示した、「トランプ氏の国防優先事項4つ」を周知するためのもの
●トランプ側チームは当時は16人で、今後約20名となり、概要ブリーフィングを受けつつ担当分野を細分化して20名で分担する方向で進める

既に数回のブリーフィングを終了しており、国防省の組織や政策、対ISILや北朝鮮や中国についても一応の説明は行ったが、追加の説明も準備中である
●Ricardel女史は、国防省の各組織や機関の主要課題や関連予算状況の説明を希望しており、更に予算等が許せば取り組みたいと考えている希望事項も聞かせて欲しいと要望している
●また引き継ぎ会議を小規模で行う事をトランプ側は希望しており、参加者については規模を限定して対応する

4つの「トランプ氏の国防優先事項」
●Developing a strategy to defeat/destroy ISIS
Build a strong defense(予算管理法の縛り除去、戦力の規模・即応性・威力の改善)

●Developing a comprehensive cyber strategy
●Find greater efficiencies(Work副長官による偉大な仕事を更に追求して積み上げる。国防省内から新しいアイディアを募る)

「Foreign Policy」電子版の指摘
Dunford1.jpg●例えばダンフォード統合参謀本部議長は、昨年7月の上院軍事委員会でロシアを上回る脅威はないとの認識を示し、「米国の生存に関わる脅威を呈している一番の国はロシアで、彼らの行動を見れば明らかである」と明言し、それに続く脅威として、脅威度の高い順番に中国、北朝鮮、ISISを上げて証言している
●またJames Clapper国家情報長官(DNI)も昨年2月、ISISはロシアほど米国の国益を脅かす存在ではないとの認識を示し、「ISISは米国に決定的なダメージを与えることは出来ないが、ロシアは可能だ」と語っている

●また国防省の調達担当高官は、米国防予算の重点は対ロシアにあると発言しているし、米軍と欧州NATO諸国との演習は増加し、欧州とロシアとの国境沿いにはNATO諸国の軍が増強配備されている
●更に有事に備え、戦車等の重装備の欧州ロシア正面への事前集積を開始してる

●この様な状況の中で、4つの優先事項にロシアは現れないし、国防省側が既に行ったとMemoが表現しているブルーフィン対象国に、ISISと北朝鮮と中国は含まれているが、ロシアが含まれていない
Clapper2.jpg●また、引き継ぎ会議関係者によれば、トランプ側は国防省の対ロシア政策担当者等とも会議を行っているが、あまり突っ込んだやりとりはなく、ほとんど場合「どんな状況ですか?」確認する程度である

●もちろん専門家でも「Mattis次期国防長官から直接話を聞かないとよく分からないし、優先事項を絞るにはもう少し時間が必要だろう」と考える者が多いだろうし、国防省内部からロシアの脅威軽視は大きな反発を受けるだろう
●しかしTillerson国務長官が誕生すれば、これまでの対ロシア姿勢がトーンダウンする可能性はある
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Foreign PolicyはMEMOの中身をあまり紹介せず、多少誇張して報じているような気がしますし、MEMOの中身も明らかに物事の一面しか表現していないと思いますが、気にはなります。

時間がたてば明らかになる事でしょうが、写真で見る折り目の付いた生々しいMemoには、確かにISISや北朝鮮や中国との言葉はあっても「ロシア」との言葉が全くなく、「?感」ありありです

Work-Reagan.jpgだいたい、この様なMemoをリークするのは、トランプ側を牽制し、「ロシア脅威」を訴え、「Tillerson国務長官の誕生を阻止したい」からでしょうから、今後も一波乱も二波乱もありそうな予感です

ただ「Work副長官による偉大な仕事を更に追求して積み上げる」とのMEMOの言葉には期待が持てそうです。なかなか目の付け所が良いじゃないですか・・・

ロシアがNo1脅威との指摘
「ダンフォード議長が上院で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-10
「ロビンソン女性大将も」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-23-1

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次の陸軍長官に士官学校卒のお金持ち金融企業家 [米国防省高官]

Vincent Viola氏は候補を辞退した模様

2月3日付のブルームバーグ等によれば、関係者の話として陸軍長官職とビジネスを完全に切り離すのは困難と判断し、推薦を辞退した模様
同日、トランプ大統領に伝えたという。トランプ氏が政権高官に指名した候補で辞退者は初めて
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米国には色んな人材がいますねぇ・・・

Viola3.jpg19日、トランプ氏は次の陸軍長官を、陸軍士官学校卒業の元陸軍少佐でデジタル証券会社創設者の億万長者で、プロアイスホッケーチームのオーナーで、陸軍士官学校への寄付で対テロやサイバー戦などの近代戦研究を支援している慈善実業家Vincent Viola氏にお願いすると発表しました

陸軍長官は最近2年間で4名が入れ替わり務めており、現在のEric Fanning長官(同性愛者を公言)は半年以上議会承認が得られず、今年5月に就任したばかりです

この発表を伝えるDefense-News記事は、トランプ氏の公約である無駄を廃して米軍を再建することを、ビジネス界での経験を生かして支援する事になろうと報じています。
本日は断片的ながら、Viola氏についてご紹介します

19日付 Defense-News記事によれば
現在60歳のVincent Viola氏は、イタリア移民の子供でアリ、父親はWW2に米軍兵として参戦している。同氏も1977年に陸軍士官学校を卒業し、軍人として最後は、米陸軍予備役の少佐まで務めた
軍退役後はビジネスの世界に進み、現在はデジタル証券会社Virtu Financialの創設者として経営に関与し、またNHL所属のプロアイスホッケーチーム「Florida Panthers」のオーナーでもある

Viola.jpg●911同時多発テロの際に、ニューヨーク商品取引所の所長だったこともアリ、その後私財を陸軍士官学校に寄付して「Combating Terrorism Center」「Army Cyber Institute」「Modern War Institute」等の研究機関を創設し、また運動選手を支援する「Army athletic programs」も支えている
●陸軍長官就任が議会に認められれば、Viola氏は現在関与している事業から離れることが必要だが、NHLチームの発表によれば、同チームの所有権はViola家に残るが、運営は副社長が引き継ぐことになる模様

●トランプ氏は同氏の指名に際し、「優れた米陸軍での功績とビジネス界での極めて印象深い活躍の何れもが、如何なる困難に直面しても、素晴らしいリーダーシップを発揮し、大きな結果を残す人物である事を証明している」との声明を発表している
●Viola氏自身も「議会で承認して頂ければ、疲れも忘れるくらいに働き、トランプ氏の国家安全保障戦略を支え、如何なる任務も遂行する地上戦力を提供するよう取り組む」、「私の仕事の焦点は、全てのタイプの紛争に於いて、米軍兵士達が戦って勝利を収めうる手法と手段を確実に手にできるようする事である」と声明を発表している
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Viola2.jpg米国にはいろんな人材がいるんだなぁ・・・と感心する次第です。

トランプ氏がMattis次期国防長官を支える布陣に、どのような人材を配置するのか今後も気になるところですが、士官学校卒業で10年以上の現場軍人経験を持ち、生き馬の目を抜く証券金融業界を渡ってきた人材を、60歳の働き盛りで呼び寄せる腕力で、「無駄を廃して米軍を再建」して頂きたいものです。

トランプ氏関連の記事
「副長官の適任タイプを考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10
「現在の対テロ7原則を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-07

「国防省改革はどうなる?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-01
「中露を抑止するには」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-05
「Mattis氏が国防長官へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02

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「第3の相殺戦略」は万能薬ではなく思考の枠組み [米国防省高官]

Prabhakar3.jpg8日、米国防省の技術開発をリードするDARPA(国防高等研究計画庁)のArati Prabhakar長官がCSISで講演し、「第3の相殺戦略」を万能薬のように考えるのは誤りであり、またそれ以前の相殺戦略のように長期に渡る技術優位を確保できると考えるのも間違いだと語りました

更にDARPA自身も、GPSやインターネットを開発した当時のような研究所でなく、ベンチャー企業の技術を育てるようなインキュベーターの様に、新たな技術を見いだして進化させるような複合システム組織に変革し、国防省を支援するようになるべきと語りました

以前よりも情報の拡散が急速で、軍事が先端技術を独占した時代ではもはやなく、世界中の民間企業や研究機関やベンチャー起業家が技術革新を担うように時代が変化してきたことが背景にありますが、最先端の軍事技術研究を行う機関トップの発言だけに重みが違います

百戦錬磨のPrabhakar長官がCSIS講演で
Prabhakar4.jpg米国防省は「第3の相殺戦略」を万能薬や決定打(silver bullet)の様に考えるべきではなく、深い思考の枠組みを表現する言葉と理解すべきである
技術発展の世界で起こっている大きな変化は、特定の一つの技術で起こっているのではなく、我々が研究開発活動を行っている「技術エコシステム」の変革という形で起こっているのだ

●現在の国防省は未だに、数十年も全ての先端技術を独占できた時代へのノスタルジアに取り付かれている。そんな昔のことは忘れなければならない。今は時代が違うのだ
●今では、技術開発は世界中の産業界が推進しており、それは米国だけで行われているのではない。そして開発の速度は加速しており、国防省が設立された時代とは異なるペースで進んでいるのだ

●精密誘導兵器やステルス機に代表される「第2の相殺戦略」時代には、我々は相当な期間で軍事技術の独占支配が可能だった。
Prabhakar5.jpgしかし「第3の相殺戦略」では、技術は急速に進化発展して拡散するので、かつてのように20~40年間も技術優位を確保は出来ない。この厳然たる情勢認識を持ちつつ、第3の相殺戦略に取り組むべきだ

急速な全ての技術進歩は、米軍の最新装備に敵対的な意味を持つことさえある。例えば、まだ完全な運用態勢を確立していないF-35だが、急速な技術進歩で時代遅れになった電子部品を交換する必要に迫られ、500億円もの投資を迫られる事態が発生している

●このような時代には、DARPA自身も変化を迫られており、GPSやインターネットを開発した当時のような研究所でなく、ベンチャー企業の技術を育てるインキュベーターの様に、新たな技術を見いだして進化させるような複合システム組織に変革し、国防省を支援するようになるべきだ
●我々の生きる時代では、このようにして時代に先んじることが唯一の生き残る道だ
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Arati Prabhakar長官(57才)は、2012年からDARPA長官を務めているベテランで、まだ30才台だった1993年に当時のクリントン大統領から約3000名で構成された「National Institute of Standards and Technology」所長に任命され、企業等を束ねて技術開発に取り組んだ実績もある有能な人材です

Prabhakar6.jpg最初にDARPAに所属した1986年には、半導体技術関連の研究ーリーダーとなり、「Microelectronics室」に発展させた実績を挙げています。
DARPA長官になる以前は、ベンチャー企業の幹部やベンチャーキャピタル幹部も歴任しており、官民両サイドから技術開発の現場を見てきた人材で、その言葉には重さがあります

下記のCSISイベントでも、統合参謀副議長が相殺戦略に関する過剰期待を戒める発言をしていましたが、そこに活路を求めたい人が多いことの裏返しでしょう

先日、関西大学が古式騒然とした「軍事研究には関わらない宣言」を行い、防衛省が募集した官学共同研究資金への応募を禁じる事を決定しましたが、なんか情勢認識が半世紀ずれているような気がしてなりません。

CSISが相殺戦略特集イベント
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1

DARPA関連の記事
「自身が創造したサイバー空間に苦しむ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「超超音速兵器に進化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「新型の宇宙監視望遠鏡」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19

「科学技術革新会議の中間報告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-11
「電子戦への人工知能応用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-31
「対潜水艦の無人艦艇」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-11

Prabhakar長官関連
「対中国に対艦ミサイル重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
「2014年度の研究開発重点は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-18

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Work副長官:規模拡大の前に穴埋め予算が必要 [米国防省高官]

Work-trump.jpg6日、Work国防副長官が講演し、国防予算の現状を説明しつつ、トランプ氏が大統領選挙戦を通じ叫んでいた「米軍艦艇や作戦機の増強」が非現実的で、現状維持に必要ながら既に欠落している予算や規模維持に必要な予算だけを計算しても、現状から年間10兆円の国防予算増額が必要だと語りました

また、現状の欠落予算や規模維持を後回しにしても、喫緊の課題であるサイバー関連の脆弱性に投資し、指揮統制システムの強靱性を高める取り組みを始めるべきだと、現場感覚溢れる地に足のついた主張を展開しています

そもそもトランプ氏は、選挙期間中も選挙後も、ほとんど具体的に安全保障政策を語っておらず、9月の「米海軍艦艇を350隻体制に」等との意図不明な発言だけが残っているわけですが、厳然たる事実を前に、どのような政策を打ち出すのか注目されているところです

既にトランプ政権移行チームとの国防省とのミーティングが始まっており、第3の相殺戦略への取り組みや諸計画について説明したようですが、Work副長官はトランプ側の反応については言及を避けています

6日付米海軍協会web記事によれば副長官は
Work-army2.jpgトランプ氏は、予算の強制削減を規定した2011年の予算管理法破棄を主張しており、これは素晴らしいことだが、同法を破棄して得られた予算増額はまず現状の「穴埋め」に充当されることになるだろうし、米軍艦艇や作戦機を増強する余裕があるか疑問である
●私の計算では、既に予算不足で穴が開いている部分を埋め、老朽装備や施設を更新して現状維持するだけでも現状予算規模より追加で年10兆円が必要であり、まず現状をよく把握して考えるべきである

まず、国防省は規模を維持しながら最低限の装備更新等を図るための5カ年計画を立てているが、これを遂行するために追加予算が年2.5兆円が必要である。これが確保できなければ、艦艇や航空機の数削減に手を付けなければならない
次に、予算管理法で規定された上限ではまかなえない部分を、「海外緊急作戦予算OCOA」で例外的に議会の承認を得て確保しており、欧州での対露緊急対策(European Reassurance Initiative)など重要施策を進めているが、この経費年3.2兆円の基礎予算化して正常化する必要がある

第3に2022年から約20年間を掛け、核抑止3本柱の近代化・再構築を始める必要があるが、このために年間2兆円の追加予算が必要になる見積もりであり、抑止戦略の根幹をなす不可欠な投資確保は最優先事項である
Pentagon.jpg最後は現在リスクを負いつつ、リスクに目をつぶるような形で不足を許容している装備品の維持整備や弾薬調達予算である。現状の装備品規模に比し、現在の維持整備予算は年間2.3兆円不足している。これには削減している弾薬予算や停滞している危険な老朽インフラの更新予算も含んでいる

●繰り返すが、現在出血している傷を埋め、何とか老朽装備やインフラを更新して現状の規模を維持していくだけで年間約10兆円の追加予算が必要なのである。艦艇や航空機を規模を増やす余裕があるとは思わない
●これが私が見た国防省の現状であり、政権移行チームに伝えた現状である。移行チームとのやりとりや反応については言及しない

●個人的な意見ではあるが、仮に私が、追加で年間2兆円の予算を与えられたら、艦艇や航空機規模の拡大ではなく(現状の維持を多少犠牲にしても)、サイバー関連の脆弱性に投資し、指揮統制システムの強靱性を高める予算を編成する。それほど緊急に対処が必要な課題だと考えるからだ
/////////////////////////////////////////////////

非常に分かり易いWork副長官の解説でした
強制削減を生んだ2011年の予算管理法は、国防省だけでなく他省庁も縛っており、この縛りが無くなれば一斉に「穴埋め」要求が全米からわき上がることになります。

Mattis13.jpg米国防省の予算は年間60兆円だったので、年10兆円追加が如何に大きいか御理解いただけると思いますが、これが現状維持予算の最低レベルだと言うことです
この現実に対処するため、現国防省幹部や関連議員の中に「F-35の調達数削減が必要」「次期政権の第一課題」との認識が広がりつつあるわけです

Mattis次期国防長官やスタッフも十分現状を認識するでしょうから、多かれ少なかれ、同盟国への要求が強くなるのは避けられないことだと思います

日本では米軍駐留経費がどうのこうの・・・との報道や議論がありますが、もっと大きな視点で世界の軍事や安全保障環境を見つめ、置かれている立場を認識する必要があります。
トランプ政権がどうのこうの・・レベルの話ではないのです・・・

死屍累々の装備品開発
「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-22
「F-35の主要課題」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「次期SSBN基礎技術要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27
「空母建造費の削減検討に30億円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-07
「沿岸戦闘艦LCSがF-35化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-09

「米会計検査院が空母に待った」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-12
「新空母フォード級を学ぶ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「映像で学ぶB-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01

ロバート・ゲーツ語録70
(ロシアでの講演で、)軍事官僚制の2つの病巣、つまり兵器システムの継続的価格 高騰と納期の遅延、を危惧する点でセルジュコフ露国防相と意見が一致した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28

オハイオ級の後継艦計画ORPと関連事業
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「あと25年SLBMを延命!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

米潜水艦関連の記事
「攻撃潜水艦SSNの将来」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-28
「バージニア級SSNの内部映像」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-10-1

チョット関連の記事
「国防長官が暫定予算を批判」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-23
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「米国防予算のグダグダ解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-25

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中国とロシアを抑止するには@レーガン財団 [米国防省高官]

Reagan.jpg3日、加州のレーガン財団が主催した会議で「領土回復を目指す勢力への抑止:「Restoring Deterrence in an Era of Revanchist Powers」とのパネル討論が行われ、Work副長官やハリス太平洋軍司令官や陸軍参謀総長も加わり、中国やロシアに対する抑止について語っています

そんなに画期的な発表があったわけではありませんが、中国とロシアの抑止に関する、今の国防省の考え方や取り組みを端的に表現していると思うのでご紹介します。

最近、トランプ氏の大統領就任を控え、レーガン大統領の誕生時との類似性から論じる方が増えているように思いますが、このレーガン財団が毎年この時期に主催する「Reagan National Defense Forum」には、昨年も国防長官を始めとする国防省の幹部が勢揃いしており、レーガン氏への国防族の思いのほどが窺えます

Work副長官は「第3の相殺戦略」と絡めて
Work-Reagan.jpgJohn Mearsheimerは大国(a great power)の定義として、米国のように圧倒的な通常兵器と核攻撃を生き延びる核戦力で核抑止力を持つ大きな国と表現した。
●米国は、勢力争いを自然な国家の状態と見なしている中国とロシアを抑止するため、3つの要素が必要である。戦略核抑止、通常兵器による抑止、そして日々継続的に繰り広げられる戦略的闘争への対応である

●仮に、戦略核抑止を「at the Top」とすれば、通常兵器による抑止は「in the middle」で、日常的な闘争は「at the bottom」である。通常兵器と日常の闘争の関連を「危機管理」とすれば、戦略核抑止と通常兵器による抑止のリンクは「エスカレーション管理」と考えられる
●そして我々が取り組んでいる「第3の相殺戦略」は、包括的な戦略的安定を追求する中で、通常兵器による抑止に焦点を当てたものである

ハリス司令官は抑止の定義に言及し
Harris CSIS4.jpg抑止を方程式で表現すると、「能力」と「決意:resolve」と「意図表明:signaling」のかけ算で表現される。そして3つの要素全てが揃わなければ、抑止は機能しない
●「能力」について問われれば、我々には備わっていると思う。危機が迫ったときの「決意」についても、我々にはあると思う。しかしこの2つの要素に疑問がなくても、「意図表明:signaling」が十分でなければ抑止は完全に機能しない

●また「能力」に関して言えば、軍事力はその一部に過ぎず、全ての省庁が保有する能力全てがこれに該当し、国際社会の中で中国とロシアと向き合う必要がある
●そして「私の担当する太平洋地域を暗視装置で見れば、我々の取り組み全てが、この複雑な環境において大統領が必要な施策を遂行できる能力を提供する事につながっている

Milley米陸軍参謀総長は
Milley.jpg●過去15年間の戦いでは、4軍全てが対テロや過激派対応に集中して対応してきた。これらのために特化し、今や他の脅威対処に必要な能力とのギャップが明らかになりつつある
●米国(米軍)は依然として比較優位を保っているが、相手との差は明らかに急速に縮小しており、危険な状況に立ち至っている

●望むと望まざるとに関わらず、中国やロシアや北朝鮮やイランやテロリストは、国際秩序に挑戦してくる。我々は必要な能力を確保して抑止しなければならない
●そしてこの抑止は力によってなし得るモノで、規模と能力の組み合わせで得られるモノだ。これまでその様に努力してきたし、将来の指導者も同じようにするだろう
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Reagan3.jpg久々の共和党政権誕生に向け、レーガン大統領との類似性が指摘されるトランプ政権に向け、「第3の相殺戦略」を着実に進め、オバマ政権の態度が煮え切らなかった「意図表明:signaling」もしっかりやり、本格紛争用の戦力強化にガッツリ取り組んで欲しいと訴えているようです

そして世界や同盟国の間に不安感が広がる中にあっても、何となく米国防省内部にはどっしり構えるムードが漂っているような気がします。

既に3日の時点では、Mattis氏が次期国防長官にノミネートされたことは明らかになっており、オバマ政権の「細部介入」に嫌気がさしていた国防省幹部にも「光明」が見えているのかも知れません

Mattis次期国防長官の関連
「Mattis氏が次期国防長官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02
「トランプ氏がMattis氏と面談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21

昨年の同イベント関連記事
「カーター長官基調講演」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-13
「副長官が相殺戦略を説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
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3軍の文民トップがCNASで思いを語る [米国防省高官]

任期末期で、かなり自由に御発言です

James CNAS.jpg10月24日、CNASで開催されたイベントで米陸軍、米海軍、米空軍の各長官が揃ってパネル討議を行い、様々な勤務を通じての思いや気候変動の影響、大統領選後の備え、小型無人機対処、更にはシリア飛行禁止空域について語りました。

3軍の文民トップが一堂に会して語り合う場面はこれまで聞いたことがありませんが、それぞれの軍種の内部には口を挟まず大人の対応ですが、興味深い話も含まれており、またISIL等のイスラム過激派組織が使用する小型無人機への対処が急務との認識で一致している模様です

陸軍長官や海軍長官の興味深い話
陸軍長官は、新しいプロジェクトを停滞させないため注意すべき2つの事項を述べた。一つは「もう少し調べて検討してから」との姿勢を取らないこと、二つ目は「国防省全体で取り組むべき」との方向に安易に流れないことである
Fanning2.jpgMabus1.jpg●特に二つ目に関しては、全ての軍種への適応を考えたが故に、効率性を損なう結果になりかねないからであると説明し、各軍種がインキュベーターであるべきで、競争や実験重視の姿勢を持つべきだと語った

●海軍長官は気候変動の影響について、北極海の氷が溶けてロシアが派遣拡大を狙っても、米海軍は対処準備が出来ている。しかし温暖化に対策が取られなければ、海面上昇でNorfolk基地は20~30年後に水没するだろう

●11月8日に誰が大統領選ばれようとも、政権委譲チームが私たちのオフィスを訪れたなら、政権委譲に伴う間隙が生じないように準備は万端に出来ていると、3人の文民トップは口を揃えた
●James空軍長官は、特に予算の強制削減や暫定予算措置の停止を進めるよう申し送りを実施すると強調した


なぞの兵器で小型無人機撃退!?
James AFA1.jpg●最近米空軍は、どのような手段を用いたのかには言及を避けているが、ISILが使用していた小型無人機を「電磁的手段:electronic measures」で撃墜した
●James空軍長官は、中東に展開している米空軍部隊が、近傍に1機の小型無人機が飛行しているとの情報を入手し、「かなり迅速に撃退に成功した」と表現した
●空軍長官と同じくイベントで登壇していたメイバス海軍長官とファニング陸軍長官も、小型無人機への対処が急激に優先度を高めていると危機感を示した

シリア「no-fly zone」設置は困難だが言われれば・・
この問題の背景
●シリアの一般国民保護の観点から、これまでも議会等から度々、シリア上空に飛行禁止ゾーンを設定してアサド政権等による一般市民への航空攻撃を阻止するよう要望が出されているが、オバマ大統領は「意味ある手段だが、現時点で米国の選択肢にはない」との立場
●一方でクリントン大統領候補は、3回目の候補者ディベートで、「人命保護と紛争の早期終結のため、飛行禁止ゾーン設定を支持する」との立場を表明した

James空軍長官は
飛行禁止ゾーンの設定は困難で複雑だが、命ぜられればコアリションのメンバーとして実施する。現時点で飛行禁止ゾーン設定の計画はないが
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Rethinking Seminar.jpg米国防関係者の発言も、米軍事メディアの報道も、対ISILや対イスラム過激派関連が5割以上を占めています。
残り3割ぐらいが軍需産業の動きで、最後の2割で中東以外の地域が話題になり、その一部でアジア太平洋がときどき話題になっています

しっかり統計を取ったわけではありませんが、印象的には、アジア太平洋の話題はフィリピン大統領ぐらいで、南シナ海も少なくなりました

最近のJames空軍長官関連
「ICBM後継経費で相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「FMS手続きの簡素化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-05
「F-35整備員確保の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-14
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米国に呼び出されたか黒江事務次官!? [米国防省高官]

完全に邪推ですが、最近の日米韓3ヶ国協力が気になります

Work-kuroe.jpg26日、訪米した防衛省の黒江事務次官がWork国防副長官と会談しています。
同日付の米国防省web記事は会談内容を、「急速に変化・展開する安全保障環境が会談の中心」と表現し、北朝鮮・東&南シナ海等々が議論されたと「淡々と」報じています。

もちろん日米同盟を深化発展させ、情勢に応じた対応を取るための協議は歓迎すべきものですが、10月14日の日米韓軍人トップ会合に始まり、19日には米韓国防相会談や米韓「2+2」が立て続けに開催され、そして今回の日米国防No2協議です。何か臭います・・・

24日の記事でも触れましたが、北朝鮮の核実験やミサイル連続発射が協議を要することは確かですし、9月29日のカーター長官による「リバランス第3の波」発言に関する認識のすり合わせも重要でしょう。

2016-Shan33.jpgしかしまんぐーすが気になっているのはカーター長官が今年のアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で言及し、日本関係者が「どん引き」した「日韓が南シナ海で災害共同対処訓練を実施」との表現を用いた「日韓共同の南シナ海パトロールの夢」です。

例えば19日の米韓国防相会議後の会見で、韓国国防相が「日米韓の3ヶ国協力が2017年には拡大し、海洋安全保障分野が対象」だと言わされており、とっても気になっています

26日付の米国防省web記事は会談内容を
Work副長官は、尖閣諸島が日本の施政下にアリ、日米安保条約の第5条の対象だと再確認した
JKU1.jpg●副長官と黒江事務次官は、防衛装備品と技術協力に関する意見交換を行い、韓国や豪州を交えた3ヶ国関係を如何に強化するかについて議論した

●また両者は、自衛隊の拡大しつつある役割について議論し、東南アジア諸国の能力構築支援への日米の取り組みについて意見交換した。更に、弾道ミサイル防衛や宇宙分野での協力強化についても議論した
●2名のリーダーは、新ガイドラインに沿って日米同盟を深化させていくことを確認し、日米同盟がアジア太平洋地域の平和と繁栄にとって揺るぎなき「cornerstone」であることを再確認した
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Dunford KJ.jpg最近、河野統合幕僚長や武居海上幕僚長が、海上自衛隊の南シナ海での活動を強化するような(臭わせるような)発言をしていると認識しているのですが、ある日突然、何か発表になるのでは・・・と気になっています

もちろん、安保法制関連の南スーダンPKOにおける「駆けつけ警護」も重要な話ですが、南シナ海問題への日本の直接関与は、安倍政権にとって極めてリスクの高い行動になるのでは・・・と危惧しています

以上、まんぐーすの邪推でした

日米韓協力への懸念記事
「日米韓海軍協力を強調推進か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-21
「なぞのリバランス第3の波」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-01
「2016年シャングリラ会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-30

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重鎮ケンドール国防次官が将来航空機投資を語る [米国防省高官]

Kendall-F-35.jpg21日、米国防省の装備開発&調達担当の豪腕次官であるケンドール氏が記者会見を行い、F-35開発の教訓を踏まえつつ、今後の米軍作戦機に必要な要素について検討している様子を断片的に語っています。

ケンドール次官の話は、最終的な落とし所や結論は予断出来ませんが、思考の方向性は米空軍が進めている「Air Superiority 2030:2030年代の制空検討」や「Penetrating Counter Air検討」と問題意識を共有しており、特に中国の弾道・巡航ミサイル脅威を強く認識していることを改めて感じさせます

翻って、ケンドール次官(米国防省代表で出席↑写真上↑)と共に、日本用のF-35完成式典に参加した防衛副大臣や航空自衛隊トップが、この辺りの「脅威の変化」を全く感じ取っていない(行動が見られない)のは、脅威認識の相違という点で同盟関係の根幹に関わる事態だと改めて強調しておきます

25日付米空軍協会web記事1は
Kendall22.jpg●21日、ケンドール次官は米国防省が、次世代作戦機がどうあるべきかについて、多くの疑問と格闘していると記者会見で語った。そしてF-35計画の教訓を、米空軍の「Penetrating Counter Air検討」や米海軍のFA-18後継検討に活用すると述べた
●そしてまず最初に、次世代作戦機で各軍種が協力し、搭載システムやそのサブシステムの共有を追求して効率化を図ることはあるだろうが統合計画はないだろうと語った

●更に同次官は、米国防省は既に主要な関係企業(potential primes)とコンセプト検討に入っているが、どのような航空機を調達すべきかに関し、回答よりも疑問の方が多くわき上がっていると語った
●例えば、有人か無人か、航続距離か兵器搭載量か、どれほど洗練されたレベルが必要な、F-35等の現有戦力との組み合わせにおいて何が求められるか等々の疑問であるとも表現した

●航続距離を求める声も、兵器搭載量増を求める声もアリ、永遠の課題だろう。しかし我々に突きつけられた弾道・巡航ミサイル脅威は、航空機ではなく拠点となる航空基地や空母に向けられており、航続距離への要望はより鋭さを増している

25日付米空軍協会web記事2は
F-35 luke AFB.jpg●F-35は「信じがたいほど」「驚くべき装備」である。しかしもう一度F-35計画をやり直すとしたら、今搭載しているような全ての要素技術の搭載を追求しないだろう(not have put all the tactical air eggs in one corporate basket)
●そしてその理由として、「F-35開発にこれほど長期間を要しているのは、信じがたいほど複雑なシステムだからだ」、「洗練されたセンサー、ステルス性等々、これらを融合したF-35は使用者にとって大変有用な装備で、かつこれまでと異なる航空機となっている」と語った

一方でこれらF-35の能力は複雑さという代償を払っている。つまり、より多くの時間をかけ、より技術的な労力を要し、より多くの試験が必要だと言うことである
●ただし結論として、我々はF-35という恐るべき素晴らしい装備を手に入れたわけである

●振り返ってみて、私が国防省の調達に関わるずっと以前のF-35計画当初に立ち戻れるなら、一つの主契約企業に集中するような事業構造を望まないだろう。より競争を促す構造が健全だと思う
●F-35事業では、機体全体で競争部分が限定されていた。新たな能力を「open architecture」で柔軟に取り入れられるよう、その様な窓口を再オープンするように取り組んでいく
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Kendall.jpgケンドール発言で改めて強調されているのは、中国の弾道・巡航ミサイルで米軍等の航空基地や空母が脆弱さを増しており、航続距離を伸ばした航空機の重要性が高まっていること

また装備品開発は、要求を盛りすぎると開発に長時間必要でリスクも高くなるので、要求は堅実なレベルに抑え、それにより企業間の競争を促進して価格低下や質向上に貢献し、なおかつ将来アップグレードに備えた拡張性に配意して早期陳腐化を避ける配慮が必要・・・との点でしょうか

振り返し、繰り返しご紹介してきた考え方ですが、未だ日本では浸透不十分なようです

米空軍の将来制空アセット検討
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

いい加減にしろ日本の戦闘機命派
「F-35の主要な問題点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「悲劇:F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

空自OBに戦闘機を巡る対立
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05 
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Work副長官:第3の相殺戦略で空軍に要望する [米国防省高官]

work AFA.jpg9月21日、Work国防副長官が米空軍協会の航空宇宙&サイバー総会最終日に登場し、「第3の相殺戦略」のポイントを再徹底すると共に、「技術革新面」でない「組織運用改革面」での最初の実例として米空軍主導の多機関共同の宇宙作戦センター(JICSpOC)を高く評価すると共に、陸海軍の取り組みを紹介しつつ米空軍に要望事項を示して一層の努力を要望しました。

「陸海軍の取り組みを紹介」する場面では、具体的に陸海軍幹部の論文を紹介してその革新的なアイディアを讃える扱いをしており、Work副長官的には米空軍の取り組みを「今ひとつ」と感じているような印象を受けます。

空軍への要望に「センサーと兵器等をマルチドメインで結ぶ指揮統制グリッドへの新アイディア」と表現しており、新空軍参謀総長が最近打ち出した重視事項の一つと一致しており、震源がWork副長官主導の「第3の相殺戦略」であることを伺わせます

また、最近とても「淡泊な」米国防省webサイトが、本講演をかなりしっかり紹介しており、米空軍へのメッセージとして重要な位置づけを示しています

まず、なぜ何のために何を「第3の相殺戦略」を
work AFA2.jpg●「第3の相殺戦略」に取り組む3つの理由は、まず、米軍は大部分の戦力を米国内に保有しているが、将来大規模紛争が生起しそうな地域に大規模戦力の集積は困難で、緒戦では潜在的な敵が時間と空間と戦力数で優位に立つ可能性が高いこと

2つ目に潜在敵対者も過去には保有していなかった米軍に近いレベルの誘導兵器を保有するようになってきていること
3つ目に、敵対者は米軍が「第2の相殺戦略」の結果として、ネットワークや宇宙アセットに依存していることを良く把握し、多額の投資でサイバーや電子戦や宇宙兵器を準備して対ネットワーク戦能力を高めている点である

国防省高官がこぞってJICSpOCを高く評価
●コロラド州のSchriever空軍基地にある「JICSpOC」は、米戦略コマンド、国家偵察室(NRO)、空軍宇宙コマンド、米空軍研究所ARRL、情報コミュニティー、宇宙関連情報提供企業が協力して運用する形態で、2015年10月に正式運用を開始した。

JICSpOC2.jpgJICSpOCは統合戦力がよって立つ宇宙世界での戦場管理の指揮統制を担う様に設計されているが、このような指揮所をかつて保有したことはなく、組織形態面で「第3の相殺戦略」を最初に体現したものである
宇宙コミュニティーの関係者を融合し、非常に重要な宇宙システムを運用するのがJICSpOCである。そしてJICSpOCが自らに課す課題は、GPSシステムが脅威を受けた際、どのようにその運用法を変えて行くかを考え行動することである

科学評議会の議論を踏まえた技術重点5つ
●全般には、戦場ネットワークの能力&耐性改善のため、人工知能や自立化の活用、統合戦力が統合の協力的「human-machine」戦場ネットワークの力をより活用し、作戦遂行能力の優位さを確保する事で通常戦力による抑止力強化を狙う

●5つの鍵となる技術分野
Learning machines
恐らく、ディープラーニングのような手法を指し、戦場の状況を人間を介さず装備やシステムに学ばせ「AI」等の洗練に活用する技術
Human-machine collaboration
人間がより迅速に正しく必要な意志決定が可能なようなビジュアル化を含むコンピュータとの接点技術

Assisted human operations
全ての操縦者、地上&海上兵士を戦場ネットワークに組み込む技術
・Human-machine combat teaming
有人装備と無人装備の有機的なチームとしての運用とその技術

・Network-enabled autonomous weapons
高度な学習機能を備えたC3Iネットワークに全ての自律的兵器を連接する技術


陸軍と海軍は新コンセプトを生みつつあるぞ
Work Offset.jpg米陸軍教育訓練コマンドの副司令官H.R. McMaster中将は、「concept of multidomain battle」を提唱し、ドメインをまたぐ統合戦力共同の作戦行動により、複数のドメインで敵に対して優位を確保できる「temporary windows」をひねり出すことが可能で、米軍統合戦力が主導権を掴んで拡大する事につながると論じている

米海軍は、全ての任務空間に於いて行動の自由を確保するため、2015年3月に「A Cooperative Strategy for 21st Century Seapower」との公開ブリーフィングを発表し、電磁スペクトラム(EMS)で軍事的優位を獲得する行動を示している
●このアプローチで米海軍は、電磁波発射への理解と管制による電子スペクトラム支配を重要な行動と位置付け、融合された戦力投射に活用することを提示している

米空軍にはこの分野を極めて欲しい
Work-Atlantic3.jpg●米空軍が自然な形で「第3の相殺戦略」推進し、統合戦力に貢献できることとして具体的に以下の検討を要望する
●我々は、センサーと兵器等を、マルチドメインでマルチ機能で、かつ多国間で結ぶ指揮統制グリッドへの新アイディアを必要としている

●米空軍には、連合の航空作戦センターの概念を拡大発展させ、統合の学習C3Iネットワーク面で、全ドメインで、複数の機能をまたぎ、同盟国等も交え、時には地域もまたいだ作戦が可能なアイディアを生み出して欲しい
●これらは全て、統合戦力での戦いをもう一度変革させる潜在的可能性を秘めている
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「5つの鍵」や「第3の相殺戦略」の背景はこれまでもご紹介してきましたが、米空軍への具体的な要望や、陸海軍の具体的なコンセプトへの言及は初めてのような気がします

陸軍中将の論文や海軍のブリーフィング資料は未確認ですが、陸上自衛隊の研究本部や海上自衛隊幹部学校の分析紹介を期待致しましょう。

もう少し具体的事例を交えて説明できれば良いのですが、まぁ・・・ぼちぼち明らかになるでしょう・・・。

Multidomain battleの解説記事
http://warontherocks.com/2016/09/multi-domain-battle-a-new-concept-for-land-forces/

A Cooperative Strategy・・Seapower関連のリンク
https://www.uscg.mil/seniorleadership/DOCS/CS21R_Final.pdf#search='A+Cooperative+Strategy+for+21st+Century+Seapower'
http://www.navy.mil/local/maritime/

米空軍新参謀総長の重視事項
「3つの重視事項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13
「迅速にピクチャー共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-21

Work副長官と「第3の相殺戦略」
「相殺戦略を如何に次期政権に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「宇宙とOffset Strategy」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「空軍研究所で関連研究確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07

「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09

関連の記事
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「CNASが官僚の壁を指摘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-02

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