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米国防省が超長波通信に新手法で挑戦へ [米国防省高官]

DARPA4.jpg12月29日付Defense-Newsは、国防省の国防高等研究計画庁(DARPA)が12月に構想を公表し、今年1月6日に企業関係者への説明会開催を明らかにした、新たな手法での「超長波」及び「超超長波」通信装置への取り組みを紹介しています

物理学の原理からすれば、超長波(VLF:very low frequency)及び超超長波(ULF:ultra low frequency)は低周波数を利用することから、水や土や岩や金属や建物を突き抜けて進む事が可能で、潜水艦と水上艦艇や無人水中艇間の通信が可能になり、また地下施設や洞窟との通信や地雷の操作や生き埋め者の捜索にも活用できるはずです

しかしVLFやULFを発信には、例えば10ヘルツの送信の場合、波長の半分の約1500kmのアンテナが必要になり、またアンテナが巨大なため、電力にもメガワット単位のエネルギーが必要なため、戦場での兵士の使用や潜水艦や艦艇への搭載は実用的でないと言われてきました

この課題に対処するため、DARPAのTroy Olsson担当責任者が取り組もうとしているのが新しいアンテナAMEBA(Mechanically Based Antenna)です。
細部については現時点で不明な部分が多く、1月6日の企業説明会以降の話でしょうが、夢のありそうな話ですのでご紹介しておきます

12月29日付Defense-News記事によれば
VLF.jpg●AMEBAは、VLFやULFの特性を生かした上で、手持ち可能か人が運べる通信機を目指すものである
●Olsson担当責任者は、「アンテナから電波信号を発射するため、アンプや電子回路で電流を周期変化される代わりに、AMEBA計画では強力な電力や磁界を帯びた物質を機械的に動かす事を考えている」と説明したが、細部には言及していない

VLFやULF通信は大きな潜在能力を持っており、水中で活動する潜水艦や無人水中艇間の直接通信を可能にし、潜水艦などが浮上するリスクを避けることが出来る
●また、GPS信号は水中では活用できないが、ULF通信により三角測量方式で他の潜水艦の位置特定を可能にし、2020年運用開始を見込む無人潜水艦の運用に朗報である

陸軍や海兵隊などの地上部隊にとって、VLFやULF通信は見通し線外の長距離通信を可能にする技術となろう
AMEBA.jpg●現在地上部隊が使用する高周波無線機(PRC 117 SATCOMやPRC-150)は、送信者が受信者の位置を精密に把握して置く必要があり、またアンテナは電波伝搬状況に応じて昼夜で変更する必要がある
●またGPSと同様に衛星を使用するSATCOMは、有事に通信衛星が中国やロシアの前に脆弱であることを考慮すれば脆弱でアリ、VLFやULF通信実用化への期待は大きい

12月に公になったばかりのAMEBA計画は、まだ研究開発の初期段階でアリ、企業との開発協力契約もまだであるが、1月6日にバージニア州で開催される企業等関係者に対する「Proposers Day」をDARPAは計画している
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AMEBA2.jpgどの程度、「handheld or man-packable」な機材が実現可能なのか不明ですが、夢のある技術ですし、日本企業も絡めそうな気がします。

初夢で終わらないよう期待しつつ、続報を待つことと致しましょう

DARPA関連の記事
「相殺戦略は万能にあらず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11-1
「自身が創造したサイバー空間に苦しむ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「超超音速兵器に進化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「新型の宇宙監視望遠鏡」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19

「科学技術革新会議の中間報告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-11
「電子戦への人工知能応用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-31
「対潜水艦の無人艦艇」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-11

トランプ氏の国防優先事項に対露なし!? [米国防省高官]

今後の激震を予期させるスクープ報道です・・・

Trump memo2.jpg20日付「Foreign Policy」電子版が、米国防省の政策担当次官代理が作成した部下に対するMemo文書を入手しトランプ氏の国防省政権移行チーム長から聞き取った、「トランプ氏の国防優先事項」が含まれていると紹介しています

そしてその「トランプ氏の国防優先事項:president-elect’s defense priorities」の中に、これまで国防省関係者が米国に対する一番の脅威だと言い続けていた「ロシア」が含まれていないと指摘しています。

これに対して政権移行チーム側は、「メディアがこのリストを取り上げ、トランプ政権の優先事項の全てを表現していると見なすのは誤解を招く誤りだ」と反論していますが、国防省側は「政権移行チーム側に聞いてくれ」との姿勢で、疑問を打ち消すには至っていません

なにせトランプ氏は、ロシアと親密な関係にあると言われているエクソンモービル社のTillerson社長を国務長官に付けようとしており、対ロシア外交の大転換が噂されている中での話でアリ、皆が疑心暗鬼になっている状況です

もちろんMattis次期国防長官が完全にロシアを無視できるはずもなく、中国や北朝鮮やイランとの言葉も4つの「国防優先事項」リストには含まれていないのですが、話題になりそうな話ですのでご紹介しておきます

Memoの現物拡大写真
https://foreignpolicymag.files.wordpress.com/2016/12/screen-shot-2016-12-19-at-1-44-09-pm.png

20日付「Foreign Policy」電子版によれば
(同Memo文書の中身の概要)
McKeon DOD.jpg●同Memo文書は12月1日の日付で、Brian McKeon政策担当次官代理が部下との情報共有のために作成した文書であり、トランプ側政権移行チーム長であるMira Ricardel女史が11月28日の国防省側との申し送り会議の中で示した、「トランプ氏の国防優先事項4つ」を周知するためのもの
●トランプ側チームは当時は16人で、今後約20名となり、概要ブリーフィングを受けつつ担当分野を細分化して20名で分担する方向で進める

既に数回のブリーフィングを終了しており、国防省の組織や政策、対ISILや北朝鮮や中国についても一応の説明は行ったが、追加の説明も準備中である
●Ricardel女史は、国防省の各組織や機関の主要課題や関連予算状況の説明を希望しており、更に予算等が許せば取り組みたいと考えている希望事項も聞かせて欲しいと要望している
●また引き継ぎ会議を小規模で行う事をトランプ側は希望しており、参加者については規模を限定して対応する

4つの「トランプ氏の国防優先事項」
●Developing a strategy to defeat/destroy ISIS
Build a strong defense(予算管理法の縛り除去、戦力の規模・即応性・威力の改善)

●Developing a comprehensive cyber strategy
●Find greater efficiencies(Work副長官による偉大な仕事を更に追求して積み上げる。国防省内から新しいアイディアを募る)

「Foreign Policy」電子版の指摘
Dunford1.jpg●例えばダンフォード統合参謀本部議長は、昨年7月の上院軍事委員会でロシアを上回る脅威はないとの認識を示し、「米国の生存に関わる脅威を呈している一番の国はロシアで、彼らの行動を見れば明らかである」と明言し、それに続く脅威として、脅威度の高い順番に中国、北朝鮮、ISISを上げて証言している
●またJames Clapper国家情報長官(DNI)も昨年2月、ISISはロシアほど米国の国益を脅かす存在ではないとの認識を示し、「ISISは米国に決定的なダメージを与えることは出来ないが、ロシアは可能だ」と語っている

●また国防省の調達担当高官は、米国防予算の重点は対ロシアにあると発言しているし、米軍と欧州NATO諸国との演習は増加し、欧州とロシアとの国境沿いにはNATO諸国の軍が増強配備されている
●更に有事に備え、戦車等の重装備の欧州ロシア正面への事前集積を開始してる

●この様な状況の中で、4つの優先事項にロシアは現れないし、国防省側が既に行ったとMemoが表現しているブルーフィン対象国に、ISISと北朝鮮と中国は含まれているが、ロシアが含まれていない
Clapper2.jpg●また、引き継ぎ会議関係者によれば、トランプ側は国防省の対ロシア政策担当者等とも会議を行っているが、あまり突っ込んだやりとりはなく、ほとんど場合「どんな状況ですか?」確認する程度である

●もちろん専門家でも「Mattis次期国防長官から直接話を聞かないとよく分からないし、優先事項を絞るにはもう少し時間が必要だろう」と考える者が多いだろうし、国防省内部からロシアの脅威軽視は大きな反発を受けるだろう
●しかしTillerson国務長官が誕生すれば、これまでの対ロシア姿勢がトーンダウンする可能性はある
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Foreign PolicyはMEMOの中身をあまり紹介せず、多少誇張して報じているような気がしますし、MEMOの中身も明らかに物事の一面しか表現していないと思いますが、気にはなります。

時間がたてば明らかになる事でしょうが、写真で見る折り目の付いた生々しいMemoには、確かにISISや北朝鮮や中国との言葉はあっても「ロシア」との言葉が全くなく、「?感」ありありです

Work-Reagan.jpgだいたい、この様なMemoをリークするのは、トランプ側を牽制し、「ロシア脅威」を訴え、「Tillerson国務長官の誕生を阻止したい」からでしょうから、今後も一波乱も二波乱もありそうな予感です

ただ「Work副長官による偉大な仕事を更に追求して積み上げる」とのMEMOの言葉には期待が持てそうです。なかなか目の付け所が良いじゃないですか・・・

ロシアがNo1脅威との指摘
「ダンフォード議長が上院で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-10
「ロビンソン女性大将も」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-23-1

次の陸軍長官に士官学校卒のお金持ち金融企業家 [米国防省高官]

Vincent Viola氏は候補を辞退した模様

2月3日付のブルームバーグ等によれば、関係者の話として陸軍長官職とビジネスを完全に切り離すのは困難と判断し、推薦を辞退した模様
同日、トランプ大統領に伝えたという。トランプ氏が政権高官に指名した候補で辞退者は初めて
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米国には色んな人材がいますねぇ・・・

Viola3.jpg19日、トランプ氏は次の陸軍長官を、陸軍士官学校卒業の元陸軍少佐でデジタル証券会社創設者の億万長者で、プロアイスホッケーチームのオーナーで、陸軍士官学校への寄付で対テロやサイバー戦などの近代戦研究を支援している慈善実業家Vincent Viola氏にお願いすると発表しました

陸軍長官は最近2年間で4名が入れ替わり務めており、現在のEric Fanning長官(同性愛者を公言)は半年以上議会承認が得られず、今年5月に就任したばかりです

この発表を伝えるDefense-News記事は、トランプ氏の公約である無駄を廃して米軍を再建することを、ビジネス界での経験を生かして支援する事になろうと報じています。
本日は断片的ながら、Viola氏についてご紹介します

19日付 Defense-News記事によれば
現在60歳のVincent Viola氏は、イタリア移民の子供でアリ、父親はWW2に米軍兵として参戦している。同氏も1977年に陸軍士官学校を卒業し、軍人として最後は、米陸軍予備役の少佐まで務めた
軍退役後はビジネスの世界に進み、現在はデジタル証券会社Virtu Financialの創設者として経営に関与し、またNHL所属のプロアイスホッケーチーム「Florida Panthers」のオーナーでもある

Viola.jpg●911同時多発テロの際に、ニューヨーク商品取引所の所長だったこともアリ、その後私財を陸軍士官学校に寄付して「Combating Terrorism Center」「Army Cyber Institute」「Modern War Institute」等の研究機関を創設し、また運動選手を支援する「Army athletic programs」も支えている
●陸軍長官就任が議会に認められれば、Viola氏は現在関与している事業から離れることが必要だが、NHLチームの発表によれば、同チームの所有権はViola家に残るが、運営は副社長が引き継ぐことになる模様

●トランプ氏は同氏の指名に際し、「優れた米陸軍での功績とビジネス界での極めて印象深い活躍の何れもが、如何なる困難に直面しても、素晴らしいリーダーシップを発揮し、大きな結果を残す人物である事を証明している」との声明を発表している
●Viola氏自身も「議会で承認して頂ければ、疲れも忘れるくらいに働き、トランプ氏の国家安全保障戦略を支え、如何なる任務も遂行する地上戦力を提供するよう取り組む」、「私の仕事の焦点は、全てのタイプの紛争に於いて、米軍兵士達が戦って勝利を収めうる手法と手段を確実に手にできるようする事である」と声明を発表している
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Viola2.jpg米国にはいろんな人材がいるんだなぁ・・・と感心する次第です。

トランプ氏がMattis次期国防長官を支える布陣に、どのような人材を配置するのか今後も気になるところですが、士官学校卒業で10年以上の現場軍人経験を持ち、生き馬の目を抜く証券金融業界を渡ってきた人材を、60歳の働き盛りで呼び寄せる腕力で、「無駄を廃して米軍を再建」して頂きたいものです。

トランプ氏関連の記事
「副長官の適任タイプを考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10
「現在の対テロ7原則を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-07

「国防省改革はどうなる?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-01
「中露を抑止するには」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-05
「Mattis氏が国防長官へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02

「第3の相殺戦略」は万能薬ではなく思考の枠組み [米国防省高官]

Prabhakar3.jpg8日、米国防省の技術開発をリードするDARPA(国防高等研究計画庁)のArati Prabhakar長官がCSISで講演し、「第3の相殺戦略」を万能薬のように考えるのは誤りであり、またそれ以前の相殺戦略のように長期に渡る技術優位を確保できると考えるのも間違いだと語りました

更にDARPA自身も、GPSやインターネットを開発した当時のような研究所でなく、ベンチャー企業の技術を育てるようなインキュベーターの様に、新たな技術を見いだして進化させるような複合システム組織に変革し、国防省を支援するようになるべきと語りました

以前よりも情報の拡散が急速で、軍事が先端技術を独占した時代ではもはやなく、世界中の民間企業や研究機関やベンチャー起業家が技術革新を担うように時代が変化してきたことが背景にありますが、最先端の軍事技術研究を行う機関トップの発言だけに重みが違います

百戦錬磨のPrabhakar長官がCSIS講演で
Prabhakar4.jpg米国防省は「第3の相殺戦略」を万能薬や決定打(silver bullet)の様に考えるべきではなく、深い思考の枠組みを表現する言葉と理解すべきである
技術発展の世界で起こっている大きな変化は、特定の一つの技術で起こっているのではなく、我々が研究開発活動を行っている「技術エコシステム」の変革という形で起こっているのだ

●現在の国防省は未だに、数十年も全ての先端技術を独占できた時代へのノスタルジアに取り付かれている。そんな昔のことは忘れなければならない。今は時代が違うのだ
●今では、技術開発は世界中の産業界が推進しており、それは米国だけで行われているのではない。そして開発の速度は加速しており、国防省が設立された時代とは異なるペースで進んでいるのだ

●精密誘導兵器やステルス機に代表される「第2の相殺戦略」時代には、我々は相当な期間で軍事技術の独占支配が可能だった。
Prabhakar5.jpgしかし「第3の相殺戦略」では、技術は急速に進化発展して拡散するので、かつてのように20~40年間も技術優位を確保は出来ない。この厳然たる情勢認識を持ちつつ、第3の相殺戦略に取り組むべきだ

急速な全ての技術進歩は、米軍の最新装備に敵対的な意味を持つことさえある。例えば、まだ完全な運用態勢を確立していないF-35だが、急速な技術進歩で時代遅れになった電子部品を交換する必要に迫られ、500億円もの投資を迫られる事態が発生している

●このような時代には、DARPA自身も変化を迫られており、GPSやインターネットを開発した当時のような研究所でなく、ベンチャー企業の技術を育てるインキュベーターの様に、新たな技術を見いだして進化させるような複合システム組織に変革し、国防省を支援するようになるべきだ
●我々の生きる時代では、このようにして時代に先んじることが唯一の生き残る道だ
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Arati Prabhakar長官(57才)は、2012年からDARPA長官を務めているベテランで、まだ30才台だった1993年に当時のクリントン大統領から約3000名で構成された「National Institute of Standards and Technology」所長に任命され、企業等を束ねて技術開発に取り組んだ実績もある有能な人材です

Prabhakar6.jpg最初にDARPAに所属した1986年には、半導体技術関連の研究ーリーダーとなり、「Microelectronics室」に発展させた実績を挙げています。
DARPA長官になる以前は、ベンチャー企業の幹部やベンチャーキャピタル幹部も歴任しており、官民両サイドから技術開発の現場を見てきた人材で、その言葉には重さがあります

下記のCSISイベントでも、統合参謀副議長が相殺戦略に関する過剰期待を戒める発言をしていましたが、そこに活路を求めたい人が多いことの裏返しでしょう

先日、関西大学が古式騒然とした「軍事研究には関わらない宣言」を行い、防衛省が募集した官学共同研究資金への応募を禁じる事を決定しましたが、なんか情勢認識が半世紀ずれているような気がしてなりません。

CSISが相殺戦略特集イベント
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1

DARPA関連の記事
「自身が創造したサイバー空間に苦しむ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「超超音速兵器に進化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「新型の宇宙監視望遠鏡」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19

「科学技術革新会議の中間報告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-11
「電子戦への人工知能応用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-31
「対潜水艦の無人艦艇」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-11

Prabhakar長官関連
「対中国に対艦ミサイル重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
「2014年度の研究開発重点は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-18

Work副長官:規模拡大の前に穴埋め予算が必要 [米国防省高官]

Work-trump.jpg6日、Work国防副長官が講演し、国防予算の現状を説明しつつ、トランプ氏が大統領選挙戦を通じ叫んでいた「米軍艦艇や作戦機の増強」が非現実的で、現状維持に必要ながら既に欠落している予算や規模維持に必要な予算だけを計算しても、現状から年間10兆円の国防予算増額が必要だと語りました

また、現状の欠落予算や規模維持を後回しにしても、喫緊の課題であるサイバー関連の脆弱性に投資し、指揮統制システムの強靱性を高める取り組みを始めるべきだと、現場感覚溢れる地に足のついた主張を展開しています

そもそもトランプ氏は、選挙期間中も選挙後も、ほとんど具体的に安全保障政策を語っておらず、9月の「米海軍艦艇を350隻体制に」等との意図不明な発言だけが残っているわけですが、厳然たる事実を前に、どのような政策を打ち出すのか注目されているところです

既にトランプ政権移行チームとの国防省とのミーティングが始まっており、第3の相殺戦略への取り組みや諸計画について説明したようですが、Work副長官はトランプ側の反応については言及を避けています

6日付米海軍協会web記事によれば副長官は
Work-army2.jpgトランプ氏は、予算の強制削減を規定した2011年の予算管理法破棄を主張しており、これは素晴らしいことだが、同法を破棄して得られた予算増額はまず現状の「穴埋め」に充当されることになるだろうし、米軍艦艇や作戦機を増強する余裕があるか疑問である
●私の計算では、既に予算不足で穴が開いている部分を埋め、老朽装備や施設を更新して現状維持するだけでも現状予算規模より追加で年10兆円が必要であり、まず現状をよく把握して考えるべきである

まず、国防省は規模を維持しながら最低限の装備更新等を図るための5カ年計画を立てているが、これを遂行するために追加予算が年2.5兆円が必要である。これが確保できなければ、艦艇や航空機の数削減に手を付けなければならない
次に、予算管理法で規定された上限ではまかなえない部分を、「海外緊急作戦予算OCOA」で例外的に議会の承認を得て確保しており、欧州での対露緊急対策(European Reassurance Initiative)など重要施策を進めているが、この経費年3.2兆円の基礎予算化して正常化する必要がある

第3に2022年から約20年間を掛け、核抑止3本柱の近代化・再構築を始める必要があるが、このために年間2兆円の追加予算が必要になる見積もりであり、抑止戦略の根幹をなす不可欠な投資確保は最優先事項である
Pentagon.jpg最後は現在リスクを負いつつ、リスクに目をつぶるような形で不足を許容している装備品の維持整備や弾薬調達予算である。現状の装備品規模に比し、現在の維持整備予算は年間2.3兆円不足している。これには削減している弾薬予算や停滞している危険な老朽インフラの更新予算も含んでいる

●繰り返すが、現在出血している傷を埋め、何とか老朽装備やインフラを更新して現状の規模を維持していくだけで年間約10兆円の追加予算が必要なのである。艦艇や航空機を規模を増やす余裕があるとは思わない
●これが私が見た国防省の現状であり、政権移行チームに伝えた現状である。移行チームとのやりとりや反応については言及しない

●個人的な意見ではあるが、仮に私が、追加で年間2兆円の予算を与えられたら、艦艇や航空機規模の拡大ではなく(現状の維持を多少犠牲にしても)、サイバー関連の脆弱性に投資し、指揮統制システムの強靱性を高める予算を編成する。それほど緊急に対処が必要な課題だと考えるからだ
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非常に分かり易いWork副長官の解説でした
強制削減を生んだ2011年の予算管理法は、国防省だけでなく他省庁も縛っており、この縛りが無くなれば一斉に「穴埋め」要求が全米からわき上がることになります。

Mattis13.jpg米国防省の予算は年間60兆円だったので、年10兆円追加が如何に大きいか御理解いただけると思いますが、これが現状維持予算の最低レベルだと言うことです
この現実に対処するため、現国防省幹部や関連議員の中に「F-35の調達数削減が必要」「次期政権の第一課題」との認識が広がりつつあるわけです

Mattis次期国防長官やスタッフも十分現状を認識するでしょうから、多かれ少なかれ、同盟国への要求が強くなるのは避けられないことだと思います

日本では米軍駐留経費がどうのこうの・・・との報道や議論がありますが、もっと大きな視点で世界の軍事や安全保障環境を見つめ、置かれている立場を認識する必要があります。
トランプ政権がどうのこうの・・レベルの話ではないのです・・・

死屍累々の装備品開発
「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-22
「F-35の主要課題」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「次期SSBN基礎技術要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27
「空母建造費の削減検討に30億円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-07
「沿岸戦闘艦LCSがF-35化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-09

「米会計検査院が空母に待った」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-12
「新空母フォード級を学ぶ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「映像で学ぶB-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01

ロバート・ゲーツ語録70
(ロシアでの講演で、)軍事官僚制の2つの病巣、つまり兵器システムの継続的価格 高騰と納期の遅延、を危惧する点でセルジュコフ露国防相と意見が一致した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28

オハイオ級の後継艦計画ORPと関連事業
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「あと25年SLBMを延命!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

米潜水艦関連の記事
「攻撃潜水艦SSNの将来」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-28
「バージニア級SSNの内部映像」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-10-1

チョット関連の記事
「国防長官が暫定予算を批判」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-23
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「米国防予算のグダグダ解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-25

中国とロシアを抑止するには@レーガン財団 [米国防省高官]

Reagan.jpg3日、加州のレーガン財団が主催した会議で「領土回復を目指す勢力への抑止:「Restoring Deterrence in an Era of Revanchist Powers」とのパネル討論が行われ、Work副長官やハリス太平洋軍司令官や陸軍参謀総長も加わり、中国やロシアに対する抑止について語っています

そんなに画期的な発表があったわけではありませんが、中国とロシアの抑止に関する、今の国防省の考え方や取り組みを端的に表現していると思うのでご紹介します。

最近、トランプ氏の大統領就任を控え、レーガン大統領の誕生時との類似性から論じる方が増えているように思いますが、このレーガン財団が毎年この時期に主催する「Reagan National Defense Forum」には、昨年も国防長官を始めとする国防省の幹部が勢揃いしており、レーガン氏への国防族の思いのほどが窺えます

Work副長官は「第3の相殺戦略」と絡めて
Work-Reagan.jpgJohn Mearsheimerは大国(a great power)の定義として、米国のように圧倒的な通常兵器と核攻撃を生き延びる核戦力で核抑止力を持つ大きな国と表現した。
●米国は、勢力争いを自然な国家の状態と見なしている中国とロシアを抑止するため、3つの要素が必要である。戦略核抑止、通常兵器による抑止、そして日々継続的に繰り広げられる戦略的闘争への対応である

●仮に、戦略核抑止を「at the Top」とすれば、通常兵器による抑止は「in the middle」で、日常的な闘争は「at the bottom」である。通常兵器と日常の闘争の関連を「危機管理」とすれば、戦略核抑止と通常兵器による抑止のリンクは「エスカレーション管理」と考えられる
●そして我々が取り組んでいる「第3の相殺戦略」は、包括的な戦略的安定を追求する中で、通常兵器による抑止に焦点を当てたものである

ハリス司令官は抑止の定義に言及し
Harris CSIS4.jpg抑止を方程式で表現すると、「能力」と「決意:resolve」と「意図表明:signaling」のかけ算で表現される。そして3つの要素全てが揃わなければ、抑止は機能しない
●「能力」について問われれば、我々には備わっていると思う。危機が迫ったときの「決意」についても、我々にはあると思う。しかしこの2つの要素に疑問がなくても、「意図表明:signaling」が十分でなければ抑止は完全に機能しない

●また「能力」に関して言えば、軍事力はその一部に過ぎず、全ての省庁が保有する能力全てがこれに該当し、国際社会の中で中国とロシアと向き合う必要がある
●そして「私の担当する太平洋地域を暗視装置で見れば、我々の取り組み全てが、この複雑な環境において大統領が必要な施策を遂行できる能力を提供する事につながっている

Milley米陸軍参謀総長は
Milley.jpg●過去15年間の戦いでは、4軍全てが対テロや過激派対応に集中して対応してきた。これらのために特化し、今や他の脅威対処に必要な能力とのギャップが明らかになりつつある
●米国(米軍)は依然として比較優位を保っているが、相手との差は明らかに急速に縮小しており、危険な状況に立ち至っている

●望むと望まざるとに関わらず、中国やロシアや北朝鮮やイランやテロリストは、国際秩序に挑戦してくる。我々は必要な能力を確保して抑止しなければならない
●そしてこの抑止は力によってなし得るモノで、規模と能力の組み合わせで得られるモノだ。これまでその様に努力してきたし、将来の指導者も同じようにするだろう
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Reagan3.jpg久々の共和党政権誕生に向け、レーガン大統領との類似性が指摘されるトランプ政権に向け、「第3の相殺戦略」を着実に進め、オバマ政権の態度が煮え切らなかった「意図表明:signaling」もしっかりやり、本格紛争用の戦力強化にガッツリ取り組んで欲しいと訴えているようです

そして世界や同盟国の間に不安感が広がる中にあっても、何となく米国防省内部にはどっしり構えるムードが漂っているような気がします。

既に3日の時点では、Mattis氏が次期国防長官にノミネートされたことは明らかになっており、オバマ政権の「細部介入」に嫌気がさしていた国防省幹部にも「光明」が見えているのかも知れません

Mattis次期国防長官の関連
「Mattis氏が次期国防長官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02
「トランプ氏がMattis氏と面談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21

昨年の同イベント関連記事
「カーター長官基調講演」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-13
「副長官が相殺戦略を説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15

3軍の文民トップがCNASで思いを語る [米国防省高官]

任期末期で、かなり自由に御発言です

James CNAS.jpg10月24日、CNASで開催されたイベントで米陸軍、米海軍、米空軍の各長官が揃ってパネル討議を行い、様々な勤務を通じての思いや気候変動の影響、大統領選後の備え、小型無人機対処、更にはシリア飛行禁止空域について語りました。

3軍の文民トップが一堂に会して語り合う場面はこれまで聞いたことがありませんが、それぞれの軍種の内部には口を挟まず大人の対応ですが、興味深い話も含まれており、またISIL等のイスラム過激派組織が使用する小型無人機への対処が急務との認識で一致している模様です

陸軍長官や海軍長官の興味深い話
陸軍長官は、新しいプロジェクトを停滞させないため注意すべき2つの事項を述べた。一つは「もう少し調べて検討してから」との姿勢を取らないこと、二つ目は「国防省全体で取り組むべき」との方向に安易に流れないことである
Fanning2.jpgMabus1.jpg●特に二つ目に関しては、全ての軍種への適応を考えたが故に、効率性を損なう結果になりかねないからであると説明し、各軍種がインキュベーターであるべきで、競争や実験重視の姿勢を持つべきだと語った

●海軍長官は気候変動の影響について、北極海の氷が溶けてロシアが派遣拡大を狙っても、米海軍は対処準備が出来ている。しかし温暖化に対策が取られなければ、海面上昇でNorfolk基地は20~30年後に水没するだろう

●11月8日に誰が大統領選ばれようとも、政権委譲チームが私たちのオフィスを訪れたなら、政権委譲に伴う間隙が生じないように準備は万端に出来ていると、3人の文民トップは口を揃えた
●James空軍長官は、特に予算の強制削減や暫定予算措置の停止を進めるよう申し送りを実施すると強調した


なぞの兵器で小型無人機撃退!?
James AFA1.jpg●最近米空軍は、どのような手段を用いたのかには言及を避けているが、ISILが使用していた小型無人機を「電磁的手段:electronic measures」で撃墜した
●James空軍長官は、中東に展開している米空軍部隊が、近傍に1機の小型無人機が飛行しているとの情報を入手し、「かなり迅速に撃退に成功した」と表現した
●空軍長官と同じくイベントで登壇していたメイバス海軍長官とファニング陸軍長官も、小型無人機への対処が急激に優先度を高めていると危機感を示した

シリア「no-fly zone」設置は困難だが言われれば・・
この問題の背景
●シリアの一般国民保護の観点から、これまでも議会等から度々、シリア上空に飛行禁止ゾーンを設定してアサド政権等による一般市民への航空攻撃を阻止するよう要望が出されているが、オバマ大統領は「意味ある手段だが、現時点で米国の選択肢にはない」との立場
●一方でクリントン大統領候補は、3回目の候補者ディベートで、「人命保護と紛争の早期終結のため、飛行禁止ゾーン設定を支持する」との立場を表明した

James空軍長官は
飛行禁止ゾーンの設定は困難で複雑だが、命ぜられればコアリションのメンバーとして実施する。現時点で飛行禁止ゾーン設定の計画はないが
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Rethinking Seminar.jpg米国防関係者の発言も、米軍事メディアの報道も、対ISILや対イスラム過激派関連が5割以上を占めています。
残り3割ぐらいが軍需産業の動きで、最後の2割で中東以外の地域が話題になり、その一部でアジア太平洋がときどき話題になっています

しっかり統計を取ったわけではありませんが、印象的には、アジア太平洋の話題はフィリピン大統領ぐらいで、南シナ海も少なくなりました

最近のJames空軍長官関連
「ICBM後継経費で相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「FMS手続きの簡素化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-05
「F-35整備員確保の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-14

米国に呼び出されたか黒江事務次官!? [米国防省高官]

完全に邪推ですが、最近の日米韓3ヶ国協力が気になります

Work-kuroe.jpg26日、訪米した防衛省の黒江事務次官がWork国防副長官と会談しています。
同日付の米国防省web記事は会談内容を、「急速に変化・展開する安全保障環境が会談の中心」と表現し、北朝鮮・東&南シナ海等々が議論されたと「淡々と」報じています。

もちろん日米同盟を深化発展させ、情勢に応じた対応を取るための協議は歓迎すべきものですが、10月14日の日米韓軍人トップ会合に始まり、19日には米韓国防相会談や米韓「2+2」が立て続けに開催され、そして今回の日米国防No2協議です。何か臭います・・・

24日の記事でも触れましたが、北朝鮮の核実験やミサイル連続発射が協議を要することは確かですし、9月29日のカーター長官による「リバランス第3の波」発言に関する認識のすり合わせも重要でしょう。

2016-Shan33.jpgしかしまんぐーすが気になっているのはカーター長官が今年のアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で言及し、日本関係者が「どん引き」した「日韓が南シナ海で災害共同対処訓練を実施」との表現を用いた「日韓共同の南シナ海パトロールの夢」です。

例えば19日の米韓国防相会議後の会見で、韓国国防相が「日米韓の3ヶ国協力が2017年には拡大し、海洋安全保障分野が対象」だと言わされており、とっても気になっています

26日付の米国防省web記事は会談内容を
Work副長官は、尖閣諸島が日本の施政下にアリ、日米安保条約の第5条の対象だと再確認した
JKU1.jpg●副長官と黒江事務次官は、防衛装備品と技術協力に関する意見交換を行い、韓国や豪州を交えた3ヶ国関係を如何に強化するかについて議論した

●また両者は、自衛隊の拡大しつつある役割について議論し、東南アジア諸国の能力構築支援への日米の取り組みについて意見交換した。更に、弾道ミサイル防衛や宇宙分野での協力強化についても議論した
●2名のリーダーは、新ガイドラインに沿って日米同盟を深化させていくことを確認し、日米同盟がアジア太平洋地域の平和と繁栄にとって揺るぎなき「cornerstone」であることを再確認した
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Dunford KJ.jpg最近、河野統合幕僚長や武居海上幕僚長が、海上自衛隊の南シナ海での活動を強化するような(臭わせるような)発言をしていると認識しているのですが、ある日突然、何か発表になるのでは・・・と気になっています

もちろん、安保法制関連の南スーダンPKOにおける「駆けつけ警護」も重要な話ですが、南シナ海問題への日本の直接関与は、安倍政権にとって極めてリスクの高い行動になるのでは・・・と危惧しています

以上、まんぐーすの邪推でした

日米韓協力への懸念記事
「日米韓海軍協力を強調推進か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-21
「なぞのリバランス第3の波」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-01
「2016年シャングリラ会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-30

重鎮ケンドール国防次官が将来航空機投資を語る [米国防省高官]

Kendall-F-35.jpg21日、米国防省の装備開発&調達担当の豪腕次官であるケンドール氏が記者会見を行い、F-35開発の教訓を踏まえつつ、今後の米軍作戦機に必要な要素について検討している様子を断片的に語っています。

ケンドール次官の話は、最終的な落とし所や結論は予断出来ませんが、思考の方向性は米空軍が進めている「Air Superiority 2030:2030年代の制空検討」や「Penetrating Counter Air検討」と問題意識を共有しており、特に中国の弾道・巡航ミサイル脅威を強く認識していることを改めて感じさせます

翻って、ケンドール次官(米国防省代表で出席↑写真上↑)と共に、日本用のF-35完成式典に参加した防衛副大臣や航空自衛隊トップが、この辺りの「脅威の変化」を全く感じ取っていない(行動が見られない)のは、脅威認識の相違という点で同盟関係の根幹に関わる事態だと改めて強調しておきます

25日付米空軍協会web記事1は
Kendall22.jpg●21日、ケンドール次官は米国防省が、次世代作戦機がどうあるべきかについて、多くの疑問と格闘していると記者会見で語った。そしてF-35計画の教訓を、米空軍の「Penetrating Counter Air検討」や米海軍のFA-18後継検討に活用すると述べた
●そしてまず最初に、次世代作戦機で各軍種が協力し、搭載システムやそのサブシステムの共有を追求して効率化を図ることはあるだろうが統合計画はないだろうと語った

●更に同次官は、米国防省は既に主要な関係企業(potential primes)とコンセプト検討に入っているが、どのような航空機を調達すべきかに関し、回答よりも疑問の方が多くわき上がっていると語った
●例えば、有人か無人か、航続距離か兵器搭載量か、どれほど洗練されたレベルが必要な、F-35等の現有戦力との組み合わせにおいて何が求められるか等々の疑問であるとも表現した

●航続距離を求める声も、兵器搭載量増を求める声もアリ、永遠の課題だろう。しかし我々に突きつけられた弾道・巡航ミサイル脅威は、航空機ではなく拠点となる航空基地や空母に向けられており、航続距離への要望はより鋭さを増している

25日付米空軍協会web記事2は
F-35 luke AFB.jpg●F-35は「信じがたいほど」「驚くべき装備」である。しかしもう一度F-35計画をやり直すとしたら、今搭載しているような全ての要素技術の搭載を追求しないだろう(not have put all the tactical air eggs in one corporate basket)
●そしてその理由として、「F-35開発にこれほど長期間を要しているのは、信じがたいほど複雑なシステムだからだ」、「洗練されたセンサー、ステルス性等々、これらを融合したF-35は使用者にとって大変有用な装備で、かつこれまでと異なる航空機となっている」と語った

一方でこれらF-35の能力は複雑さという代償を払っている。つまり、より多くの時間をかけ、より技術的な労力を要し、より多くの試験が必要だと言うことである
●ただし結論として、我々はF-35という恐るべき素晴らしい装備を手に入れたわけである

●振り返ってみて、私が国防省の調達に関わるずっと以前のF-35計画当初に立ち戻れるなら、一つの主契約企業に集中するような事業構造を望まないだろう。より競争を促す構造が健全だと思う
●F-35事業では、機体全体で競争部分が限定されていた。新たな能力を「open architecture」で柔軟に取り入れられるよう、その様な窓口を再オープンするように取り組んでいく
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Kendall.jpgケンドール発言で改めて強調されているのは、中国の弾道・巡航ミサイルで米軍等の航空基地や空母が脆弱さを増しており、航続距離を伸ばした航空機の重要性が高まっていること

また装備品開発は、要求を盛りすぎると開発に長時間必要でリスクも高くなるので、要求は堅実なレベルに抑え、それにより企業間の競争を促進して価格低下や質向上に貢献し、なおかつ将来アップグレードに備えた拡張性に配意して早期陳腐化を避ける配慮が必要・・・との点でしょうか

振り返し、繰り返しご紹介してきた考え方ですが、未だ日本では浸透不十分なようです

米空軍の将来制空アセット検討
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

いい加減にしろ日本の戦闘機命派
「F-35の主要な問題点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「悲劇:F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

空自OBに戦闘機を巡る対立
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05 

Work副長官:第3の相殺戦略で空軍に要望する [米国防省高官]

work AFA.jpg9月21日、Work国防副長官が米空軍協会の航空宇宙&サイバー総会最終日に登場し、「第3の相殺戦略」のポイントを再徹底すると共に、「技術革新面」でない「組織運用改革面」での最初の実例として米空軍主導の多機関共同の宇宙作戦センター(JICSpOC)を高く評価すると共に、陸海軍の取り組みを紹介しつつ米空軍に要望事項を示して一層の努力を要望しました。

「陸海軍の取り組みを紹介」する場面では、具体的に陸海軍幹部の論文を紹介してその革新的なアイディアを讃える扱いをしており、Work副長官的には米空軍の取り組みを「今ひとつ」と感じているような印象を受けます。

空軍への要望に「センサーと兵器等をマルチドメインで結ぶ指揮統制グリッドへの新アイディア」と表現しており、新空軍参謀総長が最近打ち出した重視事項の一つと一致しており、震源がWork副長官主導の「第3の相殺戦略」であることを伺わせます

また、最近とても「淡泊な」米国防省webサイトが、本講演をかなりしっかり紹介しており、米空軍へのメッセージとして重要な位置づけを示しています

まず、なぜ何のために何を「第3の相殺戦略」を
work AFA2.jpg●「第3の相殺戦略」に取り組む3つの理由は、まず、米軍は大部分の戦力を米国内に保有しているが、将来大規模紛争が生起しそうな地域に大規模戦力の集積は困難で、緒戦では潜在的な敵が時間と空間と戦力数で優位に立つ可能性が高いこと

2つ目に潜在敵対者も過去には保有していなかった米軍に近いレベルの誘導兵器を保有するようになってきていること
3つ目に、敵対者は米軍が「第2の相殺戦略」の結果として、ネットワークや宇宙アセットに依存していることを良く把握し、多額の投資でサイバーや電子戦や宇宙兵器を準備して対ネットワーク戦能力を高めている点である

国防省高官がこぞってJICSpOCを高く評価
●コロラド州のSchriever空軍基地にある「JICSpOC」は、米戦略コマンド、国家偵察室(NRO)、空軍宇宙コマンド、米空軍研究所ARRL、情報コミュニティー、宇宙関連情報提供企業が協力して運用する形態で、2015年10月に正式運用を開始した。

JICSpOC2.jpgJICSpOCは統合戦力がよって立つ宇宙世界での戦場管理の指揮統制を担う様に設計されているが、このような指揮所をかつて保有したことはなく、組織形態面で「第3の相殺戦略」を最初に体現したものである
宇宙コミュニティーの関係者を融合し、非常に重要な宇宙システムを運用するのがJICSpOCである。そしてJICSpOCが自らに課す課題は、GPSシステムが脅威を受けた際、どのようにその運用法を変えて行くかを考え行動することである

科学評議会の議論を踏まえた技術重点5つ
●全般には、戦場ネットワークの能力&耐性改善のため、人工知能や自立化の活用、統合戦力が統合の協力的「human-machine」戦場ネットワークの力をより活用し、作戦遂行能力の優位さを確保する事で通常戦力による抑止力強化を狙う

●5つの鍵となる技術分野
Learning machines
恐らく、ディープラーニングのような手法を指し、戦場の状況を人間を介さず装備やシステムに学ばせ「AI」等の洗練に活用する技術
Human-machine collaboration
人間がより迅速に正しく必要な意志決定が可能なようなビジュアル化を含むコンピュータとの接点技術

Assisted human operations
全ての操縦者、地上&海上兵士を戦場ネットワークに組み込む技術
・Human-machine combat teaming
有人装備と無人装備の有機的なチームとしての運用とその技術

・Network-enabled autonomous weapons
高度な学習機能を備えたC3Iネットワークに全ての自律的兵器を連接する技術


陸軍と海軍は新コンセプトを生みつつあるぞ
Work Offset.jpg米陸軍教育訓練コマンドの副司令官H.R. McMaster中将は、「concept of multidomain battle」を提唱し、ドメインをまたぐ統合戦力共同の作戦行動により、複数のドメインで敵に対して優位を確保できる「temporary windows」をひねり出すことが可能で、米軍統合戦力が主導権を掴んで拡大する事につながると論じている

米海軍は、全ての任務空間に於いて行動の自由を確保するため、2015年3月に「A Cooperative Strategy for 21st Century Seapower」との公開ブリーフィングを発表し、電磁スペクトラム(EMS)で軍事的優位を獲得する行動を示している
●このアプローチで米海軍は、電磁波発射への理解と管制による電子スペクトラム支配を重要な行動と位置付け、融合された戦力投射に活用することを提示している

米空軍にはこの分野を極めて欲しい
Work-Atlantic3.jpg●米空軍が自然な形で「第3の相殺戦略」推進し、統合戦力に貢献できることとして具体的に以下の検討を要望する
●我々は、センサーと兵器等を、マルチドメインでマルチ機能で、かつ多国間で結ぶ指揮統制グリッドへの新アイディアを必要としている

●米空軍には、連合の航空作戦センターの概念を拡大発展させ、統合の学習C3Iネットワーク面で、全ドメインで、複数の機能をまたぎ、同盟国等も交え、時には地域もまたいだ作戦が可能なアイディアを生み出して欲しい
●これらは全て、統合戦力での戦いをもう一度変革させる潜在的可能性を秘めている
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「5つの鍵」や「第3の相殺戦略」の背景はこれまでもご紹介してきましたが、米空軍への具体的な要望や、陸海軍の具体的なコンセプトへの言及は初めてのような気がします

陸軍中将の論文や海軍のブリーフィング資料は未確認ですが、陸上自衛隊の研究本部や海上自衛隊幹部学校の分析紹介を期待致しましょう。

もう少し具体的事例を交えて説明できれば良いのですが、まぁ・・・ぼちぼち明らかになるでしょう・・・。

Multidomain battleの解説記事
http://warontherocks.com/2016/09/multi-domain-battle-a-new-concept-for-land-forces/

A Cooperative Strategy・・Seapower関連のリンク
https://www.uscg.mil/seniorleadership/DOCS/CS21R_Final.pdf#search='A+Cooperative+Strategy+for+21st+Century+Seapower'
http://www.navy.mil/local/maritime/

米空軍新参謀総長の重視事項
「3つの重視事項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13
「迅速にピクチャー共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-21

Work副長官と「第3の相殺戦略」
「相殺戦略を如何に次期政権に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「宇宙とOffset Strategy」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「空軍研究所で関連研究確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07

「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09

関連の記事
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「CNASが官僚の壁を指摘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-02

担当ケンドール次官がレーザー兵器に冷水 [米国防省高官]

レーザー兵器は万能薬ではない
戦力化を決断するレベルに至っていない
「We’re not at the point where we can decide we’re going to put lasers in the force.」

Kendall.jpg7日、国防省の研究開発や装備品調達全般を取り仕切るケンドール国防次官(開発調達担当)は記者団に対し、国防省や4軍が多様な方面で研究開発を積極的に推進しているレーザー兵器に関し、将来の可能性や今後数年間のプロトタイプ作成投資は否定しなかったものの、過度の期待を戒めるよう語りました。

3月にはロッキード社の技術幹部が30kwレベルならいつでもOKと宣伝し、米空軍は2021年までに自己防御用を作戦機に搭載する計画を明らかにし、米海軍は艦艇に搭載して中東海域で試験を行い、陸軍も海兵隊も具体的装備を演習で試験する段階にあるとお伝えしてきましたが、兵器開発の元締めから「冷や水」発言です

「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1
「ペルシャ湾で艦艇試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13

ケンドール次官の発言はもっともな指摘であり2018年度予算案議論に向け4軍の関係者に対し、レーザー兵器開発予算はしっかり煮詰めて精査してから持ってこい・・・と言いたげな雰囲気を醸し出しています。
新兵器の開発は、敵対国へのアナウンスメント抑止効果と、自国内での秩序ある予算編成とのバランス感覚が求められるものだと再認識した次第です

9日付Defense-News記事によれば
Kendall2.jpg●7日の「Common Defense会議」後にケンドール次官は記者団に対し、30年に亘る国防省のレーザー研究から、同兵器が万能薬であるかのように表現される最近の風潮に否定的な考えを表明した
●同次官は「同兵器が一定の出力や発射様式や重量や大きさを達成できれば有効な兵器になり得るが、戦力化・装備化を決断するレベルに至っていない」と語った

●この発言は、ここ最近の国防省や軍需産業界の関係者による、関連技術が直ぐそこにあるような発言より控えめで慎重なものである
●ただ同次官は、同兵器が進歩すれば国防省に有用だと述べ、今後約3年間に同兵器のプロトタイプに投資を継続することにもコミットし、更なる技術成熟を確認することは明確に認めた

●そして同次官は「エネルギー兵器には多様なプロトタイプ計画があり、それを支える多様な技術研究が行われており、今後3年間で成果が確認できるだろう。その時点をもって、本分野で何を前進させるべきかを決断可能になる」と表現した
●しかし同時に、現時点では効果的な兵器具現化に向けて幾つかの重大な課題が残っていると述べ、必要な出力レベルや自然界での有効性に言及し、雲や雨などの気象条件による影響や大気の影響、敵の防御強化への対策など、レーザーが万能で無い事を強調した

Kendall22.jpg●ただし同次官は、同兵器の小型無人機への潜在的有効性には大いに期待していると語った
●「小型無人機はISILやウクライナのロシア軍が目標照準に使用し、武器使用することもある。この様な目標には現レーザー兵器が有効な場合がある。そんなに遠距離で無い事が多く、大きな出力を必要としないからだ」と語った
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以前、米空軍の研究開発を束ねる女性大将が、レーザー兵器に対し冷静に議論するよう求めていましたが、強面のケンドール次官は単刀直入な判りやすい言いブリです。

でも同時に、ケンドール次官こそが、カーター長官やWork副長官と共に、その実現可能性を追求する体制作りを行った仕掛け人である事も忘れてはなりません

今後の3年間にブレークスルーの可能性は依然残されており、民間の先端技術にいち早くアプローチする体制も整いつつあるし、30年来の夢を追い続けて欲しいものです

レーザー兵器関連の記事
「開発担当女性空軍大将も慎重」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1

「米陸軍は2016年前線に投入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-16
「まずC-17搭載レーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-23
「特殊作戦C-130にレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31

「ACC戦略2015では?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-12
「米空軍幹部が議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-29
「CNAS:エネルギー兵器の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-23
「特殊部隊とレーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-16

「米空軍の30年戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-31
「ペルシャ湾で艦艇試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13
「レーザー兵器の開発動向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-01

戦力構築戦略室SCOが存続を掛け動く [米国防省高官]

Roper5.jpg9日付Defense-Newsが、国防省内に設置された戦力構築戦略室SCOStrategic Capabilities Office)のWilliam Roper室長インタビューを掲載し、次期政権での生き残りを掛けてSCOが活動を活発化させている様子を紹介しています

SCOはカーター国防長官が副長官時代の2012年に設けた小さなチームで、米軍のニーズを戦略的に把握し、4軍全体のニーズを踏まえ、既存の装備の他分野への応用や、企業が持つ「技術の種」の活用法を助言して具現化・装備化に繋げる様な役割を持つ組織のようです

米空軍が先駆者となり、海軍や陸軍も設置した緊急能力造成室RCO(Rapid Capabilities Office)と似た役割の国防省レベル組織のようでもあり、シリコンバレーやボストンに設置された民間企業技術の収集ご用聞き&国防省とのリエゾン出張所「DIUx」の元締め組織のようでもあります

その他、かつて伝説のA.マーシャル氏が率いたOffice of Net Assessment」の軍事技術版だとか、4軍がリスクを恐れて着手に躊躇する開発初期段階に予算投入する/できる組織だとか、様々に表現されているチームのようです

本日はまず、2月の2017年度予算案会見でカーター国防長官がアピールしたSCOの活動状況説明を振り返り、その後に9日付Defense-News掲載のRoper室長によるSCO説明をご紹介します。

カーター長官のSCOアピール発言(2月)
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03 
敵を困惑させるような新しい画期的能力を提供するSCO(Strategic Capabilities Office)の取り組みを、カーター長官は以下の例を挙げて紹介した
Roper4.jpgスマホカメラのような小型センサーを目標照準の精度向上にキットとして開発し、SDBなど多様な爆弾等に適用
群れを成す自動無人機。アラスカやイラクで実験を開始しているジェット機から散布するような高速飛行する小型無人機や、実際の島や人工島で周辺の海で艦隊防御や偵察に利用するネットワーク化された自動無人ボート

●海軍駆逐艦や陸軍の自走砲に装備する5インチ「電磁レールガン」は、従来の兵器をミサイル防衛兵器に変換。先月試験に成功
無人機化した空軍の旧式航空機を「空飛ぶ弾薬庫:arsenal plane」として活用し、全てのタイプの通常兵器を発射使用可能にし、第5世代機とネットワーク連接してセンサーや目標照準機として活用。既存システムの組み合わせで新能力の獲得

Defense-News記事:SCO室長による説明
Roper.jpg●今年の8月はとても忙しかった。2018年度予算案に、多様な選択肢やアイディアの中から、何を選択して組み込むかの検討に忙殺されたからだ。今後数週間で今後数年になすべき方向を決断することになる
●我がSCOの著名な成果は、艦艇防御用だったSM-6ミサイルを、ほとんど費用を掛けずに艦艇攻撃用に応用できるようにしたことである。このように、既存の技術や能力を新たな分野に生かす方法を案出するのも役目である

戦略家や軍事アナリストとして、企業を支援することも重要な役割である。優秀な企業技術者が、同時に軍事戦略家であることは容易ではない。SCO室員は常に技術の現場で専門家と接触を維持し、どのような枠組みや分野でその技術が活用可能かを助言して技術の種を装備化に前進させる
●5月にメディアの皆さんに説明したように、政府の契約事務webサイトに「Broad Area Announcement」を掲載し、多様な企業からの情報を募り、また国防省が求めている技術ニーズを公開している

Roper2.jpg●多くの企業から情報提供をもらったが、最初は特定の任務用の既存装備の改良案などを持ち込まれることが多かった。
●しかしSCOが求めるのはそのような情報ではなく、もっと斬新で基礎的な「a piece of technology」であり、その技術を国防省や米軍が求めるより有用な分野に応用して任務遂行に繋げるのが役割である

新政権でのSCOの存続や位置づけへの懸念に付いては、「cautiously optimistic」である。その為には、SCOが4軍と戦略的なパートナーである必要がある。
●新政権にSCOが無くなったら誰がどのように困るかと聞かれた際、明確に説明し、SCOの存在意義をアピールできなければならない。従って、4軍と協力して具体的プログラムを動かしていくことが重要

●SCO室長は、SCOが4軍全ての技術面での立ち上げ支援組織でありたいと考えている。具体的にSCOはその予算を、4軍がリスクを恐れて自身の予算で踏み切れない、作戦運用試験に至るまでの技術確認や計画立ち上げ部分に投入したいと考えている

CNAS研究員の評価・見方
CNASのBen FitzGerald研究員は、新技術に焦点を当てた戦略室だと表現している。「Office of Net Assessment」の技術版のイメージをもっているとも
FitzGerald.jpg●更に同研究員は、有能な人材の小さなチームが存在し、はっきりは判らないが何か希望を持たせてくれる組織だ。敵から見れば、チョット立ち止まって考えさせられるような組織だと語っている

●カーター長官が立ち上げたDIUx(Defense Innovation Unit Experimental)は、初年度ゆっくりなスタートだったが、国防長官直轄にして活性化を試みている
SCOは2012年立ち上げで時間が使えので、幾つかの成果を出せた。もっとも、SCOとDIUxは役割が異なり、DIUxは有望な技術保有企業を国防省装備開発に結びつける役割だが、SCOは作戦運用コンセプトや前線ニーズと最新技術を結びつけ、4軍に提供するような役割である
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「SCO」や「RCO」や「DIUx」、更に先端技術企業との連携や人材交流を促進する「Force of future」施策、そしてこれらの果実を総合的に技術優位に結びつけるのが「第3の相殺戦略」です。
これらは中国やロシア等が軍事力強化を進める中、厳しい財政状況の中でも何かできないかと知恵を絞って生まれた取り組みです。

ArcticPct.jpg当然全てがうまくいくとは限りませんし、失敗もあるでしょうが、その情熱とそれを支える人材の存在に圧倒的な差を感じる今日この頃です。

単に予算的な話ではなく、安全保障問題を避けてきた日本人が、太古の昔から人間、いや生物全てが生きるために努力してきた分野で、戦後70年間「思考停止」状態にあるからにほかありません。

SCO関連の記事
「カーター長官のアピール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03
「B-52を弾薬庫航空機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12

米空軍や陸軍のRCO
「米陸軍もRCO設立」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-01
「次期爆撃機の要求検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-07
「謎のRQ-180」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09
「謎の宇宙船X-37B」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「国防長官がMC-12工場激励」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-02

カーター長官肝いりの「DIUx」
「ボストンにもDIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-27-1
「2つ目の場所とリーダー公表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14
「技術取込機関DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

脅威の変化に対応する改革派
「相殺戦力等の改革を如何に引き継ぐか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「統合参謀本部副議長が改革を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-27
「米空軍に激震人事:戦闘機族ボスに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-09

新政権の国防予算問題の鍵はF-35機数 [米国防省高官]

Kendall22.jpg7日、ケンドール国防次官(技術開発調達担当)らが「Common Defense 2016」とのイベントで国防予算問題について議論し、来年スタートする米新政権が直面する課題を語りました
同次官は現職とは言え、政治任用である同ポストが他人に引き継がれるであろうことから、慎重ながらかなり達観した風に気楽に語っており、問題の本質が伺えます

やはり見え隠れするのがF-35調達機数の扱いで、現時点では絶対削減すると言えない立場とは言え、他の分野の装備を犠牲にすることの難しさを語りつつ、F-35が重要だと語りつつ、F-35の調達ペースや総機数を維持することが大きな代償を伴うことをしっかり語っています

CSBA研究員の話も交え、複数のメディア報道から「Common Defense 2016」の様子をつまみ食いでご紹介します

懸命に育てた革新技術の芽を維持できるか
Kendall.jpg●ケンドール次官は、新政権の予算確保上の最大の課題は、新兵器や新装備の予算を如何に確保するかにあると表現した。
●ここ最近国防省は、初期段階にある革新的技術を成熟させリスクを低減するための予算の重要性を認識し、多くの予算確保を懸命に行ってきたが、今後の5ヶ年計画にこれを続ける予算は確保できなかった

誰が新たに国防省に来ようが、一連のかなり厳しい課題を引き継ぐことになる。技術革新や業務革新により、それら課題を軽減するよう努めてきた。(国防省には)革新が欠けているとの間違った印象を、我々が作り出してしまったかも知れないが、私はそうは思わない。
●多くの革新を生み出してきたこともあり、私は根本的な問題が、資源不足により革新技術等を具体化して前線や同盟国に提供できないことにあると考えている

●本件に関連してCSBAのTodd Harrison研究員は、新たな兵器を導入するため従来装備や他分野を犠牲にすることは、影響を受ける選挙区選出の議員の反対を受けることから容易ではないと、同イベントで指摘している

自立化や生物工学等の先端技術で敵が先んじたら
Kendall2.jpg●自立化や生物工学や製造技術の革新は、今後10年間の戦いを大きく変えるだろう。民生技術の拡散は迅速で、実用化されれば瞬く間に世界に拡散する。従って、我々が先に具現化しなければ、戦場で敵の使用に直面することになる
第3の相殺戦略の中で国防省が自律システムを追求し、相手を凌駕しようとしても、敵に先を越されれば不利な立場に追いやられる
●また米国は人道的立場から殺傷兵器の使用を管理するが、相手がそうするとは限らない。我が方は一般市民の保護などの価値観を維持するが、他がそうするかは確信が持てない

F-35予算を巡る課題
●ケンドール国防次官は、予算の強制削減関連の縛りがあり、2017年度予算要求でも、5機のF-35購入を先送りした。しかし今後は優先度の高い複数装備の予算が必要となることから、後任者は計画通りのF-35購入困難に直面するだろうと述べた
●また、核兵器3本柱への予算確保や他の重要事業を前にし、バランスシートを見ながら、F-35を計画通り実施するほど予算が無いと言わざるを得ない誘惑に駆られる。F-35は強力な戦闘力だが、F-35に手を付けなければ、他の分野が大きな痛手を受けると表現した

F-35 Hill AFB2.jpg●F-35事業管理上の問題点としては、4~5千億円規模と言われる「F-35 Block 4近代化改修」について、国防省側は従来事業の一部として軽易な審議で推進したい意向だが、議会側は大きな支出となることから別立て予算として十分な審議と議会監視を要求している
●「LRIP contracts 9 and 10」と呼ばれる次期のF-35購入契約に関し、ロッキード社と国防省協議が難航している。ここ数年間価格が安定してきた中で、企業側の要求に変化があるものと推測されているが、当面の経費を確保すすための臨時支出要請が検討されている

●8月に国防省のMichael Gilmore試験評価部長が、引き続き問題を抱えるソフトウェア問題やセンサー等と兵器融合の不具合を厳しく指摘している。
●これに対しケンドール次官は、指摘は承知しているが、既に把握して対処を進めている課題で有り、引き続き適切な事業管理を行っていくと何時ものような回答をしている
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かねてより「」では、F-35の「死のスパイラル」入りは新政権誕生直後からと予言してきましたが、残念ながらその方向に事態が推移しそうな具体的発言が、装備品調達の責任者である米国防省高官から聞かれるようになってしまいました

innovation.jpg軍事戦略上も、特に第一列島線上の日本防衛と米国の支援を考えると、F-35の予定通り調達が、「第3の相殺戦略」推進を犠牲にして進んだ場合、日本にとっては大きなマイナスです。
F-35活動の基盤である数少ない地上インフラは、対中国有事には簡単に無効化され、F-35の極東での活躍は極めて限定的になると想像されるからです

「懸命に育てた革新技術の芽を維持発展」させるため、F-35は早めに正体を現してもらい、日本の戦闘機命派の「心変わり」を促進してほしいものです

F-35調達機数の削減は必至
「統参謀議長が削減検討に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-11
「重鎮マケイン議員も削減要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-22
「MDFを共有不可な購入国がある」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-01

米空軍長官:FMS手続きの簡素化を目指して [米国防省高官]

James4.jpg4日付Defense-NewsがJames米空軍長官へのインタビュー記事を掲載し、中東湾岸諸国から「米国のFMS手続きが官僚的で鈍重だから中国製武器に乗り換えるぞ!」と不満たらたら脅されているので、他省庁の所掌事務部分は改善が難しくても、米空軍担当部分だけでも顧客ニーズに応える改善を2週間以内に示すとの意向を紹介しています

米空軍が米国製武器の売り込み任務を背負っている点が日本とは根本的に異なりますが、これが世界の常識ですし、相手国の軍人のニーズを一番把握しているのは、彼らと共に行動し訓練している米軍人であることを考えれば極めて自然なことです。

もう一つ感じるのは、「官僚的で鈍重だ」と言われつつも、米国をあげ官民ががっちり組んで兵器売り込みに尽力する姿です。これも世界標準の姿でしょう。
豪州への潜水艦売り込みの件に関しても、フランスの通称「装備売り込み庁」の猛烈な人海戦術や「から手形」が飛び交ったようですが、これが武器取引最前線なんでしょう・・・

4日付Defense-News記事によれば
James5.jpg●今後数週間で、米空軍はFMS(foreign military sales)手続きの迅速化のため、主に「入り口部分:front end」の手続きに焦点を当て、潜在的な海外の顧客からの要望事項を適切に収集して対応できるような担当者訓練計画を明らかにする
●3日、James空軍長官は「海外の顧客は一般的に、彼らの要求事項や希望する性能を包括的に説明するわけではなく、米側がこの点で顧客と適切に対応できれば、顧客のニーズを迅速に適切に把握できる」、「海外の顧客と接する担当官に必要な教育訓練を付与する必要がある」と語った

●官僚的で鈍重といわれるFMS手続きは、国防省のほか、国務省や国家安全保障省など複数の省庁や機関が関係する複雑な手続きからなっており、しばしば顧客や軍需産業から批判されており、数ヶ月前から米空軍がその改革に取り組み始めていた
昨年11月のドバイ航空ショーで、James長官らは対テロ戦に必要な弾薬や装備品を求める中東湾岸諸国から、遅々として進まないFMS手続きに関する不満を表明され、中国など他国の製品への乗換えを示唆されるまでに関係がこじれていた

James6.jpg●このような状況を受け、James空軍長官は空軍省の国際関係部署に命じ、米空軍としてできることは無いかを精査させた。
●同長官は「複数の省庁が複雑に絡み合う手続き全体を見るとお手上げ的な気分になるが、まず米空軍の担当範囲に目をむけ、何が迅速化のために改善出来るかを考えるべきだ」と述べた

●改善計画の概要は1~2週間で明らかにできると長官は語る一方で、FMSに関わる担当官の教育に関する契約や教育期間を経て効果は徐々に現れると説明した
●また、他省庁に関する部分は空軍省では対処できないと認めつつ、「何かを始めなければ何も変わらない」と語った
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日本の関係者の皆様にとっては、FMSじゃ日本の軍需産業に仕事が落ちてこなくてだめだぁ・・・ということで、米空軍にがんばられては困るのでしょう。

まぁ、その問題はさておき、「文民主導のセクショナリズムで全く機能していない」「防衛官僚の高官ポストだけ増えた」「各幕僚監部の人材だけ引き剥がし、仕事は各幕に置き去り」「近いうちにまた不正を働いて解体させられるのが落ち」と揶揄されている「防衛装備庁」には、少しは海外の情勢に目を向けていただき、前向きに仕事をしていただきたいものです・・・

Inada3.jpg筋金入りの財政再建派・稲田朋美防衛大臣に置かれましては、前の西防衛事務次官が腕力で作り上げた防衛装備庁のデタラメに、是非切り込んでいただきたいものです!

そう言えば、防衛官僚から国会議員が出なくなって久しいですねぇ・・・

湾岸諸国と米製兵器売り込み
「ドバイの脅迫:軍需産業の懸念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-01
「湾岸諸国はF-35不売で不満」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
「海外売込みに助言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-27

軍需産業との関係
馴染みない企業をAIで米空軍事業へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-13
「G-N法改正の主要論点にも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-05
「下院軍事委員長も重要課題と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-14
「米軍幹部達が取り組みと訴え」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-08

計画初期から関係者が意思疎通」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-17
「James長官の調達改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-19
「Tech Outreach」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-28

米情報機関が個人情報管理に大きな4つの変更 [米国防省高官]

DoDIIS.jpg1日、米国防省の情報管理監督官Michael Mahar氏が、アトランタで行われた国防省インテル情報システム会議でプレゼンし、1982年に改定されて以降30年以上手付かずだった米国民個人情報(USPI:U.S. persons information)の「情報管理政策:Policies for the Management and Control of Information」を大幅に見直したと語り、4つの大きな変更点を説明しました

見直しの背景には、大国同士の緊張だけから、破綻国家やテロ組織を含めた多様な脅威が複雑に結びつく中で、IT技術の著しい進歩で情報の共有拡散が進む時代があります。そしてこの基本政策見直しは、米国民に関する情報の収集、保存管理、アクセス管理、提供分配などを、どのような手順やルールに乗っ取って行うかの方針事項を時代に即して改めるものです。

国防関係の政策指針を30年も放置すれば現状にマッチしなくなるのは当然ですが、このネットワーク技術の発展著しい時代に、なぜ長年この基本政策指針に手が付かなかったのかは報じられていません。
ただ「情報収集及び管理の憲法」に相当する基本政策の見直しが、国防省や法務省、国家情報局などなど、30名の各分野各機関の専門家で構成される検討チームで行われ、文言の一つ一つが詳細に吟味されたと聞かされると、その大変な官僚作業が偲ばれます

また草案は随分前に完成(developed a long time ago)していたようですが、検証のため長期間を掛け、各種視点から内容を吟味精査していたことから時間を要したとMahar氏は語っています

本日は、1日付Defense-News記事から、今回の見直しの目玉である「4つの大きな改革点」をご紹介します。これだけ聞いても「ふぅ・・・ん」ですが、小さなことからコツコツと・・・ですから

各情報保管者が情報管理とアクセスを監督
「Shared Repository, Shared Responsibility」
DoDIIS7.jpg911同時多発テロでは、関係機関の情報共有の重要性が指摘されたが、一方で共有された情報の保管管理とアクセス管理の規制が課題となった
●そこで、情報管理者とアクセス可能者を対象としたルールや手順を規定した。管理者はシステムを適切に管理し、必要な人だけに機微な情報へのアクセスを許可する
●アクセス可能者は、関連データベースへのアクセスに関して、知るべき方針事項や守るべき手順やルールに合意して署名しなければならないこととする

情報の保管期限
「Collection Timelines」
●収集された情報を、いつの時点で消去するかに関する新たな指針である
これまでは、収集された情報が始めて使用された時点から保存期間のカウントダウンが始まることになっており、使用されなければ永遠に保管されることが原則となっていた
見直された手順では、収集分析されて保管開始された時点からカウントダウンが始まり、4つのカテゴリーに応じた保存期間が満了するまで保管される

情報管理者への監査など
「Retention, Audits and Queries」
情報管理者に対し、データベースに誰からどのようなアクセスや要求があったかを監査するよう要求する。どのようなアクセスがあるかを見守るように要望するものである
●ただし、IT分野技術進歩が著しいことから、本件がどこまで可能かを常に見直し、何が可能かを柔軟に判断していく

情報の分配「Dissemination」
DoDIIS3.jpg●分析以前の米国民個人情報USPI(U.S. persons information)を大量に分配にする際は、より高いレベルの許可を得なければならない
極力実行可能な範囲において、個人識別が可能な情報を除いた相応な情報が適切な手法で配分される際も、米国民個人情報USPIを分配する情報に含めない
●米国民個人情報USPIを含む情報配分の際は、受領者に対し、個人情報保護の適切な取り扱い要領を必ず周知しなければならない
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これを厳格に適応すれば、個人情報に基づくテロ対策はより困難になるのでしょう・・・。でも、これも時代の流れなんでしょうか。

個人情報管理は本当に「めんどくさい」代物で、どうでもよいデータの管理ばかりに四苦八苦し、肝心の悪さを働くメンツの情報収集や管理が困難になるという負の効果を持つ法制度です。

DoDIIS5.jpgマイナンバー制度もそうですが、これに反対している輩は、税金を誤魔化している芸能人や裏の勢力、個人事業主などであり、サラリーマンは積極的に推進すべきです

「2016 DoD Intelligence Information Systems (DoDIIS) conference」との会議の基調講演で語られた内容ですが、他の会議の中身も気になるところです

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