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戦力構築戦略室SCOが存続を掛け動く [米国防省高官]

Roper5.jpg9日付Defense-Newsが、国防省内に設置された戦力構築戦略室SCOStrategic Capabilities Office)のWilliam Roper室長インタビューを掲載し、次期政権での生き残りを掛けてSCOが活動を活発化させている様子を紹介しています

SCOはカーター国防長官が副長官時代の2012年に設けた小さなチームで、米軍のニーズを戦略的に把握し、4軍全体のニーズを踏まえ、既存の装備の他分野への応用や、企業が持つ「技術の種」の活用法を助言して具現化・装備化に繋げる様な役割を持つ組織のようです

米空軍が先駆者となり、海軍や陸軍も設置した緊急能力造成室RCO(Rapid Capabilities Office)と似た役割の国防省レベル組織のようでもあり、シリコンバレーやボストンに設置された民間企業技術の収集ご用聞き&国防省とのリエゾン出張所「DIUx」の元締め組織のようでもあります

その他、かつて伝説のA.マーシャル氏が率いたOffice of Net Assessment」の軍事技術版だとか、4軍がリスクを恐れて着手に躊躇する開発初期段階に予算投入する/できる組織だとか、様々に表現されているチームのようです

本日はまず、2月の2017年度予算案会見でカーター国防長官がアピールしたSCOの活動状況説明を振り返り、その後に9日付Defense-News掲載のRoper室長によるSCO説明をご紹介します。

カーター長官のSCOアピール発言(2月)
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03 
敵を困惑させるような新しい画期的能力を提供するSCO(Strategic Capabilities Office)の取り組みを、カーター長官は以下の例を挙げて紹介した
Roper4.jpgスマホカメラのような小型センサーを目標照準の精度向上にキットとして開発し、SDBなど多様な爆弾等に適用
群れを成す自動無人機。アラスカやイラクで実験を開始しているジェット機から散布するような高速飛行する小型無人機や、実際の島や人工島で周辺の海で艦隊防御や偵察に利用するネットワーク化された自動無人ボート

●海軍駆逐艦や陸軍の自走砲に装備する5インチ「電磁レールガン」は、従来の兵器をミサイル防衛兵器に変換。先月試験に成功
無人機化した空軍の旧式航空機を「空飛ぶ弾薬庫:arsenal plane」として活用し、全てのタイプの通常兵器を発射使用可能にし、第5世代機とネットワーク連接してセンサーや目標照準機として活用。既存システムの組み合わせで新能力の獲得

Defense-News記事:SCO室長による説明
Roper.jpg●今年の8月はとても忙しかった。2018年度予算案に、多様な選択肢やアイディアの中から、何を選択して組み込むかの検討に忙殺されたからだ。今後数週間で今後数年になすべき方向を決断することになる
●我がSCOの著名な成果は、艦艇防御用だったSM-6ミサイルを、ほとんど費用を掛けずに艦艇攻撃用に応用できるようにしたことである。このように、既存の技術や能力を新たな分野に生かす方法を案出するのも役目である

戦略家や軍事アナリストとして、企業を支援することも重要な役割である。優秀な企業技術者が、同時に軍事戦略家であることは容易ではない。SCO室員は常に技術の現場で専門家と接触を維持し、どのような枠組みや分野でその技術が活用可能かを助言して技術の種を装備化に前進させる
●5月にメディアの皆さんに説明したように、政府の契約事務webサイトに「Broad Area Announcement」を掲載し、多様な企業からの情報を募り、また国防省が求めている技術ニーズを公開している

Roper2.jpg●多くの企業から情報提供をもらったが、最初は特定の任務用の既存装備の改良案などを持ち込まれることが多かった。
●しかしSCOが求めるのはそのような情報ではなく、もっと斬新で基礎的な「a piece of technology」であり、その技術を国防省や米軍が求めるより有用な分野に応用して任務遂行に繋げるのが役割である

新政権でのSCOの存続や位置づけへの懸念に付いては、「cautiously optimistic」である。その為には、SCOが4軍と戦略的なパートナーである必要がある。
●新政権にSCOが無くなったら誰がどのように困るかと聞かれた際、明確に説明し、SCOの存在意義をアピールできなければならない。従って、4軍と協力して具体的プログラムを動かしていくことが重要

●SCO室長は、SCOが4軍全ての技術面での立ち上げ支援組織でありたいと考えている。具体的にSCOはその予算を、4軍がリスクを恐れて自身の予算で踏み切れない、作戦運用試験に至るまでの技術確認や計画立ち上げ部分に投入したいと考えている

CNAS研究員の評価・見方
CNASのBen FitzGerald研究員は、新技術に焦点を当てた戦略室だと表現している。「Office of Net Assessment」の技術版のイメージをもっているとも
FitzGerald.jpg●更に同研究員は、有能な人材の小さなチームが存在し、はっきりは判らないが何か希望を持たせてくれる組織だ。敵から見れば、チョット立ち止まって考えさせられるような組織だと語っている

●カーター長官が立ち上げたDIUx(Defense Innovation Unit Experimental)は、初年度ゆっくりなスタートだったが、国防長官直轄にして活性化を試みている
SCOは2012年立ち上げで時間が使えので、幾つかの成果を出せた。もっとも、SCOとDIUxは役割が異なり、DIUxは有望な技術保有企業を国防省装備開発に結びつける役割だが、SCOは作戦運用コンセプトや前線ニーズと最新技術を結びつけ、4軍に提供するような役割である
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「SCO」や「RCO」や「DIUx」、更に先端技術企業との連携や人材交流を促進する「Force of future」施策、そしてこれらの果実を総合的に技術優位に結びつけるのが「第3の相殺戦略」です。
これらは中国やロシア等が軍事力強化を進める中、厳しい財政状況の中でも何かできないかと知恵を絞って生まれた取り組みです。

ArcticPct.jpg当然全てがうまくいくとは限りませんし、失敗もあるでしょうが、その情熱とそれを支える人材の存在に圧倒的な差を感じる今日この頃です。

単に予算的な話ではなく、安全保障問題を避けてきた日本人が、太古の昔から人間、いや生物全てが生きるために努力してきた分野で、戦後70年間「思考停止」状態にあるからにほかありません。

SCO関連の記事
「カーター長官のアピール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03
「B-52を弾薬庫航空機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12

米空軍や陸軍のRCO
「米陸軍もRCO設立」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-01
「次期爆撃機の要求検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-07
「謎のRQ-180」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09
「謎の宇宙船X-37B」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「国防長官がMC-12工場激励」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-02

カーター長官肝いりの「DIUx」
「ボストンにもDIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-27-1
「2つ目の場所とリーダー公表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14
「技術取込機関DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

脅威の変化に対応する改革派
「相殺戦力等の改革を如何に引き継ぐか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「統合参謀本部副議長が改革を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-27
「米空軍に激震人事:戦闘機族ボスに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-09

新政権の国防予算問題の鍵はF-35機数 [米国防省高官]

Kendall22.jpg7日、ケンドール国防次官(技術開発調達担当)らが「Common Defense 2016」とのイベントで国防予算問題について議論し、来年スタートする米新政権が直面する課題を語りました
同次官は現職とは言え、政治任用である同ポストが他人に引き継がれるであろうことから、慎重ながらかなり達観した風に気楽に語っており、問題の本質が伺えます

やはり見え隠れするのがF-35調達機数の扱いで、現時点では絶対削減すると言えない立場とは言え、他の分野の装備を犠牲にすることの難しさを語りつつ、F-35が重要だと語りつつ、F-35の調達ペースや総機数を維持することが大きな代償を伴うことをしっかり語っています

CSBA研究員の話も交え、複数のメディア報道から「Common Defense 2016」の様子をつまみ食いでご紹介します

懸命に育てた革新技術の芽を維持できるか
Kendall.jpg●ケンドール次官は、新政権の予算確保上の最大の課題は、新兵器や新装備の予算を如何に確保するかにあると表現した。
●ここ最近国防省は、初期段階にある革新的技術を成熟させリスクを低減するための予算の重要性を認識し、多くの予算確保を懸命に行ってきたが、今後の5ヶ年計画にこれを続ける予算は確保できなかった

誰が新たに国防省に来ようが、一連のかなり厳しい課題を引き継ぐことになる。技術革新や業務革新により、それら課題を軽減するよう努めてきた。(国防省には)革新が欠けているとの間違った印象を、我々が作り出してしまったかも知れないが、私はそうは思わない。
●多くの革新を生み出してきたこともあり、私は根本的な問題が、資源不足により革新技術等を具体化して前線や同盟国に提供できないことにあると考えている

●本件に関連してCSBAのTodd Harrison研究員は、新たな兵器を導入するため従来装備や他分野を犠牲にすることは、影響を受ける選挙区選出の議員の反対を受けることから容易ではないと、同イベントで指摘している

自立化や生物工学等の先端技術で敵が先んじたら
Kendall2.jpg●自立化や生物工学や製造技術の革新は、今後10年間の戦いを大きく変えるだろう。民生技術の拡散は迅速で、実用化されれば瞬く間に世界に拡散する。従って、我々が先に具現化しなければ、戦場で敵の使用に直面することになる
第3の相殺戦略の中で国防省が自律システムを追求し、相手を凌駕しようとしても、敵に先を越されれば不利な立場に追いやられる
●また米国は人道的立場から殺傷兵器の使用を管理するが、相手がそうするとは限らない。我が方は一般市民の保護などの価値観を維持するが、他がそうするかは確信が持てない

F-35予算を巡る課題
●ケンドール国防次官は、予算の強制削減関連の縛りがあり、2017年度予算要求でも、5機のF-35購入を先送りした。しかし今後は優先度の高い複数装備の予算が必要となることから、後任者は計画通りのF-35購入困難に直面するだろうと述べた
●また、核兵器3本柱への予算確保や他の重要事業を前にし、バランスシートを見ながら、F-35を計画通り実施するほど予算が無いと言わざるを得ない誘惑に駆られる。F-35は強力な戦闘力だが、F-35に手を付けなければ、他の分野が大きな痛手を受けると表現した

F-35 Hill AFB2.jpg●F-35事業管理上の問題点としては、4~5千億円規模と言われる「F-35 Block 4近代化改修」について、国防省側は従来事業の一部として軽易な審議で推進したい意向だが、議会側は大きな支出となることから別立て予算として十分な審議と議会監視を要求している
●「LRIP contracts 9 and 10」と呼ばれる次期のF-35購入契約に関し、ロッキード社と国防省協議が難航している。ここ数年間価格が安定してきた中で、企業側の要求に変化があるものと推測されているが、当面の経費を確保すすための臨時支出要請が検討されている

●8月に国防省のMichael Gilmore試験評価部長が、引き続き問題を抱えるソフトウェア問題やセンサー等と兵器融合の不具合を厳しく指摘している。
●これに対しケンドール次官は、指摘は承知しているが、既に把握して対処を進めている課題で有り、引き続き適切な事業管理を行っていくと何時ものような回答をしている
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かねてより「」では、F-35の「死のスパイラル」入りは新政権誕生直後からと予言してきましたが、残念ながらその方向に事態が推移しそうな具体的発言が、装備品調達の責任者である米国防省高官から聞かれるようになってしまいました

innovation.jpg軍事戦略上も、特に第一列島線上の日本防衛と米国の支援を考えると、F-35の予定通り調達が、「第3の相殺戦略」推進を犠牲にして進んだ場合、日本にとっては大きなマイナスです。
F-35活動の基盤である数少ない地上インフラは、対中国有事には簡単に無効化され、F-35の極東での活躍は極めて限定的になると想像されるからです

「懸命に育てた革新技術の芽を維持発展」させるため、F-35は早めに正体を現してもらい、日本の戦闘機命派の「心変わり」を促進してほしいものです

F-35調達機数の削減は必至
「統参謀議長が削減検討に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-11
「重鎮マケイン議員も削減要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-22
「MDFを共有不可な購入国がある」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-01

米空軍長官:FMS手続きの簡素化を目指して [米国防省高官]

James4.jpg4日付Defense-NewsがJames米空軍長官へのインタビュー記事を掲載し、中東湾岸諸国から「米国のFMS手続きが官僚的で鈍重だから中国製武器に乗り換えるぞ!」と不満たらたら脅されているので、他省庁の所掌事務部分は改善が難しくても、米空軍担当部分だけでも顧客ニーズに応える改善を2週間以内に示すとの意向を紹介しています

米空軍が米国製武器の売り込み任務を背負っている点が日本とは根本的に異なりますが、これが世界の常識ですし、相手国の軍人のニーズを一番把握しているのは、彼らと共に行動し訓練している米軍人であることを考えれば極めて自然なことです。

もう一つ感じるのは、「官僚的で鈍重だ」と言われつつも、米国をあげ官民ががっちり組んで兵器売り込みに尽力する姿です。これも世界標準の姿でしょう。
豪州への潜水艦売り込みの件に関しても、フランスの通称「装備売り込み庁」の猛烈な人海戦術や「から手形」が飛び交ったようですが、これが武器取引最前線なんでしょう・・・

4日付Defense-News記事によれば
James5.jpg●今後数週間で、米空軍はFMS(foreign military sales)手続きの迅速化のため、主に「入り口部分:front end」の手続きに焦点を当て、潜在的な海外の顧客からの要望事項を適切に収集して対応できるような担当者訓練計画を明らかにする
●3日、James空軍長官は「海外の顧客は一般的に、彼らの要求事項や希望する性能を包括的に説明するわけではなく、米側がこの点で顧客と適切に対応できれば、顧客のニーズを迅速に適切に把握できる」、「海外の顧客と接する担当官に必要な教育訓練を付与する必要がある」と語った

●官僚的で鈍重といわれるFMS手続きは、国防省のほか、国務省や国家安全保障省など複数の省庁や機関が関係する複雑な手続きからなっており、しばしば顧客や軍需産業から批判されており、数ヶ月前から米空軍がその改革に取り組み始めていた
昨年11月のドバイ航空ショーで、James長官らは対テロ戦に必要な弾薬や装備品を求める中東湾岸諸国から、遅々として進まないFMS手続きに関する不満を表明され、中国など他国の製品への乗換えを示唆されるまでに関係がこじれていた

James6.jpg●このような状況を受け、James空軍長官は空軍省の国際関係部署に命じ、米空軍としてできることは無いかを精査させた。
●同長官は「複数の省庁が複雑に絡み合う手続き全体を見るとお手上げ的な気分になるが、まず米空軍の担当範囲に目をむけ、何が迅速化のために改善出来るかを考えるべきだ」と述べた

●改善計画の概要は1~2週間で明らかにできると長官は語る一方で、FMSに関わる担当官の教育に関する契約や教育期間を経て効果は徐々に現れると説明した
●また、他省庁に関する部分は空軍省では対処できないと認めつつ、「何かを始めなければ何も変わらない」と語った
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日本の関係者の皆様にとっては、FMSじゃ日本の軍需産業に仕事が落ちてこなくてだめだぁ・・・ということで、米空軍にがんばられては困るのでしょう。

まぁ、その問題はさておき、「文民主導のセクショナリズムで全く機能していない」「防衛官僚の高官ポストだけ増えた」「各幕僚監部の人材だけ引き剥がし、仕事は各幕に置き去り」「近いうちにまた不正を働いて解体させられるのが落ち」と揶揄されている「防衛装備庁」には、少しは海外の情勢に目を向けていただき、前向きに仕事をしていただきたいものです・・・

Inada3.jpg筋金入りの財政再建派・稲田朋美防衛大臣に置かれましては、前の西防衛事務次官が腕力で作り上げた防衛装備庁のデタラメに、是非切り込んでいただきたいものです!

そう言えば、防衛官僚から国会議員が出なくなって久しいですねぇ・・・

湾岸諸国と米製兵器売り込み
「ドバイの脅迫:軍需産業の懸念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-01
「湾岸諸国はF-35不売で不満」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
「海外売込みに助言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-27

軍需産業との関係
馴染みない企業をAIで米空軍事業へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-13
「G-N法改正の主要論点にも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-05
「下院軍事委員長も重要課題と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-14
「米軍幹部達が取り組みと訴え」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-08

計画初期から関係者が意思疎通」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-17
「James長官の調達改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-19
「Tech Outreach」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-28

米情報機関が個人情報管理に大きな4つの変更 [米国防省高官]

DoDIIS.jpg1日、米国防省の情報管理監督官Michael Mahar氏が、アトランタで行われた国防省インテル情報システム会議でプレゼンし、1982年に改定されて以降30年以上手付かずだった米国民個人情報(USPI:U.S. persons information)の「情報管理政策:Policies for the Management and Control of Information」を大幅に見直したと語り、4つの大きな変更点を説明しました

見直しの背景には、大国同士の緊張だけから、破綻国家やテロ組織を含めた多様な脅威が複雑に結びつく中で、IT技術の著しい進歩で情報の共有拡散が進む時代があります。そしてこの基本政策見直しは、米国民に関する情報の収集、保存管理、アクセス管理、提供分配などを、どのような手順やルールに乗っ取って行うかの方針事項を時代に即して改めるものです。

国防関係の政策指針を30年も放置すれば現状にマッチしなくなるのは当然ですが、このネットワーク技術の発展著しい時代に、なぜ長年この基本政策指針に手が付かなかったのかは報じられていません。
ただ「情報収集及び管理の憲法」に相当する基本政策の見直しが、国防省や法務省、国家情報局などなど、30名の各分野各機関の専門家で構成される検討チームで行われ、文言の一つ一つが詳細に吟味されたと聞かされると、その大変な官僚作業が偲ばれます

また草案は随分前に完成(developed a long time ago)していたようですが、検証のため長期間を掛け、各種視点から内容を吟味精査していたことから時間を要したとMahar氏は語っています

本日は、1日付Defense-News記事から、今回の見直しの目玉である「4つの大きな改革点」をご紹介します。これだけ聞いても「ふぅ・・・ん」ですが、小さなことからコツコツと・・・ですから

各情報保管者が情報管理とアクセスを監督
「Shared Repository, Shared Responsibility」
DoDIIS7.jpg911同時多発テロでは、関係機関の情報共有の重要性が指摘されたが、一方で共有された情報の保管管理とアクセス管理の規制が課題となった
●そこで、情報管理者とアクセス可能者を対象としたルールや手順を規定した。管理者はシステムを適切に管理し、必要な人だけに機微な情報へのアクセスを許可する
●アクセス可能者は、関連データベースへのアクセスに関して、知るべき方針事項や守るべき手順やルールに合意して署名しなければならないこととする

情報の保管期限
「Collection Timelines」
●収集された情報を、いつの時点で消去するかに関する新たな指針である
これまでは、収集された情報が始めて使用された時点から保存期間のカウントダウンが始まることになっており、使用されなければ永遠に保管されることが原則となっていた
見直された手順では、収集分析されて保管開始された時点からカウントダウンが始まり、4つのカテゴリーに応じた保存期間が満了するまで保管される

情報管理者への監査など
「Retention, Audits and Queries」
情報管理者に対し、データベースに誰からどのようなアクセスや要求があったかを監査するよう要求する。どのようなアクセスがあるかを見守るように要望するものである
●ただし、IT分野技術進歩が著しいことから、本件がどこまで可能かを常に見直し、何が可能かを柔軟に判断していく

情報の分配「Dissemination」
DoDIIS3.jpg●分析以前の米国民個人情報USPI(U.S. persons information)を大量に分配にする際は、より高いレベルの許可を得なければならない
極力実行可能な範囲において、個人識別が可能な情報を除いた相応な情報が適切な手法で配分される際も、米国民個人情報USPIを分配する情報に含めない
●米国民個人情報USPIを含む情報配分の際は、受領者に対し、個人情報保護の適切な取り扱い要領を必ず周知しなければならない
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これを厳格に適応すれば、個人情報に基づくテロ対策はより困難になるのでしょう・・・。でも、これも時代の流れなんでしょうか。

個人情報管理は本当に「めんどくさい」代物で、どうでもよいデータの管理ばかりに四苦八苦し、肝心の悪さを働くメンツの情報収集や管理が困難になるという負の効果を持つ法制度です。

DoDIIS5.jpgマイナンバー制度もそうですが、これに反対している輩は、税金を誤魔化している芸能人や裏の勢力、個人事業主などであり、サラリーマンは積極的に推進すべきです

「2016 DoD Intelligence Information Systems (DoDIIS) conference」との会議の基調講演で語られた内容ですが、他の会議の中身も気になるところです

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オバマ大統領が空軍士官学校で議会非難 [米国防省高官]

Obama-AFA.jpg2日、オバマ大統領は米空軍士官学校の卒業式に出席し、卒業生への期待と励ましの言葉を贈ると共に、この機会を利用し、米国の国益を追求するための各種条約締結に議会が反対していることを厳しく非難しました

また、孤立主義を戒める一方で、過剰に海外に関与を拡大することでムリが生じる歴史の教訓に言及し、現実主義と理想主義で、賢いスマートな道を選択すべきだと語りました
そして卒業生には、大統領を退任しても、君たちのお陰で安心して眠れると発言しています。

以下では、上記で紹介した部分のみご紹介します。
また残念ですが、同式典に花を添えた米空軍F-16が墜落し、その1時間後には別の場所で米海軍のBlue Angelsも墜落で、こちらは死者が出ています

オバマ大統領の卒業式祝辞より
Obama-AFA2.jpg米国のリーダーシップがこの複雑な世界には必要で、その指導力を縮小することは出来ないし、孤立主義に陥ることも出来ない。相互依存が進むグローバル化が進む世界では出来ない
孤立主義に逃げることは偽りの安らぎを得ることで、我々をより不安全な状態に追い込む。その点で他国と条約を結ぶことは、米国の国益前身に最も効果的な施策の一つだ

●(ここで一時原稿を離れ、)米議会の中には、如何なる国際協定も条約も米国の主権を侵すかのように誤解している者達がいる上院は決して新たな条約を批准しない姿勢を見せている
条約は多くの統治に貢献している。NATOや核兵器制限もそうである。我々をより平和で安全な環境に置いてくれているのだ

●もし真に南シナ海での中国の行動を懸念するなら、米軍リーダー達が望んでいるように、上院は直ちに国連海洋法条約(Law of the Sea Convention)に批准すべきである
●上院はその責務を果たし、米国の指導力発揮を支援すべきで有り、損ねるべきではない。世界で何か問題が発生したら、世界の国々はロシアや中国ではなく、米国に解決を期待するのだ

現実主義と理想主義で
●米国は他の世界に関わっていかねばならないが、問題や紛争が発生した際、必ず軍が関与すべきとは思わない。歴史上、過大に関与を拡大し、国力や影響力を消耗して滅んでいった帝国や国家は、数知れない
Obama-AFA3.jpg米国は賢明な道を選んで進まねばならない。そのために卒業生諸君には、鍛えられた頭脳と大きな心を持ち、現実主義と理想主義の両方で道を切り開いてほしい

●時には奇妙に見えても、世界を現実主義で見つめる必要もある。時には違和感のある妥協が必要なこともある。また米国のように強力な国でも、限界がある事を認識する人間性が必要なこともある

最後の言葉
●遠くない将来、私は大統領の座を去ることになるが、卒業生諸君が我々の自由を守ってくれるお陰で、安らかに眠りにつけるだろう
互いをいたわり、部下達を思いやることだ。君たちが強く有り続ける限り、君たちが学んだ誠実さや任務や崇高さの価値観は真実で有り続ける

同卒業式参加のサンダーバード6番機墜落
空軍士官学校の卒業式で編隊飛行を披露した米空軍アクロバットチームThunderbirdsのF-16が、卒業式での飛行後、式会場15マイル南の平原(landed in a field)に墜落(不時着)した
Thunderbirds  F-16.jpg●墜落したのは6番機で、パイロットのAlex Turner少佐は脱出し、無事救出された。同少佐にとって同チームに加入して初めての演技シーズンだった
●墜落現場で火災は発生していない模様だが、機体へのダメージや原因については現時点で不明
●卒業式後、大統領が専用機に搭乗する直前、同少佐は元気な姿で大統領に挨拶して無事を報告し、握手した

同日、米海軍Blue Angelsも墜落で死者
●2日午後、米海軍アクロバットチームBlue Angelsが、テネシー州での航空ショーに備えて本番の飛行場で訓練飛行を実施中、空港から2マイルの地点で6機のうちの1機が墜落し、操縦者が死亡した
●米空軍サンダーバード事故のわずか1時間後だった。
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今年は陸軍に副大統領、海軍に国防長官、空軍に大統領が参加の割り当てでした

オバマ大統領のスピーチが、最近身に染みるようになってきました広島での17分間の所見発表も良かったですね・・・・

トランプ候補の発言や、日本のマスゴミのキャスター擬きやコメンテーターの履き捨て発言を聞かされているからでしょうか・・・

ペンタゴンの人員削減「階層縮小」プラン [米国防省高官]

delayering4.jpg5月25日付米国防省web記事は、2013年から米国防省が検討を進めているペンタゴン及び主要軍司令部の経費25%削減検討、その名も「The delayering initiative:階層削減取り組み」との人員削減計画の状況を説明しています

ヘーゲル前国防長官当時に開始した検討で、2020年までに段階的に自然退職などを活用し、強制的な退職を行わない方向だそうですが、記事の中でも現場レベル責任者は「最終段階になれば、自発的でない退職も起こりうる」と語っており、実施段階では首切りありうべしでしょう

削減対象になる具体的なポストや数や「階層」について言及があまりありませんが、とりあえずご紹介しておきます

25日付米国防省web記事によれば
delayering2.jpg●米国防省のDavid Tillotson組織管理担当次官補代理は、スタッフ経費を25%削減して約2200億円を浮かせるため、ペンタゴンや軍司令部機能のリストラを行うと語った
●この「The delayering initiative:階層削減取り組み」では、特にサポート業務分野での業務プロセスや慣習を見直すと説明した

リストラの対象となるのは、国防長官室OSD、統合参謀本部、米軍主要コマンド司令部、地域戦闘コマンド司令部、国防省関連機関等の司令部業務組織である
国防長官室OSDで言えば、309ポストが対象で、うち243ポストは現に人員が配置されているポストである。国防省関連機関などでは、1260ポストが削減予定である

●Tillotson氏はまた、削減は新たなビジネスモデルに転換するため、数年間に亘り自然減耗・退職等を活用して実行され、現時点では強制的な退職は行わないと説明した
●大部分の影響を受けるスタッフは、別のポストに移るか、早期退職特別手当等を支給されることになる。同氏は「今取り組みを開始することで、複数年をかけて対応する」と語った

でも実際はドライな印象が・・・
delayering.jpg●ペンタゴンや主要司令部スタッフの削減は、人件費を削減すると同時に、人的戦力を戦力の近代化や即応体制改善に振り向けるためのものである。
へーゲル前国防長官時には20%の削減を目指して検討が開始されたが、2015年8月にWork副長官が25%削減を正式に指示したものである

●削減対象ポストを持つ管理職は、対象者と話し合い、将来設計を支援する事が求められると、ワシントン地区のBarbara Westgate担当課長は述べている
●同課長は「管理職にあるものは、削減対象者のスキルや職務経歴を把握し、これまでとは異なる仕事に移る手助けをしっかりやってもらいたいし、我々はその様に働きかける」と語った

●一方で同課長は、プロセスの最終段階には、自主的でない退職を行う可能性があると認めた。削減対象ポストのスタッフが、何も行動をしなければそうせざるを得ない

●組織のリストラは数年かけて行うので、対象者はその間に新たなスキルを身につけ、新たな可能性を追求してもらいたいと同課長は語った
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delayering3.jpgこの「delayering:階層削減」との組織論用語とおぼしき言葉は、米国の有力企業(例えば、GE、CBR、Infosysなどなど)で導入されている概念らしく、いかにも米国防省のシビリアン指導層が好みそうな考え方です
「delayering」が公的組織で如何に生かされるのか、そう言った面でも興味深い取り組みです

その行く末は、来年1月の政権交代でどうなるのかよく分かりませんが、経費25%削減は決して簡単に達成できるものではなく、強力なリーダーシップが期待される分野でしょう

2013年12月ヘーゲル長官によるペンタゴン内の削減案発表
この案はどうなったのか? 今回発表は追加策???
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-07

米軍内の「性的襲撃」は依然高水準 [米国防省高官]

sexual assaults R.jpg5日、米国防省が2015年度の米軍内における「性的襲撃:Sexual Assault」状況をまとめた報告書を発表し、前年度より2%減少したとの数字を紹介しつつも、多くの課題が残されていると明らかにしています。

本報告書は、国防省の性的襲撃防止・対応室のCamille Nichols室長(陸軍少将)を中心にまとめられたもので、詳しい内容に興味のある方はwebサイト「www.sapr.mil/index.php/annual-reports」で公開されているようなので、そちらでご確認ください

報告件数のグラフでは、2013年度から件数が急増していますが、これは「事案発生報告・通報」を当該年度から促進した結果であり、「被害者は声を上げよ」と呼びかけて「泣き寝入り」防止を訴えるのも依然として重要な施策の一つとなっています

また最近は、「通報者への仕返し」対策も重視されているようであり、聞けば聞くほど深刻で根深い「闇」が伺えます。米軍内のみのことであってほしいと祈るばかりです

5日付米国防省web記事によれば
Nichols3.jpg●全体の性的襲撃報告の件数は、2014年度の6131件から、2015年度は6083件に減少した。一方で報告書は、16000名以上の米軍兵士が性的襲撃のリスクを訴えて、未然防止のための仲介・仲裁を得ている
●Nichols室長は「我々の取り組みは効果も生んでいるが、まだまだ課題も存在する」、「犯罪行為を報告することがまず重要で、被害者をケアして訴えを取り上げ、襲撃者に適切な対処を行うことに必要不可欠だ」と語っている

●性的襲撃への防止及び対処計画(SAPR)には5つの焦点があり、「被害の報告」は重要な一つで、他の「先行的な襲撃防止」「男性被害者への対応」「報復との戦い」「適切な処置の追跡」とともに重要視している
●今回の報告書では、初めてこれら特別な取り組みについてまとめることに取り組んだ。これらすべての要素が重要な焦点で、国防省の施策を前進させる原動力となる

SAPR2.jpg●また2015年度の報告書では、初めて性的襲撃被害者への対応評価調査を行い、被害者が被害を申し出てからの当局の対応に対する評価フィードバックを含めることにした
●調査の結果、被害者は受けた支援について高い満足度を示し、77%の回答者が他の被害者にも被害を申し出るよう勧めている

●Nichols室長は「軍の各層指導者は、引き続き不適切な行為が厳正に処置され、全兵士が介入して助けを差し伸べるような尊厳と経緯の雰囲気醸成に努めなければならない」と厳しい態度を求めている
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被害報告をそのまま受け取るべきなのか、被害者側にも責任の一端を負わせるべきでは・・・との声もあり、現場での対応が難しいケースもあると考えられます
しかし上記記事は遠回しな表現ですが、上司が加害者をかばったり、被害報告を握りつぶしたり、処分を曖昧にしたり・・と言ったケースが多数存在することを臭わせています。

被害者の報告・申し出手段として2種類の選択肢があり、上司等に報告されずに専門対処員が介入する「Restricted」と、上司への通報と捜査を含む「Unrestricted」があるそうです。

Nichols.jpgこの様な通報手段を設けないと表面化しない「米軍の暗部」と言えましょう。他国の軍では存在しない、又は極めて事例が少ないと言い切れれば良いのですが・・・

なお、Nichols室長(陸軍少将)は1981年陸軍士官が卒業で、1984年ロス五輪ではハンドボールの米国代表チーム(助監督・マネージャー)に選出されています

性的襲撃(sexual assault)問題の深刻さ
「暴力削減にNGO導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-05
「国防長官が対策会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19
「指揮官を集め対策会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-04
「海軍トップも苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20

「女性5人に一人が被害」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-10
「空軍内で既に今年600件」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-1
「米軍内レイプ問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19

Work副長官:次期政権と第3の相殺戦略を語る [米国防省高官]

Work-Atlantic2.jpg2日、Work副長官がAtlantic Council主催のイベントで「第3の相殺戦略:Third Offset Strategy」について語り、その中で来年1月に新政権へ移行後どうなるかについて言及したようです。

Work副長官は自身が新政権に残ることは想定しておらず、政権移行チームにオプションとして自信を持ってこれしかないと推奨するとの姿勢ですが、かなり計画的に長期的視野で人事面も含めて取り組んできた様子が伺えます

本当の心境や如何に?・・・ですが、取りあえず講演での発言をご紹介します

2日付Defense-News記事によれば
(長期間を要する「第3の相殺戦略:Third Offset Strategy」の様な戦略推進を、次の政権に如何に引き継いで確かなものとするつもりなのか?・・・との質問に対し、Work副長官は・・・)
●この件に関しては、3つの補足的方法で対応しようと考えている

●まず第1に、次期政権に多くの選択肢を提示しようと思っている
●私は政権移行の中核になろうと考えており、私自身が政権移行チームと直接話をし、我々がこれまで追求してきたことや、なぜそれらを追求してきたかを説明する。そして新政権に彼らが選択できるようにする

Work-Atlantic.jpg●我々がこれまで取り組んできたことの一つは、新政権が活用して敵に優位な位置を確保できるであろう多くの異なるオプションを準備することである
例としてレールガンだが、当初我々は主要な開発領域だと考えたが、試験を進めるうちに「従来型の炸薬型高性能砲弾:powder gun with a hypervelocity round」でも同様の効果が得られる事が判ってきた。それも開発や試験などの経費が不要な形で。

●私は新政権に言うだろう。あなた達にはこのような選択肢がある。レールガンと炸薬型の両方に投資する事も可能だ。もし新政権がレールガンが欲しいと言ったらそう進むだろう。我々は成功の準備をしてあげるのだ

第2に、議会との関係である。上院は全般に「Third Offset Strategy」を応援してくれているが、特に下院はThornberry軍事委員長も含め本取り組みの支援者である
●これまでの議会証言や質疑の於いても好意的で、本戦略を議会や政権全体で進めることを助けて支援してくれるだろう

最後に政治任用の国防省高官達が誰になろうとも、彼らを押し切るような軍人リーダー達に本戦略は受け入れられる必要がある。
●本戦略は、軍組織の観点からも、作戦運用の観点からも、軍人指導者達が追求しなければならない戦略である

●幸い、カーター国防長官は全ての新しい統合参謀本部メンバーの選定で便宜を図ってくれた。これは国防長官にとっても滅多にない事で、技術革新に詳しい人材を選んでもらった
●(例えば)Selva統合参謀副議長は、特に「Third Offset Strategy」や他の技術革新の取り組み推進に積極的で、現政権の後も継続的に推進力となってくれるだろう
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Work-Atlantic3.jpg仮にこの発言を正直に受け取るとすれば、これほど計画的に捨て石の覚悟で、しかもカーター長官とともに軍人リーダー達の人選までを念頭に取り組んできたとは・・・。その無限の使命感と責任感に頭が下がります

しかし、後日ご紹介するCNASレポートが指摘するように、国防省の官僚組織は「Third Offset Strategy」やカーター長官の企業連合に追随できておらず、米議会や軍人リーダーの熱意でだけで相殺戦略の流れが維持できるとも思えません

エアシーバトルの顛末も含め、カーター長官やWork副長官らの熱い思いは果たして実を結ぶのか・・・がぜん人間味を帯びてきた「Third Offset Strategy」です。

Third Offset Strategy関連の記事
「宇宙とOffset Strategy」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「空軍研究所で関連研究確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26

「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09

後日ご紹介
「CNASが官僚の壁を指摘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-02

米国防省N03(政策担当)が6月退任へ [米国防省高官]

Wormuth11.jpg22日、カーター国防長官は国防省のN03である政策担当国防次官のChristine Wormuth女史が、2年間の勤務を終えて6月に退任すると発表しました。

Wormuth女史は、国防省に於いて対ISIL戦略立案の担当責任者でした。
2014年6月に現職に就くまでは、戦略計画担当の副国防次官として、更にその前はオバマ大統領の国防政策に関する特別補佐官(兼ねてNSCの関連スタッフリーダー)を勤めており、一貫してオバマ政権の国防政策を支える仕事に付いてきた人物です

カーター長官の声明
●彼女はそのキャリアを通し、米国の国家安全保障推進にその身を捧げてきた。彼女の働きと国家への犠牲に感謝し、ご健勝を祈念する
国防省やNSCでの多くの役職で、彼女は大統領や私を含む歴代の国防長官に対し、極めて困難な安全保障に関する貴重な助言をしてくれた

McKeon DOD.jpg後任には、現在Wormuth女史のprincipal deputyであるBrian McKeonが「臨時代理」として勤務し、Brian McKeon氏の後任には、現在アジア太平洋の安全保障と担当しているDavid Shear次官補代理が就任する
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今後いろいろとこの人事の背景が明らかになるのでしょうが、政権末期になると「次」を見据えた動きが出てきます。自身の将来を見据えた、個人的な動きである可能性が高いのでしょう
今後もこのような動きが各所各ポストで見られるのでしょう。

対ISILが一つの「ピーク」を迎え、ロシアも「最大の脅威」として振る舞い、中国も相変わらずな中、国防省No3が交代するタイミングではないと思いますが、これがアメリカなんでしょう

Wormuth次官の関連記事
「SPR検討も担当へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-09
「アジア政策を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-16
「Wormuth女史をご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-22

米国防省が議会に無駄な基地閉鎖再編BRAC要求 [米国防省高官]

「Politically Unpopular」な話題です

BRAC2.jpg12日、米国防省が全体の2割以上を占める過剰な基地や施設の再編閉鎖を求めるレポートを議会に提出したことを受け、地元経済等への影響が大きいことから、政治的に反対する議員との間で激しいやりとりが始まっています。

基地の再編閉鎖BRAC(Base Realignment and Closures process)は、前回の2005年を最後に検討実施が止まっており、その間に20万人もの兵士と関連装備が削減されているのに、固定経費の維持費ばかりが無駄に支出されていると米国防省は主張しています

議員側は、再編閉鎖にも相当な予算が必要だとか、見積もりの前提が正しくないとか色々難癖を付けていますが、この問題は米国防省と議会の対立の象徴的分野で、無駄がある事は間違いないようなので、前線兵士に予算が回るよう双方が折り合って欲しいものです

米国防省の主張
BRAC3.jpg国防省の主張によると、全体で22%の施設が過剰である。軍種別で見ると、陸軍が33%、空軍が32%、海軍が7%、国防兵站庁が12%が過剰施設である
●この背景には米国防省や米軍の人員削減があり、前回2005年のBRAC以降米陸軍は57万人から45万人へ、海兵隊は20万から18万へ削減される予定で、空軍は5万人と500機を、海軍は3.6万人を既に削減済み

Work国防副長官はレポート提出に合わせ文書を発表し、「今回議会に提出した提案には、議会側が懸念している再編閉鎖経費に対する懸念にも回答するものである」と説明している
●更に副長官は「BRAC計画無しに経費を一律削減することで生じる軍事的損失は、BRACと比較して遙かに大きい」、「地域社会も計画的に影響に対処可能で、その影響を局限できる」とも訴えている

●また「5年以内に経費削減を生み出し、20年以内に関連施策が終了するように配慮して計画した」、「地域への社会経済的影響がある事は認識しているし、痛みを伴うものであることは承知しているが、維持経費の効率化で節約できる額は限定的だ」と説明している

議員側の反対
BRAC4.jpg●Kelly Ayotte上院議員は、BRACに必要な経費を今後5年間のタイトな国防予算の中から捻出する事は、目の前にある戦いへの予算を傷つけることになりかねない。
●前回2005年のBRACでも、実行段階で必要経費が67%も計画より膨らんだことがあり、現下の厳しい予算状況でそんな余裕はないはずだ

●Tim Kaine上院議員は「不必要で偏狭なBRAC推進のために、膨大なロビー活動や弁護士活動が行われている」と国防省の動きを非難し、国防省のインフラ合理化にはより良い方法があるはずだと述べている

●下院軍事委員長のThornberry議員は、「議会が求めた2012年時点でのデータで分析を行わず、2019年時点での予測米軍構成を基礎に分析を行っている」と分析の前提にケチを付けている
●また「国防省が提出したレポートは、議会が知りたい情報が含まれていない」と述べ、2005年のBRACが、史上最大で複雑でコストが膨らんだ削減再編であったことに言及した
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BRAC.jpg米国防省は、F-35やB-2や沿岸戦闘艦LCSの開発遅延や価格高騰で十分評判が悪く、価格2倍の次期空母や次期戦略原潜でもさんざん叩かれている「前科者です

でもBRACに関しては、「議会の機能不全」や「議員の選挙区への利益誘導」に目が向けられるべきだと思います。、「大統領選が近づくと無視されるだろう問題点」と皮肉たっぷりに表現されることがある課題です
米国防省も議会には期待していないでしょうが、世論に訴える機会としてアピールを狙っているのでしょう

日本でもあります北海道の陸上自衛隊を削減し、南西方面を強化しようとした際、政党としては自衛隊に反対姿勢の社民党や野党地元議員が、「自衛隊の削減反対」をぬけぬけと訴えるのです。
選挙で当選するためなら、何でもやる・・・こんな政治屋が山ほどいます・・・

有識者が訴えるBRAC
「研究者38名が国防予算改革を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-25
「研究者25名が国防改革を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-06
「4大研究機関が強制削減対処案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-30

副長官が宇宙Offset Strategyを語る [米国防省高官]

Work Offset2.jpg3月30日、Work副長官がワシントンポスト紙主催のイベント「Securing Tomorrow」に」でthird offset strategy」について語り、露中が対象だと明言し、核戦争に発展する以前に紛争にケリを付ける技術優位だと位置付け宇宙における取り組みや「Deep-learning」を活用した情報分析等について言及しています

「third offset strategy」について、米国防省で交換幹部または連絡官として勤務する他国の軍人(?)が、あまりに多様な取り組みが乱立して進められており、「全体の戦略が不明確だ」「何が対処すべき課題なのか整理できていないのでは」と疑問を投げかけるエッセーを投稿しているようですが、まだまだ同戦略について把握できていないので、チマチマ取り上げたいと思います

30日付米国防省web記事によれば
●カーター国防長官は同戦略をロシアと中国に焦点を当てたものにしたいと考えており、イランや北朝鮮やISIL等に対処することは国防省の他の施策に含まれる
●米国防省は潜在的競争者との問題対処に、戦車対戦車、航空機対航空機、ミサイル対ミサイルのような対決で解決を図ろうとはしていない

Work Offset.jpg●本戦略は我々にとって大国との戦争計画ではなく、包括的な安定達成や先制攻撃の誘因削減を目指すもので、仮に紛争に発展した場合でも核の敷居を超える前に終結させる事を狙いとするものである
●この戦略の目的は、将来の敵と戦う技術や、組織や作戦やコンセプトを見定めることであり、その大部分は現存の技術を新しい画期的な形で活用するために、その様な技術を見極め、発展させ、導入することである

「Deep-learning」による公開情報活用
(人工知能による自動学習能力の活用)
●「Deep-learning」機材を使用してISILの行動等の理解を深め、その撃滅のための目標選定に活用することに確信を持って取り組んでいる
JICSPOC.jpg●シリコンパレーの企業を訪問した際、2014年にマレーシア航空機がウクライナで撃墜された事件を、本技術を用いてSNS上の公開情報で試したところ、同航空機の離陸写真、シリアルナンバーが写ったロシア軍地対空ミサイルの写真や、同ミサイルが撃墜地点エリアで打ち上がる写真、同ミサイル発射機が現場から立ち去る写真(関連ミサイルが発射機にない状態)を時系列でリアルタイム分析して見せてくれた
●この「Deep-learning」技術は、存在する情報の関連性を明らかにして分析官を支援できることから、その将来性に大いに期待している

自立化システムは海空が先
自動化した地上車両が様々な地形を克服するまでには時間が必要だが、その前に無人機の編隊構成機が実用化できるだろう。米空軍は無人機型F-16とF-35編隊に「Loyal Wingman」構想として取り組んでいる
●また水上及び水中無人機や、空中から無人機が前線に物資補給するだろう。アフガニスタンでは既にデモを行っており、当然のように実現するだろう
●ただし、無人システムに委任することはあっても、意思決定まで無人システムに委任することはない。サイバー戦や電子戦のように、状況の推移が人間の意思決定時間より早い場合を除いて

宇宙システムの分散と小型多数化
●従来米国は宇宙が聖域だとの前提で、巨大で高価で、あまりにも高機能で極めて脆弱な宇宙システムを考えてきたが、今後は機能をより小型のシステムに分散し、敵攻撃から回避する燃料を持たせる
●宇宙関連で本戦略の最初の取り組みは、カーター長官が統合省庁等横断型宇宙作戦センターJICSPOC(Joint Interagency and Combined Space Operation Center)と呼ぶ施設で、脅威の動向とどうアセットを回避させるかを意思疎通し判断する

Planet Labs.jpg●国防省は、サンフランシスコの企業「Planet Labs」が考案した革新的な地上監視の小型衛星「doves」システムにも取り組んでいる。口径40cm反射望遠鏡を搭載した150個の衛星網で地表全体を監視する構想だ
●太陽同期軌道を周回する150個の衛星は、1日に「10 terabytes」の情報を提供可能で、その情報を「Deep-learning」を活用して分析して地球全体の動向を把握する
●民間技術を生かした分散システムにより、敵対者による同時多数攻撃でも150個の小型で分散配置された衛星を攻撃することをより困難にし、前線兵士の支援を確実に出来る
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囲碁の世界チャンピオンを圧倒した「Alfha-GO」というコンピュータが話題になりましたが、その強さの秘密がこの「Deep-learning」技術でした。

コンピュータに人間がプログラムして作業をやらせるだけでなく、コンピュータが情報を取り込んで自ら学ぶような仕組みで、「休み無く、疲れることなく学習を続ける」事が可能なようです

アイディア乱立で訳がわからない・・・と揶揄されている「Third offset strategy 」ですが、カーター長官とWork副長官コンビには、今後も期待したいと思います

Third Offset Strategy関連の記事
「空軍研究所で関連研究確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15

「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09

極超音速兵器の開発で中国が優位か? [米国防省高官]

久々に「hypersonics技術」のお話しです

Hypersonic4.jpg9日、Work国防副長官が米空軍協会のMitchell研究所で講演し、極超音速技術(hypersonics technology)について中国に先を越されており、中国の同技術関連研究施設の充実ぶりを紹介しつつ危機感を訴えています

極超音速技術は、音速の5倍以上の速度で大気圏内を飛翔する技術で、スクラムジェット技術や姿勢制御技術等が重要な要素となるものです。

米軍では、米空軍の「X-51 Waverider」等が研究開発され、4回ほど試験(2回成功2回失敗)が行われましたが、その後の予算制約から進捗が滞り、その間に中国が極超音速飛翔体の試験に成功した等のニュースが報じられている状況です

Hypersonic3.jpg米軍では、極超音速技術を実用化したCPGS(通常兵器による世界即時攻撃:1時間以内に世界の何処でも攻撃可能な体制確立)構想を目指す動きもありましたが、「金の切れ目が縁の切れ目」状態に置かれて居るのが現状かと思います

実現出来れば、その速度で多くの防空網を突破可能で、かつその運動エネルギーを利用した新タイプの兵器として「Game Changing」な可能性を秘めています

11日付米空軍協会web記事によれば
●11日、Work国防副長官は講演で、極超音速技術(hypersonics technology)は「Third offset strategy」の一部をなすもので、敵対者に対する技術優位確保を目指しているが、相手も多くの資源を投入していると危機感を訴えた
●Work副長官は他国の極超音速技術開発レベルについて「中国は本分野で米国より進んでいるが、ロシアは米国より遅れている。米国は中露の中間にいる」と表現した

Hypersonic.jpg●また「中国は数百の極超音速風洞を保有している」、「中国がどのようにして過剰とも思える装置を維持しているのか分からないが、中国は非常に大規模に同技術を追求しているのだ」と副長官は語った
●そしてWork副長官は、米国としても敵の拒否領域や防空網を突破できるスピードを持つ極超音速兵器が欲しいし、強固な防御に対処するためある程度の自立能力が必要だと考えていると述べた

元米空軍首席科学技術監で現在IDA科学技術研究所の所長であるMark Lewis氏は、極超音速技術の専門家として、中国の風洞装置に関する副長官の言及をその通りだと語った
●そして「中国は小型の風洞を基礎研究に使用し、大型風洞を具体的装備の設計開発に活用している」、「中国最大の極超音速風洞は、米国が保有する同風洞の2倍の規模である」とLewis氏は現状を語った

●一方でLewis氏は、米国の研究レベルについて副長官ほど悲観的ではなく、米国のレベルは他国より数年は上回っているとの見積もりを披露し、この僅かな優位を更なる投資で維持拡大すべきだと訴えた

Mark Lewis氏は米軍の取り組みを非難
Hypersonic2.jpg●同氏は、米空軍研究機関が「X-51 Waverider」試験開発で蓄積した知見を有効活用していないと語り、将来鍵となる戦略的技術蓄積を無駄にする恐れがあると米空軍協会総会で訴えた
●そして同氏は、米空軍研究所AFRLが「X-51ブースター」とスクラムジェットを二つの別の試験装置に分けて試験し、「X-51」としての教訓を無駄にしていると表現した

●中には、二つの試験を同時に進める事は予算枠から出来ないと言い出すものも表れ、悪い方向に向かっているようで危惧しているとLewis氏は主張した
●「X-51はミサイルではないが、それにつながる開発装備であり、継続開発することに計り知れない価値がある」「わずか25億円程度の追加試験で、芸術的とも言える技術優位を確保できたのに」と嘆いた
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ミッチェル研究所の関連レポート(約2MB)
極超音速兵器の優位性を訴える1月発表のレポート
http://media.wix.com/ugd/a2dd91_b7016a5428ff42c8a21898ab9d0ec349.pdf

今年に入り、「極超音速兵器」に関する米国関係者の発言を良く耳にするようになりました。背後に、Work副長官が推進する「Third offset strategy」があるのかも知れませんし、Work副長官が焚きつけているのかも知れません

WU-14.jpg中国はなぜ多数の風洞を保有しているのでしょうか??? この分野に「Game Changing」な可能性を感じているのでしょうか??? それとも風洞製造企業のトップに、党幹部の子息が就任し、賄賂代わりにみんなで買ったのでしょうか??? 

なお、中国の「WU-14」と呼ばれるスクラムジェット推進の「極超音速飛翔体」(hypersonic glide vehicle (HGV))は、2014年1月に初試験を行い、2015年10月に試験を成功したと報じられており、この時間差をもって「米国から2年遅れ」と見られているのかも知れません
そんなに簡単だとも思わないのですが・・・

3月15日ロッキードCEOが極超音速兵器開発に自信たっぷり発言
http://www.defensenews.com/story/defense/air-space/2016/03/16/lockheeds-marilyn-hewson-touts-breakthroughs-hypersonic-weapons/81836070/

X-51 Waverider試験開発の様子
「X-51最後の試験は成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07
「X-51 3回目の試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-16-2
「X-51A:2回目試験は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-16
「X-51A:1回目の実験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23

CPGS(通常兵器による世界即時攻撃)関連の記事
「PGSに少し明るい話題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18
「パネッタ長官はPGSに期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-16
「対中国もう一つの柱PGSは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-03
「PGSのHTV-2試験失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-27
「核抑止の代替?PGSのCSM」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-25

米空軍研究部隊で「offset strategy」確認 [米国防省高官]

Work WP.jpg3日、work国防副長官が米空軍Wright-Patterson空軍基地を訪問し、国防省が重点施策として取り組む将来の技術優位確保策「Third offset strategy」の最前線研究状況を部分的ながら確認しています

米国防省でWork副長官が主導する同戦略には、「learning systems」、「human-machine collaboration and combat teaming」、「network-enabled and cyber-hardened autonomous weapons」等が含まれると副長官は以前の講演等で説明していますが、具体的な例があまり明らかになっていませんので、断片的な情報ですがご紹介しておきます

なおWright-Patterson空軍基地は、女性Pawlikowski大将が率いる米空軍Material Command司令部が所在しますが、米空軍研究所AFRLを抱えて米空軍研究開発の拠点となっている基地でもあります

4日付米国防省web記事によれば
Work WP2.jpg●3日副長官は丸一日をかけ、軍人と文民が協力しつつ、人間パフォーマンス向上や前線兵士防御等のための最先端技術開発に取り組む様子を、同基地内の複数の場所に立ち寄って確認した。訪問先には「711th Human Performance Wing」や「National Air and Space Intelligence Center」が含まれている
視察の焦点は、新たに鮮明になりつつある脅威を抑止し防ぐための「Third offset strategy」を支える技術研究であった

●Work副長官は、説明を受けた技術開発プログラムの一つであるBATMAN(Battlefield Air Targeting Man-Aided Knowledge)について語り、「human-machine協力システム」の好例として高く評価した
●BATMAN計画の中には、空軍救難救助員(pararescue jumper)が腕に装着可能な小型の患者診断装置BATDOCが含まれており、センサーと小型無線PCを組み合わせ患者の重要データを迅速同時にモニター可能になる

Work WP5.jpg●副長官はBATDOCを、「装着可能な電子端末で、最前線での兵士の活動をサポートする意味に置いて、完璧な素晴らしい具体例だ」と賞賛し、最前線の他の分野でも活用可能な技術で、兵士の守って支援する事が可能なろうと評価した
●他に副長官が説明を受け、副長官を興奮させた技術には、「autonomous weapons systems」「advanced aircraft anti-collision systems」「sophisticated monitoring sensors for aircrew」や「地上目標監視のnew aerial radars and sensors」がある
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サイバー戦や電子戦に代表されるように、急激な状況変化への対応が求められる分野に人工知能を活用した「learning systems」を導入して状況掌握を迅速化し、具体的な対処には「human-machine collabo」も活用して精密誘導兵器の同時攻撃にも対応、「サイバー攻撃に強いネットワーク化autonomous weapons」で反撃・・・との無理矢理単純解釈では「third offset strategy」は語れない模様です

奥深いというか、「何でもかんでも感」もありますが、引き続き小さな事からこつこつとモニターしていきたいと思います

しかしこの様な、小さな改善の積み重ね分野(誤解かも知れませんが)は、日本の予算要求システムの中では「必要性」や「時期のマスト性」の説明が困難で、こぼれ落ちていくような気がします。
戦闘機関連以外の分野では特に・・・。何とか補正予算を「積み上げる際」に、大項目に埋め込まないといけないような気がします・・・。

Work WP4.jpgWork副長官は同時に、公的研究機関の最新科学技術に中高生を触れさせるホワイトハウス主導の「Week at the Labs」で訪問中の生徒達に語りかけ、公的機関で社会に貢献することの需要性も説いています。
素晴らしい試みですね! 防衛省や自衛隊の研究開発最前線に、「総合学習」なんかの枠組みで中高生が訪れてくれればいいですね!

Third Offset Strategy関連の記事
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15

「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09

米国防省の2017年度予算案特設webページ
http://www.defense.gov/News/Special-Reports/0217_budget

米ミサイル防衛庁MDAが次年度予算案を解説 [米国防省高官]

Syring MDA2.jpg10日、2017年度予算案について米ミサイル防衛庁(MDA:Missile Defense Agency)長官のJames Syring海軍中将は、複雑化する脅威対策に関し、レーザー、宇宙アセット、GBI、THAAD、Aegis Ashore等への投資内容について説明しました

各軍種の装備老朽化が進み新装備購入計画が目白押しで、かつ対ISILや対ロシアで活動経費が膨らむ中、発言力が強くない米ミサイル防衛庁は予算面で「悲哀を」味わっていると以前紹介しましたが、全体の構図としてその傾向に変化無しと考えられます

それでも、以下の各項目は脅威の変化や技術動向を反映し、なかなか興味深いですのでご紹介します。それぞれの予算額が多いのか少ないのか判断する基準がありませんが・・・

11日付Defense-News記事によれば
Syring MDA.jpg●ミサイル防衛庁MDAの2017年度予算案は約8500億円を要求し、昨年定めた優先事項を維持しつつ、より複雑化し高度化する脅威対処技術の開発にも着手するものとなっている

●ミサイル脅威を撃退する次期レーザーシステムの基礎技術開発のため、約85億円を要求している
●またDEW(Directed Energy weapon)計画では、引き続き強力でコンパクトな2つのタイプのレーザー開発を行う

無人機MQ-9搭載用の、先進センサーを装備した目標照準システム開発に約110億円、また、無人機に搭載してブーストフェーズでのミサイル防衛に活用する、レーザー兵器の設計契約予算も含まれている
Syring長官は「レーザー重視は継続し、より高出力をより小型装置で可能となるよう追求していく。いつかハイパワーレーザーに発展させたい」と説明会見で述べた

●同MDA長官はまた、複数の異なるレーザー技術に取り組んでおり、企業にも協力を求めてコンセプトや潜在的な活用法を検討しているとも説明した
●そして「MQ-9等の無人機を活用した試験は、レーザー関連だけでなく、レーザー照射の照準をつかさどるセンサー能力の試験も行っている」と述べた

宇宙アセットやGMD強化へ
Syring MDA3.jpg●MDAはまた、弾道ミサイル破壊状況を把握するデータ収集を、宇宙に配備した商用ベースのセンサーネットワークで行うSKA(Space-based Kill Assessment)の構築に、約22億円を要望している
●なお「商用ベースのセンサーネットワーク」担当企業は、2017年度にSKAネットワークの打ち上げを計画している

●更に、北朝鮮やイラン発射の大陸間弾道弾ICBMから米本土を守るGMD(Ground-based Midcourse Defense)システムの不足能力を穴埋めするため、MOKV(Multi-Object Kill Vehicle)開発に約75億円を要望している
●MOKVは、アラスカとカリフィルニアに配備されたGMDに複雑で同時多数の脅威に初期段階で対処可能な能力を付与するものである

●MOKVが完成するまでの対処としてMDAは、GMDの「kill vehicle」の改良に取り組むため約3000億円を要望している
●また、約1200億円の規模で、現GMDミサイルの配備数を、現在の30発から44発に拡大する予算要求案となっている。予算が認められれば、2017年度末までに、44発すべてが配備完了する予定である


「Aegis Ashore」と「THAAD」について
Aegis Ashore Map.jpg●「European Phased Adaptive Approach」に関しては、まず第1段階で2011年トルコにAN/TPY-2(Xバンドレーダー)が配備され、第2段階として2015年12月にルーマニアでAegis Ashore systemが技術的運用可能態勢になった
●第3段階として、2つ目のAegis Ashoreを2018年にポーランドで態勢確立するため、約750億円を要求している。

●THAADシステムに関しては、MDAはリスクを受け入れたとも言える。MDAは引き続きTHAAD調達を行い、2017年度予算に24発のミサイル購入予算を約430億円要求し、2017年度末時点で計205発が陸軍部隊配備になる計画である
●しかし、陸軍が要求している9個のTHAAD大隊整備の残り部分には未着手のままである。現時点では、2018年までに7個大隊が編成できる予算しか確保できていない。ミサイルに関しては2021年までに400発以上を調達することになっているが

韓国へのTHAAD展開が具体的に協議され始めたようであるが、追加のTHAAD大隊調達は具体化していないMDA長官も「議論のテーブルから外れてはいない」と述べるにとどまった
THAAD1.jpg●Syring長官はまた「THAADの射程延伸を検討しているが、検討を加速する段階にはない」、「コンセプト検討を開始したが、THAADだけでなく、他システムも含めた全体で脅威も絡めて検討することが重要だ」と表現している

●CSISのKarako研究員は、「弾道ミサイル防衛への需要は供給を遥かに上回っており、最近のTHAAD韓国配備問題は、米陸軍と海軍のTHAAD、SM-3、PAC-3に対する要望にどう対応するかという問題を顕在化させている」と語っている
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弾道ミサイルやBMDに関しては、「海国防衛ジャーナル」が非常にわかりやすく、詳しいので推薦します
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/

Syring海軍中将の発言と予算案の紹介だけで、分析まで踏み込めていません。特にMDA予算の「冷や飯度合」がどの程度なのかが気になります

また、韓国へのTHAAD配備協議に絡め、今後、BMD関連の報道や分析を目にする機会が増えると思いますので、その参考になればと思います。

MDA関連の記事
「SM-6がミサイル防衛に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05
「米ミサイル防衛が悲哀を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-22

早くも2018年度予算へ7項目SPR検討 [米国防省高官]

arizona-asia.jpg8日付Defense-News記事は、2017年度予算案が米議会に提出されたばかりのタイミングながら、カーター国防長官がWork副長官に命じて、2018年度予算案検討における「鍵」となる7つの分野について、「SPR:Strategic Portfolio Review」を開始させていると報じています

具体的には、Work副長官が3日付で作成した関連「メモ」を入手し、7項目の方向性や担当責任者を紹介していますが、中国やロシアを意識した新たな技術開発の方向を検討するものとなっているようです

Work副長官とともに「Review」を共同リーダーとして統括するのは、国防省の「コスト分析・計画評価室長」Jamie Morin氏であり、実現可能性や開発経費に関する厳しいチェックを並行しながら行う構えとなっています

以下では、記事が伝える7項目をご紹介します。具体的な検討内容は「Defense-News社」も把握していないようですが、項目を眺めて米国防省の問題認識に思いを馳せたいと思います

Third Offset Strategy
●共同検討者:ケンドール開発調達担当国防次官
●これまでもご紹介してきた「第3の相殺戦略」とも訳される取り組みで、革新的な技術革新により絶対的な技術優位を維持確保し、中国やロシアといった対抗者に対する抑止力を確保する取り組み

Strategic Mobility in a Contested Environment
●共同検討者:米輸送コマンド
●米軍を作戦地域から遠ざけよう排除しようとするA2AD対応が、最近の米国防省の主要懸念事項だが、空中給油や輸送アセットへの脅威対処が特に大きな課題である。
●この問題への取り組みの一つが、米空母初の無人艦載機が偵察攻撃機から空中給油機CBARSに変更された背景にあると考えられる

Stress on the Force, Posture and Global Presence
●共同検討者:Wormuth政策担当国防次官と統合参謀本部
●国防省の主要課題の一つである、ハイエンドとローエンド対処能力の組み合わせをどの程度とするかを検討。対ISILから中国やロシア対処までの幅広い対処への備えをどうするかを考える

Ground Combat
KendallDOD.jpg●共同検討者:統合参謀本部とケンドール次官
●「アジア太平洋リバランス」では海軍と空軍への投資拡大が起こるが、陸軍は将来展望が無いまま、新規装備開発もほとんどないまま、置き去りにされている感がある。

●一方で、欧州でのロシアの活発化を考慮すれば、対処投資が必要と思われるが、どんな能力が必要か不明確である

Space
●共同検討者:国防省首席宇宙補佐官(空軍長官が兼務)
潜在的敵対者が宇宙アクセス能力を獲得していることに大きな懸念あり。例えば米空軍は、これまで一つのアセットに多機能を集約させる方向にあったが、これを多数の小型アセットに分散するかどうかを具体的に検討している

Munitions(弾薬やミサイル)
●共同検討者:統合参謀本部
●カーター国防長官が2017年度予算案の説明で強化を明らかにしているように、既存のトマホークやSM-6ミサイルの効果や用途の増強に取り組んでいる
●他の既存弾薬やミサイルの改良を進め、調達量を精査することが、戦略を打ち立てる過程で必要

Counter-Power Projection
●共同検討者:Wormuth国防次官
中国やロシアが影響力行使の範囲拡大を図る中で、米国がこれにどのように対応していくか
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Work-army2.jpg「Strategic Mobility」や「Ground Combat」に関しては、これまで取り上げていませんでしたので、今後注目したいと思います

目新しくはないような印象ですが、今から手を付けておく必要あり、つけざるを得ない、切羽詰っている・・・項目なのでしょう
今後の軍事ニュースを見るうえで、上記カテゴリーを「フォルダー」として準備しておくのも一つの方法かもしれません

関連の記事
「Offset Strategy解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「UCLASSからCBARSへ変身」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02
「精密誘導兵器に重点を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-04-1

「小型無人機の群れで戦いを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10
「宇宙ドメイン対処を本格化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-19-1
「国防長官が海兵隊に語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-08

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