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米中軍人トップが中将レベルの戦略対話に合意 [中国要人・軍事]

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大山鳴動してねずみ一匹・・・な感じです

Dunford-China.jpg15日、中国を訪問したダンフォード統合参謀本部議長が人民解放軍司令部を訪れ長年協議を続けてきた両国将官クラス軍人による戦略対話枠組みに中国軍側と合意し、人民解放軍参謀総長の房峰輝大将(Fang Fenghui)と合意文書に署名しました

正式には「Joint strategic dialogue mechanism」に署名したと表現されていますが、結論的には、両国軍の中将クラスが定期的に、ペンタゴンと北京の人民解放軍司令部で戦略対話を行うようで、最近南シナ海や東シナ海で発生している、米軍偵察機と中国軍機の異常接近や、「航行の自由作戦」に伴う不要な摩擦防止や事態発生時のエスカレーション防止を意図しているようです

今回の合意文書署名に至るまでに、少なくとも3~4年、いやオバマ政権誕生以来継続的に取り組んできたともいえますので、8年以上とも言える時間を掛けた協議が行われて来たことを考えると、おめでとう御座いますとお喜び申し上げるのが適当なのかもしれません。

Dunford-China2.jpgしかしです。良く見ると、最初の具体的な「対話」は今年の11月まで待って開催予定で、米側はJ-5長のRichard D. Clark陸軍中将が出る予定だそうですが、その対話会議の目的がその段階になっても「対話の枠組みを構築する」(to set up the framework)事となっており、ほとんど具体的な中身が詰まっていないないことや、中国側の消極姿勢が十分伺える状態です。

加えて、中国共産党の軍事委員会のメンバーでもない中将レベルが中身のある建設的な議論をするとも考えられず、ホットラインのように緊急時に機能するのか極めて怪しいと疑わざるを得ませんが、ないよりは増し、相手にシグナルぐらいは送れるし、相手の対応から背景を探る程度の期待は出来るのかもしれません。

・・・と言うことで、いきなりテンションが下がっていますが、米海軍協会web記事より、米中軍の戦略対話枠組み署名の模様をご紹介します

16日付米海軍協会web記事によれば
USS John S. McCain.jpg●15日の合意署名に対する統合参謀本部と米国防省の声明文は、当地域や世界が核武装した北朝鮮の危険に直面している今、両国軍のコミュニケーションは極めて重要である、と強調している
●更に声明は、本合意は危機の緩和を意図したもの(intended for crisis mitigation)で、双方の誤算のリスクを低下させてくれる、と記している

8月10日にミサイル駆逐艦John S. McCain (DDG-56)が、2017年に入って3回目の「航行の自由作戦」を実施し、中国が埋め立てを行っている問題の「Mischief Reef」の12マイル以内を航行したように、両国間の緊張は高まっている
●またここ数年、米海軍偵察機と中国空軍機間の事案が何度も発生しており、特に中国側が「防空識別区」を一方的に設定し、米側がこれを無視している状態が続いていることも緊張を高めている

Dunford-China3.jpgもっとも悪質な事例としては、2014年に中国軍のJ-11B戦闘機が米海軍P-8海洋偵察機に対し異常接近し、中国戦闘機が搭載武器を誇示するようにP-8を巻き込むような「バレルロール」機動を行った事案がある
中国側は、米軍偵察機が中国沿岸に接近して偵察行動をとることが事態を引き起こしたと主張したが、米軍機は公海上空を国際法に乗っ取り飛行していただけである

このような事象にもかかわらず、この戦略対話枠組みに関する話し合いは継続されてきたのである
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ダンフォード議長と署名式に臨んだ人民解放軍参謀総長の房峰輝大将は、2012年11月から同ポストについているベテランです。

US China.jpg下記の過去記事でご紹介していますが、房峰輝大将が参謀総長に就任した頃は、まだ米側に中国との対話の期待が大いにあり、2013年春のデンプシー統合参謀本部議長の訪中や、2014年春の房峰輝大将の訪米は、極めて盛大に歓迎ムードが漂っています

時は流れて・・・米国も大変でしょうが・・中国には困ったものです。


往時の米中軍トップ:房峰輝とデンプシーの交流
「房峰輝の訪米2014」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-14
「デンプシー訪中2013」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-23

ゲーツ国防長官(当時)の対中国対話に関する言葉

gates.jpg冷戦時のソ連との戦略兵器交渉は、必ずしも実を結ばなかったが、双方の誤解や疑念を晴らすのに有効であった。ゆえに、いかなる政治的ごたごたがあろうとも、中国との軍事レベル対話は継続して置かねばならない
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17

中国に関して米国の立場を(インド首相に)説明した。対話の継続が重要であると。私は旧ソ連と長年にわたって戦略兵器交渉を行った。同交渉が兵器の削減に繋がったかどうか自信はないが、交渉を通じての率直な意見のぶつけ合い、核兵器自体やその近代化に関する議論は、冷戦期間中にわたり2大大国間に誤解が生じることの防止に大きな役割を果たしたと考えている」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-21

「米中の軍事対話が人質に取られている状態である。皆さんに明らかにして置きたい。中国が対話を中断したことによって、米国が台湾への政策を変えることはない
「米国防省は、継続的で信頼に足る、全てのレベルにおける軍事交流により誤解、誤判断、意志疎通のミスを減らす事を希望する。これは地域の安全保障にとって必要不可欠である」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05

ロバート・ゲーツ語録100選
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

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中国空母「遼寧」が20周年香港に堂々入港! [中国要人・軍事]

これこそ「Show Of Force」のお手本でしょう!
ちなみに「Show Of Force」とは、敵に対し、文字通り我の戦闘能力や意思を示すことで、相手を威嚇し警告する軍隊の行動を指します。

Liaoning Hong 4.jpg7日、返還20周年を迎えた香港に、駆逐艦とフリゲート艦を従えた中国海軍の空母「遼寧:Liaoning」が入港し、陸海空に及ぶ厳重な警備体制が敷かれる中、新しい香港総督らの盛大な出迎えを受けました。

香港に永住権を持つ限定2000名が空母への訪問を許可され、海軍基地周辺が7日から11日まで飛行禁止エリアに指定される中、結構フランクに空母見学に興じたようです。

香港返還20周年記念では習近平が香港を訪問。3000名の兵士を前に閲兵式を6月30日実施して力を誇示し、7月1日の20周年記念式典では、一国二制度の成功を自画自賛し、民主化を認めぬ中国政府に失望した若者の間で台頭する香港独立の動きをけん制し、香港政府が「有効な打撃を与えた」として対応を讃えていたところです。

特に申し上げることもないのですが、複数の写真でその「Show Of Force」ぶりをご紹介いたします
Liaoning Hong 7.jpgLiaoning Hong 3.jpg







空母戦闘群司令官Ding Yi少将は歓迎式で
●我々空母遼寧戦闘群は、香港返還のお祝いに参加するためやっていました
●この訪問により、香港の愛国者の皆さんに、中国軍の進化発展をより一層ご理解いただけると信じています
Carrie Lam.jpg
新しい香港総督のCarrie Lam女史は
中国政府が、返還20周年のこのタイミングに、空母派遣を許可してくれたことに感謝します
●この訪問により、香港市民の中国への理解と認識が大いに促進されるでしょう
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Liaoning Hong 5.jpgLiaoning Hong.jpg







中古の空母をウクライナから譲り受け、「本当にモノになるのか?」との懐疑的な諸外国からの視線を受けつつ、2012年に就航し、中国製J-15を艦載機として訓練を続けている空母遼寧です。

Liaoning Hong 6.jpgカタパルトを装備していないため、艦載機の搭載量や航続距離が限定され、戦力としては依然「疑問符」の付く同空母ですが、こうして「Show Of Force」の役割を堂々と果たしていることは否定できない事実です。

そして今、この「遼寧」の経験をもとに、2隻目の空母が建造されており、間もなく進水・就航するだろうといわれています。なんだかんだ言われても、着実な歩みです

空母遼寧などの関連記事
「司令官の視察映像」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-27
「2隻目の建造確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03-1

「中国海軍の集中検討会」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-26
「遼寧艦載機の予想リスト」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-08
「遼寧の運用準備が急ピッチ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-07

「映像:空母遼寧J-15離着陸」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-29
「空母遼寧が中国海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-08
「論争:中国空母は脅威か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-28

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中国の巨大ミサイル駆逐艦「Type 055」進水 [中国要人・軍事]

Type 055 4.jpg6月28日、上海の江南造船所で中国海軍の新しい大型ミサイル駆逐艦「Type 055:Renhai-class」の1番艦が進水しました。

進水式典実施を発表する中国国防省声明は、具体的な艦名等で呼称しておらず正式名称は不明ですが、西側情報機関では「Type 055:Renhai-class」との名称で呼んでいます。

また、いちおう「駆逐艦:destroyer」とご紹介しましたが、2017年版米国防省「中国の軍事力」レポートでは巡洋艦(cruiser)に分類されており、米国としても大型艦と見なしているようです

Type 055.jpg細部について公式発表がありませんが、衛星写真等による分析では、中国海軍現有の「Type 054D」より大型で、また「054D」より大きい米海軍イージス艦(アーレイ・バーク級)より更に大型で、イージス艦と似たような装備を備えているようです。

今後は2019年の作戦運用開始に向け、各種試験が今後行われると見積もられていますが、6月28日Defense-News記事などでその概要をお勉強しておきましょう。

6月28日Defense-News記事などによれば
●6月28日の進水式典に併せて中国国防省は、同艦が排水量1万トンの艦艇であると紹介しているが、細部は明らかにしていない。しかし衛星写真等による分析ではこ
の数字は控えめなモノで、以下の様な大型艦艇だと見積もられている
---Type 055は、排水量12~13000トン、全長175~180m 幅20m
---Type 054Dは排水量7500トン、全長155m
---米イージス艦(アーレイバーク級)は排水量8700トン、全長155m

防空ミサイルやBMDミサイルの垂直発射装置VLS
--- Type 055は、112~128発セル
---米イージス艦(アーレイバーク級)は96発セル

その他の兵装
H/PJ-38 130mm単装速射砲、H/PJ-11 CIWS
HHQ-10 近SAM、VLS 112セル
●2019年と予想されている運用開始後「Type 055:Renhai級」は、比較的小型の052D駆逐艦や054Aフリゲート艦と共に、空母戦闘群を構成するモノと考えられている

●「Type 055:Renhai級」の建造ペースは従来の新型艦艇と比べて極めて早い052D駆逐艦の場合は、052, 052Bと052Cと改良を重ねた後に完成版の「052D」量産に至っているが、
●052D駆逐艦は2014年に試作艦が初めて確認されたばかりにも関わらず、大連市の大連造船所既に現在5番艦の建造開始が始まっている。このことから、海軍艦艇建造インフラの充実度が伺える
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Type 055 2.jpg中国海軍の艦艇の建造ペースが急速に速まっている事は確かでしょうし、米海軍が危機感を覚えて「355隻体制」を訴えていることは理解できます

しかし同時に忘れてはならないのは、空母や艦載機や艦艇搭載ミサイル等の戦力差を考えれば、中国軍が「艦艇VS艦艇」や「空母VS空母」の決戦を想定して軍事増強していると考えるのは適切とは言いがたく、やはり米軍や西側の弱点を突く、弾道・巡航ミサイル、サイバーや宇宙や電子戦を正面に据えた「Short duration, high intensity conflict」で勝利する事を狙っている(2017年版米国防省「中国の軍事力」レポートの表現)点です。

ちなみに、今では「駆逐艦:destroyer」とは巡洋艦(cruiser)の違いは、巡洋艦の方が少し大型で遠洋航海向きだ・・・程度の極めて微妙な感覚的な分類で、明確な定義はないようです

米海軍トップが355隻体制を打ち上げる 
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-18

中国海軍関連の話題
「RIMPACで日本に嫌がらせ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-27
「南シナ海で大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-30
「インド洋に第4の艦隊?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-10

RAND研究所が200ページを超える本格的報告書を
「前:RAND中国軍弱点レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-15
「後:RAND中国軍弱点レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-15-1

Type 055 3.jpgウィキペディア「Type 055」
https://ja.wikipedia.org/wiki/055%E5%9E%8B%E9%A7%86%E9%80%90%E8%89%A6

「Type 052D」について
http://www.military-today.com/navy/type_052d_class.htm

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2度目の航行の自由作戦と台湾武器輸出への反発など [中国要人・軍事]

米国の独立記念日週間で報道も低調ですが・・・
米中間に波風増幅傾向か

SouthChina-sea2.jpg6月28日に米国務省が台湾への約1700億円の武器輸出を容認すると発表し、翌日には米国政府が北朝鮮に弾道ミサイル関連部品を輸出した中国企業等に制裁を表明して波風が予期される米中関係について、トランプ政権2度目の「航行の自由作戦」など、追加の動きを時系列でご紹介します

オバマ政権の時にはこの様な動きがあったものの、トランプ政権誕生後は「様子見」状態だったモノが、再び動き始めた印象です。
しかし中国による南シナ海の人工島埋め立て建設や軍事装備配置は着々と進められており、米国だけが足踏みしている状況でしたので、事態は更に悪化しています。

日本では東京都議選というローカルな話題で盛り上がっていますが、中国は北朝鮮問題で世界が盛り上がっている間に、着々と既成事実を積み上げています

時系列で最近の米国と中国のやりとり事象を

5月25日
昨年10月から中断していた「航行の自由作戦」をミサイル巡洋艦「USS Dewey」で再開し、「Mischief Reef」沖を航行

6月28日
中国海軍が最新の大型駆逐艦「Type 055」を披露(進水)。西側関係者の分析によれば、その規模や能力が米海軍のアーレイバーク級ミサイル駆逐艦(イージス艦)そっくり

6月28日~29日
Harris3.jpg米国務省が台湾への約1600億円の武器輸出を容認すると発表、
28日ハリス太平洋軍司令官は、豪州との史上最大の演習中にブリスベーンで、「偽物の島を真実の人間は信じない:Fake islands should not be believed by real people」、「中国は軍事力及び経済力を用い、ルールに沿った国際秩序を浸食している」と訴えた

6月30日
●米国政府が北朝鮮に弾道ミサイル関連部品を輸出した中国企業等に制裁を表明
●この台湾への武器輸出承認に対し中国外務省報道官は、米国の「一つの中国政策」を堅持するとの言葉に反し、中国の核心的利益に反するモノであり、「誰も中国の主権と領土を保持する決意に水を差すことは出来ず、中国は如何なる国内問題に対する海外からの干渉にも反対する」と米国を批判した

●CSISの海洋監視チームは、「Mischief」「Fiery Cross」「Subi Reefs in the Spratly」に、レーダー施設を含む新たな軍事施設の設置を衛星写真で確認
(米国関係者は、中国が南シナ海の人工島などに高性能地対空ミサイルSAMを配備する事を懸念している。昨年12月に中国が海南島に射程距離が250マイルのSA-21ミサイルを訓練で持ち込んだことが確認されており、現時点では中国本土に戻っているが、人工島に配備されル可能性が懸念されている)

6月30日~7月1日
習近平.jpg香港返還20周年記念で習近平が香港を訪問。3000名の兵士を前に閲兵式を30日実施。力を誇示
●1日の20周年記念式典では、一国二制度の成功を自己自賛し、民主化を認めぬ中国政府に失望した若者の間で台頭する香港独立の動きにも言及しつつ、香港政府が「有効な打撃を与えた」として対応をたたえた
空母遼寧を香港に派遣すると発表。7日に香港に寄港し、8~9日には香港市民に遼寧の内部などが公開される予定

7月2日
USS Dewey.jpg●Fox News報道によれば、2日にトランプ政権2回目の航行の自由作戦として、駆逐艦USS Stethemが、「Paracel Islands」の「Triton Island」の12マイル以内を航行した。同等周辺での作戦は昨年10月以来
ただし、米側関係者は同作戦の遂行を発表しておらず、太平洋軍報道官は「我々は定期的に航行の自由作戦を行っており、今後も継続して実施する」とのみコメントしている
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これだけの事象で取り立てコメントすることもないのですが、中国とは「ディール」も出来ない雰囲気を感じ始めた米国内に静かに変化が起こりつつある様も気がします

まぁ・・・テレビを付ければグダグダの報道ばかりで、加えてこの猛暑ですから、トニックシャンプー(表現が古い!)のような役割をこの記事が少しは果たせれば・・・と思います。

最近の中国と米国の動き
「米国が台湾武器輸出&中国企業制裁示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-30
「アジア安全保障会議直前の動き」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01-3

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米国が台湾へ武器輸出&中国企業等へ制裁 [中国要人・軍事]

まだまだ中国の出方を見ながら極めて慎重ですが・・・

US taiwan2.jpg6月29日、米国務省が台湾への約1500億円規模の大型武器輸出を承認したと明らかにしました。「一つの中国」政策を変更するモノではないとの解説付きの発表で、慎重な姿勢は一応踏襲しています

もちろん、この判断は米議会の承認を得ないと正式な台湾との交渉には入れませし、交渉により価格に変化もあり得ます。

US taiwan.jpgまた、下記でご紹介する兵器の中身には、長射程や最新の兵器が含まれておらず、台湾の希望リストより限定的なモノでしょうし、中国を刺激する程度も「実質」低いと思われますが、台湾海峡に波風立てるには十分な規模と中身でしょう

更に、同28日に米国政府関係者が、北朝鮮に違法輸出を行う中国企業や個人への経済制裁措置を発動する方針を固めたとの報道が流れており、米国の対中国姿勢の「変化の兆し」かも知れませんのでご紹介します

国務省が承認した兵器のリストと価格など
●匿名で武器輸出承認の件を説明した米政府高官は、「長年基本としてきた一つの中国政策に変化はない」ときっちり説明しつつ、「台湾の防御能力強化は、台湾海峡を挟んだ対話に臨むに当たっての自身を与えるモノだ」とも語った
JSOW AGM-154C.jpg●更に、「この考え方に基づき、米国から台湾への武器売却は、台湾海峡だけでなく、アジア太平洋地域全体の平和と安定に寄与する事を目的としている。米国は今後更に、台湾海峡両側の人々が受け入れ可能なペースと範囲に於いて、台湾海峡を挟む関係の発展をサポートする」と語った

*早期警戒レーダー技術支援($400 million)
*AGM-154C 滑空型誘導兵器 (JSOW) ($185.5 million)
*AGM-88対レーダーミサイル (HARM) ($147.5 million)

*MK 48 6AT 大型魚雷 ($250 million)
*MK 46やMK-54等の軽魚雷能力向上($175 million)
*SM-2 艦対空ミサイル ($125 million)
*AN/SLQ-32A 艦載電子戦機材の能力向上($80 million)


米国が北朝鮮と違法貿易の中国企業や個人に制裁へ
6月30日付読売新聞朝刊1面のトップ記事が、「米政府は28日、核・ミサイル開発を進める北朝鮮と違法な取引をしている中国の企業や個人を対象にした金融制裁を、近く発動する方針を固めた」と報じています

USCC4.jpg複数の米政府関係者が28日、明らかにした。トランプ米大統領は4月以降、北朝鮮に影響力を持つ中国に圧力強化を要請してきたが、中国の対応は不十分と判断した。トランプ政権が、北朝鮮問題に絡み、中国企業に制裁を科すのは初めて。発動されれば、中国側の反発は必至で、米中関係が緊張する恐れがある。
●早ければ7月7~8日にドイツで開かれる主要20か国・地域(G20)首脳会議前に発動される可能性がある。ただ、米政府内には、対中関係の悪化を憂慮する声もある。中国が北朝鮮への圧力強化に傾けば、制裁発動について再検討する選択肢も残されているとみられる。

対象の中国企業は、遼寧省で北朝鮮と取引している貿易会社や経営者の男ら。同社は弾道ミサイルの誘導装置に転用可能なナビ装置などを北朝鮮に輸出した疑いをもたれている
●制裁が発動されれば、米国内の金融資産が凍結され、米金融期間等との取引が不可能になる
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AGM-154C 滑空型誘導兵器 (JSOW)は、航空機から投下された後、グライダーの様に滑空して最大40nm程度の範囲の目標をGPS誘導などで精密攻撃できる兵器で、AGM-88対レーダーミサイル (HARM)も射程は数十マイル程度です
またSM-2は艦艇の防空兵器で、最大射程が90nm程度です

Taiwan-China.jpg台湾海峡の幅からすると、また中国側にしてみれば脅威かも知れませんが、中国が保有する弾道・巡航ミサイルからすれば「かわいい兵器・おとなしい兵器」です。

中国の反応が気になります。また、米国が突っ張れるかがもっと気になります。日本国内の報道の劣化が激しく、テレビを見るのが苦痛になる今日この頃ですが、このニュースは注目致しましょう
都知事選の合間に、少しは報道されるかも・・・

最近の中国関連記事
「サウジで無人機製造へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-29
「中国核戦略に変化の兆し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-19
「J-20戦闘機が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「米国黙認?中国がアフガンで活動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-07

台湾関連
「マティス長官が台湾を公式会議で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01-3
「RAND:台湾は戦闘機中心を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-07
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「CSBA:台湾は弱者の戦法を」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
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「AIM-9X契約へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-07-1

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中国がサウジで無人攻撃機の製造修理へ [中国要人・軍事]

CH-4 2.jpg各種報道によれば、サウジ国王が訪中していた3月16日、サウジと中国が中国製の無人攻撃機CH-4の工場をサウジ工業団地内に設置する事で合意していた模様です。

サウジ国王はその直前の訪日の際、1000名を超える随行者と高級ホテルや高級車大量借り上げで話題になり、脱石油に向けた経済連携が目的だったと大きく報じられましたが、中国では約7兆円のビジネス契約が結ばれたと報じられており、軍事と経済両面ではこの無人機工場で米国ヘッジが図られたようです

CH-4.jpg話題の中国製無人攻撃機CH-4は、写真からお分かりのように米国製無人攻撃機MQ-1 Predatorにそっくり、如何にも中国らしい兵器ですが、既にサウジを含む中東の複数の国に輸出され、その性能が評価されており、サウジ工場は自国の追加購入と中東諸国への追加提供と維持整備拠点になる模様です

なお、CH-4の国外工場は既にパキスタンとミャンマーで稼働中で、サウジ工場は国外3番目の工場になるとか・・・。過去5年間で軍需品輸入額が86%も増加した中東諸国で、「一帯一路」構想の中国がしっかり足場を固めています

3月22日付South China Morning Post紙によれば
●無人攻撃機CH-4サウジ工場の設置については、2月にアブダビで開催された軍事見本市IDEXで、両国関係企業の間で大筋の合意が図られていた。
3月中旬のサウジ国王訪中では、エネルギー、文化、教育、技術分野等を併せて計約7兆円のビジネス契約が両国間で結ばれ、中国企業CASCとAbdulaziz国王科学技術都市が結んだ工場建設契約もその一部である

CH-4 5.jpgCH-4 4.jpg無人攻撃機CH-4はMQ-1 Predatorと似た能力を持っており、偵察のほか着弾誤差1.5mの搭載ミサイルAR-1で対テロ作戦に威力を発揮しており、既にエジプト、イラク、ヨルダン、サウジ等々に輸出され実績を上げており、北アフリカにも売り込みを行われている
CH-4製造関連企業で勤務経験のあるZhou Chenming氏によれば、同無人機は既にイラク、イエメン、スーダン、エチオピアやパキスタンでの対テロ活動に素晴らしい成果を上げており、将来性と自国需要のためサウジ側の共同事業への関心は非常に高かった

●スウェーデンの研究機関SIPRIによれば、CH-4が1機約4億円に対し、MQ-1は4機と管制装置セットで20億円と、約2割ほどCH-4が安価となっており、原油価格低迷が続く中、更に米国の中東での姿勢が不透明な中、中東各国は米国へのヘッジとして武器調達先の拡大を図っている
●またZhou Chenming氏は、石油確保のため世界中に触手を伸ばしている中国と、インフラを中国技術で改善しようとするサウジの思惑がかみ合ったと説明している

無人機CH-4と旧式弾道ミサイルの関係?
●マカオの軍事専門家Antony Wong Dong氏は、CH-4工場計画は、実現しなかった中国からサウジへの弾道ミサイルDF-21D(空母キラー)輸出(2014年)の代替プロジェクトではないかと推測し、「イランの核危機の最中、国際社会の強い反発から頓挫した同弾道ミサイル輸出の代わりだ」と説明している

CH-4 3.jpg中国はサウジに対し、1988年に40発弱のDF-3A弾道ミサイル(射程2500km)を約4000億円で売却しており、老朽化したDF-3Aの後継にDF-21Dをサウジが要望したものだと言われている。ちなみに当時の4000億円は、中国国防費の約半分の金額であった
●なおDF-3取引により、サウジは台湾との国交を絶ち、1990年に中国と国交を結ぶ契機となった
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サウジ国王訪日は話題になりましたが、「訪中」でもしっかり成果を残していたようです

本日の写真は全てCH-4ですが、中国製のCH-4は、MQ-1そっくりですね・・・。曲線がなく、無骨な直線的造りですが、恥も外聞もなく、盗んで真似て・・・でしょうか。

それにしても、CH-4無人攻撃機の中東や北アフリカでの活躍には驚かされました
世界は刻々と変化してますねぇ・・・

最近の中国関連記事
「中国核戦略に変化の兆し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-19
「J-20戦闘機が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「米国黙認?中国がアフガンで活動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-07

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RAND:中国の核兵器戦略に変化の兆し [中国要人・軍事]

RAND Nuclear.jpg17日、RAND研究所が「China's Evolving Nuclear Deterrent:Major Drivers and Issues for the United States」(中国核抑止の変化:変化の主要因と米国の課題)とのレポートを発表し、中国の核兵器戦略に劇的な変化があるわけではないが、様々な環境の変化を受けて変化の兆しがあり、注意と対応が必要だと論じています

エアシーバトルや第3の相殺戦略の影響、トランプ政権のミサイル防衛強化姿勢、中国軍内の力関係の変化、周辺諸国の核兵器動向などが環境の変化要因としてとらえられ、それに対応する変化を見せる中国核戦力の状況が示唆されています

(いつものことながら、)きちんと中身を読んでいないので、レポートが指摘する中国核戦力の具体的な近代化の様子をご紹介できませんが、情勢に基づく変化の方向をそれなりに「なるほど・・・」と思わせる視点もありますので御紹介します

RANDの同レポート関連web記事によれば
Rocket Force2.jpg●中国は、1964年に初の核実験を行って以来、比較的少数の核戦力を「no-first-use政策」の下で保有し、その方針に大きな変化はないが、国内外の諸要因を受け、核戦力の近代化や構築への取り組みを加速しており、その歩調を加速させるだろう
中国は米国への対応を主に考え、その動向を注視して核戦略を検討しており、特に米国のミサイル防衛強化に懸念を持っている。また通常兵器による世界即時攻撃構想(conventional prompt global strike)の開発動向にも懸念を持っている

●また中国は地域周辺国の核兵器開発に伴う、複雑化する核戦力分布や核動態にも懸念を持っている。
特に、中国の専門家の中には、インドが中国との「核の平衡:nuclear parity」を追及するような姿勢を示すことは、中国として受け入れられないと主張している

中国の核政策における主導権にも変化がみられる。これまで政治指導者が強く関与していたが、核研究、開発、製造等に関する意思決定への関与が最近少なくなり、中国軍内で発言力を増してきたロケット軍幹部(旧第2砲兵幹部)の地位が増している
Rocket Force3.jpg●懸念点として今後注意が必要な点として、ロケット軍内で通常兵器と核兵器部隊の垣根(firewall)がなくなってきており、通常兵器部隊の手順や技術が核兵器部隊に応用されている点がある。

●「no-first-use政策」の見直しなどの大幅な政策見直しがある可能性は低いが、政策の定義を環境に合わせて修正する可能性はあり、全体として核抑止や核兵器重視の姿勢は強まる可能性が高い
●これにより、将来、核戦力の「no-first-use政策」の考え方が変化し、敵の通常兵器による攻撃を「first-use」とみなし、核兵器部隊が対処部隊になるかもしれない

米国や中国への提言
米中は戦略抑止に関する対話を閉ざさず、互いを知ることで、抑制的な姿勢が双方に最大の肯定的な影響があることをよく理解すべき
中国の核戦力強化の主要因は、米国のミサイル防衛強化である。米国はミサイル防衛の対象を、ならず者国家からの攻撃対処程度に制限すべきである

Rocket Force4.jpg中国は、通常兵器と核兵器部隊の垣根を明確にし、紛争発生時に相互の部隊の行動が混乱しないようにすべきである
中国は核ミサイルのMIRV(多弾頭搭載型ミサイル)を削減すべき。核兵器削減交渉の経験からすると、MIRVは先制攻撃に脆弱であることから、これを多数保有することは先制攻撃の可能性を高め、紛争の不安定化を招く可能性が高くなる

中国の核戦力が向上するに従い、特に日本や韓国はより具体的な核抑止強化を求めるだろう米軍核兵器のアジアへの再展開要求の可能性もある。米国指導者は核抑止の信頼性を高めるステップを打ち出し、再展開などのオプションを考察すべき
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トランプ政権の核兵器増強方針には懸念の声が米国内でも大きいのですが、「ミサイル防衛の強化はほどほどに」とか、「中国との対話を重ね、相互に抑制的な姿勢を」とか主張されると、旧ソ連と中国を同様にとらえてよいものか???・・との思いにもかられます

Rocket Force5.jpgしかし、「インドへの懸念」や「ロケット軍の発言力アップ」や「conventional prompt global strikeへの中国の懸念」などの視点は、なるほど・・・だと思います。

本当に難しい時代になりましたし、日本も国民レベルの常識的判断能力を高めないと、国としての判断を誤りかねない時代だなぁ・・・と思います。そして、日本の野党の現状を見るにつけ、その情けない状況にため息が出ます

関連の中国関係記事
「核搭載?次期爆撃機の開発へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-07
「2016年:中国安全保障レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-09
「習近平がPLAの組織改革発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-27
「RAND:米中軍を10分野で比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18

米国も21世紀の抑止を検討
「米空軍トップが21世紀の抑止に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
トランプ政権とNPR(核態勢見直し)→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09

米国防省の年次レポートに学ぶ
「2016中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

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中国国営TV:中国J-20戦闘機が運用開始!? [中国要人・軍事]

J-20 Zhuhai.jpg9日夜、中国国営テレビが中国製のステルス戦闘機と言われる「J-20:殲20」が、運用態勢に入ったと報じました。10日付ロイターがこれを配信し、米軍事メディアもフォローしています。

「運用態勢に入った」以外の詳細に言及はなく、何処で、何機、どんな任務に、などなど判らないことだらけですが、とりあえず、一番詳しく現時点での分析結果を説明している14日付米空軍協会web記事から、米国防省関係者の見立て、推定配備先や現存機数、想定される用途についてご紹介します

14日付米空軍協会web記事によれば
J-20 Zhuhai3.jpg●2014年に低レート製造段階に入ったJ-20を、現時点で、中国は9機から12機のJ-20を保有しているか考えられている
●エンジンを2基備え、米国製F-22そっくりだと言われる中国Chengdu Aerospace Corp(CAC:成都飛機工業公司)製のJ-20は、8つのプロトタイプで様々な形態の飛行試験を2011年から開始しているが、兵器搭載試験は今も継続している

2016年11月に広東省珠海(Zhuhai)の航空ショーで初めて2機が飛行する様子を披露した

●中国が定義する「運用態勢に入った」とは、最前線での任務に投入可能との意味ではなく、正式な作戦運用試験が可能になったとの意味で、今後は他の航空機との連携試験や運用コンセプトの検証試験が可能になるとの意味だろう国防省高官は語っている
●別の中国ウォッチャーは、初配備基地は恐らく中国北部中央にある「Dingxin」だろうと考えており、10個以上の新たな格納庫が設置されていることや、垂直尾翼に運用部隊マークを付けたJ-20が確認されていること等を根拠に挙げている(同基地は各種装備品の開発試験基地して知られている)

J-20 Zhuhai2.jpg●J-20はF-22のように、内部弾倉庫に6発の空対空や空対地のレーダー誘導ミサイルを搭載可能と映像等から見られている
●J-20の操縦席前方には、F-22やF-35そっくりの光電照準装置が配置され、機体側面には、F-35の「Distributed Aperture System」のように複数のセンサーが見られ、またAESAレーダーの様な装備で米軍5世代機と同様に電子戦能力や識別能力に優れた構造を持っている

●しかし中国国営メディアもかつて言及しているように、J-20は必ずしも空中戦闘能力を追求した設計にはなっておらず、F-22やF-35と直接的な同類ではない
全方位のステルス性能を追求せず、前方からのステルス性を追求していることから、高価値目標(AWACS, aerial tankers, large formations of combat jets,surface targets)に一撃を加え、帰投するような運用構想も考えられる

●J-20運用態勢確立の発表に対し、米空軍は「for security reasons」でコメントを控え、米空軍報道官は「米空軍は他国の航空機の能力については(公には)論じない」としつつ、「米空軍は、第5世代機の長年の使用実績や、複雑な演習や機動展開しての運用経験を通じ、如何なる潜在的な敵にも優位性を維持している」と語っている

10日付Defense-Tech記事によれば
J-20 Zhuhai4.jpg●中国政府は報道を否定しているが、2016年の秋には、J-20がチベット近傍の「Daocheng Yading飛行場」で目撃されたとか、インドとの国境付近に展開した等の報道が流れている
●J-20は長射程と短射程の空対空ミサイルを搭載可能と言われ、米国製F-22と比較されることが多いが、J-20のステルス性はF-22には到底及ばない見られている

●英国Royal United Services研究所のJustin Bronk研究員は、「前方のカナード翼やエンジンの空気取り込み口、胴体下部のスタビライザーなど、全てがレーダー反射面積の削減を妨げている」と分析している
中国はまた、海外輸出用だとか空母艦載様だとか噂されるより小型のJ-31戦闘機を開発しており、その改良型試作機が昨年12月23日、遼寧省瀋陽で初のテスト飛行を行ったと中国メディアが報じている


再度、J-20関連報道に思うこと
2016ChinaReport.jpg米国防省が毎年発表する「中国の軍事力」レポートは、中国が高列度の短期戦で地域での紛争に勝利する事を目指しており、そのため弾道・巡航ミサイルで作戦基盤を緒戦で叩き、サイバー戦や宇宙戦や電子戦で米軍が依存するネットワークを寸断麻痺させる事を目指し、着実に力を蓄えていると毎年記述している。
●「中国の軍事力」レポートに限らず、米国の主要シンクタンクもこの様な視点で中国の軍事脅威を捉えており、最近米空軍が取り組んでいる「2030年代の制空検討」においても、速度や機動性と言った空中戦能力よりも、遠方からの活動を意識した航続距離を重視する方向性が示唆されている

●中国のステルス機数は、J-20が運用を開始したとしても10機程度だと思われるが、米軍ステルス機数は中国と同列で比較すれば400機程度の保有と換算できる(F-22を180機、B-2を20機、F-35を200機)
●また海軍艦艇の総トン数は、世界1が米軍だが、世界2位から12位まで合計してやっと米軍と同規模となる。しかも世界2位から12位のうち、2ヶ国以外は全て米国の同盟国か友好国である。更に米海軍が保有する艦艇搭載の精密誘導兵器の数量は、世界2位から14位の合計の2倍以上もあり、中国の立場になれば、通常兵器で米国と正面から戦おうなどとは考えないだろう

gatesCultureSV.jpg●だから当時のゲーツ国防長官は、「米国に敵対しようとする国は、戦闘機VS戦闘機、艦艇VS艦艇などの通常兵器競争を米国に仕掛けて、破産する道を選ぶだろうか?」と、2009年のフォーリン・アフェアーズ誌に掲載された論文「A Balanced Strategy」で喝破し、脅威認識を改めるよう米国防関係者に訴えた。
●この様に曇りのない目で中国脅威を分析した結果が、上で紹介した米国防省が毎年発表する「中国の軍事力」レポートとなって公開されているのだ。

●J-20がどのような運用思想の基に活用されるのか想像の域を出ないが、日本の戦闘機命派が期待しているような空中戦能力を追求しているとは考えにくく、高価値航空目標攻撃や突破型戦闘爆撃機的な役割を狙っていると考えるのが自然だろう
●今後この「J-20」をどのように日本の戦闘機命派が評価するかは、彼らの脅威認識の「リトマス試験紙」となり得る。
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チベットやインド国境付近で「J-20」が目撃されたとの報道には興味をそそられますが、それ以上に申し上げることはありません。生暖かく見守るだけです・・・。

J-20関連の過去記事
「改良版J-20エアショーで飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
「大幅改良J-20が初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-20
「IISS:J-20は大した事ない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-08
「映像と評価中国ステルス機J-20」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-30

中国軍作戦機の話題
「改良版J-31初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27
「ロシアからSu-35輸入開始か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10
「南シナ海で米中大型機が異常接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-12
「最新H-6爆撃機の演習映像」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-04-1

論文「A Balanced Strategy」
http://www.comw.org/qdr/fulltext/0901gates.pdf
https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2009-01-01/balanced-strategy

関連の記事
「Balanced Strategyを振り返る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
「戦闘機や艦艇に囚われている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09

「2016中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17

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米国も歓迎!?:中国軍のアフガン進出 [中国要人・軍事]

米国政府は中国軍の存在を認知しつつも、多くを語らず・・
長期的に撤退を模索する米国の空白を狙う中国?

Afgan.jpg2日付MilitaryTimesが、中国軍がアフガンとの国境付近のアフガン内で国境警戒活動を始めている模様だが、米国はその動きを把握していながら黙認又は態度がはっきりとせず、ロシアやイランのアフガンでの活動を公に非難する姿勢と大きな差があると指摘しています。

また、中国がこの地域に関心を見せる背景について、「治安」と「経済」の両面から複数の専門家の見方を紹介しつつ、米国が手を引きたい思いを抱えていることも踏まえつつ、今後の動向を考察しています

言うまでもなく中国と米国は、南シナ海問題を巡り対立関係にアリ、通商分野でもトランプ政権が中国の自国優遇策を非難するなど、色々と対立点を抱えていますが、アフガンに関しては「もしかして暗黙の了解」で進むのかも知れません

2日付MilitaryTimes記事によれば
最近、中国軍とアフガン政府軍が、約50マイルの両国国境沿いで、共同の対テロパトロール活動を行っているのではとの噂や報道が相次いでいる。そしてこれらの報道等は、米国やNATOがアフガンを去った後に、中国がアフガンで野心を持っているのではとの憶測に油を注いでいる
EQ 2050 afgn.jpg中国とアフガンは、タリバンが勢力を盛り返していることを受け、2015年に協力強化に合意し、アフガン国境警察の訓練や警備車両・防弾チョッキ等の装備品提供を中国が行い、警察同士が共同国境警戒を行っているのみで、両国政府ともアフガン内での軍の共同パトロール(インドの報道)は否定している

インドの報道は中国製の装甲車がアフガン内を走行している写真を掲載し、最近ロイターも中国軍のアフガン内での活動を報じている
●また1月には中国メディアが、アフガン内で敵襲を受けた米軍特殊部隊を、中国軍が救出したとの記事を報じた。米国関係者はあり得ない救出劇だと否定したが、米国防省報道官は「中国軍がそこにいることは承知している」と答え、それ以上の言及は避けた

なぜ中国はアフガンに関心を?「治安」と「経済」
Gady afgn.jpg●東西研究所のFranz-Stefan Gady上席研究員は、中国は、1949年からウイグル族の独立を目指す過激派「東トルキスタン・イスラム運動」の撲滅を狙っており、アフガン国境付近で長年活動する同活動運動家を追撃していると見ている
●米国も2002年に同組織を「テロ組織」に指定しているが、同組織はISILへの支援から、中国内での活動強化を最近打ち出したところである

米国やNATO諸国は、最盛期には約13万人をアフガンに派遣していたが、現在はアフガン軍の訓練育成やテロ組織指導者の排除作戦などに1.5万人が存在するのみである
●在アフガン米軍司令官のJohn Nicholson陸軍大将は、西側部隊の減少に伴い悪化傾向にある治安情勢を踏まえ、兵力増強の可能性に言及しているが、長期的には撤退が目標である

Sung-Yoon Lee.jpg中国は繰り返し西側の関与削減への懸念を表明しており、国境付近の治安安定が中国の一番の関心事項だとフレッチャースクールのSung-Yoon Lee教授は説明し、「西側の関与削減に伴い、中国がパキスタンと協力してアフガン国内で治安維持を行う事は、中国の国益にかなっている」「中国が西方の不安定な隣国に軍事力を用いないはずがない」と述べている

●また、中国はアフガン内の豊富な天然資源や鉱物資源を求め、中央アジア市場へのアクセスとしてもアフガンの安定に関心を持っている。そして中国が打ち出した「一路一帯」構想で、中国とユーラシアを結ぶ重要な位置付けにアフガンはある
中国は地域の安定に関与せず、経済的利益だけを狙う「free rider」と見られており、西側の撤退に伴い生起する「空白」への中国の進出は、いつもの事とも言える

難しい立場に立たされる米国
Trump tel.jpg米国は難しい立場に立たされている南シナ海での中国の活動にいらだちを見せる一方で、中国が疲弊したアフガンに関与してくれることは米国にとって有り難いことだ。
●主張すべきは対立しても主張するが、協力できると事では協力するのが米国のスタンスであり、「安定したアフガンは、米中両国にとって国益にかなっている」「ある程度の中国のアフガンへの関与は、米国も理解しているに違いない」とGady上席研究員はコメントしている

●ただし同研究員は、少なくとも短期的には、また米国やNATO諸国が相当数アフガンに存在する間は、中国軍がアフガン内部に深く進出するとは考えにくいし、中国軍の規模も小さく戦力的にも大したことない程度が当面続くだろうと述べている
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トランプ大統領がアフガニスタンに関心があるとは到底思えず、インドやパキスタンの関係、中国とウイグル自治区との関係、中央アジア諸国の動向にも興味があるとは言えないでしょう

USCC4.jpgマティス国防長官やマクマスター安全保障担当補佐官が、アフガンの「底が抜ける」事を危惧し、アフガンへの小規模な増派はあり得るとしても、絆創膏を当てる程度の処置しか西側諸国にはとれないでしょう

そんな背景から、上記記事では中国がアフガンの安定に寄与することを期待していますが、中国が関与して安定した国があったでしょうか??? ロシアとイランと中国が組んだりして・・・怖ろしや・・

中東・アフガン関連
「ビンラディンの息子がブラックリストに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-07
「オバマが対テロ7原則確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-07
「中東に米空母なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-30
「軽攻撃機のデモ確認を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-21

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CSISが西沙諸島の中国軍施設レポート [中国要人・軍事]

CSIS:中国の南シナ海最前線基地である西沙諸島に注目せよ!

Paracel Pic.jpg8日、シンクタンクCSISの南シナ海問題等を分析するチーム「Asia Maritime Transparency Initiative」が、南シナ海で最も中国軍施設の不法整備が進んでいる「西沙諸島:Paracel Islands」の状況をまとめたレポートを発表した模様です

西沙諸島は、従来の中国軍南シナ海最前線基地だった海南島から更に南に200nm下がった位置にあり、南シナ海活動を今後支えていく最前線基地の位置づけと解釈されており、南沙諸島等の開発の前線基地としての位置づけでも注目されています。

特に著名なのは、戦闘機が利用可能な滑走路や塩害対策の整った格納庫が完備され、地対空ミサイル部隊の展開も確認されてる「Woody Island:永興島」ですが、その周辺の西沙諸島を構成する島々にも、ヘリポート、大小の港湾施設、軍事拠点等が整備されている様子がレポートから伺えます

CSISの関連webページ
「Asia Maritime Transparency Initiative」
https://amti.csis.org/paracels-beijings-other-buildup/

Paracels CSIS2.jpg掻い摘んで内容をご紹介・・・
1974年に当時の南ベトナムが弱体化した隙に中国の西沙諸島進出が始まり、現在は同諸島の島々に約20カ所の軍事拠点を中国軍は設置している

5つの島にヘリポートで、特にDuncan Islandには本格的なヘリ施設が整備されている。他のTriton, Money and Pattle islandsには、中心となるWoodyとの連絡用のヘリポートに見える。Duncan Islandはその本格的なヘリ施設から、地域の対潜水艦作戦で重要な役割を果たす可能性がある
比較的大きな規模の港湾施設がPalm、Duncan islandsとTree Islandで整備が進み、他の島には小規模な港がここ数年で整備されている。これら島々では、これら港湾施設を利用して更なる施設整備が進む事が伺える

1990年代から軍事施設の構築が始まった中核となるWoody Islandでは、4つの大型格納庫、16個の小型格納庫を備える航空基地が衛星写真で確認でき、小型格納庫は塩害対策のエアコン完備と分析されている
●Woody Islandの港湾施設には、2つのシェルターが確認できるが、更に施設の近代化が進んでいることが確認できる。この施設には対空ミサイルHQ-9や対艦巡航ミサイルの展開が確認されている
Woody CSIS.jpg










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南シナ海が大変だ・・・と言いつつ、放置プレーしていましたのでCSISのレポートを契機にご紹介いたしました。
南沙諸島についてもフォローできれば良かったのですが、それはまたの機会に・・・

Woody Island3.jpg中国は世界から何を言われようが、、しっかり、着実に、淡々と、南シナ海の軍事拠点化を進めているということです。
日本もこの点は中国を見習い、世界から何と言われようと、中国や韓国が騒ぎ立てようと、粛々と我が道を進みたいものです。

まぁ、中国や韓国の代理人のような日本の「マスゴミ」を無視することも忘れないようにしつつ・・・

西沙諸島の関連記事
「塩害対策が鍵か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-10
「西沙諸島に中国戦闘機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1

CSISの関連webページ
「Asia Maritime Transparency」
https://amti.csis.org/paracels-beijings-other-buildup/

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南シナ海上空で米中の大型軍機が異常接近 [中国要人・軍事]

8日に米軍P-2と中国軍KJ-200が南シナ海で異常接近
9日に米中首脳電話会談で「1つの中国」政策の維持で合意

KJ-200 PLAN.jpg8日、南シナ海における中国の埋め立てで最も緊張感が高まっている「スカボロー礁」近傍の公海上空で、定期哨戒飛行中の米海軍P-3哨戒機と中国海軍所属と推定されるKJ-200早期警戒機の間で、「不安全な接近」が発生したと太平洋軍報道官が9日に明らかにしました

中国軍は空軍もKJ-200早期警戒機を保有していますが、南シナ海に近い海南島に中国海軍が同型機をローテーション配備していることから、恐らくこの海南島に展開中の中国海軍KJ-200が本件に関与した可能性が高いと見られます

具体的に、どのような経路でどのように接近に至ったか、接近時の両軍機の位置関係など細部は明らかにされていませんが、「米海軍機は国際法に則り飛行していた」「1000フィート以内(約300m)に接近した」「米国防省と米太平洋軍は常に中国軍との不安全な接触を懸念している」と同報道官は語ったようです

P-3C Navy.jpgソースは不明ですが、「米軍P-3は空中衝突を避けるため飛行コースの変更を余儀なくされた」との報道がある一方で、中国軍機が早期警戒機KJ-200であることからP-3を意図的に要撃したとは考えにくいことから、「inadvertent:不注意」による接近と表現するソースもあるようです

断定的な事は言えませんが、南シナ海の空でも中国軍の哨戒・警戒活動が日常的に行われていること、中国の情報収集機や早期警戒機にも危険なエスカレーションを招く行動の可能性があることを肝に銘じておきましょう

9日に米中首脳電話会談
(安倍総理との首脳会談の数時間前に)
●9日ホワイトハウスは、トランプ大統領が就任後初めて中国の習近平国家主席と電話会談し、中台がともに一つの中国に属するという「1つの中国」政策の維持で合意したことを明らかにした
●ホワイトハウスの声明によると、両首脳は日米首脳会談の数時間前、ワシントン時間9日夜に電話で長時間にわたって会話し、さまざまな問題について意見を交換した

China-US Pre.jpg●更に声明では、「トランプ大統領は、習主席の求めに応じ、われわれの『1つの中国』政策を維持することに同意した。米中首脳は、相互利益にかかわるさまざまな問題について、対話と交渉を行っていく」と説明
●そして「相互に訪問を招待し合った。大きな成功を収めた会談を受け、トランプ大統領と習主席は再会談を楽しみにしている」と、極めてなごやかに行われたと発表された

中国国営テレビで読み上げられた声明によると、習主席はトランプ大統領の「1つの中国」政策支持に中国は感謝すると述べ、「米国と中国は協力的なパートナーであり、共同の取り組みを通じ、2国間関係を歴史的な新たな高み押し上げることができると信じている」と語った模様
●習主席は「中国と米国の発展は互いを全面的に補完し、共に前進することができる」とし、「両国は非常に良いパートナーとなることが可能だ」と述べ、中国が米国との間で、貿易、投資、テクノロジー、エネルギー、インフラの面で連携を図り、世界平和と安定を共に守るため国際的な分野で協調を深めることを望むと主席が語った模様
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台湾総統と電話会談し、「1つの中国」政策に疑問を呈するようなツイートを行ったはつい最近でしたが、あっという間に「手打ち」となりました。

Trump tel.jpg日米首脳会談の数時間前とのサプライズ効果もたっぷりで、安倍首相との共同会見の「穏当ぶり」に「ほっこり」しつつも、何となく「どう頭を整理して良いのか???」と「?」が頭に残る週末でした。

米軍P-3と中国KJ-200の接近について、中国側の反応が何もないようですが、米中首脳電話会談を受け、どのような姿勢で本事案を表現するのか注目です

まさか、米軍報道官が些細な事案を技と取り上げことさらに取り上げ、中国側の出方を探っているのでは・・・

米国防省の「中国の軍事力」レポート
「2016年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

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中国がロシアからSu-35受領開始!? [中国要人・軍事]

Su-35.jpg中国国営の英字紙が、昨年12月末に4機のSu-35をロシアから受領したと報じた模様です。具体的に中国のどの基地に到着したのか、どのように輸送されたのか、今後の予定など細部に触れていないようですが、その長い航続距離を生かし、南シナ海や日本周辺で活用されると見方が一般的なようです

ロシアは、数年前に最新型の多用途戦闘機であるSu-35を既に極東に配備しており、従来のSu-27戦闘機の約1.5倍の行動半径から日本周辺での活動に注目が集まっているところです
中国とロシアは、5年間に及ぶ紆余曲折の交渉を経て、2015年11月に24機のSu-35を約2300億円で売却する契約を結んでおり、報道が確かであれば、その最初の4機が到着したことになります

中露間ですんなり戦闘機売却交渉が進まなかったのは、極東ロシアへの中国の勢力拡大を懸念することもありますが、中国がロシアからの輸入装備を無断でコピー製造する悪質な前科者で、過去にもSu-27を無断コピーしたと言われる中国製J-11Bが問題となっているからです

9日付Defense-News記事によれば
Su-35 2.jpg●航空機の移動をライブで公開しているwebサイト「Flightradar24」によれば、ロシアのIl-76大型輸送機がチャーターされ、昨年12月25日にSu-35の工場があるコムソモリスクを離陸し、中国空軍の試験実施基地である「Cangzhou-Cangxian」を経由した後、南シナ海に最も近い空軍基地「Suixi」に到着している
●このIl-76輸送機がSu-35と関係があるかは不明確だが、Su-35を伴っていたり、関連装備や部品を輸送していた可能性がある。なお中国軍はSu-35に関し、公式発表や写真を公開していない

●専門家は中国がSu-35を購入した理由の一つを、同機に搭載されている「Saturn AL-41F1S (117S)」ターボファンエンジンを入手して確認し、また同機の高い機動性を生む「thrust-vectoring技術」を学ぶためだと見ている
中国はここ数年間、国産の戦闘機エンジン開発に取り組んできたが、技術的課題をクリアーできない状態にあり、中国製最新戦闘機のJ-20ステルス機、J-10戦闘機、J-15艦載機も、全てロシア製Saturn AL-31エンジンを搭載している

●また同専門家は、ロシア輸送機が最後に立ち寄った中国の「Suixi空軍基地」にSu-35が配備されることになれば、現在のJ-11B戦闘機よりH-6K爆撃機の護衛をより広範囲で可能となり、また南シナ海上空でのCAP時間を増やすことが出来ると分析している
●なおJ-11Bは、ロシア製Su-27をコピーして中国製エンジンやアビオや兵器を搭載している
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Su-35 3.jpg中国に簡単にコピーさせないよう、ロシアも何か考えているでしょうから、パンダと熊のだましあいに入るのでしょう・・・。
今後の中露関係を見る一つの試金石となるSu-35取引ですが、今後のロシア企業からの「アフターサービス」にも注目です

例えばインドは、国産空母用にロシア製空母艦載機Mig-29Kを45機購入しましたが、購入したエンジンの62%にあたる40台のエンジンがトラブルや設計上の不具合で使用不能の状態にあり、インド会計検査院が「過去25年間に渡り、ロシア軍需産業の劣悪な品質管理やサポート態勢が大きな問題となっている」と指摘している惨状です

東シナ海にSu-35が現れたら、日本の戦闘機命派は大騒ぎするのでしょうが、良く全体を見て能力を見極める必要がありましょう

「インドがロシア製兵器を酷評」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11-1

中露のSu-35輸出交渉
「紆余曲折で契約成立」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-20
「Su-35輸出契約は成立するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-20

南シナ海と中国戦闘機
「西沙諸島に中国戦闘機展開?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1
「南シナ海は塩害対処が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-10

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映像:中国軍H-6K最新爆撃機の演習風景 [中国要人・軍事]

H-6K.jpg正月2日、Military.comに「H-6Kの実弾投下訓練」と題する動画が投稿され、戦闘機に援護されながら低空で目標に接近し、海上の目標に爆弾を投下する様子を約3分の動画で紹介しています。

過去の様々の映像を組み合わせた感も漂っていますが、画面上のクレジットからすると、中国のテレビ局か映像制作会社が製作した映像のようです。なぜこのタイミングでこの映像が出たのかは、想像をたくましくする必要がありそうです

映像の中でH-6Kが投下するのは、防空ミサイルから自己防御するチャフと海上目標に対する自由落下爆弾のようで興味津々のグアム島などの攻撃用射程2500kmの巡航ミサイルCJ-10A(長剣-10)や、射程1500kmのDH-10の発射風景は納められていません

まぁ・・古式騒然とした感じの操縦席の風景や、戦闘機と海上を低空を侵攻する模様が沢山含まれていますので、詳しい方はじっくり吟味して下さい

映像:H-6Kの実弾投下訓練



なお、H-6K(戦神)はH-6爆撃機シリーズの最新型で、2007年に初飛行し、現在も生産が継続している型です。主な特徴は・・・

H-6K-3.jpg長剣-10(CJ-10A)巡航ミサイル(射程2,500km)搭載型翼下に6発のDH-10 巡航ミサイルの搭載が可能
●エンジンを中国ライセンス生産版 (WP-8)ターボジェットエンジンから、ロシア製のソロヴィヨーフ D-30KP2ターボファンエンジンに換装し、航続距離が延伸

●更に、ペイロードが約9トンから12トンに増え、主翼下のミサイル用パイロンが4カ所から6カ所へ増加
●操縦装置の近代化で、乗員が5名から4名に減らされた。衛星通信も可能に

最近の中国軍機開発
「改良版J-31初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27
「改良版J-20エアショーで飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
「中国軍が次世代の爆撃機計画?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-07

米国防省の年次レポートに学ぶ
「2016中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

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輸出用の中国製ステルス機J-31改良型初飛行 [中国要人・軍事]

「廉価版F-35」がキャッチフレーズか

J-31 2nd.jpg26日付中国英字紙China Dailyが中国国有航空機メーカー関係者の話として、中国が最新の第5世代ステルス戦闘機として位置づける「J-31:殲(せん)31」の改良型試作機が、遼寧省瀋陽で初のテスト飛行を23日実施したと報じました

J-31は、2017年にも中国空軍に配備される見通しのステルス戦闘機「J-20」とは異なり、航空機メーカー主導(Shenyang Aircraft Corp,:AVIC:Aviation Industry Corp of China傘下企業)で開発され海外輸出用だと言われる一方で、J-20よりも機体が小さいことから、将来中国空母の艦載機として採用されるとの観測もあります

J-31の旧型機は、2014年に広東省珠海市で開かれた航空ショーで、黒煙を吐きながら飛行する様子が話題を呼んだところ、今回のテスト飛行に先立ち香港メディアは、改良型はエンジンがロシア製から国産に変更されたと報じていました。

26日付China Dailyによれば
J-31 2nd2.jpg●匿名を希望したAVICの広報幹部は初飛行の事実を認めたが、細部は公表できないと語った。AVICの資料によれば、J-31は、行動半径1250kmで最大速度Mac1.8、兵器搭載量は8トン、内部兵器庫に6発と翼下に6発のミサイル搭載可能
●双発でステルス性を備えたJ-31だが、2012年に初飛行を行った旧型試作機と比べ、新型機はステルス性能や武器搭載量などが改良された。23日朝に瀋陽で行われた改良型の初飛行では、機体や翼の形状も変更され、より軽量となり操作性が増したとみられる。

●北京の航空産業専門家Wu Peixin氏は、初期型J-31と比較し、胴体、翼、垂直尾翼がより細く、軽量で機動性を高めるよう変更されていると語った。
●中国空軍の航空専門家Fu Qianshao氏は、改良型が最新の光電目標照準システムやHMDシステムを備えていると解説している

●中国空軍の航空専門家Fu Qianshao氏は、J-31の価格を7千万ドル(約82億円)前後と推測し、「F-35の半額程度で第5世代戦闘機が購入できる」と指摘。また欧州企業の第4世代機タイフーンやラファールも1機115億円以上すると語り、J-31には明るい未来が待っていると自信を見せていた
J-31 2nd4.jpg●更に製造元AVICのLi Yuhai副社長幹部はかつて、J-31により「一部の国家」による第5代戦闘機の市場独占を打破できると主張していた。

●なお、F-35は米国の同盟国以外が購入するのは困難で、パキスタンなどがJ-31購入に関心を示しているとされる
●また、2015年11月にドバイで開催された第14回ドバイ航空ショーに、AVICはJ-31の大型模型を展示してアピールしていた
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同じ中国製ステルス機J-20が初公開された際の記事「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02)より、コメント部分を再度掲載致します。
戦闘機命派の皆様は、年末年始にじっくり考えて頂きたいと思います

J-20-1.jpg米国防省が毎年発表する「中国の軍事力」レポートは、中国が高列度の短期戦で地域での紛争に勝利する事を目指しており、そのため弾道・巡航ミサイルで作戦基盤を緒戦で叩き、サイバー戦や宇宙戦や電子戦で米軍が依存するネットワークを寸断麻痺させる事を目指し、着実に力を蓄えていると毎年記述している。
●「中国の軍事力」レポートに限らず、米国の主要シンクタンクもこの様な視点で中国の軍事脅威を捉えており、最近米空軍が取り組んでいる「2030年代の制空検討」においても、速度や機動性と言った空中戦能力よりも、遠方からの活動を意識した航続距離を重視する方向性が示唆されている

●中国空軍が「J-20」に何を期待しているのか定かではないが、日本の戦闘機命派が期待しているような空中戦能力を追求しているとは考えにくく、高価値航空目標攻撃や突破型戦闘爆撃機的な役割を狙っていると考えるのが自然だろう
今後この「J-20」をどのように日本の戦闘機命派が評価するかは、彼らの脅威認識の「リトマス試験紙」となり得る。

J-31関連の記事
「ドバイ航空ショーに登場」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-09
「J-31表面に異常な凹凸」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-06-1
「F-35に対抗?J-31珠海登場」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-11

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大局を見誤るな:J-20初公開に思う [中国要人・軍事]

J-20 Zhuhai.jpg1日、広東省珠海で開幕した「第11回中国国際航空宇宙博覧会」で、中国空軍のステルス戦闘機?「J-20:殲-20」が初めての一般公開飛行を行いました。

改良を重ねつつ、試作機が5番機か6番機まで製造されていると言われていますが各種報道から初飛行の様子を振り返ります

そしてこれを契機に改めて、ゲーツ国防長官(当時)の言葉、「米国に敵対しようとする国は、戦闘機VS戦闘機、艦艇VS艦艇などの通常兵器競争を米国に仕掛けて、破産する道を選ぶだろうか?」との言葉に思いを致し、「J-20騒ぎ」で悪のりするであろう戦闘機命派を嘆き、日本への脅威の本質である弾道・巡航ミサイルやサイバー・宇宙・電子戦の脅威を訴えておきたいと思います

各種報道より「J-20」初披露の様子
J-20 Zhuhai3.jpg公開飛行は、同博覧会の開幕式直後に行われた。2機の「J-20」が会場上空に姿を現し、1機はすぐに飛び去り、残りの1機は旋回して再度、会場の前を低空飛行で通りすぎ、急上昇して上空に消えた僅か約1分間の初お披露目だった
●「J-20」は四川省で開発が進められ、2011年1月に初の試験飛行を行った。米軍のステルス機F-22やF-35に似た形状や装備が外観上の特徴から、米軍機(サイバー戦で情報入手)を模倣してしているのでは、との見方が絶えない

低空で飛行しなかったにもかかわらず、飛行時の騒音が著しく激しかったと伝えられているが、以前の試験飛行より想像以上に「operational」だったとの印象を持つ者も居た。
●「weapon bays」も閉じたままだったが、モックアップにあった「EOTSのようなunder-nose pod」が確認された

胴体下には、F-22やF-35が装備するような「レーダー反射面積増幅器」を装着し、観客がRCSを測定することを防止していた
J-20以外では、専門家が南シナ海の埋め立て島への物資補給用ではないかと分析している新しい大型のAG600 flying boatが展示されている。中国側は、同機を捜索救難と消防用だと主張している

大局を見誤るな:J-20初公開に思う
J-20 Zhuhai2.jpg●ゲーツ国防長官(当時)の言葉、「米国に敵対しようとする国は、戦闘機VS戦闘機、艦艇VS艦艇などの通常兵器競争を米国に仕掛けて、破産する道を選ぶだろうか?」の意味を再度考えてみたい。この言葉は2009年のフォーリン・アフェアーズ誌に掲載された論文「A Balanced Strategy」で使用され、その後も多少表現を変えつつも、繰り返しゲーツ長官が訴えていた言葉である

●別の場でゲーツ氏はこの言葉を説明するように2011年当時、「中国のステルス機はゼロだが、米軍は200機以上保有している(現在はF-35運用開始を踏まえ、ゼロ対300機とも言える)。また海軍艦艇の総トン数は、世界1が米軍だが、世界2位から14位まで合計してやっと米軍と同規模となる。
●しかも「世界2位から14位のうち、2ヶ国以外は全て米国の同盟国か友好国だ」、更に「米海軍が保有する艦艇搭載の精密誘導兵器の数量は、世界2位から14位の合計の2倍以上だ」と述べ、中国の立場になれば、通常兵器で米国と正面から戦おうなどとは考えないだろうと喝破した

●ゲーツ氏のようにズケズケとものを言う幹部は今はいないが、米国防省が毎年発表する「中国の軍事力」レポートは、中国が高列度の短期戦で地域での紛争に勝利する事を目指しており、そのため弾道・巡航ミサイルで作戦基盤を緒戦で叩き、サイバー戦や宇宙戦や電子戦で米軍が依存するネットワークを寸断麻痺させる事を目指し、着実に力を蓄えていると毎年記述している。
●「中国の軍事力」レポートに限らず、米国の主要シンクタンクもこの様な視点で中国の軍事脅威を捉えており、最近米空軍が取り組んでいる「2030年代の制空検討」においても、速度や機動性と言った空中戦能力よりも、遠方からの活動を意識した航続距離を重視する方向性が示唆されている

J-20 Zhuhai4.jpg中国空軍が「J-20」に何を期待しているのか定かではないが、日本の戦闘機命派が期待しているような空中戦能力を追求しているとは考えにくく、高価値航空目標攻撃や突破型戦闘爆撃機的な役割を狙っていると考えるのが自然だろう
●今後この「J-20」をどのように日本の戦闘機命派が評価するかは、彼らの脅威認識の「リトマス試験紙」となり得る。
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補足することはありません
末尾にご紹介した「ロバート・ゲーツ語録100選」がオススメです! 安全保障感覚の「体幹強化」にどうぞ!

論文「A Balanced Strategy」
http://www.comw.org/qdr/fulltext/0901gates.pdf
https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2009-01-01/balanced-strategy

関連の記事
「Balanced Strategyを振り返る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
「戦闘機や艦艇に囚われている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09

「2016中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

「大幅改良J-20が初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-20
「IISS:J-20は大した事ない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-08
「映像と評価中国ステルス機J-20」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-30

ロバート・ゲーツ語録100選
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

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