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中国空軍が次世代の長距離爆撃機を開発!? [中国要人・軍事]

Ma Xiaotian3.jpg1日、中国空軍のMa Xiaotian(馬騎天)参謀総長が、同空軍大学で行われた中国空軍記念行事で挨拶し、その中で細部には言及しなかったものの、「次世代の長距離爆撃機を開発中であり、将来披露する」と語った模様です。中国国営の環球時報(Global Times)が報じた模様です

中国軍の大型爆撃機と言えば、旧ソ連製のTu-16(バジャー)を改良国産化した旧式のH-6シリーズ(中距離爆撃機か?)ですが、最新のH-6K型は改造により、最新鋭のレーダー、より強力なエンジン、更に機体に複合材料を大量に採用して軽量化を図った結果、その作戦範囲が一気に3000㎞に延伸しました

またH-6K型は、最大で6本の巡航ミサイルを搭載可能となっており、現在中国が約60機保有するH-6シリーズを全部K型に改造・改良すれば、米空軍B-52のような役割を担い、グアム島を含む第2列島線ラインまでを攻撃範囲とする爆撃機となるのでは・・・と見られていたところです

環球時報は「now developing a new generation of long-range bomber」と報じたようですので、H-6シリーズの延長では無い、新しい長距離爆撃機と考えてあれこれ想像してみたいと思います

どんなタイプの機体?
china H-6.jpg●以下の過去記事「イメージ映像:中国軍島嶼占領」でご紹介した中国で流布されている中国メディア映像では、対地巡航ミサイルを発射するのはH-6Kである。ステルス大型機を開発しているとの噂は「皆無」であり、いきなりサプライズがあるとは考えにくい
●中国が開発中と言われるやや大型の戦闘爆撃機タイプのJ-20ステルス戦闘機は、さすがに「長距離爆撃機」の原形とは考えにくい

「イメージ映像:中国軍島嶼占領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「大幅改良J-20が初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-20
「2016年版中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15

どんな兵器をどのように?
●中国軍は空対地巡航ミサイルとして、「YJ-63」空対地巡航ミサイル(射程200km)、「DH-10」地対地巡航ミサイル(射程1,500km)の空中発射版「CJ-10」を保有しており、H-6K型は6発搭載可能である
●また、いくつかの中国国内の情報によると、H-6Kに搭載できる核弾頭搭載LACM「CJ-20」も開発中らしい

YJ-18 2.jpg空中発射型ではないが、対処が極めて困難な飛翔パターンの最新艦対艦ミサイル「YJ-18」(射程500km)を米国は警戒しており、これが空中発射型に改良されると悩ましい
見通し外の目標照準情報入手が中国の弱点とされており、中国も多様なレーダーや衛星を活用したTargettingに取り組んでいる

「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30
「空母監視衛星打ち上げへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-10
「仰天:DF-26も空母キラー?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04
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Ma Xiaotian2.jpg中国の空軍トップとすれば「新型の長距離爆撃機が欲しい」のでしょうが、ステルス機でないと仮定するならば、よほど中国A2AD網に自信があり、非ステルス機の大型長距離爆撃機を運用する環境確保に自信が無いと言えない発言でしょう

もちろん、中国は14ヶ国と国境で接しており、長距離巡航ミサイル装備の爆撃機の活躍の場は多く残されていますが、太平洋側での作戦ではある程度は活躍の場が制約されるでしょう
ただし、日本のように戦闘機ばっかりに投資していると、中国の弾道・巡航ミサイルの初度攻撃やサイバー&宇宙&電子戦で無力化され、中国の非ステルス大型長距離爆撃機にも安々と攻撃されることになります

少しは第一列島線上に、「骨のある」「残存性の高い」「粘り強く抑止力を発揮できる」日本版A2AD網構築を考える方向で、真剣に米国防省や米軍と議論する必要があります。
さもなければ米国の政治屋や産軍複合体の「お金命派」に日本の国防を牛耳られることになりかねません・・・。

日本は脅威の変化の最前線であり、日本が考えなければ誰も真剣に考えてくれないことをもう一度肝に銘じて、惰性でない国防議論をしたいものです

色々考えよう日本の国防政策
「ヨシハラ教授:日本版A2ADを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-18
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「森本元防衛大臣の防衛構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-05

関連の記事
「空母監視衛星打ち上げへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-10
「イメージ映像:中国軍島嶼占領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「仰天:DF-26も空母キラー?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04
「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30

「2016年版中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「10分野で米軍と中国軍を比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18
「大幅改良J-20が初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-20
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尖閣や列島線防衛に新型の地対艦ミサイル開発へ [中国要人・軍事]

Senkaku-SSM.jpg14日付読売新聞朝刊が1面の準トップ扱いで、「尖閣防衛 ミサイル開発 2023年度目標 宮古島など配備」との見出しで記事を掲載し、政府が防衛省の2017年度予算概算要求に開発費を盛り込む方針を固めたと報じました

現有の地対艦ミサイルの射程距離では宮古島等から尖閣諸島をカバーが不可能ですが、射程を300km程度の新型ミサイル導入でこれを可能にし脆弱性が指摘される艦艇や航空機に代わる、または補完する戦力として、尖閣等の離島防衛力を向上しようとの狙いです

末尾でまとめて過去記事を列挙しますが、敵攻撃に対する残存性が高い地上部隊の火力に、「第一列島線」防衛を期待する声が日に日に高まっており、当初は研究者の主張だったものが、今や米軍の前線司令官クラスにもその様な考え方が広まっています

野党や諸外国の反応を伺う「様子伺い事前リーク」の様な気がする記事ですが、陸上自衛隊の定員を削減してでも、戦闘機部隊への投資を削ってでも、本事業は推進して頂きたいと思います

14日付読売新聞朝刊が1面記事によれば
政府は、沖縄県・尖閣諸島などの離島防衛を強化するため、新型の地対艦ミサイルを開発する方針を固めた。射程300kmを想定している。
宮古島など先島諸島の主要な島に配備する方針で、尖閣諸島の領海までを射程に入れる。2017年度予算の防衛省の概算要求に開発費を盛り込み、2023年度頃の配備を目指す。中国は尖閣周辺での挑発行動を繰り返しており、長距離攻撃能力の強化で抑止力を高める狙いがある。

12siki-SSM.jpg●開発するのは、輸送や移動が容易な車両搭載型ミサイル。GPS等を利用した誘導装置を搭載し、離島周辺に展開する他国軍艦などを近隣の島から攻撃する能力を持たせる。2013年に閣議決定した防衛計画の大綱(防衛大綱)では、離島防衛強化が打ち出されており、開発はこの一環。
尖閣諸島は、陸自部隊が配備されル予定の石垣島と宮古島から約170km、2016年度に部隊配備が始まった与那国島から約150kmある。しかし現在陸自が保有する「12式地対艦誘導弾」の射程は百数十kmしかなく、これらの島に配備しても尖閣を射程内に収めることが出来ない

仮に射程300kmの新型ミサイルが配備されれば、尖閣諸島周辺に接近する他国軍艦を阻止する能力を備え、抑止力は飛躍的に向上する。
●離島が占拠された場合にも、従来は艦艇からの短射程砲により射撃や航空機による爆撃といった危険性が高い手段が作戦の柱だったが、新しい地対艦ミサイルであれば、近隣の島から支援が可能になる
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ただこの新型ミサイルも、敵の位置情報がリアルタイムで入手出来ないと機能しないので、ISR能力の向上と敵情のリアルタイム共有システムの構築が不可欠になります。
記事はこの点に何も触れていませんが、中国のA2AD網下でも機能するISR網の構築と維持は、極めて重要で困難な課題です。

maritime militia.jpgISRやネットワーク整備もまた、陸上自衛隊の定員を削減してでも、戦闘機部隊への投資を削ってでも、重視推進して頂きたい分野です

「マスゴミ」の皆様には、専守防衛だからどうだとか、近隣諸国の反応がどうだとかとの視点でなく、軍事や安全保障の本質的な視点から本件を扱って欲しいものです。
ついでに党首選挙を行う民進党にも、反対のための反対でない姿勢で本件に対応して欲しいものです。関係ないか・・・

西側版A2ADミサイル等を求める意見
「ハリス司令官が陸軍砲兵に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「陸軍トップがミサイル重視検討発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-17

「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「中澤大佐の論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10
「森本元防衛大臣の防衛構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-05

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RIMPACで中国が日本に嫌がらせ! [中国要人・軍事]

RIMPAC-China.jpg25日付米海軍協会web記事は、6月末から8月4日までハワイ周辺海域を中心に行われている環太平洋海洋軍事演習RIMPACでの参加国間の交流行事で、中国艦艇が海上自衛隊参加者の乗艦を拒否し、その後の米海軍幹部の取りなしで渋々艦艇レセプションへの日本人乗艦を認めたと紹介しています

米海軍も細部には言及を避けているようで不明な点も多いのですが、前回2014年RIMPACに初参加した際、料理持ち寄りパーティーに手ぶらでしかも大人数で現れ、他の参加国が持参した料理や飲み物を食い散らかしたと悪名高い中国海軍部隊であり、その「無礼で心の狭い振る舞いの伝統」は受け継がれているようです

記事は一方で海上での演習活動に関し、25日時点で中国海軍参加艦艇に特段の問題は無いとの米海軍関係者発言を紹介しています

冒頭の写真のように、メディア受けする写真(人文字でハート)を公開する悪知恵が付く一方で、つまらない嫌がらせが止まない中国軍ですが、このレベルの艦長の判断は、幼き頃からTVや学校で教わった「抗日精神」の具現化と見るべきでしょうか・・・。本国の指示があったのかは不明です・・

25日付米海軍協会web記事によれば
RIMPAC China2.jpg複数の情報筋によれば、本格的な演習行動が開始される前に実施された参加国間の艦艇相互訪問や交流レセプションで、中国海軍参加者は海上自衛隊が2日に開催した艦上レセプションへの参加を拒否し、併せて中国艦艇は海上自衛隊参加者の中国艦艇乗艦を拒否した
●この事案との直接の関係について米海軍報道官は触れなかったが、5日のRIMPAC公式開始式スピーチで、米太平洋艦隊司令官Scott Swift大将と米第3艦隊司令官Nora Tyson中将は、全ての参加国に対し、RIMPACの演習目的達成は、全ての参加国が他の参加国を受け入れることで達成されると強調した

その後、中国艦艇でのレセプションに海上自衛隊関係者を渋々招待したようだが、「RIMPAC open house day」では複数の海上自衛隊隊員が中国艦艇見学ツアーへの参加を拒否されている
●一方で過去の同演習参加者は、日本と韓国のような地域のライバル関係にある国でも、演習の交流行事では対立を脇に置いて相応しい行動を取っていると語っている

演習行動では中国に問題は無いようだが・・
RIMPAC China3.jpg米海軍関係者は交流行事での日中問題について言及は避けているが、ある海軍士官は25日、海上での演習に関し、中国参加部隊に問題は無いと語っている
中国海軍艦艇と訓練した沿岸戦闘艦LCS「USS Coronado」の艦長は、演習後に第7艦隊に配属されることを踏まえ、「米中相互にとって生産的な訓練だった。中国側がどのように行動するのかを少しは学ぶことができ、配属後に役立つヒントを得た。想像以上にパートナー関係のレベルは高かった」とコメントしている

●前の東アジア&アジア太平洋担当国防次官補代理であるMichael Fuchs氏は、「中国は不満を示すために、この様な乱暴で無礼な振る舞いを手段として用いてきた。日本は特にその対象になりやすい」とコメントしている
●米海軍大学のJames Holmes教授は、「米国が台湾武器輸出を発表したことで、以前から計画していた米空母の香港寄港が突然拒否されたり、カーター長官が南シナ海問題を空母ステニスで発言した途端、同空母の香港寄港が拒否されたり中国は米国の米中交流推進要望を逆に利用している」と批判的に見ている
●また同教授は「南シナ海情勢を考えれば、今後中国が米国との軍事交流を中止しなかったら驚きに値する。せいぜい、RIMPACだけは役に立つと考えているかも知れないが・・」と付け加えた
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この事案は些細な出来事ですが、日本の防衛省や首相官邸に報告されているのでしょうか? 小さな現場の出来事ですが、微妙な日中関係ですので、主要関係者は頭に入れて情勢分析の参考にすべきだと思います。

China-Leader.jpg報告されていたとしても、10日の参議院選挙直前の話ですので、先日の元空将織田氏の「中国軍機が尖閣周辺で自衛隊機に攻撃動作」投稿と同様に、無視されたのかも知れません。そして報道発表されることもなかったのかも・・・(少なくともまんぐーすは知りませんでした)

今は中国経済が大変で、それに伴う中国首相の追放・失脚へのカウントダウンが噂されるまでになっており、日本はじたばたせず、前線で粛々と対処しつつ出方を見守る姿勢で良いのかも知れませんが、最前線を死守する「防人:さきもり」のためにも、国民に正しい情報を提供すべきでしょう

関連の記事
「RIMPAC中国招待を巡るあれこれ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-29
「織田OB投稿と政府対応」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-29
「露の情報収集艦が出現」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-07

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中国版GPS:4年で全世界カバーで軍事利用も [中国要人・軍事]

対米念頭、軍事活用を加速

China-GPS.jpg20日付読売新聞は朝刊6面で、「中国版GPS、4年で全世界カバー:軍事活用も」との記事を掲載し、中国版GPSシステム「北斗」に関する初の白書を中国政府が発表し、2018年に巨大経済圏構想「一帯一路」の沿線や周辺国、2020年前後に全世界をカバーするGPS網を構築すると明らかにしたと報じています

同システムは2012年に中国大陸沿岸の西太平洋地域の限定範囲で運用を開始しましたが、次第にシステムを支える衛星の数を増やし、着実にサービス提供エリアを拡大しています

また、タイやパキスタンなど30か国以上に同システムを利用可能な商品を納入したとも発表し、さらなる拡大を狙っている模様です

20日付読売新聞の記事によれば
China-GPS2.jpg●中国による独自GPS開発は軍の統合運用に不可欠で、海洋進出を強める南・東シナ海などで対米国を念頭にした軍事活用を加速するとみられる。
●開発当局者によると、中国は1994年に「北斗」の開発に着手。現在、約5~10メートルの精度で位置情報を提供でき、主にアジア・太平洋地域の30か国以上がサービスを受けている。今後、約60か国が参加する「一帯一路」関係国に対象を広げ、計35基の測位衛星で全世界をカバーする計画だ。

●中国は2020年を目途に初の空母戦闘群の運用を検討中とされ、他国に依存しないGPS網の構築が不可欠である。今後、南および東シナ海での制空・制海権確保のほか、外洋展開の布石として、「真珠の首飾り」戦略を実施するインド洋でのシーレーン防衛などに積極活用するとみられる
●当局者は、現在4万隻以上の中国漁船が「北斗」システムを搭載済みで、位置情報の通知や携帯電話のネット接続が可能と発表。南シナ海などで中国の「主権」を誇示するための大量の漁船団組織などにも活用する可能性がある

16日付NHKのweb記事によれば
China-GPS3.jpg中国政府で「北斗」を管轄する部門の冉承其報道官は16日、記者会見し、「『北斗』はすでに中国の重要なお薦めブランドであり名刺でもある」と述べ、運用から3年余りがたち、パキスタンやタイなどすでに30か国以上にこのシステムを利用できる商品を納入したと発表

●また、冉報道官は「国防に役立っているはずだ」として中国軍でも利用が進んでいるという認識を示したほか、中国沿海部の漁船4万隻余りや、今年1月から3月に中国本土で出荷されたスマートフォンの30%余りで「北斗」を利用できるとしています。
●中国政府は2020年頃に、このサービスを全世界に提供するとしており、その実績を強調することで世界各国での一層の利用拡大を図りたいとの思惑があるものとみられます。


補足:鳥嶋真也さんの解説(2015年4月執筆)
2012年10月25日に16号機が打ち上げられ、中国は同年12月27日をもって、アジア・太平洋地域を対象にした航法サービス開始を宣言した。測位の精度は実験衛星よりも大きく向上し、民間向けで10m、軍向けには10cmの精度が出せるという。ただ後者は、もしくは前者も、おそらく地上に置かれた基準点など使って補正した際の値だと思われる
●16機の衛星は軌道配置に少し偏りがあり、中国上空を中心とした経度に偏っている。このことから、中国はいきなり全地球でのサーヴィス展開を狙っていたわけではなく、まず中国国内のみを対象にサーヴィス提供ができるようにし、次にその周辺のみを、という形で、堅実に構築を進めていく方針を採っていたことがわかる

China-GPS4.jpg●しかしこの後、北斗の打ち上げはしばらく行われなかった。だが2015年3月30日、全地球規模での展開に向け、第3世代機にあたる「北斗三号」の1号機、正式名称「北斗衛星17号」が打ち上げられた
●正確には分からないが、「北斗三号」の1号機への搭載機器の性能、特に原子時計の精度は向上している思われる。また、測位の精度については従来の最大10mから、2.5mにまで改善されることが報じられている。
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今後全世界をカバーするため衛星数を更に20基積み上げ、老朽衛星の更新も並行して継続できる資金力があるのか不明ですが、わざわざ「初の白書」を発表し、習近平が宇宙での戦いを制するよう関係者に「檄を飛ばした」とのうわさもあることから、決して過小評価はできないでしょう

2015年3月に「北斗三号」シリーズの打ち上げが始まってからの情報が、ネット上では良く分かりません。
ご存じの方がいらっしゃいましたら、教えてください

中国と宇宙関連の記事
「米中の宇宙戦を描く小説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-08
「米空母監視衛星打ち上げへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-10
「RAND:米中軍を10分野で比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18

宇宙関連の記事
「民間企業も交え大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-05
「宇宙改革法案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-13
「衛星小型化は相殺戦略でも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

「Space Fence試験レーダー完成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-29
「宇宙アセット防御予算8割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-01-1
「米空軍の宇宙姿勢を改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-19-1

「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「F-15から小型衛星発射試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-09
「米空軍のSpace Fenceを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-28
タグ:中国 GPS 北斗
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米国防省が2016年版「中国の軍事力」発表 [中国要人・軍事]

あれっ・・対中国の表現が少し柔らかに・・
中国に変化を見たのか、対ISや対露優先のためか・・・

2016ChinaReport.jpg13日、米国防省が議会に提出する恒例の通称「中国の軍事力」、正式「Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2016」を発表しました。
例年90ページ程度ですが、今年は150ページを超え、約60ページほど付属資料や両国軍関係の基礎となる覚え書き等の公式文書が参考資料として追加添付された形となっています

毎年同様、報告書冒頭のサマリーからご紹介するのですが、2~3ページのエッセンスの書き方が大きく変わりました
従来は、軍備近代化の目的は「高列度紛争に短期間で勝利」であり、台湾が主方向ながら東や南シナ海にも広がりつつあると明記し、具体的には弾道・巡航ミサイルを増強強化、サイバー戦や宇宙戦や電子戦に注力、高性能航空機、統合防空、情報作戦、着上陸・空挺作戦等の改善も・・との表現が大きな柱にありました。

もちろん今回も、「short-duration, high-intensity regional conflicts」能力追求など従来の記述は引き継がれていますし、ミサイル&サイバー等々の能力強化や米国等の介入を阻止しようとする拒否能力強化の方向も指摘しています。また南シナ海での高い緊張感を苦にしない利害追求の姿勢にも警戒感を示しています

しかし、「長期的な中国軍の軍近代化は、全般に渡る組織改革発表で、新たなフェーズに入った」で始まるサマリー冒頭から、何となく雰囲気が違うんです。例えば・・
Denmark.jpg●中国軍組織改革の目的は、まず中国共産党の軍へのコントロールを強化すること、次に統合作戦能力を強化すること・・・
●中国指導者は、軍強化、外交や経済的影響力強化を地域での地位と国際影響力に活用しようとしている。そして軍近代化を習近平の「中国の夢」実現やグレートパワーとなるために不可欠なものと考えている・・・

しかし中国はまた、米国との直接的で明確な紛争を避けようとしている中国指導者は、紛争や地域の不安定化が中国共産党の正当性を支える継続的な経済発展を妨げることを理解している
短期的に中国は、武力紛争に至らない「coercive tactics」を執り、領有主張のため艦船を投入したりして、紛争に至らない敷居を計算して行動するだろう
●長期的には、敵対者の戦力投射を抑止して撃退し、米国のような介入者に対抗する能力開発に焦点を当てる。中国軍の近代化は、米軍事の中核技術の優位性を殺ぐ能力構築に向けられる

また中国指導層の軍への問題意識を記述
2016report-route.jpg●中国軍近代化は問題に直面しており、習近平は「腐敗」などに注力している。2012年以降、40名以上の軍高官(退役後の人物も含む)が摘発されている
●更に習近平が軍に示したスローガン「戦い、そして勝利せよ」は、30年以上実戦を経験していない軍指導部と中国軍の能力に対する国家指導者達の懸念を示唆している

もう一つ朝鮮半島も対象範囲に
●中国軍は引き続き台湾海峡での潜在的な戦いへの備えを準備の焦点に据えているが、追加的任務として、例えば、東シナ海や南シナ海や朝鮮半島での不測緊急事態への対応も重要性を増しつつある

このほか、米国防省の対中姿勢についても、中国との軍事関係強化に継続的に取り組んでいくこと、中国に国際規範やルールを尊重するように働きかけていくこと、中国と誤解や誤認識や不意遭遇的な事案防止のために努力することを、より丁寧にしっかり記述しているような気がします

対ISや対露を優先したいためのソフト姿勢か?
経済急減速の中国に変化を感じているのか?
2016repo-BM.jpg個人的な感想として、「対ISや対露を優先せざるをえない現実」と「経済急減速の中国に変化」の両方から、今回の報告書のスタイル変更が導かれたのではないかと思います。米国との協議や交渉の裏の場面で中国の「軟化」が見られるとも考えにくいですが
金曜日に、東アジア担当の次官補代理がロープロファイル会見で発表する「刺激したくないスタイル」はここ数年の傾向ながら、米国防省web記事は協力強化の追求姿勢に半分以上を裂いています

弱腰と指摘されないように、中身をちらちら見ると、新装備の導入や開発状況はきちんとフォローしていますし、台湾との有事を想定した軍備整備分析にひとつの章を割り当てるなど、中国軍事力の実態把握は丁寧に行われています
軍の組織改革や南シナ海の埋め立て基地の状況も写真入りで丁寧に説明され、第2章に「Understanding China’s Strategy」を設けて習近平の考え方にアプローチも試みており、決して警戒感を緩めたわけではないとの姿勢を見せています

さて・・この報告書スタイルの変化をどう見るべきでしょうか
China National Day parade3.jpgちらちらつまみ食いで見ただけですが、「違和感」とは言わないまでも、「その心は?」と質問してみたいです
専門家の皆さんはどのようにご覧になるのでしょうか? 内外のメディアはどのように報じるのでしょうか?

軍事装備面での注目点などは、気が向いたら、いつか追記したいと思います
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14日付「海国防衛ジャーナル」はいつもの様に
判りやすく、短節に、同レポートから各軍種ごとの兵器動向を紹介
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50768010.html

南シナ海人工島
2014年までに埋め立てを終えた4つの人工島は、インフラ整備の最終的な段階に入り、通信・監視、兵站システムも建設した。
残りの3つの人工島にはより大規模な拠点があり、2015年10月までに埋め立て作業が終わり、インフラ建設段階へ移行しつつある。
3つの人工島それぞれに約3,000mの滑走路を持つ飛行場があり、現在、大規模な港にくわえてその他通信・監視、兵站システムを建設中

ロケット軍
DF-16、DF-21C/DをCJ-10が補完する(筆者注:弾道ミサイルと巡航ミサイルの補完関係に触れたのは初めて)。
DF-26が配備されれば、地上目標に対する精密攻撃を担い、アジア太平洋地域の戦略的抑止力となる。
DF-26は、中国にとって初めての戦域目標に対する核精密攻撃戦力となる。
●DF-21D対艦弾道ミサイル(ASBM)の射程は1,500km(筆者注:2015年までは1,700km(900nm)と表記)。
ICBMは約75~100発(筆者注:2015年の50~60発から増加)。

海 軍
潜水艦の近代化も主要課題のひとつであり、攻撃原潜×5、弾道ミサイル原潜×4、通常潜×53を持つ。2020年までに、69~78隻の潜水艦を配備する。
●商級SSNは、VLSにYJ-18対艦ミサイルを搭載する。
JL-2 SLBMの射程は7,200km(筆者注:2015年までは7,400km)。2016年のうちにSSBNによる初の核抑止パトロールが実施されるだろう(筆者注:2015年版には2015年中に開始すると記載)。
●096型SSBNは、JL-2、JL-3を搭載予定

空軍&海軍航空隊
●2015年にJ-20の5号機と6号機が試験飛行開始
H-6爆撃機の最新型であるH-6Kは精密誘導巡航ミサイルのキャリアーとして、グアムに対する長距離スタンドオフ攻撃をもつ。2015年、H-6Kが西太平洋へ進出し、長距離演習を実施。
●すべてのH-6型(H-6H、H-6M、H-6K、H-6G)は、ウェポンベイに重力爆弾、精密誘導爆弾、機雷を搭載できる。
H-6Uは国産戦闘機に空中給油が可能だが、現時点で空中給油試験を行っていない

核抑止
●ICBM、SLBMの開発だけでなく、戦略抑止能力を持つ爆撃機の開発も継続している。
長距離ステルス戦略爆撃機を開発するという意図を持っているとされる。
●中国は「核の三本柱」を確立していくのだろう

2016年報告書の現物
http://www.defense.gov/Portals/1/Documents/pubs/2016%20China%20Military%20Power%20Report.pdf

過去の米国防省「中国軍事力」レポート
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

中国軍関連の記事
「習近平がPLAの組織改革発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-27
「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30
「仰天:DF-26も空母キラー?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04

「10分野で米軍と中国軍を比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18
「中国陸軍の取り組みと課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-11
「空母監視衛星打ち上げへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-10

「中国安全保障レポート2016」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-09
「東アジア戦略概観2016」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-25
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東レ製の炭素繊維密輸未遂で中国人逮捕 [中国要人・軍事]

carbon fiber5.jpgcarbon fiber2.jpg21日、米国司法省は、中国政府機関のため軍事用に東レ製炭素繊維(carbon fiber)を許可なく不正輸出しようとしていた中国人Fuyi Frank Sunを、おとり捜査により13日に逮捕したと発表しました
同容疑者は2011年から高品質炭素繊維の獲得に活動した模様で、ミサイルや航空機の機体、更には「ガス遠心分離機のローター」等々に中国当局や中国軍需産業が使用する狙いがあったようです

高級炭素繊維の具体的な軍事用途を承知しておらず、21日付Defense-News記事もあまり明確には記述していませんが、ここ数年、中国人が高品質炭素繊維の不正輸出容疑で逮捕される事件が続発しており、中国側のニーズが高いことを示しています。
加えて、東レの技術はすごいんだな・・・と改めて思いました

21日付Defense-News記事によれば
carbon fiber4.jpg●Sun容疑者は、国土安全保障省の捜査機関であるHIS(Homeland Security Investigations)のおとり捜査員(undercover agents:炭素繊維の売人を演じる)から、東レ製の「M60JB-3000-50B」を入手し、許可なく輸出しようとして逮捕された。また「M55JB-6K」にも関心を寄せていた模様
●当局によれば、同容疑者は炭素繊維を「バナナ」との隠語で呼び、11日に中国からニューヨークに移動、おとり捜査員に炭素繊維を中国軍用に購入すると語った。またかつて、中国の国家宇宙行政局に勤務し、中国のミサイル開発に従事していたとも語っている模様

●同容疑者はおとり捜査員に、炭素繊維代金として約250万円、危険を伴う仲介手数料として約22万円を支払った
●なおHISによるおとり捜査は、ネット上に様々な商品を展示して行われている。細部は不明だが、おとり店舗はニューヨークにある模様

●取り調べに対し同容疑者は、豪州やベルギーや韓国を経由しての不正取引も行っていた模様である。
●またおとり捜査員に対し、炭素繊維を「アクリル繊維」に見せかけるためラベルを偽装したり、バーコードを傷つけて追跡を不能にする等の指示をしていた模様

専門家の視点や過去の事例
●専門家は、今回の逮捕を「ミサイルや軍用炭素繊維の拡散を防ぐうえで前向きな出来事だ」と評価し、「炭素繊維が遠心分離器のローターにも活用できる」と警告した
●また同専門家は、中国が引き続きこのような不正取引を野放し、又は指示してやらせていることが明らかになったと評価している

carbon fiber.jpg●最近、兵器に使用できるレベルの炭素繊維に関する不正取引事案が多発している。2013年には同じくおとり捜査で、東レ「M60」を含む数トンの炭素繊維を中国籍の人物が輸出しようとして逮捕され、中国軍需企業NORINCOが新戦闘機を開発するために入手を試みたと証言している
●2014年には別の中国籍人が、東レ「T800-HB12000-50B」のサンプルを入手し、中国上海に不正輸出しようとして逮捕された。5トンの炭素繊維輸出を計画していた模様
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日本で「おとり捜査」など持ち出すと、途端に「人権派弁護士」や「憲法学者」などがマスコミをにぎわし、大騒ぎになりそうですが、不正輸出やサイバー等、新たな犯罪には新たな対処も必要でしょう。

東レの炭素繊維ですか・・・「東京の郊外」に引っ込んで以来、技術動向の変化に追随できていません。
熊本の被災地に大量のサランラップを無償提供したのも「東レ」(旭化成?)だったと思いますが、引き続き日本を代表する企業として頑張っていただきたいものです
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RAND:台湾よ戦闘機を削減しSAMを増やせ! [中国要人・軍事]

RAND「台湾よ戦闘機を削減しSAMを増やせ」

RAND Taiwan.jpg5日付Defense-News記事が、RAND研究所が発表した台湾防空戦力のあるべき姿を研究したレポート「Air Defense Options for Taiwan」の概要を紹介し、結論として、現在約330機保有している各種戦闘機を50機程度まで削減し、浮いた国防予算で地対空ミサイルを増強すべきだと主張している模様です

分析は、4つの防空体制オプションを、3つの紛争段階で検証する形を取っており、グレーゾーン事態から侵略事態までを通じた総合的な場の設定で「あるべき体制」を検討しています

膨大な170ページのレポートに目を等したわけではなく、細部に触れていないDefense-News記事を通じてのRANDレポートのご紹介ですが、中国軍のミサイル戦力は圧倒的で、経済情勢から国防予算が横ばい状態である事や、最新戦闘機を追い求める台湾空軍の伝統にも触れており、日本の戦闘機命派に見せたいレポートですのでご紹介します

全般情勢の認識
RAND Taiwan4.jpg●台湾の経済情勢や政治情勢も有り、国防予算は横ばい状態が続いており、強力な戦闘機部隊と防空ミサイル部隊の両方を追求するには難しい状況にある
毎年1.2兆円程度の台湾国防費に於いて、現状の戦闘機部隊を維持するだけでも今後20年間で2.5兆円必要で、米国が許可したF-16の能力向上には別に3800億円が必要である
●また潜水艦の建造など、海軍にも重要事業が待ち構えている

中国の急速な軍備増強と、南シナ海や東シナ海での横暴とも言える領土領域主張と実効支配の動きが続いており、周辺情勢は緊迫度を高めつつある
●台湾では、親中的な馬政権から民進党政権に政権が移行し、民進党が現状維持を党方針としているものの、若い世代には中国へのアレルギー感があり、中国側に焦りが出る可能性も否定できない

中国が増強する経空脅威(一例)
RAND Taiwan5.jpgJ-11Bの能力向上で、高性能空対空ミサイルPL-15やAESAレーダーを装備する事は大きな潮目の変化。またロシア製のSu-35戦闘機や、台湾全土を射程距離内に置くS-400防空ミサイルの導入もある
無人攻撃機や、中国が独自開発するステルス戦闘機と言われるJ-20やJ-31の存在

●台湾正面に1000発以上配備されている短距離弾道ミサイルやDF-21D(空母キラー)やDF-26(グアムキラー)などの中距離弾道ミサイル。更に多様な巡航ミサイルやYJ-91対レーダーミサイルや対衛星兵器にも力を入れている
●また台湾軍に対するスパイ活動も活発で、台湾軍のC4Iや防空システムに関するスパイ活動が摘発されているが、氷山の一角と見られている


比較評価された防空体制オプション4つ
現状の戦闘機328機体制(能力向上型F-16、台湾国産戦闘機IDFs、Mirage 2000-5s)
能力向上型F-16(約140機)のみ戦闘機を維持し、他は廃止。パトリオットを4個部隊と21個防空ミサイル部隊(IFPC-2)を増強

現戦闘機を全て廃棄し、垂直離着陸型のF-35を57機導入
能力向上型F-16を50機のみ維持し、他機は破棄。SAM部隊を重視し、パトリオットを13個部隊と40個防空ミサイル部隊(IFPC-2)を増強

上記オプションを検証する3つの事態
中国による台湾海上封鎖に伴い、双方が航空優勢を巡り、限定的な遭遇戦的な空対空の戦闘を行い、双方に限定的な損耗が出る。
主要な台湾国防能力を排除するため、台湾本土に対するより激しい攻撃が行われる。
台湾本島への侵攻シナリオ。侵攻阻止のための作戦を支援するため、防空ミサイル部隊を活用


RANDによる分析結果
RAND Taiwan2.jpg結論として能力向上型F-16を50機のみ維持し、他機は破棄。SAM部隊を重視し、パトリオットを13個部隊と40個防空ミサイル部隊(IFPC-2)を増強」を推奨
IFPC-2は米国の「Indirect Fire Protection Capability-2」で、防空ミサイルに空対空ミサイルのAIM-9XやAIM-120を活用したシステム。1個部隊には発射機4両が所属し、1両に付き15発の防空ミサイルを搭載。パトリオットシステムと指揮統制装置を共有可能
●移動可能な車両搭載型の防空ミサイルシステムを推奨。固定式レーダーの脆弱性も強く指摘

台湾空軍は継続してF-35Bの売却を米国に求めているが、米中関係や最新型F-16への能力向上を拒否した米国の姿勢からすれば、F-35Bの導入可能性は極めて低い。海外に垂直離着陸型F-35をいつ提供するかも不透明
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レポート現物(重い:172ページ)
http://www.rand.org/content/dam/rand/pubs/research_reports/RR1000/RR1051/RAND_RR1051.pdf#search='RAND+Air+Defense+Options+for+Taiwan%3A+An+Assessment+of+Relative+Costs+and+Operational+Benefits'

RAND Taiwan3.jpg細かな分析については触れていませんが、戦闘機への投資を削減し、予算を残存性の高い防空ミサイル部隊に振り向けた方が、トータルで国防への投資が有効活用できるとRANDのレポートを主張しているようです。

先日、「5日間で中国軍の攻撃に日本は屈する」とのRANDの研究を、戦闘機命派の航空自衛隊OBが非難する様子をご紹介しましたが、同空自OBなら、日本は南北に細長く、露中鮮の3正面対処を迫られるから戦闘機はタップリ必要だとか主張するのでしょう

でも本RANDレポートが主張するのは、中国軍が初動のミサイル攻撃で航空基地や管制レーダーを破壊する脅威の実態を踏まえ、青天井の国防予算が期待できないならどのような投資配分が最も抑止力を高めることに効果的かです
極めて冷静で実践的な議論で有り、日本に欠けている視点です

これまで口を酸っぱくして繰り返してきたので疲れましたが、極めて穏当な素直な結論だと思いますし、日本にも当てはまる部分が大変多いレポートだと思います
分析の前提や細部の解釈に拘らず、大きな視点でその指摘を見つめたいものです

関連の記事
「中国は全面戦争を招く日本攻撃をしない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06 
「慶応神保氏:台湾の劣勢戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25
「CSBAが提言:弱者の戦法を」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27

「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「ヨシハラ教授:日本版A2ADを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-18
「森本元防衛大臣の防衛構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-05
「中澤1佐が傾聴に値すると」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10

その他の台湾関連記事
「台湾軍事見本市を見る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-10
「台湾が国産潜水艦を目指す」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17
「台湾F-16能力向上問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-09
「台湾の巨大な中国監視レーダー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-28

「親中の国民党が大敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-09
「台湾が兵士2割削減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-22

「台湾の防空ミサイル投資」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-01
「中国空母対処の台湾演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-26-1
「潜水艦用のハプーン受領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-08-1

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中国防省報道官:米海軍は南シナ海で注意せよ [中国要人・軍事]

Yang Yujun.jpg3月31日、中国国防省の報道官が(定例)会見で、米海軍艦艇が南シナ海で「航行の自由作戦」を行っていることや、米比が基地使用に関する合意に達したことに関する質問に対し、「米海軍は注意せよ」と述べたようです

このYang Yujun報道官は、かっこよく会見する写真がネット上に溢れる「お馴染みの情報発信マシン」で、その発言を細かに分析する意味がある人物ではないと思いますが、いかにも中国らしい、自分中心で周りが見えていない様子を示す典型的事例かと思いますのでご紹介します

3月31日付Defense-News記事によれば
3月末、米国はフィリピンと、米軍のアクセスを拡大する比軍5基地を決定したと発表した
●米軍は昨年10月以降、南シナ海で中国が埋め立て拡大した島の12マイル以内を、米海軍艦艇が2回にわたり通過する「航行の自由作戦」を実施している

Yang Yujun 2.jpg●これらの南シナ海を巡る情勢を背景として、最近の米海軍艦艇の南シナ海活動について質問されたYang Yujun報道官は、「米海軍の当エリアでの活動に関しては、注意せよとのみ言うことが出来る:I can only suggest they be careful」と述べた
●また「米国が戻ってきており、当該地域でプレゼンスを強化しつつあるが、これは南シナ海の軍事化を進めるものだ」と同報道官は米国を批判した
////////////////////////////////////////////////////

軍事的に見れば、正しいアドバイスだと思います。
日本の評論家の中には、中国は手も足も出ないと言う方がいますが、手も足も出さなくても好き放題出来るのですから、「なま暖かく」見守っているのでしょう

しかし、中国海軍や「武装漁民」や武装沿岸警備隊「海警」の最前線がどれだけ統制されているのか不安です。米側には「航行の自由作戦」しか手段がない状況ですから、米軍には頑張って頂きたいですが、十分注意して頂きたいです

でも大きく見れば、中国にとって役に立たない発言です
Yang Yujun 3.jpg中国は、埋め立て島の国際法上での解釈説明を避け、レーダーや滑走路やミサイルを配備して実行支配力を強化しています。激しい「塩害」を克服して航空機やヘリが配備できれば、制空権を握ることが出来るのでしょう。淡々と進められる環境です

ですから中国国防省の報道官は、淡々と「地域の緊張感を高める振る舞いは止めるべき」程度の「お経」を唱えておけば良いのであって、「be careful」とまで踏み込む必要は全くありません
ネット上の写真のように偉そうにしていると、後ろから、内部から刺されますよ・・・

中国軍と「航行の自由作戦」
「海上民兵:maritime militia」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-04
「西沙諸島に中国戦闘機展開?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1
「米海軍筋が航行の自由作戦を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-01

「米比合意も課題山積」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-24

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ありがちな誤解:中国軍分析の注意点 [中国要人・軍事]

CRS China.jpg24日、米議会調査局CRSが「The Chinese Military: Overview and Issues for Congress」とのレポートを発表し、米国で活動する中国ウォッチャーが陥りやすい誤解や誤った見方について注意喚起しています。
「両軍の活動範囲の違い」「任務の違い」「ミラーイメージ」「信頼できない指導者の言葉」、「不透明性から来る誤解」「宇宙やサイバー空間での先制攻撃」など、中国や中国軍を分析したり議論する際に見失いがちな視点を紹介しています。

執筆者はIan E. Rinehartとのアジアの安全保障を担当する比較的若手(写真の見た目)の研究者で、2012年にCRS所属する以前は、「East-West Center」や「Washington CORE」で同分野を研究していたようです。
Rinehart CRS.jpgRinehart氏が指摘している「注意点」は、自分では理解しているつもりでも、つい忘れがちで誤解しがちなポイントだと思いましたので、29日付Defense-News記事を活用してご参考まで紹介致します

CRSは「Congressional Research Service」の略です。各項目のタイトルは、まんぐーすの独断で付けました。ご注意を!

両軍の地理的活動範囲の差に注意
米軍は欧州や中東までを含む広大な任務領域を抱えている。
●従って米軍は、中国との紛争の際にも限定的な戦力しか投入できないが、中国にはその様な制約はない

似たような装備や兵器でも任務の違いに注意
●中国軍を見る際は、当該部隊がどのような任務を与えられているかを確認し、その上でその能力を評価すべきである。
米軍と中国軍の能力を比較するような際は、両軍の任務が全く異なるので、この点に注意すべきである。(同じような装備や兵器を保有しているからと言って、同じ土俵で単純な比較は出来ない

中国指導者の発言は必ずしも信頼できず
習近平.jpg中国指導者達が通常行う軍に対する発言や国防白書での記述は、多くの場合、一般化された(特別の深い意味を持たない)発表で、海外や国内対策用にプロパガンダ的側面を持っており、中国指導者の軍に対する意図を読み取るにはあまり正確でない可能性が高い

一方で全ての発言や発表を「ポーズ:posturing」と採るべきではない。中国指導者が「核心的利益」や彼らの体制保持のため中国軍を活用する意図に関して発信する場合は、真実(本心)である事が多い。台湾や南シナ海に関する発言がそうである
●見せかけと真意の発言の見極めが課題である。どのような軍事力を保有していると見せかけようとしているのか、それら能力と発言がどのように関係しているのか、いないのか、をよく観察分析することが本課題への答えにつながる

透明性が不十分だから見誤るな
中国全体に関する不透明性が、中国指導層の意図と軍事能力の見積もりや分析を複雑にしている。
●この点について米国防省は(中国軍事力に関する議会報告書で)「中国における増大する軍事力と戦略的意思決定の不透明性が、中国の意図に関する地域の懸念を増している。この懸念は中国軍の近代化進展に伴い、更に大きくなろう」と表現している

「ミラーイメージ」で中国を見るな
もの考え方や価値観が、米国と中国では異なっている。これらを同じだとの前提で相手の行動を分析したり、将来を予測することで、相手に関する見積りの信憑性が低下する

宇宙やサイバー領域での先制攻撃に注意
Rinehart CRS2.jpg中国の軍事戦略家は、紛争に置いて先手や主導権を握ることをとても重視している。中国軍がこの考え方を現代戦のサイバーや宇宙ドメインでも重視していると考える専門家もおり、ネットワークへの攻撃を予期している
●また中国軍は、多様な宇宙兵器や対衛星兵器を準備しており、極超音速無人機の開発も進めている。中国にとって先制第一撃はあり得べき選択肢で有り、これにより戦いを有利な立場で進める事を狙っている
////////////////////////////////////////////////////////////

このCRSレポートは、「米国に拠点を置く中国ウォッチャー:US-based China-watchers」が陥りがちな過ちを指摘し、議会関係者に注意喚起することを目的としたものです。
日本人は中国人への警戒心がより強いので、米国研究者より「免疫」が強いかも知れませんが、軍事情報は「米国発」が圧倒的く、また米国研究者の発言や分析に影響を受けやすいので、十分注意する必要がありましょう

USCC3.jpgそんなレポートの指摘に「宇宙やサイバー領域での先制攻撃に注意」とあるのは、米国の中国研究者の中に「同ドメインでの先制攻撃」の可能性に対する認識が低いと言うことでしょうか?
ちょっと意外な気がしますが、「似たような装備や兵器でも任務の違いに注意」「ミラーイメージ」との視点のチェックが必要なのでしょう

なぜか「台北発」の報道ですが、いずれにしても、参考になるチェックリストですのでご紹介しました。

レポート現物(46ページ)
https://www.fas.org/sgp/crs/row/R44196.pdf

先制攻撃を予期する米国防省「中国の軍事力」レポート
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08

「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

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発表:中国安全保障レポート2016 [中国要人・軍事]

Report 2016 NIDS.jpg4日、防衛省の防衛研究所(防研)が、今回で6回目の発行となる中国の軍事・安全保障動向に焦点を当てた研究レポート「中国安全保障レポート2016」(約60ページ)を発表しました。

あくまでも防研の執筆研究員独自の見解で有り、日本政府や防衛省や防研の公式見解ではないとしていますが、同日付でwebサイト上に、日本語、英語、中国語で全文が同時掲載される力の入れようで、今後、中国を含む諸外国との意見交換でも活用される資料です

過去の5回では、それぞれ「中国全般」「中国海軍」「軍は党の統制下か」「中国の危機管理」「非伝統的な軍事分野」をサブテーマとして、トピックを絞り込んで紹介してきた同レポートですが、今回は「拡大する人民解放軍の活動範囲とその戦略」とのテーマで、各軍種(陸軍をのぞく)と統合の動きを広く紹介しています

具体的には、4つの章でそれぞれ「海軍」「空軍」「ロケット軍(旧第二砲兵)」「統合作戦能力の強化」を取り上げ、「人民解放軍が今後も東アジアにおける米軍プレゼンスに挑戦を続け、それが功を奏した場合、東アジアにおける既存の安全保障秩序が一変する可能性がある」と危機感を示しています

「コピペ」が出来ない「堅固」な「PDFファイル」で公開されていますので、手抜きで各章の概要紹介を試みます

第1章:遠海での作戦能力を強化する中国海軍
China-Navy2.jpg●「近海防御・遠海防衛(護衛)」に転換しつつある中国海軍は、大陸沿岸から東&南シナ海、更に西太平洋やインド洋にその作戦海域を拡大しつつあり、空母、水上艦艇、潜水艦、航空機の近代化を進めている
●中国海軍は今後、近海では領土主権問題で優位に立つため海空域でのプレゼンス強化を図り、西太平洋域では「核心的利益」に対する米国の干渉を防ぐため、新型原子力潜水艦や高性能対艦ミサイル駆逐艦の配備やISR強化を図る
●また、海外に進出した中国企業や海上交通路を守るため、インド洋への進出を進める

第2章:空軍の戦略的概念の転換と能力の増大
J-31 Zhuhai.jpg●「国土防空」から「攻防兼備」に転換している。主にロシアからの輸入により第4世代機の配備を進めているほか、地上攻撃能力を持つ作戦機の導入に力点を置いている
●また長射程巡航ミサイル搭載爆撃機の航続距離延伸を図り、ISR能力拡充のため早期警戒管制指揮機を初めとする様々な作戦支援機を導入している
●今後の方向としては、弱点の大型輸送機や給油機の充実、ステルス機や無人機等による攻撃能力の増強、防空・BMDシステムの導入、宇宙への攻撃能力開発などの注力するだろう

第3章:ミサイル戦力の拡充
DF-26 2.jpg●昨年12月末に第2砲兵は「ロケット軍」に改編され、核戦力のみ扱う軍種から「核常兼備」軍種へと変化した。なお中国の核戦略は、政治の優位、核の先制不使用、核弾頭の漸増、平時は核弾頭を取り外して保管といった特徴がある。ただ「先制不使用」を今後も継続するかは注目すべき
確実な第2撃能力保持を目指し、弾道ミサイルの固体燃料化、車両移動式への転換、MIRV化を着実に推進している。

●1990年代以降の特徴は、通常ミサイル戦力を大幅に増強し、核とは異なり攻勢的な概念が提起され、機先を制して相手の急所となるC4ISRや戦力投射結節点に精密攻撃を加えることが重視されている
短距離・中距離弾道弾を充実させ、精密打撃力が高まっている。また海空プラットフォーム搭載の巡航ミサイルの充実も図り、中国A2AD能力の中核を構成している。この様な中国ミサイル戦力は、地域の安全保障環境を複雑化させている

第4章:統合的な作戦能力の強化
China Cyber.jpg●人民解放軍PLAは国防白書で「情報化局地戦に勝利すること」と「海上における軍事闘争」を重視する姿勢を打ち出した。「機械化戦争」とは異なり「情報システムに基づく体系作戦能力」の強化を図っている
●「情報システム」においては、ISR能力の向上、効率的な指揮統制の実現、ネット・電磁対抗力の強化などで宇宙空間の軍事利用を推進。

●「体系作戦能力の強化」においては、陸海空第2砲兵(ロケット軍)を統合的に運用する事を目指している
●習近平主席はこの戦略実現のため、陸軍司令部、ロケット軍や戦略支援部隊の設立、中央軍事委員会の組織改編など、軍の体制・編制改革を推進している。これら改革の今後に注目
////////////////////////////////////////////////////////

第6回目となるとトピックの選定が難しいのか、軍事力全般の紹介になっています
防衛白書の第1章「国際情勢」の拡大版のような内容ですが、断片的な報道ばかりが乱れ飛んでいる中、有り難い資料です

習近平.jpg「要約」部分の概要をご紹介すると、中身が薄く見えますが、防衛白書の第1章「国際情勢」よりは詳しくなっていますので、中国軍事力の概要を把握するには良い資料です

第4章が取り上げている習近平主席が打ち出した「軍の体制・編制改革」は、習近平の軍への影響力や主席としての力のバロメータともなり得ますので、来年の7回目では「その後の軍の体制・編制改革」がサブテーマになることを期待致しましょう

過去の「中国安全保障レポート」紹介記事
1回:中国全般→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-19
2回:中国海軍→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-17-1
3回:軍は党の統制下か?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23-1
4回:中国の危機管理→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-01
5回:非伝統的軍事分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-22

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中国軍が南沙諸島にステルス機探知レーダー? [中国要人・軍事]

Cuarteron Reef3.jpg22日付米海軍協会web記事は、シンクタンクCSISと商用衛星画像会社「DigitalGlobe」が南沙諸島クアテロン礁の衛星写真を分析したところ、中国軍がステルス機探知も可能な「HF(短波)レーダー」を設置した模様だと報じています

中国側は「灯台を設置し公共財として地域に貢献」との姿勢のようですが、西側専門家は少なくとも海面監視レーダーで、ステルス機監視レーダーにも活用できるだろうと見ているようです

はっきりしない部分はありますが、とりあえずご紹介します

22日付米海軍協会web記事によれば
DigitalGlobe社が1月24日に撮影した衛星写真によれば、フィリピンに近く中国が実効支配している南沙諸島クアテロン礁(Cuarteron Reef:ベトナム、比、台湾が領有権主張)に、複数の高さ約20m(65 foot)のポールが設置されており、他の場所でも見られる海面監視HFレーダーと酷似していると、CSISのGreg Polingアジア海洋監視リーダーは米海軍協会に語った
Poling CSIS.jpg●Poling氏は「高さ20mのポールがこの様に配置され立ち並んでいる施設は、HFレーダー以外に考えられない」と語った。

●写真からは同施設が既に運用しているかどうかは不明で、米国防省に質問したが返事は無い。WP紙も22日午後にこの施設の存在を報じている
●なお中国は、同様のレーダーを中国本土の海岸線沿いに複数設置しており、ステルス機探知の体制だとも言われている

CSBAのBryan Clark海軍担当研究員は、米国がメキシコ湾やカリブ海で麻薬密輸取り締まりで活用しているHFレーダーと同様の活用が第一義的な活用法だろうが、第二義的にはHFレーダーでステルス機探知にも活用可能だと述べている
米国は探知距離80~200マイルで海上監視に使用しているが、中国やロシアは更にステルス性能機の探知にも活用しているだろうと述べ、「海面と航空目標探知の素晴らしいdual useだ。従来の早期警戒レーダー周波数では探知できない航空機を探知できる」と語っている

Cuarteron Reef2.jpg恐らく、クアテロン礁のHFレーダーで探知されたデータは中国本土に送られ、他の対空監視情報と組み合わされて防空部隊に提供されるのであろう
●米軍が保有するB-2やF-22やF-35は、より高周波のレーダーに最適化したステルス性を追求しており、より低い周波数レーダーで探知される可能性が理論的にある

●ただ、HFレーダーは、それ単体で視認性の低いステルス機の(およその)位置を把握できても、対処兵器を誘導するほどの(分解能やロックオン)能力はない
●しかし、これまでも報じてきたように、他の周波数レーダーと組み合わせたり、情報処理装置の高度化により、中国やロシアは同国の戦闘機に敵の位置や情報を提供できるよう取り組んでいる模様

●一方で、退役米海軍大佐で専門家のChris Carlson氏は、中国本土にあるHFレーダー施設と比較してクアテロン礁施設が小型である事から、(ステルス機探知という)第二義的な目的がどの程度可能かは不透明だと述べている
●いずれにしても、CSBAのClark研究員は、漁船の活動監視など法執行のために必要な海面監視装置だとの主張で押し通すだろうと見ている
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Cuarteron Reef.jpg話題の「クアテロン礁」は、「航行の自由作戦」にあわせ、米空軍がB-52を2マイルまで接近飛行させた焦点の「人工島」の一つです

HFレーダーらしき施設」については、今後色々な分析や報道がなされるでしょうが、これに併せ「HF」や「UHF」レーダーのステルス探知能力がどの程度技術進歩を遂げているのか、また中国のシステムがどの程度進歩しているのかも報じられる事を期待致しましょう

対ステルス機関連の記事
「低周波レーダーでステルス機を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-04-2
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22

南シナ海関連
「海上民兵:maritime militia」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-04
「西沙諸島に中国戦闘機展開?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1
「米海軍筋が航行の自由作戦を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-01

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4年ぶり台湾への米国武器売却を分析 [中国要人・軍事]

Taiwan1.jpg16日、米国は4年ぶりに台湾への約2200億円の武器売却を発表し中古のフリゲート艦や対戦車ミサイルや水陸両用車両が話題になり、お約束の中国側の反発(輸出に関与した米企業への制裁等)が報じられています

4年ぶりなので話題にもなりますが、2010年と2011年の同様の武器売却の総額が約1兆6000億円であったことと比較すれば「ささやかな規模」で、2011年時に含まれていたJDAMの様な目玉には欠けます
また、以前論点だったF-16C/D売却のような案件(F-16A/B型の改修で落着)はなく、2001年から放置プレーが続く8隻の潜水艦売却にも進展が無い状況のままです

来年1月には台湾総統選と議会選挙があり、政治的にも微妙なタイミングですが、とりあえずは今回の武器売却の中身を吟味したいと思います

18日付米海軍協会web記事によれば
Taiwan4.jpg●台湾の軍備増強につながるものは、米海軍で退役となったフリゲート艦2隻(Oliver Hazard Perry級)や対戦車ミサイル(BGM-71 TOW 2B)、水陸両用強襲車両(AAV-7を36両)、地対空ミサイル(携帯式Stinger)程度である
●損耗を補完するアパッチヘリや多用途艦載ヘリMH-60Rはリストに無く、落胆した関係者は少なくない

●ただ例えば、水陸両用強襲車両(AAV-7)は台湾海兵隊が求めていた装備で、台湾海峡での作戦や首都台北近傍の河川を想定した作戦にも有効であり、台湾軍の対処能力を向上させるものである
●また注目は集めていないが、10隻のフリゲート艦艇用のデータリンク(Link 11/Link 16)売却は、台湾製のデータリンクや台湾軍指揮統制システムとと共に、台湾3軍や早期警戒システム等の兵器システムの融合や連接を推進する
●更に無料提供される台湾軍と米太平洋軍との「bilateral communications network」は極めて重要で、米台軍事関係の強さを示すものである

潜水艦や戦闘機は過去の話題?
Taiwan3.jpg2010年や2011年時には、PAC-3売却が成立し、老朽化する台湾F-16A/B型の後継が話題になったが、台湾が求めたF-16C/D売却ではなく、F-16A/B型改修に終わっており、これ以上の話が出ることは考えにくい
ブッシュ大統領が2001年に約束した通常型潜水艦8隻の売却は、米国に通常型建造ラインが無く、他国も中国を恐れて売却しないことから頓挫している。業を煮やした台湾は昨年、自国開発方針を打ち出した。現時点では明確になっていないが、米国企業等は何らかの支援を求められる可能性がある

定義が不明確な防御兵器提供
Taiwan-China2.jpg2011年に米国が、台湾関係法の枠内との整理でF-16改修にあわせJDAM提供を決定したように、防御的兵器の定義は曖昧な部分がある(しかし今回の売却装備にはJDAMほどのインパクトの兵器は無い)
台湾軍需産業は「防御兵器しばり」を補完するため、対艦ミサイル(Hsiung Feng IIや超音速Hsiung Feng III)や対地巡航ミサイル(Hsiung Feng IIE)、ARM(Tien Chien IIA)やスタンドオフ兵器(Wan Chien)の独自開発に取り組んでいる

米国は、台湾のミサイル開発をいつも同情的に見てきた訳では無いが、台湾が非対称な防御能力強化に取り組む事を、陰ながら小声で応援するようになったと見て良いだろう。
●4年ぶりの今回の売却は様々に評価されているが、次の指標となるのは、毎年ベースで行われる定時の武器売却の中身となろう
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来年1月の台湾総統選と議会選挙では、「独立」や「統一」ではなく、「現状維持」の政策をとる野党「民進党」が総統選挙の世論調査でダブルスコアの優位を保っており、議会選挙でも現在過半数を占める国民党に迫る勢いを見せています

Taiwan2.jpg無理に政治レベルと絡めることには無理がありますが、米国にとっては、「台湾を忘れていないよシグナル」と「今はそっとしておいた方が得策」との思いのバランスに配慮した売却リストではないでしょうか。
米国の大統領選挙とか、2017年度予算審議とか、色々考えればきりがありませんが・・・

「台湾の非対称な防御能力強化」はポイントです。日本としても、自分のこととして考えなければなりません!

台湾国防政策を考える
「台湾劣勢戦略に学べ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25
「CSBAが提言:台湾軍事戦略」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
「10分野で米中軍比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18
「親中の国民党が大敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-09

最近の台湾軍事の話題
「イメージ映像中国軍島嶼占領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「台湾軍事見本市で見えた」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-10
「台湾が国産潜水艦を目指す」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17

「台湾の防空ミサイル投資」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-01
「中国空母対処の台湾演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-26-1
「台湾F-16能力向上問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-09

「台湾の巨大な中国監視レーダー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-28
「潜水艦用のハプーン受領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-08-1
「台湾が兵士2割削減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-22

岡崎研究所の台湾記事(2015年12月)
同床異夢の中台→http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5760?page=1
中台首脳会談の解釈→http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5692

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習近平が自ら中国軍改革を指示 [中国要人・軍事]

習近平.jpg26日付で中国国営新華社通信は、中国軍の指導機関・共産党中央軍事委員会トップの習近平主席(国家主席)が24日に軍の会議で演説し、中国軍が検討を進めてきた軍改革案の概要を正式に公表したと報じている模様です。

南シナ海問題などで高まる米国などとの緊張を背景に軍改革を加速させ、2020年までに、改革に一定のメドをつける狙いがある模様で、国内の地域防衛区分である7大軍区を、陸海空軍などの統合運用を行う「戦区」に改編することを柱とした内容を指示したようです。

習近平が指示した内容を、27日付読売新聞朝刊7面の記事を再構成してご紹介します

中国軍改革のポイントは・・・
共産党中央軍事委員会2.jpg●「数量&規模型から、質&効率型への転換を推進する」、「戦える軍隊」と主席は強調。人員削減を進める事で軍を精鋭化し、米軍に対抗するための新装備導入や開発を加速する可能性も
●9月3日の「70周年」演説で発表した30万人削減を2017年までに完了させ、その後、段階的に改革を進めるものと見られていたが、主席が直接改革実行を指示したことで、特に南及び東シナ海沿岸部で改編が前倒しの可能性も

●新たな情勢に対応するため「中央軍事委員会が全面的に軍を管理する」と指示し、また同委員会内に汚職摘発機関や司法統括機関の設置も指示、軍の指導機関だった共産党中央軍事委員会に更に権限を集中させ、権限強化を進める
●習近平国家主席は、政権の任期満了である2022年以降も、同軍事委員会トップの主席に留任するとの観測が高まりつつ有り、長期にわたる軍掌握力強化への布石との見方もある

共産党中央軍事委員会3.jpg従来の7大軍管区を戦区に再編し、各戦区を陸海空軍に第2砲兵(戦略ミサイル部隊)を加えた4軍編制の統合運用組織である「合同作戦指揮機構」に改編する。報道では「改革に向けたスケジュールに基づき、2020年までに合同作戦指揮体制改革に進展をもたらす」と表現されている
●中国軍関係者等の情報を総合すると、「5大戦区」にする案が有力視されている模様

情報技術化戦争に勝利出来る体制を構築

関連の中国メディア報道として読売は
●中国軍は23日、超超音速ミサイルの6回目の試験を実施(米国防省が開発を行っていた「CPGS:通常兵器による世界規模即時攻撃」を目指すミサイルの中国版と考えられる。米国は予算不足で進捗は不活発)
24日、J-20ステルス戦闘機の最新版が初飛行
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中国政権と軍の関係や、習近平派閥と軍の関係など、中国国内の権力闘争の具合についてはコメントする知識がありませんので、とりあえずメモ代わりに読売報道をまとめてみました。

今後、専門家の方が種々分析されると思うので、その予習にご活用下さい。

最近の中国軍関連記事
「ジブチに基地建設へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-26

「南シナ海戦闘機は塩害と戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-10
「海上民兵:maritime militia」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-04
「西沙諸島に中国戦闘機展開?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1
「米海軍筋が航行の自由作戦を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-01

「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30
「10分野で米軍と中国軍を比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18
「中国陸軍の取り組みと課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-11

「空母監視衛星打ち上げへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-10
「イメージ映像:中国軍島嶼占領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「仰天:DF-26も空母キラー?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04
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中国がアフリカ大陸に初の基地設置へ [中国要人・軍事]

Rodriguez.jpg24日頃、米アフリカ軍司令官のDavid Rodriguez陸軍大将は記者団に対し中国がアフリカ大陸初の基地をアフリカ東岸紅海沿岸の「Djibouti」に設けることで同国と合意したと語りました。

同司令官は細部には言及しませんでしたが、同国と中国軍施設を10年間維持する合意が結ばれているとのことで、今後の動向が注目されます

米国としては、中国が国際社会の一員として活動している数少ない肯定的活動「アデン湾での海賊対処」関連でもあるため、慎重に刺激しないように動向を見守っているのでしょう

25日付米海軍協会web記事によれば
Djibouti2.jpgRodriguez司令官は「彼らはジブチに基地を建設する。アフリカ大陸で最初の中国軍基地となる」と語り、本年に入り数ヶ月にわたり中国がアフリカに拠点を求めて活動していたことを認めた
●また同司令官は、中国とジブチが施設設置に関する10年間の合意を結んでいることも明らかにし、同基地は兵站支援基地となり「彼らの行動範囲を拡大するだろう」と語った

●本件に関連し、ジブチのGuelleh大統領は本年初めに、「フランスは古くから所在し、米国は対テロ活動のため我が国に拠点を置いている」、「日本は海賊対処のために所在を希望している所だが、今度は中国が国益を守るための展開を希望してきた。歓迎する」と述べていたところ
中国とジブチは、2014年4月に「defense and security pact」に署名しており、これが基地設置の基礎となっている

●ジブチは中国の海賊対処活動の重要拠点となっており、中国海軍が海賊対処活動を開始した2008年12月以降、50回以上ジブチのObock港を利用している
●中国軍の拠点が出来る可能性があるのは、米軍の拠点があるCamp Lemonnierの北東約30nmの「Obock港」地域か、より米軍拠点に近い「Doraleh」港であろう

24日付「The Hill」によれば
Djibouti3.jpg●Atlantic CouncilのPhamアフリカ部長は、従来のように中国艦艇が寄港する度に費用を支払うより基地を設置した方が安上がりだし、中国がシーレーン防衛に大きな役割を果たせば国際的な地位向上にも貢献すると語っている
●基地設置により飛行場を確保出来た場合、アラビア半島から中央アフリカに至る情報収集を飛躍的に改善出来ることとなる

上院外交委員会の有力メンバーであるChris Coons議員は、「中国のアフリカ進出には注目する必要がある。アフリカ諸国の中間層はこれまでになく急成長しており、これを狙う中国企業や中国政府と米国の利害は必ずしも一致しない」と注意喚起している

ハリス太平洋軍司令官はHalifaxでの講演で、「鄧小平が掲げ望んでいた「皆が受け入れられる解決の模索」から離れ、忍耐強い国から先を急ぐ国への変わってしまった」と表現していた
Rodriguez司令官は、現時点で、中国のアフリカでの行動は挑発的ではなく国連活動やアフリカ諸国軍の訓練に従事しているも表現している

8月の産経記事等によれば
Djiboutiは人口83万人の小国で、住民のほとんどがイスラム教徒の貧しい国。同国のCamp Lemonnierには、海軍を中心とした米軍人約4000名が展開し、海賊対処や地域の要請に応えるための艦艇や航空機等の展開への支援、またアフリカ諸国との関係促進のために所在している
自衛隊もソマリア沖のアデン湾に出没する海賊から商船を守る目的で2009年からP-3C哨戒機と護衛艦を派遣。2011年には海賊対処の拠点となる基地を設け、海上自衛隊や陸上自衛隊の隊員約180人が活動を続けている

Djibouti Guelleh.jpgジブチは親米路線をとっていたことで知られていたが、今年に入り、ゲレ大統領が5月、ジブチに基地を設置するための協議を中国と行っており、中国の進出を歓迎すると、コメントした
●ジブチと中国の関係は良好で、中国はジブチの空港、港湾、鉄道などのインフラ整備にこれまで90億ドルを供与

●中国が基地の建設を計画しているのがジブチ北部のオボック(Obock)。基地が完成すれば、中国はフリゲート艦や補給艦などの海軍艦艇を恒常的に配置することが可能になる。
●海軍艦艇の寄港だけでなく、中国は基地を航空機の発着に利用しようとするのは確実とみられ、「大型機の発着が可能な滑走路ができれば、中国本土から直接、兵員などを搭載した輸送機が飛来することも可能になる」と防衛省幹部は注目している
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Djibouti.jpgこれだけで何か語れるわけではありませんが、中国とアフリカの関係を見る上での「サンプル」又は「指標」として今後の動向が注目されましょう。

こんな単純化した言い方は好みではありませんが、ジブチの歴史を振り返るに、醜い植民地主義の歴史を学ぶ「縮図」の様な気がします
中国の動きは心配ですが、一方で欧米諸国をアジアの中国が脅かすのを、何らかの爽快感を持って見つめてしまうジブチの歴史です

wikipedia「ジブチ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%81

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中国軍機の南シナ海展開は「塩害」との戦い!? [中国要人・軍事]

Woody Island3.jpg10月30日に中国軍webサイトが南シナ海で活動する海軍戦闘機J-11BHの写真を公開し、西側プレス(日本を除く)では「西沙諸島のWoody Island:永興島」に展開した戦闘機の活動写真だとの見方が共有されつつあります。

米国防省は本件に関し「だんまり」ですが、状況を確認しているのでしょうか? あまり聞きたくないニュースでしょうが・・・。

「西沙諸島に中国戦闘機展開?」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1

当然、南シナ海正面で最南端の中国軍航空基地だった海南島より、中国の航空戦力拠点が約360㎞南下したインパクトは大きいのですが、その辺りをPaul Giarra氏等が整理していますのでご紹介します

また一方で、亜熱帯の海に近接した飛行場での戦闘機の運用は、「天候や塩害等の影響もあり単純ではない」との指摘もありますので、「プロの視点」としてご紹介します

8日付Defense-News記事によれば
Woody Island5.jpg●「Woody Island:永興島」に新しい戦闘機の拠点ができたとすれば、EP-3電子偵察機やP-8対潜哨戒機などの米軍機の活動に障害となるだろう。2001年にEP-3と中国戦闘機が接触した事件や、2014年に中国気がP-8に嫌がらせ飛行を行ったことが示している
●CSISのBonnie Glaser南シナ海研究部長は、中国は、米国や他の周辺国、および自国民に対し自国の領域を守る意図を示そうとしている、とみている

●さらに南の「スプラトリー諸島」には、更に3か所(Subi Reef, Mischief Reef and Fiery Cross)で飛行場や港湾施設の建設が進んでおり、格納庫や燃料タンクを含む施設からすれば、少なくとも定期的に航空戦力がローテーションで派遣することが可能になる

●またPaul Giarra氏は、中国戦闘機やミサイル部隊の南シナ海展開が、台湾や米国を含むすべての関係国に負の役割を果たすとして、いくつかの視点で整理している
Giarra.jpg●まず「中国の海上行動を防御できる」、また「軍事的に中国の主張を固め、法的な他国の訴え遂行を困難にする」、「軍事作戦で中国を諸島の拠点から排除することが困難になる」、「中国本土を含めた軍事拠点のネットワーク形成拡大に貢献する」と指摘している

●更にGiarra氏は、「軍事的に軍用機の作戦可能半径を劇的に拡大し、給油や要員交替で連続的な任務遂行が可能になる」ことや、「中国によるA2AD網の拡大や海洋進出エリア拡大をサポートする」点を指摘している

一方で南海での作戦航空機運用は容易でない
Magong AFB.jpg●台湾の研究機関トップのAlexander Huang氏は、台湾空軍がMagong空軍基地(台湾西方50㎞の台湾海峡にある澎湖諸島:Penghu Islands)に戦闘機を展開させている経験からすれば、天候や塩害対処は最新の航空機には厳しい環境であり、実質的な軍事的影響を結論付けるのは時期尚早だと語っている

●CSISのGlaser南シナ海部長も同様の見方を持っており、「私の理解では、スプラトリー諸島には戦闘機は短期間しか展開できない。塩害で長期の滞在は機体に問題を起こす」と語っている
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「西沙諸島のWoody Island」や南の「スプラトリー諸島」は、台湾のMagong空軍基地よりはるか南にありますから、さぞや「塩害」が激しいことでしょう。
J-11 Woody.jpgまた、周りに緊急避難する「代替飛行場」も確保できない中、サメも豊富な海上で飛行するのは「しびれる」任務かも知れません。

でも、「戦略核ミサイル搭載潜水艦の聖域」を南シナ海に打ち立てたい中国軍のことですから、なんでも命じてやってしまうのでしょう・・・たぶん。時間が多少かかっても。

激動:中国軍と「航行の自由作戦」
「海上民兵:maritime militia」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-04
「西沙諸島に中国戦闘機展開?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1

「米海軍筋が航行の自由作戦を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-01
「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30

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