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岩国配属F-35Bがホット給油&給弾訓練 [亡国のF-35]

Iwakuni-35.jpg17日付Defense-Newsが、岩国基地で行われた米海兵隊F-35Bの実戦的給油及び給弾訓練の様子を報じています。

4月の6日と11日にそれぞれ行われた訓練のようで、北朝鮮の記念日である15日に向け、「ショーアップ」され発信された感が漂っていますが、2015年に初期運用態勢確立を宣言しながら、今頃この訓練が初めてかよとか、まだまだ海外初展開F-35Bが戦力になるには時間が必要なんだなぁ・・・と感じさせる記事内容なので、そちら方面への関心からご紹介します

おまけで、大騒ぎだった空母カールビンソンの急遽「北上」指示に関し、緊張が高まった4月15日時点で、同空母がインドネシアの海峡を通過していたことが判明しましたのでご紹介します。

大まかな岩国F-35B部隊の今後の予定
現在10機が配備されているが、夏には6機追加され、計16機となり飛行隊編制が完結する
秋には強襲揚陸艦「Wasp」に搭載され、第31遠征海兵軍として海上訓練に臨む。なお強襲揚陸艦「Wasp」は、ノーフォークから佐世保に移送する本年末以降、第7艦隊所属となり、現所属の「Bonhomme Richard」はサンディエゴで修理に入る

ホット給油&給弾訓練について
F-35B-2.jpg●米海兵隊の発表によれば、岩国基地でF-35Bを運用する部隊VMFA-121は、エンジンをかけたままでの爆弾搭載訓練と他機からの燃料給油訓練を地上で行った。

●なお他機からの給油訓練は、ADGR(aviation-delivered ground refueling)と呼ばれるが、地上でエンジンをかけたままのF-35Bに対し、KC-130J空中給油機から直接給油し、給油速度の確認検証が行われた
●米海兵隊によれば、このような航空機から航空機への地上での直接給油は、設備不十分な緊急展開基地や代替基地等での運用を想定したモノで、部隊の運用レベルが一段と高まったことを示すものである

●また海兵隊によれば、6日に同飛行隊では、エンジンをかけたまま1000ポンドの誘導爆弾GBU-32(JDAM)をF-35Bの内部爆弾庫に搭載する訓練も行われた
●なお、同爆弾がF-35B内部爆弾庫に搭載されたのは、岩国での訓練のわずか2日前に、アリゾナ州ユマ海軍航空基地の戦技教官コースで行われたのが最初だった

●この様にエンジンを駆動させたまま給油や給弾を行う事により、一端エンジンを停止して行うより時間が節約できて実戦的であると共に、機体への負担を軽減したり故障発生を抑えることが出来る

あの日、あの空母は遙か南方海上にいた!
(別の17日付Defense-News記事より)
Carl Vins.jpg米海軍が公表した写真によれば、15日にカールビンソン空母群はインドネシアのスンダ海峡(スマトラ島とジャワ島の間)を通過しており、朝鮮半島からは3500nmも南にいた
●元々の予定では、豪海軍との演習がインド洋で計画されていた。(まんぐーす注:つまり、予定通り豪海軍との演習をインド洋で行い、その後インド洋から移動を開始してインドネシア列島を北上通過したものと考えられる)

8日に豪州行きが急遽変更され、「北上」すると明らかになった際は、ただちに朝鮮半島近海に急行するものと世界で話題になったが、太平洋海軍関係者もペンタゴン関係者もその行動に関しコメントしておらず、匿名では「驚いている。そんなこと誰も言及していない」との話も聞かれた
●ただ複数の関係者は、具体的な日時についてはコメントを避けたが、25日頃に韓国近海に達するとの韓国報道を強く否定はしなかった

●しかし、カールビンソン空母群以外に、空母ロナルドレーガンと空母ニミッツも数週間以内に朝鮮半島周辺に派遣されるとの報道については、複数の関係幹部が強く否定した
空母レーガンは横須賀で5月まで定期修理を行っており、修理終了後も、乗員等のリフレッシュ訓練にある程度の期間が必要である。また空母ニミッツは加州南で訓練中で、カールビンソンの交代で西太平洋に派遣される予定だが、それを早める考えは全くないようだ
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空母カールビンソンの動きに関しては、13日掲載の記事で「予定の訓練はそのまま実施」「15日には間に合わない」と米海軍協会web記事を引用してご紹介していましたが、おかげさまで正しかったことが明らかになりました

Kadena-Full.jpg岩国でのF-35Bの「実戦的訓練」アピールや、12日に嘉手納米空軍の全機フル兵装出撃準備訓練写真公開、空母「北上」やMOAB使用等々、メディア的な話題には事欠かないのですが、核実験をさせないように、「敷居」を超えないように、必死でプレッシャーを作為していたんでしょうか?

やるときには奇襲効果を狙うでしょうから、落ち着いて考えたいモノです。にわか軍事専門家にも注意ですし・・・

海兵隊のF-35ですが、JDAMを初めて内部に搭載したとか・・・そんな段階で2年も前にIOC(初期運用態勢)宣言するなよ!!! 「Hot Refuel」ぐらい、岩国に展開する前にしっかり訓練して来いよ!!!と叫びたい気分です。

関連の記事
「国防長官は空母の朝鮮半島?派遣をどう語ったか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-12
「道遠しNIFC-CA試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-26
「海兵隊F-35は岩国の次に中東へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03-1

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今週末に米空軍F-35が初海外訓練展開で欧州へ [亡国のF-35]

米軍事メディア記事への正鵠を得た読者コメント
「エアショー参加に毛が生えた程度の少数機展開を、訓練と呼んで海外売り込みにつなげたい意図が見え見え。まだ未実施の試験が山済みで、要求性能も満たしてないくせに・・・」

Luneberg Lens.jpg14日、米国防省がプレス発表で、今週末にも初の海外展開訓練のため「欧州」に移動すると明らかにしました。

行先は「欧州」とだけの言及で国名や基地名は未公表で、展開機数も「a small number of F-35A」とだけの発表です。展開期間については「数週間:for several weeks」と言及しています。

そのほか公式声明では
●「長期にわたって計画を練ってきた」展開で、派遣された米空軍F-35は米軍の他航空機やNATO加盟国の航空機と訓練を予定する。
●「European Reassurance Initiative」の一環としての展開である

●この訓練展開は、F-35計画の進展を示す重要な一里塚であり、米空軍が第5世代機の能力を披露する機会でもある
●また今回の展開では、欧州で2020年代初頭にF-35A基地となる予定地の、諸要求精査を手助けすることも目的の一つである

14日付Defense-News記事によれば
Luneberg Lens2.jpg●米国防省の公式声明は展開地を欧州としか言及していないが、一つの有力候補として、F-35Aを54機受け入れる予定になっている英空軍の Lakenheath基地が考えられる。
同基地は、計画では2020年から同機を受け入れ開始予定であったが、現時点で1~2年遅れる見込みとなっている

●今回の米空軍F-35の欧州展開発表も、トランプ大統領の思い付きではと勘繰りたくもなるがオバマ政権時代から長く検討されてきたものであり、公式発表の通りである
●昨年12月には当時のJames空軍長官が「初期運用態勢確立を宣言した米空軍F-35は、遠くない将来、欧州に展開するだろう」「来年夏までに実現しなくても驚きはしないが」と述べ、今年2月にはACC司令官が「春には欧州かアジア太平洋にF-35を派遣する」と語っていたところである。

●なお、中東への派遣に関し同カーライルACC司令官(当時)は、「(欧州やアジア太平洋地域の)a couple years later」と表現してた。
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Luneberg Lens3.jpgアジア太平洋地域への展開となれば、豪州か日本か韓国でしょうが、この時期の展開は北朝鮮への刺激が強すぎそうなので、豪州になるのでしょう。または「肩透かし」で、アジア太平洋地域の部隊であるアラスカの米軍基地かもしれません・・・

冒頭のコメントは、14日付Defense-Newsの関連記事の読者コメント欄に寄せられたコメントで、多くの読者の賛同を集めています。

Luneberg Lens4.jpgなお、この記事でご紹介している写真は、F-35がレーダー反射面積を意図的に増やし、レーダーに見えやすくする装置(Luneberg Lens)を装着している写真です。

この装置は他のステルス機(F-22とかF-117とか)でも確認されていますが、訓練時の安全確保のためとか、訓練時に真のステルス性を暴露しないための装置とか言われているものです

European Reassurance Initiative関連
「欧州への米空軍派遣や訓練を増加へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「欧州米軍予算を4倍増」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2
「米軍が北欧でも演習増加&強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29

「欧州に米陸軍装備の事前集積強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-10
「東欧4カ国で4個大隊交代派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-17
「対露大演習でNATO大編隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-14
「欧州を主戦場にサイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11

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Bogdan中将退役でF-35計画室長は海軍人へ [亡国のF-35]

お疲れ様でした! Bogdan空軍中将殿!

Winter.jpg3月28日、米国防省はF-35計画室長のChristopher Bogdan空軍中将が数週間後に退役するのに伴い、昨年12月から同副室長を務めているMathias W. Winter海軍少将を中将に昇任させて室長ポストに就けると発表し、上院でWinter少将の中将昇任が認められれば直ちに交代するとしました

Bogdan空軍中将は、同ポスト就任直前に「ロッキード社との関係は、私が知りうる限り最悪だ」と発言して大きな注目を集める中、室長職を海軍中将から2012年12月に引き継ぎ、4年以上の激務を乗り切りました

遅延と追加予算要求の繰り返しが続いていたF-35計画を、再整理して実行可能性のある計画に再セットした計画に基づき、同中将は就任後繰り返し、F-35計画室は更なる予算や時間を今後要求しないと内外に発信し、必ずしも守れたわけではありませんが、全力を尽くしてきた人物です

Bogdan6.jpg就任して半年ほど経過した頃から、Bogdan空軍中将のF-35とロッキード社への批判的なコメントが急に影を潜め、予算強制削減の影響下、製造機数を確保するため海外への売り込みを意識した態度に豹変したのには興ざめでしたが、宮仕えの軍人官僚として立派にその任務を果たしたと思います

また、海兵隊と米空軍の初期運用態勢確立を、無理矢理こじつけだと言われつつも、実現した事は歴史的事実として記憶されるでしょう

特に最後の最後になって、トランプ新大統領がF-35計画を破綻した制御不能なプロジェクトだと発言する事態に見舞われましたが、ロッキード社と協力して大統領への事業説明を行い。何とかなだめて現状を理解させたことは、記憶に新しいところです

何よりも装備品開発に経験豊富で、しかも熱血漢で正義感も強く、次々と発生するトラブルと意地悪なプレスの取材にも、正々堂々と軍人らしい潔さを持って対応するBogdan中将の人柄への信頼感が、F-35計画をここまでサバイバルさせたと言っても過言ではないと個人的に感じています
Winter2.jpg
しかしトランプ新大統領は、米海軍空母艦載用のF-35C型に関し、改良したFA-18との費用対効果比較を行うよう国防省に命じており、まだまだ一波乱ありそうな雰囲気ですが、ここで海軍人が室長を引き継ぐことで、大統領対処体制を整えたのかも知れません


Winter次期F-35室長はどんな人?
1984年ノートルダム大学卒業で海軍に入り、空母艦載攻撃機A-6E Intruderの爆撃手・航法員として空母サラトガ、アメリカ、アイゼンハワー、ワシントンで乗艦勤務
Winter3.jpg●装備品開発や調達業務経験は、「Joint Standoff Weapon System」計画責任者補佐、F-35計画上級補佐官、F-35飛行推進主任エンジニア、トマホーク全面改修計画責任者補佐、戦術航空機計画担当幹部のスタッフチーフ、「Precision Strike Weapons」計画責任者などを経験

●将軍になってからは、「Naval Air Warfare Center」の兵器部門司令官、「Naval Air Systems Command」試験評価司令官補佐、「無人航空攻撃機」計画責任者、等を経て、2016年12月に副室長に就任するまでは米海軍の開発部門のトップであるCNR(chief of Naval Research)

ちなみにBogdan中将は・・・
1983年空軍士官学校を卒業したテストパイロット。KC-135や戦闘爆撃機FB-111部隊で勤務し、その後専門のテスト操縦者として35機種以上に搭乗する。その後、新装備開発計画の全般管理業務に従事。
●開発にかかわった機種は多数あるが、大尉や少佐としてB-2、准将時代には新空中給油機KC-46の開発計画全般にかかわり、初の固定価格契約を実現した。

Bogdan3.jpgBogdan4.jpg●その他にも、ミサイル防衛、電子戦やネットワーク、特殊作戦用システムの各開発・計画管理監督業務を経験。また兵站や調達分野での勤務も多く、米空軍の補給コマンド、兵站調達担当国防次官の軍事補佐官や空軍省の兵站ポストを経験している。
●Bogdan中将も室長就任の約5ヶ月前から、副室長として業務の掌握と引き継ぎを行っている
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まだまだ、一山も二山もありそうな「亡国のF-35」ですので、Winter暫定中将にはますますご活躍頂きたいものです!
最初の会見の「雰囲気」に注目したいと思います。気が向けば・・・ですが・・・

Winter次期F-35室長の公式経歴
http://www.navy.mil/navydata/bios/navybio.asp?bioID=578

Bogdan中将のご就任当時は
就任時→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-05
発表時→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-09-1

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F-35に追加で2発のAIM-120搭載検討へ [亡国のF-35]

F-35 AIM120.jpg3月22日、米国防省F-35計画室長のChristopher Bogdan空軍中将が講演後に記者団に対し、F-35の2つある内蔵兵器庫(Internal weapons bay)にそれぞれ1発づつのAIM-120アムラームを追加搭載する改修を検討していると語りました

現在は2つある内蔵兵器庫それぞれに、アムラーム2発またはアムラーム1発&JDAM1発が搭載可能ですがこれをアムラーム3発またはアムラーム2発&JDAM1発が搭載可能にする方向の検討が為されている模様です

米空軍では次世代制空機「PCA:Penetrating Counter-Air」(第6世代戦闘機とは呼ばない掟あり)が山場を迎えつつアリ、対中国の戦略・戦術環境を踏まえ、弾道&巡航ミサイル脅威が厳しく、かつ作戦根拠基地が少ない西太平洋戦域を念頭に速度や機動性より、航続距離や弾薬搭載量をより重視する方向性が示されています

PCA関連の記事
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

F-35weaponrele.jpg具体的には、航空機弾薬庫(arsenal plane)なる用語が登場し、少ない機数を補うため、弾薬を多数搭載できる爆撃機(B-52)を最前線戦闘機等の「空中弾薬庫」としたり、有人戦闘機が無人機をウイングマンとして従える試験等が試みられています

また戦闘機自体にも、F-15の近代化改修オプションとしてボーイング社は「F-15 2040計画」を打ち出し、空対空ミサイル搭載数を現在の8発から16発に倍増するプランを提示しています。

現在の兵装形態も、多様な議論やシミュレーションを踏まえて決定されたのでしょうが、今になってF-35の兵装を「いじる」話が出てきたのは、上記のような脅威認識が背景にあると推測します

3月22日Bogdan空軍中将は記者団に
F-35 wep bay.jpg●内蔵兵器庫(Internal weapons bay)それぞれに各1発のアムラームAIM-120を追加搭載可能にすることで、ステルス性を犠牲にする事なく、空対空能力を強化できる
第3のミサイルを追加搭載可能な潜在性をF-35は持っている

機体改修が行われるのは、F-35能力向上「Block IV program」の一部としてであろうが、米軍もパートナー国等も興味を示しているところである
●F-35に追加搭載するためにアムラームを改修する必要はなく、現在使用しているそのままのAIM-120が搭載可能となる。恐らく、内蔵兵器庫の開閉式扉に追加搭載することになるだろう

ただし追加搭載は単純作業ではなく、多くの機体設計や改修検討が必要となる。(注:いつ追加搭載が可能になるかの見通しについては、言及しなかった
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「There is potential … to add a third missile on each side」との表現振りですが、ミサイル改修は不要とか、かなり検討が進んでおり、予算さえ許せばその方向に進むのかも知れません
f35-bay.jpg「F-15を強制退役させ、改修F-16で穴埋め」計画が出てきた事が原因で、アムラーム2発追加搭載の話が出てきたわけではないでしょうが、米空軍は脅威の変化をうけた改革に努力しています

しかし、左図を見る限り簡単に扉に追加1発な様には見えないのですが・・・

今更、空対空戦闘かよ・・・とも言いたくなりますが、日本の戦闘機命派の皆さんは、巡航ミサイルを戦闘機で迎撃しようなどと考えているかも知れませんので、悪のりして「追加で2発アムラーム」を要求するのかも知れませんね・・・
戦闘機のことだから、追加の改修経費など簡単に他を犠牲にして捻出するでしょうし・・・

PCA関連の記事
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

多くの弾薬を前線へ
「弾薬庫航空機に向けB-52改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「同構想とB-52」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12
「F-15Cが引退でF-16で補完?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23
「現実的なF-15能力向上案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15

くたばれ日本の戦闘機命派
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
「F-35の主要な問題点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

空自OBに戦闘機を巡る対立
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05 

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Red Flag演習でのF-35成果とF-35座席問題の状況 [亡国のF-35]

F-35 ejection 2.jpg10日、米空軍F-35導入室長のScott Pleus准将がインタビューに答え、射出座席の不具合で体重61.7kg以下の操縦者にF-35搭乗禁止令を出している件について、座席等の改修方針の確認試験が3月で全て終了し、4月には「搭乗禁止令」解除の方向にあると語りました

しかし、4月に制約が解除されると言っても、改修方針が認可されるだけであり、実際に全ての座席改修が終了するには約2年必要と見積もられているようです。
なお、これらの見積もりは全て米空軍用F-35に関する話で、航空自衛隊用のF-35がどのような扱いになるのかは不明です

一方、米空軍内には問題の英国製座席(Martin-Baker製のUS16E)に対する根強い不信感があり、これまで米空軍の主要作戦機が使用してきた米国製(United Technologies製のACES 5)を代替候補として承認しておこうとの動きが続いており、「英国製に隙あらば座席変更」の可能性は否定できず、国家間の製造分担比率の絡む「火種」はくすぶり続けています

おまけで米空軍F-35が「Red Flag 17-1」でそれなりの実力を示し、延び延びになっている欧州パッケージ派遣に目途が立つのでは・・・と思わせぶりな14日付Defense-News記事が出ましたので、F-22との役割分担の考え方らしき部分も含め、戦闘機命派の皆様にお知らせします

13日付Defense-News記事によれば
F-35 Ejection.jpg●2015年に発覚したF-35射出座席の問題は、射出時に軽量操縦者が首を負傷する恐れがあるというモノで、対策とし座席に体重に応じた切り替えスイッチを付加して射出のタイミングを調整する事、射出時に頭を支えるパネルを座席に付加すること、更に操縦時に着用するヘルメットHMDの重量を約250g削減する事の「3つ」で対応を想定しています
●この3つの対策について種々の試験が進み、残りの試験は「電磁環境試験」で、様々な電磁波が飛び交う環境下で、座席が不時射出しないかを確認する試験です。

●最後となる同試験は3月に予定されており、その結果を受けて4月には体重制限を解除出来るのではないかとPleus准将は語った。この対策が実行されれば、要求性能値である体重約47~111kgの操縦者全てが搭乗可能となる
●対策が確定承認できたら、まずF-35操縦者を育成する教育訓練部隊のF-35の改修作業を優先して行うが、1機当たり2~3ヶ月必要と見込まれている。改修に必要な部品の調達は先行して手続きが進められているが、全機の改修完了には2年間必要だと国防省F-35計画室関係者は語っている

代替座席を求める声が依然強く
F-35 ejection 3.jpg米空軍内には問題の英国製座席を米国製に交換すべきとの声が依然として根強くアリ、今後更なる問題が英国製に発生した場合の代替座席を承認しておくべきとの声を受け、米空軍の調達担当部長であるBunch中将が国防省に対し、米国製座席導入のコストやF-35計画全体への影響分析を行うよう要求している
●米国製座席影響分析は3月が締め切りとなっており、分析結果を踏まえ、米国製座席の代替承認に米空軍は進むと見られている。ただし米空軍F-35導入室長のPleus准将は、現時点で私は米国製座席について何のデータも持ち合わせていないので、安全、価格、スケジュール等観点で何も言えないとのみコメントしている


米空軍F-35の「Red Flag 17-1」成果
10日までの約3週間行われた「Red Flag 17-1」は、これまでF-35が参加した事の無い厳しい脅威環境が設定され、米海兵隊F-35Bや米空軍F-22等のほか、英空軍タイフーン戦闘機や豪空軍のE-7早期警戒管制機も参加して実施された。
Pleus3.jpg●Pleus准将は同演習を、米空軍F-35が6~8機のパッケージで展開し、同盟国等と訓練等が可能かどうかを検証する意味でも「milestone event」だったと表現している

●昨年末、当時のJames空軍長官は2017年夏には米空軍F-35が欧州に展開可能になるだろうと発言していたが、地域戦闘コマンド司令官等から派遣要望が出るような実力を示す必要がある
●演習の最終的な分析はまだ出ていないが、空中戦闘では15対1で敵想定戦闘機に勝利し、地上目標攻撃では27目標中の25目標攻撃に成功(残り2目標は爆弾の不具合)、整備体制も90%の稼働率を確保

●Pleus准将はいつ欧州派遣が実現するかを明言しなかったが、全ての観点から新たなチャレンジを行う準備は出来ていると語った。当該F-35飛行隊長も「エキサイティングな事が控えているが、何も言えない」と言葉を濁している
●(ただし気になる発言としては・・・)演習に参加した作戦運用と維持整備関係者は、演習の最後の週になってF-35のパフォーマンスが向上したと語っていた。

3日付Defense-News記事では
F-35two.jpg●同飛行隊長はF-35Aの性能に関し、米海軍のEA-18G電子戦攻撃機の操縦者に「F-35ha多様な脅威とどのように戦うのだ?どのように妨害が可能なのか?」と問われたら、この様に戦うと説明できる
●EA-18Gとデータリンクで敵情報を共有して対処することも可能だが、EA-18Gが電子妨害など電子戦攻撃で敵を凌駕する一方で、F-35は「go ahead and take it out」が可能

●敵が優れた地対空ミサイル等を保有している場合にF-35は優れている。従来は最初に、スタンドオフミサイル等で敵SAMを排除することに全力を尽くす事から始めた
●しかし今回の「Red Flag」では、F-22がスタンドオフミサイルで制空戦闘機を排除し、F-35はサイバー宇宙電子情報アセットである「RC-135 Rivet Joint」とチームを組み、目標情報を共有し、ステルス性を生かして敵SAM射程内に進入して攻撃する。これは第4世代機には危険で不可能なやり方だ
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本来なら、英国や豪州よりも先に、少なくとも同時期に、脅威の最前線にある日本の航空自衛隊は、「Red Flag 17-1」に呼ばれて同盟国としての作戦訓練や共同作戦の検証に参加すべきですがなぜか呼ばれません。安倍総理はトランプ大統領といち早く仲良くなったのに・・・

F-35 luke AFB.jpg日本は共同開発国ではなく、後出しFMS購入国だからとか、色々言い訳はあるでしょうが、日本がF-35の事をよく分からないまま、つまり日本が保有するF-15やF-2との連携など全く考えず、戦闘機飛行隊数と戦闘機総数の維持だけを考えて購入したからでしょう。
航空自衛隊のアセットが参加しても、何も出来ないんじゃないでしょうか・・・心配です・・・

まぁ・・・対中国有事では役立たなくても、最近話題急上昇の北朝鮮「策源地攻撃」とかを持ち出して、F-35を宣伝する輩が戦闘機命派に現れるのでしょう・・・

F-35の主要課題
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
F-3開発の悲劇と日本への提言
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18

F-35の射出座席問題
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25

「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1
「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02

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F-35最終試験は1年遅れでも計画通りは不可能 [亡国のF-35]

今年夏の開始が期限だったF-35最終試験が、来年の夏になっても実施の目途立たず

F-35 luke AFB.jpg16日、国防省F-35計画室長のBogdan中将が下院軍事委員会で証言し、以前から繰り返し国防省試験評価局が「少なくとも16ヶ月は開始が遅れる」と指摘していた、今年夏までに開始予定の完成版F-35での最終試験開始時期について、1年後でも必要な機数が確保できないと認めました

そして、試験に必要とされている23機が確保できないが、試験開始が遅れると経費がかさみ、試験で明らかになる不具合対策を生産ラインに反映させるタイミングが遅れるため、少ない機数でも可能な部分から試験を開始できないか関係部署と相談したいと述べました

Gilmore.jpgこの試験は初期作戦運用試験(IOT&E:initial operational test and evaluation)と呼ばれるもので、当面の完成版ソフト「3F」を使用した総合的な能力確認試験で、今年1月に試験評価局長のレポートでは、今年8月までに開始する予定となっている同試験(IOT&E)は、主に「ソフト3F」開発の遅れで、早くとも16ヶ月開始が遅れ、2018年12月から2019年当初の開始となるだろうと指摘していました

一方でF-35計画室側は、数ヶ月遅れる可能性があるがまだ不確定と言い続けていましたが、結局再び、Gilmore試験評価局長の指摘が極めて正確であったことが示されたわけです。
1月10日発表のレポート紹介記事
「システム試験は6割も残置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-13

17日付米空軍協会web記事によれば
●16日、下院軍事委員会で証言したBogdan中将は、夏までに開始する計画となっていた最終試験「IOT&E」に必要な「ソフト3F」搭載の機体23機が準備できず、1年後も18機程度しか準備できないのが現状だと認めた
●しかし同中将は、試験開始を1ヶ月遅らせる毎に、毎月追加経費が33億円発生し、かつ、試験で発生した不具合対処と生産ラインへの反映が遅れることにより、不具合を抱えた機体の生産がより長く続くことの問題を訴えた

Bogdan3.jpg●そこで国防省F-35計画室長は、試験評価局に少ない機数でも、可能な試験項目から出来るだけ早期に開始できないか要請していると明らかにした
●同中将は更に、「試験に必要な23機が準備できないと言っているのではない」「提供できる範囲の機体で可能な試験を早期に開始できないか依頼している」と説明し、準備が間に合わない機体を可能な限り早期に準備することを約束するとも証言した

スケジュール維持を優先するあまり、必要なシステム設計を簡易に行ったり、開発手順を省略しているのではとの議員からの指摘に対してBogdan中将は、「近道するようなことは決してしていない:I never cut corners」と反論した
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1月10日に試験評価局が発表したレポートは・・・
●未対策、又は対策不十分で遅れにつながる16分野を指摘
mission systems試験の進捗は41%で、試験の進捗で要確認項目が増加中
初期製造の機体は信頼性が低く、試験のペースに対応できていない
●今後の最大の課題は関連サブソフトとの融合試験
・・・・等々を厳しく指摘

F-35-Face.jpgレッドフラッグ演習で素晴らしい性能を発揮したとか、間もなく欧州に展開かとか、色々「大本営発表」が続いていますが、これが実態です。

試験評価局は議員立法で誕生した「国防省の開発もの監視機関」で、そのレポートは「歯に衣着せぬ」辛辣な表現が並びますが、少なくともこれまでのF-35計画に関する評価は正しかったと言えます。今後も注目です

なおBogdan中将には、トランプ大統領から直接電話がこれまで2回もあったそうです。電話の際、トランプ大統領の側はFA-18を製造するボーイング社のCEOが同席していたこともあり、「秘密情報には触れていない」と同中将は説明していますが、さぞかし「しびれる」電話だったと想像いたします

関連の記事
「システム試験は6割も残置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-13
試験と訓練を急いで火災事故 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-22-1
空軍機火災の原因は不明のまま→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-09

「トランプ再びFA-18大量発注を示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-18
「トランプ:F-35の代替にF-18改良型を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1

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再びトランプがFA-18大量購入を示唆 [亡国のF-35]

「(FA-18の)大量発注を真剣に検討中。そのうち明らかになる」

Trump rullout.jpg17日、トランプ大統領がボーイング社の旅客機完成式典に参加しF-35の価格が下がらなければ最新型FA-18を米海軍用に大量購入する可能性を再び示唆しました。

トランプ大統領は、昨年12月12日に「F-35開発計画とそのコストは制御不能」とツイートし、クリスマス直前の22日には再びツイートで「ロッキードマーチン社F-35の恐ろしく莫大な費用とコスト超過を考え、私はボーイング社に同等のF-18製造価格を問い合わせたところだ」と発信して関係者に衝撃を与えました

その後、ロッキードCEOや国防省F-35計画室長等がF-35価格の将来低下等を説明し、規定路線そのままながら「価格の大幅低下」で政治的決着を図ったように見えました。
もちろんマティス国防長官には、F-35Cと最新型FA-18との性能や価格比較を実施して報告するよう命じていましたが・・・・

そんな中、式典参加のためサウスカロライナ州を訪れたトランプ大統領は、プリーバス首席大統領補佐官らとボーイングCEOと協議した後、冒頭の言葉を含むスピーチを行いました

17日付Defense-News記事によれば
FA-18 XT.jpg●17日、ボーイング社の旅客機「787-10 Dreamliner」完成披露式典に参加したトランプ大統領は、「我々は米国軍を再建する。ところで、FA-18を活用するアイディアはどうだろう。それともあれ(F-35)だけで行くか。どう思う?」「(FA-18の)大量発注を真剣に検討中。そのうち明らかになる」と語った
●更にFA-18に関して言及し「課題はボーイングCEOのDennis(Muilenburg)が、とてもtough negotiatorであることだ」と語った

●また同日のスピーチ後、大統領は記者団に対し、仮にF-35価格が継続して低下しなければ、将来のF-35調達を中断(削減)し、FA-18を追加発注すると語った、またTimes誌のZeke Miller記者によれば、大統領はFA-18のステルス性向上改修の推進派である
●式典の行われたボーイング工場では、大統領とボーイング関係者の面談が行われ、同席したプリーバス首席大統領補佐官の手には「FA-18 XT」、つまり「Block 3又は Advanced Super Hornet」の説明史料が確認されている

Muilenburg.jpg米海軍は2017年度予算で2機のFA-18を葉注しており、2018年度予算にはFA-18の最終調達となる14機が含まれる予定である。しかし、この大統領発言により、まだ断定できる段階には無いが、ボーイングが追加発注を受け生産ラインが維持される可能性が生まれた
●大統領就任直前にトランプ氏は、ボーイングと国防省F-35計画室の双方から話しを聞いているが、その様子についてBogdan国防省F-35計画室長は、空母艦載用F-35とFA-18の適切な組み合わせ検討に資するものだったと表現していた

●なお、もう一つのボーイング社関連の懸案である大統領専用機「Air Force One」後継機については、「前政権による難しいプロジェクトだが、決着に向け少しづつ近づいているように思う」と大統領は語った
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F-35に関しては、規定路線の価格低減を利用し、大統領の豪腕で価格を下げさせたかのように見せる「政治ショー」で幕引きかと思っていましたが、まだまだ続きがありそうです。
F-35-canopy.jpgFA-18をいくら改良しても、F-35C並みの性能は難しいでしょうが、もともとF-35Cにそれほど肩入れしていなかった米海軍を上手く利用し、F-35製造ロッキード社との「ディール」環境を作っているのかもしれません。

誰が大統領の後ろで作戦を練っているのか不明ですが、面白い展開になって来ました。
日本では、中国A2AD対処の米軍戦略を巡り、ASBからOSC、更にはDBDやASL-Bなどの戦略の比較や言葉の解釈で盛り上がっているようですが、実際はこのようにドロドロした世界で流れていくのです

机上の空論だけでなく、学者の論争だけではなく、政策担当者の生の発言や動向をフォローする努力を怠っていては、米国の真の対中国軍事動向は読めませんし、当然日本の政策への提言など出来ません
Tokyo.jpgまぁ・・・防衛省や自衛隊の研究組織には、現場の実態を直視し、あるべき方向性を提言する覚悟と意気込みが決定的に欠落しているので、期待してはいけないのでしょうが・・・

その典型が、最近航空自衛隊内に設置された「幹部学校航空研究センター」であり、その成果物である「エアパワー研究」です。
「現実から遊離した机上の学問よりも、実際の日常活動を通じて行動することこそ、真の学びである・・・常に現場のことを考え、現場が必要とする真の研究活動を継続していきたい」とのスローガンが空しく響く中身です・・・

「エアパワー研究」第3号
http://www.mod.go.jp/asdf/meguro/center/20_stdy/arpw03/index.html

トランプ氏とF-35
「政治ショー?価格削減公表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-25
「F-35の代替にF-18改良型を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1
「F-35予算削減ツイート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13

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伊の軍需産業会長:F-35で米国にだまされた [亡国のF-35]

Italy F-35.jpg10日、イタリアの元国防次官で現在はイタリア軍需産業界会長を務めるGuido Crosetto氏はF-35の維持整備や製造分担に関し、米国やLockheed Martin社は当初の約束を破り、イタリアの担当分担が大幅に削減されていると不満を爆発させました

イタリアは2002年にF-35共同開発国に加わり、開発に約1100億円を投資し、同時に131機を購入する決定をしています(後に90機に削減決定してますが・・・)
当時これだけの投資が政治的に受け入れられたのは、米国やLockheed Martin社から、投資額に応じた相応の部品製造や維持整備分担をイタリア配分すると約束されたからなのに、現状では当時の約束1/3以下程度しか配分が実現しないと激怒しています

そして更に同氏は、今年予想されるイタリア総選挙を引き合いに出し、F-35計画へのイタリアの参画が政治的に支持されなくなる可能性を示唆しています。
イタリア軍需産業側だけの言い分ですから、「workshare」に関する約束や実態がどうなのか断定は出来ませんが、諸外国にF-35を購入させるため、米国やLockheed Martin社が「バラ色の夢」を誇張して語った可能性は否定できず、世界中で同様の問題が生起しそうですのでご紹介しておきます

10日付Defense-News記事によれば
F-35 RIAT.jpg●Crosettoイタリア軍需産業界会長は2008年から11年の間にイタリア国防次官を務めた人物で、米国やLockheed Martin社とのF-35に関する交渉にも関与していた人物である
●同会長によれば、イタリアがF-35計画に参加を決定し、投資額を議論した際には、米国やLockheed Martin社はイタリアに投資額の約65%の「workshare」を配分すると約束していたが、現在は「20%以下の配分しか得ていない」と同会長はまくし立てた。

●そして同会長は、競合しないと説明を受けていた英国North Walesの整備施設や、後出しで自国の機体整備を行うと主張したイスラエルにより、イタリア北部Cameriの整備拠点の「workshare」が侵害されていると非難した
●更に同会長は今年イタリアで総選挙が想定されることに言及しつつ、「私が国防次官当時は、F-35計画を通じてイタリアが享受できる雇用や新技術を議会に説明して理解を得たが、現状でF-35計画への支持を得ることが容易だとは考えられない」と強調した

●なお現在では、イタリアのCameri整備拠点は胴体や翼の維持整備を担当し、英国North Walesの整備拠点はアビオニクスの整備を担当する事になっている
Italy F-35 2.jpg●また昨年11月、774品目の修理分担の中の65品目の担当国が発表されたが、48個が英国に、14個がオランダに、3個が豪州に割り当てられた。これに対し同会長は、イタリアの企業が小規模だとして不当に関連事業から排除されていると訴えている

●同会長は付け加え、「米国政府とLockheed Martinは私のオフィスで、Cameriの整備拠点で全ての維持整備作業を行うとの提案をしたのだ。従って、英国とイスラエルへの業務の横流しは約束破りだ」と訴えた
●また同工業界の事務総長もCameriの整備拠点について、「当時Lockheed Martinから、欧州唯一の整備拠点となり、全てを担当する事になるから投資しないかと提案を受け、投資を決断した」と憤懣やる方ない思いを語った
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日本とは異なり、イタリアではF-35の開発遅延や価格高騰が世論の非難を浴び、そんな金があるなら教育や福祉医療に予算を使えとの声が日増しに大きくなっているようです。
一方で、失礼ながらイタリア人の主張ですので、しかも業界人の話ですので、話半分とは言わないものの、同会長の発言は割り引いて聞く必要があるでしょう。

F-35 MHI.jpgでもイスラエルが米国との「特殊な関係」を持ち出し、自国で整備と言いだしたのは確かですし、イタリアの企業が現時点で65部品の修理担当から漏れていることは事実です。

まぁ・・・財政破綻の深淵をのぞきつつあるイタリアですから、90機の購入自体が頓挫する可能性が極めて高く、ある意味時間の問題なのでしょうが・・・

F-35の組み立てや修理分担
「F-35部品の修理担当国一部発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-08
「悲劇:日本でF-35組立開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「豪州と日本が分担」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-18
「欧州でのF-35整備拠点決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-12-1

「伊が米に要求:もっと分担を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-01

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F-35値下げアピールは単なる政治ショー!? [亡国のF-35]

marilly-LM.jpg24日付Defense-News記事は、同日Lockheed Martin社のCEOがF-35価格を次期契約(第10生産ロット)で「$100 million以下:約110億円」にし2019年には「$85million」にまで下げると発言したことに関し、過去の計画に沿った数字をアピールして発表しているだけで、トランプ大統領から言われて価格を下げたわけではないと報じています

もっともLockheed Martin側も、決してトランプ氏に言われて価格を下げたとは説明しておらず、13日にトランプ氏と同CEOが会談した後も、同CEOは「良い会談だった」「単価を大幅削減する」「コスト削減計画を説明した」等と発言したまでであり、あえて計画通りとは語らず、上手にトランプ大統領の顔を立てつつ企業の価格削減努力アピールに活用したわけです。

軍事情報サイトなどご覧にならない一般の方は、トランプ大統領の「恫喝ツイート」により、どこかの自動車会社が工場建設計画を変更したように、Lockheed Martinも強制的に値下げを余儀なくされたと理解されたかも知れませんが、結果的には「一つの政治ショー」だったわけです

24日付Defense-News記事によれば
Hewson F-35.jpg●24日、ロッキードのCEOであるMarillyn Hewson女史は定期業績発表会見で、F-35の「第10ロット」契約では、空軍用のF-35A型価格は「$100 million以下:約110億円」になり、2019年には「$85 million」にまで下げると語った
しかしこの数字は、過去の価格推移見積もりの数字に沿ったそのままで、トランプ氏が大統領就任前から激しくF-35計画を「制御不能」と非難し、同社関係者や国防省関係者と協議していたこととは必ずしも関係ない

同CEOは会見で同社のF-35コスト管理見積もりの正当性を説明し、トランプ新大統領との協力関係が構築できたと表現し、「大統領の関心は価格低減にアリ、我が社は関連企業と共に、その方向に向かっている。多くのアイディアがあるので将来もコスト低下に取り組む」「利益やマージンを削減するのではない」と語った
F-35 luke AFB2.jpg●また同CEOは、「第10生産ロットでの単価は、第1生産ロットより約6割下がる方向で、これは過去の戦闘機製造の価格低減率の良い数値と同等である」とアピールした

●なお、第10生産ロットでは90機を製造する事になるが、第9生産ロットの57機から大きく増産することになり、昨年末の時点で国防省F-35計画室長は、6%の単価低減を明らかにしていた
●更なる「第11生産ロット」契約交渉は今年行われ、製造機数が今後も計画通り増えれば、200機を製造予定の2019年「第13生産ロット」契約では、単価が「$85million」になると同社は見積もっている
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まぁ冷静に考えれば、戦闘機の単価が簡単に低減するはずはなく生産ペースアップによる「規模の経済」効果と、生産体制の成熟による「経験蓄積効果」による単価低減であり当然の結果な訳です。

問題にすべきはまだまだ残っている試験の結果次第で、今後更に改修経費が上積みされる可能性が高いことでアリ、この点をメディアが突っ込まないのは「トランプ疲れ」のなせる技でしょうか?

marilly-LM2.jpgそれにしてもLockheed Martin社は狡猾です。トランプ側も輪をかけて狡猾なのかも知れません。
F-35生産は部品も含めると、企業の政治対策戦略により全米47州に分散して行われており、その雇用や地域経済への影響をロッキードはトランプ氏に訴えたでしょうし、この「政治ショー」のシナリオまで描いて見せたかも知れません。献金がらみの「ディール」も・・・。

大騒ぎしておいて、テーブルの下で落としどころを探って手を握り、世間には美味しいところだけアピールする・・・。今後トランプ氏の様々な公約実現を見る際、こんな視点を持って構える必要がありそうですし、一喜一憂もほどほどにし、「デイトレーダー」に稼がせない着意が必要かも知れません

注意!→本記事で議論されているF-35価格は、あくまで米空軍用機体の価格であり、共同開発国でもない日本用の価格とは異なります

トランプとF-35
「代替にFA-18改良型を検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1
「F-35予算削減ツイート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13
「システム試験はまだ6割残置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-13

F-35事故関連の記事
「試験や訓練優先で安全を犠牲」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-22-1
「空軍火災はエンジン無関係?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-09
「10月27日の海兵隊機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-09
「9月23日の空軍機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24

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F-35システム試験はまだ6割残置 [亡国のF-35]

DOT&E FY2016.jpg10日、米国防省のMichael Gilmore試験評価局長が、F-35の各種試験進捗状況に関する内容を含むレポートを議会に提出し、その中でソフトウェアのシステム試験が4割程度しか終了しておらず、また現在も試験項目が増加中であり、実戦的な作戦運用試験の開始が少なくとも現予定から16ヶ月遅れるだろうとの見方を示しました

F-35事業を担当するF-35計画室は現時点で同レポートに何もコメントしていませんが、これまでF-35計画室が試験評価局の指摘に反論しつつ、結局は試験評価室の見積もりや評価が正しかったことが大半です

今回の初期作戦運用試験(IOT&E:initial operational test and evaluation)の開始時期についても、F-35計画室は数ヶ月遅れる可能性があるがまだ不確定と言い続けていましたが、試験評価室は継続して1年以上の遅れを指摘しており、評価室の正しさが今回も証明されるのは時間の問題でしょう

中でも問題は、F-35計画室が試験の遅れを批判されることを避けるため、リスクを承知で試験項目を削減して試験期間を短縮しようとしているとの指摘です。
Gilmore.jpgこのリスクは既に現実のものとなっており、先日はリスクを承知で不具合部品を使用したまま試験や訓練を継続した結果、海兵隊F-35が飛行中に火災を起こすことになったことが明らかになったところです

トランプ氏は11日の最初の記者会見でも、F-35の代替としてFA-18改良型を競わせることで価格低下を進める旨の冒頭発言を行っており、F-35計画室は開発の順調さをアピールしたい思いでいっぱいですが、「ソフトの塊」であるF-35のシステム試験は今後が山であり、先が見通せる状況にはありません

米空軍協会web記事によれば
●Gilmore局長は同レポートで、2017年8月までに開始する予定となっている初期作戦運用試験(IOT&E)は、早くとも16ヶ月開始が遅れ、2018年12月から2019年当初の開始となるだろうと報告している
●同局長は、未だ対策が採られていないか、対策が不十分で遅れにつながっている16分野を指摘しており、その大部分が当面の完成版ソフトである「3F」ソフト開発に関係している

F-35 clear.jpg●同レポートは、「3F」ソフトがやっと最近になって試験に投入できる程度の完成度に至ったと表現し、今後の最大の課題は他の(関連サブソフトとの)全てのシステムとの融合試験であると指摘している
●またレポートは、初期に製造された機体は信頼性が低く、試験のペースに対応できていないと指摘し、また引き続き自動兵站情報システムALIS開発が遅れている点や、他のデータを流用して開発試験を省略する姿勢を後に続く試験のリスクにつながるものと批判している

●具体的には、F-35の3つのタイプに共通する試験である「mission systems試験」は、「3F」ソフトの開発遅延に伴い、9702試験項目の内、まだ5800項目を残している状態で、進捗率は41%である
●しかし試験項目は試験が進むにつれ増加しており、9702個は当初計画より25%増加した現時点での数字である
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Mattis.jpg国防長官就任の承認を得るため、12日に上院軍事委員会で証言したMattis氏は、「トランプ氏がF-35計画を支えていないわけではない。価格を下げたいのだ」(Trump "has in no way shown a lack of support for the program. He just wants the best bang for the buck)と発言しており、FA-18改良版に乗り換える選択肢は無いのでしょうが、引き続き「亡国のF-35」であることに変わりありません

そんな中途半端な状態でも、F-35開発試験と製造の同時進行は「淡々と」行われており、11日には製造200機目の機体が訓練基地であるLuke空軍基地に到着したとの報道がありました。
なんと200機目は、航空自衛隊用の2番機らしいです・・・手戻り満載の機体です・・・ご愁傷様です。

海兵隊F-35の火災原因は
試験と訓練を急ぐあまり安全を犠牲にした結果・・
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-22-1
空軍機火災はエンジンではないと強調http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-09

最初のトランプ記者会見とF-35http://www.defensenews.com/articles/trump-again-hints-at-f-35-f-18-competition

試験評価局レポート現物
http://www.dote.osd.mil/pub/reports/FY2016/

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米空軍F-35火災の原因はエンジンではない!? [亡国のF-35]

「エンジンの問題ではない」を強調

F-35-eglin.jpg4日、米空軍F-35導入準備室長のScott Pleus准将がMilitary.comに対し、9月23日に飛行準備中のF-35Aの尾部から発生した火災の原因について、初期調査の段階ながら、尾部のパイプに残っていた燃料に引火したもので、エンジンとは全く関係が無い火災だったと語りました

同火災は、航空自衛隊用のF-35受領式典がテキサスで開催された同日に発生した「縁起の悪い」事故で、アイダホ州のMountain Home空軍基地の格納庫前で発進準備していたF-35Aの尾部から発生したもので、事故から3ヶ月間以上、原因に関し何の発表も説明も無いまま年を越していたものです

同准将は、2014年に発生し全機を数ヶ月間飛行停止にした「エンジン火災」を「setback:大きな痛手」と表現しつつ、その事故と対比し、昨年9月の火災がエンジンとは全く関係の無いものだと強調しています。

ただ昨年9月の火災に関しては、「尾部のパイプに残っていた油」に関する疑問が未解決で、本格的な調査チームが立ち上がったばかりの段階であり、なぜ「setback」でないのか、飛行試験や訓練を継続していて良いのか等々、3ヶ月以上たっても不明なまま放置されています

6日付Defense-Tech記事によれば
F-35A NgtFt.jpg●4日Pleus准将は、「初期調査からエンジン火災ではないことが判明し、調査関係者は事案を尾部パイプ火災と呼んでいる」と語った
●更に「尾部パイプ火災は、エンジンとは関係の無い機体尾部にたまった燃料に引火したもので、エンジンの問題ではない。余分な燃料が機体後部に集まり、離陸準備中に火がついたものだ」と説明した

●そして米空軍F-35導入準備室長は、「エンジンから発生したものならエンジン火災で大きな問題だが、本件はエンジンとは全く関係ないし、冷却パイプとも関係が無い」と強調した
●また「2014年に発生したエンジン火災は、エンジン事態の設計に問題が見つかった点で、F-35開発計画上の大きな痛手だった」、「しかし事前訓練の積み重ねが操縦者の命を守り、根本原因を特定して対処策を検討し、全機に対する措置を完了した。その後は何の問題も発生していない」と付け加えた

●同准将はまた、本件とは別の昨年9月16日に判明した燃料タンク内の冷却パイプの絶縁不良問題にも言及し、全部で57機に問題が発見されたが、「基本的に製造過程における人的ミスであり、設計の問題ではなかった」と再度説明した
●そして同事案について、「想定もしなかった問題に対し、全力を挙げて対応し、短期間の間に修理を完了した点である意味成功事例ともいえる」とも語り、11月上旬に飛行を再開した対処の迅速性を強調した
//////////////////////////////////////////////////////

F-35-refuel.jpgエンジン火災ではないから大騒ぎしないで・・・と懸命に説明されても、発進準備中に機体火災が発生しただけで十分問題なんですけど・・・

それから、原因がいかにあろうとも、事故発生から4ヶ月近く原因について音沙汰無く、飛行を継続させていることにこそ問題があるように思うんですけど・・・

トランプ氏のF-35に対する種々の発言を気にしすぎ、議会の非難や諸外国の懸念を避けたいがため、悩みすぎて常識的な感覚を失いつつあるのではないか・・・と気になります

トランプ氏のF-35発言など
「代替にFA-18改良型を検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1
「F-35予算削減ツイート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「F-35巡り国防省で内紛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09

F-35事故関連の記事
「試験や訓練優先で安全を犠牲」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-22-1
「10月27日の海兵隊機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-09
「9月23日の空軍機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24

2014年6月のF-35エンジン火災(当時は2ヶ月間飛行停止)
「火災メカニズム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-04
「当面の対処と設計変更」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-29
「問題は軽易ではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

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試験や訓練優先で安全を犠牲:海兵隊F-35火災 [亡国のF-35]

F-35 Fire.jpg19日、記者会見を行った米国防省F-35計画室長のBogdan中将は、10月27日に飛行中の海兵隊F-35Bが火災を起こして緊急着陸した原因に関し説明し、機体の兵器搭載庫(weapons bay)内の電気系統ケーブルが摩耗してショートし、近くの油圧ライン等に火災を引き起こしたと語りました

そして電気系統ケーブルが摩耗して「ささくれた:chafe」原因として、ケーブルを固定するはずの留め具(bracket)が緩んでケーブルが揺れ動く状態になったためと説明しました。

ここで驚くべきは、当該「留め具」の不具合は以前に判っており、現在製造中の機体には対策済みの留め具が使用されているものの、製造済みの機体は順次留め金を交換している状態であり、未交換の機体は当該部分を点検しながら飛行を継続しているとの説明があった点です

Bogdan6.jpg更にBogdan中将は、「(この様な)承知の上のリスクは幾つかあり、その一つに過ぎない」とあっさり言い切り、「定期的に当該部位を点検し、飛行中問題ないことを期待しながら飛んでいる」とまで発言しています

F-35に関しては、空軍型のF-35Aも9月23日に機体後部から火災を起こし、その原因は未だ調査中で明らかになっていませんが、同型機は何の問題も無かったように飛行を続けています。これも「承知の上のリスク」なんでしょうか???

これ以上試験期間を延長して経費増を招くと議会等からの非難に耐えられないと判断した国防省が、安全上のリスク許容範囲を恣意的に拡大し、無理矢理試験を強行継続しているように私には思えてなりません
2014年6月のエンジン火災の時には、2ヶ月間飛行停止の措置が執られていたことを思えば特に・・・

F-35計画室長Bogdan中将の発言
Bogdan3.jpg我々はこの問題を火災事故以前に承知しており、全ての機体を新しい留め具に適応するよう改修した(being retrofitted with a new bracket
●しかし、火災を起こした機体は、まだ新しい留め具に交換していなかった。そこで定期的に当該留め具がきちんと機能しているか点検し、飛行を継続していた
●当該機体の当該留め具は、最近の点検で問題なかったが、緩んで機能しなくなったようだ。本件に関しては、査察チームを部隊に送り込んで調査を行っている

●(留め具を交換せず、リスクを背負って飛行していたのかとの質問に対し、)そうである。(この様な)承知の上のリスク(acknowledged risks)は幾つかあり、その一つに過ぎない。留め具の交換が完了するまでは、未交換の機体の当該部位を定期的に点検し、飛行中問題ないことを期待しながら飛んでいる

“Yes, there are acknowledged risks, and that would be one of them,” he said. “And until you fix that bracket, every airplane in the B-model that doesn’t have that bracket is going to have to be inspected, and hopefully that bracket remains in place when it’s flying.”

Defense-Tech記事はBogdan中将発言を
●我々は(飛行前に)点検し、問題ないように見えた。しかし飛行したら良くなかったのだ。全ての軍用機はリスクを抱えている
当該留め具の交換が完全に終了するのが何時になるのか、未交換の機体が何機あるのかには言及しなかった


空軍型F-35の火災原因は未だ不明
(20日付Defense-News記事より)
F-35 Sun-Set.jpg●海兵隊F-35Bの飛行中火災事故の約1ヶ月前の9月23日、アイダホ州Mountain Home空軍基地で発進準備中だったF-35の尾部から火災が発生したが、この火災の原因は未だに公表されていない
またこの火災関連で、飛行停止になった機体は全くない

●この火災の原因については数ヶ月後に明らかになると思われる。20日にDefense Newsが米空軍報道官に確認したところ、米空軍教育訓練コマンド司令官Roberson中将が、事故調査委員会AIBの設置を決断した模様
●通常AIBは、初期の事故調査が終了してから立ち上げられ、事故原因に関するレポートをまとめることになる
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osprey-marine.jpg辺野古沖に着水したオスプレイの事故は、空中給油パイプの切断が原因でアリ、空中給油を除く飛行の再開に何の問題も無いと思いますが、相次ぐ火災を起こしているF-35の飛行継続強行は、試験を急ぐあまり安全を犠牲にしていると言われても仕方の無い状態です

折しも、2017年末には終了すると言われていた開発試験(SDD)を少なくとも数ヶ月延長せざるを得ない事が確実で、議会から猛烈な非難を浴びている最中でもアリ、安全軽視で試験を進める動機は十分にあります
ちなみに、10月27日に発生した飛行中の火災は、11月7日にメディアが報じるまで、事実上隠されていたことも付言しておきます。

海兵隊F-35は来年1月に岩国に展開しますし、航空自衛隊のF-35操縦者訓練もルーク空軍基地で間もなく開始されるはずです。
「承知の上のリスク」と言われても、誰が承知しているの?・・・と声を荒げて確認したくなる「亡国のF-35」です

最近連続するF-35の火災
「10月27日の海兵隊機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-09
「9月23日の空軍機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24

2014年6月のF-35エンジン火災(当時は2ヶ月間飛行停止)
「火災メカニズム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-04
「当面の対処と設計変更」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-29
「問題は軽易ではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

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トランプ「F-35の代替にF-18改良型を」 [亡国のF-35]

23日朝、F-35計画に衝撃のトランプツイート

trump7.jpg米国東部時間22日午後5時26分、日本時間の23日朝午前7時26分、トランプ氏がツイッターで「ボーイング社に対し、F-35と同程度のF-18製造価格を問い合わせた」と発信し、F-35製造のロッキード社とF-18製造のボーイング社の株価を乱高下させる反響を呼んでいます

トランプ氏は12日にも、「F-35開発計画とそのコストは制御不能」「来年1月20日以降、多くの予算が他の国防分野や他分野に活用されることになろう」とツイートし、米国防省やロッキード社関係者を大慌てさせ、21日には国防省F-35計画室長がトランプ氏と面会し、ロッキードCEOも直談判説明を行ったようです

もちろん、F-35と同程度(comparable)のF-18が簡単にできるわけではなく、発言の真意は不明でアリ、コストが膨らむF-35計画への警告発言とも考えられますが、これだけ明確にターゲットを絞った発言が続くと、海外の購入国関係者の心中も穏やかではないでしょう

22日付Defense-Newsは本件に関し
F-35 3-type.jpg●トランプ氏はツイートで、「ロッキードマーチン社F-35の恐ろしく莫大な費用とコスト超過を考え、私はボーイング社に同等のF-18製造価格を問い合わせたところだ」と発信した
Based on the tremendous cost and cost overruns of the Lockheed Martin F-35, I have asked Boeing to price-out a comparable F-18 Super Hornet!

●このツイートを受け、ロッキード株は2%値下がりし、ボーイング株は1.5%上昇した
●この発言が両社にどのような意味を持つのかは不明確である。F-35は数々の問題を抱え、経費超過が続いているが、ステルス性やセンサ情報融合能力を持っており、第4世代機のF-18をそのレベルの能力を持たせるには多くの時間と費用が必要だと考えられるからだ

ボーイング社は最近クウェートからのF-18受注が決定し、生産ラインの稼働を延長させることが確定したことから現在の状況に満足しており、トランプ政権にも出来る限りの能力を提供したいとの姿勢である
●本件に関し、ロッキード社とエンジン製造のPratt & Whitneyはコメントを避けている

●航空業界コンサルタントのRichard Aboulafia氏は、「当面FA-18とEA-18Gへの投資を継続し、F-35空母艦載型への投資を抑えている米海軍にとっては悪い話ではないが、何れ海軍もF-35にシフトする計画だ」と語り、
●また、「FA-18は優れた攻撃機だが、空母での運用を想定した機体であり、5世代機のようにステルス性を追求するのは困難だ」と見ている

marilly-LM.jpg●(12日のF-35予算削減ツイートの後、)21日には国防省F-35計画室長Bogdan中将がトランプ氏と面会し、ロッキードCEOも直談判説明を行い、ボーイング社長もトランプ氏と議論している
ボーイング社長は「トランプ氏らは極めて建設的で、良い雰囲気の会談だった。オープンで良い議論ができ大いに力づけられた」と語ったが、Bogdan中将とロッキードCEOはコメントを控えている

●一方トランプ氏は(一連の会談に関し)、「始まったばかりだ。これはダンスだ。ダンスのようなものだが、コストを下げ、この事業を美しく仕上げている」と語っている
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Bogdan6.jpgF-35関係者のクリスマスムードを吹っ飛ばしたトランプツイートですが、日本の関係者にも「米国側から何も連絡が無い」以上の積極的な情報収集をお願いしたいものです

なお、最近の厳しいF-35計画への風当たりを受け、安全リスクを犯して試験を強行する様子が感じられる事象が発生していますので、後日ご紹介します

トランプ氏とF-35
「F-35予算削減ツイート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「F-35巡り国防省で内紛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09

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英国防相:米軍F-35の新型英空母への展開を発表 [亡国のF-35]

同盟の証と言うより、英軍困窮の証と見るべき

Fallon Carter.jpg15日、Michael Fallon英国防相はカーター国防長官とロンドンで会談後にそろって記者会見し、今後運用開始予定の英海軍の新空母「Queen Elizabeth」で、2021年から米海兵隊のF-35Bが飛行を開始すると発表しました。

先ほど日本も訪問したカーター国防長官は、最後の挨拶回りで世界各国を訪問していますが、英国防相が「返礼:return the favor」と呼ぶ最後の英軍へのお土産が、英空母への米軍F-35の展開となったようです

英国はF-35の共同開発国ですが、米国を除く8ヶ国のうちで唯一の「レベル1共同開発国」で、唯一システム設計や実証段階に人を関与させることが出来る共同開発国です。
そんな深い関係から、英海空軍のF-35部隊建設要員が、米空母で実施されたF-35Bの最終確認試験にも参加して、その能力確認を自ら行うほどの関与をしています

F-35B関連の米英の緊密な連携(豪を含む)は以下に
http://www.navy.mil/submit/display.asp?story_id=97775

なぜ米軍F-35が英軍空母に展開するか?
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03
Queen Elizabeth.jpg●今日の本題は、なぜ英国防相が「返礼」と表現して感謝しているか、カーター長官がなぜ最後のお土産にF-35展開訓練を持ち出したかです。
それはなぜなら、英軍のF-35購入予算が不透明で、来年には航行&運用試験が始まる英海軍新空母に搭載するF-35Bが何機購入できるか「予断を許さない」状況にあるからです

●つまり英軍は、女王陛下の名を冠した新空母の艦載機を十分調達できない可能性が高いので、空母の訓練のため米軍F-35に展開して訓練して欲しいと平身低頭「お願い」していたのです。本件は9月の米英国防相会談でも取り上げられ、具体的な事は今後検討するようです。
●その根本には、英軍が購入すると当初明らかにした138機(F-35全タイプ合計で)のF-35調達機数を、多くの英軍関係者が実現不能だと考えており、艦載機が不足する悲しい新型空母になるような予感が漂う厳しい財政状況があります

F-35B.jpg●話題の空母「Queen Elizabeth」は2017年春に進水し、2018年夏から秋にF-35B搭載試験を米東海岸沖で3機の英軍F-35Bで開始し、2020年12月には初期運用態勢を宣言予定で、その後2021年には初の作戦展開を予期しているようです。
●新空母艦長が9月末に語った希望ベースでは、2019年から8ヶ月間を1展開単位として、米海兵隊F-35Bに来てもらいたいようです。

●新空母艦長は更に、米海兵隊のF-35Bを派遣してもらう事は、相互運用性の観点からも有意義であると言い訳がましく語り、ついでにV-22オスプレイにも大いに興味を持っており、英海軍空母での運用可能性を確認する意味でもお願いしたいと語っていたところです
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英国軍は先代のハリアー戦闘機を海軍と空軍の両方で運用し、維持整備や部品調達で効率性を高めていましたが、今回のF-35Bでもハリアー方式を採用して海空軍共用で運用準備を進めています。
この試みは大いに興味深く、「Crossドメイン思考」にも通ずる点で応援したくなりますが、「お先真っ暗感」は否めません

Fallon Carter2.jpgついでにそう言えば、1日に駐米英国大使が、2020年運用開始予定の新空母「クイーンエリザベス」が南シナ海に展開するだろうと発言していました。
もしかして、米海兵隊のF-35に展開をお願いした「お返し」として、南シナ海航行を米国から強要されたのでしょうか???

だとしたら、流石に「血の同盟」です。とってもまねしたくない同盟の深さですが・・・
もうひとつ、先日のトランプ氏のF-35予算削減ツイートを引用するまでもなく、世界中でF-35導入機数削減の兆候があり、その代表例が「誰も計画機数の購入が可能と考えていない」英国です

英国軍を考える記事
「英軍新空母を南シナ海に!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06
「新空母の艦載機が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03
「なぜ今、日英戦闘機訓練なの?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-18

「予算減で英軍の士気崩壊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-18
「英軍が戦闘機半減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「大なた:英軍の大軍縮」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19-1

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トランプ氏がF-35予算削減のツイート [亡国のF-35]

Lockheed Martinの株価が急落!!!

Trump-NATO.jpg米国東部時間で12日朝6時26分、トランプ氏がF-35を制御不能計画だと非難し、大統領就任以降に予算削減を示唆するツイートを行い、ロッキード社の株価が一時5%以上下がる事態となりました

先週6日にもトランプ氏は、大統領専用機(Air Force One)の後継機として計画中のB-747-8をベースとした機種を、「制御不能」「計画中断」とツイートし、その後ボーイング社と個人的に協議を行うと述べたものの、軍需産業にジャブを連発しています

更に7日にはルイジアナ州での講演で、「今後詳細を吟味する必要があるが、国防省で調達関連の業務に就いた経験のある者は、軍需関連産業に生涯再就職できないようにする必要がある」と発言し、大きく報じられたところです

12日朝のF-35関連ツイートは
Trump-F-35.jpgThe F-35 program and cost is out of control. Billions of dollars can and will be saved on military (and other) purchases after January 20th.
F-35開発計画とそのコストは制御不能となっている。私が大統領に就任する来年1月20日以降には、多くの予算が他の国防分野や他分野に活用されることになろう

ロッキードのJeff Babione担当副社長は
trump7.jpgF-35計画に対するトランプ氏のいかなる疑問にも喜んで解答したいし、その機会を得る事を歓迎する
●我々はF-35の価格が、2019~2020年には1機100億円を切る($85 million)と見込んでおり、その時点で世界市場にあるどの第4世代機戦闘機よりも安価になると考えてる
●我が社と関係企業はまた、F-35の維持整備経費の削減にも多額の投資をしており、同機を30~40年間使用することを見込んだ長期的視点で取り組んでいる
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トランプ氏のツイートのタイミングは、イスラエルが最初の2機のF-35受領式典をカーター国防長官ご臨席で開催直前でもあり、色々意味深ですが、最近1週間で連発した軍事産業関連ツイートは、少なくとも「艦艇や航空機の増産期待」を持っていた産業界に衝撃を与えています

trump5.jpgまた、CSBAのTodd Harrison研究員は、これまでのトランプ氏の言動をフォローして分析し、仮に発言通りのコスト削減を図ろうとすれば、F-35調達機数を1/2から1/3にする必要があると分析し、これによる単価の上昇を予想しています

まだまだ不明確なトランプ体制やその政策ですが、「F-35計画へのメス」がそのメニューに上ることは間違いなさそうです! 当然の帰結ですが・・・

「新政権の国防予算はF-35が鍵」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08

「F-35巡り国防省で内紛」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09

トランプ政権が立ち向かう国防省の課題
規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10
「現在の対テロ7原則を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-07
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08

「国防省改革はどうなる?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-01
「中露を抑止するには」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-05
「Mattis氏が国防長官へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02

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