So-net無料ブログ作成
検索選択
サイバーと宇宙 ブログトップ
前の15件 | 次の15件

日本とイスラエルがサイバー協力で覚書へ [サイバーと宇宙]

Israel Japan3.jpg18~19日に複数の国内メディアが、日本政府が電力・ガス・水道や決済システム等の社会インフラのサイバー対処強化に向け、年内にもイスラエル政府と技術協力の覚書を交わす方針を決めたと報じました。

2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、日本政府は重要インフラのサイバー防衛に力を入れており、この分野で世界トップレベルのイスラエル技術の取り込みに動いたと分析しています
米国と並ぶサイバーセキュリティー先進国の知見を生かしたい日本と、ビジネスとしての展開を狙うイスラエルの思惑が一致したとも報じられています。

具体的には、日本国内の研究施設でイスラエル製防御機器の導入試験を行うほか、専門家を招き、サイバー攻撃への防御演習も行う計画がある模様です。
インフラのサイバーセキュリティーの分野で、日本が本格的な協力関係を結ぶのはイスラエルが初めてであり、米国との関係よりも先行する点でも異例です

でもそんな矢先、21日にイスラエルと米国が、より緊密なサイバー対処協力の文書に署名し、専門チームの設置とか、システム連接で常時情報共有とか開始するとのニュースが飛び込んできました。
やっぱり米国とユダヤの結束は固い・・・


20日付Defense-News記事がイスラエル側の視点で本件関連事項を報じ、興味深いので概要をご紹介します。
イスラエルも「ブーメラン効果」を懸念しつつ、サイバー関連企業の「輸出したい要求」にも答えるためバランスを重視した輸出規定を煮詰めているようです。なお、相手国の「軍用」になる場合には国防省の厳しいチェックを受けますが、それ以外は経済省等で判断する模様です

20日付Defense-News記事によれば
Israel Japan.jpg3年間に及ぶ検討を経て、イスラエル政府は、軍用ユーザーへの輸出は例外としつつも、サイバー商品の輸出や技術移転を自由化の方向に導く新たな方針を定めた模様
●同政府の国家サイバー局長(NCD)であるEviatar Matania氏は、ネタニアフ首相の了解を得て、(通常兵器等がテロ組織等に渡ることを防止する国際的な取り決めである)「Wassenaar Arrangement」の指針にそった新たな政策であると説明した

●同氏はDefense-Newsに対し、「首相からの指示は、リスクはあっても、可能な限り寛容な政策指針や実行枠組みとし、サイバー関連企業の繁栄をサポートせよであった」と語った
●また「イスラエルはバランスのとれた政策により、必要ない場所に不必要なものを売ることなしに、我が産業界を強化して守ることが出来ると信じている」とも語った

●新政策では、大部分のサイバー関連「dual-use」技術は、NCDと経済省が共同で設置する新機関で監督管理される。ただし、軍用や国際治安機関への輸出については、引き続きイスラエル国防省が管理監督する
●Matania氏は、国防省が管理監督すべきものについては、引き続き国防省が目を光らせると説明した。

サイバー産業界の発展のために
Wassenaar.jpg●更に同氏は、輸出業者が規則に縛られて負担となることがないよう、政府は間もなく輸出管理規制の対象となる特定分野の定義を公表する。同時に政府は、輸出が「Wassenaar Arrangement」に沿ったものとなっているかを継続的かつ定期的に確認する

●同局長は「事前に既定を公表して輸出しやすい体制を整える。ただ大部分の輸出はライセンス提供にすべきではない」と趣旨を説明し、「3年間の検討で、イスラエルのサイバー能力が世界のリーダーで有り続けるために企業家や発明家達に最大限の明確な基準を示すことと、国家安全保障上の懸念との真のバランスを突き詰めた結果だ」と語った


21日:米国とイスラエルは常設対処チーム協定
Israel-US cyber.jpg●21日、イスラエルと米国は、サイバー攻撃対処のため、両国がCERTS(コンピュータ緊急対処チーム)をそれぞれ設置し、両国システムを連接して常時情報共有を図り連携を強化することを定めた「サイバー防衛宣言」に署名しました
●署名はテルアビブ大学で、イスラエル国家サイバー局長と米国の国度安全保障省副長官により行われた

●イスラエル側は、サイバー技術革新の世界的ハブ」を目指す南部の都市Beershebaに、今年9月までにCERTSを設置する計画で、新たな国家サイバー対処アプローチを開始する。
CERTSは常続的に脅威や攻撃に対処し、関連情報の提供を行うほか、国家サイバー対処局に必要な施策を提言することになる
/////////////////////////////////////////////////////////////

他国がサイバー関連技術の輸出にどのような姿勢で望んでいるのか、承知していません
米国よりも先にイスラエルと協力関係を締結する方向だとすれば、米国はサイバー関連技術の輸出規制がより厳しいのかも知れません
china awacs.jpg
しかし、中国への兵器や関連技術の「やみ輸出疑惑」で頻繁に話題に上るイスラエルです・・・・。

中国には細心の注意を払って頂きたいものです!!! 念押しでもう一回、中国には売るなよ!!!


イスラエルと中国の最近の疑惑など
「イスラエルと中国が大接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-04-1
「中国に最新軍事技術流出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-25-1
「ハイテク起業大国イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20

「映像:イスラエル軍女性兵士」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
「ユダヤ人は離散していない!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-17

外務省の解説「Wassenaar Arrangement」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/wa/
●対共産圏を対象に武器等の輸出規制をしていたCOCOMが1994年3月に消滅したことを受け、1996年7月、特定の対象国・地域に的を絞ることなく全ての国家・地域及びテロリスト等の非国家主体を対象として発足。現在41カ国が参加(露は参加、中国は不参加)
通常兵器及び機微な関連品・技術の移転の透明性増大及び責任ある管理を実現し、過度の蓄積を防止して、地域及び国際社会の安全と安定に寄与

テロとの闘いの一環として、テロリスト・グループ等による通常兵器及び機微な関連汎用品・技術の取得を防止する
法的拘束力を有する国際約束に基づく国際的な体制ではなく、不拡散のために努力する意志を有する参加国による紳士的な申し合わせ

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

成果発表「Hack the Pentagon」計画 [サイバーと宇宙]

Hack the Pen.jpg17日、一般市民からボランティアハッカーを募り、米国防省システムの脆弱箇所を指摘してもらう試み「Hack the Pentagon」の成果発表がカーター国防長官によって行われ、250名以上の有志ハッカーにより138個の脆弱箇所が発見できたと報告されました

1400人以上の応募者の中から選ばれた約250名は、約1か月間にわたり、米国防省の「作戦任務に直結しない」広報webサイト等を対象とした「脆弱箇所」発見に取り組み、中には高校3年生も参加していたようで、カーター長官から直接会見で紹介されています

17日付米国防省web記事によれば
Hack the P.jpg●カーター長官は発表会見で、4月18日から5月12日の間で行われた「Hack the Pentagon」計画にかかった経費は約15万ドル(約1700万円)だが、これを役所が良くやるように民間企業に委託していたら、少なくとも1億円以上は必要だったはずだと、本取り組みの効率性をアピールした
●期間内に約250名の参加者は、少なくとも一人1件以上の「脆弱箇所」をレポートしてくれたが、分析評価の結果、138件が「もっともな指摘」と認定され、参加ハッカーには指摘数や有効な指摘数の数に応じて、100ドルから1.5万ドルが支払われた

●担当責任者のChris Lynch氏は、今回は作戦任務に重要なシステムは対象とせず、一般国民がアクセス可能な国防省関連webサイトの「defense.gov」「dodlive.mil」「dvidshub.net」「myafn.net」「dimoc.mil」が対象となったと説明した
●そして同氏は「一般公開用の複雑でないサイトを対象にしたにもかかわらず、非常に多くの教訓が得られた」と語り、一般公開サイトを通じて他のシステムにアクセスしようとする試みの防止に通ずる指摘もあったと語った

Hack the P3.jpg高校3年生で参加したDavid Dworken君は、学校の授業の合間や家での時間を活用し、6個の脆弱箇所を発見通報した。6月に卒業した彼は、今後サイバーセキュリティー分野での仕事を希望し、コンピュータ科学を大学で学ぶことになっている
Dworken君は、彼の指摘した脆弱性は他の参加者が既に指摘積みでボーナスはもらえなかったが、「自分が好きなことで連邦政府の仕事に関わることが出来たこと自体が、この上もない喜びであり成果です」と明るく語った

カーター長官は本成果について
●カーター長官は、国防省は人材、業務手法、技術の側面から革新に取り組んでいるが、「Hack the Pentagon」計画はこれらすべての側面を兼ね備えた取り組みで、大きな成功を収めたと評価した
●また情報セキュリティーの強化だけでなく、国防任務に貢献したいと望む創造力あふれる一般市民との強力な架け橋を気づいた点でも、大きな成果があったと長官は語った

●カーター長官は更に、同様の取り組みを国防省の他システムにも拡大すると語り、国防省内の各部署に対象となりえるシステムの洗い出しを命じた
Hack the P2.jpg●また、国防省関連の業務を行う委託業者も、サイバーに関する本取り組みの恩恵を受けられるように検討を進めるとも長官は語った

●そして長官は、「国防省はクローズしたシステムを通常使用するが、我々にフレンドリーな目でシステムやwebサイトをチェックしてもらうことで、問題点を明らかにして対処し、前線兵士により安全な環境を提要できる」と取り組みの有意性を強調した
///////////////////////////////////////////////

成果発表Fact Sheet
http://www.defense.gov/Portals/1/Documents/Fact_Sheet_Hack_the_Pentagon.pdf

素晴らしい成果だと思います。拍手です!!!
18歳のDworken君のような人材が、国防省に入ってくれれば最高なんでしょうが、Dworken君にしてみれば、この成果で自分を将来優良企業に高く売り込もうと考えるでしょう・・・自然なことです

国防省公開の会見写真には、普段の国防省には馴染まない印象の「参加ハッカー」の皆さんが映っています。是非日本でもいかがでしょうか?

Hack the Pentagon計画発表時の記事
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-04-1

米国防省の関連webサイト
https://hackerone.com/hackthepentagon

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

サイバー:組織の枠を越えた情報共有が鍵 [サイバーと宇宙]

Cyber College.jpg4日付米空軍web記事は、米空軍サイバー大学が主催した政府関係者と民間企業関係者の両方が参加した政策提言を目的としたサイバー対処演習の様子を報じています

4月27日から2日間に渡って行われたアラバマ州マックスウェル基地で行われた訓練には、FBIやCIA、更にはゴールドマンサックス等の民間企業や社会インフラ関連団体が参加し、専門家がその対処を第3者的立場で評価する方法で行われた模様です

「現状では、米国には明確なサイバー安全保障戦略がない」との問題意識を持ち、1日目は現状枠組みでの対処を試し、2日目には組織横断的な情報共有を行って効果の変化を確認したようです
情報共有の効果は明白で、現状の対処では出来ないサイバー攻撃被害の拡大を未然防止できたとして、今後政策提言としてまとめるようです

4日付米空軍web記事によれば
Cyber College2.jpg●担当した研究員であるBrian Buschur少佐は、米空軍大学内の「Cyber College」の「Lemay Center Wargaming Institute」で行われた「wargame」では、どの時点で政府機関と民間部門がサイバー安全保障対処について「step in」すべきかを吟味したと説明した
●演習では、1日目は現状枠組みでの対処を試し、3つのシナリオ「金融部門」「エネルギー分野」「交通分野」で訓練した。

1日目を現状の方針で対処した結果、ある組織がサイバー攻撃の被害拡大を防止する情報を有していても、現状の政策によりその情報が共有されないことが明らかになった
2日目は新たな考えの元、参加者を一つのチームに置いて対処したところ、必要な対処情報が円滑に共有され、被害を起こす前にくい止められた

●米空軍大学副学長の大佐は、「本演習は、問題解決法の探求と同時に、関係者の関係構築や意志疎通の重要性を際だたせた」と振り返った
●本演習で使用された新たなサイバー対処コンセプトは、米国全体のサイバー対処コンセプトの変更のアイディアとして試験導入されたもので、異なる様々な組織な考え方を結びつけ、情報共有により被害拡大を防ごうとするものである

Cyber College3.jpg●同副学長は「本演習の結果は政策提言ペーパーにまとめられ、全参加者に提供される」と述べ、各分野の参加者が制作変更の効果を認識して実際の政策変更に導くことへの期待を表明した
●同Wargamingセンターの専門家は、「本演習の成果は提案の一つで、多くの代替案もあるだろう」「早期の情報共有が各界関係者のやるべき事を明らかにし、最前の対処方向に導く」との考えを語った
//////////////////////////////////////////////////////

世界で最も問題意識の高いであろう米国でさえもこの状況で、米国防省も国防省のネット環境を防御することが第一任務で、エネルギーや通信、金融や社会インフラへの対処については「求められ命ぜられればその範囲で」との縛りがあり、国として対処枠組みが実質曖昧な状況のようです

CyberPolicy2.jpgそんな中、米空軍内の一教育機関が、場を設定して課題を浮き彫りにし、国の政策を提言する「意気込み」に拍手を送りたいと思います

そんな現場を支える、少佐レベルの幹部や専門家を集めた小さな組織の存在が、頼もしくも羨ましい限りです

最近の米サイバー関連記事
「米国防省脆弱性を検証」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-04-1
「対ISサイバー戦を強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-01
「サイバー司令官が決意を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22-1

「中国には君らも脆弱だと言っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-23
「航空戦力でサイバー戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-17
「閉鎖ネットワークにサイバー攻撃を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

米国防省の推薦:宇宙戦書籍「Ghost Fleet」 [サイバーと宇宙]

Ghost Fleet.jpg4日付Newsweek誌電子版が、米国防省の推薦図書となった宇宙戦を描写した書籍「Ghost Fleet」を取り上げ、中国やロシアの宇宙戦への取り組みや、米国の対応について紹介しています。

冷戦後、宇宙を独断場と見なしていた米国が15年以上に及ぶアフガンやイラクでの戦いに挑む間に、宇宙での戦いを「米国の弱点」を捕らえ、宇宙アセットへの攻撃手段を磨いてきた中国やロシアへの対処が大きな課題となっている様子を描写しています

話題の2015年夏出版の書籍「Ghost Fleet」(http://www.amazon.co.jp/Ghost-Fleet-Novel-Next-World-War/dp/0544142845)は、サイバー戦と宇宙線を交えた「宇宙での真珠湾攻撃」を中国との戦いの緒戦として描き、宇宙に依存し、弱点をさらけ出している現状への警鐘を鳴らしています

記事は書籍の細部には触れていませんが、宇宙を巡る現状の理解を深めるため、つまみ食いで記事をご紹介いたします

4日付Newsweek誌電子版によれば
Ghost Fleet4.jpg書籍「Ghost Fleet」は、上海所在の中国軍サイバー部隊が米軍GPSネットワークに侵入して信号を撹乱する「宇宙での真珠湾攻撃」から始まる。精密誘導兵器を使用できなくなった米軍は大混乱に陥ることになる
●次に同書籍は、高度200nm上空の中国衛星から30数個の米国衛星をレーザー兵器で攻撃する中国人飛行士を取り上げ、通信や情報収集手段を奪われた米軍が第2次大戦レベルに脆弱化する様子を描写している

●上記のシナリオはフィクションではあるが、米軍が1発も発射しない内に無効化される可能性を示し米国防省関係者を震撼させたGPSや通信やISR衛星が無防備であることを如実に示したからである
●宇宙での戦いが起これば、影響を受けるのは軍事だけではない。戦いが宇宙で始まっても、民間衛星にまで容易に拡大し、携帯電話や銀行ATM等々に影響を与えるほか、地上に及ぶ全面戦争に拡大すると考えられている
●米空軍のJohn Hyten宇宙コマンド司令官は、「核戦争が宇宙にまで及ばないことを願っているが・・」と語っている

中国やロシアの宇宙戦能力
Space Fence1.jpg習近平は4月、中国空軍司令部を訪れ、米国との戦いの際に避けられない宇宙での攻防戦に備え、宇宙船の能力を磨くよう指示したと伝えられている。中国の宇宙アセットは、米国の約550衛星に対し、世界第2位の約150衛星になっている
中国は2007年に高度500nmレベルの低高度衛星迎撃ミサイル試験を行い、その後、高度20000nm程度のGPS衛星や早期警戒用の静止衛星を攻撃可能性を伺わせるミサイル実験を2010、2013、2014、2015年と連続して行っている。
●この実験をHyten宇宙コマンド司令官は、「宇宙戦の実用化長期計画がなければ、何年も連続して試験は行わない」と評価している

中国とロシアは既に、衛星の偵察カメラを盲目化したり、衛星自体を延焼させる地上レーザー兵器を配備していると言われ、数年後にはレーザー兵器を搭載した宇宙船を打ち上げるだろうと予測している
ロシアは実際、2013年と2014年に4つの衛星を打ち上げ、その狙いは不明確だが、打ち上げられた衛星が何度も軌道を変更し、他の衛星に近接したり衝突寸前まで軌道を変更した。特に4つ目の衛星は、複数のロシア衛星に接近するとともに、米商用のIntelsat衛星にも近接している。この技術は、有事に衛星攻撃の手段に用いられるのではないかと懸念されている

2014年には、何者かが米気象衛星システムに侵入し、観測データにアクセスする事件が発生確認されており、「Ghost Fleet」が描く「情報の書き換え」がSFの世界の話でないことを強烈に印象づけた

ソ連は冷戦時、自爆衛星を開発していたと言われるが、米ソは直接衝突には至らなかった。双方が早期警戒衛星等への攻撃が「核攻撃に相当する」とレッドラインを理解し、その敷居を越えなかったからだとWork副長官が振り返っている
●しかし冷戦後、宇宙に関与する国は60カ国を越え、1300もの衛星が地球を周回している。衛星へ依存は核兵器に限らず、通常戦力も頼りにし、気象や航法や通信分野でも不可欠になっている

米国の取り組み
Ghost Fleet2.jpg米国も衛星への脅威を認識して軍事衛星防御や強靱性技術に取り組んでおり、幾つかは実用化されている。衛星カメラへのレーザー攻撃を防御する分厚いシャッターを装備したり、妨害電波にうち勝つ強力な電波通信を可能にしたり、妨害を受けた際に周波数をホッピングさせる技術等である
GPSの代替技術や、核攻撃防衛や通信や偵察機能にも投資が始まっている。また複数の機能を装備して敵の目標となりやすい高価な多機能衛星を見直し、安価で小型な衛星に機能を分散することを目指す方向にもある

米国は宇宙アセットへの攻撃を、報復の脅威で抑止したいとの政策を取るが、報復を敵の同等のアセットに絞る方針である。しかし中露が核関連の早期警戒衛星や戦略通信衛星を攻撃してきた場合、米国の対応は宇宙に止まらないと書籍「Ghost Fleet」の著者は見ている
●また、商用衛星や地上の商用アセットへの攻撃は、米国への攻撃と見なされ、戦いは文民世界を急速に巻き込むこととなると、同著者は語っている

●著者であるPeter SingerとAugust Coleは、米議会で証言したり、NSCスタッフに講演したりしている。同著書はフィクションながら、その現実に沿った見方は、緒戦で宇宙を失うと戦いがどうなるかを描いた点で現実的な作品である。著者は「そうならないことを祈る」と語っているが・・・
米国は本年度予算で約2000億円を軍事衛星防御に投入するが、この予算は2017年度には2兆2000億円増額される方向である
//////////////////////////////////////////////////

近年の中露の宇宙兵器(らしき?)開発活動や、米軍予算の増額具合から見て取れるように、宇宙に関する危機感が急速に高まっています。米軍高官の関連発言も増え、関連法案の改正も進みつつあります

Ghost Fleet3.jpgそれで間に合っているかというとそうではなく、サイバー戦と同じく、攻撃側が圧倒的に優位な状況にあり、状況把握体制から整える必要があるのでしょう。現状で日本が関与できるのはこの分野ぐらいでしょうか

防衛研究所の「東アジア戦略概観2016」が、第1章で「宇宙安全保障」を取り上げたように、同盟国にもその危機感が伝搬しつつあるのでしょう。
トム・クランシーの小説のように、「Ghost Fleet」が翻訳され、広く関係者や一般国民に読まれることが第一歩かもしれません。あっ・・既に「中国軍を駆逐せよ!」上下巻(二見文庫)で既に出版されているか・・・

宇宙関連の記事
「民間企業も交え大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-05
「宇宙改革法案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-13
「衛星小型化は相殺戦略でも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

「Space Fence試験レーダー完成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-29
「宇宙アセット防御予算8割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-01-1
「米空軍の宇宙姿勢を改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-19-1

「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「F-15から小型衛星発射試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-09
「米空軍のSpace Fenceを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-28

「日米2+2で宇宙協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-04
「豪へ宇宙監視レーダー移設合意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15

宇宙での戦いを訓練
「国際宇宙演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

東アジア戦略概観2016
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-25
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

民間宇宙企業の視点も交え宇宙演習 [サイバーと宇宙]

JFCC-Space3.jpg3日付米空軍web記事が、4月23日から28日の間に行われた米戦略コマンドによる宇宙演習「GLOBAL LIGHTNING 2016」を紹介し、特に衛星運用を行う民間企業の関係者が参加したことで、提示された状況の診断や対処がより実戦的に行えたとの関係者コメントを紹介しています

事柄の性格上、演習シナリオの細部は公開されていませんが、今や宇宙を考える場合、諸外国や民間事業者の協力がないと事象の正確な把握が難しくなっている事を象徴する演習といえましょう。

3日付米空軍web記事によれば
●4月28日、米戦略コマンド隷下のJFCC-Space(Joint Functional Component Command for Space)が、宇宙演習「GLOBAL LIGHTNING 2016」を終了した
●同演習は毎年実施されており、米国防省の関連部隊や機関を宇宙シナリオで訓練し、統合での対処能力を確認し、米戦略軍任務エリアへの攻撃対処能力を鍛え確認するものである

JFCC-Space.jpg●演習は1年以上掛けて準備され、多様な脅威やシナリオを織り込んでおり、米軍戦略部隊の強靱性や生存性や重複補完性を検証し、緊急事態時にも地域戦闘コマンドに必要な能力提供が可能なことを確認する

●戦略コマンド司令官のCecil D. Haney海軍大将は、「変化し続ける脅威に直面する我々が、サイバーであれ宇宙であれ核兵器であれ、多様な脅威に対処できることを確認する大規模演習である」と表現している
●JFCC司令官のDavid Buck中将は、「国家宇宙戦略に沿って、攻撃や妨害を抑止し、米国や同盟国アセットの防御に貢献する。必要なら我々の宇宙へのアクセスを拒否、妨害、低下させる敵の試みを粉砕する」と表現している

●今回の演習のハイライトは、CIC(Commercial Integration Cell)の役割増加である。CICは、6つの協力覚書に基づき、民間宇宙アセット運用企業の連絡員で構成される部署で、空軍研究所(AFRL)がサポートしつつ統合宇宙作戦センターでの活動を期待する組織である
インテルサット社から参加した連絡員も、CICが終始演習に参加することにより、宇宙軌道上で発生する不規則事象に関する診断、見極め、対処が迅速化し、米国宇宙アセットの抗たん性を増すことが出来ると語っている

JFCC-Space2.jpg●JFCC司令官も、CICが企業目線での貴重な貢献をしてくれており、全体運用の効率性や強靱性を増強してくれていると評価している
●同司令官は、演習に関与した4軍の兵士、国防省職員、関連企業関係者が、我が国や軍による宇宙へのアクセスを確かなものにしてくれるだろうと演習を評価した
///////////////////////////////////////////

CICという組織が編成され、役割を増しているとご理解下さい。また統合(連合)宇宙作戦センター(Joint Space Operations Center)で活動していることを覚えて置いてください。

最近の宇宙関連記事
「宇宙ルネッサンス法案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-13
「衛星小型化は相殺戦略でも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「Space Fence試験レーダー完成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-29
「宇宙アセット防御予算8割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-01-1
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

米議員による宇宙アセット改革法案 [サイバーと宇宙]

Bridenstine2.jpg12日付Defense-Newsは、米下院の軍事や宇宙政策に関連する委員会に所属するJim Bridenstine議員(共和党:オクラホマ)が発表した、混雑や競争や脅威が高まる宇宙政策に関する法案の概要を紹介しています。

軍民間の縦割り排除、小型多数衛星への方向変換、衝突防止の民間委託、国産ロケットエンジン使用の推進施策などのアイディアを含んだ法案(American Space Renaissance Act)で、その実現可能性や方向の正誤については細部コメントできませんが、現在の米国宇宙政策の課題を理解する一助としてご紹介します

12日付Defense-News記事によれば
Bridenstine3.jpg12日、宇宙政策をリードする立場にあるBridenstine議員は「Space Foundation」の年次総会で、過去米国が独占してきた宇宙が、より「congested, contested, and competitive」になる宇宙環境を踏まえ、民間企業の革新的技術を背景に、米国が将来も宇宙で主導権を握れるように同法案を作成したと語った
●同議員は最近のインタビューでも、再利用可能なロケットから衛星の掘削、宇宙居住に渡る多様な企業の取り組みに触れ、米軍や国の負担を削減しつつ、兵士の活動効果を最大限にする事が法案の狙いだと語っていた

通信衛星の軍民縦割り排除
商用衛星がC-bandやKu-band周波数帯を使用し、軍事衛星がX-bandやKa-band帯を使用しているが、紛争の最前線で使用されているアセットは、多くの場合どちらか一方の衛星周波数しか使用できない
●言わばこの縦割り(Stove-Piped Communications)は、作戦実施の柔軟性を著しく制約しており、我々としては、例えば無人機が軍民両方の使用でき、地球上の如何なる場所でも最良の通信環境を確保できるようにしたいと考える

JSPOC.jpg同法案は国防長官に対し、商用と軍用衛星通信の何らかの融合を計画するよう求めるもので、衛星通信端末をマルチ周波数帯への対応能力を要請するものである。この実現を軍用の「Wideband Global Satellite」で実現するか、商用の「ViaSat」で実現するかには拘らない
●同議員は「容易ではないし、安価には実現出来ないし、直ぐに実現出来ないことは理解しているが、必要なことである。そして、今始めなければ何時になっても実現できない。段階的にでも監視しなければならない」と表現している

●同時に同法案は、国防省が運用している5つの衛星システムの地上・宇宙システムの共有共同性を改善するよう求めるものとなっている。
●5つのシステムとは、「ミサイル警報赤外線衛星」「AEHF核ミサイル指揮統制」「GPS」「WGS:前述」「国防気象衛星」である

多数の小型衛星からなるシステム
少数の高価な衛星に多機能を詰め込むのではなく、多数の小型衛星に機能を分散し、コストを削減しつつ抗たん性・強靱性を増す
●米国が多数の衛星の「系や雲」を形成し、地上にしっかりとした生産ラインを保有すれば、中国やロシアも対衛星兵器への投資意欲が減殺されるだろう。
対衛星兵器を開発して使用しても、その影響が大したことがないと理解させれば良いのであり、「多数で小型」は宇宙拒否システムの抑止につながる

衝突防止の民間委託
Space Fence1.jpg歴史的に、米空軍が宇宙情勢把握や宇宙アセットの衝突防止を担い、衛星の状況やデータを分析し、衛星やデブリの衝突防止指示や助言を行っているしかしその様な役割は文民組織に移管し、米軍兵士は様々な新たな宇宙の脅威対処に集中させるべきである
現在はJSPOC(統合宇宙作戦センター)が世界からデータを集め、衝突警報を発しているが、外国政府や一般企業もその能力を有しており、商用の仕組みに移管すればより安価に可能であろう

●同議員は「国防省の一員であるJSPOC勤務員が、一日の半分を費やして宇宙での衝突防止情報を無料で提供しているが、これは我が兵士が力を入れるべき分野ではない」と語っている
●具体的に同議員は、連邦航空局FAAの商用衛星交通室が、JSPOCや商用データを用いて本業務を引き継ぐべきだと法案で提起している

安全保障衛星の打上は国産エンジンで
●2022年末からスタートする軍事衛星打ち上げの競争入札において、米国産ロケットエンジンを使用する場合は25%入札価格を割り引き、更に搭載衛星の保健料金に税金の割引を与える法案となっている
●法案では現在関与して苦しい立場のにあるものを懲らしめようとするのではなく、新たな参入者を動機付けるようなインセンティブの仕組みを盛り込んでいる
//////////////////////////////////////////

Bridenstine議員はかつて米海軍のパイロットとして、E-2CやFA-18で約9年間の勤務経験があり、その後州軍でも麻薬取り締まり監視の航空機操縦を行っていたようです。2012年に下院議員に当選とか。

衛星を、小型・多数・分散する方向は共通の認識でしょうが、それで本当にコストが下がるのか、私にはよくわかりません。
JSPOC2.jpgWork副長官が、150個地上監視衛星を打ち上げる構想を民間企業と暖めていると講演していましたが、今後の成り行きに注目です

JSPOCで検索すると、自衛隊の統合幕僚長らが訪問した写真も表れ、日本も関与せよとの声が米国から上がっていることが伺えます
恐らく同法案にも、同盟国を巻き込むことを促す条項もあるのでしょう。悪いことではありませんが、限られた予算もあり、日本としては苦しいところでしょう

宇宙関連の記事
「衛星小型化は相殺戦略でも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「Space Fence試験レーダー完成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-29
「宇宙アセット防御予算8割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-01-1

「日米2+2で宇宙協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-04
「豪へ宇宙監視レーダー移設合意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15

宇宙とサイバーカテゴリー
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

米空軍「Space Fence」の試験レーダー完成 [サイバーと宇宙]

JAXAの天文衛星「ひとみ」の様子がわかりますように!

Space Fence5.jpg28日Lockheed Martin社が、宇宙状況監視用の米空軍新システム「Space Fence」の試験用レーダー施設ニュージャージー州で開設したと発表し、米空軍や政府関係者も参加してオープニングセレモニーを行ったと紹介しています

「Space Fence」は、1960年代からVHF帯レーダーを使用して運用してきた「Space Surveillance System」の後継システムで、「Sバンド帯」を使用することで「ソフトボール程度の大きさの宇宙物体を、1200マイルの距離で発見、大きさ判読、追尾可能」と言われるシステムです

今回開設したのはあくまでも試験用のレーダーで、本物は赤道近くに配置することにより東西方向に最大広角の視野を確保できることから、2018年後半にマーシャル諸島のKwajalein島で運用開始の計画です。
なお米空軍は、第2号のレーダーを豪州に設置したいと考えているようですが、予算の関連で凍結されており、マーシャル諸島の1号機が完成後に判断する予定です

28日付Lockheed Martin社発表によれば
Space Fence1.jpg●この試験施設は、Kwajalein島に建設される大型本格施設に先立ちハードやソフトの検証を行うもので、「Space Fence」が目指す1日150万回の宇宙物体補足追尾により、GPS衛星等の衝突防止に役立てるための施設である
●また当施設は、「Sバンド帯レーダー」の設置要領や設置試験の要領の検証、メンテナンス要員の訓練にも使用される。(同施設は1月30日に宇宙物体の初観測を実施しており、その後今まで、様々な微調整を行っていたものと考えられる)

●「容易な開発ではない」と担当副社長が述べていたシステムだが、同社は窒化ガリウム半導体を活用した「monolithic microwave集積回路技術」を用いて「Space Fence radar」の設計を行っている
ホノルルなら南西2100kmのKwajalein島では、大量のコンクリートを投入してセンサーの基礎工事が行われており、2018年後半の運用開始宣言を目途に作業が進められている

●同社のBruce Schafhauser担当部長は、「本施設のオープニングで、Space Fenceによって宇宙状況把握や宇宙ゴミ把握能力を約10倍高めることに1歩近づいた。オープンアーキテクチャー採用により、同システムは将来の多様な目標探知追尾に適応できるだろう」と自信を示した
//////////////////////////////////////////////////////

Space Fence3.jpg2014年4月にご紹介した際は、「機種選定が行われており、Lockheed MartinとRaytheonが米空軍の決定を待っている。強制削減の影響やSCMR検討等により、提案要求書の提示や選定業務が1年遅れとなっているが、5月には決定されるだろう」でしたが、ロッキードが担当で進めている模様です

その他にも米空軍は・・・
●米大陸Antiguaに配備していた「C-band radar」を豪州に移設
DARPAが開発した光学センサーも豪州に設置予定で、静止軌道にある宇宙物体の状況掌握を大きく向上させる予定
●日本との間でも、JAXAが持つ衛星監視情報を米国の宇宙監視網と共有する方向で合意しており、航空自衛隊のレーダー情報の活用も議論されている

宇宙状況監視の過去記事
「米空軍のSpace Fenceを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-28
「日米2+2で宇宙協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-04
「豪へ宇宙監視レーダー移設合意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15

宇宙での戦いを訓練
「国際宇宙演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「Hack the Pentagon」でサイバー脆弱性対処 [サイバーと宇宙]

2500回目の記事となりました! もう少しだけ続けます・・・

Hack the Pen.jpg2日、米国防省のPeter Cook報道官が「Hack the Pentagon」との取り組みの概要を発表し、事前登録したハッカーに指定範囲の国防省システムをハッキングしてもらい、国防省システムの脆弱性把握などに活用する計画を明らかにしました

この様なイベントは、その世界では「bug bounty」と呼ばれ、マイクロソフト社等が自社システムの強化に役立てているようですが、国防省としてはもちろん初めての取り組みです
詳細は追って明らかになるようですが、面白そうなのでご紹介しておきます

2日付米国防省の発表文によれば
Hack the Pen3.jpg●この取り組みで国防省は、民間分野の有能な参加者を得て、国防省システムの脆弱性特定や分析に役立てる。「bug bounty」と呼ばれるこの「initiative」は、既に複数の民間大企業でネットワークやデジタルサービスの改善・開発に活用されているものである
●「Hack the Pentagon」への参加希望者は事前登録が求められ、必要な確認(background check)を経た方に参加して頂く。

●参加登録をしたハッカーの皆さんには、指定された国防省システムに、指定された時間内でのアクセスの試みに参加してもらう
●本取り組みで指定された以外の、国防省にとって重要な任務に直結するシステムは、本「bug bounty」の対象外である

●参加者には、金銭的な報酬や他の表彰等の対象となる資格が発生する
●この取り組みは、カーター国防長官が進める国防省サイバーセキュリティー強化の新手法を見いだす取り組みの一環であり、同長官は「常々国防省勤務者に、ペンタゴン外の考え方に目を向けよと訴えている。我々が招待する責任あるハッカーが、我がシステムのセキュリティー状態を試験する」と語っている

Hack the Pen2.jpg●この「Hack the Pentagon」計画は、昨年11月にカーター長官が立ち上げたDDS(Defense Digital Service)が取り仕切り、2月9日に政府が発表した「Cyber National Action Plan」とも整合性を持つ取り組みである


●同計画は4月から開始される予定で、参加に必要な要件や基本ルールについては後日公表する予定である

米国防省PC約400万台を「Windows 10」に
●3日、カーター国防長官はシアトルで開催されたマイクロソフト社後援のイベントで、国防省のサイバー分野での第一任務は「自己防御」であり、この任務遂行は基礎的な技術サポートから始まると述べ、米国防省は約400万台のデスクトップPCを「Windows 10」に「前例のない」規模で変更すると明らかにした
////////////////////////////////////////////////////

アイディアとしては興味深いですが、実際に計画準備する人たちにとっては「準備が大変で」「結果次第で仕事が増える」取り組みかも知れません

登録して参加が許される人物の「基準」も興味深いところですし、口封じの約束程度や賞金額、参加者氏名の公表有無などなど、気になります。
日本の企業で「bug bounty」やってるところはあるんでしょうか???

IT企業との連携強化
「DDSによる人材交流促進」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「FlexTech Alliance創設」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-31
「技術取込機関DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

浪費だと議会から袋叩き状態ですが・・・
「Force of the Future」米国防省特設ページ
http://www.defense.gov/News/Special-Reports/0315_Force-of-the-Future

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

米軍が対ISILでサイバー戦を強化 [サイバーと宇宙]

ISIL Cyber.jpg29日、カーター国防長官とダンフォード統合参謀本部議長が定例会見に臨み、対ISIL作戦で指揮統制系統を分断するようなサイバー作戦を導入し実施していると明らかにしました
事柄の性格上、細部は明らかにしていませんが、「新しく、いくつかはsurprisingなものとなろう」とも表現していますので、とりあえずご紹介しておきます

カーター長官は、同会見の後、シリコンバレーや西海岸のハイテク企業関係者との会議や講演に出発し、民間分野の最新技術をいち早く軍事分野に導入する取り組み推進に動いています

Commonwealth Club of San Francisco」や「annual RSA security conference」での講演で新たな施策が打ち出されるかに注目ですが、カーター長官肝いりの「Force of Future施策」予算案が、議会で「袋だたき状態」にあるようですので、元気を出して頂きたいものです

29日付米国防省web記事によれば
ISIL Cyber2.jpg●ダンフォード議長は「ラマディーを再度奪取し、アンバールで作戦を前進させ、シリアでも作戦面で大きな前進を見せている」と会見で語り、「我々の戦略と決意により、勢いは我がサイドにある」と表現した
●多国籍部隊はISILの陣地や油田を攻撃し、サイバー戦によりISILの作戦及び意思疎通能力を麻痺させているとカーター長官は述べ、特にシリアでは、サイバー戦でISIL指揮統制を麻痺させて住民や経済への影響力を阻害していると語った

●またカーター長官は「米軍サイバーコマンドの重要な活用法で有り、同コマンドが設立された第一の目的はここにあったのだ」とも語った

29日付Defense-News記事によれば
●国防長官とダンフォード議長は細部に言及することを避けたが、カーター長官は伝統的な電子戦手法を超える手段を使用していることを認め、主目標が相手の通信網であると示唆した。
●カーター長官は「効果が出ている。新しく、いくつかは奇襲的側面が有り、対ISIL以外の他の場面にも使用可能なものである」と表現した(methods we're using are new, some of them will be surprising)

ISIL Cyber4.jpg●一方でダンフォード議長はやや慎重に、サイバー分野では多様な要因を考慮する必要があり、ある場面で使用した形式が、そのまま世界中で使用できるわけでは無いと説明した
●そして同議長は「イラクやシリアの対ISILで使用した手法を、そのまま世界の他の場所には適応できないが、考え方を活用して応用していける」と表現している

●またダンフォード大将は「ラッカとモスル間の意思疎通を遮断し、イラクとシリア間も遮断することはISILの活動を困難にする」と表現し、「概念的には、これと同様のことをサイバー世界で実施しようとしている。言い方を変えれば、物理的側面とバーチャル側面の両方からISILの孤立化を図っている。指揮統制能力を削ぎ、互いの意思疎通を抑え、作戦遂行能力を減じているのだ」と説明した
//////////////////////////////////////////////////////////

米軍サイバーコマンドが創設から6年目を迎え、「具体的な成果を見せる年だ」と司令官が念頭に意気込みを語っていましたが、具体的な成果が出たのであれば、結構なことです
2017年度予算案を巡り、議会はLRS-Bや「Force of Future施策」に対し、かなり厳しい姿勢を見せているようですが、カーター長官の西海岸での成果に期待したいものです

ISIL Cyber3.jpgもちろん楽観は出来ませんが、対ISILで「significant gains in Iraq and Syria」とは喜ばしい限りです

岡崎研究所などはISはカリフ制の国家であると言っていますが、それをそうでなくすることがISの敗北と考えられます。そしてそれはさほど難しい事ではありません」(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6173?page=2)の論説を出し、あまり悲観的になっては道を誤ると指摘しています

ほとんど現状を把握していませんが、常に策を考えていくことが重要なのでしょう

サイバー戦関連の記事
「サイバー司令官が決意を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22-1
「中国には君らも脆弱だと言っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-23

「航空戦力でサイバー戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-17
「閉鎖ネットワークにサイバー攻撃を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

「サイバーと宇宙」カテゴリー
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1

「force of the future」関連記事
「体外受精など追加策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-29
「全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「企業等との連携や魅力化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「施策への思いを長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

宇宙アセットの防御予算は8割不足? [サイバーと宇宙]

Beauchamp.jpg1月28日、米空軍省のWinston Beauchamp宇宙担当次官代理が講演し、宇宙ドメインを他ドメインと同等に扱う取り組みは始まったばかりであることや、宇宙ドメインの強靭性「resiliency」強化には同盟国等との連携協力が不可欠だと語っています

特に、宇宙アセットの防御への投資が不十分であることの「主張論理」が面白いので、ご紹介します

1日付米空軍協会web記事によれば
●米空軍協会Mitchell Instituteの朝食会で講演したBeauchamp次官代理は、宇宙ドメインを他ドメインと同様に扱う取り組みを始めているが、まだまだプロセスは進行中だと語った
●Beauchamp氏は「宇宙における任務遂行をより確実なものにするため、改善の必要性は古くから理解されているが、宇宙能力へのアクセス確保など不十分な部分への取り組みは、ここ2~3年で始まったばかりだ」と語った

GPS III 2.jpg●(宇宙アセット防御への投資が十分でないことを説明するため、)Beauchamp氏は「空母1隻を運行する予算自体は、空母を防御するために搭載される航空部隊や艦艇部隊、その他アセットの運用経費の1/5以下に過ぎない」と語り、
過去35年間、我々は8割オフの経費で宇宙アセットの運用を行ってきたのかもしれないと同次官代理は語り、効率的に任務を遂行してきたのかもしれないが、(現在の)脅威を前にして、強靭性やアセットを防御する能力が無い状態に陥るだろうと表現した

●また、米空軍は強靭性を増強する手段を検討しているが、パートナー国等との国際協力も含まれると語り、「一人では戦わない、コアリションとして戦う」と説明した
●そして「多国間の協力は、潜在的敵国の目標選定を複雑にする」と効果を表現し、更に現下の予算状況では、同盟国等が既に配備している宇宙アセットを活用することが道理にかなっていると語った
///////////////////////////////////////////////////

Beauchamp2.jpg空母の防御費用は、空母自体の運用経費の5倍以上の経費」とのくだりは、恐らく空軍や国防省内部での予算獲得議論で使用した「論理」なのでしょう

「ここ2~3年で始まったばかり」とは正直なご発言ですが、実態に向き合うことが大切です。日本政府にもこの姿勢が必要でしょう

米空軍の宇宙への取り組み
「空軍長官:宇宙への姿勢をシフト」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-19-1

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

米軍サイバー司令官:8割は個人の意識で解決 [サイバーと宇宙]

Cyber Command.jpg1月21日、米軍サイバーコマンド司令官(兼ねてNSA長官)のMichael Rogers海軍大将がAtlantic Councilで講演し、2016年の戦略的優先事項について語っています。

同コマンド司令官として2年勤務した経験も踏まえ、なかなか細部に踏み込んで語れない分野ですが、米国や米軍におけるサイバー分野での関心事項が伺えますのでご紹介します

ポイントは、「ネットだけでなくシステム全体で」「5年を経て更なる飛躍を」「パートナーシップ強化」「サイバー衛生の文化を:8割が個人の意識」といった事項です。
21日付米国防省web記事でご紹介します

ネットだけでなくシステム全体で
Rogers NSA.jpg●今年を通じ、ネットワークの枠を超えて、同様に脆弱性を持っているシステムやプラットフォームの枠にまで拡大して問題に取り組んでいきたい
●とても大きな課題であるが、調達分野にも関与し、システムの購入や設計段階にサーバーセキュリティーの視点を取り込んでもらうように取り組む
現在国防省が使用しているシステムの多くが、サイバーの観点で重複性や強靱性や防御性を重視された装備ではない。これは国防省だけの問題では無く、他の政府機関や民間企業でも今や日常の問題となっている

5年を過ぎInflection Pointへ
サイバーコマンドを創設して5年が経過し、今年は本コマンドにとっての「Inflection Point」となる。最初の5年間は、3つの任務である国防省ネットの防御、民間ネットに重要事象が発生した際の命じられた場合の対応、サイバー部隊能力の防御から攻撃までへの適用の態勢を固めてきた。そしてその任務遂行能力が形になりつつある
●これまでのハードワークが実を結び初め、これ能力をより広範囲に適用し始めることができるだろう。これは国防省にとっても、米国にとっても前向きなことである

パートナーシップの強化
Rogers NSA2.jpg2年の勤務経験から学んだのは、サイバーセキュリティーとはパートナーシップにより成り立つと言うことである。どの組織も、どの国も、単独で本分野に関する対策が可能なものは存在しない
●我々にとって、如何に協力的に、如何に革新的にサイバードメインの仕事に取り組むかが問われている。ここでは、広範な視点を持ち寄って協力しながら成果を出すことが必要で、多くの時間を「how to」に費やしている

2016年は国際的なパートナーシップを焦点にする年にしたい。皆さんは、我々がますます鍵となる同盟国や友好国と関係を強化するのを目にするだろう
●多くの国がサイバーコマンドのような組織を持っており、2016年はその協力にパワーを構築することを焦点の一つとし、どのように進めるかを考えていく
行動と抑止の規範の上で諸国が動き始めることで、ダイナミズムが力となっていくのではないか

サイバー衛生の文化を
(8割が個人の意識)
国防省全体で取り組んでいるのが、兵士に武器を与える際に、兵士が心得て厳守すべき事項のように、サイバーに関する「衛生」や「セキュリティー」意識を如何に植え付けるかである
Cyber-Op.jpg武器を兵士に与える際には、正しく操作し、防護し、むやみに用いず、定められた条件下で使用するよう教え、武器の管理に責任を持たせる。この感覚をサイバー分野にも植え付けたい

サイバー分野における基礎的な「衛生感覚」を植え付けるだけで、サイバー防御に関する我がコマンドの現在の業務の8割は不要になり、真に重要な課題に集中できる
●これもまた国防省に限ったことではなく、民間分野でも同じ課題と向き合っている
////////////////////////////////////////////////////////

サイバーや宇宙、更に電子戦に関する分野で、米軍内の意識改革に取り組もうとする発言や動きが、今年に入って各方面で進められているようです

また、国防省webサイトが記事として取り上げた点でもそれなりのメッセージ性があるのでしょう

お金が無くてもできることから始めよう!・・の精神かも知れませんが、中国などは正面対決では勝てないと悟り、弾道ミサイルや巡航ミサイル、サイバーや宇宙や電子戦に精力を注いでいるわけですから、当然の取り組みです

「中国には君らも脆弱だと言っている」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-23

「米空軍の宇宙への姿勢を変革中」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-19-1
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

米空軍の宇宙への姿勢をシフトする [サイバーと宇宙]

James CSIS.jpg14日、シンクタンクCSISが主催した「Smart Women Smart Power Initiative」で討議に参加したJames空軍長官は、宇宙ドメインの扱いを他のドメインと同様にするための「cultural shift:文化の転換」が必要だと語りました

具体的な取り組み内容が不明ですが、昨年後半から、米空軍幹部が同様の発言を始めていますので、昨年9月の宇宙コマンド司令官発言と併せてご紹介していきます
その内、具体的な動きが明らかになると思います

CSISでJames長官は
James CSIS2.jpg●将来の戦いにおける米国宇宙アセットへの脅威に備え、米空軍は訓練を変えつつ有り、宇宙ドメインにおける「cultural shift:文化の転換」を図りつつある
我々は、宇宙を他の米軍事力が(陸海空を)扱うのと同じように扱うことを開始している。我々は地球での戦いが宇宙に波及する日に備えなければならない

●そのために米空軍は、資源をシフトし、我々の衛星網を防御する訓練をどのように行うかを試しつつある。これは他のドメインで関連アセットの防御を訓練するのと同じである
中国やロシアがこの分野で投資や試験を試験を行っており、米軍はより衛星の防御に取り組む必要がある

9月15日Hyten空軍宇宙コマンド司令官は
Hyten.jpg●コロラド州のSchriever空軍基地に設置された新しい「統合宇宙作戦センター:Joint Integrated Coalition Space Operations Center」は、紛争が宇宙にまで波及した際に、情報コミュニティーがどのように情報を共有するかを試す場所である
現在の宇宙作戦センターは、宇宙の交通を管理し、前線指揮官を情報アセットで支援する役割を担っているが、戦いが宇宙に波及した際の備えは行っていない

●戦いが宇宙に波及した場合にどうなるかを正確に把握できているわけでは無いが、米国はその領土を守り、指揮統制能力を確保しなければならない。そのため全ての宇宙ドメインを防御する必要がある
●なお「3,000-square-foot」の作戦室は、将来の宇宙作戦運用のコンセプト実行に必要な事項を洗い出すための実験場である。
//////////////////////////////////////////////////////

Schriever Wargame.jpgSchriever空軍基地は、政府機関や同盟国や民間専門家も交えた大規模サイバー宇宙演習「Schriever Wargame」を定期的に開催している基地で、この分野のメッカとも言える基地です

多くの同盟国がこの演習に参加したと聞いていますが、未だ日本が参加したとの話は聞きません(私に知る限り)
恐らく、日本の中でどの省庁が何を担当するのかさえも曖昧なママなのでしょう。サイバードメインとともに、今後早急な対応を迫られている分野です

サイバー宇宙演習「Schriever Wargame」関連
「2015年は欧州を主舞台に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「2012年の同演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19

2010年演習の教訓
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

欧州を主戦場に宇宙&サイバー演習開始 [サイバーと宇宙]

Schriever Wargame4.jpg9日付米空軍宇宙コマンドのプレス発表によれば、11日から第9回目のサイバー&宇宙机上演習「Schriever Wargame」が、コロラド州コロラドスプリングスのSchriever空軍基地で開始されました。

複数の米軍主要コマンドや情報機関のほか、国務省や運輸省や商務省や国土安全保障省等が参加し、何が起こっているのか、誰がやっているのか不透明な宇宙&サイバー世界の「頭の体操」を行います
なお、今回は血の同盟関係にあるアングロサクソン系のカナダ、豪州、NZ、英国も同演習に参加します。日本も入れたら同盟国として一人前でしょうが・・・

プレス発表によれば、今年の演習の焦点は「米欧州軍の担当エリア」だそうで、想像ですが、ロシアが宇宙&サイバー空間で様々に引き起こす事態に、関係機関が協力して対処する訓練となるのでしょう

Schriever Wargame2.jpgまあ・・訓練の前段階として、サイバー&宇宙攻撃を受けた際、どのような現象が起きるのか、何処にどのような影響が出るのか、何が問題なのか、関係機関の間でどのような連携が必要なのか・・等々を参加者みんなで確認することが主になると「勝手に」想像しています

なにせ、サイバー&宇宙分野では、影響が広範に及ぶ割には、「誰が何処まで仕切るのか」や「誰にどれだけ権限があるか」等々について、あまりにも米国として(当然日本もですが)不明確な部分が多く、国防省や軍事専門家や議会からは政府に対し、早く何示せと催促が続いている状態だと認識しています

9日付プレス発表によれば
●「Schriever Wargame」の目的は
Schriever Wargame.jpg---米軍、情報コミュニティー、民政、商業分野や同盟国等を含めた、宇宙における「強靱性:resilience」を強化する手段を特定し、
---どうしたら理想的な効果を多国籍作戦を支援する前線兵士に提供出来るかを探り、
---どのようにしたら複数ドメインに渡る紛争で、将来技術を活用して宇宙アセットを防御するかを吟味する

●同演習で使用される15のシナリオは、宇宙とサイバードメインを活用し、敵対者が戦略目標を達成しようとする事を想定している。演習はグローバルな広がりを設定しているが、焦点は欧州コマンド担当エリアである。
●シナリオには、多様な運用エリアを想定しており、軍民両方の多様な分野の指導者、計画担当者、宇宙アセット運用者とその能力に負荷を与える

●同演習には、27以上の米軍コマンドや政府機関等から約200名の文民と軍人の専門家が参加する
Schriever Wargame3.jpg参加コマンドや機関の内訳は、米空軍宇宙コマンド、陸軍宇宙ミサイルコマンド、海軍サイバーコマンド、NRO(国家偵察局)、米空軍戦闘コマンド、国防長官室、米軍欧州コマンド、米戦略コマンド、DIA、政府関係情報機関、国家航空宇宙行政局、国土安全保障省、運輸省、国務省、商務省等である
///////////////////////////////////////////////

ご参考1:2012年の同演習概要
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
●2012年5月のNATO首脳会議で打ち出された「Smart Defense構想」を推進すべく、英豪加に加え、NATOの仏・伊・独・蘭・デンマーク・トルコ・ギリシャから軍民両方の関係者が数百人参加

ご参考2:2010年の同演習の教訓
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

米軍を中心に政府機関や民間企業関係者からの600名参加者(英、豪、カナダを含む)は、米軍、民間の宇宙やサイバー企業関係者、同盟国、米国政府及び他省庁、米国情報機関を演じて参加。

大まかな演習の進捗は・・・
Schriever Wargame6.jpg●太平洋の片隅で発生した宇宙やサイバー空間関連の小さな事象を発端となり、相手(中国を想定)はそれが重大な挑発と認識。相手の対応は激しく、米側は宇宙とサイバー空間へのアクセスを遮断する強烈な先制攻撃を行う
以後双方が大規模攻撃に繰り出す。ただし相手側の作戦は事前によく練られており、意志決定も我が方に比較し格段に素早い
●宇宙やサイバー空間での作戦の推移は極めて早く、瞬く間に地球規模に拡大し、ドメイン内に封じ込めることは出来ない。冷戦時代の抑止理論は、本分野の紛争には適応できない

特徴的な事象を列挙すると・・・
●サイバーや宇宙ドメインでの攻撃は、誰が行っているのか、何の目的で行っているのかを明確に出来ない。この種の攻撃は、破壊よりも混乱を引き起こすモノととらえるべき。「戦場の霧」の濃さや厚みを増すモノと考えるべき。
●この種の紛争は極めて複雑。宇宙でもサイバー空間でも多種多様な関係者が関与している。敵対的競争者(peer)のだけでなく、ならず者国家も関与し、民間社会や商業金融社会の利害に影響を及ぼす。

Cyber-EX.jpg相手は米側のネットワークへの依存を熟知しており、弱点を突き強烈に攻撃的な姿勢を取り、よく練られた攻撃を米と同盟国に向ける。相手は攻撃時刻と場所を自由に選択し、警報を発する暇もない。米国側は意志決定や対応に時間を要し、後手に回る。
●このドメインでは「禁じ手」や「レッドライン」に関する共通認識が無く、紛争拡大の抑止が極めて困難。危機や紛争は短時間にエスカレートして同盟国を巻き込む。

●また地域の紛争を、その地域にとどめておくことも極めて困難。いったん火を付けたら、瞬く間に世界中に拡散する。
●宇宙では宇宙アセットの被害は簡単に回復できず、紛争終了後も長く影響を与える。

演習の教訓的事項を列挙すると・・
●米国等への攻撃が波及的影響を広範囲に与え、最終的に敵にも降りかかることを敵に認知させる必要がある
●宇宙やサイバー分野の戦力組成を事前に同盟国や民間・産業界を含めて把握する必要がある。
●民間や同盟国関係者が一堂に会する指揮所の設立が非常に重要であり、演習で有効性が確認できた

cybercrime1-.jpg宇宙の状況掌握が極めて重要。例えば、太陽活動によっても通信が影響を受ける事があり、状況掌握が正確でないと、敵の攻撃どうかの見極も困難。
宇宙の規範のようなモノ、つまりそれに従う者が何らかの利益を享受でき、同時にそれを犯すと摩擦や紛争の種になるとの共通認識を確立し、同時に潜在的敵対者に我の「敷居」を理解させる。

●我の宇宙やサイバー分野での政策を明確に宣言し、排他的エリア、レッドライン、最後の一線、敷居と言った概念やレベルを明らかにして相手を抑止する事も考えるべき。
●これまでの戦いのような「DEFCON」を本ドメインにも設定し、対処が自動的に行われるような態勢にすべき
////////////////////////////////////////////////////////

基本的には、2010年演習の状況や教訓は、今でも変わらずそのままだと思います・・・

2012年の同演習概要
「2012年の同演習概要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19

2010年の同演習の教訓
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

米軍サイバー司令官が中国を脅す? [サイバーと宇宙]

中国側に「君たちも脆弱だ」といっている

Rogers cyber3.jpg21日、カナダ大西洋岸最大の都市で開催された「Halifax Security Forum」で米軍サイバーコマンド司令官(兼ねてNSA長官)Michael Rogers海軍大将が、これ以上中国が悪質なハッキング行為を行った場合、サイバー空間で反撃する可能性を示唆しました

9月の習近平訪米に伴う米中首脳会談で、「お互いサイバー泥棒はしない」ことで合意したと発表されていますが、同時に合意が守られない場合の対応についてもオバマ大統領が示唆していたところです

なお同合意については、米中双方で解釈が異なることを専門家が指摘しており、米情報機関トップも履行の可能性を悲観的に見ていました

21日付Defense-News記事によれば
Rogers cyber2.jpg●Rogers司令官は中国も歓迎されないサイバー侵入の餌食になる可能性を示唆し、「中国側のカウンターパートには、中国も他の工業化社会と同様にサイバー攻撃に脆弱であることを、肝に銘じておくべきだと言い聞かせている。中国が世界的なサイバー攻撃問題の枠外にいるとの考えは間違っている」と語った

●NSA(National Security Agency)長官も兼務する同大将は、中国は国の機関に米民間企業のハッキングを行わせ、盗んだ知的財産を中国企業に分け与えている。当然米国はこのようなことはしていないと語った。
●同大将は、NSAとして対外的に何が実施可能かを掌握しているが、ボーイングやロッキードに情報を与えるため、その能力を利用することは無いとも語った

●そしてRogers司令官は「危機を助長しあおる様な行為を誰も望んでいない。誰の利益にもならないからだ」と付け加えた

マケイン議員は書簡で中国への制裁を要求
McCain5.jpg18日、マケイン上院議員(上院軍事委員長)はオバマ大統領に書簡を送り、サイバー攻撃で知的財産を強盗している中国に対し、制裁等を伴う強い姿勢で臨むよう訴えました。なお、同様のレターを国土安全保障長官やDNI長官、更に司法長官にも送付されたようです
●書簡は、オバマ政権に対しハッカー行為により強い対処を求める内容で、中国に対して制裁措置を執らない政権を、サイバー抑止戦略遂行を逡巡していると厳しく非難しています

●書簡の中でマケイン議員は、「米政権はこれまで、米国に対するサイバー攻撃を抑止する確固たる戦略の策定遂行を拒んできた」、「繰り返されている米国へのサイバー攻撃は、抑止に必要な手段の使用を拒むことによる安全保障上の対価や虚弱な戦略をあぶり出している」と指摘しています
●また同議員は、4月にオバマ大統領が署名した大統領令で、米国の安全保障を脅かす国家や企業だけでなく、個人も制裁の対象に含めていることに触れ、「サイバー強盗国家等に対処して結果で思い知らさなければ、安価で有利な強奪を止めないだろう」と訴えています
////////////////////////////////////////////////

米国専門家は米中首脳の「お互いサイバー泥棒はしない」合意を、「中国主席は単に、中国は商業面の知的財産窃盗に強く反対し戦っていくとだけ語り、米国より曖昧で狭義な表現しかしていない。更にこの表現は、中国によるサイバー攻撃が指摘されるたびに中国が示してきたスタンスと同じである」と評価しています。

「米中サイバー合意に期待せず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-30

CyberPolicy2.jpgいつまで米国が忍耐を維持するのか・・・どのような「reprisals in the cyber realm」が想定されているのか・・・。
誤解や誤判断に基づく「意図しない反応」を呼び起こしかねない、未知の「ドメイン」がサーバーです。また、全く表に表れず、ひそかに一般の目に触れない世界で繰り広げられるのがこの「ドメイン」なのでしょう

知られざるサイバー戦の世界
「閉鎖ネットワークにサイバー攻撃を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18
「航空戦力でサイバー戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-17
「イージス艦サイバー企業が中国に身売り」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-06

「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

10年ぶり米軍事衛星打ち上げに競争導入 [サイバーと宇宙]

GPS III.jpg9月30日、米空軍は2018年に打ち上げ予定の新型GPS衛星「GPS III」の打ち上げに関する提案要求書RFPを発出し、11月16日まで候補企業からの提案を受け付けると発表しました。

米国の軍事衛星打ち上げは、2006年12月にロッキード・マーティン社とボーイング社の衛星打上部門同士が合体して合弁事業であるULA(United Launch Alliance)が誕生し、1社独占体制になっていました

しかし今年5月、SpaceX(Space Exploration Technologies)社が「ファルコン9」で軍事衛星打上げ承認を獲得し、約10年ぶりに2社による競争態勢が確立しました

Space-X社は2社合体によるULAの誕生話が持ち上がった2006年、「サービスの独占による反トラスト法違反として提訴」しましたが訴えは認められず、苦節10年の承認取り付けを経て「軍事衛星打上げ」参入を果たしました

なお、SpaceXのCEOはElon Musk氏です。
Elon Musk氏について→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%AF

9月30日付米空軍web記事によれば
Falcon 9.jpg●米空軍は今回の提案要求書RFPで、「完全経費固定契約:firm-fixed price contract」を求めている。これにより、米空軍の調達方針である、任務達成と作戦ニーズと打上げコスト削減と軍事衛星打上げへの競争原理導入をバランス良く実現する提案を採用する
●RFPをまとめた宇宙ミサイルシステムセンター司令官Samuel Greaves中将は、「技術革新の推進と血税の最大活用、レーザーのように確かな任務照準、宇宙アクセスの確保を強化すると期待している」と語り、競争復活に期待を寄せた

●今回の機種選定は「GPS III」1回の打ち上げを対象としているが、あと8回連続してこの様な競争による「GPS III」打上げ企業選定を行う

GPS III 2.jpg●「GPS III」は、従来のGPS衛星と比較して妨害対処能力が高く、位置情報や時刻の正確性も向上している。
●また、同じL1C信号を使用する欧州版GPS「Galileoシステム」とも相互利用が可能で、相互の信号を活用したサービスの拡大が可能となる

●米空軍宇宙ミサイルシステムセンターの打上げ産業部長であるClaire Leon博士は、「競争環境の強化のため、我々は企業と共に議論して提案要求書のまとめを行ってきた」、「SpaceXが承認を得たことで競争が強化され、納税者の血税を節約出来る」と語った
●また同博士は「国防長官室が推進するBetter Buying Power 3.0の方針に沿い、企業との早期からの意見交換で選定指針を明確にし、健全な競争を促進出来ることを嬉しく思う」とも述べた
///////////////////////////////////////////////////////////

ちょっとよく分からないのは、商用衛星打ち上げ分野ではロッキードとボーイングが別々の企業として、それぞれアトラスⅤとデルタⅣを争って提供し続けている点です。
恐らく2005年から06年当時は、スケールメリットというか、ばらばらより統合して「ULA」を創設した方が効率的だとの意見が支持されたのでしょう

Elon Musk.jpgそれにしても、Elon Musk氏の情熱と気力はどこから湧いてくるのでしょうか?
いずれにしても、今後細切れに9回連続して行われる「GPS III」打上げ企業選定の成り行きに注目して参りましょう

「米軍事衛星打ち上げにSpaceX参入許可」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

米軍事衛星の打ち上げには他に大問題が
ULA社の主力ロケット「アトラスⅤ」は大型衛星打ち上げの実質唯一の手段だが、ロシア製のロケットエンジンRD-180を使用している。しかし、最近の情勢からロシアがRD-180の「禁輸をちらつかせる」事態が発生している

RD-180 2.jpg米議会などは露製エンジンに依存する態勢脱却を強く主張し、RD-180の在庫がある2019年までに国産代替エンジンを開発せよと大号令。米軍需産業も何とかなるだろうとの反応
しかし、打ち上げロケット開発の難しさや種々の確認試験におけるリスクを懸念する米軍幹部や有識者は、2019年完成は厳しすぎる納期であり、露製RD-180の追加購入も行うべきと「哀願」している

露製エンジンへの依存問題
「国産開発が間に合わない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-29-1
「露製エンジンを何基購入?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-2
「米国安堵;露製エンジン届く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-22
「露副首相が禁輸示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-22

nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース
前の15件 | 次の15件 サイバーと宇宙 ブログトップ
メッセージを送る