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岩国配属F-35Bがホット給油&給弾訓練 [亡国のF-35]

Iwakuni-35.jpg17日付Defense-Newsが、岩国基地で行われた米海兵隊F-35Bの実戦的給油及び給弾訓練の様子を報じています。

4月の6日と11日にそれぞれ行われた訓練のようで、北朝鮮の記念日である15日に向け、「ショーアップ」され発信された感が漂っていますが、2015年に初期運用態勢確立を宣言しながら、今頃この訓練が初めてかよとか、まだまだ海外初展開F-35Bが戦力になるには時間が必要なんだなぁ・・・と感じさせる記事内容なので、そちら方面への関心からご紹介します

おまけで、大騒ぎだった空母カールビンソンの急遽「北上」指示に関し、緊張が高まった4月15日時点で、同空母がインドネシアの海峡を通過していたことが判明しましたのでご紹介します。

大まかな岩国F-35B部隊の今後の予定
現在10機が配備されているが、夏には6機追加され、計16機となり飛行隊編制が完結する
秋には強襲揚陸艦「Wasp」に搭載され、第31遠征海兵軍として海上訓練に臨む。なお強襲揚陸艦「Wasp」は、ノーフォークから佐世保に移送する本年末以降、第7艦隊所属となり、現所属の「Bonhomme Richard」はサンディエゴで修理に入る

ホット給油&給弾訓練について
F-35B-2.jpg●米海兵隊の発表によれば、岩国基地でF-35Bを運用する部隊VMFA-121は、エンジンをかけたままでの爆弾搭載訓練と他機からの燃料給油訓練を地上で行った。

●なお他機からの給油訓練は、ADGR(aviation-delivered ground refueling)と呼ばれるが、地上でエンジンをかけたままのF-35Bに対し、KC-130J空中給油機から直接給油し、給油速度の確認検証が行われた
●米海兵隊によれば、このような航空機から航空機への地上での直接給油は、設備不十分な緊急展開基地や代替基地等での運用を想定したモノで、部隊の運用レベルが一段と高まったことを示すものである

●また海兵隊によれば、6日に同飛行隊では、エンジンをかけたまま1000ポンドの誘導爆弾GBU-32(JDAM)をF-35Bの内部爆弾庫に搭載する訓練も行われた
●なお、同爆弾がF-35B内部爆弾庫に搭載されたのは、岩国での訓練のわずか2日前に、アリゾナ州ユマ海軍航空基地の戦技教官コースで行われたのが最初だった

●この様にエンジンを駆動させたまま給油や給弾を行う事により、一端エンジンを停止して行うより時間が節約できて実戦的であると共に、機体への負担を軽減したり故障発生を抑えることが出来る

あの日、あの空母は遙か南方海上にいた!
(別の17日付Defense-News記事より)
Carl Vins.jpg米海軍が公表した写真によれば、15日にカールビンソン空母群はインドネシアのスンダ海峡(スマトラ島とジャワ島の間)を通過しており、朝鮮半島からは3500nmも南にいた
●元々の予定では、豪海軍との演習がインド洋で計画されていた。(まんぐーす注:つまり、予定通り豪海軍との演習をインド洋で行い、その後インド洋から移動を開始してインドネシア列島を北上通過したものと考えられる)

8日に豪州行きが急遽変更され、「北上」すると明らかになった際は、ただちに朝鮮半島近海に急行するものと世界で話題になったが、太平洋海軍関係者もペンタゴン関係者もその行動に関しコメントしておらず、匿名では「驚いている。そんなこと誰も言及していない」との話も聞かれた
●ただ複数の関係者は、具体的な日時についてはコメントを避けたが、25日頃に韓国近海に達するとの韓国報道を強く否定はしなかった

●しかし、カールビンソン空母群以外に、空母ロナルドレーガンと空母ニミッツも数週間以内に朝鮮半島周辺に派遣されるとの報道については、複数の関係幹部が強く否定した
空母レーガンは横須賀で5月まで定期修理を行っており、修理終了後も、乗員等のリフレッシュ訓練にある程度の期間が必要である。また空母ニミッツは加州南で訓練中で、カールビンソンの交代で西太平洋に派遣される予定だが、それを早める考えは全くないようだ
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空母カールビンソンの動きに関しては、13日掲載の記事で「予定の訓練はそのまま実施」「15日には間に合わない」と米海軍協会web記事を引用してご紹介していましたが、おかげさまで正しかったことが明らかになりました

Kadena-Full.jpg岩国でのF-35Bの「実戦的訓練」アピールや、12日に嘉手納米空軍の全機フル兵装出撃準備訓練写真公開、空母「北上」やMOAB使用等々、メディア的な話題には事欠かないのですが、核実験をさせないように、「敷居」を超えないように、必死でプレッシャーを作為していたんでしょうか?

やるときには奇襲効果を狙うでしょうから、落ち着いて考えたいモノです。にわか軍事専門家にも注意ですし・・・

海兵隊のF-35ですが、JDAMを初めて内部に搭載したとか・・・そんな段階で2年も前にIOC(初期運用態勢)宣言するなよ!!! 「Hot Refuel」ぐらい、岩国に展開する前にしっかり訓練して来いよ!!!と叫びたい気分です。

関連の記事
「国防長官は空母の朝鮮半島?派遣をどう語ったか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-12
「道遠しNIFC-CA試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-26
「海兵隊F-35は岩国の次に中東へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03-1

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米空軍宇宙コマンドの変化への取り組み [サイバーと宇宙]

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Raymond-Space.jpg6日、米空軍宇宙コマンドのJay Raymond司令官(大将)や14空軍司令官(兼ねて統合宇宙作戦司令官)David Buck中将が記者会見で中国やロシアの宇宙能力向上と脅威増大に対応するため、宇宙状況把握(SSA)の向上が急務であり、そのための緊急衛星打ち上げへの取り組みがや、かつ調達を迅速にする他機関との連携への取り組みが重要だと訴えました

具体的な説明が少ないため、また技術的側面の知識不足で消化不良ですが、長らく取り上げていない重要な宇宙分野の話ですので、「小さなことからコツコツと」の姿勢でご紹介したいと思います。
また、3つの短い米空軍協会web記事による組み合わせ説明ですのでご容赦を

単なる衛星のカタログ管理では不十分
Falcon 9.jpgRaymond司令官は宇宙状況把握能力の向上が、最優先課題の一つだと語り、過去のように脅威を感じない穏やかな環境であれば、アセットの位置を把握しておくことがすべてで、宇宙アセットカタログを整理しておくような状況把握でやっていけたと表現した。
●Buck中将は、中国やロシアが高度で複雑な「軌道移動:on-orbit maneuvers」能力を備えていることを確認していると危機感を訴えたつつ、我々の宇宙に関する情報収集能力は、脅威の進展ペースに追随できておらず、だから情報収集整理能力の再生に取り組んでいるのだと説明した。

●Raymond司令官は敵対者の能力向上により我の能力が不十分になったと述べ、Buck中将は単なる宇宙交通管理ではなく、SSA(space situational awareness)では、宇宙物体の諸元、運用者の活動意図、アセット能力が提供される必要があると説明した
●Buck中将はSSA能力不足への対処策の一つとして、7月に打ち上げ予定の「ORS-5:experimental Operationally Responsive Space series 5」に期待を寄せた

2016年6月のORS衛星記事
Space Fence1.jpg米空軍は作戦運用要求に迅速に答えるため、数千億円もする多機能大型の衛星でなく、より安価で小型の衛星を求めて試験検討を続けている。
●その主要な取り組みの一つがORS(Operational Responsive Space satellites)で、2011年のORS-1衛星は、米中央軍のISR強化要請にこたえ、短期間でU-2偵察機のセンサーを活用する衛星打ち上げにつなげた
ORS-4が打ち上げに失敗して計画全体が困難に直面したが、2014年に準備が始まったORS-5は7月の発射に向け、商用衛星手続きで準備が行われ、100億円程度の費用で3年程度の活用を前提としている

迅速な調達に他組織との連携
●Raymond司令官は、新たな能力獲得のため調達を迅速化するため、「その能力を持つ他機関と協力関係確立を追及している」と述べた
China-beidou.jpg●既に「宇宙ミサイルセンター」はORS計画を通じて迅速調達の権限を獲得したが、その能力を更に拡大したいと述べ、宇宙コマンドより迅速な調達を行っているNRO(National Reconnaissance Office)との協力関係を例といて挙げた
●また米空軍の緊急能力造成室RCO(Rapid Capabilities Office)は、これまで宇宙アセット調達に関与してこなかったが、関係確立の協議を行っていると説明した
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時節柄、予算確保や予算案の正当性を訴える背景説明でしょうし、この1年が米空軍の宇宙活動アピール年(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24)ですので力が入っています。

ただ、中露の高度で複雑な「軌道移動:on-orbit maneuvers」能力は忘れてはならないので取り上げました。
中国とロシアの気になる宇宙活動については、以下の記事をおすすめ
「宇宙戦本Ghost Fleet」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-08

関連の記事
「宇宙戦本Ghost Fleet」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-08
「衛星小型化は相殺戦略でも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「宇宙改革法案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-13

「米空軍宇宙活動アピール年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24
「5分間でトランプに宇宙をアピール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-04
「新型宇宙監視望遠鏡が部隊へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19

謎の多いNRO関連の記事
「謎のNROを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-20-2
「NROが宇宙アセット防御計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16

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米海軍空母を5つの視点で学ぶ [ちょっとお得な話]

時節柄、この話題で!
空母カールビンソンはニミッツ級空母の3番艦です!

CV-GW.jpg花粉症疲れなので、米軍事情報サイト「Military.com」が提供しているシリーズ「5 Things You Don't Know About」をしのぎでご紹介します

このシリーズは軍事装備品を映像と共に、5つの豆知識から学ぼうとするもので、これまで7つほどご紹介してきました。過去の記事は末尾をご覧下さい

今日のテーマは「米海軍空母」で、全く相互に関連性のない5つの話題でアプローチします。聞き取りの間違いにはご容赦を・・・

5つの視点は米空母搭載戦力の規模、湖で運用していた空母、最初のモジュラー工法、WW2間には同名空母が、世界最大意の空母はです。

映像は約7分です


話題1
●現在主力のニミッツ級空母には、約90機の艦載機が搭載されている
世界の空軍で、90機以上の作戦機を保有している国は、半分程度である

話題2
WW2間、空母艦載機の操縦者養成のため、5大湖に2隻の客船を改造した空母が配備されていた
●この訓練用空母によって、約2800名の艦載機操縦者を養成し、その中には2代目ブッシュ大統領も含まれている

Ford-Class-Carrier.jpg話題3
●空母の巨大化が進む一方で、空母を建造するドックの大型化には限界があった
●これを克服するため、船体を分割して製造し、最後に組み立てるモデュラー方式を導入
●最初にこの方式で建造されたのは、1981年の空母セオドア・ルーズベルト

話題4
WW2間、同じ名前の空母が5組存在した。これは敵の攻撃で撃沈された空母を、同じ名前で再建したためである
同戦争の間に12隻が撃沈又は作戦不能になったが、そのうち5隻が同名で復活した

話題5
●現在最大の空母はニミッツ級で、約9万7000トンだが、現在一番艦を建造中のフォード級は10万トン

映像をもう一つ:ニミッツ級空母のイメージ映像(2分半)

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米海軍の空母1隻で、世界の半分以上の空軍以上の作戦機を搭載しているとは・・・。

USS America.jpg恐らく、作戦機が搭載している兵器の質、ネットワーク情報力、兵站や補給能力、人材教育の質などなどを含めて考えれば、米空母1隻以上の任務を遂行できる空軍は、世界でも片手で数えられる程度しか無いのでは・・・

この他にも「5つの視点で学ぶ」シリーズには、以下で紹介した以外にも、「地雷」「米空軍パイロット」などが公開されています。ご興味のある方はどうぞ

映像で5つの視点から学ぶ
「核兵器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-05
「米海軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-27
「米海軍潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-26
「火炎放射器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-2
「負傷者救出ヘリ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-07

「B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「AK-47ライフル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-28
「原子力潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-07-1

映像で見るシリーズ
「12㎏の兵器搭載地上ロボット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-09
「防空&ミサイル防衛の融合IAMD」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27-2
「威力強烈:AC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-06
「CASの歴史を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-19

「イメージ中国軍の島嶼侵攻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
お勧めです
「泣ける:帰還兵士と犬との再会」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-05
「レーザー兵器試験@ペルシャ湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13

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今週末に米空軍F-35が初海外訓練展開で欧州へ [亡国のF-35]

米軍事メディア記事への正鵠を得た読者コメント
「エアショー参加に毛が生えた程度の少数機展開を、訓練と呼んで海外売り込みにつなげたい意図が見え見え。まだ未実施の試験が山済みで、要求性能も満たしてないくせに・・・」

Luneberg Lens.jpg14日、米国防省がプレス発表で、今週末にも初の海外展開訓練のため「欧州」に移動すると明らかにしました。

行先は「欧州」とだけの言及で国名や基地名は未公表で、展開機数も「a small number of F-35A」とだけの発表です。展開期間については「数週間:for several weeks」と言及しています。

そのほか公式声明では
●「長期にわたって計画を練ってきた」展開で、派遣された米空軍F-35は米軍の他航空機やNATO加盟国の航空機と訓練を予定する。
●「European Reassurance Initiative」の一環としての展開である

●この訓練展開は、F-35計画の進展を示す重要な一里塚であり、米空軍が第5世代機の能力を披露する機会でもある
●また今回の展開では、欧州で2020年代初頭にF-35A基地となる予定地の、諸要求精査を手助けすることも目的の一つである

14日付Defense-News記事によれば
Luneberg Lens2.jpg●米国防省の公式声明は展開地を欧州としか言及していないが、一つの有力候補として、F-35Aを54機受け入れる予定になっている英空軍の Lakenheath基地が考えられる。
同基地は、計画では2020年から同機を受け入れ開始予定であったが、現時点で1~2年遅れる見込みとなっている

●今回の米空軍F-35の欧州展開発表も、トランプ大統領の思い付きではと勘繰りたくもなるがオバマ政権時代から長く検討されてきたものであり、公式発表の通りである
●昨年12月には当時のJames空軍長官が「初期運用態勢確立を宣言した米空軍F-35は、遠くない将来、欧州に展開するだろう」「来年夏までに実現しなくても驚きはしないが」と述べ、今年2月にはACC司令官が「春には欧州かアジア太平洋にF-35を派遣する」と語っていたところである。

●なお、中東への派遣に関し同カーライルACC司令官(当時)は、「(欧州やアジア太平洋地域の)a couple years later」と表現してた。
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Luneberg Lens3.jpgアジア太平洋地域への展開となれば、豪州か日本か韓国でしょうが、この時期の展開は北朝鮮への刺激が強すぎそうなので、豪州になるのでしょう。または「肩透かし」で、アジア太平洋地域の部隊であるアラスカの米軍基地かもしれません・・・

冒頭のコメントは、14日付Defense-Newsの関連記事の読者コメント欄に寄せられたコメントで、多くの読者の賛同を集めています。

Luneberg Lens4.jpgなお、この記事でご紹介している写真は、F-35がレーダー反射面積を意図的に増やし、レーダーに見えやすくする装置(Luneberg Lens)を装着している写真です。

この装置は他のステルス機(F-22とかF-117とか)でも確認されていますが、訓練時の安全確保のためとか、訓練時に真のステルス性を暴露しないための装置とか言われているものです

European Reassurance Initiative関連
「欧州への米空軍派遣や訓練を増加へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「欧州米軍予算を4倍増」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2
「米軍が北欧でも演習増加&強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29

「欧州に米陸軍装備の事前集積強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-10
「東欧4カ国で4個大隊交代派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-17
「対露大演習でNATO大編隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-14
「欧州を主戦場にサイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11

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とりあえず「爆弾の母」MOABを学ぶ [米空軍]

MOAB-GBU-43.jpg13日、米空軍が保有する巨大空中爆発爆弾「MOAB:Massive Ordnance Air Blast」が、史上初めてアフガニスタンで対ISIS作戦に使用されたとの報道がありましたので、この「核爆弾以外で投下された最大の爆弾」とか「全爆弾の母:the mother of all bombs」とか呼ばれる爆弾についてお勉強したいと思います。

このMOABは正式名称「GBU-43B」で、「実戦で投下された最大」の爆弾だそうですが、米軍が保有する核兵器以外で「最大の爆弾」ではありません

ちなみに、13日に投下されたMOABは21600ポンドですが、実存する核兵器以外で「最大の爆弾」は30000ポンドの巨大貫通弾MOP(Massive Ordnance Penetrator:GBU-57A/B)で、強固に防御されたイランの地下核施設の攻撃を想定したモノだと言われています(2007年に初試験でボーイングが製造担当)

MOAB正式名称「GBU-43B」のあれこれ
MOAB-GBU-432.jpg●MOABは、それほど強固でない地表目標を広域に渡り破壊することを狙う爆弾で、地中に貫通する能力は無い。従って、広範な地雷原、渓谷、洞窟等に潜む敵や目標に用いられる
●MOABは、当時のサダムフセインを威圧するために2002年当初から開発が始まり、構想から2003年3月11日の最終試験までわずか1年あまりの迅速さで米空軍研究所AFRLで製造完成された。そして同年4月1日に部隊配備されたが、イラク戦争では使用されなかった



長さ10m以上であるため通常の爆撃機には搭載できず、C-130輸送機の後部から物量投下する要領で、パラシュートで搭載台車ごと機外に引き出し、投下後に搭載台車と分離して自然落下する。ただし、GPS誘導装置付の尾翼により、誘導爆弾として使用できる
爆薬2/3とアルミ1/3で炸薬部分が構成されている言われているが、価格や何発保有しているかなど、MOABの詳細は非公開である

MOAB-GBU-433.jpgアフガン派遣米軍のJohn W. Nicholson司令官(大将)はMOAB使用について、「アフガンISISは損害が増え守勢に立たされていることから、防御を簡易仕掛け爆弾IEDやトンネルや塹壕で固めている」「(この様な状況を踏まえ、)障害を取り除き、我が攻勢モメンタムを維持するため、最適な爆弾として選定した」と説明した

●軍事コンサルタント企業Teal GroupのSteve Zaloga上級分析官は、トマホークやJDAMとは異なり、MOABは強烈な炸薬で戦場上空に広範な爆発を発生させることで仕掛け爆弾や地雷を誘爆させ、「広範な地表面から短時間で仕掛け爆弾等の脅威を除去し、同エリアのISIS戦闘員を排除する事が出来る」と解説している
●一方で、深く強固に構築された洞窟や陣地を破壊する能力は無く、小型で弱い洞窟等にのみ有効だろうとも述べている
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MOAB-GBU-434.jpg2003年には完成していたMOABですから、今更アフガンで必要になったから投下したと説明されても白けますが、当然北朝鮮へのシグナルでもあるのでしょう。

実験映像や解説映像が公開されていますが、今ひとつMOABの威力がピンと来ません。週末の報道をフォロー致しましょう・・・

MOABに言及の記事
「シリア化学兵器に?巨大貫通弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-27
「イラン核施設の完全破壊は困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-02

MOPに関する過去記事
「超巨大貫通弾MOP完成か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-18
「シリア化学兵器に?巨大貫通弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-27
「対イラン?巨大貫通弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16-1

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米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み? [米空軍]

再び・・・日本の戦闘機命派よ、どうする?

F-16 AF.jpg12日、ロッキード社が300機の米空軍F-16戦闘機の延命&能力向上措置を米空軍が正式決定したと発表し、契約に入ると明らかにしました。このF-16への投資により、同戦闘機の寿命を1.5倍にし、アビオニクスを改修することで、2048年以降も運用可能にするとの事業です。

この発表を受け、3月22日に米空軍幹部が「検討中」と議会証言した、制空用F-15C/D型約230機を引退させて穴を改良F-16で埋める案が俄然注目を集め、同日、米空軍幹部から発言が相次いでいます。

「3月22日の議会証言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

なお、米空軍が保有する230機のF-15C(複座D型は約30機)の大部分は州空軍に所属して米本土防衛に当たっており、正規軍所属は嘉手納基地と英空軍Lakenheath基地への配備機だけです。

米空軍参謀総長は「作戦ニーズが高く2020年代まではない」「米空軍アセット全体を総合的に検討して」「F-15とF-16だけの話では無い」等々と慎重に検討中とのニュアンスを強調しましたが、一方で米空軍作戦部長が脅威の変化やF-15C/D型維持が困難になりつつある事を強調するなど、実務レベルでは制空用F-15C/D型に傾きつつあるような臭いを放っています

ロッキードのF-16延命改修発表
F-16 AF2.jpg●12日ロッキード社は、当初の機体寿命が8000飛行時間時間であったF-16に延命&能力向上措置を実施することで、12000時間まで寿命を延ばす措置に関し、米空軍が意志決定をした(authorized)と発表した
●この延命等措置SLEP(service life extension program)はF-16の「Block 40~52」300機を対象とし、2048年以降も運用が可能にする措置で、併せてアビオニクス改修と耐久性試験が含まれている

(まんぐーす注:米空軍はF-16を約950機保有しており、正規軍約570機、州空軍約330機、予備役50機の構成。Block 40~52は米空軍保有の主力部分であるが、300機との数の理由は不明

制空用F-15C/D型引退検討を巡る発言(12日)
Goldfein米空軍参謀総長(Heritage財団で)
F-15C.jpg米空軍は予算に応ずるため、常に全てのオプションを検討しているが、実に難しい作業である。だから皆さんは、時折いろんなオプションの話を耳にするのだ
F-15C/Dに関して何も決断していないし、他の航空機に関しても同様だ。F-15Cは少なくとも2020年まで維持することにも変化は無い

米空軍アセットは、欧州でも、中東でも、朝鮮半島でも高い需要がアリ、ますます高まっている。だから米空軍がどの規模を維持すべきが検討しているところだ
●米空軍が行っている検討は、特定機種と特定機種の比較や代替検討ではなく、国家に求められる任務を、アセット全てを結びつけて如何に達成するかの検討であり、戦闘機から爆撃機から宇宙アセットまでを含めたトータル戦力の長期的検討である

Mark Nowland空軍作戦部長(中将)
F-15C2.jpgF-16を適切に能力向上(AESAレーダー搭載等)すれば、本土防衛用F-15C/Dの任務を引き継ぐことは可能であろう。
●しかし、いずれにしても第4世代機であるF-15やF-16は、将来の厳しい脅威環境では単独で能力を発揮できず、第5世代機に依存しないと任務を果たせないだろう。
欧州シナリオでも撃墜されるだろう。しかし、第5世代機と一体となり電子戦を行い、タイミングやテンポを執り、長射程兵器をすれば、事態は改善される

●州空軍はF-15Cを有効活用しているが、私が2001年当時に操縦していた当時で既に7100時間あまり飛行していた古い機体で、手間のかかる整備作業が必要だった
●Lakenheath英空軍基地で同機を操縦していた頃、同機の頭部が飛行中に折れる事故が発生した。実態として、F-22の方が航空優勢任務をより良く遂行できるし、F-15に可能な延命措置にも限界がある。だから機体全体の扱いを検討しているのだ
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米空軍の検討案は、主に州空軍で本土防空に当たっているF-15C/Dを退役させ、F-22でも補完しつつ、改良型F-16に代替させようとの案です。そしてこの検討案には、F-16を現F-15C配備基地に移動させる経費や操縦者の確保等の課題もあると報道されています。
なおこの検討で、嘉手納基地所属の正規軍F-15Cがどうなるのかは不明です

また、F-15Cの運命が未定の現時点で、300機のF-16延命&能力向上改修が決断された背景は記事からは不明ですが、恐らく、F-35開発&調達の遅れをカバーするため、また米海軍FA-18と同様に、中東での対テロ作戦等で想定以上に機体の酷使が続き、対策を打たないと目の前の任務が遂行できなくなるからでしょう。

F-15 JASDF.jpgいずれにしても、F-15Cの兄弟分であるF-15Jを主力戦闘機とし、F-15Jの後継をどうしようか思案中の航空自衛隊にとって、極めて重大なニュースです。

3月24日付記事の繰り返しになりますが、米空軍による-15C引退検討の重要考慮事項として、米空軍F-15を引退させることで、米国が日本に追加でF-35を購入させる強力カードとなる事を指摘しておきたいと思います

米空軍F-15の関連記事
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23
「現実的で低価格なF-15能力向上案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15
「米メディア:心神よりF-15改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-16
「F-15全機の電子戦機材換装へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-05

「米空軍がF-15と16の延命検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25
「F-15の寿命を2倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-27
「F-16の延命措置300機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-31-1

米空軍の将来制空アセット検討
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

「悲劇:F-3開発の動きと戦闘機命派への提言」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18

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国防長官は空母の朝鮮半島?派遣をどう語ったか? [マティス長官]

mattis-about.jpg10日、マティス国防長官が定例の記者会見を行い、シリア情勢と併せ、豪州行きを急遽変更してシンガポールから「北上」する事になった空母カールビンソンの動きについてコメントしているのでご紹介します。

同空母は9日にハリス太平洋軍司令官の「北上」命令を受けましたが、8日には既にシンガポールを出航しており、出発後の行き先変更となりました。

Carl Vinson2.jpg国防省や太平洋軍は「北上」とか「西太平洋」としか行き先に言及していませんが、マクマスター大統領補佐官は9日のテレビ番組で、空母群が朝鮮半島に向かうと報じられていることについて、「妥当な行動だ」「米国民や地域の同盟国への脅威を取り除くため、あらゆる選択肢を提示できる準備をするよう、大統領は求めている」と発言し、朝鮮半島方面が行き先であることを事実上認めています。

なお同空母群は、同空母のほか、ミサイル駆逐艦2隻(USS Wayne E. MeyerとMichael Murphy)とミサイル巡洋艦(USS Lake Champlain)とで構成されています。(注:空母群には一般的に攻撃型潜水艦も含まれているが、通常公表されない。大統領は潜水艦も同行のような発言を)

11日付米海軍協会web記事によれば
N-Korea.jpg●米海軍協会の理解では、8日にシンガポールを出航した空母群が朝鮮半島近海に到達するには1週間以上が必要でアリ、途上の訓練も中止していない様子である事から、北朝鮮にとって重要な記念日である4月15日には間に合わない
●ちなみに4月15日は、北朝鮮の建国の父である金日成の誕生日で、過去に北朝鮮が核実験やミサイル発射試験を行ってきた特別な日である

10日の記者会見でマティス国防長官は、同空母群の「北上」について、特段の理由があるわけでは無いとし、「我々が空母を北上させる特別な要求や兆候、または理由があるわけでは無い」と語った
Mattis44.jpg●更に長官は、「同空母は西太平洋に派遣されており、太平洋地域を自由に行き来している。我々が最も落ち着きが良い・賢明(prudent)とその時点で考える場所に、向かうのだ」と表現した

●なお同空母群はサンディエゴに拠点を置く第3艦隊に所属しているが、今年1月5日から西太平洋地域に派遣されている。
●派遣されて以降、これまでに3月の米韓共同演習「Foal Eagle 2017」や海上自衛隊との共同演習を行っているほか、南シナ海でのパトロール航海も行っている
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北朝鮮との国境付近に中国軍が15万人を派遣したとか、4月27日に米軍がミサイル攻撃を計画しているとか、様々な不確かな情報が飛び交う事態となっていますが、外務省が「スポット情報」を出した以外は不確かな情報ばかりですので、慎重に見極めたいと思います

Carl Vinson.jpg一方で、マティス長官の発言は慎重の上にも慎重を期し、誤解や誤認識が事態急変を招くことを警戒した表現だと思いますが、日本のメディアが「真央ちゃん一色」なのも考え物です。

これが日本人のオストリッチ症候群(ダチョウが現実から目を背け、頭を穴に突っ込み周囲を見なくする行動を人間に例え)の兆候だとしたら、そしてその反動でちょっとした事案に過敏に反応するようであれば大変困ったことでアリ、見極めたいと思う次第です

北朝鮮の核やミサイルの話題が出ると視聴率急降下
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-21
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以下に宇都隆史参議院議員のFacebookより「コピー&ペースト」して掲載しておりました、韓国在留邦人に対する外務省「スポット情報」の適否に関する議論や、自衛隊による在外邦人救出の難しさに関する引用は、宇都議員に断りなく行ったものであり、宇都議員をはじめ支持者の皆様からマナー違反だと厳しくお叱りを受けました

また、宇都議員のお名前を間違って記載するなどなど、宇都議員とその支持者の皆様に大変ご無礼いたしました。
無断引用部分を削除するとともに、関係者の皆様にお詫び申し上げます

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続報:シリア巡航ミサイル攻撃の裏側 [マティス長官]

Mattis44.jpg10日、米軍によるシリア空軍基地への巡航ミサイル攻撃について、マティス国防長官と中央軍報道官がそれぞれ作戦の狙いと効果について、声明または会見で語りました。

同攻撃については、7日、匿名の米国防省高官2名が記者団にブリーフィングを行っており、その内容を速報した9日アップ記事「シリア巡航ミサイル攻撃の裏側」は大変ご好評頂いております

「シリア巡航ミサイル攻撃の裏側」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-08

特に9日(日)、日本のメディアで専門家や研究者が「いい加減な推測」で同攻撃に言及し、攻撃の狙いや効果への「誤解」を振りまく一方で、発端となった化学兵器攻撃と証拠隠滅を図る病院への攻撃を紹介し、更に「何を攻撃し、何を攻撃しなかったか」と「ロシアへの配慮と疑念」の視点で攻撃計画をご紹介したことに対し、「地道な公開情報フォローの勝利」だと多くの賛辞を頂戴致しました

T-miso.jpg手前味噌はここまでとし、本日は、匿名ではなく、国防長官や軍報道官が同攻撃を説明した内容をご紹介します。
驚きの新事実があるわけではありませんが、日本のメディア報道と自称専門家の「いい加減さ」や「フェイクニュースぶり」を感じて頂くため、重複になる事を恐れずご紹介します

11日付米空軍協会web記事によれば
10日、マティス国防長官や米中央軍報道官のJohn Thomas陸軍大佐は、6日のシリア軍Shayrat空軍基地への巡航ミサイル攻撃が、同飛行場補破壊することが目的ではなく、「短期的に」シリア政府の空爆作戦能力を減殺する事だったと説明した。なお同基地は、シリア軍機がシリア市民への化学兵器攻撃を発起した基地である

Chemical4.jpg●マティス国防長官は10日の声明で、攻撃は将来の化学兵器使用を抑止する目的で、「measured response:管理された効果を狙った対応」であったと述べ、シリア軍作戦機の20%を破壊したと表現した。
●そして「シリア政府は同基地で給油や弾薬搭載を行う能力を失った。滑走路使用の可否に我々の関心は低かった」とも表現している。
●(注目すべきは、)最後に声明は「シリア政府には再び化学兵器を使用しないようメッセージが与えられた:The Syrian government would be ill-advised ever again to use chemical weapons」と結んでいる

参考:国防長官声明→https://www.defense.gov/News/News-Releases/News-Release-View/Article/1146758/statement-by-secretary-of-defense-jim-mattis-on-the-us-military-response-to-the

●米中央軍のJohn Thomas報道官は、燃料庫と給油施設、格納庫、兵器庫等を破壊したと語り、本作戦は「一度限り:one off」で、繰り返し行う事は考えていないと述べた
Chemical2.JPG●巡航ミサイル攻撃後もあまり時間を置かず、シリア軍機は空爆作戦を再開している。米軍側はシリア内での活動を低下させ、多国籍軍司令官は自軍の防御態勢確認を重点に行い、攻撃任務はそれほど行っていない

●また攻撃後ロシアは、シリア領内でのロシア軍と多国籍軍との不意遭遇や摩擦を避けるための意思疎通ラインの中断を発表した。しかし攻撃翌日、米露間ではこれまで通り、スケジュール調整の対話が同ラインで行われている
●しかし米中央軍は、今後も同ラインでやりとりが行われるかどうかには言及しなかった。しかし、ロシアとの意思疎通は、例えば上空で操縦者同士が無線通信する等の方法があると同報道官は語った
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「一度限り:one off」は米国連大使の発言とトーンが真逆で、政権内の意思統一に疑問符が付く発言です

Chemical3.jpg給油や弾薬供給能力は、現場の実態を知る軍人が選ぶプロの目標です。滑走路には被害復旧部隊がアリ、復旧機材がありますが、給油や弾薬は代替が無く復旧に時間が必要なウィークポイントでしょう。
当然、我が空軍は・・・戦闘機数と戦闘機機数にしか興味がありませんから・・・・

攻撃の成果は評価できませんし、今回の攻撃前提となるはずの戦略が米国のシリア政策や中東政策にあるのかとの問いは、当然議論されるべきでしょう。しかし何が計画されたのかは、米側の考え方を把握するためきちんとフォローする必要があります。議論の大前提です

特にひどかったのは、9日朝のNHK日曜討論に出席していた東京外国語大学で中東を専門にする青山弘之教授で、堂々と今回の攻撃でシリアの化学兵器がどれだけ破壊されたかを見極めないと評価できないとか、米軍の軍事的狙いが不明とか、左より発言で自らを守りつつ、偉そうな態度で批評する様子が際立っていました。

桜4.jpg7日既に報道されていた米側作戦の背景や狙い(化学兵器庫や滑走路やロシア軍施設は攻撃対象外)を全く把握していない「無知&馬鹿丸出し」発言で、軍事問題から逃避して中東研究を進めている様子を自ら暴露していました

日本に身近な北朝鮮問題でも、今後(今までも)この様ないい加減報道やコメントが為される可能性がありますので、注意していきたいと思います

アクセス多数
「シリア巡航ミサイル攻撃の裏側」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-08

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FA-18の「Block III Upgrades」がチョイ明らかに [Joint・統合参謀本部]

トランプ大統領が言及した改良型FA-18とはこれ???

FA-18 Inherent Resolve.jpg3日から5日に行われた米海軍協会「Sea-Air-Space会議」の場で、記者会見を行ったボーイング社FA-18&EA-18G責任者のDan Gillian氏がトランプ大統領がF-35Cの代替として大量購入を示唆していたFA-18の「Block III upgrades」改修型機についてボンヤリながら言及しました。

この「upgrades」版が、トランプ氏が国防省に対しF-35と比較せよと命じたモノなのか、別の改良計画もあるのか不明ですが、Gillian氏は「この能力向上計画案により、他の空母アセットには無い能力を提供できる」との表現でF-35との差異を強く示唆する表現で語っており、注目を集めています

この他にGillian氏は、FA-18の「増産能力」や「延命措置」についても語っており、トランプ大統領が示唆した大量購入を強く意識した会見となっています。
国防省が行っているであろう比較検討分析の結果が待たれるところですが、とりあえず「前振り」としてご紹介しておきます

Block III Upgradesについて
FA-18EF.jpgボーイング社は2013年に、よりステルス性を追求した改修計画を打ち出していたが、今回の「Block III Upgrades」構想は当時の案からシフトしている。
●そして今時提案の主眼は、FA-18E/Fの「tactical targeting技術」を向上させることに置かれ、米海軍のNIFC-CA構想における「smart node」として機能しうるように改修することなどが含まれる

●Gillian氏は「これまでFA-18E/Fは、情報を提供してもらうだけのシューターだったが、今後は全ての情報を融合し、作戦ネットワークへの貢献者である事がとても重要だ」と表現した
●ステルス性については諦めていないが、「ステルス性向上には少しだけ取り組む。シンプルで低コストの施策を考えている」とのみ同氏は言及し、細部を語らなかった

FA-18EF3.jpg●また2013年提案にも含まれた、燃料増装タンクを翼付け根上部に追加し、約3500ポンドの燃料追加で約120nm行動半径が増加する改修も含まれている
●更に、先進コックピットにするため大型ディスプレイを導入し、「smart node」に相応しいインターフェイスにすることや、「敵ステルス機の熱源を探知する空対空の長距離赤外線センサー」導入を構想している
●なお米海軍は、2015年にロッキード製のIRSTをFA-18E/F用に製造開始することを承認している

増産への備え
●2017年度補正予算には、FA-18を24機購入する関連予算が含まれており、ボーイング社は毎月2機製造可能な体制で臨んでいるが、米海軍や諸外国から追加注文があれば、増産可能な状態にある
●ちなみに2015年時点で、米海軍は545機のFA-18と114機のEA-18Gを保有しているが、将来的にはそれぞれ563機と153機になる予定である
●諸外国では、カナダがF-35開発の遅れの穴埋めとしてFA-18を18機購入すると発表し、クウェートも28機(追加で12機のオプション付き)を計画している

機体寿命の延長施策
FA-18EF2.jpg●ボーイング社は、現在の機体寿命6000飛行時間を9000時間に延長する延命改修案をまとめている
FA-18E/F型機は、F-35開発の遅れと対テロ戦争での想定以上の酷使により、機体寿命を想定以上の速度で消費しつつある。

●ボーイングの機体延命計画部長であるMark Sears氏は、ホーネットを2040年代まで活用するには、機体の補強などの整備事業が必要だと語り、米海軍が同延命改修を確認するため既に2機の機体をセントルイス工場に搬入していると明らかにした
●そしてボーイング社は米海軍が同延命施策を正式採用することに楽観的だと述べ、2018年早々には契約に至るだろうと語った
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EA-18G Clark3.jpg最初に述べたように、トランプ大統領がF-35との比較分析を求めた改良型FA-18なのか不明ですが、財政状況や米海軍の作戦構想等から判断すれば、ステルスはほどほどに、NIFC-CAに役立つ方向性で・・・との構想は理にかなっており、F-35と何処まで争えるのかはよく分かりませんが、ステルス機探知のIRSTが売りで一つの案にはなるのでしょう

NSCからバノン氏が追い出され、ますます軍人や軍人OBの存在感がましているトランプ政権ですが、中東での対テロ作戦が強化され、米軍の自由裁量が拡大する中、FA-18への負担は増すのでしょうから、価格が不明ですが、今後色々話題になる改修計画なのでしょう

トランプ大統領はFA-18とボーイング好き!?
「再びトランプがFA-18大量購入を示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-18
「F-35の代替にF-18改良型を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1
「国防副長官候補にB社幹部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17

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米軍司令官:ロシア巡航ミサイルへの防御なし [Joint・統合参謀本部]

Hyten5.jpg4日、米戦略コマンドのJohn Hyten司令官(空軍大将)が上院軍事委員会で証言し、INF全廃条約に違反してロシアが開発した巡航ミサイル(恐らくSSC-8:9M729)が欧州方面に配備され欧州全域が射程範囲内に入る可能性があるが、米国や欧州同盟国は防御手段を有していない(no defense)と語りました

この時期の議会証言は次年度予算案の背景説明ですから、厳しい脅威の実態を訴えるのが常套手段ですが、何度かご紹介してきたロシアのINF全廃条約破りの動きを、2月14日付NYT紙が実戦配備開始と報じたことから、米国政府としての対応が注目されているところです。

なおINF全廃条約とは、レーガン・ゴルバチョフ間で1987年12月8日に署名された同条約は、米露が射程500kmから5500kmの地上発射ミサイルの廃棄と保有禁止を約束するものです。もちろん、中国や北朝鮮やイランを拘束する条約ではありません

SSC-X-8.jpg特にロシア側は、プーチンが「ほぼ全ての隣国が中距離ミサイルを開発している」と危機感を訴え、ロシアによる条約破棄は「控えめに言っても議論対象だ」と発言しているように、同条約に不満を持っています。しかしロシアは「SSC-8:9M729」が同条約違反だとは認めず、ずるずると実質米国だけが条約に縛られている状態を上手く作為しています

関連報道とINF条約を巡る経緯
「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

JICSPOC.jpgもう一つ同司令官は米軍が大宣伝売り出し中の関連政府機関や諸外国人の協力も得て運用している「JICSPOC:統合共同多機関宇宙作戦センター」の名称を、判りやすく「NSDC:国家宇宙防衛センター」に改称すると発表しています。

なお「JICSPOC」はコロラド州のSchriever空軍基地に所在し、米戦略コマンドがリードし、国家偵察室(NRO)、空軍宇宙コマンド、米空軍研究所ARRL、情報コミュニティー、宇宙関連情報提供企業が協力して運用する形態で、2015年10月に正式運用を開始した宇宙作戦センターです。

INF条約違反のロシア巡航ミサイルに関し
●上院軍事委員会でJohn Hyten司令官は、最近ロシアが配備したINF全廃条約違反の地上発射型巡航ミサイルに関し、「我々には防御手段が無い。特に欧州同盟国を防衛する手立てが無い」と証言した
●なお同巡航ミサイルは2個部隊編制されており、1個がカスピ海北方のボルゴグラード市近郊部隊に配備されているが、もう一つの部隊の所在は不明である(公開されていない)

SSC-X-8 2.jpg●同司令官は更に、「同巡航ミサイルの展開場所にもよるが、欧州大陸の大部分はミサイルの射程内で脅威にさらされる。国家としてどのように対応するかを考えなければならない」と付け加えた
米国は、同巡航ミサイルが試験発射を行った2014年から、オバマ政権がINF条約違反だと指摘しているが、ロシアは条約違反を否定し、逆に米国の装備を違反だと批判している

●また同司令官は、核兵器の近代化を進めていることに懸念を示し、更に中国とロシアによる米国軍事衛星への脅威が高まっていると訴えた
●ただし同司令官は、ロシアが2018年2月までに弾頭数を1550発にまで削減する新START条約には協力的であると証言している

「JICSPOC」を「NSDC」へ改称
JICSpOC2.jpg●「JICSPOC:Joint Interagency Combined Space Operations Center」から、「NSDC:National Space Defense Center」への改称についてHyten司令官は、「誰もが何のための組織か理解できるようにするため」とジョーク混じりに同委員会で説明した
●一方で同司令官はNSDCの重要性とその活躍振りをアピールし、同作戦センターの名称がどうであろうが、「(各政府機関や関連省庁や企業の間にある)全ての壁を取り除き、優れた設備のある場所に各組織を代表する優れた人材を集結させる事で、迅速に対処する方法を案出しており、驚くべき成果を出している」と証言した

●4日、戦略コマンドの世界作戦副部長のJohn Shaw准将は別の場で、NSDCは引き続き「宇宙に拡大する戦いに備える」とその役割を説明した。
●そしてNSDCのの任務遂行には「cross-agency」体制での業務体制が不可欠で、また「interagency」での業務で成果を生んでいると語った
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ちなみに、米軍がシリアへの巡航ミサイル攻撃を行う以前に行われた議会証言です。

Hyten7.jpg北朝鮮の弾道ミサイルと核兵器が大きな話題ですが、世界には巡航ミサイルという「低空を侵入する」対処の難しい飛び道具がアリ、ロシアが「SSC-8:9M729」で欧州の軍事風景を一変させれば、追随する輩が次々現れるという事です

巡航ミサイル対処のため低空を常続的に監視する事、そして迎撃すること、弾道ミサイル防衛や航空機対処と並行して実施する事は極めて大きな負担で、受け身で全てをこなすことは困難です。
サイバー戦と同じで、防御では戦えません

繰り返しになりますが、NSDCに日本人も早く仲間入りできるよう、人材育成が望まれます

INF条約関連の記事
「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「露がINF全廃条約に違反」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「INF条約25周年に条約破棄を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

「米とカナダが巡航ミサイル対処に協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-01

宇宙作戦センター関連
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24
「副長官がJICSPOCを高評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「宇宙と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

「米サイバー戦予算の9割は攻撃用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31

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