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ロシア軍需産業の輸出見通しは悲観的!? [安全保障全般]

Denisentsev.jpg4月17日、CSIS客員研究員で露シンクタンク研究員のSergey Denisentsevが講演し、ロシア軍需産業の海外輸出動向について説明し中国やインドの国内軍需産業の成長や、原油価格低迷による顧客購買力の低下、兵器輸出国の増加等により、ロシアの兵器海外輸出が横ばいもしくは低下傾向だが、国内需要は少なくとも今後2年間は堅調だと語りました

そもそも、武器輸出額は把握が困難で、非公開部分や賄賂の存在により正確な統計が難しいとの前提付ですが、同研究員の説明は諸情勢からすると一理ある説明となっていますので、国際情勢を理解する上での一助としてご参考まで紹介します

ロシア軍需産業の海外輸出全般
ロシアの武器輸出額は、ロシアの統計によれば2011年以降ほぼ横ばい傾向にあるが、これを米国やスウェーデンの統計で見ると下降している。Denisentsev研究員によれば、集計する機関毎に統計方法が異なったり、掌握範囲が異なったり、非公開部分があったりで、正確な数値把握が難しいのがこの分野である

Russia arms-EX.jpg●一方で全般には、1990年代からロシア軍需産業の主要な顧客であった中国やインドの国内軍需産業が成長し、自国生産を始めた事は伸び悩みに直結している。また、リビアのカダフィー政権崩壊やベネズエラ経済の混乱の影響も大きい
●また原油価格の低迷により、アルジェリアやイラクやシリアからの兵器購入力が低下していることもマイナス要因である。更に、韓国や中国の軍需産業や、規模はまだ小さいながら南アフリカ、トルコ、シンガポールの同産業が、アフリカや中東で販路を拡大していることも、ロシアの足を引っ張っている

●同研究員は、ロシアはより「ニッチ」な、軍事ロボットや潜水艦市場に活路を見いだすべきだと主張した。またこれまでの歴史とは異なるが、自国市場を優先してニーズに応じた製品開発に取り組むべきだと提言した
●更に、ロシア兵器は「安価だが破壊力があり」「操作が容易」との評価で市場を伸ばし、技術移転にも柔軟に対応したことでも顧客を満足させたが、先進航空機の輸出により熟練の技術者を相手側にも求めることとなり、方針に変化があった。

SU-35戦闘機の例では、エクアドルやペルーやコロンビアへの輸出の際は、財政支援や長期ローンを組んだ上で売却していた(が、今は財政事情からその様な支援は難しい)

中国とインド向けの輸出等について
Russia china.jpg●中印両国にとって、特にロシアが技術移転に柔軟であったことが、国内軍需産業育成を狙っていた両国のニーズと合致した。中国はロシア輸出の22%を、インドは31%を占めており、依然として両国に依存する比率は高い

中国は天安門事件以降に海外から経済制裁を受け、それを契機にロシアからの兵器輸入が増えた。ロシアにとっては、ソ連崩壊直後の経済混乱時期を、中国からの需要で生き延びた関係である
●一方インドは、90年代後半の核実験強行により制裁を受け、ロシア製武器の輸入に頼った経緯がある。しかし特に中国は、90年代とは全く異なり(ジェットエンジンを除いては)、駆逐艦も潜水艦も空母まで自国製造が可能となってきた。インドも中国と同様の道を歩んでいるように見える

Russia India.jpgロシア産業はそれでも、第5世代戦闘機、超音速の対艦ミサイル、ミサイル防衛システム&対衛星兵器を自国用に開発しており、中国にとっては魅力的な共同開発分野となり得る
●一方でインドは、先端航空機、レーダー、光学装置で米国やフランス製品のライセンス生産等に傾きつつある

ロシアのシリアでの軍事活動は、輸出にはあまり貢献しないだろう。ロシアは長距離巡航ミサイルの輸出を禁じられているし、高性能防空ミサイルも自国軍の防衛にのみ使用している。大型爆撃機の市場も見当たらない
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以下の過去記事では、ロシアの軍需産業関係者やアナリストが、かなり明るい未来をロシア軍需産業に描いていますが、感覚的には今日ご紹介したような、決して容易ではない厳しい市場競争が待ち構えているのではないでしょうか?

これ以上コメントしようにも、基礎知識が不足しており不可能です。詳しい方のコメント等を募集致します。

なお防衛研究所の「東アジア戦略概観2017」の第6章ロシアでは、ロシア軍需産業の見通しは「右肩上がり」の雰囲気で書かれています
http://www.nids.mod.go.jp/publication/east-asian/j2017.html

ロシア軍需産業とロシア製品
「露軍需産業トップが未来を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-21
「露の専門家が自国軍需産業を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-13

「中国がSu-35輸入開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10
「インド検査員が露製艦載機を酷評」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11-1
「露が戦略核魚雷開発?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-06

ロシアに関する記事
「露軍の電子戦に米軍驚嘆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02
「また、6機目の大事故」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-15
「航空事故多発の露軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13
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驚嘆!最初からF-35に搭乗するパイロット養成 [亡国のF-35]

米空軍の操縦者不足、ここに極めり!?
本当に大丈夫か? そんなに操縦が簡単な飛行機なの?

F-35 luke AFB.jpg4日付Defense-Techが、米空軍のアリゾナ州Luke基地を取材し、空軍パイロット養成コースで最初からF-35に搭乗するという驚くべき「F-35 B-Course」の様子を紹介しています。

一般に世界の空軍では、戦闘機操縦者養成の場合、最初にプロペラの初級練習機で航空機の「いろは」と航空交通のルールを学び、次にシンプルなジェット練習機で航空機による作戦活動の基礎を学び、そしてその後に実戦で使用する各機種の部隊に配属されて腕を磨いていきます

ですから、最初の初級プロペラ機訓練開始から、戦闘機の基礎的技量取得まで、少なくとも3年程度は必要です。普通はプロペラ機搭乗訓練前に、航空機の基礎や法規を学ぶ地上教育期間も半年くらいはあり、これを合わせると3.5年から4年は必要です

F-35 Hill AFB2.jpgしかし今日ご紹介する「F-35 B-Course」では、なんと20か月で最も基礎的なレベルながら、F-35操縦者を養成するというのです。

背景には、米空軍の操縦者離職率が高止まりし、またA-10全廃ができずにF-35操縦者が確保できない事情もあるようですが、F-35が空対地任務を主とする作戦機と割り切ることで、操縦者を確保しようとの考え方があるようです

それにしても・・・大丈夫なんでしょうか? 技量不足で民間人を誤爆したり、事故続発・・・なんてことにならないことを祈るばかりです・・・

4日付Defense-Tech記事によれば
●アリゾナ州のLuke空軍基地の第62戦闘飛行隊の「F-35 B-Course」は、1年間の(地上準備)通常訓練を受けた6名の少尉から中尉の操縦学生を昨年12月に受け入れ、今年2月に空軍機での初飛行をF-35で実施させた
●昨年12月に同コースを開始以来、基礎的なF-35構造や兵器システムを教え、シミュレーションでF-35の搭載アビオニクスへの理解を深めさせ、2月の初飛行につなげた

F-35 fix.jpg8月まで続く実質141日間の同訓練コースは、300時間の教室授業、46回のシュミレータ訓練計80時間、F-35による48回の飛行訓練計80時間から構成されている
●同コースを担当するflight commanderであるOsterreicher大尉は、2010年からA-10で空軍操縦者をスタートした士官だが、A-10からF-35に転換して教官のリーダーを務めている。教官チームには4名の豪空軍操縦者が含まれている

第62戦闘飛行隊のほかに、第61戦闘飛行隊も同様のコースを9月に開始する。この2つの飛行隊の養成コースにより、今後5年間で約60名のF-35操縦者を養成したいと空軍は考えている
●Osterreicher大尉は「私の任務は、8か月間のコースで操縦学生をcombat readyにし、運用態勢にある飛行隊に送り込むことである」とインタビューに答えた

具体的な訓練の内容は・・・
F-35 N.jpg最近の数週間の訓練では、要撃戦術、戦闘機動、空中戦機動に焦点を当てた訓練を行っており、「機体システムを使いこなせるよう、より困難な状況下での訓練に今後進んでいく」、「空中戦はさほど重視していないが、そのような場面で生き残る術を教えるのが我々の役目」と同大尉は説明し、F-16との空中戦訓練も含まれていると語った
●また同コースの終盤では、A2AD環境でF-35操縦者が期待される見通し外での戦い(beyond visual range)に進んでいくと説明し、「今後は本コースのハイライトである空対地支援、航空阻止、敵防空網制圧の技術習得に取り組んでいく」と同大尉は述べた

●同コース終了後、同コース修了者は、Hill空軍基地で立ち上げられる作戦可能飛行隊の要員として配属される
●同大尉は、他の機種の操縦経験が全くない訓練生は「フレッシュで、新品のスポンジのように教えられたすべてを吸収している。そこには明確な未来があるからだ」と表現した

●一方で、他機種の経験がない中で戦技を学びながらコースを進めているが、安全確保との兼ね合いが大きな挑戦であると同大尉は語り、安全に関する基準を満たさないことが、コースアウトになる一番の原因だと述べた
●そして「例えば、彼らにとって着陸が困難な課題だが、離着陸を安全にできなかったら落第することになる。また教官機や他機と1000フィート以内に接近しないとの約束を守れないようだと落第させることになる」と語った
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F-35 luke AFB2.jpg教官が後席に座る「複座機」がないF-35を、空軍機として初めて操縦するパイロットの卵たち・・・日本ではちょっと考えられないですねぇ・・・

米国では、民間の操縦学校でセスナ機等の免許を取得することが比較的容易ですから、空軍機以外である程度操縦経験がある者を「直接F-35コース」に入れている可能性はありますが・・・

しかしそうだとしても、いきなり単座のジェット戦闘機ですか??? よほど適性検査や「動物の勘」試験で成績の優秀な人間を選んでいるのでしょうか??? 今後に注目ですねぇ・・・。くれぐれも事故等無いようにお願いします

米空軍と操縦者不足
「米空軍の戦闘機パイロット2割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-22
「機種別操縦者数で無人機がトップに!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-09
「今後20年の操縦者不足は深刻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-29

「60年ぶり下士官が単独飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-10
「RQ-4操縦者の7割が下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13-1
「米空軍よ、使い捨て無人機を考えろ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30

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お久しぶり!Work副長官が議会証言 [米国防省高官]

1月18日の送別式典以来のご発言
式典の様子→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-17
お声が聞けてうれしいです!!!

work AFA.jpg3日、Work国防副長官が上院予算関連小委員会で証言し、担当している調達技術兵站担当次官(AT&L)の分割検討と、サイバーコマンドの格上げに関する検討状況を説明しています。

何回かご紹介したように、国防省ではマティス長官以外の政治任用ポストが全く埋まっておらず、副長官や陸海空軍長官も空席のまま5月を迎えています。
そして「後任者が決まるまで留任する」ことになっているWork副長官は、山のような課題を背負って頑張っているわけですが、前政権で最も力を入れていた「第3の相殺戦略」について話を聞けず残念です。

それにしても・・・、対ISISや北朝鮮も大事なんですが、本格紛争に備え、米軍の技術優位を将来にわたって確保しようと、米国防省が1月19日まで取り組んで来た「第3の相殺戦略」はどうなったんでしょうか? 個々の部品事業は、各担当部署でそのまま進んでいるような気もしますが・・・。まぁ、その話題はまた別の機会に・・・

本日は断片的ながらお話が聞けるので、4日付米空軍協会web記事から久しぶりにWork副長官の議会証言を取り上げることにします・・。

調達技術兵站担当次官(AT&L)の分割検討
Work-Atlantic3.jpg●国防省は、調達技術兵站担当次官(AT&L)ポストを、研究開発担当と調達維持担当に分割するよう議会から命じられており、2018年2月1日が期限となっている。本件に関し、マティス国防長官に案を説明して了承を受け、前進できることになった
●国防省として、議会に提示できる調達技術兵站担当次官(AT&L:undersecretary of defense for acquisition, technology, and logistics)を2つのポストに分割する案が出来上がり、「10日以内」に議会と議論が開始できる

●研究開発担当の仕事は、「国防省におけるchief technology officerのような仕事」で、「迅速な要求装備の実現:rapid prototyping」を主に期待されるポストである

サイバーコマンドの格上げ 他のメジャーコマンド並みへ
Work-Reagan.jpg●2017年度国防授権法により、国防省はサイバーコマンドを(戦略コマンドや輸送コマンドや太平洋コマンドのような)フル・コマンドに格上げするよう命ぜられおり、2018年9月までに格上げ態勢で任務遂行が開始できるよう準備を進めている
●格上げ改編で焦点となっているのは「defensive」と「offensive」部門を設けることで、両者を機構に組み込むことで、我々のネットワークを監視しつつ、必要時に命ぜられれば、国家がその力を活用できるように編成する

●米軍が直面しているサイバー脅威に対処するには、人間の能力だけでは不十分であり、人工知能や「learning machines」の力を借りて撃退する必要がある。
●なぜなら我々には、我がネットワークを全ての脅威から防御するだけの十分な人員がいないからだ
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読んでいくと、自らに与えられた10数個の特別任務に取り組みつつ、しっかり持論である「第3の相殺戦略」の主要要素である人工知能や「learning machines」をアピールしています。

work farewell2.jpg早くてもあと1か月くらいは後任者決定まで時間が必要でしょうから、ネーミングはとともかく、しっかり「第3の相殺戦略」の神髄を各種施策に編み込んでいただきたいものです

しかしAT&Lポストに至っては、実際の人が配置承認されるまで、どれだけ時間が必要なんでしょうか? それまでどうするんでしょう・・・

追 伸
5月8日に空軍長官候補に対する承認投票が上院で行われます
空軍士官学校の女性3期生の元下院議員のこの方が候補者
「空軍長官候補」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24

追 伸2
陸軍長官候補者の2人目も5日に自ら撤退
http://www.militarytimes.com/articles/army-sec-mark-green-drops-out

関連の記事
「副長官の膨大な課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-18
「Work氏退任式典の様子」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-17

「米軍サイバー機関の問題や対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14
「サイバー脅威の変化と対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-21

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EU離脱で英ポンド下落し英国防計画ピンチ [安全保障全般]

May UK.jpg4月25日に英議会の予算監査委員会PACがレポートを発表し、英国防省が2015年に作成した国防計画SDSRは、英国のEU離脱Brexitや新装備開発&導入を巡るコスト不透明性などから、実行可能性が危ぶまれる状態にあると警鐘を鳴らしています

また、英国防省が約束したはずの自助努力による予算削減への取り組みが未達成で、これも2015年の国防計画SDSRの将来を危うくしていると主張しています

英国も多くのNATO諸国や欧州諸国と同様に、冷戦終結後の平和の配当を享受する為、国防費を大幅に削減した経緯があり、最近のロシア軍やイスラム過激派の活発化を受け、米国から国防費をGDP比2%に戻せと厳しく迫られているところです

そんな環境下、米国の一番の同盟国として、国防強化の方向性を明確にした2015年国防計画SDSRを打ち出したのですが、早くも暗雲が立ち込めています。
欧州諸国では、ドイツもフランスも国防テコ入れを迫られているのですが、経済もそんなに順調ではない中、厳しい状況にあるのが現状です。そんな典型的な例として、また英国F-35の購入がピンチだとのお知らせのため、26日付Defense-News記事の概要をご紹介します

26日付Defense-News記事によれば
p8.jpg●4月25日に英議会の予算監査委員会PAC(Public Accounts Committee)が発表した報告書は、英国防省が2015年国防計画SDSR(2015 strategic defense and security review)などで打ち出している装備品調達計画が、予算面から実行可能性が危機に直面していると明らかにした
●そしてPACが2012年に誕生以来、国防計画は裁断の危機に直面していると表現し、「予算面での実行可能性を保つには、国防省が未だに約束を果たしていない、希望的観測に基づく自らの効率性向上による予算捻出に努力してもらうほか無い」と表現している

●例えば英国防省の計画によると、F-35とP-8購入予算がピークとなる2020/21予算年度には、両機種購入だけで「£150 million:2.5兆円」必要だが、2016年度国防予算全体が「£178 billion」であることを考えれば「unaffordable」である
●またPACは、英国防省が5年前から大規模プロジェクト管理を見直していることは認めつつも、2015年国防計画SDSRが打ち出した「£24 billion国防予算増額」を飲み込むことは容易でないと指摘し、国防省が「新たな脅威対処」に準備した「£10.7 billion」も既に底を突いている

May UK3.jpg●今後5年間で英国防省が計画している新装備導入には、P-8対潜哨戒機、アパッチ攻撃ヘリ、MQ-1無人偵察攻撃機、F-35戦闘機、新型フリゲート艦(2隻)、Dreadnought級戦略原潜(4隻)、戦術通信衛星、補給艦、装甲車、新型ミサイル等々がある

●昨今の情勢を受け、保守党政権は国防費増額圧力を受けるだろうが、国防省内の効率化によりその経費を捻出することになっている実態だ。しかし2015年に国防省と財務省が約束した「£7.3 billion」の経費節減でさえ、2015年国防計画SDSR発表後1年経過した今でも「£2.5 billion」しか達成されていない状態だ
更に懸念されているのが「Brexit」による英ポンドの下落だ。2016年予算案が編成された当時の「$1.55 to the pound」から既に30セントも下落しているが、特にF-35とP-8購入に必要な英ポンド下落に伴う追加経費をどのように今後まかなうかについて、何の話し合いも行われていない
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女王陛下の名を冠した英海軍新型空母の艦載機F-35B予算が確保されていない惨状を以前ご紹介しましたが、毅然とした頼もしそうなメイ首相ではあるものの、実態は寂しい限りです

May UK2.jpg国防省の自助努力で効率化して経費捻出とか言っても、6~7年前には国防費大幅削減で「士気崩壊」状態にあった英国軍ですから、「今更何を・・・」と白けたムードだと思います

フランスの大統領が誰になろうとも、ドイツのメルケル首相が如何にがんばろうと、欧州は全体として極めて厳しい歴史の流れの中にあるような気がします。日本だって偉そうに言えた状態ではないのですが・・・。

英国軍を考える記事
「米軍F-35Bを英空母に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
「英軍新空母を南シナ海に!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06
「新空母の艦載機が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03

「予算減で英軍の士気崩壊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-18
「英軍が戦闘機半減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「大なた:英軍の大軍縮」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19-1

ドイツ軍の増強関連
「ドイツ軍が対露で増強へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12
「ドイツとオランダが連合部隊へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-05
「今後5年間国防費6%増へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-21-1
「ドイツ軍の人材確保策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-09-1
「2011年時には大軍縮計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-30

NATOがトランプ大統領を懸念
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-15-1

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再び:米会計検査院VS国防省F-35計画室 [亡国のF-35]

F-35 GAO.jpg24日、議会から提出を求められている米会計検査院GAOによる今年2回目のF-35計画評価レポートが発表され、何時ものように厳しいF-35計画の現状が報告されており、「ソフト3F」開発の遅れ、「Block IV」開発への警告&提言、そして「まとめ買いによる単価軽減策への注文」など、様々な視点で問題点が暴露されています

これに対し、国防省F-35計画室が直ちに反論を展開していますので、何時ものようにご紹介します。国防省側の基本的なスタンスは、指摘された問題点は全て把握して対処しており、これまでの問題解決実績が示す通り大丈夫だ・・です。

ただし、会計検査院や国防省試験評価局の問題点指摘と、F-35計画室の反論合戦はこれまで何度もご紹介してきましたが、結局F-35計画室側の見積もりが甘いケースがほとんどでしたから、今回も偏見一杯にやりとりを眺めることをご推薦申し上げます

米会計検査院のF-35レポート
http://www.gao.gov/products/GAO-17-351?utm_medium=email&utm_source=govdelivery

27日付米空軍協会web記事によれば
F-35 fix.jpg●まずGAOは、現在実施中の「ソフト3F」の開発試験終了が約1年遅れるだろうと指摘し、これにより、米海軍用F-35C型の初期運用態勢確立時期やフル稼働生産開始が遅れると指摘し、遅れによるコスト上昇が1900億円程度になると予想している
●これに対しF-35計画室は、現時点で同ソフト開発試験は計画通りで、2018年2月までには終了する予定に変化は無いとし、今後の試験期間についても過去の経験データに基づき進捗を予想して大丈夫だと見積もっていると反論した

●(しかし同時に言い訳がましくF-35計画室は、)ソフト3F開発のある程度進んだところで、再度計画全体の進捗やコストと時程の調整が必要かどうかを再評価すると説明し、「(現時点では)米海軍F-35の2018年IOC宣言や、他軍種や同盟国等のF-35計画に影響が出るような遅れは無いと見積もっている」と反論している
●また、遅れによる経費増についてF-35計画室は、現在の予算約2500億円でF-35開発計画は終了できると予想していると説明し、仮に遅れが出ても2018年5月までの延長経費約110億円は、その後の能力向上予算を充てることでカバーするよう議会から命ぜられていると訴えた

「Block IV」開発や「まとめ買い」について
F-35-test.jpg会計検査院GAOは不安定な「ソフト3F」開発状況を警戒し、完成した「ソフト3F」を更に発展させる「Block IV」開発を、完全に「ソフト3F」が完成するまで待つべきだと提言している
●これに対しF-35計画室は、敵の脅威が日々深化する中で、次の近代化施策である「Block IV」開発を後送りすることは、米軍の能力確保上重大な問題でアリ、3月に要求性能がまとめられた「Block IV」開発は予定通り進めるべきと反論した
●そして「Block IV」開発は透明性を確保して進め、コストやスケジュール管理状況を適宜報告すると説明した

更にGAOは、国防省が企てている複数年度に渡る調達要求を一括して行い、単価削減効果が期待されると宣伝されている約440機の「まとめ買い:block buy:economic order quantity(EOQ) purchase」発注に関し、その内容を精査して明らかにするよう求めている
●この要請についてはF-35計画室も理解を示し、議会に理解を得られるよう、関係国や企業や価格等等の詳細を含む全体計画を提出するよう計画していると説明し、約440機のまとめ買い発注で約2200億円の節約効果が期待できるとの見積もりを明らかにした

●(間もなく退役する)F-35計画室長のBogdan中将は、「GAOのレポートは読者に誤解を与える可能性がある」「指摘の内容は全て把握しており、関係国も始め承知の事項である」「計画全体には依然課題もあるが、これまで課題を解決してきた実績もアリ、自信を持って取り組んでいく」と述べた
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開発計画が進んだ時点で「計画を再精査」し、やっぱり会計検査院や国防省試験評価局のご指摘が正しかった(とは決して認めないが)・・・との幕切れを何度も見てきましたので、「現時点では大丈夫」は「タイミングが来たら遅れや経費超過」を認めます・・に聞こえます

F-35 luke AFB.jpgまた試験遅延の場合の経費増対処についての「反論」は、3ヶ月遅れまでは自分でカバーするが、それ以上についてはお願いしますと宣言しているようなモノで、GAOが指摘の1年遅延なら「また血税投入」なわけです

米空軍がF-35Cを早期退役させ、「Buy American」圧力で日本がF-35を買わされることがないよう、国防装備が犠牲にならないよう、切に願うばかりです・・・

「最終試験は1年遅れでも計画通りは不可能」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-17

会計検査院関連の記事
「ALISにはバックアップが無い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-01
「核戦力維持には10年36兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「空軍の無人機操縦者処遇を非難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-16

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映像:SpaceXが偵察衛星打上げと1段目回収に成功 [安全保障全般]

reusable-Falcon.jpg米国東部時間の1日朝、Space-X社が「Falcon 9」が初の国家安全保障関連の衛星打ち上げに成功し、売り物である第1段目の垂直着陸回収にも成功しました。
快晴の中で行われた見事な垂直着陸の映像が世界中に配信されていますので、ご紹介します

米国の政府関連事業打ち上げ(軍事衛星など)は、2006年12月にロッキードとボーイングの衛星打ち上げ部門が合併して誕生したULA(United Launch Alliance)が独占し、打ち上げ価格の高止まりなど、競争相手が無いことの弊害が指摘されて来ました。

そこに有名企業家Elon Musk氏が率いるSpace-X社が「Falcon 9」ロケットで参入し、打ち上げ失敗と鈍重な官僚的手続きを乗り越え、2015年5月に参入承認を獲得して大きな期待を集めていました。
しかし2015年6月の国際宇宙ステーションへの物資輸送と、2016年9月のイスラエル商用通信衛星打ち上げに失敗し、米国当局が政府関連事業に備えた安全性確認を再度行っていたところでした

そんな中でもSpace-X社は、打ち上げコスト削減の鍵であった「第1段目ロケット」の「垂直着陸回収」に挑戦し、何回かの失敗を乗り越え、2015年12月に回収に成功しています。
その他、民間宇宙飛行ビジネスや大型打ち上げロケットにも同社は挑戦しており、その元気な動向が注目されています

5月1日「第1段目の垂直着陸回収」映像(約1分半)

1日付軍事メディア報道によれば
●打ち上げは当初、4月30日の日曜日に予定されていたが、センサーに異常が見つかり、5月1日に延期されていた。
●同社CEOのElon Musk氏は、1日も上空の風が強く限度いっぱいの98.6%だったが、ぎりぎりのコンディションを苦にせず、打ち上げは成功したとツイッター上で振り返っている

reusable-Falcon2.jpg打ち上げはフロリダ州のケネディー宇宙センターで行われ、国家偵察局NRO(National Reconnaissance Office)の非公開衛星衛星を打ち上げた。衛星の細部は一切明らかになっていない。
●「第1段目の垂直着陸回収」は「Cape Canaveral空軍基地」で打ち上げ数分後に行われた。成功の様子を伝える映像に、カリフォルニアの同社本部は歓声に包まれた

陸上で「第1段目の垂直着陸回収」に成功したのは4回目で、海上も何回か成功している
●同社はまた、回収した「第1段目ロケット」の再使用発射を4月に成功している
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「Falcon 9」ロケットの第1段目を再利用可能となったとして、重要性が高く代替衛星の確保が簡単ではない「政府関連事業衛星」を、まだ実績が十分でなくリスクがある「再利用ロケット」で打ち上げるかとの問題が指摘されており、すぐさま打ち上げコスト削減につながる状況ではないようです

Elon Musk.jpgまた「Falcon 9」ロケットは打ち上げ可能重量が小さく、大型の衛星や物資運搬には使えません。

そんなこんなのSpace-X社「Falcon 9」ですが、失敗を乗り越え、着実に実力と実績を積み重ねています。今後も応援したいです!!!

Space-X社の参入とULA
「イスラエル通信衛星失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-06
「ロケットの着陸回収に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-25
「混迷の米衛星打ち上げ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「軍事衛星打上げにSpaceX参入承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27

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ボーイングが米空軍のF-15C退役案に反撃 [米空軍]

F-15C3.jpg4月17日、F-15を製造維持するボーイング社の同機担当副社長が、Defense-Newsのインタビューを受け、米空軍幹部が盛んに言及するようになったF-15C/D退役案を厳しくけん制しました。

同副社長の主張は、F-15の高い能力、既に延命措置を一部機体に開始しており税金の無駄、延命&能力向上オプションには多様な価格の選択肢があり慎重な検討が必要などです。

また別の視点でDefense-Newsは、F-15退役策がライバルであるF-16とF-35製造のロッキード独り勝ちを招き、軍需産業政策上の問題になることも示唆し、政治レベルの寝技抗争に持ち込む可能性をにおわせています

21日付Defense-News記事によれば
Parker Boeing.jpg●ボーイングのF-15担当副社長であるSteve Parker氏は、米空軍が制空用F-15C等の退役検討について、すでに2030年代まで使用可能にする延命策を開始している中で困惑している様子を示した
●同副社長は、同機の縦型構造材(longerons)を1機1億円で交換するだけで、2030年代まで延命させることも可能だと説明し、「納税者視点でも費用対効果のオプションであり、米空軍が戦力不足を訴える中、周知のF-15能力を提供できる」と訴えた

米空軍軍側は、例えば調達担当のArnold Bunch中将が「老朽作戦機を考えるとき、予算をかけて改修しても、それほど延命できないのであれば改修に値しない」と述べ、新ACC司令官が1機30~40億円の延命策の採否を検討する必要があると語っている
しかしこの金額は最も包括的で高価な改修案で、ボーイング社には他の改修オプションもあると同副社長は語った

F-15C2.jpg●また副社長は、延命改修の一部である同機の縦型構造材(longerons)交換は既に米空軍により開始されており、飛行時間8800時間時点で確認実施され、2026年まで実施されることになっているとも明らかにした
●更に副社長は、F-15がF-16より優れていると主張し、「より早く、より多く搭載し、より遠くで活動でき、長時間空中待機が可能である」と語った。そして「なぜF-16に小さなAESAレーダーを搭載するのか? すでにF-15に搭載した改修費用はどうなるのだ?」と訴えた

●なおボーイング社は来年から、米空軍F-15の 新型電子戦システムであるEPAWSS(Eagle Passive/Active Warning and Survivability Syst)の飛行試験を開始することになっており、また2か月以内に最初の新型演算処理装置を搭載コンピュータに提供開始することになっている
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米空軍はこの副社長の指摘を十分承知しながらも、F-15退役を検討しているのだと思いますが、F-15退役策がF-16とF-35製造のロッキード独り勝ちを招き、軍需産業政策上の問題になる可能性は重い話で、軍事の世界を離れた紆余曲折もありえる課題となりそうです

F-15 JASDF2.jpg繰り返しになりますが、日本にとって米空軍F-15Cの退役は、兄弟機である航空自衛隊が約200機保有するF-15J戦闘機の「維持」に直結しかねない問題でアリ、「America First」で「Buy American」主張前面押し出しのトランプ政権を考えれば、他の日本の産業を守るため国防装備購入で妥協する可能性の高さを思えば、「F-35の追加押し売り」にも容易に発展する事態です

米空軍F-15の関連記事
「ACC司令官:F-15退役やむなし!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

「現実的で低価格なF-15能力向上案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15
「米メディア:心神よりF-15改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-16
「F-15全機の電子戦機材換装へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-05

「米空軍がF-15と16の延命検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25
「F-15の寿命を2倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-27
「F-16の延命措置300機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-31-1

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ロシアが北極圏の新しい軍の基地公開 [安全保障全般]

Trefoil 3.jpg4月29日付Military.comが、ロシア国防省がweb上で公開した新しい北極圏の基地「Arctic Trefoil military base」を紹介し北極圏での活動で「遥かにロシアに劣る」現状を嘆く元米沿岸警備隊司令官などのコメントを引用しています

地球温暖化が原因と言われる北極海の「氷の減少」により、北極圏の地下資源や「第2のスエズ運河」と言われる北極航路の開拓を巡り、沿岸のロシアや北欧諸国だけでなく、中国までが乱入して熱いエリアとなっている北極圏の様子を久々に取り上げます

ちなみに北極圏の原油の埋蔵量は41兆バレル以上で、サウジアラビアのそれ以上と言われているようです。

4月29日付Military.com記事によれば
Trefoil.jpg●4月17日付でロシア国防省webサイトに、新たな北極圏の軍基地「Arctic Trefoil military base」のバーチャルツアーが掲載された。同基地はロシアが北極圏に構築した基地の中で最も北に位置し、「Franz Josef Land列島」に設けられた
約14,000平方マイルの敷地を持つ同基地は、ロシア国旗の色をあしらった塗装がなされ、150名の兵士が外部からの支援なしで18ヶ月生活できる施設だとロシアはアピールしている

前海兵隊司令官で現在国務省の北極問題特別代表であるRobert Papp退役大将は、「プロパガンダに満ちたwebサイトだ」と述べつつ、3月にプーチン大統領が同基地を訪問するなど、ロシアの一貫した北極圏への取り組みに危機感を訴えた
●Papp特別代表は「米国は世界中の様々な地域を気に掛けているが、北極圏にはそれが無い」、「一方でロシアは、それが文化の一部であるかのように北極に関与し、地下資源や原油や天然ガスを我が物とすべく取り組んでいる」とFox Newsで語った

●そして同特別代表は、北極圏で実際の戦争が起こる可能性は低いが、新たな冷戦と捉えるべきで、米国は早く目を覚まし、北極圏での活動に早急に備えるべきだと訴えた

Trefoil 4.jpg●アラスカ選出のDan Sullivan上院議員も、「ロシアは着実に北極圏で戦略的能力を蓄えている」「プーチンは北極航路を新たなスエズ運河と呼んで力を入れている」と危機感を訴えている
●同上院議員は長年、米国が北極圏でプレゼンスを示すように訴えてきたが、この結果として、オバマ政権が廃止を決定していた第25歩兵師団の第4旅団(米軍で唯一極地での活動ノウハウを保持する部隊)の存続させることになった

しかしロシアや中国の勢いには及ばないのが現状である。中国の調査船が北極航路調査のために同海域で活動する様子が複数確認され、ロシアは米国を遥かに上回る砕氷船団で北極航路の活用を目指している
●Sullivan上院議員は「ロシアは砕氷船を40隻保有し、更に原子力推進を含む13隻を追加建造しようとしているが、米国は僅か3隻でその中の1隻は故障中である」と圧倒的な能力差を訴えている

ロシア国防省の関連webページ http://eng.mil.ru/en/structure/okruga/north/news/more.htm?id=12118973@egNews
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Trefoil 5.jpg米国の砕氷船は、実質1隻のみが活動可能な状態にあるようです。

新たな建造には時間が掛かり、予算も必要なことから、「とりあえずリースで穴埋めしよう」との案も出ているようですが、小型で旧式な砕氷船しか市場には存在せず、ガッツリ武装した大型のロシア砕氷艦とは比べるのも哀れな話だそうです・・・

ちなみに、ロシアが北方領土に配備した地対艦ミサイルは、北方での活動を活発化する中国艦艇を意識したものとの見方があります

北極&極地関連の記事
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
「ロシアが鉄の壁構築」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-07

「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
「米軍C-17が極地能力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-02

「ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイル配備へ」 http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-26 

北極海を巡る米国防省と米軍の動き
「北極海での通信とMUOS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
「米国防省の北極戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-23-1
「米海軍が北極対応を検討中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-20

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画期的:ハリス司令官がINF条約見直しを要請 [安全保障全般]

皮肉!「宗教戒律を守るようにINF全廃条約を遵守し・・・」

Harris SASC.jpg4月26日から27日にかけ、ハリス太平洋軍司令官が下院及び上院の軍事委員会に出席し、北朝鮮情勢を絡めつつ様々な視点から証言していますが、他のメディアが取り上げていない「時代に合わないINF全廃条約を見直してくれ」発言がありましたのでご紹介します

この両日の議会証言では、「北朝鮮情勢は史上最悪」「空母カールビンソン艦載機は2時間以内に朝鮮半島に到達可能な距離に」「同空母の行動に関し混乱を招いたのは私の責任」との発言が広くメディアで取り上げられ、ごく一部に「ハワイにもICBM防御ミサイル配備を要検討」発言が紹介されましたが、INF条約関連発言のカバーは米空軍協会web記事だけだと思います

最近この条約が話題になっているのは、この米露2国間条約をロシアが破り、仮称「SSC-8:9M729」との長射程巡航ミサイルを、全欧州を射程に収めるロシア西部に配備したと米国政府や軍高官が訴え始めたからで、4月4日には米戦略コマンド司令官が「米国は防御手段を持たない」と危機感を表現しています

「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

今回のハリス司令官による「INF全廃条約を見直し要請」発言は、北朝鮮関連の流れで出たものでしょうが、背景にはロシアの条約破りのほか、中距離弾道ミサイルを戦力の中核にすえる中国やイラン等への大きな危機感があると思います

まずINF全廃条約を再確認
INF-USRU.jpgレーガン・ゴルバチョフ間で1987年12月8日に署名された同条約は、米露が射程500kmから5500kmの地上発射ミサイルの廃棄と保有禁止を約束するもの。もちろん、中国や北朝鮮やイランを拘束する条約ではない
●特にロシア側は、プーチンが「ほぼ全ての隣国が中距離ミサイルを開発している」と危機感を訴え、ロシアによる条約破棄は「控えめに言っても議論対象だ」と発言しているように、同条約に不満を持っている。しかしロシアは「SSC-8:9M729」が同条約違反だとは認めず、ずるずると実質米国だけが条約に縛られている状態を上手く作為

オバマ政権は、ロシアが同巡航ミサイルが試験発射を行った2014年からINF条約違反だと指摘しているが、ロシアは条約違反を否定し、逆に米国の装備を違反だと批判している
●4月4日、米戦略コマンドのHyten司令官は、最近ロシアが配備したINF全廃条約違反の地上発射型巡航ミサイルに関し、「我々には防御手段が無い。特に欧州同盟国を防衛する手立てが無い」と証言した。なお同巡航ミサイルは2個部隊編制されており、1個がカスピ海北方のボルゴグラード市近郊部隊に配備されているが、もう一つの部隊の所在は不明である(公開されていない)


ハリス太平洋軍司令官の議会証言概要
26日、下院軍事委員会でハリス司令官は、INF全廃条約を時代遅れな条約だと語り、「条約に署名していない国(中国やイランや北朝鮮等)によって詐欺に会い、無一文にさせられたようなものだ」とまで表現した。
●そして同大将は「米国は同条約の再交渉を真剣に考えるべきだと考える」と危機感を訴えた

Harris HASC.jpg翌日の27日、今度は上院軍事委員会で同司令官は、「INF全廃条約は米国とソ連のみが力を持つ2極世界であった1987年に締結されたものだが、我々は今、多くの国が射程500~5500kmの兵器を保有又は開発する世界にいるのだ」と訴えている
●更に、中国とイランは差し迫った懸念対象であり、「中国が保有する弾道・巡航ミサイルの9割が(米国が条約に縛られ保有できない)このカテゴリーに属しており、イランはこの種のミサイルの発射試験を1月にも行うなど、盛んに増強している」と強調した

●そしてハリス司令官は、「米国は宗教戒律を守るようにINF全廃条約を遵守し、このカテゴリーのミサイルを一切保有していない」と皮肉たっぷりに表現し、合わせてロシアが2月に条約破りの巡航ミサイルを配備した点にも言及した
●また「中露の超超音速兵器を懸念している。なぜなら、米国は同条約の制約で同種兵器の開発が制約を受けるからだ」とも訴えた
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SSC-X-820.jpg前オバマ政権が「言うだけ番長」の対中国姿勢であった中、自らの職責の限界ぎりぎりラインで中国への厳格な姿勢を冷静な態度で貫き、アジア太平洋の米国同盟国の光明であったハリス司令官ですが、夏には交代又は退役が噂されています

中国はハリス司令官交代のタイミングを狙って「反転攻勢」を仕掛けてくるのでは・・という軍事専門家もいるほどの司令官ですので、2012年末からINF条約問題を訴えてきたまんぐーすとしては、これほど嬉しいことはありません。

当然課題もあり、同条約が破棄されれば、ロシアが極東に堂々と中距離弾道・巡航ミサイルを配備し、戦術核兵器が搭載されることも想定する必要がありましょう。
しかし・・・中国のことを考えれば、そんな事をいっている場合じゃないと思うのですが・

INF条約関連の記事
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「露がINF全廃条約に違反」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27
「INF条約25周年に条約破棄を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

「米とカナダが巡航ミサイル対処に協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-01
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

超超音速技術やPGC関連の記事
「艦艇配備の超超音速兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-04
「超超音速ミサイルの脅威が大きな話題に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-19
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11

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サンダバードF-16も延命改修&後継機種はF-35? [米空軍]

GW中のお気軽な話題として・・・

Thunde F-35.jpg25日付米軍事メディアが米空軍アクロバット飛行チーム「Thunderbirds」を取材し、話題のF-16延命&能力向上施策と同部隊の関係やF-16後継機種に関する同チームメンバーの意見を紹介しています。

思いっきり気楽な会話の一部を切り取ったような記事ですので、GW期間のだらだらムードでご覧頂ければ良いのですが、アクロバット用機体にも最新のデータリンクやレーダーが搭載される話や、後継機種に関する話題が興味深かったのでご紹介しておきます

もちろん現場操縦者の発言ですので、何ら信憑性はありませんし、高いレベルで色々な要因が関わってくることは言うまでもありません。ご注意下さい

サンダーバード機体も延命&能力向上改修
Thunderbirds  F-16.jpg●21日、フロリダのティンダル基地で「Thunderbirds」を取材し、同チームの機体(F-16C/D Block 52)も機体寿命延命&能力向上改修を受けることを確認した。
●隊長のJason Heard中佐は、コンピュータ能力向上やレーダー改修は他のF-16の最後になるが予定に含まれていると説明してくれた。4番機の少佐は、気象条件が悪い等の飛行制限下で、Link-16で他機の位置を確認して状況把握すると語った

●一方で、機体の疲労度確認では同チームの機体は良い指標として活用されており、機体寿命延命対策SLEPをF-16の中で最初に受けているとメンバー達は語った。
●なぜなら、演技のためにエンジン推力は他のF-16よりも大きく2.9万ポンド(通常2.1万)で、機体にはマイナス3Gからプラス9Gまでの負荷がかかり、音速を突破し5万フィートまで上昇することもしばしばで、加えて飛行回数が月に30回以上と通常機体の3倍近いので機体への負荷が大きいからである

F-16の後継機にはやっぱりF-35?
Thunderbirds.jpg●長年継続しているF-16もいつかは寿命を迎える。後継機種に関し、現場ではどう考えているのだろうか? F-16程度の機動性を求めることは間違いないだろうが
●米空軍史上最大のプロジェクトで多数機を購入するF-35なのだろうか? 少し小型の米韓共同開発のロッキードT-50の様な機体なのだろうか? 小型だが、アビオニクスをF-16と共有化しているT-50は能力的に問題は無いし、兵站面でも筋は通る

●同チームのメンバー達は、それでも観客は大きな機体を望むだろうと語った。そして隊長は、「間違いなくF-35は機敏な航空機で、素晴らしい能力を備えている。また「戦闘機の語り部」としての位置づけを我がチームに求めるならば、F-35は論理的な選択肢だ」と語った
Thunderbirds2.jpg●そして、「F-35の真に優れたネットワーク性や状況掌握力などは観客からは見えないけれど・・・」と話しつつ、最終的な決定は、他方面からのコスト分析も踏まえ数年後になるだろうと語った

●ある同チームのある操縦者は、ロッキード社が特別性の低いF-35製造に協力してくれるなら(be open to making a less specialized version)、大きな反対や混乱無しに米空軍はF-35を考えるだろうと語り、
●現在のメンバーはF-35や他の戦闘機の訓練を行っていないから(、比較的誰もが操縦に取り組みやすい機体である必要があるだろう)
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後継機に関する「be open to making a less specialized version」の意味するところが良く理解できていません。訳に自信がありません

F-35 Thunderbird.jpgまぁ・・・あの「ずんぐりむっくりのF-35」に少し格好良く塗装しても、あんまり格好良くないのでは・・と思います。

ロッキードチームとボーイングチームの一騎打ちの様相になっている次期練習機T-Xなんかどうなんでしょう??? 機動性は高いし、最新アビオだし、維持経費も安そうだし・・。

でもやっぱり「「戦闘機の語り部」:narrative of a combat aircraft」である必要性があるんですかねぇ・・・

F-16関連の記事
「米軍F-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「米空軍がF-15と16の延命検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25
「F-16の延命措置300機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-31-1

T-X関連記事
「候補チームが続々脱落」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-02

米空軍の将来制空アセット検討
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

「悲劇:F-3開発の動きと戦闘機命派への提言」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18

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