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新海兵隊司令官が大きな人事制度改革の方向を語る [Joint・統合参謀本部]

柔軟な昇任制度や直属指揮官の判定権限強化
能力の把握要領見直しや20年ルールの廃止なども

Berger5.jpg7月24日付Military.comが新しい海兵隊司令官David Berger大将へのインタビュー記事を掲載し7月15日の週に米海兵隊が示した人事制度改革「planning guidance」について、同司令官の強い思いを紹介しています

新司令官がこだわりを持つ人事制度改革が、今後どのように進められるのか良くわかりませんし、「planning guidance」の位置づけも良くわかりませんが、議会の承認や法律改正が必要なものも含まれているようですので、今後部隊の意見を聞きながら、議会等の反応を見ながら、出来ることから取り組みたいとの意欲の表明だと推測します。

このように「所信表明」的な位置づけのインタビューとは思いますが、米軍全体が抱えている人事制度の課題を凝縮したような問題認識だと思いましたので、ご紹介します

24日付Military.com記事によれば
Berger4.jpg7月11日に就任したばかりのBerger司令官はインタビューで、優秀な兵士にはもっと報いたい、昇任判断を前線部隊指揮官レベルに権限委任したい、専門職域の移動を柔軟にしたい、(昇任可能性がない)20年勤務者を首にする現行規定を見直したいなど、人事制度のドラスティックな改革への思いを語った
●「現在のリーダー層が指揮官や上級軍曹として大部分を過ごしてきた時代とは、異なった人材が必要tになってきている」との認識を同司令官は語り、必要な能力を持った兵士を引き留められるよう、海兵隊の現状をよく知る現場指揮官がもっと人事制度改革に関与していかなければならないと述べた

●現場指揮官たちは現在、部下たちの評価に極めて重要な職務評価レポートや職種適応性レポートを書く責務を負っているが、最終的な昇任審査は海軍司令部等が行っており、誰が昇任しするかの判断に現場指揮官が更に何らかの形で関与できないか考えていると同司令官は述べ、評価対象者を身近で見て把握している人間を評価に関与させる方法が必要だとも表現した
●15日の週に米海兵隊が示した人事制度改革「planning guidance」の中では極めて率直に、「業績評価の仕組みに、正すべき大きな問題がある。その問題には大きな課題となりつつある海兵隊自身が兵士のスキルや業績や潜在能力を評価する能力に対する不信感がふくまれる」と述べられている

Berger3.jpg●更に同司令官は、「人事管理システムの根幹は、必要な人材を励まして組織に引き留め、求める基準を満たさない者を分離していく仕組みである」と明言し、「現在の仕組みには、このシンプルな要求事項を達成する権限や手段が欠けている」と厳しく指摘した
●そして、あまりに多くの海兵隊兵士が、経過時間や経験で評価されているが、本来は才能や業績や潜在能力で判断され昇任させられるべきで、また多くの兵士が若い時代に押し付けられた職種に閉じ込められ、それが嫌なら退役するしかない状況に置かれていると述べ、有能で仕事ができる士官でさえ、時間の経過とともに仕事の興味分野も変わると語った

現階級以上への昇任見込みがない人材は、勤務20年を迎えた段階で退役を迫られるのが現行制度であるが、この規定により有能な部隊の中核的人材を排除しているとも指摘し、20年積み上げた技量保持者を、最も働き盛りの時期に放り出すような制度で部隊の士気を下げていると訴えた
●また報奨制度の問題点も指摘し、学び・考え・革新を生む兵士に報いるインセンティブが更に必要なだけでなく、特定の職域や集合全体ではなく、より対象を絞った個人を讃える方向に向かわなければならず、その逆も必要だと述べ、「精密誘導兵器のように、真に讃えるべき個人に的を定めて資源を投入すべきである」と語った

Berger2.jpg●同司令官はまた、各個人のユニークな特技や特性を生かせる職への移動の機会を与えることの重要性も強調し、米海兵隊全体で訓練方式や装備の改革更新を強く求められている中、教官や特殊技能職、指揮官や幕僚に適切な人材を配置する必要性を訴えた
●これらの課題対処には、議会の承認を得る必要のものもあることから、同司令官はまず、現場指揮官や上級軍曹に部下の将来潜在能力評価に関与させる機会の付与、適性のある人材の教育訓練や必要な幕僚業務への配置、報奨制度の見直しなどから取り組みたいと語った
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陸海空ドメインに加え、サイバーや宇宙、更に忘れられていた電子戦、これらドメインを融合して戦うにあたって必要な人工知能やITやクラウドや指揮統制システムなどに明るい人材確保が喫緊の課題となっている西側諸国軍ですが、基本的に全ての人材を自給自足してきた従来の人事管理制度では対応が不可能になりつつあります

以前から伝統的に海兵隊司令官は率直に危機感を表明していますが、他の軍種も全く同じで、当然日本でも大きな問題となっているのでしょう。

そんな中でも、まず戦闘機パイロットは議論の対象から外して・・・と始めるから、世界の空軍では誰も真剣に考えなくなるんです。戦闘機とパイロット所要の見直しが、空軍改革の原点だと思います。話がそれましたが・・・

人事制度改革に関する記事
「空軍長官最後のインタビュー」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-18
「上級軍曹選抜から体力テスト除外」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09-2
「米空軍が昇任管理を大幅変更」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-04
「再雇用枠を大幅拡大」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-25
「海兵隊司令官:生活を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08
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なぜ今?防研が湾岸戦争航空作戦メモ [ふと考えること]

同盟国の来援に期待する戦い方を学ぶため?
勃発から30年が経過し、新たな資料公開に期待なのか?

F-117-42.jpg7月2日、防衛研究所国際紛争史研究室の小椿整治氏が、「湾岸戦争の航空作戦における連合作戦の実相」とのブリーフィング・メモ同研究所のwebサイト上で発表し、重要度の高い作戦はほとんど米軍が実施し、同盟国の貢献は極めて限定的だと述べつつ、作戦関連資料の開示がほとんど進んでいないと述べ、WW2以来の本格的な連合作戦となった同作戦の最終的評価はまだ時間が必要と述べています

昨年12月に、同じ研究室の柳澤潤氏の「フォークランド戦争における航空優勢」とのメモをご紹介したときは、これは明らかに「尖閣諸島」奪還作戦を意識したものだと解釈し、今日的な意味を類推しつつ取り上げさせていただきました。
実際防衛研究所も、4年かけて行った膨大な「フォークランド紛争研究」を公開しており、なんとなく頭の整理はできました

柳澤氏のメモ紹介記事https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-01-1
全12章の大作:「フォークランド戦争史」→http://www.nids.mod.go.jp/publication/falkland/index.html

F-15andFA-18.jpgしかし今回はよくわかりません。冒頭で述べたように、同盟国米国の来援を得て戦う近代航空戦の事例として教訓を抽出せよと無理やり取り組まされた可能性があり、米軍と他の連合国間の戦力差が圧倒的な戦いで、新たな資料開示もないことから、新たな教訓が得られる可能性が低いことを、要求元の防衛省や航空自衛隊に説明するための「メモ」なのかもしれません

とは言え、小椿氏が言うように、湾岸戦争航空戦を米軍に学ぼうとの視点はあれど、連合国の視点ではあまりありませんでしたので、イギリスやサウジ空軍を含めてショボかった実態を、約30年後の今も変わらないと達観して押さえておくのも一興なのでご紹介します。5ページ強のメモですので、ご興味のある方は、是非ご自身でご確認ください

小椿氏のブリーフィング・メモによれば
●湾岸戦争時の米軍から学び示唆を得ようとする試みは多いが、米軍と米軍以外との軍事力格差は大きく、示唆を反映することは困難である。(そんな中ではあるが、)本論は多国籍軍の航空作戦の状況と、連合航空作戦の実相について述べる

E-3 2.jpg指揮統制は形式的には、米国を中心とする西側諸国軍とサウジアラビアを中心とするアラブ諸国軍の連合作戦である。しかし実際には米軍が、軍事作戦運用のイニシアチブをとっており、中東を作戦地域とする米中央軍(CENTCOM)が、多国籍軍全体の運用を仕切っていた
イスラム教徒がキリスト教徒の作戦統制下に入ることは政治的に困難であったが、アラブ諸国は作戦計画作成能力が欠如しており、特に航空作戦に関しては、米中央軍航空部隊(CENTAF)が多国籍軍航空部隊を完全に統制し、アラブ諸国にもサウジアラビアを通じて作戦計画が調整付与され、実質的にCENTAFがアラブ諸国軍を統制した

航空戦力数では、中核となる戦闘機及び攻撃機に関して米軍が1700機以上で71%を占め、他国ではサウジアラビアが276機(F-15等)、イギリスが57 機(トーネード等)、フランスが44 機(ミラージュ等)、クウェートが40 機、カナダ26 機(F-18C等)、バーレーン24 機(F-16等)、カタール20 機、UAE が20 機、イタリアが8 機であった
●しかし最新のF-15を保有するサウジも、他の中東諸国と同様、西側と比して練度は低く、地上攻撃能力欠如等の問題点を抱え、整備能力も低く、米軍と比して減耗率が高かった

EA-6B 2.jpg●1990年8月2日にイラクがクウェートに侵攻したが、11日には英空軍がクウェートに展開し、9月22日に米空軍の共同訓練を行った。自国の防空強化の必要性が高いサウジは、9月12日に米軍と共同訓練を行った。一方で米英軍との共同訓練や相互運用性が不足していたフランス空軍は、10月25日になって初めて他国との共同訓練を現地で始めた
他国との共同訓練は、当初2か国間であったが、3か国や2か国での攻撃パッケージ訓練も10月中旬以降増加した

航空作戦計画ATOの連絡は米空軍と同じシステムを持たない米海軍にはフロッピーディスクで空母まで運ばれた。米空軍と同じ基地の他国軍には直接システムを介せず伝えられた
●「砂漠の嵐」作戦間の航空機の損耗は、米軍が27機、他の連合国が11機であった。しかし、米軍の37500ソーティーの飛行に対し、他連合国は4800ソーティーで、連合国の損害率かなり高かった

攻撃作戦のOCA(攻勢対航空)とAI(航空阻止)では、米軍が85-88%を占め、一方で防空が主体となるDCA(防勢対航空)は、米軍が67%、サウジ空軍が18%を担った。しかし、作戦の中核となるイラク指揮中枢や主要航空基地等の攻撃は、ほとんどが米軍機によるものであった
少数のイギリス空軍機が、OCAである飛行場攻撃に参加した事もあったが、優先順位の低い目標で、ほとんど米軍以外がOCA に参加することはなかった。またサウジ空軍もDCAなど防御的航空作戦に多く従事したが、イラク空軍の反撃がほぼなかったため、交戦機会は限定的で、交戦時もサウジ空軍操縦者はパニック状態だったと言われている。

●一方で、DCA 以外でも航空輸送に関しては、サウジが全体の空輸の8.2%、イギリスが6.3%、フランスが3.9%と比較的大きな貢献を果たした

連合航空作戦の評価
F-16D ground.jpgイラクの重心部への攻撃には、ステルス機、巡航ミサイル、精密誘導兵器、AWACS、電子戦機といった先進的装備が不可欠であった。これらのほとんどは米軍がのみが保有し、重要局面で他の連合国軍の参加の余地はほとんどなかった
●またアラブ諸国の航空機は、一部には高性能機があったものの、その練度や搭載兵器等は西側と比較し全く不十分であり、米空軍が有効性を認めたのは、英空軍ぐらいであった。しかし、それも量的には少なく、しかも当初は精密誘導兵器を使用できなかった事から、クラスター爆弾による飛行場攻撃のみが有効に機能しただけだった

4か月間の「砂漠の盾」作戦は、後に続く「砂漠の嵐」作戦の長い準備期間として、連合作戦を前提とした場合に露見した様々な問題を解消することに活用された。例えば英空軍トーネードなどは空中給油機能もなく訓練もしていなかったが、この期間に装備改修や訓練を行った。

●作戦計画であるATOが前述のように円滑に配布できなかったことから、ATO に対する急な変更が発生した場合は、迅速な対応が可能な米空軍と海兵隊の地上基地配備航空部隊に割り当てられた。米軍以外の航空部隊は、急きょ変更可能性がある攻撃任務等に関与することはほとんどなかった
B-52-UK2.jpg●当時中佐として航空作戦計画全体を担当した人物は約20年後、英空軍の貢献には言及したが、それ以外は象徴的なものであったと述べている。ただ米軍から称賛された英空軍部隊のイラク飛行場攻撃も、それほど重要だったとは評価されていない

米以外の多国籍軍が多く参加したDCA等については、交戦の機会もほとんどなく、作戦として評価する状況になかった。連合作戦で懸念される友軍相撃は空対空戦闘において一件も発生しなかったが、(完全に担当エリアを分割した)作戦形態から見れば当然でもあった。実際には連合作戦を実施する上での問題が内在していたはずだが、一方的な戦況でそれが表面化することはなかった。
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結局のところ小椿氏(防衛大学校28期生 航空自衛官)は新たな資料が出ない限り、30周年を来年8月に迎える「湾岸戦争」は研究に値しないと主張しているのでしょうか?

F-117-2.jpgまぁ・・・50万人の兵力と1500機以上の航空戦力をサウジ等に派遣し、準備万端で臨んだ湾岸戦争と、まったく異なるのが対中国作戦です。

西太平洋地域には兵力を展開させる場所もなく、もちろん時間的も余裕なく、イラクと異なり弾道ミサイルを始め高度な兵器体系を保有する中国との対峙は、湾岸戦争とは軍事的に全く異なるものだと言うのが、エアシーバトルコンセプトの説明の冒頭部分で強調されていた点です。

やっぱり、エアシーバトルレポートを読み返した方が有用な気がします・・・

防研のブリーフィングメモwebページ
http://www.nids.mod.go.jp/publication/briefing/briefing_index.html

温故知新:エアシーバトルの脅威認識に学べ
「CSBA海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「CSBA提言 エアシーバトルのエッセンス」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30 
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「脅威の変化を語らせて下さい」→https://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08 

Air-Sea Battleカテゴリー記事100本
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2301176212-1

ASB関連の記事
衝撃の台湾戦略提言→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
ヨシハラ教授の提言日本もA2ADを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-18

再度:陸軍にA2ADミサイルを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-30
副理事長:陸軍にA2ADミサイルを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
F-15andFA-18.jpgF-16D ground.jpg
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米空軍研究:ロボット操縦の旧式セスナが初飛行 [米空軍]

安価に既存機を無人機にする手段の研究
米空軍研究所が真面目に取り組み
ニーズや今後の展開が気になります

Cessna 206.jpg15日付米空軍リリースによれば、米空軍研究所AFRLと民間企業が協力し、8月9日に旧式のセスナ機(1968 Cessna 206 )の操縦席にロボット操縦者「ROBOpilot」を乗せて初飛行に成功した模様です

このニュースを見た時、「今や無人機なんて山のように世界に出回っているのに、何で米空軍研究所がこんなことやってるの?」、「お遊びですか?」と疑問に思ったのですが、どうやら、山のように世にある有人機を安価に簡単に無人機運用したいとのニーズが背景にあるようです

明確に研究の背景や今後の応用について空軍リリースや関連報道は触れていませんが、新たな無人機を設計製造すれば相当な資金が必要だし、有人機の操縦システムを無人運用用に1機1機改修するのも資金が必要なので、ロボット操縦士を有人機の操縦席に座らせ、軽易に有人機を無人運用したい(また逆に簡単に有人機に戻したい)との思いがあるのでは・・・と邪推しております

また、米軍操縦者の民間流出が止まらず、操縦者不足が深刻化して対策に苦慮していることから、既存有人機を無人運用する検討しているのかもしれません。

原始的ながら、米空軍研究所の緊急イノベーションセンターが真剣に取り組む「ROBOpilot」をご紹介いたします

15日付米空軍報道リリースによれば
Cessna 206 2.jpg●米空軍研究所AFRLのWilliam Cooley司令官(少将)は、「この初飛行成功は、短時間低コストで、コンセプトを実用化に結び付けるAFRLの革新能力を証明するものだ」と成果を語り、
●AFRLの迅速イノべーションセンター(Center for Rapid Innovation)の上席研究員は、「考えてみてほしい。セスナ機や軽飛行機などの普通の航空機が、迅速にかつ安価に無人機に転換でき、また有人形態にもどすことが容易に可能なのだ」、「恒久的な形状変更をせずに有人と無人形態を変更できるのだ」と利点を強調した

●AFRLは、加州に所在する民間企業DZYNE Technologiesと協力して本計画を進め、「ROBOpilot」を人間が操縦するように航空機を扱うよう作り上げた
●例えば、操縦桿を操り、スロットルを操作し、尾翼や車輪を動かすペダルを踏み、スイッチ類を扱うように「ROBOpilot」は設計されている。またセンサーにより計器パネルを読み、機体姿勢や状況を把握して操縦する仕組みを備えている

Cessna 206 3.jpg●「ROBOpilot」の備え付けは簡単で、操縦座席を取り外して必要な操縦機能を備えた装置が詰まったROBOpilotのフレームを当該スペースに取り付け、必要な個所と接続するだけである
●AFRL関係者は、「ROBOpilot」が既存の民生技術や部品を活用して組み立てられ、その中にAFRLやDZYNE Technologyがこれまで培ってきた航空機設計技術を盛り込んだと説明し、「新たに無人機を設計する手間やコストを省いて、無人機の便利さや有効性を活用できる取り組みだ」とアピールしている

●AFRLの迅速イノべーションセンター(Center for Rapid Innovation)は2006年に設立され、既存技術を生かして迅速に必要なものを前線に届けるとの狙いをもって活動を開始し、作戦運用上のニーズに対応してきた組織である。
●具体的にはこれまで、例えば、移動目標攻撃のためのリックサック式の精密誘導兵器誘導装置、仕掛け爆弾IED対処装置、ドローン対処装置、移動式の秘匿通信システムなどなどで成果を上げてきた
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セスナや軽飛行機より複雑な、軍用輸送機(C-17やC-130のような)への応用を考えているのでしょうか? そうであれば、パイロット世界に結構な衝撃がありそうです

このような発想は、戦闘機には絶対応用されないでしょうが、米空軍内のパイロット族がどの様に生かしていくかに、興味津々です

米空軍パイロット不足関連
「操縦者不足緩和?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-12
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10
「世も末:幕僚勤務無し管理検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-20

「トップガン続編の予告編」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-20-1
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空母トルーマン艦長に元亡命イラン人!? [Joint・統合参謀本部]

父親がイラン人でイラン革命時にイランから脱出
母親は米国人で生まれはテキサス州

Hakimzadeh3.jpg14日付Military.comが、間もなく中東に派遣されるであろう空母トルーマンの艦長に7月から就任しているKavon Hakimzadeh大佐を取り上げイラン人の血が流れる彼と彼の家族のこれまでを紹介しています

タイトルでは「亡命イラン人」と表現しましたが、同大佐がテキサス生まれであれば米国籍を持っていると思われますので不正確かもしれませんが、誕生後赤ん坊時代にイランへ移住し、イスラム革命吹きすさぶイランから11歳時に脱出しなかったら、恐らく今もイラン人としてイランで生活していた人物だと思います

高校卒業後に米海軍に入隊し、経緯は不明ですが士官となってE-2早期警戒機に搭乗し、7つの異なる米海軍艦艇で勤務し、中東での作戦も既に複数回経験した歴戦の海軍士官で、空母トルーマンの艦長ともなれば相当期待される人物です

任務に関することに記事は触れていませんが、多様な人材を取り込む米軍の一端をご紹介すべくHakimzadeh大佐の人生を取り上げま

14日付Military.com記事によれば
Hakimzadeh2.jpg●Hakimzadeh大佐は、テキサス州でアメリカ人の母親とイラン人の父親に生まれたが、まだ赤ん坊だったときにイランに引っ越した。彼は1970年代の子供時代を懐かしく思い出す。
●同大佐はペルシア語と英語を話す国際学校に通い、南部バプテストの母親の信仰を守り、近くに住んでいた叔父といとこと交流していた。当時、イランは親米であり、西洋文化の多くの側面を受け入れていた。それでも彼は「牧歌的な」子供時代だったと回想する。

●しかし、それは1979年のイスラム革命で大きく変わった。彼と彼の家族は、彼が11歳のときに米国への避難を余儀なくされた。彼の妹は9歳で、母親は妊娠7ヶ月だった。
イランの空港が閉まりそうになる中、飛行機になだれ込み、父親の仕事上の知人を頼ってミシシッピ州ハッティズバーグ近くの小さな町に向かうことになった。

●同大佐は海軍に入隊し、軍が提供した機会を利用して、彼と彼の家族が彼らのために行ったすべてのことを愛する国に返した。30年前にノーフォークに停泊する空母を目にし、自身で空母の艦長になると設定した目標を今年7月に達成した。当時、彼は若い船乗りであり、高校を卒業してすぐに海軍に入隊し、約10年間しか住んでいなかった国に仕えることを決心した。
Hakimzadeh4.jpgコールサインが「ハク」である同大佐は、ノーフォークに拠点を置くE-2早期警戒機の飛行士としてのキャリアの大半を過ごし、イラクとアフガニスタンの戦闘地帯で飛行し、7つの異なる船で8つの作戦遂行に関わった

●現在同大佐は、中東に戻る可能性に備えている。彼の空母戦闘群は展開前の演習を既に完了した。米海軍はその空母がどこに行くのか、いつ行くのかを明らかにしていないが、空母は世界中で緊張が高まった際の視認性の高い抑止力として頻繁に使用される。
空母リンカーンは現在、イランがアメリカの無人機を撃墜し、外国の石油タンカーを押収した後、中東で任務についている。空母トルーマンがこの地域でリンカーンの地位に就くように呼ばれた場合、空母トルーマン乗組員は準備ができていると同大佐は語った

「特定の個人的な不安は関係していない」、「過去に何度も展開した」と彼は言った。
●同大佐の名前は米国では珍しく、また彼が米国の同盟国である中東の国に展開するときに橋渡し役として働けると感じている。同大佐は今でも少しペルシア語を話し、彼の家族の話をもっと知りたいと思っている人たちには喜んで伝えている
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Truman.jpg空母トルーマンは米空軍が2020年度予算案で25年早期退役案を打ち出し、米議会から猛反発を受けて頓挫した曰くつきの空母で、空母乗員はこの春から夏にかけての予算審議を複雑な思いで見てきたと思います

そんな単純ではない状況で7月から艦長を任されたのがHakimzadeh大佐です。このタイミングでいい加減な人間を艦長に命ずることはありません。武運長久を祈ります!

空母と多様な人材の記事
「空母トルーマンの25年早期退役案で紛糾」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-29
「空母関連の映像4つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-20
「ベトナム難民が艦長として故郷に錦」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-18-1

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米軍試験演習場を民間5G開発に提供する [米国防省高官]

脱ファーウェイのため国産メーカー育成へ
超超音速兵器より5Gが優先だ!

Griffin2.jpg13日、ハドソン研究所で講演した米国防省のMike Griffin技術開発担当次官は、ファーウェイでない国産5G技術育成のため優れた民間技術のジャンプスタートを促すため、米国防省の管理している演習試験エリアを提供する準備があると語りました

同次官は、これまで超超音速技術開発だった最優先課題は今や5Gになったと語りその重要性を訴えましたが、一方で国防省にはこの分野で最先端を切り開く能力はなく、民間企業による開拓を期待するしかないと正直に認め、将来の国家安全保障に不可欠な5G開発を支援したいと述べました

「offer its infrastructure as test areas」が具体的に国防省や米軍のどの施設やエリアを示すものなのか不明ですが、政府や地方自治体の強化など複雑な手続きが不要なことで開発をでき、またエリアを分割することで複数の企業が技術情報朗詠を恐れることなく試験を行える等の利点も強調しました

米国も必死だということですが、米中関係の今後が不安定な中、この呼びかけにどれだけの企業や研究機関が手を挙げるのか良くわかりませんが、とりあえず最優先事項だということですのでご紹介しておきます

13日付C4ISRNET記事によれば
5G-2.jpg●Griffin技術開発担当次官は、国防省が5G開発を牽引する能力がないことを率直に認め、「民間企業の通信技術開発が遥かに進んでいることを承知している」と述べ、「民間通信企業のしっぽのノミ」ぐらいにはなりたいと努力しているところだ表現した
●そして同次官は、「国家安全保障のために同技術を国防省は必要としており、競争の激しい環境の中で技術の種が望む方向に育ち発展するよう支援する」と語った

●更に「各種試験やプロトタイプ試行を我々の施設で実施でれば、(広大な敷地を)複数の競い合う企業で分割して使用することで秘密保全を図れる。また、国防省試験場は地方自治体や国の許可が必要ないので、企業の研究開発の迅速化に貢献できる」と利点を説明した
●そして改めて「あくまで5G研究開発は国防省がリードするのではなく、国防省は開発の成果の良き利用者となる事を楽しみにしている」と仕組みを説明した

Griffin3.jpg●同次官の下で現在は1名の補佐官が5Gを担当しているが、今後間もなく新たな組織を編成し、AIや超超音速兵器のような体制で対応すると同次官は述べた
●講演に対して記者団から、5Gがマイクロウェーブ兵器に対し脆弱な点を指摘された同次官は、指摘に同意しつつ、その問題点を見極めて対応を考えることが必要だと応えた

●最後に同次官はファーウェイを意識しつつ、重要な信頼できる通信を確保するためは、信頼できないネットワークやハードを使用できるか?、と述べ、国産5G技術開発の重要性と国防省として開発を支援する意志を打ち出した
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5Gの重要性を十分に理解していないのですが技術開発担当次官が超超音速兵器より重要と明言するのですから、その覚悟の程が伺えます

5G.jpg反面、国防省として支援できることは何でもやるとの悲壮感も感じられ、ファーウェイの技術力の高さを改めて感じさせます

不謹慎ながら、この必死さは、日本から輸出管理を強化され、必死で突っ張っている韓国のイメージとダブってしまいます。もちろん韓国ほど悲観的ではないでしょうが・・・

米中関係を考える記事
「米軍トップが中国脅威を強調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14-1
「米国防省と米軍2トップが陸軍出身へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-20
「中国がレアアース輸出規制へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-06
「CSBA対中国戦略レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「2019年アジア安全保障会議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1
「2019年中国の軍事力レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-06
「グーグルからAI技術流出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1

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比大統領は特攻隊の慰霊碑を自費で建立していた [ふと考えること]

1年半前の記事ですが、アジアと日本を考える
マニラでの市街戦は、多くのフィリピン市民を巻き込み犠牲にしましたが
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やっぱりフィリピン大統領は日本をリスペクトか?
出身地ダバオ市での慰安婦像発言に注目
日本の野党議員も見習ってほしい!

各種報道によれば
慰安婦像フィリ.jpg2018年4月27日夜フィリピンの華人団体などが首都マニラに昨年12月に設置した、日本軍占領下(1942~45年)の慰安婦を象徴するという女性像が台座ごと撤去されたことが分かった。

29日、ドゥテルテ比大統領は、地元ダバオで「(設置は)政府の政策ではない」と、撤去に理解を示した。
一方で「私有地への設置は構わない。我々はそれに敬意を払う。表現の自由は大事だ」と語った。

この慰安婦を象徴する像に対しては、マニラの日本大使館がフィリピン政府に、女性像が唐突に設置された経緯などを明らかにするよう要求。1月にマニラを訪れた野田聖子総務相がドゥテルテ大統領に「遺憾」を表明し、河井克行衆院議員が同大統領に撤去を求めていた。

日本政府関係者によると、ドゥテルテ政権は「4月中の問題解決」を約束。撤去作業はマニラ市と公共事業道路省が実施し、女性像の再設置や移転は行われないとの連絡が撤去後、この関係者に入ったという。

Duterte.jpgマニラの日本大使館は、フィリピン政府から27日、女性像を撤去する事前連絡があったとしている。目撃者によると、同日夜にマニラ市職員と名乗る作業員が「下を通る水道管の修理だ」とし、ショベルカーで像を撤去。台座や記念碑板も一緒に持ち去った。

女性像が建てられていた現場は28日、穴があき、幅約2メートル、奥行き約10メートルの範囲が、フェンスやビニールシートで覆われていた。

こんな出来事を受け、ドゥテルテ大統領のルーツに迫る約1年半前の記事を振り返ります。

//////////////////2016年11月7日の記事////////////////////////
ドゥテルテは最初の特攻隊に敬意を表したのか
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-06

duterte-J.jpgドゥテルテとは今話題のフィリピン大統領で、米国に対する過激な発言や、中国の習近平と「ガムをかみながら握手」しつつ多額の援助を引き出した興味が尽きない指導者です。
一方で、日本に対する感情は極めて良好で、2013年には米国旅行を希望する家族を押し切り、家族旅行で日本を訪れて長野でのスキーや東京観光を楽しんだ人物でもあります

また、フィリピンでも最悪の犯罪発生率だったダバオの副市長と市長勤める中で、「東南アジアで最も平和な都市」を標榜するまでに治安を改善させた功績が国民に支持され大統領になった人物ですが、そのダバオ市長時代に私財を投じ太平洋戦争時に米国と戦い、フィリピンが米国から独立する基礎を作ってくれた日本人の墓地に記念碑を建ててくれた人物でもあります

duterte-J4.jpgダバオ市と日本人の関係は古く、戦前、貧しかった日本人が約2万人も職を求めてダバオに渡り、紙幣の原料でもあるマニラ麻を栽培して生活しました。この日本人の活動はダバオに産業を興し、ドゥテルテ大統領は日本人がダバオの発展に貢献してくれたと今回の来日で安倍首相に感謝しています。

その他、戦後日本が、フィリピン政府とミンダナオ反政府ゲリラとの橋渡し役を務めてくれたことも評価しているそうです。

更にドゥテルテ大統領は、2013年3月に発生した東日本大震災に際しダバオ市長として海外のどこの自治体よりも早く「震災で、住む家を失ってしまった方は、ダバオで何人でも引き受けます。避難所としてではなく、楽園となるよう市を挙げて歓迎します。ダバオ市で役に立つことがあれば何でもします」と表明してくれていたことが、今回の訪日にあわせて話題になりました

邪推:なぜ10月25日に来日したか?
duterte-J2.jpgドゥテルテ大統領は10月18日~21日に訪中し、20日には習近平首席とスーツ姿で会談したが、その後の合意文書調印式ではガムを噛みながら、しかも途中から居眠りする様子が放映されるなどの態度をしめした
中国主席は、積極的な投資を約束すると共に、欧米が人権侵害とみる麻薬撲滅対策に理解を示すなど、大盤振る舞いの姿勢で「雪解け」を演出したが、南シナ海問題で特に進展はなかった模様

●その後フィリピン大統領は一端帰国し、改めて25日から訪日を開始。到着後の夕食会は岸田外相がホストを勤め、「仕事の具体的話はしていない」とのコメントを残しているが、大いに盛り上がった様子が外交筋から伝えられている
ではなぜ直接中国から日本を訪問せず、一端帰国して25日から訪日したのか。ここでは多くのフィリピン人の心に今も残り、ドゥテルテ大統領が資材を投じて慰霊碑を建立してくれた日本兵の作戦に関係しているのでは・・・との仮設を立てて考えます

Sikisima.jpg1944年(昭和19年)10月25日、日本軍が最初の「特攻隊」を編制して出撃させたのがフィリピンであり、その「敷島隊」5名はフィリピン各地で名前が今も知られ、慰霊行事が今でも行われています
ドゥテルテ氏はダバオに私財で慰霊碑を建立した当初から、毎年娘を必ず連れて慰霊行事に参加していたようです。そして今回の訪日で、米国の植民地から解放してくれ、地元経済の基礎を作ってくれた日本軍と日本人に対する礼を天皇陛下に直接述べるため、10月25日を選んだののではないかと「邪推」しています

岸田外相との夕食会でも、安倍首相との首脳会談でも、ドゥテルテ大統領は祖国フィリピンを代表し、歴史的観点に立って日本への尊敬と感謝の思いを伝え、今後の関係を構築したいと述べたのではないかと推察しています
duterte-J3.jpg●日本政府が今の時代に、特攻隊の精神を讃える外国首脳の話をオープンに出来るはずはありませんが、一方で米国に対するものとは全く別次元の感情を日本に持つフィリピン指導者と、楽しい食事や話が日本首脳は出来たであろうと想像します

●中国への対処を考える上で、邪推したフィリピン大統領の日本への感情と米国への反発が、単純にプラスになるとは思いませんし、東京裁判史観に反する「特攻隊」の話題化が対中国の米国同盟にプラスであるはずもないでしょう
●それでも、東京裁判史観で縛られた現代日本人の日本軍への偏った視線が、アジアに広く残る日本軍への極めて高い評価に向く切っ掛けになればと思います

最近のフィリピン関連記事
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「EA-18G電子戦攻撃機が展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-18
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再び「玉音放送」を読む [ふと考えること]

7年前の記事ですが・・・この季節にあらためて・・・
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Termination_War1.jpg本日は、終戦の詔勅たる「玉音放送」(1945年(昭和20年)8月15日正午)の全文を改めて嚙み締めたいと思います。「原文」、「口語訳」、「英文訳」の対比でご覧ください
恥ずかしながら、まんぐーすは全文を通して読んだことがありませんでした。高尚な表現で綴られており、原文を読んでも理解できなかったと思いますが・・・。

そんな中、本年8月号のAirforce Magazineが「Hirohito’s “Jewel Voice Broadcast”」とのタイトルで英語版の「玉音放送」全文を掲載し、事前録音されていたレコード盤を陸軍一部が奪取粉砕を試みたこと、レコード盤を洗濯物の中に隠して難を逃れたこと等の逸話と共に紹介しつつ、その出来栄えを「傑作」(a masterpiece of understatement)と表現しています

米国に言われたからではありませんが、「口語訳」を頼りに読んでみると、いろいろご意見は御座いましょうが、改めてその素晴らしさが胸にしみます。「堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ」の部分だけがよく取り上げられますが、全体を是非、ご覧ください

なお英語版は、国際放送(ラジオ・トウキョウ)で平川唯一が厳格な文語体による英語訳文書を朗読し、国外向けに放送したようで、この放送は米国側でも受信され、1945年8月15日付のニューヨーク・タイムズ紙が全文を掲載しました。

口語訳:塚原キヨ子 「満州引き揚げ回想記」より 
 → http://homepage1.nifty.com/tukahara/manshu/syusensyousyo.htm
英語訳:Airforce Magazine「Hirohito’s “Jewel Voice Broadcast”」
 → http://www.airforce-magazine.com/MagazineArchive/Pages/2012/August%202012/0812keeper.aspx
ウィキペディア「玉音放送」解説
 → http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%89%E9%9F%B3%E6%94%BE%E9%80%81
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朕深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現状トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ收拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク 朕ハ帝國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ

Termination_War2.jpg私は、深く世界の大勢と日本国の現状とを振返り、非常の措置をもって時局を収拾しようと思い、ここに忠実かつ善良なあなたがた国民に申し伝える。私は、日本国政府から米、英、中、ソの四国に対して、それらの共同宣言(ポツダム宣言)を受諾することを通告するよう下命した。
After pondering deeply the general trends of the world and the actual conditions obtaining to our empire today, we have decided to effect a settlement of the present situation by resorting to an extraordinary measure.
We have ordered our government to communicate to the governments of the United States, Great Britain, China, and the Soviet Union that our empire accepts the provisions of their Joint Declaration.


抑ゝ帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々措カサル所曩ニ米英二國ニ宣戰セル所以モ亦實ニ帝國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス

そもそも日本国民の平穏無事を図って世界繁栄の喜びを共有することは、代々天皇が伝えてきた理念であり、私が常々大切にしてきたことである。先に米英二国に対して宣戦した理由も、本来日本の自立と東アジア諸国の安定とを望み願う思いから出たものであり、他国の主権を排除して領土を侵すようなことは、もとから私の望むところではない。
To strive for the common prosperity and happiness of all nations as well as the security and well-being of our subjects is the solemn obligation which has been handed down by our imperial ancestors, and which we lay close to heart. Indeed, we declared war on America and Britain out of our sincere desire to ensure Japan’s self-preservation and the stabilization of East Asia, it being far from our thought either to infringe upon the sovereignty of other nations or to embark upon territorial aggrandizement.


然ルニ交戰已ニ四歳ヲ閲シ朕カ陸海將兵ノ勇戰朕カ百僚有司ノ勵精朕カ一億衆庶ノ奉公各ゝ最善ヲ盡セルニ拘ラス戰局必スシモ好轉セス世界ノ大勢亦我ニ利アラス加之敵ハ新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ慘害ノ及フ所眞ニ測ルヘカラサルニ至ル

ところが交戦はもう四年を経て、我が陸海将兵の勇敢な戦いも、我が多くの公職者の奮励努力も、我が一億国民の無私の尽力も、それぞれ最善を尽くしたにもかかわらず、戦局は必ずしも好転していないし、世界の大勢もまた我国に有利をもたらしていない。それどころか、敵は新たに残虐な爆弾(原爆)を使用して、しきりに無実の人々までをも殺傷しており、惨澹たる被害がどこまで及ぶのか全く予測できないまでに至った。
But now the war has lasted for nearly four years. Despite the best that has been done by everyone—the gallant fighting of the military and naval forces, the diligence and assiduity of our servants of the state, and the devoted service of our 100 million people—the war situation has developed not necessarily to Japan’s advantage, while the general trends of the world have all turned against her interest.
Moreover, the enemy has begun to employ a new and most cruel bomb, the power of which to damage is indeed incalculable, taking the toll of many innocent lives.


而モ尚交戰ヲ繼續セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ是レ朕カ帝國政府ヲシテ共同宣言ニ應セシムルニ至レル所以ナリ

Termination_War3.jpgなのにまだ戦争を継続するならば、ついには我が民族の滅亡を招くだけでなく、ひいては人類の文明をも破滅しかねないであろう。このようなことでは、私は一体どうやって多くの愛すべき国民を守り、代々の天皇の御霊に謝罪したら良いというのか。これこそが、私が日本国政府に対し共同宣言を受諾(無条件降伏)するよう下命するに至った理由なのである。
Should we continue to fight, it would not only result in an ultimate collapse and obliteration of the Japanese nation, but also it would lead to the total extinction of human civilization.
Such being the case, how are we to save the millions of our subjects or to atone ourselves before the hallowed spirits of our imperial ancestors? This is the reason why we have ordered the acceptance of the provisions of the Joint Declaration of the Powers. 


朕ハ帝國ト共ニ終始東亞ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ對シ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス帝國臣民ニシテ戰陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及其ノ遺族ニ想ヲ致セハ五内爲ニ裂ク且戰傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕ノ深ク軫念スル所ナリ

私は、日本と共に終始東アジア諸国の解放に協力してくれた同盟諸国に対しては遺憾の意を表せざるを得ない。日本国民であって前線で戦死した者、公務にて殉職した者、戦災に倒れた者、さらにはその遺族の気持ちに想いを寄せると、我が身を引き裂かれる思いである。また戦傷を負ったり、災禍を被って家財職業を失った人々の再起については、私が深く心を痛めているところである。
We cannot but express the deepest sense of regret to our allied nations of East Asia, who have consistently co-operated with the empire towards the emancipation of East Asia. The thought of those officers and men as well as others who have fallen in the fields of battle, those who died at their posts of duty, or those who met with untimely death and all their bereaved families, pains our heart day and night.
The welfare of the wounded and the war sufferers, and of those who have lost their homes and livelihood, are the objects of our profound solicitude.


惟フニ今後帝國ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス

考えれば、今後日本国の受けるべき苦難はきっと並大抵のことではなかろう。あなたがた国民の本心も私はよく理解している。しかしながら、私は時の巡り合せに逆らわず、堪えがたくまた忍びがたい思いを乗り越えて、未来永劫のために平和な世界を切り開こうと思うのである。
The hardships and sufferings to which our nation is to be subjected hereafter will certainly be great. We are keenly aware of the inmost feelings of all you, our subjects.
However, it is according to the dictate of time and fate that we have resolved to pave the way for a grand peace for all the generations to come by enduring the unendurable and suffering what is insufferable.


朕ハ茲ニ國體ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ亂リ爲ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム

私は、ここに国としての形を維持し得れば、善良なあなたがた国民の真心を拠所として、常にあなたがた国民と共に過ごすことができる。もしだれかが感情の高ぶりからむやみやたらに事件を起したり、あるいは仲間を陥れたりして互いに時勢の成り行きを混乱させ、そのために進むべき正しい道を誤って世界の国々から信頼を失うようなことは、私が最も強く警戒するところである。
Having been able to safeguard and maintain the structure of the imperial state, we are always with you, our good and loyal subjects, relying upon your sincerity and integrity. Beware most strictly of any outbursts of emotion which may engender needless complications, or any fraternal contention and strife which may create confusion, lead you astray, and cause you to lose the confidence of the world.


宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念ヒ總力ヲ將來ノ建設ニ傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ 爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ

Termination_War4.jpgぜひとも国を挙げて一家の子孫にまで語り伝え、誇るべき自国の不滅を確信し、責任は重くかつ復興への道のりは遠いことを覚悟し、総力を将来の建設に傾け、正しい道を常に忘れずその心を堅持し、誓って国のあるべき姿の真髄を発揚し、世界の流れに遅れを取らぬよう決意しなければならない。
あなたがた国民は、これら私の意をよく理解して行動せよ。
Let the entire nation continue as one family from generation to generation, ever firm in its faith of the imperishableness of its divine land, and mindful of its heavy responsibilities, and the long road before it.
Unite your total strength to be devoted to the construction for the future. Cultivate the ways of rectitude; foster nobility of spirit; and work with resolution so that you may enhance the innate glory of the imperial state and keep pace with the progress of the world.
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爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ(あなたがた国民は、これら私の意をよく理解して行動せよ)
→この部分の英訳にあたる部分は見当たりませんでした。

なお、この玉音放送で終わりを迎えた戦争の、日本国としての正式名称は未だ未確定です。
毎年8月15日に武道館で開催の戦没者追悼式で、天皇陛下や総理が「先の大戦」と表現をするのはこのためです。詳しくは下記の記事で

「あの戦争」をなんと呼ぶべき→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-26

英霊の安らかならんことを祈念しつつ・・・

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今も米軍の戦史教材である日系人部隊442連隊 [ふと考えること]

2年半前の記事ですが
今も米軍の歴史の教材である日系人部隊442連隊を学ぶ
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Abe-Obama2.jpg2016年12月28日朝、安倍首相とオバマ大統領がそろって真珠湾を訪れ、それぞれの所信を語って同盟関係の発展を期す契機としました。

私が約10年前に戦艦アリゾナメモリアルを訪れた際も多くの人が訪れており、船で慰霊施設に渡るのに時間によっては2~3時間待ちが普通だと伺いました
陸地側の施設には真珠湾攻撃の展示資料館が設置されていましたが、淡々と史実を伝え、攻撃した日本軍側の事も驚くほど丁寧に紹介していたことが印象に残っています

今回の安倍総理の訪問を通じ、当時のハワイ在住日系人が遭遇した運命や厳しい現実を伝える報道も行われましたが、同時に現在のハワイ州知事が日系人であることなど、日系人の活躍が紹介されたのは良い相乗効果と言えましょう

Abe-Obama.jpgただ、既に両国首脳の真珠湾訪問への思いは大きく報じられていますが、オバマ大統領が政治の道を志すに至った過程で、少なからぬ影響を与えたのが日系人であったことはほとんど知られていないと思います

本日は、真珠湾攻撃や太平洋戦争が生んだ米国内「日系人」社会の現実と日系人だけで編制された伝説の442連隊、そして同連隊に所属して片腕を失いながらも日系人の上院議員を50年以上務め、多くの米国人から尊敬を集め、オバマ大統領に多大な影響を与えた「ダニエル・イノウエ氏」を振り返りつつ、「伝説の日系人部隊」第442連隊を再び学びます
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過去記事
故イノウエ上院議員を偲び、442連隊を学ぶ
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-19

442Inoue2.jpg2012年12月17日、ハワイ選出の上院議員、ダニエル・イノウエ氏が88歳で亡くなりました
第2次世界大戦時には、日系人のみで編成された「伝説」の第442連隊員で欧州を転戦し、片腕を失った人物でもあります。

その後今日まで50年間上院議員を務め、日米関係の発展に尽力し、米国防省の退役軍人施策にも心血を注いだ、日米双方の安全保障関係者に取って忘れ難い存在でした。

訃報が伝えられて以来、各方面からその死を悼むメッセージが出されていますが本日はオバマ大統領(涙ぐみながら)、パネッタ国防長官とデンプシー参謀総長の追悼の言葉を紹介したいと思います。
そしてまた、442連隊について語らせて下さい・・

パネッタ国防長官は・・
Panettatexas.jpgアメリカンドリームと偉大なる時代のヒーローの姿を体現した人である。
伝説の第442連隊員として壮絶な打ち合いの中で彼が見せたリーダーシップと熱情は、彼の片腕を奪い、名誉勲章を与えた。しかしその後の彼のリハビリへの取り組みと彼の職歴は、現在の負傷兵をも勇気づけている

●上院議員として、彼は最も頼りになる国防省の応援者のひとりであり、いつの時代にも前線兵士を勇気づけてきた。私はクリントン及びオバマ政権下で彼と緊密に連携を取りながら仕事ができたことを誇りに感じている
●彼のお陰で成し得た米軍兵士やその家族、更にハワイの人々の生活の向上は永遠に語り継がれるだろう

デンプシー統合参謀本部議長は・・
DempseyCapstone.jpg●偉大なる世代の一員として、彼は人生で最も良い時期を欧州の専制政治に立ち向かうため捧げた名声轟く第442連隊の一員として。
●彼は戦いで片腕を失い、国家への奉仕を十分に努めたが、国家への貢献はそれだけに止まらなかった
●(上院議員として)彼が行ってきた退役軍人への絶え間ない支援、特に教育や医療分野への努力は、無数の兵士やその家族に今後も多大なる貢献をするだろう

23日、ハワイでの葬儀にオバマ大統領も F-22初の追悼飛行も
Obama Inoue2.jpgF-22 Missing Formation2.jpg








21日、ワシントンDCの教会でオバマ大統領は・・
●私が初めてイノウエ上院議員を見たのは11歳の時、ウォーターゲート事件の審議をテレビで見ていた時です。
●白人の母と黒人の父の間に生まれた私は、インドネシアとハワイで育ち、この世で生きていくことがそう単純でないことに気づき始めていました

obama-inoue.jpgそんな時です、彼を見たのは。この上院議員は力強く、業績を積んだ人物でしたが、当時一般的に考えられていた上院議員像とは異なりました
●そして彼が全米から尊敬を集める様子から、私は私の人生で何が成し得るかのヒントを与えてくれました

●この人物は10代で自ら志願して国に命を捧げる覚悟をしました。それも仲間である日系米国人が敵性外国人扱いされる中で・・・。この人物は米国を信じました。米国政府が必ずしも彼を信頼していない時にさえ・・。
●このことは私に何かを伝えてくれました。力強い何か・・当時は言葉に出来なかった・・強い希望の感覚です。イノウエ氏こそが、私に初めて政治的なインスピレーションを与えた人物と言って間違いありません。
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イノウエ議員を語るに欠くことができない史実・
「第442連隊」について語らせて下さい

442Battle.jpg第442連隊は「Nisei(二世)」と呼ばれる日系人で構成されていた部隊です。第2次対大戦中、米本土内では差別的な扱いを受け強制収容所に送られていた日系人ですが、彼らは「米国人たる日本人」の存在を示すため志願して戦時下の米軍に入隊しました。

当初は米軍幹部も扱いに迷ったようですが、その優秀さから欧州戦線で大活躍し、トルーマン大統領自らが7枚目となる「大統領感状」を授与に赴くまでに至った伝説の部隊です。
その戦いの激しさは死傷率314%、つまり定員約3千人の部隊で述べ9500人の死傷者を記録したほどで、米軍内では抜き出た部隊でした。

442連隊の奮闘が米国中に知られ、同時に米国内での日系人に対する差別的処遇が明らかになり、ルーズベルト大統領が過ちを公式スピーチで謝罪して442連隊の奮闘を讃えました。442連隊は、まさに「体を張って」日系人の名誉回復に大いに寄与しました。
しつこいですが・・・死傷率312%・・米国陸軍史上最大の勲章数を誇る部隊です。
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映画「442 日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍」紹介文より
2010年11月に日本公開の映画)
442F.jpg第2次世界大戦時に日系人で編成された部隊・アメリカ陸軍442連隊に迫るドキュメンタリー。人種差別と戦いながら、父母の祖国・日本と戦う苦悩と葛藤(かっとう)を抱えた兵士たちの揺れる心を、当事者たちの証言でつづっていく。名誉のために命を懸け、偏見と戦った兵士たちの真実に注目だ。

本作は、2010年マウイ・フィルム・フェスティバル<観客特別賞>を受賞した。7月末ロサンゼルスでの公開以来驚異的な動員数を記録し、現在も全米各地で上映が続いている。

YouTube予告編http://www.youtube.com/watch?v=tbO6K_Ig7Y4
Yahooコメント欄http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id337918/
紹介サイトhttp://navicon.jp/news/9842/
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第2次大戦後、60年以上が経過したある日・
2011年11月2日、442連隊へ米国民最高の「議会勲章」授与

442Mullen.jpg2011年11月2日、第2次大戦中の10大戦闘に数えられる「失われた大隊(Lost Battalion)救出作戦」の65周年記念行事がヒューストンで行われ、救出された141連隊の兵士と救出した「米国陸軍史上最大の勲章数」を誇る442連隊戦闘団の面々が集いました。
写真のようにマレン統合参謀本部長議長(当時)も参加し、その栄誉をたたえました。

「失われた大隊救出作戦」とは・・
1944年10月25日、ドイツ軍に包囲されて孤立した約230名の141連隊を救出せよとの命令が時のルーズベルト大統領から出され、これに応じた442連隊戦闘団がフランス東部ボージュの森で800名余りの犠牲者を出しながらも、同30日に任務を達成したとの話です。

442smile.jpg救出後の歓喜の中で、救出された側の少佐が軽い気持ちで「ジャップ部隊なのか」と言ったため、442部隊の少尉が「俺たちはアメリカ陸軍442部隊だ。言い直せ」と掴みかかり、少佐は謝罪して敬礼したという逸話が残されています。
なおこの作戦は、第2次大戦の10大戦闘として米陸軍で今も教育されています。

他にも、イタリア戦線で数カ月かかっても他部隊が攻略できなかった山岳要塞を僅か20時間余りで攻略した逸話、激闘と活躍を聞いた将軍が442連隊を訪問して激励の言葉を述べようとしたが、負傷者が多くて中隊規模の兵士しか整列できず将軍が絶句した話、60年以上が経過して今もなお、解放してもらったフランスの町が毎年兵士を読んで記念行事を行っていること等々・・・話は尽きません

442GoForB.jpg戦争中に442連隊は18000個もの勲章を授与されており、その数自体が他を圧倒しているのですが、戦後日本への感情を廃して見直しがなされ、多くの勲章格上げがなされたとのことです。
連隊ワッペンに記されたGo for brokeは「当たって砕けろ」の意味だそうです。まさにそのとおりの働きでした。
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マレン統参議長は授与式スピーチで・・
442MullenSp.jpg●442連隊の逸話は、聞く人全てを奮い立たせ、私に多くのことを教えてくれる。
●彼ら日系米国人兵士は、その家族を米国により収容所送りにされながら、愛国心を示し、証明しようとしたのである。
激烈な肉弾戦は塹壕一つ一つを奪いあう熾烈なもので、それが最終的な敵の混乱散乱に繋がっている。

●私は、これらを可能にした442連隊兵士の心中を察するとき、真に謙虚になって皆さんとこの教訓を学び、共にしたいと思う。
●あらゆる側面に置いて、我々は米国建国の理念である、豊かで多様性に溢れた国作りを追求していかなければならない。
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442Inoue.jpgイノウエ議員は上で紹介した映画に、主要な語り部として登場しています
淡々と当時を振り返りつつ、聞き手の質問に丁寧に答えるのですが、インタビューの最後にスタッフを見送る際、イノウエ議員をよく知らない観客は「片腕がない」ことにはじめて気づきます

劇場内に「あっ・・」と言う悲鳴にならない声が上がったことを覚えています。合掌

第442歩兵連隊を描いた70分のドキュメンタリー映像
https://www.youtube.com/watch?v=IpjaQ8lJqmY

日系人と442連隊
「イノウエ議員と442連隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-19
「映画公開と442部隊の魂」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-03
「米軍トップが最敬礼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-04
「空軍輸送機にイノウエ議員の名を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-2

米国防省で日系人が活躍
「女性カトウ大佐が核戦争下の通信装置を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-29
「日系女性が国防省ITを統括」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-30
「普天間担当:日系ナツハラ氏」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-13-1

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「あの戦争」をなんと呼ぶべき・・・ [ふと考えること]

8年前の記事ですが、状況に変化なし・・・
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「開戦から70 年、真珠湾攻撃以降の戦争呼称は分裂のまま」

syouji.jpg呼称に関する現在の政府の見解は、質問主意書に対する答弁書で明らかにされており、「大東亜戦争」、「太平洋戦争」共に戦後法令上の定義・根拠はないとされている
●その結果、天皇陛下の「お言葉」、総理大臣の演説・談話など公的な場では、「先の大戦」、「過去の戦争」、「あの戦争」など曖昧な表現が使われている

防衛省防衛研究所、定期的にwebサイトに掲載する「ブリーフィング・メモ」に、同研究所で戦史部門のトップを務める庄司潤一郞氏(2011年当時)が「表題」の一考察を寄稿されています。
A4に4ページ余りの内容ですが、如何にも歴史に積み残された課題のような気がしますので、年末にじっくり考えてみたいテーマとして取り上げました。

はじめに前振り
●開戦時の戦争目的の不統一、戦後の米国による占領政策、そしてその後の日本国内における戦争を中心とする近現代史に関する歴史認識の「政治化」の影響を受け、呼称が統一されていない。
PacificWar.jpg●「太平洋戦争」、「大東亜戦争」、「15 年戦争」、「アジア・太平洋戦争」など様々な呼称が使用され、いまだ決着がついていないのが現状である
●現在、一般には「太平洋戦争」が新聞・雑誌、教科書など広く普及しているものの、近年、学界や識者の間においては、呼称の使用に関して注目すべき変化が見られる。それは、「アジア・太平洋戦争」の台頭、「大東亜戦争」の「復活」と、それにともなう、「太平洋戦争」の衰退である。
●それは、「太平洋戦争」が、戦争の実体を、特に地域面から考慮した場合、やはり致命的な問題を抱えているからであろう

「アジア・太平洋戦争」
pacificwar3.jpg●昭和60 年、木坂順一郎が正式に提唱したことにより、広まっていった。木坂は、「太平洋戦争」は米国が命名したもので中国戦線の比重を過小評価する恐れがあり、「大東亜戦争」は日本の侵略を正当化するため、二つの呼称を回避した。
●「東アジアと東南アジアおよび太平洋を戦場とし、第二次世界大戦の一環としてたたかわれた戦争という意味と、日本が引き起こした無謀な侵略戦争への反省をこめた
●近年では、特に「進歩派」を中心として、「太平洋戦争」や「15 年戦争」から「アジア・太平洋戦争」に変更する例が見られる。

この呼称についての議論は、
まず、アジアでの戦いと米国との太平洋の戦いは一体・密接不可分な関係にあったとの「連続性」を強調する呼称である、
第2に、アジア及び太平洋における日本の政策の「連続性(一貫性)」と「侵略」を強調する歴史観が含蓄されている点への違和感、
第3に、しかしアジアはちょっと広すぎないか?アフガニスタンやトルコまで戦域だったわけではない、との意見があるため、浸透していない面がある

「大東亞戦争」
PacificWar2.jpg●「大東亜戦争」使用の根拠は多岐にわたるが、主なものは第一に、「大東亜戦争」が、閣議(大本営政府連絡会議)決定という「合法性」を有している日本の正式な呼称であるという点である。さらに、GHQ の「神道指令」による「大東亜戦争」の禁止もポツダム宣言受諾で無効になったとの解釈もある。
第2に、第二に、「大東亜戦争」には、大東亜新秩序の建設といったイデオロギー的含蓄はなく、単なる地理的呼称で、地域的に戦争の実態によく適合しているとの主張である

この呼称への感情の背景には、戦争目的をめぐる混迷も存在していた。すなわち、戦争目的は自存自衛で、「大東亜戦争」は当時海軍が提案した「太平洋戦争」と同様に地域的呼称なのか、はたまた大東亜新秩序建設こそが戦争目的なのかといった議論である。

興味深いことに、欧米の研究者の間では、「大東亜戦争」に対する抵抗感は少ない。米の歴史家は、「地域的観点から、「第二次世界大戦」はあまりに広く、「太平洋戦争」は狭いため、「いささかきまり悪いものの、『大東亜戦争』という用語がやはり、日本がインド洋や太平洋、東アジアおよび東南アジアで繰り広げようとした戦争を最も正確に表現している」と指摘している。

おわりに
Bouken.JPG●「大東亜戦争」の由来が、「大東亜新秩序の建設」という政治目的ではなく、単なる地理的呼称であるとするならば、批判と対立の根拠であったイデオロギー色のない呼称ということになる
●『大東亜』をたんなる戦域と読みかえ、例えば東南アジア研究者の倉沢愛子、田原総一朗、長谷川煕、日本外交史研究者の松浦正孝など、肯定論とは異なる立場から「大東亜戦争」を使用する識者が目立っている
●肯定論という戦争観ではなく、歴史的用語として「大東亜戦争」は復権しているのであろうか
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最近余り考えなかった話題ですが、忘れてはいけない課題です。

軍事力のあり方・適用法
「不同意の共有が第一歩」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-22
「軍事力使用の3原則」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-07
「米外交の軍事化を警告」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-15-1
「軍事と外交が一丸となって」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-03
「禅の思想で対テロやCOINを」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-31

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2018年米軍の自殺者数が過去20年で最悪に [米国防省高官]

2019年も昨年を上回るペース
米空軍部隊は1日任務を中断して自殺防止対策日に

Suicide Prevention3.jpg7月末、米国防省の「Defense Suicide Prevention Office」が2001年から公表している米軍兵士の年間自殺者数統計レポートをまとめ昨年2018年の自殺者数が、過去最悪だった2012年の321名を超え、325名を記録する残念な事態となっていることを明らかにしました

米軍兵士の総数は、中東での対テロ作戦等からの撤収もあり、ここ5年間くらいは減少していますが、分母が減る中で自殺者数が過去最悪を記録する危機的な状況で、国防省も頭を痛めています

また今年2019年に入っても状況悪化の傾向が続き2019年第一四半期の自殺者数は既に90名と、昨年の同期間の81名を上回っており、単純計算すると年間360名との数字が重くのしかかっています

Goldfein1-1.jpg4軍別で見て見ると昨年は2017年より米空軍を除く全ての軍種で自殺者が増加しており、唯一減少した米空軍でも2019年に入って自殺者が急増しており、今年7月末時点で既に昨年1年間の数を超えるペースとなっているようで、このままのペースだとここ数年の3倍弱になる恐れが出ているようです

1日、そんな危機的な状況を前に、Goldfein空軍参謀総長とWright米空軍最先任上級軍曹が、全ての米空軍部隊が45日以内に丸一日通常業務を停止し、自殺予防を考える日にするよう指示を出し、自殺防止の再スタートを切る決意を全部隊に発しています

1日付military.com記事によれば
2018年の米軍兵士の自殺者数は、2001年統計公表以降の最高値を記録し325名となった。内訳は陸軍139名、海軍68名、海兵隊58名、空軍60名であり、総数で前年を40名も上回った。昨年との比較では、空軍のみが昨年の63名から若干減少し、他は増加している
●また今年2019年に入っても状況悪化の傾向が続き、2019年第一四半期の自殺者数は既に90名と、昨年同期間の81名を上回っている。

●2018年自殺者の内訳では、男性が95%、また白人兵士が81%を占め、海外派兵経験者は57%を占めている
Suicide Prevention2.jpg●自殺者の約半数は、メンタル面での問題を抱えていたことを部隊が把握していた兵士で、また自殺者の半数は、自殺する前90日以内に軍内の何らかの医療・メンタル・相談窓口等と接触を持っていた

●今年初め、関係する国防省高官は具体的な数値に言及はしなかったが、「自殺数の増減をより正確に把握するためには、兵士総数当たりの自殺者数把握がより重要だと考えるが、その統計値は破滅的で受け入れがたい傾向を示している」と言及していた
米国社会全体でも自殺数は増加しており、1999年との比較で33%も増加しており、10歳から34歳の死因の第2位が自殺となってる

●自殺者の比率を把握する兵士10万人当たりの自殺者数値は、2017年で21.9名で、2016年の21.5名と、一般社会の同年齢層の17.4名よりは高くなっている。ちなみに米軍関連で最も自殺率が高いのは州兵で、29.1名となっている

別の1日付military.com記事によれば米空軍では
Goldfein space.jpg●米空軍の2018年の自殺者数は60名と、2017年の63名から若干減少したが、2019年に入り急増しており、今年7月時点で既に78名が自殺しており、昨年同時期の48名より30名も多く、このままのペースだと年間150-160名を自殺で失う過去最悪となりそうである
●そこで米空軍は1日、Goldfein空軍参謀総長とWright米空軍最先任上級軍曹が、全ての米空軍部隊が45日以内に丸一日通常業務を停止し、自殺予防を考える日にするよう指示を出し、自殺防止の再スタートを切る決意を全部隊に向け発信した

参謀総長は各級指揮官にレターを出し、「いったい米空軍で何が起こっているのだ。希望を失った者に、希望を見出してもらおう」と呼びかけ、この微妙で難しい問題に対応するためには、個々の事象に応じた個人的なアプローチが欠かせないと訴えている
●そして「自殺は予兆を発する者が行うこともあるが、なんの前触れもなく発生することも多い」とその特徴に触れつつ、自殺予防を考える日を契機として、恒常業務を停止して行う「自殺予防を考える日を通じて、自身の問題として、より個人的な部分に寄り添うように取り組んでほしい」と訴えた

Wright3.jpgWright米空軍最先任上級軍曹はビデオ映像で下士官たちに対し、「我々は仲間を、敵と戦て失うよりも多く自殺で失っている」と語り開け、「米空軍が皆さんに自殺防止のために何をやりなさいと指示することはない。どのようになるかを示すこともない。皆さんの部隊で何が必要かは皆さんが一番分かっているだろう」、「自殺について考えることが一つの一番の答えだろう。良い選択肢を与えてあげてほしい。良い方向に導いてほしい」と訴えた
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なかなかシンプルに増加の要因を特定するのは難しいようですが、米国社会全体で自殺者数が増加していることは事実なようです。

まんぐーすの邪推ですが経済好調の米国社会にあって、またイラク・アフガン戦争による負傷兵の悲惨な状況が軍のイメージを低下させ募集が難しくなり、米軍に入隊する若者の質が低下し、入隊時点でメンタル面に問題を抱える者までリクルートしてしまっている現実があるような気がします。

Suicide Prevention.jpgもちろん、海外派兵を含む出張の期間の長期化(家族との接触低下)、予算不足からくる部隊活動の質と士気の低下、部隊の士気に関心がなさそうな最高指揮官(トランプ)、社会と軍隊の分離進行などなど、様々な背景があると思いますが、インプットの質がカギのような気がしますし、そうなると早急な改善は容易ではありません

それにしても、イラク戦争やその後の混乱期、またアフガンに本格介入し、部隊に負荷がかかっていた2000年代よりも自殺者が多いとは深刻です・・・

ちなみに、日本の全年齢層合計の2018年10万人当たりの自殺者数は、男性23.2人、女性10.1人でした。統計の存在する1900年以降で最悪は2003年で、自殺者総数34400人、10万人当たりで男性40.0人、女性14.5人です

米軍と自殺者問題
「2018年は自殺者数最悪ペース」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09-1
「米空軍死者の一番は自殺」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-12-1
「米海軍の自殺を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20
「国防省の自殺防止会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-25
「陸軍も6年連続自殺増」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-14

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