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太平洋軍が対中で兵力配備再検討 [Joint・統合参謀本部]

第2列島線まで後退する新たな拠点模索?
南シナ海への「にらみ」とはいうけれど
PNGやミクロネシとは・・・

Davidson5.jpg12日、Davidson太平洋軍司令官が上院軍事委員会で証言し中国の軍事力強化や南シナ海の要塞化を踏まえ、北東アジアやグアム中心だった兵力配備やローテーションの再考を求められていると語りました。

この発言を踏まえ米軍事メディアが専門家の見方を紹介し、具体的にインドネシア、パプアニューギニア(PNG)、ミクロネシアなどに米軍の活動拠点を求め、中国とのつばぜり合いが発生している様子を伝えています。

南シナ海周辺を外まきに取り囲むと言われればそうかもしれませんが、中国のA2ADに対応し、または中国の軍事力強化に押し出され、第2列島線ラインまで後退を余儀なくされているように見えてしまうのですが、長らく対中国の米軍動向を取り上げていないので(米軍の動きが見えないので)、久々の話題としてご紹介しておきます

15日付Military.com記事によれば
Papua New Guinea.jpg●15日、上院軍事委員会で太平洋軍司令官は、対中国を見据え、新たな兵力前進配備場所や物資集積場所を検討していると語り、地域の同盟国や友好国と協議していると証言した
●そして同海軍大将は、「ここ最近数年のことでなく、数十年間にわたり、太平洋軍の基地や展開先は北東アジア地域に置かれてきた」、しかし地域情勢の急激な変化に対応するため「どこを拠点に作戦するか、どこに兵力をローテーション派遣するかの再検討を求められている」と語った

●太平洋軍は、韓国、日本、豪州、グアム島に兵力を駐留させローテーションしているが、専門家は、これら派遣戦力の増強だけでなく、これら地域以外に(又はこれら地域から)インドネシア、パプアニューギニア、ミクロネシアなどに間もなく戦力が展開されるだろうと語った
CSISのアジア太平洋部長Carl Baker氏は、「中国が米国と対等な競争者として台頭する中、アジアインド太平洋地域には新たな考え方が生まれており、北東アジアだけでなく、南東アジアからインド洋も含めた展開地域拡大検討が迫られている」と表現している

●Baker氏は背景として、中国の海軍やミサイル能力向上により、射程外の場所に米軍の拠点を探す必要が生じ、また中国の南シナ海の拠点化により、米軍地上部隊を「toward the ends of the South China Sea」に置く必要が出てきたと表現した

PNGやミクロネシアで
Manus.jpgヘリテイジ財団のDean Cheng上級研究員は、米中のつばぜり合いの一例として、パプアニューギニアのManus Islandに中国が海軍基地を建設しようと試みたが、米国と豪州が協力してこれをはねのけ、パプアニューギニアとのプロジェクトに乗り出した事例に言及した
●米軍はManus Islandの2か所の海軍施設を、WW2当時から重要な海上交通路をにらむ拠点として使用しているが、当時ペンス副大統領が「パプアニューギニアの島々の主権と海洋権益を守るため、豪州と協力する」と表明している

●Cheng上級研究員によれば、米軍が恒久的な軍事基地をアジア地域に新設することは難しい情勢なので、米軍は様々な演習を通じて地域の国々との相互運用性を向上して危機に備えることを考えている。特にグアムとパプアニューギニアをつなぐミクロネシアの島々で、危機に際しての「staging ground」としての利用を視野に置いている

Davidson太平洋軍司令官は上院軍事委員会で、「我々は南シナ海での劇的な変化の事実を受け止めなければならず、過去の繰り返しの様な対応でなく、新たなアプローチを求められている」と証言している
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Micronesia.jpg南シナ海の周辺国であるインドネシアで何が検討されているのか気になるところですが、記事には記述がありません。今後注意いたしましょう・・・

PNGやミクロネシアと言われると、太平洋戦争時の帝国陸海軍と米軍の攻防と、「飛び石作戦」を思い浮かべますが、米国の研究者は当時の資料を読み返しているのでしょうか・・・

南シナ海の人工島とその要塞化は実質完成してしまいましたので、新しい現実の中で考えざるを得ません。「なされるがまま」「相手の言いなり」で事態は進み・・・

A2AD中国軍事力関連の記事
「空母キラーDF-26の発射映像」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31
「射程1800㎞の砲を米陸軍に」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「DIAが中国軍事力レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-17

「H-20初飛行間近?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-13
「イメージ映像:中国軍島嶼占領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30

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再びトランプ大統領がパレードもどきを発案 [ふと考えること]

独立記念日にリンカーンメモリアルを中心に
「Salute to America' parade」と呼ぶらしい
トランプ創設のイベントとして恒例化を目指すとか

Salute to America.jpg12日トランプ大統領は、7月4日の独立記念日に「アメリカに敬意を:Salute to America'」パレードを計画すると明らかにし昨年100億円規模の予算が必要との試算が出てとん挫した軍事パレードの代わりに、「大集会」のイメージに近いイベント構想を語りました

そもそもトランプ大統領は、シャンゼリゼ通りで毎年行われるフランス独立記念軍事パレードに2017年7月来賓として参加してその様子が気に入り帰国後ワシントンDCの目抜き通りであるPennsylvaniaアベニューでの軍事パレード検討(11月の退役軍人記念日に)を命じましたが、他の外交日程や経費問題で実現できず、別のチャンスを伺っていた模様です

昨年の軍事パレードは、「米軍に感謝の意を示したい」との大統領の趣旨説明を受け、国防省に検討が命じられましたが、今回は「アメリカに敬意を:Salute to America」とのテーマであり、担当は内務省(ここも長官不在で臨時長官が勤務中)になるようです

軍事パレードでも、「アメリカに敬意を大集会」でもそうですが、なんとなく自分を中心に「偉大なアメリカ」をお祝いしたい狙いが見え見えで、あんぐり口が開いてしまいそうなイベントですが、関連報道をご紹介いたします

13日付Military.com記事によれば
Salute to America3.jpg●12日、トランプ大統領はホワイトハウスで、7月4日かその当たりで、Salute to America' paradeといった名称の大きな集会実施を考えており、リンカーン記念堂を中心に行うことを一案に検討させていると明らかにした
●同大統領は、パレードとの言葉を使ったが「大きな集会のような感じだ」と表現し、「今後、伝統的に行われるイベントになる event to become a tradition」とも語った

●このイベントの担当はDavid Bernhardt臨時内務省長官で、「とてもわくわくした日になる could be a very exciting day」とも大統領は語った
●毎年、独立記念日には国立公園協会がワシントンモニュメント周辺で花火を行うことになっているが、この恒例イベントを無料で、「Salute to America」のボーナスイベントとして活用できるとも大統領は述べた

Salute to America2.jpg●しかし7月4日の独立記念日当日には、既に複数のイベントがワシントンDCで計画されており、これとの兼ね合いが悩ましいくなるだろう
Constitutionアベニューでのパレードなど多数のパレードイベント、例の花火の直前まで議会議事堂の庭で開催されTV中継されるコンサートなど、多くの人々が毎年この日にはDCを訪れる

●なおホワイトハウスは、このイベントの予算見積もりについては言及していない
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「Salute to America」とのイベント自体は、米国建国の精神を振り返りつつ、独立記念日を祝おうとの行事で、アメリカらしいパレードやコンサートが、星条旗が打ち振られる中で開催されるイメージの祝賀行事で、独立国として自然な行事です

Salute to America4.jpgでも、昨年11月に目論んだ軍事パレードが経費面で不評を買ったからか、花火については「a bonus will be fireworks at no extra charge」と言及する品の無さで、イベントの品を落としているような気がしてなりません。もし休日である独立記念日に動員される米軍兵士がいたら、白けた気分になるかもしれません・・・

いろんなタレントや歌手にも声がかかるのでしょうが、先日のスーパーボールのハーフタイムショー出演歌手を巡る騒ぎように、トランプ支持かどうかの「踏み絵」を踏まされ、周辺で反対集会が開催されるような米国分断を象徴するイベントにならないことを祈ります

少しは関連のある記事
「DCで軍事パレードをご希望」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-10-1
「宇宙軍創設を訴え」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-21
「戦地激励を避けるトランプ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-23

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新たな自衛官の海外派遣先MFOを学ぶ [安全保障全般]

国連の枠組みでない米国主導で1982年開始の兵力引き離し監視
エジプトとイスラエル間のシナイ半島を約2000名で担当
1988年から日本は資金協力も、現資金規模は当時の5%以下

MFO.jpg10日各種メディアが、シナイ半島に展開する兵力監視部隊MFOの司令部要員として、自衛官2名を派遣する方針を政府が固め、早ければ今春にもMFO司令部があるシナイ半島南端部の都市シャルム・エル・シェイクに派遣されると報じました

MFO(Multinational Force and Observers)は、これまで自衛隊が多く参加した国連枠組みの活動ではなく第4次中東戦争後に米国主導で1982年から活動を開始した「兵力引き離し監視」を行う組織で、2015年に成立した安全保障関連法によって付与された、新たな海外活動の初適用となるそうです

Sinai.jpg遠く離れた中東で、かつイスラエルとエジプトに挟まれたシナイ半島は日本人にとって極めて遠い場所でしょう。中年以上の方にとっては映画「十戒」で、神がシナイ山でモーゼに10の戒めを示された場所・・・ぐらいの記憶があるかもしれませんが・・・

そんな場所での任務ですので、派遣されるであろう陸上自衛官2名のご活躍を祈念し、MFOについて日本とのかかわりを中心にご紹介いたします。
外務省が公開している予算獲得関連資料を中心につまみ食いで取り上げますので、なんとなく有効性を強調する論調になるかもしれませんが・・・

外務省予算資料とMFOのサイト情報より
第4次中東戦争後のエジプトとイスラエルの平和条約の議定書に基づき、1982年から展開。シナイ半島を挟む上記2国の軍の平和条約履行の検証(展開、活動状況、停戦監視)、両国間の対話の促進、関係の安定化が主要任務活動開始後35年間、4回も戦争したりぃう国間の和平維持に貢献
12の要員派遣国から現在約2000名が活動しており、3個歩兵大隊、1個支援代替、沿岸紹介部隊(偵察ボート保有)、航空機部隊、文民監視団などによって構成されている

MFO2.jpg要員派遣国は米、英、加、豪、仏、伊、NZ、ノルウェー、チェコ、ウルグアイ、コロンビア、フィジー
本部はローマに所在し、エジプトとイスラエルにも事務所を置く。所属部隊の司令部は2015年以降の改編で、シナイ半島の南北に分かれたいたものを南部のシャルム・エル・シェイクに集約

2017年の主な活動実績
---文民監視ユニットによる検証24回、偵察を23回
---シナイ半島で両国間の会議を3回開催
---任務効率化のための遠隔監視サイトの再編成
---中東展開の国連休戦監視機構(UNTSO)との情報交換
●任務遂行の効率化に取り組み、1983年当時と比較し、人員規模を3割削減し、予算規模を1割削減
(ただし米ドルベースで予算規模の推移を見ると、1983年を100とすると、最高は84年の109、90-05年は最低で50、2018年は78レベルであり、継続して予算規模が縮小しているわけではない

MFO3.jpg予算拠出はエジプト、イスラエル、米国が同額で各20億円超でを拠出して全体の3割を賄い、その他を関係国が分担して賄っている
日本は1988年から資金援助を開始しているが、外務省資料は日本の支援金額が「90年代の5%以下の低下している」と指摘し、2018年度支出が約500万円であることから、当初は1億円程度を支援していたものと考えられる

日本の資金面での貢献度は、2002年度で2900万円で第7位の貢献度であったが、500万円となった現在では貢献度順位は公開されていない。外務省資料では、MFOは設立当時の関係国の思惑等から国連枠組みにならなかったことから、より多くの国からの支援を得ることを重視しており、少ない額でもMFOから評価されているが、これ以上の金額低下は避けるべきと記されている

●外務省資料では、日本からの拠出金は「文民職員給与」と「食糧調達」に限定して使用されるとなっているが、MFOのwebサイトでは、日本が「Force Protection Fund」の2割程度を拠出していることになっており、この2つの資料の関係はよく分からない(もう一つの区分のOperational Budgetでは日本の割合は読み取れないほど小さい)
→ http://mfo.org/en/mfo-in-numbers 

MFO事務局長(現在は米国の外交官で、イラクやエジプトの大使経験者)が2015年から毎年訪日し、活動状況等について日本に説明し、意見交換を日本側と行っている
●現在のMFO指揮官は豪州陸軍少将で、ティモールで多国籍部隊指揮官の経験がある
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活動の細部はMFOのwebサイトをのぞいていただければともいます

MFO4.jpg例えばフィジーからの派遣部隊は、シナイ半島で武器(小銃等)を提供され、訓練を受け、武器を帰国時に持ち帰って自国で活用できる制度になっているような話を聞いた覚えがあります
先進国は沿岸監視ボートや偵察航空機、指揮統制通信インフラ、装備の維持整備要員、文民監視員を提供し、その他の国はエリアを分担して駐屯しているイメージかと思います

恐らく、事務総長が毎年訪日するようになった2015年以降、支援金の減額に伴い「人的貢献」の要望が繰り返し出されたものと邪推します。
シャルム・エル・シェイクはシナイ半島南端付近の『リゾート地』で、ソフトターゲットとしての観光施設を狙ったテロが時々報じられています。派遣される方は余暇の時間も気を付けて頑張っていただきたいです

MFOのwebサイト
http://mfo.org/en

参考にした外務省の公開予算関連資料
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000392519.pdf

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米軍PGM不足はやっぱり未解決で深刻 [米空軍]

昨年末に作戦部長が目途が付いたと語っていたが・・・
年変動がある発注方を改革できるか
弾薬の「切りしろ」扱いを変えられるか

Roper5.jpg6日、米空軍省の調達担当次官であるWill Roper氏が記者団に対し、米空軍は中東での作戦で大量に消費しているPGM(精密誘導兵器) の穴埋め調達に懸命に取り組んでいるが、関連軍需産業の生産能力には限界があり、厳しい状態に置かれていると語りました

そしてその背景として、これまで予算編成時の道具として、予算枠が厳しい時の「切りしろ」、予算編成時に余白や隙間ができた際の「穴埋め」「隙間うめ」扱いを受け、年度年度の受注が安定しない弾薬とその製造を担う厳しい弾薬製造企業の窮状現状を訴えています

米空軍(米軍全体でも恐らく)のPGM在庫危機は、対ISIS作戦が激化、アフガンでのタリバン活発化に伴うPGM大量消費によって2015~16年頃から表面化し、国防省高官が「同盟国に提供する余裕はない」「米軍を当てにするな」と公言するようになりその深刻さが明らかになりました

JDAM.jpg軍隊に弾がなければ「張り子のトラ」で、他国に知られれば弱点をさらすようなものであり、米国はあくまで「当面の作戦に支障はない」、「必要な備蓄量は確保されている」との公式発言を続けていましたが、同時に折に触れ「弾薬増産体制を調整中」「必要な予算を確保」とも言い続けてきました

そして昨年12月5日、米空軍作戦部長が、「地域戦闘コマンド司令官にはPGMの使用を抑制してもらっていたが、何とか改善ができてきた」、「2017年から、関連軍需産業の協力を得てPGM生産量増強に取り組んできたが、前線への供給増や備蓄増に結び付くようになってきた」と改善の兆しをアピールしていましたが、あくまで「兆し」で問題の根が深いことが明らかになりました

7日付米空軍協会web記事によれば
●ペンタゴンで記者団に対しRoper次官は、米空軍が必要とするPGM製造企業の状況に懸念を示し、ISISに対し計7万発を消費している現状にも触れ、「製造能力に注目している」と述べた
JDAM-Empty.jpg●「我々は大量に使用されるPGM等の供給に関する大きな負担を負っている」、「多くの弾薬に関し、大規模調達が可能な体制を整える必要がある」と述べつつも、現状に関し「製造企業が製造可能な限定された数量しか入手することができない」と苦境を表現した

●先週、Roper次官の軍事補佐官であるArnold Bunch中将が、米空軍は対ISIS作戦で大量消費にされているPGM(JDAM bombs, Hellfire missiles, Advanced Precision Kill Weapon System rocket)製造企業にフル操業での増産を要請していると語ったところである
●一方でRoper次官は、2020年度予算案にどの程度の弾薬関連経費を計上する予定化については言及を避けた

●またRoper次官は、一般論として、空軍が80年代に行っていた「一部品2供給元」体制が好ましく、複数の部品や装備供給可能企業が競い合い、品質や価格において競争原理が働くような体制構築議論も歓迎するとしながらも、現状の調達規模では複数のサプライヤーを維持するには不十分であることも認めた
Hellfire2.jpg●そして同次官は弾薬の予算上での扱いについて自戒の念を込め、「弾薬購入予算は、他の装備品予算と予算枠との隙間を埋める役割の扱いを受け、主要装備を多く購入するときは弾薬が削られ、逆の場合は弾薬予算が増えるのが実態だった」と認めた

●しかしこれは製造企業側からすれば、発注が少なければ製造設備や人員を維持できないし、原材料調達単価も上昇する厳しい状況を生き抜くこと迫られ、気まぐれな増産要請に対応できる余裕など確保できない
●また企業が長期計画に基づく設備投資等を行うことも難しく、原材料の大量購入による単価削減も考えにくい・・・等と現状を訴えた

それでも同次官は向かうべき方向として>、「企業間の競争を促せる企業数の確保と、単一企業からの調達を避ける方向」を挙げ、そのため国防省や空軍として「毎年購入する弾薬量の平準化を図り、予算枠の穴埋め役にせず、企業側と5か年計画の視野で話ができるようにしたい」と述べ、「幾つかのアイディアもある」と言及した
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APKWS2.jpg「弾薬の備蓄量」は秘密中の秘密ででしょうから、具体的な数量について語れませんが、対リビア作戦をNATO欧州諸国に任せたときは、欧州諸国が「さほど攻撃目標がない短期作戦で弾薬不足に直面した」として、当時のゲーツ国防長官が酷評していました

米軍の弾薬不足がどの程度かは推測する根拠がありませんが、国防省が「同盟国に提供する余裕はない」「米軍を当てにするな」と公言するくらいですから、相当レベルと推測します。

そしてあくまで邪推ですが朝鮮半島で紛争が勃発しても、思う存分PGM精密誘導兵器を余裕をもって使用できる態勢にはないのでは・・・と邪推します。

米空軍と弾薬関連
「精密誘導爆弾の不足改善へ?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-09
「アフガン軽攻撃機がPGMを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-2
「意味深:グアムの弾薬10%増」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-21
「米空軍が精密誘導兵器増産へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-24

「空軍長官代理の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-05
「精密誘導爆弾の不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-03
「米国の弾薬を当てにするな!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21-1

ゲーツ長官がリビア作戦の欧州諸国を酷評
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12

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米空軍:上級軍曹の選抜から体力テスト除外 [米空軍]

知識テストと体力テストをなくす決定
リーダーシップ無き者が選ばれるのを避けるため

Airman2.jpg4日、米空軍が下士官の上級階級3つへの昇任審査の基準変更を発表し、これまで選考の基準に含まれていたWAPS(Weighted Airman Promotion System testing requirement)を除外すると明らかにし、具体的には、知識テスト(knowledge test)と体力テスト(promotion fitness exam)を無くすとしています

これまで、知識と体力テストを各100点満点で点数化し、これに加えて過去5年間の勤務評価や賞罰や勲章歴等を加点して対象者を評価して候補者をリストアップし、中央昇任審査会(central evaluation board)で面接等を経て選抜していたようですが、ここから知識と体力テストを除去する大きな改革です

airman.jpg知識テストを免除して「頭でっかち」だけの指導力のない下士官を排除し、体力テストを除いて「少々肥満型でも」組織を引き締めてくれる指導力ある人物を選抜する決心がなされたものと「邪推」いたしました。

一般的な時代の流れに逆行するような気もしますが、そうでもしないと風紀の乱れに打つ手なしの部隊状況ではないか・・・そしてこれが米空軍(恐らく米軍全体)の実態だと推測いたします・・・

4日付Military.com記事によれば
●4日米空軍は、上級下士官3階級(master sergeant, senior master sergeant and chief master sergeant)への昇任者選抜プロセスから、知識テスト(knowledge test)と体力テスト(promotion fitness exam)を無くすと明らかにした。

Wright.jpg●4日、米空軍下士官トップであるKaleth O. Wright最上級軍曹は声明を発表し、「この新たな選抜プロセスが、上級下士官選抜において最適な人材を選抜し、各級指揮官や組織指導者に信頼できる人的戦力を継続的に提供するものと確信している」と述べている
●また「テスト部分を選抜プロセスから除くことにより、強力なリーダーシップ発揮の潜在能力を保持しない者が選抜されることを避け、最上級の優れたパフォーマンスを示しているものが選ばれる仕組みを確実なものとする」とその意義を説明している

●米空軍司令部の人的戦力計画部長であるBrian Kelly中将は、「我々は継続的に、米空軍全体で人材管理手法の改善に取り組んでいく」、「今回の選抜要領見直しは、(テストよりも)日頃の勤務パフォーマンスを重視して焦点を当てるものである。我々は引き続き、透明性とシンプルさを追求していく」と本件に関しコメントしている
●なお、新方式での昇任者が誕生するのは、今年秋からである
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空軍内では性的暴行(sexual assult)問題が4軍の中でも際立ち、その他にも飲酒や麻薬、士官学校でのカンニングやセクハラなど風紀上の問題が重くのしかかっており、統合参謀本部議長に空軍人が長く推薦されない原因の一つとも言われているほどですが、対策の一つとしての上級軍曹選抜の改革(現場で目を光らせる適任者の選抜)ですが、これは大きな人事制度の変革だと思います

basic-training4.jpg「日頃の勤務パフォーマンスを重視」とは聞こえが良いですが、多くの対象者を対象として、日頃の職務遂行状況を公平に評価することは容易ではありません

公平性を確保するため導入したのが知識テストと体力テストですから、そこからの決別は公平性確保への挑戦でもあります。他軍腫の追随状況を含め、お手並み拝見と行きましょう

米空軍内の風紀の乱れ
「空軍内で性的襲撃既に今年600件」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-1
「空軍士官学校の内通者が反旗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10-1
「戦闘機操縦者支配への反発が顕在化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04
「指揮官を集め対策会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-04

米軍と性犯罪(Sexual Assault)問題
「性犯罪は依然高水準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1
「暴力削減にNGO導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-05
「国防長官が対策会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19

「海軍トップも苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20
「女性5人に一人が被害」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-10
「米軍内レイプ問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19

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第9回中国安全保障レポートは「一帯一路」 [中国要人・軍事]

「核心的利益を追求する中国の行動は、周辺諸国との摩擦を高め、アジアの地域秩序に関する中国戦略は、必ずしも順調ではない」

2019Report中国.jpg1月30日、防衛省の防衛研究所が、第9回となる「中国安全保障レポート」を発表しました副題として「アジアの秩序をめぐる戦略とその波紋」を掲げ、日英中の3か国語で全文が提供され、防衛研究所webサイトで無料公開されていますので、是非ご覧ください。

このレポートは、世界に大きな影響を与えつつある中国の戦略的・軍事的動向を分析し、「あくまでも執筆者の個人的見解で、防衛省の公式見解ではない」との注釈付ながら、実質的には防衛省の見方を国内外に発信するためのものです

記事末尾の過去レポートの紹介記事が示すその時々の中国を表現するテーマを掲げて、中国の動向を分析しており、レポート本文中には、本レポートの内容を基に諸外国の研究機関との意見交換を行っているとの記述も見られます。

one belt one road5.jpg今回のテーマは「一帯一路:one belt one road」や中国の対外政策で、膨大な人口を背景にして魅力的な市場となっている中国が、その経済力をテコに周辺諸国に対して、「真綿で首を締める」様な「協調&強硬路線」を採っている様子を紹介しています

レポートの構成は以下の通りでまず全般状況を概説し、次に地域ごとの様子を取り上げる形をとっていますが、本日は各章の概要をレポートの要約部分から「ちらり」とご紹介します。

第1章 既存秩序と摩擦を起こす中国の対外戦略
第2章 中国による地域秩序形成とASEANの対応
第3章 「一帯一路」と南アジア――不透明さを増す中印関係
第4章 太平洋島嶼国――「一帯一路」の南端

第1章 既存秩序と摩擦を起こす中国の対外戦略
one belt one road.jpg●習近平政権は、「一帯一路」に代表される協調重視の「平和発展の道」と、強引な海洋進出に見られる対立もを辞さない「核心的利益の擁護」という2つの対外方針を同時進行している。
●更に中国は、「中国の特色ある大国外交」を標榜し、中国の発展途上国への発言力強化で国際秩序の改編を目指している。

●こうした中国の動きは、米国や先進国の警戒を呼び、途上国の間には経済合理性や透明性に欠けてる「一帯一路」構想への疑念が拡大している
●更に「核心的利益」を追求する中国の行動は、周辺諸国との摩擦を高め、アジアの地域秩序に関する中国戦略は、必ずしも順調ではない

第2章 中国による地域秩序形成とASEANの対応
one belt one road3.jpg●ASEAN諸国は、台頭する中国に「関与と牽制」、「経済と安全保障」、「中国と米国」といった多様で柔軟な姿勢で対応してきた。中国は、経済的影響力と安全保障を積極的に結びつけ、南シナ海問題などでASEANを中国の意向に従わせようとした。

●「一帯一路」での中国の支援攻勢にASEANは積極的に反応し、ASEANが進めるインフラ整備に中国が大きく寄与することで、ASEANへの中国の政治的影響力は拡大している。中国は「台頭」を超え、地域秩序の「中心」と化しつつあるという意味で、両者の関係は新たな段階へ到達している。
しかしマレーシア新政権による「一帯一路」関連プロジェクトの見直しが顕在化するなど、ASEANの対外戦略の本質は均衡にあることが、2018年にはあらためて明らかになった

第3章「一帯一路」と南アジア―不透明さを増す中印関係
one belt one road2.jpg●「一帯一路」で進む南アジア諸国への中国の経済的関与は、地域での中国の存在を、地域大国インドを上回る支配的地位へと押し上げ得る。インドは警戒感を抱き、「一帯一路」を経済的なプロジェクトではなく政治的・戦略的意図を帯びたものととらえて、域内諸国への関与強化、多国間連結性構想の推進、域外主要国との連携といった対抗策を強めてきた。

●一方で中国は、「一帯一路」にインドの協力を得たい思惑や、ハンバントタ港引き渡しを受けた「一帯一路」のイメージ悪化に対処する必要性から、インドに譲歩する姿勢を見せ、インドも応じる形で、2018年4月の中印首脳会談で関係の「リセット」が行われた。
●しかし、南アジア諸国での中印間の競争は今後も続き、長期的にはそれが、これまで総体的な中印関係が備えてきた、「管理された対立」としての性質を蝕んでいく可能性が高い

第4章 太平洋島嶼国――「一帯一路」の南端
one belt one road4.jpg●中国は「一帯一路」における「21世紀の海上シルクロード」の南端を太平洋島嶼国と定め、近年これらの国々への支援を大幅強化している。島嶼国側は、経済発展のため基本的に中国支援を大いに歓迎し、「一帯一路」構想への参画にも積極的である。

●現在、中国の島嶼国への安全保障面での関与は、主として2国間レベルで進められている。中国が中長期的には戦略的な進出を始める可能性は否定できないものの、中国はまず同地域において経済権益の確保と、経済力を用いて政治的影響力を高めることに注力しているようである。
●島嶼国への中国進出に対し、関係国の警戒感は高まっている。豪州やNZは、自らの影響力の相対的な低下を懸念している。同地域に領土を持つフランスも、警戒感を強めている。
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日中関係改善(米中対立と反比例し)の機運の中で、こっそり発表された印象が強いです。

中国という多様な側面を持ち、日本との利害関係も複雑な対象を報告書にまとめることは、防衛研究所のような公的研究機関でないと難しいと思います。

one belt one road6.jpg企業や財団系のシンクタンクが専門家を集めてレポートをまとめようとしても、個性豊かな断片レポートの寄せ集めになりがちですが、緩やかながらでも組織的統制がある防研のような組織は、全体んバランスや視点を整えることが可能かと思います

もちろん、防衛省という看板を背負っている関係上、「角」がとれた表現に納まっている部分もありますが、日本語で読める得難い資料ですのでご活用ください

注:まんぐーすは防衛研究所の関係者ではありません。誤解されている方がいるようですが・・・

防衛研究所の同レポート紹介webサイト
http://www.nids.mod.go.jp/publication/chinareport/index.html

過去の「中国安全保障レポート」紹介記事
1回:中国全般→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-19
2回:中国海軍→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-17-1
3回:軍は党の統制下か?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23-1

4回:中国の危機管理→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-01
5回:非伝統的軍事分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-22
6回:PLA活動範囲拡大→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-09
7回:中台関係→サボって取り上げてません
8回:米中関係→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-2

米国防省「中国の軍事力」レポート関連記事
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18
「2016年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

防衛研究所が4年かけ取り組んだ大規模研究プロジェクト
全12章の大作:「フォークランド戦争史」
http://www.nids.mod.go.jp/publication/falkland/index.html

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国防省評価局:ALISは未だF-35の大きな障害 [亡国のF-35]

問題多数で使えないからデータベース不十分
使わないから使用者の習熟度も上がらず
開発段階での試験が現場の使用実態と乖離・・・

F-35 3-type.jpg1月31日、米国防省の試験評価局(DOT&E:director of operational test and evaluation)が、F-35の稼働率が上がらない元凶の一つである自動兵站情報システムALISの現状についてレポートを発表し、  
設計上の機能を発揮できず、現場を混乱させている様子を厳しく指摘しています

現場の使用状況に即した性能確認試験が不十分なため現場に余計な負担をかけ、トラブルが多いため整備員がALISを使用しない抜け道で活動するため正確なデータ蓄積ができず、不十分な情報やソフトのバグが生む誤った故障アラームで稼働率低下の悪循環など、現場整備員の苦悩が伺えるデタラメな状況がレポートされています

まだ現場配分の機体数が少ないため人海戦術で対応しているのでしょうが、機数が増えるにしたがって整備の現場が破綻する様子が目に浮かぶようです・・・・。皆さん、F-35運用が安定し、F-35を採用する国が増えてきたと考えるのは大きな間違いです。米国がF-35輸出を促進するため、一生懸命表面をお化粧しているだけです・・・

1日付Defense-News記事によれば
F-35C.jpg●ALIS(Autonomic Logistics Information System)は、F-35運用と整備に効率性をもたらすものと大宣伝されているが、必要なデータの欠落とソフトのバグにより、現場整備員の仕事をますます困難なものにしてる様子をDOT&Eレポートは暴露している
●結果として、ALISが誤って機体故障アラームを表示し、例えば展開先で飛行開始までに余計な時間を要し、現場整備員に大きな負担を強いている

DOT&Eレポートは、ALIS関連不具合を大きく3つのカテゴリーに分類できるとしている
一つ目は、自動化されているはずの使用手順の多くが、未だ手動入力によらねばならず操作に多大な時間を必要とする点

二つ目は、ALISが提供するデータが不完全や誤りであることが多い点。理由は様々だが、例えば契約業者が問題の多いALISを使いたがらず必要な情報が入力されいのも背景の一つ。F-35を製造するロッキード社の現場でも、ALISを使い始めたのは2018年3月からという驚くべき実態
F-35 luke AFB.jpg三つ目は、上記2つの結果、現場整備員がALIS使用経験不足である点。このため複雑な搭載装備品のデータ修正には多くの時間を要し、結果として求められる時刻までに機体を飛行可能にすることができない事態に至っている。ALIS操作問題での非稼働が、主要な5つの非稼働率原因に入っている

●このような問題が顕在化するのはF-35が母基地から機動展開した場合で、不自由な環境では第4世代機より飛行準備に時間必要になっている。このため整備員は、本来ALISで実施すべきデータ管理を、自己流の別手段で行っている
●最もF-35稼働率が低い海兵隊の航空基地では、修理のために必要な部品をALISに入力すると、入手までに数年かかると表示されることがあり、電話で確認して急送を依頼している実態などが明らかになっている

●同レポートによれば、これら問題の一部はソフト管理部門で対策が行われているが、タイムリーに措置されていない問題が多数あり、対処されている問題の解決にも異常に長い時間がかかっている
●ALIS内の複数のアプリが異なった指示を出し、現場を混乱させている問題も2012年から指摘されているが、複数のソフト改修を経た後も依然問題として残っている

●ロッキード社は、今後のALISソフト改修はより小規模で頻度を上げる方向で行うとし、DOT&Eもその方向を指示しているが、改修ソフトの試験手法が現場のALIS使用実態に即しておらず、ソフト開発部署ごとに試験手法が異なっていると批判している

DOT&EレポートがALIS以外で指摘した課題の一部
F-35B-2.jpg●海兵隊に納入されたF-35Bの初期型は、2000時間分の耐久試験しか行われておらず、8000時間と設定されている耐用年数前に問題が出る可能性がある
●国防省F-35計画室は、今後6か月ごとにソフトを更新する方向で計画しているが、あまりにも頻繁でソフトの信頼性確認が不十分なリスクが高い

●F-35に脅威データを提供する「mission data files」を作成する装置が不十分であり、特に展開先など作戦時のストレスが高い環境下で新たなデータファイルを迅速に作成できない
●F-35A型の機関砲の装着が適切に行われておらず、射撃の正確性に問題がある
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F-35の維持整備はそのコストと作業員負担の多さで大きな問題となっており、最大の懸案の一つですが、「日暮れて途遠し」状態に変化無しです

航空自衛隊の現場の声(三沢基地の整備員)を是非聞いてみたいものです・・・

関連の記事
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「2/3が飛行不能FA-18の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1
「再びGAOが警告」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-10

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新しい在日米軍司令官はアジア極東のベテラン [Joint・統合参謀本部]

前職は太平洋空軍と太平洋軍の参謀長
F-16操縦者で韓国と三沢勤務あり
多国籍操縦者教育部隊の隊長経験も

Schneider.jpg5日、米空軍横田基地で太平洋軍司令官Phil Davidson海軍大将と太平洋空軍司令官CQ Brown空軍大将の列席の元、新しい在日米軍司令官(兼ねて第5空軍司令官)の就任式典が行われ、昇任したばかりのKevin Schneider空軍中将が就任し、部隊の旗を Brown司令官から手渡されました

前任者の輸送機パイロットJerry Martinez中将は、33年間の空軍人としての勤務を終え、退役されるそうです。在日米軍司令官を最後に制服を脱ぐ方は珍しいですが、アジア経験が無く、在任中に米軍兵士や軍属の日本国内での犯罪が多く、また三沢のF-16が燃料タンクを基地近傍の池に投下して漁業被害を出し、基地の整備部隊がデタラメだとの調査結果が出るなど、事件事故が多かった厳しい勤務であったことは間違いありません

5日付米空軍協会web記事と公式バイオより

Schneider新司令官と主要な経歴
Schneider2.jpg1988年に空軍士官学校を卒業(防大32期相当か)後、F-16操縦者として最初の勤務地は韓国のOSAN基地で、次の任地が三沢基地で1995年12月まで勤務。戦闘機パイロットとして最初の5年間を極東に防衛にささげた
●その後は操縦技量と識見ともに優れた士官として、ネリス空軍基地のWeaponスクール教官パイロトを務め、またペンタゴンで少佐として空軍参謀総長の副官室勤務を経験する

飛行隊長は再び韓国駐留のF-16飛行隊で努め、その後、ドイツ勤務等を経て、同盟国操縦者の飛行教育を担当する航空団の司令官を経験する
統合職としては、中佐でJ-5の軍政関係担当を務め、空軍司令部では大佐で人的戦力管理部で将軍人事マネジメント課長を務める

●最近では、UAE内陸の米空軍戦力展開基地司令官、中央軍空軍の副司令官、太平洋空軍の参謀長、そして直前は太平洋軍の参謀長を2016年7月から努めている

5日の就任式典では
Davidson3.jpg●Davidson太平洋軍司令官は、「太平洋地域や日本周辺の課題について深く理解し、たぐいまれな能力を持った人物である」と新司令官を紹介し、
日米同盟について、70年以上に渡り地域安定の「cornerstone」であり、自由で開かれたインド太平洋のために心を同じくする国との協力で安全保障が確保されてきたし、太平洋軍の戦力発揮の信頼性は日本のような鍵となる同盟国との協力が不可欠だ、と述べた

●Schneider新司令官は、「この地域の平和と安全保障に対する明確な脅威を認識している」と述べ、「いかなる危機、脅威、災害に対しても、至短時間で対応できるような高いレベルの即応態勢を維持し無ければならない」と語った

Martinez.jpg●退役するMartinez前司令官に対し太平洋空軍司令官は、「彼が指揮した2年間は決して楽しい2年間ではなかった」、「事態は常に切迫しており、脅威は常に注視されなければならなかった」と労をねぎらった
●Martinez前司令官は、在日米軍司令官と第5空軍司令官として勤務できたことを誇りに思うとともに、「この素晴らしい日本という国で暮らすことが出来たことを、真に誇りに思う」と感謝の弁を述べた
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地域の情勢は言うに及ばず、韓国までが左旋回の度を強めるなか、ここは太平洋軍エリア経験が豊富で、直前まで上級司令部の参謀長を務めていた即戦力を投入し、風雲急を告げる極東の体制を安定させようとの狙いでしょう。

Trump8.jpgでもまぁその前に、同盟国との関係や、過去の経緯を無視しそうな最高指揮官(トランプ大統領)の如何なる思い付き行動にも、即応態勢でいる必要がありそうです。Schneider新司令官は・・・

そういえば米中東軍司令官は、トランプ大統領の米軍のシリア撤退発表について、事前に大統領から何の相談もなかったと上院軍事委員会で証言したようです・・・

Kevin Schneider新司令官の経歴
https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/108888/major-general-kevin-b-schneider/

関連の記事
「三沢F-16整備部隊はでたらめ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-22
「空自の那覇救難隊を表彰」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-19
「前任Martinez中将の経歴」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-07

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独の戦闘機選定:F-35除外も核任務の扱いが鍵 [安全保障全般]

tornade.jpg1月31日付Defense-Newsがドイツ国内報道を引用し、老朽化が進む90機の独空軍トーネード戦闘機の後継機選定に関し独国防省関係者が(米から購入せよ圧力があると邪推する)F-35を候補から除外したと語ったと報じ、一方でトーネードが担っていたNATO作戦における核兵器投下をどうするかについては混迷状態にあると解説しています。

ドイツの戦闘機に関しては、独と仏が中心となり欧州全体を巻き込む方向の次世代戦闘機開発が2040年配備を目指してスタートしており、トーネードの後継機はそれまでの「つなぎ戦力」の性格が強く、早くから5世代機の「F-35でなくても・・」との雰囲気が独内にあります。

eurofighter2.jpgこれを受け昨年4月には、ユーロファイターCEOはトーネード戦闘機の後継争いにおいて、F-35よりもユーロファイターが有利に立っていると語っています。従って、今回の独国防省高官の「F-35排除発言」は、少なくとも軍事専門家や独国内では淡々と受け止められているようです。

しかし、独国防費のGDP比が低いと圧力をかけている米ホワイトハウスや米国務・国防長官、F-35製造のロッキード社は大いに不満でしょうし、トーネードが担っていた核任務の引き継ぎ先の選択肢には複数があり、機体毎の核任務の可否は米国が認可する性格のものであることから、米国VS欧州の性格を持つドロドロ感たっぷりの紆余曲折が予想されることから、簡単にご紹介しておきます

1月31日付Defense-News記事によれば
eurofighter11.jpg●今回の「F-35除外発言」はサプライズではない独関係者はこれまでも、欧州企業共同生産のアップグレードしたEurofighter Typhoonが好ましいと示唆していたからである
●これは、一つには欧州企業による作戦機製造機会を維持しするという目的のためであり、更にはより重要な要素として、独仏が開始している次世代機開発などの兵器開発連合の活動に水を差すことが無いようにするためである

●ただし、現在NATOによって割り当てられているトーネード戦闘機による核兵器投下任務をどうするかについて、米国製核兵器の搭載認証を受けていないTyphoon戦闘機は答えになっていない
FA-18EF2.jpg●そこで今回の「F-35除外発言」以前には、例えばロイター通信のように、独国防省がTyphoon戦闘機とF-35、又はTyphoon戦闘機とFA-18E/Fの混合調達を検討しているとの報道もなされていた

欧州製と米国製機体の混合調達は、NATO核任務遂行と欧州軍需産業保護の両面から都合が良いようにも見えるが、異なる2機種を支える維持整備上の負担は、経費面と人的・組織面の両方で大きな負担となる
●混合機種調達案以外にも、老朽化で維持経費が今後増大しても、NATO核任務用にトーネードの一部を引き続き維持してはどうかとの案も、不可能ではない案として常に検討対象として浮上している

独政府は、核兵器搭載可能機の保有について公に議論するようなことを避けたいと強く願い、核運搬任務に関するトーネードの後継機など議論したくないのが本音であり、Typhoon戦闘機の核搭載任務承認を米国に要請するであろうが、トーネードの維持が高価でも現状維持を期待する声はやまないだろう、とドイツの政府系シンクタンク研究者は昨年8月に予言していた。
F-35 Paris.jpg●1月31日の報道を受けても、独国防省関係者は、トーネードの核任務の後継については何も決まっていないと強調し、FA-18とTyphoonに関する情報提供をボーイングとエアバス社に求めていくだけだと述べた

一方でF-35製造のロッキード関係者は、「F-35除外」発言について、独政府から何も聞いていないと驚いた様子で、「NATOの次世代エアパワーの基盤として、F-35は世界で最も優れた作戦機であり、電子戦分野でも全ての4世代機御上回る能力を保有している」、「長期的な軍需産業基盤や経済的機会の面からも、市場にあるいかなる戦闘機よりも優れている」と訴えた
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F-35の核兵器搭載任務への改修型の設計製造や承認も先送りになっており、米国としても突っ込みが難しい面もあるでしょうが、Typhoon戦闘機に核兵器搭載承認を与えるかも米国の微妙なさじ加減になりそうです。

B-61 LEP.jpg核兵器を搭載するには少なくとも、核爆発時のEMP効果に耐えうる機体にするため、機体の電子回路や配線を電磁波からシールドする必要があり、F-35でも100億円の設計改修費が必要との見積もりがあったと思います

欧州での戦闘爆撃機搭載の戦術核を維持するのか?・・・との大前提となる問いにもこたえる必要がある課題です。これまた、お手並み拝見ですが・・・

ドイツと戦闘機関連記事
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

戦術核兵器とF-35等
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

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米空軍からF-15X購入の臭いプンプン [米空軍]

必要な機数を確保するため、予算があれば必要数全機をF-35でカバーしたい。しかし・・・

Goldfein112.jpg26日、Goldfein空軍参謀総長がDefense-Newsの単独インタビューを受け米空軍2020年度予算の論点の一つとなっている「F-15X」購入予算の確保に関する質問に対し、「F-35予算は一切削減しない」、「第4世代機で5世代機の代替はできない」、「質を量ではカバーできない」等々とF-35調達予算の重要性を強調しつつも、必要な量の確保の必要性と予算の縛りにも言及し、明言はしないもののF-15X購入可能性が高いことを強く示唆しました

本件に関しては、昨年末、突然ブルームバーグが、1980年代に購入した老朽化の激しい州空軍保有のF-15C型の後継として、米空軍が2020年度予算に12機のF-15X予算約1300億円を計上する方向だとスクープして大きなニュースになったものです。

F-15 upgrades3.jpgF-15EやF-16がで2030年頃まで使用可能であるのに対し、米空軍はF-15CやD型を約230機保有していますが、機体寿命が近づいて維持経費が高騰し始めていることから、これらF-15Cの後継に、カタールやサウジが比較的最近購入したF-15に、最新レーダー、コックピット、電子戦装備、更に搭載ミサイルの倍増等の改修を加えたF-15Xをボーイング社が売り込んでいたところです

ブルームバーグの報道を受け、F-15CとF-15Xに関しWilson空軍長官は、「全てのオプションがテーブルの上にある」と発言していましたが、今回Goldfein空軍参謀総長は、米空軍予算の変動に備えて様々なオプションを検討しているとしつつも、F-15X購入可能性が高いことを強く示唆しています(そのような印象を受けました)

26日付Defense-News記事によれば
F-15 upgrades.jpg●19日、Goldfein空軍参謀総長はDefense-News記者に対し、予算が十分ある限りはF-15Xを購入する可能性が高い(Air Force could buy)と述べる一方で、「F-35調達を1インチたりとも後退させるつもりはない。F-35予算から他の戦闘機購入費用を融通することは1セントなりともあり得ないし、現在予定しているF-35購入計画を予定通り進める」と強調した
●そして昨年10月から揺れ動く国防費枠への対応について、「我々は730billionに向けて準備してきたが、700になった場合に何を削減するかも検討した。そして750になった場合の事もだ」と述べ、直接的には認めるような発言はしなかったが、F-15X購入の引き金を引く可能性を強く示唆した

ボーイングはF-15Xを空軍に売り込んでいたが、これまで米空軍はこの提案を突っぱねていた。例えば昨年Wilson空軍長官は、「米空軍の戦闘機は現在、8割が4世代機で、2割が5世代機である。将来の戦いを考えれば、大きな違いを生み出す5世代機がより多く必要だ。5対5の比率にしたい米空軍とすれば、4世代機購入はありえず、5世代機の増加に進むのみである」と言い切っていた

Goldfein space.jpgしかし26日の参謀総長発言は、機数を確保するため、戦闘機世代を問うことなく、老朽化が進むF-15の後継機購入に進む可能性があることを示している。実際同大将は「4世代機と5世代機は互いに補完しあう。互いに相互を高めあう」とも表現した
●この相互に高めあう発言を捉え、質を量で補うことで妥協するのかと質問したところ、「それには当たらない」と参謀総長は述べ、「F-15C部隊に穴が開いて任務遂行に必要な機数が不足する事態は避けねばならず、部隊をリフレッシュする必要がある」と語り、

●「F-15C部隊の機体を更新するとしても、F-35部隊建設は並行して計画に基づき進める。決して世代間のトレードオフではない」と訴えた。
●そして「米空軍の戦闘機平均年齢を現在の28歳から15歳に下げ、必要な機数を確保するには、毎年72機の戦闘機を購入し続ける必要がある」と言いつつも一方で、「72機すべてをF-35で調達したいが、予算の制約から実現は難しい」、「F-15はF-35の能力を代替できないが、量も必要なのだ
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F-15 upgrades4.jpg昨年12月、航空自衛隊のF-15(MSIP機)約100機にも能力向上を行う計画だととの報道がありましたが、時を同じくして米国でも、急にF-15X調達への動きが表面化しています

何らかの力が働き、ボーイングを支えるための施策推進が決断されたと考えるのは「妄想が過ぎる」でしょうか? その背景の一つに、KC-46A空中給油機開発でのトラブル頻発によりボーイング社が自腹を切っている4-5000億円があるのでは・・・と考えるのは「邪推」でしょうか?

日本のMSIP機の動向にも注目いたしましょう・・・

「空自MSIP機を能力向上改修へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-01

米軍F-15は冷や飯
「ボーイングがF-15X宣伝中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24-1
「コッソリF-15C電子戦能力向上を中止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-03
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23
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