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無人偵察機ビデオ情報漏洩の背景 [米空軍]

rvt3.jpg17日付米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は、イラクの武装勢力が25ドルのロシア製のソフトを使って無人偵察機プレデターの撮影するビデオ・データの傍受に成功しているという記事を掲載しています。同日のCNNニュースによれば、国防省高官はこれに関して否定も肯定もせず、「我々は種々の問題を確認し、その改善を行っている」とコメントしています。

rvt2.jpg以下は、米国や多国籍軍のアフガンでの活動にとって無人機がどれほどの関係があるかを間接的に紹介するものです。これまでご紹介してきた内容も含まれますがご参考まで。WSJが報じたビデオ情報は、下記に出てくる「携行可能な映像等受信表示装置(RVT: remote video terminal)のNATO全体への普及」に伴うものでしょう。

(1)無人機運用の急増
deptumq9.jpg空軍幹部の重視事項に必ず登場するISRの中核を担うのが無人機です。無人機プレデターやリーパーによるCAP数は、08年に50%増加して36になり、10年末には50に到達するだろうとゲーツ長官は述べています。ドンリー空軍長官も「2000年当時は2020年の段階で無人機は80機程度(筆者注:機種不明)と見積もっていたが、現在の生産ペースからすると、380機以上になろう」とその急成長振りを説明しています。

そしてこの急増の背景には、「アフガニスタンで、輸送や偵察任務のために前方拠点から兵士が外へ出る際は、彼らの出発から任務終了までの間、我々が上空から監視し続ける」と米軍幹部が言い切るほどの濃密な地上部隊支援態勢があります。

更に、敵の監視といった受動的なものだけでなく、能動的な攻撃にも活用の範囲が広がっています。それは無人機リーパー等が直接実施する攻撃だけではなく、無人機が支援する地上攻撃の増加にも繋がっており、全てに無人機が関わっていると言っても過言ではありません。

(2)近接航空支援(CAS)への懸命の取り組み
イラクやアフガニスタンで行われている対テロ地上作戦を、空軍としてどのように支援するかは大きな課題でした。
特に09年5月にマクリスタル新司令官がアフガニスタン作戦の指揮官に着任以後、住民に被害を及ぼす可能性のあるCASを厳しく精査した結果、CASの要請がリスクの大きい空軍機から陸軍の攻撃ヘリや無人機リーパーへ向かうようになって以降は尚更です。
この状況に危機感を持った空軍は、近接航空支援能力の向上に懸命に取り組んでいます

F15eCASafg.jpgラスベガス郊外のネリス空軍基地に置かれている「空軍戦闘センター(Air Force Warfare Center)」は、空軍戦術の実戦的研究や普及教育のメッカとして知られています。同センター司令官(空軍少将)は「(イラクやアフガニスタンの)地上部隊を支援するため、何が現場で行われ、どう改善するかの分析検討にセンターのほぼ全てが向けられている」と述べています。

例えば同センターに所属する561統合戦術隊は、頻繁にイラクやアフガンを訪れ、現場部隊から問題点を聞き取ります。そして教訓や問題点等は同センターの教育に反映されると共に、陸軍や海兵隊とも共有されます。更に教訓を(空軍内の)ウェッブサイトで公開することにより情報共有の迅速化を進め、当該サイトを空軍内の人気サイトにしたとのことです。

最近の同センターの取り組みの中には、長距離航空阻止任務用に開発されたストライクイーグルF-15Eを、ISR任務や近接航空作戦に活用する研究も含まれています。他にも、重要移動目標の追尾法、爆弾をスキップさせて敵が潜むトンネル奥深くに送り込む手法、人口密集地域で被害を局限して爆撃精度を上げる方法等の研究にも取り組んでいると報じられています。
redgreenflag.jpgなお広大なアフガニスタンでは、滞空時間が1時間程度の戦闘機タイプの爆撃機よりも、10時間程度在空できるB-52やB-1爆撃機の方が、状況認識やJTAC(Joint terminal attack controller、2003年にFACから呼称変更)との意志疎通の面で優れていることから、米空軍はこれらをCAS任務に重用していく模様です。
最近もグアムを発進した3機のB-52が、豪軍のJTACと連携して豪大陸の演習場でCAS訓練を行うようすが紹介されています。

Jane’s Defense Weekly誌11月4日号は近接航空支援の技術面での特集を組み、アフガニスタン住民への被害局限を目的とした新型装備の迅速な開発や配備の状況を紹介しています。

rvt1.jpgそこでは、付随的被害を局限するためのミサイル弾頭の小型化、泥壁の建物に有効な弾頭やSUV等の乗用車にも反応する信管の開発、無人機搭載用ヘルファイア・ミサイルの開発改良、3世代と言われる新型ターゲティング用ポッドの普及、JTACが軽易に携行可能な映像等受信表示装置(RVT: remote video terminal)のNATO全体への普及、ISAF関係国が共有するATO伝達システム(ICC)の普及等の開発施策が急速に進展している様子が紹介されています。

また将来を見据え、ターボプロップの軽攻撃・武装偵察機プログラムを2010年予算に計上していることや被害局限を図るためのレーザー兵器の開発に国防省と軍需産業が取り組んでいることにも触れています。

先端技術のデュアル・ユースが進むことで、ハイテク技術を使うのは先進国だけではなくなりました。まさに「ハイブリッドな戦い」です

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