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(1/2)「防衛白書」5つの背信 [安全保障全般]

book22.jpg10日、韓国に配慮して公表を遅らせてきた平成22年度版 日本の防衛」(通称:防衛白書が閣議了解されて公表されました。国民の便宜に供し、防衛省のWebサイトに見やすい形で公開されていますので、内容はそちらをご覧下さい。
→ http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2010/w2010_00.html

本日はその内容、特に米国防政策の部分についてのHolylandの個人的な見解を述べます
本ブログでは、「激変」・「大変革」の時期を迎えつつある米国防政策を、ゲーツ長官の発言や考え方を中心にかなり詳細にフォローしてきたのですが、その観点からすると本防衛白書の「米国政策に関する記述」は「まやかし」以外の何ものでもありません。

「ゲーツ改革のまとめ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17
「ゲーツ長官が国防省と議会に宣戦」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09

つまり、中国の勃興に対して大きく変化しようとする米国防政策と日本への影響をカモフラージュするように「巧妙に事実を分散して記述」し、更にQDR等の中核的文書の「キーワード」を引用しないなど「ダチョウが頭を地面に突っ込んで、世間から目を背ける」がごときの書きぶりとなっています。

負担増や米国の強い姿勢を国民から隠し、何とかその場をやり過ごそうとする、国民に対する「背信白書」とも表現できるでしょう。

勿論Holylandは、市ヶ谷の防衛省で「宮仕え」の悲哀を味わいながらも、日本の防衛に取り組む官僚や制服首脳の皆さんを強く責めたりはいたしません。所詮、「宮仕え」ですから・・・政治主導ですからね・・・(遠目涙)。

能書きが長くなり、本日はこの後も長いですが、5つの視点から「米国の国防政策」関連記述における国民への背信を指摘する前段として、まず2点に触れたいと思います。

●Air-Sea Battle Conceptの記述がない

対中国を考える際、また米国の局と軍事戦略を考える上での鍵となるQDR記載のキーワード「Joint Aie-Sea Battle Concept」が防衛白書に見あたらないことに一番衝撃を受けました。
同時に、アクセス拒否戦略への対処の基本としてQDRが明確に記載している「遠方からの長距離攻撃」や無人艦載機や潜水艦長距離ミサイルの活用、ネットワークの脆弱性克服、と言った表現までが記載されていないことに愕然です。

「QDRから何を読みとるか(1)」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「CSBA中国対処構想」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
CSBAと「Joint Air-Sea Battle Concept」の関連記事一覧はこちら

gatesfhood.jpgQDRが中国の中距離弾道ミサイルや巡航ミサイル、衛星兵器に注目してる事は分散して記述されていますが、米国が極東の脆弱な作戦発起基盤基地の現状を認識し、戦い方を変えようとしている事への言及が全くありません。在日米軍の変化を予測するような表現もありません。もう十分感じている(又は明確に米軍から宣告されている)はずなのに・・・・。

国民に現実の厳しさを隠す姿勢は、太平洋戦争時の「大本営発表」級の背信行為です。HolylandはCSBAのレポート内容まで踏み込めとは言いません、せめてQDRに記述された事項は正確にまとめ、かみ砕いて国民に紹介すべきだと考えます。

●日本の負担増に関する記述がない

andersenGM.jpg西太平洋の米軍作戦基盤基地の脆弱性克服に米軍が取り組む意志を示していることが「さらり」と記述されています。しかし、QDRが「脆弱性克服策を分析検討し、同盟国とも協議の上、予算化する」と明確に同盟国への負担増を期待していることに関し白書には記述がありません

7月6日の記者会見で北澤防衛大臣も、「(グアム移転経費の増額要求に関して)これまでもその話はゲーツさん等との話の中で出ていますが、今後検討していく課題です」との要旨の発言をし、米側からの負担増要求が出ていることを公表しているのですから、もっと米の姿勢を明確に白書に書くべきと考えます。

「ついに経費負担増要求」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-05
「米次官補代理が防衛費増額要求」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-19

更に言えば、普天間の移設問題は米側にとって、グアムや周辺のサイパン・テニアンの軍施設強化のための資金提供を求めるモノになりつつある現実も、それとなく白書で示唆する賢さがほしかったところです。
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本日はこれくらいで・・・。明日の後半は、米の軍需産業と技術開発改革、BMDR(ミサイル防衛見直し)、NPR(核態勢見直し)に関連する22年度版防衛白書の書きぶりを吟味したいと思います。

ちょっと熱くなりすぎましたか・・・反省
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コメント 2

猫好き

いつも楽しく拝見させて頂いています。仕事上、こういう分野に関心を持つ者です。

防衛白書は現物がまだ書店に出回っていないようで、私も手に取って見た訳ではないのですが、ゲーツ改革やAir-Sea Battleについての記述がないのはさもありなん、という気がしますね。

防衛省として情報をフォローしてない訳では勿論ないでしょうが、それが日本の安全保障にどのような変化をもたらすかを理解していたとしても、何しろ閣議了承と言う「政治主導」の舞台を通るものですから、「宮仕え」の人々には迂闊なことは書けないでしょうね…。

普天間移設先の辺野古代替施設におけるオスプレイの飛行経路にしても、現実的には有り得ない「台形ルート」を政治的には正しいものとして国民に説明してきた政府です。分かっていることを書かない、程度のことは良心の呵責にもならないのでしょう。

ちなみに私は防衛省関係者ではありません…。




by 猫好き (2010-09-13 21:01) 

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今更だけど、お前何様だよ。
by お名前(必須) (2013-06-19 19:18) 

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