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概観:米戦略から普天間まで [安全保障全般]

Kawakami.jpg拓殖大学の川上高司教授が12月号の雑誌「KOMEI」で米国の状況を踏まえて日米同盟の今後について論じています。米軍全体の状況から普天間問題までを包括していますので、ご参考まで紹介します。

要旨は・・・アフガンでの戦略を変更し、アジアへ目を向けられるかと思いきや、財政問題は深刻であり、対中国政策は「関与」(経済的)を優先せざるを得ない。そこでクリントン国務長官はソフトパワーを強調している。国防費削減の影響は未だ未確定ながら相当規模になる模様で、普天間を早期決着しないと海兵隊が日本から撤退して力の空白が生ずる可能性が高まる・・・です。

アフガン戦略を変更しアジアへ?
●アフガニスタンからの撤退には米軍の戦略の転換が必要であった。2011年6月、オバマ大統領は撤退演説と対テロ国家戦略で、米国は「テロリストをターゲットとする」と述べ、初めて米軍の戦略がCOIN(安定化作戦)からCT(CounterTerrorism)へと戦略転換することを公表した。
●つまり、大規模な軍隊をアフガニスタンから撤退させる代わりに、無人機や特殊部隊によるテロリストを標的とする軍事作戦への転換となる。バイデン副大統領が軍と対立しつつも主張してきた戦略である

米国の対中政策
chinaFlag.jpg●東アジア情勢は米国と中国との相関関係によって決定される。ファリード・ザカリアは「ヘッジ」(軍事的)と「関与」(経済的)を組み合わせる政策を論じている
●現在、アメリカは中国に対して「ヘッジ」と「関与」の両者を巧に使い分けながら対中政策を展開している。しかしながら、アメリカは現在、深刻な財政危機(Budget Crisis)に直面しているため、オバマ大統領の対中政策は関与(経済的)を優先せざるを得ない
●その結果、東アジア情勢は次第にゲーム・チェンジャー(中国)のパワーが優勢となりつつある。

ソフトパワー重視へ
ClintonH.jpgクリントン国務長官は2011年11月号のフォーリン・ポリシー誌で、アジア地域は米国にとり最も重要な国であり今後も一層関与すると述べる一方、国内的な財政危機のために当該諸国との関係を維持発展せねばならないと論じている。
●これは、スマートパワーのうちハードパワー(軍事力)よりもソフトパワー(外交力)をその手段として優先することを改めて述べたことである。
●そして、財政事情のためにアジアの前方展開基地の再編を示唆し、その一環としてすでに米国は豪に米軍を展開させ訓練等を行うことを報告している。

強制予算削減の影響は(一例として)
●米下院軍事委員会の共和党事務局の9月末の報告によれば、陸軍と海兵隊の合計兵員が現在の70数万人から20万人削減される必要性がでると予測している。
●さらに、①空軍戦闘機数が3600機から1500機へと減少、②戦略爆撃機が153機から100機へと減少、③F35戦闘機配備が不確実となる、④海軍艦艇が300隻から238隻へと減少、空母も2隻減少、⑤ICBMは450基から350基へと減少する、ことなどを述べている

普天間問題を見ると
●現在、普天間問題は変更を言い出したものが責任をとるという「三すくみ」状況にある。
米政府が自らグアム移転の変更を言い出せばオバマ大統領自身の責任問題となる。日本政府は何度も反故にした合意案を自ら覆せば米側からの信用を失う。沖縄は苦渋の選択として受け入れた現行案を鳩山総理がとりやめ、また現行案に戻したことから県内移設は全く受け入れられない状況にある。

野田政権の選択肢は3つ
一番目は、何もできずに普天間の「自然死」を待つことである。この場合、海兵隊の全面撤退にもつながりかねず、日本から米軍の地上兵力がいなくなり抑止力が著しく低下することになる。海兵隊不在の空白を自衛隊が埋めなければ中国が力の真空にはいってくる。
NodaPM.jpg二番目は、現行案を強行することである。政府が工程表通りに進め環境アセスを提示し、埋め立て許可を沖縄県知事に求めることになる。しかし県知事が簡単に許可を出すことは難しく、その場合政府は特措法を定めて移設を強行することになる。自民党ですらできなかったことを民主党政権ができるとは考えにくい。
三番目は、現行案ではない実現可能な別なプランを米側に提示し在日米軍再編協議をもう一度早急に行うことである。もしできない場合は、米軍海兵隊の沖縄からの全面撤退になる可能性が高い。

●もし、在日米軍展開態勢が薄くなった場合、特に海兵隊が撤退するような事態が生じた場合、海兵隊が担っている中国(台湾侵攻抑止、尖閣列島侵略抑止)や北朝鮮(韓国侵攻抑止)に対する抑止を日本は埋め合わせることが可能であろうか
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Hutennma2.jpg国内での普天間議論や関連報道は、余りにも偏りが激しく、近づくと頭や目がおかしくなりそうですので川上先生のまとめを拝借しました。少し極端かなと思う部分もありますが、川上先生が10月号の「海外事情」に書かれた論文より、明確に表現されているので「一つの見方」として取り上げました

まんぐーすとしては、川上先生主張の海兵隊そのものの軍事力としての抑止力より、米国民である米軍兵士の命が日本に多数存在していることの意味の方が大きいと思うのですが・・・。

「追加予算削減の致死的影響」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16
「米海軍は日本から豪へ移動」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「有事直前嘉手納から撤退?」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
「バイデン訪中と対中国妥協」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12

「Air-Sea Battle検討室?」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10-1
「Air-Sea Battleに波風の年」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-04

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