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中国軍の脅威を誤解するな [Air-Sea Battle Concept]

AndrewEricksonUSNWC.jpg3月27日付「Defense Tech」が米海軍大学Andrew S. Erickson準教授による中国海軍の脅威に関する論文「遠洋海軍ではなく近海における対海軍能力が脅威の中核:Near Seas “Anti-Navy” Capabilities, not Nascent Blue Water Fleet, Constitute China’s Core Challenge to U.S. and Regional Militaries」(3月7日発表)の概要を掲載しています。

軍関係者や軍需産業に深く根付いた旧思考の戦いでなく、中国は中国近海に於いて、彼らの利点を最大限に生かす非対称な手法で利益を追い求める、との主張に同意です。
また、中国は中国軍が重視する非対称手法に極めて脆弱だと指摘している部分に、我が意を得たりのヒザたたきです。

中国の脅威を誤解するな
中国海軍が「遠洋海軍:blue water navy」になるとの懸念は、米国やその同盟国にとって、中期的観点における中国軍の状況への根本的誤解から生じている
●コスト面でも中国の近海能力からしても、中国軍の近海におけるA2AD能力と遠洋における希薄なプレゼンスを、分析者は混同して考えてはいけない中国海軍の遠洋海軍化にはまだまだ時間が必要

SeaNearFar.jpg●少なくとも高烈度のキネチック戦において、米国とその同盟国は軍事的に多様で有効なオプションを将来も保持するだろう
●例えば中国軍自身は、彼ら自身が重視するミサイル攻撃など非対称手法に極めて脆弱であり、中国の海外における利害拡大につれ、協力の余地が多く拡大しつつある。
●具体的に中国は、地球全体の大部分を占める地域では、米国が提唱する「defense of the global system」によるホルムズ海峡の海路安全確保のような枠組みに、「ただ乗り」する姿勢を慎重ながら見せつつある。

●米国にとっての問題は、中国近海に於いて、中国が航行の自由や種々の国際規範を著しく阻害するような戦略的影響力行使に取り組んでいる点にある。なぜなら中国現有のA2AD能力は既に、中国近海地域で米国の安全保障利害を著しく損なう潜在能力を持っているからである。
中国弾道ミサイル部隊や対衛星能力、サイバー戦能力を伴い、このA2AD能力は中国海軍を遙かに超えた米海洋戦力への脅威であり、急激に強化されているキネティック対処が困難な脅威である。対応に時間を掛けている余裕はない

中国は近海・非対称に力点を
Waterdrop.jpg石を水に落とすと波紋が広がる。波紋は外側に行くほど低く弱くなる。中国近海では中国軍の能力は急激に高まっているが、遠方では進捗は遅い。しかし宇宙とサーバー分野は例外である。
宇宙とサイバー分野での能力は、通常の武器と異なり両方の分野で効力を発揮するダイナミックさを持っている。中国の軍事力を性格付ける時、別々に考えると大きな誤解を招く

中国の外洋海軍構築を誇張することは誤り。中国は、近距離兵器や対地対空対艦ミサイルや水中アセットの開発ほど、戦力投射用の外洋海軍構築を急いでいない。
●同様に、遠洋海軍構築が抑制的であるからと言って、近海兵器の開発も抑制的であると考えるのは間違いである。中国の軍事や外交動向を見れば、その逆であることは明らか

中国軍の力を過小評価する人達のように、米軍戦力と対応させて個々に都合のよい尺度で比較することは、冷戦時代の思考で米中対決のシナリオを想定しない限り意味がない
●むしろ中国は、中国は中国近海に於いて、彼らの利点を最大限に生かす非対称な手法を追求することで利益を追い求める。
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BMrange.jpg元来この小論は軍事予算削減に警告を発する為に書かれたようですが、同時に旧思考の典型である「戦闘機VS戦闘機、空母艦艇VS空母艦艇」の戦いばかりを夢見て自身の領分を死守しようとする人達への警告ともなっています。

これら旧思考派の皆様には、「今後我々に立ち向かおうとする相手は、我に有利な戦闘機同士や艦艇同士の戦いを選択し、破産する道を選ぶだろうか?」、又は「非対称兵器が安価に入手できるこの時代に、敵は米国と通常戦で対決するのは馬鹿馬鹿しいと思うのでは?」とのシンプルな問いを捧げます

また、「中国もまた非対称戦法に脆弱」との指摘は極めて重要です。政治体制はともかく、近代的なインフラを基礎に経済発展を続ける中国の弱点を冷静に分析し、小国たる日本は有効な抑止力構築に資源を集中すべきと考えます。長距離ミサイル、無人攻撃機、サイバー攻撃、対宇宙アセット、非公然工作等々・・何でもどん欲に取り組まないと。

年金や教育費の削減は軍事力発揮の兵站基盤を破壊します。限られた投資で力を付けるには、戦闘機の質量精査や陸自の態勢見直しは喫緊の課題でしょう。

「1/2米中衝突シナリオを基に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1
「CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「日本に中距離弾道ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-07-1

「Balanced Strategy再確認」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
「バランスのとれた軍を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09

「空軍士官候補生へ最終講義」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「RANDが中国空軍戦略を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-29
「前半陸軍士官学校で最終講義」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「海軍海兵隊とも全面対決へ」 http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-04-1
「(追加)海軍海兵隊とも全面対決へ」 http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-07

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